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1. (WO2019049594) Ni-BASED CORROSION-RESISTANT ALLOY POWDER FOR DEPOSITION MODELING, MULTILAYER MODEL USING THIS POWDER, AND METHOD FOR PRODUCING MEMBER FOR SEMICONDUCTOR PRODUCTION DEVICES
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明 細 書

発明の名称 積層造形用Ni基耐食合金粉末、この粉末を用いた積層造形品と半導体製造装置用部材の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009  

課題を解決するための手段

0010  

発明の効果

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027  

図面の簡単な説明

0028   0029  

実施例

0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042  

産業上の利用可能性

0043  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 積層造形用Ni基耐食合金粉末、この粉末を用いた積層造形品と半導体製造装置用部材の製造方法

技術分野

[0001]
 この発明は、代表的には、HCl,Cl ,HF,F ,NF ,ClF およびHBrなどの強い腐食性を有するハロゲン系ガスを扱う半導体製造装置における、これらのガスが直接接触する部材等に係り、その部材を積層造形するために必要となる積層造形用Ni基耐食合金粉末および積層造形品からなる半導体製造装置用部材・部品(以下、単に、「半導体製造装置用部材」という)、さらに、その製造方法に関するものである。

背景技術

[0002]
 HCl,Cl ,HF,F ,NF ,ClF およびHBrなどのハロゲン系ガスの需要の多くは、半導体製造プロセスガスとしてであり、そのためには超高純度化されたものが使用される。半導体の微細化・3D化などの高精細化が進むに従い、腐食性ガスによる金属部材の腐食に起因したパーティクルの許容サイズが小さくなり、装置部材・配管部材を構成する金属材料の耐食性の要求が厳しくなってきている。そのため、従来のSUS316Lから、より耐食性の優れたNi基耐食合金へと材料のアップグレードが図られている。
[0003]
 例えば、特許文献1に示されるように、半導体製造装置における超高純度ガス制御用耐食性バルブのベローズ部材として、質量%(以下、%は質量%を示す。)で、Ni50%以上、Cr14.5~16.5%、Mo15.0~17.0%、W3.0~4.5%、Fe4.0~7.0%、低炭素、低シリコンからなるNi基合金、あるいは、Ni50%以上、Cr20.0~22.5%、Mo12.5~14.5%、W2.5~3.5%、Fe2.0~6.0%、低炭素、低シリコンからなるNi基合金を使用することが提案されている。
[0004]
 また、同じく半導体製造プロセス用超高純度ガス製造装置および半導体製造装置に使用される超高純度ガス制御用バルブのベローズ部材として、UNS N06625(インコネル625(登録商標)に相当。)として知られるNi基合金(Ni:58%以上、Cr:20~23%、Fe:5.0%以下、Mo:8.0~10.0%、Nb(+Ta):3.15~4.15%、低炭素、低シリコンからなるNi基合金)、UNS N10276(ハステロイC276(登録商標)に相当)として知られるNi基合金(Ni:50%以上、Cr:14.5~16.5%、Mo:15.0~17.0%、W:3.0~4.5%、Fe:4.0~7.0%、低炭素、低シリコンからなるNi基合金)、さらに、UNS N06022(ハステロイC22(登録商標)に相当)として知られるNi基合金(Ni:50%以上、Cr:20~22.5%、Mo:12.5~14.5%、W:2.5~3.5%、Fe:2.0~6.0%、低炭素、低シリコンからなるNi基合金)などのNi基合金が提案されている。
 なお、前記Ni合金の合金種別を表す「UNS」は、ASEHS-1086とASTMDS-566に規定された「Unified Numbering System」のことであり、前記N06625,N10276,N06022,(後記する)N07718等はこれに登録された合金固有の番号である。
[0005]
 また、特許文献2には、HCl、HF、HBrなどの強い腐食性を有するハロゲン化合物ガス、さらに塩素、フッ素、臭素などのハロゲンガスなどを充填し貯蔵および運搬するためのボンベに取り付けるバルブを製造するための部材として、Cr:14.5~24%、Mo:12~23%、Fe:0.01~6%、Mg:0.001~0.05%、N:0.001~0.04%、Mn:0.05~0.5%、Si:0.01~0.1%、Al:0.01~0.5、Ti:0.001~0.5%、Cu:0.01~1.8%、V:0.01~0.5%、B:5~50ppmを含有し、あるいは、さらに、Ta:1%超~3.4%、W:2~5%、Co:0.01~5%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物として含まれるC、SおよびPをC:0.05%未満、S:0.01%未満およびP:0.01%未満に調整した成分組成を有し、耐食性・型鍛造性に優れたNi基耐食合金が提案されている。そして、このNi基耐食合金に型鍛造を行うことにより、型鍛造による割れ発生がなく、最小限の最終仕上げ機械加工を行うだけで、寸法精度の優れたハロゲンガスおよびハロゲン化合物ガス充填用ボンベのバルブを作製し得ると記載されている。
[0006]
 ただ、前掲の従来技術におけるNi基合金は、鍛造品や圧延板を素材に機械加工や溶接等を施すことにより所定の形状の部材に成形しているが、機械加工、溶接等によって、部材に精度高く複雑形状を付与することは困難である。
 しかし、近年、3Dプリンタと呼ばれる積層造形(Additive Manufacturing)の技術が進歩し、板や棒、パイプのような素形材の機械加工では、形状付与が困難あるいは不可能な複雑形状の付与が可能になってきている。
 そして、精度の必要な比較的小型品の製作に際しは、積層造形に適用する原料として、金属粉末も採用されている。
[0007]
 例えば、特許文献3に示されるようなUNS N07718(インコネル718(登録商標)に相当)として知られる耐熱系のNi基合金(公称組成は、Ni-19%Cr-3%Mo-5%(Nb+Ta)-0.9%Ti-0.5%Al-19%Fe)に相当する組成からなるNi基耐熱合金粉末が、積層造形用粉末として既に適用されており、主として、耐熱性が要求される航空機用の複雑形状の部材の製作に供されている。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 特公平7-47989号公報
特許文献2 : 特開2010-1558号公報
特許文献3 : 米国特許第3046108号明細書

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 半導体製造技術においてプロセスガスとして使用されるハロゲン系ガスは、超高純度化されたものが使用されているが、半導体チップの配線幅が微細になるに従い、コンタミの管理が格段に厳しく問われるようになった。
 このため、半導体製造装置用部材としては、前記特許文献2で提案されているような耐食性にすぐれたNi基耐食合金で作製することが望まれる。
 さらに、半導体製造装置の高度化に伴い、それらを構成する部材・部品の設計が複雑さを増し、特に外表面側の形状のみならず、直接ガスに接する内面側の形状付与も要求されるようになってきているため、型鍛造や機械加工では製作可能な範囲を超えた要求がもたらされている。
 そのため、耐食性にすぐれ、かつ、複雑形状の付与が可能となる積層造形に適したNi基耐食合金粉末が強く求められるとともに、このNi基耐食合金粉末を用いた積層造形品の開発が強く要望されている。
 特に、半導体製造装置用部材として用いられる積層造形品用のNi基耐食合金粉末に関しては、それを積層造形品としたときに、耐食性に優れること、欠陥が極めて少ないことが求められる。

課題を解決するための手段

[0010]
 そこで、本発明者らは、かかる課題を解決し、所定の特性を有する積層造形を可能にするNi基耐食合金粉末およびこの粉末を用いた積層造形品について鋭意研究を行った結果、以下の知見を得たのである。
 即ち、質量%で、Cr;14.5~24.0%と、Mo;12.0~23.0%と、Fe;0.01~7.00%と、Co;0.001~2.500%と、Mg;0.0001~0.0050%と、N;0.001~0.040%と、Mn;0.005~0.50%と、Si;0.001~0.200%と、Al;0.01~0.50%と、Ti;0.001~0.500%と、Cu;0.001~0.25%と、V;0.001~0.300と、B;0.0001~0.0050%と、Zr;0.0001~0.0100%と、O;0.0010~0.0300%を含有せしめ、さらに、必要に応じて、Ta;1.0超~2.5%、W;2.0~5.0%のいずれかを含有せしめ、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含有されるC、SおよびPを、C;0.05%未満、S;0.01%未満、P;0.01%未満に低減したNi基耐食合金粉末、好ましくはその粒径が5~100μm、さらに好ましくはその粒径が20~80μmのNi基耐食合金粉末は、積層造形した際の欠陥発生が極めて少ないなどの積層造形性に優れ、さらに、積層造形によって製作した積層造形品(例えば、半導体製造装置用部材等)は、湿潤環境下においても、Cl ,HBr,NF 等の半導体プロセスガス環境下においても、すぐれた耐食性を示すことを見出したのである。

発明の効果

[0011]
 この発明の積層造形用Ni基耐食合金粉末を用いて、積層造形により半導体製造装置用部材を製作した場合には、欠陥がなく、かつ、高耐食性の積層造形品からなる半導体製造装置用部材を製作し得るため、半導体製造装置用部材のデザインの自由度が格段に増し、半導体製造装置の高度化を実現できるようになり、産業上、優れた効果がもたらされる。

発明を実施するための形態

[0012]
 以下に、この発明のNi基耐食合金粉末の成分組成及び粉末粒径の限定理由について詳述する。
[0013]
Cr:
 Crは、HCl,Cl ,HF,F ,NF ,ClF およびHBrなどのハロゲン系ガスに対して、耐食性を向上させる効果がある。特に、半導体製造装置部材が、開放時に一旦外気に触れた際に、金属表面に大気起源の水分が吸着し、吸着した水分とハロゲン系プロセスガスが水和し、電気化学的腐食が発生する。水和した酸に対して、Crは特に比較的濃度が希薄な領域でその耐食性を発揮する。その場合、Crは14.5%以上含有することが必要であるが、24.0%を超えて含有するとMoとの組み合わせにおいて、積層造形時に相安定性を損ない単一相維持が困難となり、粗大なμ相を形成してしまい耐食性劣化をもたらすので、その含有量を14.5%~24.5%とした。
 好ましいCrの上限は、22.5%であり、さらに好ましくは20.5%である。また、好ましいCrの下限は、15.0%であり、さらに好ましくは18.0%である。
[0014]
Mo:
 Moは、HCl,Cl ,HF,F ,NF ,ClF およびHBrなどのハロゲン系ガスに対して、耐食性を向上させる効果がある。特に、半導体製造装置部材が、開放時に一旦外気に触れた際に、金属表面に大気起源の水分が吸着し、吸着した水分とハロゲン系プロセスガスが水和し、電気化学的腐食が発生する。水和した酸に対して、Moは特に中~高濃度領域でその耐食性を発揮する。その場合、Moは12.0%以上含有することが必要であるが、23.0%を超えて含有すると、Moは高温における酸化性が劣るため、ガスアトマイズ法によって粉末を製造する際に、個々の粉末表面に形成される酸化膜が厚くなり、その粉末を用いて製造された積層造形品に酸化物起因の欠陥が顕在化してくため好ましくない。そのため、その含有量を12.0%~23.0%とした。
 好ましいMoの上限は、20.5%であり、さらに好ましくは19.5%である。また、好ましいMoの下限は、14.0%であり、さらに好ましくは16.0%である。
[0015]
FeおよびCo:
 FeおよびCoは、Niよりも融点が高く、溶湯粘度を高める効果がある。粉末の製造は、例えば、雰囲気ガス中、溶湯を霧吹き状に吹いて急冷させることで得られる。FeおよびCoを添加することにより、粉末を製造する際に、粒径制御が容易になるとともに、積層造形が困難となりやすい微粉(粒径5μm未満)の生成を抑制できる。その場合、Feは0.01%以上含有することが必要であるが、7.00%を超えて含有すると水和した酸に対して耐食性劣化をもたらすので、その含有量を0.01%~7.00%とした。
 好ましいFeの上限は、5.50%であり、さらに好ましくは1.00%である。また、好ましいFeの下限は、0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。
 同様に、Coは0.001%以上含有することが必要であるが、2.500%を超えて含有すると、積層造形時における粉末の凝固の際のミクロレベルでの引け巣に起因した欠陥が顕在化してくるので好ましくない。そのため、Coの含有量を0.001~2.500%とした。
 好ましいCoの上限は、1.000%であり、さらに好ましくは0.500%である。また、好ましいCoの下限は、0.005%であり、さらに好ましくは0.010%である。
[0016]
N、MnおよびMg:
 N、MnおよびMgを共存させることにより、ミクロ偏析を抑制する効果がある。積層造形する際、個々の粉末はレーザーにより瞬間的に溶湯となり、一方、比較的急冷で凝固することにより造形される。この時に、ミクロ偏析が生じる懸念がある。ミクロ偏析が生じることにより、Cr,Mo等の耐食性を発揮する元素の希薄領域が形成され、この希薄領域に耐食性が支配されるので、ミクロ偏析はできるだけ抑制されなければならない。N、MnおよびMgは母相であるNi-fcc相を安定化させ、CrおよびMoの固溶化を促進する効果があるため、結果として、急冷凝固時のミクロ偏析の発生を抑制する。
 しかし、Nの含有量が0.001%未満では、積層造形時にミクロ偏析を抑制する効果は無く、一方0.040%を超えて含有すると窒化物を形成し、積層造形品に欠陥が増大する原因となるため、その含有量を0.001%~0.040%とした。
 好ましいNの上限は、0.030%であり、さらに好ましくは0.020%である。また、好ましいNの下限は、0.003%であり、さらに好ましくは0.005%である。
 同様に、Mnの含有量が0.005%未満では、積層造形時にミクロ偏析を抑制する効果は無く、一方0.50%を超えて含有すると、逆にミクロ偏析を促進するようになり、積層造形品の耐食性を劣化させる傾向となるため、その含有量を0.005%~0.50%とした。
 好ましいMnの上限は、0.40%であり、さらに好ましくは0.35%である。また、好ましいMnの下限は、0.006%であり、さらに好ましくは0.007%である。
 同様に、Mgの含有量が0.0001%未満では、積層造形時にミクロ偏析を抑制する効果は無く、したがって積層造形品の耐食性を劣化させる傾向が現れる、一方0.0050%を超えて含有すると、逆にミクロ偏析を促進するようになり、積層造形品の耐食性を劣化させる傾向となるため、その含有量を0.0001%~0.0050%とした。
 好ましいMgの上限は、0.0030%であり、さらに好ましくは0.0020%である。また、好ましいMgの下限は、0.0003%であり、さらに好ましくは0.0005%である。
 なお、これら前記の3元素の効果はそれぞれ等価ではなく、3元素が同時に所定の範囲で含有されていない場合には、ミクロ偏析を抑制する効果が無いことを確認している。
[0017]
Si,AlおよびTi:
 Si,AlおよびTiは、それぞれ脱酸剤として添加することにより、合金内の清浄度を高める効果がある。これにより、積層造形時に粉と粉の接合が滑らかとなり、結果、積層造形品の欠陥が抑制される。
 Siは、0.001%以上含有することで、その効果を示すが、0.200%を超えて含有すると、粒界中に偏析し耐食性が劣化する傾向が現れるため、Siの含有量を0.001%~0.200%とした。
 好ましいSiの上限は、0.100%であり、さらに好ましくは0.010%未満である。また、好ましいSiの下限は、0.002%であり、さらに好ましくは0.005%である。
 同様に、Alを0.01%以上含有することで、合金内の清浄効果を示すが、0.5%を超えて含有すると、積層造形時の酸化物形成が顕在化し、積層造形品の欠陥が増大する。そのため、Alの含有量を0.01%~0.50%とした。
 好ましいAlの上限は、0.40%であり、さらに好ましくは0.30%である。また、好ましいAlの下限は、0.03%であり、さらに好ましくは0.05%である。
 同様に、Tiを0.001%以上含有することで、合金内の清浄効果を示すが、0.500%を超えて含有すると、積層造形時の酸化物形成が顕在化し、積層造形品の欠陥が増大する。そのため、Tiの含有量を0.001%~0.500%とした。
 好ましいTiの上限は、0.200%であり、さらに好ましくは0.100%である。また、好ましいTiの下限は、0.003%であり、さらに好ましくは0.005%である。
[0018]
Cu:
 Cuは、塩酸やフッ酸などの還元性の湿潤腐食環境で耐食性を向上させる効果がある。そのため、プロセスガスと金属表面に吸着した水分にて形成される電気化学腐食に対して有効となる。Cuを0.001%以上含有することで、効果を示すが、0.25%を超えて含有すると製造した粉末表面の酸化物が積層造形品の欠陥を顕在化させてしまうため、Cuの含有量を0.001%~0.250%とした。
 好ましいCuの上限は、0.100%であり、さらに好ましくは0.010%である。また、好ましいCuの下限は、0.002%であり、さらに好ましくは0.005%である。
[0019]
V:
 Vは、粉末を溶湯から霧吹き状に製造する際に粗大な径の粉末が生成されることを抑制する効果がある。大き過ぎる径の粉末は、積層造形の際に粒子間の隙間が大きくなることで、欠陥が顕在化してしまうため好ましくない。そのため、粉末を分級する際に除かれるが、その収率(粉末歩留まり)が低下するため、工業生産上の課題となる。Vを0.001%以上添加しなければ、粗大粉末の抑制効果が得られないが、0.300%を超えて含有すると、逆に微粉化が進行し、これも必要な粒径の収率(粉末歩留まり)を低下させることとなるために好ましくない。そのため、Vの含有量を0.001%~0.300%とした。
 好ましいVの上限は、0.200%であり、さらに好ましくは0.100%である。また、好ましいVの下限は、0.003%であり、さらに好ましくは0.005%である。
[0020]
BおよびZr:
 BおよびZrは、それぞれ凝固過程で核となり引け巣発生防止に効果がある。積層造形物を成形する際に、個々の粉末が溶解凝固していく過程が繰り返されるが、凝固過程で引け巣が発生すると、それら欠陥がパーティクルの発生源となるために半導体製造装置用の部材や部品として用いる積層造形物としては不適となってしまう。
 Bを0.0001%以上含有することで、引け巣発生防止効果を示すが、0.0050%を超えて含有すると、粒界中に偏析し耐食性が劣化する傾向が現れるため、Bの含有量を0.0001%~0.0050%とした。
 好ましいBの上限は、0.0040%であり、さらに好ましくは0.0030%未満である。また、好ましいBの下限は、0.0002%であり、さらに好ましくは0.0005%である。
 同様に、Zrを0.0001%以上含有することで、引け巣発生防止効果を示すが、0.0100%を超えて含有すると、Bと同様に粒界中に偏析し耐食性が劣化する傾向が現れるため、Zrの含有量を0.0001%~0.0100%とした。
 好ましいZrの上限は、0.0080%であり、さらに好ましくは0.0060%である。また、好ましいZrの下限は、0.0005%であり、さらに好ましくは0.0008%である。
 なお、これら前記の2元素の効果はそれぞれ等価ではなく、2元素が同時に所定の範囲で含有されていない場合には、引け巣発生を防止する効果が無いことを確認している。
[0021]
O:
 Oは、粉末製造時の溶湯霧吹き工程で凝固直後の高温状態で、主にCrと瞬時に結びつき、粉末表面に極薄く強固な酸化皮膜を形成することで、それ以上の酸化の進行が抑制される効果がある。これにより、積層造形品に異物として混入してしまう粉末起源の酸化物の量は極めて低く抑制される。Oを0.0010%以上含有することで、その効果を示すが、0.0300%を超えて含有すると粉末表面の酸化物が積層造形品の欠陥を顕在化させてしまうこととなるため、Oの含有量を0.0010%~0.0300%とした。
 好ましいOの上限は、0.0200%であり、さらに好ましくは0.0100%である。また、好ましいOの下限は、0.0020%であり、さらに好ましくは0.0050%である。
[0022]
Ta:
 Taは、還元性・酸化性酸での耐食性や、孔食やすきま腐食に対する耐食性を改善する効果があるため、必要に応じて添加するが、1.0%を超えて含有することにより、耐食性を著しく改善する効果が発揮されるが、2.5%を超えて含有すると、粉末製造時に粉末表面に形成される酸化量が増大し、それにより積層品の欠陥が顕在化するため、その含有量を1.0%超~2.5%とした。
 好ましいTaの上限は、2.3%であり、さらに好ましくは2.2%である。また、好ましいTaの下限は、1.1%であり、さらに好ましくは1.2%である。
[0023]
W:
 Wは、Moと同様に還元性酸に対する耐食性を向上させる効果があると同時に、融点を高めることで溶湯の粘度を高め粉末を製造する際に、粒径制御が容易になるとともに、積層造形が困難となりやすい微粉(粒径5μm未満)の生成を抑制できるため、必要に応じて添加するが、その効果を得るには、2.0%以上の添加を必要とする。しかし、5.0%を超えて含有すると融点が必要以上に高くなるため、粉末が粗大化する傾向となり、適正な粉末径を分級する収率(粉末歩留まり)が落ちるため好ましくないので、その含有量を2%~5%とした。
 好ましいWの上限は、4.9%であり、さらに好ましくは4.5%である。また、好ましいWの下限は、2.2%であり、さらに好ましくは2.5%である。
[0024]
不可避不純物:
 不可避不純物として、Cは、結晶粒界近傍でCrと炭化物を形成し、耐食性の劣化を増大させる。そのため、C;0.05%未満とした。また、SやPは粒界に偏析し、高温割れの原因となるため、0.01%未満に抑制しなければならない。
 また、これら不可避不純物の含有量は少ないほうが好ましく、0%であっても良い。
[0025]
粉末粒径
 積層造形は、個々の粉末について溶融・凝固を繰り返すことにより形状付与をしていく造形法であるが、Ni基耐食合金粉末の粒径が5μm未満だと1回の溶融凝固に必要な容積が得にくくなるため、健全な積層造形品が得にくい。一方、Ni基耐食合金粉末の粒径が100μmを超えると、1回の溶融凝固に必要な容積が大き過ぎ、健全な積層造形品が得にくい。
 したがって、Ni基耐食合金粉末の粒径は、5~100μmとするのが好ましい。より好ましくは、20~80μmである。
 なお、球形形状が得られるガスアトマイズ法で得られた粉末が好ましい。また、粉末の粒径については、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定した。
[0026]
 本発明の積層造形用Ni基耐食合金粉末の成分組成は、以下の測定手法により求めることができる。
 後記実施例でも述べるように、分級後の積層造形用の粉末を適切な水溶液中で溶解し、この水溶液を高周波誘導結合プラズマ(ICP)分析することにより、所定の成分の含有量を測定した。
 なお、C、S、N、Oについては、燃焼法によるガス分析を行って、その含有量を求めた。
[0027]
 本発明では、積層造形装置、例えば、図1に示す粉末床溶融結合方式(Powder Bed Fusion法。)の積層造形装置に、本発明の積層造形用Ni基耐食合金粉末を供給し、粉末を敷いた領域にレーザ、電子ビーム等の高エネルギーを照射して、合金粉末を選択的に溶融結合させることによって、所望形状の造形品を積層造形することができる。
 本発明の積層造形用Ni基耐食合金粉末を用いた積層造形によって、欠陥が極めて少なく、湿潤環境下あるいは半導体プロセスガス環境下においてすぐれた耐食性を示すハロゲンガスおよびハロゲン化合物ガス充填用ボンベのバルブ部材、マスフローメーター内の接ガス部材、ガスブロック部材、ガス継手等の半導体製造装置用部材を得ることができる。
 なお、積層造形装置としては、図1に示すものばかりではなく、積層造形品の形状等に応じて、図2に示す指向性エネルギー堆積方式(Directed energy deposiion法。)の積層造形装置等を使用することもでき、積層造形装置の型式等については特に制限されるものではない。

図面の簡単な説明

[0028]
[図1] 粉末床溶融結合方式(Powder Bed Fusion法。)として知られている積層造形装置の概略図を示す。
[図2] 指向性エネルギー堆積方式(Directed energy deposiion法。)として知られている積層造形装置の概略図を示す。
[0029]
 次に、本発明の実施例について説明する。

実施例

[0030]
 高純度溶解原料を準備し、通常の高周波真空溶解炉を用いて溶解し、母合金をそれぞれ約10kg作製し、アルゴン雰囲気中、ガスアトマイズ法を用いて、表1、表2に示される成分組成を有する本発明積層造形用Ni基耐食合金粉末を得るための素粉末を製造した。
 同様の方法で、表3、表4に示される成分組成を有する比較積層造形用Ni基耐食合金粉末を得るための素粉末を製造した。
 上記で得たガスアトマイズしたままのそれぞれの素粉末を、複数のふるいを用いて、積層造形用の粒径20~80μmの粉末とそれ以外の粉末に分級した。
 なお、積層造形用Ni基耐食合金粉末としての従来品は存在しない。
[0031]
[表1]


[0032]
[表2]


[0033]
[表3]


[0034]
[表4]


[0035]
粉末歩留まり(%):
 分級して得た積層造形用の粒径20~80μmの粉末について、その粉末歩留まり(%)を、(粒径20~80μmの粉末の質量)×100/(ガスアトマイズしたままの粉末の質量)の値として求めた。
 表5および表6に、粉末歩留まり(%)の値を示す。なお、分級前に粒度分布を測定したが、歩留まりに優れた粉末については、5μm未満の粉末の割合が10%以下というもので、組成の調整により5μm以上の粉末の割合が高かった。
 また、これらの分級した粒径20~80μmの粉末をもって、それぞれ、本発明積層造形用Ni基耐食合金粉末(以下、「本発明合金粉末」という)1~40および比較積層造形用Ni基耐食合金粉末(以下、「比較合金粉末」という)1~30とした。
[0036]
 次に、図1に示す粉末床溶融結合方式(PowderBed Fusion法。)の積層造形装置により、本発明合金粉末1~40および比較合金粉末1~30を用いて、評価用積層造形品としての板材(30×30×5mm)を、各粉末につきそれぞれ10枚ずつ製作した。
 これら評価用積層造形品としての板材(30×30×5mm)について、以下の評価を行った。
[0037]
欠陥率(面積%)の測定:
 評価用積層造形品としての板材(30×30×5mm)の断面を切断し、樹脂に埋め込み、耐水エメリー紙で#1500まで研磨後、さらに粒径1μmのダイヤモンドペーストにて研磨し、鏡面仕上げ面とした。
 上記鏡面仕上げ面を光学顕微鏡にて観察し、1mm×1mmの範囲内にある欠陥(空孔、巣)を画像解析により特定し、その面積比率を欠陥率(面積%)として求めた。
 なお、解像度は1024x1280pixelで、画像解析ソフトにより、二値化処理をし、8pixel以上の黒色部分を欠陥とした。
 表5および表6に、欠陥率(面積%)の値を示す。
[0038]
湿潤環境における耐食性評価:
 評価用積層造形品としての板材(30×30×5mm)の表面を研磨し、最終的に耐水エメリー紙#400仕上げとした。その後、電解研磨をし、研磨後の試料をアセトン中超音波振動状態に5分間保持し脱脂することにより、腐食試験片を作成した。
 これら腐食試験片を用いて、沸騰した1%HCl,35%HCl中で24時間の腐食試験を実施した。
 その試験前後の重量減少量を測定することにより、試験前表面積と試験期間から腐食速度(mm/year)を算出した。
 表5および表6に、その結果を示す。
[0039]
半導体プロセスガスに対する耐食性評価:
 評価用積層造形品としての板材(30×30×5mm)の表面を研磨し、最終的に耐水エメリー紙#400仕上げとした。その後、電解研磨をし、研磨後の試料をアセトン中超音波振動状態に5分間保持し脱脂することにより、腐食試験片を作成した。
 これら腐食試験片を、Ni基合金(UNS N06022)製試験用小型チャンバー内に設置し、真空引き後、腐食ガス(Cl ,HBr,NF )をそれぞれ充填し、腐食ガスの種類に応じた所定の温度(Cl :250℃,HBr:250℃,NF :350℃)に24時間保持し、その後、室温まで冷却し、アルゴンガスに置換後、素早く真空デシケータに保管した。
 腐食試験片を、順次、SEM観察に供し、撮影した写真から島状に観察される腐食部分の面積率を画像解析により測定した。
 なお、解像度は1024x1280、倍率は500倍で、8ピクセル以上を腐食領域とした。
 表5および表6に、その結果を示す。
 なお、粉末歩留まりが低い場合や欠陥率が高い比較合金粉末については、腐食試験片は作成せず、耐食性評価も行わなかった。
[0040]
[表5]


[0041]
[表6]


[0042]
 表5、表6に示される結果からも明らかなように、本発明積層造形用Ni基耐食合金粉末は、製造歩留まり、その粉末を用いて製作した積層造形品の欠陥率、耐食性(湿潤環境・半導体プロセスガス)のいずれも、比較積層造形用Ni基耐食合金粉末およびその粉末を用いて製作した積層造形品に比べて優れていることが確認できた。

産業上の利用可能性

[0043]
 この発明のNi基耐食合金粉末は、積層造形用の原料粉末として用いることで、耐食性が優れ、かつ欠陥が極めて少ない積層造形品からなる半導体製造装置用部材を提供することが可能であるが、半導体製造装置用部材ばかりでなく、化学プラント、医薬品製造設備やオイル、ガス分野などの幅広い分野において、複雑形状の部材の積層造形用の耐食性金属粉末としての応用が期待される。

請求の範囲

[請求項1]
 質量%で、
Cr:14.5~24.0%,
Mo:12.0~23.0%,
Fe:0.01~7.00%,
Co:0.001~2.500%,
Mg:0.0001~0.0050%,
N:0.001~0.040%,
Mn:0.005~0.50%,
Si:0.001~0.200%,
Al:0.01~0.50%,
Ti:0.001~0.500%,
Cu:0.001~0.250%,
V:0.001~0.300%,
B:0.0001~0.0050%,
Zr:0.0001~0.0100%,
O:0.0010~0.0300%
を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、
 前記不可避不純物として含有されるC、SおよびPについては、それぞれの含有量を、C:0.05%未満、S:0.01%未満およびP:0.01%未満とした成分組成を有するNi基合金からなる積層造形用Ni基耐食合金粉末。
[請求項2]
 前記Ni基合金の前記成分組成が、Ta:1.0超~2.5%をさらに含有する請求項1に記載の積層造形用Ni基耐食合金粉末。
[請求項3]
 前記Ni基合金の前記成分組成が、W:2.0~5.0%をさらに含有する請求項1に記載の積層造形用Ni基耐食合金粉末。
[請求項4]
 前記積層造形用Ni基耐食合金粉末の粉末粒径が、5~100μmである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層造形用Ni基耐食合金粉末。
[請求項5]
 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層造形用Ni基耐食合金粉末を原料粉末とし、この原料粉末を積層造形する積層造形品の製造方法。
[請求項6]
 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層造形用Ni基耐食合金粉末を原料粉末とし、この原料粉末を積層造形する半導体製造装置用部材の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]