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1. (WO2010038840) METHOD FOR PREDICTING PHARMACOLOGICAL EFFICACY OF ANTI-TNFα ANTIBODY PREPARATION ON RHEUMATOID ARTHRITIS, AND PHARMACOLOGICAL EFFICACY PREDICTION APPARATUS
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明 細 書

発明の名称 関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法、及び薬効予測装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

非特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008   0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023  

実施例

0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044  

産業上の利用可能性

0045  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : 関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法、及び薬効予測装置

技術分野

[0001]
 本発明は、被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量を指標として、関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法、及び薬効予測装置に関する。

背景技術

[0002]
 近年、関節リウマチ寛解目的にTNFα(tumor necrosis factor α)を標的にした生物学的製剤が使用されるようになり、その有効性が認められるようになってきた。インフリキシマブ(Infliximab(INF))は、抗TNFαモノクローナル抗体から成るTNFαをターゲットとする生物学的製剤で、関節リウマチの活動性を抑えることがDAS(Disease activity score)28と呼ばれる臨床的指標を用いて既に知られている。また、インフリキシマブは、関節リウマチの活動性を抑えるのみならず、関節リウマチに伴う骨破壊も抑制することが報告されている。
[0003]
 しかし、このように顕著な有効性を持ち合わせているにもかかわらず、インフリキシマブ無効の関節リウマチ症例も存在する。さらに、インフリキシマブにはニューモシスティス肺炎や、肺結核等の感染症を惹起しやすい副作用もあるため、投与前にインフリキシマブの有効性を予測することで、より確実に効く症例にインフリキシマブを投与することができ、無駄な副作用を回避することもできうる。
[0004]
 インフリキシマブの有効性予測因子を同定する試みはこれまでのところいくつか報告が認められる(非特許文献1、2参照)。それらは、インフリキシマブ有効例と無効例との間で比較した後ろ向き試験により、有効例と関連する遺伝子発現をアルゴリズムで解析したものが多く、前向き試験等で確認し得た確実なインフリキシマブ有効性予測因子は、まだ同定されていない。
[0005]
 また、ADAMTS(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs)5は、ADAMTSファミリーに属する軟骨破壊に関与するアグリカナーゼであることが知られている。特に、変形性関節症モデルマウスにおいて、ADAMTS5の欠失が軟骨破壊を抑制することが報告されている。
 しかしながら、ADAMTS5の発現量と、関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の有効性との相関は知られていない。

先行技術文献

非特許文献

[0006]
非特許文献1 : Laqurre T, Gauthier-Jauneau A, Bansard C, Derambure C, Hiron M, Vittecoq1 O, Daveau M, Mejjad O, Daragon A, Tron F, Le Loet X, Salier J-P. Arthritis Res Ther 2006; 8: R105
非特許文献2 : Trocme C, Marotte H, Baillet A, Pallot-Prades B, Garin J, Grange L, Miossec P, Tebib J, Berger F, Nissen MJ, Juvin R, Morel F, Gaudin P. Ann Rheum Dis 2008. Epub ahead of print

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の有効性を、確実性が高く、かつ、簡便に予測すること、及び前記薬を投与した後における関節リウマチの活動性を予測することができ、また、前記薬がより確実に効く症例に薬を投与することで無駄な副作用を回避することができる関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法、及び薬効予測装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、インフリキシマブ投与前の関節リウマチ患者の末梢血中のADAMTS5の含有量が少ないほど、インフリキシマブが有効であるという知見である。インフリキシマブ投与前の血中のADAMTS5の含有量によって、インフリキシマブの有効性を予測できないかを前向き試験により行った報告は従来には無く、前記知見は、本発明者らによる新たな知見である。
 なお、後ろ向き試験とは、過去と現在のデータを扱う試験であり、前向き試験とは、これから生じる現象を観察する試験である。後ろ向き試験ではすでに判明している事項を扱うので研究者によるバイアスが入りやすいのに対して、前向き試験では結果がわかっていないために、バイアスがかかりにくく、より信頼のおける結果が得られる点で優れている。
[0009]
 本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
 <1> 被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量を測定する工程と、
前記ADAMTS5の含有量を指標として、関節リウマチに対して抗TNFα抗体薬が有効か否かを評価する工程と、
を含むことを特徴とする関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法である。
 <2> 抗TNFα抗体薬が、インフリキシマブ(Infliximab(INF))である前記<1>に記載の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法である。
 <3> 被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量が、ADAMTS5のmRNAの発現量である前記<1>から<2>のいずれかに記載の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法である。
 <4> ADAMTS5のmRNAの発現量をリアルタイムPCR法で測定する前記<3>に記載の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法である。
 <5> 被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量を測定する手段と、
前記ADAMTS5の含有量を指標として、関節リウマチに対して抗TNFα抗体薬が有効か否かを評価する手段と、
を含むことを特徴とする関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測装置である。
 <6> 抗TNFα抗体薬が、インフリキシマブ(Infliximab(INF))である前記<5>に記載の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測装置である。
 <7> 被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量が、ADAMTS5のmRNAの発現量である前記<5>から<6>のいずれかに記載の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測装置である。
 <8> ADAMTS5のmRNAの発現量をリアルタイムPCR法で測定する前記<7>に記載の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測装置である。

発明の効果

[0010]
 本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の有効性を、確実性が高く、かつ、簡便に予測すること、及び前記薬を投与した後における関節リウマチの活動性を予測することができ、また、前記薬がより確実に効く症例に薬を投与することで無駄な副作用を回避することができる関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法、及び薬効予測装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 図1は、インフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNAの発現量と、インフリキシマブ投与14週後のDAS28の変化率(DAS%reduction)との相関を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0012]
(関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法、及び薬効予測装置)
 本発明の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法は、被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量を測定する工程(測定工程)と、前記ADAMTS5の含有量を指標として、関節リウマチに対して抗TNFα抗体薬が有効か否かを評価する工程(評価工程)とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含んでいる。
 本発明の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測装置は、被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量を測定する手段(測定手段)と、前記ADAMTS5の含有量を指標として、関節リウマチに対して抗TNFα抗体薬が有効か否かを評価する手段(評価手段)とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の手段を含んでいる。
[0013]
<測定工程、及び測定手段>
 前記測定工程は、被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量を測定する工程である。
 前記測定手段は、被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量を測定する手段である。
[0014]
-被検体由来の試料-
 前記被検体由来の試料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、末梢血、関節滑膜、関節液などが挙げられる。中でも、末梢血が、採取が簡便である点で、好ましい。
 前記被検体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ヒトなどが挙げられる。
[0015]
-ADAMTS5-
 前記ADAMTS(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs)5は、ADAMTSファミリーに属する軟骨破壊に関与するアグリカナーゼであることが知られている。
 前記ADAMTS5遺伝子の塩基配列は、例えば、ヒトにおいて公知であり、その塩基配列はGenBank(NCBI)などの公共データベースを通じて容易に入手することができる。例えば、ヒトADAMTS5遺伝子の塩基配列は、NCBI accession number NM_007038で入手可能ある。
[0016]
-含有量の測定-
 前記被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、mRNAの発現量を測定する方法、タンパク質の発現量を測定する方法などが挙げられる。
[0017]
 前記mRNAの発現量を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PCR法、リアルタイムPCR法、DNAアレイ法、ノーザンブロット法などが挙げられる。
 前記mRNAの発現量を測定する装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PCR装置、リアルタイムPCR装置、DNAアレイ装置、ノーザンブロット装置などが挙げられる。前記装置は、前記測定手段として好適に使用することができる。
[0018]
 前記リアルタイムPCR法の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、検量線を作成し、その検量線からサンプルの定量を行う方法(検量線法)が挙げられる。
 前記検量線法に用いる鋳型DNAコントロールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、健常人から採取・精製した全cDNAや、ADAMTS5 cDNAを組み込んだプラスミドなどが挙げられる。
 前記リアルタイムPCR法に用いるプライマーとしては、ADAMTS5を増幅することができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
 前記リアルタイムPCR法における内在性コントロールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β-アクチン、GAPDH(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)などが挙げられる。
[0019]
<評価工程、及び評価手段>
 前記評価工程は、前記ADAMTS5の含有量を指標として、関節リウマチに対して抗TNFα抗体薬が有効か否かを評価する工程である。
 前記評価手段は、前記ADAMTS5の含有量を指標として、関節リウマチに対して抗TNFα抗体薬が有効か否かを評価する手段である。
[0020]
-抗TNFα抗体薬-
 前記抗TNFα(tumor necrosis factor α)抗体薬としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インフリキシマブ(Infliximab(INF))が好適に挙げられる。
[0021]
-指標-
 前記指標としては、ADAMTS5の含有量を使用する。
[0022]
-評価-
 前記関節リウマチに対して抗TNFα抗体薬が有効か否かを評価する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ADAMTS5の含有量が、関節リウマチ患者の中で低い場合には、関節リウマチに対して抗TNFα抗体薬が有効であると評価することができる。
 具体例としては、前記指標として、ADAMTS5を用いた場合(詳細は、後述する実施例1参照)、ADAMTS5のmRNAの発現量(ADAMTS5/β-アクチン)が、0.6×1/25より小さい場合に、関節リウマチに対して抗TNFα抗体薬が有効であると評価することができる。
 前記評価を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子計算機(コンピュータ)などが挙げられる。前記装置は、前記評価手段として好適に使用することができる。
[0023]
 また、前記評価においては、抗TNFα抗体薬投与後のDAS28を予測することも可能である。
 前記DAS28とは、Disease Activity Scoreの略で、関節リウマチの疾患活動性をスコア化しようということでヨーロッパリウマチ学会(EULAR)が定めたものであり、Fransen J, et al. Clin Exp Rheumatol 2005; 23(Suppl.39): S93-S99に記載されている。
 前記抗TNFα抗体薬投与後のDAS28を予測する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、関節リウマチ患者の末梢血中のADAMTS5 mRNAの含有量を、後述する実施例1で示すグラフ(図1参照)に当てはめ、DAS28が、抗TNFα抗体薬投与前から低下する割合を算出し、抗TNFα抗体薬投与後のDAS28を予測することができる。
実施例
[0024]
 以下に本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
[0025]
(実施例1)
<ADAMTS5の含有量を指標とした、関節リウマチに対するインフリキシマブの有効性予測>
 平成19年10月から平成20年4月までに埼玉医科大学総合医療センター・リウマチ膠原病内科外来を受診した関節リウマチ患者のうち、インフリキマブを投与された患者30例を対象とした。
[0026]
-測定工程-
末梢血中のADAMTS5のmRNAの発現量の測定
 インフリキシマブ投与前の関節リウマチ患者の末梢血 2.5mLを採取し、PAXgene RNA採血管(登録商標、日本ベクトン・ディッキンソン社製)に刺入後、PAXgene Blood RNA Kit(登録商標、PreAnalytiX社製)を用いて全RNAを抽出した。前記全RNAを逆転写酵素を用いて全cDNAに変換した。前記全cDNAを鋳型DNAとして、Taqman(登録商標) Gene Expression Assay(Applied Biosystems社製)を用いて、ADAMTS5のmRNAの発現量をリアルタイムPCR法で測定した。なお、プライマー、及びプローブは、プライマー・プローブセット(TaqMan Gene (登録商標) Expression Assay (00199841_m1, Applied Biosystems社製))を使用した。
 上記により得られたADAMTS5のmRNAの含有量は、β-actin(内在性コントロール)のmRNAとの相対量で定量化を行った。
 なお、β-actinのプライマー、及びプローブは、プライマー・プローブセット(Pre-Developed TaqMan(登録商標) Assay Reagents(Human ACTB, NM_001101 ,Applied Biosystems社製))を使用した。
[0027]
-評価工程-
 関節リウマチ患者の関節リウマチ活動性は、インフリキシマブ投与前、及び投与14週後のDAS28[DAS28(0w)、DAS28(14w)]で評価した。
 インフリキシマブが有効か否かは、DAS28(14w)を用いたEULAR改善基準によって、反応性良好(good response)、中等度反応(moderate response)、反応なし(no response)とした。
 なお、EULAR改善基準とは、ヨーロッパリウマチ学会(EULAR)が定めたものであり、Fransen J, et al. Clin Exp Rheumatol 2005; 23(Suppl.39): S93-S99に記載されている。
[0028]
 投与14週後におけるEULAR改善基準に基づくインフリキシマブの有効性は、反応性良好が16例、中等度反応が6例、反応なしが8例であった。また、寛解例(DAS28(14w)<2.6)は、14例であった。
[0029]
--R群とNR群との比較--
 上記インフリキシマブ投与関節リウマチ患者30例を、R群(中等度反応+反応性良好)と、NR群(反応なし)とに群分けし、両者のインフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNAの発現量を健常人より抽出の全cDNAを鋳型DNAコントロールとして用いた検量線法によるリアルタイムPCR法で比較した結果、NR群と比較してR群では、インフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNAの発現量は有意に低かった(表1参照)。

[表1]


[0030]
 また、インフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNA発現量が、0.6×1/25より小さい場合を低値群(Low)、0.6×1/25以上の場合を高値群(High)とした場合の分類を表2に示す。
[表2]


[0031]
 表2の分類をもとに、感度、特異度、陽性予測率、及び陰性予測率を以下の式で算出した。結果を表3に示す。
 感度(Sensitivity)(%)=A/(A+C)×100
 特異度(Specificity)(%)=D/(D+B)×100
 陽性予測率(PPV)(%)=A/(B+A)×100
 陰性予測率(NPV)(%)=D/(D+C)×100
 なお、上記式中A~Dは、以下のとおりである。
  A:ADAMTS5のmRNA発現量が低値群であり、R群に分類された症例
  B:ADAMTS5のmRNA発現量が低値群であり、NR群に分類された症例
  C:ADAMTS5のmRNA発現量が高値群であり、R群に分類された症例
  D:ADAMTS5のmRNA発現量が高値群であり、NR群に分類された症例
[0032]
[表3]


 表3の結果から、インフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNA発現量が低値群の場合に、R群となることを予測する陽性予測率(PPV)は、100%と高く、インフリキシマブ投与前のADAMTS5の含有量を指標として、関節リウマチに対するインフリキシマブの薬効を予測することができることが示された。
[0033]
--GR群とNGR群との比較--
 上記インフリキシマブ投与関節リウマチ患者30例を、GR群(反応性良好)と、NGR群(反応なし+中等度反応)とに群分けし、両者のインフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNAの発現量を、健常人より抽出の全cDNAを鋳型DNAコントロールとして用いた検量線法によるリアルタイムPCR法で比較した結果、NGR群と比較してGR群では、インフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNAの発現量は有意に低かった(表4参照)。
[表4]


[0034]
 また、インフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNA発現量が、0.6×1/25より小さい場合を低値群(Low)、0.6×1/25以上の場合を高値群(High)とした場合の分類を表5に示す。
[表5]


[0035]
 表5の分類をもとに、感度、特異度、陽性予測率、及び陰性予測率を以下の式で算出した。結果を表6に示す。
 感度(Sensitivity)(%)=E/(E+G)×100
 特異度(Specificity)(%)=H/(H+F)×100
 陽性予測率(PPV)(%)=E/(F+E)×100
 陰性予測率(NPV)(%)=H/(H+G)×100
 なお、上記式中E~Hは、以下のとおりである。
  E:ADAMTS5のmRNA発現量が低値群であり、GR群に分類された症例
  F:ADAMTS5のmRNA発現量が低値群であり、NGR群に分類された症例
  G:ADAMTS5のmRNA発現量が高値群であり、GR群に分類された症例
  H:ADAMTS5のmRNA発現量が高値群であり、NGR群に分類された症例
[0036]
[表6]


 表6の結果から、インフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNA発現量が低値群の場合に、GR群となることを予測する陽性予測率(PPV)は、75.0%と高く、インフリキシマブ投与前のADAMTS5の含有量を指標として、関節リウマチに対するインフリキシマブの薬効を予測することができることが示された。
[0037]
--Re群とNre群との比較--
 上記インフリキシマブ投与関節リウマチ患者30例を、Re(remission:寛解)群と、Nre(non-remission:非寛解)群とに群分けし、両者のインフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNAの発現量を、健常人より抽出の全cDNAを鋳型DNAコントロールとして用いた検量線法によるリアルタイムPCR法で比較した結果、Nre群と比較してRe群では、インフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNAの発現量は有意に低かった(表7参照)。
[表7]


[0038]
 また、インフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNA発現量が、0.6×1/25より小さい場合を低値群(Low)、0.6×1/25以上の場合を高値群(High)とした場合の分類を表8に示す。
[表8]


[0039]
 表8の分類をもとに、感度、特異度、陽性予測率、及び陰性予測率を以下の式で算出した。結果を表9に示す。
 感度(Sensitivity)(%)=I/(I+K)×100
 特異度(Specificity)(%)=L/(L+J)×100
 陽性予測率(PPV)(%)=I/(J+I)×100
 陰性予測率(NPV)(%)=L/(L+K)×100
 なお、上記式中I~Lは、以下のとおりである。
  I:ADAMTS5のmRNA発現量が低値群であり、Re群に分類された症例
  J:ADAMTS5のmRNA発現量が低値群であり、Nre群に分類された症例
  K:ADAMTS5のmRNA発現量が高値群であり、Re群に分類された症例
  L:ADAMTS5のmRNA発現量が高値群であり、Nre群に分類された症例
[0040]
[表9]


 表9の結果から、インフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNA発現量が低値群の場合に、寛解(Re群となる)を予測する陽性予測率(PPV)は、68.8%と高かった。また、インフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNA発現量が高値群の場合に、寛解を否定する陰性予測率(NPV)も78.6%と高かった。そのため、インフリキシマブ投与前のADAMTS5の含有量を指標として、寛解をも予測することができることが示された。
[0041]
--インフリキシマブ投与後のDAS28の予測--
 インフリキシマブ投与前のDAS28と比較したインフリキシマブ投与14週後のDAS28の変化率(DAS%reduction)と、インフリキシマブ投与前の末梢血中のADAMTS5のmRNAの発現量との相関を検討した結果を図1に示す。
 図1に示されるように、インフリキシマブ投与前のDAS28と比較したインフリキシマブ投与14週後のDAS28の変化率(DAS%reduction)と、インフリキシマブ投与前のADAMTS5のmRNAの発現量との間に負の相関(r=-0.6)が認められた。
 このことは即ち、被検体由来の試料中のインフリキシマブ投与前のADAMTS5の含有量が少ないほど、関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬が有効であること、及び、被検体由来の試料中のインフリキシマブ投与前のADAMTS5の含有量によって、抗TNFα抗体薬投与後におけるDAS28を予測できることを示している。
[0042]
<既報告との比較1>
-Luquerreらの報告との比較-
 インフリキシマブの有効性をリアルタイムPCR法と、アルゴリズムとを用いて予測したLuquerreらの報告(Laqurre T, et al. Arthritis Res Ther 2006; 8: R105)と、本発明とを比較した。
 前記報告では、インフリキシマブ投与前のDAS28と、インフリキシマブ投与14週後のDAS28とを比較し、その減少量(ΔDAS)が1.2未満を有効と定義し、その場合の陽性予測率(PPV)は、75%(20転写物)、100%(8転写物)であった。
 一方、上述した実施例1について、前記Luquerreらの報告と同じ定義で陽性予測率を算出すると、93.8%であった。
 Luquerreらの報告は後ろ向き試験であるのに対し、本発明は前向き試験である点で、優れていると言える。
[表10]


[0043]
<既報告との比較2>
-Trocmeらの報告との比較-
 インフリキシマブの有効性をリアルタイムPCR法と、アルゴリズムとを用いて予測したTrocmeらの報告(Trocme C, et al. Ann Rheum Dis 2008. Epub ahead of print)と、本発明とを比較した。
 前記報告では、ACR70(米国リウマチ学会で作成された慢性関節リウマチの臨床症状の改善度の基準で70%改善が認められた場合で、Felson DT, et al. Arthritis Rheum 36: 729-740, 1993に記載されている)の場合を有効、ACR20(米国リウマチ学会で作成された慢性関節リウマチの臨床症状の改善度の基準で20%改善)に満たない場合を無効と定義し、その場合の感度は97.1%、特異度は97.5%であった。
 一方、上述した実施例1について、前記Trocmeらの報告とほぼ同じ定義(DAS28で、good response群を有効、no response群を無効)で感度、特異度を算出すると、感度は75%、特異度は100%であった。
 Trocmeらの報告の有効性予測試験は後ろ向き試験であるのに対し、本発明は前向き試験である点で、優れていると言える。
[表11]


[0044]
<既報との比較3>
-DNAチップ研究所のRNAチェックとの比較-
 インフリキシマブの有効性をマイクロアレイと、アルゴリズムとを用い、前向き試験で予測したDNAチップ研究所のRNAチェックと、本発明とを比較した。
 前記キットでは、ACR50の場合を有効と定義し、その場合の陽性予測率(PPV)は46.6%であり、陰性予測率(NPV)は44.4%であった。
 一方、上述した実施例1について、前記キットとほぼ同じ定義(DAS28で、good response群を有効)で陽性予測率、陰性予測率を算出すると、陽性予測率は75%、陰性予測率は71.4%であった。
 以上により、同じ前向き試験であっても本発明による有効性予測率は、DNAチップ研究所のRNAチェックよりも優れていることがわかった。
[表12]


産業上の利用可能性

[0045]
 本発明の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法は、前記薬投与前のワンポイントにおけるADAMTS5の含有量によって、確実性が高く、かつ、簡便に予測すること、及び前記薬を投与した後における関節リウマチの活動性を予測することができ、また、前記薬がより確実に効く症例に薬を投与することで無駄な副作用を回避することができるので、医学的診断及び治療の分野において、好適に利用できる。
 本発明の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測装置は、前記薬投与前のワンポイントにおけるADAMTS5の含有量によって、確実性が高く、かつ、簡便に予測すること、及び前記薬を投与した後における関節リウマチの活動性を予測することができ、また、前記薬がより確実に効く症例に薬を投与することで無駄な副作用を回避することができるので、医学的診断及び治療の分野において、好適に利用できる。

請求の範囲

[請求項1]
 被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量を測定する工程と、
前記ADAMTS5の含有量を指標として、関節リウマチに対して抗TNFα抗体薬が有効か否かを評価する工程と、
を含むことを特徴とする関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法。
[請求項2]
 抗TNFα抗体薬が、インフリキシマブ(Infliximab(INF))である請求項1に記載の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法。
[請求項3]
 被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量が、ADAMTS5のmRNAの発現量である請求項1から2のいずれかに記載の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法。
[請求項4]
 ADAMTS5のmRNAの発現量をリアルタイムPCR法で測定する請求項3に記載の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測方法。
[請求項5]
 被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量を測定する手段と、
前記ADAMTS5の含有量を指標として、関節リウマチに対して抗TNFα抗体薬が有効か否かを評価する手段と、
を含むことを特徴とする関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測装置。
[請求項6]
 抗TNFα抗体薬が、インフリキシマブ(Infliximab(INF))である請求項5に記載の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測装置。
[請求項7]
 被検体由来の試料中のADAMTS5の含有量が、ADAMTS5のmRNAの発現量である請求項5から6のいずれかに記載の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測装置。
[請求項8]
 ADAMTS5のmRNAの発現量をリアルタイムPCR法で測定する請求項7に記載の関節リウマチに対する抗TNFα抗体薬の薬効予測装置。

図面

[ 図 1]