Processing

Please wait...

Settings

Settings

Goto Application

1. WO2020111203 - BLOOD FLOW OBSTRUCTION DETERMINATION DEVICE, BLOOD FLOW OBSTRUCTION DETERMINATION METHOD, BLOOD FLOW OBSTRUCTION DETERMINATION PROGRAM, AND BLOOD FLOW OBSTRUCTION DETERMINATION SYSTEM

Document

明 細 書

発明の名称 血流障害判定装置、血流障害判定方法、血流障害判定プログラム及び血流障害判定システム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039  

発明の効果

0040  

図面の簡単な説明

0041  

発明を実施するための形態

0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160  

符号の説明

0161  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21  

明 細 書

発明の名称 : 血流障害判定装置、血流障害判定方法、血流障害判定プログラム及び血流障害判定システム

技術分野

[0001]
 本発明は、血流障害判定装置、血流障害判定方法、血流障害判定プログラム及び血流障害判定システムに関する。

背景技術

[0002]
 従来、医療現場では、鬱血や虚血といった血流障害が生じているか否かを医療スタッフが判断している。例えば、患者の生体組織を圧迫して変色させてから色が元に戻るまでの時間によって判断するレフィル法、生体組織の色によって判断する方法及び生体組織に針を刺した際の出血状態から判断する方法によって血流障害の可能性が判断されている。
[0003]
 血流障害の検出を自動化する技術として、下記特許文献1には、生体組織の異なる血流情報を計測する複数の種類の感知手段を、柔軟な基材上にそれぞれ複数配置してなるセンサーシートを有する血流障害検出装置が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開第2017/026393号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1に記載の技術によれば、ウェアラブルセンサによって測定した患者の脈波、皮膚の色及び皮膚の温度に基づいて血流障害を検出することができる。
[0006]
 しかしながら、測定を長時間にわたって行う場合、患者が常に静止しているとは限らず、患者の体動によって脈波データにアーティファクトが混入することがある。脈波データにアーティファクトが含まれると、誤って血流障害と判定したり、血流障害を見逃したりするおそれがある。
[0007]
 そこで、本発明は、脈波データに含まれるアーティファクトを減らして血流障害を判定することができる血流障害判定装置、血流障害判定方法、血流障害判定プログラム及び血流障害判定システムを提供する。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明の一態様に係る血流障害判定装置は、生体の脈波の時間変化を複数の異なる期間に測定した複数の脈波データを取得する取得部と、複数の脈波データをそれぞれフーリエ変換して複数のスペクトルデータを生成する生成部と、複数のスペクトルデータに含まれる1又は複数のピークを検出する検出部と、所定の周波数区間毎に1又は複数のピークが検出された頻度を算出する算出部と、頻度に基づいて、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定する第1判定部と、1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、複数のスペクトルデータに基づいて、生体に血流障害が発生しているか否かを判定する第2判定部と、を備える。
[0009]
 この態様によれば、スペクトルデータのパワーではなく、スペクトルデータに含まれる1又は複数のピークの頻度に基づいて、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定することで、脈波データに含まれるアーティファクトを減らして血流障害を判定することができる。
[0010]
 上記態様において、第1判定部は、複数のスペクトルデータのパワーの和が第1閾値以上である場合に、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定してもよい。
[0011]
 この態様によれば、スペクトルデータのパワーが十分に高い場合に1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定することとして、脈波データに含まれるアーティファクトを減らして血流障害を判定することができる。
[0012]
 上記態様において、第2判定部は、アーティファクトでないと判定された1又は複数のピークのうち最も頻度が高い周波数区間を特定し、複数のスペクトルデータの周波数区間のパワーの平均値が第2閾値以下である場合に、生体に血流障害が発生していると判定してもよい。
[0013]
 この態様によれば、脈波の周波数に対応するパワーをより正確に捉えることができ、血流障害の発生をより正確に判定することができる。
[0014]
 上記態様において、第2判定部は、複数のスペクトルデータのパワーの和が第1閾値未満である場合、複数のスペクトルデータのパワーの和の平均値が第2閾値以下である場合に、生体に血流障害が発生していると判定してもよい。
[0015]
 この態様によれば、スペクトルデータのパワーが比較的低い場合に、複数のスペクトルデータのパワーの和の平均値が十分に高いか否かによって血流異常の発生を判定することで、血流障害の発生をより正確に判定することができる。
[0016]
 上記態様において、取得部は、生体の色の時間変化を測定した色データ及び生体の温度の時間変化を測定した温度データの少なくともいずれかを含む時系列データを取得し、時系列データを近似する所定の関数に含まれる1又は複数のパラメータの値を決定する決定部と、1又は複数のパラメータの値に基づいて、危険度を推定する第1推定部と、をさらに備え、第2判定部は、危険度に基づいて、生体に血流障害が発生しているか否かを判定してもよい。
[0017]
 この態様によれば、生体の色及び温度の少なくともいずれかの時間変化に基づいて、脈波とは異なる観点で血流障害の発生を判定することができる。
[0018]
 上記態様において、第1推定部は、1又は複数のパラメータの値及び1又は複数のパラメータの決定係数に基づいて指標を算出し、指標に基づいて危険度を更新することで、時間変化する危険度を推定してもよい。
[0019]
 この態様によれば、所定の関数による近似のあてはまりの良さと、時間変化の大きさとに基づいて指標を算出し、時間変化する危険度を推定することができる。
[0020]
 上記態様において、時間をtと表し、1又は複数のパラメータをA、A 及びτと表すとき、所定の関数は、A×exp(-t/τ)+A であってもよい。
[0021]
 この態様によれば、時系列データが指数的に変化する状況を所定の関数によって近似して、変化の大きさに応じた危険度を算出することができる。
[0022]
 上記態様において、第1推定部は、指標の絶対値が第3閾値以上である場合、危険度の前回の値に指標を加算することで危険度を更新し、指標の絶対値が第3閾値未満である場合、危険度の前回の値と指標のいずれか大きい値により危険度を更新してもよい。
[0023]
 この態様によれば、時系列データが減少する場合と増大する場合の両方について変化の大きさに応じた危険度を算出することができる。
[0024]
 上記態様において、所定期間に第1判定部及び第2判定部による判定を複数回行った場合における血流障害が発生していると判定された割合に基づいて、時間変化する脈波危険度を推定する第2推定部をさらに備えてもよい。
[0025]
 この態様によれば、脈波データに含まれるアーティファクトを減らして、時間変化する脈波危険度を推定することができる。
[0026]
 上記態様において、第2判定部は、1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、複数の脈波データを用いて生体に血流障害が発生しているか否かを判定した結果と、色データ及び温度データの少なくともいずれかを用いて生体に血流障害が発生しているか否かを判定した結果とに基づいて、生体に血流障害が生じているか否かを総合判定してもよい。
[0027]
 この態様によれば、生体の脈波データに基づいてアーティファクトを減らして、脈波、色及び温度に基づいて、総合的に血流障害が生じているか否かを判定することができる。
[0028]
 上記態様において、第2判定部は、脈波危険度及び危険度の少なくともいずれかが第4閾値以上である場合に、生体に血流障害が生じていると総合判定してもよい。
[0029]
 この態様によれば、生体の脈波、色及び温度の少なくともいずれかについて血流障害の危険性が高い場合に血流障害が生じていると総合判定することで、血流障害の見逃しを減らすことができる。
[0030]
 上記態様において、色データは、赤外データを含み、決定部は、赤外データに基づいてノイズ除去された時系列データを近似する所定の関数に含まれる1又は複数のパラメータの値を決定してもよい。
[0031]
 この態様によれば、赤外データに基づいて色データのノイズ除去を行うことで、血流障害の危険度をより正確に算出することができる。
[0032]
 上記態様において、算出部は、複数の異なる期間のうち基準期間に測定した脈波データの確率分布と、複数の異なる期間のうち対象期間に測定した脈波データの確率分布とが等しいか否かを検定する検定統計量を算出し、第2判定部は、検定統計量に基づいて、生体に血流障害が発生しているか否かを判定してよい。
[0033]
 この態様によれば、基準期間の脈波データの確率分布と対象期間の脈波データの確率分布との差異に着目することで、脈波データの特徴を相対的に評価して、血流障害が発生している否かを判定することができる。
[0034]
 本発明の他の態様に係る血流障害判定方法は、生体の脈波の時間変化を複数の異なる期間に測定した複数の脈波データを取得することと、複数の脈波データをそれぞれフーリエ変換して複数のスペクトルデータを生成することと、複数のスペクトルデータに含まれる1又は複数のピークを検出することと、所定の周波数区間毎に1又は複数のピークが検出された頻度を算出することと、頻度に基づいて、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定することと、1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、複数のスペクトルデータに基づいて、生体に血流障害が発生しているか否かを判定することと、を含む。
[0035]
 この態様によれば、スペクトルデータのパワーではなく、スペクトルデータに含まれる1又は複数のピークの頻度に基づいて、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定することで、脈波データに含まれるアーティファクトを減らして血流障害を判定することができる。
[0036]
 本発明の他の態様に係る血流障害判定プログラムは、血流障害判定装置に備えられたプロセッサを、生体の脈波の時間変化を複数の異なる期間に測定した複数の脈波データを取得する取得部、複数の脈波データをそれぞれフーリエ変換して複数のスペクトルデータを生成する生成部、複数のスペクトルデータに含まれる1又は複数のピークを検出する検出部、所定の周波数区間毎に1又は複数のピークが検出された頻度を算出する算出部、頻度に基づいて、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定する第1判定部、及び1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、複数のスペクトルデータに基づいて、生体に血流障害が発生しているか否かを判定する第2判定部、として機能させる。
[0037]
 この態様によれば、スペクトルデータのパワーではなく、スペクトルデータに含まれる1又は複数のピークの頻度に基づいて、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定することで、脈波データに含まれるアーティファクトを減らして血流障害を判定することができる。
[0038]
 本発明の他の態様に係る血流障害判定システムは、生体の脈波の時間変化を複数の異なる期間に測定し、複数の脈波データを出力する脈波センサと、複数の脈波データを用いて生体に血流障害が発生しているか否かを判定する血流障害判定装置とを備える血流障害判定システムであって、血流障害判定装置は、複数の脈波データをそれぞれフーリエ変換して複数のスペクトルデータを生成する生成部と、複数のスペクトルデータに含まれる1又は複数のピークを検出する検出部と、所定の周波数区間毎に1又は複数のピークが検出された頻度を算出する算出部と、頻度に基づいて、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定する第1判定部と、1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、複数のスペクトルデータに基づいて、生体に血流障害が発生しているか否かを判定する第2判定部と、を有する。
[0039]
 この態様によれば、スペクトルデータのパワーではなく、スペクトルデータに含まれる1又は複数のピークの頻度に基づいて、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定することで、脈波データに含まれるアーティファクトを減らして血流障害を判定することができる。

発明の効果

[0040]
 本発明によれば、脈波データに含まれるアーティファクトを減らして血流障害を判定することができる血流障害判定装置、血流障害判定方法、血流障害判定プログラム及び血流障害判定システムを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0041]
[図1] 本発明の実施形態に係る血流障害判定システムの概要を示す図である。
[図2] 本実施形態に係る血流障害判定システムが備えるセンサの概要を示す図である。
[図3] 本実施形態に係る血流障害判定装置の機能ブロックを示す図である。
[図4] 本実施形態に係る血流障害判定装置の物理的構成を示す図である。
[図5] 本実施形態に係る血流障害判定システムにより実行される第1処理のフローチャートである。
[図6] 本実施形態に係る血流障害判定装置により実行される第2処理のフローチャートである。
[図7] 本実施形態に係る血流障害判定装置により生成された複数のスペクトルデータ及び複数のスペクトルデータに含まれる1又は複数のピークを示す図である。
[図8] 本実施形態に係る血流障害判定装置により算出された1又は複数のピークの頻度の第1例を示す図である。
[図9] 本実施形態に係る血流障害判定装置により算出された1又は複数のピークの頻度の第2例を示す図である。
[図10] 本実施形態に係る血流障害判定システムにより実行される第3処理のフローチャートである。
[図11] 本実施形態に係る血流障害判定装置により色データに基づき推定された危険度を示す図である。
[図12] 本実施形態に係る血流障害判定システムにより実行される第4処理のフローチャートである。
[図13] 本実施形態に係る血流障害判定装置により温度データに基づき推定された危険度を示す図である。
[図14] 本実施形態に係る血流障害判定システムにより実行される第5処理のフローチャートである。
[図15] 本実施形態に係る血流障害判定装置により総合判定された危険度及びアーティファクトの検出率の第1例を示す図である。
[図16] 本実施形態に係る血流障害判定装置により総合判定された危険度及びアーティファクトの検出率の第2例を示す図である。
[図17] 本実施形態に係る血流障害判定システムにより実行される第6処理のフローチャートである。
[図18] 本実施形態に係る血流障害判定装置により算出されたD値及び血流障害検出タイミングを示す図である。
[図19] 本実施形態に係る血流障害判定システムにより実行される第7処理のフローチャートである。
[図20] 本実施形態に係る血流障害判定システムにより測定され、ノイズ除去された色データ及びノイズ除去されていない色データを示す図である。
[図21] 本実施形態に係る血流障害判定装置により色データに基づき推定された危険度を示す図である。

発明を実施するための形態

[0042]
 添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
[0043]
 図1は、本発明の実施形態に係る血流障害判定システム100の概要を示す図である。血流障害判定システム100は、血流障害判定装置10と、センサ20と、トランスミッタ30とを備える。
[0044]
 血流障害判定システム100は、生体1に貼付されるフレキシブルなセンサ20によって生体1の脈波の時間変化を複数の異なる期間に測定し、測定した脈波データを、トランスミッタ30を介して血流障害判定装置10に送信し、血流障害判定装置10によって生体1に血流障害が生じているか否かを判定する。ここで、血流障害は、鬱血及び虚血を含む。本実施形態では、センサ20とトランスミッタ30は有線通信で接続され、トランスミッタ30と血流障害判定装置10は無線通信で接続されている。もっとも、通信方式は任意である。また、本実施形態では、血流障害判定装置10は、タブレットコンピュータで構成されている。もっとも、血流障害判定装置10は、ラップトップコンピュータで構成されてもよいし、他の形式のコンピュータで構成されてもよい。
[0045]
 また、血流障害判定システム100は、センサ20によって生体1の色の時間変化を測定したり、生体1の温度の時間変化を測定したりして、測定した色データ及び温度データを、トランスミッタ30を介して血流障害判定装置10に送信し、血流障害判定装置10によって生体1に血流障害が生じているか否かを判定する。
[0046]
 図2は、本実施形態に係る血流障害判定システム100が備えるセンサ20の概要を示す図である。センサ20は、生体1の脈波の時間変化を複数の異なる期間に測定する脈波センサ21と、生体1の色の時間変化を測定する色センサ22と、生体1の温度の時間変化を測定する温度センサ23と、を有する。なお、図2に示したメジャーの数値単位はcmである。
[0047]
 本実施形態に係るセンサ20は、フレキシブル基板25に4つの脈波センサ21と、4つの色センサ22と、4つの温度センサ23とが実装されて構成されている。また、センサ20は、1つの脈波センサ21と、1つの色センサ22と、1つの温度センサ23とで1チャンネルの血流データを出力するように構成されている。本実施形態に係るセンサ20は、合計4チャンネルの血流データを出力する。
[0048]
 フレキシブル基板25は、体表面の変形に追随するように生体1に貼付される。脈波センサ21は、例えば生体1に光を照射して、光の吸収量に基づき脈波を測定する光学式脈波センサで構成されてよい。色センサ22は、例えば、赤外線を検出するフォトダイオードと、赤色の光を検出するフォトダイオードと、緑色の光を検出するフォトダイオードと、青色の光を検出するフォトダイオードとによって構成されてよい。温度センサ23は、例えばサーミスタで構成されてよい。
[0049]
 図3は、本実施形態に係る血流障害判定装置10の機能ブロックを示す図である。血流障害判定装置10は、取得部11、生成部12、検出部13、算出部14、第1判定部15、第2判定部16、決定部17、第1推定部18及び第2推定部19を備える。
[0050]
 取得部11は、生体1の脈波の時間変化を複数の異なる期間に測定した複数の脈波データを、トランスミッタ30を介して脈波センサ21から取得する。また、取得部11は、生体1の色の時間変化を測定した色データを、トランスミッタ30を介して色センサ22から取得する。また、取得部11は、生体1の温度の時間変化を測定した温度データを、トランスミッタ30を介して温度センサ23から取得する。
[0051]
 生成部12は、複数の脈波データをそれぞれフーリエ変換して複数のスペクトルデータを生成する。生成部12は、所定のサンプリングレートで測定された複数の脈波データに対して高速フーリエ変換を行うことで、複数のスペクトルデータを生成してよい。所定のサンプリングレートは、例えば16Hzであってよい。
[0052]
 検出部13は、複数のスペクトルデータに含まれる1又は複数のピークを検出する。検出部13は、複数のスペクトルデータの極大点を1又は複数のピークとして検出してよい。
[0053]
 算出部14は、所定の周波数区間毎に1又は複数のピークが検出された頻度を算出する。算出部14は、例えば0.075Hz毎に1又は複数のピークが検出された頻度を算出してよい。
[0054]
 第1判定部15は、1又は複数のピークが検出された頻度に基づいて、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定する。第1判定部15による判定の詳細は、後に説明する。
[0055]
 第1判定部15は、複数のスペクトルデータのパワーの和が第1閾値以上である場合に、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定してよい。第1判定部15は、複数のスペクトルデータのパワーの和が第1閾値以上でない場合には、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定しなくてもよい。このように、スペクトルデータのパワーが十分に高い場合に1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定することとして、脈波データに含まれるアーティファクトを減らして血流障害を判定することができる。
[0056]
 第2判定部16は、1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、複数のスペクトルデータに基づいて、生体1に血流障害が発生しているか否かを判定する。第2判定部16による判定の詳細は、後に説明する。
[0057]
 本実施形態に係る血流障害判定装置10によれば、スペクトルデータのパワーではなく、スペクトルデータに含まれる1又は複数のピークの頻度に基づいて、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定することで、脈波データに含まれるアーティファクトを減らして血流障害を判定することができる。
[0058]
 決定部17は、色データ及び温度データの少なくともいずれかを含む時系列データを近似する所定の関数に含まれる1又は複数のパラメータの値を決定する。具体的には、時間をtと表し、1又は複数のパラメータをA、A 及びτと表すとき、所定の関数は、A×exp(-t/τ)+A であってよい。このようにして、時系列データが指数的に変化する状況を所定の関数によって近似して、変化の大きさに応じた危険度を算出することができる。
[0059]
 第1推定部18は、1又は複数のパラメータの値に基づいて、危険度を推定する。第1推定部18による推定の詳細は、後に説明する。第2判定部16は、推定された危険度に基づいて、生体1に血流障害が発生しているか否かを判定してよい。このようにして、生体1の色及び温度の少なくともいずれかの時間変化に基づいて、脈波とは異なる観点で血流障害の発生を判定することができる。
[0060]
 第2推定部19は、所定期間に第1判定部15及び第2判定部16による判定を複数回行った場合における血流障害が発生していると判定された割合に基づいて、時間変化する脈波危険度を推定する。脈波危険度は、第1推定部18により色データ及び温度データに基づき推定される危険度とは独立に推定されてよい。第2推定部19によって、脈波データに含まれるアーティファクトを減らして、時間変化する脈波危険度を推定することができる。
[0061]
 図4は、本実施形態に係る血流障害判定装置10の物理的構成を示す図である。血流障害判定装置10は、プロセッサに相当するCPU(Central Processing Unit)10aと、記憶部に相当するRAM(Random Access Memory)10bと、記憶部に相当するROM(Read only Memory)10cと、通信部10dと、入力部10eと、表示部10fと、を有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例では血流障害判定装置10が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、血流障害判定装置10は、複数のコンピュータが組み合わされて実現されてもよい。また、図4で示す構成は一例であり、血流障害判定装置10はこれら以外の構成を有してもよいし、これらの構成のうち一部を有さなくてもよい。
[0062]
 CPU10aは、RAM10b又はROM10cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。CPU10aは、脈波データ、色データ及び温度データに基づいて生体1の血流障害を判定するプログラム(血流障害判定プログラム)を実行する演算部である。CPU10aは、入力部10eや通信部10dから種々のデータを受け取り、データの演算結果を表示部10fに表示したり、RAM10bやROM10cに格納したりする。
[0063]
 RAM10bは、記憶部のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。RAM10bは、CPU10aが実行する血流障害判定プログラム、脈波データ、色データ及び温度データ等を記憶してよい。なお、これらは例示であって、RAM10bには、これら以外のデータが記憶されていてもよいし、これらの一部が記憶されていなくてもよい。
[0064]
 ROM10cは、記憶部のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。ROM10cは、例えば血流障害判定プログラムや、書き換えが行われないデータを記憶してよい。
[0065]
 通信部10dは、血流障害判定装置10を他の機器に接続するインターフェースである。通信部10dは、インターネット等の通信ネットワークNに接続されてよい。
[0066]
 入力部10eは、ユーザからデータの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボードやタッチパネルを含んでよい。
[0067]
 表示部10fは、CPU10aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されてよい。表示部10fは、脈波データ、色データ及びを表示したり、血流障害の危険度を表示したりしてよい。
[0068]
 血流障害判定プログラムは、RAM10bやROM10c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部10dにより接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。血流障害判定装置10では、CPU10aが血流障害判定プログラムを実行することにより、図3を用いて説明した様々な動作が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、血流障害判定装置10は、CPU10aとRAM10bやROM10cが一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
[0069]
 図5は、本実施形態に係る血流障害判定システム100により実行される第1処理のフローチャートである。第1処理は、脈波データに基づいて脈波危険度を算出する処理である。
[0070]
 はじめに、血流障害判定システム100は、脈波センサ21によって、所定のサンプリングレートで脈波データを測定する(S10)。その後、血流障害判定装置10は、一連の脈波データを所定の長さに分割する(S11)。例えば、血流障害判定装置10は、3分程度連続して測定された脈波データを、21秒程度の長さの9つのデータに分割し、9つのデータの前半5秒程度をそれぞれ除去して、16秒程度の9つの脈波データを作成してよい。16秒程度の9つの脈波データは、256点のサンプリングデータを含んでよい。
[0071]
 血流障害判定装置10は、複数の脈波データをフーリエ変換して複数のスペクトルデータを生成する(S12)。具体的には、血流障害判定装置10は、16秒程度の長さの9つの脈波データを高速フーリエ変換して、9つのスペクトルデータを生成する。
[0072]
 血流障害判定装置10は、複数のスペクトルデータの総パワーを算出する(S13)。ここで、総パワーは、スペクトルデータのパワーを所定の周波数範囲について積分した値であってよい。所定の周波数範囲は、例えば、0.5~2Hzであってよい。なお、0.5~2Hzは、30~120bpmに相当する。血流障害判定装置10は、9つのスペクトルデータそれぞれについて総パワーを算出してよい。
[0073]
 血流障害判定装置10は、スペクトルデータの総パワーが第1閾値以上であるか否かを判定する(S14)。総パワーが第1閾値以上である場合(S14:YES)、すなわち脈波データの信号強度が十分に強い場合、血流障害判定装置10は、アーティファクトを除外し、評価値を算出する処理を行う(S15)。同処理については、次図を用いて詳細に説明する。血流障害判定装置10は、脈波データをアーティファクトとして除外した場合(S16:YES)、その後の処理を行わずに第1処理を終了する。一方、脈波データをアーティファクトとして除外せず、評価値を算出した場合(S16:NO)、その後の処理を行う。
[0074]
 一方、総パワーが第1閾値以上でない場合(S14:NO)、すなわち脈波データの信号強度が弱い場合、血流障害判定装置10は、複数のスペクトルデータの総パワーの平均値を評価値として算出する(S17)。血流障害判定装置10は、複数のスペクトルデータのパワーの和が第1閾値未満である場合、複数のスペクトルデータのパワーの和の平均値によって評価値を算出してよい。例えば、スペクトルデータの総パワーをP totと表す場合、血流障害判定装置10は、(1/(2Hz-0.5Hz))×(16Hz/256)×P totによって評価値を算出してよい。
[0075]
 血流障害判定装置10は、算出した評価値が第2閾値以下である場合(S18:YES)、血流障害が発生していると判定する(S19)。一方、算出した評価値が第2閾値以下でない場合(S18:NO)、血流障害判定装置10は、血流障害が発生していないと判定する(S20)。
[0076]
 最後に、血流障害判定装置10は、所定期間に第1判定部15及び第2判定部16による判定を複数回行った場合における血流障害が発生していると判定された割合に基づいて、脈波危険度を算出する(S21)。例えば、血流障害判定装置10は、30分間の間に第2判定部16によって血流障害が発生していると判定された回数を、第2判定部16による総判定回数で割った値によって、脈波危険度を算出してよい。以上により、第1処理が終了する。
[0077]
 図6は、本実施形態に係る血流障害判定装置10により実行される第2処理のフローチャートである。第2処理は、スペクトルデータの総パワーが第1閾値以上の場合に、アーティファクトを除外した上で評価値を算出する処理である。同図では、図5に示す「アーティファクトを除外し、評価値を算出」する処理(S15)の詳細を示している。
[0078]
 はじめに、血流障害判定装置10は、複数のスペクトルデータに含まれる1又は複数のピークを検出する(S151)。例えば、血流障害判定装置10は、複数のスペクトルデータの極大点のうち、最大値の1/3以上の大きさをもつ極大点を1又は複数のピークとして検出してよい。
[0079]
 血流障害判定装置10は、所定の周波数区間毎に1又は複数のピークが検出された頻度を算出する(S152)。例えば、血流障害判定装置10は、0.075Hzの区間毎に1又は複数のピークが検出された頻度を算出してよい。
[0080]
 血流障害判定装置10は、1又は複数のピークの頻度のうち、最高頻度が基準値以上であるか否かを判定する(S153)。例えば、9つのスペクトルデータそれぞれから1又は複数のピークを検出する場合、各周波数区間においてピークが検出される回数は0~9の値となる。この場合、基準値を6として、1又は複数のピークの最高頻度が6以上であるか否かを判定することとしてよい。
[0081]
 1又は複数のピークの頻度のうち、最高頻度が基準値以上である場合(S153:YES)、血流障害判定装置10は、最高頻度の周波数区間を特定する(S154)。そして、血流障害判定装置10は、特定された周波数区間に関する複数のスペクトルデータのパワーの平均値を評価値として算出する(S155)。血流障害判定装置10は、アーティファクトでないと判定された1又は複数のピークのうち最も頻度が高い周波数区間を特定し、当該周波数区間に関する複数のスペクトルデータのパワーの平均値を評価値として算出してよい。
[0082]
 一方、1又は複数のピークの頻度のうち、最高頻度が基準値以上でない場合(S153:NO)、血流障害判定装置10は、ピークをアーティファクトと判定して除外する(S156)。このようにして、血流障害判定装置10は、スペクトルデータのパワーではなく、スペクトルデータに含まれる1又は複数のピークの頻度に基づいて、1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定することで、脈波データに含まれるアーティファクトを減らすことができる。以上により、第2処理が終了する。
[0083]
 血流障害判定装置10は、アーティファクトでないと判定された1又は複数のピークのうち最も頻度が高い周波数区間を特定し、当該周波数区間に関する複数のスペクトルデータのパワーの平均値が第2閾値以下である場合に、生体1に血流障害が発生していると判定する。これにより、脈波の周波数に対応するパワーをより正確に捉えることができ、血流障害の発生をより正確に判定することができる。
[0084]
 また、血流障害判定装置10は、複数のスペクトルデータのパワーの和が第1閾値未満である場合、複数のスペクトルデータのパワーの和の平均値が第2閾値以下である場合に、生体1に血流障害が発生していると判定する。このように、スペクトルデータのパワーが比較的低い場合に、複数のスペクトルデータのパワーの和の平均値が十分に高いか否かによって血流異常の発生を判定することで、血流障害の発生をより正確に判定することができる。
[0085]
 図7は、本実施形態に係る血流障害判定装置10により生成された複数のスペクトルデータS1~S9及び複数のスペクトルデータS1~S9に含まれる1又は複数のピークP1~P9を示す図である。複数のスペクトルデータS1~S9は、それぞれHzの単位で横軸に周波数を示し、任意単位で縦軸にパワーを示している。また、1又は複数のピークP1~P9は、それぞれ任意単位で横軸に周波数を示し、任意単位で縦軸にパワーを示している。
[0086]
 複数のスペクトルデータS1~S9は、9つの脈波データをそれぞれ高速フーリエ変換して得られたデータである。また、1又は複数のピークP1~P9は、複数のスペクトルデータS1~S9の極大点のうち、最大値の1/3以上の大きさをもつ極大点を検出したデータである。
[0087]
 生体1の血流が正常である場合、スペクトルデータからは脈波周波数に対応する単一のピークが検出されることが多い。そして、複数のスペクトルデータからは、脈波周波数に対応する周波数区間についてピークが検出されることが多い。
[0088]
 一方、生体1の血流が異常である場合、スペクトルデータからは複数のピークが検出されることが多い。そして、複数のスペクトルデータからは、複数の周波数区間についてピークが検出されることが多い。
[0089]
 図8は、本実施形態に係る血流障害判定装置10により算出された1又は複数のピークの頻度の第1例を示す図である。同図では、血流が正常な場合に測定された9つの脈波データから9つのスペクトルデータを生成した場合に、9つのスペクトルデータに含まれる複数のピークの頻度を第1ヒストグラムH1として示している。
[0090]
 第1ヒストグラムH1では、1.51Hz~1.59Hzの区間が最高頻度の周波数区間PWとなっている。ここで、最高頻度は6である。例えば基準値を6とする場合、同図に示す例は、ピークの最高頻度が基準値以上であるから、アーティファクトではないと判定される。この場合、9つのスペクトルデータに基づいて血流障害が発生しているか否かが判定される。
[0091]
 図9は、本実施形態に係る血流障害判定装置10により算出された1又は複数のピークの頻度の第2例を示す図である。同図では、血流障害が発生している場合に測定された9つの脈波データから9つのスペクトルデータを生成した場合に、9つのスペクトルデータに含まれる複数のピークの頻度を第2ヒストグラムH2として示している。
[0092]
 第2ヒストグラムH2では、0.5Hzから2Hzの周波数区間にピークの頻度が散在しており、0.97Hz~1.05Hzの区間が最高頻度の周波数区間となっている。ここで、最高頻度は3である。例えば基準値を6とする場合、同図に示す例は、ピークの最高頻度が基準値未満であるから、アーティファクトであると判定されて除外される。この場合、9つのスペクトルデータは血流障害の判定には用いられず、棄却される。
[0093]
 図10は、本実施形態に係る血流障害判定システム100により実行される第3処理のフローチャートである。第3処理は、色データに基づき危険度を算出する処理である。
[0094]
 はじめに、血流障害判定システム100は、色センサ22によって、所定のサンプリングレートで色データを測定する(S30)。その後、血流障害判定装置10は、色データを平滑化する(S31)。例えば、血流障害判定装置10は、連続して測定された3点のデータy1,y2,y3について、|y3-y2|>|y2-y1|/2である場合、y2をy1に置き換えることで、平滑化を行ってよい。また、血流障害判定装置10は、例えば、連続して測定された5点のデータy1,y2,y3,y4,y5について、y3を5点のデータの平均値で置き換えることで、平滑化を行ってよい。
[0095]
 血流障害判定装置10は、色データから明度データに変換する(S32)。例えば、血流障害判定装置10は、RGB-IR表色系の色データをXYZ表色系の色データに変換して、Y値を抽出することで明度データへの変換を行ってよい。
[0096]
 血流障害判定装置10は、明度データを近似する所定の関数のパラメータを決定する(S33)。血流障害判定装置10は、時間をtと表し、1又は複数のパラメータをA、A 及びτと表すとき、所定の関数としてA×exp(-t/τ)+A を用いて、明度データを近似するようにA、A 及びτを決定してよい。所定の関数のフィッティングは、最小二乗法を、例えばLevenberg-Marquardt法により解くことで行ってよい。
[0097]
 血流障害判定装置10は、決定係数と、パラメータの対数正規分布との積により指標を算出する(S34)。血流障害判定装置10は、0から100までの値をとるGoodness of Fitting(GoF)により決定係数を算出してよい。また、血流障害判定装置10は、パラメータAの対数正規分布を、lognormal(A)=1/(√(2π)σA)exp(-(ln(A)-μ) /2σ )により算出してよい。ここで、σ=1/4として、μは、対数正規分布の最頻値exp(μ-σ )が1000となるように選択されてよい。
[0098]
 血流障害判定装置10は、指標ind=GoF×lognormal(A)の絶対値が第3閾値以上であるか否かを判定する(S35)。指標が第3閾値以上である場合(S35:YES)、血流障害判定装置10は、危険度の前回の値に指標を加算することで危険度を更新する(S36)。一方、指標が第3閾値以上でない場合(S35:NO)、危険度の前回の値と指標のいずれか大きい値により危険度を更新する(S37)。
[0099]
 このように、血流障害判定装置10の第1推定部18は、1又は複数のパラメータの値及び1又は複数のパラメータの決定係数に基づいて指標を算出し、指標に基づいて危険度を更新することで、時間変化する危険度を推定してよい。これにより、所定の関数による近似のあてはまりの良さと、時間変化の大きさとに基づいて指標を算出し、時間変化する危険度を推定することができる。
[0100]
 また、第1推定部18は、指標の絶対値が第3閾値以上である場合、危険度の前回の値に指標を加算することで危険度を更新し、指標の絶対値が第3閾値未満である場合、危険度の前回の値と指標のいずれか大きい値により危険度を更新してよい。これにより、時系列データ(明度データ)が減少する場合と増大する場合の両方について変化の大きさに応じた危険度を算出することができる。以上により、第3処理が終了する。
[0101]
 図11は、本実施形態に係る血流障害判定装置10により色データに基づき推定された危険度を示す図である。同図では、横軸に経過日数を示し、縦軸に危険度を示している。同図では、4チャンネルの色センサ22により測定された色データに基づき危険度を算出した結果を示している。
[0102]
 血流障害判定装置10は、4チャンネルの色センサ22により測定された4つの色データに基づき、それぞれ危険度を推定する。図11からは、3日目(Day3)の夜に実線で示した第1危険度C1と、一点鎖線で示した第2危険度C2とが急上昇していることが読み取れる。第1危険度C1は、最大値の1.0近くまで上昇し、その後1.0程度を維持している。また、第2危険度C2は、0.3程度まで上昇し、その後0.3程度を維持している。
[0103]
 図11に示すデータによれば、少なくとも1チャンネルの色データについて、危険度が最大値近くで一定となっており、生体1に血流障害が生じている蓋然性が高いと判断できる。
[0104]
 図12は、本実施形態に係る血流障害判定システム100により実行される第4処理のフローチャートである。第4処理は、温度データに基づき危険度を算出する処理である。
[0105]
 はじめに、血流障害判定システム100は、温度センサ23によって、所定のサンプリングレートで色データを測定する(S40)。その後、血流障害判定装置10は、温度データを平滑化する(S41)。例えば、血流障害判定装置10は、連続して測定された3点のデータy1,y2,y3について、|y3-y2|>|y2-y1|/2である場合、y2をy1に置き換えることで、平滑化を行ってよい。また、血流障害判定装置10は、例えば、連続して測定された5点のデータy1,y2,y3,y4,y5について、y3を5点のデータの平均値で置き換えることで、平滑化を行ってよい。
[0106]
 血流障害判定装置10は、温度データを近似する所定の関数のパラメータを決定する(S42)。血流障害判定装置10は、時間をtと表し、1又は複数のパラメータをA、A 及びτと表すとき、所定の関数としてA×exp(-t/τ)+A を用いて、温度データを近似するようにA、A 及びτを決定してよい。所定の関数のフィッティングは、最小二乗法を、例えばLevenberg-Marquardt法により解くことで行ってよい。
[0107]
 血流障害判定装置10は、決定係数と、パラメータの対数正規分布との積により指標を算出する(S43)。血流障害判定装置10は、0から100までの値をとるGoodness of Fitting(GoF)により決定係数を算出してよい。また、血流障害判定装置10は、パラメータAの対数正規分布を、lognormal(A)=1/(√(2π)σA)exp(-(ln(A)-μ) /2σ )により算出してよい。ここで、σ=1/4として、μは、対数正規分布の最頻値exp(μ-σ )が2となるように選択されてよい。
[0108]
 血流障害判定装置10は、危険度の前回の値に指標ind=GoF×lognormal(A)を加算することで危険度を更新する(S44)。以上により、第4処理が終了する。
[0109]
 図13は、本実施形態に係る血流障害判定装置10により温度データに基づき推定された危険度を示す図である。同図では、横軸に経過日数を示し、縦軸に危険度を示している。同図では、4チャンネルの温度センサ23により測定された温度データに基づき危険度を算出した結果を示している。
[0110]
 血流障害判定装置10は、4チャンネルの温度センサ23により測定された4つの温度データに基づき、それぞれ危険度を推定する。図13からは、6日目(Day6)の昼頃に実線で示した第1危険度T1が1.0近くまで上昇し、その後0に戻っていることが読み取れる。また、4日目(Day4)の午前に一点鎖線で示した第2危険度T2が0.4程度まで上昇し、その後0に戻っていることが読み取れる。また、7日目(Day7)の深夜に二点鎖線で示した第3危険度T3が0.4程度まで上昇し、その後0に戻っていることが読み取れる。また、1日目(Day1)の深夜に破線で示した第4危険度T4が0.1程度まで上昇し、その後0に戻っていることが読み取れる。
[0111]
 図13に示すデータによれば、4チャンネルの色データについて、一時的に危険度が最大値近くまで上昇しているものの、その後危険度は0に低下しており、生体1に血流障害が生じている蓋然性は低いと判断できる。
[0112]
 図14は、本実施形態に係る血流障害判定システム100により実行される第5処理のフローチャートである。第5処理は、生体1に血流障害が生じているか否かを総合判定する処理である。
[0113]
 はじめに、血流障害判定システム100は、図5に示す第1処理を実行し、脈波の危険度を算出する(S50)。また、血流障害判定システム100は、図10に示す第3処理を実行し、色の危険度を算出する(S51)。さらに、血流障害判定システム100は、図12に示す第4処理を実行し、温度の危険度を算出する(S51)。なお、これらの処理の実行順序は任意である。
[0114]
 血流障害判定システム100は、脈波データがアーティファクトとして除外された場合(S53:YES)、アーティファクトが検出されたことを出力する(S54)。出力は、例えば血流障害判定装置10の表示部10fにメッセージを表示することで行ってよい。なお、アーティファクトが検出されたことの出力は省略してもよい。
[0115]
 一方、脈波データがアーティファクトとして除外されなかった場合(S53:NO)、血流障害判定システム100は、脈波の危険度、色の危険度及び温度の危険度のいずれかが第4閾値以上であるか判定する(S55)。いずれの危険度も第4閾値以上でない場合(S55:NO)、血流障害判定システム100は、血流障害のリスクが低いことを出力する(S56)。一方、いずれかの危険度が第4閾値以上である場合(S55:YES)、血流障害が発生していることを出力する(S57)。以上により、第5処理が終了する。
[0116]
 血流障害判定装置10の第2判定部16は、スペクトルデータの1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、複数の脈波データを用いて生体1に血流障害が発生しているか否かを判定した結果と、色データ及び温度データの少なくともいずれかを用いて生体1に血流障害が発生しているか否かを判定した結果とに基づいて、生体1に血流障害が生じているか否かを総合判定してよい。これにより、生体1の脈波データに基づいてアーティファクトを減らして、脈波、色及び温度に基づいて、総合的に血流障害が生じているか否かを判定することができる。
[0117]
 また、血流障害判定装置10の第2判定部16は、脈波危険度、色の危険度及び温度の危険度の少なくともいずれかが第4閾値以上である場合に、生体1に血流障害が生じていると総合判定してよい。このように、生体1の脈波、色及び温度の少なくともいずれかについて血流障害の危険性が高い場合に血流障害が生じていると総合判定することで、血流障害の見逃しを減らすことができる。
[0118]
 なお、血流障害判定装置10の第2判定部16は、色データを用いて算出された危険度と、温度データを用いて算出された危険度とに基づいて、生体1の血流障害の種類を判定してもよい。血流障害として鬱血が生じている場合、色データを用いて算出された危険度は上昇することが期待されるが、鬱血では生体1の温度が低下しないため、温度データを用いて算出された危険度は上昇しないことが通常である。一方、血流障害として虚血が生じている場合、色データを用いて算出された危険度が上昇し、生体1の温度が低下することで温度データを用いて算出された危険度も上昇することが期待される。このように、色の危険度と温度の危険度との組み合わせによって、鬱血及び虚血のいずれの血流障害が発生しているかを見分けることができる。
[0119]
 図15は、本実施形態に係る血流障害判定装置10により総合判定された危険度及びアーティファクトの検出率の第1例を示す図である。本例では、総合判定された危険度R1と、アーティファクト検出率A1とを示している。総合判定された危険度R1及びアーティファクト検出率A1の横軸は時間であり、縦軸は0~1の値である。同図では、実線、一点鎖線、二点鎖線及び破線によって、4チャンネルの脈波データに関するアーティファクト検出率A1を示している。
[0120]
 本例では、総合判定された危険度R1は、測定開始時点以外のすべての時間にわたって0である。また、アーティファクト検出率A1は、4チャンネルの脈波データについて頻繁に上昇している。このように、本実施形態に係る血流障害判定装置10によれば、脈波データに含まれるアーティファクトを減らして血流障害を判定することができる。
[0121]
 図16は、本実施形態に係る血流障害判定装置10により総合判定された危険度及びアーティファクトの検出率の第2例を示す図である。本例では、総合判定された危険度R2と、アーティファクト検出率A2とを示している。総合判定された危険度R2及びアーティファクト検出率A2の横軸は時間であり、縦軸は0~1の値である。同図では、実線、一点鎖線、二点鎖線及び破線によって、4チャンネルの総合判定された危険度R2及び4チャンネルの脈波データに関するアーティファクト検出率A2を示している。
[0122]
 本例では、総合判定された危険度R2は、すべての時間にわたってほとんど1に近い値となっている。そのため、本例では、生体1に血流障害が生じている蓋然性が高いと考えられる。また、アーティファクト検出率A2は、すべての時間にわたって0.5~0.7程度の高い値となっている。このように、本実施形態に係る血流障害判定装置10によれば、脈波データに含まれるアーティファクトを減らして、脈波、色及び温度によって血流障害が発生しているか否かを総合的に判定することができる。
[0123]
 図17は、本実施形態に係る血流障害判定システムにより実行される第6処理のフローチャートである。第6処理は、脈波データに基づいて生体1に血流障害が発生しているか否かを判定する処理である。
[0124]
 血流障害判定装置10の算出部14は、複数の異なる期間のうち基準期間に測定した脈波データの確率分布と、複数の異なる期間のうち対象期間に測定した脈波データの確率分布とが等しいか否かを検定する検定統計量を算出する。ここで、基準期間は、脈波データの測定を開始した時点から所定期間経過するまでであってよく、対象期間は、現時点から所定期間遡った時点までであってよい。これまでの研究において得られたデータから、脈波データの確率分布をガンマ分布によって近似できることが分かっている。算出部14は、基準期間に測定した脈波データの平均及び分散に基づいて、基準期間に測定した脈波データのガンマ分布を推定し、対象期間に測定した脈波データの平均及び分散に基づいて、対象期間に測定した脈波データのガンマ分布を推定してよい。また、算出部14は、基準期間に測定した脈波データのガンマ分布と、対象期間に測定した脈波データのガンマ分布とが等しいか否かを検定する検定統計量としてD値を算出してよい。
[0125]
 血流障害判定装置10の第2判定部16は、検定統計量に基づいて、生体1に血流障害が発生しているか否かを判定する。第2判定部16は、D値が第5閾値以上である場合に生体1に血流障害が発生していると判定し、D値が第5閾値未満である場合に生体1に血流障害が発生していないと判定してよい。
[0126]
 はじめに、血流障害判定システム100は、脈波センサ21によって、所定のサンプリングレートで脈波データを測定する(S60)。その後、血流障害判定装置10は、基準期間を定め、基準区間の平均及び分散を算出し、基準期間に測定した脈波データの確率分布を推定する(S61)。また、血流障害判定装置10は、対象区間の平均及び分散を算出し、対象期間に測定した脈波データの確率分布を推定する(S62)。そして、血流障害判定装置10は、両確率分布が等しいか否かを検定する検定統計量としてD値を算出する(S63)。
[0127]
 D値が第5閾値以上である場合(S64:YES)、血流障害判定装置10は、生体1に血流障害が発生していると判定する(S65)。一方、D値が第5閾値未満である場合(S64:NO)、血流障害判定装置10は、生体1に血流障害が発生していないと判定する(S66)。
[0128]
 図18は、本実施形態に係る血流障害判定装置10により算出されたD値及び血流障害検出タイミングを示す図である。同図では、横軸に時間を示し、上側の縦軸に脈波データの大きさ(Pulse Power)を無次元で示し、下側の縦軸にD値の大きさを無次元で示している。
[0129]
 脈波データのグラフPPでは、4チャンネルの脈波データを実線、一点鎖線、二点鎖線及び破線で示している。血流障害判定装置10は、最新の脈波データを含む対象期間の脈波データの確率分布と、測定開始時の脈波データを含む基準期間の脈波データの確率分布とを推定し、それらの確率分布が等しいか否かを検定するD値を算出する。D値のグラフDは、ある時点で第5閾値Thを有意に超えており、血流障害判定装置10は、第1時点d1において、生体1に血流障害が発生していると判定した。
[0130]
 一方、医師は、定期的に患者を回診して血流障害が発生しているか否かを判断する。本例の場合、医師は、第2時点d2において、生体1に血流障害が発生していると判断した。
[0131]
 このように、医師による判断は正確ではあるものの、常時行えるものではなく、血流障害が発生してから発見されるまでにある程度時間が経過することがある。この点、本実施形態に係る血流障害判定装置10によれば、連続的な監視が可能となり、血流障害の発生をいち早く発見することができる。本実施形態に係る血流障害判定装置10によれば、基準期間の脈波データの確率分布と対象期間の脈波データの確率分布との差異に着目することで、脈波データの特徴を相対的に評価して、血流障害が発生している否かを判定することができる。
[0132]
 なお、脈波データの確率分布の変化に基づいて血流障害の発生を判定する場合、センサ20は、血流障害が懸念される箇所に貼付されてよいが、血流障害が懸念される箇所と正常な箇所にまたがるように貼付されてもよい。センサ20を血流障害が懸念される箇所と正常な箇所にまたがるように貼付する場合、少なくとも1チャネルの脈波センサ21を血流障害が懸念される箇所に貼付し、他の少なくとも1チャネルの脈波センサ21を正常な箇所に貼付するようにする。この場合、血流障害判定装置10は、正常な箇所に対応するチャネルの脈波データを基準として、正常な箇所に対応するチャネルの脈波データの確率分布と、血流障害が懸念される箇所に対応するチャネルの脈波データの確率分布とが等しいか否かを検定する検定統計量を算出してよい。また、センサ20を複数用意して、複数のチャネルを含む第1センサを正常な箇所に貼付し、複数のチャネルを含む他のセンサを血流障害が懸念される箇所に貼付してもよい。その場合、血流障害判定装置10は、正常な箇所に貼付した第1センサの脈波データの確率分布と、血流障害が懸念される箇所に貼付した第2センサの脈波データの確率分布とが等しいか否かを検定する検定統計量を算出してよい。
[0133]
 図19は、本実施形態に係る血流障害判定システム100により実行される第7処理のフローチャートである。第6処理は、赤外データに基づくノイズ除去を行い、色データに基づき危険度を算出する処理である。血流障害判定システム100の色センサ22で測定される色データは、赤外データを含み、決定部17は、赤外データに基づいてノイズ除去された時系列データを近似する所定の関数に含まれる1又は複数のパラメータの値を決定する。ここで、赤外データに基づくノイズ除去は、例えば、赤外データの大きさが第6閾値以上である場合に、その時点の色データをノイズとして除去することにより行われてよい。
[0134]
 はじめに、血流障害判定システム100は、色センサ22によって、所定のサンプリングレートで色データを測定する(S70)。血流障害判定装置10は、赤外データが第6閾値以上である区間の色データを除去することで、色データに関するノイズ除去を行う(S71)。その後、血流障害判定装置10は、色データを平滑化する(S72)。平滑化は、第3処理と同様に行われてよい。
[0135]
 血流障害判定装置10は、色データから明度データに変換する(S73)。色データから明度データへの変換は、第3処理と同様に行われてよい。
[0136]
 血流障害判定装置10は、明度データを近似する所定の関数のパラメータを決定する(S74)。明度データを近似する所定の関数のパラメータは、第3処理と同様に決定されてよい。
[0137]
 血流障害判定装置10は、決定係数と、パラメータの対数正規分布との積により指標を算出する(S75)。指標は、第3処理と同様に算出されてよい。
[0138]
 血流障害判定装置10は、指標の絶対値が第3閾値以上であるか否かを判定する(S76)。指標が第3閾値以上である場合(S76:YES)、血流障害判定装置10は、危険度の前回の値に指標を加算することで危険度を更新する(S77)。一方、指標が第3閾値以上でない場合(S76:NO)、危険度の前回の値と指標のいずれか大きい値により危険度を更新する(S78)。
[0139]
 赤外データに基づいて色データのノイズ除去を行うことで、血流障害の危険度をより正確に算出することができるようになる。
[0140]
 図20は、本実施形態に係る血流障害判定システム100により測定され、ノイズ除去された色データ及びノイズ除去されていない色データを示す図である。同図では、横軸に時間を示し、上側の縦軸にノイズ除去を行った色データの明度を無次元で示し、下側の縦軸にノイズ除去していない色データの明度を無次元で示している。ノイズ除去を行った色データのグラフY1及びノイズ除去していない色データのグラフY2いずれも、4チャンネルの色データを実線、一点鎖線、二点鎖線及び破線で示している。
[0141]
 ノイズ除去を行った色データのグラフY1は、不連続な箇所を含み、当該箇所がノイズとして除去されたデータである。一方、ノイズ除去していない色データのグラフY2は連続している。
[0142]
 図21は、本実施形態に係る血流障害判定装置10により色データに基づき推定された危険度を示す図である。同図では、横軸に経過日数を示し、縦軸に危険度を示している。同図では、4チャンネルの色センサ22により測定され、赤外データに基づいてノイズ除去された色データに基づき危険度を算出した結果を示している。
[0143]
 血流障害判定装置10は、ノイズ除去された4つの色データに基づき、それぞれ危険度を推定する。図21からは、2018年7月30日の夜に実線で示した第1危険度C1と、一点鎖線で示した第2危険度C2とが急上昇していることが読み取れる。第1危険度C1は、最大値の1.0近くまで上昇し、その後0.6程度を維持している。また、第2危険度C2は、0.3程度まで上昇し、その後0.3程度を維持している。その他、二点鎖線で示した第3危険度C3及び破線で示した第4危険度C4は、2018年7月31日の朝に0.1程度に上昇し、その後0.1程度を維持している。
[0144]
 図21に示すデータによれば、少なくとも1チャンネルの色データについて、危険度が最大値近くまで上昇しており、生体1に血流障害が生じている蓋然性が高いと判断できる。
[0145]
 以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
[0146]
 本発明は、生体の色データ及び温度データの少なくともいずれかに基づいて血流障害の危険度を算出し、危険度に基づいて血流障害を判定することができる血流障害判定装置、血流障害判定方法、血流障害判定プログラム及び血流障害判定システムを提供する。
[0147]
 [付記1]
 生体の色の時間変化を測定した色データ及び前記生体の温度の時間変化を測定した温度データの少なくともいずれかを含む時系列データを取得する取得部と、
 前記時系列データを近似する所定の関数に含まれる1又は複数のパラメータの値を決定する決定部と、
 前記1又は複数のパラメータの値に基づいて、危険度を推定する第1推定部と、
 前記危険度に基づいて、前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定する第2判定部と、
 を備える血流障害判定装置。
[0148]
 [付記2]
 前記第1推定部は、前記1又は複数のパラメータの値及び前記1又は複数のパラメータの決定係数に基づいて指標を算出し、前記指標に基づいて前記危険度を更新することで、時間変化する前記危険度を推定する、
 付記1に記載の血流障害判定装置。
[0149]
 [付記3]
 時間をtと表し、前記1又は複数のパラメータをA、A 及びτと表すとき、
 前記所定の関数は、A×exp(-t/τ)+A である、
 付記2に記載の血流障害判定装置。
[0150]
 [付記4]
 前記第1推定部は、
 前記指標の絶対値が第3閾値以上である場合、前記危険度の前回の値に前記指標を加算することで前記危険度を更新し、
 前記指標の絶対値が前記第3閾値未満である場合、前記危険度の前回の値と前記指標のいずれか大きい値により前記危険度を更新する、
 付記2又は3に記載の血流障害判定装置。
[0151]
 [付記5]
 前記取得部は、前記生体の脈波の時間変化を複数の異なる期間に測定した複数の脈波データを取得し、
 前記複数の脈波データをそれぞれフーリエ変換して複数のスペクトルデータを生成する生成部と、
 前記複数のスペクトルデータに含まれる1又は複数のピークを検出する検出部と、
 所定の周波数区間毎に前記1又は複数のピークが検出された頻度を算出する算出部と、
 前記頻度に基づいて、前記1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定する第1判定部と、をさらに備え、
 前記第2判定部は、前記1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、前記複数のスペクトルデータに基づいて、前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定する、
 付記1から4のいずれか一項に記載の血流障害判定装置。
[0152]
 [付記6]
 前記第1判定部は、前記複数のスペクトルデータのパワーの和が第1閾値以上である場合に、前記1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定する、
 付記5に記載の血流障害判定装置。
[0153]
 [付記7]
 前記第2判定部は、前記アーティファクトでないと判定された前記1又は複数のピークのうち最も頻度が高い周波数区間を特定し、前記複数のスペクトルデータの前記周波数区間のパワーの平均値が第2閾値以下である場合に、前記生体に血流障害が発生していると判定する、
 付記6に記載の血流障害判定装置。
[0154]
 [付記8]
 前記第2判定部は、前記複数のスペクトルデータのパワーの和が第1閾値未満である場合、前記複数のスペクトルデータのパワーの和の平均値が第2閾値以下である場合に、前記生体に血流障害が発生していると判定する、
 付記6又は7に記載の血流障害判定装置。
[0155]
 [付記9]
 所定期間に前記第1判定部及び前記第2判定部による判定を複数回行った場合における血流障害が発生していると判定された割合に基づいて、時間変化する脈波危険度を推定する第2推定部をさらに備える、
 付記5から8のいずれか一項に記載の血流障害判定装置。
[0156]
 [付記10]
 前記第2判定部は、前記1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、前記複数の脈波データを用いて前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定した結果と、前記色データ及び前記温度データの少なくともいずれかを用いて前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定した結果とに基づいて、前記生体に血流障害が生じているか否かを総合判定する、
 付記9に記載の血流障害判定装置。
[0157]
 [付記11]
 前記第2判定部は、前記脈波危険度及び前記危険度の少なくともいずれかが第4閾値以上である場合に、前記生体に血流障害が生じていると総合判定する、
 付記10に記載の血流障害判定装置。
[0158]
 [付記12]
 生体の色の時間変化を測定した色データ及び前記生体の温度の時間変化を測定した温度データの少なくともいずれかを含む時系列データを取得することと、
 前記時系列データを近似する所定の関数に含まれる1又は複数のパラメータの値を決定することと、
 前記1又は複数のパラメータの値に基づいて、危険度を推定することと、
 前記危険度に基づいて、前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定することと、
 を含む血流障害判定方法。
[0159]
 [付記13]
 血流障害判定装置に備えられたプロセッサを、
 生体の色の時間変化を測定した色データ及び前記生体の温度の時間変化を測定した温度データの少なくともいずれかを含む時系列データを取得する取得部、
 前記時系列データを近似する所定の関数に含まれる1又は複数のパラメータの値を決定する決定部、
 前記1又は複数のパラメータの値に基づいて、危険度を推定する第1推定部、及び
 前記危険度に基づいて、前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定する第2判定部、
 として機能させる血流障害判定プログラム。
[0160]
 [付記14]
 生体の色の時間変化を測定した色データ及び前記生体の温度の時間変化を測定した温度データの少なくともいずれかを測定し、前記色データ及び前記温度データの少なくともいずれかを含む時系列データを出力するセンサと、前記時系列データを用いて前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定する血流障害判定装置とを備える血流障害判定システムであって、
 前記血流障害判定装置は、
 前記時系列データを近似する所定の関数に含まれる1又は複数のパラメータの値を決定する決定部と、
 前記1又は複数のパラメータの値に基づいて、危険度を推定する第1推定部と、
 前記危険度に基づいて、前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定する第2判定部と、を有する、
 血流障害判定システム。

符号の説明

[0161]
 1…生体、10…血流障害判定装置、10a…CPU、10b…RAM、10c…ROM、10d…通信部、10e…入力部、10f…表示部、11…取得部、12…生成部、13…検出部、14…算出部、15…第1判定部、16…第2判定部、17…決定部、18…第1推定部、19…第2推定部、20…センサ、21…脈波センサ、22…色センサ、23…温度センサ、25…フレキシブル基板、30…トランスミッタ、100…血流障害判定システム

請求の範囲

[請求項1]
 生体の脈波の時間変化を複数の異なる期間に測定した複数の脈波データを取得する取得部と、
 前記複数の脈波データをそれぞれフーリエ変換して複数のスペクトルデータを生成する生成部と、
 前記複数のスペクトルデータに含まれる1又は複数のピークを検出する検出部と、
 所定の周波数区間毎に前記1又は複数のピークが検出された頻度を算出する算出部と、
 前記頻度に基づいて、前記1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定する第1判定部と、
 前記1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、前記複数のスペクトルデータに基づいて、前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定する第2判定部と、
 を備える血流障害判定装置。
[請求項2]
 前記第1判定部は、前記複数のスペクトルデータのパワーの和が第1閾値以上である場合に、前記1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定する、
 請求項1に記載の血流障害判定装置。
[請求項3]
 前記第2判定部は、前記アーティファクトでないと判定された前記1又は複数のピークのうち最も頻度が高い周波数区間を特定し、前記複数のスペクトルデータの前記周波数区間のパワーの平均値が第2閾値以下である場合に、前記生体に血流障害が発生していると判定する、
 請求項2に記載の血流障害判定装置。
[請求項4]
 前記第2判定部は、前記複数のスペクトルデータのパワーの和が第1閾値未満である場合、前記複数のスペクトルデータのパワーの和の平均値が第2閾値以下である場合に、前記生体に血流障害が発生していると判定する、
 請求項2又は3に記載の血流障害判定装置。
[請求項5]
 前記取得部は、前記生体の色の時間変化を測定した色データ及び前記生体の温度の時間変化を測定した温度データの少なくともいずれかを含む時系列データを取得し、
 前記時系列データを近似する所定の関数に含まれる1又は複数のパラメータの値を決定する決定部と、
 前記1又は複数のパラメータの値に基づいて、危険度を推定する第1推定部と、をさらに備え、
 前記第2判定部は、前記危険度に基づいて、前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定する、
 請求項1から4のいずれか一項に記載の血流障害判定装置。
[請求項6]
 前記第1推定部は、前記1又は複数のパラメータの値及び前記1又は複数のパラメータの決定係数に基づいて指標を算出し、前記指標に基づいて前記危険度を更新することで、時間変化する前記危険度を推定する、
 請求項5に記載の血流障害判定装置。
[請求項7]
 時間をtと表し、前記1又は複数のパラメータをA、A 及びτと表すとき、
 前記所定の関数は、A×exp(-t/τ)+A である、
 請求項6に記載の血流障害判定装置。
[請求項8]
 前記第1推定部は、
 前記指標の絶対値が第3閾値以上である場合、前記危険度の前回の値に前記指標を加算することで前記危険度を更新し、
 前記指標の絶対値が前記第3閾値未満である場合、前記危険度の前回の値と前記指標のいずれか大きい値により前記危険度を更新する、
 請求項6又は7に記載の血流障害判定装置。
[請求項9]
 所定期間に前記第1判定部及び前記第2判定部による判定を複数回行った場合における血流障害が発生していると判定された割合に基づいて、時間変化する脈波危険度を推定する第2推定部をさらに備える、
 請求項5から8のいずれか一項に記載の血流障害判定装置。
[請求項10]
 前記第2判定部は、前記1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、前記複数の脈波データを用いて前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定した結果と、前記色データ及び前記温度データの少なくともいずれかを用いて前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定した結果とに基づいて、前記生体に血流障害が生じているか否かを総合判定する、
 請求項9に記載の血流障害判定装置。
[請求項11]
 前記第2判定部は、前記脈波危険度及び前記危険度の少なくともいずれかが第4閾値以上である場合に、前記生体に血流障害が生じていると総合判定する、
 請求項10に記載の血流障害判定装置。
[請求項12]
 前記色データは、赤外データを含み、
 前記決定部は、前記赤外データに基づいてノイズ除去された前記時系列データを近似する前記所定の関数に含まれる前記1又は複数のパラメータの値を決定する、
 請求項5から11のいずれか一項に記載の血流障害判定装置。
[請求項13]
 前記算出部は、前記複数の異なる期間のうち基準期間に測定した脈波データの確率分布と、前記複数の異なる期間のうち対象期間に測定した脈波データの確率分布とが等しいか否かを検定する検定統計量を算出し、
 前記第2判定部は、前記検定統計量に基づいて、前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定する、
 請求項1から12のいずれか一項に記載の血流障害判定装置。
[請求項14]
 生体の脈波の時間変化を複数の異なる期間に測定した複数の脈波データを取得することと、
 前記複数の脈波データをそれぞれフーリエ変換して複数のスペクトルデータを生成することと、
 前記複数のスペクトルデータに含まれる1又は複数のピークを検出することと、
 所定の周波数区間毎に前記1又は複数のピークが検出された頻度を算出することと、
 前記頻度に基づいて、前記1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定することと、
 前記1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、前記複数のスペクトルデータに基づいて、前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定することと、
 を含む血流障害判定方法。
[請求項15]
 血流障害判定装置に備えられたプロセッサを、
 生体の脈波の時間変化を複数の異なる期間に測定した複数の脈波データを取得する取得部、
 前記複数の脈波データをそれぞれフーリエ変換して複数のスペクトルデータを生成する生成部、
 前記複数のスペクトルデータに含まれる1又は複数のピークを検出する検出部、
 所定の周波数区間毎に前記1又は複数のピークが検出された頻度を算出する算出部、
 前記頻度に基づいて、前記1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定する第1判定部、及び
 前記1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、前記複数のスペクトルデータに基づいて、前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定する第2判定部、
 として機能させる血流障害判定プログラム。
[請求項16]
 生体の脈波の時間変化を複数の異なる期間に測定し、複数の脈波データを出力する脈波センサと、前記複数の脈波データを用いて前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定する血流障害判定装置とを備える血流障害判定システムであって、
 前記血流障害判定装置は、
 前記複数の脈波データをそれぞれフーリエ変換して複数のスペクトルデータを生成する生成部と、
 前記複数のスペクトルデータに含まれる1又は複数のピークを検出する検出部と、
 所定の周波数区間毎に前記1又は複数のピークが検出された頻度を算出する算出部と、
 前記頻度に基づいて、前記1又は複数のピークがアーティファクトであるか否かを判定する第1判定部と、
 前記1又は複数のピークがアーティファクトでないと判定された場合に、前記複数のスペクトルデータに基づいて、前記生体に血流障害が発生しているか否かを判定する第2判定部と、を有する、
 血流障害判定システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]