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1. WO2019058477 - METHOD FOR MANUFACTURING SEMICONDUCTOR DEVICE, SUBSTRATE PROCESSING DEVICE AND PROGRAM

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明 細 書

発明の名称 半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005  

発明の効果

0006  

図面の簡単な説明

0007  

発明を実施するための形態

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084  

実施例

0085   0086   0087   0088   0089  

符号の説明

0090  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム

技術分野

[0001]
 本発明は、半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラムに関する。

背景技術

[0002]
 半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に、シリコン(Si)、酸素(O)、炭素(C)および窒素(N)を含む膜、すなわち、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)を形成する処理が行われることがある(例えば特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2011-238894号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 本発明の目的は、基板上に形成される膜の特性を向上させることが可能な技術を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0005]
 本発明の一態様によれば、
 基板に対して、シリコンと炭素とで構成される環状構造およびハロゲンを含む原料を供給する工程と、
 前記基板に対して窒化剤を供給する工程と、
 前記基板に対して酸化剤を供給する工程と、
 を非同時に行うサイクルを、前記シリコンと炭素とで構成される環状構造の少なくとも一部が保持される条件下で、所定回数行うことにより、前記基板上に、前記シリコンと炭素とで構成される環状構造、窒素、および酸素を含む膜を形成する技術が提供される。

発明の効果

[0006]
 本発明によれば、基板上に形成される膜の特性を向上させることが可能となる。

図面の簡単な説明

[0007]
[図1] 本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
[図2] 本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を図1のA-A線断面図で示す図である。
[図3] 本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
[図4] 本発明の一実施形態の基板処理シーケンスを示すフロー図である。
[図5] 原料として用いられる1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラシクロブタンの化学構造式を示す図である。
[図6] (a)は基板上に形成された膜の誘電率の測定結果を示す図であり、(b)は基板上に形成された膜のアッシング処理後のエッチング耐性の評価結果を示す図である。

発明を実施するための形態

[0008]
<本発明の一実施形態>
 以下、本発明の一実施形態について、図1~図5を用いて説明する。
[0009]
(1)基板処理装置の構成
 図1に示すように、処理炉202は加熱機構(温度調整部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
[0010]
 ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO )または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の筒中空部には、処理室201が形成される。処理室201は、基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。
[0011]
 処理室201内には、ノズル249a,249bが、反応管203の下部側壁を貫通するように設けられている。ノズル249a,249bには、ガス供給管232a,232bがそれぞれ接続されている。
[0012]
 ガス供給管232a,232bには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a,241bおよび開閉弁であるバルブ243a,243bがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a,232bのバルブ243a,243bよりも下流側には、ガス供給管232c,232dがそれぞれ接続されている。ガス供給管232c,232dには、ガス流の上流側から順に、MFC241c,241dおよびバルブ243c,243dがそれぞれ設けられている。
[0013]
 図2に示すように、ノズル249a,249bは、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a,249bは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。ノズル249a,249bの側面には、ガスを供給するガス供給孔250a,250bがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a,250bは、反応管203の中心を向くようにそれぞれ開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a,250bは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。
[0014]
 ガス供給管232aからは、原料として、例えば、SiとCとで構成される環状構造およびハロゲンを含むガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。原料は、SiソースおよびCソースとして作用する。原料としては、例えば、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラシクロブタン(C Cl Si 、略称:TCDSCB)ガスを用いることができる。図5に、TCDSCBの化学構造式を示す。TCDSCBは、SiとCとで構成される環状構造を含み、ハロゲンとしての塩素(Cl)を含んでいる。以下、このSiとCとで構成される環状構造を、便宜上、単に、環状構造とも称する。TCDSCBに含まれる環状構造の形状は四角形である。この環状構造は、SiとCとが交互に結合してなり、4つのSi-C結合を含んでおり、2つのSi原子と2つのC原子を含んでいる。この環状構造におけるSiにはClが結合しており、CにはHが結合している。すなわち、TCDSCBは、Si-C結合のほか、Si-Cl結合およびC-H結合をそれぞれ含んでいる。
[0015]
 ガス供給管232bからは、反応体として、例えば、N含有ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。N含有ガスは、窒化剤(窒化ガス)、すなわち、Nソースとして作用する。N含有ガスとしては、例えば、アンモニア(NH )ガスを用いることができる。
[0016]
 ガス供給管232bからは、反応体として、例えば、O含有ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。O含有ガスは、酸化剤(酸化ガス)、すなわち、Oソースとして作用する。O含有ガスとしては、例えば、酸素(O )ガスを用いることができる。
[0017]
 ガス供給管232aからは、反応体として、例えば、水素(H)含有ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。H含有ガスは、それ単体では酸化作用は得られない。しかしながら、H含有ガスは、特定の条件下でO含有ガスと反応することで原子状酸素(atomic oxygen、O)等の酸化種を生成し、酸化処理の効率を向上させる。そのため、H含有ガスは、O含有ガスと同様に酸化剤に含めて考えることができる。本明細書において酸化剤という言葉を用いた場合は、O含有ガスのみを含む場合、または、O含有ガスとH含有ガスとの両方を含む場合がある。H含有ガスとしては、例えば、水素(H )ガスを用いることができる。
[0018]
 ガス供給管232c,232dからは、不活性ガスとしての窒素(N )ガスが、それぞれ、MFC241c,241d、バルブ243c,243d、ガス供給管232a,232b、ノズル249a,249bを介して処理室201内へ供給される。
[0019]
 主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、原料供給系が構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、反応体(N含有ガス、O含有ガス)供給系が構成される。主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、反応体(H含有ガス)供給系が構成される。N含有ガス供給系は、後述する成膜ステップにおいて窒化剤供給系として機能する。O含有ガス供給系は、後述する成膜ステップにおいて酸化剤供給系として機能する。H含有ガス供給系を酸化剤供給系に含めて考えてもよい。主に、ガス供給管232c,232d、MFC241c,241d、バルブ243c,243dにより、不活性ガス供給系が構成される。
[0020]
 上述の各種供給系のうち、いずれか、或いは、全ての供給系は、バルブ243a~243dやMFC241a~241d等が集積されてなる集積型供給システム248として構成されていてもよい。集積型供給システム248は、ガス供給管232a~232dのそれぞれに対して接続され、ガス供給管232a~232d内への各種ガスの供給動作、すなわち、バルブ243a~243dの開閉動作やMFC241a~241dによる流量調整動作等が、後述するコントローラ121によって制御されるように構成されている。集積型供給システム248は、一体型、或いは、分割型の集積ユニットとして構成されており、ガス供給管232a~232d等に対して集積ユニット単位で着脱を行うことができ、集積型供給システム248のメンテナンス、交換、増設等を、集積ユニット単位で行うことが可能なように構成されている。
[0021]
 反応管203の側壁下方には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、圧力センサ245、APCバルブ244により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
[0022]
 反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、反応管203の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219の下方には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
[0023]
 基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が水平姿勢で多段に支持されている。
[0024]
 反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、反応管203の内壁に沿って設けられている。
[0025]
 図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
[0026]
 記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
[0027]
 I/Oポート121dは、上述のMFC241a~241d、バルブ243a~243d、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
[0028]
 CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a~241dによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a~243dの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
[0029]
 コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
[0030]
(2)基板処理工程
 上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板としてのウエハ200上にSiOCN膜を形成するシーケンス例について、主に、図4を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
[0031]
 図4に示す基板処理シーケンスでは、
 ウエハ200に対して原料としてTCDSCBガスを供給するステップ1と、
 ウエハ200に対して窒化剤としてNH ガスを供給するステップ2と、
 ウエハ200に対して酸化剤としてO ガスおよびH ガスを供給するステップ3と、
 を非同時に行うサイクルを、SiとCとで構成される環状構造の少なくとも一部が保持される条件下で、所定回数行うことにより、ウエハ200上に、SiとCとで構成される環状構造、N、およびOを含む膜、すなわち、低密度状態(ポーラス状態)のSiOCN膜を形成する成膜ステップを行う。
[0032]
 図4に示す基板処理シーケンスでは、
 成膜ステップの終了後、成膜ステップにおける処理温度(後述する第1温度)よりも高い温度下で、かつ、SiOCN膜中に含まれるSiとCとで構成される環状構造の少なくとも一部が保持される処理条件下で、アズデポ状態のSiOCN膜を熱処理(アニール)するアニールステップをさらに行う。
[0033]
 本明細書では、図4に示す基板処理シーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。以下の変形例等の説明においても、同様の表記を用いることとする。
[0034]
 (TCDSCB→NH →O +H )×n→アニール ⇒ SiOCN
[0035]
 本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
[0036]
(ウエハチャージおよびボートロード)
 複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)される。その後、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220を介して反応管203の下端をシールした状態となる。
[0037]
(圧力調整および温度調整)
 処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。また、処理室201内のウエハ200が所望の処理温度(第1温度)となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。真空ポンプ246の稼働、ウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
[0038]
(成膜ステップ)
 その後、以下のステップ1~3を順次実施する。
[0039]
 [ステップ1]
 このステップでは、処理室201内のウエハ200に対してTCDSCBガスを供給する。具体的には、バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へTCDSCBガスを流す。TCDSCBガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してTCDSCBガスが供給される。このときバルブ243c,243dを開き、ガス供給管232c,232d内へN ガスを流すようにしてもよい。
[0040]
 本ステップにおける処理条件としては、
 処理温度(第1温度):250~400℃、好ましくは250~350℃
 処理圧力:1~20Torr(133~2666Pa)
 TCDSCBガス供給流量:1~2000sccm
 N ガス供給流量(各ガス供給管):0~10000sccm
 各ガス供給時間:1~120秒、好ましくは5~60秒
 が例示される。
[0041]
 上述の処理条件、特に温度条件は、TCDSCBに含まれるSiとCとで構成される環状構造の少なくとも一部を、破壊することなく保持(維持)することができる条件である。すなわち、上述の処理条件は、ウエハ200に対して供給されるTCDSCBガス(複数のTCDSCB分子)に含まれる複数の環状構造のうち、少なくとも一部の環状構造が破壊されることなくそのままの形で保持される条件である。本明細書では、SiとCとで構成される環状構造を、単に、環状構造とも称する。
[0042]
 上述の条件下でウエハ200に対してTCDSCBガスを供給することにより、ウエハ200の最表面上に、第1層(初期層)として、SiおよびCを含む層(SiC層)が形成される。第1層中には、TCDSCBガスに含まれる複数の環状構造のうち、少なくとも一部の環状構造が、破壊されることなくそのままの形で取り込まれる。第1層は、SiとCとで構成される環状構造を複数含む、低密度状態の層となる。なお、第1層は、環状構造を構成する複数のSi-C結合のうち一部の結合が破壊されることで生成された鎖状構造を含む場合がある。また、第1層は、Si-Cl結合およびC-H結合のうち少なくともいずれかを含む場合がある。
[0043]
 処理温度が250℃未満となると、ウエハ200上に第1層が形成されにくくなり、実用的な成膜レートが得られなくなる場合がある。処理温度を250℃以上の温度とすることで、ウエハ200上に第1層を形成でき、実用的な成膜レートが得られるようになる。また、処理温度が400℃を超えると、TCDSCBに含まれる環状構造を破壊することなく維持することが困難となる場合がある。処理温度を400℃以下の温度とすることで、TCDSCBに含まれる環状構造を破壊することなく維持し、第1層中へ取り込ませることが可能となる。処理温度を350℃以下の温度とすることで、この効果がより確実に得られるようになる。したがって、ステップ1における処理温度は、上述の範囲内の所定の温度とすることが好ましい。
[0044]
 ウエハ200上に第1層を形成した後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのTCDSCBガスの供給を停止する。そして、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243c,243dを開き、処理室201内へN ガスを供給する。N ガスはパージガスとして作用する。
[0045]
 原料としては、TCDSCBガスの他、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラシクロペンタン(C Cl Si )ガス等を用いることができる。すなわち、原料に含まれるSiとCとで構成される環状構造の形状は、四角形である場合に限らない。また、この環状構造は、SiとCとが交互に結合してなる場合に限らない。環状構造が大きな原料を用いることにより、最終的に形成されるSiOCN膜の膜密度を小さくさせ、この膜の誘電率を低下させることが可能となる。また、原料としては、1,1,3,3-テトラフルオロ-1,3-ジシラシクロブタン(C Si )ガス等を用いることもできる。すなわち、原料に含まれるハロゲンは、Clに限らず、フッ素(F)、臭素(Br)、ヨウ素(I)等であってもよい。
[0046]
 不活性ガスとしては、N ガスの他、例えば、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の各種希ガスを用いることが可能である。この点は、後述するステップ2,3、アニールステップにおいても同様である。
[0047]
 [ステップ2]
 ステップ1が終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された第1層に対してNH ガスを供給する。具体的には、バルブ243b~243dの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ243a,243c,243dの開閉制御と同様の手順で行う。NH ガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してNH ガスが供給される。
[0048]
 本ステップにおける処理条件としては、
 処理圧力:1~30Torr(133~3999Pa)
 NH ガス供給流量:100~10000sccm
 ガス供給時間:1~120秒
 が例示される。他の処理条件は、ステップ1における処理条件と同様とする。
[0049]
 上述の条件下でウエハ200に対してNH ガスを供給することにより、ステップ1でウエハ200上に形成された第1層の少なくとも一部を改質(窒化)させることができる。それにより、第1層中からClやH等を脱離させると共に、N成分を第1層中に取り込ませることが可能となる。第1層が窒化されることで、ウエハ200上に、第2層として、Si、CおよびNを含む層であるシリコン炭窒化層(SiCN層)が形成される。
[0050]
 また、上述の条件下でウエハ200に対してNH ガスを供給することにより、第1層に含まれる環状構造の少なくとも一部を、破壊することなく保持したまま、第2層中にそのまま取り込ませる(残存させる)ことが可能となる。すなわち、第1層の窒化を、第1層に含まれる複数の環状構造のうち、少なくとも一部の環状構造をそのままの形で残すよう、不飽和(不飽和窒化)とすることが可能となる。これにより、第2層を、SiとCとで構成される環状構造を複数含み、さらにNを含む、低密度状態の層とすることが可能となる。
[0051]
 ウエハ200上に第2層を形成した後、バルブ243bを閉じ、処理室201内へのNH ガスの供給を停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順により、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。
[0052]
 窒化剤(N含有ガス)としては、NH ガスの他、ジアゼン(N )ガス、ヒドラジン(N )ガス、N ガス、これらの化合物を含むガス等を用いることが可能である。
[0053]
 [ステップ3]
 ステップ2が終了した後、処理室201内へO ガスとH ガスとを異なるノズルより別々に供給し、これらのガスを処理室201内で混合させて反応させる。具体的には、バルブ243b,243aを開き、ガス供給管232b,232a内にO ガスとH ガスとをそれぞれ流す。バルブ243c,243dの開閉制御は、ステップ1におけるバルブ243c,243dの開閉制御と同様の手順で行う。ガス供給管232b,232a内を流れたO ガス、H ガスは、それぞれ、MFC241b,241aにより流量調整され、ノズル249b,249aを介して処理室201内へ供給される。O ガスとH ガスとは、処理室201内で混合して反応し、その後、排気管231から排気される。ステップ3は、O ガスとH ガスとを同時に供給する期間を含むことになる。
[0054]
 本ステップにおける処理条件としては、
 処理圧力:0.1~10Torr(13.3~1333Pa)
 O ガス供給流量:100~10000sccm
 H ガス供給流量:100~10000sccm
 ガス供給時間:1~120秒
 が例示される。他の処理条件は、ステップ1における処理条件と同様とする。
[0055]
 上述の条件下でO ガスおよびH ガスを処理室201内へ供給することで、O ガスおよびH ガスは、加熱された減圧雰囲気下においてノンプラズマで熱的に活性化(励起)されて反応し、それにより、原子状酸素(O)等の酸素を含む水分(H O)非含有の酸化種が生成される。そして、主にこの酸化種により、ステップ2でウエハ200上に形成された第2層の少なくとも一部を改質(酸化)させることができる。それにより、第2層中からClやH等を脱離させると共に、O成分を第2層中に取り込ませることが可能となる。第2層が酸化されることで、ウエハ200上に、第3層として、Si、O、C、およびNを含む層であるシリコン酸炭窒化層(SiOCN層)が形成される。
[0056]
 この酸化処理によれば、O ガスを単独で供給する場合や水蒸気(H Oガス)を供給する場合に比べ、酸化力を大幅に向上させることができる。すなわち、減圧雰囲気下においてO ガスにH ガスを添加することで、O ガス単独供給の場合やH Oガスを供給する場合に比べ、大幅な酸化力向上効果が得られるようになる。ただし、上述の処理条件では、第2層に含まれる環状構造の少なくとも一部を、破壊することなく保持したまま、第3層中にそのまま取り込ませることが可能となる。すなわち、第2層の酸化を、第2層に含まれる複数の環状構造のうち、少なくとも一部の環状構造をそのままの形で残すよう、不飽和(不飽和酸化)とすることが可能となる。これにより、第3層を、SiとCとで構成される環状構造を複数含み、さらにNおよびOを含む、低密度状態の層とすることが可能となる。
[0057]
 ウエハ200上に第3層を形成した後、バルブ243b,243aを閉じ、処理室201内へのO ガスおよびH ガスの供給をそれぞれ停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順により、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。
[0058]
 酸化剤(O含有ガス)としては、O +H ガスの他、亜酸化窒素(N O)ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO )ガス、O ガス、水蒸気、過酸化水素(H )ガス、オゾン(O )ガス、プラズマ励起させたO ガス(O )、原子状酸素(O)、酸素ラジカル(O )、および水酸基ラジカル(OH )等を用いることが可能である。なお、酸化剤としてO +H ガスを用いる場合、H ガスの代わりに重水素(D )ガス等を用いることが可能である。
[0059]
 [所定回数実施]
 ステップ1~3を非同時に、すなわち、同期させることなく交互に行うサイクルを所定回数(n回、nは1以上の整数)行うことにより、ウエハ200上に、Si、O、C、およびNを含む膜であるSiOCN膜を形成することが可能となる。この膜は、SiとCとで構成される環状構造を複数含み、さらにNおよびOを含む低密度状態の膜となる。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成される第3層の厚さを所望の膜厚よりも薄くし、第3層を積層することで形成される膜の膜厚が所望の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すのが好ましい。
[0060]
(アニールステップ)
 成膜ステップが終了した後、ウエハ200の温度を上述の第1温度よりも高い第2温度に変更(上昇)させる。その後、第2温度下で、ウエハ200上に形成されたアズデポ状態のSiOCN膜に対してアニール処理を行う。成膜ステップとアニールステップとは、同一の処理室201内で、成膜処理後のウエハ200を処理室201内から処理室201外に取り出すことなく、連続的に行う。すなわち、成膜ステップとアニールステップとは、in-situにて行う。また、アニールステップは、処理室201内の雰囲気を酸素非含有の雰囲気とした状態で行う。具体的には、処理室201内へのTCDSCBガス、NH ガス、O ガス、H ガスの供給をそれぞれ不実施とし、N ガスの供給を実施した状態で、アニールステップを行う。
[0061]
 本ステップにおける処理条件としては、
 処理温度(第2温度):450~800℃、好ましくは500~700℃
 処理圧力:0.5~760Torr(67~101325Pa)
 N ガス供給流量:1000~5000sccm
 アニール時間:10~120分
 が例示される。
[0062]
 上述の条件下でアニール処理を行うことにより、アズデポ状態のSiOCN膜中から不純物を除去することが可能となる。例えば、アズデポ状態のSiOCN膜中に残留していたClおよび水分(H O)のうち少なくともいずれかを、この膜中から脱離させることが可能となる。
[0063]
 また、上述の条件下でアニール処理を行うことにより、アズデポ状態のSiOCN膜中に含まれるNと、N以外の元素(例えばSiやC)と、の結合を強化することも可能となる。例えば、アズデポ状態のSiOCN膜中に含まれるSi-N結合等を強化することが可能となる。
[0064]
 また、上述の条件下でアニール処理を行うことにより、アズデポ状態のSiOCN膜中に含まれる環状構造以外の部分を緻密化し、この部分、すなわち、SiOCN膜のうち環状構造が存在しない部分を高密度化することが可能となる。すなわち、SiOCN膜の部分的な(局所的な)高密度化が可能となる。
[0065]
 また、上述の条件下では、アズデポ状態のSiOCN膜中に含まれる環状構造の少なくとも一部を、破壊することなく保持することが可能となる。すなわち、アズデポ状態のSiOCN膜に含まれる複数の環状構造のうち、少なくとも一部の環状構造を、そのままの形で膜中に残存させることが可能となる。これにより、アニール処理が施されたSiOCN膜における環状構造が存在する部分を、アズデポ状態のSiOCN膜における環状構造が存在する部分と同程度に、低密度状態とすることが可能となる。
[0066]
 なお、処理温度が450℃未満となると、アニール処理を行うことによる不純物の脱離、結合の強化、部分的な緻密化といった上述の効果が得られなくなる場合がある。処理温度を450℃以上の温度とすることで、アニール処理を行うことによるこれらの効果が得られるようになる。処理温度を500℃以上とすることで、アニール処理を行うことによるこれらの効果がより確実に得られるようになる。また、処理温度が800℃を超えると、アズデポ状態のSiOCN膜に含まれる環状構造を破壊することなく維持することが困難となる場合がある。処理温度を800℃以下の温度とすることで、アズデポ状態のSiOCN膜に含まれる環状構造を破壊することなく維持することが容易となる。処理温度を700℃以下の温度とすることで、この効果がより確実に得られるようになる。したがって、アニールステップにおける処理温度は、上述の範囲内の所定の温度とすることが好ましい。
[0067]
(アフターパージおよび大気圧復帰)
 アニールステップが終了した後、ガス供給管232c,232dのそれぞれからN ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物等が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
[0068]
(ボートアンロード、大気暴露およびウエハディスチャージ)
 その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、反応管203の下端が開口されるとともに、アニール処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態で、反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。これにより、ウエハ200上に形成されたアニール処理済のSiOCN膜が、大気に暴露される(大気暴露)。アニール処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
[0069]
(3)本実施形態による効果
 本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
[0070]
(a)成膜ステップでは、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜中に、SiとCとで構成される環状構造を含ませることが可能となる。結果として、この膜を、環状構造を含む低密度状態(ポーラス状態)の膜とすることが可能となる。これにより、この膜を、サイドウォールスペーサ等の用途に好適な誘電率の低い膜(Low-k膜)として用いることが可能となる。
[0071]
(b)アニールステップでは、アズデポ状態のSiOCN膜が有する低密度状態すなわち環状構造を、破壊することなく維持することが可能となる。これにより、最終的に得られるSiOCN膜の誘電率を、アズデポ状態のSiOCN膜が有する誘電率と同程度に低い値のまま維持することが可能となる。
[0072]
(c)アニールステップでは、アズデポ状態のSiOCN膜の環状構造以外の部分を緻密化し、環状構造以外の部分を高密度化することが可能となる。これにより、最終的に得られるSiOCN膜の酸化耐性(アッシング耐性)を、アズデポ状態のSiOCN膜よりも高めることが可能となる。
[0073]
(d)アニールステップでは、アズデポ状態のSiOCN膜中に含まれるNと、N以外の元素(Si等)と、の結合を強化することが可能となる。結果として、最終的に得られるSiOCN膜を、大気に暴露された際における膜中からのNの脱離確率が小さい膜とすることが可能となる。すなわち、最終的に形成されるSiOCN膜のアッシング耐性を、アズデポ状態のSiOCN膜のアッシング耐性よりも高めることが可能となる。
[0074]
(e)アニールステップでは、アズデポ状態のSiOCN膜中に残留していたClおよび水分のうち少なくともいずれかを、膜中から脱離させることが可能となる。膜中からこれらの不純物を除去することにより、最終的に得られるSiOCN膜のエッチング耐性(HF耐性)を、アズデポ状態のSiOCN膜のエッチング耐性よりも高めることが可能となる。
[0075]
 なお、膜中に含まれる水分は、膜の誘電率を上昇させる要因となる場合がある。アズデポ状態のSiOCN膜中から水分を除去することより、最終的に得られるSiOCN膜の誘電率を、アズデポ状態のSiOCN膜の誘電率よりも低下させることが可能となる。
[0076]
 また、膜中に含まれるClは、膜が大気に暴露された際における膜中への水分の取り込みを生じさせる要因となる場合がある。アズデポ状態のSiOCN膜中からClを除去することにより、最終的に得られるSiOCN膜を、アズデポ状態のSiOCN膜よりも、大気に暴露された際における膜中への水分の取り込みの生じにくい膜とすることができる。これにより、最終的に形成されるSiOCN膜を、誘電率の低い膜のまま維持することが容易となる。また、膜中への水分の取り込みを抑制することにより、大気暴露後におけるこの膜の水分による酸化を抑制することも可能となる。
[0077]
(f)成膜ステップとアニールステップとを、同一の処理室201内で、ウエハ200を処理室201内から処理室201外に取り出すことなく、連続的に行うことにより、アズデポ状態のSiOCN膜の大気暴露を回避できる。これにより、アズデポ状態のSiOCN膜中への水分の取り込みや、この膜の不要な酸化を防止することが可能となる。
[0078]
(g)上述の効果は、TCDSCBガス以外の上述の要件を満たすガスを原料ガスとして用いる場合にも、同様に得ることができる。また、上述の効果は、NH ガス以外の窒化剤を用いる場合や、O +H ガス以外の酸化剤を用いる場合や、N ガス以外の不活性ガスを用いる場合にも、同様に得ることができる。
[0079]
<他の実施形態>
 以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。但し、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
[0080]
 基板処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、処理を迅速に開始できるようになる。
[0081]
 上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
[0082]
 上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。
[0083]
 これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態や変形例と同様な処理手順、処理条件にて成膜を行うことができ、これらと同様の効果が得られる。
[0084]
 また、上述の実施形態や変形例は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の実施形態の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
実施例
[0085]
 以下、実施例について説明する。
[0086]
 サンプル1として、図1に示す基板処理装置を用い、図4に示す基板処理シーケンスにより、ウエハ上にSiOCN膜を形成した。サンプル1を作製する際、成膜ステップとアニールステップとを同一の処理室内で連続的に行った。すなわち、アズデポ状態のSiOCN膜を大気に暴露することなく、アニールステップを実施した。処理条件は、上述の実施形態における処理条件範囲内の所定の条件とした。
[0087]
 サンプル2として、図1に示す基板処理装置を用い、図4に示す基板処理シーケンスにより、ウエハ上にSiOCN膜を形成した。サンプル2を作製する際、成膜ステップとアニールステップとを異なる処理室内で行った。すなわち、アズデポ状態のSiOCN膜を大気に暴露してから、アニールステップを実施した。処理条件は、サンプル1を作製する際における処理条件と同様の条件とした。
[0088]
 そして、サンプル1,2のSiOCN膜の誘電率を測定した。図6(a)にその結果を示す。図6(a)の縦軸は誘電率(k値)を、横軸はサンプル1,2を示している。この図に示すように、サンプル1,2のSiOCN膜の誘電率はそれぞれ3.5未満であった。すなわち、原料としてTCDSCBガスを用い、SiとCとで構成される環状構造を各膜中に含ませることにより、これらの膜の誘電率をそれぞれ低下させることが可能となることが確認できた。
[0089]
 また、サンプル1,2のSiOCN膜に対してアッシング処理を行った後、各膜に対してエッチング処理を行い、それらのエッチング耐性を評価した。アッシング処理では、各膜に対してO プラズマを供給した。エッチング処理では、各膜に対して濃度1%のHF水溶液を供給した。図6(b)に、アッシング処理後の各SiOCN膜におけるウェットエッチングレート(WER)の評価結果を示す。図6(b)の縦軸はアッシング処理後のWER[Å/min]を、横軸はサンプル1,2を示している。この図に示すように、サンプル1のSiOCN膜のアッシング処理後のWERは、サンプル2のSiOCN膜のアッシング処理後のWERに比べて小さく、サンプル2のSiOCN膜のアッシング処理後のWERの1/2以下であった。すなわち、成膜ステップとアニールステップとをin-situにて行うことにより、最終的に形成されるSiOCN膜のアッシング処理後のエッチング耐性(HF耐性)を大幅に向上させることが可能となることを確認できた。この結果は、サンプル1のSiOCN膜がサンプル2のSiOCN膜よりも大幅に高いアッシング耐性を有していることを示唆するものである。

符号の説明

[0090]
200  ウエハ(基板)

請求の範囲

[請求項1]
 基板に対して、シリコンと炭素とで構成される環状構造およびハロゲンを含む原料を供給する工程と、
 前記基板に対して窒化剤を供給する工程と、
 前記基板に対して酸化剤を供給する工程と、
 を非同時に行うサイクルを、前記シリコンと炭素とで構成される環状構造の少なくとも一部が保持される条件下で、所定回数行うことにより、前記基板上に、前記シリコンと炭素とで構成される環状構造、窒素、および酸素を含む膜を形成する工程を有する半導体装置の製造方法。
[請求項2]
 前記シリコンと炭素とで構成される環状構造は、シリコンと炭素とが交互に結合してなる請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項3]
 前記シリコンと炭素とで構成される環状構造は、4つのシリコン-炭素結合を含む請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項4]
 前記シリコンと炭素とで構成される環状構造は、2つのシリコン原子と2つの炭素原子を含む請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項5]
 前記シリコンと炭素とで構成される環状構造は四角形である請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項6]
 前記シリコンと炭素とで構成される環状構造におけるシリコンには前記ハロゲンが結合している請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項7]
 前記シリコンと炭素とで構成される環状構造における炭素には水素が結合している請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項8]
 前記原料を供給する工程では、前記シリコンと炭素とで構成される環状構造および前記ハロゲンを含む第1層を形成し、
 前記窒化剤を供給する工程では、前記第1層を窒化して、前記シリコンと炭素とで構成される環状構造および窒素を含む第2層を形成し、
 前記酸化剤を供給する工程では、前記第2層を酸化して、前記シリコンと炭素とで構成される環状構造、窒素および酸素を含む第3層を形成する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項9]
 前記膜を形成する工程における処理温度よりも高い温度下で、かつ、前記膜中に含まれる前記シリコンと炭素とで構成される環状構造の少なくとも一部が保持される条件下で、前記膜に対し熱処理を行う工程をさらに有し、
 前記膜を形成する工程と前記熱処理を行う工程とを、同一の処理室内で、前記基板を前記処理室内から前記処理室外に取り出すことなく、連続的に行う請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項10]
 前記熱処理を行う工程では、前記膜中に残留した前記ハロゲンおよび水分のうち少なくとも何れかを除去する請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項11]
 前記熱処理を行う工程では、前記膜中に含まれる窒素と、窒素以外の元素と、の結合を強化する請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項12]
 前記熱処理を行う工程では、前記膜中に含まれる窒素と、シリコンと、の結合を強化する請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項13]
 前記熱処理を行う工程では、前記膜中に含まれる前記シリコンと炭素とで構成される環状構造の少なくとも一部を保持することで前記環状構造による前記膜の低密度状態を維持しつつ、前記膜の前記環状構造以外の部分を緻密化し高密度化する請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項14]
 前記熱処理後の前記膜を大気曝露する工程をさらに有する請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項15]
 前記膜を形成する工程における処理温度を250℃以上400℃以下とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項16]
 前記熱処理を行う工程における処理温度を450℃以上800℃以下とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項17]
 基板に対する処理が行われる処理室と、
 前記処理室内の基板に対して、シリコンと炭素とで構成される環状構造およびハロゲンを含む原料を供給する原料供給系と、
 前記処理室内の基板に対して窒化剤を供給する窒化剤供給系と、
 前記処理室内の基板に対して酸化剤を供給する酸化剤供給系と、
 前記処理室内において、基板に対して前記原料を供給する処理と、前記基板に対して前記窒化剤を供給する処理と、前記基板に対して前記酸化剤を供給する処理と、を非同時に行うサイクルを、前記シリコンと炭素とで構成される環状構造の少なくとも一部が保持される条件下で、所定回数行うことにより、前記基板上に、前記シリコンと炭素とで構成される環状構造、窒素、および酸素を含む膜を形成する処理を行わせるように、前記原料供給系、前記窒化剤供給系、および前記酸化剤供給系を制御するよう構成される制御部と、
 を有する基板処理装置。
[請求項18]
 基板処理装置の処理室内において、
 基板に対して、シリコンと炭素とで構成される環状構造およびハロゲンを含む原料を供給する手順と、
 前記基板に対して窒化剤を供給する手順と、
 前記基板に対して酸化剤を供給する手順と、
 を非同時に行うサイクルを、前記シリコンと炭素とで構成される環状構造の少なくとも一部が保持される条件下で、所定回数行うことにより、前記基板上に、前記シリコンと炭素とで構成される環状構造、窒素、および酸素を含む膜を形成する手順をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]