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1. WO2020194910 - MICROCAPSULES, MICROCAPSULE COMPOSITION, SOFTENER, AND DETERGENT

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明 細 書

発明の名称 マイクロカプセル、マイクロカプセル組成物、柔軟剤及び洗剤

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009  

発明の効果

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110  

実施例

0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : マイクロカプセル、マイクロカプセル組成物、柔軟剤及び洗剤

技術分野

[0001]
 本開示は、マイクロカプセル、マイクロカプセル組成物、柔軟剤、及び洗剤に関する。

背景技術

[0002]
 近年、マイクロカプセルは、香料、染料、蓄熱材、医薬品成分等の機能性材料を内包して保護し得ること、又は外部からの刺激に応答して機能性材料を放出し得る性質を有すること等の理由から、新たな価値を創出できる可能性があるとして注目されている。
[0003]
 香料をマイクロカプセルに内包する形態では、例えば、香料が内包されたマイクロカプセル(以下、香料カプセルともいう。)を柔軟剤と混合することで、洗濯後の衣類に香りを付与することができる。即ち、柔軟剤を使用して衣服を洗濯することで、柔軟剤に含まれる香料カプセルが衣服に付着し、圧力等の外部刺激により付着した香料カプセルが破壊した際、内包された香料が放出され、香料による香りを生じさせることができる。近年、香料カプセルに用いられているシェル材は、アルデヒドとアミンとの反応生成物(例えばメラミンホルムアルデヒド樹脂)が主体である。
[0004]
 ところが、最近では、環境面及び人体への安全性の面から、石油系原料に代えて生物由来の材料を用いることが検討されている。マイクロカプセルの作製に用いる材料においても例外ではなく、マイクロカプセルの形態をなすシェル(いわゆるカプセル壁)の形成に石油系原料を用いず、生物由来の物質を用いることに対する要望が高まっている。
[0005]
 例えば植物由来の材料を用いたマイクロカプセルの製造方法として、コア材料として香料を用い、シェルの形成に用いる材料として多糖類(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)とデキストリンを用いてマイクロカプセルを作製する方法が開示されている(例えば、特開2017-176907号公報参照)。
 また、外側シェル材であるゼラチンにグルタルアルデヒドを添加して形成した外側シェルと、ポリウレアで形成された内側シェルと、を含む多層マイクロカプセルによるコア/多層シェルカプセルシステムが開示されている(例えば、特許第6250055号公報参照)。
 更に、油溶性多官能性イソシアネートで橋かけ結合されたヒドロキシプロピルセルロースを含むマイクロカプセル壁膜を有するマイクロカプセルが開示されている(例えば、特開昭54-426号公報参照)。
 上記のほか、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性高分子物質を含む水性組成物を水不溶性有機媒体に加えて油相中に水相を乳化分散し、これに芳香族ポリイソシアネートを加えてカプセルを形成する製法が開示されている(例えば、特開平2-293041号公報参照)。

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 上記のように、植物又は動物由来の材料を用いてマイクロカプセルを製造する技術は種々検討されているものの、特に極性物質の共存下では、コア部をなす被内包物を内包するシェル部のバリア機能が低下し、被内包物を安定的にシェル部内に保持し得ない課題がある。かかる課題に対しては、マイクロカプセルのシェル部は厚膜であることが望ましいが、シェル部の厚みが2μm以上の厚膜であると、逆に被内包物の放出性が損なわれる傾向がある。
 特開2017-176907号公報、特許第6250055号公報、特開昭54-426号公報及び特開平2-293041号公報には、シェル部が2μm未満の薄膜である場合は開示されていないため、極性物質の共存下において、マイクロカプセルの形態の安定性(例えば、保存安定性)と被内包物の放出性とのバランスを保つことまで予定されていない。したがって、特開2017-176907号公報、特許第6250055号公報、特開昭54-426号公報及び特開平2-293041号公報に記載の発明では、所望とする被内包物を内包したマイクロカプセルの適用が望まれる使用態様において、極性物質が共存する環境では使用が困難であり、使用による所期の効果も必ずしも期待できない。
[0007]
 本開示は、上記に鑑みなされたものである。
 本開示の一実施形態によれば、シェル部を薄膜としつつ、極性物質の共存下での保存安定性に優れたマイクロカプセルが提供される。
 本開示の他の実施形態によれば、シェル部に内包されたコア材が安定的にシェル部内に保持されたマイクロカプセル組成物、並びに、柔軟剤及び洗剤が提供される。

課題を解決するための手段

[0008]
 本開示は、以下の態様を含む。
 <1> コア部とコア部を内包するシェル部とを含み、シェル部は、多糖類と架橋剤との反応由来の共有結合性の架橋構造を有し、かつ、厚みが2μm未満である、マイクロカプセルである。
 <2> 架橋剤が、3官能以上の脂肪族イソシアネート化合物及び2官能の脂肪族イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも一種のイソシアネート化合物である<1>に記載のマイクロカプセルである。
 <3> 多糖類が、セルロース化合物、デキストリン、アラビアガム、キタンサンガム、及びグァーガムからなる群より選ばれる少なくとも一種である<1>又は<2>に記載のマイクロカプセルである。
 <4> 多糖類が、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む<1>~<3>のいずれか1つに記載のマイクロカプセルである。
[0009]
 <5> シェル部が、更に、ポリフェノール化合物を含む<1>~<4>のいずれか1つに記載のマイクロカプセルである。
 <6> ポリフェノール化合物の含有量が、シェル部の全質量に対して、5質量%以上である<5>に記載のマイクロカプセルである。
 <7> 架橋剤に由来する構造部分の含有比率が、シェル部の全質量に対して、4質量%以上である<1>~<6>のいずれか1つに記載のマイクロカプセルである。
 <8> <1>~<7>のいずれか1つに記載のマイクロカプセルと、溶媒と、を含有するマイクロカプセル組成物である。
 <9> <1>~<7>のいずれか1つに記載のマイクロカプセルを含む柔軟剤である。
 <10> <1>~<7>のいずれか1つに記載のマイクロカプセルを含む洗剤である。

発明の効果

[0010]
 本発明の一実施形態によれば、シェル部を薄膜としつつ、極性物質の共存下での保存安定性に優れたマイクロカプセルが提供される。
 本発明の他の実施形態によれば、シェル部に内包されたコア材が安定的にシェル内に保持されたマイクロカプセル組成物、並びに、柔軟剤及び洗剤が提供される。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下、本開示のマイクロカプセル、並びに、これを用いたマイクロカプセル組成物、並びに、柔軟剤及び洗剤について詳細に説明する。
 なお、本開示の実施形態に関わる構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
[0012]
 本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
 本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
[0013]
 また、本開示において、組成物又は層中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
 本開示において、「質量%」は「重量%」と同義であり、「質量部」は「重量部」と同義である。
 更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
[0014]
 本明細書において、「シェル部」は、マイクロカプセルの粒子を形づくる外殻を指し、いわゆるカプセル壁のことをいう。また、「コア部」は、「芯部」ともいい、シェル部により内包されている部分を指す。
 本明細書において、シェル部を形成するための材料を「シェル材」又は「壁材」といい、コア部に含まれる成分を「コア材」又は「被内包物」という。
 また、本開示において、「内包」とは、目的とする物(すなわち、被内包物)がマイクロカプセルのシェル部に覆われて閉じ込められている状態を指す。
[0015]
<マイクロカプセル>
 本開示のマイクロカプセルは、コア部と、コア部を内包するシェル部と、を含む構成を有しており、シェル部は、多糖類と架橋剤との反応由来の共有結合性の架橋構造を有し、かつ、厚みが2μm未満である。
[0016]
 本開示のマイクロカプセルは、マイクロカプセルのシェル部が、多糖類と架橋剤との反応に由来する共有結合性の架橋構造を有していることにより、厚み2μm未満の薄膜であっても、極性物質と共存する使用環境下においてコア部をなすコア材(被内包物)を安定的にシェル部に保持し得る保存安定性に優れたものとなる。
[0017]
 本開示のマイクロカプセルが上記の作用効果を奏する理由については、必ずしも明らかになっていないが、以下のように推測される。
 従来から、植物又は動物由来の材料を用いてマイクロカプセルを製造する技術が種々検討されている。しかしながら、特開2017-176907号公報、特許第6250055号公報、特開昭54-426号公報及び特開平2-293041号公報に記載の発明では、いずれも極性物質が共存し得る環境で使用されると、マイクロカプセルのシェルに内包されたコア部をなすコア材(すなわち、被内包物)を保持するバリア機能が低下し、シェル内にコア材を安定的に保持し得ないのが実状である。かかる状況は、シェルの厚み(即ち、カプセル壁の厚み)が薄いほど顕著に現れ、所望の目的に応じて厚みを例えば2μm未満の範囲にしようとすると、バリア機能を確保することが難しくなる。
 例えば柔軟剤又は洗濯洗剤には、極性物質であるカチオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤が含有されている場合が多い。例えば香料を内包したマイクロカプセルを柔軟剤又は洗濯洗剤に混在させると、界面活性剤の極性がマイクロカプセルのシェルのイオン結合に影響を与えるものと推測される。これにより、カプセルの形態を安定的に保持できないものと考えられる。
 本開示では、シェル部の厚みを2μm未満の薄厚にしつつ、シェル部に多糖類と架橋剤との反応に由来する共有結合性の架橋構造を導入する。即ち、シェル中のポリマーに架橋剤を導入してポリマーと架橋剤との間で共有結合を形成し、共有結合性の架橋構造を導入する。これにより、極性物質が存在する環境に適用される使用態様において、シェル部の厚み(壁厚)が薄い(<2μm)構造のマイクロカプセルでも安定性を確保でき、コア材が安定的にシェル部に内包されたマイクロカプセルを提供することができる。即ち、本開示のマイクロカプセルは、シェル部の薄膜化とカプセルの形態安定化とが図られている。
[0018]
 以下において、まずマイクロカプセルを形作るシェル部について説明し、続いてコア部について説明する。
[0019]
(シェル部)
 本開示のマイクロカプセルは、コア部をなすコア材を内包し、かつ、カプセル粒子を形作るための外殻であるシェル部を有する。
 本開示におけるシェル部は、シェル部を形成するシェル材として、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエーテル等のポリマーを含んでもよい。
[0020]
-共有結合性の架橋構造-
 シェル部は、多糖類と架橋剤との反応由来の共有結合性の架橋構造を有している。
 シェル部は、多糖類が有する複数の水酸基と、架橋剤中の、水酸基と反応性を有する複数の架橋性基と、の間の反応によって高分子化し、共有結合性の架橋構造が形成されることで得られる。
 架橋性基としては、イソシアネート基、カルボキシ基、及びエポキシ基が挙げられる。
 共有結合性の架橋構造としては、ウレタン結合による架橋構造、エステル結合による架橋構造、及び、エーテル結合による架橋構造が好適な構造として挙げられる。
[0021]
 ウレタン結合による架橋構造は、多糖類とイソシアネート化合物との反応により形成される構造である。
 エステル結合による架橋構造は、多糖類とカルボン酸ハロゲン化物(好ましくは酸クロライド)との反応により形成される構造である。
 エーテル結合による架橋構造は、多糖類とエポキシ化合物との反応により形成される構造である。
 上記の中でも、極性のあるイオン系界面活性剤の共存下でも保存安定性に優れ、カプセルの形態を安定的に維持し、かつ、外力(例えば、擦過)が与えられた際のコア材(例えば香料)の放出性(例えば香料を含む場合の香り強度)が良好である点で、ウレタン結合による架橋構造を有している態様が好ましく、多官能イソシアネート化合物(以下、「ポリイソシアネート」ともいう。)に由来する構造部分を有している態様がより好ましい。即ち、本開示におけるシェル材がポリウレタン又はポリウレアを含む場合、保存安定性の観点から、ポリイソシアネートを用いて得られることが好ましい。
[0022]
 マイクロカプセルのシェル部が共有結合性の架橋構造を有することの確認は、以下の方法により行うことができる。
 初めに、調製したマイクロカプセル水分散液に対して遠心分離を施し、マイクロカプセルを液中から分離する。分離したマイクロカプセルをジメチルスルホキシド(DMSO)に加えて(DMSOに対して1質量%~5質量%)DMSO混合液を調製する。そして、マイクロカプセルを含むDMSO混合液が不透明化するか、又はマイクロカプセルの膨潤が確認できた場合は、マイクロカプセルのシェルが架橋構造を有するものと判断する。また、マイクロカプセルが溶解してDMSO混合液が透明化した場合は、マイクロカプセルのシェルが架橋構造を有していないものとする。DMSO混合液が不透明化していることの確認は目視により行い、マイクロカプセルが膨潤していることの確認は光学顕微鏡での観察により行う。
 上記の方法により、架橋構造が共有結合性であることも判断されるものとする。
[0023]
 また、本開示におけるシェル部の厚みは、2μm未満である。
 本開示のマイクロカプセルは、シェル部の厚みが2μm未満の薄膜であっても、カプセルの形態を安定的に維持でき、保存安定性に優れている。これにより、擦過等の外力が与えられた場合に所期より予定していた量のコア材を安定的に放出することが可能である。
 シェル部(壁)の厚み(壁厚)は、1.5μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。また、本開示におけるマイクロカプセルは、架橋構造を有して形状を保持しやすいため、シェル部の厚みの下限は、製造可能な範囲で適宜選択すればよく、例えば0.1μmとしてもよい。
[0024]
 シェル部(壁)の厚み(壁厚)は、5個のマイクロカプセルの個々の壁厚(μm)を走査型電子顕微鏡(SEM)により求めて平均した平均値をいう。
 具体的には、マイクロカプセル液を任意の支持体上に塗布し、乾燥させて塗布膜を形成する。得られた塗布膜の断面切片を作製し、その断面をSEMを用いて観察する。任意の5個のマイクロカプセルを選択して、それら個々のマイクロカプセルの断面を観察して壁厚を測定して平均値を算出する。
[0025]
-多糖類-
 本開示における多糖類は、例えば、マンナン、グルカン、グルコマンナン、キシログルカン、セルロース化合物、デキストリン、デキストラン、アラビアガム、キタンサンガム、グァーガム、ガラクトマンナン、カラギーナン、ペクチン、アルギン酸、キトサン及びこれらの混合物からなる群より選択することができる。
 なお、ゼラチンは、本開示における多糖類には含まれない。
[0026]
 セルロース化合物としては、ヒドロキシアルキルセルロース、及びカルボキシアルキルセルロースが挙げられる。
 ヒドロキシアルキルセルロースは、アルキル部位の炭素数が1~8であるものが好ましく、アルキル部位の炭素数が1~4であるものがより好ましい。ヒドロキシアルキルセルロースの例としては、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が挙げられる。
 カルボキシアルキルセルロースは、アルキル部位の炭素数が1~4であるものが好ましく、アルキル部位の炭素数が1~2であるものがより好ましい。カルボキシアルキルセルロースの例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)が挙げられる。
[0027]
 上記のうち、好ましい多糖類は、カプセルの形態を安定的に維持でき、保存安定性に優れる点で、セルロース化合物、デキストリン、アラビアガム、キタンサンガム、及びグァーガムからなる群より選ばれる少なくとも一種である。多糖類は、より好ましくはセルロース化合物であり、更に好ましくはヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも一種である。
[0028]
 本開示におけるシェル部は、2種以上の多糖類を用いたものであってもよい。シェル部は、カプセルの形態をより安定的に維持しやすく保存安定性をより高めやすくする点で、2種以上の多糖類として、直鎖構造を有する多糖類と分岐構造を有する多糖類とを組み合わせた態様としてもよい。
[0029]
 直鎖構造を有する多糖類は、セルロース化合物が好ましい。
 分岐構造を有する多糖類は、デキストリン、アラビアガム、キタンサンガム、又はグァーガムが好ましい。
 本開示において、より好ましい多糖類は、セルロース化合物の少なくとも1種と、デキストリン、アラビアガム、キタンサンガム、及びグァーガムからなる群より選ばれる少なくとも一種と、を含む2種以上の多糖類の組み合わせであり、更に好ましい多糖類は、セルロース化合物の少なくとも1種と、デキストリンと、を含む2種以上の多糖類の組み合わせである。
[0030]
 多糖類として、セルロース化合物の少なくとも1種と、デキストリンと、を含む2種以上の多糖類を用いる態様では、セルロース化合物の合計量とデキストリンの量との比率(セルロース化合物:デキストリン)は、10:80~20:50が好ましい。
[0031]
 シェル部に占める多糖類に由来する構造部分の含有比率は、破壊強度及び破壊変形率の観点から、50質量%~95質量%が好ましく、70質量%~95質量%がより好ましく、80質量%~90質量%が更に好ましい。
 なお、「多糖類に由来する構造部分」とは、多糖類と架橋剤とを反応させることで形成される構造単位を指す。
[0032]
-架橋剤-
 本開示における架橋剤としては、イソシアネート化合物、カルボン酸ハロゲン化物、エポキシ化合物、及び酸無水物が挙げられる。架橋剤が多糖類と反応することで、シェル材として架橋構造を有するポリマーが得られる。
[0033]
[イソシアネート化合物]
 本開示におけるイソシアネート化合物は、架橋構造を形成する観点から、多官能イソシアネート化合物(ポリイソシアネート)が好ましい。
 ポリイソシアネートには、芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートが含まれる。ポリイソシアネートとしては、2官能のポリイソシアネート及び3官能以上のポリイソシアネートのいずれを用いてもよい。
 また、本開示におけるポリウレタン又はポリウレアとして、ポリウレタンポリウレアを含むものでもよい。
[0034]
 本開示におけるポリウレタン及びポリウレアは、芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分及び脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分を有するポリマーであることが好ましい。なお、「構造部分」とは、ウレタン反応又はウレア反応させることで形成される構造単位を指す。
[0035]
-2官能のイソシアネート化合物-
 シェル部を形成するシェル材がポリウレタン又はポリウレアである場合、2官能のイソシアネート化合物に由来する構造部分を有することが好ましい。即ち、シェル部を形成するシェル材であるポリウレタン又はポリウレアは、2官能の脂肪族イソシアネート化合物に由来する構造部分及び2官能の芳香族イソシアネート化合物に由来する構造部分から選ばれる少なくとも一方の構造部分を有することが好ましい。
 2官能の脂肪族イソシアネート化合物に由来する構造部分とは、2官能の脂肪族イソシアネート化合物がウレタン化又はウレア化して形成される構造部分を指す。
 2官能の芳香族イソシアネート化合物に由来する構造部分とは、2官能の芳香族イソシアネート化合物がウレタン化又はウレア化して形成される構造部分を指す。
[0036]
 2官能の脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン-1,2-ジイソシアネート、ブチレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン及び1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
[0037]
 2官能の芳香族イソシアネート化合物としては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、メチレンジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、キシリレン-1,4-ジイソシアネート、キシリレン-1,3-ジイソシアネート、4-クロロキシリレン-1,3-ジイソシアネート、2-メチルキシリレン-1,3-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、及び4,4’-ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネートが挙げられる。
[0038]
 イソシアネート化合物については「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社発行(1987))に記載されている。
[0039]
 2官能のイソシアネート化合物に由来する構造、即ち、2官能の脂肪族イソシアネート化合物に由来する構造及び2官能の芳香族イソシアネート化合物に由来する構造から選ばれる少なくとも一方の構造の、シェル材の全質量に占める割合は、合計の質量比率で0.1質量%~5質量%であることが好ましく、0.5質量%~3質量%であることがより好ましく、0.5質量%~1.5質量%であることが更に好ましい。
 2官能のイソシアネート化合物に由来する構造の割合が0.1質量%以上であると、シェル内に架橋点間距離の短い部位が部分的に存在する。そのため、圧力をかけた際に圧力に対するひずみに対して弱く割れやすい部位がシェル内に存在すると推定され、破壊変形率をより小さくすることができる。また、2官能のイソシアネート化合物に由来する構造の割合が5質量%以下であると、上記と同様の効果が良好に得られる。
[0040]
-3官能以上のイソシアネート化合物-
 シェル部を形成するシェル材がポリウレタン又はポリウレアである場合、3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分を有することが好ましい。3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分を有することで、架橋密度を高め、かつ、シェル部の柔軟性を高めることができる。
 3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分とは、3官能以上のイソシアネート化合物がウレタン化又はウレア化して形成される構造部分を指す。
[0041]
 3官能以上の脂肪族イソシアネート化合物としては、2官能の脂肪族イソシアネート化合物(分子中に2つのイソシアネート基を有する化合物)と分子中に3つ以上の活性水素基を有する化合物(例えば、3官能以上のポリオール、3官能以上のポリアミン又は3官能以上のポリチオール)とのアダクト体(付加物)として3官能以上としたイソシアネート化合物(アダクト型)、及び、2官能の脂肪族イソシアネート化合物の3量体(ビウレット型又はイソシアヌレート型)を挙げることができる。
[0042]
 アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物は、上市されている市販品を用いてもよい。市販品の例としては、タケネート(登録商標)D-120N(イソシアネート価=3.5mmol/g)、D-140N、及びD-160N(以上、三井化学株式会社製)、スミジュール(登録商標)HT(バイエル株式会社製)、コロネート(登録商標)HL、及びHX(東ソー株式会社製)、デュラネートP301-75E(旭化成株式会社製)、並びにバーノック(登録商標)DN-950(DIC株式会社製)が挙げられる。
 中でも、アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物として、三井化学株式会社製のタケネート(登録商標)シリーズ(例えば、タケネートD-110N、D-120N、D-140N、及びD-160N)がより好ましい。
[0043]
 イソシアヌレート型の3官能以上のイソシアネート化合物は、上市されている市販品を用いてもよい。市販品の例としては、タケネート(登録商標)D-127N、D-170N、D-170HN、D-172N、及びD-177N(三井化学株式会社製);スミジュールN3300、デスモジュール(登録商標)N3600、N3900、及びZ4470BA(以上、バイエル株式会社製);コロネート(登録商標)HK(東ソー株式会社製);デュラネート(登録商標)TPA-100、及びTKA-100(旭化成株式会社製);並びにバーノック(登録商標)DN-980(DIC株式会社製)が挙げられる。
[0044]
 ビウレット型の3官能以上のイソシアネート化合物は、上市されている市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、タケネート(登録商標)D-165N、及びNP1200(三井化学株式会社製);デスモジュール(登録商標)N3200A(バイエル株式会社製);並びにデュラネート(登録商標)24A-100、及び22A-75P(旭化成株式会社製)が挙げられる。
[0045]
 3官能以上の芳香族イソシアネート化合物の具体例としては、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物(アダクト体)、ビウレット体及びイソシアヌレート体が挙げられる。
 3官能以上の芳香族イソシアネート化合物として上市されている市販品を用いてもよい。市販品の例としては、バーノック(登録商標)D-750、及びD-800(DIC株式会社製);タケネート(登録商標)D-102、D-103、D-103H、D-103M2、D-110N、及びオレスター(登録商標)P49-75S(以上、三井化学株式会社製);デスモジュール(登録商標)L75、IL-135-BA、及びHL-BA;スミジュール(登録商標)E-21-1(バイエル株式会社製);並びにコロネート(登録商標)L、L-55、及びL-55E(東ソー株式会社製)が挙げられる。
[0046]
 3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分の、シェル材の全質量に占める割合は、5質量%~30質量%が好ましく、5質量%~20質量%がより好ましく、5質量%~10質量%が更に好ましい。3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分の割合が5質量%以上であると、良好にシェルを形成することができる。また、3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分の割合が30質量%以下であると、圧力によりシェルがより破壊されやすくなり、コア材(例えば香料)の放出性(例えば香料を含む場合の香り強度)を向上させることができる。
[0047]
 本開示における3官能以上のイソシアネート化合物は、3官能以上の脂肪族イソシアネート化合物及び3官能以上の芳香族イソシアネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、3官能以上の脂肪族イソシアネート化合物を単独で含むことがより好ましい。
[0048]
 3官能以上のイソシアネート化合物が、3官能以上の脂肪族イソシアネート化合物及び3官能以上の芳香族イソシアネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいる場合、シェル材における3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分の総含有量に対する、3官能以上の芳香族イソシアネート化合物に由来する構造部分の含有量の比率が、質量基準で、0質量%以上50質量%未満であることが好ましい。
 シェル材における3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分の総含有量に対する、3官能以上の芳香族イソシアネート化合物に由来する構造部分の含有量の比率が、上記範囲内にあることで、破壊変形率をより小さくすることができるため、香り強度に優れる。また、シェル材における3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分の総含有量に対する、3官能以上の芳香族イソシアネート化合物に由来する構造部分の含有量の比率が、質量基準で50質量%未満であることで、シェルの強度をより良好に保持することができる。
 上記と同様の観点から、シェル材における3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分の総含有量に対する、3官能以上の芳香族イソシアネート化合物に由来する構造部分の含有量の比率が、質量基準で0質量%~40質量%であることがより好ましく、0質量%~20質量%であることが更に好ましい。
[0049]
 3官能以上のイソシアネート化合物が3官能以上の脂肪族イソシアネート化合物である場合、破壊変形率及び破壊強さを高め、かつ、コア材(例えば香料)の放出性(例えば香料を含む場合の香り強度)とのバランスを図る観点から、シェル材における3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分の総含有量に対する、3官能以上の脂肪族イソシアネート化合物に由来する構造部分の含有量の比率が、質量基準で、60質量%~100質量%であることが好ましく、80質量%~100質量%であることがより好ましい。
[0050]
 本開示のマイクロカプセルは、シェル材における3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分の含有量に対する、2官能のイソシアネート化合物に由来する構造部分の含有量の比率が、質量基準で5/95~20/80であることが好ましい。
 シェル材における3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分の含有量に対する、2官能のイソシアネート化合物に由来する構造部分の含有量の比率が、質量基準で5/95以上であると、シェル内に架橋点間距離の短い部位が部分的に存在する。そのため、圧力をかけた際に圧力に対するひずみに対して弱く割れやすい部位がシェル内に存在すると推定され、破壊変形率をより小さくすることができる。結果、外力(擦過)が与えられた際のコア材(例えば香料)の放出性(例えば香料を含む場合の香り強度)を向上させることができる。
 シェル材における3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分の含有量に対する、2官能のイソシアネート化合物に由来する構造部分の含有量の比率が、質量基準で20/80以下であると、上記と同様の効果が良好に得られる。また、シェルの強度をより良好に保持することができる。
 上記の観点から、シェル材における3官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造部分の含有量に対する、2官能のイソシアネート化合物に由来する構造部分の含有量の比率が、質量基準で7/93~20/80が好ましく、10/90~20/80がより好ましい。
[0051]
 本開示におけるシェル部に架橋剤として用いるイソシアネート化合物は、3官能以上の脂肪族イソシアネート化合物及び2官能の脂肪族イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも一種のポリイソシアネートであることが好ましい。
[0052]
[エポキシ化合物]
 エポキシ化合物は、分子中にグリシジル基を有する化合物である。シェル材として架橋構造を有するポリマーを得る観点から、エポキシ化合物は、分子中に2以上のグリシジル基を有する化合物であることが好ましい。
[0053]
 エポキシ化合物としては、例えば、4,4’-メイレンビス(N,N-ジグリシジルアニリン)、グリセリントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、イソシアヌル酸トリグリシジル、4,4‘-(9-フルオレニリデン)ビス(1,2-エポキシ-3-フェノキシプロパン)、ソルビトールポリグリジジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス株式会社製のデナコールシリーズ(例:デナコールEX-612)、ペンタエリスリトールポリグリジジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス株式会社製のデナコールシリーズ(例:デナコールEX-411)、及びトリメチルプロパンポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス株式会社製のデナコールシリーズ(例:デナコールEX-321)が挙げられる。
 また、エポキシ化合物は、上市されている市販品を用いてもよい。
[0054]
[カルボン酸ハロゲン化物]
 カルボン酸ハロゲン化物は、R-COX(X:ハロゲン原子)で表される化合物である。カルボン酸ハロゲン化物には、カルボン酸塩化物、及びカルボン酸臭化、物が含まれる。シェル材として架橋構造を有するポリマーを得る観点から、カルボン酸ハロゲン化物は分子中に2以上の-COX基を有する化合物が好ましい。
[0055]
 カルボン酸塩化物(酸クロライドともいう。)としては、例えば、アジポイルクロリド、アゼライン酸クロリド、スベロイルクロリド、セバコイルクロリド、コハク酸クロリド、4,4’-ビフェニルジカルボニルクロリド、イソフタロイルクロリド、テレフタロイルクロリド等が挙げられる。
 また、カルボン酸ハロゲン化物は、上市されている市販品を用いてもよい。
[0056]
 架橋剤に由来する構造部分の含有比率は、シェル部の全質量に対して、3質量%以上の範囲であることが好ましい。架橋剤の含有量は、極性物質の共存下でマイクロカプセルの形態をより良好に保持し、破壊強度とコア材の放出性(例えばコア材として香料を含む場合の香り強度)とのバランスをとる観点から、4質量%以上がより好ましく、4質量%~15質量%が更に好ましく、4質量%~10質量%が特に好ましい。
 なお、「架橋剤に由来する構造部分」とは、多糖類と架橋剤とを反応させることで形成される構造単位を指す。
[0057]
-ポリフェノール化合物-
 本開示におけるシェル部は、更に、ポリフェノール化合物を含むことが好ましい。
 シェル部がポリフェノール化合物を含むことで、カプセルの形態をより良好に維持しやすくなる。
[0058]
 ポリフェノール化合物としては、例えば、緑茶ポリフェノール(例えば、カテキン)、アントシアニン、カカオポリフェノール、ルチン、クルクミン、フェルラ酸、及びプロアントシアニジンが挙げられる。
[0059]
 また、ポリフェノール化合物は、上市されている市販品を用いてもよい。市販品の例としては、三菱ケミカルフーズ株式会社の茶抽出物であるサンフード(登録商標)シリーズ(例:サンフード100、及びサンフードCD)、及び三井製糖株式会社のさとうきび抽出物(例:MSX-100(J))が挙げられる。
[0060]
 ポリフェノール化合物の含有量としては、シェル部の全質量に対して、3質量%以上の範囲であることが好ましい。ポリフェノール化合物の含有量は、極性物質の共存下でマイクロカプセルの形態をより良好に保持しやすくなる点で、5質量%以上が好ましく、6質量%以上がより好ましく、9質量%以上が更に好ましい。
[0061]
 本開示のマイクロカプセルは、シェル部を構成する成分の、コア部及びシェル部を構成する成分の全質量に対する割合は、15質量%以下であることが好ましい。
 マイクロカプセルにおけるシェル部を構成する成分の、コア部及びシェル部を構成する成分の全質量に対する割合は、マイクロカプセルを製造する際のコア材の成分とシェル材の成分との質量比により調整することができる。
 本発明におけるシェル部を形成するシェル材は、ポリイソシアネートに由来する構造を有するポリウレタン又はポリウレアを有することが好ましい。
[0062]
 マイクロカプセルの体積標準のメジアン径(D50)は、0.1μm~100μmであることが好ましい。
 メジアン径(D50)が0.1μm以上であると、マイクロカプセルが、微細な空隙に入り込むことで、割れにくくなることを防ぐことができる。メジアン径(D50)が100μm以下であると、付着性の低下を防ぐことができる。
 マイクロカプセルの体積標準のメジアン径(D50)は、上記の観点から、1μm~70μmであることがより好ましく、5μm~50μmであることが更により好ましい。マイクロカプセルの体積標準のメジアン径は、例えば、分散の条件を変更することにより制御することができる。
 マイクロカプセルの体積標準のメジアン径(D50)とは、マイクロカプセル全体を体積累計が50%となる粒子径を閾値に2つに分けた場合に、大径側と小径側での粒子の体積の合計が等量となる径をいう。マイクロカプセルの体積標準のメジアン径は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装株式会社製)を用いて測定される。
[0063]
(コア部)
 本開示のマイクロカプセルは、既述のシェル部内に所望とする成分をコア材として内包している。コア材は、シェル部に内包されたコア部をなす材料である。
[0064]
 コア材としては、特に制限はなく、所望とする成分を選択すればよく、例えば、香料、溶媒(オイル成分)、相転移素材(例えば、パラフィン、及び、液晶材料)、及び紫外線吸収剤が挙げられる。
[0065]
 マイクロカプセルがコア材として香料を含む場合、衣服の擦れ、毛髪の擦れ等によりマイクロカプセルから香料が放出されて香りを感じ取ることができる。本開示のマイクロカプセルは、保存安定性に優れるので、予定された所期の量の香料の放出が期待できる。
[0066]
-香料-
 香料としては、「特許庁、周知慣用技術集(香料)第III部香粧品香料、頁49-103頁、2001年6月15日発行」に記載されている合成香料、天然精油、天然香料、及び動植物エキスから、適するものを適宜選択し、用いることができる。
 具体的な香料としては、ピネン、ミルセン、カンフェン、モノテルペン(例:R-リモネン、及びD-リモネン)、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレンなどのセスキテルペン、1,3,5-ウンデカトリエン、α-アミルシンナミルアルデヒド、ジヒドロジャスモン、メチルイオノン、α-ダマスコン、アセチルセドレン、ジヒドロジャスモン酸メチル、シクロペンタデカノリド等の合成香料;及びオレンジ精油、レモン精油、ベルガモット精油、マンダリン精油等の天然精油が挙げられる。
 コア材の全質量に対する香料の含有量は、20質量%~100質量%が好ましく、30質量%~95質量%がより好ましく、40質量%~85質量%が更に好ましい。
[0067]
-溶媒-
 コア材は、オイル成分として溶媒を含有してもよい。
 溶媒の例としては、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(例:オクタカプリン酸ポリグリセロール等のグリセリン脂肪酸エステル(例えば、日清オイリオグループ株式会社製のサラコス(登録商標)HG-8)、ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル系化合物、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルナフタレン系化合物、1-フェニル-1-キシリルエタン等のジアリールアルカン系化合物、イソプロピルビフェニル等のアルキルビフェニル系化合物、トリアリールメタン系化合物、アルキルベンゼン系化合物、ベンジルナフタレン系化合物、ジアリールアルキレン系化合物、アリールインダン系化合物等の芳香族炭化水素;フタル酸ジブチル、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素;ツバキ油、大豆油、コーン油、綿実油、菜種油、オリーブ油、ヤシ油、ひまし油、魚油等の天然動植物油;及び、鉱物油等の天然物高沸点留分が挙げられる。
 コア材中の溶媒の含有量は、コア材の全質量に対して、50質量%未満が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
[0068]
-補助溶媒-
 コア材は、必要に応じて、マイクロカプセルを製造する際の壁材の油相中への溶解性を高めるための油相成分として補助溶媒を含有してもよい。補助溶媒には、上記の溶媒は含まれない。また、補助溶剤を含有することにより油相の粘度を変化させ、乳化におけるせん断の程度が変わるため、変動係数を調整することができる。
 補助溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン等のケトン系化合物、酢酸エチル等のエステル系化合物、及びイソプロピルアルコール等のアルコール系化合物が挙げられる。好ましくは、補助溶媒は、沸点が130℃以下である。
 コア材における補助溶媒の含有量は、コア材の全質量に対して、50質量%未満が好ましく、30質量%未満がより好ましく、20質量%未満がさらに好ましい。
[0069]
-添加剤-
 紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、ワックス、又は臭気抑制剤などの添加剤は、必要に応じて、マイクロカプセルに内包させることができる。
 添加剤の含有量は、コア材の全質量に対し、例えば、0質量%~20質量%、好ましくは1質量%~15質量%、より好ましくは5質量%~10質量%とすることができる。
[0070]
~マイクロカプセルの製造方法~
 本開示のマイクロカプセルの製造は、公知の方法により行うことができ、例えば以下に示す製造方法で製造することができる。但し、本開示は、以下の方法に制限されるものではない。
[0071]
 本開示のマイクロカプセルは、溶媒、シェル材の一部である架橋剤(例えばイソシアネート化合物)、及びコア材(例えば香料等の被内包物)を含む油相を、シェル材の他の一部である多糖類を含む水相に分散して乳化液を調製する工程(乳化工程)と、シェル材を油相と水相との界面で重合させてシェル部を形成してコア部をなすコア材を内包したマイクロカプセルを形成する工程(カプセル化工程)と、を有する方法により作製することができる。
[0072]
 多糖類は、あらかじめ水相に含有させておき、更に、乳化工程後に添加することが好ましい。
 多糖類を乳化工程後に更に添加することにより、マイクロカプセルの破壊強度及び破壊変形率をより向上させることができる。乳化工程後に更に添加する多糖類は、水相にあらかじめ含有させておく多糖類(例えばHPMC)と同一種類の多糖類(例えばHPC)であってもよいし、水相にあらかじめ含有させておく多糖類(例えばHPMC)とは異なる種類の多糖類(セルロース系ではない例えばデキストリン)であってもよい。
[0073]
[乳化工程]
 乳化工程では、溶媒、シェル材の一部である架橋剤(例えばイソシアネート化合物)、及び必要に応じてコア材(例えば香料等の被内包物)を含む油相を、シェル材の他の一部である多糖類を含む水相に分散して乳化液を調製することができる。
 油相が溶媒を含むことにより、マイクロカプセルの単分散性が高められる。
[0074]
~乳化液~
 本開示における乳化液は、溶媒とシェル材の一部を含む油相を、シェル材の他の一部を含む水相に分散させることにより調製することができる。シェル材の他の一部として既述の多糖類が用いられる。多糖類は乳化剤としても機能するため、水相に本開示における多糖類とは別に更に乳化剤を含める必要はないが、本開示における多糖類に加えて後述する乳化剤を更に用いてもよい。
[0075]
(油相)
 本開示における油相は、少なくとも、溶媒と、シェル材の一部をなす架橋剤と、を含み、必要に応じて、香料、補助溶媒、添加剤などの他の成分を含んでいてもよい。香料、補助溶媒、及び添加剤の詳細については、既述のマイクロカプセルの項に記載した通りである。
[0076]
-溶媒-
 本開示における製造方法で使用することができる溶媒は、既述のマイクロカプセルの項に記載した通りである。
[0077]
-シェル材の一部(架橋剤)-
 本開示におけるシェル材の一部として、架橋剤が含まれる。架橋剤の詳細については既述の通りであるので、ここでの説明は省略する。
 架橋剤の油相中における含有量は、油相の全質量に対して、1質量%~20質量%が好ましく、1質量%~10質量%がより好ましい。
 架橋剤の濃度は、マイクロカプセルの大きさ、壁厚等に鑑みて適宜調整することができる。
[0078]
(水相)
 本開示における水相は、少なくとも水系溶媒及びシェル材の他の一部をなす多糖類を含む。
[0079]
-水系媒体-
 本開示の水系媒体としては、水及びアルコールが挙げられ、イオン交換水を用いることができる。
 水系媒体の水相中における含有量としては、水相に油相を乳化分散して得られる乳化液の全質量に対して、20質量%~80質量%が好ましく、30質量%~70質量%がより好ましく、40質量%~60質量%が更に好ましい。
[0080]
-シェル材の他の一部(多糖類)-
 多糖類については既述の通りであるので、ここでの説明は省略する。
 乳化剤として、多糖類に加えて、更に分散剤もしくは界面活性剤又はこれらの組み合わせを用いてもよい。
 分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその変性物(例えばアニオン変性ポリビニルアルコール)、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、エチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン-アクリル酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、並びにアルギン酸ナトリウムなどを挙げることができ、ポリビニルアルコールが好ましい。
 分散剤は、シェル材と反応しないこと又は極めて反応し難いことが好ましく、例えばゼラチンなどの分子鎖中に反応性のアミノ基を有する分散剤は、予め反応性を失わせる処理をしておくことが好ましい。
[0081]
 界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0082]
 ノニオン界面活性剤は、特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。
 ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系化合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系化合物、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル系化合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系化合物、グリセリン脂肪酸部分エステル系化合物、ソルビタン脂肪酸部分エステル系化合物、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル系化合物、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル系化合物、ショ糖脂肪酸部分エステル系化合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル系化合物、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル系化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル系化合物、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル系化合物、ポリオキシエチレン化ひまし油系化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル系化合物、脂肪酸ジエタノールアミド系化合物、N,N-ビス-2-ヒドロキシアルキルアミン系化合物、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
[0083]
 アニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
 アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アビエチン酸塩、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩、N-メチル-N-オレイルタウリンナトリウム塩、N-アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩、スチレン-無水マレイン酸共重合物の部分けん化物、オレフィン-無水マレイン酸共重合物の部分けん化物、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキルポリオキシアルキレンスルホアルキルエーテルの塩、及びアルケニルポリオキシアルキレンスルホアルキルエーテルの塩が挙げられる。
[0084]
 カチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
 カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩(例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩、及びポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
[0085]
 両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
 両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン、アミノカルボン酸、スルホベタイン、アミノ硫酸エステル、及びイミタゾリンが挙げられる。
[0086]
 多糖類の濃度は、水相の全質量に対して、0.5質量%~20質量%が好ましく、1質量%~10質量%がより好ましく、1質量%~5質量%が更に好ましい。
 また、多糖類以外の乳化剤の濃度は、乳化液の全質量に対して、0質量%~20質量%が好ましい。
[0087]
 水相は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤などの他の成分を含有してもよい。他の成分を含有する場合に、他の成分の含有量は、水相の全質量に対して、0質量%超20質量%以下が好ましく、0.1質量%超10質量%以下がより好ましい。
[0088]
(分散)
 分散とは、油相を油滴として水相に分散させること(すなわち、乳化)をいう。分散は、油相と水相との分散に通常用いられる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル、又はその他の公知の分散装置を用いて行うことができる。
[0089]
 水相に対する油相の混合比率(油相/水相;質量基準)は、0.03~1.5が好ましく、0.05~1.2がより好ましく、0.1~1.0が更に好ましい。混合比率が上記範囲内であると、適度の粘度に保持でき、製造適性に優れ、乳化液の安定性に優れる。
[0090]
[カプセル化工程]
 本開示のマイクロカプセルの製造方法は、シェル材を油相と水相との界面で重合させてシェルを形成し、溶媒を内包するマイクロカプセルを形成する工程を含む。これにより、油相成分がシェルに内包されたマイクロカプセルが形成される。
[0091]
(重合)
 重合は、乳化液中の油相に含まれるシェル材を水相との界面で重合させる工程であり、これによりシェルが形成される。重合は、好ましくは加熱下で行われる。重合における反応温度は、通常は40℃~100℃が好ましく、50℃~80℃がより好ましい。また、重合の反応時間は、通常は0.5時間~10時間が好ましく、1時間~5時間がより好ましい。重合温度が高い程、重合時間は短くなるが、高温で分解するおそれのあるシェル材を使用する場合には、低温で作用する重合開始剤を選択して、比較的低温で重合させるのが望ましい。
[0092]
 重合工程中に、マイクロカプセル同士の凝集を防止するためには、水性溶液(例えば、水、酢酸水溶液)を更に加えてマイクロカプセル同士の衝突確率を下げることが好ましく、充分な攪拌を行うことも好ましい。重合工程中に改めて凝集防止用の分散剤を添加してもよい。更に、必要に応じて、ニグロシン等の荷電調節剤、又はその他任意の補助剤を添加することができる。これらの補助剤は、シェルの形成工程、又は任意の工程で添加することができる。
[0093]
~マイクロカプセルの物性~
-破壊変形率-
 本開示のマイクロカプセルは、破壊変形率が55%以下であることが好ましい。
 破壊変形率とは、破壊点におけるマイクロカプセルの最小の変形率を指す。これによって、マイクロカプセルを破壊する際の変形を抑制することができるため、小さい圧力でマイクロカプセルを破壊することが可能となる。例えば、マイクロカプセルがコア材として香料を含む場合、マイクロカプセルが付着された繊維上においても、内包された香料が良好に放出される。その結果、香り強度が大きく向上する。
 破壊変形率は、上記の観点から、45%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましい。
 また、必要な圧力が加わった際にマイクロカプセルが選択的に破壊されるようにするため、破壊変形率は、5%以上であることが好ましい。
[0094]
 破壊変形率は、後述する破壊強度の測定に用いられる方法で求められるマイクロカプセル粒子を破壊した際のマイクロカプセルの変位(破壊強度の測定に用いられる圧子が、マイクロカプセルに接触してからマイクロカプセルが破壊されるまでに移動した距離)を、圧力を加えることで変形する前の50粒の粒子の直径の平均値で徐算した値を百分率に換算した値として算出される値である。
[0095]
-破壊強度-
 本開示のマイクロカプセルは、破壊強度が20MPa以下であることが好ましい。
 これにより、より小さい圧力でマイクロカプセルを破壊することが可能となる。例えば、マイクロカプセルがコア材として香料を含む場合、内包された香料が良好に放出される。結果、香り強度がより向上する。
 本開示のマイクロカプセルの破壊強度は、上記の観点から、15MPa以下であることがより好ましく、10MPa以下であることが更に好ましく、6MPa以下であることが特に好ましい。
[0096]
 マイクロカプセルの破壊強度は、以下の方法により測定される値である。
 マイクロカプセル水分散液をイオン交換水で希釈した液を、プレパラートへ数滴滴下して乾燥させる。
 次に、粒子の破壊力(rupture force)を粒子の断面積で除して算出される値を求める。
 粒子の破壊力は、2001年発行のJ. Microencapsulation誌、vol.18, no.5, 593-602頁、Zhang, Z., Sun, Gによる“Mechanical Properties of Melamine-Formaldehyde microcapsules”に記載されている方法を用いて測定できる。
 50粒の粒子について、粒子の破壊力を粒子の断面積で除して算出される値を求め、50粒の粒子の上記値を平均して破壊強度(MPa)とする。
 なお、上記粒子の破壊力の単位はN(ニュートン)であり、上記粒子の断面積はπr (rは圧力を加えることで変形する前のマイクロカプセル粒子の半径である。)で算出することができる。
[0097]
<マイクロカプセル組成物>
 本開示のマイクロカプセル組成物は、既述の本開示のマイクロカプセルと、溶媒と、を含有する。
[0098]
-溶媒-
 溶媒としては、水系溶媒が好適である。
 マイクロカプセル組成物が溶媒を含むことで、マイクロカプセル組成物は、種々の用途に用いる場合に容易に配合することができる。水系溶媒としては、水及びアルコールが挙げられる。
 マイクロカプセル組成物における溶媒の含有量は、目的又は用途に応じて適宜選択することができる。
[0099]
-分散媒-
 マイクロカプセル組成物は、マイクロカプセルを分散する上記溶媒以外の分散媒を含むことができる。マイクロカプセル組成物が分散媒を含むことで、マイクロカプセル組成物は種々の用途に用いる際に容易に配合することができる。
 ここでの分散媒は、組成物の使用目的に応じて適宜選択することができ、マイクロカプセルのシェル材に影響を与えない液状成分であることが好ましい。好ましい分散媒としては、粘度調整剤、又は安定化剤が挙げられる。
 マイクロカプセル組成物における分散媒の含有量は、目的又は用途に応じて適宜選択すればよい。
[0100]
-その他の成分-
 マイクロカプセル組成物は、マイクロカプセル、溶媒及び分散媒に加え、更にその他の成分を含有することができる。
 その他の成分には、特に制限はなく、目的又は必要に応じて適宜選択すればよい。その他の成分としては、例えば、界面活性剤、架橋剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、及び帯電防止剤が挙げられる。
[0101]
<柔軟剤、洗剤>
 本開示のマイクロカプセルは、種々の用途に使用することができ、特に極性物質が存在する環境に曝される用途に好適であり、例えば、柔軟剤、洗濯洗剤、ヘアケア、及びデイケアに好適である。
[0102]
 本開示の柔軟剤は、既述の本開示のマイクロカプセルを含有し、更に溶媒を含んでもよい。柔軟剤が更に溶媒を含む場合、柔軟剤はマイクロカプセル組成物の一例である。
 本開示の洗剤は、既述の本開示のマイクロカプセルを含有し、更に溶媒を含んでもよい。洗剤が更に溶媒を含む場合、洗剤はマイクロカプセル組成物の一例である。
[0103]
(洗濯組成物)
-衣料用柔軟剤-
 本開示のマイクロカプセル組成物は、例えば、コア材として香料を含めることで衣料用柔軟剤とすることができる。これにより、本開示のマイクロカプセル組成物は、洗濯用組成物として適用することができる。
 本開示の衣料用柔軟剤であるマイクロカプセル組成物は、衣料をマイクロカプセル組成物に浸漬し、脱水、乾燥することで、マイクロカプセル組成物に含まれるマイクロカプセルが衣料の繊維に吸着したり、繊維間の微細な空隙に入り込んだりして、衣料に保持される。このため、衣料に対し、柔軟性、帯電防止性等の機能が付与され、さらに、コア材を含むマイクロカプセルを含むことで、所望の時期にコア材を放出することができる。
[0104]
 本開示の衣料用柔軟剤により処理された衣料を着用した場合、マイクロカプセル内にコア材が安定に含まれるため、柔らかな着心地が得られる。また、経時後であっても、衣服を擦るなどしてマイクロカプセルに応力を与え、マイクロカプセルを崩壊させることでコア材を放出させることができる。また、特に応力を付与しなくても、衣服を着用し、行動することにより、マイクロカプセルが崩壊され、コア材を放出させることができる。
[0105]
 衣料用柔軟剤は、マイクロカプセル組成物全量中、マイクロカプセルを0.3質量%~3質量%含むことが好ましい。
 本開示の衣料用柔軟剤は、衣料用柔軟剤に含まれる公知の成分、例えば、消泡剤、色材等の成分を更に含むことができる。衣料用柔軟剤に用いられる分散媒は、イオン交換水等の水が好ましい。
[0106]
-洗濯用洗剤-
 本開示のマイクロカプセル組成物は、上記と同様に、例えば、コア材として香料を含めることで衣料用洗剤とすることができる。これにより、本開示のマイクロカプセル組成物は、洗濯洗剤として適用することができる。
[0107]
(ヘアケア組成物)
 本開示におけるマイクロカプセルと、マイクロカプセルの分散媒(溶媒)とを含むマイクロカプセル組成物は、そのままヘアケア組成物に適用することができる。
 ヘアケア組成物の用途としては、リンス、コンディショナー、整髪料等の毛髪化粧料に任意に適用することができる。
 毛髪化粧料である本開示のマイクロカプセル組成物は、毛髪に適用した場合、マイクロカプセルが毛髪に付着し、毛髪を擦る、櫛でとく等した場合、応力によりマイクロカプセルが崩壊し、コア材を放出することができる。
[0108]
 液状の毛髪化粧料の場合、スプレー容器に充填することで、より長時間に亘り、マイクロカプセルを安定に保存することができ、好ましい。
 スプレーにより毛髪化粧料を毛髪に付与した場合、分散媒とマイクロカプセルとが、毛髪に付着する。その後、例えば、頭皮をマッサージすることにより、マイクロカプセルに応力が掛かることでマイクロカプセルが崩壊し、コア材を毛髪に付着させることができる。
 毛髪化粧料である本開示のマイクロカプセル組成物には、毛髪化粧料に含まれ得る公知の成分を任意に含有することができる。
 毛髪化粧料の含まれ得る公知の成分としては、アルコールなどの水性媒体、油剤、洗浄成分又は分散成分としての界面活性剤、皮膚に浸透する有効成分、色材、及び香料が挙げられる。
[0109]
(デイケア組成物)
 本開示のマイクロカプセル組成物は、例えば、支持体と、支持体に含浸された既述の本開示のマイクロカプセル組成物とを含む化粧用シート、おむつ等のデイケア組成物に適用することができる。
 支持体は、液状成分を保持することができれば特に制限はない。支持体は、不織布、織布などの内部に水分を保持する空隙を有する繊維集合体、又は、スポンジシートなどの多孔質体が好ましい。
 支持体に、本開示のマイクロカプセル組成物を含浸させることで、支持体を皮膚に押しつけて擦ることで、マイクロカプセルが崩壊し、任意の時期にコア材を放出することができる。また、マイクロカプセル組成物が、界面活性剤等の洗浄成分を含むことで、皮膚清拭用のシートとすることができる。
 化粧用シート、おむつ等のデイケア組成物は、マイクロカプセル組成物を安定に保持するため、水不透過性の包装材料により包装されることが、効果の持続性の観点から好ましい。
[0110]
 既述のように、本開示のマイクロカプセル組成物は、必要なタイミングで任意の時期にコア材を放出しうるため、種々の用途に適用することができる。既述の用途は、その一例であり、本開示のマイクロカプセル組成物の用途は、上記記載には限定されない。
実施例
[0111]
 以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[0112]
(実施例1)
 溶媒としてサラコス(登録商標)HG-8(日清オイリオグループ株式会社製;グリセリン脂肪酸エステル)10.5質量部と、D-リモネン(ヤスハラケミカル株式会社製;香料)31.5質量部と、シェル材として3官能の脂肪族イソシアネート化合物であるタケネート(登録商標)D-160N(三井化学株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体;架橋剤)1.74質量部と、を撹拌混合し、油相を得た。
[0113]
 また、メトローズ(登録商標)60SH50(信越化学工業株式会社、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);多糖類)の2.0質量%水溶液(以下、HPMC水溶液)を用意し、水相とした。
[0114]
 HPMC水溶液(水相)180質量部を40℃に加温した状態で上記の油相43.74質量部を加えて分散し、乳化液を生成した。その後、生成した乳化液に、サンデック#180(三和澱粉工業株式会社、デキストリン;多糖類)の25.0質量%水溶液60.0質量部を加え、60℃まで加熱して20分間撹拌した。その後、茶抽出物であるサンフード(登録商標)100(三菱ケミカルフーズ株式会社;ポリフェノール化合物)の25.0質量%水溶液8.0質量部を加えて60℃のまま1時間撹拌し、加熱を止めて一晩撹拌を続けた。
 以上のようにして、マイクロカプセル水分散液(マイクロカプセル組成物)を得た。
 得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの固形分量は、21.2質量%であった。
[0115]
 マイクロカプセルが架橋構造を有することを以下の方法で確認した。
 マイクロカプセル水分散液に対して遠心分離を施し、マイクロカプセルを液中から分離した。分離されたマイクロカプセルをジメチルスルホキシド(DMSO)に混合(5質量%)してDMSO混合液を調製した。DMSO混合液が不透明化するか、又はマイクロカプセルの膨潤が確認できた場合は、マイクロカプセルが架橋構造を有するものと判断した。これに対し、マイクロカプセルが溶解してDMSO混合液が透明化した場合は、マイクロカプセルのシェルが架橋構造を有しないものと判断した。DMSO混合液における不透明化及び膨潤の有無の確認は、目視観察及び光学顕微鏡観察により行った。
[0116]
 結果、マイクロカプセル水分散液のマイクロカプセルは、DMSO混合液が不透明化したことから、シェル部が架橋構造を有していることが確認された。
[0117]
 マイクロカプセルのシェル部の厚みは、0.25μmであった。シェル部の厚みは、5個のマイクロカプセルの個々のシェル部の厚み(μm)を走査型電子顕微鏡(SEM)により求めて平均して求めた。
 また、得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの体積基準のメジアン径(D50)は35μmであった。体積基準のメジアン径は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装株式会社製)により測定した。
[0118]
(評価)
 得られたマイクロカプセルに対して以下の評価を行った。評価結果は表1に示す。
[0119]
(1)形態観察
 以下の手順で柔軟剤中に残存するマイクロカプセルを確認した。
 得られたマイクロカプセル水分散液1.0質量部を、無香料柔軟剤(ウルトラダウニー フリー&ジェントル、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社製)を水で希釈した柔軟剤液49.0質量部(無香料柔軟剤:水=9:40[質量比])に混合し、マイクロカプセル組成物を作製した。作製したマイクロカプセル組成物をプレパラートに数滴滴下して乾燥した後、金属顕微鏡(エクリプスLV100D、ニコン社製)でマイクロカプセル(100個)の観察を行い、下記の評価基準にしたがって評価した。
 <評価基準>
A:柔軟剤中において、100個全てがカプセル形状を維持していた。
B:柔軟剤中において、90%以上100%未満のマイクロカプセルがカプセル形状を維持していた。
C:柔軟剤中において、50%以上90%未満のマイクロカプセルがカプセル形状を維持していた。
D:柔軟剤中において、0%超50%未満のマイクロカプセルがカプセル形状を維持していた。
E:柔軟剤中において、マイクロカプセルが確認できなかった(マイクロァプセルが消失した)。
[0120]
(2)破壊強度と破壊変形率
 マイクロカプセルの破壊強度及び破壊変形率を以下の方法により測定した。
-2.1 破壊強度-
 マイクロカプセル水分散液1.0質量部と、水10.0質量部と、無香料柔軟剤(ウルトラダウニー フリー&ジェントル、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社製)を水で希釈した柔軟剤液9.0質量部(無香料柔軟剤:水=9:10[質量比])と、を混合してマイクロカプセル組成物を作製した。作製したマイクロカプセル組成物をプレパラートに数滴滴下して乾燥させた。
 次に、J. Microencapsulation誌(vol. 18, No. 5, 593-602頁, Zhang, Z., Sun, G(2001年発行)による“Mechanical Properties of Melamine-Formaldehyde microcapsules”に記載されている方法に基づいて粒子の破壊力(rupture force)を測定した。そして、測定された各粒子の破壊力(単位:N(ニュートン))を、対応する粒子の断面積で除して算出される値を、50個の粒子について求め、求めた値の平均値を破壊強度(MPa)とした。
 なお、粒子の断面積は、πr (rは圧力を加えることで変形する前のマイクロカプセル粒子の半径であり、πは円周率(=3.14)である。)で算出される値である。
[0121]
-2.2 破壊変形率-
 破壊強度の測定で変形したマイクロカプセルの変形率は、下記式より算出した。
 破壊変形率(%)=破壊時の変位量(μm)/計測されたマイクロカプセルの直径(μm)×100
[0122]
(3)香り強度
 得られたマイクロカプセル水分散液の香料換算1.0質量%と、カチオン性界面活性剤及び水を含む無香料柔軟剤(ULTRA Downy、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社製)99質量%と、を混合してマイクロカプセル組成物を作製した。
 次いで、マイクロカプセル組成物5質量部と水995質量部とを混合し、得られた混合液を木綿タオル(35cm×35cm)へ霧吹きで5回噴霧して25℃60%RH環境下で24時間乾燥させ、評価用サンプルを作製した。
 得られた評価サンプル(木綿タオル)を5回擦り合わせた後、発生した香りの強度を10人の評価者に評価してもらい、下記評価基準にしたがって6段階に分けて点数を付け、平均値(整数に四捨五入)を求め、香りを評価する指標とした。
 なお、評価基準は、0点(香り強度弱い)から点数が高くなるにつれて香り強度が強くなることを示しており、5点(香り強度強い)が最も高評価である。評価は、2点以上が実用上許容される範囲である。
 評価結果は表1に示す。
 <評価基準>
0:香りを全く感じ取れない。
1:香りを僅かに感じとれるが、ほとんど香りを感じない。
2:弱い香りを感じ取れる。
3:香りを感じ取れる。
4:はっきりと香りを感じ取れる。
5:強い香りを感じ取れる。
[0123]
(実施例2)
 実施例1において、生成した乳化液にサンデック#180(デキストリン)の25.0質量%水溶液60.0質量部を加えず、表1に示す組成としたこと以外は、実施例1と同様に、マイクロカプセル水分散液を得、更に測定及び評価を行った。
 得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの固形分量は、8.6質量%であった。
 また、実施例1と同様の方法により、マイクロカプセルは、DMSO混合液が不透明であったことから、シェル部が架橋構造を有していることが確認された。
 測定及び評価の結果を表1に示す。
[0124]
(実施例3~5)
 実施例1において、生成した乳化液に加えたデキストリン(サンデック#180の25.0質量%水溶液60.0質量部)を、表1に示す多糖類にそれぞれ代えたこと以外は、実施例1と同様に、マイクロカプセル水分散液を得、更に測定及び評価を行った。
 得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの固形分量は、6.0質量%であった。
 また、実施例1と同様の方法により、マイクロカプセルは、DMSO混合液が不透明であったことから、シェル部が架橋構造を有していることが確認された。
 測定及び評価の結果を表1に示す。
[0125]
(実施例6)
 実施例1において、多糖類として用いたメトローズ60SH50(HPMC)の2.0質量%水溶液を、表1に示すHPC(ヒドロキシプロピルセルロース、富士フイルム和光純薬株式会社;多糖類)に代えたこと以外は、実施例1と同様に、マイクロカプセル水分散液を得、更に測定及び評価を行った。
 得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの固形分量は、20.8質量%であった。
 また、実施例1と同様の方法により、マイクロカプセルは、DMSO混合液が不透明であったことから、シェル部が架橋構造を有していることが確認された。
 測定及び評価の結果を表1に示す。
[0126]
(実施例7)
 実施例1において、架橋剤として用いたタケネートD-160Nを、タケネートD-160N(3官能の脂肪族イソシアネート化合物)及びヘキサメチレンジイソシアネート(2官能の脂肪族イソシアネート化合物;HDI)の2種に代えたこと以外は、実施例1と同様に、マイクロカプセル水分散液を得、更に測定及び評価を行った。
 得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの固形分量は、20.8質量%であった。
 また、実施例1と同様の方法により、マイクロカプセルは、DMSO混合液が不透明であったことから、シェル部が架橋構造を有していることが確認された。
 測定及び評価の結果を表1に示す。
[0127]
(実施例8)
 実施例2において、架橋剤として用いたタケネートD-160Nを、タケネートD-160N(3官能の脂肪族イソシアネート化合物)及びヘキサメチレンジイソシアネート(2官能の脂肪族イソシアネート化合物;HDI)の2種に代えたこと以外は、実施例2と同様に、マイクロカプセル水分散液を得、更に測定及び評価を行った。
 得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの固形分量は、8.6質量%であった。
 また、実施例1と同様の方法により、マイクロカプセルは、DMSO混合液が不透明であったことから、シェル部が架橋構造を有していることが確認された。
 測定及び評価の結果を表1に示す。
[0128]
(実施例9~10)
 実施例1において、マイクロカプセルのシェルの厚みを表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様に、マイクロカプセル水分散液を得、測定及び評価を行った。
 得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの固形分量は、20.8質量%であった。
 また、実施例1と同様の方法により、マイクロカプセルは、DMSO混合液が不透明であったことから、シェル部が架橋構造を有していることが確認された。
 測定及び評価の結果を表1に示す。
[0129]
(実施例11~13)
 実施例1において、茶抽出物(ポリフェノール化合物)の量を表1に示すように変更し、かつ、他の成分組成を表1に示すように調整したこと以外は、実施例1と同様に、マイクロカプセル水分散液を得、更に測定及び評価を行った。
 得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの固形分量は、20.8質量%であった。
 また、実施例1と同様の方法により、マイクロカプセルは、実施例11~12はDMSO混合液が不透明化し、実施例13は膨潤したことから、シェル部が架橋構造を有していることが確認された。
 測定及び評価の結果を表1に示す。
[0130]
(実施例14)
 実施例1において、多糖類の種類を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、マイクロカプセル水分散液を得、更に測定及び評価を行った。
 得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの固形分量は、5.0質量%であった。
 また、実施例1と同様の方法により、マイクロカプセルは、膨潤したことから、シェル部が架橋構造を有していることが確認された。
 測定及び評価の結果を表1に示す。
[0131]
(実施例15~18)
 実施例1において、架橋剤として用いたタケネートD-160Nの量を表1に示すように変更し、かつ、他の成分組成を表1に示すように調整したこと以外は、実施例1と同様に、マイクロカプセル水分散液を得、更に測定及び評価を行った。
 得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの固形分量は、20.8質量%であった。
 また、実施例1と同様の方法により、マイクロカプセルは、DMSO混合液が不透明であったことから、シェル部が架橋構造を有していることが確認された。
 測定及び評価の結果を表1に示す。
[0132]
(実施例19~20)
 実施例1において、架橋剤の種類を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様に、マイクロカプセル水分散液を得、更に測定及び評価を行った。
 得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの固形分量は、18.0質量%であった。
 また、実施例1と同様の方法により、マイクロカプセルは、膨潤したことから、シェル部が架橋構造を有していることが確認された。
 測定及び評価の結果を表1に示す。
[0133]
(比較例1)
 実施例1において、マイクロカプセルのシェルの厚みを表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様に、マイクロカプセル水分散液を得、測定及び評価を行った。
 得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの固形分量は、20.8質量%であった。
 また、実施例1と同様の方法により、マイクロカプセルは、DMSO混合液が不透明であったことから、シェル部が架橋構造を有していることが確認された。
 測定及び評価の結果を表1に示す。
[0134]
(比較例2)
 実施例1において、架橋剤の種類を表1に示すように変更し、茶抽出物であるサンフード(登録商標)100を添加後に、続けてタンニン酸(富士フイルム和光純薬株式会社)の5%質量水溶液16.0gを加えたこと以外は、実施例1と同様に、マイクロカプセル水分散液を得、更に測定及び評価を行った。得られたマイクロカプセル水分散液中のマイクロカプセルの固形分量は、21.0質量%であった。
 また、実施例1と同様の方法により、マイクロカプセルは、透明化したことから、シェル部が架橋構造を有していないことが確認された。
 測定及び評価の結果を表1に示す。
[0135]
[表1]


[0136]
 表1に記載の成分の詳細は以下の通りである。
・多糖類:
 HPMC:メトローズ(登録商標)60SH50、信越化学工業株式会社、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
 HPC:ヒドロキシプロピルセルロース、富士フイルム和光純薬株式会社
 デキストリン:サンデック#180(三和澱粉工業株式会社)
 アラビアガム:富士フイルム和光純薬株式会社
 キタンサンガム:Xanthan Gum、東京化成工業株式会社
 グァーガム:富士フイルム和光純薬株式会社
・架橋剤:
 D-160N:3官能の脂肪族イソシアネート化合物(タケネート(登録商標)D-160N、三井化学株式会社、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体)
 HDI:2官能の脂肪族イソシアネート化合物(東京化成工業株式会社、ヘキサメチレンジイソシアネート)
 タンニン酸:富士フイルム和光純薬株式会社
 エポキシ:4,4’-メイレンビス(N,N-ジグリシジルアニリン)、東京化成工業株式会社
 酸クロライド:アジポイルクロリド、東京化成工業株式会社
・ポリフェノール化合物:
 茶抽出物:サンフード(登録商標)100、三菱ケミカルフーズ株式会社
[0137]
 上記の表1に示すように、実施例1~20では、シェル部の厚みが2μm未満の薄膜でありながら、極性のあるイオン系界面活性剤の共存下において、カプセルの形態が良好に維持され、外力(擦過)を与えた際に放出される香り強度も良好な結果が得られており、いずれのマイクロカプセルも保存安定性に優れるものであった。
 特に架橋剤としてイソシアネート化合物を用いた場合に、カプセルの形態及び保存安定性の点でより優れていた。
[0138]
 実施例1と実施例2を対比すると、直鎖状多糖類と分岐状多糖類との2種を併用した実施例1は、直鎖状多糖類のみを用いた実施例2に比べ、マイクロカプセルの破壊強度の向上効果が期待できることが分かる。
 実施例1と、実施例1から分岐状多糖類を変更した実施例3~5とを対比すると、分岐状多糖類としては、マイクロカプセルの破壊強度の向上効果の点で、デキストリンがより効果的であることが分かる。
 実施例1と実施例6とを対比すると、HPMCがHPCに比べて、香り強度を維持しながら良好な破壊強度を示した。
 実施例10~13を対比すると明らかなように、ポリフェノール化合物の量の増減は、マイクロカプセルの形状保持性に影響を与える。ポリフェノール化合物の量は、マイクロカプセルの形態を良好に維持する観点から、シェルの全質量に対して、3質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上(更には6質量%以上、特には9質量%以上)であることが分かる。
 また、実施例15~18の結果から分かるように、架橋剤の量は、3質量%以上であることが好ましく、マイクロカプセルの形態を良好に維持し、破壊強度と香り強度とのバランスを図る観点からは、4質量%以上10質量%の範囲がより好適である。
[0139]
 これに対して、シェルの厚みが2μmを超える比較例1では、良好な香り強度が得られなかった。比較例1のように、既述の特開昭54-426号公報及び特開平2-293041号公報に記載された従来のマイクロカプセルもシェル部の厚みは厚いと考えられ、シェル部を2μm未満の薄膜にした場合に、極性物質の共存下において、マイクロカプセルの形態の安定性(保存安定性)と香料等のコア材の放出性とのバランスが図れるか否かは明らかでない。
 また、タンニン酸を用いた比較例2では、共有結合性の架橋構造が得られないため、カプセル形態を維持できず、香り強度の点で著しく低い結果となった。
[0140]
 なお、2019年3月28日に出願された日本国特許出願2019-064702号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。また、本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

請求の範囲

[請求項1]
 コア部と前記コア部を内包するシェル部とを含み、
 前記シェル部は、多糖類と架橋剤との反応由来の共有結合性の架橋構造を有し、かつ、厚みが2μm未満である、
 マイクロカプセル。
[請求項2]
 前記架橋剤が、3官能以上の脂肪族イソシアネート化合物及び2官能の脂肪族イソシアネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のイソシアネート化合物である請求項1に記載のマイクロカプセル。
[請求項3]
 前記多糖類が、セルロース化合物、デキストリン、アラビアガム、キタンサンガム、及びグァーガムからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1又は請求項2に記載のマイクロカプセル。
[請求項4]
 前記多糖類が、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
[請求項5]
 前記シェル部が、更に、ポリフェノール化合物を含む請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
[請求項6]
 前記ポリフェノール化合物の含有量が、シェル部の全質量に対して、5質量%以上である請求項5に記載のマイクロカプセル。
[請求項7]
 前記架橋剤に由来する構造部分の含有比率が、シェル部の全質量に対して、4質量%以上である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
[請求項8]
 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のマイクロカプセルと、溶媒と、を含有するマイクロカプセル組成物。
[請求項9]
 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のマイクロカプセルを含む柔軟剤。
[請求項10]
 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のマイクロカプセルを含む洗剤。