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1. (WO2019064748) FAULT DIAGNOSIS METHOD, POWER CONVERSION DEVICE, MOTOR MODULE AND ELECTRIC POWER STEERING DEVICE
Document

明 細 書

発明の名称 故障診断方法、電力変換装置、モータモジュールおよび電動パワーステアリング装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119  

産業上の利用可能性

0120  

符号の説明

0121  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3A   3B   3C   4   5A   5B   5C   6   7   8A   8B   8C   9A   9B   9C   9D   9E   9F   9G   9H   9I   9J   9K   9L   10  

明 細 書

発明の名称 : 故障診断方法、電力変換装置、モータモジュールおよび電動パワーステアリング装置

技術分野

[0001]
本開示は、故障診断方法、電力変換装置、モータモジュールおよび電動パワーステアリング装置に関する。

背景技術

[0002]

 近年、電動モータ(以下、単に「モータ」と表記する。)、インバータおよびECUが一体化された機電一体型モータが開発されている。特に車載分野において、安全性の観点から高い品質保証が要求される。そのため、部品の一部が故障した場合でも安全動作を継続できる冗長設計が取り入れられている。冗長設計の一例として、1つのモータに対して2つの電力変換装置を設けることが検討されている。他の一例として、メインのマイクロコントローラにバックアップ用マイクロコントローラを設けることが検討されている。
[0003]
特許文献1は、第1系統および第2系統を有するモータ駆動装置を開示する。第1系統は、モータの第1巻線組に接続され、第1インバータ部、電源リレーおよび逆接続保護リレーなどを有する。第2系統は、モータの第2巻線組に接続され、第2インバータ部、電源リレーおよび逆接続保護リレーなどを有する。モータ駆動装置に故障が生じていないとき、第1系統および第2系統の両方を用いてモータを駆動することが可能である。これに対し、第1系統および第2系統の一方、または、第1巻線組および第2巻線組の一方に故障が生じたとき、電源リレーは、電源から、故障した系統、または、故障した巻線組に接続された系統への電力供給を遮断する。故障していない他方の系統を用いてモータ駆動を継続させることが可能である。 
[0004]
特許文献2および3も、第1系統および第2系統を有するモータ駆動装置を開示する。一方の系統または一方の巻線組が故障したとしても、故障していない系統によってモータ駆動を継続させることができる。 
[0005]
特許文献4は、4つの電気的分離手段、および、2つのインバータを有し、三相モータに供給する電力を変換するモータ駆動装置を開示する。1つのインバータに対し、電源およびインバータの間に1つの電気的分離手段が設けられ、インバータおよびグランド(以下、GNDと表記する。)の間に1つの電気的分離手段が設けられている。故障したインバータにおける巻線の中性点を用いて、故障していないインバータによってモータを駆動することが可能である。そのとき、故障したインバータに接続された2つの電気的分離手段を遮断状態にすることによって、故障したインバータは電源およびGNDから分離される。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2016-34204号公報
特許文献2 : 特開2016-32977号公報
特許文献3 : 特開2008-132919号公報
特許文献4 : 特許第5797751号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
上述した従来の技術では、Hブリッジの故障を適切に検出することが求められていた。 
[0008]
本開示の実施形態は、Hブリッジの故障を適切に診断することが可能な故障診断方法を提供する。

課題を解決するための手段

[0009]
本開示の例示的な故障診断方法は、電源からの電力を、少なくとも一相の巻線を有するモータに供給する電力に変換し、各々が第1ハイサイドスイッチ素子、第2ハイサイドスイッチ素子、第1ローサイドスイッチ素子および第2ローサイドスイッチ素子を有する少なくとも1つのHブリッジを備える電力変換装置に用いる、Hブリッジの故障を診断する故障診断方法であって、dq座標系において表現される電流・電圧を獲得し、かつ、前記第1ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第1実電圧および前記第2ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第2実電圧を獲得し、かつ、前記モータの回転速度を獲得する獲得ステップと、獲得した、前記dq座標系の電流・電圧、前記第1実電圧、第2実電圧および前記回転速度に基づいて、前記第1ハイサイドスイッチ素子、前記第2ハイサイドスイッチ素子、前記第1ローサイドスイッチ素子および前記第2ローサイドスイッチ素子の故障を診断する診断ステップと、を包含する。 
[0010]
本開示の例示的な電力変換装置は、電源からの電力を、少なくとも一相の巻線を有するモータに供給する電力に変換する電力変換装置であって、各々が第1ハイサイドスイッチ素子、第2ハイサイドスイッチ素子、第1ローサイドスイッチ素子および第2ローサイドスイッチ素子を有する少なくとも1つのHブリッジと、前記少なくとも1つのHブリッジのスイッチ素子のスイッチング動作を制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、dq座標系において表現される電流・電圧を獲得し、前記第1ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第1実電圧および前記第2ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第2実電圧を獲得し、前記モータの回転速度を獲得し、獲得した、前記dq座標系の電流・電圧、前記第1実電圧、第2実電圧および前記回転速度に基づいて、前記第1ハイサイドスイッチ素子、前記第2ハイサイドスイッチ素子、前記第1ローサイドスイッチ素子および前記第2ローサイドスイッチ素子の故障を診断する。 
[0011]
本開示の例示的な他の電力変換装置は、電源からの電力を、n相(nは3以上の整数)の巻線を有するモータに供給する電力に変換する電力変換装置であって、前記モータの各相の巻線の一端に接続され、各々が第1ハイサイドスイッチ素子および第1ローサイドスイッチ素子を含むn個のレグを有する第1インバータと、前記モータの各相の巻線の他端に接続され、各々が第2ハイサイドスイッチ素子および第2ローサイドスイッチ素子を含むn個のレグを有する第2インバータと、前記n相の巻線、前記第1インバータの前記n個のレグ、および、前記第2インバータの前記n個のレグを有するn個のHブリッジと、前記n個のHブリッジのスイッチ素子のスイッチング動作を制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、dq座標系において表現される電流・電圧を獲得し、前記第1ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第1実電圧および前記第2ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第2実電圧を相毎に獲得し、前記モータの回転速度を獲得し、獲得した、前記dq座標系の電流・電圧、前記第1実電圧、第2実電圧および前記回転速度に基づいて、前記第1ハイサイドスイッチ素子、前記第2ハイサイドスイッチ素子、前記第1ローサイドスイッチ素子および前記第2ローサイドスイッチ素子の故障を相毎に診断する。

発明の効果

[0012]
本開示の例示的な実施形態によると、Hブリッジの故障を適切に診断することが可能な故障診断方法、電力変換装置、当該電力変換装置を備えるモータモジュールおよび当該モータモジュールを備える電動パワーステアリング装置が提供される。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 図1は、例示的な実施形態1によるモータモジュール2000の典型的なブロック構成を模式的に示すブロック図である。
[図2] 図2は、例示的な実施形態1によるインバータユニット100の回路構成を模式的に示す回路図である。
[図3A] 図3Aは、A相のHブリッジBAの構成を示す模式図である。
[図3B] 図3Bは、B相のHブリッジBBの構成を示す模式図である。
[図3C] 図3Cは、C相のHブリッジBCの構成を示す模式図である。
[図4] 図4は、モータ制御全般を行うためのコントローラ340の機能ブロックを例示する機能ブロック図である。
[図5A] 図5Aは、A相のHブリッジBAの故障診断を行うための機能ブロックを例示する機能ブロック図である。
[図5B] 図5Bは、B相のHブリッジBBの故障診断を行うための機能ブロックを例示する機能ブロック図である。
[図5C] 図5Cは、C相のHブリッジBCの故障診断を行うための機能ブロックを例示する機能ブロック図である。
[図6] 図6は、回転速度ωおよび電流振幅値からサチュレーション電圧Vsatを決定するルックアップテーブル840を示す模式図である。
[図7] 図7は、三相通電制御に従って電力変換装置1000を制御したときにモータ200のA相、B相およびC相の各巻線に流れる電流値をプロットして得られる電流波形(正弦波)を例示するグラフである。
[図8A] 図8Aは、A相のHブリッジBAが故障した場合、二相通電制御に従って電力変換装置1000を制御したときにモータ200のB相、C相の各巻線に流れる電流値をプロットして得られる電流波形を例示するグラフである。
[図8B] 図8Bは、B相のHブリッジBBが故障した場合、二相通電制御に従って電力変換装置1000を制御したときにモータ200のA相、C相の各巻線に流れる電流値をプロットして得られる電流波形を例示するグラフである。
[図8C] 図8Cは、C相のHブリッジBCが故障した場合、二相通電制御に従って電力変換装置1000を制御したときにモータ200のA相、B相の各巻線に流れる電流値をプロットして得られる電流波形を例示するグラフである。
[図9A] 図9Aは、モータ回転数のシミュレーション結果の波形(上側)およびロータ角のシミュレーション結果の波形(下側)を示すグラフである。
[図9B] 図9Bは、A相電流Iaのシミュレーション結果の波形を示すグラフである。
[図9C] 図9Cは、B相電流Ibのシミュレーション結果の波形を示すグラフである。
[図9D] 図9Dは、C相電流Icのシミュレーション結果の波形を示すグラフである。
[図9E] 図9Eは、零相電流Izのシミュレーション結果の波形を示すグラフである。
[図9F] 図9Fは、A相のHブリッジBAにおけるハイサイドスイッチ素子SW_A1Hがオープン故障した場合のA相の第1実電圧VA1(上側)および第2実電圧VA2(下側)のシミュレーション結果の波形を示すグラフである。
[図9G] 図9Gは、A相のHブリッジBAにおけるハイサイドスイッチ素子SW_A1Hがオープン故障した場合のB相の第1実電圧VB1(上側)および第2実電圧VB2(下側)のシミュレーション結果の波形を示すグラフである。
[図9H] 図9Hは、A相のHブリッジBAにおけるハイサイドスイッチ素子SW_A1Hがオープン故障した場合のC相の第1実電圧VC1(上側)および第2実電圧VC2(下側)のシミュレーション結果の波形を示すグラフである。
[図9I] 図9Iは、A相のHブリッジBAにおけるローサイドスイッチ素子SW_A1Lがオープン故障した場合のA相の第1実電圧VA1(上側)および第2実電圧VA2(下側)のシミュレーション結果の波形を示すグラフである。
[図9J] 図9Jは、A相のHブリッジBAにおけるローサイドスイッチ素子SW_A1Lがオープン故障した場合のB相の第1実電圧VB1(上側)および第2実電圧VB2(下側)のシミュレーション結果の波形を示すグラフである。
[図9K] 図9Kは、A相のHブリッジBAにおけるローサイドスイッチ素子SW_A1Lがオープン故障した場合のC相の第1実電圧VC1(上側)および第2実電圧VC2(下側)のシミュレーション結果の波形を示すグラフである。
[図9L] 図9Lは、故障信号A_FDのシミュレーション結果の波形を示すグラフである。
[図10] 図10は、例示的な実施形態2による電動パワーステアリング装置3000の典型的な構成を示す模式図である。

発明を実施するための形態

[0014]
以下、添付の図面を参照しながら、本開示のHブリッジの故障診断方法、電力変換装置、モータモジュールおよび電動パワーステアリング装置の実施形態を詳細に説明する。但し、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするため、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。 
[0015]
本明細書において、電源からの電力を、三相(A相、B相、C相)の巻線を有する三相モータに供給する電力に変換する電力変換装置を例にして、本開示の実施形態を説明する。ただし、電源からの電力を、四相または五相などのn相(nは4以上の整数)の巻線を有するn相モータに供給する電力に変換する電力変換装置、およびその装置に用いるHブリッジの故障診断方法も本開示の範疇である。 
[0016]

(実施形態1)

〔1.モータモジュール2000および電力変換装置1000の構造〕

図1は、本実施形態によるモータモジュール2000の典型的なブロック構成を模式的に示している。 
[0017]
モータモジュール2000は、典型的に、インバータユニット100と制御回路300とを有する電力変換装置1000およびモータ200を備える。モータモジュール2000は、モジュール化され、例えば、モータ、センサ、ドライバおよびコントローラを有する機電一体型モータとして製造および販売され得る。 
[0018]
電力変換装置1000は、電源101(図2を参照)からの電力をモータ200に供給する電力に変換することが可能である。電力変換装置1000は、モータ200に接続される。例えば、電力変換装置1000は、直流電力を、A相、B相およびC相の擬似正弦波である三相交流電力に変換することが可能である。本明細書において、部品(構成要素)同士の間の「接続」とは、主に電気的な接続を意味する。 
[0019]
モータ200は、例えば三相交流モータである。モータ200は、A相の巻線M1、B相の巻線M2およびC相の巻線M3を備え、インバータユニット100の第1インバータ120と第2インバータ130とに接続される。具体的に説明すると、第1インバータ120はモータ200の各相の巻線の一端に接続され、第2インバータ130は各相の巻線の他端に接続される。 
[0020]
制御回路300は、例えば、電源回路310と、角度センサ320と、入力回路330と、コントローラ340と、駆動回路350と、ROM360とを備える。制御回路300の各部品は、例えば1枚の回路基板(典型的にはプリント基板)に実装される。制御回路300は、インバータユニット100に接続され、電流センサ150および角度センサ320からの入力信号に基づいてインバータユニット100を制御する。その制御手法として、例えばベクトル制御、パルス幅変調(PWM)または直接トルク制御(DTC)がある。ただし、モータ制御手法(例えばセンサレス制御)によっては、角度センサ320は不要な場合がある。 
[0021]
制御回路300は、目的とする、モータ200のロータの位置、回転速度、および電流などを制御してクローズドループ制御を実現することができる。なお、制御回路300は、角度センサ320に代えてトルクセンサを備えてもよい。この場合、制御回路300は、目的とするモータトルクを制御することができる。 
[0022]
電源回路310は、電源101の例えば12Vの電圧に基づいて回路内の各ブロックに必要な電源電圧(例えば3V、5V)を生成する。 
[0023]
角度センサ320は、例えばレゾルバまたはホールICである。または、角度センサ320は、磁気抵抗(MR)素子を有するMRセンサとセンサマグネットとの組み合わせによっても実現される。角度センサ320は、ロータの回転角(以下、「回転信号」と表記する。)を検出し、回転信号をコントローラ340に出力する。 
[0024]
入力回路330は、電流センサ150によって検出された相電流(以下、「実電流値」と表記する場合がある。)を受け取って、実電流値のレベルをコントローラ340の入力レベルに必要に応じて変換し、実電流値をコントローラ340に出力する。入力回路330は、例えばアナログデジタル(AD)変換回路である。 
[0025]
コントローラ340は、電力変換装置1000の全体を制御する集積回路であり、例えば、マイクロコントローラまたはFPGA(Field Programmable Gate Array)である。コントローラ340は、インバータユニット100の第1および第2インバータ120、130における各スイッチ素子(典型的には半導体スイッチ素子)のスイッチング動作(ターンオンまたはターンオフ)を制御する。コントローラ340は、実電流値およびロータの回転信号などに従って目標電流値を設定してPWM信号を生成し、それを駆動回路350に出力する。
[0026]

駆動回路350は典型的にはプリドライバ(「ゲートドライバ」と呼ばれることもある。)である。駆動回路350は、インバータユニット100の第1および第2インバータ120、130における各スイッチ素子のスイッチング動作を制御する制御信号(ゲート制御信号)をPWM信号に従って生成し、各スイッチ素子のゲートに制御信号を与える。駆動対象が低電圧で駆動可能なモータであるとき、プリドライバは必ずしも必要とされない場合がある。その場合プリドライバの機能は、コントローラ340に実装され得る。
[0027]
ROM360は、例えば書き込み可能なメモリ(例えばPROM)、書き換え可能なメモリ(例えばフラッシュメモリ)または読み出し専用のメモリである。ROM360は、コントローラ340に電力変換装置1000を制御させるための命令群を含む制御プログラムを格納している。例えば、制御プログラムはブート時にRAM(不図示)に一旦展開される。
[0028]

図2を参照し、インバータユニット100の具体的な回路構成を説明する。
[0029]
図2は、本実施形態によるインバータユニット100の回路構成を模式的に示している。 
[0030]
電源101は、所定の電源電圧(例えば12V)を生成する。電源101として、例えば直流電源が用いられる。ただし、電源101は、AC-DCコンバータまたはDC―DCコンバータであってもよいし、バッテリー(蓄電池)であってもよい。電源101は、図示するように、第1および第2インバータ120、130に共通の単一電源であってもよいし、第1インバータ120用の第1電源(不図示)および第2インバータ130用の第2電源(不図示)を備えていてもよい。 
[0031]
ヒューズISW_11、ISW_12が、電源101と第1インバータ120との間に接続される。ヒューズISW_11、ISW_12は、電源101から第1インバータ120に流れ得る大電流を遮断することができる。ヒューズISW_21、ISW_22が、電源101と第2インバータ130との間に接続される。ヒューズISW_21、ISW_22は、電源101から第2インバータ130に流れ得る大電流を遮断することができる。ヒューズの代わりにリレーなどを用いてもよい。 
[0032]
図示されていないが、電源101と第1インバータ120の間、および、電源101と第2インバータ130の間にコイルが設けられる。コイルは、ノイズフィルタとして機能し、各インバータに供給する電圧波形に含まれる高周波ノイズ、または各インバータで発生する高周波ノイズを電源101側に流出させないように平滑化する。また、各インバータの電源端子には、コンデンサが接続される。コンデンサは、いわゆるバイパスコンデンサであり、電圧リプルを抑制する。コンデンサは、例えば電解コンデンサであり、容量および使用する個数は設計仕様などによって適宜決定される。 
[0033]
第1インバータ120は、3個のレグから構成されるブリッジ回路を有する。各レグは、ハイサイドスイッチ素子、ローサイドスイッチ素子およびシャント抵抗を有する。A相レグは、ハイサイドスイッチ素子SW_A1H、ローサイドスイッチ素子SW_A1Lおよび第1シャント抵抗S_A1を有する。B相レグは、ハイサイドスイッチ素子SW_B1H、ローサイドスイッチ素子SW_B1Lおよび第1シャント抵抗S_B1を有する。C相レグは、ハイサイドスイッチ素子SW_C1H、ローサイドスイッチ素子SW_C1Lおよび第1シャント抵抗S_C1を有する。 
[0034]
スイッチ素子として、例えば、寄生ダイオードが内部に形成された電界効果トランジスタ(典型的にはMOSFET)、または、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)とそれに並列接続された還流ダイオードとの組み合わせを用いることができる。 
[0035]
第1シャント抵抗S_A1は、A相の巻線M1を流れるA相電流IA1を検出するために用いられ、例えばローサイドスイッチ素子SW_A1LとGNDラインGLの間に接続される。第1シャント抵抗S_B1は、B相の巻線M2を流れるB相電流IB1を検出するために用いられ、例えばローサイドスイッチ素子SW_B1LとGNDラインGLの間に接続される。第1シャント抵抗S_C1は、C相の巻線M3を流れるC相電流IC1を検出するために用いられ、例えばローサイドスイッチ素子SW_C1LとGNDラインGLの間に接続される。3個のシャント抵抗S_A1、S_B1およびS_C1は、第1インバータ120のGNDラインGLと共通に接続されている。
[0036]
第2インバータ130は、3個のレグから構成されるブリッジ回路を有する。各レグは、ハイサイドスイッチ素子、ローサイドスイッチ素子およびシャント抵抗を有する。A相レグは、ハイサイドスイッチ素子SW_A2H、ローサイドスイッチ素子SW_A2Lおよびシャント抵抗S_A2を有する。B相レグは、ハイサイドスイッチ素子SW_B2H、ローサイドスイッチ素子SW_B2Lおよびシャント抵抗S_B2を有する。C相レグは、ハイサイドスイッチ素子SW_C2H、ローサイドスイッチ素子SW_C2Lおよびシャント抵抗S_C2を有する。 
[0037]
シャント抵抗S_A2は、A相電流IA2を検出するために用いられ、例えば、ローサイドスイッチ素子SW_A2LとGNDラインGLの間に接続される。シャント抵抗S_B2は、B相電流IB2を検出するために用いられ、例えば、ローサイドスイッチ素子SW_B2LとGNDラインGLの間に接続される。シャント抵抗S_C2は、C相電流IC2を検出するために用いられ、例えば、ローサイドスイッチ素子SW_C2LとGNDラインGLの間に接続される。3個のシャント抵抗S_A2、S_B2およびS_C2は、第2インバータ130のGNDラインGLと共通に接続されている。 
[0038]
上述した電流センサ150は、例えば、シャント抵抗S_A1、S_B1、S_C1、S_A2、S_B2、S_C2および各シャント抵抗に流れる電流を検出する電流検出回路(不図示)を備える。 
[0039]
第1インバータ120のA相レグ(具体的には、ハイサイドスイッチ素子SW_A1Hおよびローサイドスイッチ素子SW_A1Lの間のノード)は、モータ200のA相の巻線M1の一端A1に接続され、第2インバータ130のA相レグは、A相の巻線M1の他端A2に接続される。第1インバータ120のB相レグは、モータ200のB相の巻線M2の一端B1に接続され、第2インバータ130のB相レグは、巻線M2の他端B2に接続される。第1インバータ120のC相レグは、モータ200のC相の巻線M3の一端C1に接続され、第2インバータ130のC相レグは、巻線M3の他端C2に接続される。 
[0040]
図3Aは、A相のHブリッジBAの構成を模式的に示している。図3Bは、B相のHブリッジBBの構成を模式的に示している。図3Cは、C相のHブリッジBCの構成を模式的に示している。 
[0041]
インバータユニット100はA相、B相およびC相のHブリッジBA、BB、BCを備える。A相のHブリッジBAは、第1インバータ120側のレグにおけるハイサイドスイッチ素子SW_A1H、ローサイドスイッチ素子SW_A1L、第2インバータ130側のレグにおけるハイサイドスイッチ素子SW_A2H、ローサイドスイッチ素子SW_A2L、および、巻線M1を有する。B相のHブリッジBBは、第1インバータ120側のレグにおけるハイサイドスイッチ素子SW_B1H、ローサイドスイッチ素子SW_B1L、第2インバータ130側のレグにおけるハイサイドスイッチ素子SW_B2H、ローサイドスイッチ素子SW_B2L、および、巻線M2を有する。C相のHブリッジBCは、第1インバータ120側のレグにおけるハイサイドスイッチ素子SW_C1H、ローサイドスイッチ素子SW_C1L、第2インバータ130側のレグにおけるハイサイドスイッチ素子SW_C2H、ローサイドスイッチ素子SW_C2L、および、巻線M3を有する。
[0042]

 制御回路300(具体的にはコントローラ340)は、以下で説明するHブリッジの故障診断を実行することにより、三相のHブリッジの中から故障したHブリッジを特定することができる。さらに、制御回路300は、故障したHブリッジの4つのスイッチ素子の中からオープン故障しているスイッチ素子を特定することができる。例えば、制御回路300は、故障したHブリッジを特定すると、故障したHブリッジ以外の二相のHブリッジを用いて二相の巻線を通電するモータ制御に切替えることが可能である。本明細書において、三相の巻線を通電することを「三相通電制御」と呼び、二相の巻線を通電することを「二相通電制御」と呼ぶこととする。
[0043]

〔2.Hブリッジの故障診断方法〕

図4から図6を参照しながら、例えば、図1に示す電力変換装置1000に用いる、Hブリッジの故障を診断する故障診断方法の具体例を説明する。ただし、本開示の故障診断方法は、後述するように、少なくとも1つのHブリッジを備える電力変換装置、例えばフルブリッジタイプの電力変換装置に好適に用いることができる。ここで、Hブリッジの故障を説明する。Hブリッジの故障は、スイッチ素子のオープン故障を指す。本明細書では、例えばA相のHブリッジBAのハイサイドスイッチ素子SW_A1Hにオープン故障が生じることを、A相のHブリッジBAの故障と呼ぶ場合がある。 
[0044]
本開示のHブリッジの故障診断方法によれば、故障したHブリッジの4つのスイッチ素子の中からオープン故障しているスイッチ素子を特定することができる。その点において、Hブリッジの故障診断方法は、オープン故障しているスイッチ素子を特定する方法を包含する。
[0045]

 Hブリッジの故障を診断する故障診断方法の概要は、下記のとおりである。
[0046]
まず、dq座標系において表現される電流・電圧を獲得し、かつ、第1ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第1実電圧および第2ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第2実電圧を相毎に獲得し、かつ、モータの回転速度ωを獲得する(獲得ステップ)。dq座標系において表現される電流・電圧は、d軸電圧Vd、q軸電圧Vq、d軸電流Idおよびq軸電流Iqを含む。なお、dq座標系において、零相に対応した軸をz軸として表している。回転速度ωは、単位時間(例えば1分間)にモータのロータが回転する回転数(rpm)または単位時間(例えば1秒間)にロータが回転する回転数(rps)で表される。 
[0047]
図3Aから図3Cを参照して、第1実電圧および第2実電圧を説明する。 
[0048]
A相、B相およびC相のHブリッジBA、BBおよびBCのそれぞれに対し、第1実電圧および第2実電圧を定義する。第1実電圧は、各相のHブリッジにおいて、第1インバータ120側のレグにおける第1ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す。換言すると、第1実電圧は、第1インバータ120側のレグにおける第1ハイサイドスイッチ素子と第1ローサイドスイッチ素子の間のノード電位に相当する。第2実電圧は、第2インバータ130側のレグにおける第2ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す。換言すると、第2実電圧は、第2インバータ130側のレグにおける第2ハイサイドスイッチ素子と第2ローサイドスイッチ素子の間のノード電位に相当する。スイッチ素子の両端電圧は、スイッチ素子であるFETのソース-ドレイン間の電圧Vdsに等しい。 
[0049]
A相のHブリッジBAに対し、第1実電圧は、図3Aに示すローサイドスイッチ素子SW_A1Lの両端電圧VA1を指し、第2実電圧は、図3Aに示すローサイドスイッチ素子SW_A2Lの両端電圧VA2を指す。B相のHブリッジBBに対し、第1実電圧は、図3Bに示すローサイドスイッチ素子SW_B1Lの両端電圧VB1を指し、第2実電圧は、図3Bに示すローサイドスイッチ素子SW_B2Lの両端電圧VB2を指す。C相のHブリッジBCに対し、第1実電圧は、図3Cに示すローサイドスイッチ素子SW_C1Lの両端電圧VC1を指し、第2実電圧は、図3Cに示すローサイドスイッチ素子SW_C2Lの両端電圧VC2を指す。 
[0050]
次に、獲得した、dq座標系の電流・電圧、第1実電圧、第2実電圧および回転速度に基づいて、第1ハイサイドスイッチ素子、第2ハイサイドスイッチ素子、第1ローサイドスイッチ素子および第2ローサイドスイッチ素子の故障を相毎に診断する(診断ステップ)。 
[0051]
次に、第1ハイサイドスイッチ素子、第2ハイサイドスイッチ素子、第1ローサイドスイッチ素子および第2ローサイドスイッチ素子の各々のオープン故障の診断結果に基づいてHブリッジの故障を示す故障信号を相毎に生成し、後述するモータ制御ユニットに出力する(故障信号生成ステップ)。例えば、故障信号は、故障が生じるとアサートされる信号である。 
[0052]
上記の獲得ステップ、診断ステップおよび故障信号生成ステップは、例えば、電流センサ150によって各相電流を測定する周期、すなわちAD変換の周期に同期して繰り返し実行される。 
[0053]
本実施形態による故障診断方法を実現するためのアルゴリズムは、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)またはFPGAなどのハードウェアのみで実現することもできるし、マイクロコントローラおよびソフトウェアの組み合わせによっても実現することができる。本実施形態では、故障診断の動作主体を制御回路300のコントローラ340とする。 
[0054]
図4は、モータ制御全般を行うためのコントローラ340の機能ブロックを例示している。図5Aは、A相のHブリッジBAの故障診断を行うための機能ブロックを例示している。図5Bは、B相のHブリッジBBの故障診断を行うための機能ブロックを例示している。図5Cは、C相のHブリッジBCの故障診断を行うための機能ブロックを例示している。 
[0055]
本明細書において、機能ブロック図における各ブロックは、ハードウェア単位ではなく機能ブロック単位で示される。モータ制御およびHブリッジの故障診断に用いるソフトウェアは、例えば、各機能ブロックに対応した特定の処理を実行させるためのコンピュータプログラムを構成するモジュールであり得る。そのようなコンピュータプログラムは、例えばROM360に格納される。コントローラ340は、ROM360から命令を読み出して各処理を逐次実行することができる。 
[0056]
コントローラ340は、例えば、故障診断ユニット800およびモータ制御ユニット900を有する。このように、本開示の故障診断は、モータ制御(例えばベクトル制御)と好適に組み合わせることができ、モータ制御の一連の処理の中に組み込むことが可能である。 
[0057]
故障診断ユニット800は、入力信号として、dq座標系において表現される電圧ピーク値Vpeak、電流振幅値(Id +Iq 1/2およびモータ200の回転速度ωを獲得する。故障診断ユニット800は、ルックアップテーブル840を参照して、獲得した電流振幅値および回転速度ωに基づいてサチュレーション電圧Vsatを決定する。故障診断ユニット800は、さらに、第1実電圧VA1、VB1、VC1、第2実電圧VA2、VB2およびVC2を獲得する。 
[0058]
故障診断ユニット800は、獲得した電圧ピーク値Vpeak、サチュレーション電圧Vsat、第1実電圧VA1および第2実電圧VA2に基づいてA相のHブリッジBAの故障を診断する。故障診断ユニット800は、獲得した電圧ピーク値Vpeak、サチュレーション電圧Vsat、第1実電圧VB1および第2実電圧VB2に基づいてB相のHブリッジBの故障を診断する。故障診断ユニット800は、獲得した電圧ピーク値Vpeak、サチュレーション電圧Vsat、第1実電圧VC1および第2実電圧VC2に基づいてC相のHブリッジBCの故障を診断する。 
[0059]
故障診断ユニット800は、Hブリッジの故障を示す故障信号A_FD、B_FDおよびC_FDを診断結果に基づいて相毎に生成し、モータ200を制御するモータ制御ユニット900に出力する。 
[0060]
モータ制御ユニット900は、例えばベクトル制御を用いて、第1および第2インバータ120、130のスイッチ素子のスイッチング動作の全般を制御するPWM信号を生成する。モータ制御ユニット900は、PWM信号を駆動回路350に出力する。また、モータ制御ユニット900は、例えば故障信号がアサートされると、モータ制御を三相通電制御から二相通電制御に切替えることが可能である。 
[0061]
本明細書において、説明の便宜上、各機能ブロックをユニットと表記する場合がある。当然に、各機能ブロックをハードウェアまたはソフトウェアに限定解釈する意図で、これらの表記を用いてはならない。 
[0062]
各機能ブロックはソフトウェアとしてコントローラ340に実装される場合、そのソフトウェアの実行主体は例えばコントローラ340のコアであり得る。上述したようにコントローラ340はFPGAによって実現され得る。その場合、全てまたは一部の機能ブロックはハードウェアで実現され得る。
[0063]
複数のFPGAを用いて処理を分散させることにより、特定のコンピュータの演算負荷を分散させることができる。その場合、図4および図5A~Cに示される機能ブロックの全てまたは一部は、複数のFPGAに分散して実装され得る。複数のFPGAは、例えば車載のコントロールエリアネットワーク(CAN)によって互いに通信可能に接続され、データの送受信を行うことが可能である。 
[0064]
故障診断ユニット800は、A相のHブリッジBAの故障を診断するための故障診断ユニット800A(図5Aを参照)、B相のHブリッジBBの故障を診断するための故障診断ユニット800B(図5Bを参照)、および、C相のHブリッジBCの故障を診断するための故障診断ユニット800C(図5Cを参照)を有する。故障診断ユニット800A、B、Cは、実質的に同じ機能ブロックから構成される。ただし、第1実電圧および第2実電圧の入力信号は各ブロック間で異なる。以下、図5Aを参照しながら、A相のHブリッジBAの故障診断を例に、Hブリッジの故障診断を詳細に説明する。
[0065]
故障診断ユニット800Aは、乗算器810、811、加算器812、813_1、813_2、信号生成ユニット814_1および814_2を含むローサイド故障診断ユニットと、乗算器820、821、加算器822、823_1、823_2、信号生成ユニット824_1および824_2を含むハイサイド故障診断ユニットと、論理回路OR830とを有する。 
[0066]
ローサイド故障診断ユニットはローサイドスイッチ素子SW_A1L、SW_A2Lのオープン故障を特定する。ハイサイド故障診断ユニットはハイサイドスイッチ素子SW_A1H、SW_A2Hのオープン故障を特定する。
[0067]
まず、ハイサイド故障診断ユニットを説明する。 
[0068]
ハイサイド故障診断ユニットは、電圧ピーク値Vpeak、サチュレーション電圧Vsatおよび第1実電圧VA1に基づいてハイサイドスイッチ素子SW_A1Hのオープン故障を診断する第1故障診断と、電圧ピーク値Vpeak、サチュレーション電圧Vsatおよび第2実電圧VA2に基づいてハイサイドスイッチ素子SW_A2Hのオープン故障を診断する第2故障診断とを行う。 
[0069]
乗算器820は、電圧ピーク値Vpeakに定数「1/2」を乗算する。電圧ピーク値Vpeakは、式(1)に基づいて算出される。ここで、Vdは、dq座標系におけるd軸電圧を示し、Vqはq軸電圧を示す。

  Vpeak=(2/3) 1/2(Vd +Vq 1/2   式(1)
[0070]
例えば、故障診断ユニット800は、Vpeakを獲得するプレ演算ユニット(不図示)を有し得る。プレ演算ユニットは、クラーク変換を用いて、電流センサ150の測定値に基づいて取得された三相電流Ia、IbおよびIcを、αβ固定座標系における、α軸上の電流I αおよびβ軸上の電流I βに変換する。プレ演算ユニットは、さらに、パーク変換(dq座標変換)を用いて、電流I α、I βを、dq座標系における、d軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換する。プレ演算ユニットは、IdおよびIqに基づいてd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqを取得し、取得したVd、Vqから式(1)に基づいて電圧ピーク値Vpeakを算出する。または、プレ演算ユニットは、ベクトル制御を行うモータ制御ユニット900から、Vpeakの算出に必要なVd、Vqを受け取ることも可能である。例えば、プレ演算ユニットは、電流センサ150によって各相電流を測定する周期に同期してVpeakを獲得する。
[0071]

 乗算器821はサチュレーション電圧Vsatに定数「1」を乗算する。
[0072]
図6は、回転速度ωおよび電流振幅値からサチュレーション電圧Vsatを決定するルックアップテーブル(LUT)840を模式的に示している。LUT840は、d軸電流およびq軸電流に基づいて決定される電流振幅値(Id +Iq 1/2およびモータ200の回転速度ωの入力と、サチュレーション電圧Vsatとの関係を関連付ける。 
[0073]
IdおよびIqは例えばプレ演算ユニットから入力される。回転速度ωは例えば角度センサ320からの回転信号に基づいて算出される。または回転速度ωは、例えば公知のセンサレス制御手法を用いて推定することができる。
[0074]
表1は、Hブリッジの故障診断方法に用いることが可能なLUT840の構成を例示している。モータ制御では、一般的にIdはゼロとして扱われる。そのため、電流振幅値=Iqに等しくなる。表1には、Iq(A)を記載している。このように、サチュレーション電圧Vsatは、獲得された電流振幅値Iqおよび回転速度ωから決定される。または、サチュレーション電圧Vsatとして、システムに依存する一定の値(例えば0.1V程度)を用いることができる。 
[0075]
[表1]


[0076]
再び、図5Aを参照する。 
[0077]
加算器822は、乗算器820の出力Vpeak/2に乗算器821の出力Vsatを加算する。 
[0078]
加算器823_1は、第1故障診断において、加算器822からの出力(Vpeak/2)+Vsatに第1実電圧VA1を加算することにより、第1故障診断電圧VA1H_FDを算出する(式(2))。加算器823_2は、第2故障診断において、加算器822からの出力(Vpeak/2)+Vsatに第2実電圧VA2を加算することにより、第2故障診断電圧VA2H_FDを算出する(式(3))。第1実電圧VA1および第2実電圧VA2は、例えば駆動回路(プリドライバ)350によって測定される。

 VA1H_FD=VA1+〔(Vpeak/2)+Vsat〕 式(2)

 VA2H_FD=VA2+〔(Vpeak/2)+Vsat〕 式(3)
[0079]
第1故障診断において、信号生成ユニット824_1は、第1故障診断電圧VA1H_FDに基づいてハイサイドスイッチ素子SW_A1Hのオープン故障を診断する。具体的に説明すると、信号生成ユニット824_1は、第1故障診断電圧VA1H_FDがゼロ未満(VA1H_FD<0)である場合、ハイサイドスイッチ素子SW_A1Hのオープン故障を特定する。信号生成ユニット824_1は、第1故障診断電圧VA1H_FDがゼロ以上である場合(VA1H_FD≧0)、ハイサイドスイッチ素子SW_A1Hにオープン故障は生じていないと判定する。 
[0080]

信号生成ユニット824_1は、第1故障診断における診断結果に基づいてハイサイドスイッチ素子SW_A1Hのオープン故障を示す第1故障信号A1H_FDを生成する。例えば、第1故障信号A1H_FDを1ビットの信号に割り当てることができる。ハイサイドスイッチ素子SW_A1Hにオープン故障は生じていないとき、第1故障信号A1H_FDのレベルはLowである。信号生成ユニット824_1は、ハイサイドスイッチ素子SW_A1Hのオープン故障を特定すると、第1故障信号A1H_FDをアサートする。
[0081]
例えば、ハイサイドスイッチ素子SW_A1Hがオープン故障すると、そのスイッチ素子に電流は流れない。その結果、モータ200の逆起電力の影響を受けて、第1実電圧の上側ピーク値(正の値)は下がる。ハイサイドスイッチ素子SW_A1Hにオープン故障は生じていないとき、VA1≒-〔(Vpeak/2)+Vsat〕となり、第1実電圧VA1の大きさは、|(Vpeak/2)+Vsat|に等しくなる。これに対し、ハイサイドスイッチ素子SW_A1Hにオープン故障が生じると、この均衡が崩れる。VA1は下がるために、第1故障診断電圧VA1H_FD<0となる。本開示は、この現象を利用してスイッチ素子のオープン故障を特定する。 
[0082]
第1故障診断と同様に第2故障診断において、信号生成ユニット824_2は、第2故障診断電圧VA2H_FDに基づいてハイサイドスイッチ素子SW_A2Hのオープン故障を診断する。具体的に説明すると、信号生成ユニット824_2は、第2故障診断電圧VA2H_FDがゼロ未満(VA2H_FD<0)である場合、ハイサイドスイッチ素子SW_A2Hのオープン故障を特定する。信号生成ユニット824_2は、第2故障診断電圧VA2H_FDがゼロ以上である場合(VA2H_FD≧0)、ハイサイドスイッチ素子SW_A2Hにオープン故障は生じていないと判定する。 
[0083]

信号生成ユニット824_2は、第2故障診断における診断結果に基づいてハイサイドスイッチ素子SW_A2Hのオープン故障を示す第2故障信号A2H_FDを生成する。例えば、第2故障信号A2H_FDを1ビットの信号に割り当てることができる。ハイサイドスイッチ素子SW_A2Hにオープン故障は生じていないとき、第2故障信号A2H_FDのレベルはLowである。信号生成ユニット824_2は、ハイサイドスイッチ素子SW_A2Hのオープン故障を特定すると、第2故障信号A2H_FDをアサートする。
[0084]
次に、ローサイド故障診断ユニットを説明する。 
[0085]
ローサイド故障診断ユニットは、電圧ピーク値Vpeak、サチュレーション電圧Vsatおよび第1実電圧VA1に基づいてローサイドスイッチ素子SW_A1Lのオープン故障を診断する第3故障診断と、電圧ピーク値Vpeak、サチュレーション電圧Vsatおよび第2実電圧VA2に基づいてローサイドスイッチ素子SW_A2Lのオープン故障を診断する第4故障診断とを行う。 
[0086]
乗算器810は、電圧ピーク値Vpeakに定数「-1/2」を乗算する。乗算器811は、サチュレーション電圧Vsatに定数「-1」を乗算する。ローサイド側のスイッチ素子とハイサイド側のスイッチ素子の間で流れる電流などが逆になることを考慮し、ローサイド故障診断ユニットでは、ハイサイド故障診断ユニットの乗算器810、811とは逆の符号の定数が用いられる。 
[0087]
加算器812は、乗算器810の出力(-Vpeak/2)に乗算器811の出力(-Vsat)を加算する。 
[0088]
加算器813_1は、第3故障診断において、加算器812からの出力:-〔(Vpeak/2)+Vsat〕に第1実電圧VA1を加算することにより、第3故障診断電圧VA1L_FDを算出する(式(4))。加算器813_2は、第4故障診断において、加算器812からの出力:-〔(Vpeak/2)+Vsat〕に第2実電圧VA2を加算することにより、第4故障診断電圧VA2L_FDを算出する(式(5))。 VA1L_FD=VA1-〔(Vpeak/2)+Vsat〕   式(4) VA2L_FD=VA2-〔(Vpeak/2)+Vsat〕   式(5) 
[0089]
第3故障診断において、信号生成ユニット814_1は、第3故障診断電圧VA1L_FDに基づいてローサイドスイッチ素子SW_A1Lのオープン故障を診断する。具体的に説明すると、信号生成ユニット814_1は、第3故障診断電圧VA1L_FDがゼロよりも大きい場合(VA1L_FD>0)、ローサイドスイッチ素子SW_A1Lのオープン故障を特定する。信号生成ユニット814_1は、第3故障診断電圧VA1L_FDがゼロ以下である場合(VA1L_FD≦0)、ローサイドスイッチ素子SW_A1Lにオープン故障は生じていないと判定する。 
[0090]

信号生成ユニット814_1は、第3故障診断における診断結果に基づいてローサイドスイッチ素子SW_A1Lのオープン故障を示す第3故障信号A1L_FDを生成する。例えば第3故障信号A1L_FDを1ビットの信号に割り当てることができる。ローサイドスイッチ素子SW_A1Lにオープン故障は生じていないとき、第3故障信号A1L_FDのレベルはLowである。信号生成ユニット814_1は、ローサイドスイッチ素子SW_A1Lのオープン故障を特定すると、第3故障信号A1L_FDをアサートする。
[0091]
例えば、ローサイドスイッチ素子SW_A1Lがオープン故障すると、そのスイッチ素子に電流は流れない。その結果、モータ200の逆起電力の影響を受けて、第1実電圧の下側ピーク値(負の値)は上がり、その絶対値は小さくなる。ローサイドスイッチ素子SW_A1Lにオープン故障は生じていないとき、VA1≒〔(Vpeak/2)+Vsat〕となり、第1実電圧VA1の大きさは、|(Vpeak/2)+Vsat|に等しくなる。これに対し、ローサイドスイッチ素子SW_A1Lにオープン故障が生じると、この均衡が崩れる。VA1は上がるために、第3故障診断電圧VA1L_FD>0となる。 
[0092]
第3故障診断と同様に第4故障診断において、信号生成ユニット814_2は、第4故障診断電圧VA2L_FDに基づいてローサイドスイッチ素子SW_A2Lのオープン故障を診断する。具体的に説明すると、信号生成ユニット814_2は、第4故障診断電圧VA2L_FDがゼロよりも大きい場合(VA2L_FD>0)、ローサイドスイッチ素子SW_A2Lのオープン故障を特定する。信号生成ユニット814_2は、第4故障診断電圧VA2L_FDがゼロ以下である場合(VA2L_FD≦0)、ローサイドスイッチ素子SW_A2Lにオープン故障は生じていないと判定する。 
[0093]

信号生成ユニット814_2は、第4故障診断における診断結果に基づいてローサイドスイッチ素子SW_A2Lのオープン故障を示す第4故障信号A2L_FDを生成する。例えば、第4故障信号A2L_FDを1ビットの信号に割り当てることができる。ローサイドスイッチ素子SW_A2Lにオープン故障は生じていないとき、第4故障信号A2L_FDのレベルはLowである。信号生成ユニット814_2は、ローサイドスイッチ素子SW_A2Lのオープン故障を特定すると、第4故障信号A2L_FDをアサートする。
[0094]
このように、故障診断ユニット800Aは、ハイサイドスイッチ素子SW_A1H、SW_A2H、ローサイドスイッチ素子SW_A1LおよびSW_A2Lの中でオープン故障したスイッチ素子を特定することができる。
[0095]
論理回路OR830は、第1から第4故障信号A1H_FD、A2H_FD、A1L_FDおよびA2L_FDの論理和をとる。論理回路OR830は、A相のHブリッジBAの故障を示す故障信号A_FDとして論理和をモータ制御ユニット900に出力する。例えば、故障信号A_FDを1ビットの信号に割り当てることができる。ハイサイドスイッチ素子SW_A1H、SW_A2H、ローサイドスイッチ素子SW_A1LおよびSW_A2Lの少なくとも1つがオープン故障すると、故障信号A_FDはアサートされる。
[0096]
故障診断ユニット800Bは、ハイサイドスイッチ素子SW_B1H、SW_B2H、ローサイドスイッチ素子SW_B1L、SW_B2Lの少なくとも1つのオープン故障を特定すると、故障信号B_FDをアサートする。故障診断ユニット800Cは、ハイサイドスイッチ素子SW_C1H、SW_C2H、ローサイドスイッチ素子SW_C1L、SW_C2Lの少なくとも1つのオープン故障を特定すると、故障信号C_FDをアサートする。
[0097]
図7は、三相通電制御に従って電力変換装置1000を制御したときにモータ200のA相、B相およびC相の各巻線に流れる電流値をプロットして得られる電流波形(正弦波)を例示する。図8Aは、A相のHブリッジBAが故障した場合、二相通電制御に従って電力変換装置1000を制御したときにモータ200のB相、C相の各巻線に流れる電流値をプロットして得られる電流波形を例示している。横軸は、モータ電気角(deg)を示し、縦軸は電流値(A)を示す。図7、図8Aの電流波形において、電気角30°毎に電流値をプロットしている。I pkは各相の最大電流値(ピーク電流値)を表す。
[0098]
参考として、図8Bに、B相のHブリッジBBが故障した場合、二相通電制御に従って電力変換装置1000を制御したときにモータ200のA相、C相の各巻線に流れる電流値をプロットして得られる電流波形を例示する。図8Cに、C相のHブリッジBCが故障した場合、二相通電制御に従って電力変換装置1000を制御したときにモータ200のA相、B相の各巻線に流れる電流値をプロットして得られる電流波形を例示する。 
[0099]
モータ制御ユニット900は、正常時、つまり、故障信号A_FD、B_FDおよびC_FDのレベルが全てLowであるとき、三相通電制御を行う。これに対し、例えば、故障信号A_FDがアサートされると、モータ制御ユニット900は、故障したHブリッジBA以外の二相のHブリッジBB、BCを用いて巻線M2、M3を通電する二相通電制御を行うことができる。これにより、三相のうちの一相のHブリッジが故障したとしても、電力変換装置1000はモータ駆動を継続することができる。 
[0100]
以下に、本開示によるHブリッジの故障診断に用いられるアルゴリズムの妥当性を、dSPACE社の”ラピッドコントロールプロトタイピング(RCP)システム”およびMathWorks社のMatlab/Simulinkを用いて検証した結果を示す。この検証には、ベクトル制御により制御を受ける、電動パワーステアリング(EPS)装置に用いる表面磁石型(SPM)モータのモデルが用いられた。検証においてq軸の電流指令値Iqrefを3Aに設定し、d軸の電流指令値Idrefおよび零相の電流指令値Iz_refを0Aに設定した。 
[0101]
モータの回転速度ωを1190rpmに設定し、A相のHブリッジBAのハイサイドスイッチ素子SW_A1Hにオープン故障を時刻1.543sで発生させたシミュレーションを行った。また、A相のHブリッジBAのローサイドスイッチ素子SW_A1Lにオープン故障を時刻1.641sで発生させたシミュレーションを行った。 
[0102]
図9Aから図9Lに、各信号の波形のシミュレーション結果を示す。 
[0103]
図9Aは、モータの回転速度ωの波形(上側)およびロータ角の波形(下側)を示している。グラフの上側の縦軸は、回転速度(rpm)を示し、下側の縦軸は、ロータ角(rad)を示している。横軸は時間(s)を示している。本シミュレーション結果の全波形の横軸は時間を示している。 
[0104]
図9Bは、A相電流Iaの波形を示し、図9Cは、B相電流Ibの波形を示し、図9Dは、C相電流Icの波形を示している。縦軸は、電流(A)を示す。各相の波形において、実電流値の波形および電流指令値の波形を示す。
[0105]
図9Eは、零相電流Izの波形を示している。縦軸は、電流(A)を示す。
[0106]
図9Fは、A相のHブリッジBAにおけるハイサイドスイッチ素子SW_A1Hがオープン故障した場合のA相の第1実電圧VA1(上側)および第2実電圧VA2(下側)の波形を示している。図9Gは、A相のHブリッジBAにおけるハイサイドスイッチ素子SW_A1Hがオープン故障した場合のB相の第1実電圧VB1(上側)および第2実電圧VB2(下側)の波形を示している。図9Hは、A相のHブリッジBAにおけるハイサイドスイッチ素子SW_A1Hがオープン故障した場合のC相の第1実電圧VC1(上側)および第2実電圧VC2(下側)の波形を示している。縦軸は、電圧(V)を示す。 
[0107]
図9Iは、A相のHブリッジBAにおけるローサイドスイッチ素子SW_A1Lがオープン故障した場合のA相の第1実電圧VA1(上側)および第2実電圧VA2(下側)の波形を示している。図9Jは、A相のHブリッジBAにおけるローサイドスイッチ素子SW_A1Lがオープン故障した場合のB相の第1実電圧VB1(上側)および第2実電圧VB2(下側)の波形を示している。図9Kは、A相のHブリッジBAにおけるローサイドスイッチ素子SW_A1Lがオープン故障した場合のC相の第1実電圧VC1(上側)および第2実電圧VC2(下側)の波形を示している。縦軸は、電圧(V)を示す。 
[0108]
図9Lは、故障信号A_FDの波形を示す。縦軸は故障信号レベルを示す。
[0109]
時刻1.543sでA相のHブリッジBAのハイサイドスイッチ素子SW_A1Hがオープン故障した後、図9Fに示すように第1実電圧VA1の上側ピーク値は低下していることが分かる。また、第2実電圧VA2の下側ピーク値は低下していることが分かる(下側ピーク値の絶対値は大きくなる)。図9G、図9Hに示すように、第1実電圧VB1、VC1、第2実電圧VB2、VC2は変化していない。また、図9Lに示すように、A相のHブリッジBAのハイサイドスイッチ素子SW_A1Hがオープン故障してから3.2ms経過した後、第1実電圧VA1の降下に伴い、故障信号A_FDは適切にアサートされていることが分かる。なお、故障信号B_FD、C_FDはアサートされていない。 
[0110]
時刻1.641sでA相のHブリッジBAのローサイドスイッチ素子SW_A1Lがオープン故障した後、図9Iに示すように第1実電圧VA1の下側ピーク値は上昇していることが分かる。また、第2実電圧VA2の上側ピーク値は上昇していることが分かる(上側ピーク値の絶対値は大きくなる)。図9J、図9Kに示すように、第1実電圧VB1、VC1、第2実電圧VB2、VC2は変化していない。 
[0111]
本実施形態では、Hブリッジの4つのスイッチ素子のうちオープン故障したスイッチ素子を特定することができる。さらに、三相のHブリッジのうちの故障したHブリッジを特定することができる。本開示の故障診断は、簡易なアルゴリズムにより実現できる。そのため、例えばコントローラへ340の実装において回路規模またはメモリサイズの縮小といった利点が得られる。
[0112]
本開示の故障診断方法は、フルブリッジタイプの電力変換装置にも好適に用いることができる。フルブリッジは、一相のHブリッジ構造、例えば図3Aに示す回路構造を備える。上述した故障診断方法をフルブリッジの故障診断に利用することにより、フルブリッジの故障を検知することができる。 
[0113]
例えば、フルブリッジタイプの電力変換装置は、ハイサイドスイッチ素子SW_A1H、ハイサイドスイッチ素子SW_A2H、ローサイドスイッチ素子SW_A1Lおよびローサイドスイッチ素子SW_A2Lを有するHブリッジBAと、HブリッジBAのスイッチ素子のスイッチング動作を制御する制御回路300と、を備える。制御回路300は、dq座標系において表現される電流・電圧を獲得し、ローサイドスイッチ素子SW_A1Lの両端電圧を示す第1実電圧VA1およびローサイドスイッチ素子SW_A2Lの両端電圧を示す第2実電圧VA2を獲得し、モータの回転速度ωを獲得する。制御回路300は、獲得した、dq座標系の電流・電圧、第1実電圧VA1、第2実電圧VA2および回転速度ωに基づいて、ハイサイドスイッチ素子SW_A1H、ハイサイドスイッチ素子SW_A2H、ローサイドスイッチ素子SW_A1Lおよびローサイドスイッチ素子SW_A2Lのオープン故障を診断する。 
[0114]

(実施形態2)

 図10は、本実施形態による電動パワーステアリング装置3000の典型的な構成を模式的に示す。
[0115]
自動車等の車両は一般に、電動パワーステアリング装置を有する。本実施形態による電動パワーステアリング装置3000は、ステアリングシステム520、および補助トルクを生成する補助トルク機構540を有する。電動パワーステアリング装置3000は、運転者がステアリングハンドルを操作することによって発生するステアリングシステムの操舵トルクを補助する補助トルクを生成する。補助トルクにより、運転者の操作の負担は軽減される。
[0116]

ステアリングシステム520は、例えばステアリングハンドル521、ステアリングシャフト522、自在軸継手523A、523B、回転軸524、ラックアンドピニオン機構525、ラック軸526、左右のボールジョイント552A、552B、タイロッド527A、527B、ナックル528A、528B、および左右の操舵車輪529A、529Bから構成され得る。
[0117]
補助トルク機構540は、例えば操舵トルクセンサ541、自動車用電子制御ユニット(ECU)542、モータ543および減速機構544などから構成される。操舵トルクセンサ541は、ステアリングシステム520における操舵トルクを検出する。ECU542は操舵トルクセンサ541の検出信号に基づいて駆動信号を生成する。モータ543は駆動信号に基づいて操舵トルクに応じた補助トルクを生成する。モータ543は、減速機構544を介してステアリングシステム520に、生成した補助トルクを伝達する。
[0118]
ECU542は、例えば、実施形態1によるコントローラ340および駆動回路350などを有する。自動車ではECUを核とした電子制御システムが構築される。電動パワーステアリング装置3000では、例えば、ECU542、モータ543およびインバータ545によって、モータ駆動ユニットが構築される。そのシステムに、実施形態1によるモータモジュール2000を好適に用いることができる。 
[0119]
本開示の実施形態は、シフトバイワイヤ、ステアリングバイワイヤ、ブレーキバイワイヤなどのエックスバイワイヤおよびトラクションモータなどのモータ制御システムにも好適に用いられる。例えば、本開示の実施形態による故障診断方法を実装したEPSは、日本政府および米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)によって定められたレベル0から4(自動化の基準)に対応した自動運転車に搭載され得る。

産業上の利用可能性

[0120]
本開示の実施形態は、掃除機、ドライヤ、シーリングファン、洗濯機、冷蔵庫および電動パワーステアリング装置などの、各種モータを備える多様な機器に幅広く利用され得る。

符号の説明

[0121]
100:インバータユニット、101:電源、120:第1インバータ、130:第2インバータ、140:インバータ、150:電流センサ、200:モータ、300:制御回路、310:電源回路、320:角度センサ、330:入力回路、340:マイクロコントローラ、350:駆動回路、360:ROM、1000:電力変換装置、2000:モータモジュール、3000:電動パワーステアリング装置

請求の範囲

[請求項1]
電源からの電力を、少なくとも一相の巻線を有するモータに供給する電力に変換し、各々が第1ハイサイドスイッチ素子、第2ハイサイドスイッチ素子、第1ローサイドスイッチ素子および第2ローサイドスイッチ素子を有する少なくとも1つのHブリッジを備える電力変換装置に用いる、Hブリッジの故障を診断する故障診断方法であって、

 dq座標系において表現される電流・電圧を獲得し、かつ、前記第1ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第1実電圧および前記第2ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第2実電圧を獲得し、かつ、前記モータの回転速度を獲得する獲得ステップと、

 獲得した、前記dq座標系の電流・電圧、前記第1実電圧、第2実電圧および前記回転速度に基づいて、前記第1ハイサイドスイッチ素子、前記第2ハイサイドスイッチ素子、前記第1ローサイドスイッチ素子および前記第2ローサイドスイッチ素子の故障を診断する診断ステップと、を包含する故障診断方法。
[請求項2]
前記獲得ステップにおいて、 前記dq座標系におけるd軸電圧およびq軸電圧に基づいて決定される電圧ピーク値と、 前記dq座標系におけるd軸電流、q軸電流および前記回転速度に基づいて決定されるサチュレーション電圧と、を獲得し、

前記診断ステップは、

 前記電圧ピーク値、前記サチュレーション電圧および前記第1実電圧に基づいて前記第1ハイサイドスイッチ素子のオープン故障を診断する第1故障診断と、

 前記電圧ピーク値、前記サチュレーション電圧および前記第2実電圧に基づいて前記第2ハイサイドスイッチ素子のオープン故障を診断する第2故障診断と、

 前記電圧ピーク値、前記サチュレーション電圧および前記第1実電圧に基づいて前記第1ローサイドスイッチ素子のオープン故障を診断する第3故障診断と、

 前記電圧ピーク値、前記サチュレーション電圧および前記第2実電圧に基づいて前記第2ローサイドスイッチ素子のオープン故障を診断する第4故障診断と、を包含する、請求項1に記載の故障診断方法。
[請求項3]
前記獲得ステップにおいて、前記d軸電流および前記q軸電流に基づいて決定される電流値および前記モータの回転速度の入力と、前記サチュレーション電圧との関係を関連付けるルックアップテーブルを参照して、獲得した、前記d軸電流、前記q軸電流および前記回転速度に基づいて前記サチュレーション電圧を決定する、請求項2に記載の故障診断方法。
[請求項4]
前記第1故障診断において、式(1)に基づいて第1故障診断電圧VA1H_FDを算出し、前記第1故障診断電圧VA1H_FDに基づいて前記第1ハイサイドスイッチ素子のオープン故障を診断し、

 前記第2故障診断において、式(2)に基づいて第2故障診断電圧VA2H_FDを算出し、前記第2故障診断電圧VA2H_FDに基づいて前記第2ハイサイドスイッチ素子のオープン故障を診断し、

 前記第3故障診断において、式(3)に基づいて第3故障診断電圧VA1L_FDを算出し、前記第3故障診断電圧VA1L_FDに基づいて前記第1ローサイドスイッチ素子のオープン故障を診断し、

 前記第4故障診断において、式(4)に基づいて第4故障診断電圧VA2L_FDを算出し、前記第4故障診断電圧VA2L_FDに基づいて前記第2ローサイドスイッチ素子のオープン故障を診断し、

VA1H_FD=VA1+〔(Vpeak/2)+Vsat〕式(1)

VA2H_FD=VA2+〔(Vpeak/2)+Vsat〕式(2)

VA1L_FD=VA1-〔(Vpeak/2)+Vsat〕式(3)

VA2L_FD=VA2-〔(Vpeak/2)+Vsat〕式(4)

ここで、Vpeakは前記電圧ピーク値を示し、Vsatは前記サチュレーション電圧を示し、VA1は前記第1実電圧を示し、VA2は前記第2実電圧を示す、請求項3に記載の故障診断方法。
[請求項5]
前記第1故障診断において、前記第1故障診断電圧VA1H_FDがゼロ未満である場合、前記第1ハイサイドスイッチ素子のオープン故障を特定し、

 前記第2故障診断において、前記第2故障診断電圧VA2H_FDがゼロ未満である場合、前記第2ハイサイドスイッチ素子のオープン故障を特定し、

 前記第3故障診断において、前記第3故障診断電圧VA1L_FDがゼロよりも大きい場合、前記第1ローサイドスイッチ素子のオープン故障を特定し、

 前記第4故障診断において、前記第4故障診断電圧VA2L_FDがゼロよりも大きい場合、前記第2ローサイドスイッチ素子のオープン故障を特定する、請求項4に記載の故障診断方法。
[請求項6]
前記第1故障診断における診断結果に基づいて前記第1ハイサイドスイッチ素子のオープン故障を示す第1故障信号を生成し、

 前記第2故障診断における診断結果に基づいて前記第2ハイサイドスイッチ素子のオープン故障を示す第2故障信号を生成し、

 前記第3故障診断における診断結果に基づいて前記第1ローサイドスイッチ素子のオープン故障を示す第3故障信号を生成し、

 前記第4故障診断における診断結果に基づいて前記第2ローサイドスイッチ素子のオープン故障を示す第4故障信号を生成する、故障信号生成ステップをさらに包含する、請求項2から5のいずれかに記載の故障診断方法。
[請求項7]
前記故障信号生成ステップにおいて、前記第1から第4故障信号の論理和を、前記モータを制御する制御ユニットに出力する、請求項6に記載の故障診断方法。
[請求項8]
電源からの電力を、n相(nは3以上の整数)の巻線を有するモータに供給する電力に変換し、前記n相の巻線の一端に接続される第1インバータおよび前記n相の巻線の他端に接続される第2インバータを備える電力変換装置に用いる、前記n相の巻線、前記第1インバータのn個のレグ、および前記第2インバータのn個のレグを有するn個のHブリッジにおいてHブリッジの故障を相毎に診断する故障診断方法であって、

 請求項7に記載の故障診断方法を前記n個のHブリッジに実行することにより、Hブリッジの故障を相毎に診断する、故障診断方法。
[請求項9]
電源からの電力を、少なくとも一相の巻線を有するモータに供給する電力に変換する電力変換装置であって、

 各々が第1ハイサイドスイッチ素子、第2ハイサイドスイッチ素子、第1ローサイドスイッチ素子および第2ローサイドスイッチ素子を有する少なくとも1つのHブリッジと、

 前記少なくとも1つのHブリッジのスイッチ素子のスイッチング動作を制御する制御回路と、を備え、

前記制御回路は、

 dq座標系において表現される電流・電圧を獲得し、

 前記第1ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第1実電圧および前記第2ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第2実電圧を獲得し、

 前記モータの回転速度を獲得し、

 獲得した、前記dq座標系の電流・電圧、前記第1実電圧、第2実電圧および前記回転速度に基づいて、前記第1ハイサイドスイッチ素子、前記第2ハイサイドスイッチ素子、前記第1ローサイドスイッチ素子および前記第2ローサイドスイッチ素子の故障を診断する、電力変換装置。
[請求項10]
電源からの電力を、n相(nは3以上の整数)の巻線を有するモータに供給する電力に変換する電力変換装置であって、

前記モータの各相の巻線の一端に接続され、各々が第1ハイサイドスイッチ素子および第1ローサイドスイッチ素子を含むn個のレグを有する第1インバータと、

 前記モータの各相の巻線の他端に接続され、各々が第2ハイサイドスイッチ素子および第2ローサイドスイッチ素子を含むn個のレグを有する第2インバータと、

 前記n相の巻線、前記第1インバータの前記n個のレグ、および、前記第2インバータの前記n個のレグを有するn個のHブリッジと、

 前記n個のHブリッジのスイッチ素子のスイッチング動作を制御する制御回路と、を備え、

前記制御回路は、

 dq座標系において表現される電流・電圧を獲得し、

 前記第1ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第1実電圧および前記第2ローサイドスイッチ素子の両端電圧を示す第2実電圧を相毎に獲得し、

 前記モータの回転速度を獲得し、

 獲得した、前記dq座標系の電流・電圧、前記第1実電圧、第2実電圧および前記回転速度に基づいて、前記第1ハイサイドスイッチ素子、前記第2ハイサイドスイッチ素子、前記第1ローサイドスイッチ素子および前記第2ローサイドスイッチ素子の故障を相毎に診断する、電力変換装置。
[請求項11]
モータと、請求項9または10に記載の電力変換装置と、を備えるモータモジュール。
[請求項12]
請求項11に記載のモータモジュールを備える電動パワーステアリング装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3A]

[ 図 3B]

[ 図 3C]

[ 図 4]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 5C]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8A]

[ 図 8B]

[ 図 8C]

[ 図 9A]

[ 図 9B]

[ 図 9C]

[ 図 9D]

[ 図 9E]

[ 図 9F]

[ 図 9G]

[ 図 9H]

[ 図 9I]

[ 図 9J]

[ 図 9K]

[ 図 9L]

[ 図 10]