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1. (WO2019065363) DNA COMPLEX, ADSORBENT, ADSORPTION COLUMN, PURIFICATION SYSTEM, TREATING METHOD OF LIQUID, AND METHOD FOR PRODUCING DNA COMPLEX
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明 細 書

発明の名称 DNA複合体、吸着材、吸着カラム、浄化システム、液体の処理方法、およびDNA複合体の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

非特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010  

課題を解決するための手段

0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015  

図面の簡単な説明

0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116  

実施例

0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22  

図面

1A   1B   1C   2   3   4   5   6A   6B   7  

明 細 書

発明の名称 : DNA複合体、吸着材、吸着カラム、浄化システム、液体の処理方法、およびDNA複合体の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、DNA複合体、吸着材、吸着カラム、浄化システム、液体の処理方法、およびDNA複合体の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 原子力発電所や機械電子工業、その他の化学工業において発生する廃液などの溶液中には、重金属や貴金属、および、それらのイオンなど物質が混入していることがある。これらの物質は、環境保全ならびに資源再利用の観点から、溶液から除去されることが望ましい。
[0003]
 例えば、原子力発電所においては、核燃料の溶融または核燃料の再利用の際に、放射性または非放射性のセシウム(Cs)やストロンチウム(Sr)やルテニウム(Ru)およびヨウ素(I)などを含む廃液が発生する。この中で、Ruは水溶液中に共存するイオンの影響で様々な価数の状態をとることができるために、除去が困難である。
[0004]
 これらの廃液からRuを除去する方法としては、吸着材を充填したカラムに廃液を通して精製する方法を挙げることができる。吸着材としては、イオン交換樹脂や、核酸塩基などの低分子ポリアミン化合物を側鎖に導入した高分子基材(特許文献1,2および非特許文献1)が知られている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2016-75655号公報
特許文献2 : 特開2016-133501号公報

非特許文献

[0006]
非特許文献1 : 「Bulletin of the Society of Sea Water Science, Japan」、69巻、2015年、p.98-104

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 吸着材として用いられるイオン交換樹脂は、様々な種類の金属やイオンを吸着することが知られている。そのため、例えば海水のようにナトリウムイオンやマグネシウムイオン等の目的とする金属やイオン以外の物質を多く含んでいる溶液を精製する際には、それら目的外の物質を多量に吸着してしまい、目的の物質を十分に吸着できない場合がある。
[0008]
 また、特許文献1,2および非特許文献1に記載されている放射性Ru除去剤は、塩化ナトリウムを含む水溶液中でもRuを吸着するものの、その吸着量はいまだ十分ではなく、さらなる機能向上が求められている。
[0009]
 すなわち、従来は、夾雑物を多く含む液体から目的の物質を十分に高い割合で吸着除去することが困難であるという課題があった。
[0010]
 そこで本発明では、上述の課題に鑑み、夾雑物を多く含む液体から目的の物質を高い割合で吸着するDNA複合体を提供し、さらにそれを用いた吸着カラム、浄化システム、および液体の処理方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0011]
 本発明の一側面としてのDNA複合体は、担体と、前記担体に固定化されたDNAと、を有するDNA複合体であって、前記DNAは、前記DNAの全体を100質量%としたときに80質量%以上が1本鎖DNAであり、前記DNAは、その平均分子量が500,000以下であり、前記担体は、無機材料を含み、前記DNA複合体の個数基準の平均粒径は、10μm以上であることを特徴とする。
[0012]
 また、本発明の別の一側面としてのDNA複合体は、担体と、前記担体に固定化されたDNAと、を有するDNA複合体であって、前記DNAは、前記DNAの全体を100質量%としたときに80質量%以上が1本鎖DNAであり、前記DNAは、その平均分子量が500,000以下であり、前記担体は、多孔質体であることを特徴とする。
[0013]
 また、本発明の別の一側面としてのDNA複合体は、担体と、前記担体に固定化されたDNAと、を有するDNA複合体であって、前記DNAは、前記DNAの全体を100質量%としたときに80質量%以上が1本鎖DNAであり、前記担体は、無機材料を含み、前記DNAの含有率が、前記DNA複合体の全体を100質量%としたときに、15質量%より大きく50質量%以下であることを特徴とする。
[0014]
 また、本発明の別の一側面としてのDNA複合体は、担体と、前記担体に固定化されたDNAと、を有するDNA複合体であって、前記DNAは、前記DNAの全体を100質量%としたときに80質量%以上が1本鎖のDNAであり、前記担体が、層状金属水酸化物を含むことを特徴とする。

発明の効果

[0015]
 本発明によれば、夾雑物を多く含む液体から目的の物質を高い割合で吸着するDNA複合体を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0016]
[図1A] DNA複合体の構成を模式的に示す図である。
[図1B] DNA複合体の構成を模式的に示す図である。
[図1C] DNA複合体の構成を模式的に示す図である。
[図2] DNA複合体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
[図3] 吸着カラムの構成の一例を模式的に示す図である。
[図4] 浄化システムの構成の一例を模式的に示す図である。
[図5] 液体の処理方法の一例を示すフローチャートである。
[図6A] DNA複合体のカラム通水試験の結果を示すグラフである。
[図6B] DNA複合体のカラム通水試験の結果を示すグラフである。
[図7] DNA複合体の走査型電子顕微鏡画像である。

発明を実施するための形態

[0017]
 以下、本発明の実施形態に係るDNA複合体について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対して適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に含まれる。
[0018]
 [DNA複合体]
 図1を用いて、本実施形態に係るDNA複合体1について説明する。DNA複合体1は、担体11と、担体11に固定されたDNA12と、を有する。DNA12は、DNA複合体1に含まれるDNAの全体を100質量%としたときに80質量%以上が1本鎖のDNAである。なお、以下の説明においては、DNA12を1本鎖DNA12と称することもある。
[0019]
 図1は、本実施形態に係るDNA複合体1の構成を模式的に示す図であり、図1A~Cはそれぞれ、DNA複合体1の構成の一例(DNA複合体1a~1c)を示している。図1Aに示されるDNA複合体1aは、複数の一次粒子111が凝集した担体11と、DNA12と、を有している。図1Bに示されるDNA複合体1bは、層状金属水酸化物などの、層状構造を有する担体11と、DNA12と、を有している。図1Cに示されるDNA複合体1cは、多数の細孔を有する担体11と、DNA12と、を有している。
[0020]
 本発明の第1の実施形態において、担体11は、無機材料を含む。DNA12は、その平均分子量が500,000(50万)以下である。DNA複合体1の個数基準の平均粒径は10μm以上である。
[0021]
 本発明の第2の実施形態において、担体11は、多孔質体である。DNA12は、その平均分子量が500,000(50万)以下である。
[0022]
 本発明の第3の実施形態において、担体11は、無機材料を含む。DNA12の含有率は、DNA複合体1の全体を100質量%としたときに、15質量%より大きく50質量%以下である。
[0023]
 本発明の第4の実施形態において、担体11は、層状金属水酸化物を含む。
[0024]
 以下、DNA複合体1の各要素について説明する。なお、以下の説明において、DNA複合体を、担体の種類に応じて呼び分けることがある。例えば、担体がシリカであればDNA固定シリカと呼び、担体がアルミナであればDNA固定アルミナ、担体がハイドロタルサイトであればDNA固定ハイドロタルサイト、担体が活性炭であればDNA固定活性炭、等と呼ぶことがある。
[0025]
 <担体11>
 本実施形態に係るDNA複合体1は、担体11を有する。担体11は、DNA12を固定化してDNA12を不溶化する。
[0026]
 (材質)
 担体11は、無機材料を含むことが好ましい。これにより、担体11が樹脂や繊維などの有機材料で構成される場合に比べて、耐久性や耐熱性を向上させることができる。担体11が熱により変性するとDNA12が遊離してしまう可能性がある。後述するようにDNA12は金属イオン等の物質を吸着する機能を有しているため、DNA12がDNA複合体1から遊離してしまうと、DNA複合体1を吸着材として用いた際の吸着能が大幅に低下してしまう。一方、担体11が無機材料を含むことで、担体11の耐久性や耐熱性を向上させ、高温環境下にさらされてもDNA12を遊離させにくくすることができる。これにより、DNA複合体1の吸着能を、高温環境下においても高めることができる。
[0027]
 担体11は、無機材料である、金属酸化物、層状金属水酸化物、活性炭、ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
[0028]
 (金属酸化物)
 金属酸化物としては、金属元素を含む酸化物であれば特に限定はされないが、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、および、ジルコニウム(Zr)からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物であることが好ましい。また、金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、チタニア、および、ジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
[0029]
 これらの金属酸化物は、各々の金属元素を含む金属アルコキシド化合物を加水分解、縮重合させて形成することができる。
[0030]
 アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム-n-ブトキシド、アルミニウム-sec-ブトキシド、アルミニウム-tert-ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナートなどが挙げられる。また、これらのオリゴマーを用いてもよい。シリコンアルコキシドとしては、例えば、Si(OR) が挙げられる。ここで、Rはそれぞれ異なってもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基などの低級アルキル基である。チタニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn-プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトライソブトキシチタンなどが挙げられる。ジルコニウムアルコキシドとしては、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、ジルコニウムテトラ-tert-ブトキシド等が挙げられる。
[0031]
 金属アルコキシド化合物を加水分解、縮重合させて金属酸化物を形成する際には、まず、金属アルコキシド化合物を有機溶媒に溶解させて溶液を調製する。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコール-モノ-n-プロピルエーテルなどのアルコール類;n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類;ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの各種のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類;ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルのような各種のエーテル類などが挙げられる。これらの中でも、調製される溶液の安定性の点からアルコール類を使用することが好ましい。
[0032]
 また、アルコキシド化合物を有機溶媒に溶解させて溶液を調製する際には、必要に応じて、アルコキシル基の加水分解、および、縮重合反応を促進するための触媒と、水を添加してもよい。触媒としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸、アンモニアなどを例示することができる。
[0033]
 アルミニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシド、および、ジルコニウムアルコキシドは水に対する反応性が高いため、空気中の水分との接触や水の添加により、急激に加水分解されて溶液の白濁、沈殿を生じる。そこで白濁、沈殿を抑制するために、上述の溶液の調製の際には、必要に応じて安定化剤を添加してもよい。安定化剤としては、例えば、アセチルアセトン、ジピロバイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのβ-ジケトン化合物類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸アリル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸-iso-プロピル、アセト酢酸-tert-ブチル、アセト酢酸-iso-ブチル、アセト酢酸-2-メトキシエチル、3-ケト-n-バレリック酸メチルなどのβ-ケトエステル化合物類;さらには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類等を挙げることができる。安定化剤の添加量は、金属アルコキシド化合物に対しモル比で、0.5以上1.5以下の範囲内にすることが好ましく、1程度にすることがより好ましい。
[0034]
 なお、複数種類の金属アルコキシド化合物の溶液をそれぞれ個々に調製し、それらを混合してから加水分解、重縮合させることで、2種以上の金属元素を含有する金属酸化物を形成することもできる。
[0035]
 (層状金属水酸化物)
 層状金属水酸化物としては、ハイドロタルサイト、ハイドロカルマイト、および、パイロオーライトなどを挙げることができ、ハイドロタルサイトが特に好ましい。なお、層状金属水酸化物は、層状複水酸化物とも呼ばれる。ハイドロタルサイトとしては、下記一般式(1)で表されるものを挙げることができる。
[0036]
[化1]


[0037]
 式中、M 2+は、Mg 2+,Zn 2+,Ca 2+,Fe 2+,Mn 2+,Co 2+,Ni 2+、および、Cu 2+から選ばれる少なくとも1種の2価金属イオンを表し、M 3+は、Al 3+,Fe 3+,Cr 3+,Ga 3+,La 3+、および、Co 3+から選ばれる少なくとも1種の3価金属イオンを表す。また、式中、A n-は、SO 2-,Cl ,CO 2-,OH 、およびケイ素系酸素酸イオンから選ばれる少なくとも1種のn価のアニオンを表し、xは、0.20≦x≦0.33であり、mは整数である。前記ハイドロタルサイトは、天然物を精製して使用してもよく、合成物を使用してもよい。
[0038]
 (活性炭、ゼオライト)
 担体11は、活性炭やゼオライトを含んでいてもよい。活性炭やゼオライトは多孔質材料であり、比表面積が高いため、担体11として好ましい。また、活性炭やゼオライトは高い熱安定性に加えて、酸やアルカリなどの薬品に対する安定性が優れているため好ましい。
[0039]
 (形状)
 担体11は、多孔質体であることが好ましい。後述するように、DNA12は担体11の表面(外表面および内表面)に固定化されている。担体11が多孔質体であることにより、担体11の比表面積が増大し、DNA12を固定化できるエリアが広くなるため、より多くのDNA12を固定化させることができる。すなわち、DNA複合体1におけるDNA12の含有率を多くすることができる。後述するように、DNA12は金属イオンなどの物質を吸着する機能を有しているため、DNA複合体1におけるDNA12の含有率を増大させることで、当該物質の吸着量を増大させることができる。
[0040]
 また、担体11そのものも、セシウム、ストロンチウム、ルテニウムなどの金属元素やヨウ素を含むイオンを吸着する能力を有している。そのため、担体11の比表面積を増大させることで、DNA12の含有率増加の効果に加えて、担体11そのものによる吸着量増加の効果も見込める。また、担体11が多孔質体であることにより、担体11の有する細孔の大きさなどによって、金属イオン等の物質に対する吸着の選択性が変化すると考えられる(例えば分子ふるい効果などの発現)。そのため、担体11は多孔質体であることが好ましい。さらに、担体11が多孔質体であることにより、担体11の内部(細孔内や層間)にDNA12を固定化することができる。担体11の内部(細孔内や層間)に固定化されたDNA12は、担体11の外表面に固定化されたDNA12に比べてバクテリアやDNA不活化分子(たとえば、DNA分解酵素)などの比較的粗大な外部物質との接触を抑制できる。したがって、担体内部に固定化されたDNAは、バクテリアやDNA不活化分子からの攻撃から守られ、長期間にわたって安定である。そのため、担体11は多孔質体であることが好ましい。
[0041]
 担体11は、複数の一次粒子111が凝集した凝集体であることが好ましい。この場合は、凝集体を構成する複数の一次粒子111が、三次元的なネットワークを形成して連結されていることが好ましい。このような凝集体は、一次粒子同士の間隙によって細孔が形成された多孔質体とみなせる。そのため上述の理由により、金属イオンなどの物質の吸着量を増大させることができる。なお、詳しくは後述するが、複数の一次粒子111のコロイド溶液とDNA溶液とを混合させてから凝集体を形成するプロセスを経ることで、細孔内部においてもDNA12の担持量を大きくすることができる。そのため、担体11は複数の一次粒子111が凝集した凝集体であることが好ましい。
[0042]
 凝集体を形成する複数の一次粒子111は、平均粒径(直径)が、1nm以上100nm以下であることが好ましく、1nm以上25nm以下であることがさらに好ましい。凝集体を構成する複数の一次粒子111の平均粒径は、凝集体の比表面積測定を含む方法によって測定することができる。具体的には、凝集体の比表面積と密度を測定し、凝集体を構成する一次粒子111が均一な粒径を有する球であると仮定して、比表面積と密度に基づいて算出することができる。凝集体の比表面積の測定方法は特に限定はされず、例えば、ガス吸着法によって測定されるBET比表面積を凝集体の比表面積とすることができる。あるいは、シアーズ法によって測定される比表面積を凝集体の比表面積としてもよい。
[0043]
 凝集体は、一次粒子111となる微粒子を凝集または集合させることで形成することができる。なお、凝集体は集合体とも呼ばれる。凝集体の形成方法は特に限定はされないが、コロイド溶液のような微粒子の分散体または溶液から、分散媒または溶媒を除去することで形成してもよい。なおこのとき、一次粒子111の分散体または溶液と、DNA12の溶液とを混合した後に、分散媒および/または溶媒を除去することで、凝集体を形成するとともに凝集体へのDNA12の固定化を行うことが好ましい。これにより、凝集体を構成する一次粒子111の粒子間の間隙にもDNA12を入り込ませることができ、DNA12の含有率を増大させることができる。凝集体の作製方法としては、減圧乾燥法やスプレードライ法などを挙げることができる。
[0044]
 凝集体において、凝集体中の複数の一次粒子111は、非共有結合または共有結合の少なくとも一方を含む結合によって互いに連結されていてもよい。あるいは、後述するように、架橋成分を介して、共有結合または非共有結合の少なくとも一方を含む結合によって、互いに連結されていてもよい。共有結合の例としては、シロキサン結合を挙げることができ、これは一次粒子111がシリカを含有する場合に好適である。一次粒子111間を連結させる方法(以下、架橋方法と称することもある)としては、一次粒子111の種類に応じて適宜選択できるが、分散媒や溶媒を揮発させるための処理や、乾燥処理を架橋のための処理として利用できる。これらの処理は必要に応じて加熱条件下で行うことができる。さらに、光などの他の刺激による架橋方法も利用できる。
[0045]
 凝集体を形成するための微粒子(一次粒子111)としては、例えば、コロイダルシリカ、コロイダル酸化アルミニウム、コロイダル酸化鉄、コロイダル酸化ガリウム、コロイダル酸化ランタン、コロイダル酸化チタニウム、コロイダル酸化セリウム、コロイダル酸化ジルコニウム、コロイダル酸化すず、コロイダル酸化ハフニウムなどのコロイダル金属酸化物を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、経済性の観点から、コロイダルシリカを一次粒子111の主成分とすることが好ましい。
[0046]
 コロイダルシリカを分散させたコロイド溶液の市販品としては、スノーテックス30、スノーテックスN、スノーテックスO、スノーテックスC、スノーテックスCM、スノーテックスCXS、オルガノシリカゾルIPA-ST、オルガノシリカゾルEG-ST(以上、日産化学工業株式会社製、「スノーテックス」は日産化学工業株式会社の登録商標)などが挙げられる。コロイダル酸化アルミニウムの市販品としては、アルミナゾルAS-200(日産化学工業株式会社製)などが挙げられる。
[0047]
 なお、担体11は、一次粒子を予め連結させた、いわゆる二次粒子を、さらに凝集させた凝集体(いわゆる三次粒子)であってもよい。二次粒子の例としては、鎖状シリカやパールネックレス状シリカ、フュームドシリカなどを挙げることができる。
[0048]
 (架橋成分)
 一次粒子間を連結させるための架橋成分としては、例えば、一次粒子分散液の分散媒に分散または溶解されており、乾燥などによって複数の一次粒子間を架橋して不溶化できるものであれば特に限定はされない。架橋成分は、有機成分であっても無機成分であってもよい。有機成分としては、例えば、ラジカル重合性有機化合物や、イオン性有機化合物有機ポリマーを用いることができる。ラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマー、ラジカル重合性ポリマーなどのラジカル重合性有機化合物は、光や熱によってラジカル重合し、一次粒子間を架橋することができる。アニオン性有機ポリマーやカチオン性有機ポリマーなどのイオン性ポリマーは、溶液中の塩濃度の変化や成分揮発に伴って凝集し、一次粒子間を架橋することができる。また、アニオン性ポリマーは金属イオンと反応して凝集して、一次粒子間を架橋することができる。無機成分としては、金属塩化合物、金属アルコキシド、金属錯体、オルガノシラン、またはこれらの加水分解生成物等が好適に使用できる。
[0049]
 金属塩化合物としては、例えば水に可溶で最終的に酸化アルミニウムになるものとして、AlCl 、Al(NO 、NaAlO などの化合物を挙げることができる。他の類似の固化酸化物として、TiOCl 、ZrOCl 等の化合物も挙げることができる。また、部分架橋物も都合よく用いることができ、例えばAlCl の部分架橋物としてのAl (OH) Cl 、Al (OH) Cl(高塩基性塩化アルミニウム)の分散液を挙げることができる。
[0050]
 金属アルコキシドとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランなどのシリコンアルコキシシラン、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム-n-ブトキシド、アルミニウム-sec-ブトキシド、アルミニウム-tert-ブトキシドなどのアルミニウムアルコキシド、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn-プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン等のチタニウムアルコキシド、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn-ブトキシド、ジルコニウムテトラt-ブトキシド等のジルコニウムアルコキシドを挙げることができる。金属錯体としては、酢酸アルミニウム、酢酸チタニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム(III)、ビス(アセチルアセトナト)モノ(ポロポキシ)アルミニウム(III)、モノ(アセチルアセトナト)ビス(ポロポキシ)アルミニウム(III)、トリス(エチルアセトアセタト)アルミニウム(III)、トリス(ジエチルマロナト)アルミニウム(III)、ビス(アセチルアセトナト)銅(II)、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム(IV)、トリス(アセチルアセトナト)クロム(III)、トリス(アセチルアセトナト)コバルト(III)、酸化チタン(II)アセチルアセトネート[(CH COCHCOCH TiO]などのキレート化合物を挙げることができる。オルガノシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。これらの金属アルコキシド、金属錯体、オルガノシランを予め架橋したオリゴマーも用いることができる。
[0051]
 架橋成分として、必要に応じて2以上の異なる架橋成分を組み合わせて用いることができる。
[0052]
 架橋成分として、pHの変動により、ゲル化するものを用いることもできる。ゲル化とは、pHをシフトする効果をもつ酸、アルカリ、塩類などの成分を加えることにより、一次粒子間の架橋が促進されることを指す。ゲル化する架橋成分としては、酸性成分を含むものが特に好ましい。酸性成分とは、アルカリイオン、アルカリ土類イオン、アンモニウムイオンなどと反応し、塩を形成するものを指し、具体的には、Cl 、NO 、HSO 、SO 2-等イオンと、遊離の塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、βジケトン等を挙げることができる。これらの酸性成分も必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。ゲル化させる際のpH範囲は、好ましく0~7で、より好ましくは1~6である。
[0053]
 架橋成分として、アルコキシシラン、シランカップリング剤なども用いることができる。
[0054]
 本明細書中において、一次粒子間の架橋を、一次粒子間の強化ということがある。また、一次粒子間を架橋する処理あるいは工程を、強化処理あるいは強化工程ということがある。さらに、一次粒子間を架橋する化合物を架橋成分といい、強化成分ということもある。前期の架橋成分を含む溶液を、架橋液あるいは強化液、強化処理液ということがある。すなわち、本明細書中では、架橋と強化は同じ意味を持つ。
[0055]
 (表面修飾)
 担体11は、その表面に、塩基性官能基またはエポキシ基を有するオルガノシロキサンを有していてもよい。塩基性官能基は、DNA12中の酸性官能基であるリン酸基と酸塩基構造を形成しうる窒素を含む官能基、典型的にはアミノ基を指す。担体11が塩基性官能基を有していることで、DNA12中のリン酸基との間にイオン性の相互作用が生じて、共有結合または非共有結合を形成し、DNA12を固定化することができる。担体11が有する塩基性官能基としては、2級アミノ基、3級アミノ基、および4級アミノ基のいずれかであることが好ましい。担体11がエポキシ基を有していることで、DNA12中の塩基や水酸基と共有結合を形成し、DNA12を固定化することができる。
[0056]
 担体11の表面に塩基性官能基またはエポキシ基を導入する方法としては、該官能基を有するシラン化合物(以下、カップリング剤と呼ぶことがある)を担体11の表面で加水分解させる方法がある。シラン化合物は担体11の表面に存在する水酸基との間でシロキサン結合を形成することができるため、これにより上述の官能基を担体11の表面に導入することができる。
[0057]
 塩基性官能基を有するシラン化合物の具体例として、下記の化合物を挙げる。
[0058]
[化2]


[0059]
 ここで、各式のR は水素または炭素数1~8の一価の炭化水素基であり、R ,R ,R ,R およびR はそれぞれ独立して炭素数1~8の一価の炭化水素基である。また、R およびR はそれぞれ独立して二価の炭化水素基であり、R は炭素数1~8の二価の炭化水素基または-NH-を有する二価基である。
[0060]
 これらの式(2)~(6)中、R ,R ,R ,R ,R ,R が示す炭素数1~8の一価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基などの炭素数1~8の鎖状、分枝状、または環状アルキル基や、フェニル基などの芳香族炭化水素基を挙げることができる。式(2)~(6)中、R が示す炭素数1~8の二価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などの炭素数1~8の鎖状、分枝状、または環状の2価のアルキレン基や、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基などの炭素数1~8の二価の芳香族炭化水素基を挙げることができ、-NH-を有する二価基としては、具体的に、-NH-や、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などの二価の炭化水素基の1つまたは2つが窒素原子に結合して形成される基などを挙げることができ、具体的に、-C NHC -、-C NHC -、-CH NHC -、-C NHCH -、-C NHC -、-C NHC -などを例示することができる(これらの基のアルキレン基は直鎖上でも分岐鎖状でもよい)。式(5)、(6)中、R ,R が示す二価の炭化水素基としては、炭素数が限定されるものではなく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などの鎖状、分枝状、または環状の2価のアルキレン基や、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基などの2価の芳香族炭化水素基を挙げることができ、具体的に、メチレン基、エチレン基などを例示することができる。式(4)中、X が示すアニオンとしては、4級アミノ基を有するシロキサンカチオンと対イオンを形成できるものであれば、いずれのものであってもよく、例えば、ハロゲンイオンなどを挙げることができる。
[0061]
 これらのシラン化合物の具体例として、H NC Si(OCH 、H NC SiCH (OCH 、H NC Si(OC 、H NC SiCH (OC 、(CH )HNC Si(OCH 、(CH )HNC SiCH (OCH 、(CH )HNC Si(OC 、(CH )HNC SiCH (OC 、(CH NC Si(OCH 、(CH NC SiCH (OCH 、(CH NC Si(OC 、(CH NC SiCH (OC 、(C NC Si(OCH 、(C NC Si(OC 、H NC NHC Si(OCH 、H NC NHC SiCH (OCH 、H NC NHC Si(OC 、H NC NHC SiCH (OC 、(CH )HNC NHC Si(OCH 、(CH )HNC NHC SiCH (OCH 、(CH )HNC NHC Si(OC 、CH HNC NHC SiCH (OC 、(CH NC NHC Si(OCH 、(CH NC NHC SiCH (OCH 、(CH NC NHC Si(OC 、(CH NC NHC SiCH (OC 、Cl (CH Si(OCH 、Cl (C Si(OCH などを挙げることができる。これらの少なくとも1種を用いることができる。
[0062]
 塩基性官能基が環状である場合では、カップリング剤の具体例として以下の化合物を挙げることができる。
[0063]
[化3]


[0064]
 エポキシ基を有するシラン化合物の具体例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
[0065]
 式(7)~(13)のシラン化合物は、それらの部分加水分解縮合物であるアルコキシオリゴマーであってもよい。担体11表面との反応点が多くなるため、シラン化合物と担体表面との結合が安定化することで、DNAを確実に固定化させることが可能になる。式(10)で示されるアルコキシオリゴマーを、DNAを含むコロイダルシリカ溶液に添加した際、そのコロイド溶液の不安定化(ゲル化)を引き起こさないため、塩基性官能基を有するシラン化合物として好ましい。
[0066]
 <DNA12>
 本実施形態に係るDNA複合体1は、担体11に固定化されたDNA12を有する。なお、DNA12の代わりにRNAを有していてもよい。すなわち、担体11と、担体11に固定化された核酸を有する核酸複合体であってもよい。
[0067]
 (1本鎖DNA)
 DNA12は、DNA複合体1に含まれるDNAの全体を100質量%としたときに80質量%以上が1本鎖のDNAである。80質量%以上が1本鎖のDNAであることによって、より多くのDNA12を担体11に固定化することが可能になる。また、DNAが2本鎖を形成している場合には、DNA中の塩基は塩基対を形成する相補的な塩基との間に水素結合を形成しているが、1本鎖のDNAにおいてはこの水素結合が形成されていない。そのため、DNA中の塩基の有するアミノ基等が露出しており、塩基と金属元素またはヨウ素を含むイオン等の物質との間の相互作用が促進される。その結果、金属イオン等の物質を錯体化するなどして吸着する能力を、2本鎖のDNAに比べて高くすることができる。
[0068]
 なお、以下の説明において、DNA12またはDNA複合体1が吸着する物質である、金属元素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むイオン等の物質を、除去対象物質と称する。除去対象物質は、セシウム(Ce)、ストロンチウム(Sr)、ルテニウム(Ru)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ヨウ素酸(IO)、ヨウ素(I)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むイオンであることが好ましい。除去対象物質は放射性元素を含んでいてもよい。本実施形態のDNA複合体1は、特にルテニウム(Ru)を含むイオンの吸着に用いることが好適であり、放射性ルテニウムを含むイオンの吸着に用いることがより好適である。
[0069]
 また、DNAはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類の塩基を、分子鎖中に高密度に有する。そのため、除去対象物質を吸着する部位を多量に有しており、除去対象物質を多く吸着することができる。さらに、DNAは、高分子鎖が形成する三次元空間を利用できるため、金属元素およびヨウ素に対して、高い選択性を持って吸着することができると思われる。具体的には、DNAの連続的な塩基の配列と三次元空間によって、キレート効果が生じやすくなる。キレート効果とは、多数の配位子によって、それら配位子と金属元素との錯体安定性が向上することである。例えば、DNAの塩基内の窒素原子や酸素原子が配位子となり、ルテニウムなどの金属元素と安定な錯体を形成できるため、DNA複合体1を用いて、金属元素を確実に吸着することができる。
[0070]
 なお、DNA複合体1に含まれるDNAの全体に対する、1本鎖DNAの含有比率および2本鎖DNAの含有比率は、吸光度を測定するによって算出することができる。別の方法としては、例えば、PicoGreen dsDNAアッセイキット、または、OliGreen ssDNAアッセイキット(以上、Thermo Fisher Scientific社製、「PicoGreen」および「OliGreen」はThermoFisher Scientific社の登録商標)などの市販の評価キットを利用し、そのプロトコールに沿って測定することができる。
[0071]
 (平均分子量)
 DNA12の平均分子量は、500,000(50万)以下であることが好ましい。DNA12の平均分子量は、200,000(20万)以下であることがより好ましく、100,000(10万)未満であることがさらに好ましい。また、80,000(8万)以下であることがさらにより好ましく、50,000(5万)以下であることが特に好ましい。DNA12の平均分子量が50万以下であることによって、担体11に固定化されるDNA12の量が増加し、その結果、除去対象物質をより多く吸着することができる。
[0072]
 DNA12の平均分子量は、ナノサイズの空隙内へのDNAの固定化を考慮した時、重要な因子である。例えば、DNA12の分子量が50万であり、DNA12が1本鎖DNAであり、DNA12が担体表面に吸着しているときのDNA12のサイズ(慣性半径)は、およそ15nmと見積もられる。この程度のサイズ以下のサイズのDNAであれば、担体11に効率的に固定化できると考えられる。したがって、DNA12の平均分子量は50万以下が好ましいと考えられる。
[0073]
 また、DNA12の平均分子量が50万以下であることによって、DNA12の水に対する溶解度を向上させるとともに、DNA12を水に溶解させた水溶液の粘度を低下させることができる。DNA12の水溶液を担体11または担体11を構成する一次粒子と接触させる工程を含む方法によってDNA複合体1を製造する場合には、DNA12の水溶液と担体11または担体11を構成する一次粒子とをできるだけ均一に混合することが好ましい。DNA12の水溶液の粘度が高すぎると均一に混合することが困難となり、DNA複合体1中におけるDNA12の量を十分に増やせないばかりか、DNA複合体1を製造することすら困難な場合もある。そのため、DNA12の平均分子量は50万以下とすることが好ましい。
[0074]
 (DNA複合体におけるDNAの含有率)
 DNA複合体1を構成するDNA12の含有率は、DNA複合体1の全体を100質量%としたときに3質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。また、DNA12の含有率は、15質量%より大きく50質量%以下であることがさらに好ましい。DNA12の含有率を3質量%以上とすることで、除去対象物質をより多く吸着することができる。DNA複合体1において、DNA12の含有率が増加するに伴い除去対象物質の吸着量も増加するため、DNA12の含有率はより高いほうが好ましい。DNA12の含有率を15質量%より大きくすることで、除去対象物質の吸着量を顕著に増やすことができる。一方で、DNAの含有率が50質量%を大きく超える場合は、DNA12を担体11に安定して固定化させることが困難となる場合があるため、DNA12の含有率は50質量%以下であることが好ましい。
[0075]
 DNA複合体1におけるDNA12の含有率は、吸光度測定による方法で測定することができる。具体的には、DNA複合体1を製造したときに、担体11に固定化されずに溶液中に残存したDNAの量を、吸光度測定によって測定する方法が挙げられる。あるいは、X線光電子分光分析法(XPS)による表面分析によって、DNA12の量を測定することができる。XPSによってDNA12の量を測定する際には、量が既知であるDNAを担体表面に固定化して標準サンプルを調製し、標準サンプルとの間でXPSによるリンの定量結果を比較することで行うことができる。
[0076]
 (DNAの種類)
 DNA12としては、例えば、哺乳類や鳥類、魚類、軟体動物等の動物の精巣や胸腺から得られるDNAが挙げられる。特に、サケ、ニシンまたはタラの白子(精巣)、あるいは、ホタテガイのウロ(生殖巣)から得られるものが好ましい。あるいは、ウシ、ブタ、ニワトリ等の哺乳類または鳥類の胸腺から得られるものが好ましい。DNA12は合成DNAであってもよく、その塩基配列は特に限定はされないが、poly(dA)、poly(dT)などの配列を有する合成DNAであってもよい。これらの水溶性形態として、アルカリ塩、アンモニウム塩の形態を用いる。好ましく、アルカリ塩で、より好ましくナトリウム塩である。
[0077]
 <DNA複合体のサイズ>
 DNA複合体1の個数基準の平均粒径は、10μm以上であることが好ましい。これにより、DNA複合体1を吸着材として、後述する吸着カラムや浄化システム、廃液または汚染水の処理に利用するときに、通液時の圧力損失を抑制しつつ、DNA複合体1の系外への流出を抑制することができる。詳しくは後述するが、DNA複合体1をこれらの用途で使用する場合には、除去対象物質を吸着したDNA複合体1を系外に流出させないために、フィルター等を用いる。フィルターの孔径はDNA複合体1の粒径に応じて選択する必要があり、DNA複合体1の粒径より小さな孔径を有するフィルターを用いることが好ましい。フィルターの孔径を小さくしすぎると、液体がフィルターを通過する際の圧力損失が増加してしまい、好ましくない。一方、本実施形態では、DNA複合体1の平均粒径を10μm以上と大きくすることで、DNA複合体1を系内に保持するためのフィルターの孔径を大きくすることができ、通液時の圧力損失を抑制することができる。カラム通水時の圧力損失と吸着材の粒径の関係を表したErgun式からも、線流速1m/hとしたときに圧力損失を1MPa/m以下に抑えるための条件として、DNA複合体1の平均粒径は10μm以上とすることが好ましいこと導かれる。また、DNA複合体1の個数基準の平均粒径は、10μm以上であることによって、廃液または汚染水中でのDNA複合体1の沈降速度が速くなるため、バッチ吸着の際の固液分離を効率的に行うことができる。
[0078]
 また、DNA複合体1の個数基準の平均粒径は、2000μm以下であることが好ましい。これにより、DNA複合体1の比表面積を大きくすることができ、除去対象物質を効率的に吸着することができる。例えば、DNA複合体1を吸着カラムに充てんする場合、DNA複合体1の個数基準の平均粒径は小さいほうが好ましい。なぜなら、吸着カラムの体積当たりのDNA複合体1の表面積が増えるからである。また、DNA複合体1が多孔質体である場合などには、除去対象物質がDNA複合体1の粒内または細孔内を拡散することで、DNA複合体1の外表面以外においても除去対象物質を吸着することができる。このとき、DNA複合体1の平均粒径を2000μm以下とすることで、除去対象物質のDNA複合体1の粒内または細孔内における拡散距離を短くすることができ、吸着効率を向上させることができる。
[0079]
 DNA複合体1の個数基準の平均粒径は、低倍率の顕微鏡画像を用いて、各粒子の円相当径を測定し、その個数基準の粒径分布から粒径の平均値を算出することで測定することができる。このとき用いる顕微鏡画像は、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などを用いて取得されるものを用いることができる。1つの視野の中に数十個~数百個の粒子が写るように倍率を調整して画像を取得し、視野内の各粒子の円相当径を測定する。複数視野について上記測定を行って個数基準の平均粒径を算出してもよいが、1つの視野内に統計的に十分な量の粒子が写っていれば、1つの視野内で個数基準の平均粒径を算出してもよい。なお、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法(DLS)、粒子のサイズによる沈降速度の違いを計測する超遠心分離法などを用いて個数基準の平均粒径を測定することもできる。
[0080]
 [DNA複合体の製造方法]
 DNA複合体1の製造方法の一例を、図2を用いて説明する。本実施形態に係るDNA複合体1の製造方法は、下記の(1)~(3)の工程を有する。
(1)1本鎖DNAの溶液を調製する工程
(2)1本鎖DNAの溶液に、担体または担体を構成する一次粒子を接触させる工程
(3)1本鎖DNAと担体または担体を構成する一次粒子を含む混合液から、溶媒を除去する工程
[0081]
 以下、各工程について説明する。
[0082]
 (1)1本鎖DNAの溶液を調製する工程(S201)
 ステップS201において、1本鎖DNA12の溶液(DNA溶液)を調製する。具体的には、1本鎖DNA12をイオン交換水に溶解させる。DNAの溶解度はDNAの分子量と負の相関があるため、1本鎖DNA12の平均分子量を50万以下とすることで、DNA溶液中における1本鎖DNA12の濃度を高くすることができる。これにより、後述のステップにおいて担体11または一次粒子111に多量の1本鎖DNA12を接触させることができるようになり、その結果、DNA複合体1におけるDNA12の含有率を増加させることができる。
[0083]
 (2)1本鎖DNAの溶液に、担体または担体を構成する一次粒子を接触させる工程(S202)
 ステップS202において、ステップS201で調製した1本鎖DNA12の溶液に、担体11または担体11を構成する一次粒子111を接触させる。両者を接触させる方法は特に限定はされないが、一例として、担体11または一次粒子111の分散溶液を準備し、この分散溶液をステップS201で調製した1本鎖DNA溶液と混合する方法が挙げられる。分散溶液を調製する際には、上述のカップリング剤を添加してもよい。
[0084]
 (3)1本鎖DNAと担体または担体を構成する一次粒子を含む混合液から、溶媒を除去する工程(S203)
 ステップS203において、ステップS202で調製した1本鎖DNA12と、担体11または一次粒子111と、を含む混合液から、溶媒を除去する。溶媒を除去する方法は特に限定はされず、スプレードライ法や減圧乾燥法などを用いることができる。一次粒子111を用いた場合には、本工程で溶媒を除去する過程において、複数の一次粒子111が凝集または集合し、凝集体を形成する。
[0085]
 ステップS202~S203の過程で1本鎖DNA12は担体11または一次粒子111に固定化され、DNA複合体1が得られる。なお、ステップS203で得られたDNA複合体1は、イオン交換水で洗浄してもよい。また、イオン交換水での洗浄を行わずに、あるいは洗浄を行った後に、架橋成分を含む溶液に分散させて撹拌し、回収、洗浄、乾燥してもよい。
[0086]
 [吸着材]
 DNA複合体1は、液体中の、金属元素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むイオン等の物質を吸着する吸着材として使用することができる。DNA複合体1は、吸着能の観点から、セシウム、ストロンチウム、ルテニウム、鉛、カドミウム、亜鉛、銅、鉄、ニッケル、銀、ロジウム、パラジウム、イリジウムおよび、ヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むイオンの吸着材としてより好適であり、ルテニウムを含むイオンの吸着材として特に好適である。上述の元素は放射性元素であってもよく、DNA複合体1は放射性廃棄物を含む液体(放射性廃液)の浄化のための吸着材として好適に用いられる。
[0087]
 DNA複合体1は、そのままの状態で吸着材として用いてもよく、造粒や成形によって粒径や形状を調整したうえで吸着材として用いてもよい。あるいは、DNA複合体1を板や繊維、織布、不織布などの他の基材上に固定化したものを、吸着材として用いてもよい。造粒、成形、または固定化の処理の際には、有機バインダーや無機バインダーなどのバインダーを添加してもよい。なお、吸着材が粒子状である場合には、その個数基準の平均粒径は500μm以上であることが好ましい。
[0088]
 また、本実施形態に係る吸着材を放射性廃液中に含まれる放射性金属イオンやヨウ素イオンなどを除去するために用いる場合には、DNA複合体1は耐熱性が高いことが好ましい。これは、例えば、吸着材に吸着した放射性物質が放射性崩壊する際に放出される崩壊熱によって、吸着材が高温環境下にさらされることがあるからである。また、同様に、DNA複合体1は耐放射線性が高いことが好ましい。これは、吸着材が、上述の放射線崩壊によって放出される放射線に曝されることがあるからである。DNA複合体1の耐熱性および/または耐放射線性が高いことによって、DNA12が担体11から遊離してしまうことを抑制することができ、放射性廃液の処理時においても除去対象物質の吸着能を高めることができる。また、DNA複合体1は酸やアルカリなどの溶剤耐性も高いことが好ましい。酸に耐性があることで、強酸廃液中に含まれる金属イオンを吸着することが可能になる。金属回収工程で生じる廃液は酸性溶液であることが一般的である。DNA複合体1に吸着した金属イオンは、酸やキレート剤を用いて、DNA複合体1から分離回収することができる。また、DNA複合体1はアルカリ耐性がある。これによって、DNA複合体1はアルカリ環境でも機能することが出来る。たとえば、ごみ焼却飛灰の重金属固定化の処理のために用いることが出来る。ごみ焼却飛灰の重金属固定化の処理では、ごみ焼却飛灰に重金属固定剤を混練して、アルカリ性の環境になる飛灰中で重金属の再溶出を抑制することが求められる。DNA複合体1の耐酸性および/または耐アルカリ性が高いことによって、DNA12が担体11から遊離してしまうことを抑制することができ、廃液や焼却飛灰の処理時においても除去対象物質の吸着能を高めることができる。
[0089]
 [吸着カラム]
 図3は、DNA複合体1を含む吸着材26を充填した吸着カラム21の構成の一例の模式的に示す図である。本実施形態に係る吸着カラム21は、カラム容器24と、カラム容器24に充填された吸着材26と、を有しており、吸着材26はDNA複合体1を含んでいる。また、図3に示すように、吸着カラム21は、トップフィルター22、ボトムフィルター23、および、カラム接続部25をさらに有していてもよい。吸着カラム21は、トップフィルター22側とボトムフィルター23側にそれぞれ開口を有しており、一方の開口から他方の開口へと液体を通液することで、液体を吸着材26に接触させることができる。これにより、液体に含まれる金属元素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むイオン等の物質を吸着することができる。なお、吸着カラムは吸着塔と呼ばれることもある。
[0090]
 トップフィルター22は、カラム容器24に充填した吸着材26が通液の際に液中で飛散することを防ぐ機能をもつ。また、ボトムフィルター23は、充填された吸着材26が吸着カラム21から流出することを防ぐ機能をもつ。なお、吸着カラム21は、トップフィルター22、および、ボトムフィルター23を有していなくともよい。この場合は、吸着カラム21の有する開口の口径を、吸着材26よりも小さくすることが好ましい。
[0091]
 吸着カラム21の内部の構造は特に限定は特に限定はされない。吸着カラム21に通液した液体が、吸着カラム21内部に充填した吸着材26と十分に接触した後に吸着カラム21の外部へと流出するようにすることが好ましい。例えば、吸着カラム21の中心部(中心軸)から外周部へ向かって放射状に廃液が流れるように構成することもできる。
[0092]
 カラム容器24の形状は特に限定はされないが、例えば円筒型の容器を用いることができる。カラム容器24の素材としては、吸着カラム21に通液する液体や吸着材26、吸着材によって吸着された除去対象物質などが漏えいすることを防止するために、ステンレスや二相ステンレスなどを用いることができる。
[0093]
 カラム接続部25は、浄化システムの配管など、吸着カラム21に通液する液体を供給または排出するための配管と接続する機能をもつ。さらに、吸着カラム21から配管を取り外す際には、カラム接続部25は、吸着カラム21内に残存した液体や、吸着体26によって吸着された除去対象物質などの内容物が漏えいすることを防止する機能をもつこともできる。
[0094]
 また、本実施形態に係る吸着カラム21を放射性廃液中に含まれる放射性金属イオンやヨウ素イオンなどを除去するために用いる場合には、カラム容器24の材質として放射線を遮蔽する材質、例えば鉛遮へい材を用いることが好ましい。あるいは、カラム容器24の外側を覆う外装容器として、上記放射線を遮へいする材質の容器を用いてもよい。これにより、吸着カラム21の外部に放出される放射線の量を低減し、吸着カラム21の周囲で作業を行う作業者の被ばく線量を低減するための鉛遮へい材をカラム容器24に備えたものである。あるいは、吸着カラム21は、水が放射線によって分解した際に発生する水素をカラム容器24の外部へと放出するためのベントを有していてもよい。また、この用途の場合、トップフィルター22、ボトムフィルター23、カラム容器24、および、カラム接続部25には、耐熱性や耐放射線性が高い材料を用いることが好ましい。
[0095]
 [浄化システム]
 図4は、DNA複合体1を含む吸着材26を充填した吸着カラム21を有する浄化システム31の構成の一例を模式的に示す図である。本実施形態に係る浄化システム31は、吸着カラム21と、吸着カラム21に液体を送液する送液手段と、を有する。また、浄化システム31は、図4に示すように、ろ過装置33、前処理装置34、流路切り替えバルブ36、廃液タンク37、および、処理液タンク38をさらに有していてもよい。
[0096]
 ポンプ32は、浄化システム31が浄化の対象とする、金属元素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むイオン等の物質を含む液体を、吸着カラム21に送液する送液手段である。ポンプ32は、カラム21に供給される液体の供給量を調整することができる。なお、ポンプ32は図4ではカラム21の上流側に配置されているが、カラム21の下流側に配置されていてもよい。浄化システム31がろ過装置33、前処理装置34をさらに有する場合には、送液手段であるポンプ32は、これらの装置へと液体を送液する機能ももつ。この場合は、吸着カラム21に安定して送液できるように、前処理装置34と吸着カラム21の間にさらにポンプ32を設置することもできる。
[0097]
 ろ過装置33は、浄化システム31に供給された液体(典型的には廃液)に含まれる不溶な固形成分を除去する役割をもつ。不要な固形成分の例としては、粒径1μm以上の粒子状物質を挙げることができる。
[0098]
 前処理装置34は、吸着カラム21に供給される液体の前処理を行う装置である。前処理装置34は、例えば、液体へのpH調整剤の供給と混合を行う。これにより、吸着カラム21に供給される液体のpHを調整することができる。
[0099]
 流路切り替えバルブ36は、吸着カラム21からの流出液の流路を切り替えるバルブである。本実施形態では、流路切り替えバルブによって流路を切り替えることで、吸着カラム21からの流出液を、吸着カラム21の上流側へと再度供給することができ、これにより、吸着カラム21に液体を複数回通すことができるようになる。
[0100]
 廃液タンク37は、浄化システム31によって浄化を行う液体を貯留するタンクである。廃液タンク37は浄化システム31に、浄化システム31によって浄化を行う液体を供給する供給口としての機能も有する。処理液タンク38は、浄化システム31によって処理を行った液体を貯留するタンクである。
[0101]
 なお、本実施形態では送液手段としてポンプ32を用いた場合について説明したが、これに限定はされない。送液手段として、液体を重力によって送液する手段や、遠心力によって送液する手段などを用いてもよい。
[0102]
 [液体の処理方法]
 DNA複合体1を用いた、液体の処理方法の一例を、図4および図5を用いて説明する。本実施形態に係る液体の処理方法は、金属元素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むイオン等の物質を含む液体の処理方法であって、DNA複合体1を含む吸着材に当該液体を接触させる工程を有する。以下、詳細に説明する。
[0103]
 図5は、本実施形態に係る液体の処理方法の手順を示すフローチャートである。本実施形態に係る液体の処理方法は、DNA複合体1を含む吸着材に液体を接触させて、当該液体中の金属元素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むイオン等の物質を吸着除去する方法である。よって、除去対象物質を含む廃液や汚染水などの液体の浄化方法と言うこともできる。
[0104]
 ステップS501において、浄化対象の液体(廃液や汚染水)を、配管を通じてろ過装置33に供給する。ろ過装置33により、液体に含まれる不溶な固形成分を除去する。
[0105]
 次に、ステップS502において、固形成分を除去した液体を、配管を通じて前処理装置34に供給する。前処理装置34は、液体にpH調整剤を加えて撹拌することで、液体のpHが目的の値に調整される。目的のpHは、除去の対象となる金属イオン等の物質を除去するための最適な値を選択することができる。例えば、Ruはアルカリ性の液体中では沈殿することがあるため、廃液に塩酸を加えて液体のpHを2程度に調整することが好ましい。ただし、Ruの濃度が低い場合にはこの限りではない。
[0106]
 次に、ステップS503において、前処理が施された液体を、配管を通じて吸着カラム21に供給する。吸着カラム21に供給された液体は、吸着カラム21に充填された吸着材26を通過する。このとき、吸着材26に含まれるDNA複合体1によって、液体中の金属イオン等の除去対象物質が吸着され、吸着カラム21から排出される液体から除去される。
[0107]
 吸着カラム21から流出した液体は、処理液タンク38に送液されてもよいし、廃液タンク37に送液されるなどして再度吸着カラム21に供給されてもよい。
[0108]
 浄化システム31がポンプ32を有する場合には、ステップS501からステップS503の一部または全部における液体の供給は、ポンプによって行う。浄化システム31がろ過装置33や前処理装置34を有さない場合には、これらの装置によるステップ(ステップS501やステップS502)を飛ばして次のステップに液体を供給する。
[0109]
 [液体からの金属回収方法]
 DNA複合体1を用いた、液体からの金属回収方法の一例を説明する。本実施形態に係る、液体からの金属回収方法は、金属元素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むイオン等の物質を含む液体からの金属回収方法であって、DNA複合体1を含む吸着材に当該液体を接触させる工程、ならびに当該吸着材から金属を回収する工程を有する。当該吸着材は、再利用することもできる。
[0110]
 以下、具体例を説明する。回収対象のイオンを含む液体(廃液や汚染水)を、配管を通じて吸着カラムに供給する。吸着カラムに供給された液体は、吸着カラムに充填された吸着材を通過する。このとき、吸着材に含まれるDNA複合体1によって、液体中のイオン等の回収対象物質が吸着される。吸着カラムから流出した液体は、処理液タンクに送液されてもよいし、廃液タンクに送液されるなどして再度吸着カラムに供給されてもよい。
[0111]
 次に、回収対象のイオンをDNA複合体1を含む吸着材から分離する方法を説明する。例えば、回収対象のイオンが吸着したDNA複合体1を含む吸着材を加熱分解することで金属を回収できる。たとえば、DNAを加熱分解することで、吸着していた金属イオン等を回収できる。
[0112]
 また、酸、アルカリ、あるいはキレート剤を含む液体(溶離液)を接触させることで、金属を回収することもできる。溶離液は、配管を通じて吸着カラムに供給する。吸着カラムに供給された溶離液は、吸着カラムに充填された吸着材を通過する。このとき、吸着材に含まれるDNA複合体1からイオン等の回収対象物質が溶離する。吸着カラムから溶離した液体は、処理液タンクに送液されてもよいし、廃液タンクに送液されるなどして再度吸着カラムに供給されてもよい。溶離した金属イオンは水酸化物、塩化物として回収することができる。
[0113]
 回収対象のイオンの純度を上げるために、洗浄液を吸着カラムに通液しても良い。吸着材に弱く吸着した不純物を洗い流すことができる。
[0114]
 加えて、DNA複合体1は再生可能であるため、繰り返して液体からの金属回収に使うことができる。したがって、従来に比べて低コストで金属回収が可能になる。
[0115]
 [焼却飛灰中の重金属処理方法]
 本発明のDNA複合体1は、廃棄物の燃焼時に排出される焼却飛灰中に含有される鉛、カドミウム、亜鉛及び銅等の有害金属を固定化するための、焼却飛灰の重金属処理剤として利用できる。DNA複合体1を用いた、焼却飛灰中の重金属処理の一例を説明する。
[0116]
 本発明に係る焼却飛灰中の重金属処理の一例として、本発明に係るDNA複合体1を、固体粉末又はスラリーの形態で、焼却飛灰に対して0.01~10重量%の範囲で、焼却飛灰に加えて混練する。この際、処理した焼却飛灰の廃棄を容易にするために、焼却飛灰に対して5~50重量%の量の水を加えて混練することが好ましい。
実施例
[0117]
 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
[0118]
 (1本鎖DNAの含有比率の測定)
 以下の各実施例において、得られたDNA複合体に含まれるDNAの全体に対する1本鎖DNAの含有比率(1本鎖率と略すことがある)は、DNA複合体の調製に用いたDNA水溶液の260nmの吸光度を測定することで算出した。これは、2本鎖DNAが1本鎖DNAに変性すると、核酸塩基間のスタッキング相互作用が失われるために260nmの吸光度が増加する原理を利用したものである。
[0119]
 具体的には、まず、室温においてDNA水溶液の260nmの吸光度(これをA25とする)を測定する。その後、DNA水溶液を95℃で30分間加熱して、DNA水溶液中の2本鎖DNAを1本鎖にした状態で260nmの吸光度(これをA95とする)を再度測定する。このとき、DNA水溶液に含まれるDNAのうちの2本鎖DNAの含有比率が100質量%である場合には、A95/A25の値は1.34となった。一方、2本鎖DNAの含有比率が0質量%である場合には、A95/A25の値は1.00となる。この関係を検量線として用いて、25℃における吸光度(A25)と95℃における吸光度(A95)の測定結果から、1本鎖DNAの含有比率を測定した。
[0120]
 なお、この方法で測定される1本鎖DNAの含有比率はDNA水溶液中における1本鎖DNAの含有比率であるが、以下の各実施例においては、この含有比率はDNA複合体に含まれるDNAの全体に対する1本鎖DNAの含有比率と一致すると考えられる。これは、以下の各実施例におけるDNA複合体の調製の過程において、DNA水溶液中において1本鎖であったDNAが2本鎖を形成する可能性は極めて低いと考えられるからである。
[0121]
 この理由は、第1に、DNA複合体の調製において、DNA水溶液はシリカなどの担体等と混合され、1本鎖DNAは当該1本鎖DNA中の一か所のみにおいてではなく、複数個所(多点)で、担体へと固定化されると考えられるからである。担体へ複数個所で固定化されたDNAは、DNAの骨格のリン酸基ならびに塩基が部分的に担体側に埋もれてしまうために、2本鎖構造の安定化に必須な、相補的なDNAとの間に形成される塩基対を形成することが困難になる。また、2本鎖形成の安定化には、積み重なる塩基による相互作用やリン酸基間の反発力のバランスが重要である。すなわち、2本鎖DNAの形成にはある程度の塩基対が連続する必要がある。第2に、以下の各実施例においては、シリカ溶液はpH9以上のアルカリ溶液であり、DNAの2本鎖形成にとって好ましい中性環境ではないからである。
[0122]
 (DNA含有率の算出)
 以下の各実施例において、「DNA含有率」とは、DNA複合体において、DNA複合体の質量に対するDNAの質量の割合とする。例えば、DNA複合体が1gであり、このDNA複合体内に0.1gのDNAが固定化されている場合は、DNA含有率は10質量%となる。
[0123]
 以下の各実施例では、DNA含有率は、吸光度測定またはXPSによって行った。吸光度法(吸光度測定による方法)では、DNA複合体を調製する際に、すべての洗浄溶液を回収し、その回収した溶液の260nmの吸光度を測定することで、回収した溶液中のDNA量を測定する。ここで得られたDNA量は、DNA複合体を製造する過程で担体に固定化されなかったDNA量であるため、DNA複合体を製造するために用いたDNA量から差し引くことで、担体に固定化されたDNA量を算出することができる。一方、XPS法(XPSによる方法)では、DNA複合体の表面のリンを定量し、標準サンプルにおけるリンの定量値と比較することで、担体に固定化されたDNAの量を算出することができる。
[0124]
 (DNAの分子量の測定)
 以下の各実施例において、DNAの分子量とは、DNAの平均分子量である。DNAの平均分子量は、アガロース電気泳動法あるいはゲルろ過クロマトグラフィー法などによって測定することができる。アガロース電気泳動では、分子量が既知のDNAマーカーを同時に電気泳動することで、サンプルの平均分子量を測定することができる。特に、哺乳類の精巣などの天然由来のDNAでは、分子量が均一である合成品と異なり、分子量に分布を持つことがある。その場合、電気泳動するとブロードなDNAのバンドを示すことになる。分子量の分布がある場合は、バンドの中心を平均分子量の値とする。ゲルろ過クロマトグラフィー法では、分子の大きさによって分離する手法であり、既知分子量のスタンダードを用いて、DNAの分子量を測定することができる。
[0125]
 (平均粒径の測定)
 以下の各実施例において、DNA複合体の平均粒径は、顕微鏡法による個数基準の平均粒径を用いた。ここでは、低倍率の走査型電子顕微鏡画像を用いて、各粒子の円相当径を測定し、その個数基準の平均値を算出することで測定した。具体的には、1つの視野の中に数十個~数百個の粒子が写るように倍率を調整して画像を取得し、視野内の各粒子の円相当径を測定した。粒子が円形である場合は円相当径を計測し、円形以外の場合は、長径と短径の相乗平均値を粒径として計測した。そして、その画像がDNA複合体の全体を代表するものとして、1つの視野内で個数基準の平均粒径を算出した。
[0126]
 また、凝集体を構成する複数の一次粒子の平均粒径は、ガス吸着法によって測定されるBET比表面積と、密度から算出される平均粒径を用いた。
[0127]
 (金属イオンの定量)
 以下の各実施例において、金属イオンの定量は、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)を用いて行った。
[0128]
 (DNA複合体の呼称)
 本実施例中において、DNA複合体間の区別を容易にするために、DNA複合体は、担体がシリカであれば、DNA固定シリカとも呼ぶ。同様にして、担体がアルミナであれば、DNA固定アルミナ、担体がハイドロタルサイトであれば、DNA固定ハイドロタルサイト、担体が活性炭であれば、DNA固定活性炭と呼ぶことがある。
[0129]
 (実施例1)
 <シリカへのDNAの固定化>
 2.7gのサケ白子由来の1本鎖DNA(株式会社エル・エスコーポレーション、平均分子量5万)を51.3gのイオン交換水に溶解させ、DNA水溶液(DNA濃度が5.0質量%)を得た。なお、本実施例で用いた1本鎖DNAについて、上述の吸光度法によって1本鎖DNAの割合を測定したところ、89質量%であった。
[0130]
 固形分率30質量%のコロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、スノーテックスCM、一次粒子径20nm~25nm)溶液36gに塩酸を加え、pHを9.2に調整した。この溶液に、下記式(14)で示される塩基性官能基を有するシロキサンの溶液(固形分率15%,以後、この溶液を「シロキサン溶液N1」と略す)を3.6g添加し、30分間攪拌した後、上記のDNA水溶液(54g)を加えた。ここで、式(14)のシラン化合物は、その部分加水分解縮合物であるアルコキシオリゴマーとなっており、重合度は10以上である。
[0131]
[化4]


[0132]
 得られたシリカとDNAの混合溶液を、室温で60分間攪拌した後、ロータリーエバポレーターを用いて70℃で溶媒を除去した。その後、70℃で15時間乾燥した。得られた固形物を粉砕して、約10gのDNA固定シリカ10を得た。
[0133]
 <強化処理液の調製>
 24.6gのメタノールに5.5gのメチルシリケート溶液(MS56、三菱化学製)を加えた。24.6gのイオン交換水に0.17gの塩酸(35%)を加えた。これらの溶液を混合して、室温で24時間撹拌させて、強化処理液S1を調製した。
[0134]
 <DNA複合体の強化処理>
 5.5gのDNA固定シリカ10を54.9gの強化処理液S1に浸漬し、1日間、室温で攪拌した。その後、強化処理液S1から固形物を分離し、55gのイオン交換水で洗浄した。その洗浄を2回繰り返した後、得られた固形物を70℃で2日間乾燥し、約6gのDNA固定シリカ10Sを得た。
[0135]
 <DNA複合体の分析>
 DNA固定シリカ10SのDNA含有率を吸光度法で測定した結果、15.5質量%であった。また、DNA固定シリカ10Sを、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク、S5500)を用いて加速電圧2kVにて観察したところ、DNA固定シリカ10Sの平均粒径は156.4μmであった。DNA固定シリカ10Sの走査型電子顕微鏡画像を、他のDNA複合体とあわせて図7に示す。DNA固定シリカ10Sは、シリカの一次粒子が凝集した多孔質構造を有していることがわかった。
[0136]
 (比較例1)
 比較のために、1本鎖DNAの代わりに2本鎖DNA(平均分子量660万)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、DNA固定シリカを作製した。なお、比較例として用いた2本鎖DNAについて、上述の吸光度法によって1本鎖の割合を測定したところ、18質量%であった。サケ白子由来の2本鎖DNAを実施例1と同様に2.7g秤量して51.3gのイオン交換水に溶解させようとしたが、2本鎖DNAは水に対する溶解度が1本鎖DNAよりも低く、DNA水溶液を調製することができなかった。
[0137]
 使用する2本鎖DNAの量を少なくしてDNA水溶液を調製したところ、DNA水溶液におけるDNAの濃度をおよそ1質量%にまで低減させればDNA水溶液を調製できることがわかった。そこで、2本鎖DNAを用いてDNA濃度が1.0質量%のDNA水溶液を調製して、以降は実施例1と同様にしてDNA複合体の作製を試みたが、DNA水溶液の粘性が非常に高く、コロイダルシリカ溶液と均一に混ぜることが困難であった。その結果、十分な量のDNAを担持させたDNA複合体を作製することができなかった。
[0138]
 そこで、今度はDNA濃度を半分にしてDNA複合体の作製を行った。具体的には、0.27gのサケ白子由来の2本鎖DNA(平均分子量660万)を53.73gのイオン交換水に溶解させ、非常に粘性の高い、2本鎖DNA水溶液(DNA濃度が0.5重量%)を調製した。この2本鎖DNA水溶液を用いて、以降は実施例1と同様にして、DNA複合体を作製した。得られたDNA固定シリカを、2本鎖DNA固定シリカとする。さらに、実施例1と同様にして、この2本鎖DNA固定シリカの強化処理を行い、2本鎖DNA固定シリカSを得た。2本鎖DNA固定シリカSのDNA含有率を吸光度法で測定した結果、1.7質量%であった。
[0139]
 (実施例2)
 DNA水溶液のDNA濃度を10重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、DNA固定シリカを作製した。得られたDNA固定シリカを、DNA固定シリカ20とする。さらに、実施例1と同様にして、DNA固定シリカ20の強化処理を行い、DNA固定シリカ20Sを得た。DNA固定シリカ20SのDNA含有率を吸光度法で測定した結果、27.8質量%であった。DNA水溶液のDNA濃度を増加させることで、DNA固定シリカのDNA含有率を向上させることが可能であった。
[0140]
 (実施例3)
 コロイダルシリカの一次粒子サイズを変えたDNA固定シリカを作製した。すなわち、コロイダルシリカとして、一次粒子径が10nm~15nmであるコロイダルシリカを用いて、実施例1と同様にして、DNA固定シリカを作製した。
[0141]
 具体的には、固形分率20%(重量)のコロイダルシリカ(日産化学工業(株)、スノーテックスC、一次粒子径10nm~15nm)溶液48gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、DNA固定シリカを作製した。得られたDNA固定シリカを、DNA固定シリカC1とする。さらに、実施例1と同様にして、DNA固定シリカC1の強化処理を行い、DNA固定シリカC1Sを得た。DNA固定シリカC1SのDNA含有率を吸光度法で測定した結果16.1質量%であった。
[0142]
 (実施例4)
 DNA水溶液のDNA濃度を10重量%としたこと以外は、実施例3と同様にして、DNA固定シリカを作製した。得られたDNA固定シリカを、DNA固定シリカC2とする。さらに、実施例3と同様にして、DNA固定シリカC2の強化処理を行い、DNA固定シリカC2Sを得た。DNA固定シリカC2SのDNA含有率を吸光度法で測定した結果、32.3質量%であった。実施例2と同様に、DNA水溶液のDNA濃度を増加させることで、DNA固定シリカのDNA含有率を向上させることが可能であった。
[0143]
 (実施例5)
 コロイダルシリカの一次粒子サイズを変えたDNA固定シリカを作製した。すなわち、コロイダルシリカとして、一次粒子径が4nm~6nmであるコロイダルシリカを用いて、実施例2と同様にして、DNA固定シリカを作製した。
[0144]
 具体的には、実施例2で用いたコロイダルシリカ溶液の代わりに、固形分率15%(重量)のコロイダルシリカ(日産化学工業(株)、スノーテックスCXS、一次粒子径4nm~6nm)溶液72gを用いた。以降、実施例2と同様にして、DNA固定シリカを作製した。得られたDNA固定シリカを、DNA固定シリカCXSとする。さらに、実施例2と同様にして、DNA固定シリカCXSの強化処理を行い、DNA固定シリカCXSSを得た。DNA固定シリカCXSSのDNA含有率を吸光度法で測定した結果、33.1質量%であった。また、実施例1と同様に走査型電子顕微鏡を用いてDNA固定シリカCXSSを観察したところ、DNA固定シリカCXSSは、シリカの一次粒子が凝集した多孔質構造を有していることがわかった。
[0145]
 [各種物質の吸着試験]
 実施例1~5および比較例1で得られた各DNA複合体について、以下の各物質の吸着試験を行った。
[0146]
 <ルテニウム吸着試験>
 実施例1~5および比較例1で得られた各DNA複合体について、ルテニウム吸着試験を行った。
[0147]
 (ルテニウム水溶液の調製)
 塩化ルテニウム(キシダ化学、塩化ルテニウム(III)n水和物)を0.01Nの塩酸水溶液に溶解させて、ルテニウム濃度10mg/1L(10ppm)となるようなルテニウム水溶液を調製した。
[0148]
 (バッチ吸着試験)
 実施例1~5および比較例1で得られたDNA複合体0.1gを15mLのプラスチックチューブにそれぞれ入れ、これに10mLのルテニウム水溶液を加えた。室温でゆるやかに撹拌した後、24時間経過時にルテニウム水溶液の一部を採取した。得られたルテニウム水溶液を遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その水溶液中のルテニウム濃度をICP-AESにて測定した。水溶液中のルテニウム濃度から、各DNA複合体によるルテニウムイオンの除去率を算出した。結果を表1にまとめて示す。
[0149]
 <セシウム吸着試験>
 実施例1~5および比較例1で得られた各DNA複合体について、セシウム吸着試験を行った。
[0150]
 (セシウム水溶液の調製)
 塩化セシウム(キシダ化学)をイオン交換水、10%海水、ならびに34%海水にそれぞれ溶解させて、セシウム濃度20mg/1L(20ppm)となるようなセシウム水溶液を調製した。なお、セシウム水溶液を調製するための海水溶液としては、人工海水調製用の試薬であるダイゴ人工海水SP(和光純薬)36gをイオン交換水1Lに溶解させて調製した人工海水溶液を用いた。この溶液を100%海水として、さらに、イオン交換水で3倍希釈、あるいは10倍希釈することで、34%あるいは10%海水を調製した。
[0151]
 (バッチ吸着試験)
 ルテニウム吸着試験と同様に、実施例1~5および比較例1で得られたDNA複合体0.1gを15mLのプラスチックチューブにそれぞれ入れ、これに10mLのセシウム水溶液を加えた。室温でゆるやかに撹拌した後、24時間経過時にセシウム水溶液の一部を採取した。得られたセシウム水溶液を、遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その水溶液中のセシウム濃度をICP-AESにて測定した。水溶液中のセシウム濃度から、各DNA複合体によるセシウムイオンの除去率を算出した。結果を表1にまとめて示す。
[0152]
 <ストロンチウム吸着試験>
 実施例1~5および比較例1で得られた各DNA複合体について、ストロンチウム吸着試験を行った。
[0153]
 (ストロンチウム水溶液の調製)
 塩化ストロンチウム水和物(キシダ化学)をイオン交換水、10%海水、ならびに34%海水にそれぞれ溶解させて、ストロンチウム濃度2mg/1L(2ppm)となるようなストロンチウム水溶液を調製した。なお、ストロンチウム水溶液を調製するための海水溶液としては、セシウム水溶液の調製時と同様の人工海水溶液を用いた。
[0154]
 (バッチ吸着試験)
 ルテニウム吸着試験と同様に、実施例1~5および比較例1で得られたDNA複合体0.1gを15mLのプラスチックチューブにそれぞれ入れ、これに10mLのストロンチウム水溶液を加えた。室温でゆるやかに撹拌した後、24時間経過時にストロンチウム水溶液の一部を採取した。得られたストロンチウム水溶液を、遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その水溶液中のストロンチウム濃度をICP-AESにて測定した。水溶液中のストロンチウム濃度から、各DNA複合体によるストロンチウムイオンの除去率を算出した。結果を表1にまとめて示す。
[0155]
[表1]


[0156]
 表1から、実施例1~5の各DNA固定シリカは、比較例1の2本鎖DNA固定シリカに比べてDNA含有率を高めることができており、いずれもルテニウムの除去率が高いことがわかった。この結果から、1本鎖DNAを用いることで、ルテニウムを含むイオンの吸着能の高いDNA複合体を実現することができることがわかった。特に、ルテニウムは核酸塩基およびDNA骨格のリン酸基によって錯体化されるなどして吸着すると考えられる。そのため、核酸塩基が遊離状態にある1本鎖DNAを固定化した複合体のほうが、ルテニウムを吸着除去するために好適であるために、表1の結果が得られたものと考えられる。
[0157]
 なお、強化処理前のDNA複合体(DNA固定シリカ20、DNA固定シリカC2、DNA固定シリカCXS)についてはDNA含有率を測定していないが、これらのDNA含有率は、それぞれを強化処理したもののDNA含有率よりも大きな値を示すと考えられる。これは、強化処理を施すと、強化処理液に由来する成分がDNA複合体に含まれるようになるため、相対的にDNA含有率が低下するからである。
[0158]
 また、実施例1~5の各DNA固定シリカは、セシウム吸着試験およびストロンチウム吸着試験においても、比較例1の2本鎖DNA固定シリカに比べて高い吸着能を示した。
[0159]
 実施例2、実施例4、実施例5を比較すると、ルテニウム吸着試験およびセシウム吸着試験においては、担体を構成する一次粒子の粒径が小さくなるにつれて、吸着能が向上するという結果が得られた。また、ストロンチウム吸着試験においては、担体を構成する一次粒子の粒径を15nm以下とすることで、海水中においても高い吸着能を示すことがわかった。特に、DNA固定シリカCXSS(DNA含有率33.1%)は、Ru除去率92.5%、Cs除去率58.1~91.3%(海水濃度に依存)、Sr除去率は28.2~99.3%(海水濃度に依存)と、2本鎖DNA固定シリカに比べて吸着能を大幅に向上させることができた。この除去率は、セシウム除去剤として汎用されるA型ゼオライト(比較例2として同様に評価した結果を表1に示す)と同等以上であり、セシウム除去材料として実用レベルに到達していることがわかった。
[0160]
 (実施例6)
 実施例5において、強化処理の前に洗浄工程を設けて、DNA固定シリカを作製した。
[0161]
 具体的には、実施例5と同様にしてDNA固定シリカCXSを作製した後、得られた固形物に対して10倍量のイオン交換水を加え、固液分離によって、固形物を洗浄した。その後、70℃で15時間乾燥した。得られた固形物を粉砕して、DNA固定シリカCXSWを得た。さらに、実施例5と同様にして、DNA固定シリカCXSWの強化処理を行い、DNA固定シリカCXSWSを得た。DNA固定シリカCXSWSのDNA含有率を吸光度法で測定した結果、20.0質量%であった。
[0162]
 (実施例7)
 カップリング剤(シロキサン溶液N1)を使わないこと以外は、実施例6と同様にして、DNA固定シリカを作製した。
[0163]
 具体的には、実施例6において、固形分率15%(重量)のコロイダルシリカ(日産化学工業(株)、スノーテックスCXS、一次粒子径4nm~6nm)溶液30gに、DNA濃度10質量%のDNA水溶液(27g)を加えた。以降、実施例6と同様にして、DNA固定シリカを作製した。得られたDNA固定シリカを、DNA固定シリカCXSBLとする。さらに、実施例6と同様にして、DNA固定シリカCXSBLの強化処理を行い、DNA固定シリカCXSBLSを得た。DNA固定シリカCXSBLSのDNA含有率を吸光度法で測定した結果、25.3質量%であった。
[0164]
 (実施例8)
 カップリング剤として、エポキシ基を有するシランカップリング剤を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、DNA固定シリカを作製した。
[0165]
 具体的には、実施例6において、固形分率15%(重量)のコロイダルシリカ(日産化学工業(株)、スノーテックスCXS、一次粒子径4nm~6nm)溶液30gに、エポキシ基を有するシランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、KBM-403、信越化学)を0.53mL添加し、30分間攪拌した後、DNA濃度10質量%のDNA水溶液(27g)を加えた。以降、実施例6と同様にして、DNA固定シリカを作製した。得られたDNA固定シリカを、DNA固定シリカ403とする。さらに、実施例6と同様にして、DNA固定シリカ403の強化処理を行い、DNA固定シリカ403Sを得た。DNA固定シリカ403SのDNA含有率を吸光度法で測定した結果、14.8質量%であった。
[0166]
 (実施例9~実施例11)
 カップリング剤として、アミノ基を有するシランカップリング剤を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、DNA固定シリカを作製した。
[0167]
 アミノ基を有するシランカップリング剤として、実施例9では3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903、信越化学)を、実施例10ではN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-573、信越化学)を用いた。また、実施例11では3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン(KBE-9103、信越化学)を用いた。
[0168]
 具体的には、実施例6において、固形分率15%(重量)のコロイダルシリカ(日産化学工業(株)、スノーテックスCXS、一次粒子径4nm~6nm)溶液30gに、アミノ基を有する各シランカップリング剤を0.53mL添加し、30分間攪拌した後、DNA濃度10質量%のDNA水溶液(27g)を加えた。実施例9、実施例11においてはDNA水溶液を添加して混合したところ混合溶液がゲル化したため、このゲルを水で洗浄して、固形分を回収した後、固形分を70℃で乾燥させることで、それぞれ、DNA固定シリカ903、あるいはDNA固定シリカ9103を得た。実施例10においては以降、実施例6と同様にして、DNA固定シリカ573を得た。さらに、これらのDNA固定シリカを実施例6と同様にして強化処理して、DNA固定シリカ903S、DNA固定シリカ9103S、DNA固定シリカ573Sをそれぞれ得た。
[0169]
 [各種物質の吸着試験]
 実施例6~11で得られた各DNA複合体について、以下の各種物質の吸着試験を行った。
[0170]
 <ルテニウム吸着試験>
 実施例6~11で得られた各DNA複合体について、ルテニウム吸着試験を行った。
[0171]
 (ルテニウム水溶液の調製)
 人工海水調製用の試薬であるダイゴ人工海水SP(和光純薬)36gを0.01Nの塩酸水溶液1Lに溶解させて、人工海水溶液を調製した。この溶液を100%海水として、さらに、0.01Nの塩酸水溶液で3倍希釈することで、34%海水を調製した。
[0172]
 塩化ルテニウム(キシダ化学、塩化ルテニウム(III)n水和物)を34%海水に溶解させて、ルテニウム濃度10mg/1L(10ppm)となるような34%海水を含むルテニウム水溶液を調製した。
[0173]
 (バッチ吸着試験)
 実施例6~11で得られたDNA複合体0.1gを15mLのプラスチックチューブにそれぞれ入れ、これに10mLの34%海水を含むルテニウム水溶液を加えた。室温でゆるやかに撹拌した後、24時間経過時にルテニウム水溶液の一部を採取した。得られたルテニウム水溶液を遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その水溶液中のルテニウム濃度をICP-AESにて測定した。水溶液中のルテニウム濃度から、各DNA複合体によるルテニウムイオンの除去率を算出した。結果を表2にまとめて示す。
[0174]
[表2]


[0175]
 実施例5と実施例6を比較すると、強化処理の前に洗浄工程を設けることで、得られるDNA複合体中のDNA含有率は少なくなったものの、DNA複合体を作製することができ、34%海水中においてもRuの吸着能が高いことがわかった。
[0176]
 また、カップリング剤であるシロキサン溶液を上記実施例のように変更しても、あるいはカップリング剤を用いなくても、34%海水中においても高いRuの吸着能を有するDNA複合体を作製できることがわかった。
[0177]
 (実施例12)
 担体としてアルミナを用いて、実施例1と同様にして、DNA固定アルミナを作製した。
[0178]
 具体的には、コロイダルシリカ溶液の代わりに、固形分率10%(重量)のアルミナゾル(日産化学工業(株)、アルミナゾル200、一次粒子径7nm~15nm)溶液30gを用いた。このアルミナゾル溶液に、DNA濃度5.0質量%のDNA水溶液(54g)を加えた。以降、実施例1と同様にして、DNA固定アルミナを作製した。さらに、実施例1と同様にして、DNA固定アルミナの強化処理を行い、DNA固定アルミナSを得た。DNA固定アルミナSのDNA含有率をXPS法で測定した結果、21.5質量%であった。
[0179]
 (実施例13)
 担体としてハイドロタルサイトを用いて、実施例2と同様にして、DNA固定ハイドロタルサイトを作製した。
[0180]
 具体的には、コロイダルシリカ溶液の代わりに、ハイドロタルサイト(協和化学工業、キョーワード500(キョーワードは協和化学工業の登録商標))5.89gを用いた。このハイドロタルサイトに、DNA濃度10質量%のDNA水溶液(54g)を加えた。以降、実施例2と同様にして、DNA固定ハイドロタルサイトを作製した。DNA固定ハイドロタルサイトのDNA含有率を吸光度法で測定した結果、11.4質量%であった。
[0181]
 (実施例14)
 担体としてカチオニックシリカを用いて、実施例1と同様にして、DNA固定カチオニックシリカを作製した。
[0182]
 具体的には、コロイダルシリカ溶液の代わりに、固形分率20%(重量)の表面カチオン性の酸性ゾル(日産化学工業(株)、ST-AK)溶液30gを用いた。ST-AKは、一次粒子径10nm~15nmであるカチオニックシリカの酸性ゾルである。この酸性ゾル溶液に、DNA濃度5.0質量%のDNA水溶液(54g)を加えた。以降、実施例1と同様にして、DNA固定カチオニックシリカを作製した。なお、この酸性ゾルにDNA水溶液を加えたところ直ちに析出物が見られたが、これはカチオニックシリカとDNAの複合体が形成されたためと考えられる。さらに、実施例1と同様にして、DNA固定カチオニックシリカの強化処理を行い、DNA固定カチオニックシリカSを得た。DNA固定カチオニックシリカSのDNA含有率を吸光度法で測定した結果、36.6質量%であった。
[0183]
 (実施例15)
 担体として活性炭を用いて、DNA固定活性炭を作製した。
[0184]
 具体的には、イオン交換水40gに、活性炭(株式会社クラレ、クラレコールGW-H10/32、ヤシ殻系破砕状)6.0gを添加して活性炭分散液を調製し、この分散液に、実施例2と同じ、DNA濃度10質量%のDNA水溶液(54g)を加えた。
[0185]
 得られた活性炭とDNAの混合液を、室温で15時間攪拌した後、固形物を溶液から分離回収し、60gのイオン交換水で洗浄した。その洗浄を2回繰り返した後、得られた固形物を80℃で2日間乾燥し、約6gのDNA固定活性炭を得た。DNA固定活性炭のDNA含有率を吸光度法で測定した結果、11.6質量%であった。
[0186]
 (実施例16)
 担体としてフュームドシリカを用いて、DNA固定フュームドシリカを作製した。
[0187]
 具体的には、固形分率20%(重量)のフュームドシリカ分散溶液(日本アエロジル株式会社、AERODISP W 7520(AERODISPはエボニックの登録商標)、一次粒子径12nm)溶液48gに、シロキサン溶液N1を3.6g添加し、30分間攪拌した。その後、DNA濃度10質量%のDNA水溶液(54g)を加えた。得られたフュームドシリカとDNAの混合液を、室温で60分間攪拌した後、ロータリーエバポレーターを用いて70℃で溶媒を除去した。得られた固形物に対して10倍量のイオン交換水を加え、固液分離によって、固形物を洗浄した。その後、70℃で15時間乾燥した。得られた固形物を粉砕して、DNA固定フュームドシリカを得た。さらに、実施例1と同様にして、DNA固定フュームドシリカの強化処理を行った。得られたものを、DNA固定フュームドシリカSとする。DNA固定フュームドシリカSのDNA含有率を吸光度法で測定した結果、15.4質量%であった。
[0188]
 [各種物質の吸着試験]
 実施例5,12~16で得られた各DNA複合体について、以下の各種物質の吸着試験を行った。
[0189]
 <ルテニウム吸着試験>
 実施例5,12~16で得られた各DNA複合体について、ルテニウム吸着試験を行った。
[0190]
 (バッチ吸着試験)
 実施例5,12~16で得られたDNA複合体0.1gを15mLのプラスチックチューブにそれぞれ入れ、これに10mLのルテニウム水溶液を加えた。ここで、ルテニウム水溶液としては、上述の0.01Nの塩酸に塩化ルテニウムを溶解させて調製した10ppmルテニウム水溶液、または34%海水を含むルテニウム水溶液のいずれかを用いた。室温でゆるやかに撹拌した後、1時間経過後、または24時間経過時にルテニウム水溶液の一部を採取した。得られたルテニウム水溶液を、遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その水溶液中のルテニウム濃度をICP-AESにて測定した。水溶液中のルテニウム濃度から、DNA複合体によるルテニウムイオンの除去率を算出した。結果を表3にまとめて示す。
[0191]
 <セシウム吸着試験およびストロンチウム吸着試験>
 実施例5,12~16で得られた各DNA複合体について、実施例1~5について行った方法で、セシウム吸着試験およびストロンチウム吸着試験を行った。結果を表3にまとめて示す。
[0192]
[表3]


[0193]
 DNA固定アルミナSでは、DNA固定シリカCXSSに比べて、Ru、Cs、Srいずれについても除去率が小さかった。これは、担体であるアルミナの表面とDNAが強く相互作用した結果、各種イオンの吸着サイトであるDNAの核酸塩基やリン酸基がアルミナ表面によってブロックされているためであると考えられる。
[0194]
 DNA固定ハイドロタルサイトでは、DNA含有率は11.4%とそれほど大きくはないが、ルテニウム除去率は非常に高かった。これは、ルテニウムがDNAに吸着されることに加えて、層状化合物であるハイドロタルサイトにルテニウムが吸着されることも寄与していると考えられる。DNA固定ハイドロタルサイトは、34%海水中においてもRuの除去率が99.9%以上(残存したRuの量がICP-AESの検出限界以下となった)と非常に高い吸着能を示した。
[0195]
 また、実施例14~16に示されるように、担体をカチオニックシリカ、活性炭、フュームドシリカに代えても、Ru等のイオンに対して高い吸着能を示すDNA複合体を作製することができた。
[0196]
 <ヨウ素吸着試験>
 実施例5,12~14で得られた各DNA複合体について、ヨウ化物イオン吸着試験およびヨウ素酸イオン吸着試験を行った。
[0197]
 (ヨウ素水溶液の調製)
 ヨウ化ナトリウム(キシダ化学)をイオン交換水に溶解させて、ヨウ化物イオン濃度10mg/1L(10ppm)となるようなヨウ素水溶液を調製した。
[0198]
 (ヨウ素酸水溶液の調製)
 ヨウ素酸ナトリウム(キシダ化学)イオン交換水に溶解させて、ヨウ素酸イオン濃度10mg/1L(10ppm)となるようなヨウ素酸水溶液を調製した。
[0199]
 (バッチ吸着試験)
 実施例5,12~14で得られたDNA複合体0.1gを15mLのプラスチックチューブにそれぞれ入れ、これに10mLのヨウ素水溶液またはヨウ素酸水溶液のいずれかを加えた。室温でゆるやかに撹拌した後、24時間経過時にヨウ素水溶液あるいはヨウ素酸水溶液の一部を採取した。得られたヨウ素水溶液あるいはヨウ素酸水溶液を、遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その水溶液中のヨウ化物イオンならびにヨウ素酸イオンの濃度をICP-AESにて測定した。水溶液中のヨウ化物イオンならびにヨウ素酸イオンから、各DNA複合体によるヨウ化物イオンならびにヨウ素酸イオンの除去率を算出した。結果を表4にまとめて示す。
[0200]
[表4]


[0201]
 ヨウ化物イオンおよびヨウ素酸イオンはアニオンであるため、DNA中の核酸塩基やリン酸との相互作用はそれほど強くはないと考えられる。しかしながら、DNA複合体はヨウ化物イオンおよびヨウ素酸イオンに対して吸着能を有することがわかった。特に、DNA固定アルミナSおよびDNA固定ハイドロタルサイトについては、比較例2のゼオライトに比べて、ヨウ素イオンおよびヨウ素酸イオンの除去率が大きく増加しており、実用的なレベルの性能を有することがわかった。
[0202]
 [キレート樹脂、陰イオン交換樹脂との性能比較]
 実施例5で得られたDNA固定シリカCXSSおよび実施例13で得られたDNA固定ハイドロタルサイトについて、重金属を除去するために汎用される市販のキレート樹脂および陰イオン交換樹脂との性能を比較する試験を行った。
[0203]
 <ルテニウム吸着試験>
 DNA固定シリカCXSS、DNA固定ハイドロタルサイト、キレート樹脂(ダイヤイオンCRB05、三菱ケミカル)、および陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA30、三菱ケミカル)について、ルテニウム吸着試験を行った。
[0204]
 (海水を含むルテニウム水溶液の調製)
 人工海水調製用の試薬であるダイゴ人工海水SP(和光純薬)36gを0.01Nの塩酸水溶液1Lに溶解させて、人工海水溶液を調製した。この溶液を100%海水として、さらに、0.01Nの塩酸水溶液で3倍希釈することで、34%海水を調製した。
[0205]
 塩化ルテニウム(キシダ化学、塩化ルテニウム(III)n水和物)を34%海水に溶解させて、ルテニウム濃度10mg/1L(10ppm)となるような34%海水を含むルテニウム水溶液を調製した。
[0206]
 (バッチ吸着試験)
 各サンプル0.1gを15mLのプラスチックチューブにそれぞれ入れ、これに10mLの34%海水を含むルテニウム水溶液を加えた。室温でゆるやかに撹拌した後、1時間、ならびに24時間経過時にルテニウム水溶液の一部を採取した。得られたルテニウム水溶液を、遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その溶液中のルテニウム濃度をICP-AESにて濃度を測定した。水溶液中のルテニウム濃度から、各サンプルによるルテニウムイオンの除去率を算出した。結果をまとめて表5に示す。
[0207]
 (カラム通水試験)
 各サンプルをカラムに充てんし、このカラムに上記ルテニウム水溶液(34%海水)を通水することによるルテニウム除去試験を行った。
[0208]
 各サンプル1mLを内径10mmのガラス製カラムに充填した。このカラムにチューブポンプを用いて、34%海水を含むルテニウム水溶液を、流速2mL/min(空間速度120/時間)で通水した。カラムに流入する入口水ならびにカラムから排出される出口水を定期的に採取し、そのルテニウム濃度を測定することで、ルテニウムの破過曲線を作成した。
[0209]
 得られたルテニウムの破過曲線を図6に示す。図6において、縦軸はカラム出口水のルテニウム濃度をカラム入口水のルテニウム濃度で除した値(カラム出口水濃度/カラム入口水濃度)である。カラム内でルテニウムを完全に除去できればその値はゼロになり、まったく除去できない場合は1以上を示すことになる。横軸はDNA複合体の体積に対して何倍量のルテニウム溶液を通水したかを示すものであり、通液量と言われ、単位としてベットボリューム(BV)で表される。図6AはDNA固定シリカCXSSの結果、図6BはDNA固定ハイドロタルサイトの結果をそれぞれ表している。
[0210]
 本実施例では、カラム出口水濃度がカラム入り口水濃度の10%となる点を破過点(10%破過点)として、この破過点のベットボリュームの値(10%破過点のBV)を調べた。ベットボリュームが大きければ、より多くのルテニウム溶液を除去処理できることになり、除去性能が高いことになる。10%破過点のBVを、表5にまとめて示す。
[0211]
[表5]


[0212]
 表5に示した通り、DNA固定シリカCXSSおよびDNA固定ハイドロタルサイトは、重金属を除去するために汎用される、あるキレート樹脂および陰イオン交換樹脂と比較して、高い吸着能を示すことがわかった。
[0213]
 また、図6および表5から明らかなように、10%破過点のBVは、DNA固定シリカCXSSは31.8、DNA固定ハイドロサイトは387.6であった。これは、本実施例の条件において、DNA複合体の充填体積の約32倍量あるいは約388倍量に相当するルテニウム水溶液を処理できることを示している。比較例として用いた市販のイオン交換樹脂では、本実施例の条件において、10%破過点のBVは4.3~5.4程度であり、これらと比較しても、本実施例のDNA複合体は、実用的なルテニウム除去性能を有していることがわかった。
[0214]
 また、海水中には、ナトリウムやカルシウムなどのイオンが大量に含まれており、それらのイオンに比べて相対的に微量にしか存在しない除去対象イオンの除去は困難になることが知られている。本実施例のDNA複合体では、表3に示されるように、海水を含まない系の結果と比較して、海水中においてもルテニウム除去性能が維持されていることが確認できた。
[0215]
 以上の結果より、本実施例のDNA複合体は、ルテニウムに対して高い選択性を持って除去することが可能であり、その除去性能についても実用レベルであることがわかった。
[0216]
 (実施例17)
 実施例7で得られたDNA固定シリカCXSBLについて、ルテニウムの飽和吸着量を求めるために吸着等温線を作成した。具体的には、DNA固定シリカCXSBLの0.1gを15mLのプラスチックチューブに入れ、これに10mLの34%海水を含むルテニウム水溶液を加えた。溶液のルテニウム濃度は5~2000ppmとした。室温でゆるやかに撹拌した後、24時間経過時にルテニウム水溶液の一部を採取した。得られたルテニウム水溶液を、遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その溶液中のルテニウム濃度をICP-AESにて測定した。水溶液中のルテニウム濃度から、平衡ルテニウム濃度ならびにルテニウム吸着量を算出した。結果を表6に示す。表6から明らかなように、吸着はラングミュア型であり、ラングミュア吸着等温式から求めた飽和吸着量は59mg/gであった。
[0217]
[表6]


[0218]
 (実施例18)
 実施例13で得られたDNA固定ハイドロタルサイトについて、溶液のルテニウム濃度を変化させてルテニウム除去率を測定した。具体的には、DNA固定ハイドロタルサイトの0.1gを15mLのプラスチックチューブに入れ、これに10mLの34%海水を含むルテニウム水溶液を加えた。ルテニウム濃度は5~2000ppmとした。室温でゆるやかに撹拌した後、24時間経過時にルテニウム水溶液の一部を採取した。得られたルテニウム水溶液を、遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その溶液中のルテニウム濃度をICP-AESにて測定した。吸着剤を添加していない溶液中のルテニウム濃度、ならびにDNA固定ハイドロタルサイトを添加した溶液のルテニウム濃度を測定し、ルテニウムの除去率を算出した。結果を表7に示す。表7から明らかなように、DNA固定ハイドロタルサイトは、低濃度から高濃度の範囲で、海水溶液中のルテニウムを高効率で除去できることがわかった。
[0219]
[表7]


[0220]
 (実施例19)
 実施例7で得られたDNA固定シリカCXSBLについて、様々な金属イオンのバッチ吸着試験を実施した。
[0221]
 ここで、パラジウム水溶液としては、0.01Nの塩酸水溶液に塩化パラジウムを溶解させて調製した。ロジウム水溶液としては、塩化ロジウムを超純水に溶解させて調製した。銀水溶液としては、硝酸銀溶液を超純水で希釈して調製した。鉛水溶液としては、硝酸鉛を超純水に溶解させて調製した。カドミウム水溶液としては、塩化カドミウムを超純水に溶解させて調製した。亜鉛水溶液としては、硫酸亜鉛を超純水に溶解させて調製した。銅水溶液としては、塩化銅を超純水に溶解させて調製した。鉄水溶液としては、塩化鉄を超純水に溶解させて調製した。ニッケル水溶液としては、塩化ニッケルを超純水に溶解させて調製した。溶液の金属イオン濃度は、10ppmとした。
[0222]
 実施例7で得られたDNA固定シリカCXSBL0.1gを15mLのプラスチックチューブにそれぞれ入れ、これに10mLの金属イオン水溶液を加えた。室温でゆるやかに撹拌した後、24時間経過時に金属イオン水溶液の一部を採取した。得られた金属イオン水溶液を、遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その水溶液中の金属イオン濃度をICP-AESにて測定した。水溶液中の金属イオン濃度から、DNA複合体による金属イオンの除去率を算出した。結果を表8にまとめて示す。DNA複合体により、重金属イオン、貴金属イオンが高効率に除去できることがわかった。また、34%海水を含む金属イオン水溶液を用いて、34%海水中における金属イオンの除去率を測定した結果、パラジウムでは除去率94.5%、ニッケルでは除去率48.8%、亜鉛では除去率84.9%であった。ルテニウムやパラジウムなどの白金族元素に対するDNA複合体の高い吸着選択性が確認された。
[0223]
[表8]


[0224]
 (実施例20)
 実施例15で得られたDNA固定活性炭について、前述した方法で、ヨウ化物イオン吸着試験およびヨウ素酸イオン吸着試験を行った。
[0225]
 実施例15で得られたDNA固定活性炭0.1gを15mLのプラスチックチューブに入れ、これに10mLのヨウ素水溶液またはヨウ素酸水溶液のいずれかを加えた。34%海水を含む水溶液についても同様に実施した。室温でゆるやかに撹拌した後、24時間経過時にヨウ素水溶液あるいはヨウ素酸水溶液の一部を採取した。得られたヨウ素水溶液あるいはヨウ素酸水溶液を、遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その水溶液中のヨウ化物イオンならびにヨウ素酸イオンの濃度をICP-AESにて測定した。水溶液中のヨウ化物イオンならびにヨウ素酸イオンから、各DNA固定活性炭によるヨウ化物イオンならびにヨウ素酸イオンの除去率を算出した。結果を表9にまとめて示す。
[0226]
[表9]


[0227]
 (実施例21)
 実施例6で得られたDNA固定シリカCXSWSについて、金属を回収するために汎用される市販のイオン交換樹脂との性能を比較する試験を行った。
[0228]
 <強酸中のルテニウム、イリジウムの吸着試験>
 実施例6で得られたDNA固定シリカCXSWSについて、強酸中からのルテニウム、あるいはイリジウムの吸着試験を行った。比較のために、陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンSA20A、三菱ケミカル)を用いた。
[0229]
 (強酸中のバッチ吸着試験)
 実施例6で得られたDNA固定シリカCXSWSならびに陰イオン交換樹脂の0.05gを15mLのプラスチックチューブに入れ、これに5mLのルテニウム塩酸溶液、あるいはイリジウム塩酸溶液を加えた。ここで、ルテニウム塩酸溶液は、塩酸濃度3%であり、これにルテニウムイオンを2ppm、白金イオンを2ppm、鉄イオンを2ppmとなるように加え、さらに塩化ナトリウムを10000ppmとなるように加えた溶液である。ここで、イリジウム塩酸溶液としては、前記ルテニウム塩酸溶液のルテニウムイオンの代わりにイリジウムイオンを用いて調製されたものである。ルテニウムは塩化ルテニウム(三)水和物、イリジウムはヘキサクロロイリジウム(四)酸水和物を用いた。
[0230]
 プラスチックチューブを室温でゆるやかに撹拌した後、24時間経過時にルテニウム塩酸溶液あるいはイリジウム塩酸溶液の一部を採取した。得られた塩酸溶液を、遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その塩酸溶液中のルテニウムあるいはイリジウム濃度をICP-AESにて測定した。水溶液中のルテニウム濃度あるいはイリジウム濃度から、DNA固定シリカCXSWSによるルテニウムイオンあるいはイリジウムイオンの吸着率を算出した。同様にして、白金イオン、鉄イオンの吸着率も測定した。結果を表10にまとめて示す。
[0231]
 DNA固定シリカCXSWSは、3%塩酸中からルテニウム、イリジウムを吸着できることがわかった。イオン交換樹脂とほぼ同等の吸着性能を示した。DNA固定シリカCXSWSは、白金イオンを吸着しなかったが、鉄イオンに関しては、イオン交換樹脂に比べて吸着率が高くなった。イオン交換樹脂では白金イオンを高効率に吸着した。DNA固定シリカCXSWSでは、ルテニウムあるいはイリジウムと白金を効率よく分離することが可能になる。DNA固定シリカCXSWSは、白金に対するルテニウム、イリジウムの選択吸着性に優れていることがわかった。
[0232]
[表10]


[0233]
 (実施例22)
 <吸着したルテニウム、イリジウムの回収試験>
 実施例21で得られたルテニウム、あるいはイリジウムを吸着したDNA固定シリカCXSWSについて、DNA固定シリカCXSWSからのルテニウム、あるいはイリジウムの回収試験を行った。
[0234]
 (回収試験)
 実施例21で得られたルテニウム、あるいはイリジウムを吸着したDNA固定シリカCXSWS(0.05g)に対して、6Nの塩酸1mLを加えた。室温で2時間ゆるやかに撹拌した後、塩酸溶液を採取した。得られた塩酸溶液中のルテニウムあるいはイリジウム濃度をICP-AESにて測定した。その結果、吸着したルテニウムあるいはイリジウムをすべて回収することが出来た。濃塩酸を用いることで、DNA固定シリカCXSWSに吸着した金属イオンを回収できることが分かった。
[0235]
 (実施例23)
 <ルテニウムの再吸着試験>
 実施例22で得られたルテニウムを回収(脱着)したDNA固定シリカCXSWSについて、DNA固定シリカCXSWSへのルテニウムの再吸着試験を行った。実施例21と同様に、吸着試験を行った結果、ルテニウムは再吸着されることがわかった。DNA複合体は、金属イオンを吸着し、その吸着した金属イオンを回収でき、また再び金属イオンを吸着できることが分かった。DNA複合体は、金属回収のための再生可能な吸着材として用いることが出来る。
[0236]
 (実施例24)
 <ルテニウム、パラジウムの回収試験>
 実施例7で得られたDNA固定シリカCXSBLについて、ルテニウムならびにパラジウムの回収試験を行った。
[0237]
 (回収試験)
 実施例7で得られたDNA固定シリカCXSBL0.1gを15mLのプラスチックチューブに入れ、これに10mLのルテニウム水溶液(ルテニウム濃度10ppm)またはパラジウム水溶液(パラジウム濃度10ppm)のいずれかを加えた(これらの水溶液には、34%海水を含む)。室温でゆるやかに撹拌した後、24時間経過時にルテニウム水溶液あるいはパラジウム水溶液の一部を採取した。得られたルテニウムあるいはパラジウム水溶液を、遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その水溶液中のルテニウムイオンならびにパラジウムイオンの濃度をICP-AESにて測定した。水溶液中のルテニウムイオンならびにパラジウムイオンから、DNA固定シリカCXSBLによるルテニウムイオンならびにパラジウムイオンの吸着率を算出した結果、それぞれ94.3%、96.1%であった。次に、これらの金属イオンを吸着したDNA固定シリカCXSBLに、1Mのエチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)溶液、1Nの塩酸水溶液、あるいは超純水をそれぞれ10mL加えて3日間、室温で放置した。これらの溶離液の一部を採取して、遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その溶離液中のルテニウムイオンならびにパラジウムイオンの濃度をICP-AESにて測定した。溶離液中のルテニウムイオンならびにパラジウムイオン濃度から、ルテニウムイオンならびにパラジウムイオンの回収率を算出した結果、1Mのエチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)溶液では、ルテニウムは23%、パラジウムは64%であった。1Nの塩酸では、ルテニウムは20%、パラジウムは84%であった。超純水では、ルテニウムは0.6%、パラジウムは4%であった。この結果より、DNA固定シリカCXSBLは、金属イオンを吸着し、その吸着した金属イオンを回収できることが分かった。回収するための溶離液としては、EDTA溶液や塩酸水溶液を用いることが出来る。DNA固定シリカCXSBLは、金属回収のための吸着材として用いることが出来る。
[0238]
 (実施例25)
 実施例6で得られたDNA固定シリカCXSWS、ならびに実施例13で得られたDNA固定ハイドロタルサイトについて、焼却飛灰中の重金属イオンの固定化を想定した試験を行い、本実施例のDNA複合体の焼却飛灰処理用途の利用可能性を調べた。重金属モデルとして、飛灰中含有量が多い鉛イオンを用いた。
[0239]
 (アルカリ中のバッチ吸着試験)
 実施例6で得られたDNA固定シリカCXSWSならびに実施例13で得られたDNA固定ハイドロタルサイトの0.1gを15mLのプラスチックチューブに入れ、これに10mLの鉛水溶液を加えた。この鉛水溶液は、鉛濃度が10ppmであり、共存イオンとしてカルシウムを5000ppm含むpH12の水溶液である。
[0240]
 プラスチックチューブを室温でゆるやかに撹拌した後、6時間、ならびに24時間経過時に鉛水溶液の一部を採取した。得られた溶液を、遠心分離し、その上澄み液を0.45μmポアサイズの濾過フィルターを通した後、その溶液中の鉛濃度をICP-AESにて測定した。水溶液中の鉛濃度から、DNA固定シリカCXSWSならびにDNA固定ハイドロタルサイトによる鉛イオンの吸着率を算出した。結果を表11に示す。DNA固定シリカCXSWSならびにDNA固定ハイドロタルサイトは、高アルカリ環境において、かつカルシウムイオン共存下において、鉛イオンを吸着できることが分かった。
[0241]
 (鉛イオンの再溶出評価)
 焼却飛灰からの重金属イオンの溶出を評価するために、環境庁告示第13号試験を模擬的に実施した。具体的には、上記のバッチ吸着試験で得られた鉛イオンを吸着したDNA固定シリカCXSWSならびにDNA固定ハイドロタルサイト0.1gを水10mL(pH12に調整したもの)に加えて、6時間撹拌した。その後、遠心分離(2150G、 20分)を行い、得られた上澄みを1.2μmでフィルターして、この溶液中の鉛濃度をICP-AESで測定した。再溶出濃度の基準は0.3ppmであり、この濃度以下にする必要がある。なお、吸着した鉛イオンがすべて溶出した場合、その再溶出濃度は6~8ppmになる。
[0242]
 結果を表11に示す。DNA固定シリカCXSWSならびにDNA固定ハイドロタルサイトからの鉛イオンの再溶出濃度は、いずれも0.3ppm以下となった。この結果より、DNA固定シリカCXSWSならびにDNA固定ハイドロタルサイトに吸着した鉛イオンはほとんど溶出しないことが明らかとなり、焼却飛灰の重金属処理剤として実用的であることがわかった。
[0243]
[表11]


[0244]
 本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために以下の請求項を添付する。
[0245]
 本願は、2017年9月29日提出の日本国特許出願特願2017-192060を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てをここに援用する。

請求の範囲

[請求項1]
 担体と、前記担体に固定化されたDNAと、を有するDNA複合体であって、
 前記DNAは、前記DNAの全体を100質量%としたときに80質量%以上が1本鎖のDNAであり、
 前記DNAは、その平均分子量が500,000以下であり、
 前記担体は、無機材料を含み、
 前記DNA複合体の平均粒径は、10μm以上であることを特徴とするDNA複合体。
[請求項2]
 担体と、前記担体に固定化されたDNAと、を有するDNA複合体であって、
 前記DNAは、前記DNAの全体を100質量%としたときに80質量%以上が1本鎖DNAであり、
 前記DNAは、その平均分子量が500,000以下であり、
 前記担体は、多孔質体であることを特徴とするDNA複合体。
[請求項3]
 担体と、前記担体に固定化されたDNAと、を有するDNA複合体であって、
 前記DNAは、前記DNAの全体を100質量%としたときに80質量%以上が1本鎖DNAであり、
 前記担体は、無機材料を含み、
 前記DNAの含有率が、前記DNA複合体の全体を100質量%としたときに、15質量%より大きく50質量%以下であることを特徴とするDNA複合体。
[請求項4]
 前記担体が、金属酸化物、層状金属水酸化物、活性炭、および、ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のDNA複合体。
[請求項5]
 担体と、前記担体に固定化されたDNAと、を有するDNA複合体であって、
 前記DNAは、前記DNAの全体を100質量%としたときに80質量%以上が1本鎖のDNAであり、
 前記担体が、層状金属水酸化物を含むことを特徴とするDNA複合体。
[請求項6]
 前記担体が、複数の一次粒子が凝集した凝集体であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のDNA複合体。
[請求項7]
 前記一次粒子の平均粒径は1nm以上25nm以下であることを特徴とする請求項6に記載のDNA複合体。
[請求項8]
 前記担体は、シリカを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のDNA複合体。
[請求項9]
 前記複数の一次粒子同士がシロキサン結合を含む結合によって架橋されていることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載のDNA複合体。
[請求項10]
 前記DNA複合体の平均粒径が、10μm以上であることを特徴とする請求項2乃至請求項9のいずれか一項に記載のDNA複合体。
[請求項11]
 前記DNA複合体の平均粒径が、2000μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のDNA複合体。
[請求項12]
 前記DNAの含有率が、前記DNA複合体の全体を100質量%としたときに、1質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4乃至請求項11のいずれか一項に記載のDNA複合体。
[請求項13]
 前記DNAの含有率が、前記DNA複合体の全体を100質量%としたときに、15質量%より大きく50質量%以下であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4乃至請求項12のいずれか一項に記載のDNA複合体。
[請求項14]
 液体中のイオンを吸着するためのDNA複合体であって、
 前記イオンが、金属元素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むイオンであることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載のDNA複合体。
[請求項15]
 前記金属元素が、セシウム、ストロンチウム、ルテニウム、鉛、カドミウム、亜鉛、銅、鉄、ニッケル、銀、ロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選択される少なくとも1つの元素であることを特徴とする請求項14に記載のDNA複合体。
[請求項16]
 液体に含まれるセシウム、ストロンチウム、ルテニウム、鉛、カドミウム、亜鉛、銅、鉄、ニッケル、銀、ロジウム、パラジウム、イリジウムおよびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むイオンを吸着するための吸着材であって、
 前記吸着材が、担体と、前記担体に固定化されたDNAと、を有し、
 前記DNAが、前記DNAの全体を100質量%としたときに80質量%以上が1本鎖のDNAであることを特徴とする吸着材。
[請求項17]
 カラムと、前記カラムに充填された吸着材と、を含む吸着カラムであって、
 前記吸着材が、請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載のDNA複合体を含むことを特徴とする吸着カラム。
[請求項18]
 吸着カラムと、前記吸着カラムに金属元素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むイオンを含有する液体を送液する送液手段と、を有する浄化システムであって、
 前記吸着カラムが、請求項17に記載の吸着カラムであることを特徴とする浄化システム。
[請求項19]
 金属元素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むイオンを含む液体の処理方法であって、
 前記液体を吸着材に接触させる工程を有し、
 前記吸着材が、請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載のDNA複合体を含むことを特徴とする液体の処理方法。
[請求項20]
 DNA複合体の製造方法であって、
 平均分子量が500,000以下であるDNAが溶媒に溶解した溶液であって、前記DNA溶液に含まれるDNAの全体を100質量%としたときに80質量%以上が1本鎖のDNAである溶液を調製する工程と、
 前記溶液中に無機材料を含む担体または担体を構成する無機材料を含む一次粒子を接触させる工程と、
 前記溶媒を除去する工程と、をこの順に有することを特徴とするDNA複合体の製造方法。
[請求項21]
 金属元素を含む液体からの金属回収方法であって、
 前記液体を吸着材に接触させる工程、ならびに吸着材から金属を回収する工程を有し、
 前記吸着材が、請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載のDNA複合体を含むことを特徴とする液体からの金属回収方法。
[請求項22]
 焼却飛灰中の重金属処理方法であって、
 前記焼却飛灰に吸着材を添加する工程を有し、
 前記吸着材が、請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載のDNA複合体を含むことを特徴とする焼却飛灰中の重金属処理方法。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 1C]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 7]