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1. WO2020194734 - RESONANCE SHEAR MEASUREMENT DEVICE

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明 細 書

発明の名称 共振ずり測定装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

非特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043  

実施例

0044   0045   0046   0047  

産業上の利用可能性

0048  

符号の説明

0049  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 共振ずり測定装置

技術分野

[0001]
 本発明は、共振ずり測定装置に関する。

背景技術

[0002]
 本願発明者は、バネに固定された一方の表面を正弦振動させて、周波数を挿引することで振動系の共振ずり曲線を測定する共振ずり測定方法を開発し、提案している(特許文献1、2、非特許文献1)。
[0003]
 図6は、かかる従来の共振ずり測定装置(非特許文献1)の共振部分を示す概略構成図である。この図で示される共振ずり測定装置3は、圧電素子15、上部ディスク基板16及びバネ17を有する上部ユニット10と、下部ディスク基板14を有する下部ユニット11と、を備え、上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間が膜形状の試料挿入部21を形成している。圧電素子15及び上部ディスク基板16は、バネ17を介して固定機材30に振動可能に接続されている。試料挿入部21に固体、液体、液晶などの試料を挿入し、圧電素子15に周波数を変化させながら交流電圧を印加することにより、固体表面間の試料にずり変形が生じる。上部ユニット10の共振周波数を含む周辺の周波数に合わせて、圧電素子15に正弦波の交流電圧を印加することにより、静電容量計20の応答電圧から、上部ユニット10の振動、すなわち、バネ17の水平方向変位を非接触に計測し、共振ずり曲線を測定することで、固体表面間の試料の粘弾性項、摩擦・潤滑特性を、正確に測定することができる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特許第4615568号公報
特許文献2 : 特許第6330212号公報

非特許文献

[0005]
非特許文献1 : 柴崎翔伍、外5名、「共振ずり測定法によるエンジンオイルの潤滑特性評価:添加剤の効果の検討」、トライボロジスト、2018年2月6日、第63巻、第4号、p284-293

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、静電容量計20がバネ17の水平方向変位を計測する従来の共振ずり測定装置3では、静電容量計20とバネ17との間を、間隔を正確に置いて静電容量計20を設置し、かつ、その間隔を高精密に制御しなければない点が短所であった。また、ナノメートルレベルの変位が測定可能な静電容量計20は高価であった。更に、揮発性試料を測定する場合や装置内の圧力を制御するには、静電容量計20を含む大きな密閉ユニットや制御ユニットを設けなければならず、困難であった。
[0007]
 そこで、本発明は、簡便に共振ずり挙動の測定が可能であり、密閉ユニットをコンパクトに容易に設けることが可能であり、製造費用を低く抑えることができる、共振ずり測定装置の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明は、下記の構成を有する。
[1]圧電素子、上部ディスク基板及びバネを有する上部ユニットと、下部ディスク基板を有する下部ユニットと、を備え、前記上部ディスク基板の下面と前記下部ディスク基板の上面との間が試料挿入部を形成し、前記圧電素子及び前記上部ディスク基板は、バネを介して固定機材に振動可能に接続され、ひずみゲージが前記バネに貼着され、前記圧電素子に周波数を変化させながら交流電圧を印加することにより、前記上部ユニットの振動に伴う前記ひずみゲージからの共振時の応答電圧を測定する、共振ずり測定装置。
[2]更に、前記圧電素子と電気的に接続された情報処理ユニットを備え、ひずみゲージが前記情報処理ユニットと電気的に接続されて、前記情報処理ユニットが、前記圧電素子に周波数を変化させながら交流電圧を印加することにより、前記上部ユニットの振動に伴う前記ひずみゲージからの共振時の応答電圧を測定する、前記[1]に記載の共振ずり測定装置。
[0009]
[3]共振時の前記交流電圧の振幅及び共振時の前記応答電圧の振幅に基づいて、前記試料挿入部に挿入された試料の粘弾性を測定する、前記[1]又は[2]に記載の共振ずり測定装置。
[4]前記周波数に対する前記交流電圧の振幅及び前記応答電圧の振幅から求められる共振ずり曲線に基づいて、物理モデル解析により、前記試料挿入部に挿入された試料の粘弾性を測定する、前記[3]に記載の共振ずり測定装置。

発明の効果

[0010]
 本発明の共振ずり測定装置は、簡便に共振ずり挙動の測定が可能であり、密閉ユニットをコンパクトに容易に設けることが可能であり、製造費用を低く抑えることができる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 本発明の実施形態の共振ずり測定装置1を示す概略構成図である。
[図2] 図1に示される共振ずり測定装置1の、共振ずり曲線の解析に用いた物理モデルを示す概略図である。
[図3] 交流電圧(すなわち印加電圧)の周波数(横軸)に対して、(応答電圧の振幅U out)/(印加電圧の振幅U in)の比(縦軸)を表したグラフであって、変位計測手段として静電容量計20を備える共振ずり測定装置3を用いて測定されたものである。
[図4] 交流電圧(すなわち印加電圧)の周波数(横軸)に対して、(応答電圧の振幅U out)/(印加電圧の振幅U in)の比(縦軸)を表したグラフであって、変位計測手段としてひずみゲージ19を備える共振ずり測定装置2を用いて測定されたものである。
[図5] 界面活性剤修飾雲母表面間の水について、交流電圧(すなわち印加電圧)の周波数(横軸)に対して、(応答電圧の振幅Uout)/(印加電圧の振幅Uin)の比(縦軸)を表したグラフであって、変位計測手段としてひずみゲージ19を備える共振ずり測定装置1を用いて測定されたものである。
[図6] 従来の共振ずり測定装置3を示す概略構成図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 以下、本発明に係る実施形態の共振ずり測定装置を、図面に基づいて説明する。
 なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
[0013]
[実施形態]
 図1は、本発明に係る実施形態の共振ずり測定装置1を示す概略構成図である。
 本実施形態の共振ずり測定装置1は、圧電素子15、上部ディスクホルダ13、上部ディスク基板16及びバネ17を有する上部ユニット10と、下部ディスク基板14及び下部ディスクホルダ12を有する下部ユニット11と、を備え、上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間が試料挿入部21を形成し、圧電素子15、上部ディスクホルダ13及び上部ディスク基板16は、バネ17を介して固定機材30に振動可能に接続され、ひずみゲージ19がバネ17に貼着されている。
[0014]
 圧電素子15に、周波数を変化させながら、上部ユニット10の共振周波数を含む周辺の周波数に合わせて、正弦波の交流電圧を印加することにより、上部ユニット10の振動に伴うひずみゲージ19からの共振時の応答電圧を測定する。これにより、上部ユニット10の共振ずり曲線を得ることができる。
[0015]
 共振ずり測定装置1においては、ひずみゲージ19が板形状のバネ17に貼着されているので、従来の共振ずり測定装置3の静電容量計20がバネ17の水平方向変位を計測するものとは異なり、静電容量計20とバネ17との間を、精密に間隔を置いて設置する必要がなくなり、かつ、ひずみゲージ19を含むセンサーユニットをコンパクトに収めることができる。上部ユニットおよび下部ユニットは密閉された容器内に設置されており、ひずみゲージ19がバネ17に貼着されているので、密閉ユニットをコンパクトに容易に設けることが可能であり、装置内の圧力を制御することが可能である。安価なひずみゲージ19を用いて、製造費用を低く抑えることができ、より簡便に、上部ユニット10を振動させた場合の共振ずり挙動の測定が可能である。
[0016]
 試料挿入部とは、上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間の、試料を挿入可能な空間を云う。
[0017]
 バネ17は、圧電素子15及び上部ディスク基板16を固定機材30から吊り下げる。バネ17は、圧電素子15及び上部ディスク基板16を水平方向に振動させることができる、垂直方向に設けられた板形状の一対のバネであり、膜形状の試料挿入部21の両方の面、すなわち、上部ディスク基板16の下面及び下部ディスク基板14の上面に対して、略垂直に配置されている。
[0018]
 バネ17のバネ定数は、通常は1000N/m程度であるが、上部ユニット10の振動の振幅と、測定する試料の性質に対して適宜設定され、これに限られない。
[0019]
 上部ディスク基板16の下面及び下部ディスク基板14の上面は、測定試料と直接接触する。本実施形態では、上部ディスク基板16の下面側及び下部ディスク基板14の上面側に、厚さ3μm程度までへき開した雲母シートを用いている。上部ディスク基板16の下面及び下部ディスク基板14の上面は、球面、平面、円柱面等が用いられる。上部ディスク基板16及び下部ディスク基板14は、平板同士でもよいが、平板を平行に設置するのは必ずしも容易ではない。本実施形態の共振ずり測定装置1では、取り付けの容易さから、上部ディスク基板16の下面、及び、下部ディスク基板14の上面を円柱の側面とし、二つの半円柱を直交させて配置する組み合わせが選択されている。
[0020]
 上部ディスク基板16の下面側及び下部ディスク基板14の上面側には金属やセラミック、高分子など多様な材料が使用可能であり、雲母に限らない。また、本実施形態の共振ずり測定装置1では、へき開した雲母シートを半円柱型の石英レンズ(曲率半径R=20mm)上にエポキシ樹脂で貼りつけたものを、上部ディスク基板16及び下部ディスク基板14としており、上部ディスク基板16及び下部ディスク基板14の二つの半円柱を直交させて配置している。上部ディスク基板16の下面及び下部ディスク基板14の上面は、球面、平面、円柱面等が用いられる。上部ディスク基板16及び下部ディスク基板14は、平板同士でもよいが、平板を平行に設置するのは必ずしも容易ではない。取り付けの容易さからは、上部ディスク基板16の下面を球面とし、下部ディスク基板14の上面を平面とする組み合わせが選択される。また、容易に精密測定が可能な観点からは、上部ディスク基板16及び下部ディスク基板14として、二つの半円柱を直交させて配置することが好ましい。
[0021]
 圧電素子15は、外側の電極が4分割された4分割ピエゾチューブからなる圧電素子であり、適当な振幅・周波数の電圧を、対抗する電極と内側の電極にかけることにより、上部ディスク基板16を有する上部ユニット10を左右に振動させることができる。このとき、試料挿入部21に固体、液体、液晶などの微量試料を挟み、圧電素子15に、上部ユニット10の共振周波数を含む周辺の周波数に合わせて、正弦波の交流電圧を印加することにより、微量試料にずり変形を生じさせるとともに、上部ユニット10を左右に振動させ、バネ17に貼付されたひずみゲージ19によって、この振幅の大きさを交流電圧(すなわち印加電圧)の周波数を変えて測定することで共振ずり曲線が得られる。
[0022]
 試料挿入部21は、上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間に挟まれた空間であり、略膜形状である。上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間の表面間距離は、共振ずり測定の目的に沿って、例えば、0nm~2mmの範囲で、適宜設定することができる。なお平面と球面および直交する半円柱面間において、表面間距離は上下の表面の最近接部分の距離として定義される。
[0023]
 固体表面間の液体の潤滑性の評価の目的では、上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間の表面間距離は、例えば、0.1nm~100nm、好ましくは、0.1nm~60nm、より好ましくは、0.1nm~40nmの範囲に設定することができる。
[0024]
 上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間の表面間距離は、試料挿入部21に試料を挟んだ状態で、微調整できるものであることが好ましい。上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間の表面間距離を、対照試験のため、0nm、すなわち、接触した状態に設定できることが好ましい。
[0025]
 また、液体試料の粘弾性の測定の目的では、上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間の表面間距離は、例えば、20nm~2mm、好ましくは、50nm~1000μm、より好ましくは、100nm~500μmの範囲に設定することができる。この場合も、上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間の表面間距離を、対照試験のため、0nm、すなわち、接触した状態に設定できることが好ましい。
[0026]
 上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間の表面間距離を狭くすることにより、必要試料量を少なくすることができる。例えば、従来の市販の粘度計の典型的な必要試料量は数mLであり、微量測定が可能な粘度計としても、少なくとも100μLであるのに対して、本実施形態の共振ずり測定装置1では、必要試料量は20μL以上である。
[0027]
 共振ずり測定装置1は、更に、圧電素子15と電気的に接続された情報処理ユニット40を備える。ひずみゲージ19も情報処理ユニット40と電気的に接続されている。情報処理ユニット40が、圧電素子15に周波数を変化させながら正弦波の交流電圧を印加することにより、上部ユニット10の振動に伴うひずみゲージ19からの共振時の応答電圧を測定する構成とすることができる。
[0028]
 圧電素子15の駆動手段としての情報処理ユニット40は、交流電圧を圧電素子15に印加し、ひずみゲージ19からの応答電圧を検出する。情報処理ユニット40は、前記交流電圧(すなわち、印加電圧)の振幅U inとともに、前記応答電圧の振幅U outを検出することができる。前記振幅U outの減衰曲線をフーリエ変換し、共振ずり曲線を得ることもできる。前記応答電圧の振幅U outを、前記表面間距離の変化と共に計測することで、前記振幅U outの減衰曲線をフーリエ変換し、共振ずり曲線を得ることもできる。
[0029]
 共振ずり測定装置1は、後述の実施例に示されるように、共振時の交流電圧(すなわち印加電圧)の振幅及び共振時の応答電圧の振幅に基づいて、試料挿入部21に挿入された試料の粘弾性項を測定することができる。
[0030]
 共振ずり測定装置1は、後述の実施例に示されるように、前記周波数に対する交流電圧(すなわち印加電圧)の振幅及び応答電圧の振幅から求められる共振ずり曲線に基づいて、試料挿入部21に挿入された試料の粘弾性項を測定することができる。
[0031]
 共振ずり測定装置1の下部ユニット11において、下部ディスク基板14は下部ディスクホルダ12に固定され、下部ディスクホルダ12は、水平バネ22に接続されている。水平バネ22は垂直力測定用カンチレバーの働きをして、下部ディスク基板14の垂直方向の変位を制御できる構成となっている。
[0032]
 すなわち、下部ユニット11は2枚の水平バネ22を介してパルスモータと差動バネから構成される微小駆動系23に接続され、上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間の表面間距離(D)を1nm以下の分解能で制御できる。
[0033]
 また、共振ずり測定装置1において、表面間距離(D)は表面に垂直に入射させた白色光の銀蒸着面間での多重反射により生じた等色次数干渉縞(Fringes ofEqualChromatic Order, FECO)の解析から0.1nmの分解能で決定することができる。パルスモータによる“駆動距離”と“表面間距離の変化”の差(ΔD)として水平バネ22の曲がりを決定し、水平バネ22のバネ定数(K)を掛けて荷重(L)を求める(L=KΔD)。これ以外にも、下部ユニット下面からの反射光を用いた干渉計による距離決定法であるツインパス法を用いて、ΔDおよびLを決定することもできる。
[0034]
 上部ユニット10として、上部ディスク基板16は、上部ディスクホルダ13を介して4分割ピエゾチューブからなるに圧電素子15に固定されている。また、上部ディスク基板16及び上部ディスクホルダ13は、圧電素子15を介して2枚のバネ17に接続されている。4分割ピエゾチューブの対向する二つの電極に逆位相の正弦波形電圧(振幅U in、周波数f)を印加し、上部ディスク基板16の下面を水平方向に振動させ、バネ17の先端部の振動変位(Δx)をひずみゲージ19により出力電圧U outとして測定することができる。角周波数ω (=2πf)を掃引して出力電圧U outを測定し共振ずり曲線(U out/U in vs ω)を得る。空気中で、上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間が離れた状態では(空気中分離、Air Separation(AS))、上部ユニット10の質量(m )、バネ定数(k )により決定される周波数(ω AS)に共振ピークが観測される。
[0035]
 空気中で、上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面とを接触させた滑りのない状態では(固体接触、Solid Contact(SC))、上部ユニット10に、下部ディスク基板14、下部ディスクホルダ12及び水平バネ22から構成される下部ユニット11の質量(m )、並びに水平バネ22の横方向のバネ定数(k )が加わり、共振ピークは高周波数へとシフトする(ω sc)。これら、ASピーク及びSCピークは、それぞれ摩擦なし、滑りなしの状態に対応する。これらのピークを参照として、上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間の試料挿入部21に液体試料を挟んだ状態で測定される共振ピークの振幅と周波数より液体試料の特性を評価できる。典型的には、ASピーク周波数ω ASは195rad/s(31Hz)付近、SCピークの周波数ωscは350rad/s(56Hz)付近に観測される。ただし、共振ピークはセッティングごとに変化する場合があるため、セッティング毎にASピーク及びSCピークを測定する。
[0036]
(共振ずり曲線の物理モデル解析)
 図2は、図1に示される共振ずり測定装置1の、共振ずり曲線の解析に用いた物理モデルを示す概略図である。上部ユニット10のパラメータとして粘性項b 、弾性項k 、有効質量m を考える。試料液体部としては粘性項b 、弾性項k を考える。下部ユニット11のパラメータとして粘性項b 、弾性項k 、有効質量m を考える。これらのパラメータを用いて上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面の運動方程式はそれぞれ以下のように表すことができる。
[0037]
[数1]


[0038]
[数2]


[0039]
 ここで、x は、上部ディスク基板16の下面の水平方向の変位であり、x は下部ディスク基板14の上面の水平方向の変位であり、αは、x とひずみゲージ19で測定される、垂直方向に設けられた板形状のバネ17の変位x measuredを関係づけるパラメータ(x =α・x measured)を表し、Fexp(iωt) は圧電素子15からの外力を表す。x とx の定常解をそれぞれ、x =X exp(iωt+φ ) 、x =X exp(iωt+φ )として,式(1)及び式(2)の連立微分方程式を解くことで、振幅(X ,X ),および位相項(φ ,φ )の解析解が得られる。X の解より共振ずり曲線(U out/U in vs ω)の理論式は以下のように表される.
[0040]
[数3]


[0041]
 ここで、B =b /α+b ,B =b +b ,K =k /α+k ,K =k +k である。ここでαは実測により得られたα=1に固定する。m は上部ユニットの質量の実測値を用いる。式(3)中のb 、k 、b 、k 、m をゼロとして、空気中分離(AS)の共振ずり曲線をフィッティングし、上部ユニット10のパラメータk 、b を決定する。
[0042]
 また、x =x として式(3)中の試料部のパラメータ(k 、b )の項を消去した式で固体接触(SC)の共振ずり曲線をフィッティングし、下部ユニット11のパラメータb 、k を決定する。上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間の試料挿入部21に試料を挟んだ状態で測定した共振ずり曲線のフィッティングにより試料部のパラメータ(b 、k )を決定する。装置定数Cは、下部ユニット11の寄与のない空気中分離(AS)、および下部ユニット11の寄与のある固体接触(SC)のそれぞれの共振ずり曲線のフィッティングにより決定することができる。
[0043]
 粘性パラメータb (Ns/m)と、粘性率η(N/m ・s)との関係は、b =ηA/D(A:せん断面積、D:上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間の表面間距離)で表される。
実施例
[0044]
 以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
[0045]
[比較例1]
 図6で示される、変位計測手段として静電容量計20を備える従来の共振ずり測定装置3を用いて、空気中で、圧電素子15に周波数を変化させながら正弦波の交流電圧を印加することにより、上部ユニット10の振動に伴う静電容量計20からの応答電圧を測定した。図3は、交流電圧(すなわち印加電圧)の周波数(横軸)に対して、(応答電圧の振幅U out)/(印加電圧の振幅U in)の比(縦軸)を表したグラフである。上部ユニット10の共振ずり曲線が測定されていることが分かる。
[0046]
[実施例1]
(空気中で、上部ディスク基板16の下面と下部ディスク基板14の上面との間が離れた状態(AS)での共振ずり曲線の測定)
 図1で示される、変位計測手段としてひずみゲージ19を備える本実施形態の共振ずり測定装置1を用いて、空気中で、圧電素子15に周波数を変化させながら正弦波の交流電圧を印加することにより、上部ユニット10の振動に伴うひずみゲージ19からの応答電圧を測定した。図4は、交流電圧(すなわち印加電圧)の周波数(横軸)に対して、(応答電圧の振幅U out)/(印加電圧の振幅U in)の比(縦軸)を表したグラフである。上部ユニット10の共振ずり曲線が測定されていることが分かる。
[0047]
[実施例2]
 本実施形態の共振ずり測定装置1において、ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DODA)で修飾した雲母を上部ディスク基板16および下部ディスク基板14にとりつけ、その2つの間の表面間に純水を挿入した。純水を試料挿入部21に挟んだ状態で、圧電素子15に周波数を変化させながら正弦波の交流電圧を印加することにより、上部ユニット10の振動に伴うひずみゲージ19からの応答電圧を測定した。図5は、交流電圧(すなわち印加電圧)の周波数(横軸)に対して、(応答電圧の振幅Uout)/(印加電圧の振幅Uin)の比(縦軸)を表したグラフであって、変位計測手段としてひずみゲージ19を備える共振ずり測定装置1を用いて測定されたものである。表面間距離(D)が801nmの場合、液体試料の粘性により、振動する動きが妨げられ、空気中の場合よりも、振幅が減少する。すなわち共振ずり曲線のピーク強度が減少する。また、表面間距離(D)が2.1nmとした場合、水が排除されてDODA分子が直接接触して摩擦が生じるために、共振ずり曲線のピーク周波数は高周波数側にシフトする。このように表面間距離(D)や荷重(L)を変化させて、共振ずり曲線のピーク周波数やピーク強度を比較することで、表面間の液体の粘弾性や摩擦の変化が測定可能である。

産業上の利用可能性

[0048]
 本発明の共振ずり測定装置は、液体試料、液晶試料等の粘弾性測定、潤滑度測定、摩擦測定、樹脂の粘弾性測定等の用途に利用可能である。

符号の説明

[0049]
 1,3・・・共振ずり測定装置、10・・・上部ユニット、11・・下部ユニット、12・・・下部ディスクホルダ、13・・・上部ディスクホルダ、14・・・下部ディスク基板、15・・・圧電素子、16・・・上部ディスク基板、17・・・バネ、18・・・電気ケーブル、19・・・ひずみゲージ、20・・・静電容量計、21・・・試料挿入部、22・・・水平バネ、23・・・微小駆動系、30・・・固定機材、40・・・情報処理ユニット

請求の範囲

[請求項1]
 圧電素子、上部ディスク基板及びバネを有する上部ユニットと、下部ディスク基板を有する下部ユニットと、を備え、
 前記上部ディスク基板の下面と前記下部ディスク基板の上面との間が試料挿入部を形成し、
 前記圧電素子及び前記上部ディスク基板は、バネを介して固定機材に振動可能に接続され、
 ひずみゲージが前記バネに貼着され、
 前記圧電素子に周波数を変化させながら交流電圧を印加することにより、前記上部ユニットの振動に伴う前記ひずみゲージからの共振時の応答電圧を測定する、共振ずり測定装置。
[請求項2]
 更に、前記圧電素子と電気的に接続された情報処理ユニットを備え、ひずみゲージが前記情報処理ユニットと電気的に接続されて、前記情報処理ユニットが、前記圧電素子に周波数を変化させながら交流電圧を印加することにより、前記上部ユニットの振動に伴う前記ひずみゲージからの共振時の応答電圧を測定する、請求項1に記載の共振ずり測定装置。
[請求項3]
 共振時の前記交流電圧の振幅及び共振時の前記応答電圧の振幅に基づいて、前記試料挿入部に挿入された試料の粘弾性を測定する、請求項1又は2に記載の共振ずり測定装置。
[請求項4]
 前記周波数に対する前記交流電圧の振幅及び前記応答電圧の振幅から求められる共振ずり曲線に基づいて、物理モデル解析により、前記試料挿入部に挿入された試料の粘弾性を測定する、請求項3に記載の共振ずり測定装置。 

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]