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1. (WO2019008738) FIELD EMISSION-TYPE ELECTRON SOURCE AND CHARGED PARTICLE BEAM DEVICE
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明 細 書

発明の名称 電界放出型電子源および荷電粒子線装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

非特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

課題を解決するための手段

0020  

発明の効果

0021  

図面の簡単な説明

0022  

発明を実施するための形態

0023   0024   0025   0026   0027   0028  

実施例 1

0029   0030   0031   0032   0033   0034  

実施例 2

0035   0036  

実施例 3

0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043  

符号の説明

0044  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1A   1B   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 電界放出型電子源および荷電粒子線装置

技術分野

[0001]
 本発明は、電界放出型電子源およびそれを用いた荷電粒子線装置に関する。

背景技術

[0002]
 走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)や透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)は、電子銃から放出される電子線を加速し、電子レンズにより細い電子ビームとし、これを一次電子ビームとして走査偏向器を用いて試料上を走査する。SEMであれば得られる二次電子あるいは反射電子を検出して像を得、TEMであれば、試料を透過した電子を検出して像を得る。
[0003]
 これら電子顕微鏡の電子銃には電界型放出電子源が一般的に用いられている。電界放出型電子源には大きく分けて冷陰極電界放出型電子源と熱陰極電界放出型電子源とがある。冷陰極電界放出型電子源は、単結晶タングステン線材の先端を尖らせた針状電極の先端に電場を与えて電子を放出させる。熱陰極電界放出型電子源は、単結晶タングステン線材の先端を尖らせた針状電極の側面に、例えばジルコニアを付着させ、加熱した状態で針先端に電場を与えて電子を放出させる。この熱陰極電界放出型電子源はショットキー電子源とも呼ばれる。
[0004]
 ショットキー電子源は、タングステン結晶面(100)上にジルコニウム、酸素を熱拡散により供給することにより、仕事関数の低い領域を形成する。加熱温度は1600K~1900K程度、通常は1700K~1800Kで使用する。タングステン針先端に結晶面(100)を設け、強電場を印加することにより、ポテンシャル障壁を越える熱電子とトンネル効果によって透過する電子を取り出す。
[0005]
 ショットキー電子源は、単結晶タングステンの結晶方位(100)を先端にした針状電極が加熱用タングステンフィラメントにスポット溶接して固定されている。針状電極は拡散供給源であるジルコニアを備えている。この拡散供給源は、針の先端側から見ると針の周囲に成形されている。
[0006]
 特許文献1には、拡散供給源の成形に、水素化ジルコニウム微粒子を有機溶剤に混ぜた液を刷毛でタングステン針の側周部に付着させ、真空加熱して焼結する方法が開示されている。特許文献2には、拡散供給源に酸化スカンジウムを用いて単結晶タングステン先端(100)面の仕事関数を減少させ、低温度で動作させることを開示している。拡散供給源の成形には、酸化スカンジウム粉末を有機溶媒等に混合してスラリー状にして付着させる、あるいは蒸着させることが開示されている。特許文献3には、拡散供給源であるジルコニアの厚さと長さとを制御することにより、実用的に安定した寿命が得られることが開示されている。
[0007]
 また、非特許文献1には、ジルコニア拡散による仕事関数の選択的低下メカニズムに関し、表面分析手法をもちいたショットキー電子源の構造や組成の解明が試みられている。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 特開平6-76731号公報
特許文献2 : 特開平10-31955号公報
特許文献3 : 特開2013-84550号公報

非特許文献

[0009]
非特許文献1 : Ryuichi Shimizu, “Characterization of refractory surface at a high temperature applied to the Zr-O/W(100) system. On self-recovery function”, Journal of Electron Microscopy, 47(5), 371-378 (1998)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 拡散供給源のジルコニアが加熱されて単結晶タングステン線材の表面を拡散することにより、針状電極先端のタングステン結晶面(100)の仕事関数が4.5eVから約2.8eVに低下する。エミッション中にジルコニアの拡散不良が生じると、タングステン針先端の結晶面の状態が変化し、電子放出特性の劣化が不定期に発生する。また、その劣化の発生する頻度には個体差もある。安定した電子放出特性を得るためには、針状電極先端の仕事関数の低い領域を保つ必要があるが、このためにはジルコニアが単結晶タングステン線材表面に安定して拡散される必要がある。
[0011]
 物質が表面拡散するときの拡散物質の表面被覆率と拡散距離との関係は(数1)にて表わされる。ここで、k:拡散係数、K:蒸発係数、C:表面被覆率、x:拡散距離である。
[0012]
[数1]


[0013]
 x(拡散距離)=0のとき、C(表面被覆率)=1とすると、(数2)の関係が成立する。
[0014]
[数2]


[0015]
 (数2)より拡散距離xが増加するほど、蒸発の影響を受け表面被覆率が減少することがわかる。これを実験により確認した。図2は、電界放出型電子源のジルコニアの焼結位置を変更して作製し、拡散不良率を従来(点20)との比較で示したものである。ジルコニアの焼結位置をより先端に近く配置して針状電極先端までの拡散距離Lが短くなるほど拡散不良が減少し、安定したエミッション特性が得られることがわかる。図中の点線はこれらの実験結果から拡散距離Lと拡散不良との関係を推定したものであり、拡散距離Lが短くなるよう、拡散供給源を針状電極の先端により近い場所に配置するほどエミッション特性が安定することを示している。
[0016]
 図3にショットキー電子源を搭載した電子銃の模式図を示す。電子源101はタングステン針状電極1、フィラメント3、サプレッサ電極4を有する。タングステン針状電極1はフィラメント3に固定されている。タングステン針状電極1の周囲にはエミッション中にジルコニアをタングステン針状電極1の先端に供給する拡散供給源2が形成されている。タングステン針状電極1の先端がサプレッサ電極開口部5から突出しているのを除いては、フィラメント3およびタングステン針状電極1はサプレッサ電極4に覆われている。フィラメント3は加熱電源108により加熱され、拡散供給源2からジルコニアがタングステン針状電極1の先端(エミッタ)まで拡散供給される。引出電極103には引出電極電源105から正電圧が印加され、タングステン針状電極1の先端(エミッタ)から熱電子が引き出される。引き出された電子は、加速電極電源107により正電圧が印加された加速電極104により加速される。一方、サプレッサ電極4はタングステン針状電極1の先端(エミッタ)より放出される熱電子を遮蔽するため、バイアス電源106により負電圧が印加されている。
[0017]
 このようにショットキー電子源を搭載した電子銃では、タングステン針状電極1の先端は引出電極103とサプレッサ電極4の間に配置されるため、針状電極1の先端付近には強い電場がかかっている。拡散供給源2を針状電極1の先端付近に配置すると、拡散供給源2はこの電場の影響を受けることになる。
[0018]
 従来、拡散供給源の製法としては、粘度をもった有機溶剤に混ぜたジルコニア粒子液を刷毛やスポイトで滴下して付着させた後に焼結して作製することが一般的であった。このため、液中の粒子は均一に分散されず、真空中で焼結した後には表面凹凸やクラックが生じやすい。この凸部やクラック端に電界が集中すると、針の先端以外からの電子放出が生じやすくなり放電の要因になる。このため、拡散供給源を電場の影響を受けないサプレッサ電極内に収まるように配置している。一般的な電界放出型電子源のタングステン針状電極はサプレッサ電極から250μm突き出す形で構成されているため、針先端からジルコニアまでの距離は最短でも250μmあった。
[0019]
 本発明は、拡散供給源を針状電極の先端により近くに配置しても電場の影響を抑え、安定した長期エミッション特性が得られる電界放出型電子源およびそれを用いた荷電粒子線装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0020]
 サプレッサ電極の開口部より突き出した針状電極の部分を除いて、フィラメント及び針状電極を覆うようにサプレッサ電極が配置される電界放出型電子源において、針状電極の周りには、その表面に拡散されるジルコニアを供給する拡散供給源が形成されており、拡散供給源は、少なくともサプレッサ電極に覆われた部分においては10μm以上の厚さを有し、開口部5より突き出した部分においては100nm以上の厚さを有するように形成する。また、かかる電界放出型電子源を荷電粒子線装置の電子源として構成する。

発明の効果

[0021]
 電界放出型電子源の針状電極表面でのジルコニアの拡散が安定し、安定した長期エミッションが可能になる。

図面の簡単な説明

[0022]
[図1A] 電界放出型電子源の全体構成を表す図である。
[図1B] 針状電極の先端を表す図である。
[図2] 拡散距離と拡散不良との関係を表す実験結果である。
[図3] 電界放出型電子源を搭載する電子銃の模式図である。
[図4] ジルコニア拡散源の厚さと消費長さ及び消費容積との関係を示す実験結果である。
[図5] 実施例1の拡散供給源の形状を示す図である。
[図6] 針状電極1の先端側のジルコニア拡散源の消費長さを推定する図である。
[図7] 実施例2の拡散供給源の形状を示す図である。
[図8] 実施例3の拡散供給源の形状を示す図である。
[図9] 走査電子顕微鏡の全体構成を示す図である。

発明を実施するための形態

[0023]
 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[0024]
 図1Aに電界放出型電子源101の全体構成を示す。絶縁碍子7に2本の固定された導電端子6があり、加熱用フィラメント3(タングステンフィラメント)の両端部付近がスポット溶接されている。湾曲させたフィラメント中央部には単結晶タングステン棒の先端を鋭く尖らせた針状電極1の底部がスポット溶接される。図1Bに示すように、針状電極1の先端8は、タングステン単結晶の(100)面となっている。
[0025]
 拡散供給源2がその周囲に形成されたタングステン針状電極1はサプレッサ電極4により覆われている。サプレッサ電極4は、逆向きのカップ型構造でカップ底の中央部分に円形の開口部5がある。この開口部5からタングステン針状電極1の先端部分が突き出すように固定される。本実施例においては、タングステン針状電極1のサプレッサ電極4の開口部5から突き出した先端部分の側面にまで延伸する拡散供給源2を設ける。
[0026]
 拡散供給源のジルコニアはタングステンフィラメント3により加熱されることで針状電極表面を拡散し、針状電極1の先端8の仕事関数を下げるが、拡散と同時に蒸発も進行する。このため、ジルコニアが枯渇した時点で、この電界放出型電子源は電子を放出できなくなり寿命となる。すなわち、拡散供給源は、寿命に応じた容積(量)が必要である。図4に、拡散供給源のジルコニアの厚みに対する単位時間当たりの消費長さ、消費容積との関係を示す。図4のグラフは、通常使用温度よりも200K~300K高い2000Kに針状電極を加熱して拡散供給源のジルコニアの消費状況を実験的に加速評価したものである。この評価では、加熱時間hと消耗容積ΔV(全容積V)、通常使用温度(1700K~1800K)での加熱時及び2000K加熱時に放出するガス量の比Rをそれぞれ測定することで、通常使用温度での加熱時の寿命Tを、T=V/ΔV×h×Rにより推定することができる。
[0027]
 グラフ41に示されるように、単位時間あたりの消費長さは厚みが10μmより薄いと増加するのに対し、厚みが10μmを越えると一定値に収束する傾向にあることが分かる。一方、単位時間当たりの消費容積は、厚みに比例して増加する。
[0028]
 これにより、電子源の寿命を考える場合、拡散供給源のジルコニアの厚みを10μmとし、長さでその寿命を調節することが可能である。ジルコニア全体の厚みを10μmにすることで寿命が管理しやすいが、サプレッサ電極の開口部より突出した部分に位置する拡散供給源に極端な段差や凹凸があると放電の原因になりかねない。そこで、サプレッサ外に位置する拡散供給源は、サプレッサ電極の開口部から先端に向けて徐々に薄くなることが望ましい。
実施例 1
[0029]
 実施例1の拡散供給源の形状を図5に示す。拡散供給源9はインクジェット技術を用いて形成する。拡散供給源9は、ジルコニア粒子を5~10plの液体中に分散させ、インクジェット式塗布機にて針状電極1の側面に塗布することで形成する。ジルコニア粒子を分散させる液体は、有機溶剤、無機溶剤のいずれであってもよい。先端により近い部分は、滑らかに薄く形成できるよう、ジルコニア分散液が吐出する間隔と塗布回数を制御する。インクジェットによるジルコニア塗布は厚さのコントロールが容易に行え、表面の凹凸を少なく形成できる点で優れている。
[0030]
 ジルコニア塗布開始位置は、針状電極1の先端を尖らせるための研磨の影響を受けないよう、先端8から100μm離れた位置とする。なお、製造誤差等を考慮すると、先端から100±50μm離れた位置とすればよい。拡散供給源9としてジルコニアを全体的に薄く塗布すると、短期間で拡散供給源が蒸発し枯渇してしまうため、長期安定したエミッションが出来ない。このため、先端から充分に離れた部分においては、最低でも10μmの厚さにしたい。先端から100μm離れた位置から塗布を開始した場合、サプレッサ電極4外に位置する拡散供給源9の長さは150μmとなる。この150μmの長さの拡散供給源9は、凹凸が生じないように薄く塗布する。一方、サプレッサ電極4で覆われる部分の拡散供給源9の厚さは、10μm以上になるよう厚さを徐々に増加させる。
[0031]
 塗布した後に真空中で加熱することでジルコニアが針状電極1側面に焼結される。インクジェットによるジルコニア塗布は表面の凹凸を少なくできるのが特徴であるが、焼結後のジルコニアの表面に放電が回避できないような凸部が確認された場合は、機械研磨およびレーザアニール法を用いてその表面を滑らかにする加工を施してもよい。
[0032]
 サプレッサ電極4の開口部5より突出した部分に位置する拡散供給源にはある程度の厚みが必要である。針状電極1の先端側の拡散供給源の厚みによっては、後部(フィラメント側)の拡散供給源から供給されるジルコニア量よりも拡散、蒸発等の作用により失われるジルコニア量が勝ってしまい、拡散供給源の先端と針状電極先端との間の拡散距離Lが伸びてしまっては効果が低減する。このため、拡散供給源の先端の後退をある程度抑えられる程度の厚さを有する必要がある。図6は1700Kで連続エミッション時における、針状電極先端側のジルコニア消費長さを推定したものである。図4の元となったジルコニア消費加速試験の実測値から換算したものである。針状電極1の先端は加熱源(フィラメント)から遠く、かつ後部からジルコニアが供給されるため、拡散供給源9の厚さが比較的薄くても消費長さが著しく低減することはないことが分かる。サプレッサ電極4の開口部5より突出した部分に位置する拡散供給源9の厚みは、100nm以上、望ましくは1μm以上とすることが望ましい。
[0033]
 この一方で、サプレッサ電極4の開口部5と、拡散供給源9が設けられたタングステン針状電極1が極端に近づく場合は放電のリスクがあるため、サプレッサ電極4の開口部5の内径は、タングステン針状電極1の直径に対し、少なくとも2倍以上となるように設計されている。このような開口部5との位置関係は拡散供給源9の厚みを制約する要因となる。
[0034]
 このように構成した電界放出型電子源を図3に示す電子銃に設置する。加熱電源108により電子源101を所定の温度に加熱し、引出し電極103とサプレッサ電極4に所定の電圧を印加して針状電極1の先端に電場をかけたところ、正常な電子放出の継続を確認した。また、ジルコニア表面に電界が集中するような凸部やクラックが生じることはなかった。
実施例 2
[0035]
 実施例1と異なる拡散供給源9の形状を図7に示し、形成方法について説明する。実施例2では、タングステン針状電極1の先端8の近傍までジルコニアを塗布して拡散供給源9を形成する。先端の尖らせた部分にも薄く均一にジルコニアが塗布できるよう、インクジェットの吐出部の角度と距離を制御する。このとき、タングステン針状電極1自体の角度と距離を調節してもよい。急激な厚さの変化による段差が生じないように、緩やかな丸みがつくように塗布する。サプレッサ電極に覆われる部分は、拡散供給源のジルコニアが枯渇しないよう、10μm以上の厚さになるようにする。複数のタングステン針状電極1の先端8にジルコニア塗布を行い、加熱焼結後のジルコニア形状を観察したところ、ジルコニア表面に電界が集中するような凸部やクラックが生じることはなかった。また、焼結したジルコニア量のばらつきは2%以内に収まった。このようにインクジェットによる塗布は、従来と比較して高精度な膜厚制御が可能である。
[0036]
 図7に示すように、サプレッサ電極4の開口部5からタングステン針状電極1の先端部分が突き出す構造になるが、突き出した部分には、先端8を除く全ての面に滑らかな表面を持つジルコニアが存在する。電子銃に設置し、評価したところ、拡散が安定した電界放出型電子源が再現性よく作製できることがわかった。
実施例 3
[0037]
 さらに別の拡散供給源の形状を図8に示し、形成方法について説明する。実施例3では、タングステン針状電極1の先端8以外をジルコニア薄膜で覆う。まず、絶縁碍子及び導電端子、これに接続された加熱用フィラメント3及びタングステン針状電極1に真空蒸着装法を用いて10~100nm程度のジルコニア薄膜10aを全体に形成する。このとき、先端8のタングステン結晶面(100)にジルコニアが成膜されないようにする。あるいは、全体を成膜してから、エッチングで先端のジルコニアを除去してもよい。
[0038]
 次に、針状電極先端から250μm以上離れた位置(サプレッサ電極4で覆われる位置)に、拡散供給源となるジルコニア10bをインクジェット技術または分散液の滴下によって、10μm以上の厚さになるようタングステン針状電極1側面に塗布する。これにより、早期に拡散供給源のジルコニアが枯渇することを防ぐ。ジルコニア分散液を塗布した後、真空中で加熱することで、ジルコニア10bを針状電極1側面に焼結させる。
[0039]
 図8に示すように、サプレッサ電極4の開口部5からタングステン針状電極1の先端部分が突き出す構造になるが、突き出した部分には、蒸着された滑らかな表面を持つジルコニア薄膜10aが存在する。これにより、拡散が安定した電界放出型電子源が作製できる。
[0040]
 荷電粒子線装置の例として、本実施例の電界型放出電子源を搭載した走査電子顕微鏡の全体構成を図9に示す。電子銃100は、実施例1~3として説明した電界放出型電子源101、引出電極103及び加速電極104とを含む。この詳細は図3に示す通りである。電子銃100から放出される電子ビーム131は、第1コンデンサレンズ112、第2コンデンサレンズ113を通り、対物レンズ116によりステージ118に保持される試料117上に結像するように照射される。対物レンズ116は電場レンズでもよく、磁場レンズでもよく、電場磁場重畳レンズであってもよい。また、電子銃100の後段には電子ビーム131のビーム軸を制御するためのアライナー111が配置されている。
[0041]
 電子ビーム131と試料117の物質との相互作用により、試料117の表面から2次電子が放出される。比較的エネルギーの小さい2次電子は試料付近に置かれた検出器121により検出され、比較的エネルギーの大きい2次電子は検出器120により検出される。電子ビーム131が第1走査偏向器114及び第2走査偏向器115により2次元に走査されることにより、検出器121または検出器120からの検出信号に基づき、試料の2次元画像を得ることが出来る。また、上記で説明した2次電子以外にも、試料の手前にて反射する反射電子や試料の内部から生じる後方散乱電子、2次電子が反射板やその他に当たり生じる3次電子などにも適用できる。そして、電子ビームの照射に起因するこれらの電子を検出するために、検出器121または検出器120は、種類や配置を適宜変更することができる。
[0042]
 これら走査電子顕微鏡の構成要素は鏡体110において高真空状態に保たれている。本実施例によるエミッション特性が長期にわたって安定な電界型放出電子源を適用することにより、高画質な像を安定して得ることができる。
[0043]
 以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、拡散供給源は、ジルコニアに限られるものではなく、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、及びランタノイド系列群から選ばれた金属元素の化合物、酸化物のいずれでもよく、自在に2種類以上の元素を組み合わせてもよい。

符号の説明

[0044]
1・・・タングステン針状電極、2,9・・・拡散供給源、3・・・フィラメント、4・・・サプレッサ電極、5・・・サプレッサ電極開口部、6・・・導電端子、7・・・絶縁碍子、8・・・タングステン針状電極先端、10a・・・ジルコニア薄膜、10b・・・拡散供給源となるジルコニア、101・・・電子源、103・・・引出電極、104・・・加速電極、105・・・引出電極電源、106・・・バイアス電源、107・・・加速電極電源、108・・・加熱電源、100・・・電子銃、110・・・鏡体、111・・・アライナー、112,113・・・コンデンサレンズ、114,115・・・走査偏向器、116・・・対物レンズ、117・・・試料、118・・・ステージ、120,121・・・検出器、131・・・電子ビーム(1次電子)、132,133・・・2次電子。

請求の範囲

[請求項1]
 針状電極と、
 前記針状電極の端部が溶接されたフィラメントと、
 開口部を有するサプレッサ電極とを有し、
 前記サプレッサ電極の前記開口部より突き出した前記針状電極の部分を除いて、前記フィラメント及び前記針状電極を覆うように前記サプレッサ電極が配置され、
 前記針状電極の周りには、前記針状電極の表面に拡散されるジルコニアを供給する拡散供給源が形成され、
 前記拡散供給源は、少なくとも前記サプレッサ電極に覆われた部分においては10μm以上の厚さを有し、前記サプレッサ電極の前記開口部より突き出した部分においては100nm以上の厚さを有する電界放出型電子源。
[請求項2]
 請求項1において、
 前記針状電極はタングステン単結晶である電界放出型電子源。
[請求項3]
 請求項2において、
 前記針状電極の先端から100±50μmの位置に前記拡散供給源を配置する電界放出型電子源。
[請求項4]
 請求項2において、
 前記拡散供給源は、前記サプレッサ電極の前記開口部から前記針状電極の先端に向けて徐々に薄くなる形状を有する電界放出型電子源。
[請求項5]
 請求項4において、
 前記拡散供給源は、インクジェットにより塗布されたジルコニア分散液を焼結し形成された電界放出型電子源。
[請求項6]
 請求項1において、
 前記ジルコニアに代えて、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、及びランタノイド系列群から選ばれた金属元素の化合物、酸化物を用いる電界放出型電子源。
[請求項7]
 針状電極と、前記針状電極の端部が溶接されたフィラメントと、開口部を有するサプレッサ電極とを有し、試料へ電子ビームを放出する電界放出型電子源と、
 コンデンサレンズと、
 前記コンデンサレンズを通過した前記電子ビームを前記試料上に結像する対物レンズと、
 前記電子ビームを前記試料へ照射したことに起因する電子を検出する検出器とを有し、
 前記サプレッサ電極の前記開口部より突き出した前記針状電極の部分を除いて、前記フィラメント及び前記針状電極を覆うように前記サプレッサ電極が配置され、
 前記針状電極の周りには、前記針状電極の表面に拡散されるジルコニアを供給する拡散供給源が形成されており、
 前記拡散供給源は、少なくとも前記サプレッサ電極に覆われた部分においては10μm以上の厚さを有し、前記サプレッサ電極の前記開口部より突き出した部分においては100nm以上の厚さを有する荷電粒子線装置。
[請求項8]
 請求項7において、
 前記針状電極はタングステン単結晶である荷電粒子線装置。
[請求項9]
 請求項8において、
 前記針状電極の先端から100±50μmの位置に前記拡散供給源を配置する荷電粒子線装置。
[請求項10]
 請求項8において、
 前記拡散供給源は、前記サプレッサ電極の前記開口部から前記針状電極の先端に向けて徐々に薄くなる形状を有する荷電粒子線装置。
[請求項11]
 請求項10において、
 前記拡散供給源は、インクジェットにより塗布されたジルコニア分散液を焼結し形成された荷電粒子線装置。
[請求項12]
 請求項7において、
 前記ジルコニアに代えて、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、及びランタノイド系列群から選ばれた金属元素の化合物、酸化物を用いる荷電粒子線装置。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]