Processing

Please wait...

Settings

Settings

Goto Application

1. WO2020230588 - LIGHT IRRADIATION DEVICE AND SENSOR

Document

明 細 書

発明の名称 光照射装置およびセンサー

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008  

課題を解決するための手段

0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086  

実施例

0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104  

産業上の利用可能性

0105  

符号の説明

0106  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 光照射装置およびセンサー

技術分野

[0001]
 本発明は、光学パターンを投影する光照射装置、および、この光照射装置を用いるセンサーに関する。

背景技術

[0002]
 ドットパターンなどの光学パターンの投影は、光学3次元(3D)マッピングのように広く用いられている。
 例えば、スマートフォンなどのモバイル電子機器では、ドットパターンの投影によって、使用者の顔認証を行っている。具体的には、使用者の顔に多数の点光源から射出したドットパターンを投影して、顔からの反射光を受光素子で受光する。受光素子が受光して得られた光学像を処理して、投影したドットパターンと比較することにより、使用者の顔を認証する。
 このようなドットパターンを投影するセンサーには、検出対象となる物体にドットパターンを投影するために、小型の光照射装置が利用されている。
[0003]
 光照射装置は、一例として、特許文献1に示されるように、面内に複数の光射出部を備えた光源から射出した光を、レンズで異なる方向へ配光し、ドットパターンを形成している。また、形成したドットパターンを回折光学素子で異なる方向に複製することにより、広い範囲にドットパターンを投影する。
[0004]
 ところで、特許文献1では、光照射装置を小型化するために、光源として、複数の光射出部を備えるVCSEL(Vertical-cavity surface-emitting laser、垂直共振器面発光レーザー)を例示している。
 しかしながら、スマートフォンなどのモバイル電子機器には、さらなる薄型化が望まれている。
[0005]
 この問題を解決するために、特許文献2に記載される光学式光ガイド素子が知られている。特許文献2に記載される光学式光ガイド素子では、入射した光を、光の入射方向に対し、約45°の角度で配置された第1の反射面で反射することで、光の進行方向を入射方向と直交する方向に変更し、さらに、第1の反射面と平行に配置された第2の反射面で光を反射することで、光学式光ガイド素子から光を出力する。特許文献2に記載された光学式光ガイド素子では、このように光路を変更することで、光路長を確保すると共に、装置の薄型化を図っている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 米国特許出願公開第2014/0376092号明細書
特許文献2 : 特表2018-500589号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 このように、従来の光照射装置では、装置の薄型化を図るために、例えば、反射面を有する部材を2つ、互いの反射面が約45°の角度を成して平行となるように配置した光ガイドを用いる必要がある。そのため、装置の構成が複雑になってしまい、さらに薄型化も十分とはいえない。
 また、従来の小型の光照射装置では、異なる方向へ光を配光するレンズの厚さが厚いため、薄型化を妨げる要因の一つとなっている。
[0008]
 本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、ドットパターン等の光学パターンを投影する光照射装置において、薄く、かつ、構成が簡易な光照射装置、および、この光照射装置を用いるセンサーを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0009]
 この課題を解決するために、本発明の光学素子は、以下の構成を有する。
 [1] 光源と、液晶ホログラム素子とを有し、
 液晶ホログラム素子は、透過光を複数の異なる方向に回折させるものであり、
 液晶ホログラム素子が、液晶ホログラム層を有し、液晶ホログラム層が、計算機ホログラムからなる、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された層であり、さらに、
 液晶ホログラム層は、液晶化合物に由来する光学軸の向きが互いに異なる複数の領域を有することを特徴とする光照射装置。
 [2] 領域の大きさが、50μm以下である、[1]に記載の光照射装置。
 [3] 光源が、広がり角が5°以下の光を出射する、[1]または[2]に記載の光照射装置。
 [4] 光源と液晶ホログラム素子との間に、透過する光の偏光状態を切り替える偏光切替素子が配置される、[1]~[3]のいずれかに記載の光照射装置。
 [5] 光源が無偏光を出射するものであり、光源と偏光切替素子との間に偏光子を有する、または、光源が直線偏光を出射するものである、[4]に記載の光照射装置。
 [6] 光の進行方向の液晶ホログラム素子よりも下流に、透過する偏光を切り替える偏光切替素子を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の光照射装置。
 [7] 偏光切替素子が、電極を有する2枚の基板と、基板の間に封入された液晶層とを有する、液晶セルを有する、[4]~[6]のいずれかに記載の光照射装置。
 [8] 光源が出射した光を集光するレンズ素子を有する、[1]~[7]のいずれかに記載の光照射装置。
 [9] 光の進行方向の液晶ホログラム素子よりも下流に、回折光学素子を有する、[1]~[8]のいずれかに記載の光照射装置。
 [10] [1]~[9]のいずれかに記載の光照射装置を、複数、有する、光照射装置。
 [11] [1]~[10]のいずれかに記載の光照射装置と、受光素子とを有する、センサー。

発明の効果

[0010]
 本発明の光照射装置は、ドットパターン等の光学パターンを投影する光照射装置であって、薄く、かつ、構成が簡易である。また、この光照射装置を用いる本発明のセンサーは、薄型かつ装置構成が簡易である。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 図1は、本発明の光照射装置の一例を概念的に示す図である。
[図2] 図2は、液晶ホログラム素子の一例を概念的に示す図である。
[図3] 図3は、液晶ホログラム層の一例を概念的に示す図である。
[図4] 図4は、本発明の光照射装置の別の例を概念的に示す図である。
[図5] 図5は、液晶回折素子の一例を概念的に示す図である。
[図6] 図6は、図5に示す液晶回折素子の光学異方性層の概略平面図である。
[図7] 図7は、光学異方性層の作用を説明するための概念図である。
[図8] 図8は、光学異方性層の作用を説明するための概念図である。
[図9] 図9は、光学異方性層の別の例の概略平面図である。
[図10] 図10は、本発明の光照射装置の別の例を概念的に示す図である。
[図11] 図11は、本発明の光照射装置の別の例を概念的に示す図である。
[図12] 図12は、本発明のセンサーの一例を概念的に示す図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 以下、本発明の光照射装置およびセンサーについて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
[0013]
 本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
 本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
 本明細書において、「同一」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」および「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
[0014]
 本明細書において、可視光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380~780nmの波長域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長域および780nmを超える波長域の光である。
 また、これに限定されるものではないが、可視光のうち、紫外線(紫外光)とは、200nm以上で380nm未満の波長域の光であり、赤外線(赤外光)とは780nm超で12000nm以下の波長域の光である。
[0015]
 本明細書において、Re(λ)は、波長λにおける面内のレタデーションを表す。特に記載がないときは、波長λは、550nmとする。
 本明細書において、Re(λ)は、AxoScan(Axometrics社製)において、波長λで測定した値である。AxoScanにて平均屈折率((nx+ny+nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
   遅相軸方向(°)
   Re(λ)=R0(λ)
が算出される。
 なお、R0(λ)は、AxoScanで算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
[0016]
 図1に、本発明の光照射装置の一例を概念的に示す。
 図1に示す光照射装置10は、光源12と、液晶ホログラム素子14とを有する。
 液晶ホログラム素子14は、計算機ホログラムからなるもので、光源12から入射され、透過する光を、複数の異なる方向に回折させるものである。
 本発明の光照射装置10は、図1に示すように、光源12が出射した光を、液晶ホログラム素子14を透過させることにより、液晶ホログラム素子14によって透過光を複数の異なる方向に回折して、異なる方向に進行する多数の光として対象物に照射することで、対象物にドットパターンを投影する。
[0017]
(光源)
 本発明の光照射装置10において、光源12には、制限はなく、公知の光源が、各種、利用可能である。一例として、水銀灯などの電球、蛍光灯、ハロゲンランプ、LED(Light Emitting Diode)、半導体レーザなどのレーザ、および、VCSEL(Vertical-cavity surface-emitting laser、垂直共振器面発光レーザー)等が例示される。
[0018]
 光源12が出射する光の波長にも、制限はなく、可視光でも、赤外線および紫外線などの非可視光でもよい。光源12が出射する光が可視光である場合には、出射光は、白色光でも、赤色光でも、緑色光でも、青色光でもよい。中でも非可視光である赤外線は、光源12が出射する光として好適に利用される。
 さらに、光源12が出射する光は、無偏光でも偏光でもよい。
[0019]
 ここで、本発明の光照射装置10においては、光源12は、指向性の高い光を出射するものであるのが好ましい。具体的には、光源12は、広がり角(ビーム広がり角)が5°以下の光を出射するのが好ましく、3°以下の光を出射するのがより好ましく、1°以下の光を出射するのがさらに好ましく、平行光(コリメート光)を出射するのが特に好ましい。
 なお、光の広がり角とは、光源が射出した光の放射強度最大値から放射強度が最大値の半分になる角度(半値全幅角度)である。
 光が液晶ホログラム素子14を透過することで形成されるドットパターンは、光源12が出射する光の指向性が高いほど、鮮明(鮮鋭)になる。特に、光源12が出射する光の広がり角を5°以下とすることにより、鮮明なトッドパターンが得られる。
[0020]
 この点を考慮すると、光源12としては、LEDおよびレーザ等が好適に例示される。
[0021]
 光源12が出射する光の指向性が低い場合には、光源12と液晶ホログラム素子14との間に、光源12が出射した光を集光して光の指向性を高くするレンズ素子を配置してもよい。好ましくは、レンズ素子によって、液晶ホログラム素子14に入射する光の広がり角を5°以下とする。
 レンズ素子には制限はなく、拡散光を集光して、平行光に近づけることができる光学素子が、各種、利用可能である。レンズ素子としては、具体的には、凸レンズ、コリメートレンズ、および、ビームコリメータ等が例示される。
[0022]
 光源12が出射した光は、次いで、液晶ホログラム素子14に入射、透過する。
 液晶ホログラム素子14を透過した光は、異なる複数の方向に回折されて、互いに異なる方向に進行する複数の光となって、多数の光(光ビーム)のドットによる光学パターンである(光)ドットパターンとして投影される。
[0023]
(液晶ホログラム素子)
 図2に、液晶ホログラム素子14の一例を概念的に示す。
 図2に示す液晶ホログラム素子14は、支持体20と、配向膜24と、液晶ホログラム層26とを有する。
[0024]
《支持体》
 支持体20は、配向膜24および液晶ホログラム層26を支持するものである。
 支持体20には、制限はなく、配向膜24および液晶ホログラム層26を支持でき、かつ、光源12が出射した光に対して、十分な透過性を有するものであれば、公知のシート状物(フィルム、板状物)が、各種、利用可能である。
 支持体20としては、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂フィルム、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂フィルム、シクロオレフィンポリマー系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリカーボネートフィルム、および、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム等の樹脂フィルム等を挙げることができる。シクロオレフィンポリマー系フィルムとしては、一例として、JSR社製の商品名「アートン」、および、日本ゼオン社製の商品名「ゼオノア」等が例示される。支持体20は、樹脂フィルムに限らず、ガラス基板等であってもよい。
 また,支持体20は、可撓性でも、非可撓性でもよい。
[0025]
 支持体20の厚さには、制限はなく、支持体20の形成材料等に応じて、配向膜24および液晶ホログラム層26を保持できる厚さを、適宜、設定すればよい。
 支持体20の厚さは、1~2000μmが好ましく、3~500μmがより好ましく、5~250μmがさらに好ましい。
[0026]
《配向膜》
 液晶ホログラム素子14において、支持体20の表面には配向膜24が形成される。
 配向膜24は、液晶ホログラム素子14の液晶ホログラム層26を形成する際に、液晶化合物を目的とする配向状態に配向するための配向膜である。
[0027]
 後述するが、液晶ホログラム素子14において、液晶ホログラム層26は、液晶化合物を含む組成物を用いて形成されたもので、計算機ホログラムからなるものである。計算機ホログラムからなる液晶ホログラム層26は、複数の領域26aに分割され、液晶化合物に由来する光学軸の向きが互いに異なる領域26aを、複数、有する(図3参照)。
 従って、液晶ホログラム素子14の配向膜24は、液晶ホログラム層26が、この液晶の配向状態となるように形成される。
[0028]
 配向膜24は、公知の各種のものが利用可能である。
 例えば、ポリマーなどの有機化合物からなるラビング処理膜、無機化合物の斜方蒸着膜、マイクログルーブを有する膜、ならびに、ω-トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチルなどの有機化合物のラングミュア・ブロジェット法によるLB(Langmuir-Blodgett:ラングミュア・ブロジェット)膜を累積させた膜、等が例示される。
[0029]
 ラビング処理による配向膜は、ポリマー層の表面を紙または布で一定方向に、数回、擦ることにより形成できる。
 配向膜に使用する材料としては、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9-152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー、特開2005-97377号公報、特開2005-99228号公報、および、特開2005-128503号公報記載の配向膜等の形成に用いられる材料が好ましく例示される。
[0030]
 液晶ホログラム素子14において、配向膜24は、光配向性の素材に偏光または非偏光を照射して配向膜とした、いわゆる光配向膜が好適に利用される。すなわち、本発明の液晶ホログラム素子14においては、配向膜として、支持体20上に、光配向材料を塗布して形成した光配向膜が、好適に利用される。
 偏光の照射は、光配向膜に対して、垂直方向または斜め方向から行うことができ、非偏光の照射は、光配向膜に対して、斜め方向から行うことができる。
[0031]
 本発明に利用可能な光配向膜に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-076839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-094071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号公報および特許第4151746号公報に記載のアゾ化合物、特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002-265541号公報および特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/またはアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号および特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報および特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミドおよび光架橋性エステル、ならびに、特開平9-118717号公報、特表平10-506420号公報、特表2003-505561号公報、国際公開第2010/150748号、特開2013-177561号公報および特開2014-012823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物およびクマリン化合物等が、好ましい例として例示される。
 中でも、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミド、光架橋性エステル、シンナメート化合物、および、カルコン化合物は、好適に利用される。
[0032]
 配向膜24の厚さには、制限はなく、配向膜24の形成材料に応じて、必要な配向機能を得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
 配向膜24の厚さは、0.01~5μmが好ましく、0.05~2μmがより好ましい。
[0033]
 配向膜24の形成方法には、制限はなく、配向膜24の形成材料に応じた公知の方法が、各種、利用可能である。
 一例として、以下の方法が例示される。上述したように、液晶ホログラム層26は、複数の領域に分割され、かつ、互いに液晶化合物に由来する光学軸の方向が異なる領域を、複数、有する。まず、支持体20上に、光配向材料を含む組成物を塗布、乾燥して光配向膜を形成する。この光配向膜に、直線偏光を集光したレーザ光を照射することで、光配向膜を露光して、配向させる。このような直線偏光の露光による配向を、1つまた複数の領域毎に、形成する計算機ホログラムに応じて直線偏光の偏光方向を変更して、繰り返し行うことで、配向膜24全体を、所望の配向状態にする。
[0034]
 なお、本発明の光照射装置10において、液晶ホログラム素子14の支持体20および配向膜24は、必須の構成要件ではない。
 例えば、液晶ホログラム層26を形成した後、支持体20を剥離して、配向膜24と液晶ホログラム層26とで、液晶ホログラム素子14を構成してもよい。または、液晶ホログラム層26を形成した後、支持体20および配向膜24を剥離して、液晶ホログラム層26のみで、液晶ホログラム素子14を構成してもよい。
 あるいは、支持体20を上述のようにレーザ光等で加工する方法等によって、所望の配向状態とし、この支持体20に液晶ホログラム層26を形成して、支持体20と液晶ホログラム層26とで、液晶ホログラム素子14を形成してもよい。すなわち、この構成では、支持体20が配向膜として作用する。
[0035]
《液晶ホログラム層》
 液晶ホログラム素子14において、配向膜24の表面には、液晶ホログラム層26が形成される。
 上述のように、液晶ホログラム素子14において、液晶ホログラム層26は、液晶化合物を含む組成物を用いて形成されたものであり、計算機ホログラムからなるものである。また、図3に概念的に示すように、液晶ホログラム層26は、計算機ホログラムに応じて、面方向に複数の領域26aに分割されており、液晶化合物に由来する光学軸30の向きが互いに異なる領域26aを、複数、有する。
 なお、液晶化合物に由来する光学軸とは、液晶化合物おいて屈折率が最も高くなる軸、いわゆる遅相軸である。例えば、液晶化合物が棒状液晶化合物である場合には、光学軸は、棒形状の長軸方向に沿っている。
[0036]
 液晶ホログラム層26は、光源12が出射した光を透過させる際に、光を複数の異なる方向に回折させることにより、異なる方向に進行する多数の光(光ビーム)とする。光照射装置10は、これにより、図1に概念的に示すように、対象物に、異なる方向に進行する多数の光のドットによる光学パターンである(光)ドットパターンを投影する。
[0037]
 計算機ホログラム(計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram))は、上述したような光回折機能を有する任意のホログラムを計算によって求め、形成したものである。本発明においては、液晶ホログラム層26の領域26a(単位領域)が二次元的に配列されることにより、計算機ホログラムを形成している。
 液晶ホログラム層26は、液晶化合物を有する組成物を用いて形成される。すなわち、液晶ホログラム層26は、液晶を用いた空間位相変調器であり、複数の領域26aが、液晶回折素子として作用する。
[0038]
 上述のように、従来のドットパターンを投影する光照射装置は、VCSEL等の光源、レンズおよび反射面を45°傾けて平行に配置された光ガイド等を有する光学系を用いているために、構図が複雑で、かつ、薄型化への対応も困難である。
 これに対して、本発明の光照射装置10は、このような計算機ホログラムからなる液晶ホログラム素子14を用いることにより、VCSELなどのドット光源ではなく一般的なレーザ光源等を光源として用いることができる。また、本発明の光照射装置10は、このような計算機ホログラムからなる液晶ホログラム素子14を用いることにより、基本的にレンズおよび反射部材等を用いる光学系を不要として、構造を簡易化し、かつ、薄型化を図ることができる。
[0039]
 計算機ホログラムの作製方法(計算方法)には、制限はなく、Gerchberg-Saxton反復計算法(IFTA:Iterative Fourier transform algorithm)、DBS(Direct binary search)を用いた手法、GA(Genetic algorithm)を用いた手法、および、SA(Simulate dannealing)を用いた手法等、公知の方法が、全て利用可能である。
 一例として、液晶ホログラム層26における計算機ホログラムを作製するコンピュータに、投影するドットパターン、領域26aの大きさ等を入力して、公知の方法で計算機ホログラム(計算機ホログラムのデータ)を作製すればよい。この計算機ホログラムに応じて、例えば上述したように直線偏光によって配向膜24の露光を行うことで、計算機ホログラムからなる液晶ホログラム層26を作製できる。
[0040]
 本発明の光照射装置10において、液晶ホログラム層26の領域26aの大きさには、制限はないが、小さい方が好ましい。具体的には、領域26aの大きさは、50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
 領域26aの大きさを50μm以下とすることにより、光源12が出射した光を好適に様々な方向に回析して良好なドットパターンを投影できる、ドットパターンを投影できる角度範囲を大きくすることができる等の点で好ましい。
 液晶ホログラム層26の領域26aの大きさの下限には、制限はないが、液晶ホログラム素子14(配向膜24)の作製の容易性等の点で、0.1μm以上が好ましい。
[0041]
 領域26aの形状にも、制限はなく、正方形、長方形および円形など、公知の計算機ホログラムにおける単位領域と同様でよい。
 なお、領域26aが正方形である場合には、1辺の長さを、領域の大きさとする。領域26aが長方形である場合には、長辺の長さを、領域の大きさとする。領域26aが円形である場合には、円の直径を、領域の大きさとする。さらに、領域26aの形状が、これら以外の場合には、領域26aを内接する最小の円の直径を、領域の大きさとする。
[0042]
 本発明の光照射装置10すなわち液晶ホログラム層26が投影するドットパターンには、制限はなく、顔認証などの各種の認証等に用いられる、いわゆるストラクチャードライト(構造化ライト、構造化光)と同様、光(光ビーム)によるドットを二次元的に配列した各種のドットパターン(光学パターン)が利用可能である。
 従って、ドットの密度およびドットの大きさ等にも、制限はない。さらに、本発明の光照射装置10が投影するドットパターンは、規則的でも、不規則でもよいが、各種のストラクチャードライトと同様、不規則であるのが好ましい。
[0043]
 液晶ホログラム層26は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含む液晶組成物を硬化してなるものである。液晶ホログラム層26は、棒状液晶化合物の光学軸または円盤状液晶化合物の光学軸が互いに異なる向きとなるように配向された、複数の領域26aに分割されている。
 一例として、支持体20上に上述のように配向膜24を形成し、配向膜24上に液晶組成物を塗布、硬化することにより、液晶組成物の硬化層からなる液晶ホログラム層26を得ることができる。
 また、液晶ホログラム層26を形成するための液晶組成物は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含有し、さらに、レベリング剤、配向制御剤、重合開始剤および配向助剤などのその他の成分を含有していてもよい。
[0044]
―棒状液晶化合物―
 棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
[0045]
 棒状液晶化合物は、重合によって配向を固定することがより好ましい。重合性棒状液晶化合物としては、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開第95/022586号、同95/024455号、同97/000600号、同98/023580号、同98/052905号、特開平1-272551号公報、同6-016616号公報、同7-110469号公報、同11-080081号公報、および、特開2001-328973号公報などに記載の化合物を用いることができる。さらに棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報および特開2007-279688号公報に記載のものも好ましく用いることができる。
[0046]
―円盤状液晶化合物―
 円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報および特開2010-244038号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
 なお、光学異方性層に円盤状液晶化合物を用いた場合には、光学異方性層において、液晶化合物は厚さ方向に立ち上がっており、液晶化合物に由来する光学軸は、円盤面に垂直な軸、いわゆる進相軸として定義される。
[0047]
 液晶ホログラム素子14において、液晶ホログラム層26の面内レタデーションの値は、半波長であるのが好ましい。特に、波長がλnmである入射光に対する液晶ホログラム層26の面内レタデーションRe(λ)=Δn λ×dが下記式(1)に規定される範囲内であるのが好ましい。ここで、Δn λは、入射光の波長がλnmである場合の、屈折率異方性に伴う屈折率差であり、dは、液晶ホログラム層26の厚さである。
  0.7×(λ/2)nm≦Δn λ×d≦1.3×(λ/2)nm・・・(1)
 すなわち、液晶ホログラム層26の面内レタデーションRe(λ)=Δn λ×dが式(1)を満たしていれば、液晶ホログラム層26に入射した光0次光を低減することができる。
 面内レタデーションRe(λ)=Δn λ×dは、0.8×(λ/2)nm≦Δn λ×d≦1.2×(λ/2)nmがより好ましく、0.9×(λ/2)nm≦Δn λ×d≦1.1×(λ/2)nmがさらに好ましい。
[0048]
(回折光学素子)
 本発明の光照射装置は、図4に概念的に示すように、光の進行方向の液晶ホログラム素子14よりも下流に、回折光学素子34を有してもよい。なお、本発明において、上流および下流とは、光の進行方向の上流および下流である。
 回折光学素子34は、光源12が射出し、液晶ホログラム素子14を透過した射出方向の異なる複数の光からなるドットパターンを複製して、更に広い角度領域に投影するものである。言い換えれば、回折光学素子34は、液晶ホログラム素子14が射出した、複数の光からなるドットパターンにおける、1本の光(光ビーム)を分割することで、ドットパターンを複製して配列し、さらに広い角度領域に投影できるようにするものである。
 ドットパターン等の光学パターンの複製投影は、光学3次元マッピングとして広く利用されている。
 このような光学3次元マッピングは、1つの物体の表面の3次元形状を、その光学像を処理することにより生成する。投影された光学パターンの所望の特性は、一般的にアプリケーションに依存するが、典型的に高コントラスト、高い投影効率、および、光学パターンを構成する光束間の強度分布の高い均一度を有する。
[0049]
 投影光の強度分布の均一度が低いと、ドットパターン(光学像)の処理の精度が落ちるために、均一度を高めることが望ましい。このことから、光学3次元マッピングには、一般的に、回折光学素子がよく使用される。
 しかし、回折光学素子は、いわゆる0次光線の問題を抱えている。0次光線とは入射光の一部であり、投影により回折せず、従って光学システム(光学回折素子)を通過して投影空間に到達する光線であり、強度が大きい。
 この0次光線の影響を減らすために、例えば米国特許第6,560,019号明細書では、第1および第2の格子を有する回折光学素子について記載している。また、米国特許出願公開第2007/0019909号明細書は、回折光学素子および回折光学素子から出力された0次光線が入射しない位置に設けられた第1の表面を有する画像表示装置について記載している。さらに、特開2014-209237号公報は、複数の回折素子を用いて0次光線の強度を分散して、強度分布の高い均一性を得る方法について記載している。それ以外にも、光学パターンを投影する方法の改良が要望されている。
[0050]
 本発明の光照射装置10では、回折光学素子34は、液晶回折素子を用いて構成するのが好ましい。回折光学素子34を液晶回折素子を用いて構成することにより、0次光線および±1次光線の強度を任意に制御することが可能であり、光の強度分布の高い均一性が得られる。
 液晶回折素子は、液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成された光学異方性層を有する。また、この光学異方性層は、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有するのが好ましい。
[0051]
 図5に、このような液晶回折素子の一例を概念的に示す。
 図5に示す液晶回折素子42は、支持体46と、配向膜48と、光学異方性層50とを有する。
 支持体46は、配向膜24および光学異方性層50を支持できるものであれば、各種のシート状物(フィルム、板状物)が利用可能である。支持体46としては、透明支持体が好ましく、上述した支持体20と同様のものが利用可能である。
[0052]
 液晶回折素子42において、支持体46の表面には配向膜48が形成される。
 配向膜24は、液晶回折素子42の光学異方性層50を形成する際に、液晶化合物52を所定の液晶配向パターンに配向するための配向膜である。
 後述するが、液晶回折素子42において、光学異方性層50は、液晶化合物52に由来する光学軸52A(図6参照)の向きが、面内の一方向(後述する矢印X方向)に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する。従って、液晶回折素子42の配向膜48は、光学異方性層50が、この液晶配向パターンを形成できるように形成される。
[0053]
 配向膜48としては、上述した配向膜24と同様のものが利用可能である。
 中でも、光配向性の素材に偏光または非偏光を照射して配向膜とした、いわゆる光配向膜が好適に利用される。すなわち、液晶回折素子42においては、配向膜として、支持体46上に、光配向材料を塗布して形成した光配向膜が、好適に利用される。
 配向膜の形成方法には、制限はなく、配向膜の形成材料に応じた公知の方法が、各種、利用可能である。一例として、配向膜を支持体20の表面に塗布して乾燥させた後、配向膜をレーザ光によって露光して、配向パターンを形成する方法が例示される。
[0054]
 なお、液晶回折素子42は、配向膜48を有さなくてもよい。
 例えば、支持体46をラビング処理する方法、および、支持体46をレーザ光等で加工する方法等によって、支持体46に配向パターンを形成することにより、光学異方性層50等が、液晶化合物52に由来する光学軸52Aの向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する構成とすることも、可能である。
[0055]
 液晶回折素子42において、配向膜48の表面には、光学異方性層50が形成される。
 光学異方性層50は、液晶化合物を含む組成物を用いて形成されたものである。光学異方性層50は、面内レタデーションの値をλ/2に設定した場合に、一般的なλ/2板としての機能、すなわち、光学異方性層に入射した光に含まれる互いに直交する2つの直線偏光成分に半波長すなわち180°の位相差を与える機能を有している。
[0056]
 光学異方性層50は、面内において、液晶化合物52に由来する光学軸52Aの向きが、矢印Xで示す一方向に連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。光学異方性層50は、厚さ方向には、液晶化合物52(光学軸52A)の向きは一致している(図5参照)。
 以下の説明では、『矢印Xで示す一方向』を単に『矢印X方向』とも言う。また、以下の説明では、液晶化合物52に由来する光学軸52Aを、『液晶化合物52の光学軸52A』または『光学軸52A』とも言う。
 光学異方性層50において、液晶化合物52は、それぞれ、矢印X方向と、この矢印X方向と直交するY方向とに平行な面内に二次元的に配列している。なお、図5、図7および図8では、Y方向は、紙面に直交する方向となる。
[0057]
 図6に、光学異方性層50の平面図を概念的に示す。
 なお、平面図とは、図5において、液晶回折素子42を上方から見た図であり、すなわち、液晶回折素子42を厚さ方向(=各層(膜)の積層方向)から見た図である。言い換えれば、光学異方性層50を主面と直交する方向から見た図である。
 また、図6では、本発明の液晶回折素子42の構成を明確に示すために、液晶化合物52は配向膜24の表面の液晶化合物52のみを示している。しかしながら、光学異方性層50は、厚さ方向には、図5に示されるように、この配向膜24の表面の液晶化合物52から、液晶化合物52が積み重ねられた構造を有する。
[0058]
 光学異方性層50は、面内において、液晶化合物52に由来する光学軸52Aの向きが、矢印X方向に沿って連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。
 液晶化合物52の光学軸52Aの向きが矢印X方向(所定の一方向)に連続的に回転しながら変化しているとは、具体的には、矢印X方向に沿って配列されている液晶化合物52の光学軸52Aと、矢印X方向とが成す角度が、矢印X方向の位置によって異なっており、矢印X方向に沿って、光学軸52Aと矢印X方向とが成す角度がθからθ+180°あるいはθ-180°まで、順次、変化していることを意味する。
[0059]
 一方、光学異方性層50を形成する液晶化合物52は、矢印X方向と直交するY方向、すなわち、光学軸52Aが連続的に回転する一方向と直交するY方向では、光学軸52Aの向きが等しい状態で等間隔に配列されている。
 言い換えれば、光学異方性層50を形成する液晶化合物52において、Y方向に配列される液晶化合物52同士では、光学軸52Aの向きと矢印X方向とが成す角度が等しい。
[0060]
 このような光学異方性層50の液晶化合物52の液晶配向パターンにおいて、面内で光学軸52Aの向きが連続的に回転して変化する矢印X方向における、液晶化合物52の光学軸52Aが180°回転する長さ(距離)を、液晶配向パターンにおける1周期の長さΛとする。以下の説明では、この1周期の長さΛを、1周期Λともいう。言い換えれば、液晶配向パターンにおける1周期Λは、液晶化合物52の光学軸52Aと矢印X方向とのなす角度がθからθ+180°となるまでの距離により定義される。
 すなわち、矢印X方向に対する角度が等しい2つの液晶化合物52の、矢印X方向の中心間の距離を、1周期Λとする。具体的には、図6に示すように、矢印X方向と光学軸52Aの方向とが一致する2つの液晶化合物52の、矢印X方向の中心間の距離を、1周期Λとする。
 液晶回折素子42において、光学異方性層の液晶配向パターンは、この1周期Λを、矢印X方向すなわち光学軸52Aの向きが連続的に回転して変化する一方向に繰り返す。
[0061]
 上述のように、光学異方性層50において、Y方向に配列される液晶化合物は、光学軸52Aと矢印X方向(液晶化合物52の光学軸の向きが回転する1方向)とが成す角度が等しい。この光学軸52Aと矢印X方向とが成す角度が等しい液晶化合物52が、Y方向に配置された領域を、領域Rとする。
 この場合に、それぞれの領域Rにおける面内レタデーション(Re)の値は、半波長すなわちλ/2、および、1/4波長すなわちλ/4等、必要に応じて適宜設定するのが好ましい。これらの面内レタデーションは、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnと光学異方性層の厚さとの積により算出される。ここで、光学異方性層における領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差とは、領域Rの面内における遅相軸の方向の屈折率と、遅相軸の方向に直交する方向の屈折率との差により定義される屈折率差である。すなわち、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnは、光学軸52Aの方向の液晶化合物52の屈折率と、領域Rの面内において光学軸52Aに垂直な方向の液晶化合物52の屈折率との差に等しい。つまり、上記屈折率差Δnは、液晶化合物の屈折率差に等しい。
[0062]
 このような光学異方性層50に円偏光が入射すると、光は、屈折され、かつ、円偏光の方向が変換される。
 この作用を、図7に概念的に示す。なお、光学異方性層50は、液晶化合物の屈折率差と光学異方性層の厚さとの積の値がλ/2であるとする。
 なお、図7および後述する図8においては、図面を簡略化して液晶回折素子42の構成を明確に示すために、光学異方性層50は、配向膜の表面の液晶化合物52(液晶化合物分子)のみを示している。しかしながら、光学異方性層50は、図5に概念的に示すように、通常の液晶化合物を含む組成物を用いて形成された光学異方性層と同様に、配向された液晶化合物52が厚さ方向に積み重ねられた構造を有する。
 図7に示すように、光学異方性層50の液晶化合物52の屈折率差と光学異方性層の厚さとの積の値がλ/2の場合に、光学異方性層50に左円偏光である入射光L 1が入射すると、入射光L 1は、光学異方性層50を通過することにより180°の位相差が与えられて、透過光L 2は、右円偏光に変換される。
 また、入射光L 1は、光学異方性層50を通過する際に、それぞれの液晶化合物52の光学軸52Aの向きに応じて絶対位相が変化する。このとき、光学軸52Aの向きは、矢印X方向に沿って回転しながら変化しているため、光学軸52Aの向きに応じて、入射光L1の絶対位相の変化量が異なる。さらに、光学異方性層50に形成された液晶配向パターンは、矢印X方向に周期的なパターンであるため、光学異方性層50を通過した入射光L 1には、図7に示すように、それぞれの光学軸52Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q1が与えられる。これにより、矢印X方向に対して逆の方向に傾いた等位相面E1が形成される。
 そのため、透過光L 2は、等位相面E1に対して垂直な方向に向かって傾くように屈折され、入射光L1の進行方向とは異なる方向に進行する。このように、左円偏光の入射光L1は、入射方向に対して矢印X方向に一定の角度だけ傾いた、右円偏光の透過光L 2に変換される。
[0063]
 一方、図8に概念的に示すように、光学異方性層50の液晶化合物の屈折率差と光学異方性層の厚さとの積の値がλ/2のとき、光学異方性層50に右円偏光の入射光L 4が入射すると、入射光L 4は、光学異方性層50を通過することにより、180°の位相差が与えられて、左円偏光の透過光L 5に変換される。
 また、入射光L 4は、光学異方性層50を通過する際に、それぞれの液晶化合物52の光学軸52Aの向きに応じて絶対位相が変化する。このとき、光学軸52Aの向きは、矢印X方向に沿って回転しながら変化しているため、光学軸52Aの向きに応じて、入射光L 4の絶対位相の変化量が異なる。さらに、光学異方性層50に形成された液晶配向パターンは、矢印X方向に周期的なパターンであるため、光学異方性層50を通過した入射光L 4は、図8に示すように、それぞれの光学軸52Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q2が与えられる。
 ここで、入射光L 4は、右円偏光であるので、光学軸52Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q2は、左円偏光である入射光L 1とは逆になる。その結果、入射光L 4では、入射光L 1とは逆に矢印X方向に傾斜した等位相面E2が形成される。
 そのため、入射光L 4は、等位相面E2に対して垂直な方向に向かって傾くように屈折され、入射光L 4の進行方向とは異なる方向に進行する。このように、入射光L 4は、入射方向に対して矢印X方向とは逆の方向に一定の角度だけ傾いた左円偏光の透過光L 5に変換される。
[0064]
 なお、光の入射方向に対する出射方向の傾きの大きさは、上述した1周期Λが短いほど、大きくなる。
[0065]
 光学異方性層50は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含む液晶組成物を硬化してなるものであり、棒状液晶化合物の光学軸または円盤状液晶化合物の光学軸が、上述のように配向された液晶配向パターンを有している。
 支持体46上に配向膜48を形成し、配向膜48上に液晶組成物を塗布、硬化することにより、液晶組成物の硬化層からなる光学異方性層50を得ることができる。なお、いわゆるλ/2板として機能するのは光学異方性層50であるが、本発明では、支持体46および配向膜48を一体的に備えた積層体がλ/2板として機能する態様を含む。
 また、光学異方性層50を形成するための液晶組成物は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含有し、さらに、レベリング剤、配向制御剤、重合開始剤および配向助剤などのその他の成分を含有していてもよい。
 これらの材料は、上述した液晶ホログラム層26と同様のものが利用可能である。
[0066]
 液晶回折素子42において、光学異方性層50の膜厚には制限はないが、光照射装置10の薄型化の観点から、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、5μm以下が特に好ましい。
[0067]
 図5~図8に示す液晶回折素子42は、光学異方性層50の液晶配向パターンにおける液晶化合物52の光学軸52Aは、矢印X方向のみに沿って、連続して回転している。
 しかしながら、本発明に用いる液晶回折素子は、これに制限はされず、光学異方性層において、液晶化合物52の光学軸52Aが少なくとも一方向に沿って連続して回転するものであれば、各種の構成が利用可能である。
[0068]
 好ましい一例として、図9の平面図に概念的に示すような、液晶配向パターンを有する光学異方性層56が例示される。図9に示す光学異方性層56の液晶配向パターンは、液晶化合物52の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである。
 言い換えれば、図9に示す光学異方性層56の液晶配向パターンは、液晶化合物52の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向が、光学異方性層56の中心から放射状に設けられた液晶配向パターンである。
[0069]
 なお、図9においても、図6と同様、配向膜の表面の液晶化合物52のみを示すが、光学異方性層56においては、図5に示されるように、この配向膜の表面の液晶化合物52から、液晶化合物52が積み重ねられた構造を有するのは、上述のとおりである。
 また、図9では、図面を簡略化するために、液晶化合物52のみを示している。図9に示す例では、液晶化合物52は棒状液晶化合物であり、光学軸の方向は、液晶化合物52の長手方向に一致する。
[0070]
 光学異方性層56では、液晶化合物52の光学軸の向きは、光学異方性層56の中心から外側に向かう多数の方向、例えば、矢印A 1で示す方向、矢印A 2で示す方向、矢印A 3で示す方向、矢印A 4で示す方向…に沿って、連続的に回転しながら変化している。
 この液晶配向パターンを有する光学異方性層56に入射した円偏光は、液晶化合物52の光学軸の向きが異なる個々の局所的な領域において、それぞれ、絶対位相が変化する。この際に、それぞれの絶対位相の変化量は、円偏光が入射した液晶化合物52の光学軸の向きに応じて異なる。
[0071]
 光学異方性層56において、液晶化合物52の光学軸の回転方向は、全ての方向(一方向)で同じ方向である。図示例では、矢印A 1で示す方向、矢印A 2で示す方向、矢印A 3で示す方向、および、矢印A 4で示す方向の全ての方向で、液晶化合物52の光学軸の回転方向は、反時計回りである。
 すなわち、矢印A 1と矢印A 4とを1本の直線と見なすと、この直線上では、光学異方性層56の中心で、液晶化合物52の光学軸の回転方向が逆転する。一例として、矢印A 1と矢印A 4とが成す直線が、図中右方向(矢印A 1方向)に向かうとする。この場合には、液晶化合物52の光学軸は、最初は、光学異方性層56の外方向から中心に向かって時計回りに回転し、光学異方性層56の中心で回転方向が逆転し、その後は、光学異方性層56の中心から外方向に向かって反時計回りに回転する。
 上述のように、液晶化合物52の光学軸の向きが、一方向に向かって連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する光学異方性層(液晶光学素子)では、透過する光の屈折方向は、液晶化合物52の光学軸の回転方向に依存する。すなわち、この液晶配向パターンでは、液晶化合物52の光学軸の回転方向が逆の場合には、透過する光の屈折方向は、光学軸が回転する一方向に対して逆方向になる。
[0072]
 従って、このような同心円状の液晶配向パターン、すなわち、放射状に光学軸が連続的に回転して変化する液晶配向パターンを有する光学異方性層56は、液晶化合物52の光学軸の回転方向および入射する円偏光の旋回方向に応じて、複数の入射光(光ビーム)を、発散または集束して透過できる。
 すなわち、光学異方性層の液晶配向パターンを同心円状とすることにより、液晶回折素子42は、例えば、凸レンズまたは凹レンズとして機能を発現する。
[0073]
 本発明の光照射装置では、回折光学素子34を、このような液晶回折素子を用いて構成することにより、上述した0次光線および±1次光線の強度を任意に制御することが可能であり、高い強度分布の均一性が得られる。
 また、1周期Λが異なる液晶回折素子を重ねることにより、±1次光線の角度を制御できるので、複製投影したパターンが互いに重ならないように、効率的に、広い空間を均一な強度の光で覆うことができる。上述したように、1周期Λとは、液晶配向パターンにおいて、液晶化合物由来の光学軸が180°回転する1周期の長さである。
 液晶回折素子は、液晶化合物由来の光学軸が回転する一方向(図5~図8における矢印X方向)を平行にして重ねてもよく、あるいは、直交させて重ねてもよく、あるいは、斜めに交わるように重ねても良い。すなわち、本発明の光照射装置においては、回折光学素子34は、回折方向が異なる複数の回折素子を有してもよい。
 これらの組合せで、3次元空間の広い領域を光学パターンで覆うことができる。
[0074]
 また、本発明において、回折光学素子34が液晶回折素子を有する場合には、回折光学素子34は、液晶回折素子に加え、位相差板を有するのが好ましい。
 回折光学素子34が、複数の液晶回折素子を重ねて有する場合には、液晶回折素子の間に、位相差板を有するのが好ましい。また、複数の液晶回折素子を重ねて有する場合には、1つの液晶回折素子に、1つの位相差板を組み合わせて用いるのも好ましい。
 位相差板は、回折した円偏光を別の偏光状態に変換する。これにより、位相差板を通過した光が、下流の液晶回折素子に入射するときに、±1次光が同じ強度になるようにすることができる。
 位相差板には制限はなく、液晶回折素子の光学異方性に応じて、適宜、選択すればよいが、λ/4板が好ましい。このときには、円偏光が直線偏光に変換されるので、左右偏光の重ね合わせで表現される直線偏光からの液晶回折光の±1次光線が同じ強度にすることができ、光の強度を均一化できる。
[0075]
 上述のように、液晶回折素子は、光学異方性層を有する。光学異方性層においては、液晶配向パターンの1周期Λの長さにより、透過光が屈折する角度を制御できることは上述の通りである。
 また、光学異方性層において、液晶配向パターンの1周期Λの長さが異なる領域を有することで、透過光が屈折する角度を面内で変えられる。
[0076]
 なお、本発明の光照射装置10において、光を分割する回折光学素子34は、液晶回折素子を用いるものに制限はされない。
 すなわち、本発明において、回折光学素子34は、表面レリーフによる回折光学素子、および、回折ホログラムによる回折光学素子等、ドットパターン等の光学パターンの投影に用いられる公知の回折光学素子(DOE(Diffractive Optical Element))が、各種、利用可能である。また、回折光学素子34は、各種の市販品を用いてもよい。
[0077]
(偏光切替素子)
 本発明の光照射装置10を構成する液晶ホログラム素子14(液晶ホログラム層26)は、計算機ホログラムからなるもので、複数の領域26aに分割され、かつ、液晶化合物に由来する光学軸の向きが互いに異なる領域を、複数、有する。上述のように、液晶ホログラム素子14の液晶ホログラム層26は、空間位相変調器として作用する。
 このような液晶ホログラム素子14に、無偏光または直線偏光が入射すると、透過光は、液晶ホログラム層26で入射した領域26aにおける光学軸30の向きに応じて、右円偏光および左円偏光となる。また、液晶ホログラム素子14に、右円偏光が入射した場合には透過光は左円偏光となり、左円偏光が入射した場合には透過光は右円偏光となる。
[0078]
 本発明の光照射装置は、これを利用して、偏光切替素子を配置して、投影するドットパターンを、例えば時分割で切り替えてもよい。
 ドットパターンの切り替えにより、例えば、光照射装置を顔認証装置等の各種の認証装置に用いた際に、検出精度を向上できる。
[0079]
 図10に、その一例を概念的に示す。
 図10に示される例は、液晶ホログラム素子14の下流に、偏光切替素子60を配置した例である。偏光切替素子60は、透過する光を、全ての光の透過、右円偏光のみの透過、および、左円偏光のみの透過のいずれかに切り替える素子である。
 上述したように、液晶ホログラム素子14は、直線偏光および無偏光が入射した場合には、透過光は、右円偏光および左円偏光になる。従って、偏光切替素子60を、右円偏光のみを透過する状態にすれば、右円偏光のドットパターンが投影され、左円偏光のみを透過する状態にすれば、左円偏光のドットパターンが投影され、全ての光を透過すれば、右円偏光および左円偏光の両方のドットパターンが投影される。
 従って、このような偏光切替素子60を、液晶ホログラム素子14の下流に配置することにより、投影するドットパターンを、例えば時分割で切り替えられる。
[0080]
 図11に、偏光切替素子を用いる本発明の光照射装置の別の例を示す。
 図11に示される例は、光源12と液晶ホログラム素子14との間に、偏光切替素子62を配置したものである。
 この構成では、光源12は、直線偏光を出射するのが好ましい。また、光源12が無偏光を出射する場合には、光源12と偏光切替素子62との間に、偏光子を設けるのが好ましい。
[0081]
 偏光切替素子62は、透過する光の偏光を、直線偏光、右円偏光および左円偏光のいずれかに切り替えるものである。上述したように、液晶ホログラム素子14は、直線偏光が入射した場合には、透過光は、右円偏光および左円偏光になり、右円偏光が入射した場合には透過光は左円偏光となり、左円偏光が入射した場合には透過光は右円偏光となる。
 そのため、偏光切替素子62が、入射した直線偏光を右円偏光にすることで、左円偏光のドットパターンが投影され、入射した直線偏光を左円偏光にすることで、右円偏光のドットパターンが投影され、直線偏光のまま透過することで、右円偏光および左円偏光の両方のドットパターンが投影される。
 従って、図11に示す構成でも、本発明の光照射装置が投影するドットパターンを、例えば時分割で切り替えられる。
[0082]
 本発明の光照射装置は、上述した光照射装置を複数、配列して、1つの光照射装置を構成してもよい。
 これにより、ドットパターンを増やして、より、広い領域にドットパターンを投影することができる。
[0083]
 偏光切替素子60および62には、制限はなく、上述した作用を発現できる光学素子が、各種、利用可能である。
 一例として、電極を有する2枚の基板と、2枚の基板の間に封入された液晶層とを有する、液晶セルを有する偏光切替素子が例示される。液晶セルを用いて透過する円偏光を上述のように切り替える偏光切替素子60、および、液晶セルを用いて透過する光の偏光状態を上述のように切り替える偏光切替素子62は、公知の構成のものが、各種、利用可能である。
 液晶セルを用いて透過する円偏光を上述のように切り替える偏光切替素子60としては、一例として、VA(Vertical Alignment)、IPS(In Plane Switching)、TN(Twisted Nematic)、および、ECB(Electrically Controlled Birefringence)等の方式によるものが例示される。
 液晶セルを用いて透過する光の偏光状態を上述のように切り替える偏光切替素子62としては、一例として、VA(Vertical Alignment)、IPS(In Plane Switching)、TN(Twisted Nematic)、および、ECB(Electrically Controlled Birefringence)等の方式によるものが例示される。
[0084]
 図12に、本発明の光照射装置10を用いる本発明のセンサーの一例を概念的に示す。
 図12に示すセンサー70は、ドットパターンを照射する本発明の光照射装置10と、受光素子72と、を有して構成される。
 図12に示すセンサー70は、光照射装置10が投影したドットパターンを、物体O(測定対象)に入射して、物体Oによって反射されたドットパターンを、受光素子72に入射するものである。
 センサー70は、一例として、光照射装置10が照射したドットパターンと、受光素子72が受光したドットパターンとの違いから、物体Oの認証等を行う。
[0085]
 なお、受光素子72は、公知の受光素子(光センサー)が、各種、利用可能である。一例として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー、および、CCD(Charge-Coupled Device)センサー等が例示される。
 受光素子72は、光を二次元的に検出するエリアセンサーであるのが好ましい。
[0086]
 以上、本発明の光照射装置およびセンサーについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
実施例
[0087]
 以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[0088]
 [実施例1]
<計算機ホログラムの計算>
 IFTA(Iterative Fourier transform algorithm)の手法を用いて、不規則なドットパターンを生成する位相パターンを計算した。
 なお、位相パターンの領域は1000×1000領域で計算を行った。
<液晶ホログラムの作製>
(配向膜の形成)
 支持体としてガラス基板を用意した。支持体上に、下記の配向膜形成用塗布液をスピンコートで塗布した。この配向膜形成用塗布液の塗膜が形成された支持体を60℃のホットプレート上で60秒間乾燥し、配向膜を形成した。
[0089]
  配向膜形成用塗布液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 光配向用素材                   1.00質量部
 水                       16.00質量部
 ブトキシエタノール               42.00質量部
 プロピレングリコールモノメチルエーテル     42.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
[0090]
  光配向用素材
[化1]


[0091]
(配向膜の露光)
 配向膜に、直線偏光を集光したレーザ光を照射することで、配向膜を露光して、配向パターンを有する配向膜P-1を形成した。
 配向膜の露光において、レーザとして波長(325nm)のレーザ光を出射するものを用いた。直線偏光による露光を、計算機ホログラムでシミュレートした位相パターンに応じて直線偏光の偏光方向を変更して、繰り返し行うことで、配向膜全体を、所望の配向状態になるように露光を行った。なお、単位領域(図3の領域26a)の大きさが1μm、1000×1000領域(1.0×1.0mm)となるように配向膜の露光を行った。
[0092]
(液晶ホログラム層の形成)
 液晶ホログラム層を形成するための液晶組成物として、下記の組成物A-1を調製した。
  組成物A-1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 棒状液晶化合物L-1             100.00質量部
 重合開始剤(BASF製、Irgacure(登録商標)907)
                          3.00質量部
 光増感剤(日本化薬製、KAYACURE DETX-S)
                          1.00質量部
 レベリング剤T-1                0.08質量部
 メチルエチルケトン             2700.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
[0093]
  棒状液晶化合物L-1
[化2]


[0094]
  レベリング剤T-1
[化3]


[0095]
 組成物A-1を配向膜P-1上に多層塗布することにより、液晶ホログラム層を形成した。多層塗布とは、先ず配向膜の上に1層目の組成物A-1を塗布、加熱、冷却後に紫外線硬化を行って液晶固定化層を作製した後、2層目以降はその液晶固定化層に重ね塗りして塗布を行い、同様に加熱、冷却後に紫外線硬化を行うことを繰り返すことを指す。多層塗布により形成することにより、液晶層の総厚が厚くなった時でも配向膜の配向方向が液晶層の下面から上面にわたって反映される。
[0096]
 先ず1層目は、配向膜P-1上に下記の組成物A-1を塗布して、塗膜をホットプレート上で80℃に加熱した。その後、80℃にて、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を300mJ/cm 2の照射量で塗膜に照射することにより、液晶化合物の配向を固定化した。
[0097]
 なお、液晶組成物A-1の硬化層のレタデーション値は、液晶組成物A-1を別途に用意したレタデーション測定用の配向膜付き支持体上に塗布し、液晶化合物のダイレクタが基材に水平となるよう配向させた後に紫外線照射して固定化して得た液晶固定化層(硬化層)のレタデーション値を測定して求めた。レタデーション値はAxometrix社のAxoscanを用いて目的の波長で測定した。
 最終的に液晶層の波長940nmにおけるレタデーション値は、Re(940)が470nmであった。
[0098]
 液晶層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscope))で確認したところ、液晶層の厚さは2.9μmであった。
[0099]
(光照射装置の作製)
 中心波長が940nmの直線偏光の光を照射するレーザ光源を用意した。レーザ光源から、作製した液晶ホログラム素子のホログラム形成箇所に垂直に光が入射するように、レーザ光源および液晶ホログラム素子を配置して光照射装置を作製した。
[0100]
 (評価)
 作製した光照射装置から投影された光学パターンを評価した。
光照射装置の法線方向に30cmの距離で配置したスクリーンに、光照射装置で光学パターンを投影し、赤外カメラで撮影した画像を評価した。
[0101]
 実施例1の光照射装置から投影されたドットパターンは、計算機ホログラムで意図した光学パターンが観察された。
[0102]
 [実施例2]
<偏光切替素子:液晶セルの作製>
 ITO電極(Indium Tin Oxide電極)を有する透明ガラス基板上に垂直配向膜を形成した支持基板を一対用意し、ITO電極が内側になるように対向して配置した。ITO電極を有する透明基板の間にネマティック液晶層を封入し、各電極に所定の電圧を印加することにより、ネマティック液晶層の配向状態が変化する液晶セルを作製した。
 中心波長が940nmの直線偏光であるレーザ光を液晶セルの正面に入射し、液晶セルの透過光が直線偏光、右円偏光、左円偏光になる電圧を求めた。
[0103]
(光照射装置の作製)
 実施例1の光照射装置において、レーザ光源と液晶ホログラム素子の間に、液晶セルを配置した以外は実施例1と同様にして光照射装置を作製した。なお、レーザ光源からの光が、液晶セル、液晶ホログラム素子に垂直に入射するように配置した。
[0104]
 (評価)
 作製した光照射装置から投影された光学パターンを評価した。
 液晶セルの電圧を調節し、液晶ホログラムに直線偏光、右円偏光、左円偏光の光を照射した。入射光の偏光状態に応じて、3つの異なるドットパターンが観察された。
 以上の結果より、本発明の効果は明らかである。

産業上の利用可能性

[0105]
 センサーなど、光学パターンを投影する各種の用途に好適に利用可能である。

符号の説明

[0106]
 10 光照射装置
 12 光源
 14 液晶ホログラム素子
 20,46 支持体
 24,48 配向膜
 26 液晶ホログラム層
 26a 領域
 30,52A 光学軸
 34 回折光学素子
 42 液晶回折素子
 50,56 光学異方性層
 52 液晶化合物
 60,62 偏光切替素子
 O 物体

請求の範囲

[請求項1]
 光源と、液晶ホログラム素子とを有し、
 前記液晶ホログラム素子は、透過光を複数の異なる方向に回折させるものであり、
 前記液晶ホログラム素子が、液晶ホログラム層を有し、前記液晶ホログラム層が、計算機ホログラムからなる、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された層であり、さらに、
 前記液晶ホログラム層は、前記液晶化合物に由来する光学軸の向きが互いに異なる複数の領域を有することを特徴とする光照射装置。
[請求項2]
 前記領域の大きさが、50μm以下である、請求項1に記載の光照射装置。
[請求項3]
 前記光源が、広がり角が5°以下の光を出射する、請求項1または2に記載の光照射装置。
[請求項4]
 前記光源と前記液晶ホログラム素子との間に、透過する光の偏光状態を切り替える偏光切替素子が配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の光照射装置。
[請求項5]
 前記光源が無偏光を出射するものであり、前記光源と前記偏光切替素子との間に偏光子を有する、または、前記光源が直線偏光を出射するものである、請求項4に記載の光照射装置。
[請求項6]
 光の進行方向の前記液晶ホログラム素子よりも下流に、透過する偏光を切り替える偏光切替素子を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光照射装置。
[請求項7]
 前記偏光切替素子が、電極を有する2枚の基板と、前記基板の間に封入された液晶層とを有する、液晶セルを有する、請求項4~6のいずれか1項に記載の光照射装置。
[請求項8]
 前記光源が出射した光を集光するレンズ素子を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の光照射装置。
[請求項9]
 光の進行方向の前記液晶ホログラム素子よりも下流に、回折光学素子を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の光照射装置。
[請求項10]
 請求項1~9のいずれか1項に記載の光照射装置を、複数、有する、光照射装置。
[請求項11]
 請求項1~10のいずれか1項に記載の光照射装置と、受光素子とを有する、センサー。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]