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1. WO2020196332 - COOLING STRUCTURE

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明 細 書

発明の名称 冷却構造体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086  

実施例

0087   0088   0089   0090   0091  

符号の説明

0092  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5A   5B   5C   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 冷却構造体

技術分野

[0001]
 本開示は、冷却構造体に関する。

背景技術

[0002]
 ハイブリッド自動車、電気自動車等のモータを搭載する車両には、モータを駆動する駆動手段が搭載されている。駆動手段は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワー半導体を複数備えるパワーモジュール、キャパシタ等の電子部品、これら電子部品を電気的に接合するバスバーなどから構成される。
 モータを駆動する際には、パワー半導体、キャパシタ等、これら電子部品を接合するバスバーに大電流の流れることがある。この場合、スイッチング損失、抵抗損失等によって駆動手段が発熱するため、駆動手段を効率的に冷却する必要がある。
[0003]
 駆動手段を冷却するための冷却手段としては、熱伝導性の高さから、アルミニウム、銅等の金属製のヒートシンクが用いられる(例えば、特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2010-182831号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、金属製のヒートシンクを製造するためには、押出成形、スカイブ加工、カシメ加工等の複雑な製造工程を経る必要がある。そのため、金属製のヒートシンクはコストが高くなりやすい。
 また、金属製のヒートシンクを駆動手段等の冷却対象に組み込むためには、多くの工数を要することがある。そのため、金属製のヒートシンクを用いることなく冷却効率に優れる冷却方法が求められている。
[0006]
 本開示の一形態は上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、冷却効率に優れる樹脂製の冷却構造体を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
  <1> 冷媒を流通させる流路を形成する樹脂製の流路形成部材と、
 前記冷媒を前記流路に流入させる流入口と、
 前記冷媒を前記流路から流出させる流出口と、
 前記冷媒により冷却される複数の被冷却体と、を備え、
 前記流入口から流入した前記冷媒が前記複数の被冷却体のうちの少なくとも2つの被冷却体に直接到達するように、前記流路が構成される冷却構造体。
  <2> 前記流路が、前記流入口と前記被冷却体との間で分岐しており、分岐した前記流路を流通して前記冷媒が前記複数の被冷却体のうちの少なくとも2つの被冷却体に直接到達する<1>に記載の冷却構造体。
  <3> 前記流入口を少なくとも2つ備え、前記少なくとも2つの流入口の各々から流入した前記冷媒が前記複数の被冷却体のうちの少なくとも2つの被冷却体に直接到達する<1>に記載の冷却構造体。
  <4> 前記流路が、前記冷媒が流通する方向における上流側の内壁よりも流路外方向に突出する突出部と、前記冷媒が流通する方向を前記突出部側に整流する整流部と、を有する<1>~<3>のいずれか1項に記載の冷却構造体。
  <5> 前記被冷却体からの熱を伝熱する前記流路形成部材に埋設された、又は、前記流路形成部材に接合された、板状かつ金属製である熱拡散部と、
 前記熱拡散部から前記流路内に延設され、少なくとも表面が樹脂製の冷却フィンと、をさらに備える<1>~<4>のいずれか1項に記載の冷却構造体。
  <6> 前記被冷却体の少なくとも1つが前記熱拡散部に伝熱するバスバーであり、
 前記流路形成部材の外壁面と、前記バスバーとの間に空間があり、前記流路形成部材と前記バスバーとが接触していない<5>に記載の冷却構造体。
  <7> 前記冷却フィンの先端が、前記流路の内壁に接触する<5>又は<6>に記載の冷却構造体。
  <8> 前記冷却フィンの前記冷媒と接触する部分の表面粗さRaが、10μm以上である<5>~<7>のいずれか1項に記載の冷却構造体。
  <9> 前記流路形成部材の外壁の少なくとも一部に、金属層が設けられた<1>~<8>のいずれか1項に記載の冷却構造体。
  <10> 前記金属層が、金属溶射層である<9>に記載の冷却構造体。

発明の効果

[0008]
 本開示の一形態によれば、冷却効率に優れる樹脂製の冷却構造体を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 第1の実施形態に係る冷却構造体10を示す平面図である。
[図2] 第2の実施形態に係る冷却構造体11を示す平面図である。
[図3] 冷却構造体10における、突出部19の設けられた箇所を示す部分斜視図である。
[図4] 図3のAA線を含む鉛直面で切断したときの断面図である。
[図5A] 被冷却体18Aがバスバーであった場合の、冷却構造体10の熱拡散部と冷却フィンとを備える箇所について、流路の冷媒が流通する方向と直交する断面を観察したときの断面図である。
[図5B] 冷却構造体10の他の実施形態を説明するための図である。
[図5C] 冷却構造体10の他の実施形態を説明するための図である。
[図6] 図1の冷却構造体10における冷却フィン46の設けられた領域を、ボルト50の挿入方向から見た図である。
[図7] 図1の冷却構造体10における冷却フィン46の設けられた領域についての他の実施形態を、ボルト50の挿入方向から見た図である。
[図8] 図5Aに示す冷却構造体10の熱拡散部と冷却フィンとを備える箇所についての、他の実施形態の断面図である。
[図9] 図5Aに示す冷却構造体10の熱拡散部と冷却フィンとを備える箇所についての、他の実施形態の端面図である。
[図10] 第3の実施形態に係る冷却構造体54の要部を示す断面図である。
[図11] 金属層の磁界シールド性能の評価結果を示す図である。
[図12] 冷却性能の評価方法を説明するために図である。

発明を実施するための形態

[0010]
<冷却構造体>
 本開示の冷却構造体は、冷媒を流通させる流路を形成する樹脂製の流路形成部材と、前記冷媒を前記流路に流入させる流入口と、前記冷媒を前記流路から流出させる流出口と、前記冷媒により冷却される複数の被冷却体と、を備え、前記流入口から流入した前記冷媒が前記複数の被冷却体のうちの少なくとも2つの被冷却体に直接到達するように、前記流路が構成されるものである。
[0011]
 本開示において、冷媒が被冷却体に「直接到達する」とは、流入口から流入した冷媒が目的とする被冷却体に到達する前に他の被冷却体への冷却に寄与しないことをいう。
 本開示の冷却構造体では、流入口から流入した冷媒が被冷却体のうちの少なくとも2つの被冷却体に直接到達するように流路が構成されることから、熱量の大きい少なくとも2つの被冷却体が存在する場合に、これら複数の被冷却体に対して冷媒を直接供給することが可能となる。そのため、他の被冷却体への冷却に寄与しておらず冷却能力に優れる冷媒を熱量の大きい被冷却体に供給することができ、冷却効率が向上する。
[0012]
 以下、本開示の冷却構造体を、図面を参照して説明する。なお、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。また、実質的に同一の機能を有する部材には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
 なお、本開示の冷却構造体では、流路における冷媒が流通する方向と直交する断面を観察したときに、流路の少なくとも一部に内壁の形状が略矩形となる領域が存在してもよく、円形、楕円形、矩形以外の多角形等の、略矩形以外の内壁の形状を呈する領域が存在していてもよい。
[0013]
 図1は、第1の実施形態に係る冷却構造体10の平面図を示す。図1における矢印は冷媒の流れ方向を示す。冷却構造体10では、樹脂製の流路形成部材12により冷媒を流通させる流路が形成されている。流路の一端には冷媒を流路に流入させる流入口14が一箇所設けられており、流路の他端には冷媒を流路から流出させる流出口16が一箇所設けられている。冷却構造体10には、2つの被冷却体18A及び被冷却体18Bが流路形成部材12の外壁面に接するように配置されている。流入口14と被冷却体18A及び被冷却体18Bとの間で、流路が分岐している。また、分岐した流路は、被冷却体18A及び被冷却体18Bと流出口16との間で合流している。
 また、分岐した流路の一方には、被冷却体18Aよりも冷媒の流れ方向下流側に、流路外方向に突出して被冷却体18Aと接触する突出部19が設けられている。
 なお、冷却構造体10では2つの被冷却体18A及び被冷却体18Bが配置されているが、被冷却体18A及び被冷却体18Bよりも冷媒の流れ方向下流側に他の被冷却体が配置されていてもよい。他の被冷却体は、被冷却体18A及び被冷却体18Bよりも熱量の小さい被冷却体であることが好ましい。
[0014]
 冷却構造体10において、流入口14からは、不図示の冷媒供給手段から供給される冷媒が流路に流入する。流路に流入した冷媒は、分岐した流路を通じて冷却構造体10における被冷却体18A及び被冷却体18Bの配置された箇所に直接到達する。被冷却体18A及び被冷却体18Bの配置された箇所に到達した冷媒は、被冷却体18A及び被冷却体18Bを冷却する。被冷却体18A及び被冷却体18Bの配置された箇所に到達した冷媒は、被冷却体18A及び被冷却体18Bに到達する前において、その他の被冷却体を冷却することがない。そのため、被冷却体を冷却する前の冷媒を被冷却体18A及び被冷却体18Bに供給することができる。
[0015]
 図2は、第2の実施形態に係る冷却構造体11の平面図を示す。図2における矢印は冷媒の流れ方向を示す。冷却構造体11では、冷却構造体10と同様に樹脂製の流路形成部材12により冷媒を流通させる流路が形成されている。冷却構造体11には二箇所の流入口14A及び流入口14Bが設けられており、流入口14Aと通ずる流路と流入口14Bと通ずる流路とが冷媒の流れ方向下流側で合流し、流路の合流箇所よりもさらに冷媒の流れ方向下流側に流出口16が設けられている。また、冷却構造体11には、2つの被冷却体18A及び被冷却体18Bが流路形成部材12の外壁面に接するように配置されている。
[0016]
 冷却構造体11において、流入口14A及び流入口14Bからは、不図示の冷媒供給手段から供給される冷媒が流路に流入する。流入口14Aから流路に流入した冷媒は被冷却体18Aの配置された箇所に直接到達し、流入口14Bから流路に流入した冷媒は被冷却体18Bの配置された箇所に直接到達する。被冷却体18A及び被冷却体18Bの配置された箇所に到達した冷媒は、被冷却体18A及び被冷却体18Bを冷却する。被冷却体18A及び被冷却体18Bの配置された箇所に到達した冷媒は、被冷却体18A及び被冷却体18Bに到達する前において、その他の被冷却体を冷却することがない。そのため、被冷却体を冷却する前の冷媒を被冷却体18A及び被冷却体18Bに供給することができる。
[0017]
 冷却構造体の流路は、冷媒が流通する方向における上流側の内壁よりも流路外方向に突出する突出部と、冷媒が流通する方向を突出部側に整流する整流部と、を有するものであってもよい。
 流路が突出部と整流部とを有することで、突出部に冷媒の流れが形成され、突出部に供給された冷媒が留まりにくくなり、長期間にわたって冷媒が突出部に溜まる滞留の発生が抑制されると考えられる。また、突出部における滞留の発生が抑制されることにより、突出部における冷却効率が高まると考えられる。
[0018]
 図3は、冷却構造体10における、突出部19の設けられた箇所を示す部分斜視図であり、図4は、図3のAA線を含む鉛直面で切断したときの断面図である。なお、図3においては、突出部19の構造が理解しやすいように被冷却体18Aを省略している。
 図3及び図4において、冷媒を流通させる流路20が樹脂製の流路形成部材12により形成されている。流路における突出部19の設けられた箇所の形状は、図3及び図4に示すように、冷媒が流通する方向と直交する方向における断面が略矩形であってもよく、断面が円形、楕円形、矩形以外の多角形等であってもよい。
[0019]
 流路20は、冷媒が流通する方向(図4中の矢印X方向)において、鉛直上方向に突出する突出部19と、冷媒が流通する方向を突出部19側に整流する整流部22と、を有する。
[0020]
 突出部19は、冷媒が流通する方向において、上流側の上部内壁24と下流側の上部内壁26との間に形成されている。整流部22の突出部19側の端部は、上流側の上部内壁24及び下流側の上部内壁26よりも鉛直上方向に突出している。
[0021]
 突出部19は、側部内壁28、側部内壁30及び上部内壁32を備え、冷媒が流通する方向と平行な方向の断面がいずれも矩形状である。冷媒が流通する方向において、側部内壁28は側部内壁30よりも上流側の壁面であり、側部内壁30は側部内壁28よりも下流側の壁面である。突出部は、冷媒が流通する方向と平行な方向の断面は、円形、楕円形、多角形等であってもよい。
[0022]
 突出部は、冷媒が流通する方向と直交する断面が、図3に示すように矩形状であってもよく、円形、楕円形、矩形以外の多角形等であってもよい。
[0023]
 なお、突出部は、冷媒が流通する方向において上流側の内壁よりも流路外方向に突出していればよく、上流側の上部内壁よりも鉛直上方向に突出する構成に限定されない。例えば、上流側の下部内壁よりも鉛直下方向に突出していてもよく、上流側の側部内壁よりも側部内壁の流路外方向に突出していてもよい。
 本開示において、「流路外方向」とは、流路の内壁から外壁を介して流路形成部材の外部に向かう方向を意味する。
[0024]
 整流部22は、下部内壁34から流路20内に向かって延設されている。整流部22は、冷媒が流通する方向を突出部19側、例えば、整流部22の延設方向(図4中の矢印Y方向)に整流する。整流部22は、突出部19における上部内壁32と対向する下部内壁34の部分の少なくとも一部から突出部19側に延設された板状構造を有する。
[0025]
 整流部22を構成する材料は、後述する流路形成部材12を構成する樹脂であってもよく、後述する熱拡散部を構成する金属であってもよい。
[0026]
 整流部22の突出部19側の端部は、上流側の上部内壁24よりも流路外方向である鉛直上方向に突出している。これにより、突出部19側に冷媒の流れが好適に形成され、突出部19に供給された冷媒はより滞留しにくくなる。
[0027]
 整流部は、冷媒が流通する方向を突出部側に整流する構成であれば特に限定されず、例えば、整流部は、突出部の流路外方向の内壁と対面する流路形成部材の内壁の部分の少なくとも一部から突出部側に延設されている構成であってもよい。
[0028]
 突出部19における上部内壁32と整流部22における上部内壁32と対面する壁面との距離Lと、突出部19よりも上流側の流路20の幅wとの比(L/w)は、1以上であることが好ましく、L/w=1、すなわち、L=wであることがより好ましい。
[0029]
 また、突出部19よりも下流側の流路20の幅zと、突出部19よりも上流側の流路20の幅wとの比(z/w)は、1以上であることが好ましく、z/w=1、すなわち、z=wであることがより好ましい。
[0030]
 突出部19における側部内壁28と整流部22における側部内壁28と対面する壁面との距離mと、突出部19よりも上流側の流路20の幅wとの比(m/w)は、1以上であることが好ましく、m/w=1、すなわち、m=wであることがより好ましい。
[0031]
 突出部19における側部内壁30と整流部22における側部内壁30と対面する壁面との距離nと、突出部19よりも上流側の流路20の幅wとの比(n/w)は、1以上であることが好ましく、n/w=1、すなわち、n=wであることがより好ましい。
[0032]
 流路外方向である鉛直上方向における整流部22の高さhと、突出部19よりも上流側の流路20の幅wとの比(h/w)は、0.5以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましい。
[0033]
 図4に示すように、冷却構造体10では、上流側の上部内壁24及び突出部の側部内壁28と対向するように被冷却体18Aが配置され、突出部19を流通する冷媒により被冷却体18Aが冷却される構成を有する。
[0034]
 突出部19に隣接して配置される被冷却体18Aとしては、パワー半導体、キャパシタ等の電子部品が挙げられる。
 被冷却体18Aは、上流側の上部内壁24から流路20内に向けて延設されたヒートシンク(図示せず)、及び側部内壁28から突出部19に向けて延設されたヒートシンク(図示せず)を備えていてもよい。
[0035]
 被冷却体18Aがヒートシンクを備える場合、被冷却体18Aとヒートシンクとの間に被冷却体18Aの発する熱をヒートシンクに伝える絶縁基板、絶縁シート等を備えていてもよい。また、ヒートシンクの一部が流路形成部材12に埋設されてヒートシンクと被冷却体18Aとが接触せずに流路形成部材12を介して被冷却体18Aの発する熱がヒートシンクに伝わる構成であってもよい。
[0036]
 ヒートシンクは、例えば、被冷却体18Aの底部と対面する板状の熱拡散部と、熱拡散部における上部内壁24側の面から流路20内に延設された冷却フィンとを備えていてもよい。また、ヒートシンクとしては、被冷却体18Aの側面と対面する板状の熱拡散部と、熱拡散部における側部内壁28側の面から突出部19に延設された冷却フィンとを備えていてもよい。
[0037]
 冷却構造体は、被冷却体からの熱を伝熱する流路形成部材に埋設された、又は、流路形成部材に接合された、板状かつ金属製である熱拡散部と、熱拡散部から流路内に延設され、少なくとも表面が樹脂製の冷却フィンと、をさらに備えるものであってもよい。冷却構造体が板状かつ金属製である熱拡散部と、熱拡散部から流路内に延設された、少なくとも表面が樹脂製の冷却フィンと、をさらに備えることで、熱伝導性に優れる熱拡散部が被冷却体から受け取った熱が板状の熱拡散部の面方向に拡散され、広範囲に拡散された熱が放熱性に優れる冷却フィンの表面から放熱される。これにより、冷却構造体の冷却効率はさらに向上する。
[0038]
 図5Aは、被冷却体18Aがバスバーであった場合の、冷却構造体10の熱拡散部と冷却フィンとを備える箇所について、流路の冷媒が流通する方向と直交する断面を観察したときの断面図を示す。
 図5Aに示す冷却構造体10では、冷却フィンが、流路の冷媒が流通する方向と直交する断面を観察したときに流路の内壁の形状が略矩形となる領域に設けられている。略矩形とされた内壁における対向する一対の内壁のうちの一方側の内壁から他方側の内壁に向けて冷却フィンが延設されている。
 なお、本開示において、冷却構造体の冷却フィンの設けられた箇所の流路の断面形状は特に限定されるものではなく、略矩形であってもよく、円形、楕円形、矩形以外の多角形等の、略矩形以外の形状であってもよい。
 また、本開示において、冷却構造体の冷却フィンの設けられた箇所以外の流路の断面形状は特に限定されるものではない。
[0039]
 図5Aでは、流路20は、対向する一対の内壁のうちの一方側の内壁に相当する上部内壁24及び他方側の内壁に相当する下部内壁34並びに上部内壁24及び下部内壁34を接続する側部内壁36及び側部内壁38に取り囲まれて構成されている。
[0040]
 上部内壁24側では、板状かつ金属製である熱拡散部44から流路20内に円筒状の冷却フィン46が複数延設されている。冷却フィン46は、流路形成部材12と同様に樹脂製であることが好ましい。これにより、金属製の熱拡散部44は熱伝導性が高いため、面方向に熱が拡散されやすく、面方向に拡散された熱は放熱性に優れる樹脂製の冷却フィン46により放熱されやすくなる。
 図5Aでは、冷却フィン46の一部が点線で示されている。
 複数の冷却フィン46の延設方向はいずれも略平行とされる。複数の冷却フィン46の延設方向を略平行とすることで、金型を用いて冷却フィン46を備える流路形成部材12を製造する際に、金型から冷却フィン46を引き抜きやすくなる。そのため、金型を用いた冷却フィン46を備える流路形成部材12の製造が容易になる。
[0041]
 熱拡散部44の冷却フィン46が延設されている側とは反対側では、熱拡散部44に伝熱することで冷却される被冷却体であるバスバー48が、ボルト50とナット40とで固定されている。ナット40は、ナット本体42とナット本体42のボルト50が挿入される側とは反対側に設けられた熱拡散部44とを有する。熱拡散部44は、四角形の板状物とされ、ナット本体42と一体化されている。
 バスバー48は、パワー半導体、キャパシタ等の不図示の電子部品と接続されている。
[0042]
 ナット40における熱拡散部44の全体及びナット本体42のボルト50が挿入される側とは反対側の部分は、流路形成部材12に埋設されている。なお、熱拡散部44は、流路形成部材12に埋設された構成に限定されず、後述のように流路形成部材12に接合された構成、例えば、流路形成部材12の外壁に接合された構成であってもよい。例えば、レーザー粗化による樹脂金属接合技術を用い、熱拡散部44を流路形成部材12に接合させてもよい。
[0043]
 また、複数の冷却フィン46はいずれも熱拡散部44から流路20内に延設されている。これにより、熱拡散部44にて面方向に拡散された熱が冷却フィン46にて放熱されやすい構造となっている。
[0044]
 図6は、図5Aの冷却構造体10における冷却フィン46の設けられた領域を、ボルト50の挿入方向から見た図である。冷却フィン46と熱拡散部44との位置関係をわかりやすくするため、図6では、バスバー48等の記載を割愛している。また、冷却フィン46と熱拡散部44との位置関係がわかりやすいように、熱拡散部44を二点鎖線で表している。なお、図5Aは、図6に示すBB線で切断したときの断面図である。
 図6では、冷却フィン46は7本とされており、熱拡散部44の配置された範囲内に冷却フィン46が設けられている。また、熱拡散部44の主面(熱拡散部44のナット本体42と一体化されている側とは反対側の面)は流路20と対向している。
[0045]
 ここで、バスバー48に電流が流れると、抵抗損失によってバスバー48自体が発熱する。また、バスバー48は不図示の電子部品と接続されており、通電によりこれら電子部品から生じた熱がバスバー48を通じて拡散される。そのため、バスバー48は高温状態になりやすい。
[0046]
 バスバー48自体から生じた熱及びバスバー48を通じて拡散された熱は、ボルト50及びナット本体42を介して熱拡散部44のナット本体42と一体化されている箇所に伝達される。熱拡散部44は四角形の板状物とされているため、熱拡散部44に伝達された熱は熱拡散部44の面方向に拡散され、広範囲に熱を拡散することができる。
[0047]
 熱拡散部44は冷却フィン46の根元部に配置されており、熱拡散部44まで拡散された熱は、流路形成部材12を介して冷却フィン46の根元部に到達する。冷却フィン46の根元部に到達した熱は、冷却フィン46を通じて冷却フィン46の根元部から冷却フィン46の先端部に向けて移動する。このときに、流路20を流通する冷媒により冷却フィン46から熱が冷媒に移動する。このようにして、バスバー48、バスバー48に接続する電子部品等の被冷却体が冷却される。
[0048]
 図5Aにおいて、流路20の冷却フィン46の設けられた領域を冷媒が流通する方向上流側から観察したときに、流路20の面積に占める冷却フィン46の観察される部分の面積(面積比率A)は、冷却効率を向上する観点から、30%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、100%であることがさらに好ましい。
[0049]
 図6において、熱拡散部44の主面の面積に対する、熱拡散部44の主面と平行な方向における、熱拡散部44から流路20内に延設された冷却フィン46の断面積の合計の比率(面積比率B)は、冷却効率を向上する観点から、30%以上であることが好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。前述の面積比率Bは、流路20内の抵抗の観点から、70%以下であることが好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。
[0050]
 図6では、熱拡散部44は四角形の板状物となっているが、四角形に限定されず、円形、楕円形、四角形以外の多角形等であってもよい。
[0051]
 冷却フィン46は、少なくとも表面が樹脂製であればよく、冷却フィン46全体が樹脂製であってもよいし、金属製の棒状の芯材を有し、この芯材の表面が樹脂で被覆されていてもよい。芯材の一端は、冷却効率を向上する観点から、熱拡散部44と接続されていてもよい。
[0052]
 図5Aにおいては、冷却フィン46の先端は冷却フィン46の延設方向に直交する平坦状とされているが、冷却フィン46の先端の形状は特に限定されるものではなく、半球状、円錐状、角錐状等であってもよい。
[0053]
 被冷却体としては、バスバー48の他に、パワー半導体、キャパシタ等の電子部品が挙げられる。被冷却体が電子部品である場合、冷却構造体の電子部品の配置される箇所に冷却フィンを設ければよい。
[0054]
 熱拡散部44から流路20内に延設された冷却フィン46は、1つ以上存在すればよく、好ましくは2つ以上存在すればよい。
 例えば、図7に示すように、熱拡散部44から外れた位置に冷却フィン46が配置されていてもよい。
[0055]
 被冷却体が熱拡散部に伝熱するバスバーである場合、流路形成部材の外壁面とバスバーとの間に空間があり、流路形成部材とバスバーとが接触していないことが好ましい。流路形成部材とバスバーとが接触しないことで、バスバーと流路形成部材との絶縁性が向上する。
[0056]
 図5Aにおいて、バスバー48と、流路形成部材12の内壁面との距離h は、絶縁性及び冷却効率の観点から、10mm~50mmであることが好ましい。
 なお、図5Aに示すように複数のバスバー48(図中では2つ)が、ボルト50とナット本体42とで固定されている場合、距離h は、ナット本体42に最も近いバスバー48と、流路形成部材12の内壁面におけるバスバー48と対面する部分(図5Aにおける上部内壁24)と、の距離を意味する。
[0057]
 図5Aにおいて、バスバー48と、流路形成部材12の外壁面におけるバスバー48と対面する部分との最小距離h は、絶縁性の観点から、0.2mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましく、1.0mm以上であることがさらに好ましい。前述の最小距離h は、冷却構造体10の小型化及びバスバー48の冷却効率の観点から、50mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることがさらに好ましい。
 なお、図5Aに示すように複数のバスバー48(図中では2つ)が、ボルト50とナット本体42とで固定されている場合、最小距離h は、ナット本体42に最も近いバスバー48と、流路形成部材12の外壁面におけるバスバー48と対面する部分と、の最小距離を意味する。
[0058]
 図5Aにおいて、熱拡散部44のバスバー48側の面から流路形成部材12の外壁までの最小距離h は、成形性の観点から、0.5mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましく、冷却効率を向上する観点から、2.5mm以下であることが好ましい。なお、最小距離h が0mmである場合、熱拡散部44のバスバー48側の面の少なくとも一部が流路形成部材12で覆われていないことがある。
[0059]
 図5Aにおいて、熱拡散部44の流路20側の面から流路形成部材12の内壁までの最小距離h は、絶縁性の観点から、0.3mm以上であることが好ましく、成形性の観点から、0.5mm以上であることがより好ましく、1.5mm以上であることがさらに好ましい。また、前述の最小距離h は、冷却効率の観点から2.5mm以下であることが好ましい。
[0060]
 次に、図5Aに示す冷却構造体10の熱拡散部44の設けられた箇所についての他の実施形態を、図5Bを用いて説明する。図5Bに示す冷却構造体10は、バスバー48と、流路形成部材12の外壁面におけるバスバー48と対面する部分との距離h 、及び熱拡散部44のバスバー48側の面から流路形成部材12の外壁までの距離h がそれぞれ一定である点で、図5Aに示す冷却構造体10と異なる。図5B中の距離h の好ましい範囲は、前述の図5A中の最小距離h と同様である。
 図5B中の距離h の好ましい範囲は、絶縁性の観点から、0mm超であることが好ましく、成形性の観点から、0.5mm以上であることがより好ましく、1.5mm以上であることがさらに好ましく、冷却効率の観点から、2.5mm以下であることが好ましい。
[0061]
 さらに、図5Aに示す冷却構造体10の熱拡散部44の設けられた箇所についての他の実施形態を、図5Cを用いて説明する。図5Cに示す冷却構造体10は、熱拡散部44のバスバー48側の面から流路形成部材12の外壁までの距離h が0mmである点、すなわち、熱拡散部44のバスバー48側の面が流路形成部材12で覆われていない点で、図5A又は図5Bに示す冷却構造体10と異なる。
 図5Cに示す冷却構造体10は、冷却効率に優れる。
[0062]
 放熱性の観点から、バスバーとボルト及びナット本体との接触面積は大きい方が好ましい。ボルト及びナット本体のバスバーと接触する部分の形状は特に限定されず、円形、楕円形、多角形等であってもよい。
[0063]
 冷却フィンの先端は、流路の内壁に接触していてもよい。
 図8は、図5Aに示す冷却構造体10の熱拡散部と冷却フィンとを備える箇所についての、他の実施形態の断面図を示し、図9は、図5Aに示す冷却構造体10の熱拡散部と冷却フィンとを備える箇所についての、他の実施形態の端面図を示す。
 図8には、樹脂製の流路形成部材により形成された流路について、冷媒が流通する方向と直交する断面を観察したときに当該流路の内壁の形状が略矩形となる領域の断面が示されている。
[0064]
 図8では、冷却フィン46が上部内壁24から下部内壁34に向けて延設されており、下部内壁34に冷却フィン46が接触している。例えば、冷却フィン46が下部内壁34にまで到達していない場合、冷却フィン46の先端と下部内壁34との間を流通する冷媒は冷却フィン46に接触することなく通過していく。冷却フィン46に接触することなく通過していく冷媒は、冷却フィン46の冷却に寄与しない。下部内壁34に冷却フィン46が接触することで、下部内壁34に冷却フィン46の先端が接触してしない場合に比較して、冷却フィン46に触れない冷媒の量を減少することができる。そのため、冷却構造体10の冷却効率は高い。また、冷却フィン46が下部内壁34に接触しているため、特に、上部内壁24から下部内壁34に向けて(又は、下部内壁34から上部内壁24に向けて)荷重がかかった際に、冷却構造体10の強度を高めることが可能となる。
[0065]
 また、図9に示すように、下部内壁34における冷却フィン46の接触する箇所に凹状の窪み52が設けられていてもよい。この場合、窪み52には、冷却フィン46の先端が嵌合されている。冷却フィン46の先端が窪み52に嵌合することで、冷却フィン46に対して冷媒が流通する方向へ荷重がかかった際の、冷却フィン46の強度が向上する。そのため、冷媒の流速を上げることができるようになり、冷却効率をさらに向上することができる。
[0066]
 図9では、冷却フィン46の先端が冷却フィン46の延設方向に直交する平坦状とされ、窪み52の底面が下部内壁34と平行とされている。例えば、冷却フィン46の先端の形状が半球状である場合、窪み52は、冷却フィン46の先端の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する凹状であってもよい。
[0067]
 冷却フィン46の冷媒と接触する部分の表面粗さRaは、10μm以上であることが好ましい。冷却フィン46の冷媒と接触する部分の表面粗さRaが10μm以上とされることで、冷却フィン46の熱放射率が大きくなり、冷却フィン46から熱が効率よく冷媒に移動する。冷却フィン46の冷媒と接触する部分の表面粗さRaが100μm以上であることで、冷却フィン46の表面積がより大きくなり、冷却フィン46から熱がさらに効率よく冷媒に移動するため好ましい。冷却フィン46の冷媒と接触する部分の表面粗さRaは、成形性の観点から500μm以下であることが好ましい。
 本開示において、表面粗さRaは、JIS B0601:2013に基づいて測定された値をいう。
[0068]
 冷却フィン46の延設方向の長さは、流路20の大きさ等に基づいて適宜設定することができる。冷却フィン46の延設方向の長さは、成形性の観点からは、50mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましい。また、冷却フィン46の延設方向の長さは、冷却効率の観点から、10mm以上であることが好ましく、30mm以上であることがより好ましい。
 冷媒が流通する方向から観察したときの冷却フィン46の幅は、流路20の大きさ等に基づいて適宜設定することができる。冷却フィン46の幅は、強度の観点から1mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましい。また、冷却フィン46の幅は、冷却効率の観点から、3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましい。
 要求される冷却性能及び冷却フィン46の強度並びに冷却フィン46を後述のインジェクション成形法により成形する際の成形のしやすさを加味して、冷却フィン46の長さ及び幅を設定してもよい。
[0069]
 冷却フィン46の形状は、特に限定されるものではない。冷却フィン46は、延設方向に直交する断面を観察したときに、図6等に示すように円形であってもよいし、楕円形、三角形、四角形等の多角形などであってもよい。
[0070]
 本開示の冷却構造体は、冷媒の温度を測定する温度センサを備えていてもよく、流路20内の冷却フィン46が延設された領域よりも下流に温度センサを備えていてもよい。また、温度センサの温度に応じて冷媒の量を調節してもよく、温度センサの温度に応じて冷媒供給手段から供給される冷媒の量を調節する制御部を備えていてもよい。
[0071]
 図10は、第3の実施形態に係る冷却構造体54の要部を示す断面図である。図10は、冷却構造体54における流路形成部材12の冷媒が流通する方向に平行な断面を示す。なお、図10では、冷却フィンの記載を割愛している。
 図10に示す冷却構造体54では、被冷却体であるパワー半導体56が、流路形成部材12の外壁に設けられた金属層58を介して流路形成部材12と接している。パワー半導体56にはバスバー48が接続されており、不図示の他のパワー半導体その他の電気部品と導通が確保されている。流路形成部材12のパワー半導体56と接触する箇所には、不図示の冷却フィンが上部内壁24から下部内壁34に向けて延設されている。つまり、不図示の冷却フィンの根元部に、パワー半導体56が配置されている。
 パワー半導体56から生じた熱は、金属層58を介して流路形成部材12の外壁に達し、さらに不図示の冷却フィンの根元部に到達した熱は、冷却フィンを通じて冷却フィンの根元部から下部内壁34に向けて移動する。このときに、流路20を流通する冷媒により冷却フィンから熱が冷媒に移動する。パワー半導体56が金属層58を介して流路形成部材12と接するため、パワー半導体56から生じた熱が、効率的に冷却フィンへ移動しやすくなり、冷却効率が向上する。
[0072]
 また、金属層58は、パワー半導体56から発生する低周波域(特に、ラジオ帯)の磁界をシールドすることができる。そのため、流路形成部材12の外壁に金属層58を設けることは磁界シールドの観点から有効である。金属層58は、流路形成部材12の外壁の少なくとも一部に設ければよい。なお、金属層58は導電性であるため、絶縁性を求められる箇所には金属層58を設けなくともよい。また、流路形成部材12の外壁に金属層58を形成し、さらに絶縁性を求められる箇所を樹脂層で覆ってもよい。
 金属層58は、例えば、流路形成部材12における被冷却体の配置された側とは反対側の外壁に設けることが好ましい。また、図10に示すように、金属層58が流路形成部材12における被冷却体の配置された側の外壁の一部に設けられている場合、流路形成部材12における被冷却体の配置された側とは反対側の外壁には、金属層58の設けられていない領域60が存在してもよい。さらに、図10における熱拡散部44の配置された箇所とは反対側の外壁には、金属層58の設けられていない領域が存在してもよい。
[0073]
 本開示の冷却構造体の製造方法は、特に限定されるものではなく、インジェクション成形法、ダイスライドインジェクション成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、トランスファ成形法、押出成形法、注型成形法等の通常の樹脂成形体の成形方法を採用することができる。なお、冷却構造体10の製造には高い位置精度を要求される場合があることから、ダイスライドインジェクション成形法が好ましい。
 また、ナット40の流路形成部材12に埋設されている箇所は、別途インサート成形法により製造さてもよい。
[0074]
 冷却フィン46の冷媒と接触する部分の表面粗さRaを10μm以上とする方法としては、冷却フィン46の成形に用いられる金型の表面に、冷却フィン46の表面粗さに応じた凹凸を付す方法、冷却フィン46の表面を、マシニング加工、ブラスト加工、レーザー加工等の機械加工で所望の表面粗さに調整する方法などが挙げられる。
[0075]
 流路形成部材12及び冷却フィン46を構成する樹脂の種類は特に限定されるものではない。樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂(PP)、複合ポリプロピレン系樹脂(PPC)、ポリフェニレンサルファイド系樹脂(PPS)、ポリフタルアミド系樹脂(PPA)、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(PBT)、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アイオノマー系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)及びポリカーボネート系樹脂が挙げられる。流路形成部材12及び冷却フィン46を構成する樹脂は同じであっても異なっていてもよい。
[0076]
 流路形成部材12及び冷却フィン46を構成する樹脂は、無機充填材を含有してもよい。無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコン、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、ベリリア及びジルコニアが挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填材としては、水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛等が挙げられる。
 流路形成部材12及び冷却フィン46を構成する樹脂に含まれる無機充填材は、同じであっても異なっていてもよい。また、流路形成部材12を構成する樹脂及び冷却フィン46を構成する樹脂の一方に無機充填材が含まれ、他方に無機充填材が含まれなくともよい。
[0077]
 熱拡散部44を構成する金属は、アルミニウム、鉄、銅、金、銀、ステンレス等の金属、合金などが挙げられる。
[0078]
 熱拡散部44は、流路形成部材12及び冷却フィン46を構成する樹脂と熱拡散部44を構成する金属との熱膨張係数差による冷却構造体10への負荷を抑制する観点から、メッシュ状、パンチングメタル等であってもよい。
[0079]
 冷却構造体10では、熱拡散部44の面方向への熱の拡散性及び冷却フィン46の放熱性の観点から、熱拡散部44を構成する金属はアルミニウム、鉄、銅、金、銀及びステンレスからなる群より選択される少なくともいずれか1つであり、冷却フィン46を構成する樹脂は、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフタルアミド系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、フェノール系樹脂及びエポキシ系樹脂からなる群より選択される少なくともいずれか1つであることが好ましい。好ましいポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66等が挙げられる。
[0080]
 流路を流通する冷媒の種類は、特に限定されるものではない。冷媒としては、水、有機溶媒等の液体、空気等の気体が挙げられる。冷媒として用いられる水には、不凍液等の成分が含まれていてもよい。
[0081]
 金属層58を構成する成分は特に限定されるものではなく、亜鉛、アルミニウム、亜鉛・アルミニウム合金、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金、スズ、銅、銅合金、銀、銀合金、金、金合金、モリブデン等が挙げられる。これらの中でも、磁界シールド効果を高める観点からは、銀及び銅が好ましい。一方、冷却効率の観点からは、銀及び金が好ましい。
 金属層58を形成する方法は特に限定されるものではなく、電解メッキ、無電解メッキ、蒸着、金属板の張り付け、金属溶射等が挙げられる。金属層58は、形成性の観点から、金属溶射法により形成された金属溶射層であることが好ましく、加工性の観点から亜鉛が好ましい。
[0082]
 金属層58の平均厚みは特に限定されるものではなく、1μm~2mmが好ましい。
[0083]
 被冷却体であるパワー半導体56と接触する金属層58の平均厚みは、冷却効率の観点から、200μm~2mmが好ましく、500μm~2mmがより好ましい。
[0084]
 流路形成部材12における被冷却体の配置された側とは反対側の外壁に設けられた金属層58の平均厚みは、磁界シールドの観点から、1μm~2mmが好ましく、200μm~2mmがより好ましく、500μm~2mmがさらに好ましい。
[0085]
 本開示の冷却構造体では、流出口が二箇所以上設けられていてもよい。冷却構造体に流出口を二箇所以上設けることで冷媒の流出量を増加させることができ、冷却構造体の冷却能力を高めることができる。
[0086]
 本開示の冷却構造体は、ハイブリッド自動車、電気自動車等のモータを搭載する車両における、パワー半導体を複数備えるパワーモジュール、キャパシタ等の電子部品、これら電子部品を電気的に接合するバスバーの冷却に有効である。
実施例
[0087]
 以下、実験例に基づいて、金属層の磁界シールド性能及び冷却性能を検証した。
[0088]
-磁界シールド性能評価-
 縦120mm、横120mm、厚み5mmのPPS樹脂板を準備し、試験片1とした。
 試験片1の一方の面に、溶射法により平均厚み200μmの金属層(亜鉛層)を形成した。これを試験片2とした。
 また、縦120mm、横120mm、厚み500μmのアルミニウム板を試験片3とした。
 試験片1、試験片2及び試験片3について、磁界シールド性能を以下に示すKEC法(500Hzから1GHz)における磁界シールド効果評価用装置で評価した。
 得られた結果を図11に示す。図11から明らかなように、試験片2及び試験片3によれば、試験片1に比較して優れた磁界シールド効果の得られることがわかる。
[0089]
-冷却性能評価-
 PPS樹脂を用いて、外径が横30mm×縦15mmで、内径が横25mm×縦10mmで、長さが110mmの断面矩形の水路モデル1を形成した。水路モデル1における110mm×30mmの外壁の上面に、溶射法により平均厚み200μmの金属層58(亜鉛層)を形成した。これを水路モデル2とした。
 水路モデル1の110mm×30mmの外壁及び水路モデル2の金属層58を形成した面上に、各々、100℃に熱した95mm×25mm×15mmの大きさの鉄ブロック62を図12に示すようにして配置し、各水路モデル内に20℃の水を8L/分の流量で流通させた。
 鉄ブロック62の配置直後から、図12に示すA~Dの計4箇所の温度変化を、KEYENCE製 高機能レコーダ GR-3500を用いて測定したところ、鉄ブロック62の配置から10分後の各測定箇所の温度は、下記表1に示すとおりであり、金属層58は被冷却体の冷却に有効であることが明らかとなった。
[0090]
[表1]


[0091]
 2019年3月22日に出願された日本国特許出願2019-55693号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
 本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

符号の説明

[0092]
10、11、54 冷却構造体
12 流路形成部材
14(14A、14B) 流入口
16 流出口
18A、18B 被冷却体
19 突出部
20 流路
22 整流部
40 ナット
42 ナット本体
44 熱拡散部
46 冷却フィン
48 バスバー
50 ボルト
52 窪み
56 パワー半導体
58 金属層
60 金属層58の設けられていない領域
62 鉄ブロック

請求の範囲

[請求項1]
 冷媒を流通させる流路を形成する樹脂製の流路形成部材と、
 前記冷媒を前記流路に流入させる流入口と、
 前記冷媒を前記流路から流出させる流出口と、
 前記冷媒により冷却される複数の被冷却体と、を備え、
 前記流入口から流入した前記冷媒が前記複数の被冷却体のうちの少なくとも2つの被冷却体に直接到達するように、前記流路が構成される冷却構造体。
[請求項2]
 前記流路が、前記流入口と前記被冷却体との間で分岐しており、分岐した前記流路を流通して前記冷媒が前記複数の被冷却体のうちの少なくとも2つの被冷却体に直接到達する請求項1に記載の冷却構造体。
[請求項3]
 前記流入口を少なくとも2つ備え、前記少なくとも2つの流入口の各々から流入した前記冷媒が前記複数の被冷却体のうちの少なくとも2つの被冷却体に直接到達する請求項1に記載の冷却構造体。
[請求項4]
 前記流路が、前記冷媒が流通する方向における上流側の内壁よりも流路外方向に突出する突出部と、前記冷媒が流通する方向を前記突出部側に整流する整流部と、を有する請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の冷却構造体。
[請求項5]
 前記被冷却体からの熱を伝熱する前記流路形成部材に埋設された、又は、前記流路形成部材に接合された、板状かつ金属製である熱拡散部と、
 前記熱拡散部から前記流路内に延設され、少なくとも表面が樹脂製の冷却フィンと、をさらに備える請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の冷却構造体。
[請求項6]
 前記被冷却体の少なくとも1つが前記熱拡散部に伝熱するバスバーであり、
 前記流路形成部材の外壁面と、前記バスバーとの間に空間があり、前記流路形成部材と前記バスバーとが接触していない請求項5に記載の冷却構造体。
[請求項7]
 前記冷却フィンの先端が、前記流路の内壁に接触する請求項5又は請求項6に記載の冷却構造体。
[請求項8]
 前記冷却フィンの前記冷媒と接触する部分の表面粗さRaが、10μm以上である請求項5~請求項7のいずれか1項に記載の冷却構造体。
[請求項9]
 前記流路形成部材の外壁の少なくとも一部に、金属層が設けられた請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の冷却構造体。
[請求項10]
 前記金属層が、金属溶射層である請求項9に記載の冷却構造体。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 5C]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]