Processing

Please wait...

Settings

Settings

Goto Application

1. WO2020110671 - PHOTOSENSITIVE THERMOSETTING RESIN COMPOSITION, DRY FILM, AND PRINTED WIRING BOARD

Document

明 細 書

発明の名称 感光性熱硬化性樹脂組成物、ドライフィルムおよびプリント配線板

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005   0006   0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072  

実施例

0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 感光性熱硬化性樹脂組成物、ドライフィルムおよびプリント配線板

技術分野

[0001]
 本発明は、アルカリ水溶液現像が可能であって、硬化膜の物性にも優れた感光性熱硬化性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」とも称する)、ドライフィルムおよびプリント配線板に関する。

背景技術

[0002]
 近年、電子機器の小型軽量化に伴って、プリント配線板技術も目覚ましい進化を遂げ、使用されるソルダーレジストに対する要求も日に日に高まっている。
 一方で、ソルダーレジストは、微細化の流れを受けてアルカリ水溶液により現像が可能なアルカリ現像型の感光性樹脂組成物が主流となっており、各用途に応じて、耐熱性やフレキシブル性、低誘電特性などの特性付加を行っている。
 このようなアルカリ現像型の感光性樹脂組成物を用いるソルダーレジストの形成方法としては、基材に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して樹脂層を形成し、その樹脂層に対して、パターン状に光照射した後、アルカリ現像液で現像することにより形成する方法が一般的である。
[0003]
 このようなソルダーレジストの形成方法において、アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム(Na CO )水溶液や炭酸カリウム水溶液(K CO )、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)溶液などのアルカリ水溶液が挙げられる。これらのアルカリ水溶液のなかでも、プリント配線板の製造においては、基板の信頼性の面や作業環境の面から、通常、弱アルカリ性の炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムの水溶液が用いられている。それ故に、プリント配線板用の感光性樹脂組成物においては、弱アルカリ性の炭酸ナトリウム水溶液などで現像可能であることは、極めて重要なこととなる。
[0004]
 従来、様々の要求を満たした塗膜特性を発現させるために、感光性樹脂組成物に用いる樹脂の種類を適宜選択することが行われている。特にアルカリ水溶液に対する現像性と硬化物性の両立は難しく、特性付与を狙っても樹脂の種類によっては弱アルカリ性の炭酸ナトリウム水溶液などによる現像ができないといった場合も有り得る。例えば、耐熱性向上を目的として、イミド環を含むポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂を適用する場合、構造に由来して機械特性や耐熱性に優れるが、その組成物を炭酸ナトリウム水溶液による現像に適用することは困難になる場合が多い。この点は、ポリイミド樹脂を含む感光性樹脂組成物に関する発明を開示した特許文献1の実施例において、強アルカリ性の水酸化ナトリウム水溶液により現像を行っていることからもわかる。
 従来、これらポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂に現像性を付与することも検討されてきたが、現像性を付与するためにはイミド特有の機械特性を大幅に犠牲にすることで対応せざるを得なかった。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2004-317725号公報
[0006]
 さらに、デバイスの高機能化によって、プリント配線板の回路設計もより複雑化している。例えば現在、車載用基板や各種デバイスの電源用基板などでは回路厚の高い基板が使用され、加えて配線ピッチが小さくなってきている背景がある。そのため、回路間の埋め込み性も然ることながら、回路上と回路間でソルダーレジストの厚みが大きく変わるため、アルカリ現像によるパターニングの制御が難しくなってきている。すなわち、回路上ではソルダーレジストが薄く、回路間ではソルダーレジストが厚くなるため、薄膜部に光硬化条件を設定すると、厚膜部に深部硬化不良が起こり、反対に厚膜部に光硬化条件を設定すると、薄膜部がハレーションを起こして開口できない問題が生じている。
[0007]
 さらにまた、従来のソルダーレジストは着色顔料により塗膜の隠蔽性を発現させており、その塗膜内の着色顔料の含有濃度で隠蔽性が異なることから、上述のような回路厚が高い回路設計の場合、同一基板内で濃淡が生じる問題が発生している。すなわち、厚膜部は高い隠蔽性を示す一方で、回路上などの薄膜部は隠蔽性が低いため、特に回路エッジ部が透けてしまう現象が良く見られる。このような面内での濃淡を解決するために、通常、組成物中の顔料濃度を調整するのが一般的であるが、感光性を阻害することがあり、アルカリ現像型の感光性樹脂組成物に適応するには限界があるのが実情である。

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 そこで、本発明の目的は、上述した種々の問題を解決することにあり、感光性、アルカリ現像性に優れ、さらに耐熱性などの機械特性に優れた硬化物を得ること、同時に塗膜の隠蔽性が回路設計による膜厚差に依存しない感光性熱硬化性樹脂組成物、ドライフィルム及びそれらを用いたプリント配線板を提供することにある。 

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明者らは、上記目的実現に向け鋭意検討した。その結果、硬化塗膜への隠蔽性の付与を着色顔料のみに依存せず、硬化時の屈折率変化を利用することで上記解題を解決するに至った。
 すなわち、感光性樹脂組成物の塗膜に対し、光硬化性が影響する露光時には深部まで光硬化できる顔料濃度と透明性を保ち、現像後の熱硬化時には塗膜の屈折率を変化させることで、硬化塗膜において面内バラつきのない、均一な隠蔽性が発現することを見出した。
[0010]
 より具体的には、特定の構造を有するポリアミドイミド樹脂を用いた感光性熱硬化性樹脂組成物により、前述した機械特性と現像性の課題を解決し、さらに、かかるポリアミドイミド樹脂と、熱硬化性環状エーテル基含有化合物、不飽和二重結合およびカルボキシ基を有する樹脂、光重合開始剤を含む組成物によれば、光硬化性、熱硬化した硬化塗膜の隠蔽性が向上し、硬化塗膜において面内バラつきのない、均一な隠蔽性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0011]
 すなわち、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物は、
 (A)アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂、
 (B)不飽和二重結合およびカルボキシル基を有する樹脂、
 (C)熱硬化性環状エーテル基含有化合物、および
 (D)光重合開始剤、
 前記(A)アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂が、下記一般式(1)で示される構造および下記一般式(2)で示される構造を有するポリアミドイミド樹脂


(X は炭素数が24~48のダイマー酸由来の脂肪族ジアミン(a)の残基、X はカルボキシル基を有する芳香族ジアミン(b)の残基、Yはそれぞれ独立にシクロヘキサン環または芳香環である。)
を含有することを特徴とするものである。
[0012]
 本発明の光硬化熱硬化性樹脂組成物においては前記ポリアミドイミド樹脂(A)の質量平均分子量Mwが20,000以下であることが好ましい。さらにまた、前記光重合開始剤(D)が、光塩基発生剤としても機能する光重合開始剤を含むことが好ましい。
[0013]
 また、本発明のドライフィルムは、上記本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有することを特徴とするものである。
[0014]
 さらに、本発明のプリント配線板は、上記本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物、または、上記本発明のドライフィルムを用いて形成される硬化物を備えることを特徴とするものである。

発明の効果

[0015]
 本発明によれば、感光性、アルカリ現像性(弱アルカリ水溶液による現像性)に優れ、さらに耐熱性などの機械特性に優れた硬化物を得ること、同時に塗膜の隠蔽性が回路設計による膜厚差に依存しない感光性熱硬化性樹脂組成物、ドライフィルムおよびプリント配線板を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、本発明の実施の形態について詳述する。
 本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物は、(A)アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂、(B)不飽和二重結合およびカルボキシル基を有する樹脂、(C)熱硬化性環状エーテル基含有化合物、および(D)光重合開始剤、を含有し、
 前記(A)アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂が、下記一般式(1)で示される構造および下記一般式(2)で示される構造を有するポリアミドイミド樹脂


(X は炭素数が24~48のダイマー酸由来の脂肪族ジアミン(a)の残基、X はカルボキシル基を有する芳香族ジアミン(b)の残基、Yはそれぞれ独立にシクロヘキサン環または芳香環である。)であることを特徴とする。
[0017]
 前述したように、従来のソルダーレジストは、着色顔料により塗膜の隠蔽性を発現させており、その塗膜内の着色顔料の含有濃度で隠蔽性が異なることから、高回路厚を有する回路基板において、基材部(回路間)である厚膜部は高い隠蔽性を示す一方で、回路上などの薄膜部は隠蔽性が低いため、特に回路エッジ部が透けてしまう現象が発生していた。
 本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物は、ダイマー酸由来の脂肪族ユニットおよびカルボキシル基を含む特定の(A)アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂とともに、(B)不飽和二重結合およびカルボキシル基を有する樹脂、(C)熱硬化性環状エーテル基含有化合物を用いた構成に最大の特徴がある。このような構成としたことにより、光硬化性に影響する露光時には深部まで硬化できる顔料濃度と透明性を保ち、現像後の熱硬化時には塗膜の屈折率変化をさせることで、硬化塗膜において面内バラつきのない、均一な隠蔽性を発現する効果を得ることができる。すなわち、良好な解像性を有し、かつ塗膜の隠蔽性が回路設計による膜厚差に依存せず、感光性、アルカリ現像性に優れ、さらに耐熱性などの機械特性に優れる感光性熱硬化性樹脂組成物を得ることが可能となった。
 以下、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物を構成する各成分について詳述する。
[0018]
[(A)アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂]
 本発明の硬化性樹脂組成物において、アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂は、下記一般式(1)で示される構造および下記一般式(2)で示される構造を有するポリアミドイミド樹脂を用いる。これにより、現像性をさらに向上させることができる。


[0019]
 ここで、X は炭素数が24~48のダイマー酸由来の脂肪族ジアミン(a)(本明細書において「ダイマージアミン(a)」ともいう。)の残基である。X はカルボキシル基を有する芳香族ジアミン(b)(本明細書において「カルボキシル基含有ジアミン(b)」ともいう。)の残基である。Yはそれぞれ独立にシクロヘキサン環または芳香環である。
[0020]
 上記一般式(1)で示される構造および上記一般式(2)で示される構造を含むことにより、1.0質量%の炭酸ナトリウム水溶液のようなマイルドなアルカリ溶液が用いられた場合であっても溶解しうるアルカリ溶解性に優れたポリアミドイミド樹脂とすることができる。また、かかるポリアミドイミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物は、優れた誘電特性を有することができる。
[0021]
 ダイマージアミン(a)は、炭素数12~24の脂肪族不飽和カルボン酸の二量体におけるカルボキシル基を還元的アミノ化することにより得ることができる。すなわち、ダイマー酸由来の脂肪族ジアミンであるダイマージアミン(a)は、例えばオレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸を重合させてダイマー酸とし、これを還元した後、アミノ化することで得られる。このような脂肪族ジアミンとして、例えば炭素数36の骨格を有するジアミンであるPRIAMINE1073、1074、1075(クローダジャパン社製、商品名)等の市販品を用いることができる。ダイマージアミン(a)は、炭素数が28~44のダイマー酸由来であることが好ましい場合があり、炭素数が32~40のダイマー酸由来であることがより好ましい場合がある。
[0022]
 カルボキシル基含有ジアミン(b)の具体例としては、3,5-ジアミノ安息香酸、3,4-ジアミノ安息香酸、5,5’-メチレンビス(アントラニル酸)、ベンジジン-3,3’-ジカルボン酸などが挙げられる。カルボキシル基含有ジアミン(b)は1種類の化合物から構成されていてもよいし、複数種類の化合物から構成されていてもよい。原料入手性の観点から、カルボキシル基含有ジアミン(b)は、3,5-ジアミノ安息香酸、5,5’-メチレンビス(アントラニル酸)を含有することが好ましい。
[0023]
 上記ポリアミドイミド樹脂における、上記一般式(1)で示される構造の含有量と上記一般式(2)で示される構造の含有量との関係は限定されない。ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性と、ポリアミドイミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物の機械特性など他の特性とのバランスを良好にする観点から、ダイマージアミン(a)の含有量(単位:質量%)は、20~60質量%が好ましく、30~50質量%がより好ましい。本明細書において、「ダイマージアミン(a)の含有量」とは、ポリアミドイミド樹脂を製造する際の原料の一つとして位置付けられるダイマージアミン(a)の仕込み量の、製造されたポリアミドイミド樹脂の質量に対する割合を意味する。ここで、「製造されたポリアミドイミド樹脂の質量」は、ポリアミドイミド樹脂を製造するための全ての原料の仕込み量から、イミド化で生じる水(H O)およびアミド化で生じる炭酸ガス(CO )の理論量を差し引いた値である。
[0024]
 ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性を高める観点から、上記一般式(1)および上記一般式(2)においてYで示される部分は、シクロヘキサン環を有することが好ましい。ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性と、ポリアミドイミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物の機械特性など他の特性とのバランスを良好にする観点から、上記のYで示される部分における芳香環とシクロヘキサン環との量的関係は、シクロヘキサン環の含有量の芳香環の含有量に対するモル比が、85/15~100/0であることが好ましく、90/10~99/1であることがより好ましく、90/10~98/2であることがさらに好ましい。
[0025]
 上記ポリアミドイミド樹脂は、下記一般式(i)で示される部分構造をさらに有していてもよい。


 ここで、X は、ダイマージアミン(a)およびカルボキシル基含有ジアミン(b)以外のジアミン(f)(本明細書において、「他のジアミン(f)」ともいう。)の残基であり、Yは、上記一般式(1)および上記一般式(2)と同様に、それぞれ独立に芳香環またはシクロヘキサン環である。他のジアミン(f)は1種類の化合物から構成されていてもよいし、複数種類の化合物から構成されていてもよい。
[0026]
 他のジアミン(f)の具体例としては、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジアミン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル-4,4’-ジアミン、2,6,2’,6’-テトラメチル-4,4’-ジアミン、5,5’-ジメチル-2,2’-スルフォニル-ビフェニル-4,4’-ジアミン、3,3’-ジヒドロキシビフェニル-4,4’-ジアミン、(4,4’-ジアミノ)ジフェニルエーテル、(4,4’-ジアミノ)ジフェニルスルホン、(4,4’-ジアミノ)ベンゾフェノン、(3,3’-ジアミノ)ベンゾフェノン、(4,4’-ジアミノ)ジフェニルメタン、(4,4’-ジアミノ)ジフェニルエーテル、(3,3’-ジアミノ)ジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミンが挙げられ、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロへキシルアミン)、イソホロンジアミン、1,4-シクロへキサンジアミン、ノルボルネンジアミンなど脂肪族ジアミンが挙げられる。
[0027]
 上記ポリアミドイミド樹脂は、下記一般式(ii)に示される構造を有していてもよい。
[0028]


 ここで、Zは脂肪族基であってもよいし、芳香族を含む基であってもよい。脂肪族基である場合には、シクロヘキサン環など脂環基を含んでいてもよい。後述する製造方法によれば、Zはジイソシアネート化合物(e)の残基となる。
[0029]
 上記ポリアミドイミド樹脂の製造方法は限定されず、公知慣用の方法を用いてイミド化工程およびアミドイミド化工程を経て製造することができる。
[0030]
 イミド化工程では、ダイマージアミン(a)、カルボキシル基含有ジアミン(b)、およびシクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物(c)と無水トリメリット酸(d)とからなる群から選ばれる1種または2種を反応させてイミド化物を得る。
[0031]
 ダイマージアミン(a)の仕込み量は、ダイマージアミン(a)の含有量が20~60質量%となる量が好ましく、ダイマージアミン(a)の含有量が30~50質量%となる量がより好ましい。ダイマージアミン(a)の含有量の定義は前述のとおりである。
[0032]
 必要に応じて、ダイマージアミン(a)およびカルボキシル基含有ジアミン(b)とともに、その他のジアミン(f)を使用してもよい。
[0033]
 ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性を高める観点から、イミド化工程において、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物(c)を使用することが好ましい。シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物(c)の使用量の、無水トリメリット酸(d)の使用量に対するモル比は、85/15~100/0であることが好ましく、90/10~99/1であることがより好ましく、90/10~98/2であることがさらに好ましい。
[0034]
 イミド化物を得るために使用されるジアミン化合物(具体的には、ダイマージアミン(a)およびカルボキシル基含有ジアミン(b)ならびに必要に応じ用いられるその他のジアミン(f)を意味する。)の量と酸無水物(具体的には、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物(c)と無水トリメリット酸(d)とからなる群から選ばれる1種または2種を意味する。)の量との関係は限定されない。酸無水物の使用量は、ジアミン化合物の使用量に対するモル比率が2.0以上2.4以下となる量であることが好ましく、当該モル比率が2.0以上2.2以下となる量であることがより好ましい。
[0035]
 アミドイミド化工程では、上記のイミド化工程により得られたイミド化物に、ジイソシアネート化合物(e)を反応させて下記一般式(3)で示される構造を有する物質を含むポリアミドイミド樹脂を得る。
[0036]
 ジイソシアネート化合物(e)の具体的な種類は限定されない。ジイソシアネート化合物(e)は1種類の化合物から構成されていてもよいし、複数種類の化合物から構成されていてもよい。
[0037]
 ジイソシアネート化合物(e)の具体例としては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、2,4-トリレンダイマー等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性およびポリアミドイミド樹脂の透明性を共に良好にする観点から、ジイソシアネート化合物(e)は脂肪族イソシアネートを含有することが好ましく、ジイソシアネート化合物(e)は脂肪族イソシアネートであることがより好ましい。
[0038]
 アミドイミド化工程におけるジイソシアネート化合物(e)の使用量は限定されない。ポリアミドイミド樹脂に適度なアルカリ溶解性を付与する観点から、ジイソシアネート化合物(e)の使用量は、イミド化合物を得るために使用したジアミン化合物の量に対するモル比率として、0.3以上1.0以下とすることが好ましく、0.4以上0.95以下とすることがより好ましく、0.50以上0.90以下とすることが特に好ましい。
[0039]
 このようにして製造されるポリアミドイミド樹脂は、下記一般式(3)で示される構造を有する物質を含む。


[0040]
 上記一般式(3)中、Xはそれぞれ独立にジアミン残基(ジアミン化合物の残基)、Yはそれぞれ独立に芳香環またはシクロヘキサン環、Zはジイソシアネート化合物の残基である。nは自然数である。
[0041]
 以上説明したようなアルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性(現像性)と、ポリアミドイミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物の機械特性など他の特性とのバランスを良好にする観点から、その酸価が50mgKOH/g以上であることが好ましく、50~200mgKOH/gであることがより好ましく、70~130mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価が50mgKOH/g以上であると、アルカリに対する溶解性が増大し、現像性が良好となり、さらには、光照射後の熱硬化成分との架橋度が高くなるため、十分な現像コントラストを得ることができる。一方、酸価が200mgKOH/g以下であると、正確なパターンの描画が容易となる。
 また、アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂の分子量は、現像性と硬化塗膜特性を考慮すると、質量平均分子量は、20,000以下であることが好ましく、1,000~15,000がより好ましく、2,000~10,000がさらに好ましい。分子量が20,000以下であると、未露光部のアルカリ溶解性が増加し、現像性が向上する。一方、分子量が1,000以上であると、露光部において十分な耐現像性と硬化物性を得ることができる。
[0042]
[(B)不飽和二重結合およびカルボキシル基を有する樹脂]
 不飽和二重結合およびカルボキシル基を有する樹脂としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
 (1)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基を含有する、ジアルコール化合物、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
 (2)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物と、カルボキシル基含有ジアルコール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
 (3)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
 (4)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
 (5)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドまたは環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に、不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に、更に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
 (6)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の1種類以上との共重合体に、エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物や(メタ)アクリル酸クロライドなどによって、エチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
 (7)上述の(1)~(6)の樹脂に、さらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。 
[0043]
 これら(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0044]
 本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物中の(B)成分の配合量は、(A)ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、好ましくは5~150質量部であり、より好ましくは10~80質量部である。(B)成分の配合量を上記範囲とすることで、露光部における耐現像性の向上と、未露光部における現像性の確保とを、良好に両立させることができるものとなる。
[0045]
[(C)熱硬化性環状エーテル基含有化合物]
 熱硬化性環状(チオ)エーテル基含有化合物は、分子中に3、4または5員環の環状エーテル基、または環状チオエーテル基のいずれか一方または2種類の基を複数有する化合物であり、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などが挙げられる。
 エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。
 オキセタン化合物としては、ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
 エピスルフィド樹脂としては、例えば、三菱化学株式会社製のYL7000(ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂)などが挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
 これら(C)熱硬化性環状エーテル基含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0046]
 本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物中の(C)熱硬化性環状エーテル基含有化合物の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計のカルボン酸当量に対する熱硬化性環状エーテル基当量の比率が、好ましくは0.2~3.0、より好ましくは0.5~2.0の範囲となる量である。
[0047]
[(D)光重合開始剤]
 本発明に用いる光重合開始剤(D)としては、公知慣用のものを用いることができ、特に、後述する光照射後の加熱(PEB)工程に用いる場合には、光塩基発生剤としての機能も有する光重合開始剤が好適である。なお、露光後加熱工程を行う場合には、光重合開始剤と光塩基発生剤とを併用してもよい。
[0048]
 光塩基発生剤としての機能も有する光重合開始剤は、紫外線や可視光等の光照射により分子構造が変化するか、または、分子が開裂することにより、熱反応性化合物としての(C)熱硬化性環状エーテル基含有化合物の重合反応の触媒として機能しうる1種以上の塩基性物質を生成する化合物である。塩基性物質としては、例えば、2級アミン、3級アミンが挙げられる。
[0049]
 このような光塩基発生剤としての機能も有する光重合開始剤としては、例えば、α-アミノアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物や、アシルオキシイミノ基,N-ホルミル化芳香族アミノ基、N-アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメイト基、アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物等が挙げられる。中でも、オキシムエステル化合物、α-アミノアセトフェノン化合物が好ましく、オキシムエステル化合物がより好ましい。α-アミノアセトフェノン化合物としては、特に、2つ以上の窒素原子を有するものが好ましい。
[0050]
 α-アミノアセトフェノン系化合物は、分子中にベンゾインエーテル結合を有し、光照射を受けると分子内で開裂が起こり、硬化触媒作用を奏する塩基性物質(アミン)が生成するものであればよい。α-アミノアセトフェノン系化合物としては、市販品としてBASFジャパン社製のイルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379などが挙げられる。
[0051]
 オキシムエステル系化合物としては、光照射により塩基性物質を生成する化合物であれば、いずれをも使用することができる。このようなオキシムエステル系化合物としては、市販品として、BASFジャパン社製のCGI-325、イルガキュアーOXE01、イルガキュアーOXE02、(株)ADEKA製のN-1919、NCI-831などが挙げられる。また、分子内に2個のオキシムエステル基を有する光重合開始剤も好適に用いることができる。
[0052]
 このような光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂組成物中の光重合開始剤の配合量は、好ましくは(A)ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して0.1~40質量部であり、さらに好ましくは、0.3~20質量部である。0.1質量部以上の場合、光照射部と未照射部との耐現像性のコントラストを良好に得ることができる。また、40質量部以下の場合、硬化物特性が向上する。
[0053]
 本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて以下の成分を配合することができる。
[0054]
(不飽和二重結合を有するモノマー)
 本発明の樹脂組成物には、光反応性の向上を目的として公知の不飽和二重結合を有するモノマーを配合することができる。このような不飽和二重結合を有するモノマーとしては、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε-カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、および、これらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;および、上記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくともいずれか一種などが挙げられる。
[0055]
(高分子樹脂)
 本発明の樹脂組成物には、得られる硬化物の可撓性、指触乾燥性の向上を目的に、公知慣用の高分子樹脂を配合することができる。このような高分子樹脂としては、セルロース系、ポリエステル系、フェノキシ樹脂系ポリマー、ポリビニルアセタール系、ポリビニルブチラール系、ブロック共重合体、エラストマー等が挙げられる。この高分子樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
[0056]
(無機充填剤)
 本発明の樹脂組成物には、硬化物の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度などの特性を向上させるために、無機充填剤を配合することができる。このような無機充填剤としては、例えば、硫酸バリウム、無定形シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ノイブルグシリシャスアース等が挙げられる。
[0057]
(着色剤)
 本発明の樹脂組成物には、公知慣用の着色剤を配合することができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄、白、黒などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。
[0058]
(有機溶剤)
 本発明の樹脂組成物には、樹脂組成物の調製のためや、基材やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のために、有機溶剤を使用することができる。このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
[0059]
(その他の任意成分)
 本発明の樹脂組成物には、必要に応じてさらに、メルカプト化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知慣用のものを用いることができる。また、微粉シリカ、ハイドロタルサイト、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤および/またはレベリング剤、シランカップリング剤、防錆剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
[0060]
 本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物は、感光性、アルカリ現像性に優れ、さらに耐熱性などの機械特性に優れた、回路の高低差による膜厚差に依存しない優れた塗膜の隠蔽性を得ることが可能であるため、プリント配線板の分野において広く使用することができ、例えば、パッケージ用、車載用、マザーボード用、フレキシブル用などのプリント配線板のソルダーレジスト等の用途として用いることができる。
[0061]
(ドライフィルム)
 本発明のドライフィルムは、以下のようにして製造できる。
 すなわち、まず、キャリアフィルム(支持体)上に、上記本発明の樹脂組成物を、有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、常法に従い、コンマコーター等の公知の手法で順次塗布する。その後、通常、50~130℃の温度で1~30分間乾燥することで、キャリアフィルム上に形成された樹脂層を有するドライフィルムを得ることができる。更に目的に応じて、この他の感光性樹脂組成物を積層して多層構造にしても良い。こうして形成したドライフィルム上には、膜の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、剥離可能なカバーフィルムを積層することができる。キャリアフィルムおよびカバーフィルムとしては、従来公知のプラスチックフィルムを適宜用いることができ、カバーフィルムについては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであることが好ましい。キャリアフィルムおよびカバーフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。
[0062]
(プリント配線板およびその製造方法)
 本発明のプリント配線板は、上記本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物、または、上記本発明のドライフィルムを用いて形成される硬化物を備える点に特徴を有する。本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物は、優れた、感光性、アルカリ現像性、耐熱性、機械特性を有し、回路の高低差に依存しない優れた塗膜の隠蔽性との利点を有するものである。
[0063]
 本発明のプリント配線板の製造は、導体回路を形成したプリント配線基板上に本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成する工程(樹脂層形成工程)、この樹脂層に活性エネルギー線をパターン状に照射する工程(露光工程)、この樹脂層をアルカリ現像して、パターン化された樹脂層を一括形成する工程(現像工程)を含む製造方法である。必要に応じて、アルカリ現像後、さらなる光硬化や熱硬化(ポストキュア工程)を行い、樹脂層を完全に硬化させて信頼性の高いプリント配線板を得ることができる。
[0064]
 また、本発明のプリント配線板の製造は、以下の手順に従い行うこともできる。すなわち、導体回路を形成したプリント配線基板上に本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成する工程(樹脂層形成工程)、この樹脂層に活性エネルギー線をパターン状に照射する工程(露光工程)、必要に応じてこの樹脂層を加熱する工程(加熱(PEB)工程)、および、樹脂層をアルカリ現像して、パターン化された樹脂絶縁層を形成する工程(現像工程)を含む製造方法である。アルカリ現像後、さらなる光硬化や熱硬化(ポストキュア工程)を行い、樹脂層を完全に硬化させて信頼性の高いプリント配線板を得ることができる。特に、本発明においては、この手順を用いることが好ましい。
[0065]
 以下、各工程について、詳細に説明する。
[0066]
[樹脂層形成工程]
 この工程では、プリント配線板上に、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を少なくとも一層形成する。
 樹脂層の形成方法としては、塗布法と、ラミネート法が挙げられる。塗布法の場合、スクリーン印刷等の方法により、本発明の樹脂組成物をプリント配線板上に塗布し、乾燥することにより樹脂層を形成する。ラミネート法の場合、まずは、本発明の樹脂組成物を有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、キャリアフィルム上に塗布、乾燥して樹脂層を有するドライフィルムを作成する。次に、ラミネーター等により樹脂層が、プリント配線板と接触するように貼り合わせ、樹脂層を形成する。キャリアフィルムは、現像工程前に剥離する。
[0067]
 また、本発明の感光性熱硬化性樹脂層とプリント配線板の間には、もしくは他の層を介在させることができる。他の層は、アルカリ現像型感光性樹脂組成物からなることが好ましい。アルカリ現像型感光性樹脂組成物としては、公知の組成物を使用することができ、例えば、ソルダーレジスト用の公知の組成物を使用できる。このように他の層を含めた積層構造とすることにより、さらに耐衝撃性と屈曲性に優れた硬化物を得ることができる。
[0068]
[露光工程]
 この工程は、ネガ型のパターン状に光照射にて樹脂層に含まれる光重合開始剤を活性化して光照射部を硬化する。この工程では、光照射部で発生したラジカルにより、樹脂組成物に含まれる感光性樹脂成分が重合し、現像液に不溶となる。また、光塩基発生剤や、光塩基発生剤としても機能する光重合開始剤を含む組成物の場合は、この工程において光照射部に塩基が発生する。
[0069]
 光照射機としては、直接描画装置、メタルハライドランプを搭載した光照射機などを用いることができる。パターン状の光照射用のマスクは、ネガ型のマスクである。
 光照射に用いる活性エネルギー線としては、最大波長が350~450nmの範囲にあるレーザー光または散乱光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、効率よく光重合開始剤を活性化させることができる。この範囲のレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーのいずれでもよい。また、その光照射量は膜厚等によって異なるが、一般には100~1500mJ/cm とすることができる。
[0070]
[加熱(PEB)工程]
 必要に応じて加熱(PEB)工程を入れることができる。この工程では、光塩基発生剤や、光塩基発生剤としても機能する光重合開始剤を含む組成物において、光照射工程で光照射部に発生した塩基により熱反応性化合物が反応し、照射部のアルカリ現像耐性が向上する。加熱温度は、例えば、80~140℃である。加熱時間は、例えば、1~100分である。
 本工程における樹脂組成物の反応は、例えば、熱反応による熱硬化性環状エーテル基含有化合物の開環反応であるため、光ラジカル反応で硬化が進行する場合と比べてひずみや硬化収縮を抑えることができる。また樹脂組成物のカルボキシル基が反応し、減ることにより、光照射部のアルカリ現像耐性が大きく向上する。
[0071]
[現像工程]
 現像工程は、アルカリ現像により、未照射部を除去して、ネガ型のパターン状の絶縁膜、特に、ソルダーレジストパターンを形成する。
 現像方法としては、ディッピング等の公知の方法によることができる。また、現像液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等のアルカリ水溶液またはこれらの混合液を用いることができる。ここで、本発明においては、前述したような特定のポリアミドイミド樹脂を用いることにより、例えば、0.3~3質量%の弱アルカリ性の現像液により現像可能である点に、メリットがある。
[0072]
[ポストキュア工程]
 この工程は、現像工程の後に、樹脂層を完全に熱硬化させて信頼性の高い塗膜を得るものである。加熱温度は、例えば140℃~180℃である。さらに、ポストキュアの前または後に、光照射してもよい。
実施例
[0073]
 以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例、比較例によって制限されるものではない。
[0074]
(合成例1)
 窒素ガス導入管、温度計、撹拌機を備えた四口の300mLフラスコに、ダイマージアミン(a)としての炭素数36のダイマー酸に由来する脂肪族ジアミン(クローダジャパン社製、製品名PRIAMINE1075)28.61g(0.052mol)、カルボキシル基含有ジアミン(b)としての3,5-ジアミノ安息香酸4.26g(0.028mol)、γ-ブチロラクトン85.8gを室温で仕込み溶解した。
[0075]
 次いで、シクロへキサン-1,2,4-トリカルボン酸無水物(c)30.12g(0.152mol)、無水トリメリット酸(d)3.07g(0.016mol)を仕込み、室温で30分保持した。さらにトルエン30gを仕込み、160℃まで昇温して、トルエンと共に生成する水を除去した後、3時間保持し、室温まで冷却することでイミド化物を含有する溶液を得た。
[0076]
 得られたイミド化物を含有する溶液に、ジイソシアネート化合物(e)としてのトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート14.30g(0.068mol)を仕込み、160℃の温度で32時間保持して、シクロヘキサノン21.4gで希釈することでポリアミドイミド樹脂を含有する溶液(A-1)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂の質量平均分子量Mwは5250、固形分は41.5質量%、酸価は63mgKOH/g、ダイマージアミン(a)の含有量は40.0質量%であった。
[0077]
(合成例2)
 窒素ガス導入管、温度計、撹拌機を備えた四口の300mLフラスコに、ダイマージアミン(a)としての炭素数36のダイマー酸に由来する脂肪族ジアミン(クローダジャパン社製、製品名PRIAMINE1075)29.49g(0.054mol)、カルボキシル基含有ジアミン(b)としての3,5-ジアミノ安息香酸4.02g(0.026mol)、γ-ブチロラクトン73.5gを室温で仕込み溶解した。
[0078]
 次いで、シクロへキサン-1,2,4-トリカルボン酸無水物(c)31.71g(0.160mol)、無水トリメリット酸(d)1.54g(0.008mol)を仕込み、室温で30分保持した。さらにトルエン30gを仕込み、160℃まで昇温して、トルエンと共に生成する水を除去した後、3時間保持し、室温まで冷却することでイミド化物を含有する溶液を得た。
[0079]
 得られたイミド化物を含有する溶液に、ジイソシアネート化合物(e)としての、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート6.90g(0.033mol)およびジシクロヘキシルメタンジイソシアネート8.61g(0.033mol)を仕込み、160℃の温度で32時間保持して、シクロヘキサノン36.8gで希釈することでポリアミドイミド樹脂を含有する溶液(A-2)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂の質量平均分子量Mwは5840、固形分は40.4質量%、酸価は62mgKOH/g、ダイマージアミン(a)の含有量は40.1質量%であった。
[0080]
(合成例3)
 窒素ガス導入管、温度計、撹拌機を備えた四口の300mLフラスコに、ダイマージアミン(a)としての炭素数36のダイマー酸に由来する脂肪族ジアミン(クローダジャパン社製、製品名PRIAMINE1075)29.49g(0.054mol)、カルボキシル基含有ジアミン(b)としての3,5-ジアミノ安息香酸4.02g(0.026mol)、γ-ブチロラクトン75.0gを室温で仕込み溶解した。
[0081]
 次いで、シクロへキサン-1,2,4-トリカルボン酸無水物(c)33.29g(0.168mol)を仕込み、室温で30分保持した。さらにトルエン30gを仕込み、160℃まで昇温して、トルエンと共に生成する水を除去した後、3時間保持し、室温まで冷却することでイミド化物を含有する溶液を得た。
[0082]
 得られたイミド化物を含有する溶液に、ジイソシアネート化合物(e)としてのジシクロヘキシルメタンジイソシアネート16.79g(0.064mol)を仕込み、160℃の温度で32時間保持して、シクロヘキサノン37.5gで希釈することでポリアミドイミド樹脂を含有する溶液(A-3)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量Mwは6430、固形分は41.2質量%、酸価は63mgKOH/g、ダイマージアミン(a)の含有量は39.3重量%であった。
[0083]
(比較例合成例1)
 攪拌装置、温度計およびコンデンサーを付けたフラスコに、GBL(ガンマブチロラクトン)848.8gとMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)57.5g(0.23モル)、DMBPDI(4,4’-ジイソシアネート-3,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル)59.4g(0.225モル)とTMA(無水トリメリット酸)67.2g(0.35モル)とTMA-H(シクロヘキサン-1,3,4-トリカルボン酸-3,4-無水物)29.7g(0.15モル)を仕込み、攪拌を行いながら発熱に注意して80℃に昇温し、この温度で1時間かけて溶解、反応させ、更に2時間かけて160℃まで昇温した後、この温度で5時間反応させた。反応は炭酸ガスの発泡とともに進行し、系内は茶色の透明液体となった。25℃での粘度が7Pa・sの樹脂固形分17%で溶液酸価が5.3(KOHmg/g)のポリアミドイミド樹脂(A1)の溶液(樹脂がγ-ブチロラクトンに溶解した樹脂組成物)を得た。尚、樹脂の固形分酸価は31.2(KOHmg/g)であった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定の結果、重量平均分子量34000であった。
[0084]
(実施例1~5,比較例1~3)
 下記表中に記載の配合に従って、実施例および比較例に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練し、感光性熱硬化性樹脂組成物を調製した。なお、表中の配合量の値は、特に断りがない限り、固形分の質量部を示す。
[0085]
<最適露光量>
 銅厚70μm、ポリイミド50μmの回路パターン基板を硫酸過水によりマイクロエッチングを行い、水洗、乾燥した後、各感光性熱硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。水銀ショートアークランプ搭載の露光装置(EXP-2960)を用いてステップタブレット(Kodak No.2)を介して露光し、現像(30℃、0.2MPa、1wt%Na CO 水溶液)を60秒で行った際残存するステップタブレットのパターンが7段の時を最適露光量とした。
[0086]
<回路隠蔽性>
 銅回路/スペースが300μm/300μm、銅回路厚が70μm、ポリイミド基材厚が50μmの回路パターン基板を用意し、硫酸過水によるマイクロエッチング後、水洗、乾燥を行った。実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、スクリーン印刷法により塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させる。乾燥後、水銀ショートアークランプ搭載の露光装置(EXP-2960)を用いて各感光性熱硬化性樹脂組成物の最適露光量にて全面露光を行った。露光後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液によって現像を行い、150℃×60分の熱硬化をすることにより硬化塗膜を得た。
 得られた硬化塗膜で覆われた回路基板の外観を確認し、隠蔽性を以下の指標で評価した。
A:銅回路、エッジの外観が均一であり銅の色が透けて見えない。
B:回路上の膜厚違いによる外観ムラが確認される。
C:回路エッジ部分が透けており、欠点のように見える。
[0087]
 <解像性>
 銅回路/スペースが300μm/300μm、銅回路厚が70μm、ポリイミド基材厚が50μmの回路パターン基板を用意し、硫酸過水によるマイクロエッチング後、水洗、乾燥を行った。実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、スクリーン印刷法により塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させる。乾燥後、水銀ショートアークランプ搭載の露光装置(EXP-2960)を用いて露光した。露光パターンは前記基板のスペース部に100/120/150/μmのラインを形成できるネガマスクを使用した。露光量は各感光性熱硬化性樹脂組成物の最適露光量を照射した。露光後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液によって現像を行ってパターンを描き、150℃×60分の熱硬化をすることにより硬化塗膜を得た。
 得られたソルダーレジスト用感光性樹脂組成物の硬化塗膜の最小残存ラインを200倍に調整した光学顕微鏡を用いて求めた。
A:銅回路間に100μmのソルダーダムが形成されているもの。
B:銅回路間に120μmのソルダーダムが形成されているもの。
C:銅回路間に150μmのソルダーダムが形成されているもの。
[0088]
<絶縁信頼性>
 銅回路/スペースが100μm/100μm、銅回路厚が70μm、ポリイミド基材厚が50μmの絶縁信頼性評価用くし形回路パターン基板を用意し、硫酸過水によるマイクロエッチング後、水洗、乾燥を行った。実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、スクリーン印刷法により塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させる。乾燥後、水銀ショートアークランプ搭載の露光装置(EXP-2960)を用いて各感光性熱硬化性樹脂組成物の最適露光量にて全面露光を行った。露光後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液によって現像を行い、150℃×60分の熱硬化をすることにより硬化塗膜を得た。
 得られた絶縁信頼性評価用基板を85℃、85RH%環境下で100Vの電圧を加え、1000時間後の絶縁信頼性を以下の指標で確認した。
A:1000時間経過後においてマイグレーション、ショートの発生無し。
B:1000時間経過後にショートはないが、マイグレーションの発生あり。
C:1000時間後にショート発生。
[0089]
<はんだ耐熱性>
 銅厚70μm、ポリイミド厚50μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥してから、各感光性熱硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。乾燥後、水銀ショートアークランプ搭載の露光装置(EXP-2960)を用いて各感光性熱硬化性樹脂組成物の最適露光量にてパターン露光を行った。露光後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液によって現像を行い、150℃×60分の熱硬化をすることにより硬化塗膜を得た。
 得られた評価基板に対してロジン系フラックスを塗布し、予め260℃に設定したはんだ槽に10秒間浸漬し、変性アルコールでフラックスを洗浄した後、テープピール試験によりレジスト層の膨れ・剥がれについて評価した。判定基準は以下のとおりである。
A:10秒間浸漬を2回繰り返し、セロハンテープでピール試験を行っても剥がれ認められない。
B:10秒間浸漬を1回行い、セロハンテープでピール試験を行っても剥がれが認められない。
C:10秒間浸漬を行うとレジスト層に膨れ、剥がれがある。
[0090]
<屈曲性試験(クラックの有無)>
 ポリイミド厚25μm、銅厚18μmからなる回路パターン基板を用意し、メック社製のCZ-8100を使用して、前処理を行った。この回路パターン基板上に、各感光性熱硬化性樹脂組成物を、スクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/30分にて乾燥し、感光性熱硬化性樹脂組成物からなる被膜を形成した。
[0091]
 上記で得られた被膜を備える基板に対し、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて500mJ/cm で全面露光した。その後、実施例1~5および比較例1,2および3については90℃で30分間PEB工程を行ってから、30℃の1質量%Na CO 水溶液を用いて、スプレー圧2kg/cm の条件で5分間現像を行った。その後に熱風循環式乾燥炉にて150℃で60分の硬化を行い、感光性熱硬化性樹脂組成物の硬化被膜を備える基板を作製した。
[0092]
 得られた基板を約50mm×約200mmに切断し、円筒型マンドレル試験機(BYKガードナー社,No.5710)を用いて、屈曲性評価を行った。樹脂組成物を塗布した面を外側に配置し、直径2mmの芯棒を中心に屈曲させて、クラック発生の有無を評価した。
 その評価結果を下記の表1中に併せて示す。
[0093]
[表1]


[0094]
 上記表1に示した成分における注釈*1~13は、次の物を示す。
*1)PAI-1:合成例1のポリアミドイミド樹脂
*2)PAI-2:合成例2のポリアミドイミド樹脂
*3)PAI-3:合成例3のポリアミドイミド樹脂
*4)PAI-4:比較合成例1のポリアミドイミド樹脂
*5)PCR-1170H:カルボキシル基含有変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製),酸価64mgKOH/g,COOH当量890
*6)M-350:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(東亞合成(株)製)
*7)6MX75:エポキシアクリレート(Double bond社製 Doublemer 6MX75)
*8)828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂,エポキシ当量190(三菱化学(株)製)
*9)IRGACURE 907:アルキルフェノン系光重合開始剤(BASF社製)
*10)DETX-S:ジエチルチオキサントン(日本化薬製)
*11)IRGACURE OXE02:オキシム系光重合開始剤(BASF社製)
*12)C.I.Pigment Blue 15:3
*13)C.I.Pigment Yellow147
[0095]
 上記表1中に示す評価結果から明らかであるように、各実施例の樹脂組成物において使用した(A)ポリアミドイミド樹脂PAI-1~PAI-3、(B)~(D)成分を組み合わせることにより、良好な解像性を有し、硬化後の屈折率変化に伴い優れた回路隠蔽性を得られている。
[0096]
 一方、比較例1より、本発明の要件を満足しないポリアミドイミド樹脂PAI-4はダイマー酸由来の脂肪族ユニットを有しないものであり、耐熱性、絶縁信頼性に優れる一方で、回路隠蔽性、屈曲性に劣ることがわかる。比較例2、3からは特定のポリアミドイミド樹脂を使用していない、カルボキシル基含有エポキシアクリレート樹脂を用いた組成物では、耐熱性、絶縁信頼性が劣ること、また回路隠蔽性を着色剤で発現させることにより解像性とトレードオフになることがわかる。

請求の範囲

[請求項1]
 (A)アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂、
 (B)不飽和二重結合およびカルボキシル基を有する樹脂、
 (C)熱硬化性環状エーテル基含有化合物、および、
 (D)光重合開始剤、
を含み、前記(A)アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂が、下記一般式(1)で示される構造および下記一般式(2)で示される構造を有するポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする感光性熱硬化性樹脂組成物。


(X は炭素数が24~48のダイマー酸由来の脂肪族ジアミン(a)の残基、X はカルボキシル基を有する芳香族ジアミン(b)の残基、Yはそれぞれ独立にシクロヘキサン環または芳香環である。)
[請求項2]
 前記(A)ポリアミドイミド樹脂の質量平均分子量Mwが20,000以下である請求項1記載の感光性熱硬化性樹脂組成物。
[請求項3]
 前記(D)光重合開始剤が、光塩基発生剤としても機能する光重合開始剤を含む請求項1記載の感光性熱硬化性樹脂組成物。
[請求項4]
 請求項1記載の感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
[請求項5]
 請求項1~3のうちいずれか一項記載の感光性熱硬化性樹脂組成物、または、請求項4記載のドライフィルムを用いて形成される硬化物を備えることを特徴とするプリント配線板。