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1. WO2020111102 - AUTOMATIC TRAVEL CONTROL SYSTEM, AUTOMATIC TRAVEL CONTROL PROGRAM, RECORDING MEDIUM HAVING AUTOMATIC TRAVEL CONTROL PROGRAM RECORDED THEREON, AUTOMATIC TRAVEL CONTROL METHOD, CONTROL DEVICE, CONTROL PROGRAM, RECORDING MEDIUM HAVING CONTROL PROGRAM RECORDED THEREON, AND CONTROL METHOD

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明 細 書

発明の名称 自動走行制御システム、自動走行制御プログラム、自動走行制御プログラムを記録した記録媒体、自動走行制御方法、制御装置、制御プログラム、制御プログラムを記録した記録媒体、制御方法

技術分野

0001   0002  

背景技術

0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

課題を解決するための手段

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046  

図面の簡単な説明

0047  

発明を実施するための形態

0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233  

産業上の利用可能性

0234   0235  

符号の説明

0236   0237  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22  

明 細 書

発明の名称 : 自動走行制御システム、自動走行制御プログラム、自動走行制御プログラムを記録した記録媒体、自動走行制御方法、制御装置、制御プログラム、制御プログラムを記録した記録媒体、制御方法

技術分野

[0001]
 本発明は、作業車の自動走行を制御する自動走行制御システムに関する。
[0002]
 また、本発明は、目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御装置に関する。

背景技術

[0003]
 [1]特許文献1には、自動走行が可能な作業車(特許文献1では「コンバイン」)の発明が記載されている。この作業車を利用した収穫作業において、オペレータは、収穫作業の最初にコンバインを手動で操作し、圃場内の外周部分を一周するように刈取走行を行う。
[0004]
 この外周部分での走行において、作業車の走行すべき方位が記録される。そして、記録された方位に基づく自動走行によって、圃場における未刈領域での刈取走行が行われる。
[0005]
 [2]特許文献2には、予め設定された目標走行経路に沿って自動走行する農業用作業車が開示されている。この農業用作業車では、GPSを用いて算出された自車位置が目標走行経路上に設定された目標点に向かうように、操向機構が制御される。その際、車体前側部分から目標点までの距離は、車体前側部分から目標走行経路に下ろした垂線の長さ(横偏差)が大きいほど小さくなるように設定される。
[0006]
 特許文献3に開示されている作業車においては、目標走行経路に対する横偏差と、目標走行経路に対する方位偏差と、に基づいて、目標操舵値が演算される。そして、この目標操舵値に基づいて、操舵駆動信号が出力される。具体的には、第1操舵値と第2操舵値とから目標操舵値が演算される。第1操舵値は、横偏差に基づいて演算される。第2操舵値は、方位偏差に基づいて導出された演算値を重み係数によって調整して得られる値に基づいて演算される。横偏差が大きいほど、この重み係数は小さくなる。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 日本国実開平2-107911号公報
特許文献2 : 日本国特開2002-182741号公報
特許文献3 : 日本国特開2016-155491号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 [1]背景技術[1]に対応する課題は、以下の通りである。
 特許文献1には、作業車の旋回出力の算出については詳述されていない。尚、旋回出力とは、作業車を旋回させるための走行装置の制御量を決定するための出力値である。旋回出力に基づいて、走行装置の制御量が決定される。
[0009]
 ここで、特許文献1に記載の作業車において、作業車が目標走行経路に沿って自動走行するように、目標走行経路と作業車との間の距離である横偏差に基づいて旋回出力を算出することにより作業車の走行を制御する走行制御部を備えることが考えられる。この構成であれば、旋回出力は横偏差に基づいて算出される。
[0010]
 しかしながら、作業車の状態によって、適切な旋回出力は異なる。即ち、横偏差と旋回出力との対応関係が、作業車の状態によらず一定である構成では、旋回出力が適切な値にならない事態が想定される。
[0011]
 本発明の目的は、作業車の状態に応じた旋回出力を算出可能な自動走行制御システムを提供することである。
[0012]
 [2]背景技術[2]に対応する課題は、以下の通りである。
 特許文献2による作業車では、車体が目標走行経路から横方向に大きく外れている場合には、大きな操舵角によって位置ずれが解消される。また、車体が目標走行経路から横方向に小さく外れている場合には、小さな操舵角によって位置ずれが解消される。大きな操舵角を用いることで、位置ずれは迅速に解消される。しかしながら、作業地を走行装置(車輪やクローラ)によって荒らしてしまうという問題が生じる。特に、作業地が圃場などの場合、この問題は深刻である。
[0013]
 特許文献3による作業車では、横偏差が大きい場合には、方位偏差をある程度無視して、横偏差の解消を重視して算出された目標操舵値が出力される。このため、この作業車においても、横偏差が大きい場合には、大きな操舵角が用いられることとなる。その結果、特許文献2による作業車と同様な問題が生じる。即ち、作業地を走行装置(車輪やクローラ)によって荒らしてしまう。
[0014]
 上記実情から、目標走行経路から外れた自動走行作業車を元に戻すための改善された制御装置が要望されている。

課題を解決するための手段

[0015]
 [1]課題[1]に対応する解決手段は、以下の通りである。
 本発明の特徴は、未作業領域を通る目標走行経路を算出する経路算出部と、作業車が前記目標走行経路に沿って自動走行するように、前記目標走行経路と前記作業車との間の距離である横偏差に基づいて旋回出力を算出することにより前記作業車の走行を制御する走行制御部と、前記作業車の状態を検出する検出部と、を備え、前記走行制御部は、前記作業車が既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記検出部により検出された状態に基づいて、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係を決定することにある。
[0016]
 本発明であれば、作業車の状態に基づいて、横偏差と旋回出力との対応関係が決定される。従って、作業車の状態に応じた旋回出力を算出可能な自動走行制御システムを実現できる。
[0017]
 さらに、本発明において、前記検出部は、前記横偏差を検出し、前記走行制御部は、前記作業車が前記既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記横偏差が第1閾値を超えている場合、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係を第1対応関係に決定し、前記走行制御部は、前記作業車が前記既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記横偏差が前記第1閾値を超えていない場合、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係を第2対応関係に決定し、前記第1対応関係における前記旋回出力は、前記第2対応関係における前記旋回出力よりも小さいと好適である。
[0018]
 この構成によれば、作業車が、横偏差を0(ゼロ)に近づけるように、機体左右方向において目標走行経路へ寄りながら前進していく場合、横偏差が第1閾値を超えている間は、旋回出力が比較的小さくなりやすい。
[0019]
 これにより、横偏差が第1閾値を超えている間は、作業車が目標走行経路へ緩やかに寄りやすくなる。従って、作業車が目標走行経路へ急激に接近していくことにより目標走行経路を超えてしまうオーバーシュートが起こりにくくなる。
[0020]
 さらに、本発明において、前記走行制御部は、前記作業車が旋回しながら前記既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記横偏差が第2閾値を超えている場合、前記作業車に、一旦後進してから再度前進して前記未作業領域への進入を試みる走行であるリトライ走行を行わせると好適である。
[0021]
 この構成によれば、作業車が旋回しながら既作業領域から未作業領域に進入する際、横偏差が第2閾値を超えると、作業車は、自動的にリトライ走行を行う。これにより、横偏差が第2閾値よりも大きい状態で作業車が既作業領域から未作業領域に進入してしまう事態を回避できる。
[0022]
 しかも、この構成によれば、リトライ走行によって、横偏差を縮小させた上で、未作業領域への進入を試みることができる。
[0023]
 さらに、本発明において、前記走行制御部は、前記リトライ走行が行われている場合、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係を第3対応関係に決定し、前記第3対応関係における前記旋回出力は、前記第1対応関係における前記旋回出力よりも大きいと好適である。
[0024]
 この構成によれば、リトライ走行が行われている場合、旋回出力が比較的大きくなりやすい。これにより、リトライ走行において、作業車が目標走行経路へ速やかに近づきやすくなる。
[0025]
 さらに、本発明において、前記走行制御部は、自動走行開始時において、前記横偏差が前記第2閾値を超えている場合、前記作業車に前記リトライ走行を行わせないと好適である。
[0026]
 自動走行開始時にリトライ走行が行われた場合、作業車が後進することにより、作業車に搭乗しているオペレータが違和感を覚える事態が想定される。
[0027]
 ここで、上記の構成によれば、自動走行開始時においては、リトライ走行は行われない。これにより、上述のようにオペレータが違和感を覚える事態を回避できる。
[0028]
 また、本発明の別の特徴は、自動走行制御プログラムであって、未作業領域を通る目標走行経路を算出する経路算出機能と、作業車が前記目標走行経路に沿って自動走行するように、前記目標走行経路と前記作業車との間の距離である横偏差に基づいて旋回出力を算出することにより前記作業車の走行を制御する走行制御機能と、前記作業車の状態を検出する検出機能と、をコンピュータに実現させ、前記走行制御機能は、前記作業車が既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記検出機能により検出された状態に基づいて、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係を決定することにある。
[0029]
 また、本発明の別の特徴は、自動走行制御プログラムを記録した記録媒体であって、未作業領域を通る目標走行経路を算出する経路算出機能と、作業車が前記目標走行経路に沿って自動走行するように、前記目標走行経路と前記作業車との間の距離である横偏差に基づいて旋回出力を算出することにより前記作業車の走行を制御する走行制御機能と、前記作業車の状態を検出する検出機能と、をコンピュータに実現させる自動走行制御プログラムを記録しており、前記走行制御機能は、前記作業車が既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記検出機能により検出された状態に基づいて、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係を決定することにある。
[0030]
 また、本発明の別の特徴は、自動走行制御方法であって、未作業領域を通る目標走行経路を算出する経路算出ステップと、作業車が前記目標走行経路に沿って自動走行するように、前記目標走行経路と前記作業車との間の距離である横偏差に基づいて旋回出力を算出することにより前記作業車の走行を制御する走行制御ステップと、前記作業車の状態を検出する検出ステップと、備え、前記走行制御ステップにおいて、前記作業車が既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記検出ステップにより検出された状態に基づいて、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係が決定されることにある。
[0031]
 [2]課題[2]に対応する解決手段は、以下の通りである。
 上記課題を解決するため、目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御装置は、前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出部と、所定時間後の前記目標走行経路における推定目標点を算出する目標点推定部と、前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算ユニットと、前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車の走行方向を変更するための制御量を出力する制御演算ユニットとを備える。
[0032]
 この構成では、作業車を目標走行経路に沿って走行させる制御を行う際に、まずは、推定目標点が算出される。推定目標点とは、所定時間後に目標走行経路上の制御目標点となると推定される点である。そして、推定目標点と自車位置との間の偏差を縮小するための制御量が、演算され、出力される。出力された制御量によって、車輪やクローラなどの操向機器が制御される。作業車を目標走行経路に沿って走行させる制御を行う際には、所定時間後の目標走行経路上での作業車の位置が、推定目標点となる。言い換えれば、現状の自車位置から作業車の進行方向へ離れた地点に位置しており、且つ、目標走行経路上に位置している位置が、推定目標点となる。そして、当該所定時間が長いほど、推定目標点に対する車体方位(車体前後方向の向き)のずれは小さくなる。従って、当該所定時間が長いほど、操向機器を制御するための制御量は小さくなる。この所定時間を、この制御装置を搭載する作業車に応じて適切に設定することにより、作業車に適した操舵制御が実現する。
[0033]
 本発明の制御における、適切な所定時間は、作業車の種類によって異なる。また、適切な所定時間は、作業地における作業車の走行面の状態、作業車の走行状態など種々の条件によって異なる可能性がある。このような作業車の種類、作業状態、圃場状態などを、ここでは作業車の状態と総称する。前記所定時間は、前記作業車の状態によって変更されることが好ましい。もちろん、作業車に対して運転者が設定した操作機器の状態に基づいて、自動的に前記所定時間が設定されてもよい。
[0034]
 自車が目標走行経路上の推定目標点に向かうように走行方向が調節されると、作業車の目標走行経路からの位置ずれは縮小される。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記推定目標点と前記自車位置とを通る直線と前記目標走行経路とがなす角度を推定方位偏差として算出する推定方位偏差算出部が備えられ、前記補正方位演算ユニットは、前記推定方位偏差を入力パラメータとして第1補正方位を出力する第1制御器を備え、前記第1補正方位に基づいて前記補正方位が演算される。前記補正方位演算ユニットは、前記推定目標点と前記自車位置とを通る直線と前記目標走行経路とがなす推定方位偏差を入力パラメータとして第1補正方位を出力する第1制御器を備え、前記第1補正方位に基づいて前記補正方位が演算される。
[0035]
 推定方位偏差が大きいほど、車体の走行方向を変更するための制御量が大きくなる。したがって、この制御をスムーズに行うために、前記第1制御器は比例制御器で構成されることが好ましい。
[0036]
 推定方位偏差だけを入力パラメータとして車体の走行方向を変更するための補正方位を演算するよりは、目標走行経路の左右方向での車体と目標走行経路との距離(横偏差と称する)も入力パラメータとして利用し、車体の走行方向を変更するための補正方位を演算する方が、目標走行経路から外れた車体をより適切に戻すことができる。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記目標走行経路の経路方位に直交する方向での前記自車位置から前記目標走行経路までの距離を横偏差として算出する横偏差算出部が備えられ、前記補正方位演算ユニットは、前記横偏差を入力パラメータとして第2補正方位を出力する第2制御器を備え、前記第1補正方位と前記第2補正方位とに基づいて、前記補正方位が演算される。
[0037]
 横偏差に基づく車体の走行方向を変更するための補正方位を求める際に、単純な比例演算を用いる構成においては、横偏差が大きい場合、演算結果としての補正方位が大きくなり過ぎることがある。この問題を避けるため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記第2制御器は積分制御器で構成される。
[0038]
 車体の走行方向を変更する場合、その車体の挙動は、車速によって異なる。高い車速での走行方向の大きな変更は避ける必要がある。このため、車速が大きいほど、推定目標点が、車体から遠ざかることが好ましい。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記作業車の車速を算出する車速算出部が備えられ、前記目標点推定部は、前記自車位置から前記目標走行経路への射影点を出発点として、前記目標走行経路を前記車速で前記所定時間移動した点の位置を前記推定目標点とする。これにより、車速が高いほど、推定目標点は車体から走行方向に離れることになる。上記射影点という語句は、厳密には、ある点から目標走行経路に垂線を下ろしたときの垂線と目標走行経路との交点である。しかしながら、ここでは、ある点から目標走行経路に対して垂直ではなくてやや傾きをもって下ろした線と、目標走行経路と、の交点も射影点に含めるものとする。
[0039]
 車体の走行方向を変更する場合、その時の車体の向きである車体方位も考慮すれば、目標走行経路から外れた車体は、より適切に目標走行経路に戻ることができる。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、車体の向きを示す車体方位を算出する車体方位算出部が備えられ、前記制御演算ユニットは、さらに前記車体方位を入力パラメータとして用いる。
[0040]
 これまでの本発明の説明では、推定目標点は、所定時間後の作業車の位置を考慮して、算出されている。車速に所定時間をかけることにより、所定時間での作業車の移動距離を得ることができる。例えばコンバインや田植機など、圃場を走行する作業車の作業時の車速は、それほど大きくない。おおよその車速が前もって決められていれば、所定時間で作業車が移動する距離を、前もって算出できる。この場合、目標点推定部は、前もって設定されている所定距離を出発点に加算するだけで、推定目標点を算出できる。このことを利用した、本発明による、目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御装置は、前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出部と、前記自車位置から前記目標走行経路への射影点から前記目標走行経路上で前記作業車の走行方向側に所定距離離れた位置を推定目標点として算出する目標点推定部と、前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算ユニットと、前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算ユニットとを備える。この構成の制御装置も、実質的に上述した作用効果と同じ作用効果を得ることができる。
[0041]
 また、本発明の別の特徴は、目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御プログラムであって、前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出機能と、所定時間後の前記目標走行経路における推定目標点を算出する目標点推定機能と、前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算機能と、前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算機能と、をコンピュータに実現させることにある。
[0042]
 また、本発明の別の特徴は、目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御プログラムを記録した記録媒体であって、前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出機能と、所定時間後の前記目標走行経路における推定目標点を算出する目標点推定機能と、前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算機能と、前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算機能と、をコンピュータに実現させる制御プログラムを記録していることにある。
[0043]
 また、本発明の別の特徴は、目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御方法であって、前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出ステップと、所定時間後の前記目標走行経路における推定目標点を算出する目標点推定ステップと、前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算ステップと、前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算ステップと、を備えることにある。
[0044]
 また、本発明の別の特徴は、目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御プログラムであって、前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出機能と、前記自車位置から前記目標走行経路への射影点から前記目標走行経路上で前記作業車の走行方向側に所定距離離れた位置を推定目標点として算出する目標点推定機能と、前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算機能と、前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算機能と、をコンピュータに実現させることにある。
[0045]
 また、本発明の別の特徴は、目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御プログラムを記録した記録媒体であって、前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出機能と、前記自車位置から前記目標走行経路への射影点から前記目標走行経路上で前記作業車の走行方向側に所定距離離れた位置を推定目標点として算出する目標点推定機能と、前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算機能と、前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算機能と、をコンピュータに実現させる制御プログラムを記録していることにある。
[0046]
 また、本発明の別の特徴は、目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御方法であって、前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出ステップと、前記自車位置から前記目標走行経路への射影点から前記目標走行経路上で前記作業車の走行方向側に所定距離離れた位置を推定目標点として算出する目標点推定ステップと、前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算ステップと、前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算ステップと、を備えることにある。

図面の簡単な説明

[0047]
[図1] 第1実施形態を示す図であって(以下、図13まで同じ。)、コンバインの左側面図である。
[図2] 圃場における周回走行を示す図である。
[図3] 刈取走行経路に沿った刈取走行を示す図である。
[図4] 制御部に関する構成を示すブロック図である。
[図5] 横偏差と旋回出力との対応関係を示す図である。
[図6] コンバインが外周領域から作業対象領域に進入する場合の例を示す図である。
[図7] リトライ走行が行われる場合の例を示す図である。
[図8] リトライ走行が行われない場合の例を示す図である。
[図9] 旋回出力と出力レベルとの対応関係を示す図である。
[図10] 出力レベルがA1である場合における旋回内側のサイドクラッチの入切状態の推移を示す図である。
[図11] 出力レベルがB3である場合における旋回内側のサイドクラッチの入切状態の推移を示す図である。
[図12] 出力レベルがB2である場合における旋回内側のサイドクラッチの入切状態の推移を示す図である。
[図13] 出力レベルがB1である場合における旋回内側のサイドクラッチの入切状態の推移を示す図である。
[図14] 第2実施形態を示す図であって(以下、図22まで同じ。)、圃場作業車の一例としての普通型のコンバインの側面図である。
[図15] コンバインの周囲刈り走行を示す説明図である。
[図16] Uターンでつながれた往復走行を繰り返すUターン走行パターンを示す説明図である。
[図17] アルファターン走行を用いた渦巻き走行のための走行パターンを示す説明図である。
[図18] コンバインの制御系の構成を示す機能ブロック図である。
[図19] 補正方位演算ユニットと制御演算ユニットとの構成と、補正方位演算ユニットに入力されるデータとを説明する機能ブロック図である。
[図20] 補正方位演算ユニットにおける偏差の解消原理を模式的に示す説明図である。
[図21] 操舵入力と操舵出力の関係を示すグラフである。
[図22] 操舵制御特性を改善するために改良された操舵入力と操舵出力の関係を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0048]
[第1実施形態]
 以下、図1~図13を参照しながら、第1実施形態について説明する。尚、方向についての記載は、特に断りがない限り、図1に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」とする。また、図1に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
[0049]
 〔コンバインの全体構成〕
 図1に示すように、普通型のコンバイン1(本発明に係る「作業車」に相当)は、クローラ式の走行装置11、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14、収穫装置H、搬送装置16、穀粒排出装置18、衛星測位モジュール80、エンジンEを備えている。
[0050]
 走行装置11は、コンバイン1における下部に備えられている。また、走行装置11は、エンジンEからの動力によって駆動する。そして、コンバイン1は、走行装置11によって自走可能である。
[0051]
 また、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11の上側に備えられている。運転部12には、コンバイン1の作業を監視するオペレータが搭乗可能である。尚、オペレータは、コンバイン1の機外からコンバイン1の作業を監視していても良い。
[0052]
 穀粒排出装置18は、穀粒タンク14の上側に設けられている。また、衛星測位モジュール80は、運転部12の上面に取り付けられている。
[0053]
 収穫装置Hは、コンバイン1における前部に備えられている。そして、搬送装置16は、収穫装置Hの後側に設けられている。また、収穫装置Hは、刈取装置15及びリール17を有している。
[0054]
 刈取装置15は、圃場の植立穀稈を刈り取る。また、リール17は、回転駆動しながら収穫対象の植立穀稈を掻き込む。この構成により、収穫装置Hは、圃場の穀物を収穫する。そして、コンバイン1は、刈取装置15によって圃場の植立穀稈を刈り取りながら走行装置11によって走行する刈取走行が可能である。
[0055]
 刈取装置15により刈り取られた刈取穀稈は、搬送装置16によって脱穀装置13へ搬送される。脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
[0056]
 また、図1に示すように、運転部12には、通信端末4が配置されている。通信端末4は、種々の情報を表示可能に構成されている。本実施形態において、通信端末4は、運転部12に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、通信端末4は、運転部12に対して着脱可能に構成されていても良いし、通信端末4は、コンバイン1の機外に位置していても良い。
[0057]
 ここで、コンバイン1は、図2に示すように圃場における外周側の領域で穀物を収穫しながら周回走行を行った後、図3に示すように圃場における内側の領域で刈取走行を行うことにより、圃場の穀物を収穫するように構成されている。
[0058]
 本実施形態においては、図2に示す周回走行は手動走行により行われる。また、図3に示す内側の領域での刈取走行は、自動走行により行われる。
[0059]
 尚、本発明はこれに限定されず、図2に示す周回走行は自動走行により行われても良い。
[0060]
 尚、オペレータは、通信端末4を操作することにより、エンジンEの回転速度を変更することができる。
[0061]
 作物の種類によって、脱粒しやすさや倒伏しやすさ等の生育特性は異なる。従って、作物の種類によって、適切な作業速度は異なる。オペレータが通信端末4を操作し、エンジンEの回転速度を適切な回転速度に設定すれば、作物の種類に適した作業速度で作業を行うことができる。
[0062]
 圃場での収穫作業において、コンバイン1は、自動走行制御システム2によって制御される。以下では、自動走行制御システム2の構成について説明する。
[0063]
 〔自動走行制御システムの構成〕
 図4に示すように、自動走行制御システム2は、制御部20及び衛星測位モジュール80を備えている。尚、制御部20は、コンバイン1に備えられている。また、上述の通り、衛星測位モジュール80も、コンバイン1に備えられている。
[0064]
 また、エンジンEから出力された動力は、走行装置11に入力される。これにより、上述の通り、走行装置11は、エンジンEからの動力によって駆動する。
[0065]
 また、制御部20は、自車位置算出部21、領域算出部22、経路算出部23、走行制御部24を備えている。
[0066]
 図1に示すように、衛星測位モジュール80は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星GSからのGPS信号を受信する。そして、図4に示すように、衛星測位モジュール80は、受信したGPS信号に基づいて、コンバイン1の自車位置を示す測位データを自車位置算出部21へ送る。
[0067]
 自車位置算出部21は、衛星測位モジュール80により出力された測位データに基づいて、コンバイン1の位置座標を経時的に算出する。算出されたコンバイン1の経時的な位置座標は、領域算出部22及び走行制御部24へ送られる。
[0068]
 領域算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、図3に示すように、外周領域SA(本発明に係る「既作業領域」に相当)及び作業対象領域CA(本発明に係る「未作業領域」に相当)を算出する。
[0069]
 より具体的には、領域算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、圃場の外周側における周回走行でのコンバイン1の走行軌跡を算出する。そして、領域算出部22は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、コンバイン1が穀物を収穫しながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部22は、算出された外周領域SAよりも圃場内側の領域を、作業対象領域CAとして算出する。
[0070]
 例えば、図2においては、圃場の外周側における周回走行のためのコンバイン1の走行経路が矢印で示されている。図2に示す例では、コンバイン1は、3周の周回走行を行う。そして、この走行経路に沿った刈取走行が完了すると、圃場は、図3に示す状態となる。
[0071]
 図3に示すように、領域算出部22は、コンバイン1が穀物を収穫しながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部22は、算出された外周領域SAよりも圃場内側の領域を、作業対象領域CAとして算出する。そして、図4に示すように、領域算出部22による算出結果は、経路算出部23及び走行制御部24へ送られる。
[0072]
 経路算出部23は、領域算出部22から受け取った算出結果に基づいて、図3に示すように、作業対象領域CAにおける刈取走行のための走行経路である刈取走行経路LI(本発明に係る「目標走行経路」に相当)を算出する。尚、図3に示すように、本実施形態においては、刈取走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線である。また、複数の平行線は直線でなくても良く、湾曲していても良い。
[0073]
 このように、経路算出部23は、作業対象領域CAを通る刈取走行経路LIを算出する。
[0074]
 図4に示すように、経路算出部23により算出された刈取走行経路LIは、走行制御部24へ送られる。
[0075]
 走行制御部24は、走行装置11を制御可能に構成されている。そして、走行制御部24は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、領域算出部22から受け取った算出結果と、経路算出部23から受け取った刈取走行経路LIと、に基づいて、コンバイン1の自動走行を制御する。より具体的には、走行制御部24は、図3に示すように、刈取走行経路LIに沿った自動走行によって刈取走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。
[0076]
 また、経路算出部23は、領域算出部22から受け取った算出結果に基づいて、図3に示すように、外周領域SAにおける非刈取走行のための走行経路である離脱復帰経路LWを算出する。尚、図3に示すように、本実施形態においては、離脱復帰経路LWは、圃場の外形に沿う形状の線である。
[0077]
 図4に示すように、経路算出部23により算出された離脱復帰経路LWは、走行制御部24へ送られる。
[0078]
 走行制御部24は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、経路算出部23から受け取った離脱復帰経路LWと、に基づいて、コンバイン1の自動走行を制御する。より具体的には、走行制御部24は、コンバイン1が刈取走行経路LIから離脱した場合に、離脱復帰経路LWに沿った自動走行によって非刈取走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。
[0079]
 〔自動走行制御システムを利用した収穫作業の流れ〕
 以下では、自動走行制御システム2を利用した収穫作業の例として、コンバイン1が、図2に示す圃場で収穫作業を行う場合の流れについて説明する。
[0080]
 最初に、オペレータは、コンバイン1を手動で操作し、図2に示すように、圃場内の外周部分において、圃場の境界線に沿って周回するように刈取走行を行う。図2に示す例では、コンバイン1は、3周の周回走行を行う。この周回走行が完了すると、圃場は、図3に示す状態となる。
[0081]
 領域算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、図2に示す周回走行でのコンバイン1の走行軌跡を算出する。そして、図3に示すように、領域算出部22は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、コンバイン1が植立穀稈を刈り取りながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部22は、算出された外周領域SAよりも圃場内側の領域を、作業対象領域CAとして算出する。
[0082]
 次に、経路算出部23は、領域算出部22から受け取った算出結果に基づいて、図3に示すように、作業対象領域CAにおける刈取走行経路LIを設定する。また、このとき、経路算出部23は、領域算出部22から受け取った算出結果に基づいて、外周領域SAにおける離脱復帰経路LWを算出する。
[0083]
 そして、オペレータが自動走行開始ボタン(図示せず)を押すことにより、図3に示すように、刈取走行経路LIに沿った自動走行が開始される。このとき、走行制御部24は、刈取走行経路LIに沿った自動走行によって刈取走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。
[0084]
 自動走行が開始されると、図3に示すように、コンバイン1は、刈取走行経路LIに沿った走行と、Uターンによる旋回と、を繰り返すことにより、作業対象領域CAの全体を網羅するように刈取走行を行う。
[0085]
 ここで、コンバイン1により刈取走行が行われている間、上述の通り、刈取装置15により刈り取られた刈取穀稈は、搬送装置16によって脱穀装置13へ搬送される。そして、脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。
[0086]
 尚、本実施形態においては、図2及び図3に示すように、圃場外に運搬車CVが駐車している。そして、外周領域SAにおいて、運搬車CVの近傍位置には、停車位置PPが設定されている。図3に示すように、停車位置PPは、離脱復帰経路LWに重複する位置に設定されている。
[0087]
 運搬車CVは、コンバイン1が穀粒排出装置18から排出した穀粒を収集し、運搬することができる。穀粒排出の際、コンバイン1は停車位置PPに停車し、穀粒排出装置18によって穀粒を運搬車CVへ排出する。
[0088]
 コンバイン1が刈取走行を続け、穀粒タンク14内の穀粒の量が所定量に達すると、走行制御部24は、刈取走行経路LIから離脱するようにコンバイン1の走行を制御する。
[0089]
 コンバイン1が刈取走行経路LIから離脱した後、走行制御部24は、離脱復帰経路LWへ向かって走行するようにコンバイン1を制御する。そして、コンバイン1が離脱復帰経路LWの近傍に到達すると、走行制御部24は、離脱復帰経路LWに沿った自動走行によって非刈取走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。
[0090]
 そして、コンバイン1は停車位置PPに停車し、穀粒排出装置18によって穀粒を運搬車CVへ排出する。
[0091]
 〔旋回出力の算出に関する構成〕
 図4に示すように、走行制御部24は、横偏差検出部25(本発明に係る「検出部」に相当)、旋回出力算出部26、出力変換部27、リトライ判定部28、進入判定部29、開始時判定部30を有している。
[0092]
 横偏差検出部25は、コンバイン1の状態を検出するように構成されている。より具体的には、横偏差検出部25は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、経路算出部23から受け取った刈取走行経路LIと、に基づいて、横偏差を検出する。尚、横偏差とは、刈取走行経路LIとコンバイン1との間の距離である。
[0093]
 横偏差検出部25により検出された横偏差は、旋回出力算出部26へ送られる。旋回出力算出部26は、横偏差検出部25から受け取った横偏差に基づいて、旋回出力を算出する。横偏差が大きいほど、旋回出力算出部26により算出される旋回出力は大きくなる。
[0094]
 尚、旋回出力とは、出力レベルを決定するための出力値である。また、出力レベルとは、コンバイン1を旋回させるための走行装置11の制御量である。
[0095]
 旋回出力算出部26により算出された旋回出力は、出力変換部27へ送られる。出力変換部27は、旋回出力算出部26から受け取った旋回出力に基づいて、出力レベルを決定する。
[0096]
 そして、走行制御部24は、出力変換部27により決定された出力レベルに応じて走行装置11を制御することにより、コンバイン1の走行を制御する。このとき、走行制御部24は、コンバイン1が刈取走行経路LIに沿って自動走行するように、コンバイン1の走行を制御する。
[0097]
 即ち、走行制御部24は、コンバイン1が刈取走行経路LIに沿って自動走行するように、横偏差に基づいて旋回出力を算出することによりコンバイン1の走行を制御する。
[0098]
 尚、旋回出力が大きいほど、出力変換部27により決定される出力レベルは高くなる。そして、走行制御部24は、出力レベルが高いほどコンバイン1の旋回半径が小さくなるように、走行装置11を制御する。
[0099]
 また、進入判定部29は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、領域算出部22から受け取った算出結果と、に基づいて、コンバイン1が外周領域SAから作業対象領域CAに進入しようとしている状態であるか否かを判定する。進入判定部29による判定結果は、旋回出力算出部26へ送られる。
[0100]
 そして、進入判定部29により、コンバイン1が外周領域SAから作業対象領域CAに進入しようとしている状態であると判定された場合、旋回出力算出部26は、横偏差検出部25から受け取った横偏差に基づいて、横偏差と旋回出力との対応関係を決定する。
[0101]
 このように、走行制御部24は、コンバイン1が外周領域SAから作業対象領域CAに進入する際、横偏差検出部25により検出された状態に基づいて、横偏差と旋回出力との対応関係を決定する。
[0102]
 より具体的には、図6に示すように、進入判定部29により、コンバイン1が外周領域SAから作業対象領域CAに進入しようとしている状態であると判定されているとき、横偏差が第1閾値d1を超えている場合、旋回出力算出部26は、横偏差と旋回出力との対応関係を第1対応関係M1に決定する。
[0103]
 また、進入判定部29により、コンバイン1が外周領域SAから作業対象領域CAに進入しようとしている状態であると判定されているとき、横偏差が第1閾値d1を超えていない場合、旋回出力算出部26は、横偏差と旋回出力との対応関係を第2対応関係M2に決定する。
[0104]
 そして、図5に示すように、グラフの横軸に横偏差、縦軸に旋回出力を取ったときの第1対応関係M1の傾きは、第2対応関係M2の傾きよりも小さい。即ち、第1対応関係M1における旋回出力は、第2対応関係M2における旋回出力よりも小さい。
[0105]
 このように、走行制御部24は、コンバイン1が外周領域SAから作業対象領域CAに進入する際、横偏差が第1閾値d1を超えている場合、横偏差と旋回出力との対応関係を第1対応関係M1に決定する。
[0106]
 また、走行制御部24は、コンバイン1が外周領域SAから作業対象領域CAに進入する際、横偏差が第1閾値d1を超えていない場合、横偏差と旋回出力との対応関係を第2対応関係M2に決定する。
[0107]
 また、図4に示すように、横偏差検出部25により検出された横偏差は、リトライ判定部28へ送られる。また、進入判定部29による判定結果も、リトライ判定部28へ送られる。
[0108]
 また、開始時判定部30は、上述の自動走行開始ボタンの操作等の情報に基づいて、自動走行の開始時であるか否かを判定する。開始時判定部30による判定結果も、リトライ判定部28へ送られる。
[0109]
 リトライ判定部28は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、経路算出部23から受け取った刈取走行経路LIと、進入判定部29から受け取った判定結果と、に基づいて、コンバイン1が旋回しながら外周領域SAから作業対象領域CAに進入しようとしている状態であるか否かを判定する。
[0110]
 また、リトライ判定部28は、横偏差検出部25から受け取った横偏差に基づいて、横偏差が第2閾値d2を超えているか否かを判定する。
[0111]
 そして、リトライ判定部28は、リトライ判定部28による上記の判定結果と、開始時判定部30から受け取った判定結果と、に基づいて、リトライ条件が満たされているか否かを判定する。尚、リトライ条件とは、コンバイン1にリトライ走行を行わせるための条件である。本実施形態において、リトライ条件は、「自動走行開始時ではなく、且つ、コンバイン1が旋回しながら外周領域SAから作業対象領域CAに進入しようとしている状態であり、且つ、横偏差が第2閾値d2を超えていること」である。また、リトライ走行とは、一旦後進してから再度前進して作業対象領域CAへの進入を試みる走行である。
[0112]
 尚、図6に示すように、コンバイン1の機体の向きが目標とする刈取走行経路LIの延びる方向と同じまたは略同じであり、刈取走行経路LIへ向かって前進しながら、機体左右方向において刈取走行経路LIの位置へ機体を寄せていくケースは、「コンバイン1が旋回しながら外周領域SAから作業対象領域CAに進入しようとしている状態」には該当しない。
[0113]
 また、図7に示すように、コンバイン1が、刈取走行経路LIの終端からUターン走行を開始し、別の刈取走行経路LIの始端へ向かって走行していくケースは、「コンバイン1が旋回しながら外周領域SAから作業対象領域CAに進入しようとしている状態」に該当する。
[0114]
 そして、リトライ判定部28によってリトライ条件が満たされていると判定された場合、走行制御部24は、コンバイン1がリトライ走行を行うように、コンバイン1の走行を制御する。
[0115]
 このように、走行制御部24は、コンバイン1が旋回しながら外周領域SAから作業対象領域CAに進入する際、横偏差が第2閾値d2を超えている場合、コンバイン1に、一旦後進してから再度前進して作業対象領域CAへの進入を試みる走行であるリトライ走行を行わせる。
[0116]
 ここで、自動走行開始時である場合には、上述のリトライ条件は満たされない。即ち、コンバイン1が旋回しながら外周領域SAから作業対象領域CAに進入しようとしている状態であり、且つ、横偏差が第2閾値d2を超えている場合であっても、自動走行開始時においては、リトライ判定部28はリトライ条件が満たされていないと判定する。従って、この場合、走行制御部24は、コンバイン1にリトライ走行を行わせない。
[0117]
 このように、走行制御部24は、自動走行開始時において、横偏差が第2閾値d2を超えている場合、コンバイン1にリトライ走行を行わせない。
[0118]
 また、図4に示すように、リトライ判定部28による判定結果は、旋回出力算出部26へ送られる。旋回出力算出部26は、リトライ判定部28による判定結果に基づいて、横偏差と旋回出力との対応関係を決定する。
[0119]
 より具体的には、リトライ判定部28により、リトライ条件が満たされていると判定された場合、旋回出力算出部26は、横偏差と旋回出力との対応関係を、第3対応関係M3に決定する。
[0120]
 即ち、走行制御部24は、リトライ走行が行われている場合、横偏差と旋回出力との対応関係を第3対応関係M3に決定する。
[0121]
 そして、図5に示すように、グラフの横軸に横偏差、縦軸に旋回出力を取ったときの第3対応関係M3の傾きは、第1対応関係M1の傾きよりも大きく、第2対応関係M2の傾きよりも小さい。即ち、第3対応関係M3における旋回出力は、第1対応関係M1における旋回出力よりも大きく、第2対応関係M2における旋回出力よりも小さい。
[0122]
 尚、本実施形態において、旋回出力算出部26は、横偏差に基づく制御におけるゲイン(係数)を決定することにより、横偏差と旋回出力との対応関係を決定する。即ち、このゲインを決定することは、本発明に係る「横偏差と旋回出力との対応関係を決定する」ことに相当する。また、図5に示すグラフにおいては、このゲインが大きいほど、傾きが大きくなる。
[0123]
 〔自動走行制御システムによる走行制御〕
 以下では、自動走行制御システム2による走行制御の例として、コンバイン1が図6から図8に示すように走行した場合について説明する。
[0124]
 図6に示す例では、コンバイン1は、外周領域SAにおける位置P1から、刈取走行経路LIの始点である位置P3へ向かって走行する。即ち、図6に示す例では、コンバイン1は、外周領域SAから作業対象領域CAに進入する。このとき、進入判定部29は、コンバイン1が外周領域SAから作業対象領域CAに進入しようとしている状態であると判定する。進入判定部29による判定結果は、旋回出力算出部26及びリトライ判定部28へ送られる。
[0125]
 ここで、位置P1における横偏差は、第1閾値d1より大きい。このときの横偏差は、横偏差検出部25により検出され、旋回出力算出部26及びリトライ判定部28へ送られる。
[0126]
 また、上述の通り、コンバイン1の機体の向きが、目標とする刈取走行経路LIの延びる方向と同じまたは略同じであり、刈取走行経路LIへ向かって前進しながら、機体左右方向において刈取走行経路LIの位置へ機体を寄せていくケースは、「コンバイン1が旋回しながら外周領域SAから作業対象領域CAに進入しようとしている状態」には該当しない。
[0127]
 そのため、図6に示す例では、リトライ判定部28は、リトライ条件が満たされていないと判定する。リトライ判定部28による判定結果は、旋回出力算出部26へ送られる。
[0128]
 以上のことから、コンバイン1が位置P1に位置しているとき、旋回出力算出部26は、横偏差と旋回出力との対応関係を第1対応関係M1に決定する。
[0129]
 その後、コンバイン1の走行に伴って横偏差は減少していく。そして、コンバイン1が位置P2に到達したとき、横偏差は第1閾値d1に等しくなる。このとき、旋回出力算出部26は、横偏差と旋回出力との対応関係を第2対応関係M2に決定する。
[0130]
 即ち、コンバイン1が位置P2に到達する直前まで、横偏差と旋回出力との対応関係は第1対応関係M1である。そして、コンバイン1が位置P2に到達したとき、横偏差と旋回出力との対応関係は第2対応関係M2に変化する。
[0131]
 その後、コンバイン1が位置P3に到達するまで、横偏差と旋回出力との対応関係は第2対応関係M2のまま維持される。
[0132]
 また、図7に示す例では、コンバイン1は、刈取走行経路LIのうちの1つである第1経路LI1の終端からUターン走行を開始し、別の刈取走行経路LIである第2経路LI2の始端へ向かって走行していく。
[0133]
 ここで、図7における位置P4は、第1経路LI1の終端である。また、位置P7は、第2経路LI2の始端である。即ち、コンバイン1は、位置P4から、位置P7へ向かってUターン走行を行う。
[0134]
 図7においては、このときの目標旋回ラインが、位置P4と位置P7とを結ぶ破線により示されている。しかしながら、図7に示す例では、コンバイン1は、この目標旋回ラインを逸脱し、位置P5に到達する。ここで、位置P5における横偏差は、第2閾値d2より大きい。このときの横偏差は、横偏差検出部25により検出され、旋回出力算出部26及びリトライ判定部28へ送られる。
[0135]
 また、このUターン走行において、進入判定部29は、コンバイン1が外周領域SAから作業対象領域CAに進入しようとしている状態であると判定する。進入判定部29による判定結果は、旋回出力算出部26及びリトライ判定部28へ送られる。
[0136]
 また、このUターン走行において、開始時判定部30は、自動走行の開始時ではないと判定する。開始時判定部30による判定結果は、リトライ判定部28へ送られる。
[0137]
 また、上述の通り、コンバイン1が、刈取走行経路LIの終端からUターン走行を開始し、別の刈取走行経路LIの始端へ向かって走行していくケースは、「コンバイン1が旋回しながら外周領域SAから作業対象領域CAに進入しようとしている状態」に該当する。
[0138]
 従って、コンバイン1が位置P5に到達したとき、リトライ判定部28は、リトライ条件が満たされていると判定する。これにより、走行制御部24は、コンバイン1がリトライ走行を行うように、コンバイン1の走行を制御する。そのため、コンバイン1は、位置P5からリトライ走行を行う。
[0139]
 また、リトライ判定部28による判定結果は、旋回出力算出部26へ送られる。リトライ判定部28により、リトライ条件が満たされていると判定されたため、旋回出力算出部26は、横偏差と旋回出力との対応関係を、第3対応関係M3に決定する。
[0140]
 このリトライ走行において、コンバイン1は、位置P5から一旦後進し、位置P6に到達する。そして、位置P6から再度前進し、作業対象領域CAへの進入を試みる。その結果、コンバイン1は、位置P7へ到達すると共に、作業対象領域CAへ進入する。
[0141]
 尚、コンバイン1が位置P5から後進を開始した時点から、コンバイン1が位置P7に到達するまで、横偏差と旋回出力との対応関係は第3対応関係M3のまま維持される。
[0142]
 また、図8に示す例では、コンバイン1は、外周領域SAにおける位置P8から自動走行を開始する。このとき、開始時判定部30は、自動走行の開始時であると判定する。開始時判定部30による判定結果は、リトライ判定部28へ送られる。
[0143]
 位置P8において、コンバイン1の機体の向きは、目標とする刈取走行経路LIの延びる方向に対して垂直な方向である。そのため、コンバイン1は、位置P8から、旋回しながら刈取走行経路LIの始点へ向かって走行する。
[0144]
 そして、コンバイン1は位置P9に到達する。位置P9における横偏差は、第2閾値d2より大きい。このときの横偏差は、横偏差検出部25により検出され、旋回出力算出部26及びリトライ判定部28へ送られる。
[0145]
 即ち、コンバイン1が位置P9に到達したとき、横偏差は第2閾値d2を超えている。しかしながら、上述の通り、開始時判定部30は、自動走行の開始時であると判定している。
[0146]
 そのため、リトライ判定部28は、リトライ条件が満たされていないと判定する。従って、図8に示す例では、リトライ走行は行われない。
[0147]
 尚、本実施形態において、走行制御部24は、開始時判定部30により自動走行の開始時であると判定され、且つ、横偏差検出部25により検出された横偏差が第2閾値d2を超えた場合、コンバイン1の走行を停止する。
[0148]
 そのため、図8に示す例では、位置P9においてコンバイン1は停車する。
[0149]
 〔出力レベルについて〕
 上述の通り、出力変換部27は、旋回出力算出部26から受け取った旋回出力に基づいて、出力レベルを決定する。そして、走行制御部24は、出力変換部27により決定された出力レベルに応じて走行装置11を制御することにより、コンバイン1の走行を制御する。
[0150]
 図9では、旋回出力と、出力変換部27により決定される出力レベルと、の対応関係が示されている。
[0151]
 図9に示すように、旋回出力が0(ゼロ)以上且つY1未満のとき、出力レベルは0(ゼロ)となる。
[0152]
 また、旋回出力がY1以上且つY2未満のとき、出力レベルはB1となる。
[0153]
 また、旋回出力がY2以上且つY3未満のとき、出力レベルはB2となる。
[0154]
 また、旋回出力がY3以上且つX1未満のとき、出力レベルはB3となる。
[0155]
 また、旋回出力がX1以上且つX2未満のとき、出力レベルはA1となる。
[0156]
 また、旋回出力がX2以上且つX3未満のとき、出力レベルはA2となる。
[0157]
 以降、同様に、旋回出力が大きいほど、出力レベルはA3、A4、A5……と高くなる。尚、図9においては、出力レベルはA3までしか示されていない。
[0158]
 出力レベルがA2以上である場合、走行制御部24は、走行装置11における旋回内側のサイドブレーキ(図示せず)を制動状態に制御する。このとき、走行制御部24は、出力レベルが高いほど、サイドブレーキの制動力が大きくなるようにサイドブレーキを制御する。
[0159]
 また、出力レベルがA1以下である場合、走行制御部24は、走行装置11における旋回内側のサイドクラッチ(図示せず)を切状態に制御する。尚、このとき、サイドブレーキは制動状態に制御されない。
[0160]
 以下では、出力レベルがA1以下である場合について詳述する。
[0161]
 出力レベルがA1以下である場合、図10から図13に示すように、走行制御部24は、走行装置11における旋回内側のサイドクラッチを、周期的に制御する。尚、各周期の長さはTである。
[0162]
 出力レベルがA1である場合、図10に示すように、各周期において、旋回内側のサイドクラッチは常に切状態に制御される。即ち、出力レベルがA1である間は、旋回内側のサイドクラッチは切状態に維持される。
[0163]
 出力レベルがB3である場合、図11に示すように、各周期において、まず、時間t1に亘って、旋回内側のサイドクラッチが切状態に制御される。その後、時間s1に亘って、旋回内側のサイドクラッチが入状態に制御される。尚、時間t1は時間s1よりも長い。
[0164]
 これにより、出力レベルがB3である場合は、出力レベルがA1である場合に比べて、コンバイン1が緩やかに旋回する。
[0165]
 出力レベルがB2である場合、図12に示すように、各周期において、まず、時間t2に亘って、旋回内側のサイドクラッチが切状態に制御される。その後、時間s2に亘って、旋回内側のサイドクラッチが入状態に制御される。尚、時間t2は時間s2よりも長く、時間t1よりも短い。
[0166]
 これにより、出力レベルがB2である場合は、出力レベルがB3である場合に比べて、コンバイン1が緩やかに旋回する。
[0167]
 出力レベルがB1である場合、図13に示すように、各周期において、まず、時間t3に亘って、旋回内側のサイドクラッチが切状態に制御される。その後、時間s3に亘って、旋回内側のサイドクラッチが入状態に制御される。尚、時間t3は時間s3よりも短く、時間t2よりも短い。
[0168]
 これにより、出力レベルがB1である場合は、出力レベルがB2である場合に比べて、コンバイン1が緩やかに旋回する。
[0169]
 尚、本実施形態においては、図11から図13に示すように、時間t1は時間t3の3倍の長さである。また、時間t2は時間t3の2倍の長さである。
[0170]
 また、出力レベルが0(ゼロ)である場合は、左右のサイドクラッチは何れも入状態に維持される。即ち、出力レベルが0(ゼロ)である場合は、コンバイン1は旋回せず直進する。
[0171]
 以上で説明した構成であれば、コンバイン1の状態に基づいて、横偏差と旋回出力との対応関係が決定される。従って、コンバイン1の状態に応じた旋回出力を算出可能な自動走行制御システム2を実現できる。
[0172]
[第1実施形態の別実施形態]
 以下、上記した実施形態を変更した別実施形態について説明する。以下の各別実施形態で説明している事項以外は、上記した実施形態で説明している事項と同様である。上記した実施形態及び以下の各別実施形態は、矛盾が生じない範囲で、適宜組み合わせてもよい。なお、本発明の範囲は、上記した実施形態及び以下の各別実施形態に限定されるものではない。
[0173]
 (1)走行装置11は、ホイール式であっても良いし、セミクローラ式であっても良い。
[0174]
 (2)上記実施形態においては、経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線でなくても良い。例えば、経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、縦横方向に延びる複数のメッシュ線であっても良いし、渦巻き状の走行経路であっても良い。
[0175]
 (3)上記実施形態においては、オペレータは、コンバイン1を手動で操作し、図2に示すように、圃場内の外周部分において、圃場の境界線に沿って周回するように刈取走行を行う。しかしながら、本発明はこれに限定されず、コンバイン1が自動で走行し、圃場内の外周部分において、圃場の境界線に沿って周回するように刈取走行を行うように構成されていても良い。また、このときの周回数は、3周以外の数であっても良い。例えば、このときの周回数は2周であっても良い。
[0176]
 (4)自車位置算出部21、領域算出部22、経路算出部23、走行制御部24のうち、一部または全てがコンバイン1の外部に備えられていても良いのであって、例えば、コンバイン1の外部に設けられた管理サーバに備えられていても良い。
[0177]
 (5)図7に示す例では、コンバイン1が位置P5から後進を開始した時点から、コンバイン1が位置P7に到達するまで、横偏差と旋回出力との対応関係は第3対応関係M3のまま維持される。しかしながら、本発明はこれに限定されず、コンバイン1が位置P5から後進を開始した時点から、コンバイン1が位置P6に到達するまで、横偏差と旋回出力との対応関係は、第3対応関係M3以外の対応関係であっても良い。この場合、コンバイン1が位置P6から前進を開始した時点で、横偏差と旋回出力との対応関係が第3対応関係M3に変化しても良い。
[0178]
 (6)走行制御部24は、自動走行開始時において、横偏差が第2閾値d2を超えている場合、コンバイン1にリトライ走行を行わせるように構成されていても良い。
[0179]
 (7)第3対応関係M3における旋回出力は、第1対応関係M1における旋回出力よりも小さくても良い。
[0180]
 (8)走行制御部24は、リトライ走行が行われている場合、横偏差と旋回出力との対応関係を第3対応関係M3以外の対応関係に決定しても良い。例えば、走行制御部24は、リトライ走行が行われている場合、横偏差と旋回出力との対応関係を第1対応関係M1に決定しても良い。
[0181]
 (9)走行制御部24は、コンバイン1が旋回しながら外周領域SAから作業対象領域CAに進入する際、横偏差が第2閾値d2を超えている場合、コンバイン1にリトライ走行を行わせず、コンバイン1を停車させるように構成されていても良い。
[0182]
 (10)第1対応関係M1における旋回出力は、第2対応関係M2における旋回出力よりも大きくても良い。
[0183]
 (11)本発明に係る「検出部」は、上記実施形態における横偏差検出部25に限定されない。例えば、本発明に係る「検出部」に相当する部材として、コンバイン1の車速を検出する車速検出部が備えられていても良い。この場合、走行制御部24は、コンバイン1が外周領域SAから作業対象領域CAに進入する際、車速検出部により検出された車速に基づいて、横偏差と旋回出力との対応関係を決定するように構成されていても良い。
[0184]
 また、例えば、本発明に係る「検出部」に相当する部材として、コンバイン1の作業内容を検出する作業内容検出部が備えられていても良い。作業内容とは、例えば、収穫対象作物の種類等である。この場合、走行制御部24は、コンバイン1が外周領域SAから作業対象領域CAに進入する際、作業内容検出部により検出された作業内容に基づいて、横偏差と旋回出力との対応関係を決定するように構成されていても良い。
[0185]
 (12)第1閾値d1は、第2閾値d2より大きくても良いし、第2閾値d2より小さくても良いし、第2閾値d2と同一であっても良い。
[0186]
 (13)出力変換部27は、設けられていなくても良い。
[0187]
 (14)リトライ判定部28は、設けられていなくても良い。
[0188]
 (15)開始時判定部30は、設けられていなくても良い。
[0189]
 (16)上記実施形態における各部材の機能をコンピュータに実現させる自動走行制御プログラムとして構成されていても良い。また、上記実施形態における各部材の機能をコンピュータに実現させる自動走行制御プログラムが記録された記録媒体として構成されていても良い。また、上記実施形態において各部材により行われることを一つまたは複数のステップにより行う自動走行制御方法として構成されていても良い。
[0190]
[第2実施形態]
 以下、図14~図22を参照しながら、本発明による制御装置を搭載した自動走行可能な作業車の一例として、普通型のコンバインを取り上げ、本発明の第2実施形態として説明する。なお、以下では、特に断りがない限り、「前」(図14に示す矢印Fの方向)は車体前後方向(走行方向)に関して前方を意味し、「後」(図14に示す矢印Bの方向)は車体前後方向(走行方向)に関して後方を意味する。また、左右方向または横方向は、車体前後方向に直交する車体横断方向(車体幅方向)を意味する。「上」(図14に示す矢印Uの方向)及び「下」(図14に示す矢印Dの方向)は、車体110の鉛直方向(垂直方向)での位置関係であり、地上高さにおける関係を示す。
[0191]
 図14に示すように、このコンバインは、車体110、クローラ式の走行装置111、運転部112、脱穀装置113、収穫物タンクとしての穀粒タンク114、収穫部115、搬送装置116、穀粒排出装置118、自車位置検出ユニット180を備えている。
[0192]
 走行装置111は、車体110の下部に備えられている。コンバインは、走行装置111によって自走可能に構成されている。運転部112、脱穀装置113、穀粒タンク114は、走行装置111の上方に備えられている。運転部112には、コンバインを運転する運転者及びコンバインの作業を監視する監視者が搭乗可能である。なお、監視者は、コンバインの機外からコンバインの作業を監視してもよい。
[0193]
 穀粒排出装置118は、穀粒タンク114の後下部に連結されている。また、自車位置検出ユニット180は、運転部112の上面に取り付けられている。
[0194]
 収穫部115は、コンバインにおける前部に備えられている。そして、搬送装置116は、収穫部115の後方に設けられている。コンバインは、収穫部115によって圃場の穀物を収穫しながら走行装置111によって走行する作業走行が可能である。
[0195]
 収穫部115で刈り取られた刈取穀稈は、搬送装置116によって脱穀装置113へ搬送される。脱穀装置113において、刈取穀稈は脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒は、穀粒タンク114に貯留される。穀粒タンク114に貯留された穀粒は、必要に応じて(満杯など)、穀粒排出装置118によって機外に排出される。
[0196]
 また、運転部112には、汎用端末104が配置されている。本実施形態において、汎用端末104は、運転部112に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、汎用端末104は、運転部112に対して着脱可能に構成されていても良い。また、汎用端末104は、コンバインの機外に持ち出し可能であってもよい。
[0197]
 図15に示すように、このコンバインは、圃場において設定された走行経路に沿って自動走行する。これには、自車位置の情報が必要である。自車位置検出ユニット180には、衛星測位モジュール181と慣性計測モジュール182とが含まれている。衛星測位モジュール181は、人工衛星GSから送信される位置情報であるGNSS(global navigation satellite system)信号(GPS信号を含む)を受信して、自車位置を算出するための測位データを出力する。慣性計測モジュール182には、ジャイロ加速度センサ及び磁気方位センサが組み込まれている。そして、慣性計測モジュール182は、瞬時の走行方向を示す信号を出力する。慣性計測モジュール182は、衛星測位モジュール181による自車位置の算出を補完するために用いられる。慣性計測モジュール182は、衛星測位モジュール181とは別の場所に配置されてもよい。
[0198]
 このコンバインによって圃場での収穫作業を行う場合の手順は、以下に説明する通りである。まず、運転者兼監視者は、コンバインを操作し、図15に示すように、圃場内の外周部分において、圃場の境界線に沿って周囲刈り走行しながら収穫を行う。周囲刈り走行により刈取り収穫作業の終わった領域は、外周領域SAとして設定される。そして、外周領域SAの内側に残された内部領域は未刈領域CA1である。未刈領域CA1は、今後の作業対象の領域として設定される。この実施形態では、未刈領域CA1が四角形となるように、周囲刈り走行が行われる。もちろん、三角形や五角形の未刈領域CA1が採用されてもよい。
[0199]
 外周領域SAは、作業対象の領域である未刈領域CA1において収穫走行を行うときに、コンバインが方向転換するためのスペースとして利用される。また、外周領域SAは、収穫走行を一旦終えて穀粒の排出場所へ移動する際や、燃料の補給場所へ移動する際等の移動用のスペースとしても利用される。このため、外周領域SAの幅をある程度広く確保するために、自動または手動によって、2~3周の周囲刈り走行が行われる。
[0200]
 なお、図15に示す運搬車CVは、コンバインが穀粒排出装置118から排出した穀粒を収集し、乾燥施設等へ運搬する。穀粒排出の際、コンバインは、外周領域SAを通って運搬車CVの近傍へ移動した後、穀粒排出装置118によって穀粒を運搬車CVへ排出する。その後、コンバインは、外周領域SAを通って、作業を中断した位置である作業開始点に戻る。
[0201]
 未刈領域CA1の形状を示す未作業マップデータが、既作業領域である外周領域SAの内周形状に基づいて作成される。この未作業マップデータに基づいて、未刈領域CA1を自動運転で作業するために、線状(直線又は湾曲線または屈曲線)の経路が作業用走行経路として未刈領域CA1に設定される。また、1つの作業用走行経路から次の作業用走行経路に移行するための旋回走行経路が外周領域SAに設定される。未作業マップデータは、未刈領域CA1に対する作業の進行に伴って更新される。
[0202]
 未刈領域CA1を作業走行(収穫走行)する際に用いられる走行パターンとして、図16に示す往復走行パターンと、図17に示す渦巻き走行パターンとがある。往復走行パターンでコンバインが走行する経路は、未刈領域CA1の外形を示す多角形の一辺に平行な作業用走行経路を含む。また、往復走行パターンでコンバインが走行する経路は、Uターン旋回経路を含む。渦巻き走行パターンでコンバインが走行する経路は、未刈領域CA1の外形を示す多角形の一辺に平行な作業用走行経路を含む。また。渦巻き走行パターンでコンバインが走行する経路は、アルファターン経路を含む。アルファターン経路は、直進経路と後進旋回経路と前進旋回経路とからなり、周方向で隣り合う作業用走行経路をつなぐ旋回経路である。
[0203]
 図18に、コンバインの制御系が示されている。この制御系は、制御装置105と、各種入出力機器と、から構成されている。制御装置105は、1つ以上の電子制御ユニットからなる。電子制御ユニットは、ECUと呼ばれる。また、各種入出力機器と制御装置105との間で、車載LANなどの配線網を通じて、信号通信(データ通信)が行われる。
[0204]
 制御装置105は、この制御系の中核要素である。また、制御装置105は、複数のECUの集合体として示されている。自車位置検出ユニット180からの信号は、車載LANを通じて制御装置105に入力される。
[0205]
 制御装置105は、入出力インタフェースとして、報知部501と入力処理部502と出力処理部503とを備えている。
[0206]
 報知部501は、制御装置105の各機能部からの指令等に基づいて報知データを生成し、報知デバイス162に与える。報知デバイス162は、運転者等に作業走行状態や種々の警告を報知するためのデバイスである。報知デバイス162は、例えば、ブザー、ランプ、スピーカ、ディスプレイなどである。
[0207]
 入力処理部502には、走行状態センサ群163、作業状態センサ群164、人為操作具165、などが接続されている。作業状態センサ群164には、穀粒タンク114内の穀粒貯留量を検出するセンサが含まれている。人為操作具165は、レバー、スイッチ、ボタンなどの総称である。人為操作具165は、運転者によって手動操作される。そして、人為操作具165の操作信号は、制御装置105に入力される。
[0208]
 出力処理部503は、機器ドライバ173を介して種々の動作機器170と接続している。動作機器170として、走行関係の機器である走行機器群171と作業関係の機器である作業機器群172とがある。走行機器群171には、車体110を操舵する操舵機器が含まれている。この操舵機器は、この実施形態のようにクローラ式の走行装置111が採用されている場合には、左右のクローラの速度を変更する機器である。操舵輪方式の走行装置111が採用されている場合には、操舵機器は、操舵輪の操舵角を変更する機器である。
[0209]
 制御装置105には、自車位置算出部140、車体方位算出部141、車速算出部142、走行制御部151、作業制御部152、走行モード管理部153、作業領域決定部154、走行経路算出部155、横偏差算出部156、目標点推定部157、補正方位演算ユニット109A、制御演算ユニット109Bが備えられている。
[0210]
 自車位置算出部140は、自車位置検出ユニット180から逐次送られてくる測位データに基づいて、自車位置を地図座標(または圃場座標)の形式で算出する。その際、自車位置として、車体110の基準点となる特定箇所(例えば車体中心や収穫部115の端部など)の位置を設定することができる。
[0211]
 車体方位算出部141は、自車位置算出部140によって経時的に算出された複数の自車位置に基づいて、車体方位を算出する。車体方位は、車体110の向きを示している。なお、慣性計測モジュール182からの出力データに含まれている方位データに基づいて、車体方位を算出することも可能である。車速算出部142は、車速センサまたはトランスミッションの変速状態から車速を算出する。
[0212]
 作業領域決定部154は、走行軌跡算出機能、及び、未刈領域決定機能を有する。走行軌跡算出機能とは、自車位置算出部140によって算出された自車位置を経時的にプロットすることによって走行軌跡データを算出する機能である。未刈領域決定機能とは、走行軌跡算出機能により算出された走行軌跡データに基づいて、未作業マップデータを作成する機能である。未作業マップデータとは、作業対象の領域となる未刈領域CA1の形状を示すデータである。
[0213]
 走行経路算出部155は、登録されている経路算出アルゴリズムによって、未刈領域CA1を網羅する自動走行のための目標走行経路となる走行経路(作業用走行経路、Uターン走行経路、アルファターン経路など)を算出する。
[0214]
 走行制御部151は、エンジン制御機能や走行装置制御機能(車体110の操舵制御や車速制御を含む)などを有している。走行制御部151は、走行機器群171に走行制御信号を与える。作業制御部152は、収穫作業装置(収穫部115、脱穀装置113、搬送装置116、穀粒排出装置118など)の動きを制御するために、作業機器群172に作業制御信号を与える。
[0215]
 走行制御部151には、手動走行制御部511と自動走行制御部512と目標走行経路設定部513とが含まれている。自動走行モードが設定されると、コンバインの走行は、自動走行となる。また、手動走行モードが設定されると、コンバインの走行は、手動走行となる。このような走行モードの切り替えは、走行モード管理部153によって管理される。目標走行経路設定部513は、自動走行モードが設定された場合に、走行経路算出部155によって算出された作業用走行経路と旋回走行経路とを用いて、目標走行経路を設定する。
[0216]
 横偏差算出部156は、目標走行経路設定部513によって設定された目標走行経路の経路方位(経路の延び方向)に直交する方向での自車位置から目標走行経路までの距離を横偏差として算出する。
[0217]
 手動走行モードが選択されている場合、運転者による操作に基づいて、手動走行制御部511が、対応する走行機器群171に、制御信号を与える。このとき、制御信号は、機器ドライバ173を介して与えられる。これにより、手動走行が実現する。
[0218]
 自動走行モードが設定されている場合、自動走行制御部512が、対応する走行機器群171に、自動操舵及び停止を含む車速変更の制御信号を与える。このとき、制御信号は、機器ドライバ173を介して与えられる。これにより、自動走行が実現する。自動走行制御部512は、以下に説明するように、制御演算ユニット109Bから出力される制御量に基づいて、自動操舵のための制御信号を出力する。
[0219]
 次に、図19と図20とを用いて、補正方位演算ユニット109A及び制御演算ユニット109Bにおける演算時のデータの流れを説明する。なお、図20に示されている符号は次のように定義されている。RPは、車体110の基準点(車体中心や作業装置中心など)を示している。基準点:RPは、自車位置算出部140により算出された自車位置に基づいて算出される。TLは、目標走行経路設定部513によって設定された、自動走行のための目標走行経路である。RLは、車体110の基準点:RPを通って、目標走行経路:TLに平行な仮想線である。DLは、車体110の前後方向の向きである車体方位を示す車体方位線である。図20では、車体方位線:DLは、仮想線:RLに対して傾斜しており、その傾斜角度はγで示されている。コンバインの車体110は、目標走行経路:TLに対して紙面右側に離れている。車体110の車体方位線:DLは、車体走行方向に進むほど目標走行経路:TLから離れる向きとなっている。dは、横偏差算出部156によって算出される車体110の横偏差である。VPは、目標点推定部157によって算出される推定目標点である。APは補助点である。補助点:APは、自車位置における車体110の基準点:RPから目標走行経路:TLへの射影点である。AL1は第1補助線である。この第1補助線は、推定目標点:VPと車体110の基準点:RPとを通る直線である。AL2は第2補助線である。この第2補助線は、後述する第2補正方位に対応する補正角(αで示されている)だけ、第1補助線:AL1に対して角度をもって基準点:RPから径方向に延びた直線である。
[0220]
 目標点推定部157は、現時点から車体110が走行した後の位置(未来自車位置)に対応する、目標走行経路:TL上の位置である推定目標点:VPを算出する。この推定目標点:VPの算出は、例えば、次の方法で算出できる。
(1)補助点:APを出発点として、目標走行経路:TLを所定時間だけ移動した後の位置を推定目標点:VPとする。その際の移動速度を現時点の車速とする場合は、車速算出部142によって算出された車速が用いられる。所定時間は、予め設定されていてもよいし、収穫物の状態や圃場状態によって自動的にあるいは人為的(運転者や管理者)に選択されてもよい。コンバインの場合、所定時間は、0.5秒から5秒ぐらいが好ましい。
(2)補助点:APを出発点として、目標走行経路:TL上で所定距離だけ離れた位置を推定目標点:VPとする。当該所定距離は、予め設定されていてもよいし、収穫物の状態や圃場状態によって自動的にあるいは人為的(運転者や管理者)に選択されてもよい。コンバインの場合、所定距離は、1mから数mぐらいが好ましい。
[0221]
 補正方位演算ユニット109Aは、推定目標点:VPと自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する。この補正方位は、車体110が目標走行経路:TLに乗るための目標となる操舵方位(操舵制御における操舵量)である。この実施形態では、図19に示すように、補正方位演算ユニット109Aは、補正方位を演算するために、推定方位偏差算出部190と、第1制御器191と、第2制御器192と、演算器193とを備えている。
[0222]
 推定方位偏差算出部190は、第1補助線:AL1と仮想線:RLとがなす角度(図20ではβで示されている)を推定方位偏差として算出する。第1制御器191は、推定方位偏差を入力パラメータとして、車体110の仮の操舵目標となるべき第1補正方位を出力する。第1補正方位は、推定方位偏差を解消するために演算された、操舵制御における操舵方位である。推定方位偏差は、車体110が推定目標点:VPに向かうための角度:βに対応しているので、第1制御器191からの出力は、入力である推定方位偏差に比例することが好ましい。このことから、この実施形態では、第1制御器191は比例制御器として構成されている。
[0223]
 第2制御器192は、横偏差:dを入力パラメータとして第2補正方位を出力する。第2制御器192は、横偏差:dに基づく補正角度(図20ではαで示されている)を演算しており、この第2補正方位は、この補正角度:αに対応する、操舵制御における操舵方位である。第2制御器192は、横偏差:dを縮小するように車体110の向きを変更するための操舵方位を算出するものであり、この実施形態では、積分制御器として構成されている。もちろん、第2制御器192は、比例制御器として構成されてもよい。
[0224]
 演算器193は、第1補正方位と第2補正方位との加算演算を行い、演算結果として補正方位を出力する。この加算演算は、図20を参照して角度で表現すれば、α+βに対応する。この補正方位が、補正方位演算ユニット109Aの出力値であり、制御演算ユニット109Bに与えられる。演算器193における加算演算として、単純加算以外に重み演算などが用いられてもよい。また、第2制御器192が省略されてもよい。その場合には、演算器193は不要となる。
[0225]
 制御演算ユニット109Bは、車体110が目標走行経路:TLに沿って走行するための制御量を出力するために、演算器195と操舵制御器196とを備えている。操舵制御器196は、PI制御器またはP制御器として構成されている。この実施形態では、制御演算ユニット109Bは、入力パラメータとして、補正方位演算ユニット109Aからの補正方位だけでなく、車体方位算出部141で算出された現時点の車体方位も用いる。この現時点の車体方位は、仮想線:RLと車体方位線:DLとのなす角度(図20ではγで示されている)に相当する。演算器195は、補正方位と車体方位との加算演算を行う。この加算演算は、図20を参照して角度で表現すれば、θ(=α+β+γ)に対応する。演算器195の演算出力は、操舵制御器196の制御目標値として操舵制御器196に与えられる。さらに、操舵制御器196からの出力値は、操舵のための制御量として、自動走行制御部512に与えられる。
[0226]
 次に、自動走行制御部512で行われる、制御演算ユニット109Bから与えられた制御量を入力制御量として操舵出力を導出する演算を図21と図22とを用いて説明する。
[0227]
 自動走行制御部512は、制御演算ユニット109Bから与えられた制御量(操舵入力と称する)を、16ビット化して、操舵出力として出力している。一般には、図21に示すグラフのように、操舵入力は各ビットに均等に割り当てられ、操舵出力が導出される。このような演算を改善して、ゼロに近い小さな入力制御量に対して精密な操舵が実現するために、ビット拡張機能が導入された演算が、図22に示されている。ここでは、操舵入力の最小領域に対応する、1ビットは、さらに4分割される。これにより、ゼロに近い小さな制御量が制御演算ユニット109Bから入力されても、それに見合った小さな制御出力が導出される。その結果、微細な制御信号を出力することができ、精密な操舵が実現する。
[0228]
[第2実施形態の別実施形態]
 以下、上記した実施形態を変更した別実施形態について説明する。以下の各別実施形態で説明している事項以外は、上記した実施形態で説明している事項と同様である。上記した実施形態及び以下の各別実施形態は、矛盾が生じない範囲で、適宜組み合わせてもよい。なお、本発明の範囲は、上記した実施形態及び以下の各別実施形態に限定されるものではない。
[0229]
(1)図20を用いて説明した実施形態では、推定目標点:VPを推定するために用いられる補助点(出発点):APは、車体110の基準点:RPから目標走行経路:TLに下ろした垂線と目標走行経路:TLとの交点(射影点)であった。これに代えて、基準点:RPから目標走行経路:TLに対して90°に所定角をプラスマイナスした角度で下した線と目標走行経路:TLとの交点(射影点)を補助点:APとしてもよい。その際、当該所定角は0より大きく数十度までの角度であり、固定値でもよいし、車速や圃場状態によって手動または自動で変更されてもよい。さらに、車体方位線:DLと目標走行経路:TLとの交点が補助点:APより車体110の進行方向下流側に位置する場合には、車体方位線:DLと目標走行経路:TLとの交点を補助点:APとしてもよい。
[0230]
(2)上述した実施形態では、実質的な収穫作業は、コンバインの直線状の走行経路に沿った走行によって行われている。この直線状の走行経路は、1本の直線に限定されない。折れ曲がった経路でもよいし、大きな曲率半径で湾曲した経路でもよいし、蛇行形状の経路でもよい。
[0231]
(3)上述した実施形態では、未刈領域CA1の形状は四角形であったが、これが三角形や五角形などの他の多角形であってもよい。
[0232]
(4)図18及び図19で示された制御装置105の機能ブロック群は、わかりやすい説明を目的としており、各機能ブロックは、さらに分割されたり、統合されたり、省略されたりしてもよい。また、その機能ブロックの全てまたは一部は、汎用端末104に構築されていても良い。
[0233]
(5)上記実施形態における各部材の機能をコンピュータに実現させる制御プログラムとして構成されていても良い。また、上記実施形態における各部材の機能をコンピュータに実現させる制御プログラムが記録された記録媒体として構成されていても良い。また、上記実施形態において各部材により行われることを一つまたは複数のステップにより行う制御方法として構成されていても良い。

産業上の利用可能性

[0234]
 本発明は、普通型のコンバインだけでなく、自脱型のコンバイン、田植機、トラクタ、建設作業機等の種々の作業車に利用可能である。
[0235]
 また、本発明による制御装置は、普通型のコンバインだけでなく、自脱型のコンバインにも利用可能であり、田植機やトラクタなどの圃場作業車、さらには、芝刈機やフロントローダなどの作業車にも適用できる。

符号の説明

[0236]
 (第1実施形態)
 1   コンバイン(作業車)
 2   自動走行制御システム
 23  経路算出部
 24  走行制御部
 25  横偏差検出部(検出部)
 CA  作業対象領域(未作業領域)
 LI  刈取走行経路(目標走行経路)
 M1  第1対応関係
 M2  第2対応関係
 M3  第3対応関係
 SA  外周領域(既作業領域)
 d1  第1閾値
 d2  第2閾値
[0237]
 (第2実施形態)
 105   制御装置
 109A  補正方位演算ユニット
 109B  制御演算ユニット
 110   車体
 111   走行装置
 140   自車位置算出部
 141   車体方位算出部
 142   車速算出部
 151   走行制御部
 511   手動走行制御部
 512   自動走行制御部
 513   目標走行経路設定部
 156   横偏差算出部
 157   目標点推定部
 165   人為操作具
 180   自車位置検出ユニット
 181   衛星測位モジュール
 182   慣性計測モジュール
 190   推定方位偏差算出部
 191   第1制御器
 192   第2制御器
 193   演算器
 195   演算器
 196   操舵制御器

請求の範囲

[請求項1]
 未作業領域を通る目標走行経路を算出する経路算出部と、
 作業車が前記目標走行経路に沿って自動走行するように、前記目標走行経路と前記作業車との間の距離である横偏差に基づいて旋回出力を算出することにより前記作業車の走行を制御する走行制御部と、
 前記作業車の状態を検出する検出部と、を備え、
 前記走行制御部は、前記作業車が既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記検出部により検出された状態に基づいて、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係を決定する自動走行制御システム。
[請求項2]
 前記検出部は、前記横偏差を検出し、
 前記走行制御部は、前記作業車が前記既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記横偏差が第1閾値を超えている場合、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係を第1対応関係に決定し、
 前記走行制御部は、前記作業車が前記既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記横偏差が前記第1閾値を超えていない場合、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係を第2対応関係に決定し、
 前記第1対応関係における前記旋回出力は、前記第2対応関係における前記旋回出力よりも小さい請求項1に記載の自動走行制御システム。
[請求項3]
 前記走行制御部は、前記作業車が旋回しながら前記既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記横偏差が第2閾値を超えている場合、前記作業車に、一旦後進してから再度前進して前記未作業領域への進入を試みる走行であるリトライ走行を行わせる請求項2に記載の自動走行制御システム。
[請求項4]
 前記走行制御部は、前記リトライ走行が行われている場合、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係を第3対応関係に決定し、
 前記第3対応関係における前記旋回出力は、前記第1対応関係における前記旋回出力よりも大きい請求項3に記載の自動走行制御システム。
[請求項5]
 前記走行制御部は、自動走行開始時において、前記横偏差が前記第2閾値を超えている場合、前記作業車に前記リトライ走行を行わせない請求項3または4に記載の自動走行制御システム。
[請求項6]
 未作業領域を通る目標走行経路を算出する経路算出機能と、
 作業車が前記目標走行経路に沿って自動走行するように、前記目標走行経路と前記作業車との間の距離である横偏差に基づいて旋回出力を算出することにより前記作業車の走行を制御する走行制御機能と、
 前記作業車の状態を検出する検出機能と、をコンピュータに実現させ、
 前記走行制御機能は、前記作業車が既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記検出機能により検出された状態に基づいて、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係を決定する自動走行制御プログラム。
[請求項7]
 未作業領域を通る目標走行経路を算出する経路算出機能と、
 作業車が前記目標走行経路に沿って自動走行するように、前記目標走行経路と前記作業車との間の距離である横偏差に基づいて旋回出力を算出することにより前記作業車の走行を制御する走行制御機能と、
 前記作業車の状態を検出する検出機能と、をコンピュータに実現させる自動走行制御プログラムを記録しており、
 前記走行制御機能は、前記作業車が既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記検出機能により検出された状態に基づいて、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係を決定する自動走行制御プログラムを記録した記録媒体。
[請求項8]
 未作業領域を通る目標走行経路を算出する経路算出ステップと、
 作業車が前記目標走行経路に沿って自動走行するように、前記目標走行経路と前記作業車との間の距離である横偏差に基づいて旋回出力を算出することにより前記作業車の走行を制御する走行制御ステップと、
 前記作業車の状態を検出する検出ステップと、備え、
 前記走行制御ステップにおいて、前記作業車が既作業領域から前記未作業領域に進入する際、前記検出ステップにより検出された状態に基づいて、前記横偏差と前記旋回出力との対応関係が決定される自動走行制御方法。
[請求項9]
 目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御装置であって、
 前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出部と、
 所定時間後の前記目標走行経路における推定目標点を算出する目標点推定部と、
 前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算ユニットと、
 前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算ユニットと、
を備えた制御装置。
[請求項10]
 前記推定目標点と前記自車位置とを通る直線と前記目標走行経路とがなす角度を推定方位偏差として算出する推定方位偏差算出部が備えられ、
 前記補正方位演算ユニットは、前記推定方位偏差を入力パラメータとして第1補正方位を出力する第1制御器を備え、前記第1補正方位に基づいて前記補正方位が演算される請求項9に記載の制御装置。
[請求項11]
 前記第1制御器は比例制御器である請求項10に記載の制御装置。
[請求項12]
 前記目標走行経路の経路方位に直交する方向での前記自車位置から前記目標走行経路までの距離を横偏差として算出する横偏差算出部が備えられ、
 前記補正方位演算ユニットは、前記横偏差を入力パラメータとして第2補正方位を出力する第2制御器を備え、前記第1補正方位と前記第2補正方位とに基づいて、前記補正方位が演算される請求項10または11に記載の制御装置。
[請求項13]
 前記第2制御器は積分制御器である請求項12に記載の制御装置。
[請求項14]
 前記作業車の車速を算出する車速算出部が備えられ、
 前記目標点推定部は、前記自車位置から前記目標走行経路への射影点を出発点として、前記目標走行経路を前記車速で前記所定時間移動した点の位置を前記推定目標点とする請求項9から13のいずれか一項に記載の制御装置。
[請求項15]
 車体の向きを示す車体方位を算出する車体方位算出部が備えられ、
 前記制御演算ユニットは、さらに前記車体方位を入力パラメータとして用いる請求項9から14のいずれか一項に記載の制御装置。
[請求項16]
 前記所定時間は、前記作業車の状態によって変更される請求項9から15のいずれか一項に記載の制御装置。
[請求項17]
 目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御装置であって、
 前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出部と、
 前記自車位置から前記目標走行経路への射影点から前記目標走行経路上で前記作業車の走行方向側に所定距離離れた位置を推定目標点として算出する目標点推定部と、
 前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算ユニットと、
 前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算ユニットと、
を備えた制御装置。
[請求項18]
 目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御プログラムであって、
 前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出機能と、
 所定時間後の前記目標走行経路における推定目標点を算出する目標点推定機能と、
 前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算機能と、
 前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算機能と、
をコンピュータに実現させる制御プログラム。
[請求項19]
 目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御プログラムを記録した記録媒体であって、
 前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出機能と、
 所定時間後の前記目標走行経路における推定目標点を算出する目標点推定機能と、
 前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算機能と、
 前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算機能と、
をコンピュータに実現させる制御プログラムを記録した記録媒体。
[請求項20]
 目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御方法であって、
 前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出ステップと、
 所定時間後の前記目標走行経路における推定目標点を算出する目標点推定ステップと、
 前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算ステップと、
 前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算ステップと、
を備える制御方法。
[請求項21]
 目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御プログラムであって、
 前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出機能と、
 前記自車位置から前記目標走行経路への射影点から前記目標走行経路上で前記作業車の走行方向側に所定距離離れた位置を推定目標点として算出する目標点推定機能と、
 前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算機能と、
 前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算機能と、
をコンピュータに実現させる制御プログラム。
[請求項22]
 目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御プログラムを記録した記録媒体であって、
 前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出機能と、
 前記自車位置から前記目標走行経路への射影点から前記目標走行経路上で前記作業車の走行方向側に所定距離離れた位置を推定目標点として算出する目標点推定機能と、
 前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算機能と、
 前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算機能と、
をコンピュータに実現させる制御プログラムを記録した記録媒体。
[請求項23]
 目標走行経路に沿って自動走行する作業車のための制御方法であって、
 前記作業車の自車位置を算出する自車位置算出ステップと、
 前記自車位置から前記目標走行経路への射影点から前記目標走行経路上で前記作業車の走行方向側に所定距離離れた位置を推定目標点として算出する目標点推定ステップと、
 前記推定目標点と前記自車位置との間の偏差を解消する補正方位を演算する補正方位演算ステップと、
 前記補正方位を入力パラメータとして、前記偏差が縮小されるように前記作業車を制御するための制御量を出力する制御演算ステップと、
を備える制御方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]