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1. WO2020116513 - LASER WELDING DEVICE

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明 細 書

発明の名称 レーザ溶接装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018  

発明の効果

0019  

図面の簡単な説明

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096  

符号の説明

0097  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

明 細 書

発明の名称 : レーザ溶接装置

技術分野

[0001]
 本発明は、レーザ溶接装置に関し、特に、ワークが配置される低圧の内部空間を有するチャンバと、ワークを溶接するレーザ光を照射するレーザ光照射部とを備えるレーザ溶接装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、ワークが配置される低圧の内部空間を有するチャンバと、ワークを溶接するレーザ光を照射するレーザ光照射部とを備えるレーザ溶接装置が知られている。このようなレーザ溶接装置は、たとえば、特許第5234471号公報に開示されている。
[0003]
 上記特許第5234471号公報には、低真空雰囲気下で内部に配置されたワークの溶接が行われるチャンバと、レーザ発振機により発生したレーザ光を照射するレーザ部(レーザ光照射部)とを備えるレーザ溶接装置が開示されている。上記特許第5234471号公報のレーザ溶接装置は、レーザ部とチャンバとの間に配置され、シールドガスが供給されるシールドガス筒と、シールドガス筒のレーザ光の照射方向側とは反対側に配置される透過窓とを備えている。
[0004]
 上記特許第5234471号公報のレーザ溶接装置では、シールドガス筒内の空間およびチャンバ内の空間を通過したレーザ部からのレーザ光が、ワークに照射される。そして、上記特許第5234471号公報のレーザ溶接装置では、ワークに照射されたレーザ光によりワークが溶融されることによって、ワークの溶接が行われている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特許第5234471号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 ここで、上記特許第5234471号公報のレーザ溶接装置では、チャンバ内が低真空雰囲気であるので、レーザ光により溶融されたワークから噴出する金属蒸気が、シールドガス筒を通過して透過窓に向かう。この際、上記特許第5234471号公報のレーザ溶接装置では、シールドガス筒にシールドガスを供給することにより、ワークから噴出する金属蒸気が透過窓に到達して付着することが抑制される。
[0007]
 しかしながら、上記特許第5234471号公報のレーザ溶接装置では、ワークから噴出する金属蒸気の勢いをさらに弱めることにより、ワークから噴出する金属蒸気が透過窓(レーザ透過窓)に到達して付着することをより確実に抑制することが望まれている。ここで、金属蒸気が透過窓に付着すると、透過窓を透過するレーザ光が透過窓に付着した金属蒸気により遮られワークの溶接が不安定になり、ワークに溶接不良が生じるので、透過窓の清掃が必要となる。
[0008]
 本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の1つの目的は、ワークの溶融時に金属蒸気が透過窓に付着することを抑制することが可能なレーザ溶接装置を提供することである。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記目的を達成するために、本願発明者が鋭意検討した結果、筒状部を大きくすることにより、ワークから噴出する金属蒸気の勢いをさらに弱め、ワークの溶融時に金属蒸気が透過窓に付着することをより効果的に抑制することができるという新たな知見を得た。この発明の一の局面によるレーザ溶接装置は、この新たな知見を利用して、ワークの溶接時に金属蒸気がレーザ透過窓に付着することを抑制するものである。すなわち、本発明の一の局面におけるレーザ溶接装置は、ワークが配置される低圧の内部空間を有するチャンバと、ワークを溶接するレーザ光を照射するレーザ光照射部と、レーザ光照射部からのレーザ光が通過するとともに、チャンバと連通する筒状部とを備え、筒状部は、レーザ光の照射方向側とは反対側に配置され、レーザ光を透過可能なレーザ透過窓を有する第1筒状部と、レーザ光が通過する空間を有するとともに、第1筒状部の照射方向側に隣接する第2筒状部とを含み、第2筒状部は、照射方向に沿って一定の照射方向に直交する断面形状を有し、筒状部は、照射方向におけるチャンバの長さよりも大きい所定の長さを有している。
[0010]
 本発明の一の局面によるレーザ溶接装置では、上記のように、筒状部は、照射方向側とは反対側に配置され、レーザ光を透過可能なレーザ透過窓を有する第1筒状部を含んでいる。筒状部は、レーザ光が通過する空間を有するとともに、第1筒状部の照射方向側に隣接する第2筒状部を含んでいる。筒状部は、照射方向におけるチャンバの長さよりも大きい所定の長さを有している。これにより、第2筒状部の照射方向の長さが大きい分だけ、ワークにレーザ光が当たる加工点からレーザ透過窓までの距離を大きくすることができる。この結果、レーザ光によりワークの加工点から噴出する金属蒸気が、レーザ透過窓まで到達するのを抑制することができるので、ワークの溶接時に金属蒸気がレーザ透過窓に付着することを抑制することができる。また、筒状部を照射方向におけるチャンバの長さよりも大きい所定の長さを有するように構成することにより、筒状部を照射方向におけるチャンバの長さよりも小さくした場合よりも、筒状部の容積が大きくなるので、金属蒸気を筒状部内においてより拡散させやすくすることができる。この点でも、金属蒸気がレーザ透過窓に付着することを抑制することができる。
[0011]
 上記一の局面によるレーザ溶接装置において、好ましくは、第1筒状部の照射方向側の端部は、第2筒状部の空間に突出することなく、第2筒状部の照射方向側とは反対側の端部に隣接する。このように構成すれば、第1筒状部の照射方向側の端部が、第2筒状部の空間に突出している場合と比較して、第1筒状部と第2筒状部とが連通する位置を照射方向側とは反対側に配置することができる。この結果、第2筒状部内に入り込んだ金属蒸気が第1筒状部内に入りにくくすることができるので、レーザ透過窓への金属蒸気の付着をより抑制することができる。また、第1筒状部の照射方向側の端部が、第2筒状部の空間に突出している場合と比較して、第1筒状部の形状の複雑化を抑制することができるので、第1筒状部の第2筒状部への取付を容易に行うことができる。
[0012]
 上記一の局面によるレーザ溶接装置において、好ましくは、第2筒状部の照射方向に直交する断面形状は、矩形形状を有する。このように構成すれば、第2筒状部の照射方向に直交する断面形状を円形形状にした場合と比較して、円形形状の直径と同じ幅の辺を有する矩形形状にした場合の方が、第2筒状部の照射方向に直交する方向の断面積を大きくすることができる。この結果、ワークの加工点から噴出する金属蒸気を拡散させるために必要な第2筒状部内の空間を確保しやすくすることができる。
[0013]
 上記矩形形状の断面形状を有する第2筒状部を備えるレーザ溶接装置において、好ましくは、第2筒状部は、平面視において、照射方向に延びる上面部を有し、第2筒状部の矩形形状の断面形状は、上面部の面内方向において照射方向に直交する第1方向の長さの方が、照射方向および第1方向に直交する第2方向の長さよりも大きい扁平形状を有する。このように構成すれば、第1方向の長さが大きい扁平形状にすることにより、第2筒状部の断面積を大きくしながら、第2筒状部が第2方向にサイズが大きくなることを抑制することができる。この結果、第2筒状部が第2方向において他の構成に干渉することを抑制することができるとともに、ワークの加工点から噴出する金属蒸気を拡散させるために必要な第2筒状部内の空間の容積を確保することができる。
[0014]
 上記扁平形状の断面形状を有する第2筒状部を備えるレーザ溶接装置において、好ましくは、第2筒状部の第1方向の長さは、チャンバの第1方向の長さの半分よりも大きい。このように構成すれば、ワークの加工点から照射方向側とは反対側に噴出する金属蒸気を、第1方向により拡散させることができるので、金属蒸気をレーザ透過窓により付着しにくくすることができる。
[0015]
 上記扁平形状の断面形状を有する第2筒状部を備えるレーザ溶接装置において、好ましくは、第1筒状部の第1方向の長さは、第2筒状部の第1方向の長さよりも小さい。このように構成すれば、第1筒状部の断面積が第2筒状部の断面積よりも小さくなり、金属蒸気が第1筒状部に入りにくくなるので、金属蒸気をレーザ透過窓により一層付着しにくくすることができる。
[0016]
 この場合、好ましくは、第1筒状部の照射方向に直交する断面形状は、円形形状を有する。このように構成すれば、第1筒状部の断面形状を第2筒状部の断面形状と同じ矩形形状にした場合と比較して、第1筒状部の断面積をより小さくすることができるので、金属蒸気が第1筒状部により入りにくくすることができる。
[0017]
 上記扁平形状の断面形状を有する第2筒状部を備えるレーザ溶接装置において、好ましくは、チャンバ内の空気を排気してチャンバの内部空間を低圧にするポンプをさらに備え、チャンバまたは第2筒状部は、ポンプに接続され、ワークの照射方向側とは反対側の端部から、照射方向側とは反対側に所定間隔を離して配置される排気口を含む。このように構成すれば、ポンプを用いた排気により生じるワークの加工点近傍の排気流れを、ワークの加工点近傍から照射方向とは反対方向に向かわせることができる。この結果、ポンプを用いた排気により生じるワークの加工点近傍の排気流れを、ワークの表面に沿った方向に向かわせることを抑制することができるので、ワークの加工点における金属の溶融部分の表面部での起伏(凹凸)の発生を抑制することができる。
[0018]
 上記ワークから所定間隔を離して配置される排気口を含むレーザ溶接装置において、好ましくは、第2方向に沿った回転軸線回りにワークを回転可能に支持する支持部をさらに備え、排気口は、チャンバまたは第2筒状部のうちワークにおいてレーザ光照射部からのレーザ光が当たる加工点における回転方向側の側面部分に設けられている。このように構成すれば、ワークの加工点近傍から排気口に向かう排気流れを、ワークの回転により発生するチャンバ内の空気流れに沿わせることができるので、ワークの回転により発生するチャンバ内の空気流れを乱さないようにすることができる。これにより、ワークの加工点における金属の溶融部分の表面部での起伏(凹凸)の発生をより抑制することができる。

発明の効果

[0019]
 本発明によれば、上記のように、ワークの溶融時に金属蒸気が透過窓に付着することを抑制することができる。

図面の簡単な説明

[0020]
[図1] 第1実施形態によるレーザ溶接装置の全体を示した模式的な断面図である。
[図2] 第1実施形態によるレーザ溶接装置におけるチャンバと筒状部とを示した模式的な断面図である。
[図3] 第1実施形態によるレーザ溶接装置における第2筒状部の断面形状を示した模式的な断面図である。
[図4] 実施例に用いられたレーザ溶接装置を模式的に示した断面図である。
[図5] 第1比較例に用いられたレーザ溶接装置を模式的に示した断面図である。
[図6] 第2比較例に用いられたレーザ溶接装置を模式的に示した断面図である。
[図7] 第2比較例に用いられたレーザ溶接装置によるワークの溶接後のレーザ透過窓を示した図である。
[図8] 第3比較例に用いられたレーザ溶接装置を模式的に示した断面図である。
[図9] 第3比較例に用いられたレーザ溶接装置によるワークの溶接後のレーザ透過窓を示した図である。
[図10] 第4比較例に用いられたレーザ溶接装置を模式的に示した断面図である。
[図11] 第4比較例に用いられたレーザ溶接装置によるワークの溶接後のレーザ透過窓を示した図である。
[図12] 第5比較例に用いられたレーザ溶接装置を模式的に示した断面図である。
[図13] 第5比較例に用いられたレーザ溶接装置によるワークの溶接後のレーザ透過窓を示した図である。
[図14] 第2実施形態によるレーザ溶接装置におけるチャンバと筒状部とを示した模式的な断面図である。

発明を実施するための形態

[0021]
 以下、本発明の実施形態を説明する。
[0022]
[第1実施形態]
 まず、図1~図3を参照して、本発明の第1実施形態によるレーザ溶接装置1の構成について説明する。
[0023]
(レーザ溶接装置)
 レーザ溶接装置1は、図1に示すように、エンジンからトランスミッションのシャフトに回転トルクを伝達するトルクコンバータ100(以下、ワークW)に対して、レーザ光Lによる溶接を行うように構成されている。具体的には、レーザ溶接装置1は、レーザ光照射部2と、チャンバ3と、脚部4と、筒状部5と、不活性ガス供給部6と、シャッタ7(図2参照)と、真空計8と、真空ポンプ9と、支持部10と、回転駆動機構11とを備えている。なお、真空ポンプ9は、請求の範囲の「ポンプ」の一例である。
[0024]
 レーザ光照射部2は、ワークWを溶接するレーザ光Lを照射するように構成されている。ここで、レーザ光照射部2は、CO レーザ、YAG(Yttrium Aluminium Garnet)レーザ、ファイバーレーザまたはディスクレーザなどの公知のレーザを使用する。具体的には、レーザ光照射部2は、レーザ光Lを発生させるレーザ発振機2aと、レーザ発振機2aにおいて発生したレーザ光Lの焦点を調節する光学系2bとを含んでいる。また、レーザ光照射部2は、長焦点(焦点距離F:約900[mm])である。なお、ワークWにおいて、レーザ光照射部2からのレーザ光Lが当たる個所を加工点Pとする。
[0025]
 ここで、レーザ光照射部2において光学系2bから出射したレーザ光Lの光軸が延びる方向を光軸方向A1とする。また、光軸方向A1および上下方向A2に直交する方向を、幅方向A3とする。また、レーザ光照射部2において光学系2bから出射したレーザ光LのワークWに向かう方向を照射方向Eとする。なお、幅方向A3は、請求の範囲の「第1方向」の一例である。上下方向A2は、請求の範囲の「第2方向」の一例である。
[0026]
 チャンバ3は、図1および図2に示すように、内部にワークWを収容可能なように構成されている。具体的には、チャンバ3は、上壁部3aと、下壁部3bと、上壁部3aと下壁部3bとの間に設けられる側壁部3cと、上壁部3a、下壁部3bおよび側壁部3cに囲まれた内部空間3dとを含んでいる。側壁部3cは、レーザ光Lが通過する開口31aが形成された第1側壁部31と、光軸方向A1において第1側壁部31に対向する第2側壁部32とを有している。また、側壁部3cは、真空ポンプ9に接続される排気口12が形成された第3側壁部33と、幅方向A3において第3側壁部33に対向する第4側壁部34とを有している。ここで、チャンバ3は、アルミニウムなどの金属により形成されている。
[0027]
 また、チャンバ3では、真空計8および真空ポンプ9を用いて内部空間3dの空気圧を調節することにより、内部空間3dが低真空雰囲気(約0.1kPa)に設定される。すなわち、チャンバ3は、ワークWが配置される低圧の内部空間3dを有している。
[0028]
 脚部4は、上下方向A2に延びており、チャンバ3を下方側から支持する。脚部4では、上端部が下壁部3bの下端部に取り付けられ、下端部が床に取り付けられている。
[0029]
 筒状部5は、レーザ光照射部2からのレーザ光Lが透過するとともに、チャンバ3と連通する。詳細には、筒状部5は、照射方向E側とは反対側に配置され、レーザ光Lを透過可能なレーザ透過窓20を有する第1筒状部50と、レーザ光Lが通過する空間60aを有するとともに、第1筒状部50の照射方向E側に隣接する第2筒状部60とを含んでいる。ここで、第1筒状部50は、レーザ光Lを通過させる空間50aを有している。第1筒状部50の空間50aは、チャンバ3の内部空間3dに第2筒状部60の空間60aを介して連通する。筒状部5には、第1筒状部50の空間50aと第2筒状部60の空間60aとを合わせた内部空間5aが形成されている。
[0030]
 これにより、レーザ光照射部2からのレーザ光Lは、レーザ透過窓20、第1筒状部50の空間50a、第2筒状部60の空間60aおよびチャンバ3の内部空間3dの順に通過してワークWに到達する。
[0031]
 不活性ガス供給部6は、筒状部5内に不活性ガス(窒素、アルゴン、二酸化炭素またはヘリウムなど)を供給するように構成されている。具体的には、不活性ガスを貯留する不活性ガス貯留部6aと、不活性ガス貯留部6aから供給された不活性ガスを筒状部5の内部空間5aに噴射するガス噴射ノズル6bとを含んでいる。
[0032]
 シャッタ7は、レーザ透過窓20よりも光軸方向A1の出射側の内部空間5aを遮断するように構成されている。具体的には、シャッタ7は、幅方向A3に移動することにより、第1筒状部50のレーザ透過窓20からシャッタ7までの空間と、チャンバ3の内部空間3dとの連通または遮断を切替可能に構成されている。シャッタ7は、第1筒状部50に配置されている。
[0033]
 真空計8は、電離真空計などの公知の真空計を使用する。真空ポンプ9は、ロータリ型真空ポンプなどの公知の真空ポンプを使用する。真空ポンプ9は、チャンバ3内の空気を排気してチャンバ3の内部空間3dを低圧にするように構成されている。
[0034]
 支持部10は、上下方向A2に沿った回転軸線R回りにワークWを回転可能に支持するように構成されている。支持部10は、回転駆動機構11に接続されている。これにより、支持部10は、回転駆動機構11の駆動により回転軸線R回りに回転する。また、ワークWは、支持部10に取り付けられているので、支持部10の回転軸線R回りの回転に伴い回転する。
[0035]
 回転駆動機構11は、支持部10を回転軸線R回りに回転させるように構成されている。具体的には、回転駆動機構11は、モータ11aと、一端部をモータ11aに架け、他端部を支持部10に架けるベルト11bと、支持部10を支持する軸受11cとを含んでいる。
[0036]
(筒状部)
 以下では、上記した筒状部5についてより詳細に説明する。
[0037]
 本実施形態の筒状部5は、照射方向Eにおけるチャンバ3の長さL1よりも大きい所定の長さL2を有している。筒状部5の所定の長さL2は、第1筒状部50の照射方向Eの長さL5と、第2筒状部60の照射方向Eの長さL6とを足した長さである。また、筒状部5の所定の長さL2は、レーザ光照射部2の焦点距離Fよりも小さい。これにより、レーザ透過窓20は、ワークWの加工点Pから、筒状部5の所定の長さL2の分だけ離れた位置に配置される。ここで、筒状部5の所定の長さL2は、照射方向Eにおけるチャンバ3の長さL1の約1.15倍以上であることが好ましい。
[0038]
〈第1筒状部〉
 図2および図3に示すように、第1筒状部50は、光軸方向A1における出射側の端部53aに開口51を有する円筒形状を有している。すなわち、第1筒状部50の照射方向Eに直交する断面形状は、円形形状を有している。ここで、第1筒状部50は、照射方向Eから視て円形形状に形成され、照射方向Eとは反対側に設けられた端面部52と、端面部52の周縁部から照射方向E側に突出する側周面部53とを有している。第1筒状部50の端面部52は、レーザ透過窓20が嵌め込まれる開口52aを有している。
[0039]
 図2に示すように、第1筒状部50の照射方向E側の端部53aは、第2筒状部60の照射方向E側とは反対側の端部に取り付けられている。ここで、第1筒状部50の照射方向E側の端部53aは、第2筒状部60の空間60aに突出することなく、第2筒状部60の照射方向E側とは反対側の端部に隣接する。すなわち、第1筒状部50の側周面部53の照射方向E側の端部53aは、第2筒状部60の空間60aに突出するノズル形状を有していない。
[0040]
 第1筒状部50の容積は、第2筒状部60の容積よりも小さい。すなわち、第1筒状部50の幅方向A3の長さL3は、第2筒状部60の幅方向A3の長さL4よりも小さい。また、第1筒状部50の幅方向A3の長さL3は、レーザ透過窓20の幅方向A3の長さよりも大きい。第1筒状部50の照射方向Eの長さL5は、第2筒状部60の照射方向Eの長さL6よりも小さい。また、第1筒状部50の照射方向Eの長さL5は、第2筒状部60の照射方向Eの約1/3の長さよりも大きい。
[0041]
〈第2筒状部〉
 図2および図3に示すように、第2筒状部60は、照射方向E側の端部に開口61を有する角筒形状を有している。すなわち、第2筒状部60の照射方向Eに直交する断面形状は、矩形形状を有している。また、第2筒状部60は、照射方向Eに沿って一定の断面形状を有している。ここで、第2筒状部60は、上面部62と、下面部63と、上面部62と下面部63との間に設けられる側面部64とを含んでいる。第2筒状部60の側面部64は、照射方向E側とは反対側に設けられた端面部65と、幅方向A3における排気口12側に設けられる第1側面部64aと、第1側面部64aと対向する第2側面部64bとを有している。第2筒状部60の端面部65は、第1筒状部50の空間50aと第2筒状部60の空間60aとを連通させる連通口65aを有している。
[0042]
 このような第2筒状部60が、第1筒状部50とチャンバ3との間に配置されている。つまり、第2筒状部60の照射方向E側の端部は、チャンバ3の照射方向E側とは反対側の端部に取り付けられている。第2筒状部60の照射方向E側とは反対側の端部は、第1筒状部50の照射方向E側の端部に取り付けられている。
[0043]
 また、図3に示すように、第2筒状部60の矩形形状の断面形状は、幅方向A3の長さL4の方が、上下方向A2の長さHよりも大きい扁平形状を有している。すなわち、第2筒状部60は、第2筒状部60の容積を確保しつつ上下方向A2に大きくならないようにするために、第2筒状部60の照射方向Eに直交する断面形状が矩形形状の中でも扁平形状に形成されている。具体的には、第2筒状部60では、上面部62および下面部63の幅方向A3の長さL4は、第1側面部64aおよび第2側面部64bの上下方向A2の長さHよりも長い。
[0044]
 図2に示すように、第2筒状部60は、ワークWの加工点Pにレーザ光Lを当てた際に照射方向E側とは反対側に噴出する金属蒸気のレーザ透過窓20への付着を妨げるために、少なくとも第2筒状部60の分だけ、加工点Pとレーザ透過窓20との距離が離れている。具体的には、第2筒状部60の照射方向Eの長さL6は、チャンバ3の照射方向Eの長さL1の約4/5よりも大きい。また、第2筒状部60の照射方向Eの長さL6は、チャンバ3の照射方向Eの長さL1よりも小さい。さらに、第2筒状部60の幅方向A3の長さL4は、チャンバ3の幅方向A3の長さL7の半分よりも大きい。また、第2筒状部60の幅方向A3の長さL4は、チャンバ3の幅方向A3の長さL7よりも小さい。
[0045]
 第2筒状部60の空間60aの容積は、噴出する金属蒸気を拡散させるための容積を確保するために、チャンバ3の内部空間3dの容積よりも小さく、かつ、第1筒状部50の空間50aの容積よりも大きい。
[0046]
(排気口)
 以下では、上記した排気口12についてより詳細に説明する。
[0047]
 図2に示すように、本実施形態の排気口12は、真空ポンプ9に接続され、ワークWの照射方向E側とは反対側の端部(加工点P)から、照射方向E側とは反対側に所定間隔Mを離して配置されている。つまり、排気口12は、ワークWの加工点Pにおける金属の溶融部分の表面部での起伏の発生を抑制するために、加工点Pから所定間隔Mを離して配置されている。ここで、排気口12は、真空ポンプ9を用いた排気により生じるワークWの加工点P近傍の排気流れを、ワークWの加工点P近傍から照射方向E側とは反対側に流れる位置に配置されている。
[0048]
 所定間隔Mは、ワークWの加工点Pと排気口12の光軸方向A1の中央部Cとの間隔である。所定間隔Mは、チャンバ3の照射方向Eの長さL1の約1/6以上の長さを有している。
[0049]
 また、排気口12は、ワークWの回転により発生する空気流れを乱さないように、ワークWの回転方向に対応する位置に配置されている。具体的には、排気口12は、加工点Pにおける回転方向側の側面部64に設けられている。ここで、ワークWの回転方向が反時計回りであるので、排気口12は、上記したように、第3側壁部33に形成されている。
[0050]
(第1実施形態の効果)
 第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
[0051]
 第1実施形態では、上記のように、筒状部5は、照射方向E側とは反対側に配置され、レーザ光Lを透過可能なレーザ透過窓20を有する第1筒状部50を含んでいる。筒状部5は、レーザ光Lが通過する内部空間5aを有するとともに、第1筒状部50の照射方向E側に隣接する第2筒状部60を含んでいる。筒状部5は、照射方向Eにおけるチャンバ3の長さL1よりも大きい所定の長さL2を有している。これにより、第2筒状部60の照射方向Eの長さL6が大きい分だけ、ワークWにレーザ光Lが当たる加工点Pからレーザ透過窓20までの距離を大きくすることができる。この結果、レーザ光LによりワークWの加工点Pから噴出する金属蒸気が、レーザ透過窓20まで到達するのを抑制することができるので、ワークWの溶接時に金属蒸気がレーザ透過窓20に付着することを抑制することができる。また、筒状部5を照射方向Eにおけるチャンバ3の長さL1よりも大きい所定の長さL2を有するように構成することにより、筒状部5を照射方向Eにおけるチャンバ3の長さL1よりも小さくした場合よりも、筒状部5の容積が大きくなるので、金属蒸気を筒状部5内においてより拡散させやすくすることができる。この点でも、金属蒸気がレーザ透過窓20に付着することを抑制することができる。また、レーザ光LによりワークWの加工点Pから噴出する金属蒸気が、レーザ透過窓20に付着しにくくなるので、ワークWの溶接を安定して行うことが可能である。
[0052]
 また、第1実施形態では、上記のように、第1筒状部50の照射方向E側の端部53aは、第2筒状部60の空間60aに突出することなく、第2筒状部60の照射方向E側とは反対側の端部に隣接する。これにより、第1筒状部50の照射方向E側の端部53aが、第2筒状部60の空間60aに突出している場合と比較して、第1筒状部50と第2筒状部60とが連通する位置を照射方向Eとは反対側に配置することができる。この結果、第2筒状部60内に入り込んだ金属蒸気が第1筒状部50内に入りにくくすることができるので、レーザ透過窓20への金属蒸気の付着をより抑制することができる。また、第1筒状部50の照射方向E側の端部53aが、第2筒状部60の空間60aに突出している場合と比較して、第1筒状部50の形状の複雑化を抑制することができるので、第1筒状部50の第2筒状部60への取付を容易に行うことができる。
[0053]
 また、第1実施形態では、上記のように、第2筒状部60の照射方向Eに直交する断面形状は、矩形形状を有する。これにより、第2筒状部60の照射方向Eに直交する断面形状を円形形状にした場合と比較して、円形形状の直径と同じ幅の辺を有する矩形形状にした場合の方が、第2筒状部60の照射方向Eに直交する方向の断面積を大きくすることができる。この結果、ワークWの加工点Pから噴出する金属蒸気を拡散させるために必要な第2筒状部60内の空間60aを確保しやすくすることができる。
[0054]
 また、第1実施形態では、上記のように、第2筒状部60は、平面視において、照射方向Eに延びる上面部62を有し、第2筒状部60の矩形形状の断面形状は、幅方向A3の長さL4の方が、上下方向A2の長さHよりも大きい扁平形状を有する。これにより、幅方向A3の長さL4が大きい扁平形状にすることにより、第2筒状部60の断面積を大きくしながら、第2筒状部60が上下方向A2にサイズが大きくなることを抑制することができる。この結果、第2筒状部60が上下方向A2において他の構成に干渉することを抑制することができるとともに、ワークWの加工点Pから噴出する金属蒸気を拡散させるために必要な第2筒状部60内の空間60aの容積を確保することができる。
[0055]
 また、第1実施形態では、上記のように、第2筒状部60の幅方向A3の長さL4は、チャンバ3の幅方向A3の長さL7の半分よりも大きい。これにより、ワークWの加工点Pから照射方向Eとは反対側に噴出する金属蒸気を、幅方向A3により拡散させることができるので、金属蒸気をレーザ透過窓20により付着しにくくすることができる。
[0056]
 また、第1実施形態では、上記のように、第1筒状部50の幅方向A3の長さL3は、第2筒状部60の幅方向A3の長さL4よりも小さい。これにより、第1筒状部50の断面積が第2筒状部60の断面積よりも小さくなり、金属蒸気が第1筒状部50に入りにくくなるので、金属蒸気をレーザ透過窓20により一層付着しにくくすることができる。
[0057]
 また、第1実施形態では、上記のように、第1筒状部50の照射方向Eに直交する断面形状は、円形形状を有する。これにより、第1筒状部50の断面形状を第2筒状部60の断面形状と同じ矩形形状にした場合と比較して、第1筒状部50の断面積が小さくなるので、金属蒸気が第1筒状部50により入りにくくすることができる。
[0058]
 また、第1実施形態では、上記のように、チャンバ3は、真空ポンプ9に接続され、ワークWの照射方向E側とは反対側の端部から、照射方向E側とは反対側に所定間隔Mを離して配置される排気口12を含む。これにより、真空ポンプ9を用いた排気により生じるワークWの加工点P近傍の排気流れを、ワークWの加工点P近傍から照射方向Eとは反対方向に向かわせることができる。この結果、真空ポンプ9を用いた排気により生じるワークWの加工点P近傍の排気流れを、ワークWの表面に沿った方向に向かわせることを抑制することができるので、ワークWの加工点Pにおける金属の溶融部分の表面部での起伏(凹凸)の発生を抑制することができる。
[0059]
 また、第1実施形態では、上記のように、排気口12は、チャンバ3の第3側壁部33に設けられている。これにより、ワークWの加工点P近傍から排気口12に向かう排気流れを、ワークWの回転により発生するチャンバ3内の空気流れに沿わせることができるので、ワークWの回転により発生するチャンバ3内の空気流れを乱さないようにすることができる。この結果、ワークWの加工点Pにおける金属の溶融部分の表面部での起伏(凹凸)の発生をより抑制することができる。
[0060]
 また、第1実施形態では、上記のように、レーザ光照射部2は、長焦点(焦点距離F:約900[mm])である。これにより、加工点Pとレーザ透過窓20との距離をより大きくすることができるので、金属蒸気のレーザ透過窓20への付着をより抑制することが可能である。
[0061]
 また、第1実施形態では、上記のように、排気口12を加工点P近傍に配置することにより、加工点P周りの空気とともに金属蒸気を安定して排気することが可能である。この結果、加工点Pの真空度を安定させることが可能であるので、ワークWの溶接部分の品質を向上させることが可能である。
[0062]
(レーザ溶接装置を用いたワークの溶接の実験結果)
 次に、図4~図13および表1を参照して、上記したレーザ溶接装置1および構成に変更を加えたレーザ溶接装置201、301、401、501、601を用いてワークWの溶接を行った際のレーザ透過窓20の汚れを示した実施例および第1~第5比較例について説明する。表1は、実施例および第1~第5比較例の実験結果を示した表である。
[表1]


[0063]
〈実施例〉
 実施例について、図4および表1を参照して説明する。実施例は、上記したレーザ溶接装置1を用いてワークWの溶接を行った際の実験結果である。
[0064]
 図4に示すように、チャンバ3の内部空間3dの容積は、筒状部5の内部空間5aの容積よりも大きい。チャンバ3の照射方向Eの長さL1は、筒状部5の照射方向Eの長さL2よりも小さい。
[0065]
 実施例では、以下のような条件下で、レーザ溶接装置1によるワークW(トルクコンバータ100)の溶接を行った。チャンバ3の内部空間3dの容積は、38[L]である。筒状部5の内部空間5aの容積は、23[L]である。チャンバ3の照射方向Eの長さL1は、510[mm]である。筒状部5の照射方向Eの長さは、590[mm]である。チャンバ3の内部空間3dの圧力は、0.1[kPa]である。レーザ光照射部2の出力は、4.0[kW]である。レーザ光照射部2の焦点距離Fは、900[mm]である。不活性ガスは、窒素である。加工点Pと排気口12との所定間隔Mは、90[mm]である。
[0066]
 表1に示すように、実施例の実験結果では、金属蒸気による汚れがレーザ透過窓20に付着していない。この結果、筒状部5の照射方向Eの長さL2を十分に確保することにより、筒状部5内において金属蒸気の拡散が効果的に行われていることがわかる。
[0067]
〈第1比較例〉
 第1比較例について、図5および表1を参照して説明する。第1比較例は、上記した実施例のレーザ溶接装置1とは構成が異なるレーザ溶接装置201を用いてワークWの溶接を行った際の実験結果である。
[0068]
 図5に示すように、チャンバ203の内部空間203dの容積は、筒状部205の内部空間205aの容積よりも大きい。チャンバ203の照射方向Eの長さL1は、筒状部205の照射方向Eの長さL2よりも大きい。排気口212は、第1側壁部31に配置されている。また、第2筒状部260の空間260aには、第1筒状部250の照射方向E側の端部53aから先細り形状のノズル270が突出している。
[0069]
 第1比較例では、以下のような条件下で、レーザ溶接装置201によるワークW(トルクコンバータ100)の溶接を行った。チャンバ203の内部空間203dの容積は、12[L]である。筒状部205の内部空間205aの容積は、4[L]である。チャンバ3の内部空間3dの圧力は、0.1[kPa]である。レーザ光照射部202の出力は、4.0[kW]である。レーザ光照射部202の焦点距離Fは、250[mm]である。不活性ガスは、窒素である。排気口212の口径は、25[mm]である。
[0070]
 表1に示すように、第1比較例の実験結果では、レーザ光照射部202によるワークWの溶接を1回行った後、金属蒸気による汚れがレーザ透過窓20に付着している。この結果、筒状部205の光軸方向A1の長さL2を十分に確保できていないことにより、筒状部205内において金属蒸気の拡散が効果的に行われていないことがわかる。また、第2筒状部260の空間260a内に突出した先細り形状のノズル270により、レーザ透過窓20への金属蒸気の付着の抑制ができていないことがわかる。
[0071]
〈第2比較例〉
 第2比較例について、図6、図7および表1を参照して説明する。第2比較例は、上記した第1比較例のレーザ溶接装置201とは構成が異なるレーザ溶接装置301を用いてワークWの溶接を行った際の実験結果である。
[0072]
 図6に示すように、チャンバ303の内部空間303dの容積は、筒状部305の内部空間305aの容積よりも大きい。チャンバ3の照射方向Eの長さL1は、筒状部5の照射方向Eの長さL2よりも大きい。排気口312は、第2側壁部32に配置されている。また、第2筒状部360の空間360aには、第1筒状部350の照射方向E側の端部から先細り形状のノズル270が突出している。
[0073]
 第2比較例では、以下のような条件下で、レーザ溶接装置301によるワークW(トルクコンバータ100)の溶接を行った。チャンバ303の内部空間303dの容積は、12[L]である。筒状部305の内部空間305aの容積は、4[L]である。チャンバ303の内部空間303dの圧力は、0.1[kPa]である。レーザ光照射部202の出力は、4.0[kW]である。レーザ光照射部202の焦点距離Fは、250[mm]である。不活性ガスは、窒素である。排気口312の口径は、50[mm]である。
[0074]
 第2比較例においてレーザ光照射部202によるワークWの溶接を1回行った後のレーザ透過窓20の状態を図7に示す。表1に示すように、第2比較例の実験結果から、金属蒸気による汚れがレーザ透過窓20に付着している。これにより、筒状部305の照射方向Eの長さL2を十分に確保できていないことにより、筒状部305内において金属蒸気の拡散が効果的に行われていないことがわかる。また、排気口312を大きくしたが、金属蒸気の排気を促進することができていないことがわかる。また、第2筒状部360の空間360a内に突出した先細り形状のノズル270により、レーザ透過窓20への金属蒸気の付着の抑制ができていないことがわかる。
[0075]
〈第3比較例〉
 第3比較例について、図8、図9および表1を参照して説明する。第3比較例は、上記した第2比較例のレーザ溶接装置301とは構成が異なるレーザ溶接装置401を用いてワークWの溶接を行った際の実験結果である。
[0076]
 図8に示すように、チャンバ403の内部空間403dの容積は、筒状部5の内部空間5aの容積よりも大きい。チャンバ3の照射方向Eの長さL1は、筒状部5の照射方向Eの長さL2よりも大きい。排気口412、413は、それぞれ、第2側壁部32および第4側壁部34に配置されている。また、第2筒状部460の空間460aには、第1筒状部450の照射方向E側の端部53aから先細り形状のノズル270が突出している。
[0077]
 第3比較例では、以下のような条件下で、レーザ溶接装置401によるワークW(トルクコンバータ100)の溶接を行った。チャンバ403の内部空間403dの容積は、12[L]である。筒状部405の内部空間405aの容積は、4[L]である。チャンバ403の内部空間403dの圧力は、0.1[kPa]である。レーザ光照射部202の出力は、4.0[kW]である。レーザ光照射部202の焦点距離Fは、250[mm]である。不活性ガスは、窒素である。複数の排気口412、413の口径は、それぞれ、50[mm]である。
[0078]
 第3比較例においてレーザ光照射部202によるワークWの溶接を1回行った後のレーザ透過窓20の状態を図9に示す。表1に示すように、第3比較例の実験結果から、第2比較例の場合よりもレーザ透過窓20に付着した汚れは減少している。しかし、筒状部405の照射方向Eの長さL2を十分に確保できていないことにより、筒状部405内において金属蒸気の拡散が効果的に行われていないことがわかる。また、排気口の数を増加させたが、金属蒸気の排気を十分に行えていないことがわかる。また、第2筒状部460の空間460a内に突出した先細り形状のノズル270により、レーザ透過窓20への金属蒸気の付着の抑制ができていないことがわかる。
[0079]
〈第4比較例〉
 第4比較例について、図10、図11および表1を参照して説明する。第4比較例は、上記した第1比較例のレーザ溶接装置201とは構成が異なるレーザ溶接装置501を用いてワークWの溶接を行った際の実験結果である。
[0080]
 図10に示すように、チャンバ503の内部空間503dの容積は、筒状部505の内部空間505aの容積よりも大きい。チャンバ503の照射方向Eの長さL1は、筒状部505の照射方向Eの長さL2よりも大きい。排気口512は、第2筒状部560の第1側面部64aに配置されている。不活性ガス供給部506は、第2筒状部60の第2側面部64bから不活性ガスを供給している。また、第2筒状部560の空間560aには、第1筒状部550の照射方向E側の端部から先細り形状のノズル270が突出している。
[0081]
 第4比較例では、以下のような条件下で、レーザ溶接装置501によるワークW(トルクコンバータ100)の溶接を行った。チャンバ503の内部空間503dの容積は、12[L]である。筒状部505の内部空間505aの容積は、4[L]である。チャンバ503の内部空間503dの圧力は、0.1[kPa]である。レーザ光照射部202の出力は、4.0[kW]である。レーザ光照射部202の焦点距離Fは、250[mm]である。不活性ガスは、窒素である。図示しない複数の排気口512の口径は、それぞれ、25[mm]である。
[0082]
 第4比較例においてレーザ光照射部202によるワークWの溶接を1回行った後のレーザ透過窓20の状態を図11に示す。表1に示すように、第4比較例の実験結果から、第1比較例の場合よりもレーザ透過窓20に付着した汚れは減少している。しかし、筒状部505の照射方向Eの長さL2を十分に確保できていないことにより、筒状部505内において金属蒸気の拡散が効果的に行われていないことがわかる。さらに、レーザ透過窓20にスパッタ(加工点Pにおいてレーザ光Lにより溶融した金属)が付着していることがわかる。これは、排気口512の位置および不活性ガスの供給位置を変更し、不活性ガスの流れが変わったことによりスパッタが増加したと考えられる。また、第2筒状部560の空間560a内に突出した先細り形状のノズル270により、レーザ透過窓20への金属蒸気の付着およびスパッタの付着の抑制ができていないことがわかる。
[0083]
〈第5比較例〉
 第5比較例について、図12、図13および表1を参照して説明する。第5比較例は、上記した第1比較例のレーザ溶接装置201とは構成が異なるレーザ溶接装置601を用いてワークWの溶接を行った際の実験結果である。
[0084]
 図12に示すように、チャンバ603の内部空間603dの容積は、筒状部605の内部空間605aの容積よりも大きい。チャンバ603の照射方向Eの長さL1は、筒状部5の照射方向Eの長さL2よりも大きい。排気口612は、第2筒状部660の第1側面部64aに配置されている。
[0085]
 第5比較例では、以下のような条件下で、レーザ溶接装置601によるワークW(トルクコンバータ100)の溶接を行った。チャンバ603の内部空間603dの容積は、12[L]である。筒状部605の内部空間605aの容積は、8[L]である。チャンバ603の内部空間603dの圧力は、0.1[kPa]である。レーザ光照射部602の出力は、4.0[kW]である。レーザ光照射部602の焦点距離Fは、450[mm]である。不活性ガスは、窒素である。排気口612の口径は、25[mm]である。
[0086]
 第5比較例においてレーザ光照射部602によるワークWの溶接を5回行った後のレーザ透過窓20の状態を図13に示す。表1に示すように、第5比較例の実験結果から、第1比較例の実験結果よりも大幅にレーザ透過窓20に付着する金属蒸気の量を減少できたことがわかる。しかし、筒状部605の照射方向Eの長さL2を十分に確保できていないことにより、筒状部605内において金属蒸気の拡散が十分に行われていないことがわかる。
[0087]
[第2実施形態]
 次に、図14を参照して、本発明の第2実施形態によるレーザ溶接装置701の構成について説明する。この第2実施形態のレーザ溶接装置701では、第1実施形態のレーザ溶接装置1とは異なり、排気口712を第2筒状部760に配置するとともに、チャンバ703の照射方向Eの長さL1を減少および第2筒状部760の照射方向Eの長さL6を増加させた例について説明する。なお、第1実施形態のレーザ溶接装置1と同様の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。また、チャンバ703、第1筒状部50および第2筒状部760の各々の幅方向A3の長さL3、L4、L7は、第1実施形態と同じである。
[0088]
(第2筒状部)
 図14に示すように、第2筒状部760の照射方向Eの長さL6は、チャンバ703の照射方向Eの長さL1よりも大きい。これにより、第2筒状部760の空間760aの容積は、チャンバ703の内部空間703dの容積よりも大きい。
[0089]
(排気口)
 排気口712は、真空ポンプ9に接続され、ワークWの照射方向E側とは反対側の端部(加工点P)から、照射方向E側とは反対側に所定間隔Mを離して、第2筒状部760に配置されている。また、排気口712は、ワークWの加工点Pにおける回転方向側の側面部分に設けられている。すなわち、ワークWの回転方向が反時計回りであるので、排気口712は、第2筒状部760の第1側面部764aに形成されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
[0090]
(第2実施形態の効果)
 第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
[0091]
 第2実施形態では、上記のように、排気口712を第2筒状部760に配置することにより、チャンバ703内に配置する場合よりも、ワークWの加工点P近傍に不活性ガスが流入することを抑制することができる。この結果、加工点Pの真空度を安定させることが可能であるので、ワークWの溶接部分の品質を向上させることが可能である。なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
[0092]
 [変形例]
 なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
[0093]
 たとえば、上記第1および第2実施形態では、ワークWがトルクコンバータ100である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ワークは、トルクコンバータ以外の機械構成品であってもよい。
[0094]
 また、上記第1および第2実施形態では、レーザ光照射部2は、長焦点(焦点距離F:約900[mm])である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、レーザ光照射部は、約900[mm]を越える焦点距離を有していてもよい。
[0095]
 また、上記第1実施形態では、第2筒状部60のサイズは、チャンバ3のサイズよりも小さい例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2筒状部のサイズは、チャンバのサイズ以上の大きさであってもよい。
[0096]
 また、上記第1実施形態では、排気口12は、チャンバ3の第3側壁部33に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、排気口は、ワークの回転方向に対応させて上壁部、下壁部および第4側壁部に形成されてもよい。

符号の説明

[0097]
 1 レーザ溶接装置
 2 レーザ光照射部
 3、703 チャンバ
 3d、703d 内部空間
 5、705 筒状部
 9 真空ポンプ(ポンプ)
 10 支持部
 12、712 排気口
 20 レーザ透過窓
 33 第3側壁部(側面部分)
 50 第1筒状部
 53a 端部
 60 第2筒状部
 60a 空間
 62 上面部
 764a 第1側面部(側面部分)
 A2 上下方向(第2方向)
 A3 幅方向(第1方向)
 E 照射方向
 H、L1、L2、L3、L4、L7 長さ
 L レーザ光
 M 所定間隔
 P 加工点
 R 回転軸線
 W ワーク

請求の範囲

[請求項1]
 ワークが配置される低圧の内部空間を有するチャンバと、
 前記ワークを溶接するレーザ光を照射するレーザ光照射部と、
 前記レーザ光照射部からの前記レーザ光が通過するとともに、前記チャンバと連通する筒状部とを備え、
 前記筒状部は、前記レーザ光の照射方向側とは反対側に配置され、前記レーザ光を透過可能なレーザ透過窓を有する第1筒状部と、前記レーザ光が通過する空間を有するとともに、前記第1筒状部の前記照射方向側に隣接する第2筒状部とを含み、
 前記第2筒状部は、前記照射方向に沿って一定の前記照射方向に直交する断面形状を有し、
 前記筒状部は、前記照射方向における前記チャンバの長さよりも大きい所定の長さを有している、レーザ溶接装置。
[請求項2]
 前記第1筒状部の前記照射方向側の端部は、前記第2筒状部の前記空間に突出することなく、前記第2筒状部の前記照射方向側とは反対側の端部に隣接する、請求項1に記載のレーザ溶接装置。
[請求項3]
 前記第2筒状部の前記照射方向に直交する断面形状は、矩形形状を有する、請求項1または2に記載のレーザ溶接装置。
[請求項4]
 前記第2筒状部は、平面視において、前記照射方向に延びる上面部を有し、
 前記第2筒状部の矩形形状の断面形状は、前記上面部の面内方向において前記照射方向に直交する第1方向の長さの方が、前記照射方向および前記第1方向に直交する第2方向の長さよりも大きい扁平形状を有する、請求項3に記載のレーザ溶接装置。
[請求項5]
 前記第2筒状部の前記第1方向の長さは、前記チャンバの前記第1方向の長さの半分よりも大きい、請求項4に記載のレーザ溶接装置。
[請求項6]
 前記第1筒状部の前記第1方向の長さは、前記第2筒状部の前記第1方向の長さよりも小さい、請求項4または5に記載のレーザ溶接装置。
[請求項7]
 前記第1筒状部の前記照射方向に直交する断面形状は、円形形状を有する、請求項6に記載のレーザ溶接装置。
[請求項8]
 前記チャンバ内の空気を排気して前記チャンバの前記内部空間を低圧にするポンプをさらに備え、
 前記チャンバまたは前記第2筒状部は、前記ポンプに接続され、前記ワークの前記照射方向側とは反対側の端部から、前記照射方向側とは反対側に所定間隔を離して配置される排気口を含む、請求項4~7のいずれか1項に記載のレーザ溶接装置。
[請求項9]
 前記第2方向に沿った回転軸線回りに前記ワークを回転可能に支持する支持部をさらに備え、
 前記排気口は、前記チャンバまたは前記第2筒状部のうち前記ワークにおいて前記レーザ光照射部からの前記レーザ光が当たる加工点における回転方向側の側面部分に設けられている、請求項8に記載のレーザ溶接装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]