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1. WO2020195553 - ANTENNA DEVICE AND ELECTRONIC APPARATUS

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明 細 書

発明の名称 アンテナ装置及び電子機器

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057  

符号の説明

0058  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

明 細 書

発明の名称 : アンテナ装置及び電子機器

技術分野

[0001]
 本発明は、RFIDシステムや近距離無線通信システム等に用いられるアンテナ装置及びそれを備えた電子機器に関するものである。

背景技術

[0002]
 従来、フェライトチップにコイル導体パターンが形成されてなるフェライトチップアンテナを回路基板に実装することで構成されるアンテナ装置が用いられている。
[0003]
 例えば、特許文献1には、フェライトチップにコイル導体パターンが形成されてなるフェライトチップアンテナを回路基板上に配置し、また、回路基板にループ状の導体パターンを形成し、このループ状の導体パターンとフェライトチップアンテナとを互いに磁界結合させたアンテナ装置が示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開第2017/122764号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1に記載のアンテナ装置では、フェライトチップアンテナを回路基板の1箇所に配置するだけでは、広範囲での通信が難しかった。そのため、例えば、RFIDタグを備えるカードと通信を行う場合に、つまり、相対的に大きなサイズのアンテナを備えるカードと通信を行う場合に、カードを規定位置にかざさないと、適正な通信が困難な場合があった。
[0006]
 また、回路基板上に複数のフェライトチップアンテナを配置することで、通信可能なエリアを拡げることが考えられるが、共振周波数の設定によっては、高い利得が得られない。
[0007]
 そこで、本発明の目的は、高利得を得つつ通信可能範囲を拡げたアンテナ装置及びそれを備える電子機器を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0008]
 本開示の一例としてのアンテナ装置は、
 RFICに接続される第1給電コイルと、
 前記RFICに接続される第2給電コイルと、
 前記第1給電コイルに磁界結合する第1共振回路と、
 前記第2給電コイルに磁界結合する第2共振回路と、を備え、
 前記RFICから視た、前記第1共振回路及び前記第2共振回路のインピーダンスの大きさの周波数特性が単峰性となる程度に、前記第1共振回路の共振周波数と前記第2共振回路の共振周波数とが等しい、
 ことを特徴とする。
[0009]
 本開示の一例としての電子機器は、
 アンテナ装置と、このアンテナ装置に接続されたRFICとを備えた電子機器において、
 前記アンテナ装置は、
 RFICに接続される第1給電コイルと、
 前記RFICに接続される第2給電コイルと、
 前記第1給電コイルに磁界結合する第1共振回路と、
 前記第2給電コイルに磁界結合する第2共振回路と、を備え、
 前記RFICから視た、前記第1共振回路及び前記第2共振回路のインピーダンスの大きさの周波数特性が単峰性となる程度に、前記第1共振回路の共振周波数と前記第2共振回路の共振周波数とが等しい、
 ことを特徴とする。

発明の効果

[0010]
 本発明によれば、少なくとも2つの給電コイルと、それらにそれぞれ磁界結合する共振回路とを備えるので、通信可能範囲が拡大される。しかも、給電回路から視た、2つの共振回路のインピーダンスの大きさの周波数特性が単峰性となる程度に、2つの共振回路の共振周波数が等しいので、給電回路から2つの共振回路へバランス良くエネルギーが伝達され、アンテナの利得が高まる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 図1は第1の実施形態に係るアンテナ装置101の斜視図である。
[図2] 図2(A)はアンテナ装置101の平面図であり、図2(B)は、図2(A)におけるB-B部分の断面図である。
[図3] 図3は基板1の第1主面MS1に形成されている面状導体10のパターンを示す平面図である。
[図4] 図4は、第1給電コイル31、第2給電コイル32、及び面状導体10に流れる電流を概略的に示す図である。
[図5] 図5はアンテナ装置101と通信相手アンテナ500との位置関係を示す斜視図である。
[図6] 図6(A)、図6(B)は、アンテナ装置101及びそれに結合する通信相手アンテナ500で構成される回路の回路図である。
[図7] 図7(A)は、給電側共振回路LC3の共振周波数と、第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2の共振周波数と、の関係を示す概念図である。図7(B)は、比較例におけるアンテナ装置の、給電側共振回路LC3の共振周波数と、第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2の共振周波数と、の関係を示す概念図である。
[図8] 図8は、給電側共振回路LC3、第1共振回路LC1、及び第2共振回路LC2についての、インピーダンスの実部の周波数特性を示す実測図である。
[図9] 図9は、第1開口AP1及び第2開口AP2を選択的に通るラインでの、面状導体の部分断面図である。
[図10] 図10は第1開口AP1と第2開口AP2との間隔dを示す図である。
[図11] 図11は、図10に示す間隔dと第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2の結合係数との関係を示す図である。
[図12] 図12は第2の実施形態に係るアンテナ装置102の平面図である。
[図13] 図13(A)は第3の実施形態に係るアンテナ装置103の平面図であり、図13(B)はアンテナ装置103の基板1に形成された面状導体10のパターンを示す平面図である。
[図14] 図14は、アンテナ装置103及びそれに結合する通信相手アンテナ500で構成される回路の回路図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明又は理解の容易性を考慮して、実施形態を説明の便宜上、複数の実施形態に分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせは可能である。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
[0013]
《第1の実施形態》
 図1は第1の実施形態に係るアンテナ装置101の斜視図である。図2(A)はアンテナ装置101の平面図であり、図2(B)は、図2(A)におけるB-B部分の断面図である。図3は基板1の第1主面MS1に形成されている面状導体10のパターンを示す平面図である。
[0014]
 アンテナ装置101は電子機器に設けられている。この電子機器は例えばスマートフォンやフィーチャーフォン等の携帯電話端末、スマートウォッチやスマートグラス等のウェアラブル端末、ノートPCやタブレットPC等の携帯PC、カメラ、ゲーム機、玩具等の情報機器、ICタグ、SDカード、SIMカード、ICカード等の情報媒体等、様々な電子機器である。典型的には、一部にアンテナ装置が構成された回路基板が電子機器の筐体内に設けられる。
[0015]
 アンテナ装置101は、基板1と、この基板1に配置された、第1給電コイル31、第2給電コイル32、及びキャパシタC11,C12,C21,C22を備える。本実施形態では、金属物である部材2、第1給電コイル31、第2給電コイル32、及びキャパシタC11,C12,C21,C22は基板1に実装されている。
[0016]
 基板1は第1主面MS1を有し、第1給電コイル31、第2給電コイル32は、いずれも巻回軸が第1主面MS1に直交する。第1給電コイル31、第2給電コイル32は、例えば、矩形ループ状、矩形ヘリカル状、又は矩形スパイラル状のコイルが、磁性体フェライト等の絶縁基材層の積層体の内部に構成された部品である。第1給電コイル31及び第2給電コイル32は、後に示すRFIC310を含む給電回路300に接続される。
[0017]
 部材2は基板1の第1主面MS1上に配置されている。部材2は、第1主面MS1に対して直交する側面に、互いに対向する第1導電部21及び第2導電部22を有する。部材2は、例えば金属製の機構部品、シールドケース、バッテリー等、何らかの機能部品である。部材2の四側面のいずれもが導電部であってもよいし、外面全面が導電部であってもよい。
[0018]
 図3に表れているように、基板1は、例えばアンテナ装置を構成する部品以外の複数の電子部品が実装される回路基板であり、第1主面MS1に、面状に拡がる面状導体10が形成されている。この面状導体10は、例えば、絶縁基材に張り付けられた銅箔である。面状導体10は、基板1の内部に形成された面状のグランド導体等であってもよい。面状導体10には、第1開口AP1、第2開口AP2、第1スリットSL1及び第2スリットSL2等が形成されている。第1スリットSL1は第1開口AP1を外縁に連接する。また、第2スリットSL2は第2開口AP2を外縁に連接する。第1開口AP1、第2開口AP2の内部には四つのパッド電極がそれぞれ形成されている。第1給電コイル31、第2給電コイル32の下面にはそれぞれ四つの端子電極が形成されていて、上記パッド電極に接続される。第1給電コイル31、第2給電コイル32それぞれの4つの端子電極のうち二つの端子電極は層間接続導体を介して基板1内に形成されている給電回路に接続されている。その他の二つの端子電極は実装のためのダミーの端子電極である。
[0019]
 キャパシタC11,C12,C21,C22はいずれもチップコンデンサである。キャパシタC11,C12はスリットSL1を跨ぐように実装されている。同様に、キャパシタC21,C22はスリットSL2を跨ぐように実装されている。
[0020]
 図4は、第1給電コイル31、第2給電コイル32、及び面状導体10に流れる電流を概略的に示す図である。図4において、キャパシタC1は上記キャパシタC11,C12の合成容量を有する共振キャパシタであり、キャパシタC2は上記キャパシタC21,C22の合成容量を有する共振キャパシタである。
[0021]
 第1給電コイル31と第2給電コイル32は、互いに同相の磁束を生じるように上記給電回路に接続される。したがって、第1給電コイル31に右旋の電流が流れるとき、第2給電コイル32にも右旋の電流が流れる。この位相で、第1給電コイル31が実装された位置の第1開口AP1の外周(面状導体10の内周)に右旋の電流が流れ、第2給電コイル32が実装された位置の第2開口AP2の外周(面状導体10の内周)に右旋の電流が流れる。また、これに伴い、スリットSL1,SL2及び面状導体10の主に外周に沿って右回りの電流が流れる。
[0022]
 ちなみに、スリットSL1,SL2に共振キャパシタC1,C2を配置しない場合は、給電コイル31,32に流れる電流の旋回方向と面状導体10に流れる電流の旋回方向とは逆の関係になるが、本実施形態では、共振キャパシタC1,C2があるので、給電コイル31,32に流れる電流の旋回方向と面状導体10に流れる電流の旋回方向とは同方向である。また、面状導体10の縁端に沿って流れる電流よりも、共振キャパシタC1,C2を経由する電流が支配的である。
[0023]
 このようにして、第1給電コイル31及び第2給電コイル32と面状導体10とが結合して、面状導体10は放射に寄与する導体として作用する。面状導体10は第1給電コイル31、第2給電コイル32より広面積であるので、第1給電コイル31、第2給電コイル32を単体で用いる場合より放射効率が高い。
[0024]
 図5はアンテナ装置101と通信相手アンテナ500との位置関係を示す斜視図である。通信相手アンテナ500は平面内に複数ターン巻回されたコイル状のアンテナである。
[0025]
 図6(A)、図6(B)は、アンテナ装置101及びそれに結合する通信相手アンテナ500で構成される回路の回路図である。図6(A)、図6(B)において、インダクタL31は第1給電コイル31を回路記号で表したものであり、インダクタL32は第2給電コイル32を回路記号で表したものである。図6(A)は、第1給電コイル31と第2給電コイル32とを直列接続した例であり、図6(B)は、第1給電コイル31と第2給電コイル32とを並列接続した例である。
[0026]
 図6(A),図6(B)において、インダクタL11は、面状導体10の主に第1開口AP1に生じるインダクタンス成分であり、インダクタL12は、面状導体10の主に第2開口AP2に生じるインダクタンス成分である。インダクタL11とキャパシタC11,C12とで第1共振回路LC1が構成されていて、インダクタL12とキャパシタC21,C22とで第2共振回路LC2が構成されている。インダクタL13,L14は面状導体10の主に外周に沿って流れる電流経路によるインダクタンス成分である。キャパシタC11,C12の一方は共振周波数の粗調整用キャパシタであり、他方は微調整用のキャパシタである。同様に、キャパシタC21,C22の一方は共振周波数の粗調整用キャパシタであり、他方は微調整用のキャパシタである。
[0027]
 インダクタL31,L32及びキャパシタC31,C32によって、給電側共振回路LC3が構成されている。
[0028]
 RFIC310及びキャパシタC31,C32,C41,C42によって給電回路300が構成されている。キャパシタC31,C32,C41,C42によって、RFIC310と第1給電コイル31及び第2給電コイル32との間でインピーダンスを整合させるインピーダンス整合回路MCが構成されている。
[0029]
 インダクタL500は通信相手アンテナ500をインダクタの回路記号で表したものである。インダクタL11,L12,L13,L14は通信相手アンテナ500(インダクタL500)と磁界結合する。
[0030]
 図7(A)は、上記給電側共振回路LC3の共振周波数と、第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2の共振周波数と、の関係を示す概念図である。また、図7(B)は、比較例におけるアンテナ装置の、給電側共振回路LC3の共振周波数と、第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2の共振周波数と、の関係を示す概念図である。図7(A)、図7(B)において、横軸は周波数、縦軸は、給電側共振回路LC3、第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2のインピーダンスの実部の大きさである。これらの周波数特性は、図6(A)、図6(B)中のRFIC310から視た、給電側共振回路、第1共振回路及び第2共振回路のインピーダンスの実部の大きさを測定したものであり、例えば、ネットワークアナライザで印加信号の周波数を掃引して測定することで得られる。ここで、「RFIC310から視た・・・インピーダンスの実部の大きさ」とは、RFIC310と測定対象との2つの接続点から、つまり本実施形態においては、RFIC310とキャパシタC41,C42との接続点から測定され得る、測定対象のインピーダンスの実部の大きさを意味する。
[0031]
 図7(A)に示す本実施形態では、給電側共振回路LC3の共振周波数f3と、第1共振回路LC1の共振周波数f1及び第2共振回路LC2の共振周波数f2とは異なる。この例では、給電側共振回路LC3の共振周波数f3は13.56MHzである。また、第1共振回路LC1の共振周波数f1及び第2共振回路LC2の共振周波数f2は、いずれも給電側共振回路LC3の共振周波数f3から3MHz~4MHz高い。割合としては、第1共振回路LC1の共振周波数f1及び第2共振回路LC2の共振周波数f2は、いずれも給電側共振回路LC3の共振周波数f3から約25%高い。
[0032]
 図7(B)に示す比較例では、給電側共振回路LC3の共振周波数f3は13.56MHzであり、第1共振回路LC1の共振周波数f1は、給電側共振回路LC3の共振周波数f3から3MHz~4MHz高い。そして、第2共振回路LC2の共振周波数f2は、第1共振回路LC1の共振周波数f1からさらに3MHz~4MHz高い。
[0033]
 比較例のアンテナ装置では、第1共振回路LC1の共振周波数f1が給電側共振回路の共振周波数f3に近く、第2共振回路LC2の共振周波数f2は給電側共振回路の共振周波数f3から離れているので、給電側共振回路の共振、第1共振回路LC1の共振及び第2共振回路LC2の共振がそれぞれ独立した状態(3共振状態)となる。そのため、第1給電コイル31から第1共振回路LC1に多くのエネルギーが伝送されるが、第2共振回路LC2には十分伝送されない。そのため、2つの共振回路LC1,LC2を備えているにもかかわらず、通信可能範囲は効果的に拡がらない。
[0034]
 本実施形態のアンテナ装置では、図7(A)に示されるように、RFIC310から視た、第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2のインピーダンスの実部の大きさの周波数特性が単峰性となる程度に、第1共振回路LC1の共振周波数f1と第2共振回路LC2の共振周波数f2とが等しい。言い換えれば、給電回路300から視た、第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2のインピーダンスの大きさの周波数特性が双峰性となっておらず、また、双峰性となる程度に第1共振回路LC1の共振周波数f1と第2共振回路LC2の共振周波数f2とが異なってはいない。そして、第1共振回路LC1の共振周波数f1及び第2共振回路LC2の共振周波数f2が給電側共振回路LC3の共振周波数f3に近接しているので、給電側共振回路LC3の共振と、第1共振回路LC1の共振及び第2共振回路LC2の共振とが生じる状態(2共振状態)となる。そのため、給電側共振回路LC3から第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2にバランスよくエネルギーが伝送される。その結果、通信可能範囲が拡大される。
[0035]
 図7(A)では、第1共振回路LC1の共振周波数f1及び第2共振回路LC2の共振周波数f2が給電側共振回路LC3の共振周波数より高い例を示したが、この周波数の高低関係は逆であってもよい。つまり、第1共振回路LC1の共振周波数f1及び第2共振回路LC2の共振周波数f2が給電側共振回路LC3の共振周波数より低くてもよい。ただし、第1共振回路LC1、第2共振回路LC2及び給電側共振回路LC3のいずれについても、共振周波数が13.56MHzより低いと、給電の周波数である13.56MHzにおいて容量性となるので、給電側共振回路LC3と第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2とが磁界結合せず、第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2にエネルギーが供給されない。したがって、例えば、第1共振回路LC1の共振周波数f1及び第2共振回路LC2の共振周波数f2を13.56MHzとし、給電側共振回路LC3の共振周波数を13.56MHzより3MHz~4MHz高い(約25%高い)周波数とする。
[0036]
 給電側共振回路LC3の共振周波数と、第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2の共振周波数との差は、給電側共振回路LC3と第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2との結合係数や、エネルギーの伝送効率を考慮して定めればよい。
[0037]
 なお、通信周波数帯が例えば13.56MHz帯などのHF帯であれば、給電コイル31,32の磁性体層が磁性体フェライトであっても、損失係数が小さいので、磁性体層を備えることによる、コイルアンテナのQ値の向上効果は高い。
[0038]
 図8は、給電側共振回路LC3、第1共振回路LC1、及び第2共振回路LC2についての、インピーダンスの実部の周波数特性を示す実測図である。図8において、横軸は周波数、縦軸は、給電側共振回路LC3、第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2のインピーダンスの実部の大きさである。この例では、給電側共振回路LC3の共振周波数f3は13.75MHzであり、第1共振回路LC1の共振周波数f1及び第2共振回路LC2の共振周波数f2は16.90MHzである。
[0039]
 次に、第1共振回路LC1が発生する磁束と第2共振回路LC2が発生する磁束との位相関係について示す。図9は、第1開口AP1及び第2開口AP2を選択的に通るラインでの、面状導体の部分断面図である。図9において、電流i11,i12は、面状導体10に流れる電流の方向を示している。また、磁束φ11,φ12は、電流i11,i12によって発生される磁束の方向を示している。
[0040]
 図9に表れているように、面状導体10に形成された開口AP1,AP2の縁に沿って流れる電流の旋回方向は、面状導体10の垂直方向(Z軸方向)に視て、同方向である。そのため、開口AP1,AP2を出入りする磁束の方向(位相)は等しい。例えば、開口AP1から出て開口AP2へ入る磁束の方向と、開口AP2から出て開口AP1へ入る磁束の方向とは逆であるので、第1共振回路LC1と第2共振回路LC2との結合は弱い。そのため、2つの共振回路LC1,LC2を備えていることによる、通信可能範囲の拡大効果が高い。
[0041]
 開口AP1,AP2の縁に沿って流れる電流の旋回方向を上記のとおりとするためには、第1給電コイル31に生じる磁束と第2給電コイル32に生じる磁束とが、第1給電コイル31及び第2給電コイル32のコイル巻回軸方向で同相となるように、第1給電コイル31及び第2給電コイル32に給電回路300を接続すればよい。
[0042]
 次に、第1給電コイル31と第2給電コイル32との位置関係と第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2の結合係数との関係を示す。
[0043]
 図10は第1開口AP1と第2開口AP2との間隔dを示す図である。図11は、この間隔dと第1共振回路LC1及び第2共振回路LC2の結合係数との関係を示す図である。ここで、第1開口AP1に出入りする磁束と第2開口AP2に出入りする磁束とは同相である。
[0044]
 このシミュレーションでは、第1開口AP1及び第2開口AP2のサイズは、2.5mm×3.4mm(X方向に3.4mm)である。結合係数が例えば3%以下であれば、第1共振回路LC1と第2共振回路LC2との結合は十分に弱く、互いに影響を及ぼしあわないと言える。したがって、第1開口AP1及び第2開口AP2は、それらの幅(3.4mm)の3倍以上離れていれば、結合係数は3%以下、と充分に弱く、第1共振回路LC1の共振周波数と第2共振回路LC2の共振周波数とは同じ周波数に設定できる。
[0045]
《第2の実施形態》
 第2の実施形態では、第1給電コイル及び第2給電コイルの構成が第1の実施形態で示した例とは異なるアンテナ装置について示す。
[0046]
 図12は第2の実施形態に係るアンテナ装置102の平面図である。アンテナ装置102は、基板1と、この基板1に形成された第1給電コイル31及び第2給電コイル32、基板1に実装されたキャパシタC10,C20を備える。
[0047]
 本実施形態では、第1給電コイル31は、第1開口AP1の周囲に形成されていて、第2給電コイル32は、第2開口AP2の周囲に形成されている。基板1には給電回路300が構成されていて、この給電回路300、第1給電コイル31及び第2給電コイル32は、導体パターン51,52,53を介して接続されている。第1給電コイル31、第2給電コイル32及び導体パターン51,52,53は面状導体10から電気的に絶縁されている。なお、スリットSL1には単一のキャパシタC10が接続されていて、スリットSL2には単一のキャパシタC20が接続されている。その他の構成は第1の実施形態で示したアンテナ装置101と同様である。
[0048]
 第1開口AP1及び第2開口AP2は例えば3mm×3mmの方形であり、互いの間隔を3mmの3倍以上離している。また、第1給電コイル31と第2給電コイル32とは給電回路300に対して直列接続されていて、第1給電コイル31と第2給電コイル32とが、互いに同相の磁束を生じるように給電回路300に接続されている。
[0049]
 本実施形態によれば、第1開口AP1及び第2開口AP2に第1給電コイル31及び第2給電コイル32をそれぞれZ軸方向に近接配置しやすく、且つ両者の対向部の総線長を長くできるので、第1共振回路LC1に対する第1給電コイル31の結合係数、第2共振回路LC2に対する第2給電コイル32の結合係数、をそれぞれ高めやすい。
[0050]
《第3の実施形態》
 第3の実施形態では、給電側共振回路のインダクタ、第1共振回路側及び第2共振回路側のインダクタをコイル結合素子で構成したアンテナ装置について例示する。
[0051]
 図13(A)は第3の実施形態に係るアンテナ装置103の平面図であり、図13(B)はアンテナ装置103の基板1に形成された面状導体10のパターンを示す平面図である。
[0052]
 アンテナ装置103は、基板1と、この基板1に配置された、第1コイル結合素子61、第2コイル結合素子62、及びキャパシタC11,C12,C21,C22を備える。本実施形態では、金属物である部材2、第1コイル結合素子61、第2コイル結合素子62、及びキャパシタC11,C12,C21,C22は基板1に実装されている。
[0053]
 部材2、キャパシタC11,C12,C21,C22の構成は第1の実施形態で示した構成と同様である。第1コイル結合素子61及び第2コイル結合素子62は、後に示すRFIC310を含む給電回路300に接続される。
[0054]
 図14は、アンテナ装置103及びそれに結合する通信相手アンテナ500で構成される回路の回路図である。図14において、インダクタL31は第1コイル結合素子61の一次コイルであり、インダクタL32は第2コイル結合素子62の一次コイルである。また、インダクタL11は第1コイル結合素子61の二次コイルであり、インダクタL12は第2コイル結合素子62の二次コイルである。つまり、第1コイル結合素子61、第2コイル結合素子62はコイル同士が磁界結合するトランスとして作用する素子である。第1コイル結合素子61及び第2コイル結合素子62は、一次コイルと二次コイルとが縦巻きの導体パターンで構成された素子であってもよいし、一次コイルと二次コイルとが横巻きの導体パターンで構成された素子であってもよい。
[0055]
 図14において、第1共振回路LC1は、インダクタL11とキャパシタC11,C12とで構成されていて、第2共振回路LC2は、インダクタL12とキャパシタC21,C22とで構成されている。インダクタL13,L14は面状導体10の主に外周に沿って流れる電流経路によるインダクタンス成分である。
[0056]
 その他の構成は第1の実施形態で示したとおりである。このように、コイル結合素子を用いて、給電側共振回路LC3と第1共振回路LC1との結合、及び給電側共振回路LC3と第2共振回路LC2との結合を行ってもよい。なお、コイル結合素子としては、バランとして構成された素子を用いることもできる。
[0057]
 最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形及び変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。

符号の説明

[0058]
AP1…第1開口
AP2…第2開口
C1,C2…共振キャパシタ
C10,C11,C12,C20,C21,C22…キャパシタ
C31,C32,C41,C42…キャパシタ
i11,i12…電流
L11,L12…インダクタ
L13,L14…インダクタ
L31,L32…インダクタ
L500…インダクタ
LC1…第1共振回路
LC2…第2共振回路
LC3…給電側共振回路
MC…インピーダンス整合回路
MS1…第1主面
SL1…第1スリット
SL2…第2スリット
1…基板
2…部材
10…面状導体
21…第1導電部
22…第2導電部
31…第1給電コイル
32…第2給電コイル
51,52,53…導体パターン
61…第1コイル結合素子
62…第2コイル結合素子
101,102,103…アンテナ装置
300…給電回路
310…RFIC
500…通信相手アンテナ

請求の範囲

[請求項1]
 RFICに接続される第1給電コイルと、
 前記RFICに接続される第2給電コイルと、
 前記第1給電コイルに磁界結合する第1共振回路と、
 前記第2給電コイルに磁界結合する第2共振回路と、を備え、
 前記RFICから視た、前記第1共振回路及び前記第2共振回路のインピーダンスの大きさの周波数特性が単峰性となる程度に、前記第1共振回路の共振周波数と前記第2共振回路の共振周波数とが等しい、
 アンテナ装置。
[請求項2]
 第1開口、当該第1開口から外縁まで延びる第1スリット、第2開口、及び当該第2開口から外縁まで延びる第2スリットを有する平面導体と、
 前記第1スリットを渡るように前記平面導体に接続される第1キャパシタと、
 前記第2スリットを渡るように前記平面導体に接続される第2キャパシタと、
 を備え、
 前記第1共振回路は、前記第1開口及び前記第1スリットで構成されるインダクタと、前記第1キャパシタとで構成され、
 前記第2共振回路は、前記第2開口及び前記第2スリットで構成されるインダクタと、前記第2キャパシタとで構成される、
 請求項1に記載のアンテナ装置。
[請求項3]
 前記第1開口と前記第2開口とは、前記第1開口及び前記第2開口の最大幅の3倍以上離れている、
 請求項2に記載のアンテナ装置。
[請求項4]
 前記第1給電コイル及び前記第2給電コイルに接続されるキャパシタを備え、
 前記キャパシタ、前記第1給電コイル及び前記第2給電コイルによって、給電側共振回路が構成され、
 前記給電側共振回路の共振周波数は、前記第1共振回路及び前記第2共振回路の周波数とは異なる、
 請求項1から3のいずれかに記載のアンテナ装置。
[請求項5]
 前記第1給電コイル及び前記第2給電コイルに対する前記RFICの接続関係は、前記第1給電コイルに生じる磁束と前記第2給電コイルに生じる磁束とが、前記第1給電コイル及び前記第2給電コイルのコイル巻回軸方向で同相となる関係である、
 請求項1から4のいずれかに記載のアンテナ装置。
[請求項6]
 アンテナ装置と、このアンテナ装置に接続されたRFICとを備えた電子機器において、
 前記アンテナ装置は、
 RFICに接続される第1給電コイルと、
 前記RFICに接続される第2給電コイルと、
 前記第1給電コイルに磁界結合する第1共振回路と、
 前記第2給電コイルに磁界結合する第2共振回路と、を備え、
 前記RFICから視た、前記第1共振回路及び前記第2共振回路のインピーダンスの大きさの周波数特性が単峰性となる程度に、前記第1共振回路の共振周波数と前記第2共振回路の共振周波数とが等しい、
 ことを特徴とする電子機器。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]