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1. (WO2019039123) ACOUSTIC PANEL
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明 細 書

発明の名称 吸音パネル

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010   0011  

課題を解決するための手段

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041  

発明の効果

0042   0043   0044   0045   0046  

図面の簡単な説明

0047  

発明を実施するための形態

実施例 1

0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085  

実施例 2

0086   0087   0088   0089  

実施例 3

0090   0091  

実施例 4

0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099  

符号の説明

0100  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 吸音パネル

技術分野

[0001]
本発明は、産業用機械・住宅・生活機器・移動発生源等の騒音源に対する防音対策に用いる吸音パネルに関する。

背景技術

[0002]
吸音材・断熱材として使われる、動物系、有機系、無機系(鉱物系)の繊維の密な集まりからなるシート状(生地状)の不織布製品は一般的にはフェルトと呼ばれている。シート状にする方法として、機械的・化学的・熱処理等で板状に圧縮する方法あるいはニードルパンチ加工による方法がある。ニードルパンチ加工で製造した製品はニードルマットと呼ばれている。ニードルマットは柔軟でロール状にして供給されている。
[0003]
ニードルマットは、繊維径が3~20μmで、個々の繊維長が10~200mmである繊維からなる成形体で、繊維の長さ方向と直交する方向(シートの厚み方向)にニードルパンチ加工機により繊維マットに5~20本/cm のニードルを打ち込むニードルパンチ加工により、繊維同士が絡まりシート状になったものである。
[0004]
フェルト状繊維について、特許文献特許5558315号の段落0014、段落0015において、フェルト状繊維を用いた場合、有機・無機系繊維は繊維の飛散、無機繊維は肌への刺激(チクチク感)といった課題があることが記載されている、
[0005]
吸音材としてはフェルト状繊維のほかに、金属繊維も用いられる。金属繊維については、特許文献昭62-282922にエキスパンドメタルの上にアルミ繊維を配設し、その後、加圧して両者を圧着する金属多孔質材の製造方法が記されている。これは吸音材「ポアル」(ユニックス社製品)として(一般財団法人)経済調査会発行の積算資料に掲載され市販されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特許5558315号公報
特許文献2 : 特許1894692号公報(特開昭62-282922号)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
金属繊維に代えて吸音材として使われるグラスファイバー、ロックウール、セラミック、シリカ等の無機系繊維のシート状品は、繊維長が10~200mm、繊維径が3~20μmで、材料の表面から繊維が飛散し易く、人肌へのチクチクする刺激など人体への影響がある。
[0008]
このため、繊維の飛散、チクチク感防止対策が必要であり、その方法としては、ニードルパンチ加工の他に、接着剤などを用いた表面の化学的固定方法もある。しかし、この課題は十分には解消されていない。すなわち、化学的固定方法で表面処理する場合、通気性や多孔性の維持が難しく、目詰まりによって吸音機能に影響が出る。一方、多孔性を維持しようとすれば、飛散及び人肌への刺激は十分に防げない。
[0009]
また別の課題として、グラスファイバー、ロックウール、セラミックファイバーの無機系繊維のシート状の製品は材料自体が柔軟なものであるため、厚さ、密度を選択しても平面性がなく、自立性がなく、こすれなどに対する表面強度もないという課題もある。
[0010]
フェルト状繊維材の吸音材としての適性範囲は、密度が70~160kg/m で、製品厚さは3~20mmであるが、柔軟な材料でフワフワしており、平面性および自立性がないので、取扱いがしにくく、単独では吸音パネルの表面材として使用できる材料ではない。
[0011]
アルミ繊維の両面をエキスパンドメタルで挟んで構成された商品名ポアルC1(ユニックス社製品)は、飛散及び人肌の刺激等はないが価格が高いという課題がある。(一般財団法人)経済調査会発行の積算資料(2016年10月)によれば1m×2m×1.6mmのポアルが23,800円(11,900円/m )である。

課題を解決するための手段

[0012]
請求項1ならびに請求項2の発明は、複数の材料を接着して積層したパネル構造において、該パネル構造の一部としてフェルト状繊維材とハニカム材が隣接して接着剤で接着されており、
該ハニカム材のセルを形成する壁の先端部は該フェルト状繊維材に深く食い込んでおり、
該ハニカム材のセルを形成する壁の近傍の該フェルト状繊維材の繊維と該接着剤とが一体化して固化した部分が複合構造をなして該ハニカム材のセルを補強していることを特徴とする吸音パネルならびにその製造法である。
[0013]
また請求項3ならびに請求項4の発明は、複数の材料を接着して積層したパネル構造において、該パネル構造の一部としてフェルト状繊維材と穴あき板が隣接して水溶性の接着剤によって接着してあり、
該接着剤は、該穴あき板の穴の部分において露出している該フェルト状繊維材の全面に行きわたって表面近傍の繊維を固定し、繊維の飛散を防止し、
かつ繊維間には隙間が有って通気性が有る構造であることを特徴とする吸音パネルならびにその製造法である。
[0014]
さらに、請求項5ならびに請求項6の発明は、ハニカム材、フェルト状繊維材と穴あき板がこの順に水溶性の接着剤によって接着してあり、
該接着剤ならびに該ハニカム材のセルを形成する壁の先端部は該フェルト状繊維材に深く食い込んでおり、
該ハニカム材のセルを形成する壁の近傍の該フェルト状繊維材の繊維と該接着剤とが一体化して固化した部分が複合構造をなすことで該セルを補強しており、
該フェルト状繊維材と該穴あき板を接着する該接着剤は、該穴あき板の穴の部分において露出している該フェルト状繊維材の全面に行きわたって表面近傍の繊維を固定し、繊維の飛散を防止し、かつ繊維間には隙間が有って通気性が有る構造であることを特徴とする吸音パネルならびにその製造法である。
[0015]
また、請求項7ならびに請求項8の発明は、複数の材料を接着剤で接着し積層したパネル構造で、該パネル構造の一部としてフェルト状繊維材とハニカム材が隣接しており、
該フェルト状繊維材と該ハニカム材の接着によって積層方向に圧縮力をかけ、
該フェルト状繊維材に該ハニカム材のセルを形成する壁の端部が食い込んでおり、
該ハニカム材のセルを形成する壁の近傍の該フェルト状繊維材だけが押し潰されていて、繊維の密度が高く、したがって強度が高い構造であることを特徴とする吸音パネルならびにその製造法である。
[0016]
さらに、請求項9ならびに請求項10の発明は、穴あき板、フェルト状繊維材ならびにハニカム材がこの順に積層されており、それぞれの間を水溶性の接着剤で接着してあり、
該接着剤ならびに該ハニカム材のセルを形成する壁の先端部は該フェルト状繊維材に深く食い込んでおり、
該ハニカム材のセルを形成する壁の近傍の該フェルト状繊維材の繊維と該接着剤とが一体化して固化した部分が複合構造をなし、
硬質で連通気泡を有し吸水性を有するフェノールフォームを該ハニカム材のセルの空間に充填した構造であることを特徴とする吸音パネルならびにその製造法である。
[0017]
さらに、請求項11の発明は、請求項9に示した発明において、該ハニカム材の表面に非通気性の反射材を接着剤で接着して積層し、高い吸音性を得る構造であることを特徴とする吸音パネルである。
[0018]
さらに、請求項12の発明は、請求項10の発明に示した吸音パネルの製造法において、該ハニカム材の表面に非通気性の反射材を接着剤で接着して積層し、高い吸音性を得ることを特徴とする吸音パネルの製造法である。
[0019]
さらに、請求項13の発明は、請求項11の発明に示した吸音パネルにおいて、
該穴あき板、該フェルト状繊維材、該反射材がそれぞれ不燃材であり、該ハニカム材ならびに該フェノールフォームについて、それぞれが難燃材であり、
全体として不燃物であることを特徴とする吸音パネルある。
[0020]
さらに、請求項14の発明は、請求項12の発明に示した吸音パネルの製造方法において、
該穴あき板、該フェルト状繊維材、該反射材をそれぞれ不燃材とし、該ハニカム材ならびに該フェノールフォームについて、それぞれを難燃材として、
全体として不燃物とすることを特徴とする吸音パネルの製造方法である。
[0021]
さらに、請求項15の発明は、請求項3または請求項5の発明に示した吸音パネルにおいて、該穴あき板の穴の寸法が該フェルト状繊維材の繊維長より小さく、該繊維が穴を越えて外部に出て来ないことを特徴とする吸音パネルである。
[0022]
さらに、請求項16の発明は、請求項4または請求項6の発明に示した吸音パネルの製造法において、該穴あき板の穴の寸法が該フェルト状繊維材の繊維長より小さく、該繊維が穴を越えて外部に出て来ないものを使用したことを特徴とする吸音パネルの製造法である。
[0023]
さらに、請求項17の発明は、請求項3または請求項5または請求項9の発明に示した該穴あき板が、エキスパンドメタルもしくはパンチングメタルであることを特徴とする吸音パネルである。
[0024]
さらに、請求項18の発明は、請求項4または請求項6または請求項10の発明に示した該穴あき板として、エキスパンドメタルもしくはパンチングメタルを使用することを特徴とする吸音パネルの製造法である。
[0025]
さらに、請求項19の発明は、請求項11に示した吸音パネルにおいて、
該ハニカム材、該フェノールフォームならびに該反射材について、
それぞれの間を水溶性の接着剤によって接着して一体化してある構造によって自立強度が高いことを特徴とする吸音パネルである。
[0026]
さらに、請求項20の発明は、請求項12に示した吸音パネルの製造法において、
該ハニカム材、該フェノールフォームならびに該反射材について、
それぞれの間を水溶性の接着剤によって接着して一体化することで自立強度を高めたことを特徴とする吸音パネルの製造法である。
[0027]
すなわち、要約すると、積層パネルの構造として、またそれを製作する手段として、穴あき板とフェルト状繊維材とを、それぞれの間に接着剤を塗布して重ね、全体を加圧プレスで押し当てて接着し、またハニカム材に接着剤を塗布してフェルト状繊維材の他の面に重ね、全体を加圧プレスで強く押し当て、フェルト状繊維材の一部をハニカム材で圧縮しつつ接着し、さらに硬質で連通気泡を有し吸水性を有するフェノールフォームを接着した吸音パネルである。さらに反射材を接着しても良い。このとき、全体を加圧プレスで押し当てて圧縮力をかけながら接着するので、接着剤が固化したとき、加圧プレスによる圧縮力がなくなっても、フェルト状繊維材の一部が圧縮された状態、すなわち圧縮力をかけた状態が接着剤によって保持される。
[0028]
吸音パネルの構成と作用を詳しく説明する。まず、繊維の飛散ならびに人体への刺激という課題への対策を説明する。これは、フェルト状繊維材の表面に目止め処理を施すことにより繊維間を接着し、繊維の飛散と触れた時のチクチク感を無くするものである。すなわち、たとえばエキスパンドメタルあるいはパンチングメタルをフェルト状繊維材の表面に配設すると、エキスパンドメタルあるいはパンチングメタルの穴の部分からフェルト状繊維材の表面が露出する。
[0029]
エキスパンドメタルあるいはパンチングメタルを配設する前に予め水溶性(エマルジョン)接着剤を入れた槽に浸漬して全面に接着剤を付着させると、穴の部分には表面張力で接着剤の膜が張る。その後、フェルト状繊維材とエキスパンドメタルあるいはパンチングメタルを重ねると、接着剤の膜は穴の部分から露出しているフェルト状繊維材の表面を覆う。
[0030]
次いで、エキスパンドメタルあるいはパンチングメタルとフェルト状繊維材を強く押し付けると、穴の部分ではフェルト状繊維材の表面を一面に覆って張っていた接着剤の膜が繊維に触れて、もしくは接着剤水分の蒸発による乾燥(硬化反応)による被膜の収縮作用が起こり、その結果、破れて穴が開いて、それまで全体的に覆われていた1本1本の繊維の表面を濡らして接着剤が拡がる。
[0031]
その後接着剤に含まれていた水分のさらなる蒸発による乾燥にともなって硬化反応が起こり、表面近傍の繊維の周囲に付着した接着剤によって、接触または近傍に存在する1本1本の繊維同士が接着されて一体化し、固化した接着剤と繊維によって複合構造である繊維強化樹脂層(FRP)を形成する。このとき1本1本の繊維の接着していない部分には隙間が残る。すなわち、繊維同士が単に絡み合っているだけの状態であったのが、多数の接触点が接着されて固定された状態になったものである。
[0032]
エキスパンドメタルまたはパンチングメタルの穴以外の部分では、パンチングメタルとフェルト状繊維材の間に有った接着剤が表面近傍の繊維に浸透して、繊維と混じる。接着剤が硬化するとき一体化して、複合構造である繊維強化樹脂(FRP)を形成する。
[0033]
フェルト状繊維材の表面近傍の繊維同士が接着され、その結果、繊維の飛散が防止され穴の部分に触れても肌へのチクチク感は無くなる。万一接着によって固定されなかった繊維が有っても、穴あき板の穴の寸法は繊維長10~200mmより短いので、穴を越えて外部に出て来ない。ニードルパンチ加工をしたシート状のフェルト状繊維材もこのような構造の対象になる。
[0034]
これは、フェルト状繊維材をミクロに見ると個々の繊維間の隙間が大きく、水溶性(エマルジョン)接着剤は、面方向に並んだ繊維の表面を濡らして浸透し、厚さ方向に浸透しないことを利用したものである。これによってエキスパンドメタルあるいはパンチングメタルの穴の部分から露出しているフェルト状繊維材の全部の表面に行きわたる。
[0035]
次に、自立性という課題への対策について説明する。上記のフェルト状繊維材に穴あき板を接着することにより同時に平面性及びある程度の自立性が生まれる。しかし、これだけでは強固な自立性は得られない。本発明においては、強固な自立性を得るため、フェルト状繊維材の穴あき板を接着した面とは別の面にハニカム材を接着し、ハニカム材と穴あき板により、フェルト状繊維材を挟んだ積層パネルとしたものである。これで自立できる強度を確保できる。
[0036]
すなわち、フェルト状繊維材にハニカム材を接着するとき、両者をプレスに挟んで穴あき板を接着するときよりも強く押し付ける。この工程で、ハニカム材のセルを形成する壁の先端部はフェルト状繊維材に深く食い込み、先端部と接触する付近のフェルト状繊維材の厚さが圧縮によって2分の1程度の厚さに薄くなり、それに伴って密度が高くなるのに従って強度が増加する。
[0037]
また、このときハニカム材のセルを形成する壁にあらかじめ塗りつけてあった接着剤は、当該の壁の周囲付近で、フェルト状繊維材の表面近傍と圧縮された部分の繊維の表面を濡らし、乾燥し固化したとき一体化して複合構造である繊維強化樹脂(FRP)を形成する。
[0038]
この複合構造はハニカム材の強度を増加して、結果として所望の自立性が得られる。発明者が、以前発明したハニカム材をスポンジに食い込ませて接着した技術は、単に接着剤の接着面積を大きくして接着するためのものであって、本発明のように接着剤とフェルト状繊維材とが複合構造を作るものではなかった。
[0039]
さらに、このようにしてできた吸音パネルの吸音性能を上げるため、別の吸音材である硬質で連通気泡を有するフェノールフォームをハニカム材のセルの内部に充填することができる。
[0040]
さらに、ハニカム材のフェルト状繊維材を接着したのと反対側の表面に反射材を接着すれば、高い遮音性が得られ、同時にハニカム材のセルを保護することができる。また、さらに強固な自立性が得られる。
[0041]
コスト面から見ると、本発明による穴あき板(エキスパンドメタル)、フェルト状繊維材、ハニカム材を重ね合わせて接着した構成によれば、比較対象とするアルミ繊維とエキスパンドメタルで構成されたユニックス社製品である商品名ポアルC1の価格は1m×2m品が23,800円(11,900円/m )(一般財団法人:経済調査会発行の積算資料(2016年10月))であるのに対し、半値以下が実現できる。

発明の効果

[0042]
金属繊維に代えてフェルト状繊維材、たとえばロックウールグラスマットを使用した吸音パネルにおいて、フェルト状繊維材をエキスパンドメタルとハニカム材で挟んで接着したことにより、繊維の飛散防止及び肌の刺激防止という課題の解消を確認できた。
[0043]
エキスパンドメタルとハニカム材でロックウールグラスマットを挟んで接着させることで、取り扱い性の良い自立性の有るパネルを得た。さらに反射材を接着することで、現場での荒い扱いにも耐えられる自立性と表面強度という課題の解消を確認できた。同時に遮音性能を上げることができた。
[0044]
段落0011で説明したアルミ繊維吸音材「商品名ポアルC-1」を用いた場合の重量2.6kg/m 対し、60%軽い1.04kg/m に仕上がった。
[0045]
本発明の吸音パネルの価格は、(一般財団法人)経済調査会発行の積算資料(2016年10月)に記載されているアルミ繊維材を使った吸音パネルの半値以下となることを確認した。
[0046]
本発明の吸音パネルの吸音性能を測定したところ、幅広い周波数帯で高い吸音性能を確認できた。

図面の簡単な説明

[0047]
[図1] 穴あき板(エキスパンドメタル)の図
[図2] フェルト状繊維材と穴あき板を積層した断面図
[図3] ハニカム材の図
[図4] ハニカム材とフェルト状繊維材と穴あき板を積層した断面図
[図5] ハニカム材のセルを形成する壁の先端部がフェルト状繊維材にめり込んだ状態を示す概念図
[図6] ハニカム材のセルに連通気泡硬質フェノールフォームを充填した断面図
[図7] 反射材とハニカム材とフェルト状繊維材と穴あき板を積層した断面図
[図8] 垂直入射吸音率のグラフ
[図9] 繊維の状態をミクロ見たときの概念図

発明を実施するための形態

実施例 1
[0048]
図4(b)に穴あき板1とフェルト状繊維材3とハニカム材2を積層して接着した吸音パネルの断面構造を示してある。プレス上盤21ならびにプレス下盤22は吸音パネルの一部ではない。穴あき板1とフェルト状繊維材3を接着するために塗付する接着剤は水溶性であるエマルジョン系が適性であり、具体的には酢酸ビニール樹脂系、アクリル樹脂系、エチレン酢酸ビニール共重合樹脂(EVA)系、その他塩ビ系、塩化ビニリデン系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系等から選ぶことができる。
[0049]
選択に当たっては、粘度が重要であり、穴あき板1への付着工程においては、図2(b)の断面図に示すように、表面張力によって穴の部分に膜を張るように、また次の穴あき板1とフェルト状繊維材3の接着工程においては接着剤がフェルト状繊維材3に移動して、穴あき板の穴の部分を塞ぐことがないように、この2つの条件を満たすように穴あき板の穴の寸法に合った適切な粘度範囲を選ぶ。そのために水を加えて水分量を調整しても良い。本実施例では酢酸ビニール樹脂系(コニシCX50“不揮発分45%、水分55%”)を使用し、水分を調整した。
[0050]
穴あき板1は、軽量化が実現できるエキスパンドメタルまたはパンチングメタルが本発明に適当である。本実施例では、アルミニュームA1050材で、厚みが0.6mm、開口(穴)W4×H8mmのエキスパンドメタルを選択した。図1(a)にエキスパンドメタルの平面図を示した。金属の薄板に千鳥状の切れ目を入れながら切れ目の方向に対して垂直方向に引っ張ることによって、切れ目の部分をひし形に拡げたものである。図1(b)のAA’で示す位置の断面の一部を拡大して図1(c)に示した。
[0051]
本実施例では、繊維の飛散防止の対策として、穴の開口寸法を繊維長の最小値である10mm以下にするために、図1(b)に拡大して示すように、横寸法W=4.0mm、縦寸法H=8.0mmとした。穴あき板の厚さ・幅は、自立性に関係するので、商品化するパネル寸法と自立性から適当なものを選択すればよい。
[0052]
フェルト状繊維材3は、吸音性や断熱性を発揮するために有機物または無機物の繊維を素材として使い、幾層も重ねて、細いニードルを繰り返し突き刺すニードルパンチ加工で薄い板状に形成されたものである。ファイバーとしては有機繊維(化学繊維、自然繊維)、無機繊維(ガラス繊維、ロックウールなど)が使われる。
[0053]
本実施例では、フェルト状繊維材3としてロックウールグラスマット“RGM”(大和理研工業(株)製)を使用した。これは、長さ10~200mmのロックウール繊維とグラスファイバーを混合し、ニードルパンチ加工で製造されたもので、不燃性、耐熱(700℃)及び吸音性に優れた材料である。厚さは3~15mmを選択できるが、本実施例では密度が100~120kg/m で厚さ5mmを選択した。
[0054]
フェルト状繊維材3は、ロックウール系ではなくグラスファイバー系マットでも良いが、本実施例では肌のチクチク感の少ないグラス含有の少ないロックウール系マットを選択した。ロックウール系であるので耐熱温度がグラスファイバー系より100℃高く、700℃まで使用でき、またアスベストを含有していない材料であるという長所もある。
[0055]
図2(d)は穴あき板1とフェルト状繊維材3を重ねた状態を示す断面図である。なお、図2において、煩雑さを避けるために穴あき板1の断面を示す図の1個所にしか符号を付けていない。他の図も同じである。穴あき板1はエキスパンドメタルであり、フェルト状繊維材3はロックウールグラスマットである。
[0056]
図2(a)はエキスパンドメタルのみの断面を示している。図2(b)に示すように、穴あき板1を接着剤10として既製の酢酸ビニール系エマルジョン接着剤(不揮発分45%、水分55%)に水を適当に加えて再度乳化したものを入れた水平な容器内に浸漬し、穴あき板1の全面に、穴の部分には表面張力で接着剤の膜が張られるように、接着剤10を付着させる。
[0057]
ここで、酢酸ビニール系エマルジョン接着剤に加える水の量はエキスパンドメタルの穴の大きさによって決まる適正な範囲が有る。適正な範囲であるかどうかは、エキスパンドメタルの穴に膜が張っていて十分な量が付着しているか、また逆に接着剤が硬化した後に穴の部分に張っていた膜が破れているかどうか、そして通気検査などでフェルト状繊維材3の通気性が保たれているどうかを確認することによって判定する。
[0058]
接着剤10が乾燥硬化する前に、図2(c)に示すように、ニードルパンチ加工されたロックウールグラスマットを対向させて重ね、図示しない離型紙に挟んで、図2(d)に示すように、プレス上盤21とプレス下盤22の間に挟んで、積層方向に加圧し、圧縮すると、穴の部分に張っていた接着剤の膜はフェルト状繊維材3に触れるか、あるいは乾燥によって収縮して破れて、接着剤はフェルト状繊維材3に移動して表面付近の繊維を濡らして浸透する。このとき、フェルト状繊維材3は全面が同じように圧縮されている。
[0059]
ここで、フェルト状繊維材3の表面は無数の細かい毛(繊維)で覆われており、表面の微細構造及び化学的特性により、見かけ上の撥水性(いわゆるロータス効果)により、接着剤10はフェルト状繊維材3の中には容易には浸透しない。そこで、接着剤10を付着させたエキスパンドメタルで押圧し、接着剤10も含めフェルト状繊維材3の表面を押し潰すと、見かけ上の撥水性が無くなり接着剤10がフェルト状繊維材3の中に浸透する。
[0060]
図2(d)に示すように、プレスで押さえられたとき穴あき板1に塗布した接着剤10は、フェルト状繊維材3に接触し、接着剤10の穴の部分の膜は繊維に接触したとき、もしくは接着剤水分の蒸発による乾燥(硬化反応)による被膜の収縮作用が起こって、破れて、またフェルト状繊維材3の見かけの撥水性も無くなって接着剤10は表面付近の繊維の1本1本の表面を濡らす。
[0061]
このとき、接着剤10はフェルト状繊維材3の厚さ方向にはほとんど浸み込まず、穴あき板1の穴の部分を覆ってフェルト状繊維材3の表面付近に膜を張っていた接着剤10が触れた部分の繊維付近だけが濡れる。これは、フェルト状繊維材3の繊維の伸びている方向が面方向であることと、また表面張力の大きい水溶性接着剤を選択したことでこの現象が起こったものである。
[0062]
図9にフェルト状繊維材をミクロに見たときの繊維の状態の概念を示している。図9(a)は、ニードルパンチ加工によって繊維同士が単に絡み合った状態を示している。図9(b)は、繊維の表面を接着剤が濡らして拡がっている状態を示している断面図である。図9(c)は、接着剤が固化して繊維同士を固定している状態を示している。図9(a)に示すように、繊維1本1本の一部分だけが接触しているかもしくは近傍にある。図9(b)で見て取れるように、このとき接着剤10が浸み込んだ場所でも繊維間は離れており、間に空間が存在している。
[0063]
すなわち接着剤10は繊維の表面を濡らしているだけで1本1本の繊維と繊維の間は接着剤10で埋まっておらず、互いに一部分が接触しているかもしくは近傍に存在している構造になっているだけであって、1本1本の繊維の間の空間は維持されている。図9(c)に示したように、その状態のまま乾燥して固化した結果、図9(b)にくらべて接着剤が乾燥収縮しており、穴あき板1の穴から露出しているフェルト状繊維材3の全体において繊維間の通気性が確保される。したがって吸音性は保たれている。
[0064]
ここで、エキスパンドメタルの全面に接着剤を塗布するのは、エキスパンドメタルへの付着量を確保し、穴の部分に膜を張るためであるが、エキスパンドメタルの防錆の目的でもある。エマルジョン系接着剤は液体の時は白色であるが、硬化すると透明になる。商品化において、この色相変化は美観においても良い効果を示す。またエマルジョン系接着剤の塗付によるエキスパンドメタルの表面の均一なコーティングにより、エキスパンドメタル面にバリが残っていてもそれを被覆するのでエキスパンドメタル面が滑らかになるという効果もある。
[0065]
ただし、このようにして、フェルト状繊維材であるロックウールグラスマットの片面だけにエキスパンドメタルを、長尺で積層して接着するとロックウールグラスマットとエキスパンドメタルには十分な硬度がないので、自立させようとすると、積層したパネルは平面にならず反りが発生する。この対策としてロックウールグラスマットのエキスパンドメタルを接着したのと他方の面にも、強度がある材料を積層すると反りを防止できる。
[0066]
以下にその方法を説明する。図3(a)に、強度があって収縮せず軽量である材料として使用するハニカム材2の斜視図を示す。ハニカム材の六角形のセルは薄い壁によって形成されている。本実施例では、軽くて強度のあるセルサイズ20mm、厚さ30mm、セルを形成する壁の厚さ0.35mmのハニカム材(タイガレックス社“ケイ酸マグネシウム混抄紙ハニカムコア)を選択して、ロックウールグラスマット対向して接着させた。図3(b)に、図3(a)に示した切断面Aにおけるハニカム材2の断面図を示す。
[0067]
図4(a)はハニカム材2の壁の下側の端部に酢酸ビニール樹脂エマルジョン系の接着剤11を塗付した状態を詳しく示した図であり、ハニカム材2のセルを形成する壁2wの下側の端部に接着剤11を塗付している状態を示したものである。図4以降の図面では、フェルト状繊維材3の厚さをハニカム材2の厚さに対して大きく誇張して描いてある。図4(a)の破線はハニカム材2のセルを形成する壁2wの下端であり、その上下に見える波打った線はセルを形成する壁2wの下側の端部に付着している接着剤11の上端と下端を示している。
[0068]
すなわち、ハニカム材2を水平に置いて、接着剤の入っている容器にハニカム材2のセルを形成する壁2wの下側の先端部を浸漬して、酢酸ビニール樹脂エマルジョン系の接着剤11(不揮発分45%、水分55%)の充分な量を付着させた。
[0069]
図4(b)に示すように、このハニカム材2を前記の穴あき板1(すなわちエキスパンドメタル)とフェルト状繊維材3(すなわちロックウールグラスマット)を積層したパネルの上方から対向させて、図4(b)で示すように、プレス上盤21とプレス下盤22の間に挟んで、上下の矢印で示すように押しつけて、ハニカム材2のセルを形成する壁の下側の端をフェルト状繊維材3にめり込ませ、フェルト状繊維材3の対向する部分を圧縮する。
[0070]
このとき、フェルト状繊維材3と穴あき板1を接着するために押し付けたときより強い力で押しつける。その結果、ハニカム材2のセルを形成する壁の先端部と対向する個所のフェルト状繊維材3だけが圧縮されて、もと5mmの厚さであったものが2~3mmに圧縮される。
[0071]
以上の工程でフェルト状繊維材3の圧縮されて密度を増した部分の強度が増加し、またハニカム材2のセルを形成する壁の下側に付着してあった接着剤11と繊維がからんでFRP状の構造を形成してハニカム材2のセルの強度を増加する。このようにして積層したパネルに自立可能な強度を有する構造ができる。なお、この強度対策において、ハニカム材2の厚さ及び材質は記載のものに限定されない。
[0072]
図4(b)はハニカム材2のセルを形成する壁2wに塗布した接着剤11を、フェルト状繊維材3の内部に浸み込み込ませた部分をさらに詳しく示している。ただし、この図ではハニカム材のセルを形成する壁2wの下側の端部が押し込まれてフェルト状繊維材3の一部が圧縮されている状況が見えるようにするため接着剤11を描いていないので、接着剤11を描いてある図5も参照しながら説明する。
[0073]
図4(b)によって製造工程を繰り返し詳しく説明すると、ハニカム材2に酢酸ビニール樹脂エマルジョン系の接着剤11(不揮発分45%、水分55%)を塗布した面を、穴あき板1(すなわちエキスパンドメタル)と接着してないフェルト状繊維材3(すなわちロックウールグラスマット)の面に対向させる。
[0074]
その後に、プレスに挟んで図に矢印で示すように圧力をかけることによって、フェルト状繊維材3(すなわちロックウールグラスマット)のハニカム材2のセルを形成する壁2wと対向する部分に食い込みながら、フェルト状繊維材3の厚さを薄くし、すなわち繊維間の隙間を小さくし、同時に接着剤11をフェルト状繊維材3のセルを形成する壁2wの近傍の繊維間に浸み込ませ、接着剤11とフェルト状繊維材3でFRP状の複合構造を形成するものである。
[0075]
ここまでは、最初に穴あき板1(すなわちエキスパンドメタル)とフェルト状繊維材3(すなわちロックウールグラスマット)を接着して、その後にハニカム材2と接着する手順を説明したが、この手順であると途中で穴あき板1が変形しやすいという課題が有った。この課題を解決するためには、先にフェルト状繊維材3(すなわちロックウールグラスマット)とハニカム材2を接着してから、その後で穴あき板1(すなわちエキスパンドメタル)を接着する手順としても良い。
[0076]
図5は、図4(b)のハニカム材2のセルを形成する壁2wの先端部の1個所を拡大して、図4(b)では示していなかった接着剤11を描き加えて示すものである。図5(a)は接着剤を透視して繊維が見えている図であり、図5(b)は接着剤の部分を判り易くするために接着剤を不透明にして示したものである。
[0077]
ここで、接着剤11の一部でありセルを形成する壁2wの先端部がロックウールグラスマットに食いこむとき繊維に拭いとられて表面上に残った部分をR部、ハニカム材2のセルを形成する壁2wの下部の周囲に付着して残った部分をQ部、図でセルを形成する壁2wの先端部の下に残った部分をP部と名付けている。P部ならびにR部の部分はセルを形成する壁2wの周りに、面方向(図で水平方向)に寸法1~2mmに拡がっており、ロックウールグラスマットの表面近傍で繊維に浸透して繊維強化樹脂(FRP)を形成している。
[0078]
P部はハニカム材2のセルを形成する壁2wの先端部を中心に、Q部においては同じく壁の壁面に接着剤11が、ハニカム材2のセルを形成する壁2wの近傍のU字状に見えている繊維に、0.5~1.0mmの深さで浸透しており、壁を芯材とし、固化した接着剤の樹脂が繊維と一体化して補強される繊維強化樹脂(FRP)を形成していて、強度が高い構造となっている。
[0079]
吸音パネル全体として、P部ならびにR部はセルを形成する壁2wの周辺で固化し、六角形の連続したFRPがロックウールグラスマットの全面にできあがり、自立させたとき曲がったり折れたりしない強度を発揮する。ハニカム材2のセルを形成する壁2wの端部と対向するロックウールグラスマットの部分は、初期の厚み寸法5mmの場合、圧縮されて2~3mmになっている。このように、吸音パネルの自立性は、穴あき板、フェルト状繊維材の圧縮された部分、ハニカム材のセルを形成する壁周辺の複合構造(FRP)の3つの強度によって確保されている。
[0080]
図5に示すように、ロックウールグラスマットのハニカム材2のセルを形成する壁2wの先端部と対向しない、従って圧縮されない部分は厚さ方向に押し潰されておらず、厚さは4~5mmのままである。ロックウールグラスマットは押し潰されると吸音性能が悪化するが、ハニカム材2のセルを形成する壁2wは薄く、押しつぶされる部分の面積のロックウールグラスマットの全体の面積に対する比率は小さいので、吸音パネルとしての性能をほとんど低下させない。
[0081]
以上述べたように、穴あき板とフェルト材の接着ならびにハニカム材とフェルト材の接着に際して、加える圧力を穴あき板のときと比較して、ハニカム材のときは十分に大きくすることにより、穴あき板側ではフェルト状繊維材の表面近傍の個々の繊維に接着剤の被膜を形成し繊維の飛散を防ぎ、かつ吸音性は確保し、一方でハニカム材側では壁の先端部をフェルト状繊維材の内部まで押し込んで断面形状を平板状からU字状に変形させて、ハニカム材の壁面近傍に接着剤と繊維の複合構造を形成することで強度を上げ、かつ全体の吸音性は確保している。
[0082]
フェルト状繊維材3の強度を大きくする方法として、ニードルの打ち込み本数を増やし、密度を上げ方法があるが、この場合、必要な部分のみを均一に密度を上げることは出来ない。本実施例では、ハニカム材を利用し、ハニカム材の壁の端部で押して圧縮することで、当該の部分のみの密度を上げることにより、強度支持層にすることができた。なお、以上の実施例においては、主として、フェルト材に穴あき板を接着してからハニカム材を接着する工程で説明してあるが、フェルト材にハニカム材を接着してから穴あき板を接着する工程でも良い。
[0083]
本実施例において、ハニカム材としては、ケイ酸マグネシウム混抄紙ハニカムコアを使用したが、これに限定されず、金属・樹脂・その他の紙等を材料として使用したハニカムコアでも良い。セルサイズは15~25mmが本発明において適当である。セルサイズが小さいとセルを形成する壁2wがロックウールグラスマットの面積のかなりの部分が押し潰されて厚さが薄くなってしまい、吸音効果を低下させてしまう。逆に、セルサイズが大きすぎると自立性及び強度が低下して、取扱いに支障をきたす。本実施例のように適切なセルサイズを選定すればこのような問題は回避できる。
[0084]
本実施例では、ロックウールグラスマットは、自立性を向上させるため、密度130~150kg/m を使用し、厚さ5mmを選択した。
[0085]
なお、ハニカム材2のセルの形状は図に示した六角形に限定されない。フェルト状繊維材3はロックウールグラスマットに限定されず、密度は70~160kg/m の範囲で有効である。
実施例 2
[0086]
図6はさらに高い吸音率を得るための吸音パネルの第2の実施例の断面図である。図4に示した構造に加え、ハニカム材のセルの中に連通気泡型吸水性フェノールフォームを充填したものである。図6(a)に示すように、ハニカム材2と同等の厚さ(28~29mm。ただし図ではフェルト状繊維材3の厚さを判り易さのため誇張しているため、同等の厚さで描いていない)の硬質で連通気泡を有し吸水性を有するフェノールフォーム4を、ハニカム材2のフェルト状繊維材3と接着した面とは反対の面に重ねて対向し、次いで図6(b)に示すように、プレスで挟んで積層方向に強く押さえて、ハニカム材セルの空間にフェノールフォーム4を押し込んで充填したものである。
[0087]
フェノールフォーム4は、連通気泡であること、吸音性能、吸水性能によって選び、密度は16~30kg/m の範囲が本発明に適当である。本実施例では20kg/m を選択した。なお、使用するフォーム材は硬質、連通気泡型、吸水性であればよく、記載のフェノールフォーム材に限定されない。
[0088]
硬質フェノールフォームは、フェノール樹脂に種々の変性を行い、発泡硬化させて得られたもので、発泡プラスチックの中でも、熱的・化学的に最も安定した性質を有すると共に優れた断熱性、遮音性、難燃性をもっている。発泡させる時の条件によって独立気泡型または連通気泡型が得られる。連通気泡型であることで吸音性能が高いという効果が有る。
[0089]
なお、ハニカム材2とフェルト状繊維材3を接着する段階で、作業を迅速にするため、水溶性である接着剤10の水分を素早く除去することが必要であるが、吸水性のフェノールフォーム4をハニカム材2に付着させた接着剤10の位置まで押し込み、フェノールフォーム4が水分を吸収することで乾燥硬化を早くするという効果が有る。
実施例 3
[0090]
図7に示したのは、さらに高い遮音性能を得るための吸音パネルの別の実施例の断面図である。図6までの工程に加え、ハニカム材2の、フェルト状繊維材3と接着したのとは反対の面に非通気性(すなわち非吸音性)の反射材5を接着剤12により接着する。反射材5は、通気性の無い金属・木材・有機材・無機材から、質量・価格・遮音機能を勘案して選択する。本実施例では、価格・重量・不燃性・美観の面から厚さ1.2mmの塗装アルミ板を使用した。こうしてできた吸音パネルは図8に示す吸音性能を発揮することを確認した。
[0091]
反射材5とハニカム材2を接着させる接着剤としてエポキシ系を使用した。ただし、接着剤はエポキシ系に限定されない。
実施例 4
[0092]
更に別の実施例として実施例3で示した図7と同じ吸音パネル構造であって、反射材5として厚さ1.0mmの不燃紙(タイガレックス株式会社製、タイガレックス「不燃ボードGX10NA」、不燃認定NM-2285)を使用したものを示す。他の材料として穴あき板1に厚さ0.5mmのエキスパンドメタル、フェルト状繊維材3として厚さ5mmのロックウールグラスマット(大和理研工業株式会社製、ロックウールグラスマットRGM5-100、不燃認定NM-8112)、ハニカム材2として厚さは30mm、ハニカム材のセルに充填する連通気泡を有する硬質のフェノールフォーム4の厚さはハニカム材2と同じ厚さ30mmのものを使用すると、合計の厚さは接着剤層を含めて37mmになり、また実測重量は3.7kg/m を得た。
[0093]
発明者が別に発明した、図7に示した本実施例と類似の構成で、別の材料を使用している場合、すなわち穴あき板1、フェルト状繊維材3の部分に厚さ1.6mmのアルミ繊維材、反射材5として厚さ1.2mmのアルミ板を使用した合計の厚さ32.8mmの吸音パネルでは重量8kg/m であったが、これに対し、本実施例では53.75%の軽量化が達成できた。
[0094]
本実施例である図7に示した吸音パネル構造において、穴あき板1としてアルミニュームA1050材のエキスパンドメタルを使用し、ハニカム材2としてタイガレックス社ケイ酸マグネシウム混抄紙ハニカムコアを使用し、フェルト状繊維材3としてロックウールグラスマットを使用し、フェノールフォーム4として連通気泡型吸水性フェノールフォームを使用し、および反射材5として不燃紙を使用し、接着材12ならびに他の部位の接着に酢酸ビニール系エマルジョン接着剤を用いることで、発明者が別に発明した不燃認定(不燃認定NM-3167)を取得した吸音パネルと不燃性能で同等となることを確認した。
[0095]
ここで、吸音パネル全体が不燃性となる条件を整理すると、パネルの表裏面を形成し、外界と接する穴あき板、フェルト繊維、反射材には不燃性が要求される。一方、吸音パネルの内部にあるハニカム材、フェノールフォーム材は、外界にある火炎に直接は接しないが、高温化によって自然発火しない事が要求される。これは不燃性よりやや緩やかな条件となり、ここでは不燃性と区別して難燃性と称する事にする。
[0096]
また、各層を積層するのに使った水溶性の酢酸ビニール系エマルジョン接着剤(コニシ株式会社製、CX-50)に含まれる固形成分(フィラー材)は燃え難く、且つ塗布後に吸水性である不燃紙、連通気泡を有する硬質フェノールフォーム、ハニカムの各材料に接着剤が浸透し、不燃材料間を密着し、吸音パネル内部にフェノールフォーム材をハニカム材と反射材で囲む密封構造を形成する。この密封構造により、外界からの酸素供給が遮断され、吸音パネル外部から火を当てても内部は着火発炎し難い。
[0097]
ただし、吸音パネルの穴あき板、フェルト繊維側は通気性が維持されている。しかし、吸音パネル外部が高温化すると、これに伴う吸音パネル内部の高温化により接着剤やフェノールフォーム材に含まれる有機成分から分解ガスが放出され、分解ガスの中には高濃度の炭酸ガスが含まれる。この結果、吸音パネルの穴あき板、フェルト繊維側に通気性があっても吸音パネル外部から酸素は流入せず、吸音パネル内部からの燃焼を妨げる。
[0098]
このように密封構造と発生炭酸ガスが作用する結果、吸音パネル内部に燃焼に必要な酸素が存在しないために、吸音パネルを構成する全要素が不燃性ではなく構成要素の一部が難燃性であっても、図7に示した吸音パネル構造は不燃性となる。この結果、アルミ板を使用するより軽量を達成しながら、同時に不燃性である吸音パネルが実現できた。
[0099]
また、ハニカム材2、フェノールフォーム4、反射材5は吸水性の材料であり、反射材5の全面に水溶性の酢酸ビニール系エマルジョン接着剤(コニシ株式会社製、CX-50)を塗布して、ハニカム材2、フェノールフォーム4に接着すると、反射材5に塗布した接着剤は ハニカム材2、フェノールフォーム4、反射材5に浸透し、材料間の接着層が確認できないほど密着して仕上がる。すなわち、この積層構造は完全に一体化するので、吸音パネルの自立強度を増加することができた。この自立性の確認は、450×910×37mmと910×1820×37mmの寸法のパネルで行った。

符号の説明

[0100]
1   穴あき板(エキスパンドメタル)
2   ハニカム材
2w  セルを形成する壁
3   フェルト状繊維材(ロックウールグラスマット)
31  繊維
4   フェノールフォーム
5   反射材(非通気材)
10  接着剤
11  接着剤
12  接着剤
14  接着剤
21  プレス上盤
22  プレス下盤
P  接着剤とセルの壁先端部近傍の繊維による複合構造
Q  接着剤とセルの壁面近傍の繊維による複合構造
R  接着剤とフェルト材の表面層の繊維による複合構造

請求の範囲

[請求項1]
複数の材料を接着して積層したパネル構造において、該パネル構造の一部としてフェルト状繊維材とハニカム材が水溶性接着剤で接着されており、
該ハニカム材のセルを形成する壁の先端部は該フェルト状繊維材に深く食い込んでおり、
該ハニカム材のセルを形成する壁の近傍の該フェルト状繊維材の繊維と該接着剤とが一体化して固化した部分が複合構造をなして、該ハニカム材のセルを補強していることを
特徴とする吸音パネル。
[請求項2]
複数の材料を接着して積層したパネル構造において、該パネル構造の一部としてフェルト状繊維材とハニカム材を水溶性接着剤で接着するとき、
該ハニカム材のセルを構成する壁の該フェルト状繊維材と対向する先端部に接着剤を塗布し、
両者を積層方向に強く押さえることで、該ハニカム材のセルを形成する壁の先端部ならびに該接着剤を該フェルト状繊維材に深く食い込ませ、
該フェルト状繊維材の内で該ハニカム材のセルを形成する壁の近傍の繊維と該接着剤とを一体化して固化させて製造することを
特徴とする吸音パネルの製造法。
[請求項3]
複数の材料を接着して積層したパネル構造において、該パネル構造の一部としてフェルト状繊維材と穴あき板が水溶性の接着剤によって接着してあり、
該接着剤は、該穴あき板の穴の部分において露出している該フェルト状繊維材の全面に行きわたって表面近傍の繊維を固定し、繊維の飛散を防止し、
かつ繊維間には隙間が有って通気性が有る構造であることを
特徴とする吸音パネル。
[請求項4]
複数の材料を接着して積層したパネル構造で、該パネル構造の一部としてフェルト状繊維材と穴あき板を水溶性の接着剤によって接着し、
該接着剤を、該穴あき板の穴の部分において露出している該フェルト状繊維材の全面に行きわたらせて、もって表面近傍の繊維を固定し、繊維の飛散を防止し、かつ繊維間には隙間を残し、通気性を持たせたことを
特徴とする吸音パネルの製造法。
[請求項5]
ハニカム材、フェルト状繊維材と穴あき板がこの順に水溶性の接着剤によって接着してあり、
該接着剤ならびに該ハニカム材のセルを形成する壁の先端部は該フェルト状繊維材に深く食い込んでおり、
該ハニカム材のセルを形成する壁の近傍の該フェルト状繊維材の繊維と該接着剤とが一体化して固化した部分が複合構造をなすことで該セルを補強しており、
該フェルト状繊維材と該穴あき板を接着する該接着剤は、該穴あき板の穴の部分において露出している該フェルト状繊維材の全面に行きわたって表面近傍の繊維を固定し、繊維の飛散を防止し、かつ繊維間には隙間が有って通気性が有る構造であることを
特徴とする吸音パネル。
[請求項6]
ハニカム材、フェルト状繊維材と穴あき板をこの順に水溶性の接着剤によって接着し、
該フェルト状繊維材と該ハニカム材を積層方向に強く押さえ、該接着剤ならびに該ハニカム材のセルを形成する壁の先端部を該フェルト状繊維材に深く食い込ませて、
該ハニカム材のセルを形成する壁の近傍の該フェルト状繊維材の繊維と該接着剤が固化した部分を一体化して複合構造を形成して該セルを補強し、
該フェルト状繊維材と該穴あき板を接着する該接着剤を、該穴あき板の穴の部分において露出している該フェルト状繊維材の全面に行きわたらせて表面近傍の繊維を固定させることで、繊維の飛散を防止し、かつ繊維間には隙間を残し、通気性を持たせたことを
特徴とする吸音パネルの製造法。
[請求項7]
複数の材料を接着剤で接着し積層したパネル構造で、該パネル構造の一部としてフェルト状繊維材とハニカム材が隣接しており、
該フェルト状繊維材と該ハニカム材の接着によって積層方向に圧縮力がかかっており、
該フェルト状繊維材に該ハニカム材のセルを形成する壁の端部が食い込んでおり、
該ハニカム材のセルを形成する壁の近傍の該フェルト状繊維材だけが押し潰されていて、繊維の密度が高く、したがって強度が高い構造であることを
特徴とする吸音パネル。
[請求項8]
複数の材料を接着剤で接着し積層したパネル構造で、該パネル構造の一部としてフェルト状繊維材とハニカム材を隣接させ、
該フェルト状繊維材と該ハニカム材の接着に際して積層方向に圧縮力をかけ、
該フェルト状繊維材に該ハニカム材のセルを形成する壁の端部を食い込ませ、該ハニカム材のセルを形成する壁の近傍の該フェルト状繊維材だけを押し潰し、繊維の密度が高い状態にして、それによって強度を高めることを
特徴とする吸音パネルの製造法。
[請求項9]
穴あき板、フェルト状繊維材ならびにハニカム材がこの順に積層されており、
それぞれの間を水溶性の接着剤によって接着してあり、
該接着剤ならびに該ハニカム材のセルを形成する壁の先端部は該フェルト状繊維材に深く食い込んでおり、
該ハニカム材のセルを形成する壁の近傍の該フェルト状繊維材の繊維と該接着剤とが一体化して固化した部分が複合構造をなし、
硬質で連通気泡を有し吸水性を有するフェノールフォームを該ハニカム材のセルの空間に充填した構造であることを
特徴とする吸音パネル。
[請求項10]
穴あき板、フェルト状繊維材ならびにハニカム材を、この順に積層し、
それぞれの間を水溶性の接着剤によって接着し、
該接着剤ならびに該ハニカム材のセルを形成する壁の先端部を該フェルト状繊維材に深く食い込ませ、
該ハニカム材のセルを形成する壁の近傍の該フェルト状繊維材の繊維と該接着剤とを一体化して固化させた部分が複合構造をなさしめ、
該ハニカム材の表面に硬質で連通気泡を有し吸水性を有するフェノールフォームを対向して重ね、全体を積層方向に強く押さえることで、該ハニカム材のセルの空間に該フェノールフォームを押し込んで充填することを
特徴とする吸音パネルの製造法。
[請求項11]
請求項9に示した吸音パネルにおいて、該ハニカム材の表面に非通気性の反射材を接着剤で接着して積層し、高い吸音性を得る構造であることを
特徴とする吸音パネル。
[請求項12]
請求項10に示した吸音パネルの製造法において、該ハニカム材の表面に非通気性の反射材を接着剤で接着して積層し、高い吸音性を得ることを
特徴とする吸音パネルの製造法。
[請求項13]
請求項11に示した吸音パネルにおいて、
該穴あき板、該フェルト状繊維材、該反射材がそれぞれ不燃材であり、該ハニカム材ならびに該フェノールフォームについて、それぞれが難燃材であり、
全体として不燃物であることを
特徴とする吸音パネル。
[請求項14]
請求項12に示した吸音パネルの製造方法において、
該穴あき板、該フェルト状繊維材、該反射材をそれぞれ不燃材とし、該ハニカム材ならびに該フェノールフォームについて、それぞれを難燃材として、
全体として不燃物とすることを
特徴とする吸音パネルの製造方法。
[請求項15]
請求項3または請求項5に示した吸音パネルにおいて、該穴あき板の穴の寸法が該フェルト状繊維材の繊維長より小さく、該繊維が穴を越えて外部に出て来ないことを
特徴とする吸音パネル。
[請求項16]
請求項4または請求項6に示した吸音パネルの製造法において、該穴あき板の穴の寸法が該フェルト状繊維材の繊維長より小さく、該繊維が穴を越えて外部に出て来ないものを使用したことを
特徴とする吸音パネルの製造法。
[請求項17]
請求項3または請求項5または請求項9に示した該穴あき板は、エキスパンドメタルもしくはパンチングメタルであることを
特徴とする吸音パネル。
[請求項18]
請求項4または請求項6または請求項10に示した該穴あき板として、エキスパンドメタルもしくはパンチングメタルを使用することを
特徴とする吸音パネルの製造法。
[請求項19]
請求項11に示した吸音パネルにおいて、
該ハニカム材、該フェノールフォームならびに該反射材について、
それぞれの間を水溶性の接着剤によって接着して一体化してある構造によって自立強度が高いことを
特徴とする吸音パネル。
[請求項20]
請求項12に示した吸音パネルの製造法において、
該ハニカム材、該フェノールフォームならびに該反射材について、
それぞれの間を水溶性の接着剤によって接着して一体化することで自立強度を高めたことを
特徴とする吸音パネルの製造法。



図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]