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1. WO2020110658 - CONTROL DEVICE AND CONTROL METHOD FOR CONTINUOUSLY VARIABLE TRANSMISSION

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明 細 書

発明の名称 無段変速機の制御装置および制御方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

0006   0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : 無段変速機の制御装置および制御方法

技術分野

[0001]
 本発明は、車両に搭載される無段変速機の制御装置および制御方法に関する。

背景技術

[0002]
 従来、自動変速機のタービンセンサが故障した場合でも、入力回転数を推定計算して制御を続けられるパワートレイン制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来装置は、通常時はタービンセンサを用いて高精度の変速制御やライン圧制御を行い、タービンセンサの故障時にはタービンセンサ以外の入力情報を用いてタービン回転数を推定計算する。変速中でない場合には車速信号とギア比から自動変速機の入力回転数を計算して求める。変速中の場合にはエンジントルクマップ特性を利用して、トルクコンバータの入力トルク(ポンプトルク)を求め、さらに、自動変速機の入力トルク、自動変速機の入力回転数を推定して求める。ここで変速開始時に補機トルク値を学習して補機トルク分を修正するとともに、エンジンの慣性モーメントによるトルクを補正して、自動変速機の入力回転数、自動変速機の入力トルクの高精度推定を行う。
[0003]
 しかし、ベルト式無段変速機のレイアウトによっては、タービン回転センサを取り付けらず、前後進切替機構のドラムにドラム回転センサを設け、ドラム回転センサとプライマリプーリ回転センサの検出値に基づいて、タービンの回転数を推定する場合がある。このようなベルト式無段変速機では、プライマリ回転数が不明だと変速比も不明になるので、変速比に基づくプライマリ回転数の推定ができなくなり、タービン回転数が推定できなくなる。
[0004]
 本発明は、ドラム回転センサの検出値又はプライマリ回転センサの検出値が不明な場合、推定によるタービン回転情報の取得を確保することを目的とする。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開平9-2106号公報

発明の概要

[0006]
 本発明は、トルクコンバータと、前後進切替機構と、無段変速機構と、変速機コントローラと、を備え、変速機コントローラは、前後進切替機構へ入力されるタービン回転数情報を用いる制御を実行する無段変速機の制御装置であって、
 トルクコンバータのタービンランナと遊星歯車のサンギアとを連結するタービン回転軸と、
 前進クラッチを介して連結された遊星歯車のキャリヤとリングギアと、
 リングギアと連結するドラムメンバの回転数を検出するドラム回転センサと、
 遊星歯車のキャリヤとプライマリプーリとを連結するプライマリ回転軸の回転数を検出するプライマリ回転センサと、
 ドラム回転センサとプライマリ回転センサの検出値に基づいてタービン回転軸のタービン回転推定値を計算するタービン回転推定手段と、を有し、
 タービン回転推定手段は、ドラム回転センサの検出値又はプライマリ回転センサの検出値が不明な場合、走行/停車状態、前進クラッチと後退ブレーキの締結/解放状態、無段変速機構の変速比のうち、少なくとも二つを用いて、不明な検出値の回転数を推定し、該推定された回転推定値と、他方のセンサ検出値とによってタービン回転推定値を計算する。
[0007]
 このため、ドラム回転センサの検出値又はプライマリ回転センサの検出値が不明な場合、推定によるタービン回転情報の取得を確保することができる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 実施例の無段変速機の制御装置が適用されたエンジン車の駆動系と制御系を示す全体システム図である。
[図2] 自動変速モードでの無段変速制御をバリエータにより実行する際に用いられるDレンジ無段変速スケジュールの一例を示す変速スケジュール図である。
[図3] CVTコントロールユニットにおいてタービン回転数情報を用いる制御が実行される実施例の制御装置を示す概要構成図である。
[図4] CVTコントロールユニットのタービン回転推定部にて実行されるタービン回転推定値計算処理の流れを示すフローチャートである。
[図5] ドラム回転センサとプライマリ回転センサの異常判定を禁止するシーンを示す前後進切替機構の共線図である。
[図6] 比較例の前後進切替機構における遊星歯車・前進クラッチ・後退ブレーキ・タービン回転センサ・プライマリ回転センサを示す図である。
[図7] ドラム回転センサの検出値とプライマリ回転センサの検出値が共に使える場合のタービン回転推定値の計算処理を示す前後進切替機構の共線図である。
[図8] 前進クラッチ(FWD/C)の締結走行中にドラム回転センサの検出値又はプライマリ回転センサの検出値が不明である場合のタービン回転推定値の計算処理を示す前後進切替機構の共線図である。
[図9] 後退ブレーキ(REV/B)の締結走行中にドラム回転センサの検出値又はプライマリ回転センサの検出値が不明である場合のタービン回転推定値の計算処理を示す前後進切替機構の共線図である。
[図10] 前進クラッチ(FWD/C)及び後退ブレーキ(REV/B)の解放走行中にドラム回転センサの検出値又はプライマリ回転センサの検出値が不明である場合のタービン回転推定値の計算処理を示す前後進切替機構の共線図である。
[図11] 前進クラッチ(FWD/C)の締結停車中にドラム回転センサの検出値又はプライマリ回転センサの検出値が不明である場合のタービン回転推定値の計算処理を示す前後進切替機構の共線図である。
[図12] 後退ブレーキ(REV/B)の締結停車中にドラム回転センサの検出値又はプライマリ回転センサの検出値が不明である場合のタービン回転推定値の計算処理を示す前後進切替機構の共線図である。
[図13] 前進クラッチ(FWD/C)及び後退ブレーキ(REV/B)の解放停車中にドラム回転センサの検出値又はプライマリ回転センサの検出値が不明である場合のタービン回転推定値の計算処理を示す前後進切替機構の共線図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下、本発明の無段変速機の制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
[0010]
 実施例における制御装置は、トルクコンバータと前後進切替機構とバリエータと終減速機構により構成されるベルト式無段変速機を搭載した小型エンジン車に適用したものである。以下、実施例の構成を、「全体システム構成」、「制御装置の構成」、「タービン回転推定値計算処理構成」に分けて説明する。
[0011]
 [全体システム構成]
 図1は、実施例の無段変速機の制御装置が適用されたエンジン車の駆動系と制御系を示す。以下、図1に基づいて、全体システム構成を説明する。
[0012]
 エンジン車の駆動系は、図1に示すように、エンジン1と、トルクコンバータ2と、前後進切替機構3と、バリエータ4と、終減速機構5と、駆動輪6,6と、を備えている。ここで、ベルト式無段変速機CVTは、トルクコンバータ2と前後進切替機構3とバリエータ4と終減速機構5を図外の変速機ケースに内蔵することにより構成される。
[0013]
 エンジン1は、ドライバーによるアクセル操作による出力トルクの制御以外に、外部からのエンジン制御信号により出力トルクを制御可能である。このエンジン1には、スロットルバルブ開閉動作や燃料カット動作等によりトルク制御を行う出力トルク制御アクチュエータ10を有する。例えば、アクセル足離し操作によるコースト走行時、燃料カット制御が実行される。
[0014]
 トルクコンバータ2は、トルク増幅機能やトルク変動吸収機能を有する流体継手による発進要素である。トルク増幅機能やトルク変動吸収機能を必要としないとき、エンジン出力軸11(=トルクコンバータ入力軸)とタービン回転軸21(=トルクコンバータ出力軸)21を直結可能なロックアップクラッチ20を有する。このトルクコンバータ2は、ポンプインペラ23と、タービンランナ24と、ステータ26と、を構成要素とする。ポンプインペラ23は、エンジン出力軸11にコンバータハウジング22を介して連結される。タービンランナ24は、タービン回転軸21に連結される。ステータ26は、変速機ケースにワンウェイクラッチ25を介して設けられる。
[0015]
 前後進切替機構3は、バリエータ4への入力回転方向を前進走行時の正転方向と後退走行時の逆転方向で切り替える機構である。この前後進切替機構3は、ダブルピニオン式遊星歯車30と、複数枚のクラッチプレートによる前進クラッチ31と、複数枚のブレーキプレートによる後退ブレーキ32と、を有する。前進クラッチ31は、Dレンジ等の前進走行レンジ選択時に前進クラッチ圧Pfcにより油圧締結される。後退ブレーキ32は、Rレンジ等の後退走行レンジ選択時に後退ブレーキ圧Prbにより油圧締結される。なお、前進クラッチ31と後退ブレーキ32は、Nレンジ(ニュートラルレンジ)の選択時には、前進クラッチ圧Pfcと後退ブレーキ圧Prbをドレーンすることでいずれも解放される。
[0016]
 バリエータ4は、プライマリプーリ42と、セカンダリプーリ43と、ベルト44と、を有し、ベルト接触径の変化により変速比(バリエータ入力回転とバリエータ出力回転の比)を無段階に変化させる無段変速機構能を備える。プライマリプーリ42は、プライマリ回転軸40(=バリエータ入力軸)の同軸上に配された固定プーリ42aとスライドプーリ42bにより構成され、スライドプーリ42bはプライマリ圧室45に導かれるプライマリ圧Ppriによりスライド動作する。セカンダリプーリ43は、セカンダリ回転軸41(=バリエータ出力軸)の同軸上に配された固定プーリ43aとスライドプーリ43bにより構成され、スライドプーリ43bはセカンダリ圧室46に導かれるセカンダリ圧Psecによりスライド動作する。ベルト44は、プライマリプーリ42のV字形状をなすシーブ面と、セカンダリプーリ43のV字形状をなすシーブ面とに掛け渡されている。このベルト44は、環状リングを内から外へ多数重ね合わせた2組の積層リングと、打ち抜き板材により形成され、2組の積層リングに沿って挟み込みにより環状に積層して取り付けられた多数のエレメントと、により構成されている。なお、ベルト44としては、プーリ進行方向に多数配列したチェーンエレメントを、プーリ軸方向に貫通するピンにより結合したチェーンタイプのベルトであっても良い。
[0017]
 終減速機構5は、セカンダリ回転軸41からのセカンダリ出力回転を減速すると共に差動機能を与えて左右の駆動輪6,6に伝達する機構である。この終減速機構5は、減速ギア機構として、セカンダリ回転軸41に設けられたアウトプットギア52と、アイドラ軸50に設けられたアイドラギア53及びリダクションギア54と、デフケースの外周位置に設けられたファイナルギア55と、を有する。そして、差動ギア機構として、左右のドライブ軸51,51に介装されたディファレンシャルギア56を有する。
[0018]
 エンジン車の制御系は、図1に示すように、油圧制御ユニット7と、CVTコントロールユニット8(略称「CVTCU」)と、エンジンコントロールユニット9(略称「ECU」)と、を備えている。電子制御系であるCVTコントロールユニット8とエンジンコントロールユニット9は、互いの情報を交換可能なCAN通信線13により接続されている。
[0019]
 油圧制御ユニット7は、プライマリ圧室45に導かれるプライマリ圧Ppri、セカンダリ圧室46に導かれるセカンダリ圧Psec、前進クラッチ31への前進クラッチ圧Pfc、後退ブレーキ32への後退ブレーキ圧Prb、等を調圧するユニットである。この油圧制御ユニット7は、エンジン1により回転駆動されるオイルポンプ70と、オイルポンプ70からの吐出圧に基づいて各種の制御圧を調圧する油圧制御回路71と、を備える。なお、オイルポンプとしては、オイルポンプ70と電動オイルポンプとを併用しても良い。油圧制御回路71には、ライン圧ソレノイド弁72と、プライマリ圧ソレノイド弁73と、セカンダリ圧ソレノイド弁74と、セレクトソレノイド弁75と、ロックアップ圧ソレノイド弁76と、を有する。なお、各ソレノイド弁72,73,74,75,76は、CVTコントロールユニット8から出力される制御指令値(指示電流)によって調圧動作を行う。
[0020]
 ライン圧ソレノイド弁72は、CVTコントロールユニット8から出力されるライン圧指令値に応じ、オイルポンプ70からの吐出圧を、指令されたライン圧PLに調圧する。このライン圧PLは、各種の制御圧を調圧する際の元圧であり、駆動系を伝達するトルクに対してベルト滑りやクラッチ滑りを抑える油圧とされる。
[0021]
 プライマリ圧ソレノイド弁73は、CVTコントロールユニット8から出力されるプライマリ圧指令値に応じ、ライン圧PLを元圧として指令されたプライマリ圧Ppriに減圧調整する。セカンダリ圧ソレノイド弁74は、CVTコントロールユニット8から出力されるセカンダリ圧指令値に応じ、ライン圧PLを元圧として指令されたセカンダリ圧Psecに減圧調整する。
[0022]
 セレクトソレノイド弁75は、CVTコントロールユニット8から出力される前進クラッチ圧指令値又は後退ブレーキ圧指令値に応じ、ライン圧PLを元圧として指令された前進クラッチ圧Pfc又は後退ブレーキ圧Prbに減圧調整する。
[0023]
 ロックアップ圧ソレノイド弁76は、CVTコントロールユニット8から出力される指示電流Aluに応じ、ロックアップクラッチ20を締結/スリップ締結/解放するLU指示圧Pluに調圧する。
[0024]
 CVTコントロールユニット8は、ライン圧制御や変速制御や前後進切替制御やロックアップ制御、等を行う。ライン圧制御では、アクセル開度等に応じた目標ライン圧を得る指令値をライン圧ソレノイド弁72に出力する。変速制御では、目標変速比(目標プライマリ回転NPRI*)を決めると、決めた目標変速比(目標プライマリ回転NPRI*)を得る指令値をプライマリ圧ソレノイド弁73及びセカンダリ圧ソレノイド弁74に出力する。前後進切替制御では、選択されているレンジ位置に応じて前進クラッチ31と後退ブレーキ32の締結/解放を制御する指令値をセレクトソレノイド弁75に出力する。ロックアップ制御では、ロックアップクラッチ20を締結/スリップ締結/解放するLU指示圧Pluを制御する指示電流Aluをロックアップ圧ソレノイド弁76に出力する。
[0025]
 CVTコントロールユニット8には、プライマリ回転センサ90、車速センサ91、セカンダリ圧センサ92、油温センサ93、インヒビタスイッチ94、ブレーキスイッチ95、ドラム回転センサ96からのセンサ情報やスイッチ情報が入力される。さらに、セカンダリ回転センサ97、プライマリ圧センサ98、車輪速センサ99等からのセンサ情報が入力される。
[0026]
 エンジンコントロールユニット9には、エンジン回転センサ12、アクセル開度センサ14、等からのセンサ情報が入力される。CVTコントロールユニット8は、エンジン回転情報やアクセル開度情報をエンジンコントロールユニット9へリクエストすると、CAN通信線13を介し、エンジン回転数NENGやアクセル開度APOの情報を受け取る。また、エンジントルク情報をエンジンコントロールユニット9へリクエストすると、CAN通信線13を介し、推定エンジントルクTeの情報を受け取る。CVTコントロールユニット8からエンジンコントロールユニット9へエンジントルク制限要求を出力すると、エンジンコントロールユニット9は、吸気量制御や点火時期リタード制御により要求に応じてエンジン1の上限トルクを制限する。
[0027]
 図2は、Dレンジ選択時に自動変速モードでの無段変速制御をバリエータ4により実行する際に用いられるDレンジ無段変速スケジュールの一例を示す。
[0028]
 「Dレンジ変速モード」は、車両運転状態に応じて変速比を自動的に無段階に変更する自動変速モードである。「Dレンジ変速モード」での変速制御は、車速VSP(車速センサ91)とアクセル開度APO(アクセル開度センサ14)により特定される図2のDレンジ無段変速スケジュール上での運転点(VSP,APO)により、目標プライマリ回転数NPRI*を決める。そして、プライマリ回転センサ90からの実プライマリ回転数NPRIを、目標プライマリ回転数NPRI*に一致させるプーリ油圧のフィードバック制御により行われる。なお、変速比は、Dレンジ無段変速スケジュールの最Low変速比線や最High変速比線から明らかなように、ゼロ運転点から引かれる変速比線の傾きであらわされる。よって、運転点(VSP,APO)により目標プライマリ回転数NPRI*を決めることは、バリエータ4の目標変速比を決めることになる。
[0029]
 即ち、「Dレンジ変速モード」で用いられるDレンジ無段変速スケジュールは、図2に示すように、運転点(VSP,APO)に応じて最Low変速比と最High変速比による変速比幅の範囲内で変速比を無段階に変更するように設定されている。例えば、車速VSPが一定のときは、アクセル踏み込み操作を行うと目標プライマリ回転数NPRI*が上昇してダウンシフト方向に変速し、アクセル戻し操作を行うと目標プライマリ回転数NPRI*が低下してアップシフト方向に変速する。アクセル開度APOが一定のときは、車速VSPが上昇するとアップシフト方向に変速し、車速VSPが低下するとダウンシフト方向に変速する。
[0030]
 [制御装置の構成]
 図3は、CVTコントロールユニット8においてタービン回転数情報を用いる制御が実行される実施例の制御装置を示す。以下、図3に基づいて制御装置の概要構成を説明する。
[0031]
 実施例の制御装置が適用される駆動系は、図3に示すように、エンジン1(走行用駆動源)と、トルクコンバータ2と、前後進切替機構3と、バリエータ4(無段変速機構)と、終減速機構5と、駆動輪6と、を備えている。
[0032]
 実施例の制御装置が適用される制御系は、図3に示すように、CVTコントロールユニット8(変速機コントローラ)と、エンジンコントロールユニット9と、プライマリ圧ソレノイド弁73と、セカンダリ圧ソレノイド弁74と、セレクトソレノイド弁75と、を備えている。CVTコントロールユニット8とエンジンコントロールユニット9は、CAN通信線13により接続される。CVTコントロールユニット8には、プライマリ回転センサ90、車速センサ91、ドラム回転センサ96、セカンダリ回転センサ97等からの情報が入力される。エンジンコントロールユニット9には、エンジン回転センサ12、アクセル開度センサ14、等からの情報が入力される。
[0033]
 CVTコントロールユニット8は、タービン回転数情報を用いる制御として、例えば、ロックアップ制御、セレクト制御、アイドルストップ制御/コーストストップ制御、自己診断機能、等の多くの基本制御/機能で、タービン回転数情報を参照している。
[0034]
 前後進切替機構3は、トルクコンバータ2とバリエータ4との間に介装配置され、ダブルピニオン式遊星歯車30(遊星歯車)と前進クラッチ31と後退ブレーキ32とを有する。そして、ダブルピニオン式遊星歯車30は、共線図において直線特性線により回転数関係が規定される3つの回転メンバとして、サンギアSとキャリヤCとリングギアRとを有する。この前後進切替機構3は、タービン回転軸21と、ドラム回転センサ96と、プライマリ回転センサ90と、を備える。
[0035]
 タービン回転軸21は、トルクコンバータ2のタービンランナ24とダブルピニオン式遊星歯車30のサンギアSとを連結する。ここで、タービン回転軸21の回転数がタービン回転数NTBNである。なお、エンジン1とトルクコンバータ2のポンプインペラ23を連結するエンジン出力軸11の回転数がエンジン回転数NENGである。
[0036]
 ドラム回転センサ96は、ダブルピニオン式遊星歯車30のキャリヤCとリングギアRとを前進クラッチ31を介して連結するドラムメンバ33の回転を検出する。ドラム回転センサ96は、タービン回転軸21の回転を検出する“タービン回転センサ”がレイアウト上で配置できない代わりに、ドラムメンバ33(=リングギアR)の回転を検出する。なお、ドラムメンバ33(=リングギアR)の回転数がドラム回転数NDRUMである。後退ブレーキ32は、ダブルピニオン式遊星歯車30のリングギアRと変速機ケースの間に配置される。
[0037]
 プライマリ回転センサ90は、ダブルピニオン式遊星歯車30のキャリヤCとプライマリプーリ42とを連結するプライマリ回転軸40の回転を検出する。ここで、プライマリ回転軸40の回転数がプライマリ回転数NPRIである。なお、セカンダリプーリ43に連結されるセカンダリ回転軸41の回転数がセカンダリ回転数NSECである。
[0038]
 CVTコントロールユニット8には、ドラム回転センサ96とプライマリ回転センサ90の検出値に基づいてタービン回転軸21のタービン回転推定値NTBN’を計算するタービン回転推定部80(タービン回転推定手段)を有する。つまり、“タービン回転センサ”を設けていないため、タービン回転数情報は、タービン回転センサからの検出値に代え、ドラム回転センサ96とプライマリ回転センサ90の検出値に基づいて推定計算されるタービン回転推定値NTBN’を用いている。
[0039]
 タービン回転推定部80は、ドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明な場合、不明な一方の回転推定値と、他方のセンサ検出値とによってタービン回転推定値NTBN’を計算する。このとき、回転推定値は、走行/停車状態、前進クラッチ31と後退ブレーキ32の締結/解放状態、バリエータ4の変速比のうち、少なくとも二つを用いて推定する。
[0040]
 タービン回転推定値NTBN’の計算をする際、走行中においては、前進クラッチ31の締結シーンと、後退ブレーキ32の締結シーンと、前進クラッチ31及び後退ブレーキ32の解放シーンと、に分ける。そして、停車中においても、前進クラッチ31の締結シーンと、後退ブレーキ32の締結シーンと、前進クラッチ31及び後退ブレーキ32の解放シーンと、に分ける。
[0041]
 つまり、タービン回転推定値NTBN’は、6つのシーンのそれぞれに分け、その上で、各シーンについて、ドラム回転センサ96の検出値が不明な場合と、プライマリ回転センサ90の検出値が不明な場合とに分けて計算される。なお、前進クラッチ31と後退ブレーキ32の締結→解放の過渡シーン、又は、解放→締結の過渡シーンについては、レンジ位置に応じて3つのシーンでのタービン回転数情報を切り替えることで対応する。さらに、前進クラッチ31及び後退ブレーキ32の解放シーンであって共線図にて回転拘束条件が決まらないときには、タービン回転推定値NTBN’を計算することなく、例えば、タービン回転推定値NTBN’=エンジン回転数NENGというように、タービン回転推定値NTBN’をみなし推定する。
[0042]
 [タービン回転推定値計算処理構成]
 図4は、実施例のCVTコントロールユニット8のタービン回転推定部80にて実行されるタービン回転推定値計算処理の流れを示す。以下、図4の各ステップについて説明する。
[0043]
 S1では、スタート、又は、S1でのNO判断、又は、S2でのNO判断に続き、前提条件成立か否かを判断する。YES(前提条件成立)の場合はS2へ進み、NO(前提条件不成立)の場合はS1の判断を繰り返す。
[0044]
 ここで、「前提条件」とは、エンジン回転数NENGの検出条件とソフトスイッチの入力条件である。なお、自己診断機能OBD(On-Board Diagnostics)の正常判定の前提条件も同じである。
[0045]
 S2では、S1でのYES判断に続き、センサ異常判定禁止シーン以外であるか否かを判断する。YES(センサ異常判定禁止シーン以外)の場合はS3へ進み、NO(センサ異常判定禁止シーン)の場合はS1へ戻る。
[0046]
 ここで、「センサ異常判定禁止シーン」とは、正常時でもドラム回転センサ96によりドラム回転数NDRUMを検出しないシーン、又は、ドラム回転数NDRUMが低回転、かつ、プライマリ回転数NPRIが低回転のシーンをいう。
[0047]
 「センサ異常判定禁止シーン」の具体的シーンは、下記の(1)~(7)のシーンであり、図5に示す(1)~(7)に対応する。なお、前進クラッチ31を「FWD/C」、後退ブレーキ32を「REV/B」という。
(1) FWD/C締結またはREV/B締結で停車、アイドルストップ中(但し、プライマリ回転も検出しないので検知領域外)。
(2) REV/B締結で前進中。
(3) REV/B締結で後進中、REV/B非締結で後進中。
(4) REV/B非締結で後進中。
(5) REV/B非締結で後進中。
(6) REV/B非締結で前進中(最悪条件のエンジンストールでタービン回転数が0rpmの時、遊星では検知領域外になる)。
(7) REV/B非締結でタービン回転数が逆回転(エンジン1は逆回転しない)。
[0048]
 S3では、S2でのYES判断に続き、ドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明であるか否かを判断する。YES(一方の検出値が不明)の場合はS5へ進み、NO(両検出値が明らかである)の場合はS4へ進む。
[0049]
 ここで、センサ検出値が不明かどうかの判断は、ドラム回転センサ96とプライマリ回転センサ90のそれぞれについて断線異常の判定を行い、回転しているにもかかわらず回転数ゼロを出力し続ける断線異常が判定されると、センサ検出値が不明と扱う。
[0050]
 S4では、S3でのNO判断に続き、ドラム回転センサ96からのドラム回転数NDRUMと、プライマリ回転センサ90からのプライマリ回転数NPRIと、共線図の回転数関係によりタービン回転推定値NTBN’を計算し、リターンへ進む。
[0051]
 ここで、ダブルピニオン式遊星歯車30の場合、サンギアSとキャリヤCとリングギアRのうち2つの回転メンバの回転数が分かると、残りの1つの回転メンバの回転数は決まる。よって、ドラム回転数NDRUM(=リングギアRの回転数)とプライマリ回転数NPRI(=キャリヤCの回転数)がセンサ値により明らかであると、タービン回転推定値NTBN’(=サンギアSの回転数)は、両回転数NDRUM,NPRIと歯数比αにより計算される。
[0052]
 S5では、S3でのYES判断に続き、走行中であるか否かを判断する。YES(走行中)の場合はS6へ進み、NO(停車中)の場合はS11へ進む。
[0053]
 ここで、走行中であるか停車中であるかどうかは、セカンダリ回転センサ97からのセンサ検出値により判断される。具体的には、セカンダリ回転数NSECを車速VSPに換算したとき、車速VSPが停車判定閾値VSP1以上であると走行中と判断され、車速VSPが停車判定閾値VSP1未満であると停車中と判断される。
[0054]
 S6では、S5でのYES判断に続き、前進クラッチ31が締結状態であるか否かを判断する。YES(FWD/C締結走行中)の場合はS8へ進み、NO(FWD/C解放走行中)の場合はS7へ進む。ここで、前進クラッチ31の締結状態は、例えば、セレクトレンジ位置が前進走行レンジであるDレンジやLレンジやSレンジ等であることで判断する。
[0055]
 S7では、S6でのNO判断に続き、後退ブレーキ32が締結状態であるか否かを判断する。YES(REV/B締結走行中)の場合はS9へ進み、NO(FWD/C及びREV/B解放走行中)の場合はS10へ進む。ここで、後退ブレーキ32の締結状態は、例えば、セレクトレンジ位置が後退走行レンジであるRレンジであることで判断する。
[0056]
 S8では、S6でのYES判断に続き、ドラム回転センサ96の異常によりドラム回転数NDRUMが不明なとき、前進クラッチ31が締結状態であるため、ドラム回転数NDRUMをプライマリ回転数NPRIに置き換え、タービン回転推定値NTBN’を計算し、リターンへ進む。プライマリ回転センサ90の異常によりプライマリ回転数NPRIが不明なとき、前進クラッチ31が締結状態であるため、プライマリ回転数NPRIをドラム回転数NDRUMに置き換え、タービン回転推定値NTBN’を計算し、リターンへ進む。
[0057]
 S9では、S7でのYES判断に続き、ドラム回転センサ96の異常によりドラム回転数NDRUMが不明なとき、後退ブレーキ32が締結状態であるため、ドラム回転数NDRUMをNDRUM=0に置き換え、タービン回転推定値NTBN’を計算し、リターンへ進む。プライマリ回転センサ90の異常によりプライマリ回転数NPRIが不明なとき、後退ブレーキ32が締結状態である場合、バリエータ4の変速比は、最ロー変速比であるため、プライマリ回転数NPRIを、バリエータ4の最ロー変速比とセカンダリ回転数NSECにより推定計算する。そして、タービン回転推定値NTBN’を、プライマリ回転推定値NPRI’とリバースギヤ比(Rギヤ比)により計算し、リターンへ進む。
[0058]
 S10では、S7でのNO判断に続き、ドラム回転センサ96の異常によりドラム回転数NDRUMが不明なとき、タービン回転推定値NTBN’をエンジン回転数NENGとみなす。そして、ドラム回転数NDRUMを共線図でタービン回転推定値NTBN’(=NENG)とプライマリ回転数NPRIから算出し、リターンへ進む。プライマリ回転センサ90の異常によりプライマリ回転数NPRIが不明なとき、タービン回転推定値NTBN’をエンジン回転数NENGとみなす。そして、プライマリ回転数NPRIを共線図でタービン回転推定値NTBN’(=NENG)とドラム回転数NDRUMから算出し、リターンへ進む。なお、共線図で算出したプライマリ回転数NPRIは、セカンダリ回転数NSECとバリエータ4の最ローギヤ比から算出したプライマリ回転数上限値と、セカンダリ回転数NSECとバリエータ4の最ハイギヤ比から算出したプライマリ回転数下限値により制限する。
[0059]
 S11では、S5でのNO判断に続き、前進クラッチ31が締結状態であるか否かを判断する。YES(FWD/C締結停車中)の場合はS13へ進み、NO(FWD/C解放停車中)の場合はS12へ進む。ここで、前進クラッチ31の締結状態は、例えば、セレクトレンジ位置が前進走行レンジであるDレンジやLレンジやSレンジ等であることで判断する。
[0060]
 S12では、S11でのNO判断に続き、後退ブレーキ32が締結状態であるか否かを判断する。YES(REV/B締結停車中)の場合はS14へ進み、NO(FWD/C及びREV/B解放停車中)の場合はS15へ進む。ここで、後退ブレーキ32の締結状態は、例えば、セレクトレンジ位置が後退走行レンジであるRレンジであることで判断する。
[0061]
 S13では、S11でのYES判断に続き、ドラム回転センサ96の異常によりドラム回転数NDRUMが不明なとき、ドラム回転数NDRUMをプライマリ回転数NPRIに置き換え、タービン回転推定値NTBN’を計算し、リターンへ進む。プライマリ回転センサ90の異常によりプライマリ回転数NPRIが不明なとき、プライマリ回転数NPRIをNPRI=0(停車しているため)に置き換え、タービン回転推定値NTBN’を計算し、リターンへ進む。
[0062]
 S14では、S14でのYES判断に続き、ドラム回転センサ96の異常によりドラム回転数NDRUMが不明なとき、ドラム回転数NDRUMをNDRUM=0に置き換え、タービン回転推定値NTBN’を計算し、リターンへ進む。プライマリ回転センサ90の異常によりプライマリ回転数NPRIが不明なとき、プライマリ回転数NPRIをNPRI=0に置き換え、タービン回転推定値NTBN’を計算し、リターンへ進む。
[0063]
 S15では、S14でのNO判断に続き、ドラム回転センサ96の異常によりドラム回転数NDRUMが不明なとき、タービン回転推定値NTBN’をエンジン回転数NENGとみなす。そして、ドラム回転数NDRUMを共線図でタービン回転推定値NTBN’(=NENG)とプライマリ回転数NPRIから算出し、リターンへ進む。プライマリ回転センサ90の異常によりプライマリ回転数NPRIが不明なとき、タービン回転推定値NTBN’をエンジン回転数NENGとみなす。そして、プライマリ回転数NPRIをNPRI=0(停車しているため)とし、リターンへ進む。
[0064]
 次に、「背景技術と課題」、「課題の解決対策」を説明する。そして、実施例の作用を「正常シーンでのタービン回転推定値計算作用」、「センサ検出値が不明な走行シーンでのタービン回転推定値計算作用」、「センサ検出値が不明な停車シーンでのタービン回転推定値計算作用」に分けて説明する。
[0065]
 [背景技術と課題]
 比較例の前後進切替機構は、図6に示すように、図外のトルクコンバータとバリエータとの間に介装配置され、ダブルピニオン式遊星歯車と前進クラッチと後退ブレーキとを備えている。そして、ダブルピニオン式遊星歯車は、サンギアSとキャリヤCとリングギアRとを有する。
[0066]
 前進クラッチは、ダブルピニオン式遊星歯車のサンギアSとキャリヤCとを連結するメンバの途中位置に設けられる。後退ブレーキは、リングギアRと変速機ケースの間に配置される。タービン回転センサ(Ntセンサ)は、トルクコンバータのタービンランナとサンギアSとを連結するタービン回転軸の回転数を検出する。プライマリ回転センサ(Npriセンサ)は、キャリヤCとバリエータのプライマリプーリとを連結するプライマリ回転軸の回転を検出する。
[0067]
 即ち、図6に示す比較例の前後進切替機構の場合、前進クラッチの位置がサンギアSとキャリヤCとを連結するメンバの途中位置になっている。これに対し、図3に示す実施例の前後進切替機構3の場合、前進クラッチの位置がリングギアRとキャリヤCとを連結するドラムメンバ33の途中位置とし、コンパクトなレイアウトを狙ってトルクコンバータと前後進切替機構との設定間隔を狭くしている。
[0068]
 このように、実施例では、前進クラッチの設定位置を変更したことで、比較例の前後進切替機構に設けられていたタービン回転センサをレイアウト的に設けることができなくなった。このため、タービン回転センサに代えてドラム回転センサを設け、タービン回転数情報は、ダブルピニオン式遊星歯車の共線図による回転数関係を用いてドラム回転数とプライマリ回転数から推定する手法としている。
[0069]
 よって、タービン回転数をドラム回転数とプライマリ回転数から推定する場合、ドラム回転数とプライマリ回転数の一方のみが不明であると、共線図上で回転関係を規定する直線特性を引けない。このため、ドラム回転数とプライマリ回転数の一方のみが不明である場合、共線図による回転数関係を用いたタービン回転推定値の計算を行うことができなくなる、という課題が生じる。
[0070]
 [課題の解決対策]
 本発明者は、上記課題に対して、ハードウェアの観点からセンサ位置の変更に伴い、タービン回転数が正しく読めなくなるシーンを明確化し、ソフトウェアの観点からタービン回転数及び派生信号を参照している制御を抽出してその影響を確認した。そして、ドラム回転数とプライマリ回転数の一方のみが不明であってもタービン回転数情報を取得できるようにした。
[0071]
 即ち、ドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明な場合、走行/停車状態、前進クラッチ31と後退ブレーキ32の締結/解放状態、バリエータ4の変速比のうち、少なくとも二つを用いて、不明な検出値の回転数を推定し、該推定された回転推定値と、他方のセンサ検出値とによってタービン回転推定値NTBN’を計算する手段を採用した。
[0072]
 よって、ドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明な場合には、走行/停車状態、前進クラッチ31又は後退ブレーキ32の締結状態、バリエータ4の変速比のうち、少なくとも二つを用いてドラム回転数又はプライマリ回転数を推定することができる。つまり、走行状態では前後進切替機構3のキャリヤCの回転数が正となり、停車状態では前後進切替機構3のキャリヤCの回転数がゼロになる。前進クラッチ31の締結状態では前後進切替機構3の三要素S,C,Rが同じ回転数になる。後退ブレーキ32の締結状態では前後進切替機構3のリングギアRの回転数がゼロで、サンギアSが正で、キャリヤCが負になる。このとき、キャリヤCの回転数が、バリエータ4の変速比により推定されると、サンギアSの回転数(=タービン回転数)が決まる。
[0073]
 このため、ドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明な場合、推定によるタービン回転情報の取得を確保することができる。この結果、ドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明な場合に、多くの基本制御/機能で参照しているタービン回転数情報を用いる制御を継続することができる。具体的には、例えば、ロックアップ制御、セレクト制御、アイドルストップ制御/コーストストップ制御、自己診断機能、等の基本制御/機能の実行中、ドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明になっても、基本制御/機能の実行を継続することができる。
[0074]
 [正常シーンでのタービン回転推定値計算作用]
 図7は、ドラム回転センサ96の検出値とプライマリ回転センサ90の検出値が共に使える場合のタービン回転推定値NTBN’の計算処理を示す。以下、図4及び図7に基づいて2つのセンサ検出値が使える正常シーンでのタービン回転推定値計算作用を説明する。
[0075]
 前提条件が成立し、センサ異常判定禁止シーン以外であり、かつ、ドラム回転センサ96の検出値とプライマリ回転センサ90の検出値が共に使える場合、図4のフローチャートにおいて、S1→S2→S3→S4→リターンへと進む。
[0076]
 S4では、ドラム回転センサ96からのドラム回転数NDRUMと、プライマリ回転センサ90からのプライマリ回転数NPRIと、共線図の回転数関係によりタービン回転推定値NTBN’が計算される。タービン回転推定値NTBN’の計算式(1)は、
 NTBN’={NDRUM-NPRI(1-α)}/α    …(1)
である。但し、歯数比αは、(サンギアSの歯数)÷(リングギアRの歯数)の式により得る。
[0077]
 よって、前進クラッチ31が締結状態のときは、図7の共線図特性Dに示すように、タービン回転推定値NTBN’は、ドラム回転数NDRUM又はプライマリ回転数NPRIの大きさに応じたものとなり、かつ、ドラム回転数NDRUM又はプライマリ回転数NPRIに一致する。
[0078]
 後退ブレーキ32が締結状態のときは、図7の共線図特性Eに示すように、プライマリ回転数NPRIの大きさに応じたものとなり、タービン回転推定値NTBN’は、上記(1)式のドラム回転数NDRUMをゼロにした、
 NTBN’=NPRI(1-α)/α    …(1’)
の式により計算される。
[0079]
 前進クラッチ31と後退ブレーキ32とが共に解放状態のときは、図7の共線図特性Fに示すように、ドラム回転数NDRUMとプライマリ回転数NPRIの大きさに応じたものとなり、タービン回転推定値NTBN’は、上記式(1)により計算される。
[0080]
 [センサ検出値が不明な走行シーンでのタービン回転推定値計算作用]
 タービン回転推定値計算作用の説明を、(前進クラッチ締結走行中)、(後退ブレーキ締結走行中)、(前進クラッチ及び後退ブレーキの解放走行中)に分ける。
[0081]
 (前進クラッチ締結走行中)
 図8は、前進クラッチ(FWD/C)の締結走行中にドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明である場合のタービン回転推定値NTBN’の計算処理を示す。以下、図4及び図8に基づいてセンサ検出値が不明な前進クラッチ締結走行シーンでのタービン回転推定値計算作用を説明する。
[0082]
 前提条件が成立し、センサ異常判定禁止シーン以外であり、かつ、前進クラッチ31の締結走行中にドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明である。この場合、図4のフローチャートにおいて、S1→S2→S3→S5→S6→S8→リターンへと進む。
[0083]
 S8では、ドラム回転センサ96の異常によりドラム回転数NDRUMが不明なときは、ドラム回転数NDRUMがプライマリ回転数NPRIに置き換えられ、タービン回転推定値NTBN’が計算される。プライマリ回転センサ90の異常によりプライマリ回転数NPRIが不明なときは、プライマリ回転数NPRIがドラム回転数NDRUMに置き換えられ、タービン回転推定値NTBN’が計算される。
[0084]
 ドラム回転センサ96の断線時であってドラム回転数NDRUMが不明な場合、CVTコントロールユニット8が認識する共線図は、図8(a)の○に示すようにNDRUM=0を通る破線特性になる。このため、タービン回転推定値NTBN’は、後退ブレーキ32を締結した後退走行時と同じ回転数になる。よって、タービン回転推定値NTBN’は、図8(a)の実線特性に示す共線図による実タービン回転数NTBNより5%程度低くなり、入力トルクを高く見積もる。入力トルクを高く見積もると、入力トルクが高い分、油圧を上昇させることになり、燃費の悪化につながる。
[0085]
 一方、プライマリ回転センサ90の断線時であってプライマリ回転数NPRIが不明な場合、CVTコントロールユニット8が認識する共線図は、図8(b)の○に示すようにNPRI=0を通る破線特性になる。このため、タービン回転推定値NTBN’は、図8(b)の実線特性に示す共線図による実タービン回転数NTBNの倍程度に高くなり、入力トルクを低く見積もる。入力トルクを低く見積もると、入力トルクが低い分、油圧を低下させることになり、前進クラッチ31やベルト44の滑りを招く。
[0086]
 これに対し、ドラム回転数NDRUMが不明なときは、図8(c)の実線特性に示すようにドラム回転数NDRUMがプライマリ回転数NPRIに置き換えられてタービン回転推定値NTBN’が計算される。プライマリ回転数NPRIが不明なときは、図8(c)の実線特性に示すようにプライマリ回転数NPRIがドラム回転数NDRUMに置き換えられてタービン回転推定値NTBN’が計算される。
[0087]
 このため、計算されたタービン回転推定値NTBN’は、実タービン回転数NTBNと一致することになる。言い換えると、CVTコントロールユニット8の認識に任せた場合のように、ドラム回転数NDRUMが不明なときに入力トルクを高く見積もることがなく、油圧を上昇させることによる燃費の悪化を防止できる。また、CVTコントロールユニット8の認識に任せた場合のように、プライマリ回転数NPRIが不明なときに入力トルクを低く見積もることがなく、油圧を低下させることによる前進クラッチ31やベルト44の滑り発生を防止できる。
[0088]
 (後退ブレーキ締結走行中)
 図9は、後退ブレーキ(REV/B)の締結走行中にドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明である場合のタービン回転推定値NTBN’の計算処理を示す。以下、図4及び図9に基づいてセンサ検出値が不明な後退ブレーキ締結走行シーンでのタービン回転推定値計算作用を説明する。
[0089]
 前提条件が成立し、センサ異常判定禁止シーン以外であり、かつ、後退ブレーキ32の締結走行中にドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明である。この場合、図4のフローチャートにおいて、S1→S2→S3→S5→S6→S7→S9→リターンへと進む。
[0090]
 S9では、ドラム回転センサ96の異常によりドラム回転数NDRUMが不明なときは、ドラム回転数NDRUMがNDRUM=0に置き換えられ、タービン回転推定値NTBN’が計算される。プライマリ回転センサ90の異常によりプライマリ回転数NPRIが不明なときは、プライマリ回転数NPRIが、バリエータ4の最ロー変速比とセカンダリ回転数NSECにより推定計算される。そして、タービン回転推定値NTBN’が、プライマリ回転推定値NPRI’とリバースギヤ比(Rギヤ比)により計算される。
[0091]
 ドラム回転センサ96の断線時であってドラム回転数NDRUMが不明な場合、CVTコントロールユニット8が認識する共線図は、図9(a)の○に示すようにNDRUM=0を通る破線特性になる。このため、タービン回転推定値NTBN’は、後退ブレーキ32を締結した後退走行時と同じ回転数になる。よって、タービン回転推定値NTBN’は、図9(a)の実線特性に示す共線図による実タービン回転数NTBNと変わらない。
[0092]
 一方、プライマリ回転センサ90の断線時であってプライマリ回転数NPRIが不明な場合、CVTコントロールユニット8が認識する共線図は、図9(b)の○に示すようにNPRI=0を通る破線特性になる。このため、タービン回転推定値NTBN’はセロ回転になる。つまり、図9(b)の実線特性に示す共線図による実タービン回転数NTBNより低くなり、入力トルクを高く見積もる。入力トルクを高く見積もると、入力トルクが高い分、油圧を上昇させることになり、燃費の悪化に繋がる。
[0093]
 これに対し、ドラム回転数NDRUMが不明なときは、図9(c)の実線特性に示すようにドラム回転数NDRUMがNDRUM=0に置き換えられてタービン回転推定値NTBN’が計算される。プライマリ回転数NPRIが不明なときは、プライマリ回転数NPRIが、バリエータ4の最ロー変速比とセカンダリ回転数NSECにより推定計算される。そして、タービン回転推定値NTBN’が、プライマリ回転推定値NPRI’とリバースギヤ比(Rギヤ比)により計算される。
[0094]
 このため、計算されたタービン回転推定値NTBN’は、ドラム回転数NDRUMが不明なとき、実タービン回転数NTBNと一致することになる。そして、計算されたタービン回転推定値NTBN’は、プライマリ回転数NPRIが不明なとき、実タービン回転数NTBNとの一致性が高められたものになる。言い換えると、プライマリ回転数NPRIが不明なとき、CVTコントロールユニット8の認識に任せた場合のように、入力トルクを高く見積もることがなく、油圧を上昇させることによる燃費の悪化を防止できる。
[0095]
 (前進クラッチ及び後退ブレーキの解放走行中)
 図10は、前進クラッチ(FWD/C)及び後退ブレーキ(REV/B)の解放走行中にドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明である場合のタービン回転推定値NTBN’の計算処理を示す。以下、図4及び図10に基づいてセンサ検出値が不明な解放走行シーンでのタービン回転推定値計算作用を説明する。
[0096]
 前提条件が成立し、センサ異常判定禁止シーン以外であり、かつ、前進クラッチ31及び後退ブレーキ32の解放走行中にドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明である。この場合、図4のフローチャートにおいて、S1→S2→S3→S5→S6→S7→S10→リターンへと進む。
[0097]
 S10では、ドラム回転センサ96の異常によりドラム回転数NDRUMが不明なときは、タービン回転推定値NTBN’がエンジン回転数NENGとみなされる。そして、ドラム回転数NDRUMは、共線図でタービン回転推定値NTBN’(=NENG)とプライマリ回転数NPRIから算出される。プライマリ回転センサ90の異常によりプライマリ回転数NPRIが不明なときは、タービン回転推定値NTBN’がエンジン回転数NENGとみなされる。そして、プライマリ回転数NPRIは、共線図でタービン回転推定値NTBN’(=NENG)とドラム回転数NDRUMから算出される。なお、共線図で算出したプライマリ回転数NPRIは、セカンダリ回転数NSECとバリエータ4の最ローギヤ比から算出されるプライマリ回転数上限値と、セカンダリ回転数NSECとバリエータ4の最ハイギヤ比から算出されるプライマリ回転数下限値により制限される。
[0098]
 ドラム回転センサ96の断線時であってドラム回転数NDRUMが不明な場合、CVTコントロールユニット8が認識する共線図は、図10(a)の○に示すようにNDRUM=0を通る破線特性になる。このため、タービン回転推定値NTBN’は、後退ブレーキ32を締結した後退走行時と同じ回転数になる。よって、タービン回転推定値NTBN’は、図10(a)の実線特性に示す共線図による実タービン回転数NTBNより5%程度低くなり、入力トルクを高く見積もる。入力トルクを高く見積もると、入力トルクが高い分、油圧を上昇させることになり、燃費の悪化につながる。
[0099]
 一方、プライマリ回転センサ90の断線時であってプライマリ回転数NPRIが不明な場合、CVTコントロールユニット8が認識する共線図は、図10(b)の○に示すようにNPRI=0を通る破線特性になる。このため、タービン回転推定値NTBN’は、図10(b)の実線特性に示す共線図による実タービン回転数NTBNの倍程度に高くなり、入力トルクを低く見積もる。入力トルクを低く見積もると、入力トルクが低い分、油圧を低下させることになり、前進クラッチ31やベルト44の滑りを招く。
[0100]
 これに対し、ドラム回転数NDRUMが不明なときは、図10(c)の実線特性に示すように、タービン回転推定値NTBN’がエンジン回転数NENGとみなされる。プライマリ回転数NPRIが不明なときは、図10(c)の実線特性に示すように、ドラム回転数NDRUMが不明なときと同様に、タービン回転推定値NTBN’がエンジン回転数NENGとみなされる。
[0101]
 このため、タービン回転推定値NTBN’がエンジン回転数NENGとみなされることで、実タービン回転数NTBNに近い値で与えることができる。なお、前進クラッチ31及び後退ブレーキ32の解放によるNレンジでの走行中においては、タービン回転情報を参照する制御はないため、ドラム回転センサ96又はプライマリ回転センサ90の異常によるタービン回転情報を用いる制御へ影響を及ぼすことはない。
[0102]
 [センサ検出値が不明な停車シーンでのタービン回転推定値計算作用]
 タービン回転推定値計算作用の説明を、(前進クラッチ締結停車中)、(後退ブレーキ締結停車中)、(前進クラッチ及び後退ブレーキの解放停車中)に分ける。
[0103]
 (前進クラッチの締結停車中)
 図11は、前進クラッチ(FWD/C)の締結停車中にドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明である場合のタービン回転推定値NTBN’の計算処理を示す。以下、図4及び図11に基づいてセンサ検出値が不明な前進クラッチ締結停車シーンでのタービン回転推定値計算作用を説明する。
[0104]
 前提条件が成立し、センサ異常判定禁止シーン以外であり、かつ、前進クラッチ31の締結停車中にドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明である。この場合、図4のフローチャートにおいて、S1→S2→S3→S5→S11→S13→リターンへと進む。
[0105]
 S13では、ドラム回転センサ96の異常によりドラム回転数NDRUMが不明なときは、ドラム回転数NDRUMがプライマリ回転数NPRIに置き換えられ、タービン回転推定値NTBN’が計算される。プライマリ回転センサ90の異常によりプライマリ回転数NPRIが不明なときは、プライマリ回転数NPRIがNPRI=0(停車しているため)に置き換えられ、タービン回転推定値NTBN’が計算される。
[0106]
 このように、ドラム回転数NDRUMが不明なときは、前進クラッチ31を締結して停車しているため、図11の実線特性に示すように、ドラム回転数NDRUM=プライマリ回転数NPRI(=0)として通常通りにタービン回転推定値NTBN’(=0)を推定すればよい。プライマリ回転数NPRIが不明なときは、前進クラッチ31を締結して停車しているため、図11の実線特性に示すように、プライマリ回転数NPRI(=0)として通常通りにタービン回転推定値NTBN’(=0)を推定すればよい。なお、前進クラッチ31を締結しての停車中においては、走行中とは異なり、タービン回転情報を用いる制御での車両挙動による影響はない。
[0107]
 (後退ブレーキの締結停車中)
 図12は、後退ブレーキ(REV/B)の締結停車中にドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明である場合のタービン回転推定値NTBN’の計算処理を示す。以下、図4及び図12に基づいてセンサ検出値が不明な後退ブレーキ締結停車シーンでのタービン回転推定値計算作用を説明する。
[0108]
 前提条件が成立し、センサ異常判定禁止シーン以外であり、かつ、後退ブレーキ32の締結停車中にドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明である。この場合、図4のフローチャートにおいて、S1→S2→S3→S5→S11→S12→S14→リターンへと進む。
[0109]
 S14では、ドラム回転センサ96の異常によりドラム回転数NDRUMが不明なときは、ドラム回転数NDRUMがNDRUM=0に置き換えられ、タービン回転推定値NTBN’が計算される。プライマリ回転センサ90の異常によりプライマリ回転数NPRIが不明なときは、プライマリ回転数NPRIがNPRI=0に置き換えられ、タービン回転推定値NTBN’が計算される。
[0110]
 このように、ドラム回転数NDRUMが不明なときは、後退ブレーキ32を締結して停車しているため、図12の実線特性に示すように、ドラム回転数NDRUM=0として通常通りにタービン回転推定値NTBN’(=0)を推定すればよい。プライマリ回転数NPRIが不明なときは、後退ブレーキ32を締結して停車しているため、図12の実線特性に示すように、プライマリ回転数NPRI=0として通常通りにタービン回転推定値NTBN’(=0)を推定すればよい。なお、後退ブレーキ32を締結しての停車中においては、走行中とは異なり、タービン回転情報を用いる制御での車両挙動による影響はない。
[0111]
 (前進クラッチ及び後退ブレーキの解放停車中)
 図13は、前進クラッチ(FWD/C)及び後退ブレーキ(REV/B)の解放停車中にドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明である場合のタービン回転推定値NTBN’の計算処理を示す。以下、図4及び図13に基づいてセンサ検出値が不明な解放停車シーンでのタービン回転推定値計算作用を説明する。
[0112]
 前提条件が成立し、センサ異常判定禁止シーン以外であり、かつ、前進クラッチ31及び後退ブレーキ32の解放停車中にドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明である。この場合、図4のフローチャートにおいて、S1→S2→S3→S5→S11→S12→S15→リターンへと進む。
[0113]
 S15では、ドラム回転センサ96の異常によりドラム回転数NDRUMが不明なときは、タービン回転推定値NTBN’がエンジン回転数NENGとみなされる。そして、ドラム回転数NDRUMは、共線図でタービン回転推定値NTBN’(=NENG)とプライマリ回転数NPRIから算出される。プライマリ回転センサ90の異常によりプライマリ回転数NPRIが不明なときは、タービン回転推定値NTBN’がエンジン回転数NENGとみなされる。そして、プライマリ回転数NPRIは、NPRI=0(停車しているため)とされる。
[0114]
 このように、ドラム回転数NDRUMが不明なときは、アクセル操作があると力のつり合い具合により各回転メンバS,C,Rの回転数が決まるが、タービン回転推定値NTBN’をエンジン回転数NENGとみなすことで基本的に推定可能である。そして、ドラム回転数NDRUMは、タービン回転推定値NTBN’(=NENG)とプライマリ回転数NPRIと共線図により基本的に推定可能である。
[0115]
 プライマリ回転数NPRIが不明なときは、アクセル操作があると力のつり合い具合により各回転メンバS,C,Rの回転数が決まるが、タービン回転推定値NTBN’をエンジン回転数NENGとみなすことで基本的に推定可能である。そして、プライマリ回転数NPRIは、停車していてNPRI=0のはずであるために推定可能である。
[0116]
 以上説明したように、実施例のベルト式無段変速機CVTの制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
[0117]
 (1) 走行用駆動源(エンジン1)に連結されるトルクコンバータ2と、トルクコンバータ2に連結される前後進切替機構3と、前後進切替機構3に連結される無段変速機構(バリエータ4)と、変速機コントローラ(CVTコントロールユニット8)と、を備え、
 前後進切替機構3は、遊星歯車(ダブルピニオン式遊星歯車30)と前進クラッチ31と後退ブレーキ32とを有し、無段変速機構(バリエータ4)は、プライマリプーリ42とセカンダリプーリ43とに架け渡されるベルト44を有し、変速機コントローラ(CVTコントロールユニット8)は、前後進切替機構3へ入力されるタービン回転数情報を用いる制御を実行する無段変速機(ベルト式無段変速機CVT)の制御装置であって、
 トルクコンバータ2のタービンランナ24と遊星歯車(ダブルピニオン式遊星歯車30)のサンギアSとを連結するタービン回転軸21と、
 前進クラッチ31を介して連結された遊星歯車(ダブルピニオン式遊星歯車30)のキャリヤCとリングギアRと、
 リングギアRと連結するドラムメンバ33の回転数を検出するドラム回転センサ96と、
 遊星歯車(ダブルピニオン式遊星歯車30)のキャリヤCとプライマリプーリ42とを連結するプライマリ回転軸40の回転数を検出するプライマリ回転センサ90と、
 ドラム回転センサ96とプライマリ回転センサ90の検出値に基づいてタービン回転軸21のタービン回転推定値NTBN’を計算するタービン回転推定手段(タービン回転推定部80)と、を有し、
 タービン回転推定手段(タービン回転推定部80)は、ドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明な場合、走行/停車状態、前進クラッチ31と後退ブレーキ32の締結/解放状態、無段変速機構(バリエータ4)の変速比のうち、少なくとも二つを用いて、不明な検出値の回転数を推定し、該推定された回転推定値と、他方のセンサ検出値とによってタービン回転推定値NTBN’を計算する。
 このため、ドラム回転センサ96の検出値又はプライマリ回転センサ90の検出値が不明な場合、推定によるタービン回転情報の取得を確保することができる。
[0118]
 (2) タービン回転推定手段(タービン回転推定部80)は、走行中、前進クラッチ31が締結状態で、かつ、ドラム回転数NDRUMが不明な場合、ドラム回転数NDRUMをプライマリ回転数NPRIに置き換えたドラム回転推定値NDRUM’とし、タービン回転推定値NTBN’を、
 ドラム回転推定値NDRUM’とプライマリ回転センサ90からの検出値とによって計算し、
 走行中、前進クラッチ31が締結状態で、かつ、プライマリ回転数NPRIが不明な場合、プライマリ回転数NPRIをドラム回転数NDRUMに置き換えたプライマリ回転推定値NPRI’とし、タービン回転推定値NTBN’を、プライマリ回転推定値NPRI’とドラム回転センサ96からの検出値とによって計算する。
 このため、走行中、前進クラッチ31が締結状態で、ドラム回転数NDRUM又はプライマリ回転数NPRIが不明な場合、不明なドラム回転推定値NDRUM’又はプライマリ回転推定値NPRI’と、タービン回転推定値NTBN’を計算することができる。
 即ち、前進クラッチ31が締結状態であることで、遊星歯車(ダブルピニオン式遊星歯車30)の前進ギヤ比が1になるため、ドラム回転数NDRUM=プライマリ回転数NPRIになるはずである。よって、ドラム回転推定値NDRUM’又はプライマリ回転推定値NPRI’を推定することが可能であるし、通常通りに共線図に基づいてタービン回転推定値NTBN’を推定することが可能である。
[0119]
 (3) タービン回転推定手段(タービン回転推定部80)は、走行中、後退ブレーキ32が締結状態で、かつ、ドラム回転数NDRUMが不明な場合、ドラム回転数NDRUMをゼロに置き換えてドラム回転推定値NDRUM’とし、タービン回転推定値NTBN’を、ドラム回転推定値NDRUM’とプライマリ回転センサ90からの検出値とによって計算し、
 走行中、後退ブレーキ32が締結状態で、かつ、プライマリ回転数NPRIが不明な場合、プライマリ回転数NPRIを、無段変速機構(バリエータ4)の最ロー変速比とセカンダリ回転数PSECにより計算したプライマリ回転推定値NPRI’とし、タービン回転推定値NTBN’を、プライマリ回転推定値NPRI’とドラム回転センサ96からの検出値とによって計算する。
 このため、走行中、後退ブレーキ32が締結状態で、ドラム回転数NDRUM又はプライマリ回転数NPRIが不明な場合、不明なドラム回転推定値NDRUM’又はプライマリ回転推定値NPRI’と、タービン回転推定値NTBN’を計算することができる。
 即ち、ドラム回転数NDRUMが不明な場合は、後退ブレーキ32の締結によりドラム回転数NDRUM=0のはずであるため、ドラム回転推定値NDRUM’を推定することが可能である。そして、ドラム回転数NDRUM=0として通常通りに共線図に基づいてタービン回転推定値NTBN’を推定することが可能である。プライマリ回転数NPRIが不明な場合は、Rレンジのときバリエータ4が最ロー変速比に固定しているため、プライマリ回転推定値NPRI’を、バリエータ4の最ロー変速比とセカンダリ回転数NSECにより推定することが可能である。そして、プライマリ回転推定値NPRI’と遊星歯車(ダブルピニオン式遊星歯車30)の後退ギヤ比(=Rギヤ比)に基づいてタービン回転推定値NTBN’を推定することが可能である。
[0120]
 (4) タービン回転推定手段(タービン回転推定部80)は、停車中、前進クラッチ31が締結状態で、かつ、ドラム回転数NDRUMが不明な場合、ドラム回転数NDRUMをプライマリ回転数NPRIに置き換えたドラム回転推定値NDRUM’とし、タービン回転推定値NTBN’を、ドラム回転推定値NDRUM’とプライマリ回転センサ90からの検出値とによって計算し、
 停車中、前進クラッチ31が締結状態で、かつ、プライマリ回転数NPRIが不明な場合、プライマリ回転数NPRIをゼロに置き換えたプライマリ回転推定値NPRI’とし、タービン回転推定値NTBN’を、プライマリ回転推定値NPRI’とドラム回転センサ96からの検出値とによって計算する。
 このため、停車中、前進クラッチ31が締結状態で、ドラム回転数NDRUM又はプライマリ回転数NPRIが不明な場合、不明なドラム回転推定値NDRUM’又はプライマリ回転推定値NPRI’と、タービン回転推定値NTBN’を計算することができる。
 即ち、前進クラッチ31が締結状態で停車しているため、ドラム回転数NDRUM=プライマリ回転数NPRI=0になるはずである。よって、ドラム回転推定値NDRUM’又はプライマリ回転推定値NPRI’を推定することが可能であるし、通常通りに共線図に基づいてタービン回転推定値NTBN’を推定することが可能である。
[0121]
 (5) タービン回転推定手段(タービン回転推定部80)は、停車中、後退ブレーキ32が締結状態で、かつ、ドラム回転数NDRUMが不明な場合、ドラム回転数NDRUMをゼロに置き換えてドラム回転推定値NDRUM’とし、タービン回転推定値NTBN’を、ドラム回転推定値NDRUM’とプライマリ回転センサ90からの検出値とによって計算し、
 停車中、後退ブレーキ32が締結状態で、かつ、プライマリ回転数NPRIが不明な場合、プライマリ回転数NPRIをゼロに置き換えてプライマリ回転推定値NPRI’とし、タービン回転推定値NTBN’を、プライマリ回転推定値NPRI’とドラム回転センサ96からの検出値とによって計算する。
 このため、停車中、後退ブレーキ32が締結状態で、ドラム回転数NDRUM又はプライマリ回転数NPRIが不明な場合、不明なドラム回転推定値NDRUM’又はプライマリ回転推定値NPRI’と、タービン回転推定値NTBN’を計算することができる。
 即ち、ドラム回転数NDRUMが不明な場合は、後退ブレーキ32の締結によりドラム回転数NDRUM=0のはずであるため、ドラム回転推定値NDRUM’を推定することが可能である。そして、ドラム回転数NDRUM=0として通常通りに共線図に基づいてタービン回転推定値NTBN’を推定することが可能である。プライマリ回転数NPRIが不明な場合は、後退ブレーキ32を締結して停車していることで、プライマリ回転数NPRI=0のはずである。このため、プライマリ回転推定値NPRI’を推定することが可能である。そして、プライマリ回転数NPRI=0として通常通りに共線図に基づいてタービン回転推定値NTBN’を推定することが可能である。
[0122]
 以上、本発明の無段変速機の制御装置を実施例に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
[0123]
 実施例では、前後進切替機構3として、ダブルピニオン式遊星歯車30と前進クラッチ31と後退ブレーキ32とを有する例を示した。しかし、前後進切替機構としては、シングルピニオン式遊星歯車と前進クラッチと後退ブレーキとを有する例としても良い。ダブルピニオン式遊星歯車の場合、3つの回転メンバS,C,Rが共線図の横軸にS→R→Cの順に(1-α):αの比率で並ぶのに対し、シングルピニオン式遊星歯車の場合、3つの回転メンバS,C,Rが共線図の横軸にS→C→Rの順に1:αの比率で並ぶ点で相違する。
[0124]
 実施例では、本発明の制御装置を、自動変速機としてベルト式無段変速機CVTを搭載したエンジン車に適用する例を示した。しかし、本発明の制御装置は、副変速機付き無段変速機構を搭載した車両に適用しても良い。また、適用される車両としても、エンジン車に限らず、走行用駆動源にエンジンとモータを搭載したハイブリッド車、走行用駆動源にモータを搭載した電気自動車等に対しても適用できる。

請求の範囲

[請求項1]
 走行用駆動源に連結されるトルクコンバータと、前記トルクコンバータに連結される前後進切替機構と、前記前後進切替機構に連結される無段変速機構と、変速機コントローラと、を備え、
 前記前後進切替機構は、遊星歯車と前進クラッチと後退ブレーキとを有し、前記無段変速機構は、プライマリプーリとセカンダリプーリとに架け渡されるベルトを有し、前記変速機コントローラは、前記前後進切替機構へ入力されるタービン回転数情報を用いる制御を実行する無段変速機の制御装置であって、
 前記トルクコンバータのタービンランナと前記遊星歯車のサンギアとを連結するタービン回転軸と、
 前記前進クラッチを介して連結された前記遊星歯車のキャリヤとリングギアと、
 前記リングギアと連結するドラムメンバの回転数を検出するドラム回転センサと、
 前記遊星歯車のキャリヤと前記プライマリプーリとを連結するプライマリ回転軸の回転数を検出するプライマリ回転センサと、
 前記ドラム回転センサと前記プライマリ回転センサの検出値に基づいて前記タービン回転軸のタービン回転推定値を計算するタービン回転推定手段と、を有し、
 前記タービン回転推定手段は、前記ドラム回転センサの検出値又は前記プライマリ回転センサの検出値が不明な場合、走行/停車状態、前記前進クラッチと前記後退ブレーキの締結/解放状態、前記無段変速機構の変速比のうち、少なくとも二つを用いて、前記不明な検出値の回転数を推定し、該推定された回転推定値と、他方のセンサ検出値とによって前記タービン回転推定値を計算する、
 無段変速機の制御装置。
[請求項2]
 請求項1に記載された無段変速機の制御装置において、
 前記タービン回転推定手段は、走行中、前記前進クラッチが締結状態で、かつ、ドラム回転数が不明な場合、前記ドラム回転数をプライマリ回転数に置き換えたドラム回転推定値とし、前記タービン回転推定値を、前記ドラム回転推定値と前記プライマリ回転センサからの検出値とによって計算し、
 走行中、前記前進クラッチが締結状態で、かつ、プライマリ回転数が不明な場合、前記プライマリ回転数をドラム回転数に置き換えたプライマリ回転推定値とし、前記タービン回転推定値を、前記プライマリ回転推定値と前記ドラム回転センサからの検出値とによって計算する、
 無段変速機の制御装置。
[請求項3]
 請求項1又は2に記載された無段変速機の制御装置において、
 前記タービン回転推定手段は、走行中、前記後退ブレーキが締結状態で、かつ、ドラム回転数が不明な場合、前記ドラム回転数をゼロに置き換えてドラム回転推定値とし、前記タービン回転推定値を、前記ドラム回転推定値と前記プライマリ回転センサからの検出値とによって計算し、
 走行中、前記後退ブレーキが締結状態で、かつ、プライマリ回転数が不明な場合、前記プライマリ回転数を、前記無段変速機構の最ロー変速比とセカンダリ回転数により計算したプライマリ回転推定値とし、前記タービン回転推定値を、プライマリ回転推定値と前記ドラム回転センサからの検出値とによって計算する、
 無段変速機の制御装置。
[請求項4]
 請求項1から3までの何れか一項に記載された無段変速機の制御装置において、
 前記タービン回転推定手段は、停車中、前記前進クラッチが締結状態で、かつ、ドラム回転数が不明な場合、前記ドラム回転数をプライマリ回転数に置き換えたドラム回転推定値とし、前記タービン回転推定値を、前記ドラム回転推定値と前記プライマリ回転センサからの検出値とによって計算し、
 停車中、前記前進クラッチが締結状態で、かつ、プライマリ回転数が不明な場合、前記プライマリ回転数をゼロに置き換えたプライマリ回転推定値とし、前記タービン回転推定値を、前記プライマリ回転推定値と前記ドラム回転センサからの検出値とによって計算する、
 無段変速機の制御装置。
[請求項5]
 請求項1から4までの何れか一項に記載された無段変速機の制御装置において、
 前記タービン回転推定手段は、停車中、前記後退ブレーキが締結状態で、かつ、ドラム回転数が不明な場合、前記ドラム回転数をゼロに置き換えてドラム回転推定値とし、前記タービン回転推定値を、前記ドラム回転推定値と前記プライマリ回転センサからの検出値とによって計算し、
 停車中、前記後退ブレーキが締結状態で、かつ、プライマリ回転数が不明な場合、前記プライマリ回転数をゼロに置き換えてプライマリ回転推定値とし、前記タービン回転推定値を、プライマリ回転推定値と前記ドラム回転センサからの検出値とによって計算する、
 無段変速機の制御装置。
[請求項6]
 走行用駆動源に連結されるトルクコンバータと、前記トルクコンバータに連結される前後進切替機構と、前記前後進切替機構に連結される無段変速機構と、変速機コントローラと、を備え、
 前記前後進切替機構は、遊星歯車と前進クラッチと後退ブレーキとを有し、前記無段変速機構は、プライマリプーリとセカンダリプーリとに架け渡されるベルトを有し、前記変速機コントローラは、前記前後進切替機構へ入力されるタービン回転数情報を用いる制御を実行し、
 前記トルクコンバータのタービンランナと前記遊星歯車のサンギアとを連結するタービン回転軸と、
 前記前進クラッチを介して連結された前記遊星歯車のキャリヤとリングギアと、
 前記リングギアと連結するドラムメンバの回転数を検出するドラム回転センサと、
 前記遊星歯車のキャリヤと前記プライマリプーリとを連結するプライマリ回転軸の回転数を検出するプライマリ回転センサと、
 を有する無段変速機の制御方法であって、
 前記タービン回転数情報として、前記ドラム回転センサと前記プライマリ回転センサの検出値に基づいて前記タービン回転軸のタービン回転推定値を計算し、
 前記ドラム回転センサの検出値又は前記プライマリ回転センサの検出値が不明な場合は、走行/停車状態、前記前進クラッチと前記後退ブレーキの締結/解放状態、前記無段変速機構の変速比のうち、少なくとも二つを用いて、前記不明な検出値の回転数を推定し、該推定された回転推定値と、他方のセンサ検出値とによって前記タービン回転推定値を計算する、
 無段変速機の制御方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]