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1. (WO2019044733) POSITIVE ELECTRODE ACTIVE SUBSTANCE FOR ALL SOLID-STATE LITHIUM SECONDARY BATTERY
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明 細 書

発明の名称 全固体型リチウム二次電池用正極活物質

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010   0011  

課題を解決するための手段

0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116  

実施例

0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170  

請求の範囲

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図面

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明 細 書

発明の名称 : 全固体型リチウム二次電池用正極活物質

技術分野

[0001]
 本発明は、固体電解質を用いたリチウム二次電池(「全固体型リチウム二次電池」と称する)に好適に用いることができる正極活物質に関する。中でも、金属Li基準電位で4.5V以上の作動電位を有する5V級の正極活物質に関する。

背景技術

[0002]
 リチウム二次電池は、エネルギー密度が大きく、寿命が長いなどの特徴を有している。そのため、リチウム二次電池は、ビデオカメラ等の家電製品や、ノート型パソコン、携帯電話機等の携帯型電子機器、パワーツールなどの電動工具などの電源として広く用いられており、最近では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)などに搭載される大型電池へも応用されている。
[0003]
 リチウム二次電池は、充電時には正極からリチウムがイオンとして溶け出して負極へ移動して吸蔵され、放電時には逆に負極から正極へリチウムイオンが戻る構造の二次電池であり、その高いエネルギー密度は正極材料の電位に起因することが知られている。
[0004]
 この種のリチウム二次電池は、正極、負極、およびこの両電極に挟まれたイオン伝導層から構成されるのが一般的であり、当該イオン伝導層には、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔質フィルムからなるセパレータに非水系の電解液を満たしたものが一般的に用いられてきた。
 ところが、このように可燃性の有機電解液が使用されているため、揮発や漏出を防ぐための構造・材料での改善が必要であったほか、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善も必要であった。
[0005]
 これに対し、全固体型リチウム二次電池は、可燃性の有機電解液が必要ないため、安全装置の簡素化を図ることができ、しかも製造コストや生産性に優れたものとすることができるばかりか、セル内で直列に積層して高電圧化を図れるという特徴も有している。
 また、この種の固体電解質では、イオン以外は動かないため、アニオンの移動による副反応が生じないなど、安全性や耐久性の向上につながることが期待される。
[0006]
 全固体型リチウム二次電池に用いる固体電解質には、できるだけイオン導電率が高く、且つ化学的・電気化学的に安定であることが求められ、例えばハロゲン化リチウム、窒化リチウム、リチウム酸塩又はこれらの誘導体などがその材料候補として知られている。
[0007]
 ところで、全固体型リチウム二次電池に用いる固体電解質と正極活物質は、両者が反応することで高抵抗層を形成し、界面抵抗が大きくなるという課題を抱えていた。そこで界面を改良する提案が開示されている。
 例えば、全固体型リチウム二次電池に用いることができる正極活物質に関して、特許文献1においては、正極活物質の表面にLiNbO 被覆層を形成することが開示されていると共に、このような正極活物質を用いることにより、正極活物質と固体電解質との界面にリチウムイオン伝導性酸化物層を介在させて、全固体電池の出力特性を改善することができることが開示されている。 
[0008]
 また、特許文献2には、Li基準電位で4.5V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵放出する活物質粒子の表面に、LiNbO を含む被覆層を有する活物質粉体が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 国際公開第2007/4590号公報
特許文献2 : 特開2015-179616号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 前記特許文献2に開示されているように、Li基準電位で4.5V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵放出することができる正極活物質(「5V級正極活物質」と称する)の表面に、LiNbO などのリチウムイオン伝導性酸化物層を形成し、5V級正極活物質と固体電解質との界面にリチウムイオン伝導性酸化物層を介在させると、電池容量をさらに高めることができることが確認されている。
 ところが、5V級正極活物質の中でも、Li、Mn及びOとこれら以外の2種以上の元素とを含むスピネル型複合酸化物に関して検討してみたところ、例えばLiNbO などのリチウムイオン伝導性酸化物層を形成するだけでは、イオン伝導性を向上しつつ、抵抗を抑制することができず、レート特性、サイクル特性を改善することができないことが判明した。5V級正極活物質を用いた場合、活物質と固体電解質との間の界面抵抗増大が顕著になることが原因であると推定される。
[0011]
 そこで本発明は、Li、Mn及びOと、これら以外の2種以上の元素とを含むスピネル型複合酸化物からなる粒子の表面が、リチウムイオン伝導性酸化物で被覆されている正極活物質に関し、イオン伝導性を向上しつつ抵抗を抑制してレート特性、サイクル特性を改善することができる、新たな正極活物質を提供せんとするものである。その中でも特に、正極活物質と固体電解質との接触抵抗低減に着目し、放電時の作動電圧を高く維持することができる正極活物質を提供せんとするものである。

課題を解決するための手段

[0012]
 本発明は、Li、Mn及びOと、これら以外の2種以上の元素とを少なくとも含むスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物からなる粒子(「本コア粒子」とも称する)の表面が、Li、A(AはTi、Zr、Ta、Nb、Zn、W及びAlからなる群から選択される一種または二種以上の元素の組み合わせである。)及びOを含む非晶質化合物で被覆されており、かつ、本コア粒子の一次粒子が多結晶体からなる、金属Li基準電位で4.5V以上の作動電位を有する正極活物質であって、
 レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積粒度分布測定による正極活物質のD50、モード径及びD10(それぞれ「D50」「モード径」「D10」と称する)に関し、D50が0.5μm~9μmであり、モード径に対する、モード径とD50との差の絶対値の百分率((|モード径-D50|/モード径)×100)の値が0~25%であり、モード径に対する、モード径とD10との差の絶対値の百分率((|モード径-D10|/モード径)×100)の値が20~58%であり、かつ、 前記D50に対する、走査型電子顕微鏡(SEM)により得られるSEM画像より算出した正極活物質の平均一次粒子径の比率(平均一次粒子径/D50)が0.20~0.99であることを特徴とする、全固体型リチウム二次電池用正極活物質を提案する。
 ここで、上記の|モード径-D50|とは、(モード径-D50)の絶対値を意味し、|モード径-D10|とは、(モード径-D10)の絶対値を意味する(後に登場する場合も同様である。)
[0013]
 本発明はまた、本コア粒子の表面が、Li、A(AはTi、Zr、Ta、Nb、Zn、W及びAlからなる群から選択される一種または二種以上の元素の組み合わせである。)及びOを含む非晶質化合物で被覆されており、正極活物質の結晶子サイズが80nm~490nmであり、走査型電子顕微鏡(SEM)により得られるSEM画像より算出した正極活物質の平均一次粒子径に対する当該結晶子サイズの比率(結晶子サイズ/平均一次粒子径)が0.01~0.32である、金属Li基準電位で4.5V以上の作動電位を有する正極活物質であって、
 正極活物質のD50、モード径及びD10に関し、D50が0.5μm~9μmであり、モード径に対する、モード径とD50との差の絶対値の百分率((|モード径-D50|/モード径)×100)の値が0~25%であり、モード径に対する、モード径とD10との差の絶対値の百分率((|モード径-D10|/モード径)×100)の値が20~58%であり、前記D50に対する、前記正極活物質の平均一次粒子径の比率(平均一次粒子径/D50)が0.20~0.99であることを特徴とする、全固体型リチウム二次電池用正極活物質を提案する。

発明の効果

[0014]
 本発明が提案する全固体型リチウム二次電池用正極活物質は、リチウムイオン伝導性向上と抵抗抑制を両立させることができるとともに、正極活物質と固体電解質間の接触抵抗を減らすことができ、放電時の作動電圧を高く維持することができ、レート特性とサイクル特性の改善を有効に改善することができる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 実施例2で得られた、正極活物質(サンプル)すなわち表面被覆処理したスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物のレーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られた体積粒度分布である。
[図2] 同じく実施例2で得られた正極活物質(サンプル)の制限視野電子回折によるハローパターンの観察である。

発明を実施するための形態

[0016]
 次に、本発明を実施するための形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
[0017]
[本正極活物質]
 本発明の実施形態の一例に係る正極活物質は、固体電解質を用いた全固体型リチウム二次電池に用いる正極活物質であって、Li、Mn及びOと、これら以外の2種類以上の元素とを含むスピネル型複合酸化物からなる粒子(本コア粒子)の表面が、Li、A元素(AはTi、Zr、Ta、Nb、Zn、W及びAlからなる群から選択される一種または二種以上の元素の組み合わせである。)及びOを含む非晶質化合物(「本非晶質化合物」と称する)で被覆されてなる構成を備えた、金属Li基準電位で4.5V以上の作動電位を有する正極活物質(「本正極活物質」と称する)である。
[0018]
 この際、「金属Li基準電位で4.5V以上の作動電位を有する」とは、プラトー領域として4.5V以上の作動電位のみを有している必要はなく、4.5V以上の作動電位を一部有している場合も包含する意である。
 この観点から、プラトー領域として4.5V以上の作動電位を有する5V級正極活物質のみからなる正極活物質に限定するものではない。例えば、プラトー領域として4.5V未満の作動電位を有する正極活物質を含んでいてもよい。具体的には、当該5V級正極活物質が30質量%以上を占めていればよく、好ましくは50質量%以上、その中でも特に好ましくは80質量%以上(100質量%含む)を占める正極活物質を許容するものである。
[0019]
<本コア粒子>
 本コア粒子は、Li、Mn及びOと、これら以外の2種以上の元素とを含むスピネル型複合酸化物からなる粒子である。
[0020]
 上記の「これら以外の2種以上の元素」のうちの少なくとも1元素は、Ni、Co及びFeからなる群から選択される元素M1であればよく、他の1元素は、Na、Mg、Al、P、K、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、In、Ta、W、Re及びCeからなる群から選択される1種又は2種以上の組み合わせからなる元素M2であればよい。
[0021]
 本コア粒子の好ましい組成例として、LiMn 24-δにおけるMnサイトの一部を、Liと、金属元素M1と、他の金属元素M2とで置換してなる結晶構造を有するスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物を含むものを挙げることができる。
[0022]
 上記金属元素M1は、主に金属Li基準電位で4.5V以上の作動電位を発現させるのに寄与する置換元素であり、Ni、Co及びFeなどを挙げることができ、これらのうち少なくとも一種を含んでいればよく、中でもNi及びCoのうちの少なくとも1種類の元素を含んでいることが特に好ましい。
[0023]
 金属元素M2は、主に結晶構造を安定化させて特性を高めるのに寄与する置換元素であり、例えば容量維持率向上に寄与する置換元素として、例えばNa、Mg、Al、P、K、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、In、Ta、W、Re、Ceなどを挙げることができる。これらNa、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、In、Ta、W、Re及びCeからなる群から選択されるうちの少なくとも一種を含んでいればよく、M2として他の金属元素を含んでいてもよい。
 なお、構造中に含まれるM2金属元素はM1金属元素と異なる元素種である。
[0024]
 本コア粒子の組成一例として、式(1):Li (M1 M2 Mn 2-x-y-z)O 4-δで示されるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物を含むものを挙げることができる。式(1)におけるM1及びM2は上述のとおりである。
[0025]
 上記式(1)において、「x」は、1.00~1.20であればよく、中でも1.01以上或いは1.10以下、その中でも1.02以上或いは1.08以下であるのがより一層好ましい。
 M1の含有量を示す「y」は、0.20~1.20であればよく、中でも0.30以上或いは1.10以下、その中でも0.35以上或いは1.05以下であるのがより一層好ましい。
 M2の含有量を示す「z」は、0.001~0.400であればよく、中でも0.002以上或いは0.400以下、その中でも0.005以上或いは0.30以下、さらにその中でも0.10以上であるのがより一層好ましい。特に0.10以上とすることでより効果的にサイクル特性を向上させることができる。
[0026]
 本コア粒子の組成他例として、式(2):一般式[Li (Ni Mn 3-x-y-z)O 4-δ]で示されるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物を挙げることができる。
[0027]
 上記式(2)において、「x」は、1.00~1.20であればよく、中でも1.01以上或いは1.10以下、その中でも1.02以上或いは1.08以下であるのがより一層好ましい。
 上記式(2)において、「y」は、0.20~0.70であるのが好ましく、中でも0.30以上或いは0.60以下、その中でも0.35以上或いは0.55以下であるのがより一層好ましい。
[0028]
 上記式(2)において、Mは、Na、Mg、Al、P、K、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、In、Ta、W、Re及びCeからなる群から選ばれた1種であるか又は2種以上の元素の組み合わせであるのが好ましい。
 また、上記式(2)において、Mのモル比を示す「z」は、0より大きく且つ0.5以下であるのが好ましく、中でも0.01より大きく或いは0.45以下、その中でも0.05以上或いは0.40以下、さらにその中でも0.10以上或いは0.35以下であるのがより一層好ましい。特に0.10以上とすることでより効果的にサイクル特性を向上させることができる。
[0029]
 なお、上記各式における「4-δ」は、酸素欠損を含んでいてもよいことを示している。また、酸素の一部がフッ素又はその他の元素で置換されていてもよい。この際、δは0以上或いは0.2以下であるのが好ましく、その中でも0.1以下、その中でも0.05以下であるのがさらに好ましい。
[0030]
 本コア粒子は、上記のLi、Mn、M、M1、M2及びO以外の他の成分を含有してもよい。特にその他の元素をそれぞれ0.5重量%以下であれば含んでいてもよい。この程度の量であれば、本コア粒子の性能にほとんど影響しないと考えられるからである。
[0031]
 また、本コア粒子は、Bを含有してもよい。この際、Bの存在状態としては、スピネルの結晶相のほかに、Ni、Mn及びBを含む複合酸化物相を含有していてもよい。 Ni、Mn及びBを含む前記複合酸化物相としては、例えばNi 5MnO 4(BO 32の結晶相を挙げることができる。
 Ni 5MnO 4(BO 32の結晶相を含有することは、X線回折(XRD)により得られた回折パターンを、PDF(Powder Diffraction File)番号「01-079-1029」と照合することにより確認することができる。
 Ni、Mn及びBを含む前記複合酸化物は、本コア粒子の表面や粒界に存在しているものと推察される。
[0032]
 Ni、Mn及びBを含む前記複合酸化物相の含有量に関しては、本コア粒子中のB元素の含有量が0.02~0.80質量%となるように前記複合酸化物相を含有するのが好ましく、中でも0.05質量%以上或いは0.60質量%以下、その中でも0.30質量%以下、特に0.25質量%以下となるように前記複合酸化物相を含有するのがさらに好ましい。
 B元素の含有量が0.02質量%以上であれば、高温(例えば45℃)での放電容量を維持することができ、B元素の含有量が0.80質量%以下であればレート特性を維持することができるから、好ましい。
[0033]
 なお、本コア粒子を構成する複合酸化物がスピネル型構造であるか否かは、例えば、空間群Fd-3m(Origin Choice2)の立方晶の結晶構造モデルとフィッティングした際、観測強度と計算強度の一致の程度を表すRwp、Sの範囲がRwp<10またはS<2.5であれば、それがスピネル型構造であると確認することができる。
[0034]
 本コア粒子の一次粒子は、単結晶体ではなく、多結晶体であるのが好ましい。
 この際、単結晶体とは、一次粒子が一つの結晶子で構成されている粒子を意味し、多結晶体とは一次粒子内に複数の結晶子が存在している粒子であることを意味する。
[0035]
 本コア粒子が多結晶体であるか否かは、電子線後方散乱回折法(EBSD)により、一次粒子断面を観察することで確認することができる。多結晶体である場合は、一次粒子内に複数の方位を持つ結晶体が存在することを確認できる。
[0036]
<本非晶質化合物>
 本正極活物質は、上述のように、本コア粒子の表面が、Li、A元素(AはTi、Zr、Ta、Nb、Zn、W及びAlからなる群から選択される一種または二種以上の元素の組み合わせである。)及びOを含む本非晶質化合物で被覆されてなる構成を備えている。
[0037]
 本非晶質化合物は、本コア粒子の表面において、粒子として存在してもよいし、粒子が凝集してなる凝集粒子として存在してもよいし、層を形成して存在していてもよい。
 ここで、「層を形成して存在する」とは、本非晶質化合物が厚みをもって存在している状態を意味するものである。
[0038]
 また、本非晶質化合物は、本コア粒子の表面全体をほぼ被覆していれば、本コア粒子の表面の一部または部分的に本非晶質化合物が存在しない箇所があってもよい。ここで、本コア粒子の表面を本非晶質化合物が被覆していることは、例えば、電子顕微鏡を用いて本コア粒子の表面を観察することにより確認することができる。また、本コア粒子の表面を被覆する本非晶質化合物の厚みは均一でなくても構わない。
[0039]
 本非晶質化合物は非晶質であるのが好ましい。非晶質であることにより、本非晶質化合物が正極活物質と固体電解質の間の緩衝層として存在することになり、反応抵抗を低減することができる。
 本コア粒子の表面を被覆する化合物が、結晶質であるか非晶質であるかは、制限視野電子回折によりハローパターンが得られるかを確認することで判断することができる。ここで、ハローパターンとは、明瞭な回折ピークの無い低角でブロードな回折図形のことを示す。
[0040]
 本非晶質化合物は、Li、A元素(AはTi、Zr、Ta、Nb、Zn、W及びAlからなる群から選ばれた1種以上の元素)及びOを含むことが好ましい。
 本非晶質化合物の組成は、A元素がTa及びNbのうち、少なくとも1種の元素である場合、例えば、Li AO で示すことができる。典型的にはLiAO 、すなわち、x=1、且つy=3の組成を想定することができる。ただし、非晶質化合物であるため、式中のx、yは元素の価数に即した範囲内で任意の値をとることができる。中でも、A元素1モルに対して、Liが1モルより過剰に含まれている組成(1<x)であるのが特に好ましい。
[0041]
 前記非晶質化合物Li AO において、1<xを満足させる方法としては、A元素原料に対するリチウム原料の配合量を、生成が想定される組成、例えばLiAO の化学量論組成比よりもLiが過剰になるように配合する方法を挙げることができる。
 但しこの際、単にLiを過剰に添加しただけでは、本正極活物質の表面に、過剰分のLiに起因して炭酸リチウムが生成し、これが抵抗となって、かえってレート特性及びサイクル特性を悪化させる傾向がある。そのため、この点を考慮して、すなわち炭酸リチウムが生成するのを考慮して、非晶質化合物が所定の組成になるように、A元素原料配合量及びリチウム原料配合量を調整するのが好ましい。
[0042]
<本正極活物質>
 本正極活物質は、次のような特徴を有するのが好ましい。
[0043]
(結晶性)
 本正極活物質の一次粒子は、単結晶体ではなく、多結晶体であるのが好ましい。詳細に言えば、多結晶体である本コア粒子の表面に非晶質である本非晶質化合物が存在しているのが好ましい。
[0044]
 本正極活物質の一次粒子が単結晶体ではない、つまり多結晶体であるか否かは、平均一次粒子径に対する結晶サイズの比率(結晶子サイズ/平均一次粒子径)が0に近い、具体的には0より大きく、1より小さい範囲内であることを確認することでも、判断することができる。0に近いことで一次粒子内に結晶子が多く含まれることを示す。但し、この判断方法に限定するものではない。
[0045]
 ここで、本発明において「一次粒子」とは、SEM(走査電子顕微鏡、例えば500~5000倍)で観察した際、粒界によって囲まれた最も小さな単位の粒子を意味する。
 そして、平均一次粒子径は、SEM(走査電子顕微鏡、例えば500~5000倍)で観察して、任意に30個の一次粒子を選択し、画像解析ソフトを用いて、選ばれた一次粒子の粒子径を算出し、30個の一次粒子径を平均して求めることができる。
 他方、本発明において「二次粒子」とは、複数の一次粒子がそれぞれの外周(粒界)の一部を共有するようにして凝集し、他の粒子と孤立した粒子を意味するものである。
 そして、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布によるD50は、これら一次粒子及び二次粒子を含めた粒子の平均径の代替値としての意味を有する。
 また、「結晶子」とは、単結晶とみなせる最大の集まりを意味し、XRD測定し、リートベルト解析を行なうことにより求めることができる。
[0046]
(モード径)
 本正極活物質のモード径、すなわちレーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積粒度分布測定によるモード径は0.4μm~11μmであるのが好ましい。
 本正極活物質に関しては、モード径を上記範囲内とすることで、二次粒子内にLiが拡散するときの抵抗を小さくすることができ、その結果、放電時の作動電圧を高く維持させることができる。
 かかる観点から、本正極活物質の上記モード径は0.4μm~11μmであるのが好ましく、中でも1μm以上或いは10μm以下、その中でも特に2μm以上或いは9μm以下、さらにその中でも8μm未満であるのが特に好ましい。
[0047]
(D50)
 本正極活物質のD50、すなわちレーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積粒度分布測定によるD50は0.5μm~9μmであるのが好ましい。
 本正極活物質に関しては、D50を上記範囲とすることで、二次粒子内にLiが拡散するときの抵抗を小さくすることができ、その結果、放電時の作動電圧を高く維持させることができる。
 かかる観点から、本正極活物質のD50は、0.5μm~9μmであるのが好ましく、中でも0.6μm以上或いは8μm以下、その中でも1μmより大きい或いは8μm未満、その中でも特に2μmより大きい或いは7μm未満であるのがさらに好ましい。
[0048]
(|モード径-D50|/モード径)
 本正極活物質については、モード径に対する、モード径とD50との差の絶対値の百分率((|モード径-D50|/モード径)×100)の値が0~25%であるのが好ましい。
 モード径に対する、モード径とD50との差の絶対値の百分率((|モード径-D50|/モード径)×100)の値が25%以下であるということは、粒度分布が単峰型すなわち複数のピークを持たない分布であり、しかも、正規分布であるかそれに近い分布であることを示す。
 かかる観点から、本正極活物質については、モード径に対する、モード径とD50との差の絶対値の百分率((|モード径-D50|/モード径)×100)の値が0~25%であるのが好ましく、0%より大きい或いは20%未満、その中でも0.01%より大きい或いは17%未満、さらにその中でも0.05%より大きい或いは15%未満、さらにその中でも特に0.1%より大きい或いは10%以下であるのが特に好ましい。
[0049]
(D10)
 本正極活物質のD10、すなわちレーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積粒度分布測定によるD10は0.2μm~4.0μmであるのが好ましい。
 本正極活物質に関しては、D10を上記範囲に調整することにより、サイクル特性を改善することができる。
 かかる観点から、本正極活物質のD10は、0.2μm~4.0μmであるのが好ましく、中でも0.25μm以上或いは4.0μm未満、その中でも特に0.3μm以上或いは3.5μm未満であるのが特に好ましい。
[0050]
(|モード径-D10|/モード径)
 本正極活物質については、モード径に対する、モード径とD10との差の絶対値の百分率((|モード径-D10|/モード径)×100)の値が20~58%であるのが好ましい。
 モード径に対する、モード径とD10との差の絶対値の百分率((|モード径-D10|/モード径)×100)の値が20~58%であるということは、本正極活物質のモード径からD10までの分布の幅が狭いことを示す。
[0051]
 また、上記モード径に対する、モード径とD50との差の絶対値の百分率((|モード径-D50|/モード径)×100)を上記範囲に調整すること、又は、モード径に対する、モード径とD10との差の絶対値の百分率((|モード径-D10|/モード径)×100)の値を上記範囲にすることにより、粒度分布が正規分布且に近く、シャープな分布となる。つまり、一次粒子および二次粒子の大きさを均一化することができる。
 これは、粒度分布全体における微粉領域の割合を小さくすることができることを示している。微粉はサイクル特性に悪影響を及ぼすため、微粉の占める割合を小さくすることで、サイクル特性を改善することができる。
 かかる観点から、本正極活物質については、モード径に対する、モード径とD10との差の絶対値の百分率((|モード径-D10|/モード径)×100)の値が20~58%であるのが好ましく、中でも22%より大きい或いは56%未満、その中でも25%より大きい或いは52%未満、さらにその中でも30%より大きい或いは50%未満、その中でも特に35%より大きい或いは47%以下であるのが特に好ましい。
[0052]
(Dmin)
 本正極活物質のDmin、すなわちレーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積粒度分布測定によるDminは0.1μm~2.0μmであるのが好ましい。
 本正極活物質に関しては、Dminが上記範囲であれば、サイクル特性を向上させることができる。
 かかる観点から、本正極活物質のDminは0.1μm~2.0μmであるのが好ましく、中でも0.15μm以上或いは2.0μm未満、その中でも特に0.2μm以上或いは1.9μm未満、さらにその中でも0.6μmより大きい或いは1.8μm未満であるのが特に好ましい。
[0053]
 本正極活物質の二次粒子の粒度分布を上記のように調整するには、例えば焼成して粉砕すると共に該粉砕後に熱処理をすればよい。但し、かかる方法に限定するものではない。
[0054]
(平均一次粒子径)
 本正極活物質の平均一次粒子径、すなわちSEM画像より算出した平均一次粒子径は0.3~5.0μmであるのが好ましい。
 本正極活物質に関しては、平均一次粒子径を上記範囲にすることで、レート特性とサイクル特性の向上の両方を達成することができる。
 かかる観点から、本正極活物質の平均一次粒子径は0.3μm~5.0μmであるのが好ましく、中でも0.5μmより大きい或いは4.0μm未満、その中でも特に0.7μmより大きい或いは3.5μm未満、さらにその中でも0.9μmより大きい或いは3.0μm未満であるのが特に好ましい。
[0055]
(平均一次粒子径/D50)
 本正極活物質に関しては、上記D50に対する上記平均一次粒子径の比率(平均一次粒子径/D50)が0.20~0.99であるのが好ましい。
 平均一次粒子径/D50を上記範囲に規定することにより、一次粒子の分散性を高めることができる。そのため、二次粒子が粒度分布の半分以上を占める場合に比べて、一次粒子1つ1つが十分に固体電解質と接触することができる。これにより、Liと粒子との反応面積が増加するとともに、二次粒子内の一次粒子同士の界面における抵抗を減少させることができ、放電時の作動電圧を高く維持させることができる。
 かかる観点から、本正極活物質に平均一次粒子径/D50は0.20~0.99であるのが好ましく、中でも0.21以上或いは0.98以下、その中でも特に0.22以上或いは0.97以下であるのがより一層好ましい。
[0056]
 本正極活物質の平均一次粒子径を上記のように調整するには、焼成温度を調整したり、ホウ素化合物やフッ素化合物のように、焼成時の反応性を高める物質を添加して焼成したりして本正極活物質を製造するのが好ましい。但し、この方法に限定するものではない。
[0057]
(結晶子サイズ)
 本正極活物質に関しては、結晶子サイズが80nm~490nmであるのが好ましい。
 結晶子サイズを上記範囲に規定することにより、結晶子内のイオン導電性を高めることができ、抵抗を低減することができる。また、抵抗低減により、サイクル時の分極を抑えることができ、高温時における充放電の繰り返しに伴って徐々に放電容量が低下するのを抑制することができる。
 かかる観点から、本正極活物質の結晶子サイズは80nm~490nmであるのが好ましく、中でも81nm以上或いは350nm以下、その中でも特に82nm以上或いは250nm以下、さらにその中でも100nmより大きい或いは200nm未満であるのがより一層好ましい。
[0058]
 ここで、「結晶子」とは、単結晶とみなせる最大の集まりを意味し、XRD測定し、リートベルト解析を行うことにより求めることができる。
[0059]
(結晶子サイズ/平均一次粒子径)
 本正極活物質においては、結晶子サイズに対する平均一次粒子径の比率結晶子サイズ/平均一次粒子径は、0.01~0.32であるのが好ましい。
 上述のように、本正極活物質は多結晶体であるから、結晶子サイズ/平均一次粒子径は1未満の値となり、さらに上記の範囲であれば粉体中の一次粒子の分散性が良好となり、一次粒子と固体電解質との接触面積が増加するとともに、二次粒子内の一次粒子同士の界面における抵抗を減少させることができ、放電時の作動電圧を高く維持させることができる。
 かかる観点から、本正極活物質において、結晶子サイズ/平均一次粒子径は0.01~0.32であるのが好ましく、その中でも0.02より大きい或いは0.22未満、その中でも特に0.04より大きい或いは0.15未満であるのが特に好ましい。
 本正極活物質に関して、結晶子サイズを上記範囲に調整するには、焼成温度、焼成時間、反応性を高める助剤、焼成雰囲気、原料種などを調節するのが好ましい。但し、これらの方法に限定するものではない。
[0060]
(歪み)
 本正極活物質においては、粉末X線回装置(XRD)により測定される線回折パターンにおいて、リートベルト解析より得られる歪みの数値が0.00~0.35であるのが好ましい。
 この程度に歪みが少なければ、スピネル型リチウム遷移金属酸化物の骨格が充分に強固であるから、リチウム二次電池の正極活物質として使用した場合に、放電時の作動電圧を高く維持させることができるとともに、サイクル特性をさらに高めることができる。
 かかる観点から、本正極活物質の歪みは0.00~0.35であるのが好ましく、中でも0.30未満、その中でも0.25未満、その中でもさらに0.20未満、さらにその中でも0.15未満であるのがより一層好ましい。
[0061]
 本正極活物質の歪みを上記範囲にするには、好ましい条件で熱処理すればよい。但し、これらの方法に限定するものではない。
[0062]
(比表面積)
 本正極活物質の比表面積は、副反応を抑える観点から、0.4~6.0m /gであるのが好ましく、中でも0.5m /g以上或いは5.0m /g以下であるのがさらに好ましく、その中でも4.5m /g以下、その中でもさらに4.0m /g以下であるのがより一層好ましい。
[0063]
(表面組成)
 本コア粒子の表面が本非晶質化合物で被覆されてなる構成を備えた本正極活物質において、本正極活物質表面におけるLiとA元素との比率を所定範囲に制御することにより、リチウムイオン伝導性向上と抵抗抑制を両立することができる。また、正極活物質と固体電解質間の接触抵抗を低減することで、放電時の作動電圧を高く維持することができ、レート特性、サイクル特性も有効に改善することができる。
[0064]
 すなわち、X線光電子分光分析(XPS)によって得られる、本正極活物質(粒子)の表面におけるA元素含有量に対するLi含有量のmol比率(Li/A)が0.5~3.5であることが好ましい。中でも0.7より大きい或いは3.4以下、その中でも1.0より大きい或いは3.0未満、その中でも1.1より大きい或いは2.5未満、さらにその中でも1.2より大きい或いは2.1未満であるのが好ましい。
 ここで、前期mol比率(Li/A)は炭酸リチウム起因のLiも含めた値である。
[0065]
 本正極活物質の表面におけるLiとA元素との比率を上記範囲に制御するためには、前述したように、本正極活物質表面に生成する炭酸リチウム起因のLi分を考慮した上で、前期mol比率(Li/A)を前記範囲になるように、A元素原料配合量及びリチウム原料配合量を調整するのが好ましい。このようにすることで、レート特性及びサイクル特性を著しく改善できる。
[0066]
(炭酸イオン量:CO 2-量)
 本正極活物質の表面に存在する炭酸塩(炭酸リチウムや炭酸ナトリウムなど)の量が多いと抵抗となってリチウムイオン伝導性を低下させる可能性がある。そのため、炭酸塩由来と考えられる炭酸イオン量すなわちCO 2-量は、本正極活物質に対して2.5wt%未満であるのが好ましく、中でも1.5wt%未満、その中でも1.0wt%未満、さらにその中でも0.6wt%未満であるのがさらに好ましい。
 本正極活物質の表面に存在する炭酸イオン量を低下させるためには、例えば、酸素雰囲気下などの二酸化炭素を含まない雰囲気で焼成し、さらに好ましくは、超音波を照射しながら加水分解するのが好ましい。
[0067]
[本正極活物質の製造方法]
 本正極活物質は、例えば、リチウム原料、A元素原料を溶媒に溶解させた混合溶液に本コア粒子を加えた後、所定条件の下で乾燥、焼成することにより、本コア粒子に表面被覆処理を施して製造することができる。但し、かかる製造方法は好ましい一例であって、このような製造方法に限定するものではない。例えば、転動流動コーティング法(ゾルゲル法)、メカノフュージョン法、CVD法及びPVD法等でも、条件を調整することにより製造することは可能である。
[0068]
<本コア粒子の製造方法>
 本コア粒子の製造方法の一例として、原料混合工程、湿式粉砕工程、造粒工程、焼成工程、熱処理工程、洗浄・乾燥工程及び粉砕工程を備えた製造方法を挙げることができる。但し、かかる製造方法は好ましい一例であって、このような製造方法に限定するものではない。
[0069]
(原料)
 ここでは、式(1):[Li (M1 M2 Mn 2-x-y-z)O 4-δ]又は式(2):[Li (Ni Mn 2-x-y-z)O 4-δ]で示されるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物を含有するものを製造するための原料について説明する。但し、本発明の製造対象である本正極活物質は、上記式(1)(2)で示されるものに限定されるものではないから、原料は適宜変更可能である。
[0070]
 式(1):[Li (M1 M2 Mn 2-x-y-z)O 4-δ]又は式(2):[Li (Ni Mn 2-x-y-z)O 4-δ]で示されるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物を製造するための原料としては、リチウム原料、ニッケル原料、マンガン原料、M元素原料、M1元素原料、M2元素原料、その他例えばホウ素原料などを挙げることができる。
[0071]
 リチウム原料としては、例えば水酸化リチウム(LiOH, LiOH・H 2O)、炭酸リチウム(Li CO )、硝酸リチウム(LiNO 3)、酸化リチウム(Li 2O)、その他脂肪酸リチウムやリチウムハロゲン化物等を挙げることができる。
[0072]
 マンガン原料としては、例えば炭酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガン、二酸化マンガン、三酸化二マンガン、四酸化三マンガン等を挙げることができ、中でも炭酸マンガン、二酸化マンガンが好ましい。その中でも、電解法によって得られる電解二酸化マンガンが特に好ましい。
 M1元素原料、M2元素原料及びM元素原料としては、M元素の炭酸塩、硝酸塩、塩化物、オキシ水酸化塩、水酸化物、酸化物などを挙げることができる。
[0073]
 また、原料中にホウ素化合物を配合することもできる。
 ホウ素化合物としては、ホウ素(B元素)を含有する化合物であればよく、例えばホウ酸或いはホウ酸リチウムを使用するのが好ましい。ホウ酸リチウムとしては、例えばメタ硼酸リチウム(LiBO 2)、四硼酸リチウム(Li 247)、五硼酸リチウム(LiB 58)及び過硼酸リチウム(Li 225)等の各種形態のものを用いることが可能である。
 このようなホウ素化合物を配合すると、本コア粒子の結晶相のほかに、Ni、Mn及びBを含む前記複合酸化物相、例えばNi 5MnO 4(BO 32の結晶相が生じることがある。
[0074]
(原料混合工程)
 原料の混合は、原料を均一に混合できれば、その方法を特に限定するものではない。例えばミキサー等の公知の混合機を用いて各原料を同時又は適当な順序で加えて湿式又は乾式で攪拌混合して原料混合粉とすればよい。置換しにくい元素、例えばアルミニウムなどを添加する場合には湿式混合を採用するのが好ましい。
 乾式混合としては、例えば高速で該原料混合粉を回転させる精密混合機を使用した混合方法を例示することができる。
 他方、湿式混合としては、水や分散剤などの液媒体に上記原料混合粉を加えて湿式混合してスラリー化させる方法を挙げることができる。
[0075]
(湿式粉砕工程)
 湿式粉砕工程では、原料を水などの液媒体の存在下で粉砕すればよい。原料を混合する前に湿式粉砕することもできるし、原料混合後に湿式粉砕することもできる。
 原料混合後に湿式粉砕する場合は、上記のように、水や分散剤などの液媒体に上記原料混合粉を加えて湿式混合してスラリー化させた後、得られたスラリーを湿式粉砕機で粉砕すればよい。この際、特にサブミクロンオーダーまで粉砕するのが好ましい。サブミクロンオーダーまで粉砕した後、造粒及び焼成することにより、焼成反応前の各粒子の均一性を高めることができ、反応性を高めることができる。
 他方、原料を混合する前に湿式粉砕する場合には、上記各原料をそれぞれ湿式粉砕し、混合した後、必要に応じてさらに湿式粉砕すればよい。
 各原料をそれぞれ粉砕する場合には、原料混合時の均質性を高めるため、原料を混合する前に予め、Dmaxが大きい原料を先に粉砕しておくことが好ましい。例えばニッケル化合物のみ、または必要に応じてニッケル化合物とマンガン化合物を、粉砕及び分級して、ニッケル化合物やマンガン化合物の最大粒径(Dmax)が10μm以下、中でも5μm以下、その中でも4μm以下になるように調整するのが好ましい。
[0076]
(造粒工程)
 上記の如く混合した原料は、必要に応じて所定の大きさに造粒した後、焼成するのが好ましい。但し、必ずしも造粒しなくてもよい。
 造粒方法は、前工程で粉砕された各種原料が造粒粒子内で分散していれば、湿式でも乾式でもよく、押し出し造粒法、転動造粒法、流動造粒法、混合造粒法、噴霧乾燥造粒法、加圧成型造粒法、或いはロール等を用いたフレーク造粒法でもよい。但し、湿式造粒した場合には、焼成前に充分に乾燥させることが必要である。
[0077]
 乾燥方法としては、噴霧熱乾燥法、熱風乾燥法、真空乾燥法、フリーズドライ法などの公知の乾燥方法によって乾燥させればよく、中でも噴霧熱乾燥法が好ましい。噴霧熱乾燥法は、熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー)を用いて行なうのが好ましい。熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー)を用いて造粒することにより、粒度分布をよりシャープにすることができるばかりか、丸く凝集してなる凝集粒子(二次粒子)を含むように二次粒子の形態を調製することができる。
[0078]
(焼成工程)
 焼成は、焼成炉にて、大気雰囲気下、酸素分圧を調整した雰囲気下、或いは二酸化炭素ガス雰囲気下、或いはその他の雰囲気下において、750℃より高く1000℃以下の温度、中でも800~1000℃(:焼成炉内の焼成物に熱電対を接触させた場合の温度を意味する。)で0.5時間~300時間保持するように焼成するのが好ましい。この際、遷移金属が原子レベルで固溶し単一相を示す焼成条件を選択するのが好ましい。
[0079]
 一次粒子が小さいと、サイクル特性悪化の原因となる微粒が発生しやすくなる可能性があるため、焼成温度は、750℃より高く、中でも800℃以上、その中でも840℃以上で焼成することが好ましい。
 但し、焼成温度が高すぎると、酸素欠損が増大して熱処理によっても歪みを回復させることができなくなる可能性があるため、1000℃以下、中でも980℃以下で焼成するのが好ましい。
 なお、この焼成温度とは、焼成炉内の焼成物に熱電対を接触させて測定される焼成物の品温を意味する。
 焼成時間、すなわち上記焼成温度を保持する時間は、焼成温度にもよるが、0.5時間~100時間とすればよい。
[0080]
 焼成炉の種類は特に限定するものではない。例えばロータリーキルン、静置炉、その他の焼成炉を用いて焼成することができる。
[0081]
 なお、ホウ素化合物やフッ素化合物のように、焼成時の反応性を高める物質が共存する場合、低温でも比表面積を低下させることができる。そのような場合、焼成温度は750℃より高い温度で焼成することが好ましく、中でも800℃以上、その中でも特に820℃以上で焼成することがより好ましい。但し、焼成温度が高すぎると、酸素欠損が増大して熱処理によっても歪みを回復させることができなくなる可能性があるため、980℃以下で焼成するのが好ましく、中でも960℃以下で焼成するのがより好ましい。
[0082]
 他方、上記のような焼成時に反応性を高める物質が共存しない場合は、800℃より高温で焼成することが好ましく、中でも820℃以上、その中でも特に840℃以上で焼成することがより好ましい。但し、焼成温度が高すぎると、酸素欠損が増大して熱処理によっても歪みを回復させることができなくなる可能性があるため、1000℃以下で焼成するのが好ましく、中でも980℃以下で焼成するのがより好ましい。
[0083]
 上記焼成後、必要に応じて、解砕を行うのが好ましい。焼成後に焼結した塊などを解すことによって、後の熱処理工程において、粉体中に酸素を取り込ませやすくすることができ、酸素欠損の抑制および歪の低減が可能になる。なお、本工程において、解砕とは二次粒子を壊さないようにするのが好ましい。
[0084]
(熱処理工程)
 熱処理は、大気雰囲気下、酸素分圧を調整した雰囲気下、又は、その他の雰囲気下において、500℃~800℃、好ましくは700℃以上或いは800℃以下の環境下に0.5~300時間置き、酸素を取り込み易くするようにするのが好ましい。この際、700℃より低温であると、熱処理の効果が得られ難く、酸素を取り込めないおそれがある。その一方、800℃より高い温度で熱処理すると、酸素の脱離が始まり、本発明が目的とする効果を得られなくなってしまう。
[0085]
 上記熱処理は、必要に応じて、熱処理雰囲気を、処理雰囲気の全体圧力が、大気圧(0.1MPa)よりも大きい圧力、例えば0.19MPaよりも大きく、中でも0.20MPa以上の雰囲気としてもよい。
 但し、処理雰囲気の全体圧力が高すぎると、加圧炉の強度上の問題から製造が不安定となる可能性があるため、かかる観点からすると1.5MPa以下、中でも1.0MPa以下の雰囲気圧力で熱処理するのが好ましい。
 このような加圧状態で熱処理することで、より一層酸素を取り込み易くなり、酸素欠損をより一層抑えることができる。
[0086]
(解砕・分級工程)
 上記熱処理工程後、必要に応じて、解砕するのが好ましい。
 この際、解砕の程度は二次粒子を壊さないようにするのが好ましい。
 そして、解砕後は、分級するのが好ましい。
[0087]
(洗浄・乾燥工程)
 洗浄工程では、被処理物(「処理粉末」とも称する)を、極性溶媒と接触させて、処理粉末中に含まれる不純物を離脱させるように洗浄するのが好ましい。
 例えば、処理粉末を極性溶媒と混合し攪拌してスラリーとし、得られたスラリーをろ過などによって固液分離して不純物を除去するようにすればよい。この際、固液分離は後工程で行ってもよい。
 なお、スラリーとは、極性溶媒中に処理粉末が分散した状態を意味する。
[0088]
 洗浄に用いる極性溶媒としては、水を用いるのが好ましい。
 水としては、市水でもよいが、フィルターまたは湿式磁選機を通過させたイオン交換水や純水を用いるのが好ましい。
 水のpHは4~10であるのが好ましく、中でも5以上或いは9以下であるのがさらに好ましい。
[0089]
 洗浄時の液温に関しては、洗浄時の液温が低ければ電池特性がより良好になることが確認されているため、かかる観点から、5~70℃であるのが好ましく、中でも60℃以下であるのがより一層好ましく、その中でも特に45℃以下であるのがより一層好ましい。特に40℃以下であるのがより一層好ましい。さらには特に30℃以下であるのがより一層好ましい。
 洗浄時の液温が低ければ電池特性がより良好になる理由は、液温が高過ぎると、リチウムマンガン含有複合酸化物中のリチウムがイオン交換水のプロトンとイオン交換してリチウムが抜けて高温特性に影響するためであると推定することができる。
[0090]
 被処理物(処理粉末)と接触させる極性溶媒の量については、リチウムマンガン含有複合酸化物と極性溶媒の合計に対するリチウムマンガン含有複合酸化物の質量比(「スラリー濃度」とも称する)が10~70wt%となるように調整するのが好ましく、中でも20wt%以上或いは60wt%以下、その中でも30wt%以上或いは50wt%以下となるように調整するのがより一層好ましい。スラリー濃度が10wt%以上であれば、SO 4などの不純物を溶出させることが容易であり、逆に60wt%以下であれば、極性溶媒の量に見合った洗浄効果を得ることができる。
[0091]
 被処理物を洗浄する際は、洗浄液に投入して撹拌後、静置して上澄み液を除去すればよい。例えば、スピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物を洗浄液に投入して20分撹拌後、10分静置して上澄み液中に含まれるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物を除去するのが好ましい。このように上澄み液中に含まれるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物を除去することで、電池に構成された場合のサイクル特性悪化の原因となる不完全な結晶構造であるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物量を低下させることができる。
 固液分離により回収したスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物は300℃以上に加熱するなどして、水分を十分に除去するのが好ましい。
[0092]
(粉砕工程)
 粉砕工程では、気流式粉砕機や分級機構付衝突式粉砕機、例えばジェットミルや、分級ローター付カウンタージェットミルなどを用いて、粉砕するのが好ましい。ジェットミルによって粉砕すれば、一次粒子間の凝集や、焼結が弱かったりする部分を粉砕することができる。但し、ジェットミルに限定する訳ではなく、ピンミルや遊星ボールミルなどの粉砕機を用いることもできる。
[0093]
 ジェットミルの一例として分級ローター付のカウンタージェットミルを挙げることができる。カウンタージェットミルは、圧縮ガス流の衝突を利用した粉砕機として知られている。原料ホッパーよりミルに送り込まれた原料は、ノズルからの噴射エアーによって流動化される。この際、噴射エアーが一点に収束するように設置されているため、ジェット中に加速された粒子が相互にぶつかることで粒子を小さく粉砕することができる。
 カウンタージェットミルの分級機の回転数は7000rpm以上、中でも8000rpm以上或いは18000rpm以下、その中でも特に9000rpm以上或いは18000rpm以下にするのがさらに好ましい。
[0094]
(粉砕工程後の酸素含有雰囲気熱処理工程)
 上記粉砕工程後、必要に応じて、酸素含有雰囲気において熱処理してもよい。
 上記粉砕工程後に、酸素含有雰囲気において熱処理することによって、酸素を構造中に取り込ませることができ、さらに粉砕により生じた歪みを低減することができる。
[0095]
 粉砕工程後の酸素含有雰囲気熱処理工程では、処理雰囲気の全体圧力が大気圧もしくは大気圧よりも高い圧力であって、かつ、該雰囲気における酸素分圧が大気中の酸素分圧よりも高い処理雰囲気おいて、500℃より高く850℃より低い温度で熱処理するのが好ましい。
 このように酸素含有雰囲気で熱処理することにより、本コア粒子の構造中に酸素が取り込まれ、酸素欠損が低減し構造が安定化するため、たとえ上述のように高温焼成した場合や粉砕後であっても、構造中の歪除去ができ、抵抗低減及びサイクル特性を改善することができる。
 なお、大気圧よりも高い圧力雰囲気とは、密閉容器内を加熱して、一定容積内の気体を温度上昇させることで、圧力が上昇し、大気圧よりも高い圧力になる場合を含む。
[0096]
 ここで、上述した大気圧よりも高い圧力の雰囲気は、雰囲気の全体圧力が、大気圧(0.1MPa)よりも大きい圧力、例えば0.19MPaよりも大きく、中でも0.20MPa以上の雰囲気の圧力であるのが特に好ましい。但し、処理雰囲気の全体圧力が高すぎると、加圧炉の強度上の問題から製造が不安定となる可能性があるため、かかる観点からすると1.5MPa以下、中でも1.0MPa以下の雰囲気圧力で熱処理するのが好ましい。このように、酸素含有雰囲気加圧状態で熱処理することで、より一層酸素を取り込み易くなり、酸素欠損をより一層抑えることができる。かかる観点から、酸素含有雰囲気加圧熱処理時の雰囲気の全体圧力は0.19MPaより大きく、1.5MPa以下に制御するのが好ましく、中でも0.20MPa以上或いは1.3MPa以下、その中でも1.0MPa以下に制御するのが好ましい。
[0097]
 さらに、大気圧よりも高い圧力の雰囲気における雰囲気は、例えば0.19MPaより高い酸素分圧であるのが好ましく、中でも0.20MPa以上の酸素分圧であるのが特に好ましい。但し、該酸素分圧が高すぎると、加圧炉の強度上の問題から製造が不安定となる可能性があるため、かかる観点からすると1.5MPa以下、中でも1.0MPa以下の酸素分圧下で熱処理するのが好ましい。
 かかる観点から、粉砕後酸素含有雰囲気熱処理工程における酸素分圧は0.19MPaより大きく、1.5MPaに制御するのが好ましく、中でも0.20MPa以上或いは1.3MPa以下、その中でも1.0MPa以下に制御するのが好ましい。
[0098]
 粉砕工程後の酸素含有雰囲気熱処理工程での熱処理温度、すなわち保持温度は500℃より高く850℃より低い温度に制御するのが好ましい。
 本工程での熱処理温度が500℃より高ければ、酸素を強制的に供給しながら熱処理することにより、結晶構造中に酸素を取り込んで歪みを効果的に低減することができる。
 かかる観点から、熱処理温度は500℃より高温であることが好ましく、中でも550℃より高温、その中でも600℃より高温、その中でも620℃より高温であるのが特に好ましい。
 他方、熱処理温度が高すぎると、酸素欠損が増大して熱処理によっても歪みを回復させることができなくなる可能性があるため、熱処理温度は850℃より低温であることが好ましく、中でも820℃未満、その中でも800℃未満であるのが特に好ましい。
 なお、この熱処理温度とは、炉内の処理物に熱電対を接触させて測定される処理物の品温を意味する。
[0099]
 粉砕工程後の酸素含有雰囲気熱処理工程における好ましい条件の一例として、処理雰囲気の全体圧力が大気圧よりも高い圧力であって、且つ、0.19MPaより高い酸素分圧であり、500℃より高温であり且つ850℃より低温、中でも550℃より高温或いは850℃より低温、その中でも600℃より高温或いは800℃より低温の温度で酸素含有雰囲気加圧熱処理する条件を挙げることができる。
[0100]
 上記熱処理温度すなわち保持温度まで加熱する際の昇温速度は、0.1℃/min~20℃/minとするのが好ましく、中でも0.25℃/min以上或いは10℃/min以下、その中でも特に0.5℃/min以上或いは5℃/min以下とするのがさらに好ましい。
[0101]
 粉砕工程後の酸素含有雰囲気熱処理工程で、上記熱処理温度を保持する時間は、少なくとも1分間以上である必要がある。結晶構造内に酸素を十分に取り込ませるためには、少なくとも1分間は必要であると考えられる。かかる観点から、上記熱処理温度を保持する時間は、好ましくは5分以上、特に好ましくは10分以上である。また、熱処理により、結晶構造内に酸素を取りこませる効果は保持時間が200時間以下であれば十分効果があると考えられる。
[0102]
 熱処理後の降温速度は、少なくとも500℃までは10℃/min以下の冷却速度でゆっくり冷却するのが好ましく、特に0.1℃/min~8℃/min、中でも特に0.2℃/min~5℃/minに制御するのがさらに好ましい。
 500℃近辺で取り込んだ酸素が安定化すると考えられるため、少なくとも500℃まではゆっくり10℃/min以下の降温速度で冷却するのが好ましいと考えることができる。
[0103]
 このような粉砕工程後の酸素含有雰囲気熱処理工程での熱処理は、加圧炉(加圧可能圧力1.0MPa)のような装置を用いて加熱することにより、処理雰囲気の全体圧力が大気圧よりも高い圧力であって、かつ、該雰囲気における酸素分圧が大気中の酸素分圧よりも高い処理雰囲気において、加熱することができる。
[0104]
(解砕・分級工程)
 上記粉砕工程後の酸素含有雰囲気熱処理工程後、必要に応じて、解砕してもよい。
 この際、解砕の程度は一次粒子を崩壊させないようにするのが好ましい。
 そして、解砕後は、分級するのが好ましい。
[0105]
<表面被覆処理>
 前記のように作製した本コア粒子の表面を、Li、A元素及びOを含む本非晶質化合物で被覆させるためには、上述したように、例えばリチウム原料、A元素原料を溶媒に溶解させた混合溶液に本コア粒子粉末を加えて、所定条件下で乾燥、焼成すればよい。
[0106]
 より具体的には、Li量とA元素量との比率を所定範囲に調整したリチウム原料及びA元素原料を溶媒に撹拌溶解した後、これに本コア粒子粉体を投入するのが好ましい。
[0107]
 ここで、リチウム原料としては、例えば、リチウムアルコキシドもしくはリチウム塩等を挙げることができ、具体的には、リチウムエトキシド(C OLi)等を用いることができる。A元素原料としては、例えば、末端にOH基を有するもの、もしくは加水分解して水酸化物になるもの等を挙げることができ、具体的には、ペンタエトキシニオブ(Nb(C O) )等を用いることができる。
 溶媒としては、リチウム原料、A元素原料を溶解できる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、エタノール等を挙げることができる。なお、前記溶媒は、無水溶媒であることが好ましい。
[0108]
 リチウム原料としては、上記以外にLiOHやLi CO などの水溶性原料を使ったり、水溶性のA元素原料を使ったりすれば、水を溶媒として利用することも可能である。
[0109]
 なお、リチウム原料とA元素原料との比率は、XPSによって得られる、本正極活物質の表面におけるA元素に対するLiのmol比率(Li/A)が0.5~3.5となることを目的として調整するのが好ましい。
[0110]
 さらに、焼成は、正極活物質の表面に存在する炭酸リチウム量を低下させるために、例えば、酸素雰囲気下などの二酸化炭素を含まない雰囲気で焼成するのが好ましい。
 また、焼成温度に関しては、400℃以下の温度であれば、本コア粒子の表面を被覆する化合物を非晶質とすることができる。よって、かかる観点から、焼成温度は200℃より高温であって400℃以下の温度であるのが好ましく、中でも250℃より高温或いは400℃より低温、その中でも300℃より高温或いは350℃以下の温度であるのがさらに好ましい。
[0111]
[本正極活物質の用途]
 本正極活物質は、必要に応じて解砕・分級した後、固体電解質を用いた全固体型リチウム二次電池の正極活物質として有効に利用することができる。
 この際、本正極活物質のみを全固体型リチウム二次電池の正極活物質として使用してもよいし、また、本正極活物質と他の正極活物質、例えば本コア粒子からなる正極活物質や、他の組成の正極活物質、例えば、LiCoO 、LiNiO 、LiMn 、LiCo 1/3Ni 1/3Mn 1/3、LiCo 0.5Ni 0.5、LiNi 0.7Co 0.2Mn 0.1、Li(Li Mn 2xCo 1-3x)O (式中、0<x<1/3である)、LiFePO 、LiMn 1-zPO (式中、0<z≦0.1であい、MはCo、Ni、Fe、Mg、Zn及びCuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素である。)などの組成からなる正極活物質と混合して使用してもよい。
 但し、他の正極活物質と混合する場合、本正極活物質が50wt%以上を占めるように混合するのが好ましい。
[0112]
 全固体型リチウム二次電池の形状としては、例えば、ラミネート型、円筒型及び角形などを挙げることができる。
 例えば正極及び負極の間に固体電解質からなる層を形成することで、全固体型リチウム二次電池を構成することができ、ドライルームなどでも全固体型リチウム二次電池の組み立て作業を行うことができる。
[0113]
 固体電解質としては、例えばLi 7-xPS 6-x(Halogen) で表される化合物を挙げることができる(Halogenは第17族元素:ハロゲン元素を表す)。中でも、硫黄を含有する固体電解質、例えばリチウム、リン、硫黄及びハロゲンを含み、立方晶系Argyrodite型結晶構造を有する化合物からなる固体電解質を挙げることができる。
[0114]
 負極活物質としては、例えば人造黒鉛、天然黒鉛、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)などの炭素を含む負極活物質を挙げることができる。また、高容量材料として有望なケイ素や錫を活物質として使用することもできる。
[0115]
 このように構成したリチウム電池は、例えばノート型パソコン、携帯電話、コードレスフォン子機、ビデオムービー、液晶テレビ、電気シェーバー、携帯ラジオ、ヘッドホンステレオ、バックアップ電源、メモリーカード等の電子機器、ペースメーカー、補聴器等の医療機器、電気自動車搭載用の駆動電源に使用することができる。中でも、優れたサイクル特性が要求される携帯電話機、PDA(携帯情報端末)やノート型パソコンなどの各種携帯型コンピュータ、電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)、電力貯蔵用電源などの駆動用電源として特に有効である。
[0116]
[語句の説明]
 本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
 また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
実施例
[0117]
 次に、実施例及び比較例に基づいて、本発明について更に説明する。但し、本発明が以下に示す実施例に限定されるものではない。
[0118]
<実施例1>
 平均粒径(D50)7μmの炭酸リチウムと、平均粒径(D50)23μmで比表面積が40m 2/gの電解二酸化マンガンと、平均粒径(D50)22μmの水酸化ニッケルと、平均粒径(D50)2μmの酸化チタンと、平均粒径(D50)3μmの水酸化アルミニウムをそれぞれ秤量した。
 イオン交換水中へ、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩水溶液(サンノプコ(株)製 SNディスパーサント5468)を添加した。この際、分散剤の添加量は、前述のLi原料、Ni原料、Mn原料、Ti原料及びAl原料の合計に対して、6wt%になるようにし、イオン交換水中へ十分に溶解混合させた。そして、秤量しておいたNi、Mn、Al原料を、あらかじめ分散剤を溶解させた前記イオン交換水中へ加えて、混合撹拌して、続いて、湿式粉砕機で1300rpm、120分間粉砕して平均粒径(D50)を0.60μm以下の粉砕スラリーを得た。次いで、残りの原料を前記スラリー中に加えて、撹拌し、続いて1300rpm、120分間粉砕して平均粒径(D50)を0.60μm以下の粉砕スラリーを得た。この際の固形分濃度は40wt%とした。
 得られた粉砕スラリーを熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー、大川原化工機(株)製「RL-10」)を用いて造粒乾燥させた。この際、噴霧にはツインジェットノズルを用い、噴霧圧を0.46MPa、スラリー供給量340ml/min、乾燥塔の出口温度100~110℃となるように温度を調節して造粒乾燥を行なった。
[0119]
 得られた造粒粉を、静置式電気炉を用いて、大気雰囲気において、900℃を37時間保持するように焼成した後、解砕機(オリエント堅型粉砕機、オリエント粉砕機株式会社製)で解砕した。
 前記解砕後、静置式電気炉を用いて、大気雰囲気において、750℃を37時間保持するように熱処理(第1熱処理)し、解砕機(オリエント堅型粉砕機、オリエント粉砕機株式会社製)で解砕した。
 前記解砕後、pH6~7、温度25℃のイオン交換水2000mLを入れたプラスチックビーカー(容量5000mL)の中に投入し、攪拌機(プロペラ面積33cm )を用いて400~550rpmの回転で20分間撹拌した。撹拌後、撹拌を停止して攪拌機を水中から取り出し、10分間静置した。そして、デカンテーションにより上澄み液を除去し、残りについて吸引ろ過器(ろ紙No.131)を使用して沈降物を回収し、回収した沈降物を120℃環境下で12時間乾燥させた。その後、品温が500℃となるように加熱した状態で7時間乾燥させた。
[0120]
 そして、乾燥後、カウンタージェットミル(粉砕分級装置、ホソカワミクロン株式会社製)で解砕した(解砕条件:分級機回転数11000rpm)。その後、目開き53μmの篩で分級した。
[0121]
 その後、管状型静置炉にて酸素供給量0.5L/minにて流入させながら、炉設定温度を725℃として、5時間保持するように熱処理(第2熱処理)を実施した。
 第2熱処理後の粉体を目開き53μmの篩で分級し、篩下を回収してリチウムマンガン含有複合酸化物を得た。このリチウムマンガン含有複合酸化物は、後述するように、XRD測定で、スピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物であることを同定した。よって、このリチウムマンガン含有複合酸化物をスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物と称する。以後の実施例及び比較例についても同様である。
[0122]
 このスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物すなわちコア粒子の化学分析を実施したところ、Li:4.1wt%、Ni:13.6wt%、Mn:41.7wt%、Ti:5.4wt%、Al:0.01wt%であった。一次粒子の断面SEM写真からコア粒子が多結晶体であることを確認した。
 表1には、一般式[Li (M1 M2 Mn 2-x-y-z)O 4-δ](δ=0と仮定)で示した際の組成を示しており、M1は本実施例ではNiであり、置換元素種M2は本実施例ではTi、Alである。(以下の実施例及び比較例も同様)。
 なお、上記焼成時及び熱処理時の温度は、炉内の処理物に熱電対を接触させて測定した処理物の品温である。後述する実施例・比較例でも同じである。
[0123]
 そして、前記A元素をNbとして、リチウム原料としてリチウムエトキシド、Nb原料としてペンタエトキシニオブを使用した。
 所定量のリチウムエトキシドとペンタエトキシニオブの量を秤量し、これらをエタノールに加えて溶解させて、被覆用のゾルゲル溶液を調整した。この被覆用ゾルゲル溶液に前記スピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末を5g投入し、ロータリーエバポレーターを用いて、60℃で30分間加熱しながら超音波を照射して加水分解させた。その後、60℃を維持しながら30分かけて減圧して溶媒を除去した。溶媒除去後、常温下で16時間放置して乾燥させた。次に箱型の小型電気炉(光洋サーモシステム株式会社製)を用いて、大気雰囲気で350℃を5時間維持するように熱処理(第3熱処理)し、表面被覆処理したスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末すなわち正極活物質(サンプル)を得た。
[0124]
<実施例2>
 原料比率を変更し、Al原料を用いず、焼成温度を890℃変更し、リチウムエトキシドとペンタエトキシニオブの量を変更した以外は実施例1と同様にして、表面被覆処理したスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末すなわち正極活物質(サンプル)を得た。
[0125]
 なお、コア粒子であるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末の化学分析を実施したところ、Li:4.2wt%、Ni:13.2wt%、Mn:41.6wt%、Ti:5.0wt%であった。一次粒子の断面SEM写真からコア粒子が多結晶体であることを確認した。
[0126]
<実施例3>
 原料比率を変更し、リチウムエトキシドとペンタエトキシニオブの量を変更し、第3熱処理温度を330℃に変更した以外は実施例2と同様にして、表面被覆処理したスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末すなわち正極活物質(サンプル)を得た。
[0127]
 なお、コア粒子であるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末の化学分析を実施したところ、Li:4.1wt%、Ni:13.1wt%、Mn:39.3wt%、Ti:5.2wt%であった。一次粒子の断面SEM写真からコア粒子が多結晶体であることを確認した。
[0128]
<実施例4>
 原料比率を変更し、リチウムエトキシドとペンタエトキシニオブの量を変更した以外は実施例2と同様にして、表面被覆処理したスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末すなわち正極活物質(サンプル)を得た。
[0129]
 なお、コア粒子であるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末の化学分析を実施したところ、Li:4.1wt%、Ni:13.3wt%、Mn:42.7wt%、Ti:5.1wt%であった。一次粒子の断面SEM写真からコア粒子が多結晶体であることを確認した。
[0130]
<実施例5>
 原料比率を変更し、Al原料の代わりにCo原料として水酸化コバルトを用いて、焼成温度を890℃に変更し、リチウムエトキシドとペンタエトキシニオブの量を変更し、第3熱処理温度を360℃に変更した以外は実施例1と同様にして、表面被覆処理したスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末すなわち正極活物質(サンプル)を得た。
[0131]
 なお、コア粒子であるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末の化学分析を実施したところ、Li:4.1wt%、Ni:13.2wt%、Mn:42.3wt%、Ti:4.9wt%、Co:0.09wt%であった。一次粒子の断面SEM写真からコア粒子が多結晶体であることを確認した。
[0132]
<実施例6>
 原料比率を変更し、Al原料の代わりにMg原料として酸化マグネシウムを用い、焼成温度を890℃に変更し、リチウムエトキシドとペンタエトキシニオブの量を変更し、第3熱処理温度を370℃に変更した以外は実施例1と同様にして、表面被覆処理したスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末すなわち正極活物質(サンプル)を得た。
[0133]
 なお、コア粒子であるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末の化学分析を実施したところ、Li:4.1wt%、Ni:13.2wt%、Mn:41.8wt%、Ti:5.2wt%、Mg:0.002wt%であった。一次粒子の断面SEM写真からコア粒子が多結晶体であることを確認した。
[0134]
<実施例7>
 原料比率を変更し、焼成温度を880℃に変更し、リチウムエトキシドとペンタエトキシニオブの量を変更した以外は実施例2と同様にして、表面被覆処理したスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末すなわち正極活物質(サンプル)を得た。
[0135]
 なお、コア粒子であるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末の化学分析を実施したところ、Li:4.1wt%、Ni:13.3wt%、Mn:39.4wt%、Ti:5.2wt%であった。一次粒子の断面SEM写真からコア粒子が多結晶体であることを確認した。
[0136]
<実施例8>
 平均粒径(D50)7μmの炭酸リチウムと、平均粒径(D50)23μmで比表面積が40m 2/gの電解二酸化マンガンと、平均粒径(D50)22μmの水酸化ニッケルと、平均粒径(D50)2μmの酸化チタンと、平均粒径(D50)60μmの四ホウ酸リチウムをそれぞれ秤量した。
 イオン交換水中へ、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩水溶液(サンノプコ(株)製 SNディスパーサント5468)を添加した。この際、分散剤の添加量は、前述のLi原料、Ni原料、Mn原料、Ti原料及びB原料の合計に対して、6wt%になるようにし、イオン交換水中へ十分に溶解混合させた。そして、秤量しておいたNi、Mn原料を、あらかじめ分散剤を溶解させた前記イオン交換水中へ加えて、混合撹拌して、続いて、湿式粉砕機で1300rpm、120分間粉砕して平均粒径(D50)を0.60μm以下の粉砕スラリーを得た。次いで、残りの原料を前記スラリー中に加えて、撹拌し、続いて1300rpm、120分間粉砕して平均粒径(D50)を0.60μm以下の粉砕スラリーを得た。この際の固形分濃度は40wt%とした。
 得られた粉砕スラリーを熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー、大川原化工機(株)製「RL-10」)を用いて造粒乾燥させた。この際、噴霧にはツインジェットノズルを用い、噴霧圧を0.46MPa、スラリー供給量340ml/min、乾燥塔の出口温度100~110℃となるように温度を調節して造粒乾燥を行なった。
[0137]
 得られた造粒粉を、静置式電気炉を用いて、大気雰囲気において、880℃を37時間保持するように焼成した後、解砕機(オリエント堅型粉砕機、オリエント粉砕機株式会社製)で解砕した。
 前記解砕後、静置式電気炉を用いて、大気雰囲気において、750℃を37時間保持するように熱処理(第1熱処理)し、解砕機(オリエント堅型粉砕機、オリエント粉砕機株式会社製)で解砕した。
 前記解砕後、pH6~7、温度25℃のイオン交換水2000mLを入れたプラスチックビーカー(容量5000mL)の中に投入し、攪拌機(プロペラ面積33cm )を用いて400~550rpmの回転で20分間撹拌した。撹拌後、撹拌を停止して攪拌機を水中から取り出し、10分間静置した。そして、デカンテーションにより上澄み液を除去し、残りについて吸引ろ過器(ろ紙No.131)を使用して沈降物を回収し、回収した沈降物を120℃環境下で12時間乾燥させた。その後、品温が500℃となるように加熱した状態で7時間乾燥させた。
[0138]
 そして、乾燥後、カウンタージェットミル(粉砕分級装置、ホソカワミクロン株式会社製)で解砕した(解砕条件:分級機回転数11000rpm)。その後、目開き53μmの篩で分級した。
[0139]
 その後、管状型静置炉にて酸素供給量0.5L/minにて流入させながら、炉設定温度を725℃として、5時間保持するように熱処理(第2熱処理)を実施した。
 第2熱処理後の粉体を目開き53μmの篩で分級し、篩下を回収してスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末を得た。
[0140]
 このスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物すなわちコア粒子の化学分析を実施したところ、Li:3.9wt%、Ni:14.2wt%、Mn:42.6wt%、Ti:3.6wt%、B:0.1wt%であった。一次粒子の断面SEM写真からコア粒子が多結晶体であることを確認した。
[0141]
 そして、前記A元素をNbとして、リチウム原料してリチウムエトキシド、Nb原料としてペンタエトキシニオブを使用した。所定量のリチウムエトキシドとペンタエトキシニオブの量を秤量し、これらをエタノールに加えて溶解させて、被覆用のゾルゲル溶液を調整した。
 この被覆用ゾルゲル溶液に前記スピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末を5g投入し、ロータリーエバポレーターを用いて、60℃で30分間加熱しながら超音波を照射して加水分解させた。その後、60℃を維持しながら30分かけて減圧して溶媒を除去した。溶媒除去後、常温下で16時間放置して乾燥させた。次に箱型の小型電気炉(光洋サーモシステム株式会社製)を用いて、大気雰囲気で340℃を5時間維持するように熱処理(第3熱処理)し、表面被覆処理したスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末すなわち正極活物質(サンプル)を得た。
[0142]
<比較例1>
 平均粒径(D50)7μmの炭酸リチウムと、平均粒径(D50)23μmで比表面積が40m 2/gの電解二酸化マンガンと、平均粒径(D50)22μmの水酸化ニッケルとそれぞれ秤量した。
 イオン交換水中へ、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩水溶液(サンノプコ(株)製 SNディスパーサント5468)を添加した。この際、分散剤の添加量は、前述のLi原料、Ni原料及びMn原料の合計に対して、6wt%になるようにし、イオン交換水中へ十分に溶解混合させた。秤量しておいた原料を、あらかじめ分散剤を溶解させた前記イオン交換水中へ加えて、混合撹拌して、固形分濃度40wt%のスラリーを調整した。
 湿式粉砕機で1300rpm、120分間粉砕して平均粒径(D50)を0.60μm以下とした。
 得られた粉砕スラリーを熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー、大川原化工機(株)製「RL-10」)を用いて造粒乾燥させた。この際、噴霧にはツインジェットノズルを用い、噴霧圧を0.19MPa、スラリー供給量350ml/min、乾燥塔の出口温度100~110℃となるように温度を調節して造粒乾燥を行なった。
[0143]
 得られた造粒粉を、静置式電気炉を用いて、酸素分圧0.021MPaの雰囲気において、950℃を37時間保持するように焼成した後、酸素分圧0.021MPaの雰囲気において750℃を37時間保持するように熱処理した。
 熱処理して得られた焼成粉を目開き53μmの篩で分級し、篩下粉を回収してスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末すなわち正極活物質(サンプル)を得た。
[0144]
 このようにして得られたスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉末の化学分析を実施したところ、Li:3.9wt%、Ni:16.0wt%、Mn:43.0wt%であった。
[0145]
<各種物性値の測定方法>
 実施例及び比較例で得られたスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物及び正極活物質(サンプル)の各種物性値を次のように測定した。
[0146]
(化学分析)
 実施例及び比較例で得られたスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物及び正極活物質(サンプル)について、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析により、各元素の含有量を測定した。
[0147]
(モード径、D50、D10、Dmin)
 実施例及び比較例で得られたサンプルについて、レーザー回折粒子径分布測定装置用自動試料供給機(マイクロトラック・ベル株式会社製「Microtorac SDC」)を用い、サンプル(粉体)を水溶性溶媒に投入し、40%の流速中、40Wの超音波を360秒間複数回照射した後、マイクロトラック・ベル株式会社製レーザー回折粒度分布測定機「MT3000II」を用いて粒度分布を測定し、得られた体積基準粒度分布のチャートからモード径、D50、D10及びDminを測定した。
 超音波の照射回数は、超音波照射前後におけるD50の変化率が8%以下となるまでの回数とした。
 なお、測定の際の水溶性溶媒は60μmのフィルターを通し、溶媒屈折率を1.33、粒子透過性条件を透過、粒子屈折率2.46、形状を非球形とし、測定レンジを0.133~704.0μm、測定時間を30秒とし、2回測定した平均値をそれぞれの値とした。
[0148]
(平均一次粒子径)
 実施例及び比較例で得られたスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物及び正極活物質(サンプル)の平均一次粒子径を、次のように測定した。
 SEM(走査電子顕微鏡)を用いて、サンプル(粉体)を1000倍で観察し、D50に相当する大きさの粒子を選択した。次に、D50に応じて、2000~10000倍に倍率を変更して撮影した。撮影倍率を例示すると、D50が7μm程度の場合は10000倍、15μm程度の場合は5000倍、22μm程度の場合は2000倍にすると後述する画像解析ソフトでの平均一次粒子径を求めるのに適した画像を撮影できる。
[0149]
 撮影した画像を画像解析ソフト(株式会社マウンテック社製MAC-VIEW ver.4)を用いて、選択した粒子の平均一次粒子径を求めた。なお、この平均一次粒子径は、体積分布での累積50%粒径(Heywood径:円相当径)のことである。
 また、平均一次粒子径を算出するためには、一次粒子を30個以上測定し、その平均値を算出するのが好ましい。測定個数が足りない場合は、D50に相当する大きさの粒子を追加選択して撮影し、合計して一次粒子が30個以上になるように測定を行った。
[0150]
(結晶構造の同定)
 実施例及び比較例で得られたリチウムマンガン含有複合酸化物について、XRD装置を使用して結晶構造を、次のように同定した。
 XRD測定は、装置名「UltimaIV、(株)リガク製」を用い、下記測定条件1で測定を行って、XRDパターンを得た。統合粉末X線解析ソフトウェアPDXL((株)リガク製)を用いて、得られたXRDパターンについて結晶相情報を決定した。
[0151]
 ここで、結晶相情報としては、空間群Fd-3m(Origin Choice2)の立方晶に帰属され、8aサイトにLi、16dサイトにMn、M1元素、M2元素、そして過剰なLi分a、32eサイトにOが占有されていると仮定し、各サイトの席占有率及び原子変位パラメータBを1とし、観測強度と計算強度の一致の程度を表わすRwp、Sが収束するまで繰り返し計算を行った。
 観測強度と計算強度が十分に一致しているということは、得られたサンプルが空間群に限定されず、スピネル型の結晶構造である信頼性が高いことを意味している。
[0152]
=XRD測定条件1=
線源:CuKα(線焦点)、波長:1.541836Å
操作軸:2θ/θ、測定方法:連続、計数単位:cps
開始角度:15.0°、終了角度:120.0°、積算回数:1回
サンプリング幅:0.01°、スキャンスピード:1.0°/min
電圧:40kV、電流:40mA
発散スリット:0.2mm、発散縦制限スリット:10mm
散乱スリット:開放、受光スリット:開放
オフセット角度:0°
ゴニオメーター半径:285mm、光学系:集中法
アタッチメント:ASC-48
スリット:D/teX Ultra用スリット
検出器:D/teX Ultra
インシデントモノクロ:CBO
Ni-Kβフィルター:無
回転速度:50rpm
[0153]
(結晶子サイズ及び歪み)
 結晶子サイズを求めるためのX線回折パターンの測定は、Cu‐Kα線を用いたX線回折装置(ブルカー・エイエックスエス株式会社製D8 ADVANCE)を使用し、下記測定条件2で測定を行った。
 回折角2θ=10~120°の範囲より得られたX線回折パターンのピークについて解析用ソフトウエア(製品名「Topas Version3」)を用いて解析することにより、サンプルの結晶子サイズ及び歪みを求めた。
[0154]
 なお、結晶構造は空間群Fd-3m(Origin Choice2)の立方晶に帰属され、その8aサイトにLiが存在し、16dサイトにMn、M1元素、M2元素、過剰なLi分aが存在し、32eサイトをOが占有していると仮定し、パラメータBeq.を1と固定し、32eサイトのOの分率座標と席占有率を変数として、観測強度と計算強度の一致の程度を表す指標Rwp<10.0、GOF<2.8を目安に収束するまで繰り返し計算を行った。なお、結晶子サイズ及び歪みはガウス関数を用いて解析を行い、結晶子サイズ及び歪みを求めた。
[0155]
=XRD測定条件2=
線源:CuKα、操作軸:2θ/θ、測定方法:連続、計数単位:cps
開始角度:10°、終了角度:120°
Detector:PSD
Detector Type:VANTEC-1
High Voltage:5585V
Discr. Lower Level:0.25V
Discr. Window Width:0.15V
Grid Lower Level:0.075V
Grid Window Width:0.524V
Flood Field Correction:Disabled
Primary radius:250mm
Secondary radius:250mm
Receiving slit width:0.1436626mm
Divergence slit:0.5°
Filament Length:12mm
Sample Length:25mm
Recieving Slit Length:12mm
Primary Sollers:2.623°
Secondary Sollers:2.623°
Lorentzian,1/Cos:0.004933548Th
電圧:40kV、電流:35mA
[0156]
(比表面積)
 実施例及び比較例で得られたサンプルの比表面積(SSA)を、次のように測定した。
 先ず、サンプル(粉体)2.0gを全自動比表面積測定装置Macsorb(株式会社マウンテック製)用のガラスセル(標準セル)に秤量し、オートサンプラーにセットした。窒素ガスでガラスセル内を置換した後、前記窒素ガス雰囲気中で250℃15分間、熱処理した。その後、窒素・ヘリウム混合ガスを流しながら、4分間冷却を行った。冷却後、サンプル(粉体)をBET一点法にて測定した。
 なお、冷却時及び測定時の吸着ガスは、窒素30%:ヘリウム70%の混合ガスを用いた。
[0157]
(XPSによる表面分析)
 アルバック・ファイ社製のXPS装置である、QUANTUM2000を用いて、実施例・比較例で得たサンプルの粒子表面の分析を行った。測定に使用した条件等は以下の通りである。
励起X線:AlKα線(1486.6eV)
管電圧:20kV
管電流:5.0mA
X線照射面積:100μmφ
測定条件:状態・半定量用ナロー測定
パスエネルギー:23.5eV
測定間隔:0.1eV
[0158]
 データ解析ソフト(アルバック・ファイ社製「マルチパックVer6.1A」)を用いてXPSデータの解析を行った。下記に示す通り元素ごとに計算に用いる軌道を決定して解析を実施した。
Li:1s
Ni:2p3
Nb:3d
Mn:2p1
Ti:2p3
C:1s
O:1s
 前記にて計算される元素比率はNiのLMMピークの干渉を考慮し、前述の化学分析結果の組成比率と照らし合わせて、確認を実施した。
[0159]
 より具体的には、実施例・比較例で得たサンプルについてXPSを用いて、前記条件でサンプル粒子の表面を分析し、得られたX線光電子分光スペクトルにおいて、Nbのピークのピーク強度に対する、Liのピークのピーク強度の比率(Li/Nb)を求めた。
 なお、XPSは、粒子表面から約5nmまでの深さの元素成分について定量分析を行うことができる。
[0160]
(制限視野電子回折によるハローパターンの観察)
 透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM-ARM200F)を使用し、加速電圧200kV、制限視野しぼりの大きさは10μmとして、直径100nm程度の領域からの電子回折を取得し、図2に示すようなハローパターンの有無を観察した。
 ハローパターンが観察できれば、実施例・比較例で得たサンプルの表面に存在する化合物は、非晶質化合物であることを確認することができる。
 なお、図2中に示したスケールバーは、逆格子空間のスケールバーである。
[0161]
(炭酸イオン量:CO 2-量の分析)
 実施例・比較例で得たサンプルそれぞれ0.48gを純水48mlに入れて5分撹拌した後、ろ過を行った。このようにして炭酸リチウムを抽出した液でイオンクロマトグラフィー測定を行い、CO 2-イオン量を求めた。
 なお、測定装置には、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製DIONEXICS-2000を用い、カラムにDIONEX Ion Pac AS17-C、キャリア液(溶離液)に水酸化カリウムを用い、35℃で測定を行った。
 表1には、サンプルに含まれる炭酸イオン量(CO 2-量)(wt%)を示した。
[0162]
<全固体型リチウム二次電池の作製と評価>
 実施例及び比較例で作製したサンプルを正極活物質と固体電解質を用いて正極合材を作製し、全固体型リチウム二次電池(全固体Gr/5V級正極活物質セル)を作製して、電池特性評価(レート特性評価及びサイクル特性評価)を行った。
[0163]
(材料)
 正極活物質として実施例及び比較例で作製したサンプルを用い、負極活物質としてグラファイト(Gr)粉末を用い、固体電解質粉末として組成式:Li5.8PS4.8Cl1.2で示される粉末を用いた。
 正極合材粉末は、実施例及び比較例で作製した正極活物質(サンプル)、固体電解質粉末及び導電材(アセチレンブラック)粉末を60:30:10の割合で乳鉢混合することで調整した。
 負極合材粉末は、グラファイト(Gr)粉末と固体電解質粉末を50:50の割合で乳鉢混合することで調整した。
[0164]
(全固体型リチウム二次電池の作製)
 正極合材粉末(サンプル)13mgを密閉型セルの絶縁筒内(φ9mm)に充填して、368MPaで一軸成型することで正極合材粉末ペレットを作製した。得られた正極合材粉末ペレットを密閉型セルの絶縁筒内(φ10.5mm)に移し、正極合材粉末ペレット上に固体電解質粉末50mgを充填した。
 次に、正極合材粉末ペレットとともに、固体電解質粉末を184MPaで一軸成型した。さらに、上記固体電解質の上に10mgの負極合材粉末を充填し、551MPaで一軸成型し、加圧ネジで締め込み、全固体型リチウム二次電池を作製した。
[0165]
(電池特性評価)
 電池特性は、25℃に保たれた環境試験機内に全固体型リチウム二次電池セルを入れて充放電測定装置に接続して評価した。この際、上限電圧を5.0VとしたCC-CV方式で充電し、放電は下限電圧を3.0VとしたCC方式で行った。
 初回サイクルから3サイクル目までを0.1Cの電流密度で充電と放電を繰り返し、4サイクル目は0.2Cの電流密度で充電、2.0Cの電流密度で放電させ、5サイクル目から51サイクル目は0.1Cの電流密度で充電と放電を繰り返した。
 なお、3サイクル目の放電容量を「3rd放電容量」として、表1に示した。
 また、3サイクル目の放電曲線を元に、放電初期をDOD 0%、放電末期をDOD 100%としたときの、DOD 0%からDOD 50%までの放電区間での電圧の平均値を「作動電位(DOD 0%-50%)」として表1に示した。
 「レート特性(2C/0.1C)」は4サイクル目の放電容量を2サイクル目の放電容量で除した商で示した。表1には実施例3を100とした場合の指数として記載した。
 「作動電位維持率(2C/0.1C)」は4サイクル目の放電時のDOD 0%からDOD 50%の放電区間での電圧の平均値を計算し、前述の3サイクル目の作動電位(DOD 0%-50%)で除した商とした。表1には実施例5を100とした場合の指数として記載した。
 「容量維持率指標」は51サイクル目の放電容量を2サイクル目の放電容量で除した商で算出し、比較例1を100とした場合の指数として表1に記載した。
[0166]
[表1]


[0167]
(考察)
 実施例1~8のいずれにおいても、XRD測定結果から、空間群Fd-3m(Origin Choice2)の立方晶の結晶構造モデルとフィッティングし、観測強度と計算強度の一致の程度を表わすRwp、SがRwp<10、またはS<2.5である5V級スピネルである解析結果が得られた。また、電池性能評価試験の結果において、金属Li基準電位で4.5V以上の作動電位を有するものであることが確認された。
 また、結晶子サイズ/平均一次粒子径が1未満であることから、実施例1~8の正極活物質(サンプル)の正極活物質はいずれも、一次粒子が多結晶体であることが確認された。
[0168]
 上記実施例の結果とこれまで行ってきた試験結果から、Li、Mn及びOと、これら以外の2種以上の元素とを含むスピネル型複合酸化物からなる本コア粒子の表面が、Li、A(AはTi、Zr、Ta、Nb、Zn、W及びAlからなる群から選択される一種または二種以上の元素の組み合わせである。)及びOを含む非晶質化合物で被覆されてなる構成を備え、本コア粒子の一次粒子を多結晶体とすると共に、体積粒度分布測定におけるD50が0.5~9μmであり、モード径、D50及びD10の関係を特定し、且つ、平均一次粒子径とD50と関係を特定することにより、一次粒子の分散性を高め、さらには、粒度分布を正規分布に近く尚かつシャープに近づけることにより、放電時の作動電圧を高く維持することができるとともに、レート特性及びサイクル特性を有効に改善することができる。これはリチウムイオン伝導性向上と抵抗抑制を両立させることができたとともに、正極活物質と固体電解質間の接触抵抗を低減することができた結果、成し得たものと考えることができる。
[0169]
 かかる観点から、少なくとも、Li、Mn及びOと、これら以外の2種以上の元素とを少なくとも含む本コア粒子の表面が、Li、A(AはTi、Zr、Ta、Nb、Zn、W及びAlからなる群から選択される一種または二種以上の元素の組み合わせである。)及びOを含む非晶質化合物で被覆されており、金属Li基準電位で4.5V以上の作動電位を有する正極活物質に関しては、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積粒度分布測定によるD50が0.5~9μmであって、モード径、D50及びD10より算出されるモード径に対する、モード径とD50との差の絶対値の百分率((|モード径-D50|/モード径)×100)の値が0~25%であり、モード径に対する、モード径とD10との差の絶対値の百分率((|モード径-D10|/モード径)×100)の値が20~58%であるのが好ましいことがわかった。
 また、SEM画像より算出した平均一次粒子径と前記D50から算出される平均一次粒子径/D50は0.20~0.99であるのが好ましいことが分かった。
[0170]
 なお、前記実施例では、本コア粒の表面にLiAO化合物が存在する構成において、A元素としてNbについての実施例のみであるが、Nbと、Ti、Zr、Ta、Zn、W及びAlは、弁金属である点で共通しており、同様の効果が得られるものと考えることができる。

請求の範囲

[請求項1]
 Li、Mn及びOと、これら以外の2種以上の元素とを少なくとも含むスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物からなる粒子(「本コア粒子」と称する)の表面が、Li、A(AはTi、Zr、Ta、Nb、Zn、W及びAlからなる群から選択される一種または二種以上の元素の組み合わせである。)及びOを含む非晶質化合物で被覆されており、かつ、本コア粒子の一次粒子が多結晶体からなる、金属Li基準電位で4.5V以上の作動電位を有する正極活物質であって、
 レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積粒度分布測定による正極活物質のD50、モード径及びD10(それぞれ「D50」「モード径」「D10」と称する)に関し、D50が0.5μm~9μmであり、モード径に対する、モード径とD50との差の絶対値の百分率((|モード径-D50|/モード径)×100)の値が0~25%であり、モード径に対する、モード径とD10との差の絶対値の百分率((|モード径-D10|/モード径)×100)の値が20~58%であり、かつ、
 前記D50に対する、走査型電子顕微鏡(SEM)により得られるSEM画像より算出した正極活物質の平均一次粒子径の比率(平均一次粒子径/D50)が0.20~0.99であることを特徴とする、全固体型リチウム二次電池用正極活物質。
[請求項2]
 Li、Mn及びOと、これら以外の2種以上の元素とを少なくとも含むスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物からなる粒子(「本コア粒子」と称する)の表面が、Li、A(AはTi、Zr、Ta、Nb、Zn、W及びAlからなる群から選択される一種または二種以上の元素の組み合わせである。)及びOを含む非晶質化合物で被覆されており、正極活物質の結晶子サイズが80nm~490nmであり、走査型電子顕微鏡(SEM)により得られるSEM画像より算出した正極活物質の平均一次粒子径に対する当該結晶子サイズの比率(結晶子サイズ/平均一次粒子径)が0.01~0.32である、金属Li基準電位で4.5V以上の作動電位を有する正極活物質であって、
 正極活物質のD50、モード径及びD10に関し、D50が0.5μm~9μmであり、モード径に対する、モード径とD50との差の絶対値の百分率((|モード径-D50|/モード径)×100)の値が0~25%であり、モード径に対する、モード径とD10との差の絶対値の百分率((|モード径-D10|/モード径)×100)の値が20~58%であり、
 前記D50に対する、前記正極活物質の平均一次粒子径の比率(平均一次粒子径/D50)が0.20~0.99であることを特徴とする、全固体型リチウム二次電池用正極活物質。
[請求項3]
 X線光電子分光分析(XPS)によって得られる、正極活物質表面におけるA元素に対するLiのmol比率(Li/A)が0.5~3.5である請求項1又は2に記載の全固体型リチウム二次電池用正極活物質。
[請求項4]
 前記スピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物は、一般式[Li (M1 M2 Mn 2-x-y-z)O 4-δ](式中、1.00≦x≦1.20、0.20≦y≦1.20、0<z≦0.5、0≦δ≦0.2、式中M1はNi、CoおよびFeからなる群から選択される一種または二種以上の元素の組み合わせであり、M2は、Na、Mg、Al、P、K、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、In、Ta、W、Re及びCeからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素の組み合わせである。)で示されるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物であることを特徴とする、請求項1~3の何れかに記載の全固体型リチウム二次電池用正極活物質。
[請求項5]
 前記スピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物は、一般式[Li (Ni Mn 2-x-y-z)O 4-δ](式中、1.00≦x≦1.20、0.20≦y≦0.70、0<z≦0.5、0≦δ≦0.2、式中Mは、Na、Mg、Al、P、K、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、In、Ta、W、Re及びCeからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素の組み合わせである。)で示されるスピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物であることを特徴とする、請求項1~3の何れかに記載の全固体型リチウム二次電池用正極活物質。
[請求項6]
 レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積粒度分布測定によるモード径が0.4μm~11μmであることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の全固体型リチウム二次電池用正極活物質。
[請求項7]
 走査型電子顕微鏡(SEM)により得られるSEM画像より算出した平均一次粒子径が0.3μm~5.0μmであることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載のリチウム全固体型二次電池用正極活物質。
[請求項8]
 レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積粒度分布測定の結果におけるDminが0.1μm~2.0μmであることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の全固体型リチウム二次電池用正極活物質。
[請求項9]
 粉末X線回装置(XRD)により測定される線回折パターンにおいて、リートベルト解析より得られる歪みの数値が0.00~0.35であることを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の全固体型リチウム二次電池用正極活物質。
[請求項10]
 請求項1~9の何れかに記載されたリチウム二次電池用正極活物質を正極活物質として備えた全固体型リチウム二次電池。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]