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1. WO2020196386 - FUEL OIL COMPOSITION

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明 細 書

発明の名称 燃料油組成物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007  

発明を実施するための形態

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052  

実施例

0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 燃料油組成物

技術分野

[0001]
 本発明は、保存時や使用時におけるスラッジの析出が抑制された燃料油組成物に関する。

背景技術

[0002]
 内燃機関、船舶、航空機、外燃機関等に用いる燃料油においては、保存時や使用時に沈殿物や沈積物が生じることを防ぐため、様々な種類の清浄剤やスラッジ分散剤が開発されてきた(例えば、特許文献1~3参照)。しかし近年、燃料油においては、燃焼時の硫黄酸化物等の環境汚染物質の発生を抑制するために、燃料油中の硫黄分を低減する規制が広まっており、例えば船舶用の燃料油においては、2020年からは燃料油の硫黄分を0.5%以下とする規制に強化される見込みであり、対応する組成を有する燃料油の設計及び開発が喫緊の課題となっている。燃料油中の硫黄分を低減するためには、燃料油基油の硫黄分を低減することが効果的ではあるが、このような基油の組成の変更は、保存時や使用時における沈殿物や沈積物の発生への影響が大きく、従来使用されてきた清浄剤やスラッジ分散剤ではその清浄分散効果が十分ではなくなることが想定されている。
[0003]
 このような状況をふまえ、近年では、スラッジ分散剤を含有しなくてもスラッジの発生を抑制することができる低硫黄化した重油組成物も開発されている(特許文献4参照)。しかしながら、燃料油組成物の組成が制限されることなどから、市場では、さまざまな配合条件、保存条件、使用条件において効果的にスラッジの析出を抑制できる燃料油組成物が求められている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特公昭48-38761号公報
特許文献2 : 特開昭53-65306号公報
特許文献3 : 特開平5-331470号公報
特許文献4 : 特開2012-92253号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 従って、本発明は、保存時や使用時のスラッジの析出を効果的に抑制できる燃料油組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の燃料油基油と特定のスラッジ分散剤とを含有する燃料油組成物が、保存時や使用時におけるスラッジの析出抑制に優れることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、硫黄元素含有量が0.01~0.50質量%である燃料油基油と全塩基価が100~1200mgKOH/gであるカルシウムサリシレートとを含有する燃料油組成物である。

発明の効果

[0007]
 本発明によれば、保存時や使用時におけるスラッジの析出が抑制できる燃料油組成物を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0008]
 本発明に用いる燃料油基油は、硫黄元素含有量が0.01~0.50質量%である燃料油基油である。このような燃料油基油としては、硫黄元素含有量が0.01~0.50質量%であれば特に限定されず、燃料油として使用できる液体の燃料油が、使用目的や条件に応じて適宜選択される。例えば、ガソリン、軽油、重油、灯油、バイオ燃料等の硫黄元素含有量を調整した燃料油を用いることができる。具体的に、このような燃料油としては、特1号軽油、1号軽油、2号軽油、3号軽油、特3号軽油、A重油、B重油、C重油、1号灯油、2号灯油、MGO(Marine Gas Oil)、MDO(Marine Diesel Oil)、VLSFO(Very Low Sulfur Fuel Oil)、ULSFO(Ultla Low Sulfur Fuel Oil)、パーム油、ココナッツ油、菜種油、大豆油、ヒマワリ油、コーン油、ゴマ油、トール油、骨油、鯨油等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。このうち軽油または重油としては、直留軽油留分、減圧軽油留分、脱硫軽油留分、分解基油留分、直脱軽油留分、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油、直脱重油、分解重油等を用いてもよい。また、本発明においては、前述したような燃料油を水素化処理して用いてもよい。
[0009]
 本発明に用いる燃料油基油は、硫黄元素含有量が0.01~0.50質量%の範囲でスラッジの析出の抑制性に優れる。また、燃料油の諸特性の観点から、燃料油基油の硫黄元素含有量が0.03~0.48質量%であることが好ましく、0.10~0.45質量%であることがより好ましい。
 ただし、「燃料油基油中の硫黄元素含有量」とは、燃料油基油のみに由来する硫黄元素含有量であり、添加剤に由来する硫黄元素は含まれない。
 なお、本発明において、硫黄元素含有量は、JIS K 2541-6(2003)に記載の紫外蛍光法により測定される。
[0010]
 燃料油基油の硫黄元素含有量を調整する方法としては特に限定されず、公知の方法により硫黄元素含有量が0.01~0.50質量%となるよう調整すればよい。例えば、硫黄元素含有量を0.50質量%より多く含有する燃料油に対して直接脱硫処理や間接脱硫処理等を行うことにより硫黄元素含有量を0.01~0.50質量%としてもよい。また、硫黄元素含有量を0.50質量%より多く含有する燃料油と、硫黄元素含有量を0.50質量%未満で含有する燃料油とを混合し、硫黄元素含有量が0.01~0.50質量%の燃料油基油となるよう調整してもよい。
[0011]
 本発明に用いる燃料油基油の粘度は、本発明の効果の観点からは、40℃の動粘度が1~600mm 2/sであることが好ましく、2~500mm 2/sであることがより好ましく、2~400mm 2/sであることが更により好ましく、2~250mm 2/sであることが更により好ましい。なお本発明において、動粘度は、JIS K 2283(2000)に記載の方法により測定される。
[0012]
 本発明においては、本発明の効果の観点から、軽油(特1号軽油、1号軽油、2号軽油、3号軽油、特3号軽油、MGOを含む)または重油(A重油、B重油、C重油、MDO、VLSFO、ULSFOを含む)から選択される少なくとも1種を含む燃料油基油を用いることが好ましい。このとき、燃料油基油中の軽油および重油の合計の含有量は特に限定されないが、本発明の効果の観点から、燃料油基油全量に対して軽油および重油の合計量が10~100質量%であることが好ましく、40~100質量%であることがより好ましく、80~100質量%であることが更により好ましい。このような燃料油基油の中でも、軽油と重油の含有比率が質量比で、0:100~90:10であることが好ましい。また、本発明の効果の観点から、燃料油基油としてMGOまたは重油から選択される少なくとも1種を含む燃料油基油を用いることが特に好ましい。このとき、燃料油組成物中のMGOおよび重油の合計の含有量は特に限定されないが、本発明の効果の観点から、燃料油基油全量に対してMGOおよび重油の合計量が10~100質量%であることが好ましく、40~100質量%であることがより好ましく、80~100質量%であることが更により好ましく、100質量%であることが特に好ましい。また、燃料油基油のうちMGOおよび重油の合計量が100質量%であるときのMGOと重油の含有比率は特に限定されず、例えば、MGOと重油の含有比率が質量比で、0:100~100:0とすることができ、0:100~90:10とすることが好ましい。
[0013]
 本発明に用いるカルシウムサリシレートは、全塩基価が100~1200mgKOH/gであるカルシウムサリシレートである。なお本発明において、全塩基価とは、ASTM D2896に準拠して測定される値である。本発明の効果の観点から、カルシウムサリシレートの全塩基価は200~1000mgKOH/gであることが好ましく、300~900であることがより好ましく、370~800であることが更により好ましい。
 なお、上記「全塩基価が100~1200mgKOH/gであるカルシウムサリシレート」とは、カルシウムサリシレートそのものの全塩基価が100~1200mgKOH/gであることを意味し、本発明の燃料油組成物が2種以上のカルシウムサリシレートを使用する場合は、全塩基価はカルシウムサリシレートからなる混合物の全塩基価を意味する。
 従って、下記に説明するように、カルシウムサリシレートを燃料油に添加する前に燃料油基油で希釈する場合は、該希釈物の全塩基価は100mgKOH/gより低い値であっても、所望の効果を奏する。
[0014]
 本発明に用いるカルシウムサリシレートは、市販品および公知の方法により製造したものを用いることができ、例えば、炭素数4~32のオレフィンでフェノールをアルキル化して得られるアルキルフェノールをアルカリ金属水酸化物と反応させてアルキルフェノキシドとした後に炭酸ガスと反応させてカルボキシル化し、次いでカルシウム化合物と反応させる方法や、サリチル酸と炭素数4~32のオレフィンをアルキル化剤により反応させアルキルサリチル酸とし、次いでカルシウム化合物と反応させる方法等により得られるカルシウムサリシレートが挙げられる。また、英国特許第734598号公報、日本国特許公開公報特開昭60-101196号公報、日本国特許公開公報特開平05-163496号公報、日本国特許公開公報特開平07-258675号公報等に記載のカルシウムサリシレートも用いることができる。
[0015]
 本発明に用いるカルシウムサリシレートは、具体的には、例えば下記の一般式(1)または一般式(2)で表されるアルキルサリチル酸のカルシウム塩であってもよい。
[0016]
[化1]


[0017]
 一般式(1)のR 1は、炭素数4~32の炭化水素基を表す。このような基としては、例えば、炭素数4~32の直鎖アルキル基、炭素数4~32の分岐アルキル基、炭素数4~32の直鎖アルケニル基、炭素数4~32の分岐アルケニル基、炭素数4~32の脂環式炭化水素基、炭素数6~32の芳香族炭化水素基等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果の観点から、R 1は、炭素数6~30の炭化水素基であることが好ましく、12~28の炭化水素基であることがより好ましい。
[0018]
 一般式(2)のR 2は、炭素数4~32の炭化水素基を表す。このような基としては、例えば、炭素数4~32の直鎖アルキル基、炭素数4~32の分岐アルキル基、炭素数4~32の直鎖アルケニル基、炭素数4~32の分岐アルケニル基、炭素数4~32の脂環式炭化水素基、炭素数6~32の芳香族炭化水素基等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果の観点から、R 2は、炭素数6~30の炭化水素基であることが好ましく、12~28の炭化水素基であることがより好ましい。
[0019]
 本発明に用いるカルシウムサリシレートは、前述した一般式(1)で表される1種または2種以上のアルキルサリチル酸のカルシウム塩を用いても、一般式(2)で表される1種または2種以上のアルキルサリチル酸のカルシウム塩を用いても、一般式(1)で表される1種または2種以上のアルキルサリチル酸のカルシウム塩および一般式(2)で表される1種または2種以上のアルキルサリチル酸のカルシウム塩を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、例えば、一般式(1)や一般式(2)で表されるアルキルサリチル酸を、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、塩化カルシウム、重炭酸カルシウム等のカルシウム化合物で処理して得られるカルシウム塩等を用いることができる。
[0020]
 本発明に用いるカルシウムサリシレートは、本発明の効果の観点から、一般式(1)または一般式(2)で表されるアルキルサリチル酸のカルシウム塩の少なくとも1種を含むことが好ましく、一般式(1)で表されるアルキルサリチル酸のカルシウム塩と一般式(2)で表されるアルキルサリチル酸のカルシウム塩との混合物であることがより好ましい。一般式(1)で表されるアルキルサリチル酸のカルシウム塩と一般式(2)で表されるアルキルサリチル酸のカルシウム塩とを含む場合、各アルキルサリチル酸の含有比率は特に限定されない。しかしながら、本発明の効果の観点から、一般式(1)で表されるアルキルサリチル酸と一般式(2)で表されるアルキルサリチル酸の含有モル比が、10:1~0.1:1であることが好ましく、8.0:1~0.5:1であることがより好ましく、5.0:1~1.0:1であることが更により好ましく、4.0:1~1.5:1であることが特に好ましい。
[0021]
 本発明に用いるカルシウムサリシレートが一般式(1)及び一般式(2)で表されるアルキルサリチル酸のカルシウム塩を含む又は該カルシウム塩からなる混合物である場合、R 1及びR 2は、いずれも炭素数14~18のアルキル基であることが好ましい。別の実施形態では、R 1及びR 2がいずれも炭素数16~18のアルキル基であることが好ましい。また別の実施形態では、R 1及びR 2がいずれも炭素数20~28のアルキル基であることが好ましい。更に別の実施形態では、R 1及びR 2が炭素数16のアルキル基であることが好ましい。更に別の実施形態では、R 1及びR 2がいずれも炭素数14~28のアルキル基であることが好ましい。
[0022]
 本発明に用いるカルシウムサリシレートに対する金属比(カルシウム元素含有量(モル)×2/アルキルサリチル酸含有量(モル))は特に限定されないが、本発明の効果の観点から、0.2~10であることが好ましく、0.5~8.0であることがより好ましく、1.0~5.0であることが更により好ましい。カルシウムサリシレートに対する金属比は、カルシウム元素含有量とアルキルサリチル酸の含有量との比率を調整する(アルキルサリチル酸をカルシウム化合物で処理する際の原料比率を調整する)ことで調整することができ、例えば、アルキルサリチル酸を過剰量のカルシウム化合物で処理することで金属比率を高めることができ、また、カルシウム化合物の比率を下げることで金属比率を1.0未満とすることができる。
[0023]
 本発明に用いるカルシウムサリシレートに対するカルシウム元素比率は特に限定されないが、本発明の効果の観点から、例えば1.0~35質量%とすることができ、1.0~30質量%であることが好ましく、5.0~30質量%であることがより好ましく、10~28質量%であることが更により好ましい。
[0024]
 本発明に用いるカルシウムサリシレートは、取扱い性の観点から、燃料油組成物を調製する前にあらかじめ燃料油基油で希釈し、カルシウムサリシレート希釈物としてから用いてもよい。この時、カルシウムサリシレート希釈物中のカルシウムサリシレートの含有量は、目的に応じて適宜調整することができるが、例えば、カルシウムサリシレートの含有比率が、カルシウムサリシレート希釈物全量に対し、10~99質量%とすることができる。
 なお、該カルシウムサリシレートを希釈するための燃料油基油は、本発明の燃料油組成物で使用する燃料油基油と同一の燃料油基油であってもよく、異なる燃料油基油であってもよい。
[0025]
 本発明に用いることができるカルシウムサリシレート希釈物の全塩基価は特に限定されないが、例えば、全塩基価が30~400mgKOH/gであることが好ましく、60~360mgKOH/gであることがより好ましく、100~300mgKOH/gであることが更により好ましく、150~260mgKOH/gであることが特に好ましい。
[0026]
 本発明に用いることができるカルシウムサリシレート希釈物中のカルシウムサリシレートに対するカルシウム元素比率は特に限定されないが、本発明の効果の観点から、例えば1.0~35質量%とすることができ、1.0~30質量%であることが好ましく、2.0~20質量%であることがより好ましく、10~28質量%であることが更により好ましく、5.0~12.0質量%であることが更により好ましく、6.0~9.0質量%であることが特に好ましい。
[0027]
 本発明の燃料油組成物は、本発明の効果の観点から、カルシウムサリシレートの含有量が、燃料油組成物全量に対して0.001~5.0質量%であることが好ましく、0.005~3.0質量%であることがより好ましく、0.01~2.0質量%であることが更により好ましい。また、本発明の燃料油組成物は、本発明の効果の観点から、カルシウムサリシレートの含有量が、燃料油組成物全量に対してカルシウム元素含有量で1~2000質量ppmであることが好ましく、5~1500質量ppmであることがより好ましく、10~1000質量ppmであることが更により好ましい。
[0028]
 本発明の燃料油組成物は、本発明の効果の観点から、燃料油基油中の硫黄元素含有量と、カルシウムサリシレートに由来するカルシウム元素含有量との比が、質量比1000:1~0.5:1であることが好ましく、800:1~1:1であることがより好ましく、500:1~2:1であることが更により好ましい。
[0029]
 本発明の燃料油組成物の製造方法は、硫黄元素含有量が0.01~0.50質量%である燃料油基油と、カルシウムサリシレート又はカルシウムサリシレート希釈物とを公知の方法により混合することで製造することができる。例えば、常温~100℃の環境下で、燃料油基油へ、カルシウムサリシレート又はカルシウムサリシレート希釈物を一度に全量または複数回に分割して添加し、常温~150℃で撹拌・混合することで製造することができる。
[0030]
 本発明においては、保存時や使用時のスラッジの析出をより効果的に抑制する観点から、さらにソルビタンエステルを含有することが好ましい。本発明に用いることができるソルビタンエステルとしては、ソルビトール又は無水ソルビトールの水酸基の全部又は一部がエステル化された化合物であれば特に限定されず、例えば、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、ソルビタントリ脂肪酸エステル、ソルビタンセスキ脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン縮合ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果の観点から、脂肪酸がラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸のいずれかであるソルビタンエステルを用いることが好ましい。
[0031]
 上記ソルビタンエステルのHLBは特に限定されないが、好ましくは、HLBが1.2~12.0であり、より好ましくは、1.5~11.0であり、更に好ましくは、1.8~10.0である。
 なお、HLBについては、国際公開第2019/245024等に以下のように詳細に説明されている。
 HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン界面活性剤については、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
 2種以上の非イオン界面活性剤から構成される混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のHLBは、各非イオン界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
混合HLB=Σ(HLBx・Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有する非イオン界面活性剤Xの質量(g)を示す。
[0032]
 本発明の燃料油組成物がソルビタンエステルを含有する場合のソルビタンエステルの含有量は特に限定されないが、本発明の効果の観点から、ソルビタンエステルの含有量が、燃料油組成物全量に対して0.001~5.0質量%であることが好ましく、0.005~3.0質量%であることがより好ましく、0.01~2.0質量%であることが更により好ましい。
[0033]
 また、本発明の燃料油組成物がソルビタンエステルを含有する場合の、燃料油組成物中のカルシウムサリシレート由来のカルシウム元素含有量と、ソルビタンエステルの含有比率は特に限定されないが、本発明の効果の観点から、例えば、燃料油組成物中のカルシウムサリシレート由来のカルシウム元素含有量と、ソルビタンエステルの含有比率は、質量比で、1:1~1:10000とすることができ、1:1~1:1000とすることが好ましく、1:2~1:500とすることがより好ましい。
[0034]
 本発明の燃料油組成物は、上記のような構成とすることで、保存時や使用時におけるスラッジの析出が抑制できるとともに、燃焼性、貯蔵安定性、低温流動性、取扱い性等の諸特性をも備える燃料油組成物を容易に製造しうる。
[0035]
 本発明の燃料油組成物は、例えば、燃焼性、貯蔵安定性、酸化安定性、耐摩耗性、均一性、安全性、環境適合性、始動性、低温流動性、取扱い性の向上等の目的に応じてその他の添加剤をさらに含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、表面着火剤、オクタン価向上剤、セタン価向上剤、抗菌・殺菌剤、防錆剤、堆積物改良剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、耐摩耗剤、清浄剤・分散剤剤(カルシウムサリシレートを除く)、流動性向上剤、氷結防止剤、アンチノック剤、腐食防止剤、帯電防止剤、助燃剤、染料等から選ばれる1種または2種以上が、合計量で燃料油組成物全量に対して0.0001~50質量%含有され得る。
[0036]
 表面着火防止剤としては、例えば、トリブチルホスファイト、トリメチルホスファイト、トリクレジルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリメチルホスフェート、メチルフェニルホスフェート等の有機リン系化合物;2-エチルヘキシルボロネート及びブチルジイソブチルボロネート等の有機ボロン系化合物が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。表面着火防止剤の含有量は特に限定されないが、例えば、燃料油組成物全量に対して0.001~10質量%であることが好ましい。
[0037]
 オクタン価向上剤としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、酢酸ブチル、メチル-tert-ブチルエーテル、エチル-tert-ブチルエーテル、メチル-tert-アミルエーテル、N-メチルアニリン、メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、テトラエチル鉛等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。オクタン価向上剤の含有量は特に限定されないが、例えば、燃料油組成物全量に対して0.001~10質量%であることが好ましい。
[0038]
 セタン価向上剤としては、例えば、硝酸エチル、硝酸メトキシエチル、硝酸イソプロピル、硝酸アミル、硝酸ヘキシル、硝酸ヘプチル、硝酸オクチル、硝酸2-エチルヘキシル、硝酸シクロヘキシルなどの脂肪族ニトレート;ジ-tert-ブチルペルオキシドなどの過酸化物等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。セタン価向上剤の含有量は特に限定されないが、例えば、燃料油組成物全量に対して0.001~10質量%であることが好ましい。
[0039]
 抗菌・殺菌剤としては、例えば、硫酸銀、硝酸銀、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸銅、エチレンジアミン4酢酸銅等の無機系殺菌剤;ヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-トリアジン等の有機窒素系抗菌剤;2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド、1,4-ビス(ブロモアセトキシ)-2-エタン、ビストリブロモメチルスルホン等の有機ブロム系抗菌剤、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチルイソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-n-オクチルイソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、N-n-ブチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系抗菌剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。抗菌・殺菌剤の含有量は特に限定されないが、例えば、燃料油組成物全量に対して0.001~10質量%であることが好ましい。
[0040]
 防錆剤としては、例えば、脂肪族アミン及びその塩、有機リン酸エステル、有機スルホン酸塩等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。防錆剤の含有量は特に限定されないが、例えば、燃料油組成物全量に対して0.001~10質量%であることが好ましい。
[0041]
 堆積物改良剤としては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレンアミン、ポリエーテルアミン、ポリアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアミン、ポリアルキルフェノキシアミノアルカン、ポリアルキレンスクシンイミド等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。堆積物改良剤の含有量は特に限定されないが、例えば、燃料油組成物全量に対して0.001~10質量%であることが好ましい。
[0042]
 酸化防止剤としては、例えば、N,N'-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジブチル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジオクチル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジトリル-p-フェニレンジアミン、N-トリル-N'-キシレニル-p-フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤;2-t-ブチルフェノール、2,6-ジターシャリブチルフェノール、2,6-ジターシャリブチル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-ターシャリブチルフェノール、2,4,6-トリ-t-ブチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’-チオジブチレート、ジラウリルサルファイド等の硫黄系酸化防止剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。酸化防止剤の含有量は特に限定されないが、例えば、燃料油組成物全量に対して0.001~10質量%であることが好ましい。
[0043]
 金属不活性化剤としては、例えば、エチレンジアミン等のアミノ化合物;N,N'-ジサリチリデン-1,2-ジアミノプロパン、N,N'-ジサリチリデン-2-シクロヘキサンジアミン、N,N'-ジサリチリデンエチレンジアミン、N,N'-ビス(ジメチルサリチリデン)エチレンジアミン、N,N'-ビス(ジメチルサリチリデン)エチレンテトラミン、サリチルアルドキシム等のサリチリデン系化合物;1-[ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル-1,2,4-トリアゾール、1-(1-ブトキシエチル)-1,2,4-トリアゾール、4,4’-メチレンビス(2-ウンデシル-5-メチルイミダゾール)、ビス[(N-メチル)イミダゾール-2-イル]カルビノールオクチルエーテル等のトリアゾール系化合物;4-アルキルベンゾトリアゾール、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾトリアゾール、5,5’-メチレンビスベンゾトリアゾール、1-[ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル)トリアゾール、1-[ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル)ベンゾトリアゾール、1-(ノニルオキシメチル)ベンゾトリアゾール、1-(1-ブトキシエチル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。金属不活性化剤の含有量は特に限定されないが、例えば、燃料油組成物全量に対して0.001~10質量%であることが好ましい。
[0044]
 耐摩耗剤としては、例えば、硫化油脂、オレフィンポリスルフィド、硫化オレフィン、ジベンジルスルフィド、エチル-3-[[ビス(1-メチルエトキシ)フォスフィノチオイル]チオ]プロピオネート、トリス-[(2、又は4)-イソアルキルフェノール]チオフォスフェート、3-(ジ-イソブトキシ-チオホスホリルスルファニル)-2-メチル-プロピオン酸、トリフェニルフォスフォロチオネート、β-ジチオホスフォリル化プロピオン酸、メチレンビス(ジブチルジチオカーバメイト)、O,O-ジイソプロピル-ジチオフォスフォリルエチルプロピオネート、2,5-ビス(n-ノニルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブタンチオ)1,3,4-チアジアゾール、及び2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール等の硫黄系耐摩耗剤;モノオクチルフォスフェート、ジオクチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、モノブチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、モノフェニルフォスフェート、ジフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルホスフェート、モノイソプロピルフェニルフォスフェート、ジイソプロピルフェニルフォスフェート、トリイソプロピルフェニルフォスフェート、モノターシャリーブチルフェニルフォスフェート、ジ-tert-ブチルフェニルフォスフェート、トリ-tert-ブチルフェニルフォスフェート、トリフェニルチオフォスフェート、モノオクチルフォスファイト、ジオクチルフォスファイト、トリオクチルフォスファイト、モノブチルフォスファイト、ジブチルフォスファイト、トリブチルホスファイト、モノフェニルフォスファイト、ジフェニルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、モノイソプロピルフェニルフォスファイト、ジイソプロピルフェニルフォスファイト、トリイソプロピルフェニルフォスファイト、モノ-tert-ブチルフェニルフォスファイト、ジ-tert-ブチルフェニルフォスファイト、及びトリ-tert-ブチルフェニルフォスファイト等のリン系化合物;カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、イソノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン、ベヘン酸等の脂肪酸;ナフテン酸金属塩、脂肪酸金属塩、リン酸金属塩、リン酸エステル金属塩、及び亜リン酸エステル金属塩等の有機金属化合物;その他、ホウ素化合物、モノ及びジヘキシルフォスフェートのアルキルアミン塩、リン酸エステルアミン塩、及びトリフェニルチオリン酸エステルとtert-ブチルフェニル誘導体の混合物等が挙げられる。耐摩耗剤の含有量は特に限定されないが、例えば、燃料油組成物全量に対して0.01~10質量%であることが好ましい。
[0045]
 清浄剤・分散剤としては、例えば、リン酸アミド、アミノアルカン、アルキルアミンリン酸エステル、ポリエーテルアミン、ポリブテニルアミン、アルケニルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸エステル、サリチル酸金属塩(カルシウムサリシレートを除く)スルホン酸金属塩、カルボン酸金属塩、ホスホン酸金属塩等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。清浄剤・分散剤の含有量は特に限定されないが、例えば、燃料油組成物全量に対して0.001~10質量%であることが好ましい。
[0046]
 流動性向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート系ポリマー、ポリアクリレート系ポリマー、オレフィン性不飽和ポリマー、エチレン-酢酸ビニル系コポリマー、ポリオレフィン置換フェノール系ポリマー、アルケニルコハク酸アミド、アルカンポリオールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、アルカノールアミンのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。流動性向上剤の含有量は特に限定されないが、例えば、燃料油組成物全量に対して0.001~10質量%であることが好ましい。
[0047]
 本発明の燃料油組成物のCCAI(計算炭素芳香族指数)は特に限定されないが、燃料油組成物の諸特性の観点から、780以上900以下が好ましく、800以上860以下がより好ましい。本発明において、燃料油組成物のCCAIは、ISO8217に基づき算出される。
[0048]
 本発明の燃料油組成物の引火点は特に限定されないが、燃料油組成物の諸特性の観点から、40℃以上120℃以下が好ましい。本発明において、燃料油組成物の引火点は、JIS K 2265-3(2007)に記載のペンスキーマルテンス密閉法により測定される。
[0049]
 本発明の燃料油組成物の流動点は特に限定されないが、燃料油組成物の諸特性の観点から、-40℃以上30℃以下が好ましい。本発明において、燃料油組成物の流動点は、JIS K 2269(1987)に記載の方法により測定される。
[0050]
 本発明の燃料油組成物の動粘度は特に限定されないが、燃料油組成物の諸特性の観点からは、40℃の動粘度が1~400mm 2/sであることが好ましく、2~200mm 2/sであることが更に好ましく、2~100mm 2/sであることが最も好ましい。
[0051]
 本発明の燃料油組成物の密度は特に限定されないが、燃料油組成物の諸特性の観点から、15℃における密度が0.70g/cm 3以上1.00g/cm 3以下であることが好ましく、0.80g/cm 3以上0.98g/cm 3以下であることがより好ましい。本発明において、燃料油組成物の密度は、JIS K 2249(2011)に記載の方法により測定される。
[0052]
 本発明の燃料油組成物は、液体の燃料油を用いる態様であれば特に制限なく使用でき、例えば、乗用車やトラック等の自動車用燃料油、旅客船や貨物船等の船舶用燃料油、飛行機やヘリコプター等の航空機用の燃料油、ディーゼル機関車等の鉄道車両用燃料油、農業機械用燃料油、建築機械用燃料油等として用いることができ、これらの中でも、船舶用燃料油として用いることが好ましい。
実施例
[0053]
 以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中、%は特に記載が無い限り質量基準である。実施例に使用した各成分を下記に示す。
[0054]
[カルシウムサリシレート希釈物の調製]
 下記の燃料油基油、表1に記載のカルシウムサリシレート1~17及び低塩基価カルシウムサリシレート(比較化合物)を用い、各カルシウムサリシレートと下記燃料油基油Aとを40:60の質量比で混合希釈することにより、カルシウムサリシレート希釈物1~17及び低塩基価カルシウムサリシレート希釈物をそれぞれ調製した。なお表1において、(1):(2)構造比率とは、各カルシウムサリシレート中の一般式(1)表される化合物と一般式(2)で表される化合物のモル比率を表し、R 1、R 2構造とは、一般式(1)で表される各カルシウムサリシレートのR 1の構造及び一般式(2)で表される各カルシウムサリシレートのR 2の構造を表す。
[0055]
<燃料油基油>
 燃料油基油A:硫黄元素含有量0.25%、40℃での動粘度が25.0mm 2/sの分解基油留分からなる燃料油基油
[0056]
[表1]


[0057]
[燃料油組成物の調製A]
 下記の燃料油基油、カルシウムサリシレート希釈物、ソルビタンエステルおよび比較化合物である分散剤を用い、以下の表2~9に示す通りに燃料油組成物を調製した。また、各燃料油組成物中の、カルシウムサリシレート希釈物中のカルシウムサリシレートまたは比較化合物に由来するカルシウム元素含有量を表2~9に併せて示す。
[0058]
<燃料油基油>
 燃料油基油1:硫黄元素含有量0.44%、40℃での動粘度が5.5mm 2/sの燃料油基油(硫黄元素含有量2.1%のC重油20質量%と硫黄元素含有量0.03%のMGO80質量%との混合基油)
 燃料油基油2:硫黄元素含有量0.24%、40℃での動粘度が4.2mm 2/sの燃料油基油(硫黄元素含有量2.1%のC重油10質量%と硫黄元素含有量0.03%のMGO90質量%との混合基油)
 燃料油基油3:硫黄元素含有量0.04%、40℃での動粘度が3.1mm 2/sの燃料油基油(硫黄元素含有量2.1%のC重油0.5質量%と硫黄元素含有量0.03%のMGO99.5質量%との混合基油)
 燃料油基油6:硫黄元素含有量0.36%、40℃での動粘度が120mm 2/sの燃料油基油(硫黄元素含有量0.46%のVLSFO5質量%と硫黄元素含有量0.35%のVLSFO95質量%との混合基油)
 燃料油基油7:硫黄元素含有量0.46%、40℃での動粘度が138mm 2/sのVLSFOからなる燃料油基油
 燃料油基油8:硫黄元素含有量0.47%、40℃での動粘度が475mm 2/sのVLSFOからなる燃料油基油
 燃料油基油9:硫黄元素含有量0.44%、40℃での動粘度が8.1mm 2/sのVLSFOからなる燃料油基油
[0059]
<カルシウムサリシレート希釈物>
 カルシウムサリシレート希釈物1:224mgKOH/g、カルシウム元素比率8.1%
 カルシウムサリシレート希釈物2:156mgKOH/g、カルシウム元素比率5.5%
 カルシウムサリシレート希釈物3:111mgKOH/g、カルシウム元素比率4.0%
 カルシウムサリシレート希釈物4:344mgKOH/g、カルシウム元素比率12.9%
 カルシウムサリシレート希釈物5:168mgKOH/g、カルシウム元素比率5.6%
 カルシウムサリシレート希釈物6:280mgKOH/g、カルシウム元素比率10.0%
 カルシウムサリシレート希釈物7:267mgKOH/g、カルシウム元素比率10.0%
 カルシウムサリシレート希釈物8:160mgKOH/g、カルシウム元素比率6.3%
 カルシウムサリシレート希釈物9:170mgKOH/g、カルシウム元素比率6.1%
 カルシウムサリシレート希釈物10:229mgKOH/g、カルシウム元素比率8.0%
 カルシウムサリシレート希釈物11:320mgKOH/g、カルシウム元素比率11.0%
 カルシウムサリシレート希釈物12:63mgKOH/g、カルシウム元素比率2.1%
 カルシウムサリシレート希釈物13:170mgKOH/g、カルシウム元素比率6.1%
 カルシウムサリシレート希釈物14:190mgKOH/g、カルシウム元素比率6.7%
 カルシウムサリシレート希釈物15:279mgKOH/g、カルシウム元素比率11.7%
 カルシウムサリシレート希釈物16:240mgKOH/g、カルシウム元素比率9.6%
 カルシウムサリシレート希釈物17:173mgKOH/g、カルシウム元素比率6.2%
[0060]
<ソルビタンエステル>
 ソルビタンエステル1:ソルビタンセスキオレエート(HLB:3.7)
 ソルビタンエステル2:ソルビタンモノオレエート(HLB:4.3)
 ソルビタンエステル3:ソルビタントリオレエート(HLB:1.8)
 ソルビタンエステル4:ポリオキシエチレン(6)ソルビタンモノオレエート(HLB:10.0)
[0061]
<比較化合物>
 低塩基価カルシウムサリシレート希釈物:低塩基価カルシウムサリシレートの希釈物(16mgKOH/g、カルシウム元素比率0.9%)
 カルシウムスルホネート希釈物:300mgKOH/g、カルシウム元素比率11.8%(750mgKOH/g、カルシウム元素比率30%のカルシウムスルホネートと燃料油基油Aとを40:60の質量比で混合した希釈物)
 アルキルサリシレート:5-メチルサリチル酸
 サリチル酸アルキルエステル:サリチル酸-2エチルヘキシル
 コハク酸イミド系分散剤:ポリイソブテンコハク酸イミド
 リン酸エステル系分散剤:オレイル-4EOリン酸エステル
 プルロニック型分散剤:エチレンジアミンのPOE-POPブロックポリマー
 ポリカルボン酸系分散剤:オレフィン・マレイン酸共重合物ナトリウム塩
 アセチレン系分散剤:アセチレンジオールのPOE-POPブロックポリマー
[0062]
[表2]


[0063]
[表3]


[0064]
[表4]


[0065]
[表5]


[0066]
[表6]


[0067]
[表7]


[0068]
[表8]


[0069]
[表9]


[0070]
<スラッジ分散性の評価>
 実施例1~41、比較例1~20で調製した燃料油組成物について、ASTM D 4740(2014)に記載のスポットテスト法により、スラッジの分散・析出特性を評価した。具体的には、90℃に加熱した各燃料油組成物それぞれをろ紙(テストペーパー)上に滴下し、100℃で1時間保持後、ろ紙上のスポットの状態を下記の評価指標に従いスポットテスト評価を行った。本評価は、評価指標1が最もスラッジの分散性(スラッジの析出抑制)に優れることを示し、1または2であれば実用性を有することを示す。結果を上記表2~9に示した。
[0071]
<スポットテストの評価指標>
  1:インナーリングは認められず、スポットが均質である
  2:かすかにまたは不完全にインナーリングが認められる
  3:背景より少しだけ暗いインナーリングが認められる
  4:3よりも濃く、背景より幾分暗いインナーリングが認められる
  5:インナーリングの中心に粒子または粒子状のものが認められ、背景より明確に暗い
[0072]
 上記の結果から、本発明の燃料油組成物は、スラッジの分散性に優れ、よって保存時や使用時におけるスラッジの析出抑制に優れると言える。
[0073]
[燃料油組成物の調製B]
 下記の燃料油基油、カルシウムサリシレート希釈物、ソルビタンエステル及びその他の添加剤を用いて調製される燃料油組成物の配合例を表10~15に示す。
[0074]
<燃料油基油>
 燃料油基油1:硫黄元素含有量0.44%、40℃での動粘度が5.5mm 2/sの燃料油基油(硫黄元素含有量2.1%のC重油20質量%と硫黄元素含有量0.03%のMGO80質量%との混合基油)
 燃料油基油2:硫黄元素含有量0.24%、40℃での動粘度が4.2mm 2/sの燃料油基油(硫黄元素含有量2.1%のC重油10質量%と硫黄元素含有量0.03%のMGO90質量%との混合基油)
 燃料油基油3:硫黄元素含有量0.04%、40℃での動粘度が3.1mm 2/sの燃料油基油(硫黄元素含有量2.1%のC重油0.5質量%と硫黄元素含有量0.03%のMGO99.5質量%との混合基油)
 燃料油基油4:硫黄元素含有量0.03%、40℃での動粘度が3.1mm 2/sの燃料油基油(硫黄元素含有量0.03%のMGO100質量%)
 燃料油基油5:硫黄元素含有量0.30%、40℃での動粘度が90mm 2/sの燃料油基油(硫黄元素含有量0.08%のULSFO20質量%と硫黄元素含有量0.35%のVLSFO80質量%との混合基油)
 燃料油基油6:硫黄元素含有量0.36%、40℃での動粘度が120mm 2/sの燃料油基油(硫黄元素含有量0.46%のVLSFO5質量%と硫黄元素含有量0.35%のVLSFO95質量%との混合基油)
 燃料油基油7:硫黄元素含有量0.46%、40℃での動粘度が138mm 2/sのVLSFOからなる燃料油基油
 燃料油基油8:硫黄元素含有量0.47%、40℃での動粘度が475mm 2/sのVLSFOからなる燃料油基油
 燃料油基油9:硫黄元素含有量0.44%、40℃での動粘度が8.1mm 2/sのVLSFOからなる燃料油基油
[0075]
<カルシウムサリシレート希釈物>
 カルシウムサリシレート希釈物3:111mgKOH/g、カルシウム元素比率4.0%
 カルシウムサリシレート希釈物9:170mgKOH/g、カルシウム元素比率6.1%
 カルシウムサリシレート希釈物11:320mgKOH/g、カルシウム元素比率11.0%
 カルシウムサリシレート希釈物16:240mgKOH/g、カルシウム元素比率9.6%
<ソルビタンエステル>
 ソルビタンエステル1:ソルビタンセスキオレエート(HLB:3.7)
 ソルビタンエステル2:ソルビタンモノオレエート(HLB:4.3)
 ソルビタンエステル3:ソルビタントリオレエート(HLB:1.8)
 ソルビタンエステル4:ポリオキシエチレン(6)ソルビタンモノオレエート(HLB:10.0)
[0076]
<抗菌・殺菌剤>
 抗菌・殺菌剤1:POEラウリルアミン
 抗菌・殺菌剤2:ヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-トリアジン
 抗菌・殺菌剤3:1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン
<防錆剤>
 防錆剤1:オクチルアミン
 防錆剤2:テトラプロペニルコハク酸エステル
<酸化防止剤>
 酸化防止剤1:2,6-ジターシャリブチルフェノール
 酸化防止剤2:N,N’-ジオクチル-p-フェニレンジアミン
 酸化防止剤3:ジステアリルβ,β’-チオジブチレート
<耐摩耗剤>
 耐摩耗剤1:オレイン酸
 耐摩耗剤2:オクチル酸性リン酸エステル
 耐摩耗剤3:ジブチルジチオリン酸亜鉛
<流動性改善剤>
 流動性改善剤1:エチレン-酢酸ビニルコポリマー
 流動性改善剤2:メチルメタクリレート-ヘキサデシルアクリレートコポリマー
 流動性改善剤3:トリエタノールアミンEO付加物のベヘン酸エステル
[0077]
[表10]


[0078]
[表11]


[0079]
[表12]


[0080]
[表13]


[0081]
[表14]


[0082]
[表15]


[0083]
 本発明によれば、保存時や使用時におけるスラッジの析出抑制に優れる燃料油組成物を提供することができる。また、本発明によれば、さらに燃焼性、貯蔵安定性、酸化安定性、耐摩耗性、均一性、安全性、環境適合性、始動性、低温流動性、取扱い性等に優れる燃料油組成物を提供することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 硫黄元素含有量が0.01~0.50質量%である燃料油基油と、全塩基価が100~1200mgKOH/gであるカルシウムサリシレートとを含有する燃料油組成物。
[請求項2]
 カルシウムサリシレートの含有量が、燃料油組成物全量に対してカルシウム元素含有量で1~2000質量ppmである、請求項1に記載の燃料油組成物。
[請求項3]
 カルシウムサリシレートが、下記の一般式(1)または一般式(2)で表されるアルキルサリチル酸のカルシウム塩を含む、請求項1又は2に記載の燃料油組成物。
[化1]


(式中、のR 1は炭素数4~32の炭化水素基を表し、R 2は炭素数4~32の炭化水素基を表す。)
[請求項4]
 燃料油基油中の硫黄元素含有量と、カルシウムサリシレートに由来するカルシウム元素含有量との比が、質量比で1000:1~0.5:1である、請求項1~3のいずれか1項に記載の燃料油組成物。
[請求項5]
 燃料油基油の40℃での動粘度が1~600mm 2/sである、請求項1~4のいずれか1項に記載の燃料油組成物。
[請求項6]
 さらに、ソルビタンエステルを含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の燃料油組成物。
[請求項7]
 船舶用燃料油組成物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の燃料油組成物。
[請求項8]
 硫黄元素含有量が0.01~0.50質量%である燃料油基油に、全塩基価が100~1200mgKOH/gであるカルシウムサリシレートを配合することを含む、燃料油組成物中のスラッジの析出を抑制する方法。
[請求項9]
 前記燃料油組成物が、船舶用燃料油組成物である、請求項8に記載の方法。
[請求項10]
 硫黄元素含有量が0.01~0.50質量%である燃料油基油を含む燃料油組成物における、スラッジ析出を抑制するための、全塩基価が100~1200mgKOH/gであるカルシウムサリシレートの使用。
[請求項11]
 前記燃料油組成物が、船舶用燃料油組成物である、請求項10に記載の使用。