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1. WO2020110271 - METHOD FOR PRODUCING BONDED OBJECT AND SEMICONDUCTOR DEVICE AND COPPER BONDING PASTE

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明 細 書

発明の名称 接合体及び半導体装置の製造方法、並びに接合用銅ペースト

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

非特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010  

課題を解決するための手段

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021  

発明の効果

0022  

図面の簡単な説明

0023  

発明を実施するための形態

0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081  

実施例

0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093  

符号の説明

0094  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 接合体及び半導体装置の製造方法、並びに接合用銅ペースト

技術分野

[0001]
 本発明は、接合体及び半導体装置の製造方法、並びに接合用銅ペーストに関する。

背景技術

[0002]
 半導体装置を製造する際、半導体素子とリードフレーム等(支持部材)とを接合させるため、さまざまな接合材が用いられている。半導体装置の中でも、150℃以上の高温で動作させるパワー半導体、LSI等の接合には、接合材として高融点鉛はんだが用いられてきた。近年、半導体素子の高容量化及び省スペース化により動作温度が高融点鉛はんだの融点近くまで上昇しており、接続信頼性を確保することが難しくなってきている。一方で、RoHS規制強化に伴い、鉛を含有しない接合材が求められている。
[0003]
 これまでにも、鉛はんだ以外の材料を用いた半導体素子の接合が検討されている。例えば、下記特許文献1には、銀ナノ粒子を低温焼結させ、焼結銀層を形成する技術が提案されている。このような焼結銀はパワーサイクルに対する接続信頼性が高いことが知られている(非特許文献1)。
[0004]
 さらに別の材料として、銅粒子を焼結させ、焼結銅層を形成する技術も提案されている。例えば、下記特許文献2には、半導体素子と電極とを接合するための接合材として、酸化第2銅粒子及び還元剤を含む接合用ペーストが開示されている。また、下記特許文献3には、銅ナノ粒子と、銅マイクロ粒子もしくは銅サブマイクロ粒子、あるいはそれら両方を含む接合材が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特許第4928639号
特許文献2 : 特許第5006081号
特許文献3 : 特開2014-167145号公報

非特許文献

[0006]
非特許文献1 : R. Khazaka, L. Mendizabal, D. Henry: J. ElecTron. Mater, 43(7), 2014,  2459-2466

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 上記特許文献1に記載の方法は、高い接続信頼性を得るには焼結銀層の緻密化が必須であるため、加圧を伴う熱圧着プロセスが必要となる。上記特許文献1では、5MPaで加圧しており、熱加圧装置による加圧が必要となり、このような熱圧着プロセスを行う場合、生産効率の低下、歩留まりの低下等の課題がある。さらに、銀ナノ粒子を用いる場合、銀による材料コストの著しい増加等が問題となる。
[0008]
 上記特許文献2に記載の方法は、酸化銅から銅に還元する際の体積収縮を熱圧着プロセスにより回避している。熱圧着プロセスで、酸化銅から銅に還元する際の厚み方向の体積収縮は回避可能だが、酸化銅粒子そのものが銅への還元時に体積収縮するため、面方向の体積収縮を抑えることは難しく、焼結銅層からなる接合層内部のクラックが問題となりうる。
[0009]
 上記特許文献3に記載の方法は、無加圧で焼結を行っているが、以下の点で実用に供するには未だ十分ではない。すなわち、銅ナノ粒子は酸化抑制及び分散性の向上のために保護剤で表面を修飾する必要があるが、銅ナノ粒子は比表面積が大きいため、銅ナノ粒子を主成分とする接合材においては表面保護剤の配合量が増える傾向にある。また、分散性を確保するために分散媒の配合量が増える傾向にある。そのため、上記特許文献3に記載の接合材は、保管又は塗工等の供給安定性のため、表面保護剤又は分散媒の割合を大きくしている。これにより焼結時の体積収縮が大きくなりやすく、また焼結後の緻密度が低下しやすい傾向にあり焼結体強度の確保が難しい。
[0010]
 本発明は、高圧での接合が不要でありながら、接合強度に優れた接合体を得ることができる、接合体の製造方法及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。本発明は更に、当該製造方法に適しており、かつ、塗布性に優れた接合用銅ペーストを提供することも目的とする。

課題を解決するための手段

[0011]
 本発明は、第一の部材、接合用銅ペースト、及び第二の部材がこの順に積層されている積層体を用意する工程と、接合用銅ペーストを、0.1~1MPaの圧力を受けた状態で焼結する工程と、を備え、接合用銅ペーストは、金属粒子及び分散媒を含有し、金属粒子の含有量が、接合用銅ペーストの全質量を基準として、50質量%以上であり、金属粒子が、金属粒子の全質量を基準として、95質量%以上のサブマイクロ銅粒子を含有する、接合体の製造方法を提供する。
[0012]
 本発明はまた、第一の部材、接合用銅ペースト、及び第二の部材がこの順に積層されている積層体を用意する工程と、接合用銅ペーストを、0.1~1MPaの圧力を受けた状態で焼結する工程と、を備え、第一の部材及び第二の部材の少なくとも一方は半導体素子であり、接合用銅ペーストは、金属粒子及び分散媒を含有し、金属粒子の含有量が、接合用銅ペーストの全質量を基準として、50質量%以上であり、金属粒子が、金属粒子の全質量を基準として、95質量%以上のサブマイクロ銅粒子を含有する、半導体装置の製造方法を提供する。
[0013]
 本発明の接合体の製造方法及び半導体装置の製造方法によれば、特別な熱加圧装置を用いること等による高圧での接合が不要であるにも関わらず、接合強度に優れた接合体及び半導体装置を得ることができる。このような効果が得られる理由としては、接合用銅ペーストにサブマイクロ銅粒子を用いることにより、サブマイクロ銅粒子の表面保護剤及び/又は接合用銅ペーストの分散媒に起因する焼結時の体積収縮を十分抑制することができることが挙げられる。焼結時の体積収縮が抑制されるために、接合用銅ペーストを高温下で焼結することが可能となり、結果として、焼結体強度の確保及び被着面との接合力向上が達成されると考えられる。また、この製造方法によれば、高価な銅ナノ粒子を主成分とする接合材を使用する場合に比べて、より安価で且つ安定的に接合体及び半導体装置を製造することができる。これにより、生産安定性を一層高めることが可能となる。
[0014]
 また、本発明の製造方法により製造される接合体は、熱伝導率に優れた銅の焼結体を備えることにより、部材の放熱性にも優れたものになり得る。
[0015]
 さらに、本発明の製造方法により得られる半導体装置は、十分な接合力を有し、熱伝導率及び融点が高い銅の焼結体を備えることにより、十分なダイシェア強度を有し、接続信頼性に優れるとともに、パワーサイクル耐性にも優れたものになり得る。
[0016]
 本発明はまた、金属粒子及び分散媒を含有し、金属粒子の含有量が、接合用銅ペーストの全質量を基準として、50質量%以上であり、金属粒子が、金属粒子の全量を基準として、95質量%以上のサブマイクロ銅粒子を含有する、接合用銅ペーストを提供する。
[0017]
 上記の接合用銅ペーストは、焼結時の体積収縮が起こりにくいため、高圧での加圧を行わなくとも、接合強度に優れた接合体を製造することができる。
[0018]
 金属粒子が、金属粒子の全質量を基準として、5質量%以下のマイクロ銅粒子を含有してもよい。
[0019]
 接合用銅ペーストにおいて接合用銅ペーストの25℃における粘度が0.8~40000Pa・sであってよい。これにより、塗布による製造を容易にしつつ、かつ、強度に優れた接合体又は半導体装置を得ることが可能となる。
[0020]
 接合用銅ペーストにおいて、分散媒が、アルコール類及びエーテル類からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。これにより、接合用銅ペーストの塗布性を更に優れたものとすることができる。
[0021]
 接合用銅ペーストにおいて、サブマイクロ銅粒子のアスペクト比が5以下であってもよい。これにより、加圧工程の際にサブマイクロ粒子が不均一な方向に並ぶことが抑制され、接合体にボイドが生ずることを抑制できる。

発明の効果

[0022]
 本発明によれば、高圧での接合が不要でありながら、接合強度に優れた接合体を得ることができる、接合体の製造方法及び半導体装置の製造方法を提供することができる。本発明によれば、更に、当該製造方法に適しており、かつ、塗布性に優れた接合用銅ペーストを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0023]
[図1] 一実施形態に係る接合体の製造方法を示す模式断面図である。
[図2] 一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。
[図3] 実施例1の接合体の断面のSEM像である。
[図4] 実施例2の接合体の断面のSEM像である。
[図5] 比較例3の接合体の断面のSEM像である。

発明を実施するための形態

[0024]
 以下、図面を適宜参照しながら、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
[0025]
<接合体の製造方法>
 図1は、一実施形態に係る接合体の製造方法を示す模式断面図である。一実施形態に係る接合体の製造方法は、第一の部材、接合用銅ペースト、及び第二の部材がこの順に積層されている積層体を用意する工程(用意工程)と、接合用銅ペーストを、0.1~1MPaの圧力を受けた状態で焼結する工程(焼結工程)と、を備える。
[0026]
[用意工程]
 用意工程は、一実施形態において、積層体を作製する工程であってよい。用意工程では、まず、図1(a)に示すように、第一の部材2、及び第二の部材3を用意する。
[0027]
(第一の部材及び第二の部材)
 第一の部材2及び第二の部材3としては、例えば、IGBT、ダイオード、ショットキーバリヤダイオード、MOS-FET、サイリスタ、ロジック、センサー、アナログ集積回路、LED、半導体レーザー、発信器等の半導体素子、リードフレーム、金属板貼付セラミックス基板(例えばDBC)、LEDパッケージ等の半導体素子搭載用基材、銅リボン、金属ブロック、端子等の給電用部材、放熱板、水冷板等が挙げられる。
[0028]
 第一の部材2及び第二の部材3は、後述する接合用銅ペーストと接する面2a,3aに金属を含んでいてもよい。金属としては、例えば、銅、ニッケル、銀、金、パラジウム、白金、鉛、錫、コバルト等が挙げられる。金属は、1種を単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。また、接合用銅ペーストと接する面2a,3aは、上記金属を含む合金であってもよい。合金に用いられる金属としては、上記金属の他に、亜鉛、マンガン、アルミニウム、ベリリウム、チタン、クロム、鉄、モリブデン等が挙げられる。焼結体と接する面に金属を含む部材としては、例えば、各種金属メッキを有する部材、ワイヤ、金属メッキを有するチップ、ヒートスプレッダ、金属板が貼り付けられたセラミックス基板、各種金属メッキを有するリードフレーム又は各種金属からなるリードフレーム、銅板、銅箔が挙げられる。
[0029]
 次に、図1(b)に示すように、第一の部材2及び第二の部材3の間に、接合用銅ペースト1を配置して、図1(c)に示すような、第一の部材2、接合用銅ペースト1、及び第二の部材3がこの順に積層されている積層体4を作製する。接合用銅ペースト1についての詳細は後述する。
[0030]
 積層体4を作製するためには、例えば図1(b)に示すように、第二の部材3の必要な部分に接合用銅ペースト1を設け、次いで接合用銅ペースト1上に第一の部材2を配置する。積層体4を作製する方法は図1(b)に示す方法に限られず、第一の部材2の必要な部分に接合用銅ペースト1を設け、接合用銅ペースト1が設けられた第一の部材2を第二の部材3上に配置してもよい。
[0031]
 接合用銅ペースト1を、第二の部材3又は第一の部材2の必要な部分に設ける方法としては、接合用銅ペーストを堆積させられる方法であればよい。このような方法としては、例えば、スクリーン印刷、転写印刷、オフセット印刷、ジェットプリンティング法、ディスペンサ、ジェットディスペンサ、ニードルディスペンサ、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、グラビアコータ、スリットコート、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、ステンシル印刷、ソフトリソグラフ、バーコート、アプリケータ、粒子堆積法、スプレーコータ、スピンコータ、ディップコータ、電着塗装等を用いることができる。
[0032]
 接合用銅ペースト1の厚みは、1μm以上1000μm以下であってもよく、10μm以上500μm以下であってもよく、50μm以上200μm以下であってもよく、10μm以上3000μm以下であってもよく、15μm以上500μm以下であってもよく、20μm以上300μm以下であってもよく、5μm以上500μm以下であってもよく、10μm以上250μm以下であってもよく、15μm以上150μm以下であってもよい。
[0033]
 第一の部材2を接合用銅ペースト1上に配置する方法、又は接合用銅ペースト1が設けられた第一の部材2を第二の部材3上に配置する方法は、例えば、チップマウンター、フリップチップボンダー、カーボン製又はセラミックス製の位置決め冶具等を用いてよい。
[0034]
(接合用銅ペースト)
 接合用銅ペースト1は、金属粒子及び分散媒を含有する。
[0035]
 金属粒子は、サブマイクロ銅粒子を、金属粒子の全質量を基準として、95質量%以上含有する。サブマイクロ銅粒子は良好な焼結性を有するため、銅ナノ粒子を主に用いた接合材にみられる高価な合成コスト、良好でない分散性、焼結後の体積収縮の低下等の課題を低減することができる。
[0036]
 本明細書において、サブマイクロ銅粒子は、体積平均粒径が0.12μm以上0.8μm以下の銅粒子である。
[0037]
 なお、本明細書において体積平均粒径とは、50%体積平均粒径を意味する。銅粒子の体積平均粒径を求める場合、原料となる銅粒子、又は接合用銅ペーストから揮発成分を除去した乾燥銅粒子を分散剤を用いて分散媒に分散させたものを、光散乱法粒度分布測定装置(例えば、ナノ粒子径分布測定装置(SALD-7500nano、株式会社島津製作所製))で測定する方法等により求めることができる。光散乱法粒度分布測定装置を用いる場合、分散媒としては、ヘキサン、トルエン、α-テルピネオール、純水等を用いることができる。
[0038]
 サブマイクロ銅粒子の体積平均粒径は、サブマイクロ銅粒子の合成コストの抑制、良好な分散性、表面処理剤の使用量の抑制といった効果が得られる観点から、好ましくは0.15μm以上、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.3μm以上であり、サブマイクロ銅粒子の焼結性を向上させる観点から、好ましくは0.6μm以下、より好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.45μm以下である。
[0039]
 サブマイクロ銅粒子の平均二次粒径は、0.12μm以上、又は0.15μm以上であってよく、0.8μm以下であってよい。本明細書におけるサブマイクロ銅粒子の平均二次粒径は、最大粒径であり、例えば、サブマイクロ銅粒子、又は接合用銅ペースト1から揮発成分を除去した乾燥銅粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察する方法により求められる。
[0040]
 サブマイクロ銅粒子の形状が球状でない場合は、以下の方法により平均二次粒径(最大粒径)を求めることができる。すなわち、銅粒子の粉末を、SEM用のカーボンテープ上にスパチュラで載せ、SEM用サンプルとする。このSEM用サンプルをSEM装置により10000倍で観察する。このSEM像の銅粒子に外接する長方形を画像処理ソフトにより作図し、長方形の長辺をその粒子の長径とする。この長径を最大粒径とする。
[0041]
 サブマイクロ銅粒子の形状は、特に限定されるものではない。サブマイクロ銅粒子の形状としては、例えば、球状、塊状、針状、フレーク状、略球状及びこれらの凝集体が挙げられる。分散性及び充填性の観点から、サブマイクロ銅粒子の形状は、球状、略球状、フレーク状であってもよい。サブマイクロ銅粒子は、接合用銅ペーストを焼結させた際にボイドの発生を抑制する観点からは、好ましくは球状又は略球状である。本明細書において、「フレーク状」とは、板状、鱗片状等の平板状の形状を包含する。
[0042]
 サブマイクロ銅粒子のアスペクト比は、分散性、充填性の観点、及び焼結後のボイドを抑制する観点から、好ましくは5以下である。サブマイクロ銅粒子のアスペクト比は、同様の観点から、より好ましくは3以下、更に好ましくは1.5以下である。本明細書において、「アスペクト比」とは、粒子の長辺/厚みを示す。粒子の長辺及び厚みの測定は、例えば、サブマイクロ銅粒子のSEM像から求めることができる。
[0043]
 サブマイクロ銅粒子は、特定の表面処理剤で処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、炭素数8~16の有機酸が挙げられる。炭素数8~16の有機酸としては、例えば、カプリル酸、メチルヘプタン酸、エチルヘキサン酸、プロピルペンタン酸、ペラルゴン酸、メチルオクタン酸、エチルヘプタン酸、プロピルヘキサン酸、カプリン酸、メチルノナン酸、エチルオクタン酸、プロピルヘプタン酸、ブチルヘキサン酸、ウンデカン酸、メチルデカン酸、エチルノナン酸、プロピルオクタン酸、ブチルヘプタン酸、ラウリン酸、メチルウンデカン酸、エチルデカン酸、プロピルノナン酸、ブチルオクタン酸、ペンチルヘプタン酸、トリデカン酸、メチルドデカン酸、エチルウンデカン酸、プロピルデカン酸、ブチルノナン酸、ペンチルオクタン酸、ミリスチン酸、メチルトリデカン酸、エチルドデカン酸、プロピルウンデカン酸、ブチルデカン酸、ペンチルノナン酸、ヘキシルオクタン酸、ペンタデカン酸、メチルテトラデカン酸、エチルトリデカン酸、プロピルドデカン酸、ブチルウンデカン酸、ペンチルデカン酸、ヘキシルノナン酸、パルミチン酸、メチルペンタデカン酸、エチルテトラデカン酸、プロピルトリデカン酸、ブチルドデカン酸、ペンチルウンデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプチルノナン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸、エチルシクロヘキサンカルボン酸、プロピルシクロヘキサンカルボン酸、ブチルシクロヘキサンカルボン酸、ペンチルシクロヘキサンカルボン酸、ヘキシルシクロヘキサンカルボン酸、ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸、オクチルシクロヘキサンカルボン酸、ノニルシクロヘキサンカルボン酸等の飽和脂肪酸;オクテン酸、ノネン酸、メチルノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、パルミトレイン酸、サビエン酸等の不飽和脂肪酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o-フェノキシ安息香酸、メチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、ペンチル安息香酸、ヘキシル安息香酸、ヘプチル安息香酸、オクチル安息香酸、ノニル安息香酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。有機酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。このような有機酸と上記サブマイクロ銅粒子とを組み合わせることで、サブマイクロ銅粒子の分散性と焼結時における有機酸の脱離性とを両立できる傾向にある。
[0044]
 表面処理剤の処理量は、サブマイクロ銅粒子の表面に一分子層~三分子層付着する量であってもよい。この量は、サブマイクロ銅粒子の表面に付着した分子層数(n)と、サブマイクロ銅粒子の比表面積(A )(単位m /g)と、表面処理剤の分子量(M )(単位g/mol)と、表面処理剤の最小被覆面積(S )(単位m /個)と、アボガドロ数(N )(6.02×10 23個)とから算出できる。具体的には、表面処理剤の処理量は、表面処理剤の処理量(質量%)={(n・A ・M )/(S ・N +n・A ・M )}×100%の式に従って算出される。
[0045]
 サブマイクロ銅粒子の比表面積は、乾燥させたサブマイクロ銅粒子をBET比表面積測定法で測定することで算出できる。表面処理剤の最小被覆面積は、表面処理剤が直鎖飽和脂肪酸の場合、2.05×10 -19/1分子である。それ以外の表面処理剤の場合には、例えば、分子モデルからの計算、又は「化学と教育」(上江田捷博、稲福純夫、森巌、40(2),1992,p114-117)に記載の方法で測定できる。表面処理剤の定量方法の一例を示す。表面処理剤は、接合用銅ペーストから分散媒を除去した乾燥粉の熱脱離ガス・ガスクロマトグラフ質量分析計により同定でき、これにより表面処理剤の炭素数及び分子量を決定できる。表面処理剤の炭素分割合は、炭素分分析により分析できる。炭素分分析法としては、例えば、高周波誘導加熱炉燃焼/赤外線吸収法が挙げられる。同定された表面処理剤の炭素数、分子量及び炭素分割合から上記式により表面処理剤量を算出できる。
[0046]
 表面処理剤の上記処理量は、0.07質量%以上2.1質量%以下であってもよく、0.10質量%以上1.6質量%以下であってもよく、0.2質量%以上1.1質量%以下であってもよい。
[0047]
 サブマイクロ銅粒子が表面処理剤で処理されている場合、表面処理がなされていない銅粒子(例えば酸化第二銅(CuO)、酸化第一銅(Cu O))を用いるよりも、焼結時の体積収縮が抑制され、接合強度をより一層高めることが可能となる。これは、分散媒と、酸化銅の還元に起因する焼結時の体積収縮が抑制されるためである。サブマイクロ銅粒子に含まれる炭素分は0.5~1質量%程度であり、焼結時の体積収縮は少なくなるため、表面処理剤に起因する焼結時の体積収縮が生じたとしても、接合体における接合強度を確保しやすい。
[0048]
 本実施形態に係るサブマイクロ銅粒子としては、市販されているものを用いることができる。市販されているサブマイクロ粒子としては、例えば、CH-0200(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.36μm)、HT-14(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.41μm)、CT-500(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.72μm)、Tn-Cu100(太陽日産株式会社製、体積平均粒径0.12μm)が挙げられる。
[0049]
 サブマイクロ銅粒子の含有量は、高圧での接合を行わなくとも接合強度に優れた接合体を得やすくする観点、及び接合用銅ペーストの塗布性により優れる観点から、金属粒子の全質量を基準として、95質量%以上である。サブマイクロ銅粒子の含有量は、同様の観点から、金属粒子の全質量を基準として、96質量%以上、98質量%以上、又は99質量%以上であってよく、100質量%であってもよい。特に、接合用銅ペーストを半導体素子の接合に用いる場合、サブマイクロ銅粒子の含有量が上記範囲内であれば、半導体装置が良好なダイシェア強度及び接続信頼性を示す傾向にある。
[0050]
 サブマイクロ銅粒子の含有量は、高圧での接合を行わなくとも接合強度に優れた接合体を得やすくする観点、及び接合用銅ペーストの塗布性により優れる観点から、接合用銅ペースト全量を基準として、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは92質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
[0051]
 金属粒子は、サブマイクロ銅粒子以外に、マイクロ銅粒子を更に含有してもよい。本明細書において、マイクロ銅粒子は、体積平均粒径が2μm以上50μm以下の銅粒子である。体積平均粒径の測定方法は、上述したサブマイクロ銅粒子における測定方法と同様である。
[0052]
 マイクロ銅粒子の含有量は、高圧での接合を行わなくとも接合強度に優れた接合体を得やすくする観点、及び接合用銅ペーストの塗布性により優れる観点から、金属粒子の全質量を基準として、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。金属粒子は、マイクロ銅粒子を含有しなくてもよい。
[0053]
 金属粒子は、上述した銅粒子以外の他の金属粒子を含んでいてもよく、例えば、亜鉛、ニッケル、銀、金、パラジウム、白金等の粒子を含んでいてもよい。その他の金属粒子は、体積平均粒径が0.01μm以上10μm以下であってもよく、0.01μm以上5μm以下であってもよく、0.05μm以上3μm以下であってもよい。その他の金属粒子を含んでいる場合、その含有量は、十分な接合性を得るという観点から、金属粒子の全質量を基準として、5質量%以下、3質量%以下、又は1質量%以下であってよい。その他の金属粒子は、含まれなくてもよい。その他の金属粒子の形状は、特に限定されるものではない。
[0054]
 銅粒子以外の金属粒子を含むことにより、複数種の金属が固溶又は分散した焼結体を得ることができるため、焼結体の降伏応力、疲労強度等の機械的な特性が改善され、接続信頼性が向上しやすい。また、複数種の金属粒子を添加することで、接合用銅ペースト1の焼結体は、特定の被着体に対して十分な接合強度を有することができる。接合用銅ペースト1を半導体素子の接合に用いる場合は半導体装置のダイシェア強度及び接続信頼性が向上しやすい。
[0055]
 金属粒子の含有量は、高圧での接合を行わなくとも接合強度に優れた接合体を得やすくする観点、及び接合用銅ペーストの塗布性により優れる観点から、接合用銅ペーストの全質量を基準として、50質量%以上である。金属粒子の含有量は、同様の観点から、接合用銅ペーストの全質量を基準として、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、接合用銅ペーストの塗布性に更に優れる観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下、特に好ましくは80質量%以下である。
[0056]
 分散媒は特に限定されるものではなく、揮発性のものであってもよい。揮発性の分散媒としては、例えば、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、α-テルピネオール、イソボルニルシクロヘキサノール(MTPH)等のアルコール類(一価及び多価アルコール類);エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン等のエステル類;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の酸アミド;シクロヘキサノン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;炭素数1~18のアルキル基を有するメルカプタン類;炭素数5~7のシクロアルキル基を有するメルカプタン類が挙げられる。炭素数1~18のアルキル基を有するメルカプタン類としては、例えば、エチルメルカプタン、n-プロピルメルカプタン、i-プロピルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン、i-ブチルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン及びドデシルメルカプタンが挙げられる。炭素数5~7のシクロアルキル基を有するメルカプタン類としては、例えば、シクロペンチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン及びシクロヘプチルメルカプタンが挙げられる。分散媒は、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
[0057]
 分散媒は、接合用銅ペースト1の塗布性を更に向上させる観点から、好ましくはアルコール類及びエーテル類からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、又はα-テルピネオール、MTPH、及びシクロヘキサノンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。分散媒は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びα-テルピネオールの混合物、又はα-テルピネオール及びMTPHの混合物であってもよい。
[0058]
 分散媒の含有量は、金属粒子100質量部に対して、5~50質量部であってよい。分散媒の含有量が上記範囲内であれば、接合用銅ペースト1をより適切な粘度に調整でき、また、銅粒子の焼結を阻害しにくくすることができる。
[0059]
 分散媒の含有量は、接合用銅ペースト1の塗布性を更に向上させる観点から、接合用銅ペーストの全質量を基準として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
[0060]
 接合用銅ペースト1は、金属粒子及び分散媒以外に、必要に応じて、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の濡れ向上剤;シリコーン油等の消泡剤;無機イオン交換体等のイオントラップ剤等を適宜添加してもよい。上述した表面処理剤を添加剤として添加してもよい。
[0061]
 接合用銅ペースト1の25℃における粘度は、接合体100の接合強度により優れる観点から、好ましくは0.8Pa・s以上、より好ましくは10Pa・s以上、更に好ましくは100Pa・s以上、特に好ましくは200Pa・s以上であり、接合用銅ペースト1の塗布性を更に向上させる観点から、好ましくは40000Pa・s以下、より好ましくは30000Pa・s以下、更に好ましくは10000Pa・s以下、特に好ましくは1000Pa・s以下である。粘度はCasson粘度を意味し、粘弾性測定装置を用いて測定することができる。接合用銅ペーストの粘度は、金属粒子及び分散媒の含有量を調整すること、又は分散媒の種類を適宜選択することにより調整することができる。
[0062]
 上述した接合用銅ペースト1は、例えば、上述のサブマイクロ銅粒子と、必要に応じてその他の材料とを分散媒に混合して調製することができる。各成分の混合後の分散液に、撹拌処理を行ってもよい。接合用銅ペースト1においては、分級操作により分散液の最大粒径を調整してもよい。このとき、分散液の最大粒径は10μm以下とすることができ、5μm以下とすることもできる。
[0063]
 接合用銅ペースト1がサブマイクロ銅粒子以外の金属粒子を含有する場合には、サブマイクロ銅粒子及び分散媒を予め混合して、分散処理を行って分散液を調製し、更に別の金属粒子及び任意の添加剤を混合して調製してもよい。このような手順とすることで、別の金属粒子及び任意の添加との混合性が良くなり、接合用銅ペーストの性能がより向上する。サブマイクロ銅粒子の分散液を分級操作によって凝集物を除去してもよい。
[0064]
 分散処理としては、例えば、薄層せん断分散機、ビーズミル、超音波ホモジナイザー、ハイシアミキサー、狭ギャップ三本ロールミル、湿式超微粒化装置、超音速式ジェットミル、超高圧ホモジナイザー、ディスパライザを用いた処理が挙げられる。
[0065]
 撹拌処理は、撹拌機を用いて行うことができる。撹拌機としては、例えば、自転公転型攪拌装置、ライカイ機、二軸混練機、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、薄層せん断分散機が挙げられる。また、撹拌処理は、乳鉢を用いて人力で撹拌処理を行ってもよい。その後に更に上記撹拌機を使って撹拌処理を行ってもよい。
[0066]
 分級操作は、例えば、ろ過、自然沈降、遠心分離を用いて行うことができる。ろ過用のフィルタとしては、例えば、金属メッシュ、メタルフィルター、ナイロンメッシュが挙げられる。
[0067]
 第二の部材3上、又は第一の部材2上に設けられた接合用銅ペースト1は、焼結時の流動及びボイドの発生を抑制する観点から、適宜乾燥させてもよい。乾燥時のガス雰囲気は大気中であってもよく、窒素、希ガス等の無酸素雰囲気中であってもよく、水素、ギ酸等の還元雰囲気中であってもよい。乾燥方法は、常温放置による乾燥であってもよく、加熱乾燥であってもよく、減圧乾燥であってもよい。加熱乾燥又は減圧乾燥には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉、熱板プレス装置等を用いることができる。乾燥の温度及び時間は、使用した分散媒の種類及び量に合わせて適宜調整してもよい。乾燥の温度及び時間としては、例えば、50℃以上180℃以下で1分間以上120分間以下であってよい。
[0068]
[焼結工程]
 続いて、図1(d)に示すように、積層体4における接合用銅ペースト1を、0.1~1MPaの圧力を受けた状態で焼結する。
[0069]
 焼結工程では、積層体4を、積層体4の積層方向、すなわち、図1(d)に矢印で示す方向に加圧すると共に、加熱する。積層体4の積層方向は、第一の部材2の自重が働く方向ということもでき、重力が働く方向ということもできる。
[0070]
 加圧の際の圧力は、0.1~1MPaである。これにより、高圧で加圧する必要がなくなり、更には歩留まりを向上させることができる。また、接合体におけるボイドを低減させることができ、ダイシェア強度をより一層向上させることもできる。圧力は、接合体におけるボイドを低減させることができ、ダイシェア強度を更に向上させる観点から、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上、更に好ましくは0.4MPa以上であり、接合用銅ペーストの歩留まりを更に向上させる観点から、好ましくは0.8MPa以下、より好ましくは0.7MPa以下、更に好ましくは0.6MPa以下である。
[0071]
 加熱処理時の到達最高温度は、第一の部材2及び第二の部材3への熱ダメージの低減及び歩留まりを向上させるという観点から、250℃以上450℃以下であってもよく、250℃以上400℃以下であってもよく、250℃以上350℃以下であってもよい。到達最高温度が、200℃以上であれば、到達最高温度保持時間が60分以下において焼結が十分に進行する傾向にある。
[0072]
 到達最高温度保持時間は、分散媒を全て揮発させ、また、歩留まりを向上させるという観点から、1分間以上120分間以下であってもよく、1分間以上80分間以下であってもよく、1分間以上60分間以下であってもよい。
[0073]
 積層体4の加圧及び加熱は、加熱処理装置と、加圧処理装置を組み合わせて用いてもよいし、加熱加圧処理装置を用いてもよい。加熱処理装置は、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉、真空はんだ付け装置、リフロー炉等を用いることができる。加圧処理装置は、カーボン、金属製の加圧治具、重り、ダブルクリップ等を用いることができる。より具体的には、例えば、加圧処理装置として重りを用い、加熱処理装置としてはバッチ式真空半田付装置(例えば、新港精機株式会社製)を組み合わせて用いることができる。
[0074]
 加熱加圧処理装置としては、熱板プレス装置(例えば、SIN200+(PINK GmbH Thermosysteme社製))、加熱ロールプレス等を用いることができる。
[0075]
 焼結時のガス雰囲気は、接合用銅ペースト1の焼結体、第一の部材及び第二の部材の酸化抑制の観点から、無酸素雰囲気であってもよい。焼結時のガス雰囲気は、接合用銅ペーストの銅粒子の表面酸化物を除去するという観点から、還元雰囲気であってもよい。無酸素雰囲気としては、例えば、窒素、希ガス等の無酸素ガスの導入、又は真空下が挙げられる。還元雰囲気としては、例えば、純水素ガス中、フォーミングガスに代表される水素及び窒素の混合ガス中、ギ酸ガスを含む窒素中、水素及び希ガスの混合ガス中、ギ酸ガスを含む希ガス中等が挙げられる。
[0076]
 接合用銅ペースト1を焼結することによって、図1(e)に示すように、第一の部材2、接合用銅ペーストの焼結体5、及び第二の部材3をこの順に備える接合体100を得ることができる。すなわち、一実施形態に係る接合体100は、第一の部材2と、第二の部材3と、第一の部材と第二の部材とを接合する接合用銅ペーストの焼結体5と、を備える。
[0077]
 接合体のダイシェア強度は、第一の部材及び第二の部材を十分に接合する観点から、10MPa以上、15MPa以上、20MPa以上、又は30MPa以上であってよい。ダイシェア強度は、万能型ボンドテスタ(例えば、DAGE社製の4000シリーズ)、ユニバーサルボンドテスタ(例えば、Royce Instruments社製のRoyce 650)等を用いて測定することができる。
[0078]
 接合用銅ペーストの焼結体の熱伝導率は、放熱性及び高温下での接続信頼性に優れる観点から、100W/(m・K)以上であってもよく、120W/(m・K)以上であってもよく、150W/(m・K)以上であってもよい。熱伝導率は、接合用銅ペーストの焼結体5の熱拡散率、比熱容量、及び密度から算出することができる。
[0079]
[半導体装置の製造方法]
 次に、半導体装置の製造方法を説明する。上述した接合体100の製造方法において、第一の部材及び第二の部材の少なくとも一方が半導体素子である場合、上述した接合体の製造方法により、半導体装置を製造することができる。すなわち、一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、上述した接合体の製造方法において、第一の部材及び/又は第二の部材を半導体素子に読み替えたものであり、第一の部材、接合用銅ペースト、及び第二の部材がこの順に積層されている積層体を用意する工程と、接合用銅ペーストを、0.1~1MPaの圧力を受けた状態で焼結する工程と、を備え、第一の部材及び前記第二の部材の少なくとも一方は半導体素子であり、接合用銅ペーストは、金属粒子及び分散媒を含有し、金属粒子の含有量が、前記接合用銅ペーストの全質量を基準として、50質量%以上であり、金属粒子が、前記金属粒子の全質量を基準として、95質量%以上のサブマイクロ銅粒子を含有する。
[0080]
 第一の部材及び/又は第二の部材に用いられる半導体素子は、例えば、ダイオード、整流器、サイリスタ、MOSゲートドライバ、パワースイッチ、パワーMOSFET、IGBT、ショットキーダイオード、ファーストリカバリダイオード等からなるパワーモジュール、発信機、増幅器、LEDモジュールなどであってよい。
[0081]
 図2は、本実施形態に係る製造方法によって得られる半導体装置の一例を示す模式断面図である。図3に示される半導体装置200は、第一の電極22及び第二の電極24を有する絶縁基板21と、第一の電極22上に上記接合用銅ペーストの焼結体5によって接合された半導体素子23と、半導体素子23と第二の電極24とを電気的に接続する金属配線25とを備える。金属配線25と半導体素子23、及び金属配線25と第二の電極24はそれぞれ接合用銅ペーストの焼結体5によって接合されている。また、半導体素子23は、ワイヤ27を介して第三の電極26に接続されている。半導体装置200は、絶縁基板21の上記電極等が搭載されている面とは反対側に、銅板28を備えている。半導体装置200は、上記構造体が絶縁体29で封止されている。半導体装置200は、第一の電極22上に半導体素子23を1個有しているが、2個以上有していてもよい。この場合、複数ある半導体素子23はそれぞれ接合用銅ペーストの焼結体5によって金属配線25と接合することができる。
実施例
[0082]
 以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[0083]
<接合用銅ペーストの調製>
 分散媒としてジエチレングリコールモノブチルエーテル(和光純薬工業株式会社製)0.9gと、サブマイクロ銅粒子としてCH-0200(三井金属鉱業株式会社製)9.1gとを、メノウ乳鉢で乾燥粉がなくなるまで混練し、得られた混合液をポリ瓶に移した。密栓をしたポリ瓶を、自転公転型撹拌装置(Planetary Vacuum Mixer ARV-310、株式会社シンキー製)を用いて、2000min -1(2000回転/分)で2分間撹拌した。この混合液を接合用銅ペースト1とした。
[0084]
 さらに、表1~3に示す組成に変更したこと以外は接合用銅ペースト1と同様の方法によって、接合用銅ペースト2~17を調製した。
[0085]
<粘度の測定>
 接合用銅ペースト1~17の25℃における粘度を、粘弾性測定装置(MCR102、アントンパール社製)を用いて測定した。測定条件としては、ギャップを0.2mm、ひずみ2%、周波数0.5Hzとした。測定開始から5分後の接合用銅ペーストの粘度を表1~3に示す。
[0086]
<接合体の製造>
 接合用銅ペースト1~17を用いて、以下の方法に従って接合体を製造した。接合体のダイシェア強度は、後述する方法により測定した。
 19mm×25mmの銅板(厚み:3mm)上に3mm×3mm正方形の開口を有するステンレス製のメタルマスク(厚さ:200μm)を載せ、メタルスキージを用いたステンシル印刷により接合用銅ペーストを塗布した。これを90℃に設定したホットプレート上で、大気中、30分間加熱し、3mm×3mmの被着面がチタン(50nm)、ニッケル(100nm)の順でスパッタされたシリコンチップ(厚み:400μm)を載せ、ピンセットで軽く押さえた。このサンプルを、バッチ式真空半田付炉(新港精機株式会社製)にセットし、0.5MPaで加圧した状態で、水素100%雰囲気下、30分間昇温した。昇温後、最高到達温度300℃、最高到達温度保持時間60分間の条件で焼結処理して、銅板とニッケルスパッタされたシリコンチップとを接合した接合体を得た。焼結後、50℃以下で接合体を空気中に取り出した。
[0087]
<評価方法>
[ダイシェア強度]
 接合体の接合強度は、ダイシェア強度により評価した。作製した接合体について、ロードセル(SMS-200K-24200, Royce Instruments社製)を装着したユニバーサルボンドテスタ(Royce 650, Royce Instruments社製)を用い、測定スピード5mm/min、測定高さ50μmで銅ブロックを水平方向に押し、接合体のダイシェア強度を測定した。8個の接合体を測定した値の平均値をダイシェア強度とした。評価指標は下記のとおりとした。評価がS又はAであれば、ダイシェア強度に優れているといえる。
評価指標:
 S:30MPa以上
 A:20MPa以上30MPa未満
 B:10MPa以上20MPa未満
 C:10MPa未満
[0088]
[塗布性の評価]
 10mm×10mm正方形の開口を有するステンレス製のメタルマスク(厚さ:200μm)を用いて、接合用銅ペーストを塗布することにより、接合用銅ペーストの塗布性を評価した。評価指標は下記のとおりとした。評価がS又はAであれば、塗布性に優れているといえる。
評価指標:
 S:かすれずに塗布することができ、ペーストが開口部から流れはみ出さない
 A:わずかにかすれが起こるが、ペーストが開口部からはみ出さない。もしくは、かすれずに塗布することができるが、わずかにペーストが開口部から流れはみ出す。
 B:かすれが起こるが、ペーストが開口部からはみ出さない。もしくは、かすれずに塗布することができるが、ペーストが開口部から流れはみ出す。
 C:著しくかすれが起こるが、ペーストが開口部からはみ出さない。もしくは、かすれずに塗布することができるが、著しくペーストが開口部から流れはみ出す。
[0089]
[表1]


[0090]
[表2]


[0091]
[表3]


[0092]
[断面モルフォロジ観察]
 接合体をカップ内にサンプルクリップ(Samplklip I、Buehler社製)で固定し、周囲にエポキシ注形樹脂(エポマウント、リファインテック株式会社製)をサンプル全体が埋まるまで流し込み、真空デシケータ内に静置し、1分間減圧して脱泡した。その後、室温(25℃)下10時間放置してエポキシ注形樹脂を硬化した。ダイヤモンド切断ホイール(11-304、リファインテック株式会社製)をつけたリファインソー・ロー(RCA-005、リファインテック株式会社製)を用い、注形した接合体の観察したい断面付近で切断した。耐水研磨紙(カーボマックペーパー、リファインテック株式会社製)をつけた研磨装置(Refine Polisher Hv、リファインテック株式会社製)で断面を削りシリコンチップにクラックの無い断面を出し、さらに余分な注形樹脂を削りCP(クロスセクションポリッシャ)加工機にかけられるサイズに仕上げた。切削加工したサンプルをCP加工機(IM4000、株式会社日立製作所製)で加速電圧6kV、アルゴンガス流量0.07~0.1cm /min、処理時間2時間の条件でクロスセクションポリッシングを行って断面加工を行った。断面にスパッタ装置(ION SPUTTER、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて白金を10nmの厚みでスパッタしてSEM観察用のサンプルとした。このSEM用サンプルをSEM装置(ESEM XL30、Philips社製)により、接合体の断面を印加電圧10kVで観察した。
[0093]
 図3には実施例1の接合体の断面のSEM像を示し、図4には実施例2の接合体の断面のSEM像を示し、図5には比較例3の接合体のSEM像を示す。図3~4から、実施例1及び2における接合用銅ペーストの焼結体5(5A,5B)は、ニッケルめっきされた銅板31A,31Bと、チタン、ニッケルスパッタされたシリコンチップ32A,32Bとを良好に接合できていることが分かる。一方、図5から、比較例3の接合体では、チタン、ニッケルスパッタされたシリコンチップ32Cと接合用銅ペーストの焼結体5Cとの間の接合にばらつきがあることが分かる。このような構造の違いにより、比較例3の接合体では十分なダイシェア強度が得られていないと考えられる。

符号の説明

[0094]
 1…接合用銅ペースト、2…第一の部材、3…第二の部材、4…積層体、23…半導体素子、100…接合体、200…半導体装置。

請求の範囲

[請求項1]
 第一の部材、接合用銅ペースト、及び第二の部材がこの順に積層されている積層体を用意する工程と、
 前記接合用銅ペーストを、0.1~1MPaの圧力を受けた状態で焼結する工程と、を備え、
 前記接合用銅ペーストは、金属粒子及び分散媒を含有し、
 前記金属粒子の含有量が、前記接合用銅ペーストの全質量を基準として、50質量%以上であり、
 前記金属粒子が、前記金属粒子の全質量を基準として、95質量%以上のサブマイクロ銅粒子を含有する、接合体の製造方法。
[請求項2]
 第一の部材、接合用銅ペースト、及び第二の部材がこの順に積層されている積層体を用意する工程と、
 前記接合用銅ペーストを、0.1~1MPaの圧力を受けた状態で焼結する工程と、を備え、
 前記第一の部材及び前記第二の部材の少なくとも一方は半導体素子であり、
 前記接合用銅ペーストは、金属粒子及び分散媒を含有し、
 前記金属粒子の含有量が、前記接合用銅ペーストの全質量を基準として、50質量%以上であり、
 前記金属粒子が、前記金属粒子の全質量を基準として、95質量%以上のサブマイクロ銅粒子を含有する、半導体装置の製造方法。
[請求項3]
 金属粒子及び分散媒を含有し、
 前記金属粒子の含有量が、接合用銅ペーストの全質量を基準として、50質量%以上であり、
 前記金属粒子が、前記金属粒子の全量を基準として、95質量%以上のサブマイクロ銅粒子を含有する、接合用銅ペースト。
[請求項4]
 前記金属粒子が、前記金属粒子の全質量を基準として、5質量%以下のマイクロ銅粒子を含有する、請求項3に記載の接合用銅ペースト。
[請求項5]
 前記接合用銅ペーストの25℃における粘度が0.8~40000Pa・sである、請求項3又は4に記載の接合用銅ペースト。
[請求項6]
 前記分散媒が、アルコール類及びエーテル類からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項3~5のいずれか一項に記載の接合用銅ペースト。
[請求項7]
 前記サブマイクロ銅粒子のアスペクト比が5以下である、請求項3~6のいずれか一項に記載の接合用銅ペースト。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]