Processing

Please wait...

Settings

Settings

Goto Application

1. WO2019054497 - COMBINED STRUCTURE FOR SOLAR RADIATION SHIELDING AND METHOD FOR PRODUCING SAME

Document

明 細 書

発明の名称 日射遮蔽用合わせ構造体およびその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

非特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158  

実施例

0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198  

符号の説明

0199  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 日射遮蔽用合わせ構造体およびその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、自動車等の車両、建築、航空機の窓材、等として用いられる日射遮蔽用合わせ構造体およびその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 従来、自動車や建築の窓材、等に用いられるガラスとして、2枚の板ガラス間に日射遮蔽膜を挟み込んで合わせガラスを構成し、当該合わせガラスにより入射する太陽エネルギーを遮断して冷房負荷や人の熱暑感の軽減を目的としたものが提案されている。
[0003]
 例えば、特許文献1には、2枚のガラス板の間に軟質樹脂層を介在させた合わせガラスであって、熱線遮蔽性金属酸化物としてITOまたはATOを含有分散させたものが提案されている。
 一方、本出願人は、特許文献2において、日射遮蔽機能を有する中間層を2枚の板ガラス間に介在させた日射遮蔽合わせガラスであって、当該中間層に六ホウ化物微粒子単独または六ホウ化物微粒子と、ITO微粒子および/またはATO微粒子と、ビニル系樹脂とを含有する日射遮蔽用合わせガラスを開示している。
 さらに本出願人は、特許文献3において、透明性及び日射遮蔽機能の高いタングステン酸化物微粒子を含有する日射遮蔽用合わせガラスを開示した。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開平8-217500号公報
特許文献2 : 特開2001-89202号公報
特許文献3 : 特許第3985193号公報

非特許文献

[0005]
非特許文献1 : Satoshi Yoshio, Koichiro Maki and Kenji Adachi, “Optical properties of group-3 metal hexaboride nanoparticles by first-principles calculations”, J. Chem. Phys., Vol.144, 234702 (2016)
非特許文献2 : K. Machida and K. Adachi, “Particle shape inhomogeneity and plasmon band broadening of solar-control LaB6 nanoparticles”, J. Appl. Phys., 118, 013103 (2015)
非特許文献3 : 西川洋、セラミックス、22巻、1987、pp40-45
非特許文献4 : 土井、粉体と工業、21(5)1989

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、本発明者らが研究を行った結果、以下の課題が見出された。
 まず、特許文献1に記載の合わせガラスに用いられているITOやATOは、波長800~1000nm付近の近赤外線の遮蔽効果が低い。一方、太陽光線においては、当該波長の強度は強いため、当該合わせガラスでは肌のじりじり感を抑止出来なかった。また資源量に制約のIn原料が高コストであり、普及のネックとなっていた。
 次に、特許文献2に記載の六ホウ化物微粒子は、波長800~900nmの近赤外線を吸収する能力に優れており、皮膚のじりじり感を防止する効果が高く、また吸収係数が大きいため極く少量の添加でも効果を奏する利点を有する。しかし、可視光の透過性は緑部の波長以外でやや劣る為、ガラスに緑がかった着色をもたらすことが難点とされていた。
 さらに、特許文献3に記載の六方晶構造を有するタングステンブロンズ微粒子は、タングステン酸化物微粒子の中でも透明性と、近赤外線吸収能力とに優れており、70%の可視光透過率と40%以下の日射透過率という、高い日射遮蔽性を実現する。しかし、当該優れた光学特性の一方で、タングステンブロンズ微粒子は短波長の光の照射で着色したり、水分に反応して遮蔽機能が劣化したりするなどの環境不安定性を有する為、これを防止する方策にコストがかかるという問題点があった。
[0007]
 本発明はこの様な問題点に着目してなされたものであり、その課題とするところは、可視光透過性が高く、同時に優れた日射遮蔽特性を有し、耐侯性を有する日射遮蔽微粒子を用いた、高い可視光透過性と日射遮蔽特性および低いヘイズ値を有し、環境安定性が高く、生産コストの安価な日射遮蔽用合わせ構造体およびその製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

[0008]
 上記課題を解決する為、本発明者等は鋭意研究を行った。そして、一般式Ca La 1-x(但し、0.001≦x≦0.800、5.0≦m<6.3)で表記されるカルシウムランタンホウ化物微粒子であって、所定の形状を有する微粒子が、強い熱線吸収作用を有すると同時に、幅広い可視光透過性、および安定した耐侯性を有することを知見した。そして、当該カルシウムランタンホウ化物微粒子を日射遮蔽微粒子として含む日射遮蔽用合わせ構造体に想到し本発明を完成した。
[0009]
 即ち、上述の課題を解決する為の第1の発明は、
 日射遮蔽微粒子を含む樹脂シート、日射遮蔽微粒子を含む樹脂フィルムから選ばれる1種以上を中間膜として有する中間層を、
 日射遮蔽微粒子を含まない板ガラス、日射遮蔽微粒子を含まない樹脂ボードから選ばれる2枚の合わせ板間に挟み込んだ日射遮蔽用合わせ構造体であって、
 前記日射遮蔽微粒子が、一般式Ca La 1-xで表記されるカルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する日射遮蔽微粒子であって、前記一般式におけるxの値が0.001≦x≦0.800、且つ、mの値が5.0≦m<6.3であり、
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の平均分散粒子径が1nm以上800nm以下であり、
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状が、下記1)、2)から選択される少なくとも一つの形状であることを特徴とする日射遮蔽用合わせ構造体を提供する。
  1)溶媒中に希釈分散させた前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の散乱強度を、X線小角散乱法を用いて測定したとき、散乱ベクトルq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして得られる直線の傾きの値Veが-3.8≦Ve≦-1.5である形状。
  2)平板状円柱(但し、底面円の直径をd、円柱の高さをhとする。)形状、または、回転楕円体(但し、長軸の長さをd、短軸の長さをhとする。)形状であって、アスペクト比d/hの値が1.5≦d/h≦20である形状。
 第2の発明は、
 日射遮蔽微粒子を含む樹脂シート、日射遮蔽微粒子を含む樹脂フィルムから選ばれる1種以上の中間膜と、日射遮蔽微粒子を含まない樹脂シート、日射遮蔽微粒子を含まない樹脂フィルムから選ばれる1種以上の中間膜と、を有する中間層を、
 日射遮蔽微粒子を含まない板ガラス、日射遮蔽微粒子を含まない樹脂ボード、日射遮蔽微粒子を含む樹脂ボードから選ばれる合わせ板と、日射遮蔽微粒子を含む樹脂ボードからなる他の合わせ板との間に挟み込んだ日射遮蔽用合わせ構造体であって、
 前記日射遮蔽微粒子が、一般式Ca La 1-xで表記されるカルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する日射遮蔽微粒子であって、前記一般式におけるxの値が0.001≦x≦0.800、且つ、mの値が5.0≦m<6.3であり、
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の平均分散粒子径が1nm以上800nm以下であり、
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状が、下記1)、2)から選択される少なくとも一つの形状であることを特徴とする日射遮蔽用合わせ構造体を提供する。
  1)溶媒中に希釈分散させた前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の散乱強度を、X線小角散乱法を用いて測定したとき、散乱ベクトルq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして得られる直線の傾きの値Veが-3.8≦Ve≦-1.5である形状、
  2)平板状円柱(但し、底面円の直径をd、円柱の高さをhとする。)形状、または、回転楕円体(但し、長軸の長さをd、短軸の長さをhとする。)形状であって、アスペクト比d/hの値が1.5≦d/h≦20である形状。
 第3の発明は、
 前記中間膜、前記合わせ板のうちの2層以上に日射遮蔽微粒子が含有されている場合、
 少なくとも1層は、前記カルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する日射遮蔽微粒子を含んでおり、他の少なくとも1層は、前記日射遮蔽微粒子とは異なる日射遮蔽特性を有する日射遮蔽微粒子を含有することを特徴とする第1または第2の発明のいずれかに記載の日射遮蔽用合わせ構造体を提供する。
 第4の発明は、
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する日射遮蔽微粒子と異なる日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子が、前記カルシウムランタンホウ化物微粒子と異なる日射遮蔽機能を有するカルシウムランタンホウ化物微粒子、六方晶タングステンブロンズ微粒子、Sn添加酸化インジウム微粒子、Sb添加酸化スズ微粒子、Al添加酸化亜鉛微粒子、Ga添加酸化亜鉛微粒子の内から選ばれる少なくとも1種の日射遮蔽微粒子であることを特徴とする第3の発明に記載の日射遮蔽用合わせ構造体を提供する。
 第5の発明は、
 前記樹脂ボード、樹脂シート、樹脂フィルムを構成する樹脂材料が、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂から選ばれる1種であることを特徴とする第1~第4の発明のいずれかに記載の日射遮蔽用合わせ構造体を提供する。
 第6の発明は、
 前記中間層を構成する樹脂材料が、ビニル系樹脂であることを特徴とする第1~第4の発明のいずれかに記載の日射遮蔽用合わせ構造体を提供する。
 第7の発明は、
 前記ビニル系樹脂は、ポリビニルブチラールまたはエチレン-酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする第6の発明に記載の日射遮蔽用合わせ構造体を提供する。
 第8の発明は、
 日射遮蔽微粒子を含む樹脂シート、日射遮蔽微粒子を含む樹脂フィルムから選ばれる1種以上を中間膜として有する中間層を、
 日射遮蔽微粒子を含まない板ガラス、日射遮蔽微粒子を含まない樹脂ボードから選ばれる2枚の合わせ板間に挟み込んだ日射遮蔽用合わせ構造体の製造方法であって、
 前記日射遮蔽微粒子が、一般式Ca La 1-xで表記されるカルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する日射遮蔽微粒子であって、前記一般式におけるxの値が0.001≦x≦0.800、且つ、mの値が5.0≦m<6.3であり、
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の平均分散粒子径が1nm以上800nm以下であり、
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状が、下記1)、2)から選択される少なくとも一つの形状であるように製造することを特徴とする日射遮蔽用合わせ構造体の製造方法である。
  1)溶媒中に希釈分散させた前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の散乱強度を、X線小角散乱法を用いて測定したとき、散乱ベクトルq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして得られる直線の傾きの値Veが-3.8≦Ve≦-1.5である形状。
  2)平板状円柱(但し、底面円の直径をd、円柱の高さをhとする。)形状、または、回転楕円体(但し、長軸の長さをd、短軸の長さをhとする。)形状であって、アスペクト比d/hの値が1.5≦d/h≦20である形状。

発明の効果

[0010]
 本発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体は、中間膜及び/または合わせ板が、所定の構造を有するカルシウムランタンホウ化物を含む日射遮蔽微粒子を含有しており、可視光領域の高い透過性能を備え、着色が少なくヘイズが低く、同時に、高い日射遮蔽特性を有し、優れた耐候性を有している。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 六ホウ化物の結晶構造を示す模式図である。
[図2] 本発明に用いられる日射遮蔽微粒子の製造に用いられる高周波熱プラズマ反応装置の一実施態様の装置概念図である。
[図3] (α):実施形態(α-1)に係る合わせ構造体の断面図の模式図であり、(β):実施形態(β-1)に係る合わせ構造体の断面図の模式図である。
[図4] (α):実施形態(α-2)に係る合わせ構造体の断面図の模式図であり、(β):実施形態(β-2)に係る合わせ構造体の断面図の模式図である。
[図5] (α):実施形態(α-3)に係る合わせ構造体の断面図の模式図であり、(β):実施形態(β-3)に係る合わせ構造体の断面図の模式図である。
[図6] (α):実施形態(α-4)に係る合わせ構造体の断面図の模式図であり、(β):実施形態(β-4)に係る合わせ構造体の断面図の模式図である。
[図7] (α):実施形態(α-5)に係る合わせ構造体の断面図の模式図であり、(β):実施形態(β-5)に係る合わせ構造体の断面図の模式図である。
[図8] (α):実施形態(α-6)に係る合わせ構造体の断面図の模式図であり、(β):実施形態(β-6)に係る合わせ構造体の断面図の模式図である。
[図9] 実施形態(β-7)に係る合わせ構造体の断面図の模式図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 本発明に係る、樹脂シート、樹脂フィルムから選ばれる1種以上を中間膜として有する中間層を、板ガラス、樹脂ボードから選ばれる2枚の合わせ板間に挟み込んだ日射遮蔽用合わせ構造体は、前記中間膜及び/または合わせ板に、カルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する日射遮蔽微粒子を含有している。そして、当該日射遮蔽用合わせ構造体は、可視光領域の高い透過性能を備え、着色が少なくヘイズが低く、同時に、優れた日射遮蔽特性を有し、安定した耐候性(耐酸化性、耐水性、耐湿性、耐紫外線性)を有している。
 以下、本発明に係る、日射遮蔽用合わせ構造体の実施の形態について、[A]日射遮蔽微粒子、[B]日射遮蔽微微粒子の製造方法、[C]日射遮蔽用合わせ構造体とその製造方法、の順で説明する。
[0013]
[A]日射遮蔽微粒子
 本発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体は、一般式Ca La 1-x(但し、0.001≦x≦0.800、5.0≦m<6.3)で表記されるカルシウムランタンホウ化物微粒子を日射遮蔽微粒子として含有する。
 さらに、詳細は後述するが、日射遮蔽特性や可視光透過性の向上、吸収ピーク波長の幅の変更、日射遮蔽用合わせ構造体の色調の調整、添加フィラー量の削減等の効果を目的として、本発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体が上述した中間膜や合わせ板の内の2層以上に日射遮蔽微粒子を含有する場合、少なくとも1層には、前記カルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する日射遮蔽微粒子を含ませ、他の少なくとも1層には、前記カルシウムランタンホウ化物微粒子とは異なる日射遮蔽特性を有する日射遮蔽微粒子を含ませる構成とすることが出来る。
 そこで、本発明に係る日射遮蔽微粒子について[a]カルシウムランタンホウ化物微粒子、[b]前記[a]欄にて説明したカルシウムランタンホウ化物微粒子とは異なる日射遮蔽特性を有する日射遮蔽微粒子、の順に説明する。
[0014]
[a]カルシウムランタンホウ化物微粒子
 以下、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子について(1)結晶構造、(2)Caの含有量[x:0.001≦x≦0.800]、(3)B(ホウ素)の含有量[5.0≦m<6.3]、(4)微粒子の形状、(5)微粒子の平均分散粒子径、(6)微粒子の表面処理、の順で詳細に説明する。
[0015]
(1)結晶構造
 まず、六ホウ化物(一般式MB )の結晶構造を図1に示す。
 図1に示すように六ホウ化物は立方晶系で単純立方構造を有しており、立方体の各頂点に、ホウ素原子11が6個集合して形成された八面体が配置されている。そして、ホウ素原子11で構成された八面体8個に囲まれた立方体の中央の空間に、元素M12が配置される。
[0016]
 上述したように、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物は、一般式Ca La 1-x(但し、0.001≦x≦0.800、5.0≦m<6.3である。)で表記される。当該Ca La 1-x微粒子は、その終端組成であるCaB (但し、x=1、m=6である。)およびLaB (但し、x=0、m=6である。)と同様に、空間群Pm(-3)m、Bravais格子が単純立方構造の結晶構造を持つ。そして、体心位置にCaまたはLaが配置し、角位置にホウ素6個が集合した八面体が配置している。
[0017]
 従来知られているLaB は自由電子を多量にもつ金属的な化合物であり、ナノ微粒子の状態に微細化すると、自由電子の局在表面プラズモン共鳴により外界の電磁波を共鳴吸収することが可能となる。そして、LaB の日射遮蔽効果はこの原理を応用している。
 一方、本発明者等は種々研究する中で、LaB におけるLa位置を2族グループ元素のアルカリ土類元素で置換する効果について想到し、研究を深めた。
 そして、当該アルカリ土類元素の中でもCaを用い、当該CaによってLaを一部置換した一般式Ca La 1-x(但し、0.001≦x≦0.800、5.0≦m<6.3である。)で表記されるカルシウムランタンホウ化物微粒子には、赤外線の吸収効果を高く保持しつつ、Ca添加量に応じて可視光透過性を画期的に向上させる効果があることを見出したものである。
[0018]
(2)Caの含有量[x:0.001≦x≦0.800]
 本発明に係るカルシウムランタンホウ化物[Ca La 1-x]微粒子において、CaはLa位置に全率固溶するが、Caの含有量xは、0.001≦x≦0.800の範囲にあることが肝要である。Caの含有量xが0.001よりも大きい場合は、可視光透過率の改善効果が明らかになる。一方、xが0.800以下であれば、実質的にCaB と異なる、可視光透過率の改善効果が明らかな特性となり、本発明の効果を享受出来る。
[0019]
 本発明の効果である可視光透過性の高さを十分享受する為のより好ましい組成は、Caの含有量xが0.100≦x≦0.625の範囲である。この組成範囲においては、当該カルシウムランタンホウ化物微粒子を含有分散させた塗布膜において、緑色着色が抑制される改善効果が顕著であり、同時に十分な赤外吸収特性を奏することが出来るからである。
[0020]
 さらに、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子は、Caの含有量の値xが異なる組成のカルシウムランタンホウ化物微粒子を、2種以上混合して用いることも好ましい構成である。これは、Caの含有量の値xが異なる値を有するカルシウムランタンホウ化物微粒子は、夫々異なる吸収波長をもつからである。従って異なるxの値を持つ微粒子を混合すると、実質的に、吸収ピーク波長の幅を広げる効果がある。
[0021]
 詳細な理由は定かではないが実験が示すところによれば、特にCa:La=1:3に置換された微粒子(即ち、x=0.25である)と、Ca:La=3:1に置換された微粒子(即ち、x=0.75である)とを種々の割合で混合する時、可視光域の透過性と近赤外線の吸収性とがバランスよく満たされた近赤外線遮蔽膜が形成される。
[0022]
 本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子は、通常工業的に実施される範囲において、若干の不可避的不純物を含んでいても良い。例えば、La位置に置換する不純物としてCe、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、およびSrといった元素を少量含有しても良い。またB(ホウ素)位置に置換する不純物としてC、N、Oといった元素を少量含有しても良い。さらに、その他の通常の工業的製造過程において、少量導入される程度の不純物を含有しても良い。
[0023]
 尚、CaB 微粒子分散体を作製して光学吸収測定を行った結果、中赤外線領域に表面プラズモン共鳴吸収を有し、自由電子濃度が非常に低いセミメタル的性質を有していた。
[0024]
 また、カルシウムランタンホウ化物において、CaはLa位置に全率固溶する。そこで、カルシウムランタンホウ化物におけるCa添加に伴う吸収波長の変化を調べたところ、平均的に球状で近似される微粒子形状を持つ微粒子集団の場合、Caの増加に伴ってLaB 微粒子の場合の吸収波長約600nmから、CaB 微粒子の吸収波長約3200nmへと、徐々に長波長側へ伸長されるものであった。
 しかし、当該吸収波長の変化は一様ではなく、La-rich側では変化が少なく、Ca-rich側で変化が急激に大きくなることが判明した。
[0025]
 即ち、カルシウムランタンホウ化物微粒子を球状粒子で近似した時、Ca含有量の値xが0.0≦x≦0.5の組成範囲では、プラズマ吸収波長は600nm付近から800nm付近まで200nm程度長くなる程度である。一方、Ca含有量の値xが0.5≦x≦1.0ではプラズマ吸収波長の変化率は急激に大きくなり、波長800nm付近から波長3200nm付近まで、2400nm程度も変化することが判明した。
[0026]
 また、これらのCaが添加されたカルシウムランタンホウ化物の中間組成においては、上述したLaB の強い緑着色の一因ともいえる青色側の透過率の低下が改善される。特に、Ca含有量の値xが0.5≦x≦0.8の組成においては、緑色の色調がより薄くなり、ニュートラルな色調方向へと変化するので、実用上極めて有用であるとの知見を得た。
[0027]
 ここで、LaB へのCa添加による可視光透過性の向上効果の機構について説明する。
 本発明者等は非特許文献1で、LaB の可視光透過性と着色の原因とが、その電子構造から理解することが出来ることを明らかにした。
 即ち、LaB を含む3族元素をベースとしたMB 材料(但し、Mは、Sc、Y、La、Acから選択される元素である。)は、そのブリルアンゾーン内のΓ点とX点以外ではワイドギャップの電子構造を持つため、基本的に透過性は高い筈である。一方、Γ点ではギャップが狭く、またX点では伝導帯下部と価電子帯上部とを結んで自由電子様のバンドが交叉しており、低エネルギーでの電子遷移、即ち濃着色の原因となる可能性がある。しかし、当該価電子帯上部は主にホウ素の2p軌道、当該伝導帯下部は主にLaの5d軌道とホウ素2p軌道のハイブリッド軌道となっている。この為、Fermiの黄金律により電子の遷移確率が大きく減少し、可視光透過性を生む原因となっていることを知見したものである。
[0028]
 本発明者等は上記知見をもとに、さらにLaB への他元素添加による可視光透過性の向上効果について検討を行った。
 その結果、添加元素として2族元素をベースとした、SrB やBaB では、各々3d、4d電子がホウ素2p電子とハイブリッド軌道を形成して、同様に可視光透過性を生むことを知見した。ところが、同じ2族元素でもCaCaB6の場合には価電子帯のホウ素2p電子のエネルギーが相対的に低く、Ca-3d軌道との間に形成されるバンドギャップが相対的に広がって、通常のd-p型とはやや異なった電子遷移の分布形態を持つことを新たに明らかにしたものである。
 以上の新たな知見から、本発明者等は、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物におけるLaB へのCa添加による特別な可視光透過性の向上は、X点周辺におけるCaの3d軌道とB(ホウ素)の2p軌道とのハイブリッドバンドに起因する、との考察に想到したものである。
[0029]
 次に、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物における、プラズマ吸収による赤外吸収と可視光透過性の関係について説明する。
 一般的にプラズマ吸収の大きさは自由電子密度の減少に伴って小さくなる。そして、カルシウムランタンホウ化物においては、自由電子量がLaの減少に伴って減少するため、Ca含有量の値xが大きいほど吸収ピークが小さくなる傾向が見られる。一方で、Ca含有量の値xが大きいほど可視光の透過率が大きくなる為、より多量のカルシウムランタンホウ化物微粒子を膜中に導入出来る。つまり、実際のカルシウムランタンホウ化物微粒子分散膜においては、プラズマ吸収の大きさの減少を微粒子存在量が補う効果がある。この結果、カルシウムランタンホウ化物微粒子を透明日射遮蔽材料として考えた場合、その特性は、プラズマ吸収の強さと可視光透過率の大きさとのバランスで決定される。従って、Ca含有量が多いカルシウムランタンホウ化物微粒子であっても、可視波長で透過率が大きく、かつ強い日射遮蔽効果を発揮することが出来ることに想到したものである。
[0030]
(3)B(ホウ素)の含有量[5.0≦m<6.3]
 本発明に係るカルシウムランタンホウ化物Ca La 1-x(但し、0.001≦x≦0.800)微粒子において、CaとLa原子とをまとめてM元素と表記したとき、当該ホウ化物微粒子を含む粉体を化学分析して得られる、M元素の1原子に対するB(ホウ素)の原子数比mの値は5.0≦m<6.3であることが肝要である。
[0031]
 即ち、一般式MB で表されるホウ化物微粒子としては、MB 4、MB 6、MB 12等で表されるホウ化物が挙げられるが、日射遮蔽用のホウ化物微粒子としては、B(ホウ素)の原子数比mの値は5.0≦m<6.3であることが肝要である。
 ここで、m≧5.0となる場合は、MB、MB などの生成が抑制されており、日射遮蔽特性が向上する。一方、m<6.3となる場合は、ホウ化物微粒子以外に酸化ホウ素粒子が発生することが抑制される。酸化ホウ素粒子は吸湿性があるため、ホウ化物粉体中に酸化ホウ素粒子が混入すると、ホウ化物粉体の耐湿性が低下し、日射遮蔽特性の経時劣化が大きくなってしまう。そこで、m<6.3として、酸化ホウ素粒子の発生を抑制することが好ましい。
 以上より、日射遮蔽用のホウ化物微粒子としては、上記ホウ化物のうちMB が主体となっていることが肝要である。尤も、一部にMB 、MB 12を含んでいても良い。
[0032]
 上述したホウ化物微粒子を製造した場合、湿式分析を行なうと、実際にはB(ホウ素)の原子数比値であるmの値が6から若干上下し、微量に他相を含む場合がある。X線回折やTEM観察によれば、それらの相はLaBO やB であり、原料が空気中の水分を吸収した場合の反応生成物として生成されたものと考えられる。いずれにしても日射遮蔽効果の主体はMB 微粒子であり、ホウ化物微粒子自体の組成揺らぎも含めて、5.0≦m<6.3であることが肝要である。
[0033]
(4)微粒子の形状
 本発明に係る日射遮蔽微粒子であるカルシウムランタンホウ化物微粒子の形状は、近似的に、ディスク状、平板状円柱、扁平状、パンケーキ状、または平らな円盤状の回転楕円体であることを特徴とする。
 具体的には、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状は、下記1)、2)から選択される少なくとも一つの形状であることを特徴とする。
[0034]
  1)溶媒中に希釈分散させた前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の散乱強度を、X線小角散乱法を用いて測定したとき、散乱ベクトルq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして得られる直線の傾きVeの値が-3.8≦Ve≦-1.5である形状である。
  2)平板状円柱(但し、底面円の直径をd、円柱の高さをhとする。)形状、または、回転楕円体(但し、長軸の長さをd、短軸の長さをhとする。)形状であって、アスペクト比d/hの値が1.5≦d/h≦20である形状である。
[0035]
 以下、前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の1)、2)の好ましい形状について、より具体的に説明する。
[0036]
 1)の好ましい形状
 溶媒中に希釈分散させた前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の散乱強度を、X線小角散乱法を用いて測定したとき、散乱ベクトルq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして得られる直線の傾きVeの値が-3.8≦Ve≦-1.5である形状であること、さらに好ましくは、-3.8≦Ve≦-2.0である。
 ここで、上記X線小角散乱法による測定は、当該微粒子に入射した入射X線から角度2θの位置で散乱X線を観測した場合である。当該微粒子内のrだけ離れた2点を通った散乱X線には光路差があり、その位相差は、散乱ベクトルq(入射X線と散乱X線の波数ベクトルの差で定義される。)を用いてr・qと示される。
[0037]
 まず、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子の形状を定義する為に用いているX線小角散乱について説明する。
 X線小角散乱法は、散乱角が数度以下の散乱X線を測定する手法である。
 X線の波長をλ、散乱角を2θとすると、Braggの法則λ=2dsinθから、より小さな散乱角の散乱X線を測定することは、実空間では大きな構造を測定することに対応する。
 そしてX線小角散乱法によって、異なる散乱角の散乱X線を測定することは、異なる空間分解能で物質を観察することに対応する。
 即ち、小さな散乱角の散乱X線からは粗視化した構造情報が、大きな散乱角の散乱X線からはより高い空間分解能の構造情報を得ることが出来る。
 具体的には、散乱体が粒子状である場合、散乱角2θまたは散乱ベクトル(q=4πsinθ/λ)が小さくなるに従って、粒子内の原子・分子の構造、粒子表面の構造(平滑度や密度プロファイル)、粒子の形状、粒子の大きさと言うように、より大きなスケールで観察した構造情報に対応した散乱が観測される。
[0038]
 一方、散乱強度I(q)が電子密度分布の自己相関関数のフーリエ変換であることから、任意の形状をもった散乱体の散乱関数を具体的に計算出来る。この散乱関数の散乱振幅の2乗が散乱強度となる。
[0039]
 ここで、散乱体の形状が極端な場合、例えば、球、無限に細く長い棒、無限に薄い円盤、などの場合について散乱強度を計算すると、散乱強度I(q)と散乱ベクトルqには指数則が成り立っている。
 従って、散乱強度I(q)と散乱ベクトルqとの両対数プロットをとり、当該プロットの傾きを求めることで、当該散乱体の大まかな形状情報が得られる。具体的には、上記極端な形状の場合において当該プロットの傾きは、「球の場合:傾きは-4、無限に細く長い棒の場合:傾きは-1」、「無限に薄い円盤の場合:傾きは-2」となることが知られている。
[0040]
 以上のことから、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状について、上記X線小角散乱法を用いて、IPA中に希釈分散させた当該微粒子の散乱強度を測定し、散乱強度I(q)と散乱ベクトルqとの関係を両対数プロットし、当該プロットの傾きを算出することで、当該カルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状を評価することが出来るものである。
[0041]
 一方、良く知られているように、局在表面プラズモン共鳴効果は、粒子の形状に応じて共鳴波長が変化する。一般的に、球形状の場合には最も短い波長で吸収波長が得られる。この球形状が、ディスク状(但し、長軸長をa=b、短軸長をcとする)になった場合には、吸収波長が長波長側へずれると同時に、吸収波長は短軸での共鳴に相当する短波長ピークと、長軸での共鳴に相当する長波長ピークとにスプリットする。
[0042]
 さらに、ディスク状微粒子の場合には、短軸での共鳴に相当する短波長ピークは、長軸での共鳴に相当する長波長ピークに比べて、相対的に小さくなる。この効果がアボガドロ数に近い数の微粒子集団について足し合わさると、短波長ピークは消え、長波長ピークは一つの大きくブロードなピークとなる。従って、近赤外吸収性能から言えば、ディスク状微粒子であると、球状微粒子の場合に比べてプラズモン共鳴波長が長波長側にずれ、大きな近赤外吸収が得られるようになり好ましい。
[0043]
 一方、ロッド状(細く長い棒状)微粒子の場合には、短軸での共鳴に相当する短波長ピークが相対的に強くなるため、当該短波長ピークと、長軸での共鳴に相当する長波長ピークとにスプリットする。この効果をアボガドロ数に近い数の微粒子集団についてみると、スプリット状態が残る。従って、光学応答性を、可視光透過性と近赤外吸収性とに明確に分離して制御することによって課題を克服しようとする本発明に係る日射遮蔽膜にとっては、望まれないものである。
[0044]
 以上説明したように、本発明者らは、カルシウムランタンホウ化物微粒子と、その局在表面プラズモン共鳴の共鳴波長との関係から、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子の好ましい形状について想到した。
 具体的には、X線小角散乱法を用いて、溶媒中に希釈分散させた当該微粒子の散乱強度を測定する時、散乱強度I(q)と散乱ベクトルq=4πsinθ/λとの関係を、両対数プロットして、得られる直線の傾きVeが、-3.8≦Ve≦-1.5であることが肝要であることに想到したものである。尚、-3.8≦Ve≦-2.0であることがさらに好ましいことを知見したものである。
[0045]
 上述した傾きVeが-3.8以上であれば、カルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状は球状にならず、形状異方性の集団効果が増加する。この為プラズモン吸収のバンド幅が広くなって、近赤外吸収効果が増加する。
 一方、傾きVeが-1.5以下であれば、カルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状はロッド状(針状、棒状)にならない。この為、その長軸方向の共鳴が強くなり、短軸方向の共鳴が弱くなると共に、共鳴波長のスプリットが顕著にならず、近赤外吸収効果が増加する。また短軸方向の共鳴波長が可視光領域から外れる為、可視光透過率が減少せず、色付き(膜の着色)の原因とならなくなる。
[0046]
 2)の好ましい形状
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の2)の好ましい形状は、平板状円柱(但し、底面円の直径をd、円柱の高さをhとする。)、または、回転楕円体(但し、長軸の長さをd、短軸の長さをhとする。)である。尚、当該平板状円柱や回転楕円体において、アスペクト比d/hが1.5≦d/h≦20であることが肝要である。
[0047]
 本発明者らは非特許文献2において、LaB ナノ微粒子が、さまざまのd/h値(但し、長軸長をd、短軸長をhとする。)を持つディスク状の微粒子を含む集団であるとき、そのプラズモン吸収バンド幅は、均一に球状なLaB ナノ微粒子の集団のプラズモン吸収バンド幅に比べて、実際に7倍以上に広がることを知見している。
[0048]
 以上の結果、本発明に係るCaの含有量xの組成を有するカルシウムランタンホウ化物微粒子がディスク形状になると、その吸収波長のピークは当該ディスク形状のd/h(長軸長をd、短軸長をhとする)比に応じて、球形状の微粒子の場合より数100nm長波長へずれるという特徴がある。従って、ディスク形状のカルシウムランタンホウ化物微粒子に関しては、上述した最適な元素組成へ形状因子を考慮した修正を加えることが肝要である。
[0049]
 具体的には、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子はディスク状の微粒子であって、平板状円柱(但し、底面円の直径をd、円柱の高さをhとする)、または、回転楕円体(但し、長軸の長さをd、短軸の長さをhとする。)において、アスペクト比d/hが1.5≦d/h≦20であることが好ましい。
 本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状について、上記の範囲にあるとき、太陽光に含まれる熱線成分を幅広く遮蔽する熱線遮蔽材料として十分な特性を有すると伴に、従来知られている熱線遮蔽材料よりも可視光透過率を向上させることが出来る。
[0050]
 これは、アスペクト比d/hが1.5未満の場合、カルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状は細い円柱状(ロッド状、棒状に近い)になるので、上述した傾きVeの値が-1.5を超える場合と同様に近赤外吸収効果が減少し、可視光透過率も減少して色付き(膜の着色)の原因となることから、好ましくないからである。
 一方、アスペクト比d/hが20を超える場合、近赤外域に大きな吸収が得られるが、hの値を実現可能な厚さとした場合は、dの値も大きくなる為、粒子サイズが非常に大きくなる。この結果、ヘイズの増加や可視透過性の低下が問題となる。逆に、dの値をヘイズの心配がない水準まで小さくすると、hを相応に小さくしようとしても粒子の薄さには限度があり、0.1nmのような薄さは実現できないので、20を超えるd/hは実現できない。
[0051]
(5)微粒子の平均分散粒子径
 本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子の平均分散粒子径は、800nm以下であることが好ましい。当該平均分散粒子径が800nm以下であれば、当該カルシウムランタンホウ化物微粒子を、後述するカルシウムランタンホウ化物微粒子分散体とした時、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光領域の視認性を担保し、同時に透明性を担保することが出来るからである。尚、本発明においてカルシウムランタンホウ化物微粒子の平均分散粒子径とは、当該カルシウムランタンホウ化物微粒子の分散液中における平均分散粒子径を、動的光散乱法(FFT-パワースペクトル法)にて測定した値のことである。本発明においては、平均分散粒子径を単に「平均粒子径」と記載することがある。
[0052]
 本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子において、特に、可視光領域の透明性を重視する場合には、さらに、カルシウムランタンホウ化物微粒子による散乱の低減をも考慮することが好ましい。
 当該カルシウムランタンホウ化物微粒子による散乱の低減を考慮するのであれば、その平均分散粒子径は100nm以下がよい。この理由は、後述するカルシウムランタンホウ化物微粒子分散液やカルシウムランタンホウ化物微粒子分散体において、微粒子の平均分散粒子径が小さければ、幾何学散乱、または、ミー散乱による波長400nmから780nmの範囲の可視光線領域における光の散乱が低減されるからである。当該光の散乱が低減される結果、微粒子分散体が曇りガラスのようになって、鮮明な透明性が得られなくなるのを回避することが出来る。
[0053]
 これは、カルシウムランタンホウ化物微粒子の平均分散粒子径が100nm以下になると、上記幾何学散乱またはミー散乱が低減し、レイリー散乱が強い領域になるからである。当該レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に比例しているため、微粒子の平均分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し、透明性が向上する。さらに、カルシウムランタンホウ化物微粒子の平均分散粒子径が50nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり、特に好ましい。光の散乱を回避する観点からは、カルシウムランタンホウ化物微粒子の平均分散粒子径が小さい方が好ましく、平均分散粒子径が1nm以上であれば工業的な製造は困難ではない。
[0054]
(6)微粒子の表面処理
 カルシウムランタンホウ化物微粒子は、無機材料の特性として、基本的に紫外線や日光の照射に対して非常に安定な性質を持っている。即ち、紫外線や日光の照射に対して材料特性が変化することは殆どなく、色や諸機能の劣化は殆ど生じない。また、強固に共有結合したB 八面体の基本骨格に、LaやCaイオンが囲まれた結晶構造は非常に安定である。従って、ナノサイズの微粒子であっても、水分や、紫外線と水分の共アタックに対して、十分な実用耐性を持っている。この結果、基本的に非常に安定した耐候性(耐酸化性、耐水性、耐湿性、耐紫外線性)を有していると言える。
 さらに、適切なアルコキシドを用いるなどして、当該カルシウムランタンホウ化物微粒子の表面を、ケイ素化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、より具体的には、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムから選択されるいずれか1種類以上の元素を含有する、酸化物および/または窒化物を含む表面被覆層で被覆すれば、当該微粒子の耐候性や耐薬品性をより向上させることが出来る。また、当該カルシウムランタンホウ化物微粒子の表面を、ケイ素化合物を含む表面被覆層で被覆する場合、シラン化合物を用いることは有益である。
[0055]
 一方、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子においては、その表面が酸化していないことが好ましいが、通常は僅かに酸化していることが多い。その酸化している表面の詳細な組成は定かではないが、アモルファスの酸化ホウ素B にLaおよびCa元素が僅かに含有された相が最表面の性状であると考えられる。
[0056]
 また、後述するカルシウムランタンホウ化物微粒子の分散工程において、微粒子表面の酸化が起こることはある程度避けられない。しかし、その場合でも微粒子内部ではプラズモン共鳴を起こす能力を維持しているので、近赤外線遮蔽効果を発現する有効性に変わりはない。従って、例えば表面が酸化されたカルシウムランタンホウ化物微粒子であっても、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子として使用することが可能である。
[0057]
 また、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子は、結晶としての完全性が高いほど大きい近赤外線遮蔽効果が得られる。尤も、結晶性が低くX線回折でブロードな回折ピークを生じるようなものであっても、微粒子内部の基本的な結合が六ホウ化物の骨格に各金属元素が結合して成り立っているものであるならば近赤外線遮蔽効果を発現する。この為、本発明において使用することが可能である。
[0058]
[b]前記[a]欄にて説明したカルシウムランタンホウ化物微粒子とは異なる日射遮蔽特性を有する日射遮蔽微粒子
 上述したカルシウムランタンホウ化物微粒子とは異なる日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子として、当該上述したカルシウムランタンホウ化物微粒子と異なる日射遮蔽機能を有するカルシウムランタンホウ化物微粒子、六方晶タングステンブロンズ微粒子、Sn添加酸化インジウム微粒子、Sb添加酸化スズ微粒子、Al添加酸化亜鉛微粒子、Ga添加酸化亜鉛微粒子、の内から選択される少なくとも1種の日射遮蔽微粒子が選択される。特に、日射遮蔽特性の向上の観点からは、六方晶タングステンブロンズ微粒子、Sn添加酸化インジウム微粒子が好ましい。
[0059]
 以下、(1)前記[a]欄にて説明したカルシウムランタンホウ化物微粒子と異なる日射遮蔽機能を有するカルシウムランタンホウ化物微粒子、(2)六方晶タングステンブロンズ微粒子、(3)Sn添加酸化インジウム微粒子、Sb添加酸化スズ微粒子、(4)Al添加酸化亜鉛微粒子、Ga添加酸化亜鉛微粒子、の順に説明する。
[0060]
(1)前記[a]欄にて説明したカルシウムランタンホウ化物微粒子と異なる日射遮蔽機能を有するカルシウムランタンホウ化物微粒子
 前記[a]欄にて説明したように、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物[Ca La 1-x]微粒子において、Caの含有量xが0.001≦x≦0.800の範囲にあって、Caの含有量xが0.001よりも大きい場合は、可視光透過率の改善効果が明らかになる。一方、xが0.800以下であれば、実質的にCaB と異なる、可視光透過率の改善効果が明らかな特性となり、本発明の効果を享受できる。従って、当該カルシウムランタンホウ化物微粒子と異なる日射遮蔽機能を有するカルシウムランタンホウ化物微粒子として、上述した記組成範囲内で、Caの含有量の値xが異なる組成のカルシウムランタンホウ化物微粒子を、異なる日射遮蔽機能を有するカルシウムランタンホウ化物微粒子として選択することが出来る。
 この場合、当該カルシウムランタンホウ化物微粒子と、異なる日射遮蔽機能を有するカルシウムランタンホウ化物微粒子とは、夫々異なる吸収波長を持っている。そこで、両者を組み合わせることにより、実質的に、吸収ピーク波長の幅を広げる効果を享受できる。さらに、カルシウムランタンホウ化物微粒子に起因する緑色着色が抑制される改善効果も認められる。
[0061]
(2)六方晶タングステンブロンズ微粒子
 六方晶タングステンブロンズ微粒子は、一般式がMxWO (但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦X≦1)で表記される赤外線遮蔽材料である。
[0062]
 元素Mの添加量を示すxの値については、xの値が0.001より大きければ、十分な量の自由電子が生成され目的とする赤外線遮蔽効果を得ることが出来る。そして、元素Mの添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、赤外線遮蔽効率も上昇するが、xの値が1程度で当該効果も飽和する。また、xの値が1より小さければ、当該赤外線遮蔽材料中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。また、元素Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上であることが好ましい。ここで、元素Mが添加された当該MxWO における、安定性の観点からは、元素Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reのうちのうちから選択される1種類以上の元素であることがより好ましく、赤外線遮蔽材料としての光学特性、耐候性を向上させる観点からは、前記元素Mにおいてアルカリ土類金属元素、遷移金属元素、4B族元素、5B族元素に属するものが、さらに好ましい。
[0063]
 さらに、上述の複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有する場合、当該微粒子の可視光領域の透過率が向上し、近赤外領域の吸収特性が向上する。WO 単位にて形成される8面体が、6個集合して六角形の空隙が構成され、当該空隙中に、元素Mが配置して1個の単位を構成し、この1個の単位が多数集合して六方晶の結晶構造を構成する。
[0064]
 可視光領域の透過率を向上させ、近赤外領域の吸収特性を向上させる効果を得るためには、複合タングステン酸化物微粒子中に、上記単位構造(WO 単位で形成される8面体が6個集合して六角形の空隙が構成され、当該空隙中に元素Mが配置した構造)が含まれていれば良く、当該複合タングステン酸化物微粒子が、結晶質であっても非晶質であっても構わない。
[0065]
 この六角形の空隙に元素Mの陽イオンが添加されて存在するとき、可視光領域の透過率が向上し、近赤外領域の吸収特性が向上する。ここで、一般的には、イオン半径の大きな元素Mを添加したとき当該六方晶が形成され、具体的には、Cs、Rb、K、Tl、Ba、In、Li、Sn、Ca、Sr、Feを添加したとき六方晶が形成されやすく好ましい。勿論これら以外の上記元素でも、WO 単位で形成される六角形の空隙に添加元素Mが存在できるので問題はない。
[0066]
 六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子が均一な結晶構造を有するとき、添加元素Mの添加量は、xの値で0.2以上0.5以下が好ましく、更に好ましくは0.33である。xの値が0.33となることで、添加元素Mが六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
[0067]
 六方晶のタングステンブロンズ微粒子は、近赤外線領域、特に波長1000nm付近の光を大きく吸収するため、その透過色調は青色系から緑色系となるものが多い。また、当該赤外線遮蔽材料の粒子の粒子径は、その使用目的によって、各々選定することができる。まず、透明性を保持した応用に使用する場合は、800nm以下の粒子径を有していることが好ましい。これは、粒子径800nmよりも小さい粒子は、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光領域の視認性を保持し、同時に効率良く透明性を保持することができるからである。特に可視光領域の透明性を重視する場合には、さらに粒子による散乱を考慮することが好ましい。
 この粒子による散乱の低減を重視するとき、粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下が良い。理由は、粒子の粒子径が小さければ、幾何学散乱またはミー散乱による、波長400nm~780nmの可視光領域の光の散乱が低減される結果、赤外線遮蔽膜が曇りガラスのようになって鮮明な透明性が得られなくなるのを回避できるからである。即ち、粒子径が200nm以下になると、上記幾何学散乱またはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に比例しているため、粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上するからである。さらに粒子径が100nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましい。光の散乱を回避する観点からは、粒子径が小さい方が好ましい、粒子径が1nm以上あれば工業的な製造は容易である。
[0068]
(3)Sn添加酸化インジウム微粒子、Sb添加酸化スズ微粒子
 Sn添加酸化インジウム微粒子やSb添加酸化スズ微粒子は、可視光領域で光の吸収や反射がほとんど無く、波長1000nm以上の領域でプラズマ共鳴に由来する反射・吸収が大きい。尚、これらの透過プロファイルでは、近赤外領域で長波長側に向かうに従って透過率が減少する。一方、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子の透過プロファイルでは、波長1000nm付近に極小値をもち、それより長波長側では徐々に透過率の上昇を示す。そこで、当該透過プロファイルの違いを活かし、カルシウムランタンホウ化物微粒子と、Sn添加酸化インジウム微粒子または/およびSb添加酸化スズ微粒子とを組合せて使用することが出来る。この結果、可視光透過率は減少させずに、近赤外領域の熱線を遮蔽することが可能となり、それぞれ単独で使用するよりも熱線遮蔽特性が向上するので好ましい。
[0069]
 使用するカルシウムランタンホウ化物微粒子の平均粒径は200nm以下が好ましい。平均粒径が200nm以下であれば、分散液中における微粒子同士の凝集が強くならず、微粒子の沈降原因とならない上、樹脂中では光散乱源とならず、樹脂シートが曇って見えることがないからである。Sn添加酸化インジウム微粒子やSb添加酸化スズ微粒子においても、上記と同様の理由で平均粒径200nm以下が好ましい。尚、透光性屋根材などでは、透明性よりも不透明な光透過性を要求されることがある。その場合は、当該微粒子の平均粒径を大きくして散乱を助長する構成が好ましいが、赤外線吸収能そのものを担保する観点からは、やはり200nm以下の平均粒径が好ましい。
[0070]
(4)Al添加酸化亜鉛微粒子、Ga添加酸化亜鉛微粒子
 Al添加酸化亜鉛微粒子やGa添加酸化亜鉛微粒子は、可視光反射率が比較的低く、ギラギラした外観を与えることがない。一方、プラズマ波長が比較的長波長側にあり、可視光に近い近赤外域における反射・吸収効果は十分ではない場合がある。従って、上述したSn添加酸化インジウム微粒子やSb添加酸化スズ微粒子と同様に、透過プロファイルの違いを活かし、カルシウムランタンホウ化物微粒子と組合せて使用することが好ましい。この結果、可視光透過率は減少させずに、近赤外領域の熱線を遮蔽することが可能となり、それぞれ単独で使用するよりも熱線遮蔽特性が向上するので好ましい。
[0071]
[B]日射遮蔽微粒子の製造方法
 本発明に係る日射遮蔽微粒子に含まれるカルシウムランタンホウ化物微粒子を製造するには、様々の方法がある。
 以下、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子の製造方法の好ましい例について、(1)固相反応法、(2)CVD法、(3)元素同士の直接反応法、(4)熱プラズマ法、(5)溶融塩電解法、その他の方法、(6)製造方法のまとめ、の順で詳細に説明する。
[0072]
(1)固相反応法
 例えば、非特許文献3、非特許文献4に記載の、B C還元による固相反応法を改良して用いることが出来る。当該固相反応法によれば、酸化物原料であるLa およびCaOを、B Cと混合して、真空中または不活性ガス中にて高温で反応させる。そして、B Cの還元作用でカルシウムランタンホウ化物Ca La 1-xを得ることが出来る。
 しかしながら、当該固相反応において、焼成温度が1500~1600℃と高温であることから、得られるCa La 1-x粒子は粗大化する。一方、上述したようにカルシウムランタンホウ化物微粒子を熱線遮蔽用途で使用するためには、粒子径が可視光波長に比べて十分小さいことが求められる。そこで、この粗大化したカルシウムランタンホウ化物微粒子を、ジェットミル、ボールミル、アトライター、ビーズミル、ペイントシェーカー等を用いたメカニカルな方法により強力な粉砕を行なってナノ微粒子化することが肝要である。
[0073]
 但し、固相反応法によるCa La 1-xの製造においては均質化が比較的難しい。この為、例えば、単にCaB またはLaB を製造する場合に比べて、Ca La 1-xの製造においてはCaB とLaB が局所的に分離することがある。従って、価数の異なるCaとLaが均一にB 八面体の作る単純立方格子の体心位置を占めることはかなり困難があることを知見した。従って、固相反応法を用いる場合は、焼成の際になるべく高温で長時間保持することが好ましい。
[0074]
 他方、カルシウムランタンホウ化物の製造に、固相反応法を用いる場合における他の一法として、B(ホウ素)原料に水素化ホウ素ナトリウムNaBH を用いることも好ましい構成である。
 NaBH はホウ素源を提供するだけでなく、
 460℃で、NaBH (s)→NaH(s)+BH (s)と分解し、
 506℃で、BH (s)→B(s)+H (g)となって気相を生成する。
 この結果、元素拡散が著しく促進されてBの拡散も促進され、CaとLaとが均一にB 八面体の作る単純立方格子の体心位置を占めるCa La 1-xを形成することが出来る。当該構成により焼成温度を1300℃、あるいはそれ以下にすることも可能である。
 また、固相反応法において還元を促進する為、Mgなどの金属粉を添加するのも好ましい構成である。当該構成に係る還元反応で生成される大きな反応熱もCa La 1-xの生成反応を促進する効果がある。
[0075]
(2)CVD法
 本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって得ることも出来る。この方法は金属ハロゲン化物の水素還元によりホウ化物を得る方法である。
 具体的にはLaやCaを含む化合物として、例えばLaCl (塩化ランタン)やCaCl (塩化カルシウム)を好適に用いることが出来る。ホウ素を含む化合物としては、例えばBCl (三塩化ホウ素)を好適に用いることが出来る。
[0076]
 反応炉内に上記原料および水素ガスと窒素ガスとを導入し、高温に加熱後、三塩化ホウ素ガスを導入して反応させる。
 反応基板としてLaB 単結晶またはCaB 単結晶を用いても良い。析出したCa La 1-x反応物を基板から剥離させ、洗浄して、カルシウムランタンホウ化物粒子を得ることが出来る。得られたカルシウムランタンホウ化物粒子は、ジェットミル、ボールミル、アトライター、ビーズミル、ペイントシェーカー等を用いたメカニカルな方法により強力な粉砕を行ってナノ微粒子化することが肝要である。またCVD反応条件を調整すれば、直接ナノサイズのカルシウムランタンホウ化物微粒子を得ることも可能である。
[0077]
(3)元素同士の直接反応法
 本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子は、元素同士の直接反応によって得ることも出来る。即ち、金属カルシウムと金属ランタンとを1700℃以上の高温下でホウ素と反応させれば、高純度のホウ化物が得られる。但し、原料が非常に高価であり、一般的には工業的ではない。
[0078]
(4)熱プラズマ法
 本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子は、熱プラズマ法によっても作製出来る。この方法によれば、熱プラズマ反応炉の中で原料を反応させることにより、微小なナノサイズの微粒子を直接製造することが可能である。熱プラズマ法の場合は、上述の方法の最終工程で必要とされたメカニカルな粉砕工程を省略出来るために、微粒子に格子欠陥がほとんど導入されないことが特徴となる。格子欠陥が少ない場合には、自由電子の緩和時間が増加するため、近赤外吸収波長を短波長側へずらす効果がある。
[0079]
 当該熱プラズマ法には、例えば、直流アークプラズマ、高周波プラズマ、マイクロ波プラズマ、低周波交流プラズマ、のいずれか、または、これらのプラズマの重畳したもの、または、直流プラズマに磁場を印加した電気的な方法により生成するプラズマ、大出力レーザーの照射により生成するプラズマ、大出力電子ビームやイオンビームにより生成するプラズマが適用出来る。いずれの熱プラズマ法を用いるにしても、10000~15000Kの高温部を有する熱プラズマである。そして特に、微粒子の生成時間を制御出来るプラズマであることが好ましい。
[0080]
 当該高温部を有する熱プラズマ中に供給された原料は、当該高温部において瞬時に蒸発する。そして、当該蒸発した原料は、プラズマ尾炎部に至る過程で凝縮し、プラズマ火炎外で急冷凝固されて、カルシウムランタンホウ化物微粒子を生成する。高周波熱プラズマ反応装置を用いる場合を例として、図2を参照しながら合成方法について詳細に説明する。
[0081]
 図2に示す高周波熱プラズマ反応装置では、まず真空排気装置により、水冷石英二重管内と反応容器26内で構成される反応系内を真空引きした後、当該反応系内をアルゴンガスで満たす。その後、反応容器内にプラズマガスとして、アルゴンガス、アルゴンとヘリウムの混合ガス(Ar-He混合ガス)、またはアルゴンと窒素の混合ガス(Ar-N 混合ガス)から選択されるいずれかのガスを、プラズマガス供給ノズル24から導入する。一方、プラズマ領域のすぐ外側に流すシースガスとしてAr-He混合ガスを、シースガス供給ノズル23から導入する。そして、高周波コイル22に交流電流をかけて、高周波電磁場(例えば周波数4MHz)により熱プラズマ21を発生させる。
[0082]
 ここで、原料粉末供給ノズル25より、原料となる混合粉体を、ガス供給装置(図示せず)から供給するアルゴンガスをキャリアガスとして熱プラズマ中に導入して所定時間反応を行う。反応後、生成したカルシウムランタンホウ化物微粒子は、吸引管27を通過してフィルター28に堆積するので、これを回収する。
[0083]
 プラズマガスは10000~15000Kの高温部を有する熱プラズマ領域を保つ機能があり、シースガスは反応容器内における石英トーチの内壁面を冷やし、石英トーチの溶融を防止する機能がある。また、プラズマガスとシースガスはプラズマ領域の形状に影響を及ぼすため、それらのガスの流量を調整することによりプラズマ領域の形状制御を行うことが出来る。また、キャリアガス流量と原料供給速度を調整することにより、生成微粒子の生成時間を制御することが肝要である。
[0084]
(5)溶融塩電解法、その他の方法
 カルシウムランタンホウ化物微粒子は、溶融塩電解法、燃焼合成法、ソルボサーマル法、オートクレーブ法、湿式法等、でも合成可能である。
 カルシウムランタンホウ化物微粒子の製造方法は、上述した製造方法に限定される訳ではなく、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子を製造出来る方法であれば良い。
[0085]
(6)製造方法のまとめ
 上記(1)~(5)で説明した製造方法にて製造されるカルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状やサイズは、当該微粒子の各種製造段階において制御することが出来る。
 粉砕によってナノ微粒子化する工程を採る場合には、粉砕方法に応じて制御される。
 カルシウムランタンホウ化物は、B(ホウ素)の強固な共有結合の骨格のために非常に硬く、粉砕には特別な方法が必要である。例えば、媒体メディア撹拌ミルを用いる場合は、ビーズ種やビーズサイズによって粉砕モードが異なり、また粉砕の初期段階と後期段階によっても粉砕モードの緩やかな転換が起こることが知られている。
[0086]
 非常に硬いカルシウムランタンホウ化物の場合、粉砕の初期では、表面は関係せずに固体が大きく割れて段々に小さくなっていく体積粉砕のモードにある。そして、粉砕の後期になると、粒子に力が加えられても全体的な破壊が起こらず、表面が削られて小さな粒子が発生する表面粉砕のモードになる。そこで粉砕条件を調節することによって、粉砕微粒子の形状やサイズを制御し、表面粉砕が起こるモードが主となるよう状態に導くことが出来る。この結果、近似的に、ディスク状、平板状円柱、扁平状、パンケーキ状、または平らな円盤状の回転楕円体である、本発明に係るカルシウムランタンホウ化物微粒子を得ることが可能である。
[0087]
 また、ビルドアッププロセスによって微粒子を製造する場合には、各々の反応条件を制御するパラメータを適切に組み合わせることによって微粒子形状の制御が可能である。
 例えば、湿式法においては、塩化ランタンと塩化カルシウムおよびホウ水素化ナトリウムとを、中性雰囲気下で300~500℃に加熱することで、カルシウムランタンホウ化物微粒子が作製されるが、イソフタル酸を少量加えることによりカルシウムランタンホウ化物微粒子のサイズや形状を変化させることが出来る。
 また、オートクレーブ法においても、反応温度や圧力に加えて、修飾的に作用する薬剤の少量添加が微粒子サイズや形状制御のポイントとなる。
[0088]
[C]日射遮蔽用合わせ構造体とその製造方法
 以下、本発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体とその製造方法について、(1)日射遮蔽用合わせ構造体の構成とその形態、(2)日射遮蔽用合わせ構造体の製造方法、の順に説明する。
[0089]
(1)日射遮蔽用合わせ構造体の構成とその形態
 本発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体は、樹脂シート、樹脂フィルムから選ばれる1種以上を中間膜として有する中間層を、板ガラス、樹脂ボードから選ばれる2枚の合わせ板間に挟み込んだ構成を有している。そして、当該日射遮蔽用合わせ構造体の中間膜及び/または合わせ板に、少なくともカルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する日射遮蔽微粒子を含有している日射遮蔽機能を有する層を備えており、合わせ構造体として日射遮蔽機能を有している。
 以下、(i)合わせ板、(ii)中間層とその形態、の順に説明する。
[0090]
 (i)合わせ板
 本発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体を構成する合わせ板は、樹脂シート、樹脂フィルムから選ばれる1種以上を中間膜として有する中間層を、その両側から挟み込む板である。そして、当該合わせ板には、可視光領域において透明な、板ガラス、樹脂ボードから選ばれる1種以上が用いられる。このとき、板ガラス、樹脂ボードから選ばれる2枚の合わせ板の組み合わせには、板ガラスと板ガラスの場合、板ガラスと樹脂ボードの場合、樹脂ボードと樹脂ボードの場合、の各構成を含むものである。
[0091]
 本発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体の合わせ板に樹脂ボードを用いる場合、当該樹脂ボードの材質は、当該日射遮蔽用合わせ構造体の用途に合わせて適宜選択され、特に限定されるものではなく用途に応じて選択可能である。例えば、自動車等に用いる場合は、当該自動車等の運転者や搭乗者の透視性を確保する観点から、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂といった透明樹脂が好ましいが、他にもポリエーテルイミド樹脂、アクリル-スチレン共重合体(MS樹脂)、ポリエーテルスルホン樹脂、ビニル系樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系樹脂等が使用可能である。
[0092]
 また、本発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体の合わせ板に板ガラスを用いる場合、当該板ガラスは日射遮蔽用合わせ構造体の用途に合わせて適宜選択され、特に限定されるものではなく用途に応じて選択可能である。例えば、通常の無機の透明板ガラスを用いることもでき、グリーンガラスを用いることもでき、銅およびリンを成分として含むことを特徴とする熱線吸収ガラスを用いることもできる。
[0093]
 当該合わせ板の実施形態例として、板ガラスや前記の樹脂ボードをそのまま用いる形態(本明細書においては便宜的に「形態α」と記載する。)と、前記樹脂ボードに日射遮蔽機能を有する微粒子を含有させて用いる形態(本明細書においては便宜的に「形態β」と記載する。)と、がある。
[0094]
 (ii)中間層とその形態
 上述したように、本発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体において、樹脂シート、樹脂フィルムから選ばれる1種以上を中間膜として有する中間層は、板ガラス、樹脂ボードから選ばれる2枚の合わせ板間に挟み込まれる。以下、日射遮蔽機能を有する中間層の形態例として(形態1~7)について説明する。
[0095]
 (形態1)日射遮蔽機能を有する微粒子を含有させた中間膜で構成される形態である(本明細書においては便宜的に「形態1」と記載する。)。
 (形態2)中間層が2層以上の中間膜から成り、少なくともその内の1層に日射遮蔽機能を有する微粒子を含有させる形態である(本明細書においては便宜的に「形態2」と記載する。)。
 (形態3)合わせ板の、少なくとも一方の板ガラスまたは樹脂ボードの内側の面に、日射遮蔽機能を有する微粒子が含まれる日射遮蔽層を形成し、当該日射遮蔽層に中間膜を重ねて、当該日射遮蔽層と中間膜とで中間層とする形態である(本明細書においては便宜的に「形態3」と記載する。)。
 (形態4)延性を有する樹脂フィルムの片面上に日射遮蔽機能を有する微粒子が含まれる日射遮蔽層が形成された日射遮蔽樹脂フィルム、または、延性を有する樹脂フィルムの内部に日射遮蔽機能を有する微粒子が含有された日射遮蔽樹脂フィルムが、2層以上の積層した中間膜の間に挟持された構成で中間層とする形態である(本明細書においては便宜的に「形態4」と記載する。)。
 (形態5)中間膜の一方の面に日射遮蔽機能を有する微粒子が含まれる日射遮蔽層を形成し中間層とする形態である(本明細書においては便宜的に「形態5」と記載する。)。
 (形態6)板ガラス、プラスチックから選ばれた2枚の合わせ板の一方の内側の面に、中間膜として、接着剤層、前記日射遮蔽機能を有する微粒子が含まれる日射遮蔽層、剥離層の順に積層された積層体の、前記接着剤層を接着させ、さらに、前記積層体の前記剥離層側へ前記積層体と重なり合う中間膜または2層以上積層した中間膜と、で構成される中間層とする形態である(本明細書においては便宜的に「形態6」と記載する。)。
 (形態7)中間層が日射遮蔽機能を有する微粒子を含有していない形態である(本明細書においては便宜的に「形態7」と記載する。)。
[0096]
 ここで、中間層を構成する中間膜の材料としては、光学的特性、力学的性質、材料コストの観点から合成樹脂であることが好ましく、ビニル系樹脂であることがさらに好ましい。さらには、同様の観点から、ビニル系樹脂の中でもポリビニルブチラールもしくはエチレン-酢酸ビニル共重合体が好ましい。ポリビニルブチラールは最も一般的に用いられる中間膜材料である。エチレン-酢酸ビニル共重合体は耐貫通性が低く一般的にポリビニルブチラールよりも高コストであるが、印刷面への追従性やPET、ポリカーボネートとの接着性に優れる利点がある。
[0097]
(2)日射遮蔽用合わせ構造体の製造方法
 日射遮蔽用合わせ構造体において日射遮蔽機能を有する中間層を構成する、日射遮蔽微粒子を含有する中間膜の製造方法を説明する。
 当該日射遮蔽微粒子を含有する中間膜は、上述した日射遮蔽微粒子を可塑剤または適宜な溶媒に分散して得た中間膜形成用添加液を、中間膜を構成する樹脂に添加し、混練してシート状に成形して得ることができる。
 以下、(i)中間膜を形成するための中間膜形成用添加液とその製造方法、(ii)中間膜形成用添加液の光学特性の測定方法、(iii)中間膜を構成する材料、(iv)中間膜の形成方法、(v)各種の日射遮蔽用合わせ構造体の構成例とその製造方法、の順に説明する。
[0098]
 (i)中間膜を形成するための中間膜形成用添加液とその製造方法
 中間膜形成用添加液は、上述した日射遮蔽微粒子を可塑剤もしくは適宜溶媒に分散して得ることができる。日射遮蔽微粒子を可塑剤もしくは適宜溶媒に分散する方法は、日射遮蔽微粒子を可塑剤もしくは適宜溶媒中に均一に分散できる方法であれば、任意の方法が適用される。例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザーなどを用いた粉砕・分散処理方法が挙げられる。これらの器材を用いた分散処理によって、日射遮蔽微粒子の溶媒中への分散と同時に微粒子同士の衝突等による微粒子化も進行し、より微粒子化して分散させることができる(すなわち、粉砕・分散処理される)。
[0099]
 日射遮蔽微粒子を分散させる溶媒としては特に限定されるものではなく、塗布・練り込み条件、塗布・練り込み環境、さらに、無機バインダーや樹脂バインダーを含有させたときはバインダーに合わせて適宜選択すればよい。当該溶媒としては、アルコール系、ケトン系、炭化水素系、グリコール系、水系など、種々のものを選択することが可能である。具体的には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤;3-メチル-メトキシ-プロピオネートなどのエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;フォルムアミド、N-メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エチレンクロライド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。これらの中でも極性の低い有機溶剤が好ましく、特に、イソプロピルアルコール、エタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸n-ブチルなどがより好ましい。これらの溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、水やエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、メチルエーテル,エチルエーテル,プロピルエーテルなどのエーテル類、エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、イソブチルケトンなどのケトン類といった各種の有機溶媒が使用可能である。
[0100]
 また中間膜形成用添加液へは、必要に応じて酸やアルカリを添加してpH調整してもよい。さらに、添加液中の微粒子の分散安定性を一層向上させるためには、各種の界面活性剤、カップリング剤などの添加も勿論可能である。
 分散剤、カップリング剤、界面活性剤は用途に合わせて選定可能であるが、アミンを含有する基、水酸基、カルボキシル基、または、エポキシ基を官能基として有することが好ましい。これらの官能基は、カルシウムランタンホウ化物微粒子の表面に吸着し、当該カルシウムランタンホウ化物微粒子の凝集を防ぎ、微粒子を均一に分散させる効果を持つ。
[0101]
 好適に用いることのできる分散剤としては、リン酸エステル化合物、高分子系分散剤、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、等があるが、これらに限定されるものではない。高分子系分散剤としては、アクリル系高分子分散剤、ウレタン系高分子分散剤、アクリル・ブロックコポリマー系高分子分散剤、ポリエーテル類分散剤、ポリエステル系高分子分散剤などが挙げられる。
[0102]
 当該分散剤の添加量は、カルシウムランタンホウ化物微粒子100質量部に対し10質量部以上1000質量部以下の範囲であることが望ましく、より好ましくは20質量部以上200質量部以下の範囲である。分散剤添加量が上記範囲にあれば、カルシウムランタンホウ化物微粒子が液中で凝集を起こすことがなく、分散安定性が保たれる。
[0103]
 また中間膜形成用添加液は、無機バインダーまたは/及び樹脂バインダーを含む構成とすることができる。無機バインダーや樹脂バインダーの種類は特に限定されるものではない。例えば、当該無機バインダーとして、珪素、ジルコニウム、チタン、若しくはアルミニウムの金属アルコキシドやこれらの部分加水分解縮重合物あるいはオルガノシラザンが挙げられ、また、当該樹脂バインダーとして、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが利用できる。
[0104]
 尚、中間膜に、さらに紫外線遮蔽機能を付与させる為、中間膜形成用添加液へ無機系の酸化チタンや酸化亜鉛、酸化セリウムなどの粒子、有機系のベンゾフェノンやベンゾトリアゾールなどの少なくとも1種以上を添加してもよい。
[0105]
 (ii)中間膜形成用添加液の光学特性の測定方法
 中間膜形成用添加液の光学特性は、当該中間膜形成用添加液を適当な透明容器に入れ、分光光度計を用いて、光の透過率を波長の関数として測定することができる。上述した日射遮蔽微粒子を含有分散している中間膜形成用添加液は、おおむね波長850nmから5000nm近辺の範囲において主要な吸収ピークを持つ。一方、分光光度計では波長2600nm程度まで測定可能であるが、これを超える波長での透過率は、フーリエ変換赤外分光計(FTIR)で測定することができる。尚、当該測定において、当該添加液の透過率の調整は、その分散溶媒または分散溶媒と相溶性を有する適宜な溶媒で希釈することにより、容易になされる。
[0106]
 (iii)中間膜を構成する材料
 中間膜を構成する材料としては、光学的特性、力学的性質、材料コストの観点から合成樹脂を用いることが好ましく、その中でもビニル系樹脂であることがさらに好ましいが、上記ビニル系樹脂の可塑性を調整する可塑剤についても特に限定されず、例えばジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、アジピン酸-ジ-2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソデシル、エポキシ脂肪酸モノエステル、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキソエート、セバシン酸ジブチル、ジブチルセバケート等が挙げられる。
[0107]
 また、上記ビニル系樹脂としては、例えばポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体、塩化ビニル-エチレン-グリシジルアクリレート共重合体、塩化ビニル-グリシジルメタクリレート共重合体、塩化ビニル-グリシジルアクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、ポリ酢酸ビニルエチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール-ポリビニルブチラール混合物等が挙げられる。ガラスやプラスチックとの接着性、透明性、安全性などの観点からポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタールやエチレン-酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。ポリビニルブチラールは最も一般的に用いられる中間膜材料である。エチレン-酢酸ビニル共重合体は耐貫通性が低く一般的にポリビニルブチラールよりも高コストであるが、印刷面への追従性やPET、ポリカーボネートとの接着性に優れる利点がある。
[0108]
 (iv)中間膜の形成方法
 日射遮蔽微粒子を含む中間膜用シートまたは日射遮蔽微粒子を含まない中間膜用シートの形成方法には、公知の方法が用いられる。例えば、カレンダーロール法、押出法、キャスティング法、インフレーション法等を用いることができる。特に、日射遮蔽微粒子とビニル系樹脂が含まれる中間膜用シートは、中間膜形成用添加液を、ビニル系樹脂に添加し、混練して上記日射遮蔽微粒子が上記ビニル系樹脂中に均一に分散してなるビニル系樹脂組成物を得て、得られたビニル系樹脂組成物をシート状に成形することで作製される。尚、ビニル系樹脂組成物をシート状に成形する際には、必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線遮蔽材等を配合し、また、シートの貫通性制御のために接着力調整剤(例えば金属塩)を配合してもよい。
[0109]
 (v)各種の日射遮蔽用合わせ構造体の構成例とその製造方法
 以下、中間膜としてビニル系樹脂を用いた場合を例としながら、上述した合わせ板の「形態α」「形態β」と、日射遮蔽機能を有する中間層の形態例「形態1~6」と日射遮蔽機能をもたない中間層の形態例「形態7」の各形態を組み合わせた各種の日射遮蔽用合わせ構造体の構成例について、図3~9を参照しながら説明する。尚、図3~9は、「形態α、β」と組み合わせた「形態1~7」の各形態の模式的な断面図である。合わせ板の形態が「形態α」中間層の形態が「形態1」の場合、合わせ構造体の形態を「形態α-1」としている。
[0110]
  (形態α-1)
 形態α-1とは、合わせ板として、日射遮蔽微粒子を含有していない合わせ板〈1〉を2枚用い、中間層〈5〉が、日射遮蔽微粒子を含有する樹脂シート〈A0〉で構成される合わせ構造体である(図3(α)参照)。
[0111]
 形態α-1は、例えば、以下のようにして製造される。
 中間膜形成用添加液を、ビニル系樹脂に添加して、ビニル系樹脂組成物を製造する。このビニル系樹脂組成物をシート状に成形して、日射遮蔽微粒子を含有する樹脂シート〈A0〉を得る。この日射遮蔽微粒子を含有する樹脂シート〈A0〉を、微粒子を含有していない、2枚の合わせ板〈1〉の間に挟み込んで貼り合せることにより、合わせ構造体を製造する。
[0112]
 上記製造方法は、可塑剤中に日射遮蔽微粒子を分散させる製造方法例である。しかし、日射遮蔽機能を有する微粒子を含有する微粒子を、可塑剤ではなく、適宜な溶媒に分散した分散液を作製し、当該分散液をビニル系樹脂に添加し、可塑剤は別に添加するという製造方法でビニル系樹脂組成物を製造してもよい。これら製造方法により、高い日射遮蔽機能を有し、ヘイズ値が小さい合わせ構造体である形態α-1を製造することができる。さらに上記製造方法に依れば、合わせ構造体の製造が容易であり、生産コストの安価な合わせ構造体を製造することができる。
[0113]
  (形態β-1)
 形態β-1とは、中間層〈5〉が、日射遮蔽微粒子を含有する樹脂シートからなる中間膜〈A〉であり、少なくとも一方の合わせ板として、少なくとも上記中間膜〈A〉の日射遮蔽機能とは異なる機能を有する日射遮蔽微粒子を含む樹脂ボードの合わせ板を用いた構成の合わせ構造体である(図3(β)参照)。上記条件を満たしていれば、他方の樹脂ボードからなる合わせ板に日射遮蔽微粒子が含まれていても良い(図示していない。)。上記の、両方の樹脂ボードからなる合わせ板に日射遮蔽微粒子が含まれていても良い構成は、後述する、形態β-2、β-3、β-4、β-5、β-6、および、β-7においても同様に用いることが出来る(図示していない。)。
[0114]
 形態β-1に係る合わせ構造体は、2枚の合わせ板の少なくとも1枚を、前記中間膜〈A〉の機能とは異なる日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子を含む樹脂ボードからなる合わせ板〈2〉に代替する以外は、形態α-1と同様に製造することができる。
[0115]
 当該形態も形態α-1と同様に高い日射遮蔽機能を有し、ヘイズ値が小さい合わせ構造体を製造することができる。さらに当該方法も、合わせ構造体の製造が容易で、生産コストの安価な合わせ構造体を製造することができる。
[0116]
  (形態α-2)
 形態α-2とは、合わせ板として日射遮蔽微粒子を含有していない合わせ板〈1〉を2枚用い、中間層〈6〉として、日射遮蔽微粒子を含有する樹脂シート〈A0〉と、日射遮蔽微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉の少なくとも2枚以上の樹脂シートを用いる合わせ構造体である(図4(α)参照)。
[0117]
 形態α-2は、例えば、以下のようにして製造される。まず、中間膜形成用添加液を製造する。当該添加液を、ビニル系樹脂に添加してビニル系樹脂組成物を調製し、このビニル系樹脂組成物をシート状に成形して、日射遮蔽微粒子を含有する樹脂シート〈A0〉を得る。他方、通常の方法により、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉を製造する。製造した日射遮蔽微粒子を含有する樹脂シート〈A0〉を、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉と積層する。また、日射遮蔽微粒子を含有する樹脂シート〈A0〉を、2枚の微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉で挟み込んで中間層〈6〉とすることもできる。こうして得られた中間層〈6〉を、2枚の微粒子を含有していない合わせ板〈1〉の間に挟み込んで貼り合せることにより合わせ構造体とすることができる。
[0118]
 また、日射遮蔽微粒子を含有する樹脂シートを複数枚とし、その少なくとも1枚は日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子を含有する樹脂シート〈A’〉とし、少なくとも他の1枚はカルシウムランタンホウ化物微粒子と異なる日射遮蔽機能を有する微粒子を含有する樹脂シート〈A’’〉として、これらを積層させる構成としてもよい。尚、形態α-1で説明したように、日射遮蔽機能を有する微粒子を可塑剤に分散させるのではなく、日射遮蔽機能を有する微粒子を適宜溶媒に分散された分散液をビニル系樹脂に添加し、可塑剤を別に添加する方法でビニル系樹脂組成物を製造してもよい。
[0119]
 当該製造方法によれば、高い日射遮蔽機能を有し、ヘイズ値が小さい合わせ構造体を、安価な生産コストで製造することができる。さらに当該方法によれば、中間層〈6〉と、微粒子を含有していない2枚の合わせ板〈1〉との接着性を上げることができるので、合わせ構造体の強度が高まり好ましい。また、例えば、スパッタリング法等によって、少なくとも片面にAl膜やAg膜等を形成したPETフィルムを製造し、当該PETフィルムを上記樹脂シート〈A0〉と樹脂シート〈B〉間に介在させて中間層〈6〉とする構成、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉に適宜な添加剤を添加する構成、とすることも好ましい。これら、Al膜やAg膜等を形成した樹脂フィルムの介在や、添加剤の添加により、色調調製等の機能付加を行うことができる。
[0120]
  (形態β-2)
 形態β-2は、中間層〈6〉が、2層以上の中間膜を有し、少なくともその内の1層が日射遮蔽微粒子を含有する樹脂シート〈A〉からなる中間膜であり、2枚の合わせ板のうち、少なくとも一方の合わせ板に上記中間膜とは異なる日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子を含む樹脂ボードからなる合わせ板を用いた構成の合わせ構造体である(図4(β)参照)。
[0121]
 形態β-2に係る合わせ構造体は、微粒子を含有していない2枚の合わせ板〈1〉の少なくとも1枚を、上記中間膜とは異なる日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子を含む樹脂ボードからなる合わせ板〈2〉に代替する以外は、形態α-2と同様に製造することができる。上記形態β-2の合わせ構造体の、樹脂シート〈A〉からなる中間膜と、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈2〉には、少なくとも日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子が各々少なくとも1種以上含有されるように選択構成されていればよい。
[0122]
 当該方法により、高い日射遮蔽機能を有し、ヘイズ値が小さい合わせ構造体を、安価な生産コストで製造することができる。当該構成によっても、形態α-2と同様に、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉と、板ガラス、プラスチックから選ばれた2枚の合わせ板との接着性を上げることができるので、合わせ構造体の強度が適度に高まり好ましい。
[0123]
  (形態α-3)
 形態α-3は、微粒子を含有していない2枚の合わせ板〈1〉を用いて中間層〈7〉を挟み込んでいる。そして、当該中間層〈7〉が、微粒子を含有していない合わせ板〈1〉上に形成される日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉と、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉とで構成されている合わせ構造体である(図5(α)参照)。
[0124]
 形態α-3は、例えば、以下のようにして製造される。まず、可塑剤または適宜な溶媒に、日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子が分散された添加液を製造する。そして、当該添加液へ、適宜なバインダー成分(シリケート等の無機バインダーあるいはアクリル系、ビニル系、ウレタン系の有機バインダー等)を配合して塗布液を製造する。微粒子を含有していない合わせ板〈1〉の少なくとも一方の合わせ板〈1〉の内側の面に、当該塗布液を塗布して、日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉を形成する。他方、日射遮蔽微粒子を含まない樹脂組成物をシート状に成形して、日射遮蔽微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉を得る。この日射遮蔽微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉を、微粒子を含有していない合わせ板〈1〉上に形成されている日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉側と、他方の微粒子を含有していない合わせ板〈1〉との間に挟み込んで、貼り合せることにより合わせ構造体とすることができる。
[0125]
 他方、形態α-3の製造において、微粒子を含有していない合わせ板〈1〉上の一方へ、微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉に替えて、カルシウムランタンホウ化物微粒子と異なる日射遮蔽特性を有する日射遮蔽微粒子を含んでいる遮蔽層〈C’〉を、他方の、微粒子を含有していない合わせ板〈1〉上へカルシウムランタンホウ化物微粒子を有する遮蔽層〈C’’〉を設け、他は同様にして、中間層〈7〉を製造してもよい。
[0126]
 当該製造方法によれば、合わせ板〈1〉上の日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉の膜厚を薄く設定することができる。そして、当該膜厚を薄く設定することにより、日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉は吸収効果に加えて反射効果も発揮するので、合わせ構造体の日射遮蔽機能の向上を図ることができる。これにより高い日射遮蔽機能を有し、ヘイズ値が小さい合わせ構造体を、安価な生産コストで製造することができる。さらに、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉へ適宜な添加剤を添加する構成を採れば、色調調整等の機能付加を行うことができる。この効果は、中間層〈7〉に、微粒子を含有していない合わせ板〈1〉上の一方へ、カルシウムランタンホウ化物微粒子と異なる日射遮蔽特性を有する日射遮蔽微粒子を含んでいる遮蔽層〈C’〉を形成し、他方の、微粒子を含有していない合わせ板〈1〉上へカルシウムランタンホウ化物微粒子を有する遮蔽層〈C’’〉を形成した場合も同様である。
[0127]
  (形態β-3)
 形態β-3は、2枚の合わせ板〈1〉の内、少なくとも一方の合わせ板として、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈2〉を用い、中間層〈7〉が、少なくとも一方の板ガラスまたは樹脂ボードの内側の面に形成された日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C〉と、当該遮蔽層〈C〉に重ねられた、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉からなる中間膜とから構成される、合わせ構造体である(図5(β)参照)。
[0128]
 形態β-3に係る合わせ構造体は、2枚の合わせ板〈1〉のうち少なくとも1枚を、日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子を含有する樹脂ボードの合わせ板〈2〉に代替する以外は、形態α-3と同様に製造することができる。上記形態の合わせ構造体の中間層〈7〉と、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈2〉とには、少なくとも日射遮蔽機能を有する微粒子が各々少なくとも1種以上が含有されるように選択構成されていればよい。
[0129]
 当該方法によっても、形態α-3と同様に、合わせ構造体中における日射遮蔽膜の膜厚を薄く設定することができる。そして、当該膜厚を薄く設定することにより、日射遮蔽機能の吸収効果に加えて反射効果も発揮するので、合わせ構造体の日射遮蔽機能の向上を図ることができる。これにより高い日射遮蔽機能を有し、ヘイズ値が小さい合わせ構造体を、安価な生産コストで製造することができる。さらに、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉に適宜な添加剤を添加することで、色調調製等の機能付加を行うことができる。
[0130]
  (形態α-4)
 形態α-4は、微粒子を含有していない2枚の合わせ板〈1〉を用いて、中間層〈8〉をはさみ込んでいる。そして、当該中間層〈8〉は、延性樹脂フィルム〈D〉と、当該フィルム上に形成される日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉を、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉で挟み込んで構成されている。この中間層〈8〉を、微粒子を含有していない2枚の合わせ板〈1〉を用いてはさみ込んだ合わせ構造体である(図6(α)参照)。上記中間層〈8〉は、日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子を含有する延性樹脂フィルム〈D〉を、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉で挟み込んで構成することもできる。
[0131]
 形態α-4の製造方法として、以下、2例について説明する。
  〈形態α-4の製造方法1〉
 中間層〈8〉を、延性樹脂フィルム〈D〉と、当該フィルム上に形成された日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉とを、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉で挟み込んで構成した場合について説明する。
[0132]
 まず、可塑剤または適宜な溶媒に日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子が分散された塗布液、または、当該塗布液に、さらに適宜なバインダー成分(シリケート等の無機バインダーあるいはアクリル系、ビニル系、ウレタン系の有機バインダー等)を配合して調製した塗布液を製造する。この塗布液を、延性樹脂フィルム〈D〉の片面に塗布して、延性樹脂フィルム〈D〉上に日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉を形成する。尚、延性樹脂フィルム〈D〉の上に日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉を形成する際、延性樹脂フィルム〈D〉の表面に対し、塗布液樹脂バインダーとの結着性向上を目的として、予め、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー層コート処理などによる表面処理を施してもよい。
[0133]
 一方、日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子等を含まないビニル系樹脂組成物を、シート状に成形して微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉を得る。そして、延性樹脂フィルム〈D〉と、その上に形成された日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉とを、上記微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉で挟み込んで中間層〈8〉とする。当該構成を採ることで、延性樹脂フィルム〈D〉上の微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉と、微粒子を含有していない合わせ板〈1〉との間で、接着性に関する問題が起きるのを回避できる。
[0134]
 中間層〈8〉においても、1つの遮蔽層である日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉を、カルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する遮蔽層〈C’〉と、前記遮蔽層〈C’〉と異なる日射遮蔽特性を有する日射遮蔽微粒子を含んでいる遮蔽層〈C’’〉とに分けてもよい。また、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉に、色調調整等の効果を有する適宜な添加剤を含有させる構成も好ましい。
[0135]
  〈形態α-4の製造方法2〉
 中間層〈8〉を、日射遮蔽機能を有する微粒子が分散された延性樹脂フィルム〈D〉を、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉で挟み込んで構成した場合について説明する。
[0136]
 延性を有する樹脂を、その融点付近の温度(200~300℃前後)で加熱し、カルシウムランタンホウ化物微粒子と混合し混合物とする。次に、当該混合物をペレット化し、所定の成形方式で樹脂フィルムや樹脂ボード等を形成し、日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子が分散された延性樹脂フィルム〈D〉を製造する。成形方法としては、例えば、押し出し成形法、インフレーション成形法、溶液流延法、キャスティング法などにより成形可能である。当該成形時における、樹脂フィルムや樹脂ボードの厚さは、使用目的に応じて適宜選定すればよい。
 延性を有する樹脂に添加する日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子量は、基材の厚さや必要とされる光学特性、機械特性に応じて可変であるが、一般的に樹脂の質量に対して50質量%以下が好ましい。
[0137]
 他方、微粒子を含まないビニル系樹脂組成物を、シート状に成形して微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉を得る。当該微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉2枚の間に、上記日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子が分散された延性樹脂フィルム〈D〉を挟み込み、中間層〈8〉を構成する。この中間層〈8〉を、微粒子を含有していない合わせ板〈1〉の間に挟み込んで貼り合せることにより、合わせ構造体を製造する。さらに、所望により、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉へ、色調調整等の効果を有する適宜な添加剤を添加することも好ましい構成である。当該構成により、多機能を有する合わせ構造体を得ることができる。
[0138]
 以上説明した、〈形態α-4の製造方法1、2〉によっても、一の構成における、延性樹脂フィルム〈D〉上の、日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉、または、他の構成における、日射遮蔽機能を有する遮蔽層〈C’〉と、前記遮蔽層〈C’〉と異なる日射遮蔽特性を有する日射遮蔽微粒子を含んでいる遮蔽層〈C’’〉、の膜厚を薄く設定することができる。そして、当該遮蔽層の膜厚を薄く設定することにより、日射遮蔽機能層が、赤外線の吸収効果に加えて反射効果も発揮するので、赤外線の遮蔽機能の向上を図ることができる。この結果、高い遮蔽機能を有し、ヘイズ値が小さい合わせ構造体を、安価な生産コストで製造することができる。
[0139]
  (形態β-4)
 形態β-4は、少なくとも一方の合わせ板として、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈2〉を用い、延性樹脂フィルム〈D〉の片面上に形成された日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C〉を、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉2枚で挟み込んだ構成となっている中間層〈8〉を、2枚の合わせ板〈1〉〈2〉で挟み込んだ構成となっている合わせ構造体である(図6(β)参照)。形態β-4に係る合わせ構造体の他の構成として、延性樹脂フィルム〈D〉内に日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子が分散され遮蔽機能を有する延性樹脂フィルム〈D〉を、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉2枚で挟み込んだ構成となっている中間層〈8〉を、2枚の合わせ板〈1〉〈2〉で挟み込んだ構成となっている合わせ構造体も好ましい。
[0140]
 形態β-4に係る合わせ構造体は、2枚の合わせ板〈1〉の少なくとも1枚を、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈2〉に代替する以外は、形態α-4と同様に製造することができる。上記形態の合わせ構造体の中間層〈8〉と、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈2〉とには、少なくとも日射遮蔽機能を有する微粒子が、夫々少なくとも1種以上が含有されるように選択構成されていればよい。
[0141]
 当該方法によっても、形態α-4と同様に、合わせ構造体中における日射遮蔽機能膜の膜厚を薄く設定することができる。そして、当該膜厚を薄く設定することにより、日射遮蔽機能膜が赤外線の吸収効果に加えて反射効果も発揮するので、遮蔽特性の向上を図ることができる。これにより高い遮蔽特性を有し、ヘイズ値が小さい合わせ構造体を、安価な生産コストで製造することができる。さらに、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉に適宜な添加剤を添加することで、色調調製等の機能付加を行うことができる。
[0142]
  (形態α-5)
 形態α-5は、2枚の微粒子を含有していない合わせ板〈1〉を用いて、中間層〈9〉を挟み込んでいる。中間層〈9〉は、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉と、その上に形成されるカルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉とにより構成される、合わせ構造体である(図7(α)参照)。
[0143]
 形態α-5は、例えば、以下のようにして製造される。可塑剤または適宜な溶媒に、日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子を分散させて、添加液を製造する。そして、当該添加液へ、適宜なバインダー成分(シリケート等の無機バインダーあるいはアクリル系、ビニル系、ウレタン系の有機バインダー等)を配合して塗布液を製造する。この塗布液を、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉の一方の面に塗布して、日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉を形成する。次に、この微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉と、その上形成された日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉とを、2枚の微粒子を含有していない合わせ板〈1〉の間に挟み込んで貼り合わせることにより、合わせ構造体とする。
[0144]
 中間層〈9〉上において、上述したように、1つの遮蔽層である日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉を、日射遮蔽機能を有する遮蔽層〈C’〉と、前記遮蔽層〈C’〉と異なる日射遮蔽特性を有する日射遮蔽微粒子を含んでいる遮蔽層〈C’’〉とに分けてもよい。
[0145]
 当該製造方法によれば、日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子を含む遮蔽層を、日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子をバインダー成分中に分散させた塗布液を、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉の一方の面に塗布して、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉の表面に形成している。この製造方法においては、当該日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子を含有する塗布液に、さらにフィラー等の添加物を所望に応じて添加することができ、遮蔽機能の向上を図ることができる。これにより高い遮蔽機能を有し、ヘイズ値が小さい合わせ構造体を、安価な生産コストで製造することができる。
[0146]
  (形態β-5)
 形態β-5は、少なくとも一方の合わせ板として、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈2〉を用い、日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子をバインダー成分中に分散させた塗布液を、日射遮蔽微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉の一方の面に塗布して、日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C〉を形成した中間層〈9〉を得て、作製し、微粒子を含有していない合わせ板〈1〉と、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈2〉の間に挟み込んで貼り合わせた合わせ構造体である(図7(β)参照)。
[0147]
 形態β-5に係る合わせ構造体は、2枚の微粒子を含有していない合わせ板〈1〉の少なくとも1枚を、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈2〉に代替する以外は、形態α-5と同様に製造することができる。上記形態の合わせ構造体の中間層〈9〉と、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈2〉とには、少なくとも日射遮蔽機能を有する微粒子が、各々少なくとも1種以上が含有されるように選択構成されていればよい。
[0148]
 当該方法によっても、微粒子を含有する遮蔽層〈C〉を、中間膜である樹脂シートの表面に形成しているので、当該日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子へ、さらにフィラー等の添加物を所望に応じて添加することができ、遮蔽特性の向上を図ることができる。これにより高い遮蔽特性を有し、ヘイズ値が小さい合わせ構造体を、安価な生産コストで製造することができる。
[0149]
  (形態α-6)
 形態α-6は、2枚の微粒子を含有していない合わせ板〈1〉を用いて、中間層〈10〉を挟み込んでいる合わせ構造体である(図8(α)参照)。中間層〈10〉は、接着剤層〈E〉、日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉、剥離層〈F〉の上に、日射遮蔽微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉を積層する構成となっている。形態α-6は、日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉と剥離層〈F〉との積層体を、接着剤層〈E〉の効果により、日射遮蔽微粒子を含有していない合わせ板〈1〉へ接着させている。すなわち、形態α-6は、微粒子を含有していない合わせ板〈1〉/接着剤層〈E〉/日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉/剥離層〈F〉/微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉-他方の微粒子を含有していない合わせ板〈1〉という積層構造を有している。
[0150]
 形態α-6は、例えば、以下のようにして製造される。まず、フィルムシート(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、フッ素などの樹脂フィルム、紙、セロファンなどが挙げられる。)の一方の面に、剥離層〈F〉(例えば、ワックス層、アクリル系樹脂層、ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタール層など)を形成する。この剥離層〈F〉上に、日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉を形成し、さらに当該日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉上へ、接着剤層〈E〉(例えば、ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタール層、ポリ塩化ビニル層、塩化ビニル-エチレン共重合体層、塩化ビニル-エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体層、塩化ビニル-エチレン-グリシジルアクリレート共重合体層、ポリ塩化ビニリデン層、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体層、ポリアミド層、ポリメタクリル酸エステル層、アクリル酸エステル共重合体層などが挙げられる。)を形成して積層体とし、転写フィルムを得る。この転写フィルムの接着剤層〈E〉を、微粒子を含有していない合わせ板〈1〉の内側の面に加圧下で接着した後、前記転写フィルムからフィルムシートを剥離すると、剥離層〈F〉の存在から積層体よりフィルムシートのみが剥離される。上記積層体上に、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉を積層して得られた中間層〈10〉を、微粒子を含有していない合わせ板〈1〉2枚の間に挟み込んで形態α-6の構成の合わせ構造体が製造される。
[0151]
 ここで、得られる形態α-6に係る合わせ構造体の一例として、日射遮蔽微粒子を含有していない合わせ板〈1〉2枚にて中間層〈10〉を挟み込んでいる構成がある。当該中間層〈10〉は、日射遮蔽微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉/剥離層〈F〉/日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉/接着剤層〈E〉から構成される。当該構成において、剥離層〈F〉上の日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉を、日射遮蔽機能を有する遮蔽層〈C’〉と、前記遮蔽層〈C’〉と異なる日射遮蔽特性を有する日射遮蔽微粒子を含んでいる遮蔽層〈C’’〉とに分けてもよい。
[0152]
 形態α-6によれば、剥離層〈F〉上の日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C0〉、または、日射遮蔽機能を有する遮蔽層〈C’〉と前記遮蔽層〈C’〉と異なる日射遮蔽特性を有する日射遮蔽微粒子を含んでいる遮蔽層〈C’’〉の膜厚を薄くすることが出来る。
 また、剥離層〈F〉や接着剤層〈E〉へ、適宜な添加剤を加えることで、色調調整等の機能付加を行うことができる。
[0153]
  (形態β-6)
 形態β-6は、少なくとも一方の合わせ板として、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈2〉を用い、中間層〈10〉が、前記板ガラス、樹脂ボードから選ばれた2枚の合わせ板の一方の内側の面に、接着剤層〈E〉、微粒子を含有する遮蔽層〈C〉、剥離層〈F〉の順に積層された積層体の前記接着剤層〈E〉を接着させ、さらに、前記積層体の前記剥離層〈F〉上へ、前記積層体と重なり合う中間膜または2層以上の積層した中間膜を積層して構成され、当該中間層〈10〉を、上記合わせ板の間に挟み込んで構成される合わせ構造体である。すなわち、当該合わせ構造体は、一方の合わせ板/接着剤層〈E〉/日射遮蔽微粒子を含有する遮蔽層〈C〉/剥離層〈F〉/中間膜または2層以上の積層した中間膜/他方の合わせ板、という構造を有している(図8(β)参照)。
[0154]
 形態β-6に係る合わせ構造体は、日射遮蔽微粒子を含有していない合わせ板〈1〉2枚の少なくとも1枚を、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈2〉に代替する以外は、形態α-6と同様に製造することができる。上記形態の合わせ構造体の中間層と、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈2〉とには、少なくとも日射遮蔽機能を有する微粒子が、各々少なくとも1種以上が含有されるように選択構成されていればよい。
[0155]
 当該方法によっても、容易に膜厚の薄い遮蔽層を製造することができ、さらに、剥離層〈F〉や接着剤層〈E〉へ、適宜な添加剤を加えることで、色調調整等の機能付加を行うことができる。
[0156]
  (形態β-7)
 形態β-7は、少なくとも一方の合わせ板として、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈3〉を用い、中間層〈11〉が、微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉により構成され、上記日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈3〉と日射遮蔽微粒子を含有しない合わせ板〈1〉とで挟み込んだ合わせ構造体である(図9参照)。
[0157]
 形態β-7に係る合わせ構造体の、日射遮蔽微粒子を含有する合わせ板〈3〉には、少なくとも日射遮蔽機能を有する微粒子が、少なくとも1種以上が含有されるように選択構成されていればよい。
 例えば、中間層〈11〉が、ビニル系樹脂を含み、日射遮蔽微粒子を含有していない樹脂シート〈B〉により構成された日射遮蔽用合わせ構造体は、例えば、以下のようにして製造される。可塑剤をビニル系樹脂に添加してビニル系樹脂組成物を調製し、このビニル系樹脂組成物をシート状に成形して中間膜用シートを得る。当該中間膜シートの少なくとも一方の合わせ板として、日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子を含有した樹脂ボード〈3〉を用い、他方の合わせ板として、微粒子を含有していない合わせ板〈1〉を用いればよい。
[0158]
 当該方法により、高い遮蔽特性を有し、ヘイズ値が小さい合わせ構造体を製造することができる。さらに当該方法は、合わせ構造体の製造が容易で、生産コストの安価な合わせ構造体を製造することができる。さらに、上記中間膜、他方の合わせ板の樹脂ボードへ適宜な添加剤を加えることで、色調調整等の機能付加を行うことができる。
実施例
[0159]
 以下、実施例を参照しながら本発明を具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、実施例および比較例においては、日射遮蔽用合わせ構造体を「合わせ構造体」と略記する。
 尚、各実施例において、カルシウムランタン六ホウ化物の微粒子の粉体色(10°視野、光源D65)、および合わせ構造体の可視光透過率並びに日射透過率は、日立製作所(株)製の分光光度計U-4000を用いて測定した。また、ヘイズ値は村上色彩技術研究所(株)製HR-200を用いて測定した。
[0160]
(実施例1)
 二酸化ランタンLa と酸化カルシウムCaOとを用いた炭素還元法でカルシウムランタンホウ化物を作製した。具体的には、二酸化ランタンLa と、酸化カルシウムCaOと、酸化ホウ素B と、グラファイト粉末Cとを、モル比で3:2:26:72の割合で秤量して小型真空擂潰機(株式会社石川工場製16-Z)で十分混合して混合粉を得た。得られた混合粉を、管状炉に入れて真空中毎時300℃で昇温し、1600℃で25時間保持後、炉の電源を切って室温まで自然降温させて粉体を得た。尚、酸化ホウ素のモル比は、揮散で失われる分の補償の為、理想比の値24を意図的に26とした。
[0161]
 得られた粉体の外観は濃紺紫色であり、XRD測定の結果、LaB と同じ体心立方晶単相の回折パターンが得られた。SEM-EDXで組成分析を行なったところ、Ca:La:B=1:3:24(原子比)付近の分析結果が得られた。Ca,La,Bの元素マッピング像は、これらの元素が均一に存在することを示していた。これらの結果から、Ca 0.25La 0.75の組成の粉体が作製されていることが確認された。
[0162]
 得られたCa 0.25La 0.75粉体5質量%、高分子系分散剤5質量%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル90質量%を秤量し、0.5mm径のZrO ビーズを入れたペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)に充填して10時間粉砕・分散処理して一旦回収し、その後0.1mm径のZrO ビーズを用いて更に16時間粉砕・分散処理することによって、中間膜形成用分散液(分散液A1)を調製した。ここで、分散液A1内におけるカルシウムランタンホウ化物微粒子について、X線小角散乱法でq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして微粒子形状を評価したところ、Ve=-2.8が得られ、形状はディスク傾向が強いことが分かった。さらに、得られたCa 0.25La 0.75組成の微粒子形状を透過電子顕微鏡によって観察し、50個の微粒子における長軸と短軸とを測定した結果から、平均形状はアスペクト比d/h=9.4のディスク状円柱またはディスク状回転楕円体と判断された。また、上記カルシウムランタンホウ化物微粒子の分散粒子径を測定したところ26nmであった。
[0163]
 得られた分散液A1をポリビニルブチラールに添加し、そこへ可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレートを加え、カルシウムランタンホウ化物微粒子の濃度が0.005質量%、ポリビニルブチラール濃度が69.7質量%残部上記可塑剤となるように中間膜用組成物A2を調製した。調製された当該組成物A2を、二軸押出機を用いて200℃で混練、Tダイより押出しカレンダーロール法により0.76mm厚のシート状の中間膜を作製した。
[0164]
 作製された中間膜を、100mm×100mm×約2mm厚のクリアガラス基板2枚の間に挟み込み、80℃に加熱して仮接着した後、140℃、14kgf/cm のオートクレーブにより本接着を行い、合わせ構造体A3を作製した。
 得られた合わせ構造体A3の光学特性を測定すると、可視光領域での透過率が高く、近赤外領域の波長1239nm付近に強い吸収による谷を持つ透過プロファイルが得られ、可視光透過率71.9%、日射透過率は47.4%、ヘイズ値0.9%であった。
[0165]
 上述した実施例1に係る日射遮蔽微粒子分散液、中間膜形成用分散液、合わせ構造体の製造条件、測定結果を表1、2に示す。
 以下、実施例2~9、比較例1、2においても同様に、表1、2に示す。
[0166]
(実施例2)
 実施例1に係る合わせ構造体A3の2枚のクリアガラスの内1枚を、ポリカーボネート樹脂に替えた以外は、実施例1と同様にして実施例2に係る合わせ構造体B3を作製した。得られた合わせ構造体B3の光学特性を測定すると、実施例1と同様に、可視光領域での透過率が高く、近赤外領域の波長1241nm付近に強い吸収による谷を持つ透過プロファイルが得られ、可視光透過率72.8%、日射透過率48.1%、ヘイズ値0.8%であった。
[0167]
(実施例3)
 二酸化ランタンLa と酸化カルシウムCaOを用いてB C還元法でカルシウムランタンホウ化物を作製した。具体的には、酸化カルシウムCaOと、二酸化ランタンLa と、炭化ホウ素B Cとを、Ca:La=1:7、(Ca+La):B=1:6(原子比)となるように秤量し、小型真空擂潰機(株式会社石川工場製16-Z)で十分混合して混合粉を得た。得られた混合粉を、管状炉に入れて真空中毎時300℃で昇温し、1600℃で25時間保持した後、炉の電源を切って室温まで自然降温させて粉体を得た。
[0168]
 得られた粉体の外観は濃紺紫色であり、XRD測定の結果、LaB と同じ体心立方晶単相の回折パターンが得られた。SEM-EDXで組成分析を行なったところ、Ca:La:B=1:7:48(原子比)付近の分析結果が得られた。Ca,La,Bの元素マッピング像は、これらの元素が均一に存在することを示していた。これらの結果から、Ca 0.125La 0.875の組成の粉体が作製されていることが確認された。
[0169]
 得られたCa 0.125La 0.875粉体を用いて、実施例1と同様にして日射遮蔽体形成用分散液(分散液C1)を作製した。ここで、分散液C1内におけるカルシウムランタンホウ化物微粒子について、X線小角散乱法でq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして微粒子形状を評価したところ、Ve=-2.9が得られ、形状はディスク傾向が強いことが分かった。さらに、得られたCa 0.125La 0.875組成の微粒子形状を透過電子顕微鏡によって観察し、50個の微粒子における長軸と短軸とを測定した結果から、平均形状はアスペクト比d/h=7.8のディスク状円柱またはディスク状回転楕円体と判断された。また、上記分散液C1内のカルシウムランタンホウ化物微粒子の分散粒子径は34nmであった。
[0170]
 得られた分散液C1を用いて、実施例1と同様にして中間膜用組成物C2を調製した。調製された当該組成物C2を用い、実施例1と同様に、二軸押出機を用いて200℃で混練、Tダイより押出しカレンダーロール法により、0.76mm厚のシート状の中間膜を作製した。作製された中間膜を用い、実施例1と同様の形態の、実施例3に係る合わせ構造体C3を作製した。
 得られた合わせ構造体C3の光学特性を測定すると、可視光領域での透過率が高く、近赤外領域の波長1164nm付近に強い吸収による谷を持つ透過プロファイルが得られ、可視光透過率68.1%、日射透過率46.3%、ヘイズ値0.9%であった。
[0171]
(実施例4)
 二酸化ランタンLa と酸化カルシウムCaOを用いてB C還元法でカルシウムランタンホウ化物を作製した。具体的には、酸化カルシウムCaOと、二酸化ランタンLa と、炭化ホウ素B Cとを、Ca:La=1:1、(Ca+La):B=1:6(原子比)となるように秤量し、小型真空擂潰機(株式会社石川工場製16-Z)で十分混合して混合粉を得た。得られた混合粉を、管状炉に入れて真空中毎時300℃で昇温し、1600℃で25時間保持した後、炉の電源を切って室温まで自然降温させて粉体を得た。
[0172]
 得られた粉体の外観は濃紺紫色であり、XRD測定の結果、LaB と同じ体心立方晶単相の回折パターンが得られた。SEM-EDXで組成分析を行なったところ、Ca:La:B=1:1:12(原子比)付近の分析結果が得られた。Ca,La,Bの元素マッピング像は、これらの元素が均一に存在することを示していた。これらの結果からCa 0.5La 0.5の組成の粉体が作製されていることが確認された。
[0173]
 得られたCa 0.5La 0.5粉体を用いて、実施例1と同様にして日射遮蔽体形成用分散液(分散液D1)を作製した。ここで、分散液D1内におけるカルシウムランタンホウ化物微粒子について、X線小角散乱法でq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして微粒子形状を評価したところ、Ve=-3.2が得られ、形状はディスク傾向が強いことが分かった。さらに、得られたCa 0.5La 0.5組成の微粒子形状を透過電子顕微鏡によって観察し、50個の微粒子における長軸と短軸とを測定した結果から、平均形状はアスペクト比d/h=4.1のディスク状円柱またはディスク状回転楕円体と判断された。また、上記分散液D1内のカルシウムランタンホウ化物微粒子の分散粒子径は36nmであった。
[0174]
 得られた分散液D1を用いて、実施例1と同様にして中間膜用組成物D2を調製した。調製された当該組成物D2を用い、実施例1と同様に、二軸押出機を用いて200℃で混練、Tダイより押出しカレンダーロール法により、0.76mm厚のシート状の中間膜を作製した。作製された中間膜を用い、実施例1と同様の形態の、実施例4に係る合わせ構造体D3を作製した。
 得られた合わせ構造体D3の光学特性を測定すると、可視光領域での透過率が高く、近赤外領域の波長1508nm付近に強い吸収による谷を持つ透過プロファイルが得られ、可視光透過率70.4%、日射透過率47.0%、ヘイズ値1.0%であった。
[0175]
(実施例5)
 二酸化ランタンLa と酸化カルシウムCaOを用いてB C還元法でカルシウムランタンホウ化物を作製した。具体的には、酸化カルシウムCaOと、二酸化ランタンLa と、炭化ホウ素B Cとを、Ca:La=3:1、(Ca+La):B=1:6(原子比)となるように秤量し、小型真空擂潰機(株式会社石川工場製16-Z)で十分混合して混合粉を得た。得られた混合粉を、管状炉に入れて真空中毎時300℃で昇温し、1600℃で25時間保持した後、炉の電源を切って室温まで自然降温させて粉体を得た。
[0176]
 得られた粉体の外観は濃紺紫色であり、XRD測定の結果、LaB と同じ体心立方晶単相の回折パターンが得られた。SEM-EDXで組成分析を行なったところ、Ca:La:B=3:1:24(原子比)付近の分析結果が得られた。Ca,La,Bの元素マッピング像は、これらの元素が均一に存在することを示していた。これらの結果から、Ca 0.75La 0.25の組成の粉体が作製されていることが確認された。
[0177]
 得られたCa 0.75La 0.25粉体を用いて、実施例1と同様にして日射遮蔽体形成用分散液(分散液E1)を作製した。ここで、分散液E1内におけるカルシウムランタンホウ化物微粒子について、X線小角散乱法でq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして微粒子形状を評価したところ、Ve=-3.0が得られ、形状はディスク傾向が強いことが分かった。さらに、得られたCa 0.75La 0.25組成の微粒子形状を透過電子顕微鏡によって観察し、50個の微粒子における長軸と短軸とを測定した結果から、平均形状はアスペクト比d/h=5.9のディスク状円柱またはディスク状回転楕円体と判断された。また、上記分散液E1内のカルシウムランタンホウ化物微粒子の分散粒子径は27nmであった。
[0178]
 得られた分散液E1を用いて、実施例1と同様にして中間膜用組成物E2を調製した。調製された当該組成物E2を用い、実施例1と同様に、二軸押出機を用いて200℃で混練、Tダイより押出しカレンダーロール法により、0.76mm厚のシート状の中間膜を作製した。作製された中間膜を用い、実施例1と同様の形態の、実施例5に係る合わせ構造体E3を作製した。得られた合わせ構造体E3の光学特性を測定すると、可視光領域での透過率が高く、近赤外領域の波長1818nm付近に強い吸収による谷を持つ透過プロファイルが得られ、可視光透過率69.5%、日射透過率は49.8%、ヘイズ値0.8%であった。
[0179]
(実施例6)
 実施例4と同様にして、二酸化ランタンLa と酸化カルシウムCaOとを用いてB C還元法でカルシウムランタンホウ化物の粉体を作製した。得られた粉体の外観は濃紺紫色であり、XRD測定の結果、LaB と同じ体心立方晶単相の回折パターンが得られた。SEM-EDXで組成分析を行なったところ、Ca 0.5La 0.5の組成の粉体が作製されていることが確認された。
[0180]
 次に、得られたCa 0.5La 0.5粉体5質量%、高分子系分散剤5質量%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル90質量%を秤量し、0.5mm径のZrO ビーズを入れたペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)に充填して10時間粉砕・分散処理して一旦回収し、その後0.1mm径のZrO ビーズを用いて更に16時間粉砕・分散処理することによって中間膜形成用分散液(分散液D1)を調製した。ここで、分散液D1内におけるカルシウムランタンホウ化物微粒子について、X線小角散乱法でq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして微粒子形状を評価したところ、Ve=-3.1が得られ、形状はディスク傾向が強いことが分かった。さらに、得られたCa 0.5La 0.5組成の微粒子形状を透過電子顕微鏡によって観察し、50個の微粒子における長軸と短軸とを測定した結果から、平均形状はアスペクト比d/h=5.0のディスク状円柱またはディスク状回転楕円体と判断された。また、上記分散液D1内のカルシウムランタンホウ化物微粒子の分散粒子径は36nmであった。
[0181]
 一方、水16.5gに炭酸セシウム10.8gを溶解し、当該溶液をタングステン酸50gに添加して十分攪拌した後、乾燥した。当該乾燥物へ窒素ガスをキャリアーとした2%H ガスを供給しながら加熱し、800℃の温度で30分間焼成した後、窒素ガス雰囲気下800℃で90分間焼成して黒色の粉体を得た。得られた粉体について、粉末X線回折による結晶相の同定したところ、セシウムタングステンブロンズCs 0.33WO 単相であることを確認した。
[0182]
 得られたセシウムタングステンブロンズ粉体10質量%、高分子系分散剤5質量%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル85質量%を秤量し、0.5mm径のZrO ビーズを入れたペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)に充填して10時間粉砕・分散処理して一旦回収し、その後0.1mm径のZrO ビーズを用いて更に8時間粉砕・分散処理することによって中間膜形成用分散液(分散液F1液)を調製した。ここで、分散液F1内におけるセシウムタングステンブロンズ微粒子の分散粒子径を測定したところ23nmであった。
[0183]
 得られたカルシウムランタンホウ化物Ca 0.5La 0.5微粒子の分散液D1とセシウムタングステンブロンズCs 0.33WO の分散液F1とを質量比1:5で混合して、混合分散液(混合分散液DF1液)を得た。得られた混合分散液DF1をポリビニルブチラールに添加し、そこへ可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレートを加え、2種類の日射遮蔽微粒子合計の濃度が0.024質量%、ポリビニルブチラール濃度が69.7質量%となるように中間膜用組成物F2を調製した。
 調製された当該組成物F2を用い、実施例1と同様に、二軸押出機を用いて200℃で混練、Tダイより押出しカレンダーロール法により、0.76mm厚のシート状の中間膜を作製した。作製された中間膜を用い、実施例1と同様の形態の、実施例6に係る合わせ構造体F3を作製した。得られた合わせ構造体F3の光学特性を測定すると、可視光領域での透過率が高く、近赤外領域の波長1505nm付近にボトムを持ち長波長側にも強い吸収を引きずった透過プロファイルが得られ、可視光透過率73.0%、日射透過率は46.7%、ヘイズ値1.1%であった。
[0184]
(実施例7)
 実施例5で得られたカルシウムランタンホウ化物Ca 0.75La 0.25微粒子を2.7質量%、高分子系分散剤5.1質量%、アクリル系樹脂7.7質量%、メチルイソブチルケトン84.5質量%秤量し、0.5mm径ZrO ビーズを入れたペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)に充填して10時間粉砕・分散処理して一旦回収し、その後0.1mm径のZrO ビーズを用いて更に16時間粉砕・分散処理することによって中間膜形成用分散液(分散液G1液)を調製した。ここで、得られた分散液G1内におけるカルシウムランタンホウ化物微粒子の分散粒子径を測定したところ27nmであった。
[0185]
 得られた分散液G1を、バーコーター(番手24のバー)を用い、100mm×100mm×厚さ約2mmのクリアガラス基板上に塗布した後、180℃で1時間焼成して、中間膜となる日射遮蔽層を形成した。
[0186]
 得られた、中間膜となる日射遮蔽層を形成したクリアガラスの日射遮蔽層側と、一方の合わせ板となる厚さ50μmのPETフィルムとの間に、0.76mm厚の中間膜用エチレン-酢酸ビニル共重合体シートを介在させて、クリアガラス/日射遮蔽層/エチレン-酢酸ビニル共重合体シート/PETフィルムの構成を有する合わせ構造体(バイレイヤーガラス)を作製した。得られた上記構造体を、80℃に加熱して仮接着した後、140℃、14kgf/cm のオートクレーブにより本接着を行い、実施例7に係る合わせ構造体G3を作製した。得られた合わせ構造体G3の光学特性を測定すると、可視光領域での透過率が高く、近赤外領域の波長1825nm付近に強い吸収による谷を持つ透過プロファイルが得られ、可視光透過率71.2%、日射透過率50.3%、ヘイズ値0.8%であった。
[0187]
(実施例8)
 実施例5と同様にして、二酸化ランタンLa と酸化カルシウムCaOとを用いてB C還元法でカルシウムランタンホウ化物粉体を作製した。
 得られた粉体のXRD測定の結果、LaB と同じ体心立方晶単相の回折パターンが得られた。SEM-EDXで組成分析を行なったところ、Ca:La:B=3:1:24(原子比)付近の分析結果が得られた。Ca,La,Bの元素マッピング像は、これらの元素が均一に存在することを示していた。これらの結果から、Ca 0.75La 0.25の組成の粉体が作製されていることが確認された。
[0188]
 得られたCa 0.75La 0.25粉体を用いて、上記カルシウムランタンホウ化物粉体5質量%、高分子系分散剤5質量%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル90質量%を秤量し、0.5mm径のZrO ビーズを入れたペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)で5時間粉砕・分散処理することによって中間膜形成用分散液(分散液H1)を調製した。ここで、得られた分散液H1内におけるカルシウムランタンホウ化物微粒子の分散粒子径を測定したところ、95nmであった。ここで、分散液H1内におけるカルシウムランタンホウ化物微粒子について、X線小角散乱法でq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして微粒子形状を評価したところ、Ve=-2.8が得られ、形状はディスク傾向が強いことが分かった。さらに、得られたCa 0.125La 0.875組成の微粒子形状を透過電子顕微鏡によって観察し、50個の微粒子における長軸と短軸とを測定した結果から、平均形状はアスペクト比d/h=10.6のディスク状円柱またはディスク状回転楕円体と判断された。
[0189]
 得られた分散液H1を用いて、実施例1と同様にして、中間膜用組成物H2を調製した。調製された当該組成物H2を用い、実施例1と同様に、二軸押出機を用いて200℃で混練、Tダイより押出しカレンダーロール法により、0.76mm厚のシート状の中間膜を作製した。作製された中間膜を用い、実施例1と同様の形態の、実施例8に係る合わせ構造体H3を作製した。得られた合わせ構造体H3の光学特性を測定すると、可視光領域での透過率が高く、近赤外領域の波長1816nm付近に強い吸収による谷を持つ透過プロファイルが得られ、可視光透過率68.9%、日射透過率は50.6%、ヘイズ値5.3%であった。
[0190]
(実施例9)
 実施例1の中間膜用組成物A2の樹脂材料であるポリビニルブチラールを、エチレン-酢酸ビニル共重合体に替えた以外は、実施例1と同様にして、実施例9に係る中間膜用組成物I2を得た。得られた中間膜用組成物I2を用い、実施例1と同じ構成の合わせ構造体I3を作製した。得られた合わせ構造体I3の光学特性を測定すると、可視光領域での透過率が高く、近赤外領域の波長1242nm付近に強い吸収による谷を持つ透過プロファイルが得られ、可視光透過率70.4%、日射透過率は46.6%、ヘイズ値0.8%であった。
[0191]
(比較例1)
 二酸化ランタンLa を用いたB C還元法でランタンホウ化物を作製した。具体的には、二酸化ランタンLa と、炭化ホウ素B Cとを、La:B=1:6(原子比)となるように秤量し、小型真空擂潰機(株式会社石川工場製16-Z)で十分混合して混合粉を得た。得られた混合粉を、管状炉に入れて真空中毎時300℃で昇温し、1600℃で8時間保持した後、炉の電源を切って室温まで自然降温させて粉体を得た。
[0192]
 この粉体と金属ホウ素Bをモル比で15:85の割合で混合した粉を原料として、直流プラズマと高周波プラズマを重畳させたハイブリッドプラズマ装置を用いて、ランタンホウ化物微粒子を作製した。リアクターを0.1Paの真空に引いた後Arガスで完全に置換し、8L/minのArガスを流しながら直流電圧6kWを印加して直流プラズマを発生させた。Arガス40L/minと水素ガス3L/minをシースガス供給口から流し、高周波電力45kWを印加して高周波プラズマを発生させた。このハイブリッドプラズマの火炎中に上記混合粉を2g/minの割合で、キャリアガス(3リットル/minのArガス)と共にフィードすることにより、フィルターからランタンホウ化物の微粉末を回収した。
[0193]
 得られた粉体の外観は黒色の粉体であり、XRD測定の結果、LaB と同定された。次に、得られたLaB 粉体を用いて、実施例1と同様にして中間膜形成用分散液(分散液J1)を作製した。ここで、分散液J1内におけるランタンホウ化物微粒子について、X線小角散乱法でq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして微粒子形状を評価したところ、Ve=-3.9が得られ、形状はほぼ球状であることが分かった。さらに、得られたLaB 組成の微粒子形状を透過電子顕微鏡によって観察したところ、サイズ10~50nmの球形状の微粒子であり、50個の微粒子における長軸と短軸とを測定した結果から、平均形状はアスペクト比d/h=1.1の球形状の微粒子と判断された。
[0194]
 上記ランタンホウ化物微粒子の分散粒子径を測定したところ、29nmであった。次に、得られた分散液J1を用いて、実施例1と同様にして中間膜用組成物J2を調製した。調製された当該組成物J2を用い、実施例1と同様に、二軸押出機を用いて200℃で混練、Tダイより押出しカレンダーロール法により、0.76mm厚のシート状の中間膜を作製した。作製された中間膜を用い、実施例1と同様の形態の、比較例1に係る合わせ構造体J3を作製した。得られた合わせ構造体J3の光学特性を測定すると、可視光領域での透過率が高く、近赤外領域の波長1004nm付近に強い吸収による狭い谷を持つ透過プロファイルが得られ、可視光透過率71.3%、日射透過率59.3%、ヘイズ値0.9%であった。吸収バンドの波長幅が狭く、近赤外線吸収効果は実施例に比較して限定的なものであった。またこの合わせ構造体は、上記実施例の合わせ構造体に比較して、緑色の色調が強かった。
[0195]
(比較例2)
 酸化カルシウムCaOを用いてB C還元法でカルシウムホウ化物を作製した。具体的には、酸化カルシウムCaOと、炭化ホウ素B Cとを、Ca:B=1:6(原子比)となるように秤量し、小型真空擂潰機(株式会社石川工場製16-Z)で十分混合して混合粉を得た。得られた混合粉を、管状炉に入れて真空中毎時300℃で昇温し、1600℃で8時間保持した後、炉の電源を切って室温まで自然降温させて粉体を得た。得られた粉体の外観は黒色の粉体であり、XRD測定の結果、CaB と同定された。
[0196]
 得られたCaB 粉体を用いて、実施例1と同様にして中間膜形成用分散液(分散液K1)を作製した。ここで、分散液K1内におけるカルシウムホウ化物微粒子について、X線小角散乱法でq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして微粒子形状を評価したところ、Ve=-3.0が得られ、形状はディスク傾向が強いことが分かった。さらに、得られたCaB 組成の微粒子形状を透過電子顕微鏡によって観察し、50個の微粒子における長軸と短軸とを測定した結果から、平均形状はアスペクト比d/h=3.8のディスク状円柱またはディスク状回転楕円体と判断された。上記カルシウムホウ化物微粒子の分散粒子径を測定したところ、33nmであった。
[0197]
 得られた分散液K1を用いて、実施例1と同様にして中間膜用組成物K2を調製した。調製された当該組成物K2を用い、実施例1と同様に、二軸押出機を用いて200℃で混練、Tダイより押出しカレンダーロール法により、0.76mm厚のシート状の中間膜を作製した。作製された中間膜を用い、実施例1と同様の形態の、比較例2に係る合わせ構造体K3を作製した。得られた合わせ構造体K3の光学特性を測定すると、可視光領域での透過率が高く、赤外領域に弱い吸収が見られた。吸収による透過率のボトムは長波長側にあり、波長2600nmでも吸収のボトムに達していなかったので、FTIRで透過率を測定した結果吸収によるボトムは中赤外領域の波長4260nm付近にあることが判明した。また、可視光透過率73.3%、日射透過率65.5%、ヘイズ値1.0%であった。この合わせ構造体は、上記実施例の合わせ構造体に比較して、日射遮蔽特性が極端に低下していた。
[0198]
[表1]



[表2]


符号の説明

[0199]
  11 ホウ素原子
  12 元素M
  21 熱プラズマ
  22 高周波コイル
  23 シースガス供給ノズル
  24 プラズマガス供給ノズル
  25 原料粉末供給ノズル
  26 反応容器
  27 吸引管
  28 フィルター

請求の範囲

[請求項1]
 日射遮蔽微粒子を含む樹脂シート、日射遮蔽微粒子を含む樹脂フィルムから選ばれる1種以上を中間膜として有する中間層を、
 日射遮蔽微粒子を含まない板ガラス、日射遮蔽微粒子を含まない樹脂ボードから選ばれる2枚の合わせ板間に挟み込んだ日射遮蔽用合わせ構造体であって、
 前記日射遮蔽微粒子が、一般式Ca La 1-xで表記されるカルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する日射遮蔽微粒子であって、前記一般式におけるxの値が0.001≦x≦0.800、且つ、mの値が5.0≦m<6.3であり、
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の平均分散粒子径が1nm以上800nm以下であり、
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状が、下記1)、2)から選択される少なくとも一つの形状であることを特徴とする日射遮蔽用合わせ構造体。
  1)溶媒中に希釈分散させた前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の散乱強度を、X線小角散乱法を用いて測定したとき、散乱ベクトルq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして得られる直線の傾きの値Veが-3.8≦Ve≦-1.5である形状。
  2)平板状円柱(但し、底面円の直径をd、円柱の高さをhとする。)形状、または、回転楕円体(但し、長軸の長さをd、短軸の長さをhとする。)形状であって、アスペクト比d/hの値が1.5≦d/h≦20である形状。
[請求項2]
 日射遮蔽微粒子を含む樹脂シート、日射遮蔽微粒子を含む樹脂フィルムから選ばれる1種以上の中間膜と、日射遮蔽微粒子を含まない樹脂シート、日射遮蔽微粒子を含まない樹脂フィルムから選ばれる1種以上の中間膜と、を有する中間層を、
 日射遮蔽微粒子を含まない板ガラス、日射遮蔽微粒子を含まない樹脂ボード、日射遮蔽微粒子を含む樹脂ボードから選ばれる合わせ板と、日射遮蔽微粒子を含む樹脂ボードからなる他の合わせ板との間に挟み込んだ日射遮蔽用合わせ構造体であって、
 前記日射遮蔽微粒子が、一般式Ca La 1-xで表記されるカルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する日射遮蔽微粒子であって、前記一般式におけるxの値が0.001≦x≦0.800、且つ、mの値が5.0≦m<6.3であり、
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の平均分散粒子径が1nm以上800nm以下であり、
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状が、下記1)、2)から選択される少なくとも一つの形状であることを特徴とする日射遮蔽用合わせ構造体。
  1)溶媒中に希釈分散させた前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の散乱強度を、X線小角散乱法を用いて測定したとき、散乱ベクトルq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして得られる直線の傾きの値Veが-3.8≦Ve≦-1.5である形状。
  2)平板状円柱(但し、底面円の直径をd、円柱の高さをhとする。)形状、または、回転楕円体(但し、長軸の長さをd、短軸の長さをhとする。)形状であって、アスペクト比d/hの値が1.5≦d/h≦20である形状。
[請求項3]
 前記中間膜、前記合わせ板のうちの2層以上に日射遮蔽微粒子が含有されている場合、
 少なくとも1層は、前記カルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する日射遮蔽微粒子を含んでおり、他の少なくとも1層は、前記日射遮蔽微粒子とは異なる日射遮蔽特性を有する日射遮蔽微粒子を含有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の日射遮蔽用合わせ構造体。
[請求項4]
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する日射遮蔽微粒子と異なる日射遮蔽機能を有する日射遮蔽微粒子が、前記カルシウムランタンホウ化物微粒子と異なる日射遮蔽機能を有するカルシウムランタンホウ化物微粒子、六方晶タングステンブロンズ微粒子、Sn添加酸化インジウム微粒子、Sb添加酸化スズ微粒子、Al添加酸化亜鉛微粒子、Ga添加酸化亜鉛微粒子の内から選ばれる少なくとも1種の日射遮蔽微粒子であることを特徴とする請求項3に記載の日射遮蔽用合わせ構造体。
[請求項5]
 前記樹脂ボード、樹脂シート、樹脂フィルムを構成する樹脂材料が、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の日射遮蔽用合わせ構造体。
[請求項6]
 前記中間層を構成する樹脂材料が、ビニル系樹脂であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の日射遮蔽用合わせ構造体。
[請求項7]
 前記ビニル系樹脂は、ポリビニルブチラールまたはエチレン-酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする請求項6に記載の日射遮蔽用合わせ構造体。
[請求項8]
 日射遮蔽微粒子を含む樹脂シート、日射遮蔽微粒子を含む樹脂フィルムから選ばれる1種以上を中間膜として有する中間層を、
 日射遮蔽微粒子を含まない板ガラス、日射遮蔽微粒子を含まない樹脂ボードから選ばれる2枚の合わせ板間に挟み込んだ日射遮蔽用合わせ構造体の製造方法であって、
 前記日射遮蔽微粒子が、一般式Ca La 1-xで表記されるカルシウムランタンホウ化物微粒子を含有する日射遮蔽微粒子であって、前記一般式におけるxの値が0.001≦x≦0.800、且つ、mの値が5.0≦m<6.3であり、
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の平均分散粒子径が1nm以上800nm以下であり、
 前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の微粒子形状が、下記1)、2)から選択される少なくとも一つの形状であるように製造することを特徴とする日射遮蔽用合わせ構造体の製造方法。
  1)溶媒中に希釈分散させた前記カルシウムランタンホウ化物微粒子の散乱強度を、X線小角散乱法を用いて測定したとき、散乱ベクトルq=4πsinθ/λと散乱強度I(q)との関係を両対数プロットして得られる直線の傾きの値Veが-3.8≦Ve≦-1.5である形状。
  2)平板状円柱(但し、底面円の直径をd、円柱の高さをhとする。)形状、または、回転楕円体(但し、長軸の長さをd、短軸の長さをhとする。)形状であって、アスペクト比d/hの値が1.5≦d/h≦20である形状。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]