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1. WO2020110404 - MICROTUBE FOR PREPARING PARAFFIN BLOCK

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明 細 書

発明の名称 パラフィンブロック作製用マイクロチューブ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008  

課題を解決するための手段

0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030  

実施例

0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : パラフィンブロック作製用マイクロチューブ

技術分野

[0001]
 本発明は、パラフィンブロック作製用マイクロチューブに関する。

背景技術

[0002]
 形態観察において、観察対象となる微生物、植物または動物などの組織や細胞等の構造を保持させながら標本スライドを作製する際に、パラフィンを用いて組織や細胞等を包埋してパラフィンブロックを作製する方法が広く用いられている。
[0003]
 例えば、特許文献1は、識別可能な断面形状を有する柱状体を有するパラフィンブロックを開示している。該パラフィンブロックをスライスすると、薄片の中に該柱状体の色や断片形状の識別形状が形成され、その結果、標本を取り違えるといったトラブルを解消することを発明の効果としている。
[0004]
 また、特許文献2は、顕微鏡標本作成用カセット本体の底面部に検体を包埋したパラフィンが付着しているパラフィンブロックが開示されている。該パラフィンに継ぎ目がないため、スライスする際に割れたり剥離したりするトラブルを解消することを発明の効果としている。
[0005]
 一方、パラフィンブロックからミクロトームを用いてパラフィン切片を切り出し、該パラフィン切片をスライドガラスに付着させ、その後、脱パラフィン処理、抗原賦活化処理、ブロッキング処理、染色処理、封入処理等を行い、標本スライドを作製する方法が広く用いられており、標本スライドの作製方法についても様々な工夫がされている。
[0006]
 例えば、特許文献3は、パラフィンブロックを用いた生体試料標本の作製方法を開示している。該作製方法では、パラフィンブロックに1以上の通孔をあけ、該通孔に組織を充填して包埋し、包埋された固形試料から薄切片を切り出してスライドガラスに付着させ、薄切片のパラフィンを除去して組織観察用薄切片を作製している。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2011-136128号公報
特許文献2 : 特開2015-129739号公報
特許文献3 : 特開2018-013050号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 パラフィンを用いて培養細胞のパラフィンブロックを作製する場合、パラフィンに培養細胞を均一に分散させることが、高い再現性を得るうえで必要になる。しかし、培養細胞の細胞塊を公知の方法でパラフィンに浸漬させると細胞塊が形状崩壊を起こし、培養細胞が均一に分散しなくなるため、再現性の高い結果を得られなかった。そのため、パラフィンブロック作製時に、培養細胞が均一に分散したパラフィンブロックを作製することが求められていた。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明は、上記課題を鑑みて完成されたものであり、例えば、以下[1]~[6]を含む。
[1]底部にパラフィンが充填されている、パラフィンブロック作製用マイクロチューブ。
[2]前記パラフィンの厚さが前記底部の底端部から1~10mmである、[1]に記載のパラフィンブロック作製用マイクロチューブ。
[3]前記底部が開口面を有し、前記パラフィンが前記開口面から露出している、[1]または[2]に記載のパラフィンブロック作製用マイクロチューブ。
[4][1]~[3]のいずれかに記載のパラフィンブロック作製用マイクロチューブを用いた、パラフィンブロック作製方法であって、
 前記パラフィンブロック作製用マイクロチューブに観察対象の細胞塊を充填する細胞充填工程と、
 前記細胞充填工程で充填した細胞塊を固定液で固定する細胞固定化工程と、
 前記細胞固定化工程で得られた固定した細胞塊を増粘多糖類で被覆して被覆化細胞を調製する被覆化工程と、
 前記被覆化工程で得られた被覆化細胞にゲル化剤を反応させて、被覆化細胞の周囲にゲルの膜を形成させる膜形成工程を含む、パラフィンブロック作製方法。
[5]前記増粘多糖類が、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、カラギーナンからなる群から選択される少なくとも一つである、[4]に記載のパラフィンブロック作製方法。
[6]前記ゲル化剤が、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一つである、[4]または[5]に記載のパラフィンブロック作製方法。

発明の効果

[0010]
 本発明のパラフィンブロック作製用マイクロチューブによれば、培養細胞のパラフィンブロック作製時に、培養細胞の細胞塊の形状崩壊が起こりにくく、均一な分散性を維持しながら培養細胞をパラフィンブロック中に包埋することができる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 図1は、本発明のパラフィンブロック作製用マイクロチューブの一実施形態を模式的に示した断面図である。
[図2] 図2は、本発明のパラフィンブロック作製用マイクロチューブの他の実施形態を模式的に示した断面図である。
[図3] 図3は、本発明のパラフィンブロック作製方法によって作製した、培養細胞SKBR3(HER2発現細胞)のパラフィンブロックから得られた薄切片をヘマトキシリン染色した標本スライドの顕微鏡写真である。
[図4] 図4は、比較例としてパラフィンが充填されていない従来のマイクロチューブによって作製した、培養細胞SKBR3(HER2発現細胞)のパラフィンブロックから得られた薄切片をヘマトキシリン染色した比較スライドの顕微鏡写真である。
[図5] 図5は、本発明のパラフィンブロック作製方法によって作製した、培養細胞SKBR3(HER2発現細胞)のパラフィンブロックの薄切片を、抗HER2抗体結合蛍光粒子を用いて免疫染色処理した標本スライドの、蛍光画像解析から求めた1細胞あたりの蛍光粒子数を示した棒グラフである。
[図6] 図6は、パラフィンが充填されていない従来のマイクロチューブを用いて作製した培養細胞SKBR3(HER2発現細胞)のパラフィンブロックの薄切片を、抗HER2抗体結合蛍光粒子を用いて免疫染色処理した比較スライドの、蛍光画像解析から求めた1細胞あたりの蛍光粒子数を示した棒グラフである。

発明を実施するための形態

[0012]
 本発明を、以下に詳細に説明する。本発明のパラフィンブロック作製用マイクロチューブは、マイクロチューブの底部にパラフィンが充填されていることを特徴とする。本発明のパラフィンブロック作製用マイクロチューブは、底部にパラフィンが充填されていればよい。本発明のパラフィンブロック作製用マイクロチューブを構成するパラフィン以外の部材としては、通常のマイクロチューブと同様の部材を用いることができ、特に限定されず、例えば公知のマイクロチューブそのものを使用することができる。以下パラフィンブロック作製用マイクロチューブを構成する、パラフィン以外の部材を単にマイクロチューブ部材と記す。
[0013]
 <マイクロチューブ部材>
 本発明のパラフィンブロック作製用マイクロチューブに使用するマイクロチューブ部材は、特に限定されず、公知のマイクロチューブ等を使用することができる。例えば、マイクロチューブ部材の内部形状が、開口部から底部上端まで円柱形状であり底部上端から底部下端が略円錐形状のものや(図1参照)、開口部から底部上端まで円柱形状であり底部上端から底部下端が略半球形状のもの、開口部から底部まで円柱形状のものが挙げられる。また、本発明のパラフィンブロック作製用マイクロチューブは、底部にパラフィンが充填されているため、マイクロチューブ部材自体は底部に開口面を有していてもよい。
[0014]
 マイクロチューブ部材の内部容量については、特に限定されないが、例えば0.1mL~5mLのものを使用することができる。操作性の観点から0.2mL~2mLのものが好ましく0.5mL~1.5mLのものがより好ましい。
[0015]
 マイクロチューブ部材の材質は、特に限定されず、公知のマイクロチューブに使用されている材質を使用することができる。材質としては、例えば、ポリプロピレン、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)のようなフッ素樹脂、ガラスが挙げられる。
[0016]
 マイクロチューブ部材のシリコンコーティングの有無、適用可能温度、オートクレーブの可否、遮光処理の有無、蓋の有無、蓋の形状は、自立式または非自立式については、後述する本発明のパラフィンブロックの製造方法に使用できる限り特に限定されない。
[0017]
 <パラフィン>
 本発明のパラフィンブロック作製用マイクロチューブに使用するパラフィンは、常温で固体の状態で、加熱により融解するパラフィンワックスであれば、特に制限されず、公知のもの使用することができる。例えば、精製パラフィン、組織透過性を高める目的でポリマーが添加されたパラフィン、半透明や着色されたパラフィンを使用することができる。パラフィンの融点は、特に制限されないが、操作性の観点から融点が40℃~70℃であるものが好ましく、60℃~65℃であるものがより好ましい。
[0018]
 <パラフィンブロック作製用マイクロチューブおよびその作製方法>
 本発明のパラフィンブロック作製用マイクロチューブは、上記パラフィンが上記マイクロチューブ部材に充填されているものであり、好ましくは該マイクロチューブ部材の底部の低端部から開口部への鉛直方向に1mm~10mmの厚さ、より好ましくは4mm~6mmの厚さで充填されているものである。
[0019]
 上記パラフィンブロック作製用マイクロチューブは、上記マイクロチューブ部材に固形のパラフィンを入れ、該パラフィンの融点以上に加熱してパラフィンを溶かしてマイクロチューブ部材の底部にパラフィンを集約させ、その後、融点以下に静置してパラフィンを固化させることで作製することができる。
[0020]
 また、本発明のパラフィンブロック作製用マイクロチューブは、マイクロチューブ部材の底部が開口面を有し、パラフィンブロックが該開口面から露出していてもよい(図2参照)。該開口面は円形または楕円形が好ましく、円形がより好ましい。開口面の直径(短径)は、特に限定されないが、2mm~10mmが好ましく、操作性の観点から3mm~9mmがより好ましく、4mm~8mmがさらに好ましい。パラフィンは、開口面に接して露出するのが好ましい。
[0021]
 このように、予め底部からパラフィンが露出している状態にあることで、後述するパラフィンブロック作製時に、細胞をマイクロチューブから取り出す際の操作が容易になる。
[0022]
 上記開口面を有するパラフィンブロック作製用マイクロチューブは、以下のようにして作製することができる。上記のようにしてパラフィンを充填することにより作製したパラフィンブロック作製用マイクロチューブの底部を、例えば、ハサミやカッターナイフなどの刃物を用いて切断して開口面を有するパラフィンブロック作製用マイクロチューブを作製する。また、予め底部に開口面を有するマイクロチューブ部材を作製しておき、開口面を剥離可能な膜や金属板などで蓋をしておいた後、パラフィンを入れて溶解および固化させ、最後に蓋を除くことで開口面を有するパラフィンブロック作製用マイクロチューブを作製することができる。
[0023]
 パラフィンブロック作製用マイクロチューブが有するパラフィンの上面に観察対象の培養細胞の細胞塊を載せ、パラフィンと細胞塊を後述する増粘多糖類で被覆し更にゲル化剤で膜形成させた後に、パラフィンを底部から、マイクロチューブの開口部に向けて押し出すことで、パラフィン、細胞等が一体となった状態で取り出すことができるようになる。
[0024]
 <パラフィンブロック作製方法>
 本発明のパラフィンブロック作製用マイクロチューブを用いて、以下のようにしてパラフィンブロックを作製することができる。
[0025]
 (1)細胞充填工程
 パラフィンブロック作製用マイクロチューブに、ピペットなどを用いてパラフィンブロック作製用マイクロチューブ、通常はマイクロチューブ内のパラフィン上に観察対象の細胞塊を充填する。その後、任意のバッファーで洗浄したあと、遠心分離を行って上清を除く操作を行ってもよい。
[0026]
 (2)細胞固定化工程
 上記細胞充填工程の後、充填した細胞塊を固定液で固定する。固定液は、特に制限されないが、例えば、ホルマリン、亜鉛ホルマリン、エタノール、エタノールとアセトンの混合液、ブアンが挙げられる。固定は常法に従って行うことができる。例えば、10%中性緩衝ホルマリンや4%パラホルムアルデヒドを用いる場合は、固定を8時間以上行い、亜鉛ホルマリンを用いる場合は、4~48時間固定を行う。
[0027]
 (3)被覆化工程
 上記細胞固定化工程後、固定した細胞塊を増粘多糖類で被覆して被覆化細胞を調製する。すなわち、細胞固定化工程で使用された固定液を除いたあと、固定した細胞塊とパラフィンを増粘多糖類で周囲を被覆する。増粘多糖類は、後述するゲル化剤と反応させて膜を形成するものであれば特に限定されない。増粘多糖類としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、カラギーナンが挙げられ、アルギン酸ナトリウムが好ましい。
[0028]
 被覆化に先立ち、パラフィンブロック作製用マイクロチューブの底部に開口面が無い場合は、上記のようにハサミやカッターナイフのような刃物で底部を切断して、パラフィンを開口面に露出させておくことが好ましい。パラフィンブロック作製用マイクロチューブの開口部から、パラフィン上面の固定した細胞塊に任意の濃度に希釈した増粘多糖類溶液を注ぎ入れる。その後、開口面の大きさより小さい棒状の部材、例えば、綿棒のようなもので開口面に露出したパラフィンを軽く上下させ、増粘多糖類溶液を細胞およびパラフィンの周囲に満遍なく行き渡らせて、細胞およびパラフィンを増粘多糖類で被覆することが好ましい。
[0029]
 (4)膜形成工程
 上記被覆化工程後、被覆化細胞にゲル化剤を反応させて、被覆化細胞の周囲にゲルの膜を形成させる。すなわち、パラフィンブロック作製用マイクロチューブにゲル化剤を加え、被覆した増粘多糖類と反応させて細胞塊およびパラフィンの周囲にゲル状の膜を形成させる。ゲル化剤は、増粘多糖類と反応してゲルを形成するものであれば、特に限定されない。ゲル化剤としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムが挙げられる。上記被覆化工程と膜形成工程を交互に行い、重畳的なゲル膜で細胞とパラフィンの周囲に形成させることが好ましい。こうすることで、細胞塊が形状崩壊せずパラフィンと一体となったパラフィンブロックを、パラフィンブロック作製用マイクロチューブから取り出すことができる。
[0030]
 (5)任意工程
 上記パラフィンブロックから、キシレンやリモネンのような置換溶剤を用いてパラフィン除去し、一度上記ゲル膜で固定された細胞塊だけにしたあと、再度パラフィンで該細胞塊を包埋しパラフィンブロックとすることが好ましい。
実施例
[0031]
 以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
 [実施例1]
 (1)パラフィンブロック作製用マイクロチューブの作製
 0.5mlのマイクロチューブ(製品番号:TBI-0501、Bio Rad製)に、パラフィンペレット(ティシュー テック パラフィンワックス;サクラファインテックジャパン製)を0.07g充填した。ドライヤーを用いて該マイクロチューブに温風を当て、マイクロチューブ内のパラフィンペレットを溶解させて底部に集めた。その後、マイクロチューブ用スタンドに立てた状態で、1時間以上常温で静置し、パラフィンブロック作製用マイクロチューブを作製した。パラフィンは底端部より5mmの厚さを有していた。
[0032]
 (2)細胞の充填および固定
 上記で作製したマイクロチューブの開口部から、SKBR3培養細胞懸濁液を1.0×10 7~3.0×10 7個/mLになるようにパラフィンの上部に充填した。ここに、ウシ胎児血清FBS(製品番号:SH30910.03、Hyclone製)を300μL加え、軽くピペッティング後、室温で10分間静置した。1000×g、4℃で5分間遠心分離し、上清を除去した。ここに、10%中性緩衝ホルマリン溶液(製品番号:20211
 組織工程用;武藤化学株式会社製)を400μL添加し、冷蔵庫内で一晩静置し、パラフィンの上部に存在する培養細胞を固定した。
[0033]
 (3)アルギン酸ナトリウムによる被覆
 上記固定化したマイクロチューブを、1000×g、4℃で5分間遠心分離し、上清を除去した。チューブの底部の一部をはさみで切断し、パラフィンの切断面を露出させた。1%アルギン酸ナトリウム溶液を200μLチューブの開口部から200μL静かに添加した後、上記切断により露出したパラフィンの切断面を綿棒で押し上げて、アルギン酸ナトリウム溶液をマイクロチューブ底部まで行き渡らせて、パラフィンおよびその上部に存在する培養細胞(以下、「パラフィン細胞塊」と称す)を、アルギン酸ナトリウムで被覆した。
[0034]
 (4)塩化カルシウム溶液による膜形成
 上記被覆処理後、マイクロチューブ開口部から1M塩化カルシウム溶液を200μL添加したあと、上記切断により露出したパラフィンの切断面を綿棒で押し上げて、塩化カルシウム溶液をマイクロチューブ底部まで行き渡らせ、パラフィン細胞塊を被覆しているアルギン酸ナトリウムと反応させ、パラフィン細胞塊の周囲にアルギン酸カルシウムの膜が形成されたペレット(以下、「細胞ペレット」と称す)を作製した。該細胞ペレットを、細胞ペレットのパラフィン側が上部、細胞側が下になるように、マイクロチューブから1M塩化カルシウム溶液が入った容器に移し10分間静置した。該細胞ペレットを該容器から一度取り出して、1%アルギン酸ナトリウム溶液に潜らせ、再度細胞ペレットのパラフィン側が上部、細胞側が下になるように、1M塩化カルシウム溶液が入った容器に移し10分間静置し、再度アルギン酸カルシウムの膜を細胞ペレットに形成させた。
[0035]
 (5)パラフィンブロック化
 上記で得られた細胞ペレットをミリQ水で洗浄したあと、包埋用カセット(アジア器材製システムカセットII-M(6分画))に、細胞ペレットのパラフィン側が上に、細胞側を下にして置き、ミリQ水で湿らせたスポンジで細胞ペレットの周囲を覆い、包埋カセッテ用SUSフレームで蓋をして5分間静置した。
[0036]
 続いて、包埋用カセットをプロセッサー(製品番号:TISSUE-TEK VIP5ジュニア、サクラ精機株式会社製)の専用カゴにセットして、下記表1の条件で処理した。パラフィン工程は65℃で行った。
[0037]
[表1]


[0038]
 上記処理後、包埋装置(製品番号:TISSUE-TEK VIP5ジュニア、サクラ精機株式会社製)の待機用パラフィン槽へ、細胞ペレットのパラフィン側が上部、細胞側が下になるように包埋用カセットを移し、包埋装置の操作方法に従ってパラフィンブロックを作製した。作製したパラフィンブロックは冷却プレート上で1時間以上置いてパラフィンを固化させた。
[0039]
 [比較例]
 本発明のパラフィンを充填したマイクロチューブの代わりに、パラフィンを充填していないマイクロチューブを使用したこと以外、上記実施例1と同様にして比較例のパラフィンブロックを作製した。その際、マイクロチューブ底部の細胞塊およびその周囲を覆っているゲル膜の部分がハサミで切断されることになったため、細胞塊およびゲルの形状が崩れてしまった。
[0040]
 [作製例]
 上記実施例および比較例で作製したパラフィンブロックから、以下のようにして蛍光粒子で染色した標本スライドを作製した。
 (1)蛍光粒子の作製
 蛍光色素としてSulfo Rhodamin101(シグマアルドリッチ社製)14.4mgを22mLの水に溶解させた。ここに、乳化重合用乳化剤であるエマルゲン(登録商標)430(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王株式会社製)の5%水溶液を2mL添加した。これを撹拌しながら70℃まで昇温させた後、メラミン樹脂原料ニカラックMX-035(日本カーバイド工業株式会社製)を0.65g加えた。
[0041]
 この溶液に、ドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学株式会社製)の10%水溶液を1000μL添加し、70℃で50分間撹拌した。その後、90℃まで昇温させ20分間撹拌し、蛍光粒子の分散液を得た。
[0042]
 (2)蛍光粒子へ抗体の導入
 下記の方法により、上記蛍光粒子に抗HER2抗体を結合させた。
 まず、上記分散液から遠心分離によって回収した蛍光粒子1mgを5mLの純水に分散させ、これに100μLのアミノプロピルトリエトキシシラン水分散液(製品番号:LS-3150、信越化学工業株式会社製)を添加して、室温で12時間撹拌した。
[0043]
 10000gで60分間遠心分離して上澄みを除去した後、エタノールを加えて沈殿物を分散させ再度遠心分離を行った。エタノールおよび純水を用いた同様の手順をそれぞれ1回行った。得られた粒子のFT-IR測定により、蛍光粒子にアミノ基が導入されたのを確認した。
[0044]
 アミノ基が導入された蛍光粒子を、2mMのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含有したPBSを用いて3nMに調製した。ここに、最終濃度が10mMになるようにSM(PEG)12(サーモフィッシャーサイエンティフィック製)を加えて撹拌し、蛍光粒子とSM(PEG)12を反応させ、蛍光粒子にマレイミド基を導入した。
[0045]
 上記反応液を10000×gで60分間遠心分離して上澄み液を除去した。2mMのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含有したPBSを加え、沈殿物を分散させ、再度遠心分離して上澄みを除去した。同様の手順を3回行った。その後、500μLのPBSを用いて沈殿物を再分散させ、マレイミド基が導入された蛍光粒子の分散液を得た。
[0046]
 100μgの抗HER2抗体を100μLのPBSに溶解させた。該溶解液に、1Mジチオトレイトール(DTT)を添加して、30分間反応させて還元化抗HER2抗体溶液を得た。
[0047]
 上記マレイミド基が導入された蛍光粒子分散液と還元化抗HER2抗体溶液とを、PBS中で混合し、1時間反応させた。4μLの10mMメルカプトエタノールを加えて反応を中止させた。反応液を10000×gで60分間遠心分離し上澄みを除去した。2mMのEDTAを含有したPBSを加えて沈殿物を再分散させ、再度遠心分離を行った。この操作を3回行った後、500μLのPBSを加えて抗HER2抗体が結合した蛍光粒子の分散液を得た。
[0048]
 (3)抗HER2抗体結合蛍光粒子を用いた免疫染色
 実施例および比較例で作製したパラフィンブロックから、ミクロトームを用いて4μMの薄切片を切り出してスライドに付着させ、実施例のパラフィンブロック由来の標本スライド、および比較例のパラフィンブロック由来の比較スライドを作製した。以下の方法によって、両スライドを上記で作製した抗HER2抗体が結合した蛍光粒子で免疫染色を行った。
[0049]
 該スライドをキシレンの入った容器に入れ、途中3回キシレンを交換しながら計30分間スライドをキシレンに浸漬させ、スライド上のパラフィンを除去した。次いで、該スライドを、エタノールの入った容器に入れ、途中3回エタノールを交換しながら計30分間スライドをエタノールに浸漬させ、キシレンをエタノールに置換した。続いて、該スライドを、純水の入った容器に入れ、途中3回純水を交換しながら計30分間スライドを純水に浸漬させ、エタノールを水に置換した。
[0050]
 続いて、該スライドを10mMクエン酸緩衝液(pH6.0)に30分間浸漬させたあと、121℃で10分間熱処理をして抗原の賦活化処理を行った。その後、PBSの入った容器に該スライドを30分浸漬させた後、スライド上の薄切片に1%BSA含有PBSを載せて、1時間放置してブロッキング処理を行った。
[0051]
 次いで、1%BSA含有PBSで抗HER2抗体結合蛍光粒子を0.02nMに調製した染色溶液を、スライド上の薄切片に載せて3時間反応させた。反応後、PBSの入った容器に該スライドを入れ30分間浸漬させた。該スライドを4%パラホルムアルデヒド溶液で10分間固定処理を行った後、ヘマトキシリン染色を行った。封入剤のAquatex(Merk Chemicals社製)を滴下しカバーガラスを載せて薄切片を封入し、免疫染色後の標本スライドおよび比較スライドを作製した。なお、上記標本スライドは、免疫染色日を6回に分け各回3枚ずつ作製した。同様に、上記比較スライドは免疫染色日を6回に分けて各回4~5枚ずつ作製した。
[0052]
 [評価]
 上記作製例で作製した標本スライドおよび比較スライドの明視野画像および蛍光画像を、Axio Imager M2(カールツァイス社製)を用いて取得した。標本スライド上の切片の代表的な明視野画像および比較スライド上の切片の代表的な明視野画像をそれぞれ図3および図4に示す。
[0053]
 蛍光画像の取得には、580nmの波長の励起光を照射し切片から発せられる610nmの波長の蛍光を結像して取得した。蛍光画像から、ジ-オングストローム社製の輝点計測ソフト「G-count」を用いて蛍光粒子数を計測した。その後、明視野画像と重ね合わせて細胞領域内の輝点数を算出して、標本スライドおよび比較スライドの各切片の細胞当たりの蛍光粒子数およびCV値(変動係数)を算出した。結果をそれぞれ図5および図6に示す。これより、本発明のパラフィンブロック作製方法により得られた薄切片の方が、比較例に比べてCV値が低く、分散性が改善されていることが示された。

請求の範囲

[請求項1]
 底部にパラフィンが充填されている、パラフィンブロック作製用マイクロチューブ。
[請求項2]
 前記パラフィンの厚さが前記底部の底端部から1~10mmである、請求項1に記載のパラフィンブロック作製用マイクロチューブ。
[請求項3]
 前記底部が開口面を有し、前記パラフィンが前記開口面から露出している、請求項1または2に記載のパラフィンブロック作製用マイクロチューブ。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれか一項に記載のパラフィンブロック作製用マイクロチューブを用いた、パラフィンブロック作製方法であって、
 前記パラフィンブロック作製用マイクロチューブに観察対象の細胞を充填する細胞充填工程と、
 前記細胞充填工程で充填した細胞を固定液で固定する細胞固定化工程と、
 前記細胞固定化工程で得られた固定した細胞を増粘多糖類で被覆して被覆化細胞を調製する被覆化工程と、
 前記被覆化工程で得られた被覆化細胞にゲル化剤を反応させて、被覆化細胞の周囲にゲルの膜を形成させる膜形成工程を含む、パラフィンブロック作製方法。
[請求項5]
 前記増粘多糖類が、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、カラギーナンからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項4に記載のパラフィンブロック作製方法。
[請求項6]
 前記ゲル化剤が、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項4または5に記載のパラフィンブロック作製方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]