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1. (WO2019064713) METHOD FOR MANUFACTURING WIRE MATERIAL, DEVICE FOR MANUFACTURING WIRE MATERIAL, WIRE MATERIAL, AND MOTOR
Document

明 細 書

発明の名称 線材の製造方法、線材の製造装置、線材およびモータ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048  

符号の説明

0049  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 線材の製造方法、線材の製造装置、線材およびモータ

技術分野

[0001]
 本発明は、線材の製造方法、線材の製造装置、線材およびモータに関する。

背景技術

[0002]
近年、モータの小型化かつ高出力化が求められている。モータの小型化および高出力化を実現するためには、モータのトルク密度を向上させる必要がある。そして、モータのトルク密度を向上させるためには、ステータのスロットにおけるコイルの占積率を高めることが有効である。占積率とは、モータのステータのスロットの断面積に対する、そのスロット内に配置されているコイルの断面積の総計の割合である。
[0003]
 特許文献1には、コイルの占積率を高めるために、断面形状が台形である線材(導線)を用いる点が開示されている。当該線材は、コイルの1ターン分に相当する区域ごとに断面の台形形状が異なる線材である。以下、このように寸法の異なる複数の台形断面を有する線材を「複合台形線」という。複合台形線を製造する方法として、特許文献1には、回転軸に対して垂直な方向に移動可能な4つの成形ローラを用い、成形ローラ同士の間隔を変化させながら圧延成形する点が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特許第3652348号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、1本の導線を製造する間に各成形ローラの位置を変更する必要があるため、タクトタイムが長くなり、生産性が低下してしまう。
 そこで、本発明は、長手方向において複数の異なる断面形状を有する線材を精度良く、より高速に製造することができる製造方法、および当該製造方法によって得られた線材を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 上記課題を解決するために、本発明の一つの態様の線材の製造方法は、コイルを形成するための線材の製造方法であって、複数の分割型に囲まれた成型空間に素線を配置する工程と、前記成型空間を狭める方向に移動させて、前記素線を加圧成型する工程と、を含み、前記加圧成型する工程では、前記複数の分割型の少なくとも1つを移動させ、前記分割型は、前記素線の長手方向において変化する面を有し、前記素線を長手方向において複数の異なる断面形状を有する線材に加圧成型する。
[0007]
 また、本発明の一つの態様の線材の製造装置は、コイルを形成するための線材の製造装置であって、素線が配置される成型空間を形成するよう配置された複数の分割型と、前記複数の分割型の少なくとも1つを、前記成型空間を狭める方向に移動する移動機構と、を備え、前記分割型における前記素線との接触面は、前記素線の長手方向において変化した形状を有する。
[0008]
 さらに、本発明の一つの態様の線材は、上記の線材の製造方法により製造された線材であって、前記コイルの一巻き分の長さに対応した巻対応区域を連続して複数備え、複数の前記巻対応区域は、台形形状の断面を有する第1区域をそれぞれ備え、前記第1区域における前記台形形状は、前記巻対応区域毎に寸法が異なる。
[0009]
 また、本発明の一つの態様のモータは、所定方向に延びる中心軸を中心とするシャフトと、前記シャフトに固定されたロータと、ステータと、を備え、前記ステータは、環状のコアバックと、前記コアバックから径方向に突出するティースと、前記ティースに巻回されたコイルと、を有し、前記コイルは、上記の線材により形成されたコイルである。

発明の効果

[0010]
 本発明の一つの態様によれば、長手方向において複数の異なる断面形状を有する線材(例えば、複合台形線)を精度良く、より高速に製造することができる。また、そのように製造された複合台形線により形成されたコイルは、高占積率コイルとすることができる。したがって、そのようなコイルを備えるモータは、小型化かつ高出力化が実現されたモータとすることができる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 図1は、本実施形態におけるコイルの構成例である。
[図2] 図2は、コイルの断面形状を示す図である。
[図3] 図3は、コイルを構成する線材の一例である。
[図4] 図4は、線材の加工前における成型装置の構成を示す図である。
[図5] 図5は、線材の加工後における成型装置の構成を示す図である。
[図6] 図6は、分割型の構成例である。
[図7] 図7は、複数の分割型片により構成された分割型の例である。
[図8] 図8は、付勢部材を備える成型装置の構成例を示す図である。
[図9] 図9は、付勢部材を備える成型装置の構成例を示す図である。
[図10] 図10は、成型装置の別の例を示す図である。
[図11] 図11は、コイルを構成する線材の別の例である。

発明を実施するための形態

[0012]
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
[0013]
 図1は、本実施形態におけるコイル10の構成例を示す斜視図である。
 コイル10は、線材(線状の導線)11が巻き回されることによって形成されている。コイル10は、所定方向に延びる中心軸を中心に回転するモータに用いられるステータコイルである。ここで、当該モータは、例えば自動車、電動自動車、電動アシスト機器、電動飛行機、マルチコプター等の移動体、ロボット等の産業機器、情報記録媒体を回転する情報記録再生機器、家電製品、事務機器、医療機器等の各分野の搭載対象物に搭載可能なモータである。
 なお、本明細書では、便宜上、モータの中心軸の方向を上下方向として説明するが、モータの使用時における姿勢を限定するものではない。また、モータの中心軸の方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸を中心とする径方向および周方向を、単に「径方向」および「周方向」と呼ぶ。
[0014]
 本実施形態におけるコイル10は、1本の導線11を1方向に多層多列に巻き回し、最外周に引き出し線を出す方法により形成されている。本実施形態では、コイル10は、導線11が2層5列(2×5=10ターン)に巻かれ、第1列の外周部と第2列の外周部とから導線11の端部が引き出された構成を有する場合について説明する。
 コイル10は、モータのステータコアのスロットに収容されるスロット収容部12と、引き出し線側のコイルエンド部13と、引き出し線とは反対側のコイルエンド部14とを含んで構成される。スロット収容部12およびコイルエンド部14の導線11は、完全整列巻きに巻回され、導線11の交差(乗り移り)は、コイルエンド部13において行われている。
[0015]
 図2は、コイル10をスロット収容部12に設定された切断面Aで切断したときの断面形状を示す図である。この図2は、コイル10が、インナーロータ型モータに用いられた場合について示している。インナーロータ型モータは、所定方向(上下方向)に延びる中心軸を中心とするシャフトと、シャフトに固定されたロータと、ロータの径方向外側に配置されたステータと、を備える。ステータの内周面は、シャフトに固定されたロータマグネットと径方向に間隙を介して対向配置されている。
 ステータは、ステータコア20と、コイル10と、を備える。ステータコア20は、環状のコアバック21と、コアバック21から径方向内側に突出する複数のティース22と、を備える。コイル10は、ティース22に巻回されている。図2において、導線11の断面に付与した「1T」「2T」等の符号は、コイル10の巻き順を示す。
[0016]
 この図2に示すように、ステータのスロット内において、コイル10は、扇形形状(略扇形形状を含む。)の断面形状を有する。ここで、スロット内におけるコイル10の断面形状は、ステータのコアバック21とは中心が異なる2つの同心の円弧10a、10bと、当該2つの円弧の端部をそれぞれ結ぶ直線10c、10dと、からなる扇形形状とすることができる。この場合、上記2つの円弧のティース22側端部を結ぶ直線10cは、ティース22の形状に沿った直線となる。つまり、導線11は、ティース22の直線部分に沿って巻回される。
 また、導線11の断面形状は、列ごとに異なる。具体的には、導線11の断面形状は、モータの径方向外側に配置される列であるほど、高さが低く、底辺の長さが長い台形形状となっている。なお、導線11の電気抵抗値の大きさは、導線11の断面積が一番小さい部分で決定するが、各列における導線11の断面積は同一であるため、導線11における電気抵抗値を一定にすることができる。
[0017]
 このようなコイル10は、高占積率が実現されたコイルであり、複合台形線を巻き回すことにより形成することができる。ここで、複合台形線とは、寸法の異なる複数の台形断面を有する線材(導線)である。
 図3(a)は、複合台形線の一例を示す図である。図3(a)に示すように、複合台形線である導線11は、両端部にコイルの引き出し線となる区域(引出線部)を有する。引出線部に挟まれた中央部は、コイル10の一巻き分の長さに対応した巻対応区域が、連続してターン数分形成された区域となる。複数の巻対応区域は、それぞれ台形形状の断面を有し、当該台形形状は、巻対応区域毎に寸法が異なる。
[0018]
 図3(b)は、巻き数1T番目および2T番目に対応する巻対応区域(台形1部)の断面形状である。図3(c)は、巻き数3T番目および10T番目に対応する巻対応区域(台形2部)の断面形状である。図3(d)は、巻き数4T番目および9T番目に対応する巻対応区域(台形3部)の断面形状である。図3(e)は、巻き数5T番目および8T番目に対応する巻対応区域(台形4部)の断面形状である。図3(f)は、巻き数6T番目および7T番目に対応する巻対応区域(台形5部)の断面形状である。なお、図3(b)~図3(f)の縮尺は同一である。
 このように、本実施形態において、導線11は、5パターンの台形断面を有する線材である。
[0019]
 なお、引出線部の断面形状は、円形状や矩形状など任意の形状であってよい。例えば、引出線部の断面形状は、複合台形線に加工する前の素線の断面形状とすることができる。当該素線としては、例えば、直径1mm程度の丸線を用いることができる。また、導線11の全長は、ステータのスロット形状やコイル10のターン数等に応じて適宜設定することができる。例えば、コイル10が、12スロットのステータに配置される10ターンコイルである場合、導線11の全長は780mm程度とすることができる。
 さらに、特に図示しないが、引出線部と台形部との間や、台形部と台形部との間など、断面形状が変化する部分には、それぞれ断面形状が徐々に変化する長さ1mm~2mm程度の接続部が設けられていてもよい。
[0020]
 次に、本実施形態における導線11の製造方法について具体的に説明する。
 導線11は、例えば丸線からなる素線11Aを、複数の異なる断面形状を有するように加圧成型する成型装置によって製造される。
 図4は、導線11を成型するための成型装置200の概略構成を示す図である。
 成型装置200は、相対的に進退移動可能な一対のVブロック21、22と、複数(本実施形態では、4つ)の分割型23a~23dと、を備える。一対のVブロック21、22は、V溝21a、22aを対向させて配置されている。また、4つの分割型23a~23dは、素線11Aが配置される成型空間を形成するよう配置されている。
[0021]
 4つの分割型23a~23dのうち、第1の分割型23aは、Vブロック21の一方のV溝21aに固定され、第2の分割型23bは、Vブロック22の他方のV溝22aに固定されている。また、第3の分割型23cは、V溝21a、22aの一方の面とそれぞれ摺接し、第4の分割型23dは、V溝21a、22aの他方の面とそれぞれ摺接している。Vブロック21、22は、それぞれ不図示のプレス機に固定され、Z方向において互いに接近する方向にプレス荷重がかけられるように構成されている。
 なお、成型装置200は、Vブロック21および22のXY方向における位置決めのために、Vブロック21および22にZ方向に一直線に形成された挿通孔と、当該挿通孔に挿通された位置決めピンとを備えていてもよい。
[0022]
 Vブロック21、22間には、スペーサ24が設けられている。スペーサ24は、Vブロック21、22の接近方向への移動を規制し、4つの分割型同士が互いに接触しないようにするための規制部材である。
 スペーサ24は、Vブロック21および22の間に配置される平板部材であり、Vブロック22に固定されている。Vブロック21および22が互いに接近する方向に移動し、Vブロック21がスペーサ24に当接することで、両者の接近方向への移動が規制される。なお、スペーサ24は、Vブロック21に固定されていてもよい。
[0023]
 4つの分割型23a~23dは、導線11の断面形状となる台形形状を構成する4つの辺に対応する面をそれぞれ成型する成型面を有する。4つの分割型23a~23dの成型面は、成型空間に配置される素線11Aとの接触面であり、素線11Aの長手方向(X方向)において変化した形状を有する。
[0024]
 例えば、Vブロック22側を固定し、プレス機によってVブロック21の上方からプレス荷重をかけると、Vブロック21に固定された第1の分割型23aは、図4における下方向に動き、素線11Aの上面を押す。また、Vブロック22に固定された第2の分割型23bは、素線11Aの下面を押す。このとき、第3の分割型23cは、V溝21a、22aを摺動し、素線11Aの左側面を押す方向に動く。また、第4の分割型23dも同様に、素線11Aの右側面を押す方向に動く。
 このように、1方向からのプレス荷重により、4つの分割型23a~23dを4方向から素線11Aに当て、図5に示すように導線11を成型することができる。このとき、4つの分割型23a~23dの上記成型面によって、素線11Aを、X方向において複数の異なる断面形状を有する導線11に成型することができる。つまり、1工程でX方向に複数の異なる台形断面を有する導線11を成型することができる。
[0025]
 図6は、第1の分割型23aの具体的構成を示す図である。なお、第2の分割型23b~第4の分割型23dの構成は、第1の分割型23aと同様であるため、ここでは説明を省略する。
 図6において、第1の分割型23aを構成する2つの面25aは、Vブロック21のV溝21aとの当接面である。また、第1の分割型23aを構成する2つの面25bは、第3の分割型23cおよび第4の分割型23dとそれぞれ対向する対向面である。そして、2つの面25bに挟まれた面25cは、素線11Aと接触し、導線11の断面形状となる台形形状を構成する辺に対応する面を成型する成型面である。第1の分割型23aは、隣接する第3の分割型23cおよび第4の分割型23dとの対向面25bと、素線11Aと接触する成型面25cとが交わる角部に、それぞれR面取り部(例えば、R=0.1mm)を有する。
[0026]
 第1の分割型23aの成型面25cは、X方向に素線11A(導線11)の全長と同等の長さを有することもある。そのため、当該成型面25cをより精度良く構成するために、第1の分割型23aは、X方向において形状が変化する区域において連結された複数の分割型片により構成されていてもよい。
 例えば図7(a)および図7(b)に示すように、第1の分割型23aは、3つの分割型片23aA~23aCにより構成されていてもよい。この場合、分割型片23aA~23aCは、ねじ23aDによってVブロック21にねじ止めされていてもよい。例えば、ねじ23aDは、分割型片23aA~23aCのX方向両端部をそれぞれ2方向からVブロック21に連結するようにしてもよい。
[0027]
 また、分割型片同士の連結位置は、素線11Aの長手方向において形状が変化する区域、すなわち、導線11における台形部と台形部との間など、断面形状が変化する部分に対応する位置に設定することが好ましい。
 さらに、図7(b)に示すように、Vブロック21が複数(図7(b)では4つ)のブロック片により構成されていてもよい。この場合、各ブロック片は、不図示のガイド部材等によりX方向に整列された状態で、不図示のベース部材等に取り付けるようにしてもよい。
 第2の分割型23bおよびVブロック22についても、同様の構成とすることができる。
[0028]
 なお、第3の分割型23cや第4の分割型23dについても、X方向において連結された複数の分割型片により構成することができる。ただし、第3の分割型23cおよび第4の分割型23dの場合、第1の分割型23aおよび第2の分割型23bと同様にVブロックにネジ止めする連結方法は適用できない。
 そのため、第3の分割型23cおよび第4の分割型23dについては、分割型片同士を単独で連結する方法を用いるものとする。例えば、分割型片の端部にそれぞれX方向に延伸する穴を設け、当該穴にピンを挿入して分割型片同士を連結したり、分割型片の端部にそれぞれ段差部を設け、当該段差部同士を重ね合わせてネジ止めしたりする方法などを用いることができる。
[0029]
 さらに、成型装置200は、第3の分割型23cおよび第4の分割型23dを、それぞれ成型空間を拡げる方向に付勢する付勢部材をさらに備えていてもよい。
 図8は、付勢部材を備える成型装置200Aの構成例を示す図である。なお、この図8に示す成型装置200Aにおいて、上述した図4および図5に示す成型装置200と同様の構成を有する部分には図4および図5と同一符号を付し、以下、構成の異なる部分を中心に説明する。
 成型装置200Aは、一対のVブロック21A、22Aと、4つの分割型23a~23dと、スペーサ24と、を備える。ここで、Vブロック21Aおよび22Aは、互いに対向する面の形状が異なることを除いては、図4および図5の成型装置200におけるVブロック21および22と同様である。
[0030]
 成型装置200Aは、上型バックプレート41と、下型バックプレート42と、カムブロック43と、サイドブロック44と、カムスライダー45と、付勢部材としての可動ばね46と、をさらに備える。
 Vブロック21Aおよびカムブロック43は、上型バックプレート41の下面に固定され、Vブロック22Aおよびサイドブロック44は、下型バックプレート42の上面に固定されている。また、第1の分割型23aは、Vブロック21Aに固定され、第2の分割型23bは、Vブロック22Aに固定されている。
[0031]
 カムスライダー45は、それぞれ第3の分割型23cおよび第4の分割型23dに固定されており、Vブロック22A上をスライド可能に構成されている。カムスライダー45におけるVブロック21Aと対向する面には、スペーサ24が設置されている。
 また、可動ばね46の一端はVブロック22Aに接続され、他端はカムスライダー45に接続されている。可動ばね46は、カムスライダー45を介して、第3の分割型23cおよび第4の分割型23dを、それぞれ成型空間を拡げる方向に付勢する。
 さらに、カムスライダー45には、カム面45aが設けられている。当該カム面45aは、カムブロック43に設けられたカム面43aと係合可能である。
[0032]
 このような構成により、Vブロック21Aが降下し、一対のVブロック21A、22Aが互いに接近する方向に移動すると、カムブロック43に設けられたカム面43aと、カムスライダー45に設けられたカム面45aとが接触する。その状態で、さらにVブロック21Aが降下すると、カム面43aとカム面45aとが係合しながら、カムスライダー45が、第3の分割型23cおよび第4の分割型23dが互いに接近する方向に移動する。これにより、4つの分割型23a~23dを4方向から素線11Aに当てることができ、図9に示すように導線11を成型することができる。
[0033]
 また、導線11を成型した後、Vブロック21Aを上昇させると、Vブロック21Aの移動に連動して、第3の分割型23cおよび第4の分割型23dを可動ばね46の付勢力によって互いに離間する方向へ移動させることができる。そのため、成型後の導線11の取り出しが容易となる。
[0034]
 なお、成型装置200Aにおいては、カム面43aおよびカム面45aの傾斜角を適宜設定することで、Vブロック21Aの移動速度と、カムスライダー45の移動速度とを異なる速度とすることもできる。すなわち、第1の分割型23aの移動速度と、第3の分割型23cおよび第4の分割型23dの移動速度とを異なる速度とすることもできる。これにより、分割型の成型面を素線11Aに当接させるタイミングを調整することができ、精度良く所望の断面形状を有する導線11を成型することができる。
 このように、複数の分割型23a~23dのうち、少なくとも2つ以上の移動する移動対象金型において、当該移動対象金型のそれぞれを、異なる速度で成型空間を狭める方向に移動させる構成であってもよい。
[0035]
 以上のように、本実施形態の加圧成型する工程では、1方向からプレス荷重を印加し、素線11Aを、複数の分割型に囲まれた成型空間に配置し、当該成型空間を狭める方向に複数の分割型の少なくとも1つを移動させて、素線11Aを、長手方向において寸法の異なる複数の台形形状の断面を有する導線11に加圧成型する。このように、本実施形態では、素線11Aの長手方向において変化する面を有する複数の分割型を用いた成型加工によって、精度良く複合台形線を成型することができる。したがって、この複合台形線を用いて、高占積率が実現されたコイルを製造することが可能となる。
[0036]
 4つの分割型23a~23dのそれぞれは、素線11Aの長手方向において変化する成型面を有し、導線11の成型工程では、当該成型面によって、導線11の断面形状となる台形形状を構成する4つの辺に対応する面をそれぞれ成型する。したがって、導線11の被成型面は、段差のない精度の良い面となる。また、導線11の断面形状は、鋭い角部(例えばR=0.1mm程度)を有する台形形状とすることができる。上述したように、本実施形態における素線11Aは、直径1mm程度の丸線であり、コイルの高占積化のためには、複合台形線の角部は、R=0.1mm程度であることが望ましい。本実施形態では、精度良く所望の断面形状を有する複合台形線を成型することができる。
[0037]
 また、この成型工程では、素線11Aに対して、4つの分割型23a~23dによって均等な圧力をかけることができる。さらに、この成型工程では、1本の導線11を高速で成型することができる。例えば、圧延ロールを用いて導線を成型しようとした場合、4つの圧延ロールによって、素線11Aに対して4方向から均等な圧力をかけることは難しい。また、導線の断面形状が変化する部分で各圧延ロールの位置を変更する必要があるため、1本の導線を製造するためのタクトタイムが長くなり、生産性が低下してしまう。
[0038]
 これに対して、本実施形態では、4つの分割型23a~23dを用いるので、長手方向において複数の異なる断面形状を有する導線11を精度良く製造することができる。また、本実施形態では、上述したような圧延ロールの間隔制御が不要である。そのため、1本の導線11を製造するために必要なタクトタイムを短くすることができ、生産性を向上させることができる。
[0039]
 成型工程において使用する成型装置200は、一対のVブロック21、22と、4つの分割型23a~23dと、4つの分割型23a~23dを、成型空間を狭める方向に移動する移動機構としてのプレス機(不図示)と、を備える。そして、4つの分割型23a~23dにおける素線11Aとの接触面は、素線11Aの長手方向において変化した形状を有する。第1の分割型23aは、Vブロック21のV溝21aに固定され、第2の分割型23bは、Vブロック22のV溝22aに固定されている。また、第3の分割型23cは、V溝21a、22aの一方の面とそれぞれ摺接し、第4の分割型23dは、V溝21a、22aの他方の面とそれぞれ摺接している。
[0040]
 このような構成により、Vブロック21、22が互いに接近させる方向に移動された場合、Vブロック21、22の移動に連動して、4つの分割型23a~23dを、成型空間を狭める方向に移動させることができる。つまり、1方向からのプレス荷重によって、素線11Aに対して4方向からそれぞれ4つの分割型23a~23dを当てることができる。ここで、4つの分割型23a~23dは、素線11Aの長手方向において変化する面を有する。そのため、1工程で複数の断面形状(台形形状)を有する導線11を適切に成型することができる。また、Vブロック21、22のV溝21a、22aを基準面として4つの分割型23a~23dを配置することができるので、精度良く導線11を成型することができる。
[0041]
 以上のように、本実施形態における成型装置200は、導線11の断面形状となる台形形状を成型する4面が連動して徐々に閉じていく動作を実現することができる。したがって、所望の台形断面を精度良く成型することができる。また、図3(a)~図3(f)に示すような、底辺よりも高さの方が短い平らな台形だけでなく、底辺よりも高さの方が長い縦長台形の成型も可能である。さらに、本実施形態における成型装置200は、寸法の異なる複数の台形形状を、その継目を含めて同時に成型することができる。したがって、複合台形線をより高速に製造することができる。
[0042]
 また、成型装置200は、一対のVブロック21、22の接近方向への移動を規制する規制部材であるスペーサ24を備え、一対のVブロック21、22が所定距離よりも近づかないように規制することもできる。これにより、成型空間を狭める方向に移動された分割型同士が接触しないようにすることができる。成型空間を狭める方向に移動された分割型間の最接近距離は、例えば50μmである。
 その結果、分割型同士の対向する面における公差を緩和することができる。また、分割型同士の意図しない接触に起因して、他の分割型間に不所望な間隙が形成されてしまうことを抑制することができるので、精度良く所望の断面形状を有する導線を成型することができる。
[0043]
 さらに、4つの分割型23a~23dは、図6に示すように、隣接する分割型に対向する面と、素線11Aに接触する成型面とが交わる角部に、それぞれR面取り部を有することもできる。これにより、成型空間が狭まる方向に分割型が移動した際に、素線11Aが分割型の上記角部に接触して傷ついたり切断されてしまったりすることを防止することができる。
 また、4つの分割型23a~23dは、図7に示すように、素線11Aの長手方向において形状が変化する区域において連結された複数の分割型片により構成されていてもよい。このように、複数の分割型片を素線11Aの長手方向に並べてつなぎ合わせた構成とすることで、比較的長さの長い素線11Aであっても、精度良く所望の断面形状を有する導線11に成型することができる。また、分割型片同士の連結位置を、素線11Aの長手方向において形状が変化する区域内とすることで、図3の台形1部、台形2部、…等においてはそれぞれ一定の断面形状とすることができ、精度良く所望の断面形状を有する導線11を成型することができる。
[0044]
 さらに、図8および図9に示す成型装置200Aのように、第3の分割型23cおよび第4の分割型23dを、それぞれ成型空間を拡げる方向に付勢する付勢部材としての可動ばね46を備えていてもよい。この場合、導線11を成型した後、一対のVブロック21A、22Aを互いに離間する方向に移動させると、Vブロック21A、22Aの移動に連動して、第3の分割型23cおよび第4の分割型23dを可動ばね46によって互いに離間する方向へ移動させることができる。そのため、成型後の導線11の取り出しが容易となる。
[0045]
(変形例)
 上記実施形態においては、成型装置200の第1の分割型23aは、一方のVブロック21と一体形成されていてもよい。同様に、第2の分割型23bは、他方のVブロック22と一体形成されていてもよい。
 つまり、図10(a)に示すように、第1の分割型23aとVブロック21とが一体形成された形状のブロック21Aと、第2の分割型23bとVブロック22とが一体形成された形状のブロック22Bと、第3の分割型23cと、第4の分割型23dとによって、素線11Aを加圧成型するようにしてもよい。この場合、一対のブロック21Aおよび22Aを互いに接近する方向に移動することで、図10(b)に示すように、第3の分割型23cと第4の分割型23dとを互いに接近する方向に移動することができる。したがって、上記実施形態と同様に、適切に導線11を成型することができる。
 このように、第1の分割型23aとVブロック21、第2の分割型23bとVブロック22をそれぞれ一体形成することで、例えば温度変化等の影響により両者のずれが生じることを防止することができる。そのため、精度良く所望の断面形状を有する導線11を成型することができる。
[0046]
 また、上記実施形態においては、成型装置200は、一対のVブロックと4つの分割型とを備える場合について説明したが、成型装置200の構成は上記に限定されるものではない。成型装置200は、素線11Aが配置される成型空間を形成するよう配置された複数の分割型と、複数の分割型の少なくとも1つを、成型空間を狭める方向に移動する移動機構と、を備えていればよい。
 例えば、成型装置200は、相対的に進退移動可能な一対の分割型を備え、当該一対の分割型の少なくとも一方が、複数の部品に分解可能に構成されていてもよい。つまり、成型装置200は、導線11の断面形状を所望の形状に成型することができ、かつ成型加工後の導線11を、分割型から容易に取り外すことができる構成であればよい。
[0047]
 なお、複合台形線は、図3(a)~図3(f)に示す形状に限定されない。例えば、各巻対応区域が、台形形状の断面を有する第1区域と、矩形状の断面を有する第2区域と、をそれぞれ備えていてもよい。ここで、第1区域は、コイル10のスロット収容部12に対応する区域であり、第2区域は、コイル10のコイルエンド部13、14に対応する区域である。第2区域における矩形状は、各巻対応区域において同一形状とすることができる。
 この場合、コイルエンド部13、14のコイル断面は矩形状となる。コイルエンド部13、14の断面形状を矩形状にするメリットは、コイルエンドの高さを抑えることができることと、巻回時に導線11が傾きにくくなるためコイル形成が容易になることである。
[0048]
 上記の複合台形線は、図11にその一部分を示すように、断面台形の部分15と、断面矩形の部分16と、断面形状が台形形状から矩形状へ徐々に変化する部分17と、を備える。例えば図1に示すように、5列のコイル10の場合、素線11Aを、5種類の台形の部分と、矩形の部分と、台形から矩形へ変化する部分と、の7パターンに加工すればよい。このような複雑な断面形状を有する導線11についても、上述した製造方法により精度良く製造することができる。

符号の説明

[0049]
 10…コイル、11…線材(導線)、11A…素線、20…ステータコア、21…コアバック、22…ティース、200…成型装置、200A…成型装置、21…Vブロック、22…Vブロック、23a~23d…分割型、24…スペーサ、41…上型バックプレート、42…下型バックプレート、43…カムブロック、43a…カム面、44…サイドブロック、45…カムスライダー、45a…カム面、46…可動ばね(付勢部材)

請求の範囲

[請求項1]
 コイルを形成するための線材の製造方法であって、
 複数の分割型に囲まれた成型空間に素線を配置する工程と、
 前記成型空間を狭める方向に移動させて、前記素線を加圧成型する工程と、を含み、
 前記加圧成型する工程では、
 前記複数の分割型の少なくとも1つを移動させ、
 前記分割型は、前記素線の長手方向において変化する面を有し、前記素線を長手方向において複数の異なる断面形状を有する線材に加圧成型することを特徴とする線材の製造方法。
[請求項2]
 前記加圧成型する工程では、
 前記素線を、長手方向において寸法の異なる複数の台形形状の断面を有する前記線材に加圧成型することを特徴とする請求項1に記載の線材の製造方法。
[請求項3]
 前記加圧成型する工程では、
 前記複数の分割型として4つの分割型を用い、
 前記4つの分割型のそれぞれは、前記素線の長手方向において変化する成型面を有し、前記成型面は、前記台形形状を構成する4つの辺に対応する面をそれぞれ成型することを特徴とする請求項2に記載の線材の製造方法。
[請求項4]
 前記加圧成型する工程では、
 1方向からプレス荷重を印加し、前記成型空間を狭める方向に前記複数の分割型の少なくとも1つを移動させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の線材の製造方法。
[請求項5]
 前記加圧成型する工程では、
 前記分割型のうち少なくとも2つ以上の移動する移動対象金型において、当該移動対象金型のそれぞれを、異なる速度で前記成型空間を狭める方向に移動させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の線材の製造方法。
[請求項6]
 コイルを形成するための線材の製造装置であって、
 素線が配置される成型空間を形成するよう配置された複数の分割型と、
 前記複数の分割型の少なくとも1つを、前記成型空間を狭める方向に移動する移動機構と、を備え、
 前記分割型における前記素線との接触面は、前記素線の長手方向において変化した形状を有することを特徴とする線材の製造装置。
[請求項7]
 相対的に進退移動可能であり、V溝を対向配置した一対のVブロックをさらに備え、
 前記複数の分割型は、
 前記一対のVブロックの一方の前記V溝に固定された第1の分割型と、
 前記一対のVブロックの他方の前記V溝に固定された第2の分割型と、
 前記一対のVブロックの前記V溝の一方の面とそれぞれ摺接する第3の分割型と、
 前記一対のVブロックの前記V溝の他方の面とそれぞれ摺接する第4の分割型と、により構成されていることを特徴とする請求項6に記載の線材の製造装置。
[請求項8]
 前記一対のVブロックの一方と前記第1の分割型とが一体形成され、
 前記一対のVブロックの他方と前記第2の分割型とが一体形成されていることを特徴とする請求項7に記載の線材の製造装置。
[請求項9]
 前記第3の分割型および前記第4の分割型を、それぞれ前記成型空間を拡げる方向に付勢する付勢部材をさらに備えることを特徴とする請求項7または8に記載の線材の製造装置。
[請求項10]
 前記一対のVブロックの接近方向への移動を規制する規制部材をさらに備えることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の線材の製造装置。
[請求項11]
 前記複数の分割型において、前記素線の長手方向において変化した形状を有する面は、前記線材の断面形状となる台形形状を構成する4つの辺に対応する面をそれぞれ成型する成型面であり、
 前記分割型は、隣接する前記分割型に対向する面と前記成型面とが交わる角部にそれぞれR面取り部を有することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の線材の製造装置。
[請求項12]
 前記複数の分割型は、相対的に進退移動可能な一対の分割型であり、
 前記一対の分割型の少なくとも一方は、複数の部品に分解可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の線材の製造装置。
[請求項13]
 前記分割型は、前記素線の長手方向において形状が変化する区域において連結された複数の分割型片により構成されていることを特徴とする請求項6から12のいずれか1項に記載の線材の製造装置。
[請求項14]
 請求項1から5のいずれか1項に記載の線材の製造方法により製造された線材であって、
 前記コイルの一巻き分の長さに対応した巻対応区域を連続して複数備え、
 複数の前記巻対応区域は、台形形状の断面を有する第1区域をそれぞれ備え、
 前記第1区域における前記台形形状は、前記巻対応区域毎に寸法が異なることを特徴とする線材。
[請求項15]
 複数の前記巻対応区域は、前記第1区域と、矩形状の断面を有する第2区域と、をそれぞれ備え、
 前記第2区域における前記矩形状は、各前記巻対応区域において同一形状であることを特徴とする請求項14に記載の線材。
[請求項16]
 所定方向に延びる中心軸を中心とするシャフトと、
 前記シャフトに固定されたロータと、
 ステータと、を備え、
 前記ステータは、
  環状のコアバックと、
  前記コアバックから径方向に突出するティースと、
  前記ティースに巻回されたコイルと、
 を有し、
 前記コイルは、請求項14または15に記載の線材により形成されたコイルであることを特徴とするモータ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]