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1. WO2020196742 - IMMUNODEFICIENT RODENT

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明 細 書

発明の名称 免疫不全げっ歯類

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

非特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010  

発明の効果

0011   0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071  

実施例

0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094  

産業上の利用可能性

0095  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29   30   31  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18-1   18-2   19   20   21   22   23  

明 細 書

発明の名称 : 免疫不全げっ歯類

技術分野

[0001]
 本発明は、ヒトの自然免疫系を再現できるげっ歯類動物に関する。

背景技術

[0002]
 非常に優れた免疫不全マウスとして、NOGマウスが知られている(特許文献1)。NOGマウスにヒトの細胞や組織を移植してヒト化NOGマウスが作製されている。ヒト自然免疫系を再現するためには、ヒト好中球等のヒト顆粒球が長期間末梢を循環するマウスが必要である。その目的のために、ヒト造血幹細胞を移植し、ヒトG-CSFタンパクを投与したマウスが存在しているが(非特許文献1、2)、ヒト好中球の生着は一過性であり、またマウスの好中球も増加するため、ヒトの自然免疫系に特化できていないことが大きな問題となっている。
[0003]
 また好酸球や好塩基球は、アレルギー疾患に関与する自然免疫系細胞である。ヒト好酸球やヒト好塩基球が分化するマウスが存在する(非特許文献3、4)。しかしいずれのマウスにおいても少量のヒト好酸球及びヒト好塩基球が分化するのみであり、長期間に渡って十分な量維持されるげっ歯類は存在しない。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公報第WO2002/043477号

非特許文献

[0005]
非特許文献1 : Tanaka S. et al., J Immunol. 2012 Jun 15;188(12):6145-55
非特許文献2 : Coughlan AM et al., Stem Cells Dev. 2016 Apr 1;25(7):530-41
非特許文献3 : Ito R et al. Journal of immunology 2013;191:2890-2899.
非特許文献4 : Ito R et al. JCI Insight. 2018 Nov 2;3(21)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 本発明は、マウスの自然免疫系が活性化することなく、ヒトの自然免疫系を長期間再現可能とするヒト化マウスの提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者らは、ヒト好中球の生着性を亢進させるために、好中球の誘導因子として知られるヒトG-CSFサイトカインを免疫不全マウスにノックインした。この際、ヒトG-CSFがマウスのG-CSFレセプターと交差反応してマウスの自然免疫系が活性化されるのを防ぐために、ヒトG-CSF遺伝子をマウスのG-CSFレセプター遺伝子座にノックインし、マウスG-CSFレセプターの機能を欠損させた。
[0008]
 この結果、血清中にヒトG-CSFが存在し、免疫不全マウス中でヒト造血系が再構成されたヒト化マウスを作出し、本発明を完成させるに至った。
[0009]
 さらに、前記の血清中にヒトG-CSFが存在し、免疫不全マウス中でヒト造血系が再構成されたヒト化マウスにおいて、抗体のFc領域に結合するレセプターを欠損させ、ヒト好中球の分化が前記マウスより亢進するヒト化マウスを作出し、他の本発明を完成させた。
また、ヒト好酸球や好塩基球が少量程度分化するhIL-3/hGM-CSF TgマウスおよびhIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tgマウスにおいて、抗体のFc領域に結合するレセプターを欠損させ、好酸球、好塩基球の分化が亢進するヒト化マウス作出し、他のさらに他の本発明を完成させた。
[0010]
 すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] G-CSFレセプター遺伝子座にヒトG-CSF遺伝子をノックインし、G-CSFレセプターの機能を欠損した免疫不全げっ歯類動物であって、ヒトG-CSFが発現しげっ歯類のG-CSFレセプターを発現しない、ヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物。
[2] マウスである、[1]のヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物。
[3] NOGマウスであり、正式系統名はNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1Sug Csf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表される、[2]のヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物。
[4] [1]~[3]のいずれかのヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物にヒト造血幹細胞を移植して得られる、ヒト好中球が末梢を循環しているヒト化げっ歯類動物。
[5] [4]のヒト化げっ歯類動物に、細菌又はウイルスを感染させた、ヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物。
[6] 免疫不全げっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にヒトG-CSF遺伝子をノックインすることを含む、ヒトG-CSFが発現しげっ歯類のG-CSFレセプターを発現しない、ヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物の作製方法。
[7] げっ歯類動物がマウスである、[6]のヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物の作製方法。
[8] マウスがNOGマウスであり、正式系統名はNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1SugCsf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表される、[7]のヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物の作製方法。
[9] げっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にヒトG-CSF遺伝子をノックインし、さらにヒト造血幹細胞を移植することを含む、ヒト好中球が末梢を循環しているヒト化げっ歯類動物の作製方法。
[10] げっ歯類動物がマウスである、[9]のヒト化げっ歯類動物の作製方法。
[11] マウスがNOGマウスであり、正式系統名はNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1SugCsf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表される、[10]のヒト化げっ歯類動物の作製方法。
[12] げっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にヒトG-CSF遺伝子をノックインし、ヒト造血幹細胞を移植し、さらに細菌又はウイルスを感染させることを含む、ヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物の作製方法。
[13] げっ歯類動物がマウスである、[12]のヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物の作製方法。
[14] マウスがNOGマウスであり、正式系統名はNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1SugCsf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表される、[13]のヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物の作製方法。
[15] [1]~[3]のいずれかのげっ歯類動物であって、さらに抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失させた、ヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされ、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物。
[16] [1]~[3]のいずれかのげっ歯類動物を抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物を交配することによる作成された、請求項15記載のヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされ、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物。
[17] [1]~[3]のいずれかのG-CSFレセプター遺伝子座にヒトG-CSF遺伝子をノックインし、G-CSFレセプターの機能を欠損した免疫不全げっ歯類動物が、NOGマウスであり、正式系統名はNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1SugCsf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表されるマウスであり、抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物がFcR KOマウスである、[15]又は[16]のげっ歯類動物。
[18] [15]~[17]のいずれかのげっ歯類動物にヒト造血幹細胞を移植して得られる、ヒト好中球が末梢を循環しているヒト化げっ歯類動物。
[19] [18]のヒト化げっ歯類動物に、細菌又はウイルスを感染させた、ヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物。
[20] ヒトIL-3及びGM-CSF遺伝子を挿入したげっ歯類動物であって、さらに抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失させ、ヒトIL-3及びGM-CSF遺伝子が挿入され、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物。
[21] ヒトIL-3及びGM-CSF遺伝子を挿入したげっ歯類動物と抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物を交配して得た、[20]のヒトIL-3及びGM-CSF遺伝子が挿入され、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物。
[22] ヒトIL-3及びGM-CSF遺伝子を挿入したげっ歯類動物がhIL-3/hGM-CSF Tgマウスであり、抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物がFcR KOマウスであり、交配して得られるマウスがhIL-3/hGM-CSF Tg, FcR KOマウスである、[21]のげっ歯類動物。
[23] NOGマウスであり、正式系統名はNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1Sug Csf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表される、[20]のげっ歯類動物。
[24] [20]~[23]のいずれかのヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物にヒト造血幹細胞を移植して得られる、ヒト好酸球が末梢を循環しているヒト化げっ歯類動物。
[25] [24]のヒト化げっ歯類動物に、細菌又はウイルスを感染させた、ヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物。
[26] ヒトIL-3、GM-CSF及びIL-5遺伝子を挿入したげっ歯類動物において、さらに抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失させた、ヒトIL-3、GM-CSF及びIL-5遺伝子がげっ歯類動物に挿入され、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物。
[27] ヒトIL-3、GM-CSF及びIL-5遺伝子を挿入したげっ歯類動物と抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物を交配して得た、[26]のヒトIL-3、GM-CSF及びIL-5遺伝子がげっ歯類動物に挿入され、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物。
[28] ヒトIL-3、GM-CSF及びIL-5遺伝子を挿入したげっ歯類動物がhIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tgマウスであり、抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物がFcR KOマウスであり、交配して得られるマウスがhIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tg, FcR KOマウスである、[26]又は[27]のげっ歯類動物。
[29] NOGマウスであり、正式系統名はNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1Sug Csf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表される、[28]のげっ歯類動物。
[30] [26]~[29]のいずれかのヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物にヒト造血幹細胞を移植して得られる、ヒト好酸球及び好塩基球が末梢を循環しているヒト化げっ歯類動物。
[31] [30]のヒト化げっ歯類動物に、細菌又はウイルスを感染させた、ヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物。
 本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2019-062919号の開示内容を包含する。

発明の効果

[0011]
 本発明の、ヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされたノックインげっ歯類動物であって、ヒト造血幹細胞を移植したげっ歯類動物は、末梢において、ヒト好中球や単球が循環しており、ヒト免疫系を再現しているヒト化げっ歯類動物である。このようなげっ歯類動物は、ヒトの免疫系の研究等に用いることができる。また、本発明のマウスは、末梢血中にヒト好中球が長期にわたって循環する最初のヒト化マウスであり、ヒトの細菌感染に対する先天的な防御機構の研究に有用である。さらに、病原菌を感染させることにより、ヒト感染症のモデルげっ歯類動物として利用することができる。
[0012]
 ヒト好酸球、好塩基球が高度に分化し、長期間維持されるヒト化マウスを用いることで、従来困難であった難治性喘息など重度なヒトアレルギー疾患を再現することが可能となる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] ヒトG-CSFノックインターゲティングベクターの構造を示す図である。
[図2] ヒトG-CSFノックインマウスのマウスG-CSFレセプター遺伝子型を示す図である。
[図3] ヒトG-CSFノックインマウス血清中のヒトG-CSF濃度(平均値)を示す図である。
[図4] ヒトG-CSFノックインマウス顆粒球上のマウスG-CSFレセプター発現欠失を示す図である。
[図5] ヒトG-CSFノックインマウス血中のマウス好中球数を示す図である。
[図6] ヒトG-CSFノックインマウスの放射線感受性を解析した結果を示す図である。
[図7] ヒト造血幹細胞によりヒト化して12週後のヒトG-CSFノックインマウス血中ヒト細胞の割合を示す図である。
[図8] ヒト造血幹細胞によりヒト化して4、8及び12週後のヒトG-CSFノックインマウス血中ヒトCD45+細胞の割合と細胞数を示す図である。
[図9] ヒト造血幹細胞によりヒト化して4、8及び12週後のヒトG-CSFノックインマウス血中ヒト好中球の割合と細胞数を示す図である。
[図10] ヒト造血幹細胞によりヒト化して4、8及び12週後のヒトG-CSFノックインマウス血中ヒト単球の割合と細胞数を示す図である。
[図11] ヒト造血幹細胞によりヒト化したヒトG-CSFノックインマウスのヒト好中球の形態をギムザ染色により解析した結果を示す図である。
[図12] ヒト造血幹細胞によりヒト化したヒトG-CSFノックインマウスのヒト好中球の活性酸素(ROS)産生能を解析した結果を示す図である。
[図13] ヒト造血幹細胞によりヒト化したヒトG-CSFノックインマウスの血清中のヒトサイトカインの産生を示す図である。
[図14] ヒト造血幹細胞によりヒト化したヒトG-CSFノックインマウスへzymosan投与4h後のヒト好中球の割合を示す図である。
[図15] ヒト造血幹細胞によりヒト化したヒトG-CSFノックインマウスへzymosan投与4h後の各ヒト細胞の割合を示す図である。
[図16] ヒト造血幹細胞によりヒト化したヒトG-CSFノックインマウスへzymosan投与4h後、血清中ヒトサイトカイン値を測定した図である。
[図17] ヒト造血幹細胞によりヒト化したヒトG-CSFノックインマウスへ大腸菌投与4h後の各ヒト細胞の割合を示す図である。
[図18-1] ヒト造血幹細胞によりヒト化したヒトG-CSFノックインマウスへ大腸菌投与4h後、血清中マウスサイトカイン値を測定した結果を示す図である。
[図18-2] ヒト造血幹細胞によりヒト化したヒトG-CSFノックインマウスへ大腸菌投与4h後、血清中ヒトサイトカイン値を測定した結果を示す図である。
[図19] hG-CSF KI, FcR KOマウス末梢血中におけるヒト白血球中のヒト好中球の割合を示す図である。
[図20] hIL-3/hGM-CSF Tg, FcR KOマウス末梢血中におけるヒト白血球中のヒト好酸球の割合を示す図である。
[図21] hIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tg, FcR KOマウス末梢血中におけるヒト白血球中のヒト好酸球の割合を示す図である。
[図22] hIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tg, FcR KOマウス末梢血中におけるヒト白血球中のヒト好塩基球の割合を示す図である。
[図23] マウス系統とヒト白血球中に占めるヒト顆粒球の割合との関係を示す図である。

発明を実施するための形態

[0014]
 以下、本発明を詳細に説明する。
[0015]
1.ヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされたノックインげっ歯類動物、及びヒト造血幹細胞(HSC: hematopoietic stem cell)が移植されたヒト好中球が末梢を循環するヒト化げっ歯類動物の作製
 本発明は、ヒトG-CSF(granulocyte-colony stimulating factor:顆粒球コロニー刺激因子)遺伝子がノックインされたノックインげっ歯類動物である。本発明のノックインげっ歯類動物において、ヒトG-CSF遺伝子は、げっ歯類動物が本来有するG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされ、その結果、げっ歯類動物が本来有するG-CSFレセプターは発現されないか、又は発現されたとしても機能を欠損している。本発明のノックインげっ歯類動物は、1ステップで、げっ歯類動物のG-CSFレセプターを欠損させつつ、ヒトG-CSF遺伝子をノックインして作製することができる。
[0016]
 配列番号1にヒトG-CSF遺伝子のDNA配列を、配列番号2にマウスG-CSFレセプター遺伝子のDNA配列を示す。
[0017]
 ここで、ノックイン(gene knock-in)とは、生物の染色体の特定の遺伝子座にタンパク質をコードするDNA配列を挿入する遺伝子工学的手法である。
[0018]
 ヒトG-CSFはげっ歯類動物のG-CSFレセプターに結合し得る。従って、ヒトG-CSFをノックインしたげっ歯類動物中でG-CSFレセプターが発現している場合、げっ歯類動物にノックインしたヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類生体内で発現すると、ヒトG-CSFがげっ歯類動物の好中球前駆細胞等に発現しているG-CSFレセプターに結合し、げっ歯類動物の好中球が増殖し得る。しかしながら、本発明のノックインげっ歯類動物は、G-CSFレセプターが機能を失っているため、ノックインげっ歯類動物中で発現したヒトG-CSFはげっ歯類動物のG-CSFレセプターに結合することはない。
[0019]
 ヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされたノックインげっ歯類動物の血中には、ヒトG-CSFが存在し、該ノックインげっ歯類動物にヒト造血幹細胞(HSC: hematopoietic stem cell)を移植した場合、げっ歯類動物体内でヒトG-CSFがヒト造血幹細胞を刺激し、ヒト好中球及び単球が分化し増殖し、末梢血中を循環する。すなわち、ヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされたげっ歯類動物にヒトHSCを移植すると、該げっ歯類動物の体内では、ヒト造血系が再構成されている。この意味で、該げっ歯類動物は、その体内でヒト造血系が再構成されているヒト化げっ歯類動物である。該げっ歯類動物においては、ヒト好中球や単球が末梢を循環している。
[0020]
 本発明は、ヒトG-CSF遺伝子をげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインすることを含む、ヒトG-CSF遺伝子がノックインされたノックインげっ歯類動物の作製法を含む。
[0021]
 さらに、ヒトG-CSF遺伝子がノックインされたノックインげっ歯類動物にヒトHSCを移植することにより、ヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされたノックインげっ歯類動物であって、ヒトHSCが移植され、末梢でヒト好中球が分化し循環しているげっ歯類動物を作製する方法を含む。
[0022]
 さらに、本発明は、ヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされたノックインげっ歯類動物であって、ヒトHSCが移植され、末梢でヒト好中球が分化し循環しているげっ歯類動物を含む。
[0023]
 本発明において、げっ歯類動物は限定されないが、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ヌートリア等が挙げられ、この中でもマウスが好ましい。
[0024]
 ヒトG-CSF遺伝子の塩基配列を配列番号1に示し、マウスG-CSFレセプター遺伝子の塩基配列を配列番号2に示す。
[0025]
 本発明で用いるヒト好中球が末梢を循環するヒト化げっ歯類動物は、ヒト好中球等のヒト細胞を免疫により排除しないげっ歯類動物、すなわち、ヒトに対する免疫反応が不活化したげっ歯類動物である。そのような動物として、免疫機能が低下又は欠損しており、ヒトに対する免疫反応が不活化したげっ歯類動物が挙げられ、例えば、免疫不全げっ歯類動物を用いることができる。
[0026]
 免疫不全げっ歯類動物は、免疫機能が低下又は欠損した動物であり、T細胞、B細胞、NK細胞、樹状細胞、マクロファージの一部又は全てを欠損している動物である。免疫不全げっ歯類動物は、全身にX線を照射することにより作製することができ、又は遺伝的に免疫機能が欠損したげっ歯類動物を用いることもできる。
[0027]
 免疫不全マウスとして、ヌードマウス、NOD/SCIDマウス、Rag2ノックアウトマウス、SCIDマウスにアシアロGM1抗体やTMβ1を投与したマウス、X線照射マウス等が挙げられる。また、これらのNOD/SCIDマウスやRag2ノックアウトマウスにIL-2Rγノックアウトを掛け合わせたノックアウト動物(以下、dKO(ダブルノックアウト)動物)も使用され得る。例えば、dKOマウス(Rag2 KO、IL-2R null)を用いることができる。本発明において、遺伝背景をBalb/cとするdKOマウスをBalb/c dKOマウスといい、遺伝背景をNODとするマウスをNOD dKOマウスという。また、マウスの遺伝背景はこれらに限らず、C57BL/6、C3H、DBA2やIQI系統でも、SCID変異とIL-2Rγノックアウト、又はRag2ノックアウトとIL-2Rγノックアウト変異を持つ系統でも、また、IL-2レセプターの共通γ鎖の下流でシグナル伝達を担うJak3タンパクの欠損もIL2Rγ nullと表現型が同様であることから、Rag2ノックアウトマウスにJak3ノックアウトを掛け合わせたノックアウトマウスや、SCID変異とJak3ノックアウトを掛け合わせたノックアウトマウス、それらを交配して得た近交系、非近交系、交雑系(F1ハイブリッド)マウスでもよい。
[0028]
 さらに、該マウス中で認められるNK細胞等の免疫細胞による影響を除外するために、前記のようにSCIDマウスにアシアロGM1抗体が投与されて使用される態様の他に、本発明において使用される別のマウスとして、IL-2レセプターγ鎖遺伝子に変異が導入されて、IL-2レセプターγ鎖が欠損し、かつ、T細胞及びB細胞の抗原レセプター遺伝子の再構成に関わる遺伝子のSCID変異が両対立遺伝子座位にある遺伝子改変免疫不全マウスが挙げられる。このようなマウスとしてNOD/SCIDマウス由来でIL-2レセプターの共通γ鎖をノックアウトしたマウスであるNOGマウス(NOD/SCID/γc null(NOD/Shi-scid,IL-2RγKOマウス))、NSGマウス(NOD/Scid/IL2Rγ null(NOD.Cg-Prkdc scidIL2rg tm1Wjl/SzJ))、NCGマウス(NOD-Prkdc em26Cd52IL2rg em26Cd22/NjuCrl)等が挙げられる。さらにJak3遺伝子に変異が導入されて、Jak3が欠損し、かつ、T細胞及びB細胞の抗原レセプター遺伝子の再構成に関わる遺伝子のSCID変異が両対立遺伝子座位にある遺伝子改変免疫不全マウスNOJマウス(NOD/Scid/Jak3 null(NOD.Cg-Prkdc scidJal3 tm1card))も使用できる。以下、scid 変異などによりPrkdc 遺伝子、及びその遺伝子産物の機能が欠損し、IL2Rγ遺伝子の欠損や変異、又はシグナル伝達下流にある遺伝子、及びその産物の機能欠損によりIL2Rγ遺伝子産物の正常な機能が喪失したこれらの動物をNOGマウス(「NOG mouse」は登録商標)と指称し、宿主として使用することもできる。これらのマウスにおいてはリンパ球の存在が認められないため、NOGマウスはNK活性を示さず樹上細胞機能も欠損している。NOGマウスの作出方法は、WO2002/043477に記載されている。NSGマウスの作出方法は、Ishikawa F. et al., Blood 106:1565-1573, 2005に、NCGマウスの作出方法は、Zhou J. et al. Int J Biochem Cell Biol 46:49-55, 2014に、NOJマウスの作出方法は、Okada S. et al.,Int J Hematol 88:476-482, 2008に記載されている。
[0029]
 ヒトG-CSF遺伝子をノックインする方法は限定されず、例えば、相同組換えやゲノム編集によりノックインすることができる。
[0030]
 相同組換えとは、細胞内で2つのDNA分子が同じ塩基配列を介して相互に組換えを起こす現象で、巨大なゲノムDNAを持つ生物の組換えにしばしば用いられる方法である。標的とする遺伝子部位の配列を中央で分断する形で、他のDNAを連結したプラスミド(ターゲティングベクターという)を構築する。すなわち、ヒトG-CSF遺伝子を単離し、該遺伝子のDNAをげっ歯類動物のG-CSFレセプターの上流部分と下流部分の相同配列で挟んだコンストラクトを作製し、これを公知のベクターに挿入し、ターゲティングベクターを作製する。免疫不全げっ歯類動物のES細胞(胚性幹細胞)に導入する。相同組換えにより、げっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子DNAとターゲティングベクター上の同じ配列部分との間で入れ換えが起こり、挟み込まれた他のDNAが標的遺伝子であるG-CSFレセプター遺伝子中に組み込まれ、該遺伝子は機能を喪失する。このようにしてES細胞を樹立し、該ES細胞をげっ歯類動物胚又は胚盤胞に注入し、キメラ胚を偽妊娠させたげっ歯類動物の子宮に移植しキメラマウスを作製する。得られたキメラマウスを前記の免疫不全げっ歯類動物と交配することにより、げっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされたヒトG-CSF遺伝子をヘテロに有するF1個体を得ることができる。このヘテロの個体どうしを交配することにより、げっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされたヒトG-CSF遺伝子をヘテロに有する免疫不全げっ歯類動物を得ることができる。
[0031]
 この際、ターゲティングベクターを作製するベクターとしては、げっ歯類動物のES細胞において発現可能で、形質転換可能なものを用いることができ、大腸菌由来のプラスミド、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス等を用いることができる。
[0032]
 ヒトG-CSF遺伝子の上流には、プロモータを連結させてもよく、例えば、CMVプロモータ等を用いることができる。
[0033]
 ターゲティングベクターのES細胞への導入は、公知のエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム共沈殿法、リポフェクション法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法等により行うことができる。
[0034]
 ベクターは、選別のためのマーカー遺伝子を含んでいてもよく、マーカー遺伝子として、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子等が挙げられる。マーカー遺伝子は、相同組換え体の選択後に除去してもよく、Cre-loxP計やFlp-frt系を利用することにより除去することができる。
[0035]
 ES細胞の代わりに、げっ歯類動物のiPS細胞等の幹細胞を用いることもできる。
[0036]
 ゲノム編集は、部位特異的なヌクレアーゼを利用して標的遺伝子を改変する方法である。ゲノム編集の方法として、用いるヌクレアーゼにより、ZFN(zinc finger nuclease)法(Urnov, Fyodor D. et al., Natur, Vol 435, 2 June 2005, pp.642-651)、TALEN(Tale nuclease)法(Mahfouz, Magdy M et al., PNAS February 8, 2011, 108(6), pp.2623-2628)、CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)/Cas9(Crispr Associated protein 9)(Jinek, Martin, et al., Science, Vol 337, 17 August 2012, pp.816-821)、CRISPR/Cas3等のCRISPR/Casシステムによる方法等が挙げられる。これらの方法には、ニッカーゼ改変型Casを用いた方法等のヌクレアーゼを改変した方法も含む。このうち、CRISPR/Cas9システムによる方法が好ましい。CRSPR/Cas9システムにおいては、例えば、切断することにより機能を欠損させたいげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子の標的配列に相補的な配列を含むguide RNA(crRNA、tracrRNA)及びヌクレアーゼであるCas9、並びにドナーDNAとしてノックインするヒトG-CSF遺伝子DNAを含むターゲティングベクターを免疫不全げっ歯類遺伝子の受精卵に注入する。受精卵内で、げっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子が欠損し、代わりにヒトG-CSF遺伝子がノックインされる。
[0037]
 ゲノム編集によりげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子を破壊する場合は、遺伝子中の標的配列を選択し、該配列に相補的な配列を含むguide RNAの配列を設計すればよい。guide RNAの塩基長は、20以上が好ましい。CRSPR/Cas9によるゲノム編集は、市販のCRISPR/Cas9ツールを用いて行うことができる。
[0038]
 ヒトG-CSF遺伝子がNOGマウスのG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされたノックインマウスの系統は公式には、NOD.Cg-Prkdc scid Il2rg tm1SugCsf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicという正式系統名で表され、hG-CSF KIと略される。
[0039]
 このようにして得られたヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされたノックインげっ歯類動物に、ヒト造血幹細胞を移植することにより、ヒト造血幹細胞がげっ歯類動物中に生着し、ヒト好中球が末梢を循環するヒト化げっ歯類動物を得ることができる。
[0040]
 移植の前にノックインげっ歯類動物に放射線を照射することが好ましい。この際0.5~1.5Gy、好ましくは0.8~1.3Gy、さらに好ましくは1Gyの放射線を照射することが好ましい。
[0041]
 ヒト造血幹細胞(CD34+細胞)の移植は、静脈経由で行うことが好ましく、例えば、尾静脈経由で行えばよい。移植するヒト造血幹細胞は、げっ歯類動物の体重によるが、例えばマウスの場合、10 3~10 6個、好ましくは10 4~10 5個、さらに好ましくは、4~5×10 4個を移植すればよい。移植後、2~20週、好ましくは3~16週、さらに好ましくは4~12週でヒト好中球が末梢を循環するヒト化げっ歯類動物を得ることができる。
[0042]
2.ヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされ、ヒト造血幹細胞(HSC: hematopoietic stem cell)が移植された、ヒト好中球が末梢を循環するヒト化げっ歯類動物の特性
 1.で作製したヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされ、ヒトHSCを移植し、ヒト好中球が末梢を循環するヒト化げっ歯類動物は、以下の特性を有する。
[0043]
 血中にヒトG-CSFが存在し、細胞においてげっ歯類動物G-CSFレセプターが欠損している。このため、げっ歯類動物の好中球が減少しているか、又は存在しない。
[0044]
 ヒト好中球が分化し、増加し、末梢血を循環している。ヒト好中球の割合は、移植後12週では、4~12%である。また、ヒト好中球は活性酸素産生能を有する。
[0045]
 ヒト好中球及び単球が分化し、増加し、末梢血を循環している。ヒト単球の割合は、移植後12週では、10~40%である。
[0046]
 骨髄細胞由来のヒトサイトカインが血中に存在する。サイトカインとして、IL-8、IL-6、IL-10、MCP-1、MIP1a、MIP-1b、IFNg等が挙げられる。
[0047]
 上記の特性を有するヒト造血幹細胞を移植した本発明のノックインげっ歯類動物は、ヒトの自然免疫系を再現できる。
[0048]
 例えば、TLR2リガンドであるzymosanを投与することによりヒト好中球が増加し、ヒトサイトカイン濃度が増加する。また、大腸菌等の細菌を投与することにより、ヒト好中球が増加し、ヒトの細菌感染時に起こるemergency granulopoiesisが再現される。また、細菌投与によりヒトサイトカイン濃度が増加する。
[0049]
3.ヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされ、ヒト造血幹細胞(HSC: hematopoietic stem cell)が移植された、ヒト好中球が末梢を循環するヒト化げっ歯類動物の利用
 ヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされ、ヒト造血幹細胞(HSC: hematopoietic stem cell)が移植された、ヒト好中球が末梢を循環するヒト化げっ歯類動物は、ヒトの自然免疫系を再現することができ、ヒトの免疫学の研究に利用することができる。
[0050]
 また、該げっ歯類動物に細菌を感染させることにより、ヒトの細菌感染に対する先天的な防御機構の研究に利用することができる。
[0051]
 本発明は、ヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされ、ヒト造血幹細胞(HSC: hematopoietic stem cell)が移植された、ヒト好中球が末梢を循環するヒト化げっ歯類動物に細菌やウイルスを感染させたヒト感染症モデルげっ歯類動物を包含する。細菌やウイルスとしては、ヒトに対して病原菌として作用する、病原性大腸菌、腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌、カンンピロバクアー・ジェジェニ/コリ、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、ボツリヌス菌、セレウス菌、ウエルシェ菌、ノロウイルス、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス等が挙げられる。これらの病原菌を本発明のヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされヒト好中球が末梢を循環するヒト化げっ歯類動物に感染させることにより、ヒト感染症のモデルげっ歯類動物を作製することができる。該モデルげっ歯類動物を用いてヒトの感染症防御機構を研究することができ、さらに、新しい治療方法や治療薬の探索に用いることができる。
[0052]
4.hG-CSF KI, FcR KOげっ歯類動物
 本発明は、上記のヒトG-CSF遺伝子をノックインしたげっ歯類動物と抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物を交配して得られる、ヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされ、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物を包含する。
[0053]
 該げっ歯類動物にヒト造血幹細胞(CD34+細胞)を移植することにより、ヒト好中球が分化し、増加し、末梢血を循環する。ヒト造血幹細胞(CD34+細胞)の移植は、上記の方法で行えばよい。
[0054]
 げっ歯類動物としては、免疫機能が低下又は欠損しており、ヒトに対する免疫反応が不活化したげっ歯類動物が挙げられ、このような免疫不全げっ歯類動物としては上記の免疫不全げっ歯類動物が挙げられる。この中でもマウス、特にNOGマウスが好ましい。
[0055]
 マウスとしては、上記のhG-CSF KIマウス及び抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したFcR KOマウス(Inoue Y et al. Journal of immunology 2007;179:764-774.)を交配して得られるhG-CSF KI/FcR KOマウスが挙げられる。なお、Fcer1g遺伝子、Fcgr2b遺伝子をゲノム編集で欠失させ、hG-CSF KI/FcR KOマウスを作製することも可能である。
[0056]
 該マウスは、ヒトG-CSF遺伝子がNOGマウスのG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされ、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損している。
[0057]
 該マウスにヒト造血幹細胞(CD34+細胞)を移植することにより、ヒト好中球が分化し、増加し、末梢血を循環している。ヒト好中球の割合は、移植後4週では、15~20%である。また、ヒト好中球は活性酸素産生能を有する。
[0058]
 本発明は、上記のげっ歯類動物に細菌やウイルスを感染させたヒト感染症モデルげっ歯類動物を包含する。細菌やウイルスは上記のとおりである。
[0059]
5.hIL-3/hGM-CSF Tg, FcR KOげっ歯類動物及びhIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tg, FcR KOげっ歯類動物
 本発明は、ヒトIL-3及びGM-CSF遺伝子がゲノムに挿入されたげっ歯類動物と抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物を交配して得られる、ヒトIL-3及びGM-CSF遺伝子がゲノムに挿入され、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物を包含する。
[0060]
 該げっ歯類動物にヒト造血幹細胞(CD34+細胞)を移植することにより、ヒト好酸球が分化し、増加し、末梢血を循環する。
[0061]
 免疫不全げっ歯類動物としては上記の免疫不全げっ歯類動物が挙げられる。この中でもマウス、特にNOGマウスが好ましい。
[0062]
 マウスの場合は、hIL-3/hGM-CSF Tgマウス(Ito R et al. Journal of immunology 2013;191:2890-2899.)とFcR KOマウスを交配して得られるhIL-3/hGM-CSF Tg, FcR KOマウスが挙げられる。なお、Fcer1g遺伝子、Fcgr2b遺伝子をゲノム編集で欠失させ、hIL-3/hGM-CSF Tg, FcR KOマウスを作製することも可能である。
[0063]
 該マウスにヒト造血幹細胞(CD34+細胞)を移植することにより、ヒト好酸球が分化し、増加し、末梢血を循環し、移植後4週では、10~15%である。
[0064]
 さらに、本発明は、ヒトIL-3、GM-CSF及びIL-5遺伝子がゲノムに挿入されたげっ歯類動物と抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物を交配して得られる、ヒトIL-3、GM-CSF及びIL-5遺伝子がげっ歯類動物のゲノムに挿入され、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物を包含する。
[0065]
 該げっ歯類動物にヒト造血幹細胞(CD34+細胞)を移植することにより、ヒト好酸球及びヒト好塩基球が分化し、増加し、末梢血を循環する。
[0066]
 免疫不全げっ歯類動物としては上記の免疫不全げっ歯類動物が挙げられる。この中でもマウス、特にNOGマウスが好ましい。ヒトIL-3、GM-CSF及びIL-5遺伝子がゲノムに挿入されたげっ歯類動物は、ヒトIL-3, GM-CSF, IL-5サイトカインを分泌し、ヒト造血幹細胞移植後に好酸球、好塩基球、肥満細胞などのヒト細胞が分化し得る。
[0067]
 マウスの場合は、hIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tgマウス(Ito R et al. JCI Insight. 2018 Nov 2;3(21))とFcR KOマウスを交配して得られるhIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tg, FcR KOマウスが挙げられる。なお、Fcer1g遺伝子、Fcgr2b遺伝子をゲノム編集で欠失させ、hIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tg, FcR KOマウスを作製することも可能である。
[0068]
 該マウスにヒト造血幹細胞(CD34+細胞)を移植することにより、ヒト好酸球が分化し、増加し、末梢血を循環している。ヒト好酸球の割合は、移植後4週では、20~30%である。
[0069]
 また、該マウスにヒト造血幹細胞(CD34+細胞)を移植することにより、ヒト好塩基球が分化し、増加し、末梢血を循環している。ヒト好塩基球の割合は、移植後4週では、4~8%である。
[0070]
 本発明は、上記のげっ歯類動物に細菌やウイルスを感染させたヒト感染症モデルげっ歯類動物を包含する。細菌やウイルスは上記のとおりである。
[0071]
 図23に、マウス系統とヒト白血球中に占めるヒト顆粒球の割合との関係を示す。
実施例
[0072]
 本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[0073]
[実施例1] ヒト好中球が分化するヒトG-CSFノックインマウス
1.KIターゲティングベクターの作製
 ヒトG-CSF遺伝子を全身性発現プロモータであるサイトメガロウィルス(CMV)プロモータ直下に配置し、マウスG-CSFレセプター領域上流3.3 Kbと下流6.5 Kbの相同配列で挟んだKIターゲティングベクターを作製した。ターゲティングベクターの構造を図1に示す。
[0074]
2.ヒトG-CSFノックインマウスの作製
 上記のように作製したターゲティングベクターをNOGマウスES細胞へエレクトロポレーションし、相同組換えES細胞を樹立したのちにキメラマウスを作製し、さらにNOGマウスとの交配によりF1マウスを樹立して、PCR法にてG-CSFレセプター遺伝子を解析した。図2に遺伝子解析の結果を示す。樹立したマウスの系統は公式には、NOD.Cg-Prkdc scid Il2rg tm1SugCsf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicという正式系統名で表され、hG-CSF KIと略される。
[0075]
3.hG-CSF KIマウスの評価
(1)ヒトG-CSFの発現の確認
 6~8週齢のhG-CSF KIマウス(ヘテロ、ホモ)及びNOGマウス血液をヘパリンにより採取して、遠心操作により血漿を分離後、ヒトG-CSFサイトカインレベルをHuman G-CSF Quantikine ELISA Kit (R&D systems)にて測定した。図3に結果を示す。KI/+ヘテロマウス及びKI/KIホモマウスでは、それぞれ1.69μg/ml及び1.87μg/mlとヒトG-CSFサイトカインが高濃度で発現していた。
[0076]
(2)マウスG-CSFレセプターの発現
 6~8週齢のhG-CSF KIマウス及びNOGマウス血液をヘパリンにより採取し、赤血球を溶血させて白血球を分離し、抗マウスG-CSFレセプター抗体で染色後、発現をフローサイトメーターにて測定した。図4に結果を示す。KI/KIホモマウスの顆粒球はG-CSFRの発現が認められなかったことから、遺伝子破壊により発現が消失したことが示された。
[0077]
(3)マウス好中球数の確認
 6~8週齢のhG-CSF KIマウス(ヘテロ、ホモ)及びNOGマウス血液をヘパリンにより採取し、赤血球を溶血させて白血球を分離し、抗マウスGr1抗体で染色後にフローサイトメトリーでマウス好中球数を解析した。図5に結果を示す。マウス好中球数は、KI/+で顕著に増加し、KI/KIでは非常に低値であったことから、KI/KIマウスにおいてマウスG-CSFレセプター欠損によるマウス好中球減少が示された。
[0078]
4.ヒトG-CSFノックインマウスのヒト化
(1)放射線感受性テスト
 6~8週齢のhG-CSF KIマウスへ、1、1.5、2、2.5 Gyの放射線を照射し、1ヶ月以上マウスを観察して死亡率を計測した。図6に放射線感受性テストの結果を示す。hG-CSF KIマウスは、NOGマウスに比べて放射線感受性が高く、2Gyでは約9割程度のマウスが死亡し、1.5 Gyでも2割程度が死亡した。そのため1 Gyを至適な照射条件として採用することとした。
[0079]
(2)ヒト好中球の確認
 6~8週齢のhG-CSF KIマウスへ1Gyの放射線を照射し、翌日に4~5×10 4個のヒトCD34+細胞(HSC:造血幹細胞)を尾静脈経由で移植した。移植後12週の末梢血を採取し、フローサイトメーターでヒト好中球、単球などのヒト白血球分画の割合を解析した。図7に結果を示す。ヒト白血球(CD45)中のCD66b+顆粒球及びCD33+単球がG-CSF KIマウスで増加しており、顆粒球の大部分はCD16+の好中球であることが示された。またこれら好中球、単球の分画はNOGマウスでは極めて低値であった。
[0080]
(3)ヒト細胞のキメラ率の確認
 図7で示したヒトCD45+細胞(ヒト白血球)の割合及び細胞数を移植後4、8及び12週と経時的に解析した。図8に結果を示す。割合、細胞数ともにヒト化後4週でKIマウスにおいて高かったものの、以降は有意差が見られなかった。
[0081]
(4)ヒト好中球の割合
 図7で示したヒトCD66b+CD16+細胞(ヒト好中球)の割合及び細胞数を移植後4、8及び12週と経時的に解析した。図9に結果を示す。割合、細胞数ともにヒト化後の全期間でKIマウスにおいて有意に高かった。
[0082]
(5)ヒト単球の割合
 図7で示したヒトCD33+CD14+細胞(ヒト単球)の割合及び細胞数を移植後4、8及び12週と経時的に解析した。図10に結果を示す。割合、細胞数ともにヒト化後の全期間でKIマウスにおいて有意に高かった。
[0083]
(6)ヒト好中球の形態の確認
 ヒト化12週後のhG-CSF KIマウスから血液を採取し、ヒト好中球マーカーで染色後にセルソーターにて好中球分画を分離し、ギムザ染色により細胞形態を観察した。図11に結果を示す。分葉核を有する好中球らしい形態を持った細胞が多数見られた。
[0084]
(7)ヒト好中球の活性酸素産生能の測定
 ヒト化12週後のhG-CSF KIマウスから血液を採取し、白血球を単離後、in vitroにてLPS(1μg/ml)又はPMA(20 ng/ml)刺激し、ROS産性能をフローサイトメトリーにて解析した。図12に結果を示す。LPS刺激にて2~3割、PMA刺激にて8~9割程度の好中球がROS陽性であり、これらヒト好中球はROS産生能を有することが示された。
[0085]
(8)ミエロイド由来ヒトサイトカインの産生
 ヒト化16~20週後のhG-CSF KIマウス及びNOGマウスから血液を採取し、血漿を分離後、Cytokine Beads Array (CBA: BD Bioscience)にて各種ヒトサイトカインを定量した。図13に結果を示す。IL-8、IL-6、IL-10、MCP-1、MIP1a、MIP-1b及びIFNgの産生がG-CSF KI マウスにおいて有意に亢進していた。
[0086]
(9)TLR2リガンドであるzymosan投与後のヒト好中球の割合
 ヒト化12週後のhG-CSF KIマウス及びNOGマウスへ1mg/200μLのZymosan溶液を腹腔内投与し、4時間後に血液を採取してヒト好中球のフローサイトメトリー解析を行った。図14に結果を示す。ヒト好中球はZymosan投与前で4%程度であったが、投与4時間後には20%程度まで増加した。
[0087]
(10)zymosan投与後のヒト細胞の割合
 図14で記した実験におけるヒトCD45陽性白血球、単球、好中球、T細胞、B細胞のフローサイトメトリー解析の結果をまとめた結果を図15に示す。hG-CSF KIマウスでは、Zymosan投与後にヒト単球の割合が減少し、ヒト好中球が増加した。NOGマウスでもヒト好中球は増加したが、4%程度と低値であった。
[0088]
(11)血清中ヒトサイトカインの測定
 図14で記した実験において血漿を採取し、Cytokine Beads Array (CBA: BD Bioscience)にて血漿中の各種ヒトサイトカインを定量した。図16に結果を示す。hG-CSF KIマウスでは、Zymosan投与後にヒトIL-10、IL-1b、IL-6、MCP-1、MIP1a、MIP-1b及びTNFa産生が顕著に増加し、ヒト好中球や単球・マクロファージを介した自然免疫応答がNOGマウスに比べて亢進することが示された。
[0089]
(12)大腸菌投与後のヒト細胞の割合
 ヒト化14週後のhG-CSF KIマウス及びNOGマウスへ4×10 8cfuの大腸菌溶液を腹腔内投与し、4時間後に血液を採取してヒト好中球、単球、B細胞のフローサイトメトリー解析を行った。図17に結果を示す。ヒト好中球は大腸菌投与後顕著に増加し、ヒトの細菌感染時に起こるemergency granulopoiesisが再現された。
[0090]
(13)大腸菌投与後のサイトカインの測定
 図17で記した実験において血漿を採取し、Cytokine Beads Array (CBA: BD Bioscience)にて血漿中の各種マウス及びヒトサイトカインを定量した。図18-1にマウスサイトカインの定量結果を、図18-2にヒトサイトカインの定量結果を示す。マウスサイトカインはNOGマウスとhG-CSF KIマウスで差は見られず、ヒトサイトカインは、IL-6、IL-1b、IL-8、MCP-1、MIP1a及びTNFaの産生がG-CSF KIマウスで有意に亢進した。これらのことから、G-CSF KIマウスは細菌感染後のemergency granulopoiesis、ヒトサイトカイン亢進を伴う自然免疫応答を解析できるヒト化マウスであり、細菌感染が誘発する敗血症の治療薬開発モデルとして有用であると考えられる。
[0091]
[実施例2] FcR KOマウスとの交配によるヒト好中球の亢進
 抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したFcR KOマウスが既に樹立されている(Inoue Y et al. Journal of immunology 2007;179:764-774.)。このFcR KOマウスとhG-CSF KIマウスを交配したhG-CSF KI, FcR KOマウスを新たに樹立し、ヒト造血幹細胞を移植したところ、マウス末梢血中におけるヒト白血球中のヒト好中球の割合はhG-CSF KIマウスで2~5%程度に対して、hG-CSF KI, FcR KOマウスでは15~20%と4倍程度増加することが示された(図19)。好中球は骨髄で造血幹細胞からG-CSF依存的に分化し、感染などの刺激に応じて分化が亢進するとともに速やかに刺激の入った局所へ以降し、細菌を排除し得る。
[0092]
[実施例3] FcR KOマウスとの交配によるヒト好酸球の亢進
 本発明者らが既に報告しているhIL-3/hGM-CSF Tgマウス(Ito R et al. Journal of immunology 2013;191:2890-2899.)とFcR KOマウスを交配し、hIL-3/hGM-CSF Tg, FcR KOマウスを新たに樹立した。これらへヒト造血幹細胞を移植したところ、末梢血中のヒト好酸球の割合はhIL-3/hGM-CSF Tgマウスで2~5%程度に対して、hIL-3/GM-CSF Tg, FcR KOマウスでは10~15%と3倍程度増加することが示された。(図20)
[0093]
 また、同様にhIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tgマウス(Ito R et al. JCI Insight. 2018 Nov 2;3(21))とFcR KOマウスを交配し、hIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tg, FcR KOマウスを新たに樹立し、これらへヒト造血幹細胞を移植したところ、マウス末梢血中におけるヒト白血球中のヒト好酸球の割合はhIL-3/hGM-CSF Tgマウスで10~15%程度に対して、hIL-3/hGM-CSF/hIL-5/FcR KOマウスでは20~30%と2倍程度増加することが示された(図21)。好酸球は骨髄で造血幹細胞から分化し、IL-5などのサイトカインによって増加する。肺組織などの局所でアレルゲンを介した炎症応答の際に高度な組織浸潤が認められる。
[0094]
[実施例4] FcR KOマウスとの交配によるヒト好塩基球の亢進
 hIL-3/hGM-CSF/hIL-5 TgマウスおよびhIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tg, FcR KOマウスへヒト造血幹細胞を移植し、マウス末梢血中におけるヒト白血球中のヒト好塩基球の割合を測定したところ、hIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tgマウスで1~3%程度に対して、hIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tg, FcR KOマウスでは4~8%と2倍程度増加することが示された(図22)。好塩基球は骨髄で造血幹細胞から分化し、IL-3などのサイトカインによって増加する。アレルギー炎症時に局所に移動して、炎症を増悪させる。

産業上の利用可能性

[0095]
 ヒト好中球が分化するヒトG-CSFノックインげっ歯類はヒト免疫系の研究やヒト感染症モデルマウスとして利用することができる。さらにFcR KOマウスを掛け合わせることにより、より効果的に顆粒球を誘導することが可能となり、高感度感染症モデルやアレルギーモデルへの応用が可能となる。
 本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

請求の範囲

[請求項1]
 G-CSFレセプター遺伝子座にヒトG-CSF遺伝子をノックインし、G-CSFレセプターの機能を欠損した免疫不全げっ歯類動物であって、ヒトG-CSFが発現しげっ歯類のG-CSFレセプターを発現しない、ヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物。
[請求項2]
 マウスである、請求項1記載のヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物。
[請求項3]
 NOGマウスであり、正式系統名はNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1SugCsf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表される、請求項2記載のヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれか1項に記載のヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物にヒト造血幹細胞を移植して得られる、ヒト好中球が末梢を循環しているヒト化げっ歯類動物。
[請求項5]
 請求項4記載のヒト化げっ歯類動物に、細菌又はウイルスを感染させた、ヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物。
[請求項6]
 免疫不全げっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にヒトG-CSF遺伝子をノックインすることを含む、ヒトG-CSFが発現しげっ歯類のG-CSFレセプターを発現しない、ヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物の作製方法。
[請求項7]
 げっ歯類動物がマウスである、請求項6記載のヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物の作製方法。
[請求項8]
 マウスがNOGマウスであり、正式系統名はNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1SugCsf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表される、請求項7記載のヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物の作製方法。
[請求項9]
 げっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にヒトG-CSF遺伝子をノックインし、さらにヒト造血幹細胞を移植することを含む、ヒト好中球が末梢を循環しているヒト化げっ歯類動物の作製方法。
[請求項10]
 げっ歯類動物がマウスである、請求項9記載のヒト化げっ歯類動物の作製方法。
[請求項11]
 マウスがNOGマウスであり、正式系統名がNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1Sug Csf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表される、請求項10記載のヒト化げっ歯類動物の作製方法。
[請求項12]
 げっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にヒトG-CSF遺伝子をノックインし、ヒト造血幹細胞を移植し、さらに細菌又はウイルスを感染させることを含む、ヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物の作製方法。
[請求項13]
 げっ歯類動物がマウスである、請求項12記載のヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物の作製方法。
[請求項14]
 マウスがNOGマウスであり、正式系統名がNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1Sug Csf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表される、請求項13記載のヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物の作製方法。
[請求項15]
 請求項1~3のいずれか1項に記載のげっ歯類動物であって、さらに抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失させた、ヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされ、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物。
[請求項16]
 請求項1~3のいずれか1項に記載のげっ歯類動物を抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物を交配することによる作成された、請求項15記載のヒトG-CSF遺伝子がげっ歯類動物のG-CSFレセプター遺伝子座にノックインされ、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物。
[請求項17]
 請求項1~3のいずれか1項に記載のG-CSFレセプター遺伝子座にヒトG-CSF遺伝子をノックインし、G-CSFレセプターの機能を欠損した免疫不全げっ歯類動物が、NOGマウスであり、正式系統名はNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1SugCsf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表されるマウスであり、抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物がFcR KOマウスである、請求項15又は請求項16記載のげっ歯類動物。
[請求項18]
 請求項15~17のいずれか1項に記載のげっ歯類動物にヒト造血幹細胞を移植して得られる、ヒト好中球が末梢を循環しているヒト化げっ歯類動物。
[請求項19]
 請求項18記載のヒト化げっ歯類動物に、細菌又はウイルスを感染させた、ヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物。
[請求項20]
 ヒトIL-3及びGM-CSF遺伝子を挿入したげっ歯類動物であって、さらに抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失させ、ヒトIL-3及びGM-CSF遺伝子が挿入され、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物。
[請求項21]
 ヒトIL-3及びGM-CSF遺伝子を挿入したげっ歯類動物と抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物を交配して得た、請求項20記載のヒトIL-3及びGM-CSF遺伝子が挿入され、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物。
[請求項22]
 ヒトIL-3及びGM-CSF遺伝子を挿入したげっ歯類動物がhIL-3/hGM-CSF Tgマウスであり、抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物がFcR KOマウスであり、交配して得られるマウスがhIL-3/hGM-CSF Tg, FcR KOマウスである、請求項21記載のげっ歯類動物。
[請求項23]
 NOGマウスであり、正式系統名はNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1SugCsf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表される、請求項20記載のげっ歯類動物。
[請求項24]
 請求項20~23のいずれか1項に記載のヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物にヒト造血幹細胞を移植して得られる、ヒト好酸球が末梢を循環しているヒト化げっ歯類動物。
[請求項25]
 請求項24記載のヒト化げっ歯類動物に、細菌又はウイルスを感染させた、ヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物。
[請求項26]
 ヒトIL-3、GM-CSF及びIL-5遺伝子を挿入したげっ歯類動物において、さらに抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失させた、ヒトIL-3、GM-CSF及びIL-5遺伝子がげっ歯類動物に挿入され、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物。
[請求項27]
 ヒトIL-3、GM-CSF及びIL-5遺伝子を挿入したげっ歯類動物と抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物を交配して得た、請求項26記載のヒトIL-3、GM-CSF及びIL-5遺伝子がげっ歯類動物に挿入され、さらにFcer1gとFcgr2bが欠損しているげっ歯類動物。
[請求項28]
 ヒトIL-3、GM-CSF及びIL-5遺伝子を挿入したげっ歯類動物がhIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tgマウスであり、抗体のFc領域に結合するレセプターの構成分子であるFcer1gとFcgr2bを欠失したげっ歯類動物がFcR KOマウスであり、交配して得られるマウスがhIL-3/hGM-CSF/hIL-5 Tg, FcR KOマウスである、請求項26又は27に記載のげっ歯類動物。
[請求項29]
 NOGマウスであり、正式系統名はNOD.Cg-Prkdc scidIl2rg tm1SugCsf3r tm1(CMV-CSF3)/Jicと表される、請求項28記載のげっ歯類動物。
[請求項30]
 請求項26~29のいずれか1項に記載のヒトG-CSF遺伝子ノックインげっ歯類動物にヒト造血幹細胞を移植して得られる、ヒト好酸球及び好塩基球が末梢を循環しているヒト化げっ歯類動物。
[請求項31]
 請求項30記載のヒト化げっ歯類動物に、細菌又はウイルスを感染させた、ヒト病原菌感染症モデルげっ歯類動物。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18-1]

[ 図 18-2]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]