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1. WO2020110942 - LITHIUM ION SECONDARY BATTERY NEGATIVE ELECTRODE AND LITHIUM ION SECONDARY BATTERY

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明 細 書

発明の名称 リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

先行技術文献

特許文献

0014  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0015   0016   0017   0018  

課題を解決するための手段

0019  

発明の効果

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064  

実施例

0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池

技術分野

[0001]
 本発明は、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池に関する。さらに詳細には、負極活材料として人造黒鉛及び天然黒鉛を用いて構成される、大電流特性とサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池に関する。

背景技術

[0002]
 リチウムイオン二次電池は携帯電子機器の電源として使用されているほか、近年では電動工具や電気自動車などの電源としても使用されている。バッテリー電気自動車(BEV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などの電気自動車においては、10年間以上に亘って高い充放電サイクル特性を維持すること、ハイパワーモーターを駆動させるために十分な大電流負荷特性を有すること、及び航続距離を伸ばすために高いエネルギー密度を有することが要求される。特にプラグインハイブリッド自動車(PHEV)は、搭載される電池容量がEVと比べ小さく、低容量の電池でモーターを駆動しトリクル充電を行わなければならないため、大電流負荷特性が重視される。
[0003]
 従来、負極材としては黒鉛材料をはじめとする炭素系材料が主として用いられてきたが、最近では金属系負極材の開発も行われている。しかし、サイクル寿命や安定性等の問題があり、未だ課題が多く残されているのが現状である。
[0004]
 特に、バッテリー電気自動車(BEV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)等の自動車用途においては、10年間以上に亘る長期間のサイクル特性と、ハイパワーモーターを駆動させるための大電流負荷特性を主たる要求特性とし、さらに航続距離を伸ばすための高いエネルギー密度も要求され、モバイル用途に比して過酷なものとなっている。
[0005]
 このリチウムイオン二次電池は、一般に、正極活物質にコバルト酸リチウムなどのリチウム塩が使用され、負極活物質に黒鉛材料などの炭素系材料が使用されている。
[0006]
 炭素系材料には大きく分けて黒鉛化度の高い黒鉛材料、黒鉛化度の低いアモルファス炭素材料があるが、いずれもリチウムの挿入脱離反応が可能であることから、負極活物質に用いることができる。
[0007]
 黒鉛材料には、天然黒鉛と人造黒鉛がある。天然黒鉛は球状に造粒してなるものが知られている。天然黒鉛を用いてなるリチウムイオン二次電池は、携帯電子機器の電源として要求される性能をある程度有しているが、電気自動車や電動工具などの電源として要求される性能には十分に達していない。しかし、黒鉛化度が高いことから理論電池容量相等の容量、高い合剤層密度を得ることができ、モバイル用途を中心に広く負極材として用いられている。
[0008]
 一方、人造黒鉛は、メソカーボン小球体や、石油ピッチ、石炭ピッチ、石油コークス、石炭コークス等の黒鉛化品が知られている。これら材料は、大型電池の大電流、超長期サイクル特性といった要求を満たす優れた充放電性能を示す一方で、黒鉛化度は天然黒鉛に比べ低く、容量、合剤層密度の要求を満たすには至っていない。
[0009]
 アモルファス炭素材料にはいわゆるハードカーボンや、ソフトカーボンを用いた負極材料は、大電流に対する特性に優れ、また、サイクル特性も比較的良好である。しかし、エネルギー密度があまりにも低く、また、価格も非常に高価なため、一部の特殊な大型電池にしか使用されていない。
[0010]
 このように負極材料種によって電池性能は大きく左右されるが、電極構造の制御による電池特性の向上も検討されてきた。
[0011]
 特許文献1には、鱗片状の人造黒鉛を用い、電極内の空孔サイズを規定したリチウムイオン電池用負極が開示されている。
[0012]
 特許文献2には、集電箔に対して水平方向に複数層を有し、層によって密度が異なる多層構造の負極が開示されている。
[0013]
 また、黒鉛材料を混合し人造黒鉛と天然黒鉛それぞれの特長を活かした検証もなされており、特許文献3には、人造黒鉛と天然黒鉛の2種以上の黒鉛を混合した負極が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0014]
特許文献1 : 特許第3329162号公報
特許文献2 : 特許第5900113号公報(米国特許第9508979号明細書)
特許文献3 : 特許第6154380号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0015]
 上記のような従来の技術では、大電流特性と優れたサイクル特性を両立する十分な特性は得られていない。
[0016]
 特許文献1に記載の負極は、黒鉛材料が鱗片状黒鉛であるため、黒鉛が集電箔に対して強く配向し、鉛直方向のリチウムイオンの拡散が悪く高い主力が得られない、充放電の際に一方向に膨張収縮を繰り返すため充放電サイクル寿命が不十分である、という問題がある。
[0017]
 特許文献2に記載の多層構造を有する負極については、高密度層におけるリチウムイオンの拡散が律速となり、十分な出力を得ることができない。
[0018]
 特許文献3には、黒鉛材料が人造黒鉛と天然黒鉛からなるリチウムイオン電池用負極が開示されているが、人造黒鉛の比率が高いために合剤層密度が低く、容量も低くなる欠点を持つため、エネルギー密度を満足する電池は得られない。

課題を解決するための手段

[0019]
 本発明は以下の構成からなる。
[1]負極活物質を含む合剤層を備えたリチウムイオン二次電池用負極であって、合剤層の密度が1.60g/cm 3以上1.90g/cm 3以下であり、水銀圧入法により測定された合剤層のLog微分細孔容積分布において0.50μm以上2.00μm以下に極大値を示す細孔径D1が存在し、前記負極活物質は人造黒鉛と天然黒鉛を含み、前記人造黒鉛と前記天然黒鉛の合計に対して前記人造黒鉛の配合比率が20質量%以上80質量%以下であり、前記人造黒鉛の円形度は0.82以上0.90以下であり、前記天然黒鉛の円形度は0.91以上0.99以下であり、前記人造黒鉛及び前記天然黒鉛の圧縮強度が0.1MPa以上15MPa以下であり、前記人造黒鉛のD50は10μm以上30μm以下であるリチウムイオン二次電池用負極。
[2]前記細孔容積分布において0.10μm以上0.25μm以下に極大値を示す細孔径D2がさらに存在する前記1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[3]前記細孔容積分布において、細孔径D2における細孔容積P2に対する細孔径D1の細孔容積P1の比(細孔容積P1/細孔容積P2)が2.5以上である前記1または前記2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[4]前記人造黒鉛が、表面に炭素コーティング層を有する人造黒鉛である前記1~3のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[5]前記天然黒鉛が、表面に炭素コーティング層を有する天然黒鉛である前記1~4のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[6]前記人造黒鉛はラマン分光スペクトルで測定される1300~1400cm -1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580~1620cm -1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IGであるR値が0.05以上0.50以下である前記1~5のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[7]前記天然黒鉛はラマン分光スペクトルで測定される1300~1400cm -1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580~1620cm -1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IGであるR値が0.05以上0.50以下である前記1~6のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[8]前記人造黒鉛のX線回折法による平均面間隔d002が0.3354nm以上0.3360nm以下である前記1~7のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[9]前記人造黒鉛のBET比表面積が0.5m 2/g以上4.0m 2/gであり、前記天然黒鉛のBET比表面積が1.5m 2/g以上7.0m 2/g以下である前記1~8のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[10]前記人造黒鉛が、石油系コークス及び/または石炭系コークスを2500℃以上で熱処理したものである前記1~9のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[11]前記1~10のいずれかひとつに記載の負極を備えたリチウムイオン二次電池。

発明の効果

[0020]
 本発明によれば、大電流放電特性と優れたサイクル特性を備えたリチウムイオン二次電池用負極を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0021]
 以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
[1]リチウムイオン二次電池用負極
 本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、負極合剤層(以下、合剤層という。)を有してなる。
[1-1]合剤層の密度
 本発明の一実施態様における負極の合剤層密度は1.60g/cm 3以上が好ましい。密度が1.60g/cm 3以上であると、エネルギー密度の高い電池が得られる。合剤層密度は1.90g/cm 3以下が好ましい。密度が1.90g/cm 3以下であると、合剤層内の空孔が十分に存在するため、合剤層に電解液が十分に浸透する上にリチウムイオンの拡散が良くなり大電流放電特性が向上する。同様の観点から、密度は1.80g/cm 3以下が好ましく、1.75g/cm 3以下がさらに好ましい。
[0022]
[1-2]合剤層の細孔容積分布
 本発明の一実施態様における負極の合剤層は特定の細孔容積分布を有する。すなわち、水銀圧入法により合剤層のLog微分細孔容積分布(以下、単に細孔容積分布という。)を評価した場合、合剤層には極大値を示す細孔径D1が0.50μm以上に存在することが好ましい。細孔径D1が0.50μm以上に存在すると、合剤層中で円滑なリチウムイオンの輸送がなされ良好な大電流放電特性が得られる。同様の観点から、細孔径D1は0.51μm以上に存在することがより好ましい。細孔径D1は2.00μm以下に存在することが好ましい。細孔径D1が2.00μm以下に存在することで、負極内に局所的な大きな空孔が存在せず、均一な細孔が形成され良好な大電流放電特性が得られる。同様の観点から、細孔径D1は1.50μm以下に存在することがより好ましく、0.80μm以下に存在することがさらに好ましい。
[0023]
 本発明の一実施態様における負極の合剤層は、細孔容積分布において、細孔径D1より小さい細孔径で極大値を示す細孔径D2が存在することが好ましい。細孔径D2は0.10μm以上に存在することがより好ましい。細孔径D2が0.10μm以上に存在すると、大電流放電特性が向上する傾向にある。同様の観点から、細孔径D2は0.11μm以上に存在することがさらに好ましく、0.12μm以上に存在することが最も好ましい。細孔径D2は0.25μm以下に存在することが好ましい。細孔径D2が0.25μm以下に存在することで、大電流放電特性が向上する傾向がある。同様の観点から、細孔径D2は0.20μm以下に存在することがさらに好ましく、0.18μm以下に存在することが最も好ましい。
[0024]
 前記の合剤層の細孔容積分布において、細孔径D2における細孔容積P2に対する細孔径D1における細孔容積P1の比(P1/P2)は2.5以上が好ましい。前記比が2.5以上であると、充放電にあまり使用されない空孔が少なくなり、電極密度向上に寄与する。同様の観点から、前記比は2.7以上がさらに好ましい。
[0025]
[1-3]合剤層の組成
 本発明の一実施態様における負極の合剤層は負極活物質を含み、前記負極活物質は人造黒鉛及び天然黒鉛の両方を含む。
 合剤層は導電助剤を含むことができる。導電助剤を含むことにより、電極への導電性の付与がされ電池寿命も良くなる。導電助剤としては、特に制限はないが、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、炭素繊維等が挙げられる。導電助剤の配合量は合剤層中0.1~15質量%が好ましい。
[0026]
 前記人造黒鉛の配合割合は、前記人造黒鉛と前記天然黒鉛の合計に対して人造黒鉛の割合が20質量%以上が好ましい。人造黒鉛の割合が20質量%以上であると、人造黒鉛の周辺に適度な細孔が形成され、大電流放電特性が向上する。同様の観点から、人造黒鉛の割合は25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、人造黒鉛の割合は80質量%以下が好ましい。人造黒鉛の割合が80質量%以下であると、圧縮強度の高い人造黒鉛混合しても負極の加圧成形による合剤層の充填が良好となり、負極のエネルギー密度が向上する。同様の観点から、人造黒鉛の割合は75質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
[0027]
 前記人造黒鉛及び前記天然黒鉛は、その粒子表面に炭素コーティング層を有していてもよい。炭素コーティング層を有することで、黒鉛のエッジ面が減少し初回クーロン効率が向上する。炭素コーティング層はアモルファス炭素層であることがさらに好ましい。アモルファス炭素層を有することで、大電流放電特性を向上させることができる。
[0028]
 人造黒鉛及び天然黒鉛の表面をコーティングする方法は限定されないが、例えば有機化合物を黒鉛粒子表面に付着させ、900~1500℃の温度範囲で不活性雰囲気下にて焼成することでアモルファス炭素によりコーティングする方法が挙げられる。
 有機化合物としては、特に限定されないが、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂を用いることができる。
 焼成設備は特に限定されないが、ロータリーキルン、ローラーハースキルン、電気式管状炉等の熱処理装置を用いることができる。
[0029]
 手順としては、有機化合物を溶剤と混ぜて液状にして黒鉛と混合及び混練し、その後に溶剤を揮発させ、焼成処理を行うことで黒鉛粒子表面を炭素コーティング層で被覆することができる。また、有機化合物と黒鉛粒子を粉体同士で単純に混合し、それを熱処理する方法でも良い。
[0030]
[1-4]黒鉛の円形度
 本発明の一実施態様における負極に含有される人造黒鉛の円形度は0.82以上0.90以下が好ましい。また、本発明の一実施態様における負極に含有される天然黒鉛の円形度は0.91以上0.99以下が好ましい。この円形度の範囲にある黒鉛を組み合わせることにより、負極における合剤層の細孔径や細孔容積が最適化され、大電流放電特性を向上させることができる。同様の観点から、人造黒鉛の円形度は0.84以上0.90以下がより好ましく、天然黒鉛の円形度は0.91以上0.96以下がより好ましく、人造黒鉛の円形度は0.87以上0.90以下がさらに好ましく、天然黒鉛の円形度は0.91以上0.94以下がさらに好ましい。
 本明細書において円形度とは、観測された粒子像の面積と同面積を有する円の周長を粒子像の周長で割ったものであり、1に近いほど真円に近い。円形度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
[0031]
[1-5]黒鉛の圧縮強度
 本発明の一実施態様における負極に含有される人造黒鉛の圧縮強度は0.1MPa以上が好ましい。これは検出下限である。人造黒鉛の圧縮強度は15MPa以下が好ましい。圧縮強度が15MPa以下であると、負極の加圧成形による合剤層の充填が良好であり、負極のエネルギー密度が高くなる傾向にある。同様の観点から、圧縮強度は13MPa以下がより好ましく、10MPa以下がさらに好ましい。
[0032]
 本発明の一実施態様における負極に含有される天然黒鉛の圧縮強度は0.1MPa以上が好ましい。これは検出下限である。天然黒鉛の圧縮強度は15MPa以下が好ましい。圧縮強度が15MPa以下であると、負極の加圧成形による合剤層の充填が良好であり、負極のエネルギー密度が高くなる傾向にある。同様の観点から、圧縮強度は14MPa以下が好ましく、13MPa以下がさらに好ましい。
[0033]
 圧縮強度は微小圧縮試験機により測定する。10点の測定を行い、算出された各圧縮強度の平均値を材料の圧縮強度とする。
[0034]
[1-6]黒鉛の平均粒径
 本発明の一実施態様における負極に含有される人造黒鉛の体積基準累積粒度分布における50%粒子径(D50)は10μm以上が好ましい。人造黒鉛のD50が10μm以上であると、粒子表面の活性点が少ないため電池材料として用いたときに副反応が減少する。同様の観点から、D50は11μm以上がより好ましい。人造黒鉛のD50は30μm以下が好ましい。D50が30μm以下であると、電極の電気抵抗が小さくなり、大電流放電特性が向上する。同様の観点から、D50は20μm以下がより好ましく、15μm以下が最も好ましい。
[0035]
 本発明の一実施態様における負極に含有される天然黒鉛のD50は10μm以上が好ましい。天然黒鉛のD50が10μm以上であると、粒子表面の活性点が少ないため電池材料として用いたときに副反応が減少する。同様の観点から、D50は11μm以上がより好ましく、12μm以上が最も好ましい。天然黒鉛のD50は30μm以下が好ましい。D50が30μm以下であると、電極の電気抵抗が小さくでき、大電流放電特性が向上する。同様の観点から、25μm以下がより好ましく、20μm以下が最も好ましい。
[0036]
 D50はレーザー回折式粒度分布測定装置により体積基準の粒子径分布を測定し、累積50%となる粒径を求めることで測定する。
[0037]
[1-7]黒鉛の比表面積
 本発明の一実施態様における負極に含有される人造黒鉛のBET比表面積は0.5m 2/g以上が好ましい。人造黒鉛のBET比表面積が0.5m 2/g以上であると電解液との接触面積が増加し、特性が向上する。同様の観点から、BET比表面積は1.0m 2/g以上がより好ましく、1.5m 2/g以上が最も好ましい。人造黒鉛のBET比表面積は4.0m 2/g以下が好ましい。人造黒鉛のBET比表面積が4.0m 2/g以下であると粒子の表面活性を抑え、電解液の分解などによるクーロン効率の低下やサイクル特性の低下を抑制する傾向がある。同様の観点から、BET比表面積は3.5m 2/g以下がより好ましく、3.0m 2/g以下が最も好ましい。
[0038]
 本発明の一実施態様における負極に含有される天然黒鉛のBET比表面積は1.5m 2/g以上が好ましい。天然黒鉛のBET比表面積が1.5m 2/g以上であると電解液との接触面積が増加し、大電流放電が向上する。同様の観点から、BET比表面積は1.8m 2/g以上がより好ましく、2.1m 2/g以上が最も好ましい。天然黒鉛のBET比表面積は7.0m 2/g以下が好ましい。BET比表面積が7.0m 2/g以下であると粒子の表面活性を抑え、電解液の分解などによるクーロン効率の低下やサイクル特性の低下を抑制する傾向がある。同様の観点から、BET比表面積は5.0m 2/g以下がより好ましく、3.0m 2/g以下が最も好ましい。
[0039]
 BET比表面積は実施例に記載の方法により測定することができる。
[0040]
[1-8]黒鉛のd002
 本発明の一実施態様における負極に含有される人造黒鉛の、X線回折法による(002)面の平均面間隔d002は0.3354nm以上が好ましい。0.3354nmは黒鉛のd002の理論下限値である。人造黒鉛のd002は0.3360nm以下が好ましい。d002が0.3360nm以下であると、黒鉛の結晶性が高くリチウムイオンがインターカレーション可能な空間が増加し容量が高くなる。同様の観点からd002は0.3358nm以下がより好ましい。
[0041]
 本発明の一実施態様における負極に含有される天然黒鉛のd002は0.3354nm以上が好ましい。0.3354nmは黒鉛のd002の理論下限値である。天然黒鉛のd002は0.3357nm以下が好ましい。d002が0.3357nm以下であると、黒鉛の結晶性が高いため、放電容量の大きな電池が得られる。
[0042]
 d002は、既知の粉末X線回折(XRD)法を用いて測定することができる(稲垣道夫他,日本学術振興会,第117委員会資料,117-121-C-5(1972)、稲垣道夫,「炭素」,1963,No.36,25-34頁参照)、Iwashita et al.,Carbon vol.42(2004),p.701-714参照)。
[0043]
[1-9]黒鉛のR値
 本発明の一実施態様における負極に含有される人造黒鉛のR値は0.05以上であることが好ましい。人造黒鉛のR値が0.05以上であると、黒鉛層間へのリチウムイオンの挿入・脱離が容易になり、二次電池の電極材としたときの大電流放電特性が改善する。同様の観点から、R値は0.07以上がより好ましく、0.10以上がさらに好ましい。人造黒鉛のR値は0.50以下が好ましい。R値が0.50以下であると、圧縮強度の上昇を抑制し黒鉛の充填が容易となり、エネルギー密度が高くなる。同様の観点から、R値は0.30以下がさらに好ましく、0.20以下が最も好ましい。
[0044]
 本発明の一実施態様における負極に含有される天然黒鉛のR値は0.05以上であることが好ましい。天然黒鉛のR値が0.05以上であると、黒鉛層間へのリチウムイオンの挿入・脱離が容易になり、二次電池の電極材としたときの大電流放電特性が改善する。同様の観点から、R値は0.12以上がより好ましく、0.20以上がさらに好ましい。天然黒鉛のR値は0.50以下が好ましい。R値が0.50以下であると、圧縮強度の上昇を抑制し黒鉛の充填が容易となり、エネルギー密度が高くなる。同様の観点から、R値は0.40以下がさらに好ましく、0.30以下が最も好ましい。
[0045]
 本明細書において、R値とはラマン分光スペクトルで測定される1300~1400cm -1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580~1620cm -1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IGであり、R値が大きいほど結晶性が低いことを示す。
[0046]
[1-10]黒鉛の製造方法
 本発明の一実施態様における負極に含有される人造黒鉛は、石油コークス、石炭コークス等の原料を所定の大きさに粉砕し、得られた粉砕品を黒鉛化処理することによって製造することができる。人造黒鉛は非凝集構造の粒子がさらに好ましい。非凝集型であると、充放電に伴う膨張収縮の繰り返しによっても粒子内剥離がほとんど起きず、高温サイクル特性、高温保存特性が優れる。なお、非凝集型とは二次粒子化していない一次粒子そのままの状態ものをいう。
[0047]
 黒鉛化は原料を高温で加熱することで行われる。加熱温度は2500℃以上が好ましく、2900℃以上がさらに好ましく、3000℃以上が最も好ましい。加熱温度を2500℃以上にすることにより、黒鉛結晶が発達し高い放電容量が得られる。加熱温度は3300℃以下が好ましい。加熱温度が3300℃以下であると、炭素の昇華が抑えられ、高収率で製品が得られる。
[0048]
 本発明の一実施態様における負極に含有される天然黒鉛は、球状天然黒鉛が好ましい。天然黒鉛は通常鱗片状であり、そのエッジ面が露出している。前記エッジ面は電解液と反応しやすく、初回容量効率を低下させる要因となっている。そのため、鱗片状の天然黒鉛は球塊状に加工しエッジ面を減少させて球状天然黒鉛とすることが好ましい。
[0049]
 球状化の方法は限定されないが、衝撃式粉砕機を用い、天然黒鉛を気流に乗せて装置内で壁面に衝突させ、端部を折り曲げて球状化する方法を用いることができる。また、天然黒鉛を粉砕して球状粒子のみをふるいわけする方法や、擦り潰しにより球状に加工する方法を用いることもできる。装置としては、ジェットミル、ハイブリダイゼーションシステム(登録商標:株式会社奈良機械製作所製)、メカノフュージョシステム(登録商標:ホソカワミクロン株式会社製)、ノビルタ(登録商標:ホソカワミクロン株式会社製)などが挙げられる。
[0050]
[2]リチウムイオン二次電池用負極の製造方法
 本発明の一実施態様におけるリチウムイオン二次電池用負極は、前記合剤層が集電体上に形成されてなる。集電体としては、例えばニッケル、銅等の箔、メッシュなどが挙げられる。
[0051]
 本発明の一実施態様における負極の製造方法は、負極活物質を含む負極用ペーストを得る工程、前記ペーストを集電体に塗布する工程、及び集電体上のペーストを乾燥及び加圧成形する工程を含む。この場合、合剤層は集電体上に加圧成形された物質層である。
[0052]
 負極用ペーストは、負極活物質、バインダー及び分散媒とを含んでなることが好ましい。さらに、任意成分として導電助剤を含むことができる。負極用ペーストは、負極活物質、バインダー、分散媒及び任意成分としての導電助剤とを混練することによって得ることができる。負極用ペーストは、シート状、ペレット状等の形状に成形することができる。
[0053]
 バインダーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンターポリマー、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、イオン伝導率の大きな高分子化合物等が挙げられる。イオン伝導率の大きな高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエピクロロヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。バインダーの使用量は、負極活物質100質量部に対して0.5~20質量部が好ましい。
[0054]
 分散媒は、特に制限はないが、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、イソプロパノール、水等が挙げられる。分散媒として水を使用するバインダーの場合は、カルボキシメチルセルロースのような増粘剤を併用することが好ましい。分散媒の量は集電体に塗布しやすいような粘度となるように調整される。
[0055]
 得られた負極用ペーストを集電体に塗布する方法は特に制限されず、例えば、ドクターブレードやバーコーター等により塗布することができる。ペーストの塗布厚は50~200μmが好ましい。塗布厚が大きくなりすぎると、規格化された電池容器に負極を収容できなくなったり、リチウムイオン拡散距離の増大による電池の内部抵抗の増加に繋がる。
 塗布したペーストを乾燥した後、加圧成形する。加圧成形は、ロール加圧、プレス加圧等の成形法を用いて行うことできる。加圧成形するときの圧力は約100MPa~約300MPa(1~3t/cm 2程度)が好ましい。
[0056]
[3]リチウムイオン二次電池
 本発明の一実施態様におけるリチウムイオン二次電池は、その負極に前記負極を用いてなる。リチウムイオン二次電池は、正極と前記負極とが電解液または電解質の中に浸漬された構造を有する。
[0057]
 リチウムイオン二次電池の正極には、正極活物質として、通常、リチウム含有遷移金属酸化物が用いられ、好ましくはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo及びWから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属元素のモル比が0.3~2.2の化合物が用いられ、より好ましくはV、Cr、Mn、Fe、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属のモル比が0.3~2.2の化合物が用いられる。なお、主として存在する遷移金属に対し30モル%未満の範囲でAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを含有していても良い。上記の正極活物質の中で、一般式Li xMO 2(MはCo、Ni、Fe、Mnの少なくとも1種、x=0.02~1.2。)、またはLi y24(Nは少なくともMnを含む。y=0.02~2。)で表されるスピネル構造を有する材料の少なくとも1種を用いることが好ましい。
[0058]
 さらに、正極活物質はLi ya1-a2(MはCo、Ni、Fe、Mnの少なくとも1種、DはCo、Ni、Fe、Mn、Al、Zn、Cu、Mo、Ag、W、Ga、In、Sn、Pb、Sb、Sr、B、Pの中のM以外の少なくとも1種、y=0.02~1.2、a=0.5~1。)を含む材料、またはLi z(N b1-b24(NはMn、EはCo、Ni、Fe、Mn、Al、Zn、Cu、Mo、Ag、W、Ga、In、Sn、Pb、Sb、Sr、B、Pの少なくとも1種、b=1~0.2、z=0.02~2。)で表されるスピネル構造を有する材料の少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
[0059]
 具体的には、Li xCoO 2、Li xNiO 2、Li xMnO 2、Li xCo aNi 1-a2、Li xCo b1-bz、Li xCo bFe 1-bO 2、Li xMn 24、Li xMn cCo 2-c4、Li xMn cNi 2-c4、Li xMn c2-c4、Li xMn cFe 2-c4(ここでx=0.02~1.2、a=0.1~0.9、b=0.8~0.98、c=1.6~1.96、z=2.01~2.3。)が挙げられる。最も好ましいリチウム含有遷移金属酸化物としては、Li xCoO 2、Li xNiO 2、Li xMnO 2、Li xCo aNi 1-a2、Li xMn 24、Li xCo b1-bz(x=0.02~1.2、a=0.1~0.9、b=0.9~0.98、z=2.01~2.3。)が挙げられる。なお、xの値は充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
[0060]
 正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1~50μmが好ましい。0.5~30μmの粒子の体積が95%以上であることが好ましい。粒径3μm以下の粒子群の占める体積が全体積の18%以下であり、かつ15μm以上25μm以下の粒子群の占める体積が、全体積の18%以下であることがさらに好ましい。ここでの粒子径は、レーザー回折法による粒度分布測定における体積基準累計粒度分布により算出したものであり、平均粒子径は累計50%における粒子径である。
 比表面積は特に限定されないが、BET法で0.01~50m 2/gが好ましく、特に0.2~10m 2/gが好ましい。また正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては7以上12以下が好ましい。
[0061]
 リチウムイオン二次電池に用いられる電解液は、特に制限されない。例えば、LiClO 4、LiPF 6、LiAsF 6、LiBF 4、LiSO 3CF 3、CH 3SO 3Li、CF 3SO 3Li等のリチウム塩を、例えばエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、γ-ブチロラクトン等の非水系溶媒に溶かしたいわゆる有機電解液や、固体若しくはゲル状のいわゆるポリマー電解質を挙げることができる。
[0062]
 また、電解液には、リチウムイオン二次電池の初回充電時に分解反応を示す添加剤を少量添加することが好ましい。添加剤としては例えば、ビニレンカーボネート、ビフェニール、プロパンスルトン等が挙げられる。添加量としては0.01~5質量%が好ましい。
[0063]
 リチウムイオン二次電池には正極と負極との間にセパレーターを設けることができる。セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムまたはそれらを組み合わせたものなどを挙げることができる。
[0064]
 なお、上記以外の電池構成上必要な部材の選択についてはなんら制約を受けるものではない。
実施例
[0065]
 以下、本発明に実施例を具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明は限定するものではない。
 なお、実施例及び比較例の電極の作成法、電極に使用した黒鉛材料についての形状、組成、物性及び電池特性の測定方法は以下の通りである。
[0066]
[1]負極活物質の評価
[1-1]円形度
 円形度は粒子像の面積をS、周長をLとすると、以下の式で表すことができる。
 円形度=(4πS) 1/2/L
 サンプルを目開き106μmのフィルターを通すことで精製した。得られたサンプル0.1gを20mlのイオン交換水中に添加し、界面活性剤0.1~0.5質量%を加えることによって均一に分散させ、測定用試料溶液を調製した。分散は超音波洗浄機UT-105S(シャープマニファクチャリングシステム社製)を用い、5分間処理することにより行った。得られた測定用試料溶液をフロー式粒子像分析装置FPIA-3000(シスメックス社製)に投入し、LPFモードで10000個の粒子を解析してそれぞれの円形度を求め、その個数基準の度数分布により円形度の中央値を算出し、それを円形度とした。
[0067]
[1-2]圧縮強度
 圧縮強度は島津製作所製微小圧縮試験機MCT-510により測定した。下部圧子にサンプルを置き、光学顕微鏡視野よりD50に近い単粒子を選択し、上部圧子により加圧する圧縮試験を行った。St=2.8P/πd 2(St:圧縮強度(MPa)、P:試験力(N)、d:粒子径(mm))の式から、サンプルの圧縮強度を算出した。10点の測定を行い、算出された各圧縮強度の平均値を材料の圧縮強度とした。上部圧子サイズは50μmを標準とするが、10μm以下のサンプルを測定する場合は20μmの圧子を選択した。
[0068]
[1-3]ラマン分光分析
 レーザーラマン分光装置として日本分光株式会社NRS-5100を用い、励起波長532.36nmで測定を行った。
 ラマン分光スペクトルで測定される1300~1400cm -1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580~1620cm -1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IGを計算しR値とした。
[0069]
[1-4]面間隔d002
 サンプルと標準シリコン(NIST製)が9対1の質量比になるように混ぜた混合物をガラス製試料板(試料板窓18×20mm、深さ0.2mm)に充填し、以下のような条件で測定を行った。
 XRD装置:リガク製SmartLab(登録商標)
 X線種:Cu-Kα線
 Kβ線除去方法:Niフィルター
 X線出力:45kV、200mA
 測定範囲:24.0~30.0deg.
 スキャンスピード:2.0deg./min.
 得られた波形に対し、学振法を適用し面間隔d002の値を求めた。
[0070]
[1-5]50%粒子径(D50)
 50%粒子径(D50)はレーザー回折式粒度分布測定器としてマルバーン製マスターサイザー(Mastersizer;登録商標)を用い体積基準の粒子径分布において測定した。
[0071]
[1-6]BET比表面積
 BET比表面積測定装置としてカンタクローム(Quantachrome)社製NOVA2200eを用い、サンプルセル(9mm×135mm)に3gのサンプルを入れ、300℃、真空条件下で1時間乾燥後、測定を行った。BET比表面積測定用のガスはN 2を用いた。
[0072]
[2]負極の作製
 複数種の黒鉛を用いる場合は、黒鉛を所定の混合比にてV型ブレンダーにて混合し負極活物質を得た。得られた負極活物質96.5gに導電助剤としてカーボンブラックを0.5g、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)1.5g、水を適宜加えて撹拌及び混合することにより粘度を調節後、固形分比40%のスチレン-アクリルポリマー微粒子(Polysol(登録商標)、昭和電工株式会社製)を含む水分散液3.8gを加え撹拌及び混合し、充分な流動性を有するスラリー状の分散液を作製した。
 作製した分散液を厚み20μmの銅箔上にロールコーターを用いて均一となるように塗布し、乾燥させ電極を得た。乾燥した電極はロールプレスにより密度を調製し、電池評価用負極を得た。電極の合剤層は10mg/cm 2に調整した。
[0073]
[3]負極の細孔容積
 細孔容積は島津製作所製水銀ポロシメーターオートポアIV9520を用い水銀圧入法により測定した。水銀ポロシメーターを用いた測定では、圧力Pを段階的に増加させながら負極の細孔に侵入する水銀の侵入量Vを測定し、横軸を孔径(μm)、水銀の侵入量の変化率(ΔV/ΔP)を縦軸に対数プロットした。ただし、水銀の接触角は130°、表面張力は485mN/m、細孔の孔径と圧力の関係は180/圧力=孔径と近似して算出を行った。
[0074]
[4]電池の作製
[4-1]正極の作製
 Li 3Ni 1/3Mn 1/3Co 1/3を92g、導電助剤としてカーボンブラック(TIMCAL社製)3g及び気相成長炭素繊維1g(VGCF(登録商標)、昭和電工株式会社製)、及びバインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)4gにN-メチル-ピロリドンを適宜加えながら攪拌・混合し、スラリー状の分散液を作製した。
 作製した分散液を厚さ20μmのアルミ箔上にロールコーターにより塗布し、乾燥させ、その後、ロールプレスにて加圧成形した。得られた正極の合剤層は19mg/cm 2であり、合剤層密度は3.1g/cm 3であった。
[0075]
[4-2]電解液調製
 非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を体積比3:7で混合し、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF 6)を1.0mol/L溶解させたものを電解液とした。
[0076]
[4-3]電池作製
 上記負極及び正極を打ち抜いて面積20cm 2の負極片及び正極片を得た。正極片のAl箔にAlタブを、負極片のCu箔にNiタブをそれぞれ取り付けた。ポリプロピレン製フィルム微多孔膜を負極片と正極片との間に挟み入れ、その状態でアルミラミネートにパックした。そして、それに電解液を500μL注液した。その後、開口部を熱融着によって封止して評価用の電池(設計容量50mAh)を作製した。
[0077]
[5]電池の評価
[5-1]DC-IR
 満充電状態から5時間0.1CでCC放電し、電池の充電状態を50%に調整した。調整後1時間休止し、次いで25mAで5秒間放電し、このときの放電前後の電圧降下量を測定した。電圧降下量からオームの法則(R=ΔV/0.025)により電池内部抵抗を測定した。
[0078]
[5-2]大電流放電試験
 セルを上限電圧4.2V、カットオフ電流値1mAとしてCC、CVモードにより5mAで充電後、下限電圧2.8VでCCモードにより3.0C(150mA)放電し、3.0Cにおける放電容量を算出した。0.1C放電容量(0.1C=約5mA)を基準として、3.0Cにおける放電容量の比を算出した。
(3.0C放電容量比(%))=(3.0C放電容量(mAh))/(0.1C放電容量(mAh))×100
[0079]
[5-3]サイクル特性
 上限電圧4.2VとしてCC、CVモードで、1C(1C=50mA)で、カットオフ電流値2.5mAで充電を行った。
 下限電圧2.8Vとして、CCモードで2C放電を行った。
 上記条件で、500サイクル充放電を繰り返した。500サイクル時の放電容量を測定した。初回放電容量に対する500サイクル時放電容量の割合を算出し、それを放電容量維持率とした。
(500サイクル後放電容量維持率(%))=(500サイクル時放電容量)/(初回放電容量)×100
[0080]
[5-4]放電容量、エネルギー密度
 上限電圧4.2VとしてCC(コンスタントカレント)、CV(コンスタントボルテージ)モードで、5mAで、カットオフ電流値1mAで充電を行った。
 下限電圧2.8Vとして、CCモードで0.1C(5mA)の放電を行って、放電容量を測定した。放電容量と電極密度の積をエネルギー密度とした。
[0081]
実施例1~3
 針状の石油コークスをD50=12μmに粉砕し、アルゴン雰囲気下の誘導加熱炉で3000℃の熱処理を行い製造した非凝集型である人造黒鉛1及び、D50=12μmの球状天然黒鉛100質量部に対して石油系ピッチ2質量部を混合し、電気式管状炉を用い、不活性雰囲気下1200℃で焼成し粒子表面にアモルファス炭素コーティング処理を施すことにより製造した球状の天然黒鉛1を、表1に記載の質量比率で用いて、負極を作製した。得られた負極について、物性を測定及び評価し、その結果を表1に併せて示す。また、得られた負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
 なお、非凝集型とは二次粒子化していない一次粒子そのままの状態ものをいう。
[0082]
実施例4
 針状の石油コークスをD50=12μmに粉砕し、アルゴン雰囲気下の誘導加熱炉で3000℃の熱処理を行い製造した黒鉛粒子100質量部に対して石油系ピッチ2質量部を混合し、電気式管状炉を用い、不活性雰囲気下1200℃で焼成し粒子表面にアモルファス炭素コーティング処理を施すことにより製造した非凝集型である人造黒鉛2、及び球状の天然黒鉛1を、表1に記載の質量比率で用いて、負極を作製した。得られた負極について、物性を測定及び評価し、その結果を表1に併せて示す。また、得られた負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
[0083]
実施例5
 ロールプレスの圧力を変更した以外は実施例2と同様に負極を作製した。得られた負極について、物性を測定及び評価し、その結果を表1に併せて示す。また、得られた負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
[0084]
実施例6
 ロールプレスの圧力を変更した以外は実施例3と同様に負極を作製した。得られた負極について、物性を測定及び評価し、その結果を表1に併せて示す。また、得られた負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
[0085]
比較例1
 人造黒鉛1及び天然黒鉛1を表1に記載の質量比率で用いて負極を作製した。得られた負極について、物性を測定及び評価し、その結果を表1に併せて示す。また、得られた負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
[0086]
比較例2
 黒鉛として人造黒鉛1のみを用いて負極を作製した。得られた負極について、物性を測定及び評価し、その結果を表1に併せて示す。また、得られた負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
[0087]
比較例3
 黒鉛として天然黒鉛1のみを用いて負極を作製した。得られた負極について、物性を測定及び評価し、その結果を表1に併せて示す。また、得られた負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
[0088]
比較例4~6
 針状の石油コークスをD50=6μmに粉砕し、アルゴン雰囲気下の誘導加熱炉で3000℃の熱処理を行い製造した非凝集型である人造黒鉛3及び天然黒鉛1を、表1に記載の質量比率で用いて、負極を作製した。得られた負極について、物性を測定及び評価し、その結果を表1に併せて示す。また、得られた負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
[0089]
比較例7
 塊状の石油コークスをD50=22μmに粉砕し、アルゴン雰囲気下の誘導加熱炉で3000℃の熱処理を行い製造した非凝集型である人造黒鉛4及び天然黒鉛1を、表1に記載の質量比率で用いて、負極を作製した。得られた負極について、物性を測定及び評価し、その結果を表1に併せて示す。また、得られた負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
[0090]
比較例8
 塊状の石油コークスをD50=6μmに粉砕し、アルゴン雰囲気下の誘導加熱炉で3000℃の熱処理を行い製造した黒鉛粒子100質量部に対して石油系ピッチ2質量部を混合し、電気式管状炉を用い、不活性雰囲気下1200℃で焼成し粒子表面にアモルファス炭素コーティング処理を施すことにより製造した非凝集型である人造黒鉛5、及び天然黒鉛1を、表1に記載の質量比率で用いて、負極を作製した。得られた負極について、物性を測定及び評価し、その結果を表1に併せて示す。また、得られた負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
[0091]
比較例9
 人造黒鉛1、及びD50=12μmの球状天然黒鉛100質量部に対して石油系ピッチ5質量部を混合し、電気式管状炉を用い、不活性雰囲気下1200℃で焼成し粒子表面にアモルファス炭素コーティング処理を施すことにより製造した球状の天然黒鉛2を、表1に記載の質量比率で用いて、負極を作製した。得られた負極について、物性を測定及び評価し、その結果を表1に併せて示す。また、得られた負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
[0092]
比較例10
 人造黒鉛1及び人造黒鉛3を表1に記載の質量比率で用いて負極を作製した。得られた負極について、物性を測定及び評価し、その結果を表1に併せて示す。また、得られた負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
[0093]
比較例11
 人造黒鉛1、及び針状の石炭コークスをD50=15μmに粉砕し、アルゴン雰囲気下の誘導加熱炉で3000℃の熱処理を行い製造した非凝集型である人造黒鉛6を表1に記載の質量比率で用いて負極を作製した。得られた負極について、物性を測定及び評価し、その結果を表1に併せて示す。また、得られた負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
[0094]
[表1]


[0095]
[表2]


請求の範囲

[請求項1]
 負極活物質を含む合剤層を備えたリチウムイオン二次電池用負極であって、合剤層の密度が1.60g/cm 3以上1.90g/cm 3以下であり、水銀圧入法により測定された合剤層のLog微分細孔容積分布において0.50μm以上2.00μm以下に極大値を示す細孔径D1が存在し、前記負極活物質は人造黒鉛と天然黒鉛を含み、前記人造黒鉛と前記天然黒鉛の合計に対して前記人造黒鉛の配合比率が20質量%以上80質量%以下であり、前記人造黒鉛の円形度は0.82以上0.90以下であり、前記天然黒鉛の円形度は0.91以上0.99以下であり、前記人造黒鉛及び前記天然黒鉛の圧縮強度が0.1MPa以上15MPa以下であり、前記人造黒鉛のD50は10μm以上30μm以下であるリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項2]
 前記細孔容積分布において0.10μm以上0.25μm以下に極大値を示す細孔径D2がさらに存在する請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項3]
 前記細孔容積分布において、細孔径D2における細孔容積P2に対する細孔径D1の細孔容積P1の比(細孔容積P1/細孔容積P2)が2.5以上である請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項4]
 前記人造黒鉛が、表面に炭素コーティング層を有する人造黒鉛である請求項1~3のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項5]
 前記天然黒鉛が、表面に炭素コーティング層を有する天然黒鉛である請求項1~4のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項6]
 前記人造黒鉛はラマン分光スペクトルで測定される1300~1400cm -1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580~1620cm -1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IGであるR値が0.05以上0.50以下である請求項1~5のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項7]
 前記天然黒鉛はラマン分光スペクトルで測定される1300~1400cm -1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580~1620cm -1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IGであるR値が0.05以上0.50以下である請求項1~6のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項8]
 前記人造黒鉛のX線回折法による平均面間隔d002が0.3354nm以上0.3360nm以下である請求項1~7のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項9]
 前記人造黒鉛のBET比表面積が0.5m 2/g以上4.0m 2/gであり、前記天然黒鉛のBET比表面積が1.5m 2/g以上7.0m 2/g以下である請求項1~8のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項10]
 前記人造黒鉛が、石油系コークス及び/または石炭系コークスを2500℃以上で熱処理したものである請求項1~9のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項11]
 請求項1~10のいずれかひとつに記載の負極を備えたリチウムイオン二次電池。