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1. WO2020203920 - PLASTIC OPTICAL FIBER

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明 細 書

発明の名称 プラスチック光ファイバー

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051  

実施例

0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058  

産業上の利用可能性

0059  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : プラスチック光ファイバー

技術分野

[0001]
 本発明は、プラスチック光ファイバーに関する。

背景技術

[0002]
 プラスチック光ファイバーは、光を伝送する部分である中心部のコアと、当該コアの外周を覆うクラッドとを備えている。コアは、高屈折率を有する樹脂材料によって形成されている。クラッドは、光をコア内に留めるために、コアの樹脂材料よりも低い屈折率を有する樹脂材料によって形成されている。
[0003]
 従来、プラスチック光ファイバーの伝送損失を低減するための様々な構成が検討されている。例えば、特許文献1には、鞘中、すなわちクラッド中の異物量を低減することによって伝送損失が低減された、プラスチック光ファイバーが提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開第2016/063829号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 プラスチック光ファイバーの伝送損失をさらに低減するため手段として、光ファイバーの開口数を向上させることが考えられる。光ファイバーの開口数を高めることにより、例えば曲げ損失が低減されるので、コア内への光の閉じ込め効果が向上する。
[0006]
 光ファイバーの開口数を高めるためには、クラッドの屈折率をより低くすることが求められる。従来、クラッドの屈折率を低下させるために、クラッドを構成する樹脂材料自体の屈折率を低下させることが行われていた。しかし、樹脂材料自体の屈折率を低下させることは容易ではなく、樹脂材料の開発によって、クラッドの屈折率をさらに低下させることには限界があった。
[0007]
 そこで、本発明は、クラッドの屈折率を低下させることによって開口数を高めることができ、その結果低い伝送損失を実現しうるプラスチック光ファイバーを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明は、コアと、前記コアの外周に配置されたクラッドと、を備えたプラスチック光ファイバーであって、前記クラッドの少なくとも一部が、多孔質構造を有する樹脂によって構成されている、プラスチック光ファイバーを提供する。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、クラッドの屈折率をさらに低下させることによって開口数を高めることができ、その結果低い伝送損失を実現しうるプラスチック光ファイバーを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 図1は、本発明のプラスチック光ファイバーの断面構造の一例を示す模式図である。
[図2] 図2は、本発明のプラスチック光ファイバーの断面構造の別の例を示す模式図である。
[図3] 図3は、本発明のプラスチック光ファイバーの断面構造のさらに別の例を示す模式図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 本発明のプラスチック光ファイバー(以下、「POF」と記載する)の実施形態について説明する。本実施形態のPOFは、コアと、前記コアの外周に配置されたクラッドとを備える。クラッドの少なくとも一部は、多孔質構造を有する樹脂によって構成されている。
[0012]
 図1~3は、本実施形態のPOFの例(第1例~第3例)の断面構造をそれぞれ示す。
[0013]
 図1に示された第1例のPOF10は、コア11と、コア11の外周に配置されたクラッド12と、を備えている。クラッド12の少なくとも一部は、多孔質構造を有する樹脂によって構成されている。
[0014]
 図2に示された第2例のPOF20は、図1に示されたPOF10において、クラッド12が複数の層を有するクラッド22に変更された構成を有する。なお、POF20では、クラッド22が、コア11に接して配置されている第1のクラッド層221と、第1のクラッド層221よりも外周側に配置されている第2のクラッド層222とからなる2層構造を有している。この構成の場合、例えば第2のクラッド層222が、多孔質構造を有する樹脂によって構成される。なお、図2では、クラッド22が2層構造である例が示されているが、クラッド22に含まれる層数はこれに限定されず、3層以上が含まれていてもよい。クラッドが複数の層によって構成されている場合、例えば、コアに入射した光がコアとクラッドとの界面で全反射せずにクラッド側へ漏れ出た場合であっても、より外周側に位置するクラッド層で全反射させることが可能となるので、光損失を低減できる。
[0015]
 図3に示された第3例のPOF30は、POF20に対して、クラッド22の外周に配置された被覆層31がさらに設けられた構成を有する。被覆層31は、POF30の機械的強度を向上させるために設けられる。
[0016]
 以下に、本実施形態のPOFの各構成について、より詳しく説明する。
[0017]
 (コア)
 コアは、光を伝送する領域である。コアは、クラッドよりも高い屈折率を有している。この構成により、コア内に入射した光は、クラッドによってコア内部に閉じ込められて、POF内を伝搬する。
[0018]
 コアの材料は、高い透明性を有する樹脂であればよく、特には限定されない。樹脂としては、例えば、含フッ素樹脂、メチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、及びカーボネート系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、広い波長領域で低い伝送損失を実現可能であることから、含フッ素樹脂が好適に用いられる。
[0019]
 含フッ素樹脂は、例えば、重合性二重結合を有する含フッ素化合物を単量体とする重合体である。C-H結合の伸縮エネルギーによる光吸収を抑制する観点から、コア材料として用いられる含フッ素樹脂は、C-H結合を含まないことが望ましい。したがって、含フッ素樹脂は、実質的に水素原子を含んでいないものが好ましく、特にすべてのC-H結合のHがフッ素化されていることが好ましい。すなわち、含フッ素樹脂は、実質的に水素原子を含まず、かつ全フッ素化されていることが好ましい。含フッ素樹脂が実質的に水素原子を含まないとは、含フッ素樹脂における水素原子の含有割合が、1モル%以下であることである。
[0020]
 含フッ素樹脂として、例えば、含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が挙げられる。含フッ素脂肪族環構造を有する重合体としては、含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素化合物を単量体として用い、当該単量体を重合して得られるものが好適である。含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体も、実質的に水素原子を含まないことが好ましい。ここで、含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素化合物とは、環を構成する炭素原子と環を構成しない炭素原子間に重合性二重結合を有する含フッ素化合物、又は、環を構成する炭素原子2個間に重合性二重結合を有する含フッ素化合物を意味する。環を構成する炭素原子と環を構成しない炭素原子間に重合性二重結合を有する含フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロ-2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソランのような1,3-ジオキソラン構造を有する含フッ素化合物が挙げられる。環を構成する炭素原子2個間に重合性二重結合を有する含フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロ-4-メチル-1,3-ジオキソール及びパーフルオロ-4-メチル-1,3-ジオキソールのような1,3-ジオキソール構造を有する含フッ素化合物が挙げられる。
[0021]
 含フッ素樹脂が全フッ素化されたものであって、かつ含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体である場合、当該含フッ素重合体を重合により形成する単量体の含フッ素化合物には、例えば下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
[化1]


(式(1)中、R ff 1~R ff 4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。R ff 1及びR ff 2は連結して環を形成してもよい。)
[0022]
 上記式(1)で表される化合物の具体例として、例えば下記式(A)~(H)で表される化合物が挙げられる。
[化2]


[0023]
 含フッ素化合物としては、不純物を含まないよう精製された物を用いることが好ましい。精製は、公知の方法により実現できる。特に不純物の中でも酸成分は、着色に影響するので含まれないことが好ましい。
[0024]
 単量体として用いられる含フッ素化合物は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。すなわち、本実施形態で用いられる含フッ素樹脂は、1種のフッ素化合物を単独重合させることによって得られる含フッ素重合体であってもよいし、2種以上の含フッ素化合物を共重合させることによって得られる含フッ素共重合体であってもよい。
[0025]
 本実施形態で用いられる含フッ素樹脂は、例えば上述の含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素化合物(以下、含フッ素化合物(A)と記載する)と、含フッ素化合物(A)以外の他の含フッ素化合物とを共重合させることによって得られる含フッ素共重合体であってもよい。含フッ素化合物(A)以外の他の含フッ素化合物として、例えば、以下の含フッ素化合物(B)~(D)が挙げられる。
[0026]
 含フッ素化合物(B)は、パーフルオロビニルエーテル等の含フッ素ビニルエーテルである。含フッ素ビニルエーテルは、例えば下記式(2)で表される。
[化3]


(式(2)中、R 1~R 3は各々独立に、フッ素原子、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキル基を表す。R 4は、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基を表す。パーフルオロアルキル基は、環構造を有していてもよい。フッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルキル基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。)
[0027]
 含フッ素化合物(C)は、テトラフルオロエチレン及びクロロトリフルオロエチレン等の含フッ素オレフィンである。含フッ素オレフィンは、例えば下記式(3)で表される。
[化4]


(式(3)中、R 5~R 8は各々独立に、フッ素原子、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキル基を表す。パーフルオロアルキル基は、環構造を有していてもよい。フッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルキル基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。)
[0028]
 含フッ素化合物(D)は、2個以上の重合性二重結合を有し、かつ環化重合し得る含フッ素化合物である。含フッ素化合物(D)は、例えば下記式(4)で表される。
[化5]


(式(4)中、Zは、酸素原子、単結合、又は-OC(R 1920)O-を表し、R 9~R 20は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~5のパーフルオロアルコキシ基を表す。フッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルキル基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルコキシ基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。s及びtはそれぞれ独立に0~5でかつs+tが1~6の整数(ただし、Zが-OC(R 1920)O-の場合、s+tは0であってもよい)を表す。)
[0029]
 含フッ素化合物(D)として、下記式(5)で表される含フッ素化合物が用いられてもよい。なお、下記式(5)で表される構成単位は、上記式(4)においてZが酸素原子、sが0、かつtが2の場合である。
[化6]


(式(5)中、R 141、R 142、R 151、及びR 152は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~5のパーフルオロアルコキシ基を表す。フッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルキル基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルコキシ基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。)
[0030]
 含フッ素化合物(D)の具体例として、例えば下記の化合物が挙げられる。
CF 2=CFOCF 2CF=CF 2
CF 2=CFOCF(CF 3)CF=CF 2
CF 2=CFOCF 2CF 2CF=CF 2
CF 2=CFOCF 2CF(CF 3)CF=CF 2
CF 2=CFOCF(CF 3)CF 2CF=CF 2
CF 2=CFOCFClCF 2CF=CF 2
CF 2=CFOCCl 2CF 2CF=CF 2
CF 2=CFOCF 2OCF=CF 2
CF 2=CFOC(CF 32OCF=CF 2
CF 2=CFOCF 2CF(OCF 3)CF=CF 2
CF 2=CFCF 2CF=CF 2
CF 2=CFCF 2CF 2CF=CF 2
CF 2=CFCF 2OCF 2CF=CF 2
CF 2=CFOCF 2CFClCF=CF 2
CF 2=CFOCF 2CF 2CCl=CF 2
CF 2=CFOCF 2CF 2CF=CFCl
CF 2=CFOCF 2CF(CF 3)CCl=CF 2
CF 2=CFOCF 2OCF=CF 2
CF 2=CFOCCl 2OCF=CF 2
CF 2=CClOCF 2OCCl=CF 2
[0031]
 本実施形態で用いられる含フッ素樹脂が、含フッ素化合物(A)と、含フッ素化合物(A)以外の他の含フッ素化合物(例えば、上記含フッ素化合物(B)~(D)からなる群より選択される少なくとも1つ)とを共重合させることによって得られる含フッ素共重合体である場合、当該含フッ素共重合体において、含フッ素化合物(A)に基づく構成単位(A)の含有量は、当該含フッ素共重合体における全構成単位の合計に対し、20モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましい。構成単位(A)が20モル%以上含まれることにより、含フッ素共重合体は、より高い耐熱性を有することができる。構成単位(A)が40モル%以上含まれることにより、含フッ素共重合体は、より高い耐熱性と、より高い透明性及び高い機械的強度を有することができる。
[0032]
 なお、含フッ素樹脂は、例えば、上記に例示した含フッ素化合物を単量体として用い、この単量体を例えば公知の重合開始剤等を用いて、公知の方法によって重合させることによって製造できる。重合方法としては、公知の重合方法を用いることができる。例えば、上記に例示した含フッ素化合物を常法によってラジカル重合し、含フッ素樹脂を製造できる。含フッ素化合物として全フッ素化された含フッ素化合物を単量体として用い、さらに全フッ素化された化合物からなる重合開始剤を用いることにより、全フッ素化された含フッ素樹脂を製造することができる。
[0033]
 また、本実施形態で用いられる含フッ素樹脂が、上述したような含フッ素脂肪族環構造を有する重合体である場合、重合当初の重合体は末端に不安定な官能基を有していることがある。したがって、この場合は、重合体製造後に、重合体をフッ素でフッ素化する末端安定化処理を行うことが好ましい。
[0034]
 コア材料は、上記の樹脂に加えて、屈折率を高めるための屈折率調整剤等、他の成分を適宜含んでいてもよい。
[0035]
 本実施形態のPOFが例えば屈折率分布型である場合、コアは、径方向に対して屈折率が変化する屈折率分布を有する。このような屈折率分布は、例えば、含フッ素樹脂に屈折率調整剤を添加し、屈折率調整剤を光学樹脂成形体中で拡散(例えば、熱拡散)させることによって、形成されうる。
[0036]
 コアの屈折率は、クラッドの屈折率よりも高ければよいため、特には限定されない。POFにおいて高い開口数を実現するためには、コアの屈折率とクラッドの屈折率との差は、より大きいことが好ましい。例えば、コアの屈折率は、1.340以上とすることができ、1.360以上であることが好ましい。コアの屈折率の上限は、特には限定されないが、例えば1.4000以下である。
[0037]
 (クラッド)
 本実施形態において、クラッドは、少なくともその一部が、多孔質構造を有する樹脂によって構成されている。クラッド全体が、多孔質構造を有する樹脂によって構成されていてもよい。このように、クラッドが多孔質構造を含むことにより、クラッドの屈折率が、クラッドの材料として用いられる樹脂自体の屈折率よりも低下する。したがって、樹脂自体の開発によってクラッドの屈折率を低下させることが困難な場合であっても、クラッドの屈折率を低下させることが可能となる。これにより、コアの屈折率とクラッドの屈折率との差をより大きくすることができるので、POFにおいて高い開口数を実現できる。その結果、例えば曲げ損失が低減されてコア内への光の閉じ込め効果が向上し、低い伝送損失を実現しうるPOFが実現されうる。
[0038]
 クラッドにおいて、多孔質構造を有する樹脂によって構成されている部分の屈折率は特には限定されないが、例えば、1.310以下とすることができ、1.300以下であることが好ましい。多孔質構造を有する樹脂によって構成されている部分の屈折率の下限は、特には限定されないが、例えば1.285以上である。
[0039]
 クラッドが、例えば図1に示すように単層によって構成されている場合、クラッド12において多孔質構造を有する部分は、より外周に位置する部分であることが好ましい。内周部分、すなわちコア11により近い部分、例えばコア11と接する部分は、クラッド側に漏れ出た光が散乱することを確実に抑制するために、多孔質構造を有していないことが好ましい。
[0040]
 クラッドが、例えば図2に示すように複数層によって構成されている場合、コア11に接して配置されている第1のクラッド層221よりも外周側に配置されている第2のクラッド層222は、多孔質構造を有することが好ましい。この場合、コア11から第1のクラッド層221に漏れ出た光が、第2のクラッド層222で確実に全反射されてクラッド22内に閉じ込められるように、第2のクラッド層222は第1のクラッド層221よりも低い屈折率を有することが好ましい。例えば、第1のクラッド層221は、1.300~1.322の範囲内の屈折率を有することが好ましい。例えば、第2のクラッド層222は、第1のクラッド層221よりも低く、かつ1.290~1.300の範囲内の屈折率を有することが好ましい。
[0041]
 なお、上述のとおり、クラッド22は、3層以上のクラッド層を有していてもよい。その場合、第2のクラッド層222は、クラッド22において最も内周側以外の位置であればどの位置に配置されてもよいが、光の散乱の可能性をより低減するために、より外周側の位置に配置されることが好ましい。クラッド22が3層以上のクラッド層を有する場合、クラッド22に漏れ出た光をクラッド22内に確実に閉じ込めるために、クラッド22において、最も内周側に配置される第1のクラッド層221の屈折率が最も高く、より外周側に配置されるクラッド層ほど屈折率が低いことが好ましい。多孔質構造を有するクラッド層は、屈折率が所望の範囲内となるように、細孔径及び空隙率等の細孔条件を適宜調整することによって屈折率が設計されてもよい。
[0042]
 コア11に接している第1のクラッド層221は、多孔質構造を有していてもよいが、多孔質構造を有していないことが好ましい。その理由は、第1のクラッド層221が多孔質構造を有している場合、クラッド側に漏れ出て第1のクラッド層221に入射した光が散乱する場合があるためである。したがって、光の散乱による損失を抑制するために、第1のクラッド層221は、多孔質構造を有していないことが好ましい。
[0043]
 クラッドの材料として用いられる樹脂は、コアの材料として用いられる樹脂の屈折率以下の屈折率を有する樹脂であることが好ましい。クラッドの材料として用いられる樹脂は、例えば、含フッ素樹脂、メチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、及びカーボネート系樹脂等が挙げられる。クラッドとコアとの界面で剥離が生じることを防ぐために、クラッドの材料として用いられる樹脂は、コアの材料として用いられている樹脂と同種であることが好ましい。例えば、コアの材料として含フッ素樹脂が用いられる場合、クラッドの材料としての樹脂も、同じ含フッ素樹脂であることが好ましい。また、クラッドが、例えば図2に示すように複数層によって構成されている場合、層間の剥離を抑制するために、各クラッド層の材料として用いられる樹脂は、互いに同じ種類の樹脂であることが好ましい。
[0044]
 上述のとおり、クラッドの少なくとも一部は、多孔質構造を有する。光の散乱を抑制するために、多孔質構造に含まれる細孔の孔径は、10nm~200nmの範囲内であることが好ましく、10nm~150nmの範囲内であることがより好ましく、50nm~120nmの範囲内であることがより好ましい。ここで、多孔質構造に含まれる細孔の孔径は、透過型電子顕微鏡(TEM)画像を用いて、各細孔の最大径を計測することによって求めることができる。
[0045]
 多孔質構造は、樹脂内に形成されたボイドによって実現されていてもよいし、樹脂に中空粒子を含ませることによって実現されていてもよい。多孔質構造の細孔の大きさを所望の範囲に制御しやすいという観点から、多孔質構造は、樹脂に中空粒子を混合させることによって形成されていることが好ましい。
[0046]
 樹脂に混合される中空粒子は、無機化合物で構成されていることが好ましい。中空粒子として、例えば、中空シリカ粒子を用いることができる。中空粒子は、中空シリカ粒子と他の中空粒子との混合物であってもよいし、中空シリカ粒子のみで構成されていてもよい。
[0047]
 樹脂に中空粒子を混合することによってクラッドが形成される場合、中空粒子がクラッド内において伝送損失を増大させる異物とならないようにすることが好ましい。したがって、中空粒子の粒径は、10nm~200nmの範囲内であることが好ましく、50nm~120nmの範囲内であることがより好ましい。ここで、樹脂中における中空粒子の粒径は、TEM画像を用いて、中空粒子の粒径を計測することによって求めることができる。また、多孔質構造を有する樹脂において、中空粒子は、10質量%~30質量%の範囲内で含まれることが好ましく、10質量%~25質量%の範囲内で含まれることがより好ましく、15~25質量%の範囲内で含まれることがさらに好ましい。クラッドにおける中空粒子の含有量は、TEM画像を用いて、クラッド樹脂部分の面積と中空粒子部分の面積との割合から算出することができる。
[0048]
 中空粒子によって多孔質構造の細孔が形成される場合、多孔質構造を有する樹脂は、例えば、母材となる樹脂に中空粒子を混合して分散させることによって作製されうる。このとき、中空粒子は、母材となる樹脂中に均一に分散していることが好ましく、凝集体(すなわち二次粒子)を形成せずに、一次粒子の状態で分散していることが好ましい。このような良好な分散性を可能とするために、中空粒子には、例えば疎水処理等の表面処理が施されていることが好ましい。
[0049]
 (被覆層)
 上述のとおり、被覆層は、POFの機械的強度を向上させるために設けられている。被覆層には、例えば、公知のPOFにおいて被覆層として用いられている材料(例えば、ポリカーボネート等)、各種エンジニアリングプラスチック、シクロオレフィンポリマー、PTFE、変性PTFE、PFA及び構成が適用されうる。
[0050]
 (POFの製造方法)
 本実施形態のPOFは、公知のPOFの製造方法を利用して製造することができる。すなわち、本実施形態のPOFは、コア及びクラッド等に用いられる各樹脂材料を準備する工程と、それらの樹脂材料を用いてPOFを成形する工程と、を含む方法によって製造されうる。POFを成形する方法として、例えば、溶融紡糸法を用いることができる。溶融紡糸法によるPOFの成形は、例えば、コア用の樹脂材料及びクラッド用の樹脂材料、並びに、必要に応じて被覆層用の樹脂材料を、それぞれ溶融し、複合紡糸することによって行うことができる。
[0051]
 クラッドの多孔質構造が例えば中空粒子によって形成される場合、クラッド用の樹脂材料として、母材となる樹脂に中空粒子が混合されたものが準備される。クラッドの多孔質構造が樹脂内に形成されたボイドによって実現される場合、例えば、樹脂材料にあらかじめ発泡剤を分散させておき、POFの成形時に加熱して発泡剤を熱分解することにより気泡を発生させる方法を用いることができる。
実施例
[0052]
 (実施例)
 フッ素樹脂としてのポリパーフルオロ-4-メチル1、3ジオキソランに対し、中空ナノシリカを20質量%となるように添加し、二軸混練押し出し機で均一分散させた(混練物a)。
[0053]
 フッ素樹脂としてのポリパーフルオロ-4-メチル1、3ジオキソランに対し、屈折率調整剤としての2,4,6-トリフェニルトリアジンを5質量%となるように溶融混合した(混合物b)。
[0054]
 コアとして混合物bを、第1のクラッド層としてフッ素樹脂のポリパーフルオロ-4-メチル1、3ジオキソランを、第2のクラッド層として混練物aを、被覆層としてポリカーボネートを用い、多層溶融押し出しにより、コア、第1のクラッド、第2のクラッド、及び被覆層からなる同心円状の4層ファイバーを形成した。
[0055]
 以上の方法で、図3に示す構成と同様の構成を有する、実施例のPOFが作製された。実施例のPOFにおいて、コアの直径は50μmであり、第1のクラッドの厚さは70μmであり、第2のクラッドの厚さは5μmであり、被覆層の厚さは250μmであった。
[0056]
 実施例のPOFの評価は、屈曲後の伝送損失を測定することによって行われた。伝送損失の測定は、JIS C6823:2010に準拠して行われた。測定波長は850nmであった。POFの屈曲は、屈曲半径2.5mmで、180度曲げ(U字曲げ)を1回行うことによって、実施された。実施例のPOFの伝送損失は、0.5dB/km以下であった。
[0057]
 (比較例)
 第2のクラッド層を形成しなかったことのみを除き、その他は実施例のPOFと同一条件で比較例のPOFを作製した。さらに、比較例のPOFにおいても、実施例のPOFと同様の方法で評価を行った。比較例のPOFの伝送損失は、5dB以上であった。
[0058]
 以上の実施例及び比較例の結果から、多孔質構造を含むクラッドを備えたPOFは、低い伝送損失を実現できることが確認された。

産業上の利用可能性

[0059]
 本発明のPOFは低い伝送損失を実現でき、高速通信の用途に適している。

請求の範囲

[請求項1]
 コアと、前記コアの外周に配置されたクラッドと、を備えたプラスチック光ファイバーであって、
 前記クラッドの少なくとも一部が、多孔質構造を有する樹脂によって構成されている、プラスチック光ファイバー。
[請求項2]
 前記多孔質構造に含まれる細孔の孔径は、10nm以上200nm以下の範囲内である、
請求項1に記載のプラスチック光ファイバー。
[請求項3]
 前記クラッドは、第1のクラッド層及び第2のクラッド層を含み、
 前記第1のクラッド層は、前記コアに接して配置されており、
 前記第2のクラッド層は、前記第1のクラッド層よりも外周側に配置され、かつ前記多孔質構造を有する前記樹脂によって構成されている、
請求項1又は2に記載のプラスチック光ファイバー。
[請求項4]
 前記樹脂は、中空粒子を含んでおり、
 前記多孔質構造が、前記中空粒子によって形成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載のプラスチック光ファイバー。
[請求項5]
 前記中空粒子は、無機化合物で構成されている、
請求項4に記載のプラスチック光ファイバー。
[請求項6]
 前記中空粒子は、中空シリカ粒子を含む、
請求項4又は5に記載のプラスチック光ファイバー。
[請求項7]
 前記中空粒子の粒径は、50nm以上120nm以下の範囲内である、
請求項4~6のいずれか1項に記載のプラスチック光ファイバー。
[請求項8]
 前記樹脂は、前記中空粒子を10質量%以上25質量%以下の範囲内で含む、
請求項4~7のいずれか1項に記載のプラスチック光ファイバー。
[請求項9]
 前記クラッドの外周に配置された被覆層をさらに含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載のプラスチック光ファイバー。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]