Some content of this application is unavailable at the moment.
If this situation persist, please contact us atFeedback&Contact
1. (WO2019065415) CORROSION SUPPRESSION METHOD FOR COPPER-BASED MATERIAL
Document

明 細 書

発明の名称 銅系材料の腐食抑制方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021  

実施例

0022   0023   0024   0025  

符号の説明

0026  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 銅系材料の腐食抑制方法

技術分野

[0001]
 本発明は、銅系材料の腐食抑制方法に関する。詳しくは皮膜性アミン単独、または中和性アミンと併用することにより、アンモニアによる銅系材料の腐食を抑制する方法に関する。

背景技術

[0002]
 ボイラを始めとする蒸気発生器の缶体や給水配管等(以下、単に「ボイラ」という)の金属部材、例えば、銅製又は銅合金製の熱交換器や配管等は、冷却水と接触することにより腐食を受ける。そのため腐食を抑制する技術開発が数多く行われており、例えば銅を含む金属配管の腐食抑制剤として、特許文献1では特定のN-モノ置換アルキレンジアミンが開示されおり、特許文献2では油脂類を乳化したエマルションが開示されている。
[0003]
 ところで、上記腐食要因の一つとしてpHがある。ボイラ水のpH調整は、ボイラ給水等にpH調整剤を注入することにより、ボイラ水のpHを所定のアルカリ性範囲に維持することによりなされる。pH調整剤としては、NaOHやKOH、リン酸ナトリウムやリン酸カリウム等の固形物質や揮発性アミンやアンモニア等の揮発性物質が用いられる。
 ボイラ給水のpH調整にアンモニアを用いる場合、復水器内の空気抽出部の近傍で、凝縮水の水滴内にアンモニアと非凝縮性ガス(特に酸素)が濃縮するため、冷却管(細管)がバッフル部近傍で溝状に激しく腐食する現象(アンモニアアタック)が発生する。そこで、アンモニアアタックの対策として、アンモニアの代替にアミンが適用される事例が増えている。
 また、アンモニアアタックの対策として、アンモニアアタックが発生しやすい復水器内の空気抽出部近傍に、復水の一部を噴霧し、複水器の細管とバッフルプレートとの空隙部に滞留するアンモニアを洗い流す方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特許6134921号公報
特許文献2 : 特開2013-19042号公報
特許文献3 : 特開2013-190166号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、アミンは有機体であるため、高温高圧の環境下で長期間存在する場合には、一部が加熱分解してアンモニアを生成する欠点がある。そのため、従来の技術では復水器内のアンモニアアタックの事例は低減したものの、完全にはなくなっていない。
 また、特許文献1ではアミン系腐食抑制剤による銅系材料の腐食抑制を謳っているものの海水系であることを前提としており、特許文献2では油脂類を腐食抑制剤に適用することより銅系材料の腐食を抑制している。この様にいずれの文献にも銅系材料のアンモニアアタックを抑制するためにアミン系腐食抑制剤を用いる記載はなく、アミン系腐食抑制剤による銅系材料の腐食抑制方法にはさらなる改善の余地が有る。
[0006]
 そこで本発明は、アンモニアアタックを抑制できる銅系材料の腐食抑制方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、皮膜性アミンの適用により、アンモニアアタックによる銅系材料の腐食低減を見出した。
 すなわち、本発明は下記のとおりである。
[0008]
1.銅系材料を用いたボイラのアンモニアを含有する水系に、皮膜性アミンを添加する銅系材料の腐食抑制方法。
2.アンモニア濃度と銅の溶出量に応じて、前記皮膜性アミンの添加濃度を調整する、上記1に記載の銅系材料の腐食抑制方法。
3.前記皮膜性アミンを2種以上添加する、上記1又は2に記載の銅系材料の腐食抑制方法。
4.前記アンモニアを含有する水系に、さらに中和性アミンを添加する、上記1~3のいずれかに記載の銅系材料の腐食抑制方法。
5.前記水系が海水系ではない、上記1~4のいずれかに記載の銅系材料の腐食抑制方法。
6.前記皮膜性アミンの添加が、細管に向けて行う噴霧添加である、上記1~5のいずれかに記載の銅系材料の腐食抑制方法。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、ボイラの通常運転中に、アンモニアアタックによる銅系材料の腐食抑制を効果的に行うことが可能となる腐食抑制方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 本発明の実施例で使用した評価装置を示す図である。
[図2] 本発明の実施例の評価結果を示すpHに対する銅の溶出量のグラフである。

発明を実施するための形態

[0011]
 本発明は、銅系材料を用いたボイラのアンモニアを含有する水系に、皮膜性アミンを添加する銅系材料の腐食抑制方法に係る発明である。
[銅系材料を用いたボイラ]
 銅系材料としては、復水器の細管だけでなく、給水加熱器や給水ポンプのインペラに用いられているものをも対象とすることができる。
 また、本発明の腐食抑制方法の対象材料は、銅系材料だけでなく、アルミ系材料が含まれていてもよい。なお、従来技術で適用されている皮膜性アミンがアルミ系材料の腐食を低減することは“J., Power Plant Chemistry 2014, 16(6), 361”等で知られている。
[0012]
[水系]
 本発明の腐食抑制方法が適用される水系の水質には特に制限はないが、イオン交換水等を用いることができ、好ましくは脱気したイオン交換水等を水系で好適に適用することができる。また、水系は海水系ではないことが好ましい。
 水系の溶存酸素濃度は、ボイラの腐食を効果的に抑制する観点から、500μg/L以下であることが好ましく、100μg/L以下であることがより好ましく、さらに好ましくは70μg/L以下である。溶存酸素濃度は、例えば給水を脱気することにより調整することができる。
[0013]
[皮膜性アミン]
 本発明において用いる皮膜性アミンは、好ましくは下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
  R -[NH(R )-] -NH    …(1)
 式(1)中、R は炭素数12~18の長鎖アルキル基を示し、R は炭素数1~4のアルキル基を示す。nは0~7の整数である。上記R のアルキル基は、直鎖状又は分岐状であってもよいが好ましくは直鎖状であり、また飽和又は不飽和であってもよいが好ましくは不飽和アルキル基である。
 皮膜性アミンとして具体的には、オクタデシルアミン、N-オクタデセニルプロパン-1,3-ジアミン等の長鎖アルキルアミンが挙げられる。皮膜性アミンは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0014]
 本発明の腐食抑制方法は、後述するアンモニア濃度と銅の溶出量に応じて、皮膜性アミンの添加濃度を調整することができる。
 また、皮膜性アミンの添加濃度はアンモニア濃度に応じて変更してもよい。例えば、給水のpHがJIS上限の9.4(低圧給水加熱器が銅合金で高圧給水加熱器が鋼鋼管製の場合)である場合、給水中のアンモニア濃度は復水器空気抽出部で100~500倍に濃縮される(引用文献:The ASME Hnadbook on Water Technology for Thermal Power System, p976 (1989))。復水器空気抽出部のアンモニアの到達濃度を実機ボイラで予想するのは困難であるため、実際には皮膜性アミン注入量の変更により復水中に検出される銅濃度が上昇しないことや、定期的な渦流探傷での減肉が認められないことで確認する必要がある。
 このように、皮膜性アミン注入量の計算式の算出は、本分野における当業者の技術範囲内において現場毎に調整することができる。皮膜性アミン添加濃度の変動要素としてはアンモニア濃度の他に、溶存酸素濃度や共存するアミン、流量、水温、及び流速等が挙げられる。
[0015]
 上記のとおり皮膜性アミンの添加濃度は適宜設定すればよいが、給水量に対して通常0.01~10mg/L程度、特に0.1~1mg/Lの範囲であることが好ましい。添加量が0.01mg/L以上であれば皮膜性アミンによる腐食効果を十分に得ることができ、10mg/L以下であれば系統内に粘着性の付着物が生じるおそれもない。
[0016]
 また適用する皮膜性アミンは、揮発度や吸着量が異なるもの(例えば、“J.,Power Plant Chemistry 2014, 16(5),284”参照)をブレンドすることで、より早く広範囲の復水器細管にいきわたらせることができる。したがって、ボイラの水系に皮膜性アミンを2種以上添加してもよく、例えば、オクタデシルアミンとN-オクタデセニルプロパン-1,3-ジアミンの組合せが好適である。
[0017]
[中和性アミン]
 本発明の腐食抑制方法において、皮膜性アミンは中和性アミンと併用してもよい。中和性アミンとしては、モノエタノールアミン(MEA)、シクロへキシルアミン(CHA)、モルホリン(MOR)、ジエチルエタノールアミン(DEEA)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)、3-メトキシプロピルアミン(MOPA)、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、ジグリコールアミン(DGA)等の中和性アミン(揮発性アミン)等を用いることができる。中和性アミンは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0018]
[pH調整剤]
 本発明の腐食抑制方法は、pH調整に用いられるアンモニアによるアンモニアアタックを抑制する効果を奏するものであり、ボイラの水系にはアンモニアが含有されている。したがって、本発明の水系にはpH調整剤としてアンモニアが用いられるが、脱酸素剤の熱分解に由来するアンモニアでpH調整を行ってもよい。
 pH調整剤はアンモニア1種のみを用いてもよく、アンモニアとその他のpH調整剤1種以上とを併用してもよい。アンモニアと併用することができるpH調整剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリム、炭酸カリウム、炭酸ナトリム等が挙げられる。
 アンモニア濃度は、所望するpHに調整することができればよく一概には特定できないが、給水中の濃度が通常0.1~1,000mg/L程度、好ましくは1~500mg/Lである。
 また、本発明の腐食抑制方法は、銅系材料への保護皮膜を形成し腐食を抑制する観点から、pHが通常8.5~10.3程度、好ましくは9.0~9.4の水系で好適に適用することができる。
[0019]
[脱酸素剤]
 本発明の腐食抑制方法において、皮膜性アミンは脱酸素剤と併用してもよい。脱酸素剤としては、ヒドラジンやカルボヒドラジド等のヒドラジン誘導体を用いることができる。また、非ヒドラジン系脱酸素剤として、ハイドロキノン、1-アミノピロリジン、1-アミノ-4-メチルピペラジン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、イソプロピルヒドロキシルアミン、エリソルビン酸又はその塩、アスコルビン酸又はその塩等を用いることもできる。脱酸素剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0020]
[その他の添加剤]
 本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて腐食抑制剤の慣用成分やその他の補助添加成分を添加してもよい。その他の添加剤としては、各種の可溶化剤、金属イオン封鎖剤、スケール防止剤、スケール除去剤及び凍結防止剤等が挙げられる。
[0021]
[添加方法等]
 本発明の腐食抑制方法において、上述の皮膜性アミンや任意成分である中和性アミン、pH調整剤、脱酸素剤等の皮膜性アミンを含む薬剤は、各成分2種以上を同一箇所に添加する場合、予め混合して添加してもよく、各々別々に添加してもよい。また、連続的又は間欠的に添加することができる。
 また、上記皮膜性アミンの添加は、細管に向けて行う噴霧添加であってもよい。皮膜性アミンの他に上記任意成分を用いる場合も同様に、上記皮膜性アミンを含む薬剤を細管に向けて噴霧添加することができる。
 上記皮膜性アミンを細管に向けて噴霧添加することにより、アンモニアアタックが発生しやすい空気抽出部近傍の銅系材料の細管を、上記皮膜性アミンで直接コーティングすることができ、銅系材料とアンモニアとの直接接触を防ぐことができる。また、銅系材料の細管等のアンモニアアタックが発生しやすい箇所に限定して、上記皮膜性アミンを噴霧することで経済的に無駄がなく、効率的な腐食抑制が可能となる。
 噴霧添加の方法は、特に限定されない。例えば、スプレーノズルを用いて蒸気中の対象の箇所(細管等)に噴霧することができる。噴霧添加は連続的あるいは断続的のいずれでもかまわないが、上記皮膜性アミンを含む薬剤の吸脱着の観点から、一定の濃度を水系内に維持できるような連続的な噴霧添加であることが好ましい。
 また水系内の水温は、通常0~70℃程度、好ましくは40~60℃である。
 また水系の流速は、通常0.1~3.0m/s程度である。
実施例
[0022]
 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0023]
<実験条件>
 皮膜性アミンの適用により、アンモニアと銅系材料が共存する際の腐食を大幅に低減する方法の検証方法として、図1に示すような評価装置を作製した。
 試験は、評価部の溶存酸素濃度が100μg/Lとなるように脱気したイオン交換水を用い、アンモニアでpHを調整した試験液に皮膜性アミン(表1及び図2中「FFA」と略記する)を添加し、ステンレス製チューブBに導入してステンレス製の予熱槽2で50℃まで加温した後、評価部となる長さ1mの銅チューブAに導入し、50℃の水槽1に流通させここで溶出する金属銅の溶出量を、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置で測定した。
 なお、表1及び図2中、FFAとしてN-オクタデセニルプロパン-1,3-ジアミン(Akzo Nobel社製、製品名「Duomeen(登録商標)OL」)を用いた。
[0024]
<結果・考察>
 試験結果として、銅溶出量(μg/L)、アンモニア濃度(mg/L)、pH値を表1に示す。また、得られた試験結果からpHに対する銅溶出量のグラフを図2に示す。
 表1及び図2から、ブランクで銅の溶出量が急増するpH10.3以上の領域でも、皮膜性アミンの適用により、銅の溶出を大幅に抑制していることが分かる。具体的には、pHが約10.5の状態では、銅の溶出量がブランクの1/5程度まで低減できることを確認した。つまり、復水器の空気抽出部のようなアンモニアが濃縮するような場所でも、アンモニアアタックを抑制できることを確認した。
[0025]
[表1]



符号の説明

[0026]
 A:銅チューブ
 B:ステンレスチューブ
 1:評価部水槽(50℃)
 2:ステンレス製予熱槽(50℃)
 3:ヒーター付き水槽
 4:熱電対(温度計)
 P:ポンプ
DO:溶存酸素測定装置

請求の範囲

[請求項1]
 銅系材料を用いたボイラのアンモニアを含有する水系に、皮膜性アミンを添加する銅系材料の腐食抑制方法。
[請求項2]
 アンモニア濃度と銅の溶出量に応じて、前記皮膜性アミンの添加濃度を調整する、請求項1に記載の銅系材料の腐食抑制方法。
[請求項3]
 前記皮膜性アミンを2種以上添加する、請求項1又は2に記載の銅系材料の腐食抑制方法。
[請求項4]
 前記アンモニアを含有する水系に、さらに中和性アミンを添加する、請求項1~3のいずれかに記載の銅系材料の腐食抑制方法。
[請求項5]
 前記水系が海水系ではない、請求項1~4のいずれかに記載の銅系材料の腐食抑制方法。
[請求項6]
 前記皮膜性アミンの添加が、細管に向けて行う噴霧添加である、請求項1~5のいずれかに記載の銅系材料の腐食抑制方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]