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1. WO2020110300 - LACTIC ACID-PRODUCING TRANSFORMANT OF BACTERIUM OF GENUS HYDROGENOPHILUS

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明 細 書

発明の名称 乳酸を生成するヒドロゲノフィラス属細菌形質転換体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009  

先行技術文献

特許文献

0010  

非特許文献

0011  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0012  

課題を解決するための手段

0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017   0018   0019   0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039  

実施例

0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063  

産業上の利用可能性

0064  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 乳酸を生成するヒドロゲノフィラス属細菌形質転換体

技術分野

[0001]
 本発明は、乳酸生成能を有するヒドロゲノフィラス属細菌形質転換体、及びこの形質転換体を用いた乳酸の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 2015年採択のパリ協定は、世界全体の温室効果ガスの排出量を迅速に削減することを定めている。これに従い、日本は2030年までに、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス排出量を2013年に比べて26%削減することを目標としている。
[0003]
 世界的に化学品製造の大半は石油原料に依存しており、温室効果ガスの排出量増大といった問題を抱えている。従って、化学品製造の脱石油化が求められており、バイオマスからグリーン化学品を製造するバイオリファイナリーの研究開発が各国で精力的に行われている。しかしながら、微生物発酵の原料とするためのバイオマスの糖類への変換には複雑な工程が必要であり、高コストとなる課題がある。
[0004]
 脱石油化の研究の一環として、より高度のサステナビリティを有する炭素原料として二酸化炭素、メタン、一酸化炭素などのガスが注目されており、これらのガスを利用する微生物を用いた有価化学品やバイオ燃料を製造する技術に関心が寄せられている。中でも、温暖化への寄与率が高い二酸化炭素を固定して有効利用することへの期待が高い。
[0005]
 ここで、プラスチックゴミによる海洋汚染問題などを背景に、自然界の微生物により最終的に水と二酸化炭素に分解される生分解性プラスチックが注目されている。生分解性プラスチックは製造方法により、微生物系、天然物系、化学合成系の3種類に区分される。生分解性プラスチックの中で最も研究及び実用化が進んだポリ乳酸(PLA樹脂)は、生体内の代謝経路である解糖系の生成物である乳酸を原料とするため、微生物系と化学合成系の中間的な存在と位置付けられている。すなわち、微生物発酵により生成した乳酸を、精製し、化学的に重縮合して、ポリ乳酸を生産する。現行の微生物発酵による乳酸製造は、バイオマスを原料としており、前述した通り、バイオマスの糖類への変換には複雑な工程が必要であり、高コストとなる課題を抱えている。
 従って、微生物を用いて、より簡単な工程で乳酸を製造できる実用的な方法が求められている。中でも、二酸化炭素を固定して乳酸を製造できる実用的な方法が求められている。
[0006]
 微生物において、乳酸は、細胞内の重要代謝物であるピルビン酸から生成される。即ち、乳酸デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase)の触媒作用により、ピルビン酸から乳酸が生成する。
[0007]
 組換え微生物を用いて乳酸を製造する技術として、特許文献1は、酵母菌株に、ラクトバチルス ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)又はバチルス メガテリウム(Bacillus megaterium)由来の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入した形質転換体を用いて乳酸を製造する方法を開示している。
 特許文献2は、シゾサッカロミセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)に、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子として、ラクトバチルス ペントーサス(Lactobacillus pentosus)由来のLDH遺伝子を導入した形質転換体を用いて乳酸を製造する方法を開示している。
 特許文献3は、モーレラ サーモアセティカ(Moorella thermoacetica)に、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子として、サーモアナエロバクター シュードエタノリクス(Thermoanaerobacter pseudethanolicus)由来のldh遺伝子を導入した形質転換体を用いて乳酸を製造する方法を開示している。
 特許文献4は、ジオバチルス サーモグルコシダンス(Geobacillus thermoglucosidans)に、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子として、ラクトバチルス デルブリッキィ(Lactobacillus delbrueckii)由来のhdhD遺伝子又はldhA遺伝子を導入した形質転換体を用いて乳酸を製造する方法を開示している。
 非特許文献1は、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)に、ラクトバチルス カゼイ(Lactobacillus casei)由来の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入して得た形質転換体を用いて乳酸を生成する方法を教えている。
 しかし、これらの方法は、糖を炭素原料として用いて乳酸を生成する方法であって、二酸化炭素を炭素原料として用いて乳酸を生成する方法ではない。
[0008]
 また、非特許文献2は、シネコシスティス PCC6803株(Synechocystis sp. PCC6803)に、バチルス サブチリス(Bacillus subtilis)の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入して得た形質転換体を用いて乳酸を生成する方法を教えている。この方法は、光合成細菌であるシアノバクテリアを宿主として用い、炭酸水素ナトリウムを炭素源として用いて乳酸を製造する方法である。
 シアノバクテリアは、植物に比べると炭酸固定能力は高いが、十分な炭酸固定能力ではないため、シアノバクテリアを宿主として用いる方法は、工業的な乳酸製造方法として実用化されていない。
[0009]
 また、特許文献5は、ハイドロジェノバクター サーモフィラス(Hydrogenobacter themophilus)に、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子として、サーマス サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来のldh遺伝子を導入した形質転換体を用いて乳酸を製造する方法を開示している。
 ハイドロジェノバクター サーモフィラスは1.5時間で2倍に増殖する水素細菌であるが、十分な量の乳酸を生産するには通電を行う必要があり、ハイドロジェノバクター サーモフィラスを宿主として用いる方法は、工業的な乳酸製造方法として実用化されていない。

先行技術文献

特許文献

[0010]
特許文献1 : 特表2005-528106号
特許文献2 : 再表2014-030655号
特許文献3 : 特開2015-023854号
特許文献4 : 特表2017-523778号
特許文献5 : 特表2017-093465号

非特許文献

[0011]
非特許文献1 : Homofermentative production of D- or L-lactate in metabolically engineered Escherichia coli RR1. Chang DE, Jung HC, Rhee JS, Pan JG. Appl. Environ. Microbiol. (1999) 65:1384-1389
非特許文献2 : Engineering a cyanobacterial cell factory for production of lactic acid. Angermayr SA, Paszota M, Hellingwerf KJ. Appl. Environ. Microbiol. (2012) 78:7098-7106

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0012]
 本発明は、二酸化炭素を唯一の炭素源として利用して効率よく乳酸を製造することができるヒドロゲノフィラス属細菌形質転換体、及びこの形質転換体を用いて効率よく乳酸を製造する方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0013]
 ヒドロゲノフィラス属細菌は水素エネルギーを利用して二酸化炭素から有機物質を生成して生育する水素細菌である。一般的に水素細菌の生育速度は極めて遅いが、ヒドロゲノフィラス属細菌は生育速度が速く、植物や光合成細菌に比べて、炭酸固定能力が格段に高い。
 ヒドロゲノフィラス属細菌は、ピルビン酸から乳酸を生成する反応を触媒する酵素をコードするとして知られている乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子及びリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ(malate/lactate dehydrogenase)遺伝子を持たない。工業規模での乳酸生成能を付与するためには、乳酸を生成する反応を触媒する酵素の遺伝子を導入する必要がある。
[0014]
 本発明者は、ヒドロゲノフィラス属細菌内で機能するベクターを用いて異種遺伝子をヒドロゲノフィラス属細菌に導入しても、機能するタンパク質を発現しない又は十分には発現しない場合が多いことを見出した。ヒドロゲノフィラス属細菌以外の細菌内では活性を発現する遺伝子であっても、ヒドロゲノフィラス属細菌内では活性を発現しない又は十分には発現しない場合が多い。
 このような状況の下で、本発明者は、ヒドロゲノフィラス属細菌に、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、及び/又は乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入すると、ヒドロゲノフィラス属細菌内で機能して高活性を発現することを見出した。
 また、ヒドロゲノフィラス属細菌に、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、及び/又はリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入して得た形質転換体は、二酸化炭素を唯一の炭素源として用いて効率よく乳酸を生成することも見出した。
[0015]
 さらに、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の中では、パラジオバチルス サーモグルコシダシウス(Parageobacillus thermoglucosidasius)、ジオバチルス カウストフィラス(Geobacillus kaustophilus)、又はサーマス サーモフィラスの各ldh遺伝子、リンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の中では、サーマス サーモフィラスのmldh遺伝子、メイオサーマス ルバー(Meiothermus ruber)のmldh-1及びmldh-2遺伝子が、特にヒドロゲノフィラス属細菌内で高活性を発現することも見出した。
[0016]
 本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の形質転換体、及び乳酸の製造方法を提供する。
〔1〕 ヒドロゲノフィラス属細菌に、(a)乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、及び/又は(b)リンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入することにより得られる形質転換体。
〔2〕 (a)乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、下記(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)、又は(a6)のDNAである〔1〕に記載の形質転換体。
(b1)配列番号1、2、若しくは3の塩基配列からなるDNA
(b2)配列番号1、2、若しくは3と90%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAであり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b3)配列番号1、2、若しくは3と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b4)配列番号4、5、若しくは6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA
(b5)配列番号4、5、若しくは6と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b6)配列番号4、5、若しくは6のアミノ酸配列において、1個又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
〔3〕 (b)リンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、下記(b1)、(b2)、(b3)、(b4)、(b5)、又は(b6)のDNAである〔1〕又は〔2〕に記載の形質転換体。
(b1)配列番号7、8、若しくは9の塩基配列からなるDNA
(b2)配列番号7、8、若しくは9と90%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAであり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b3)配列番号7、8、若しくは9と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b4)配列番号10、11、若しくは12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA
(b5)配列番号10、11、若しくは12と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b6)配列番号10、11、若しくは12のアミノ酸配列において、1個又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
〔4〕 ヒドロゲノフィラス属細菌がヒドロゲノフィラス サーモルテオラスである〔1〕~〔3〕の何れかに記載の形質転換体。
〔5〕 〔1〕~〔4〕の何れかに記載の形質転換体を、二酸化炭素を実質的に唯一の炭素源として用いて培養する工程を含む乳酸の製造方法。

発明の効果

[0017]
 二酸化炭素の増加を抑制する対策として、二酸化炭素の排出量の低減と排出された二酸化炭素の固定がある。二酸化炭素の排出量を低減するために、化石エネルギーに代えて太陽、風力、地熱などのエネルギーの利用が行われている。しかし、現実には、このようなエネルギーの利用によっても二酸化炭素の増加を十分に抑制できていない。そこで、排出された二酸化炭素の固定又は資源化を進める必要がある。
 二酸化炭素は、物理的又は化学的に固定することもできるが、生物を利用して二酸化炭素を固定すれば、それにより食料、飼料、燃料などとして利用できる有機物を生産することができる。即ち、二酸化炭素そのものを資源として直接的に有価化学品に変換することができる。これにより、二酸化炭素の増加による地球温暖化と、食料、飼料、燃料の確保困難という2つの問題を共に解決できる。また、二酸化炭素の増加による地球温暖化を抑制しながら、需要のある化成品を製造することができる。
[0018]
 化成品の中でも生分解性プラスチックは、環境保護のために注目されている。二酸化炭素を固定化して製造された生分解性プラスチックは、環境中では微生物により水と二酸化炭素に分解される。即ち、カーボンニュートラルであり、二酸化炭素の増加による地球温暖化と、生活に必要なプラスチック製品の確保、海洋汚染などの環境問題を同時に解決できる。
[0019]
 ここで、水素細菌は、水素と酸素の反応によって生じる化学エネルギーを利用し、二酸化炭素を唯一の炭素源として生育できる細菌であり、酸素、水素、及び二酸化炭素の混合ガスを原料として化学品を製造できるため、二酸化炭素を効率よく有機化することができ、また、単純な培地で培養することができる。一般的に水素細菌の生育は遅いが、水素細菌であるヒドロゲノフィラス属細菌は増殖速度が格段に速い。「三菱総合研究所報 No.34 1999」ではヒドロゲノフィラス属細菌を、『この増殖能力は植物の持つ炭酸固定能力とは比較出来ない程の高い効率であり、微生物の炭酸固定能力の高さを如実に物語っている』と評価している。
[0020]
 ヒドロゲノフィラス属細菌内で機能するベクターを用いて異種遺伝子をヒドロゲノフィラス属細菌に導入しても、機能するタンパク質が発現しない場合が多い。このような状況下で、本発明によれば、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、及び/又はリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子をヒドロゲノフィラス属細菌に導入することにより、ヒドロゲノフィラス属細菌内で機能し、乳酸を生成することができる。
 上記の通り、ヒドロゲノフィラス属細菌は、二酸化炭素固定能力を有する生物の中でも、特に優れた二酸化炭素固定能力を有するため、本発明の形質転換体を用いれば、工業的に、二酸化炭素を固定して乳酸を製造することができる。乳酸は、代表的な生分解性プラスチックであるポリ乳酸製造の原料となるため、本発明により、二酸化炭素を利用して、工業的にポリ乳酸を製造できる途が開かれた。

発明を実施するための形態

[0021]
 以下、本発明を詳細に説明する。
(1)乳酸生成能を有する形質転換体
 本発明は、宿主のヒドロゲノフィラス属細菌に、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、及び/又はリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入することにより得られる形質転換体を包含する。換言すれば、この形質転換体は、外来性の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、及び/又はリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を有する。リンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼは、乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素である。
 乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、又はリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入してもよく、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、及びリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入してもよい。また、2種以上の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子や、2種以上のリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入してもよい。
[0022]
 ヒドロゲノフィラス属細菌は、工業的に利用できる量の乳酸は生成しない。ヒドロゲノフィラス属細菌に異種微生物の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、及び/又はリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入することにより、ヒドロゲノフィラス属細菌内で機能し、高活性の乳酸デヒドロゲナーゼ、及び/又はリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼを発現し、得られた形質転換体は、二酸化炭素を唯一の炭素源として用いて効率よく乳酸を生成する。
[0023]
導入遺伝子
 乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子としては、乳酸生成効率が良い点で、パラジオバチルス サーモグルコシダシウスのldh遺伝子、ジオバチルス カウストフィラスのldh遺伝子、サーマス サーモフィラスのldh遺伝子が好ましい。
 パラジオバチルス サーモグルコシダシウスのldh遺伝子の塩基配列は配列番号1であり、ジオバチルス カウストフィラスのldh遺伝子の塩基配列は配列番号2であり、サーマス サーモフィラスのldh遺伝子の塩基配列は配列番号3である。
[0024]
 また、配列番号1、2、又は3の塩基配列からなるDNAと90%以上、中でも95%以上、中でも98%以上、中でも99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAも好ましく用いることができる。
 本発明において、塩基配列の同一性は、GENETYX ver.17(GENETYX 株式会社ゼネティックス製)により算出した値である。
[0025]
 また、配列番号1、2、又は3と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAも好ましく用いることができる。
 本発明において、「ストリンジェントな条件」は、6×SSCの塩濃度のハイブリダイゼーション溶液中、50~60℃の温度条件下、16時間ハイブリダイゼーションを行い、0.1×SSCの塩濃度の溶液中で洗浄を行う条件をいう。
[0026]
 また、配列番号4、5、又は6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNAも好ましく用いることができる。配列番号4は、パラジオバチルス サーモグルコシダシウスの乳酸デヒドロゲナーゼのアミノ酸配列であり、配列番号5は、ジオバチルス カウストフィラスの乳酸デヒドロゲナーゼのアミノ酸配列であり、配列番号6は、サーマス サーモフィラスの乳酸デヒドロゲナーゼのアミノ酸配列である。
[0027]
 さらに、配列番号4、5、又は6と90%以上、中でも95%以上、中でも98%以上、中でも99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAも好ましく用いることができる。
 本発明において、アミノ酸配列の同一性は、GENETYX ver.17(GENETYX 株式会社ゼネティックス製)により算出した値である。
[0028]
 また、配列番号4、5、又は6のアミノ酸配列において1個又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAも好ましく用いることができる。
 本発明において、複数個としては、1~5個、中でも1~3個、中でも1~2個、特に1個が挙げられる。
[0029]
 リンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子としては、乳酸生成効率が良い点で、サーマス サーモフィラスのmldh遺伝子、メイオサーマス ルバーのmldh-1及びmldh-2遺伝子が好ましい。
 サーマス サーモフィラスのmldh遺伝子の塩基配列は配列番号7であり、メイオサーマス ルバーのmldh-1遺伝子の塩基配列は配列番号8であり、メイオサーマス ルバーのmldh-2遺伝子の塩基配列は配列番号9である。
[0030]
 また、配列番号7、8、又は9の塩基配列からなるDNAと90%以上、中でも95%以上、中でも98%以上、中でも99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAや、配列番号7、8、又は9と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAも好ましく用いることができる。
[0031]
 また、配列番号10、11、又は12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNAも好ましく用いることができる。配列番号10は、サーマス サーモフィラスのリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ(Mldh)遺伝子がコードするアミノ酸配列であり、配列番号11は、メイオサーマス ルバーのリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ(Mldh-1)遺伝子がコードするアミノ酸配列であり、配列番号12は、メイオサーマス ルバーのリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ(Mldh-2)遺伝子がコードするアミノ酸配列である。
[0032]
 さらに、配列番号10、11、又は12と90%以上、中でも95%以上、中でも98%以上、中でも99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAや、配列番号10、11、又は12のアミノ酸配列において1個又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAも好ましく用いることができる。
[0033]
 本発明において、ポリペプチドが乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有することは、被験ポリペプチドを、NADHの共存下で、ピルビン酸と反応させ、340nmの吸光度の減少を検出することにより確認する。乳酸デヒドロゲナーゼは、ピルビン酸から乳酸を生成する。乳酸デヒドロゲナーゼがピルビン酸から乳酸を生成する際にNADHを消費するため、NADH量の減少を340nmの吸光度減少を指標に検出する。具体的には、実施例の項目に記載の方法を実施する。被験ポリペプチドが少しでも340nmの吸光度を減少させれば乳酸デヒドロゲナーゼ活性があると判定する。
[0034]
(2)形質転換体の製造方法
 次に、ヒドロゲノフィラス属細菌に、上記乳酸生成のための遺伝子を導入して形質転換体を得る方法について説明する。
宿主
 ヒドロゲノフィラス属細菌としては、ヒドロゲノフィラス サーモルテオラス(Hydrogenophilus thermoluteolus)、ヒドロゲノフィラス ハロラブダス(Hydrogenophilus halorhabdus)、ヒドロゲノフィラス デニトリフィカンス(Hydrogenophilus denitrificans)、ヒドロゲノフィラス ハルシ(Hydrogenophilus hirschii)、ヒドロゲノフィラス アイランディカス(Hydrogenophilus islandicus)、ヒドロゲノフィラス属細菌Mar3株(Hydrogenophilus sp. Mar3)が挙げられる。中でも、炭酸固定微生物としてトップレベルの生育速度ひいては炭酸固定能力を有する点で、ヒドロゲノフィラス サーモルテオラスが好ましい。
 ヒドロゲノフィラス属細菌は地球上のいたる所から簡単に分離できる。ヒドロゲノフィラス サーモルテオラスの好ましい株として、TH-1(NBRC 14978)株が挙げられる。ヒドロゲノフィラス サーモルテオラス TH-1(NBRC 14978)株は、炭酸固定微生物としてトップの生育速度を示す(1時間で2倍に増殖)〔Agricultural and Biological Chemistry, 41, 685-690 (1977)〕。ヒドロゲノフィラス サーモルテオラス NBRC 14978株は、ブダペスト条約の下で国際寄託されており、公に利用可能である。
[0035]
形質転換
 上記DNAを宿主に導入するためのプラスミドベクターは、ヒドロゲノフィラス属細菌内での自律複製機能を司るDNAを含めば良く、例えば、広宿主域ベクターであるpRK415(GenBank: EF437940.1)、pBHR1(GenBank: Y14439.1)、pMMB67EH(ATCC 37622)、pCAR1(NCBI Reference Sequence: NC_004444.1) 、pC194(NCBI Reference Sequence: NC_002013.1)、pK18mobsacB(GenBank: FJ437239.1)、pUB110(NCBI Reference Sequence: NC_001384.1)などが挙げられる。
 また、好ましいプロモーターとしては、tacプロモーター、lacプロモーター、trcプロモーター、又はOxford Genetics社OXB1、OXB11~OXB20の各プロモーターなどが挙げられ、好ましいターミネーターとしては、大腸菌rRNAオペロンのrrnB T1T2 ターミネーター、バクテリオファージλt0転写ターミネーター、T7 ターミネーターなどが挙げられる。
 形質転換は、塩化カルシウム法、リン酸カルシウム法、DEAE-デキストラン介在トランスフェクション法、電気パルス法などの公知の方法で行える。
[0036]
 ヒドロゲノフィラス属細菌は独立栄養条件で生育するが、従属栄養条件でも生育できるため、ヒドロゲノフィラス属細菌の宿主及び形質転換体の培養に用いる培地は、無機培地及び有機培地の何れであってもよい。糖、有機酸、アミノ酸などを含む有機培地を用いることができる。培地のpHは、6.2~8程度とすればよい。
 何れの場合も、水素、酸素、及び二酸化炭素を含む混合ガス、好ましくは水素、酸素、及び二酸化炭素からなる混合ガスを供給しながら培養すればよい。有機培地を使用する場合は、水素、酸素、及び二酸化炭素を含む混合ガス、例えば空気の通気で良い。二酸化炭素ガスを供給しない場合は、炭素源として炭酸塩を含む培地を用いればよい。混合ガスは、密閉された培養容器に封入又は連続供給して、振盪培養することで培地内に溶解させてもよく、培養容器を密閉型又は開放型とし、かつバブリングにより培地内に溶解させてもよい。
 供給ガス中の水素、酸素、二酸化炭素の容量比(水素:酸素:二酸化炭素)は、1.75~7.5:1:0.25~3が好ましく、5~7.5:1:1~2がより好ましく、6.25~7.5:1:1.5がさらにより好ましい。また、ヒドロゲノフィラス属細菌は好熱細菌であるため、培養温度は、35~55℃が好ましく、37~52℃がより好ましく、50~52℃がさらにより好ましい。
[0037]
(3)乳酸の製造方法
 上記説明したヒドロゲノフィラス属細菌形質転換体を用いて乳酸を製造するに当たっては、水素、酸素、及び二酸化炭素を含む混合ガスを供給しながら、無機培地又は有機培地を用いて形質転換体を培養すればよい。
 供給されるガスは、水素、酸素、及び二酸化炭素からなる混合ガスとすることが好ましいが、効率的に乳酸を生成できる範囲で異種ガスが混入していてもよい。
 ヒドロゲノフィラス属細菌は、水素をエネルギー源として、二酸化炭素を唯一の炭素源として生育できるため、特に、炭素源として実質的に二酸化炭素だけを用いて(特に、二酸化炭素だけを用いて)上記化合物を製造することにより、効率的に二酸化炭素を固定できる。従って、有機物や炭酸塩などの炭素源を含まない無機培地を用いること、即ち、実質的に二酸化炭素だけを炭素源として(特に、二酸化炭素だけを炭素源として)培養することが好ましい。「炭素源として実質的に二酸化炭素だけを用いる」ことは、不可避の量の他の炭素源が混入する場合も包含する。なお、二酸化炭素を供給せず、糖、有機酸、アミノ酸などの有機物や炭酸塩を含む培地を用いることもできる。
 培地のpHは、6.2~8が好ましく、6.4~7.4がより好ましく、6.6~7がさらにより好ましい。この範囲であれば、菌の生育及び混合ガスの培地中への溶解が良く、乳酸を効率よく製造できる。
[0038]
 バッチ培養の場合は、混合ガスを密閉された培養容器に封入して静置培養又は振盪培養すればよく、連続培養の場合は、混合ガスを密閉された培養容器に連続供給しながら振盪培養するか、又は密閉された培養容器を用いてバブリングにより混合ガスを培地内に導入しながら形質転換体を培養すればよい。混合ガスの培地中への溶解が良くなる点で振盪培養が好ましい。
 供給ガス中の水素、酸素、二酸化炭素の容量比(水素:酸素:二酸化炭素)は、1.75~7.5:1:0.25~3が好ましく、5~7.5:1:1~2がより好ましく、6.25~7.5:1:1.5がさらにより好ましい。この範囲であれば、菌の生育が良く、目的化合物を効率よく製造できる。
 混合ガス又は原料ガスの供給速度は、培地1 L当たり、10.5~60 L/時間、中でも10.5~40 L/時間、中でも10.5~21 L/時間とすればよい。この範囲であれば、形質転換体の生育が良く、目的化合物を効率よく製造できると共に、混合ガスの無駄が抑えられる。
 培養温度は、35~55℃が好ましく、37~52℃がより好ましく、50~52℃がさらにより好ましい。この範囲であれば、形質転換体の生育が良く、乳酸を効率よく製造できる。
[0039]
 上記のようにして培養することにより、培養液中に目的化合物である乳酸が生成される。培養液を回収することにより乳酸を回収できるが、さらに、公知の方法で乳酸を培養液から分離することもできる。そのような公知の方法として、沈殿法、蒸留法、電気透析法などが挙げられる。
実施例
[0040]
(1)プラスミドベクターの構築
 乳酸生成能付与のための遺伝子の導入に用いたプラスミドベクターの構築方法を、以下に説明する。
 先ず、広宿主域ベクターpRK415(GenBank: EF437940.1)〔Gene, 70, 191-197 (1998)〕を鋳型として、PCRを行った。テトラサイクリン遺伝子領域を除く残りのプラスミド領域のDNA断片を増幅すべく、下記の一対のプライマーを合成し、使用した。PCRは、ライフテクノロジーズ社製の「DNAサーマルサイクラー」を用い、反応試薬としてKOD FX Neo(東洋紡株式会社製)を用いて、常法により行った。

pRK415プラスミド配列増幅用プライマー
(a-1) 5’-CGT GGCCAACTA GGCCCAGCCAGATACTCCCGATC-3’(配列番号13)
(b-1) 5’-TGA GGCCTCATT GGCCGGAGCGCAACCCACTCACT-3’(配列番号14)
なお、プライマー(a-1)及び(b-1)には、SfiI制限酵素部位が付加されている。
[0041]
 ネオマイシン/カナマイシン耐性遺伝子(以下、「nptII」と言うことがある)配列を含有するプラスミドpK18mobsacB(GenBank: FJ437239.1)〔Gene, 145, 69-73 (1994)〕を鋳型として、常法によりPCRを行った。PCRに際して、nptII遺伝子配列を含むDNA断片を増幅するべく、下記の一対のプライマーを合成し、使用した。PCRは、ライフテクノロジーズ社製の「DNAサーマルサイクラー」を用い、反応試薬としてKOD FX Neo(東洋紡株式会社製)を用いて、常法により行った。

nptII遺伝子配列増幅用プライマー
(a-2) 5’-ctg GGCCTAGTT GGCCacgtagaaagccagtccgc-3’(配列番号15)
(b-2) 5’-tcc GGCCAATGA GGCCtcagaagaactcgtcaaga-3’(配列番号16)
なお、プライマー(a-2)及び(b-2)には、SfiI制限酵素部位が付加されている。
[0042]
 上記各PCRで生成した反応液を1%アガロースゲルを用いた電気泳動に供した結果、pRK415プラスミドを鋳型とした場合は約8.7-kbのDNA断片が検出され、nptII遺伝子を鋳型とした場合は約1.1-kbのDNA断片が検出された。
 このようにして調製したDNA断片をそれぞれ制限酵素SfiIで切断し、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製)を反応させてライゲーション液を得た。得られたライゲーション液で、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159-162 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン 50 μg/mLを含むLB寒天培地に塗布した。培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出した。このプラスミドDNAを制限酵素SfiIで切断し、挿入断片を確認した。この結果、pRK415プラスミドに由来する約2.0-kb及び3.0-kb及び3.7-kbのDNA断片に加え、nptII遺伝子配列の約1.1-kb DNA断片が認められた。
 構築されたプラスミドをpCYK01と命名した。
[0043]
(2)遺伝子発現用クローニングベクターの構築
(2-1)λt0ターミネーター配列のDNA断片の調製
 λt0ターミネーター配列のDNAを作成するため、下記の一対のプライマーを合成し、PCRに使用した。PCRは、ライフテクノロジーズ社製の「DNAサーマルサイクラー」を用い、反応試薬としてKOD FX Neo(東洋紡株式会社製)を用いて行った。各プライマー同士のエクステンションとするため、鋳型のDNAは含んでいない。

λt0ターミネーター配列調製用プライマー
(a-3) 5’-GC ATTAATCcttggactcctgttgatagatccagtaatgacctcagaactccatctggatttgttcagaacgctcggttgccg -3’(配列番号17)
(b-3) 5’-caccgtgcagtcgatgGATctggattctcaccaataaaaaacgcccggcggcaaccgagcgttctgaacaaatccagatggag -3’(配列番号18)
プライマー(a-3)及び(b-3)の3’側の塩基配列は互いに相補的になっている。

 生成した反応液を1%アガロースゲルを用いた電気泳動に供した結果、λt0ターミネーター配列に相当する、約0.13-kbのDNA断片が検出された。
[0044]
(2-2)tacプロモーター配列のDNA断片の調製
 tacプロモーターを含有するプラスミドpMAL-c5X(ニュー・イングランド・バイオラボ社製)を鋳型として、PCRを行った。PCRに際して、tacプロモーター配列を増幅するべく、下記の一対のプライマーを合成し、使用した。PCRは、ライフテクノロジーズ社製の「DNAサーマルサイクラー」を用い、反応試薬としてKOD FX Neo(東洋紡株式会社製)を用いて、常法で行った。

tacプロモーター配列増幅用プライマー
(a-4) 5’-TTATTGGTGAGAATCCAGATCCATCGACTGCACGGTGCACCAATGCTTCT-3’(配列番号19)
(b-4) 5’-gc aagcttggagtgatcatcgtATGCATATGCGTTTCTCCTCCAGATCCctgtttcctgtgtgaaattgt
-3’(配列番号20)

 生成した反応液を1%アガロースゲルを用いた電気泳動に供した結果、tacプロモーターに相当する約0.3-kbのDNA断片が検出された。
[0045]
(2-3)λt0ターミネーター及びtacプロモーター配列の導入
 上記(2-1)及び(2-2)で調製したDNA断片をアガロースゲルから切り出し、ゲルを凍結及び融解することで、ゲルからDNAを回収した。回収したλt0ターミネーター配列及びtacプロモーター配列に相当するDNA断片を混合して鋳型とし、オーバーラップエクステンションPCR(overlap extension PCR)を行った。オーバーラップエクステンションPCRに際しては、λt0ターミネーターの下流にtacプロモーターが連結したDNAを作成するべく、上記の(a-3)と(b-4)のプライマーの組み合わせを使用した。なお、鋳型DNA断片を増幅する際に用いたプライマーである(b-3)及び(a-4)の5’側の塩基配列は互いに相補的になっている。また、プライマー(a-3)及び(b-4)には、それぞれPshBI、HindIII制限酵素部位が付加されている。
 生成した反応液を1%アガロースゲルを用いた電気泳動に供した結果、λt0ターミネーターの下流にtacプロモーターが連結したDNAに相当する、約0.4-kbのDNA断片が検出された。
[0046]
 PCRにより増幅した、λt0ターミネーターの下流にtacプロモーターが連結した約0.4-kbのDNA断片及び上述のクローニングベクターpCYK01の約9.8-kbのDNA断片を、制限酵素PshBI及びHindIIIで切断し、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製)を用いて互いに結合させた。

 得られたライゲーション液で、塩化カルシウム法によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン 50 μg/mLを含むLB寒天培地に塗布した。培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出した。このプラスミドDNAを制限酵素PshBI及びHindIIIで切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCYK01の約9.6-kbのDNA断片に加え、λt0ターミネーターの下流にtacプロモーターが連結した約0.4-kbのDNA断片が認められた。
[0047]
(2-4)rrnB T1T2双方向ターミネーター(以下、「rrnBターミネーター」と言うことがある)の導入
 rrnBターミネーター配列を含有するプラスミドpMAL-c5X(ニュー・イングランド・バイオラボ社製)を鋳型として、PCRを行った。PCRに際して、rrnBターミネーター配列を増幅するべく、下記の一対のプライマーを合成し、使用した。PCRは、ライフテクノロジーズ社製の「DNAサーマルサイクラー」を用い、反応試薬としてKOD FX Neo(東洋紡株式会社製)を用いて、常法で行った。

rrnBターミネーター配列増幅用プライマー
(a-5) 5’-ctc gaattcactggccgtcgttttacaacgtcgtg-3’(配列番号21)
(b-5) 5’-CG CAATTGAGTTTGTAGAAACGCAAAAAGGCCATC-3’(配列番号22)
なお、プライマー(a-5)及び(b-5)には、それぞれ、EcoRI及びMunI制限酵素部位が付加されている。

 生成した反応液を1%アガロースゲルにより電気泳動に供した結果、rrnBターミネーター配列に相当する約0.6-kbのDNA断片が検出された。
[0048]
 上記のPCRにより増幅したrrnBターミネーター配列を含む約0.6-kbのDNA断片を制限酵素EcoRI及びMunIで切断し、上記(2-3)で作成した約10.0-kbのプラスミドのDNA断片を制限酵素EcoRIで切断し、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製)を用いて互いに結合させた。

 得られたライゲーション液で、塩化カルシウム法によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50 μg/mLを含むLB寒天培地に塗布した。培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、このプラスミドを制限酵素EcoRI及びMunIで切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記(2-3)のプラスミドの約10.0-kbのDNA断片に加え、rrnBターミネーター配列に相当する約0.6-kbのDNA断片が認められた。
 構築された遺伝子発現用クローニングベクターをpCYK21と命名した。
[0049]
(3)乳酸生成能を有する形質転換体
(3-1)乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子のクローニング
 パラジオバチルス サーモグルコシダシウス NBRC 107763、ジオバチルス カウストフィラス NBRC 102445、メイオサーマス ルバー NBRC 106122から、常法に従い、ゲノムDNAを抽出した。また、サーマス サーモフィラス HB8株(ATCC 27634)のゲノムDNAをタカラバイオ株式会社から購入した。
[0050]
 上記4種のゲノムDNAのそれぞれを鋳型として用いて、パラジオバチルス サーモグルコシダシウス、ジオバチルス カウストフィラス、及びサーマス サーモフィラスの各乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子ldh、およびサーマス サーモフィラス、メイオサーマス ルバーの各リンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子mldhを含むDNA断片をPCR法により増幅した。PCRには、以下のプライマーを用いた。PCRは、ライフテクノロジーズ社製の「DNAサーマルサイクラー」を用い、反応試薬としてKOD FX Neo(東洋紡株式会社製)を用いて、常法により行った。
[0051]
パラジオバチルス サーモグルコシダシウス ldh遺伝子増幅用プライマー
(a-6) 5’-TTA CATATGAAACAACAAGGCATGAATCGAGTAGC-3’(配列番号23)
(b-6) 5’-TTA GAATTCTTATTTTACATCATCAAAATAACGGG-3’(配列番号24)
なお、プライマー(a-6)にはNdeI制限酵素部位が付加されており、プライマー(b-6)にはEcoRI制限酵素部位が付加されている。

ジオバチルス カウストフィラス ldh遺伝子増幅用プライマー
(a-7) 5’-TTA CATATGAAAAACGGGAGAGGAAATCGGGTAGC-3’(配列番号25)
(b-7) 5’-TTA GAATTCTTACTGAGCAAAATAGCGCGCCAATA-3’(配列番号26)
なお、プライマー(a-7)には、NdeI制限酵素部位が付加されており、プライマー(b-7)には、EcoRI制限酵素部位が付加されている。

サーマス サーモフィラス ldh遺伝子増幅用プライマー
(a-8) 5’-TTA CATATGAAGGTCGGCATCGTGGGAAGCGGCAT-3’(配列番号27)
(b-8) 5’-TTA GAATTCCTAAAACCCCAGGGCGAAGGCCGCCT-3’(配列番号28)
なお、プライマー(a-8)には、NdeI制限酵素部位が付加されており、プライマー(b-8)には、EcoRI制限酵素部位が付加されている。

サーマス サーモフィラス mldh遺伝子増幅用プライマー
(a-9) 5’-tta CATATGAGGTGGCGGGCGGACTTCCTCTCGGC-3’(配列番号29)
(b-9) 5’-tta GAATTCTCAAGCATCGTCCCTCCAAGGCACGC-3’(配列番号30)
なお、プライマー(a-9)には、NdeI制限酵素部位が付加されており、プライマー(b-9)には、EcoRI制限酵素部位が付加されている。

メイオサーマス ルバー mldh-1遺伝子増幅用プライマー
(a-10) 5’-tta CATATGCAAGGCATTCCTGTGCAACAACTGCG-3’(配列番号31)
(b-10) 5’-tta GAATTCTTAAAGGCCCACCGCTTTAGCGGCCT-3’(配列番号32)
なお、プライマー(a-10)には、NdeI制限酵素部位が付加されており、プライマー(b-10)には、EcoRI制限酵素部位が付加されている。

メイオサーマス ルバー mldh-2遺伝子増幅用プライマー
(a-11) 5’-tta CATATGAGGGTTCCTTATCCCGTACTCAAGCA-3’(配列番号33)
(b-11) 5’-TTT GAATTCTCATCTTGTCCCTCCTCCTTGTAGAT-3’(配列番号34)
なお、プライマー(a-11)には、NdeI制限酵素部位が付加されており、プライマー(b-11)には、EcoRI制限酵素部位が付加されている。
[0052]
 生成した反応液を1%アガロースゲルを用いた電気泳動に供し、パラジオバチルス サーモグルコシダシウス、ジオバチルス カウストフィラス、及びサーマス サーモフィラスの各ldh遺伝子、サーマス サーモフィラスのmldh遺伝子、メイオサーマス ルバーのmldh-1及びmldh-2遺伝子について、それぞれ約1.0-kbのDNA断片が検出された。
[0053]
 上記PCRにより増幅したパラジオバチルス サーモグルコシダシウス、ジオバチルス カウストフィラス、及びサーマス サーモフィラスの各ldh遺伝子、サーマス サーモフィラスのmldh遺伝子、メイオサーマス ルバーのmldh-1及びmldh-2遺伝子をそれぞれ含む約1.0-kbのDNA断片及び上述のクローニングベクターpCYK21の約10.6-kbのDNA断片を、各々制限酵素NdeI及びEcoRIで切断し、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製)を用いて互いに結合させた。
[0054]
 得られた各ライゲーション液で、電気パルス法(エレクトロポレーション法)により、ヒドロゲノフィラス サーモルテオラス TH-1株(NBRC 14978)を形質転換し、カナマイシン 50 μg/mLを含むA固体培地〔(NH 4) 2SO 4 3.0 g、KH 2PO 4 1.0 g、K 2HPO 4 2.0 g、NaCl 0.25 g、FeSO 4・7H 2O 0.014 g、MgSO 4・7H 2O 0.5 g、CaCl 2 0.03 g、MoO 3 4.0 mg、ZnSO 4・7H 2O 28 mg、CuSO 4・5H 2O 2.0 mg、H 3BO 3 4.0 mg、MnSO 4・5H 2O 4.0 mg、CoCl 2・6H 2O 4.0 mg、寒天 15 gを蒸留水1 Lに溶解(pH 7.0)〕に塗布し、H 2:O 2:CO 2=7.5:1:1.5の混合ガスを封入したチャンバー内で、50℃にて60時間培養した。
 A固体培地上の各生育株をカナマイシン 50 μg/mLを含むA液体培地〔(NH 4) 2SO 4 3.0 g、KH 2PO 4 1.0 g、K 2HPO 4 2.0 g、NaCl 0.25 g、FeSO 4・7H 2O 0.014 g、MgSO 4・7H 2O 0.5 g、CaCl 2 0.03 g、MoO 3 4.0 mg、ZnSO 4・7H 2O 28 mg、CuSO 4・5H 2O 2.0 mg、H 3BO 3 4.0 mg、MnSO 4・5H 2O 4.0 mg、CoCl 2・6H 2O 4.0 mgを蒸留水1 Lに溶解(pH 7.0)〕5 mLの入った試験管に白金耳を用いて植菌し、試験管にH 2:O 2:CO 2=7.5:1:1.5の混合ガスを封入して、50℃で震盪培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出した。パラジオバチルス サーモグルコシダシウス、ジオバチルス カウストフィラス、及びサーマス サーモフィラスの各ldh遺伝子、サーマス サーモフィラスのmldh遺伝子、メイオサーマス ルバーのmldh-1及びmldh-2遺伝子をそれぞれ含む各プラスミドを制限酵素NdeI及びEcoRIで切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCYK21の約10.6-kbのDNA断片に加え、パラジオバチルス サーモグルコシダシウス、ジオバチルス カウストフィラス、及びサーマス サーモフィラスの各ldh遺伝子、サーマス サーモフィラスのmldh遺伝子、メイオサーマス ルバーのmldh-1及びmldh-2遺伝子それぞれの長さ約1.0-kbの挿入断片が認められた。
[0055]
 パラジオバチルス サーモグルコシダシウス ldh遺伝子を含むプラスミドをpC-Pth-ldh、ジオバチルス カウストフィラス ldh遺伝子を含むプラスミドをpC-Gka-ldh、サーマス サーモフィラス ldh遺伝子を含むプラスミドをpC-Tth-ldh、サーマス サーモフィラス mldh遺伝子を含むプラスミドをpC-Tth-mldh、メイオサーマス ルバー mldh-1遺伝子を含むプラスミドをpC-Mru-mldh1、メイオサーマス ルバー mldh-2遺伝子を含むプラスミドをpC-Mru-mldh2と命名した。
 各ヒドロゲノフィラス サーモルテオラス組換え株が有するプラスミドを表1に示す。
[0056]
[表1]


[0057]
(3-2)ヒドロゲノフィラス サーモルテオラスの乳酸生成遺伝子導入株における導入遺伝子発現の確認
 上記のようにして得た各乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子又はリンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子導入株をカナマイシン50 μg/mlを含むA液体培地5 mlの入った試験管に白金耳を用いて植菌し、H 2:O 2:CO 2=7.5:1:1.5の混合ガスを封入し、50℃にて20時間、振盪培養した。
 このようにして培養増殖された菌体を、遠心分離(4℃、15,000 rpm, 1分間) により回収した。超音波処理で菌体細胞を破砕した後、遠心分離(4℃、15,000 rpm, 5分間)により得た細胞破砕上清を粗酵素液として用い、以下の方法により乳酸デヒドロゲナーゼ活性を測定した。粗酵素液、50 mM 酢酸ナトリウム(sodium acetate) (pH 5.0)、 0.5 mM NADH、0.2 mM フルクトース-1,6-ビスリン酸(fructose 1,6-bisphosphate)、5 mM ピルビン酸ナトリウム(sodium pyruvate)を混合し、50℃で反応を行い、NADHに由来する340 nmの吸光度減少を追跡し、反応初速度を解析した。反応初速度とタンパク質濃度から比活性を算出した。1分間あたり、1μmolの乳酸を産生せしめる酵素量を1 U(Unit)と定義した。
[0058]
 この結果、表2に示すように、パラジオバチルス サーモグルコシダシウス ldh遺伝子を導入したLDH03株、ジオバチルス カウストフィラス ldh遺伝子を導入したLDH04株、サーマス サーモフィラス ldh遺伝子を導入したLDH05株、サーマス サーモフィラス mldh遺伝子を導入したMLDH01株、メイオサーマス ルバー mldh-1遺伝子を導入したMLDH02株、メイオサーマス ルバー mldh-2遺伝子を導入したMLDH03株の何れの形質転換体でも目的とする乳酸デヒドロゲナーゼ活性が認められた。
[0059]
[表2]


[0060]
(3-3)乳酸生成
 ヒドロゲノフィラス サーモルテオラスの乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子導入株をカナマイシン50 μg/mlを含むA液体培地に白金耳を用いて植菌し、H 2:O 2:CO 2=7.5:1:1.5の混合ガスを培養に伴い供給し、50℃にて30時間、振盪培養した。
 培養後、遠心分離(4℃、15,000 rpm、1分間) により得た培養上清の乳酸を定量したところ、表3に示すように、培地上清中に乳酸が生成していた。
[0061]
[表3]


[0062]
(4)寄託菌株
 ヒドロゲノフィラス サーモルテオラスLDH05株及びヒドロゲノフィラス サーモルテオラスMLDH02株を、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8(郵便番号292-0818)に寄託した。
 ヒドロゲノフィラス サーモルテオラスLDH05株の受託番号はNITE BP-02822であり、受託日は2018年11月14日である。また、ヒドロゲノフィラス サーモルテオラスMLDH02株の受託番号はNITE BP-02828であり、受託日は2018年11月21日である。
 従って、これらの菌株は公に利用可能である。
[0063]
 また、本明細書に記載した全ての菌株(ATCC株、及びNBRC株を含む)は、ブダペスト条約の下で国際寄託されているか、条件なく誰でも分譲を受けることができる機関が保有しているか、又は市販されており、公に利用可能である。

産業上の利用可能性

[0064]
 本発明の形質転換体は、二酸化炭素を唯一の炭素源として、乳酸を効率よく生成するため、二酸化炭素の増加による地球温暖化を解決しながら、生分解性プラスチックを効率よく製造することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 ヒドロゲノフィラス属細菌に、(a)乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、及び/又は(b)リンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入することにより得られる形質転換体。
[請求項2]
 (a)乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、下記(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)、又は(a6)のDNAである請求項1に記載の形質転換体。
(b1)配列番号1、2、若しくは3の塩基配列からなるDNA
(b2)配列番号1、2、若しくは3と90%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAであり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b3)配列番号1、2、若しくは3と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b4)配列番号4、5、若しくは6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA
(b5)配列番号4、5、若しくは6と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b6)配列番号4、5、若しくは6のアミノ酸配列において、1個又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
[請求項3]
 (b)リンゴ酸/乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、下記(b1)、(b2)、(b3)、(b4)、(b5)、又は(b6)のDNAである請求項1又は2に記載の形質転換体。
(b1)配列番号7、8、若しくは9の塩基配列からなるDNA
(b2)配列番号7、8、若しくは9と90%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAであり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b3)配列番号7、8、若しくは9と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b4)配列番号10、11、若しくは12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA
(b5)配列番号10、11、若しくは12と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b6)配列番号10、11、若しくは12のアミノ酸配列において、1個又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
[請求項4]
 ヒドロゲノフィラス属細菌がヒドロゲノフィラス サーモルテオラスである請求項1~3の何れかに記載の形質転換体。
[請求項5]
 請求項1~4の何れかに記載の形質転換体を、二酸化炭素を実質的に唯一の炭素源として用いて培養する工程を含む乳酸の製造方法。