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1. WO2020111162 - COMPOSITE CABLE

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明 細 書

発明の名称 複合ケーブル

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 複合ケーブル

技術分野

[0001]
 本開示は、複合ケーブルに関する。

背景技術

[0002]
 従来、自動車等の車両分野では、複数本の電線の外周を一括してシースにより被覆した多芯構造の複合ケーブルが知られている。
[0003]
 先行する特許文献1には、1対の電源線からなる電気ブレーキ用ケーブルと、1対の信号線を有するABSセンサ用ケーブルと、電気ブレーキ用ケーブルとABSセンサ用ケーブルとを一括して被覆する外部シースと、を備えた複合ケーブルが開示されている。また、同文献には、電気ブレーキ用ケーブルとABSセンサ用ケーブルに加え、断線検知線等の別の絶縁電線を一体化できる点が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2013-237428号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、複合ケーブルでは、複数の電線が組み合わされて電線束が構成されるので、テープ部材等を表面に巻回したとしても電線束の断面が円形になり難い。そのため、複合ケーブルでは、ケーブル周方向に剛性分布が生じ、繰り返しによるケーブル屈曲時に剛性が低い方向に曲げが集中することで導体が断線しやすい。特許文献1に示されるような、1対の電源線と一対の信号線とで構成される電線束に対して、さらに、別の一対の信号線ではなく1本の電線を配置しようとした場合にも、上記の問題が生じうる。
[0006]
 また、自動車等の車両分野では、加締め部を有するブラケットを車体等に取り付け、ブラケットの加締め部にて複合ケーブルを加締め固定することがある。この場合、従来の複合ケーブルでは、ケーブル形状を維持し難いため、固定力にばらつきが生じやすい。
[0007]
 本開示は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、繰り返しによるケーブル屈曲時に特定の方向に曲げが集中するのを抑制しやすく、ブラケットによるケーブル加締め時に固定力を安定させやすい複合ケーブルを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 本開示の一態様は、電線束と、上記電線束を被覆する外層シースと、を有しており、
 上記電線束は、1芯の第1電線と、1芯の第2電線と、2芯のツイストペア電線と、1芯の第3電線と、高分子より線状に形成された1本の線状介在物と、を含んでおり、
 上記電線束は、断面視において、
 上記第1電線の中心と上記第2電線の中心とを結んだ中心線の一方側に上記ツイストペア電線が配置されており、
 上記中心線の他方側に上記第3電線および上記線状介在物が配置されている、
 複合ケーブルにある。

発明の効果

[0009]
 上記複合ケーブルによれば、繰り返しによるケーブル屈曲時に特定の方向に曲げが集中するのを抑制しやすく、ブラケットによるケーブル加締め時に固定力を安定させやすい複合ケーブルを提供することが可能となる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 図1は、実施形態1にかかる複合ケーブルのケーブル断面を模式的に示した説明図である。
[図2] 図2は、実施形態1にかかる複合ケーブルの適用例を模式的に示した説明図である。
[図3] 図3は、実施形態2にかかる複合ケーブルのケーブル断面を模式的に示した説明図である。

発明を実施するための形態

[0011]
[本開示の実施形態の説明]
 最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
 本開示の複合ケーブルは、
 電線束と、上記電線束を被覆する外層シースと、を有しており、
 上記電線束は、1芯の第1電線と、1芯の第2電線と、2芯のツイストペア電線と、1芯の第3電線と、高分子より線状に形成された1本の線状介在物と、を含んでおり、
 上記電線束は、断面視において、
 上記第1電線の中心と上記第2電線の中心とを結んだ中心線の一方側に上記ツイストペア電線が配置されており、
 上記中心線の他方側に上記第3電線および上記線状介在物が配置されている。
[0012]
 本開示の複合ケーブルでは、第1電線、第2電線、および、ツイストペア電線を含む電線束に対して、さらに別の1本の第3電線を配置する場合であっても、その配置する第3電線とともに線状介在物も配置される。そして、第3電線および線状介在物は、第1電線および第2電線を間に挟んでツイストペア電線側とは反対側に配置される。そのため、上記複合ケーブルは、線状介在物がない場合に比べ、ケーブル周方向の剛性分布が改善され、ケーブル屈曲時に特定の方向にのみ曲げられることが少なくなる。それ故、上記複合ケーブルは、線状介在物がない場合に比べ、繰り返しによるケーブル屈曲時に剛性が低い方向に曲げが集中し難く、導体の断線を抑制しやすい。
[0013]
 また、本開示の複合ケーブルは、ブラケットの加締め部にて加締められた場合でも、上記位置に配置された高分子製の線状介在物が変形しながらケーブル形状を維持しようとする。そのため、上記複合ケーブルは、線状介在物がない場合に比べ、ケーブル形状を維持しやすく、固定力を安定させやすい。
[0014]
 本開示の複合ケーブルにおいては、上記第3電線と上記線状介在物とが撚り合わされて撚線が構成されることができる。
[0015]
 本開示の複合ケーブルにおいて、上記撚線の撚り外径は、上記ツイストペア電線の撚り外径と同等とされることができる。
[0016]
 本開示の複合ケーブルにおいて、上記線状介在物の外径は、上記第3電線の外径と同等とされることができる。
[0017]
 本開示の複合ケーブルにおいては、上記第1電線と上記第2電線と上記ツイストペア電線と上記第3電線と上記線状介在物とが撚り合わされることができる。
[0018]
 本開示の複合ケーブルにおいては、上記ツイストペア電線の導体断線時に上記線状介在物が断線しない構成とすることができる。
[0019]
 本開示の複合ケーブルは、上記電線束の外周面に巻回されたセパレータ層を有する構成とすることができる。
[0020]
 本開示の複合ケーブルは、上記断面視において、上記セパレータ層の外形が非円形状である構成とすることができる。
[0021]
 本開示の複合ケーブルは、上記セパレータ層の内側に空間を有する構成とすることができる。
[0022]
 本開示の複合ケーブルは、上記外層シースの内側面と上記電線束との間に内層シースを有する構成とすることができる。
[0023]
 本開示の複合ケーブルは、上記断面視において、上記内層シースの外形が円形状である構成とすることができる。
[0024]
 本開示の複合ケーブルにおいて、上記第1電線および上記第2電線は、いずれも電力線であり、上記ツイストペア電線は、2本の信号線が撚り合わされて構成されることができる。
[0025]
 本開示の複合ケーブルは、自動車の電動ブレーキに用いるように構成されることができる。
[0026]
[本開示の実施形態の詳細]
 本開示の複合ケーブルの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[0027]
(実施形態1)
 実施形態1の複合ケーブルについて、図1および図2を用いて説明する。図1に例示されるように、本実施形態の複合ケーブル1は、電線束2と、外層シース3と、を有している。電線束2は、1芯の第1電線21と、1芯の第2電線22と、2芯のツイストペア電線24と、1芯の第3電線23と、1本の線状介在物25と、を含んでいる。なお、図中の点線は、撚り合わせられていることを示している。また、上記点線の傍に記載した矢印は、撚り方向を示している。
[0028]
 本発明者らが、本実施形態の複合ケーブル1に至った経緯について説明する。
 本発明者らは、複合ケーブル1の曲げ性を向上し、曲げの集中による導体241、201の断線を抑制するため、複合ケーブル1の周方向の剛性分布を均一にすることを考えた。
 本来であれば、ツイストペア線24と、第3電線23と、線状介在物25とは1つに撚り合わせたい。なぜならば、電線束2をバランスの良い配置とすることにより、撚り波を抑制できるためである。また、複合ケーブル1の外径を小さくできる観点でも都合が良いためである。しかしながら、本発明者らの検討の結果、ツイストペア線24と、第3電線23と、線状介在物25とを1つに撚り合わせると複合ケーブル1の屈曲性が低下することが判明した。これは、電線の動きが制限されたためと推測される。
 そこで、本発明者らは、複合ケーブル1の被覆の厚みが一定で、さらに、電線束2の形状を円形とすることにより、複合ケーブル1の周方向の剛性分布を均一し、さらに屈曲性に優れたものにするため、電線束2の周囲を内層シース5によって覆い、線状介在物25を配置することを考え、本実施形態の複合ケーブル1を完成させた。
[0029]
 第1電線21および第2電線22は、いずれも、導体201と、導体201の外周を覆う絶縁体202と、を有する絶縁電線200より構成することができる。導体201は、金属素線201aが複数本撚り合わされてなる撚線導体より構成することができる。金属素線201aは、例えば、銅または銅合金、あるいは、アルミニウムまたはアルミニウム合金等より形成することができる。絶縁体202は、ポリエチレン、架橋ポリエチレン等より形成することができる。第1電線21および第2電線22は、同等の外径とされていてもよいし、異なる外径とされていてもよい。図1では、第1電線21および第2電線22が、いずれも同じ外径とされている例が示されている。第1電線21および第2電線22は、具体的には、いずれも電力線とすることができる。
[0030]
 ツイストペア電線24は、導体241と、導体241の外周を覆う絶縁体242と、を有する絶縁電線240が2本らせん状に撚り合わされた構成とすることができる。導体241は、金属素線241aが複数本撚り合わされてなる撚線導体より構成することができる。金属素線241aは、例えば、銅または銅合金、あるいは、アルミニウムまたはアルミニウム合金等より形成することができる。絶縁体242は、ポリエチレン、架橋ポリエチレン等より形成することができる。ツイストペア電線24を構成する2本の絶縁電線240は、同等の外径とされていてもよいし、異なる外径とされていてもよい。図1では、ツイストペア電線24を構成する2本の絶縁電線240が、いずれも同じ外径とされている例が示されている。また、図1では、ツイストペア電線24を構成する2本の絶縁電線240の外径が、第1電線21および第2電線22の外径よりも小さくされている例が示されている。ツイストペア電線24は、具体的には、2本の信号線が撚り合わされた構成とすることができる。
[0031]
 第3電線23は、導体231と、導体231の外周を覆う絶縁体232と、を有する絶縁電線230より構成することができる。導体231は、金属素線231aが複数本撚り合わされてなる撚線導体より構成することができる。金属素線231aは、例えば、銅または銅合金、あるいは、アルミニウムまたはアルミニウム合金等より形成することができる。絶縁体232は、ポリエチレン、架橋ポリエチレン等より形成することができる。図1では、第3電線23の外径は、第1電線21および第2電線22の外径よりも小さくされている例が示されている。また、図1では、第3電線23の外径は、ツイストペア電線24を構成する2本の絶縁電線240の外径と同等とされている例が示されているが、第3電線23の外径は、ツイストペア電線24を構成する2本の絶縁電線240の外径と異なる外径とされていてもよい。第3電線23は、具体的には、接地線(ドレイン線、アース線と称されることもある)、信号線等とすることができる。
[0032]
 電線束2は、電線とは異なる線状介在物25を含んでいる。線状介在物25は、高分子より線状に形成されている。高分子としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)などの樹脂、ゴムなどを例示することができる。高分子は、架橋されていてもよい。また、線状介在物25は、具体的には、紐状、棒状、上述の高分子からなる繊維等を複数合わせた繊維状などの形状を呈することができる。
[0033]
 外層シース3は、電線束2を被覆している。つまり、外層シース3は、第1電線21と第2電線22とツイストペア電線24と第3電線23と線状介在物25とを一括して被覆している。外層シース3は、ポリウレタン樹脂等より形成することができる。
[0034]
 ここで、電線束2は、断面視(ケーブル軸に垂直なケーブル断面視)において、第1電線21の中心と第2電線22の中心とを結んだ中心線Lの一方側にツイストペア電線24が配置されており、中心線Lの他方側に第3電線23および線状介在物25が配置されている。つまり、第3電線23および線状介在物25は、第1電線21および第2電線22を隔壁として、ツイストペア電線24と離間された状態とされている。なお、図1では、第1電線21が第2電線22に接している例が示されている。
[0035]
 複合ケーブル1によれば、以下の作用効果を奏することができる。すなわち、複合ケーブル1では、第1電線21、第2電線22、および、ツイストペア電線24を含む電線束2に対して、さらに別の1本の第3電線23を配置する場合であっても、その配置する第3電線23とともに線状介在物25も配置される。そして、第3電線23および線状介在物25は、第1電線21および第2電線22を間に挟んでツイストペア電線24側とは反対側に配置される。そのため、複合ケーブル1は、線状介在物25がない場合に比べ、ケーブル周方向の剛性分布が改善され、ケーブル屈曲時に特定の方向にのみ曲げられることが少なくなる。それ故、複合ケーブル1は、線状介在物25がない場合に比べ、繰り返しによるケーブル屈曲時に剛性が低い方向に曲げが集中し難く、導体241、201の断線を抑制しやすい。
[0036]
 また、複合ケーブル1は、ブラケットの加締め部にて加締められた場合でも、上記位置に配置された高分子製の線状介在物25が変形しながらケーブル形状を維持しようとする。そのため、複合ケーブル1は、線状介在物25がない場合に比べ、ケーブル形状を維持しやすく、固定力を安定させやすい。
[0037]
 複合ケーブル1では、図1に記載されるように、第3電線23と線状介在物25とを撚り合わせて撚線を構成することができる。この構成によれば、電線束2中に線状介在物25を配置する際に、線状介在物25、第3電線23がばらけ難くなるため、複合ケーブル1の製造性を向上させることができる。
[0038]
 この場合、撚線の撚り外径は、ツイストペア電線24の撚り外径と同等とすることができる。この構成によれば、第1電線21の中心と第2電線22の中心とを結んだ中心線Lにより、撚線の外形とツイストペア電線24の外形とをほぼ線対称とすることができる。そのため、中心線Lの両側のバランスがよくなり、ケーブル屈曲時の曲げをケーブル周方向で均一にしやすくなる。それ故、この構成によれば、線状介在物25がない場合に比べ、繰り返しによるケーブル屈曲時に剛性が低い方向に曲げがより集中し難くなり、導体241、201の断線抑制に有利である。また、この構成によれば、撚線の外形とツイストペア電線24の外形とが中心線Lを線対称軸としてほぼ線対称となるため、複合ケーブル1の完成外観における凹凸変化を抑制しやすくなる。
[0039]
 複合ケーブル1では、線状介在物25の外径を、第3電線23の外径と同等とすることができる。この構成によれば、第3電線23と線状介在物25とを撚り合わせて撚線を構成する際の撚り合わせを実施しやすくなる。また、この構成によれば、ケーブル周方向の剛性分布が改善され、ケーブル屈曲時に特定の方向に曲げが集中しなくなるなどの利点もある。
[0040]
 複合ケーブル1では、第1電線21と第2電線22とツイストペア電線24と第3電線23と線状介在物25とが撚り合わされている構成とすることができる。つまり、電線束2を構成する電線、線状介在物25は、束ねられた状態で撚り合わされた構成とすることができる。この構成によれば、撚られていることで撚り外径を低減しやすくなるなどの利点がある。なお、上記構成には、第3電線23と線状介在物25とが撚り合わされて撚線とされる場合も含まれる。つまり、上記構成には、第1電線21と、第2電線22と、ツイストペア電線24と、第3電線23および線状介在物25が撚り合わされてなる撚線と、が束ねられた状態で撚り合わされた構成が含まれる。
[0041]
 複合ケーブル1は、電線束2の外周面に巻回されたセパレータ層4を有する構成とすることができる。この構成によれば、電線束2を構成する各種構成部材と、外層シース3、後述する内層シース5とのひっつきを抑制することができる。また、この構成によれば、電線束2を構成する各種構成部材が束ねられた状態で撚り合わされている場合に、その撚りをほどけ難くすることができる。セパレータ層4は、具体的には、電線束2の外周面に押さえテープ部材などを巻回することなどによって構成することができる。セパレータ層4の材料としては、例えば、紙類、樹脂などを例示することができる。
[0042]
 複合ケーブル1がセパレータ層4を有する場合、断面視において、セパレータ層4の外形は、非円形状であってもよい。
[0043]
 複合ケーブル1がセパレータ層4を有する場合、セパレータ層4の内側に空間20を有する構成とすることができる。この構成によれば、ケーブル屈曲時に電線が空間20内で動くことができることで耐屈曲性が向上する、外層シース3等との密着力が下がって外層シース3等を取り去る加工がしやすくなるなどの利点がある。
[0044]
 複合ケーブル1は、外層シース3の内側面と電線束2との間に内層シース5を有する構成とすることができる。この構成によれば、電線束2の表面凹凸の形状を緩和することが可能となり、外層シース3を被覆する前のケーブル断面の外形を円形状に近づけやすくなる。そのため、この構成によれば、円形状のケーブル断面を有する複合ケーブル1を得やすくなる。この際、複合ケーブル1の断面視において、内層シース5の外形が円形状である場合には、上記効果を確実なものとすることができる。内層シース5は、ポリエチレン、架橋ポリエチレン等より形成することができる。
[0045]
 また、図1では、具体的には、外周面にセパレータ層4が巻回された電線束2を内層シース5が覆っている例が示されている。この構成によれば、断面視において、セパレータ層4の外形が非円形状であっても、外層シース3を被覆する前のケーブル断面の外形を内層シース5によって円形状に近づけやすくなる。そのため、この場合も、上記と同様に、円形状のケーブル断面を有する複合ケーブル1を得やすくなる。
[0046]
 複合ケーブル1は、ツイストペア電線24の導体断線時に線状介在物25が断線しない構成とすることができる。この構成によれば、線状介在物25がテンションメンバとして機能するため、断線した導体同士が離間して非導通の状態となるのを抑制することができる。つまり、線状介在物25により、断線した導体同士が接触した状態を保つことができる。そのため、この構成によれば、導体断線による信号の喪失や電力の喪失などを抑制しやすくなり、複合ケーブル1の信頼性を高めることができる。
[0047]
 複合ケーブル1は、具体的には、図2に例示されるように、ケーブル一方端部側が加締め部(不図示)を有するブラケット6の加締め部によって加締められることによって固定側部位7に固定され、ケーブル他方端部側が上下に振動する振動部位8に取り付けられた状態で使用されることができる。この構成によれば、上述した作用効果を十分に発揮させることができる。なお、図2では、複合ケーブル1が、下方に「U」字状等に屈曲された例を示しているが、複合ケーブル1は、上方に逆「U」字状等に屈曲されてもよい。
[0048]
 複合ケーブル1は、自動車の電動ブレーキに用いることができる。この構成によれば、上述した作用効果を十分に発揮させることができる。
[0049]
 なお、自動車の電動ブレーキでは、一般に、運転者の踏み力に応じて自動車のメイン電子制御ユニットから直接または間接的にブレーキキャリパが備えるモータを動作させ、モータの回転力を機械的な押し圧力に変換する。これにより、ブレーキパッドがブレーキディスクに押し付けられ(ディスクブレーキの場合)またはブレーキシューがブレーキドラムに押し付けられ(ドラムブレーキの場合)、ブレーキがかかる。
[0050]
 複合ケーブル1を自動車の電動ブレーキに適用する場合、複合ケーブル1は、具体的には、ケーブル一方端部側が車体または車台に固定され、ケーブル他方端部側が上下に振動する車輪周辺部位に取り付けられることができる。なお、車輪周辺部位としては、具体的には、自動車におけるサスペンションのバネ下部位(いわゆる、自動車の足回り(足廻り)部位)等が挙げられる。また、複合ケーブル1は、ケーブル一方端部側において1か所または複数個所で固定されていてもよい。同様に、複合ケーブル1は、ケーブル他方端部側において1か所または複数個所に取り付けられていてもよい。なお、上記固定には、上述したブラケット6、上記取り付けには、取り付けブラケット9等を用いることができる。なお、取り付けブラケット9も、複合ケーブル1を加締める加締め部(不図示)を有することができる。
[0051]
 複合ケーブル1を自動車の電動ブレーキに適用する場合、第1電線21および第2電線22は、具体的には、自動車の電動ブレーキにおけるブレーキキャリパが備えるモータを駆動させるための電力を供給するように構成することができる。また、ツイストペア電線24は、車輪の回転速度に関する電気信号を伝達する、および/または、モータの制御に関する電気信号を少なくとも伝達するように構成することができる。
[0052]
 なお、図1では、電線束2中に1本の線状介在物25を含んでいる例が示されているが、ケーブル屈曲時における特定方向への曲げ集中の抑制、ブラッケット6や取り付けブラケット9によるケーブル加締め時における固定力の安定性向上を図ることができる限り、電線束2は、上記の線状介在物25とは別の線状介在物(不図示)を1本または2本以上含むことができる。なお、線状介在物を複数含む場合、線状介在物の外径は同じであってもよいし、異なっていてもよい。同様に、電線束2は、ツイストペア電線24とは別の信号線(不図示)を1本または2本以上含むことができ、ツイストペア電線24とは別のツイストペア電線(不図示)を含むこともできる。
[0053]
 また、複合ケーブル1において、ツイストペア電線24は、シールド導体(不図示)、ツイストペア電線用シース(不図示)等によって被覆されていてもよい。この場合には、ツイストペア電線24の形状保持性が向上する。そのため、複合ケーブル1が屈曲状態で上下振動したときでも、ツイストペア電線24の耐断線性を向上させることができる。
[0054]
(実施形態2)
 実施形態2の複合ケーブルについて、図3を用いて説明する。なお、実施形態2以降において用いられる符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
[0055]
 図3に例示されるように、本実施形態の複合ケーブル1では、第3電線23と線状介在物25とが撚り合わされていない。この構成によれば、ハーネスに加工する際に、撚りをほどく手間がない、撚り合わされているときよりも第3電線23がストレートになるのでインダクタンスを低減しやすくなるなどの利点がある。
[0056]
 また、図3では、中心線Lの他方側に第3電線と3本の線状介在物25が配置されている例が示されている。線状介在物は、1本または2本とすることもできる。その他の構成および作用効果は、実施形態1と同様である。
[0057]
(実験例)
 図1に示される構成の複合ケーブルを準備した。この複合ケーブルを試料1という。なお、線状介在物は、ポリエチレン製である。また、試料1の複合ケーブルにおいて、線状介在物を用いず、第1電線および第2電線を間に挟んでツイストペア電線とは反対側に第3電線を単独で配置した点、線状介在物を含まない電線束の外周面をセパレータ層で巻回した点以外は試料1と同様にして、試料1Cの複合ケーブルを準備した。
[0058]
 複合ケーブルを「U」の字状に屈曲した状態とし、ケーブル一方端部側を固定部に固定した。また、ケーブル他方端部側を上下に振動可能な可動部に固定した。なお、かかる固定状態は、ケーブル一方端部側が車体または車台に固定され、ケーブル他方端部側が車輪周辺部位に固定された場合を模擬したものである。上記において、固定部における固定点と、可動部における上下振動の中心位置とは、同じ高さとされており、両者の距離は、100mmとした。また、ケーブル長は、300mmとした。また、可動部の上下移動量は、±80mmとした。
[0059]
 上記条件にて、可動部を上下に動かし、各試料の複合ケーブルにおけるツイストペア電線の導体が断線するまでの屈曲回数を数えた。その結果、試料1の複合ケーブルは、ツイストペア電線の導体が断線するまでの屈曲回数が試料1Cの複合ケーブルに比べて大きかった。また、試料1の複合ケーブルにおいて、ツイストペア電線の導体が断線したときの線状介在物の状態を確認しところ、線状介在物は断線していなかった。この結果から、試料1の複合ケーブルでは、線状介在物がテンションメンバとして機能していることが確認された。
[0060]
 また、試料1の複合ケーブルにおける上記試験による導体断線後、ツイストペア電線の導通状態を確認したところ、導通を確保できていることが確認された。これは、線状介在物がテンションメンバとして機能することで、断線した導体の端部同士が接触しているためである。なお、本実験例では、第1電線および第2電線の導体断面積がツイストペア電線の信号線を構成する導体断面積より大きかったこと、第1電線および第2電線がツイストペア電線に比べ、ケーブル中心に近かったことなどの理由により、第1電線および第2電線における導体の断線は確認されなかった。
[0061]
 本開示は、上記各実施形態、実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、各実施形態、実験例に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。

請求の範囲

[請求項1]
 電線束と、上記電線束を被覆する外層シースと、を有しており、
 上記電線束は、1芯の第1電線と、1芯の第2電線と、2芯のツイストペア電線と、1芯の第3電線と、高分子より線状に形成された1本の線状介在物と、を含んでおり、
 上記電線束は、断面視において、
 上記第1電線の中心と上記第2電線の中心とを結んだ中心線の一方側に上記ツイストペア電線が配置されており、
 上記中心線の他方側に上記第3電線および上記線状介在物が配置されている、
 複合ケーブル。
[請求項2]
 上記第3電線と上記線状介在物とが撚り合わされて撚線が構成されている、請求項1に記載の複合ケーブル。
[請求項3]
 上記撚線の撚り外径は、上記ツイストペア電線の撚り外径と同等とされている、請求項2に記載の複合ケーブル。
[請求項4]
 上記線状介在物の外径は、上記第3電線の外径と同等とされている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の複合ケーブル。
[請求項5]
 上記第1電線と上記第2電線と上記ツイストペア電線と上記第3電線と上記線状介在物とが撚り合わされている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の複合ケーブル。
[請求項6]
 上記ツイストペア電線の導体断線時に上記線状介在物が断線しない、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の複合ケーブル。
[請求項7]
 上記電線束の外周面に巻回されたセパレータ層を有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の複合ケーブル。
[請求項8]
 上記断面視において、上記セパレータ層の外形は、非円形状である、請求項7に記載の複合ケーブル。
[請求項9]
 上記セパレータ層の内側に空間を有する、請求項7または請求項8に記載の複合ケーブル。
[請求項10]
 上記外層シースの内側面と上記電線束との間に内層シースを有する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の複合ケーブル。
[請求項11]
 上記断面視において、上記内層シースの外形は、円形状である、請求項10に記載の複合ケーブル。
[請求項12]
 上記第1電線および上記第2電線は、いずれも電力線であり、
 上記ツイストペア電線は、2本の信号線が撚り合わされて構成されている、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の複合ケーブル。
[請求項13]
 自動車の電動ブレーキに用いるように構成されている、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の複合ケーブル。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]