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1. WO2020110653 - CONTROL SYSTEM

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明 細 書

発明の名称 制御システム

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022  

発明の効果

0023  

図面の簡単な説明

0024  

発明を実施するための形態

0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060  

符号の説明

0061  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5A   5B   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 制御システム

技術分野

[0001]
 本発明は、モータにより駆動制御される対象装置の制御状態を監視する制御システムに関する。

背景技術

[0002]
 テーブル等を予定した位置に正確に移動させる直動装置の原点位置出しは、テーブル等を移動する直線上に大まかな原点を決めるテーブル原点センサを配置し、このセンサの出力信号とモータに取り付けたインクリメンタルエンコーダの回転原点信号で原点位置を確定している。ただし、このような原点位置出しでは原点センサの位置調整かエンコーダ角度調整をモータの電源をオン、オフしながら何度も繰り返すため、熟練と非常に多くの工数を要するものであった。そこで、例えば特許文献1に示す技術では、テーブル原点センサの位置を検出してその位置の適否をチェックし、更にモータの電源を遮断し、モータを手動で回動して、モータの回転に伴う回転周期信号を見ながらテーブル原点センサの位置を移動して原点の設定が行われている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開平10-6179号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 従来は、対象装置の制御状態の一つであるその位置を監視する際の安全性能を高めるためには、当該位置監視のための原点位置の設定のためにも冗長化されたセンサや高い安全性能が付与されているエンコーダ等が利用されている。このような高い安全性能に対応させるには、エンコーダの設計において所定の安全規格の要件を満たす必要がある。例えば、当該安全規格としてIEC61508が規定されている。IEC61508は、電気・電子・プログラマブル電子式安全関連の機能安全に関する国際規格である。IEC61508では、システムの故障確率を、以下の表1に示すようにSIL(Safety Integrity Level:安全度水準)と呼ばれる尺度で規定している。
[表1]


[0005]
 そして、IEC61508は、表中のSILごとに満足すべき要求事項を定義しており、構築するシステムが達成すべき取り組みが明確化されている。SILはSIL1からSIL4の4段階に分かれており、SILの数値が大きくなるほど、安全性能が高いことを意味する。そして、対象装置の位置監視に関してSILの値を高めようとすると、採用するエンコーダのSILも高める必要があり、当該装置の高コスト化を招いたり、装置設計の複雑化を招いたりするおそれがある。
[0006]
 本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、より簡素な構成で、モータにより駆動制御される対象装置の位置監視に関する安全性能を高める技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明においては、上記課題を解決するために、対象装置の位置センサから出力される検出信号の立ち上がりと立ち下がりの両方を利用して、対象装置の位置に関連する第1位置情報を算出し、更に、それとは異なる第2位置情報も利用することで、対象装置の位置監視に関する安全性能を高めることができる。
[0008]
 詳細には、本発明は、モータにより駆動制御される対象装置の制御状態を監視する制御システムであって、前記モータが有するエンコーダからの信号に基づいて前記対象装置の位置を算出し、該対象装置の位置が所定の監視範囲に属しているか否かについて判断する判断部と、駆動部から駆動電流を前記モータに供給するために該駆動部へ送信される駆動信号の伝達を遮断する遮断部と、前記判断部により前記対象装置の位置が前記所定の監視範囲に属していないと判断されたときに、前記遮断部を介して前記駆動信号の遮断処理を実行する安全制御部と、前記所定の監視範囲のための原点を設定する設定部と、前記対象装置の可動範囲において、前記モータにより該対象装置が駆動されることで該対象装置が所定位置に到達したときに、その到達を検出するための、少なくとも1つのセンサと、を備える。そして、前記設定部は、前記対象装置が前記モータによって所定の駆動制御されているときに、該対象装置の前記所定位置への到達に対応して前記少なくとも1つのセンサから出力される検出信号に関し、該対象装置の該所定位置への近接に対応する該検出信号の立ち上がりと、該対象装置の該所定位置からの離間に対応する該検出信号の立ち下がりと、を取得する取得部と、前記検出信号の前記立ち上がりと前記立ち下がりに基づいて算出される、前記対象装置の位置に関連する第1位置情報と、該第1位置情報と異なる、該対象装置の位置に関連する第2位置情報とを利用して、前記原点を算出する算出部と、を有する。
[0009]
 本発明の制御システムは、モータにより駆動制御される対象装置の制御状態、特に、その位置の状態を監視する装置である。当該制御システムは、モータを駆動する装置であるサーボドライバやインバータ等と一体的に形成されてもよく、これらのモータを駆動する装置とは別体の装置として構成されてもよい。なお、当該モータにはエンコーダが設けられ、本発明の制御システムはそのエンコーダからの位置情報、速度情報等に関するフィードバック信号に基づいて対象装置の位置を把握し、その位置監視を行う。
[0010]
 ここで、制御システムには、モータへの電力供給のための駆動部への駆動信号の伝達を遮断する遮断部が備えられる。当該駆動信号は、対象装置に所定動作を行わせるために駆動部からモータに供給される駆動電流の生成のための信号であり、駆動部より上位の構成部から駆動部に対して送信される。したがって、遮断部は、その上位の構成部から駆動部に至る過程において、駆動信号の伝達を遮断するように構成される。そして、モータの駆動に関し対象装置の位置が、安全上あるべき所定の監視範囲に属していないと判断される場合には、安全制御部によって駆動信号の遮断処理が実行されることで、制御システムによる安全性能が実現されることになる。
[0011]
 また、このような上記制御システムにより対象装置の位置監視を行うために、設定部による所定の監視範囲を好適に決定する原点の設定処理が行われる。設定部による原点の設定処理では、対象装置の位置と関連付けられた検出信号を出す少なくとも1つのセンサが利用される。当該センサは、対象装置が所定の位置に到達したときに、その近接に対応して検出信号の立ち上がりが生じ、且つその離間に対応して検出信号の立ち下がりが生じる。取得部は、この検出信号の立ち上がりと立ち下がりを共に取得する。そして、算出部は、この取得された検出信号の立ち上がりと立ち下がりに基づいて第1位置情報を算出する。当該第1位置情報は、検出信号の立ち上がりと立ち下がりの両者を考慮して算出されることから、対象装置がどの方向から所定位置に到達したかに影響されにくい、対象装置の位置を示す情報となり得る。更に、算出部は、当該第1位置情報と、第2位置情報を利用して、位置監視のための原点を算出する。なお、第2位置情報は、対象装置の位置に関連する情報ではあるが、第1位置情報とは異なるものであり互いに独立した情報である。したがって、算出部は、第1位置情報と第2位置情報とを相互に作用させることで、原点を設定することが可能となる。
[0012]
 以上より、本発明の制御システムでは、上記設定部により設定された原点は、原点設定のための対象装置の動きに影響されにくいものでありその位置精度は比較的高い。このことは、上記の表1に従えば、仮にエンコーダの安全性能が相対的に低いものであっても、制御システムによる安全性能自体を高めることができることを意味する。例えば、制御システムの安全性能に関するSILの値を、エンコーダの安全性能に関するSILの値よりも高めることが可能となる。この結果、制御システムとしてはより簡素な構成で、モータにより駆動制御される対象装置の位置監視に関する安全性能が高められることになる。
[0013]
 ここで、上記の制御システムにおいて、前記少なくとも1つのセンサは、前記対象装置の前記所定位置である第1所定位置への到達を検出する第1センサと、該対象装置の第2所定位置への到達を検出する第2センサとを含んでもよい。その場合、前記取得部は、前記第1センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりと、前記第2センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりとを取得し、前記算出部は、前記所定の駆動制御における前記対象装置の動きに応じて、前記第1センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりに基づいて前記第1位置情報を算出するとともに、前記第2センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりに基づいて前記第2位置情報を算出し、更に、該所定の駆動制御における該対象装置の動きに応じて該第1位置情報が示す位置と該第2位置情報が示す位置との間に位置する所定候補場所を前記原点として算出してもよい。
[0014]
 このような構成では、第1所定位置に関連する第1位置情報と第2所定位置に関連する第2位置情報に基づいて、設定部により原点が設定される。第1位置情報及び第2位置情報は、ともにそれぞれの検出信号の立ち上がりと立ち下がりを利用して算出されているため、いずれも対象装置の動きに影響されにくいものでありその位置精度は比較的高い。そのため、これらを基に算出される原点としての所定候補場所の位置精度も比較的高くなり得る。なお、所定候補場所は、各センサにより各所定位置への到達を検出するための所定の駆動制御における対象装置の動きに応じて、第1位置情報が示す位置と第2位置情報が示す位置との間に決定することができる。例えば、前記所定の駆動制御において、前記対象装置は一定速度で駆動される場合、前記算出部は、前記第1センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりの中間点に基づいて前記第1位置情報を算出するとともに、前記第2センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりの中間点に基づいて前記第2位置情報を算出し、更に、該第1位置情報が示す位置と該第2位置情報が示す位置との中間位置を前記所定候補場所としてもよく、この態様以外の所定候補場所の決定を行ってもよい。
[0015]
 ここで、上述の制御システムにおいて、第1センサと第2センサの配置の態様について2つの態様を例示する。第1の態様では、前記第1センサからの検出信号が立ち上がってから立ち下がるまでのON時間が、前記第2センサからの検出信号が立ち上がってから立ち下がるまでのON時間と重ならないように、前記第1所定位置が前記第2所定位置と離間して両センサが配置されてもよい。第1所定位置と第2所定位置の離間の程度は、対象装置の構成、大きさ等を考慮して決定できる。例えば、第1所定位置と第2所定位置のそれぞれを対象装置の可動範囲の両端を示す位置とすることもできる。この場合、一般的なリミットスイッチ等を第1センサ及び第2センサとして利用できる。
[0016]
 また、第2の態様では、前記第1センサからの検出信号が立ち上がってから立ち下がるまでのON時間の一部又は全部が、前記第2センサからの検出信号が立ち上がってから立ち下がるまでのON時間と重なるように、前記第1所定位置が前記第2所定位置と近接し、又は一致して両センサが配置されてもよい。この場合も、第1所定位置と第2所定位置の離間の程度は、対象装置の構成、大きさ等を考慮して決定できる。例えば、一般的な近接センサ等を第1センサ及び第2センサとして利用できる。
[0017]
 ここで、上述までの制御システムにおいて、前記取得部は、前記所定の駆動制御において前記第1センサからの検出信号が立ち上がってから前記第1所定位置を通過するまでの間に前記対象装置が折り返し動作を行うと、該第1センサからの検出信号の立ち上がりと立ち下がりの取得を行わないように構成されてもよく、また、前記所定の駆動制御において前記第2センサからの検出信号が立ち上がってから前記第2所定位置を通過するまでの間に前記対象装置が折り返し動作を行うと、該第2センサからの検出信号の立ち上がりと立ち下がりの取得を行わないように構成されてもよい。このような折り返し動作が行われてしまうと、各センサにおいて本来取得すべき検出信号の立ち上がりと立ち下がりを連続して出力しないことにより、対象装置の動きに影響されにくい位置情報を取得することが困難となる。そこで、当該折り返し動作が行われた場合には、取得部による上記処理は行われないのが好ましい。
[0018]
 また、上述までの制御システムにおいて、前記設定部は、前記第1センサからの検出信号の立ち上がりと前記第2センサからの検出信号の立ち上がりとに基づいて算出される第1確認用距離が所定の第1基準距離以下である第1条件と、前記第1センサからの検出信号の立ち下がりと前記第2センサからの検出信号の立ち下がりとに基づいて算出される第2確認用距離が所定の第2基準距離以下である第2条件とのうち、少なくとも一方が満たされない場合には、前記所定の監視範囲のための前記原点の設定は行わないように構成されてもよい。このような構成を採用することで、動作不良等の何らかの理由で、算出された原点位置が本来の位置からずれてしまった場合に、不適切な位置監視処理が行われてしまうことを回避することができる。
[0019]
 上記では、制御システムが第1センサと第2センサを備える態様について言及したが、それに代えて制御システムが第1センサのみを有する態様について、以下に言及する。例えば、上記の制御システムにおいて、前記少なくとも1つのセンサが、前記対象装置の前記所定位置への到達を検出する第1センサである場合、前記エンコーダは、前記第2位置情報を格納し、前記取得部は、前記第1センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりを取得し、前記算出部は、前記所定の駆動制御における前記対象装置の動きに応じて、前記第1センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりに基づいて前記第1位置情報を算出し、更に、該第1位置情報と前記第2位置情報とを比較しその比較結果に基づいて該第2位置情報が示す位置を前記原点として算出してもよい。
[0020]
 このような構成では、第1所定位置に関連する第1位置情報と、エンコーダが格納している第2位置情報との比較結果に基づいて、設定部により原点が設定される。第1位置情報は、上記の通りその検出信号の立ち上がりと立ち下がりを利用して算出されているため、対象装置の動きに影響されにくいものでありその位置精度は比較的高い。そのため、当該第1位置情報を第2位置情報と比較することで得られる比較結果も、第1位置情報の精度に応じて高精度のものとなり得る。両位置情報の比較形態としては、例えば、本来あるべき原点の位置情報が第2位置情報として格納され、算出部により算出された第1情報と当該第2位置情報とを比較しそのずれが許容範囲内であれば、現実の対象装置における位置座標が第2位置情報を原点とする想定上の位置座標と実質的に合致していると判断できる。このような場合には、第2位置情報を原点として設定しても、現実の対象装置における位置監視機能に好ましくない影響を及ぼすことは回避し得る。
[0021]
 なお、上記の制御システムでの前記所定の駆動制御において、前記対象装置は一定速度で駆動されてもよく、その場合、前記算出部は、前記第1センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりの中間点に基づいて前記第1位置情報を算出してもよい。また、この態様以外の場所を示す情報を第1位置情報としてもよい。
[0022]
 ここで、上述の制御システムにおいて、前記取得部は、前記所定の駆動制御において前記第1センサからの検出信号が立ち上がってから前記所定位置を通過するまでの間に前記対象装置が折り返し動作を行うと、該第1センサからの検出信号の立ち上がりと立ち下がりの取得を行わないように構成されてもよい。このような折り返し動作が行われてしまうと、第1センサにおいて本来取得すべき検出信号の立ち上がりと立ち下がりを連続して出力しないことにより、対象装置の動きに影響されにくい位置情報を取得することが困難となる。そこで、当該折り返し動作が行われた場合には、取得部による上記処理は行われないのが好ましい。

発明の効果

[0023]
 より簡素な構成で、モータにより駆動制御される対象装置の位置監視に関する安全性能を高める技術を提供することが可能となる。

図面の簡単な説明

[0024]
[図1] サーボドライバが組み込まれるサーボシステムの概略構成を示す第1の図である。
[図2] 本発明のサーボドライバの機能ブロック図である。
[図3] 本発明のサーボドライバで実行される位置監視処理のフローチャートである。
[図4] 本発明のサーボドライバで実行される原点設定処理のフローチャートである。
[図5A] 図4で示す原点設定処理における原点の算出手順を示す第1の図である。
[図5B] 図5Aに示す原点算出手段を実行する際のワークの動きを示す図である。
[図6] 図4で示す原点設定処理における原点の算出手順を示す第2の図である。
[図7] 図4で示す原点設定処理における原点の算出手順を示す第3の図である。

発明を実施するための形態

[0025]
<適用例>
 実施形態に係る制御システムの適用例について、図1及び図2に基づいて説明する。図1は、サーボドライバ4が組み込まれるサーボシステムの概略構成図である。サーボシステムは、主にネットワーク1と、モータ2と、エンコーダ3と、サーボドライバ4と、標準PLC(Programmable Logic Controller)5と、安全PLC6とを備える。モータ2とエンコーダ3によりサーボモータが形成される。当該サーボシステムは、モータ2を駆動するためのシステムであり、そのモータ2は、図示しない各種の機械装置(例えば、産業用ロボットのアームや搬送装置)のアクチュエータとして当該装置内に組み込まれている。なお、以降、モータ2によって駆動制御される対象装置をワークと称する。また、モータ2は、例えば、ACモータである。そして、エンコーダ3は、モータ2の動作を検出するためにモータ2に取り付けられる。エンコーダ3は、検出されたモータ2の動作を示すフィードバック信号を生成するとともに、そのフィードバック信号をサーボドライバ4に送信する。フィードバック信号は、たとえばモータ2の回転軸の回転位置(角度)についての位置情報、その回転軸の回転速度の情報等を含む。エンコーダ3には一般的なアブソリュート型エンコーダを適用することができる。
[0026]
 サーボドライバ4は、ネットワーク1を介して標準PLC5からモータ2の動作(モーション)に関する動作指令信号を受けるとともに、エンコーダ3から出力されたフィードバック信号を受ける。サーボドライバ4は、標準PLC5からの動作指令信号およびエンコーダ3からのフィードバック信号に基づいて、モータ2の駆動に関するサーボ制御を実行する。また、サーボドライバ4はネットワーク1を介して安全PLC6と接続されている。これにより、サーボドライバ4は、安全PLC6から受ける監視指令信号に基づいて種々の監視処理を行い、その結果を安全PLC6に返す。例えば、後述するようにサーボドライバ4は、モータ2によって駆動制御されるワークの位置監視処理を行う。
[0027]
 また、サーボドライバ4は、標準PLC5からの動作指令信号とエンコーダ3からのフィードバック信号とに基づいて、モータ2の動作に関する指令値を算出する。さらにサーボドライバ4は、モータ2の動作がその指令値に追従するように、モータ2に駆動電流を供給する。なお、この供給電流は、交流電源11からサーボドライバ4に対して送られる交流電力が利用される。本実施例では、サーボドライバ4は三相交流を受けるタイプのものであるが、単相交流を受けるタイプのものでもよい。
[0028]
 ここで、サーボドライバ4のより具体的な構成について説明する。図2は、サーボドライバ4の機能ブロック図である。図2に示すように、サーボドライバ4は、フィードバック処理部41、モータ制御部42、遮断部43、駆動部44、安全制御部50、設定部60を有している。フィードバック処理部41は、エンコーダ3からのフィードバック信号に基づいてフィードバック値を生成する。たとえばエンコーダ3からパルスが出力される場合、フィードバック処理部41は、そのパルスをカウントすることによりモータ2の回転軸の回転位置や回転速度を算出するとともに、その位置や速度を示す値を含むフィードバック値を生成する。
[0029]
 なお、エンコーダ3は、アブソリュート型エンコーダであり、その内部で同時にスキャニングを行なうことにより独立したパルスの出力が可能となるように二重化された回路を有しており、二重化されたフィードバック信号を出力する。そのため、フィードバック処理部41は、エンコーダ3から二重化されたフィードバック信号を受けるとともに、それらのフィードバック信号に基づいて二重化されたフィードバック値を生成する。そして、フィードバック処理部41は、その生成された二重化されたフィードバック値をモータ制御部42に送るとともに、安全制御部50にも送る。
[0030]
 次に、モータ制御部42は、標準PLC5から動作指令信号を受けるとともに、フィードバック処理部41からフィードバック値を受ける。モータ制御部42は、動作指令信号およびフィードバック値に基づいて、位置フィードバック制御、速度フィードバック制御を実行するための指令値を生成する。なお、当該フィードバック制御で採用されるフィードバック方式は、モータ2が組み込まれる機械装置(搬送装置等)の所定の目的(例えば、荷物の搬送)に好適なサーボループが形成される方式であり、適宜設計することができる。そして、モータ制御部42で生成されたこれらの指令値は、駆動信号として遮断部43に送られる。
[0031]
 次に、遮断部43は、後述する安全制御部50から遮断信号を受けた場合において、後述する駆動部44にモータ制御部42からの駆動信号を電気的に通過させないことで、駆動部44を停止させる。これによりモータ制御部42が駆動信号を送出したとしても、モータ2によるトルクの出力が停止される。一方、遮断部43に遮断信号が入力されない場合には、遮断部43はモータ制御部42から出力された指令値を伴う駆動信号をそのまま駆動部44に通過させる。
[0032]
 ここで駆動部44は、遮断部43を介して、モータ制御部42からの駆動信号を受ける。駆動部44は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体スイッチング素子で構成される回路を有しており、モータ制御部42からの駆動信号に基づいて、スイッチング素子をPWM方式に従ってオン・オフさせるための信号を生成するとともに、その信号に従ってスイッチング素子をオン・オフさせる。これによりモータ2に交流電力が供給されるとともに、駆動信号に従ってモータ2が駆動される。一方、遮断部43が作動し駆動信号の駆動部44への伝達が遮断されると、駆動部44からの出力がオフに固定される。これによりモータ2への電力供給が停止されるので、モータ2からのトルクの出力が停止され、ワークの動作が停止することになる。
[0033]
 このようにフィードバック処理部41、モータ制御部42、遮断部43、駆動部44は、いわばモータ2の駆動制御に直接関連する機能部である。一方で、安全制御部50は、モータの制御状態を監視し、その制御状態が好ましくない状態にある場合にはモータ2の動作を停止させて当該動作に対する安全を確保する機能部である。安全制御部50により監視される制御状態は、適宜設定することができるが、本明細書では、当該制御状態の一つとしてモータ2により駆動制御されるワークの位置を採用し、ワークの位置を監視し当該位置が所定の監視範囲に属していない場合は、安全上の問題が生じておりモータ2を停止させる必要があるとの考えの下、安全制御部50は遮断部43に対して遮断信号を送るように構成される。
[0034]
 安全制御部50は、判断部51と遮断指示部52を有している。安全制御部50による位置監視に関する制御は、安全PLC6からの監視指令に基づいて実行される。判断部51は、モータ2が有するエンコーダ3からの信号に基づいてワークの位置(以下、「ワーク位置」という)を算出するとともに、ワーク位置が所定の監視範囲に属しているか否かを判断する機能部である。具体的には、判断部51は、フィードバック処理部41から二重化されたフィードバック値を受け取り、それよりワーク位置を算出する。なお、このとき算出されるワーク位置を表すための基準となる原点位置は、後述する設定部60により設定される。また、所定の監視範囲とは、安全上ワーク位置が属すべき範囲であり、モータ2によるワーク動作等を考慮して適宜設定できる。ワーク位置が当該所定の監視範囲から外れることは、モータ2によるワークの駆動制御において安全上好ましくない状態になり得ることを意味する。
[0035]
 そして、判断部51によってワーク位置が所定の監視範囲に属していないと判断された場合には、遮断指示部52により遮断信号が生成され、生成された遮断信号は遮断部43に対して送られる。当該遮断信号を受け取った遮断部43は、上記の通りモータ制御部42からの駆動信号の駆動部44への伝達を遮断することで、モータ2によるトルク出力を停止させる。なお、このような安全制御部50による制御状態(ワーク位置の監視結果等)は、安全PLC6からの監視指令に対する回答の形で安全PLC6に通知される。
[0036]
 次に、設定部60について説明する。設定部60は、取得部61と算出部62を有する。設定部60は、安全制御部50による位置監視を行うための原点設定を行う機能部であり、取得部61及び算出部62はこの原点設定に関連する処理を行う機能部である。センサ70は、ワークの可動範囲において、モータ2によりワークが駆動されることで当該ワークが所定位置に到達したことを検出するためのセンサである。センサ70による検出信号では、ワークの所定位置への近接に対応して「立ち上がり」が生じ、また、ワークの所定位置からの離間に対応して「立ち下がり」が生じる。例えば、センサ70においてワークが所定位置に存在しないときにHigh、存在しているときにLowが出力される場合には、検出信号の立ち上がりは、HighからLowへの変化を表し、検出信号の立ち下がりは、LowからHighへの変化を表す。逆に、センサ70においてワークが所定位置に存在しないときにLow、存在しているときにHighが出力される場合、検出信号の立ち上がりは、LowからHighへの変化を表し、検出信号の立ち下がりは、HighからLowへの変化を表す。そして、取得部61は、このセンサ70による検出信号での立ち上がりと立ち下がりを取得する。なお、本明細書では、サーボドライバ4にセンサ70が2つ含まれる場合には、各センサを区別するために70a、70bの参照番号を付し、含まれるセンサが1つの場合や各センサを区別する必要が無い場合には70の参照番号を付す。
[0037]
 次に、算出部62は、取得部61によって取得された、センサ70の検出信号の立ち上がりと立ち下がりとに基づいて算出される、ワーク位置に関連する第1位置情報と、その第1位置情報とは異なるが同じようにワーク位置に関連する第2位置情報とを利用して、安全制御部50による位置監視のための原点位置を算出する機能部である。ここで、第1位置情報は、センサ70の検出信号の立ち上がりと立ち下がりとに基づいて算出されることから、ワークの所定位置への到達に関連する2つの情報、すなわち所定位置への近接と所定位置からの離間に関連する2つの情報が考慮された、ワーク位置を示す情報と言える。換言すると、第1位置情報は、常にワークの所定位置への近接と所定位置からの離間が考慮されて決定される情報であるから、ワークがどの方向から所定位置に到達したかに影響されにくい情報と言える。そして、算出部62は、この第1位置情報と、ワーク位置に関連する情報ではあるが第1位置情報とは異なるものであり互いに独立した情報である第2位置情報とを利用して、位置監視のための原点を算出する。このように第2位置情報は、第1位置情報と互いに補い合うことで原点の算出を可能とする位置情報であり、第2位置情報として採用できる複数の位置情報の態様については後述する。
[0038]
 そして、算出部62によって算出された原点は、設定部60によって安全制御部50に対して引き渡されて、そこで実行されるワークの位置監視のための位置を画定するための原点として利用される。このように、サーボドライバ4では、設定部60により設定された原点は、原点設定のためのワークの動き(所定位置への到達方向)に影響されにくいものでありその位置精度は比較的高い。このため、仮にエンコーダ3の安全性能が相対的に低いものであっても、サーボドライバ4による安全性能自体を高めることができ、以て、より簡素な構成で、モータ2により駆動制御されるワーク位置の監視に関する安全性能が高められることになる。
[0039]
 <第1の構成例>
 ここで、上記判断部51及び遮断指示部52を有する安全制御部50による位置監視処理について、図3に基づいて説明する。図3に示す位置監視処理は、安全制御部50を形成する演算装置(MPU等)により、例えば、指令値が生成される制御周期(例えば、2msec)で繰り返して実行される。S101では、判断部51が、モータ2によって制御駆動されるワークの位置が取得される。具体的には、フィードバック処理部41から受け取る演算値、すなわちエンコーダ3からのフィードバック信号に基づいて算出される情報を用いて、判断部51はワーク位置を算出する。このとき、ワーク位置は、設定部60によって設定される原点を基準として決定されることになる。S101の処理が終了すると、S102へ進む。
[0040]
 S102では、判断部51により、S101で取得されたワーク位置が所定の監視範囲に属しているか否かが判定される。所定の監視範囲については上述の通りである。S102で肯定判定されると、位置監視処理が終了される。このとき、遮断指示部52による遮断信号の出力は行われない。一方で、S102で否定判定されるとS103へ進む。S103では、遮断指示部52により遮断信号が生成され、生成された遮断信号は遮断部43に対して送られる。これにより、モータ2によるトルク出力を停止させる。
[0041]
 次に、上記位置監視処理を実現するために必要な、位置監視のための原点を設定する処理(原点設定処理)について、図4に基づいて説明する。図4に示す原点設定処理は、安全制御部50を形成する演算装置(MPU等)により、例えば、サーボドライバ4に電源投入されて立ち上げられたタイミングで実行される。また、本構成例では、サーボシステムには2つのセンサ70a、70bが含まれる。センサ70a、70bは、リミットスイッチであって、それぞれは、モータ2によるワークの可動範囲の一方及び他方のリミット位置に対応して配置される。本構成例では、一方のリミット位置に対応するセンサは第1センサ70aとされ、他方のリミット位置に対応するセンサは第2センサ70bとされる。したがって、モータ2によってワークが一方のリミット位置から他方のリミット位置に移動したとき、図5Aの上段に示すように、先ず、第1センサ70aの検出信号SOPT1においてワークの到達が検出され、その後、第2センサ70bの検出信号SOPT2においてワークの到達が検出される。このとき、第1センサ70aの検出信号のHighからLowへの遷移、及びLowからHighへの遷移がそれぞれds11、ds12と参照され、第2センサ70bの検出信号のHighからLowへの遷移、及びLowからHighへの遷移がそれぞれds21、ds22と参照される。なお、HighからLowへの遷移が、検出信号の立ち上がりとされ、LowからHighへの遷移が検出信号の立ち下がりとされる。また、リミットスイッチである第1センサ70aと第2センサ70bとは十分に離間しているため、第1センサ70aの検出信号のON時間(立ち上がりds11から立ち下がりds12までの期間)Δt1は、第2センサ70bの検出信号のON時間(立ち上がりds21から立ち下がりds22までの期間)Δt2とは重ならない状態となっている。
[0042]
 先ず、S201では、原点設定のための、モータ2の所定の駆動制御が行われる。具体的には、ワーク位置が一方のリミット位置から他方のリミット位置に、すなわち第1センサ70a側から第2センサ70b側へ一定速度で推移するように、モータ2の駆動制御が行われる。当該駆動制御により、図5Aの下段に示すように、ワークが駆動制御により一方のリミット位置に到達したとき、時間t11に、第1センサ70aによる検出信号SOPT1の立ち上がりds11が生成され、その後、時間t12(t12>t11)に、第1センサ70aによる検出信号SOPT1の立ち下がりds12が生成される。その後、ワークが駆動制御により他方のリミット位置に到達したとき、時間t21に、第2センサ70bによる検出信号SOPT2の立ち上がりds21が生成され、その後、時間t22(t22>t21)に、第2センサ70bによる検出信号SOPT2の立ち下がりds22が生成される。なお、図5Aの下段に示すグラフは、横軸は時間を表し縦軸はワークの位置を表すことで、ワークの推移を線L1で表している。
[0043]
 次に、S202では、モータ2の駆動制御が行われている間に、第1センサ70aによる検出信号と第2センサ70bによる検出信号の取得が行われる。具体的には、ワークが一方のリミット位置に到達したときに、取得部61により第1センサ70aによる検出信号SOPT1の立ち上がりds11とその立ち下がりds12が取得される。その後、ワークが移動し他方のリミット位置に到達したときに、取得部61により第2センサ70bによる検出信号SOPT2の立ち上がりds21とその立ち下がりds22が取得される。
[0044]
 ここで、第1センサ70aによる検出信号SOPT1の立ち上がりds11及び立ち下がりds12を取得するときには、ワーク移動に連続性が求められる。立ち上がりds11が発生し、その後に立ち下がりds12が発生するまでの間に、ワークが折り返し動作(移動方向が反対方向となる動作)をしてしまうと、第1センサ70aによる検出信号の立ち上がりと立ち下がりが連続して出力されないことにより、ワークの動きに影響されにくい位置情報を取得することが困難となる。そこで、原点設定処理においてワークが所定の動作を行った場合には、検出信号SOPT1の立ち上がりds11及び立ち下がりds12の取得は行われない。この点について、図5Bに例示的に示す以下のケース1~ケース7に基づいて説明する。なお、当該ワーク移動の連続性に関しては、第2センサ70bによる検出信号SOPT2の立ち上がりds21及び立ち下がりds22の取得に対しても要求される。
[0045]
 図5Bには、ケース1~ケース6に対応して、6種類のワークの動作を例示している。図5Bにおいて、菱形記号はワークの初期位置を表し、白丸記号は検出信号の取得位置を表し、黒丸記号は一度取得された検出信号をキャンセルした位置を表している。クロス記号は検出信号の取得が認められない位置を表し、黒三角記号は、検出信号の取得が留保されている位置を表している。
[0046]
 ケース1では、ワークは一方のリミット位置から他方のリミット位置まで移動している。このとき、第1センサ70aによる検出信号SOPT1の立ち上がりds11及び立ち下がりds12が取得され、その後、第2センサ70bによる検出信号SOPT2の立ち上がりds21及び立ち下がりds22が取得される。
 ケース2では、ケース1とは逆にワークは他方のリミット位置から一方のリミット位置まで移動している。このときは、第2センサ70bによる検出信号SOPT2の立ち上がりds22及び立ち下がりds21が取得され、その後、第1センサ70aによる検出信号SOPT1の立ち上がりds12及び立ち下がりds11が取得される。
 ケース3では、一度、第2センサ70bによる検出信号SOPT2の立ち上がりds21及び立ち下がりds22が取得されたが、その後続いてワークの進行方向が反転し、ワークは他方のリミット位置から一方のリミット位置まで移動している。このときは、最初に取得された検出信号SOPT2の立ち上がりds21及び立ち下がりds22はキャンセルされ、その後の検出信号SOPT2の立ち上がりds22及び立ち下がりds21と、続く検出信号SOPT1の立ち上がりds12及び立ち下がりds11とが取得される。
 ケース4では、第1センサ70aによる検出信号SOPT1の立ち上がりds11に対応する位置と立ち下がりds12に対応する位置との間をワークの初期位置として、ワークの移動が行われる。そのため、最初の検出信号SOPT1の立ち下がりds12については取得は認められない。なお、その後のワーク動作に伴う検出信号の取得については、実質的にケース3と同様である。
 ケース5では、一方のリミット位置と他方のリミット位置との間をワークの初期位置として、ワークが先ず他方のリミット位置側に移動し、その後、一方のリミット位置側から初期位置に向かって移動する。このとき、第2センサ70bによる検出信号SOPT2の立ち上がりds21及び立ち下がりds22が取得され、続いて、第1センサ70aによる検出信号SOPT1の立ち上がりds11及び立ち下がりds12が取得される。
 ケース6では、一方のリミット位置と他方のリミット位置との間をワークの初期位置として、ワークが先ず他方のリミット位置側に移動するが、検出信号SOPT2の立ち上がりds21が発生した後であって、立ち下がりds22が発生する前にワークが折り返し動作を行った結果、立ち下がりds21が発生している。このように検出信号の遷移ds21とds22との間にワークが反転動作を行った場合には、立ち上がりds21と立ち下がりds21の取得は認められない。また、その後、ワークは一方のリミット位置側に移動し、検出信号SOPT1の立ち上がりds12が発生した後であって、立ち下がりds21が発生する前にワークが折り返し動作を行った結果、立ち下がりds12が発生している。このように検出信号の遷移ds12とds11との間にワークが反転動作を行った場合にも、立ち上がりds12と立ち下がりds12の取得は認められない。
[0047]
 S203では、第1センサ70aによる検出信号のSOPT1の立ち上がり及び立ち下がりの取得、及び第2センサ70bによる検出信号のSOPT2の立ち上がり及び立ち下がりの取得が成功したか否かが判定される。S203で肯定判定されるとS204へ進み、否定判定されると本原点設定処理を終了する。
[0048]
 S204では、取得された第1センサ70aによる検出信号のSOPT1の立ち上がり及び立ち下がりに基づいて第1位置情報が準備され、取得された第2センサ70bによる検出信号のSOPT2の立ち上がり及び立ち下がりに基づいて第2位置情報が準備される。第1位置情報及び第2位置情報の準備について、ワークがケース1に示すように移動したとき、すなわち各センサの検出信号が図5Aに示すように発生したときを例として説明する。この例では、ワークが一定速度で一定していることを考慮して、第1位置情報は、立ち上がりds11に対応する位置p11と、立ち下がりds12に対応する位置p12との中間点p10に対応する位置の情報とされる。同様に、第2位置情報は、立ち上がりds21に対応する位置p21と、立ち下がりds22に対応する位置p22との中間点p20に対応する位置の情報とされる。S204の処理が終了すると、S205へ進む。
[0049]
 S205では、S204で準備された第1位置情報と第2位置情報とに基づいて原点の算出が行われる。当該原点の算出は、算出部62によって行われる。具体的には、ワークが一定速度で一定していることを考慮して、第1位置情報が示す位置p10と第2位置情報が示す位置p20との中間位置ps0が原点として算出される。このようにして算出された原点は、S206の処理で設定部60により安全制御部50に引き渡されて、安全監視のための原点として設定される。
[0050]
 このように本原点設定処理においては、上記の第1位置情報及び第2位置情報は、検出信号の立ち上がりと立ち下がりの両者を考慮して算出されることから、ワークがどの方向から所定位置に到達したかに影響されにくく比較的精度の高い、ワークの位置を示す情報となり得る。このことは、仮にエンコーダ3の安全性能が相対的に低いものであっても、制御システムによる安全性能自体を高めることができることを意味する。この結果、制御システムとしてはより簡素な構成で、モータ2により駆動制御されるワークの位置監視に関する安全性能が高められることになる。
[0051]
 <変形例>
 上記の原点設定処理において、動作不良等の何らかの理由で、算出された原点位置が本来の位置からずれてしまい、安全制御部50によって不適切な位置監視処理が行われてしまうことを回避するために、第1センサ70aに関連する位置と第2センサ70bに関連する位置との間の距離の監視を、更に行ってもよい。具体的には、設定部60は、下記の第1条件及び第2条件のうち少なくとも一方が満たされない場合には、S205において原点が算出されたとしてもS206における原点の設定処理を行わない。
 第1条件:
 第1センサ70aからの検出信号SOPT1の立ち上がりds11に対応する位置p11と第2センサ70bからの検出信号SOPT2の立ち上がりds21に対応する位置p21との間の距離(p21-p11)が、所定の第1基準距離以下である。
 第2条件:
 第1センサ70aからの検出信号SOPT1の立ち下がりds12に対応する位置p12と第2センサ70bからの検出信号SOPT2の立ち上がりds22に対応する位置p22との間の距離(p22-p12)が、所定の第2基準距離以下である。
[0052]
 <第2の構成例>
 図4に示す原点設定処理が適用可能な実施形態の第2の構成例について、図6に基づいて説明する。本構成例でも、サーボシステムには2つの第1センサ70aと第2センサ70bが含まれるが、第1センサ70aは光電センサであって、第2センサ70bは近接センサである。そして、両センサは、ワークの可動範囲において互いに隣接した位置に設置されている。そのため、図6の上段に示すように、第1センサ70aの検出信号のON時間(立ち上がりds11から立ち下がりds12までの期間)Δt1の一部は、第2センサ70bの検出信号のON時間(立ち上がりds21から立ち下がりds22までの期間)Δt2と重なった状態となっている。
[0053]
 したがって、モータ2によってワークが図5Bのケース1のように移動したとき、図6の上段に示すように、先ず、第1センサ70aの検出信号SOPT1においてワークの到達が検出されてその立ち上がりds11が発生する。そして、検出信号SOPT1の立ち下がりds12の前に、第2センサ70bの検出信号SOPT2においてワークの到達が検出されてその立ち上がりds21が発生する。その後、検出信号SOPT1の立ち下がりds12、検出信号SOPT2の立ち下がりds22を順次迎えることになる。このような構成においても、原点設定処理のS203で肯定判定されると、続くS204では、ワークが一定速度で一定していることを考慮して、第1位置情報も、立ち上がりds11に対応する位置p11と、立ち下がりds12に対応する位置p12との中間点p10に対応する位置の情報とされる。同様に、第2位置情報も、立ち上がりds21に対応する位置p21と、立ち下がりds22に対応する位置p22との中間点p20に対応する位置の情報とされる。更に続くS205でも、ワークが一定速度で一定していることを考慮して、第1位置情報が示す位置p10と第2位置情報が示す位置p20との中間位置ps0が原点として算出され、S206の処理で設定部60により安全制御部50に引き渡されて、安全監視のための原点として設定される。
[0054]
 なお、本構成例においても、第1センサ70aによる検出信号SOPT1の立ち上がりds11及び立ち下がりds12を取得するとき、及び第2センサ70bによる検出信号SOPT2の立ち上がりds21及び立ち下がりds22を取得するときには、ワーク移動に連続性が求められる。したがって、図5Bに示したように、検出信号SOPT1又はSOPT2の立ち上がりと立ち下がりの間にワークが折り返し動作を行った場合、当該動作に関連する立ち上がり、立ち下がりの取得は許されない。また、上記の変形例で示した、第1センサ70aに関連する位置と第2センサ70bに関連する位置との間の距離の監視を、本構成例に適用してもよい。
[0055]
 このような本構成例においても、第1位置情報及び第2位置情報は、検出信号の立ち上がりと立ち下がりの両者を考慮して算出されることから、ワークがどの方向から所定位置に到達したかに影響されにくく比較的精度の高い、ワークの位置を示す情報となり得る。そのため、制御システムとしてはより簡素な構成で、モータ2により駆動制御されるワークの位置監視に関する安全性能が高められることになる。
[0056]
 <第3の構成例>
 図4に示す原点設定処理が適用可能な実施形態の第3の構成例について、図7に基づいて説明する。本構成例では、サーボシステムには1つの第1センサ70が含まれるが、第1センサ70は光電センサ又は近接センサであってよい。また、エンコーダ3はその内部にメモリを有し、原点位置を表す情報(原点位置情報)が予めそこに格納されている。そして、モータ2によってワークが図5Bのケース1のように移動したとき、図7の上段に示すように、先ず、第1センサ70の検出信号SOPT1においてワークの到達が検出されてその立ち上がりds11が発生し、その後、その立ち下がりds12を迎える。
[0057]
 このような構成において、原点設定処理のS203で肯定判定されると、続くS204では、ワークが一定速度で一定していることを考慮して、第1位置情報は、立ち上がりds11に対応する位置p11と、立ち下がりds12に対応する位置p12との中間点p10に対応する位置の情報とされる。一方で、第2位置情報については、エンコーダ3のメモリに格納されている原点位置情報が、第2位置情報とされる。なお、当該第2位置情報(原点位置情報)で示す原点位置は、図7においてはp20で表されている。
[0058]
 更に続くS205では、S204で準備された上記の第1位置情報と第2位置情報とを比較しその比較結果に基づいて原点の算出が行われる。具体的には、検出信号SOPT1の立ち上がりds11と立ち下がりds12とに基づいて算出された第1位置情報が示す位置p10が、第2位置情報が示す位置p20を基準としたときに所定の範囲内(p20を中心にΔp1の範囲内)に属している場合、すなわち、p20を基準としたときにp10とp20のずれが所定の範囲内に属している場合には、現実のワークにおける位置座標が第2位置情報を原点とする想定上の位置座標と実質的に合致していると判断できる。そこで、このような場合には、第2位置情報で示す位置p20が、S206の処理で設定部60により安全制御部50に引き渡されて、安全監視のための原点として設定されても、現実のワークにおける位置監視機能に好ましくない影響を及ぼすことは回避し得る。なお、第1位置情報は、上記の通りその検出信号SOPT1の立ち上がりds11と立ち下がりds12を利用して算出されているため、ワークの動きに影響されにくいものでありその位置精度は比較的高く、上記の原点設定の位置精度も高くなり得る。
[0059]
 なお、本構成例においても、第1センサ70による検出信号SOPT1の立ち上がりds11及び立ち下がりds12を取得するときには、ワーク移動に連続性が求められる。したがって、図5Bに示したように、検出信号SOPT1の立ち上がりと立ち下がりの間にワークが折り返し動作を行った場合、当該動作に関連する立ち上がり、立ち下がりの取得は許されない。
[0060]
 <付記1>
 モータ(2)により駆動制御される対象装置の制御状態を監視する制御システムであって、
 前記モータ(2)が有するエンコーダ(3)からの信号に基づいて前記対象装置の位置を算出し、該対象装置の位置が所定の監視範囲に属しているか否かについて判断する判断部(51)と、
 駆動部(44)から駆動電流を前記モータ(2)に供給するために該駆動部(44)へ送信される駆動信号の伝達を遮断する遮断部(43)と、
 前記判断部(51)により前記対象装置の位置が前記所定の監視範囲に属していないと判断されたときに、前記遮断部(43)を介して前記駆動信号の遮断処理を実行する安全制御部(50)と、
 前記所定の監視範囲のための原点を設定する設定部(60)と、
 前記対象装置の可動範囲において、前記モータにより該対象装置が駆動されることで該対象装置が所定位置に到達したときに、その到達を検出するための、少なくとも1つのセンサ(70,70a,70b)と、
 を備え、
 前記設定部(60)は、
 前記対象装置が前記モータ(2)によって所定の駆動制御されているときに、該対象装置の前記所定位置への到達に対応して前記少なくとも1つのセンサ(70,70a,70b)から出力される検出信号に関し、該対象装置の該所定位置への近接に対応する該検出信号の立ち上がりと、該対象装置の該所定位置からの離間に対応する該検出信号の立ち下がりと、を取得する取得部(61)と、
 前記検出信号の前記立ち上がりと前記立ち下がりに基づいて算出される、前記対象装置の位置に関連する第1位置情報と、該第1位置情報と異なる、該対象装置の位置に関連する第2位置情報とを利用して、前記原点を算出する算出部(62)と、
 を有する、制御システム。

符号の説明

[0061]
1     :ネットワーク
2     :モータ
3     :エンコーダ
4     :サーボドライバ
43    :遮断部
44    :駆動部
50    :安全制御部
51    :判断部
52    :遮断指示部
60    :設定部
61    :取得部
62    :算出部
70,70a,70b:センサ

請求の範囲

[請求項1]
 モータにより駆動制御される対象装置の制御状態を監視する制御システムであって、
 前記モータが有するエンコーダからの信号に基づいて前記対象装置の位置を算出し、該対象装置の位置が所定の監視範囲に属しているか否かについて判断する判断部と、
 駆動部から駆動電流を前記モータに供給するために該駆動部へ送信される駆動信号の伝達を遮断する遮断部と、
 前記判断部により前記対象装置の位置が前記所定の監視範囲に属していないと判断されたときに、前記遮断部を介して前記駆動信号の遮断処理を実行する安全制御部と、
 前記所定の監視範囲のための原点を設定する設定部と、
 前記対象装置の可動範囲において、前記モータにより該対象装置が駆動されることで該対象装置が所定位置に到達したときに、その到達を検出するための、少なくとも1つのセンサと、
 を備え、
 前記設定部は、
 前記対象装置が前記モータによって所定の駆動制御されているときに、該対象装置の前記所定位置への到達に対応して前記少なくとも1つのセンサから出力される検出信号に関し、該対象装置の該所定位置への近接に対応する該検出信号の立ち上がりと、該対象装置の該所定位置からの離間に対応する該検出信号の立ち下がりと、を取得する取得部と、
 前記検出信号の前記立ち上がりと前記立ち下がりに基づいて算出される、前記対象装置の位置に関連する第1位置情報と、該第1位置情報と異なる、該対象装置の位置に関連する第2位置情報とを利用して、前記原点を算出する算出部と、
 を有する、制御システム。
[請求項2]
 前記少なくとも1つのセンサは、前記対象装置の前記所定位置である第1所定位置への到達を検出する第1センサと、該対象装置の第2所定位置への到達を検出する第2センサとを含み、
 前記取得部は、前記第1センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりと、前記第2センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりとを取得し、
 前記算出部は、前記所定の駆動制御における前記対象装置の動きに応じて、前記第1センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりに基づいて前記第1位置情報を算出するとともに、前記第2センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりに基づいて前記第2位置情報を算出し、更に、該所定の駆動制御における該対象装置の動きに応じて該第1位置情報が示す位置と該第2位置情報が示す位置との間に位置する所定候補場所を前記原点として算出する、
 請求項1に記載の制御システム。
[請求項3]
 前記所定の駆動制御において、前記対象装置は一定速度で駆動され、
 前記算出部は、前記第1センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりの中間点に基づいて前記第1位置情報を算出するとともに、前記第2センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりの中間点に基づいて前記第2位置情報を算出し、更に、該第1位置情報が示す位置と該第2位置情報が示す位置との中間位置を前記所定候補場所とする、
 請求項2に記載の制御システム。
[請求項4]
 前記第1センサからの検出信号が立ち上がってから立ち下がるまでのON時間が、前記第2センサからの検出信号が立ち上がってから立ち下がるまでのON時間と重ならないように、前記第1所定位置が前記第2所定位置と離間している、
 請求項2又は請求項3に記載の制御システム。
[請求項5]
 前記第1センサからの検出信号が立ち上がってから立ち下がるまでのON時間の一部又は全部が、前記第2センサからの検出信号が立ち上がってから立ち下がるまでのON時間と重なるように、前記第1所定位置が前記第2所定位置と近接し、又は一致している、
 請求項2又は請求項3に記載の制御システム。
[請求項6]
 前記取得部は、
 前記所定の駆動制御において前記第1センサからの検出信号が立ち上がってから前記第1所定位置を通過するまでの間に前記対象装置が折り返し動作を行うと、該第1センサからの検出信号の立ち上がりと立ち下がりの取得を行わないように構成され、
 前記所定の駆動制御において前記第2センサからの検出信号が立ち上がってから前記第2所定位置を通過するまでの間に前記対象装置が折り返し動作を行うと、該第2センサからの検出信号の立ち上がりと立ち下がりの取得を行わないように構成される、
 請求項2から請求項5の何れか1項に記載の制御システム。
[請求項7]
 前記設定部は、前記第1センサからの検出信号の立ち上がりと前記第2センサからの検出信号の立ち上がりとに基づいて算出される第1確認用距離が所定の第1基準距離以下である第1条件と、前記第1センサからの検出信号の立ち下がりと前記第2センサからの検出信号の立ち下がりとに基づいて算出される第2確認用距離が所定の第2基準距離以下である第2条件とのうち、少なくとも一方が満たされない場合には、前記所定の監視範囲のための前記原点の設定は行わないように構成される、
 請求項2から請求項6の何れか1項に記載の制御システム。
[請求項8]
 前記少なくとも1つのセンサは、前記対象装置の前記所定位置への到達を検出する第1センサであり、
 前記エンコーダは、前記第2位置情報を格納し、
 前記取得部は、前記第1センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりを取得し、
 前記算出部は、前記所定の駆動制御における前記対象装置の動きに応じて、前記第1センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりに基づいて前記第1位置情報を算出し、更に、該第1位置情報と前記第2位置情報とを比較しその比較結果に基づいて該第2位置情報が示す位置を前記原点として算出する、
 請求項1に記載の制御システム。
[請求項9]
 前記所定の駆動制御において、前記対象装置は一定速度で駆動され、
 前記算出部は、前記第1センサからの検出信号の立ち上がり及び立ち下がりの中間点に基づいて前記第1位置情報を算出する、
 請求項8に記載の制御システム。
[請求項10]
 前記取得部は、
 前記所定の駆動制御において前記第1センサからの検出信号が立ち上がってから前記所定位置を通過するまでの間に前記対象装置が折り返し動作を行うと、該第1センサからの検出信号の立ち上がりと立ち下がりの取得を行わないように構成される、
 請求項8又は請求項9に記載の制御システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 6]

[ 図 7]