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1. (WO2019044809) RAILWAY VEHICLE DAMPER AND RAILWAY VEHICLE VIBRATION CONTROL DEVICE
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明 細 書

発明の名称 鉄道車両用ダンパおよび鉄道車両用制振装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

発明の概要

0003   0004   0005   0006   0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 鉄道車両用ダンパおよび鉄道車両用制振装置

技術分野

[0001]
 本発明は、鉄道車両用ダンパおよび鉄道車両用制振装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、この種の鉄道車両用ダンパは、たとえば、JPH10-244940Aに開示されているように、鉄道車両の車体と台車との間に介装されて、鉄道車両に車体の進行方向に対して左右方向の振動を抑制する鉄道車両用制振装置として利用される。鉄道車両用制振装置は、鉄道車両用ダンパの他にアクチュエータ或いはセミアクティブダンパを備えており、アクチュエータ等が発揮する力で車体の振動を抑制する。

発明の概要

[0003]
 ところで、鉄道車両が走行中に強い地震が発生する場合、車体が大きく揺れて脱輪する恐れがあるので、このような場合には、鉄道車両用制振装置にあっては、鉄道車両用ダンパに高い減衰力を発揮させて脱輪を未然に防ぎたい。
[0004]
 他方、地震が発生していない平常時では、アクチュエータ等の力が車体の振動を抑制するのに最適に制御されるため、平常時における鉄道車両用ダンパの発生減衰力が高いと、アクチュエータ等による車体の制振効果を妨げてしまう。
[0005]
 そこで、本発明は、地震時には脱輪を効果的に防止できるとともに平常時には車体の制振効果を損なわない鉄道車両用ダンパおよび鉄道車両用制振装置の提供を目的としている。
[0006]
 そのため、鉄道車両用ダンパは、シリンダとシリンダ内に挿入されるロッドとシリンダ内に摺動自在に挿入されるとともにロッドに連結されてシリンダ内をロッド側室とピストン側室とに区画するピストンとを備えた伸縮体と、伸縮体が伸縮する際に減衰力を発揮させる減衰部とを備え、伸縮速度が第一速度以上となると鉄道車両の脱輪の防止に要求される減衰力以上の減衰力を発揮し、伸縮速度が第一速度よりも低い第二速度未満では10kN以下の減衰力を発揮する。このように構成された鉄道車両用ダンパによれば、鉄道車両が走行中に地震が発生しても車体の振動が速やかに低減されて脱輪を効果的に抑制でき、伸縮体の伸縮速度が第二速度未満では、10kN以下の減衰力しか発揮しないので、セミアクティブダンパやアクチュエータが発揮する減衰力による車体の制振効果に悪影響を与えない。
[0007]
 また、鉄道車両用制振装置は、一つ以上の鉄道車両用ダンパと、アクチュエータ或いはセミアクティブダンパの少なくとも一方を有し、伸縮速度が第一速度以上となる際に発揮される減衰力の総和を地震時に一つの台車あたり要求される必要減衰力以上としてある。このように構成された鉄道車両用制振装置によれば、一つの台車に対して設置された鉄道車両用ダンパ、アクチュエータおよびセミアクティブダンパが協同して脱輪の防止に要する必要減衰力以上の減衰力を発揮するので、鉄道車両が走行中に地震が発生しても車体Bの振動が速やかに低減されて脱輪を効果的に抑制できる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 図1は、鉄道車両に搭載した状態における鉄道車両用制振装置を示す図である。
[図2] 図2は、一実施の形態における鉄道車両用ダンパの液圧回路図である。
[図3] 図3は、一実施の形態における鉄道車両用ダンパの伸縮速度に対する減衰力の特性である減衰力特性を示した図である。
[図4] 図4は、一実施の形態におけるセミアクティブダンパの液圧回路図である。
[図5] 図5は、一実施の形態におけるセミアクティブダンパの伸縮速度に対する減衰力の特性である減衰力特性を示した図である。
[図6] 図6は、一実施の形態におけるアクチュエータダンパの液圧回路図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。第一の実施の形態における鉄道車両用制振装置Sは、鉄道車両の車体Bの制振に利用されている。本例の鉄道車両用制振装置Sは、図1に示すように、車体Bと台車Tとの間に介装される鉄道車両用ダンパPDとセミアクティブダンパADとを備えている。
[0010]
 鉄道車両用ダンパPDとセミアクティブダンパADは、鉄道車両の場合、車体Bの下方に垂下されるピンPに連結され、車体Bと台車Tとの間で対を成して並列に介装されている。台車Tは、車輪Wを回転自在に保持しており、車体Bと台車Tとの間には、懸架ばねCSが介装され、車体Bが下方から弾性支持されるため、台車Tに対する車体Bの横方向への移動が許容されている。
[0011]
 <鉄道車両用ダンパ>
 まず、鉄道車両用ダンパPDについて説明する。鉄道車両用ダンパPDは図2に示すように、伸縮体1と、減衰部Vとを備えている。伸縮体1は、鉄道車両の車体Bに連結されるシリンダ2と、シリンダ2内に摺動可能に挿入されてシリンダ2内をロッド側室5とピストン側室6とに区画するピストン3と、シリンダ2内に挿入されてピストン3と台車Tとに連結されるロッド4と、シリンダ2とシリンダ2の外周を覆う外筒7との間に設けたタンク8とを備えている。
[0012]
 シリンダ2と外筒7はともに筒状であって、図2中左端側の開口部は、環状であって両者に嵌合するロッドガイド9によって閉塞され、シリンダ2と外筒7の図2中右端側の開口部は、両者に嵌合するボトムキャップ10によって閉塞されている。また、前記ロッドガイド9内には、シリンダ2内に移動自在に挿入されるロッド4が摺動自在に挿入されており、ロッド4の軸方向の移動がロッドガイド9によって案内される。また、ロッド4は、ロッドガイド9を通して一端をシリンダ2外へ突出させており、シリンダ2内の他端をシリンダ2内に摺動自在に挿入されるピストン3に連結している。
[0013]
 なお、ロッド4の外周、ロッドガイド9とシリンダ2との間、ロッドガイド9と外筒7との間、シリンダ2とボトムキャップ10との間および外筒7とボトムキャップ10との間は、それぞれ、図示を省略したシール部材によってシールされている。これによりシリンダ2内およびタンク8は密閉状態に維持されている。
[0014]
 そして、シリンダ2内にピストン3によって区画されるロッド側室5とピストン側室6には、本例では、作動液体として作動油が充填されるとともに、タンク8には、作動油が貯留される他に気体が充填されている。なお、タンク8内は、特に、気体を圧縮して充填して加圧状態とする必要は無い。また、作動液体は、作動油以外にも他の液体を利用してもよい。
[0015]
 伸縮体1は、図示はしないが、ロッド4が鉄道車両の台車と車体の一方に、シリンダ2が台車と車体の他方に連結されて、台車と車体との間に介装される。伸縮体1は、片ロッド型に設定されているので、両ロッド型のシリンダ装置に比較してストローク長を確保しやすく、伸縮体1の全長が短くなって、鉄道車両への搭載性が向上する。
[0016]
 また、図2に示すように、鉄道車両用ダンパPDは、ピストン側室6からロッド側室5へ向かう流れのみを許容する整流通路13を備えている。なお、整流通路13は、ピストン3以外に設けてもよい。さらに、鉄道車両用ダンパPDは、タンク8からピストン側室6へ向かう流れのみを許容する吸込通路14を備えている。
[0017]
 さらに、鉄道車両用ダンパPDは、ロッド側室5とタンク8とを連通する排出通路11と、排出通路11に設けた絞り12とを備えており、排出通路11と絞り12とで減衰部Vを構成している。
[0018]
 したがって、本例の鉄道車両用ダンパPDにあっては、外力を受けて伸縮体1が伸長すると、圧縮されるロッド側室5から作動油が排出通路11を通じてタンク8へ押し出される。そして、拡大するピストン側室6には吸込通路14を通じてタンク8から作動油が供給される。よって、この伸長作動時において、鉄道車両用ダンパPDは、排出通路11を通過する作動油の流れに絞り12で抵抗を与えて減衰力を発揮する。
[0019]
 反対に、本例の鉄道車両用ダンパPDにあっては、外力を受けて伸縮体1が収縮すると、整流通路13を介して圧縮されるピストン側室6からロッド側室5へ作動油が移動する。また、伸縮体1の収縮時には、ロッド4がシリンダ2内に侵入するため、ロッド4がシリンダ2内に侵入する体積分の作動油がシリンダ2内で過剰となって排出通路11を通じてタンク8へ排出される。よって、この収縮作動時において、鉄道車両用ダンパPDは、排出通路11を通過する作動油の流れに絞り12で抵抗を与えて減衰力を発揮する。
[0020]
 また、この伸縮体1の場合、ロッド4の断面積をピストン3の断面積の二分の一にして、ピストン3のロッド側室5側の受圧面積がピストン側室6側の受圧面積の二分の一になっている。よって、伸縮体1の伸長時と収縮時とでシリンダ2内から排出通路11を通じてタンク8へ排出される流量が等しくなる。鉄道車両用ダンパPDが発揮する減衰力は、シリンダ2から排出されてタンク8へ向かう作動油の通過流量に対して絞り12にて生じる圧力損失にピストン3の断面積の二分の一を乗じた値となる。よって、鉄道車両用ダンパPDは、伸縮両側でピストン3の移動速度が同じであれば、等しい減衰力を発揮できる。
[0021]
 本例では、絞り12は、伸縮体1の伸縮速度が第一速度v1以上となると、脱輪を防止するための減衰力を鉄道車両用ダンパPDに発揮させる。鉄道車両用ダンパPDが目安となる第一速度v1で伸縮する場合において、鉄道車両用制振装置Sは、一つの台車Tあたりで地震時において鉄道車両の脱輪を防止するために必要な必要減衰力を発揮すればよい。
[0022]
 そして、本例の鉄道車両用制振装置Sは、鉄道車両用ダンパPDおよびセミアクティブダンパADを備えており、それぞれが第一速度v1で伸縮する際に発揮する減衰力の総和が必要減衰力以上となっていればよい。本例では、鉄道車両用ダンパPDおよびセミアクティブダンパADは、第一速度v1で伸縮する際に、各々が必要減衰量を等しく分担するようにしてあり、必要減衰力の二分の一ずつの減衰力を発揮する。第一速度v1は、鉄道車両が脱輪する可能性のある伸縮体1の伸縮速度に設定されており本例では、0.6m/secに設定されており、必要減衰力を80kNとしている。よって、鉄道車両用ダンパPDは、図3に示したように、シリンダ装置C1の伸縮速度が0.6m/secで40kNの減衰力を発揮するよう設定されている。第一速度v1を超える伸縮速度に対しては、鉄道車両用ダンパPDおよびセミアクティブダンパADの減衰力の総和が必要減衰力以上になっていればよい。なお、本例では、一つの台車Tに対して一つの鉄道車両用ダンパPDと一つのセミアクティブダンパADとを備えているから、鉄道車両用ダンパPDとセミアクティブダンパADとが第一速度v1で必要減衰力の二分の一を出力するようなっているが、必要減衰力の分担割合は変更してもよい。また、鉄道車両用ダンパPDおよびセミアクティブダンパADの一つの台車Tあたりの総設置数が3つ以上であれば、鉄道車両用ダンパPDおよびセミアクティブダンパADが第一速度v1で出力する減衰力の総和が必要減衰力以上となるように設定すればよい。なお、必要減衰力は、鉄道車両に適した値に設定されればよい。
[0023]
 また、絞り12は、伸縮体1の伸縮速度が第一速度v1よりも低い第二速度v2未満では10kN以下の減衰力を鉄道車両用ダンパPDに発揮させる。具体的には、第二速度v2は、地震が発生した際に到達するであろう伸縮体1の伸縮速度に設定されており、0.2m/secに設定されており、絞り12は、伸縮体1の伸縮速度が0.2m/sec未満では鉄道車両用ダンパPDに10kN以下の減衰力を発生させる。
[0024]
 したがって、鉄道車両用ダンパPDの伸縮速度に対する減衰力の特性(減衰力特性)は、図3に示したように、オリフィス特有の二乗特性となっており、第二速度v2である0.2m/sec未満の範囲では10kN未満となり、第一速度v1である0.6m/sec以上となると40kN以上となる特性となっている。なお、減衰部Vにおける絞り12は、伸縮速度が第二速度v2未満で減衰力が10kNとなり伸縮速度が第一速度v1以上となると脱輪を防止できる減衰力以上の減衰力を発揮できれば、絞り12以外の減衰弁に置換できる。
[0025]
 なお、前述したところでは、鉄道車両用ダンパPDは、所謂、作動油の流れが一方通行となるユニフロー型のダンパとされているが、バイフロー型のダンパに設定される場合、減衰部Vは、ロッド側室5からピストン側室6へ向かう作動油の流れに抵抗を与える減衰通路と、ピストン側室6からタンク8へ向かう作動油の流れに抵抗を与える減衰通路とを備えて構成されてもよい。本例のように鉄道車両用ダンパPDがユニフロー型のダンパとされると、一つの排出通路11と一つの絞り12或いは減衰弁とで減衰部Vを構成すれば済むために、鉄道車両用ダンパPDが安価となる。また、本例における減衰部Vの減衰力を発生させる要素として絞り12を用いると、弁体やスプールで作動油の流れに抵抗を与える減衰弁に比較して、鉄道車両用ダンパPDを安価にできる。
[0026]
 本例では、第一速度v1は、0.6m/secに設定され、第二速度v2は、0.2m/secに設定されているが、ともに他の数値に設定されてもよい。また、必要減衰力については、鉄道車両の仕様に応じて脱輪を防止できる値に設定されればよい。
[0027]
 <セミアクティブダンパ>
 セミアクティブダンパADは、図4に示すように、鉄道車両用ダンパPDの構成に対して、ロッド側室5とピストン側室6とを連通する第一通路15と、第一通路15に設けた第一開閉弁16と、ピストン側室6とタンク8とを連通する第二通路17と、第二通路17に設けた第二開閉弁18とを設けるとともに、絞り12に代えて排出通路11に可変リリーフ弁19と減衰力切換部20と設けている。以下、鉄道車両用ダンパPDと異なるセミアクティブダンパADの各部について説明する。
[0028]
 第一開閉弁16は、電磁開閉弁とされており、ロッド側室5とピストン側室6とを連通する連通ポジションとロッド側室5とピストン側室6との連通を絶つ遮断ポジションとを備えており、通電時には第一通路15を開放してロッド側室5とピストン側室6とを連通する。
[0029]
 第二開閉弁18は、電磁開閉弁とされており、ピストン側室6とタンク8とを連通する連通ポジションと、ピストン側室6とタンク8との連通を絶つ遮断ポジションとを備えており、通電時には第二通路17を開放してピストン側室6とタンク8とを連通する。
[0030]
 排出通路11には、開弁圧を変更可能な可変リリーフ弁19が設けられている。可変リリーフ弁19は、本例では、比例電磁リリーフ弁とされており、供給される電流量に応じて開弁圧を調節でき、前記電流量が最大となると開弁圧を最小とし、電流の供給がないと開弁圧を最大とするようになっている。
[0031]
 減衰力切換部20は、本例では、排出通路11における可変リリーフ弁19の下流に設けられる減衰弁21と、排出通路11の減衰弁21の上流から分岐して減衰弁21を迂回してタンク8に連通される迂回路22と、排出通路11の可変リリーフ弁19と減衰弁21との間に設けた切換弁23とを備えている。
[0032]
 本例では、減衰弁21は、絞り12と同様の流量圧力損失特性を持つオリフィスとされている。そして、伸縮体1が第二速度v2以上で伸縮する際にシリンダ2内から排出通路11を通じてタンク8へ排出される流量の作動油が減衰弁21を通過する際の圧力損失は、同じ流量の作動油が非通電時の可変リリーフ弁19を通過する際に生じる圧力損失よりも大きく設定されている。なお、排出通路11を通過する作動油の流量は、ピストン3の断面積からロッド4の断面積を引いた値にピストン3の移動量を乗じた量になる。よって、第二速度v2が前述のように設定されると、第二速度v2で伸縮する際にシリンダ2内から排出通路11を通じてタンク8へ排出される流量が一義的に決まり、この流量を設定流量としてある。
[0033]
 切換弁23は、排出通路11の途中に設けられて可変リリーフ弁19の下流を迂回路22へ連通する第一ポジション23bと可変リリーフ弁19の下流を減衰弁21へ接続する第二ポジション23cとを備えた弁体23aと、第一ポジション23bを採るように弁体23aを附勢するばね23dと、可変リリーフ弁19より下流であって切換弁23の上流の圧力を弁体23aに対して第二ポジション23cを採るように作用させるパイロット通路23eとを備えている。切換弁23は、第一ポジション23bを採る際に作動油の通過に対して圧力損失を生じるようになっている。そして、作動油の通過流量が前記設定流量となるとパイロット通路23eで導入される圧力による弁体23aを押す力がばね23dの附勢力に打ち勝って弁体23aは、第一ポジション23bから第二ポジション23cへ切換わる。よって、切換弁23は、排出通路11を流れる作動油の流量が設定流量に満たない場合には、迂回路22を選択して減衰弁21を通過させずに作動油をタンク8へ流す。他方、切換弁23は、排出通路11を流れる作動油の流量が設定流量以上となると減衰弁21を選択して、減衰弁21を介して可変リリーフ弁19を通過した作動油をタンク8へ流す。つまり、切換弁23は、伸縮体1が第二速度v2未満で伸縮する場合には、迂回路22を選択し、伸縮体1が第二速度v2以上で伸縮する場合には、減衰弁21を選択する。迂回路22は、殆ど抵抗なく作動油を通過させるので、第一ポジション23bおよび迂回路22で生じる圧力損失は、可変リリーフ弁19で生じる圧力損失に比較しても非常に小さくなるように設定されている。
[0034]
 よって、減衰力切換部20は、伸縮体1の伸縮速度が第二速度v2未満では可変リリーフ弁19に比較して小さな圧力損失しか生じさせず、前記伸縮体1の伸縮速度が第二速度v2以上となると減衰弁21により可変リリーフ弁19より大きな圧力損失を生じさせる。
[0035]
 したがって、この本例のセミアクティブダンパADにあっては、第一開閉弁16および第二開閉弁18が遮断ポジションを採る場合にあって、外力を受けて伸長すると、圧縮されるロッド側室5から作動油が排出通路11を通じてタンク8へ押し出される。そして、拡大するピストン側室6には吸込通路14を通じてタンク8から作動油が供給される。この伸長作動時において伸縮体1の伸長速度が第二速度v2未満では、セミアクティブダンパADは、可変リリーフ弁19で作動油の流れに抵抗を与えて、伸長を抑制する減衰力を発揮する。また、伸長作動時において伸縮体1の伸長速度が第二速度v2以上となると、セミアクティブダンパADは、可変リリーフ弁19および減衰力切換部20における減衰弁21で作動油の流れに抵抗を与えて伸長を抑制する減衰力を発揮する。
[0036]
 反対に、第一開閉弁16および第二開閉弁18が遮断ポジションを採る場合にあって、外力を受けて伸縮体1が収縮すると、整流通路13を介して圧縮されるピストン側室6からロッド側室5へ作動油が移動する。また、伸縮体1の収縮時には、ロッド4がシリンダ2内に侵入するため、ロッド4がシリンダ2内に侵入する体積分の作動油がシリンダ2内で過剰となって排出通路11を通じてタンク8へ排出される。この収縮作動時において伸縮体1の収縮速度が第二速度v2未満では、セミアクティブダンパADは、可変リリーフ弁19で作動油の流れに抵抗を与えて、収縮を抑制する減衰力を発揮する。また、収縮作動時において伸縮体1の収縮速度が第二速度v2以上となると、セミアクティブダンパADは、可変リリーフ弁19および減衰力切換部20における減衰弁21で作動油の流れに抵抗を与えて収縮を抑制する減衰力を発揮する。
[0037]
 なお、第一開閉弁16も第二開閉弁18も非通電時に遮断ポジションを採り、電力供給不能な失陥時には、本例のセミアクティブダンパADは、前述のように伸縮に対して必ず減衰力を発揮するので、パッシブなダンパとして機能する。
[0038]
 また、本例のセミアクティブダンパADは、にあっては、第一開閉弁16を連通ポジションとして第二開閉弁18を遮断ポジションとする場合、ロッド側室5とピストン側室6が第一通路15を介して連通されるがピストン側室6とタンク8との連通が絶たれる。この状態で伸縮体1が外力を受けて収縮すると、ロッド4がシリンダ2内に侵入する体積分の作動油がシリンダ2から排出通路11へ排出され、前記同様に収縮に対抗する減衰力を発揮する。他方、この状態で、伸縮体1が伸長すると、縮小するロッド側室5から拡大するピストン側室6へ第一通路15を介して作動油が移動し、ロッド4がシリンダ2から退出する体積分の作動油が吸込通路14を介してタンク8からシリンダ2内へ供給される。よって、この場合、作動油が排出通路11へ流れないので、セミアクティブダンパADは減衰力を発揮しない。
[0039]
 さらに、本例のセミアクティブダンパADにあっては、第一開閉弁16を遮断ポジションとして第二開閉弁18を連通ポジションとする場合、ロッド側室5とピストン側室6の連通が絶たれるが、ピストン側室6とタンク8とが第二通路17を介して連通される。この状態で伸縮体1が外力を受けて伸長すると、ロッド側室5の縮小に伴ってロッド側室5から作動油が排出通路11へ排出され、前記同様に伸長に対抗する減衰力を発揮する。他方、この状態で、伸縮体1が収縮すると、縮小するピストン側室6から拡大するロッド側室5へ整流通路13を介して作動油が移動し、ロッド4がシリンダ2内へ侵入する体積分の作動油が第二通路17を介してピストン側室6からタンク8内へ排出される。よって、この場合、作動油が排出通路11へ流れないので、セミアクティブダンパADは減衰力を発揮しない。このように、このセミアクティブダンパADでは、伸長と収縮のいずれか一方を選択して減衰力を発揮する片利きのダンパとして機能できるようになっている。
[0040]
 このように構成されたセミアクティブダンパADにおける非通電時の減衰力特性は、図5に示したようになる。非通電時では、第一開閉弁16、第二開閉弁18および可変リリーフ弁19に電力供給せず、セミアクティブダンパADがパッシブダンパとして機能し、可変リリーフ弁19の開弁圧が最大となっている。非通電時におけるセミアクティブダンパADの減衰力特性は、伸縮体1の伸縮速度が第二速度v2(本例では、0.2m/sec)未満では、可変リリーフ弁19で減衰力を発揮するので、その減衰力特性は、図5に示すように、可変リリーフ弁19における特性が表れる。伸縮体1の伸縮速度が高くなり第二速度v2以上となると、切換弁23が第二ポジション23cに切換わって作動油は減衰弁21を通過するようになる。この場合、減衰弁21には設定流量以上の流量の作動油が流れ、この状態において減衰弁21おける圧力損失が可変リリーフ弁19における圧力損失よりも大きい。そのため、伸縮体1の伸縮速度が第二速度v2である0.2m/sec以上となると、セミアクティブダンパADの減衰力特性は、減衰弁21の特性が表れる。具体的には、図5に示すようにオリフィスの二乗特性が表れ、セミアクティブダンパADの高い減衰力を発揮する。なお、可変リリーフ弁19の開弁圧を調節すると、可変リリーフ弁19の特性のみが表れる伸縮体1の伸縮速度が0.2m/sec未満の範囲では、図5の特性線より下の範囲においてセミアクティブダンパADの減衰力を高低調節できる。
[0041]
 また、減衰弁21の流量圧力損失特性が絞り12と同じであるため、伸縮体1の伸縮速度が第一速度v1である0.6m/secとなるとに達するとセミアクティブダンパADの減衰力は40kNとなる。
[0042]
 前述したところから、セミアクティブダンパADは、第一開閉弁16および第二開閉弁18を遮断ポジションとする場合、パッシブダンパとして機能し、伸縮体1の伸縮速度が第二速度v2未満では可変リリーフ弁19へ供給する通電量を調節して開弁圧を調節すると減衰力を調節できる。また、第一開閉弁16および第二開閉弁18を遮断ポジションとする場合、セミアクティブダンパADは、パッシブダンパとして機能し、伸縮体1の伸縮速度が第二速度v2以上になると減衰弁21により発生する減衰力が高くなる。
[0043]
 また、第一開閉弁16を連通ポジションとして第二開閉弁18を遮断ポジションとする場合および第一開閉弁16を遮断ポジションとして第二開閉弁18を連通ポジションとする場合には、前述したように、伸長或いは収縮のいずれか一方に対してのみセミアクティブダンパADが減衰力を発揮するモードとなる。よって、たとえば、このモードを選択すれば、減衰力を発揮する方向が鉄道車両の台車の振動により車体を加振してしまう方向である場合、そのような方向には減衰力を出さないようにセミアクティブダンパADを片効きのダンパとできる。よって、このセミアクティブダンパADでは、カルノップのスカイフック理論に基づくセミアクティブ制御を容易に実現できるため、セミアクティブダンパADをスカイフックセミアクティブダンパとして機能させ得る。このように第一開閉弁16および第二開閉弁18を開閉させる場合、伸縮体1の伸縮速度が第二速度v2未満である場合には、可変リリーフ弁19によって減衰力を発揮するので、当該減衰力の調整が可能である。また、第一開閉弁16および第二開閉弁18を開閉させる場合であっても、伸縮体1の伸縮速度が第二速度v2以上となる場合には、セミアクティブダンパADは、減衰弁21によって高い減衰力を発揮する。
[0044]
 つづいて、鉄道車両の走行中に大きな地震が発生する等して、電力供給が途絶えた制御失陥時には、第一開閉弁16および第二開閉弁18が遮断ポジションを採り、前述のようにセミアクティブダンパADはパッシブダンパとして機能する。この状態では、伸縮体1が伸縮すると必ずシリンダ2内から作動油が排出され、排出された作動油は、排出通路11を通過してタンク8へ流入する。したがって、この制御失陥時にあってもセミアクティブダンパADは減衰力を発揮するが、大地震によって台車が激しく振動して車体との相対速度が速く、伸縮体1の伸縮速度が第二速度v2以上となると、セミアクティブダンパADは、減衰弁21によって減衰力を発揮するようになるため、可変リリーフ弁19のみで減衰力を発揮する平常時より高い減衰力を発揮する。
[0045]
 このように構成された鉄道車両用制振装置Sは、地震によって車体Bが著大な振動を呈するような場合には、鉄道車両用ダンパPDとセミアクティブダンパADとが協同して脱輪の防止に要する必要減衰力以上の減衰力を発揮する。よって、鉄道車両用ダンパPDおよび鉄道車両用制振装置Sは、鉄道車両が走行中に地震が発生しても車体Bの振動が速やかに低減されて脱輪を効果的に抑制できる。
[0046]
 また、鉄道車両用ダンパPDは、伸縮体1の伸縮速度が第二速度v2未満では、10kN未満の減衰力しか発揮しないので、セミアクティブダンパADが発揮する減衰力による車体Bの制振効果に悪影響を与えない。よって、鉄道車両用ダンパPDおよび鉄道車両用制振装置Sは、地震時には脱輪を効果的に防止できるとともに平常時には車体の制振効果を損なわない。
[0047]
 さらに、本例の鉄道車両用ダンパPDは、タンク8と、ピストン側室6からロッド側室5へ向かう作動油の流れのみを許容する整流通路13と、タンク8からピストン側室6へ向かう作動油の流れのみを許容する吸込通路14と、ロッド側室5とタンク8とを連通する排出通路11と、排出通路11に設けた絞り12とを備えている。このように構成された鉄道車両用ダンパPDによれば、ユニフロー型のダンパに設定されて、一つの排出通路11と一つの絞り12とで減衰部Vが構成されるので、製造コストが非常に安価となる。
[0048]
 また、本発明の鉄道車両用制振装置Sでは、一つの台車Tに対して設置された鉄道車両用ダンパPDとセミアクティブダンパADとが協同して脱輪の防止に要する必要減衰力以上の減衰力を発揮する。よって、一つの鉄道車両用ダンパのみで必要減衰力を発揮する場合に比較して、鉄道車両用ダンパPDとセミアクティブダンパADとが発揮すべき減衰力の上限を低くできるので、鉄道車両用ダンパPDおよびセミアクティブダンパADのロッド4の径が小径となってシリンダ2および外筒7の外径も小さくなる。また、一つの鉄道車両用ダンパで必要減衰力を発揮する場合、強度面の問題から鉄道車両側でも鉄道車両用ダンパPDを取付けるブラケットの大型化が避けられないが、本例の鉄道車両用制振装置Sでは、鉄道車両用ダンパPDおよびセミアクティブダンパADが必要減衰力を分担するので前記ブラケットの大型化も避けられる。よって、鉄道車両用制振装置Sは、脱輪防止を可能としつつも、鉄道車両用ダンパPDおよびセミアクティブダンパADの外径の大径化と鉄道車両側のブラケットの大型化も防止できるので鉄道車両への搭載性が良好となる。
[0049]
 さらに、本例の鉄道車両用制振装置Sでは、鉄道車両用ダンパPDおよびセミアクティブダンパADは、第一速度v1で伸縮する場合に発揮する減衰力は必要減衰力を設置数で除した値に設定されている。よって、鉄道車両用ダンパPDおよびセミアクティブダンパADを構成するシリンダ2、ピストン3、ロッド4といった各部品を共通部品で構成でき、より一層の小型化に寄与でき、鉄道車両側のブラケットも共通部品となる。したがって、鉄道車両用制振装置Sにおける各鉄道車両用ダンパPDおよびセミアクティブダンパADの加工、組付、メンテナンスも非常に容易となる。
[0050]
 また、減衰力切換部20は、本例では、排出通路11における可変リリーフ弁19の下流に設けられる減衰弁21と、排出通路11の減衰弁21の上流から分岐して減衰弁21を迂回してタンク8に連通される迂回路22と、排出通路11の可変リリーフ弁19と減衰弁21との間に設けた切換弁23とを備えている。そして、減衰力切換部20によって高い減衰力を発揮し始める第二速度v2としては、本例では、地震時に到達するであろう台車Tに対する車体Bの相対速度に設定されている。減衰力切換部20がこのように構成されたシリンダ装置C1では、地震時以外の平常時では切換弁23が迂回路22を選択して減衰弁21を迂回するため減衰弁21の影響を受けず、地震時には減衰弁21を有効として高減衰力を発揮して脱輪を効果的に防止できる。また、減衰弁21は、本例ではオリフィスとされているので安価で済むが、オリフィス以外の弁を採用してもよい。
[0051]
 なお、減衰力切換部20は、前記構成に限定されるものではない。減衰力切換部20は、伸縮体1の伸縮速度が所定速度以上となると可変リリーフ弁19より大きな圧力損失を生じさせるものであればよい。このようにすれば、減衰力切換部20は、第二速度v2未満では可変リリーフ弁19よる小さな圧力損失を生じさせるので、平常時における可変リリーフ弁19よって発揮される減衰力への影響が少なく、地震時には脱輪を防止できる。
[0052]
 また、本例のセミアクティブダンパADにあっては、ロッド側室5とピストン側室6とを連通する第一通路15の途中に設けた第一開閉弁16と、ピストン側室6とタンク8とを連通する第二通路17の途中に設けた第二開閉弁18と、ピストン側室6からロッド側室5へ向かう流れのみを許容する整流通路13と、タンク8からピストン側室6へ向かう流れのみを許容する吸込通路14とを備えている。よって、本例のセミアクティブダンパADでは、カルノップのスカイフック理論に基づくセミアクティブ制御を容易に実現でき、セミアクティブダンパADをスカイフックセミアクティブダンパとして機能させ得る。なお、整流通路13を第一開閉弁16の遮断ポジションに統合し、吸込通路14を第二開閉弁18の遮断ポジションに統合してもよい。
[0053]
 また、鉄道車両用制振装置Sでは、鉄道車両用ダンパPDとセミアクティブダンパADとで構成されているが、鉄道車両用ダンパPDと以下の構成のアクチュエータAとで構成されてもよい。
[0054]
 <アクチュエータ>
 アクチュエータAは、図6に示すように、セミアクティブダンパADの構成に加えて、ロッド側室5へ作動油を供給可能なポンプ25を設けたものである。アクチュエータAは、具体的には、タンク8とロッド側室5とを連通する供給通路24と、この供給通路24に設けられて作動油をタンク8から吸い上げてロッド側室5へ吐出するポンプ25と、供給通路24のポンプ25の吐出側に設けられてロッド側室5からタンク8へ向かう作動油の流れを阻止する逆止弁26とを備えている。
[0055]
 そして、ポンプ25は、図示しないコントローラに制御されるモータ27によって駆動され、一方向のみに作動油を吐出するポンプとされている。また、ポンプ25は、供給通路24に吸込口をタンク8側に吐出口をロッド側室5側に向けて設置されていて、モータ27によって駆動されるとタンク8から作動油を吸込んでロッド側室5へ作動油を供給する。
[0056]
 前述のようにポンプ25は、一方向のみに作動油を吐出するのみで回転方向の切換動作がないので、回転切換時に吐出量が変化するといった問題は皆無であり、安価なギアポンプ等を使用できる。
[0057]
 さらに、ポンプ25の回転方向が常に同一方向であるので、ポンプ25を駆動する駆動源であるモータ27にあっても回転切換に対する高い応答性が要求されず、その分、モータ27も安価なものを使用できる。なお、逆止弁26は、アクチュエータAが外力によって強制的に伸縮させられる際に、ポンプ25側への作動油の逆流を阻止するために設けてある。
[0058]
 つづいて、前記のように構成されたアクチュエータAに所望の伸長方向の推力を発揮させる場合、モータ27を回転させポンプ25からシリンダ2内へ作動油を供給しつつ、第一開閉弁16を連通ポジションとし第二開閉弁18を遮断ポジションとする。すると、ロッド側室5とピストン側室6とが連通状態におかれて両者にポンプ25から作動油が供給され、ピストン3が図6中左方へ押されアクチュエータAは伸長方向の推力を発揮する。ロッド側室5内およびピストン側室6内の圧力が可変リリーフ弁19の開弁圧を上回ると、可変リリーフ弁19が開弁して作動油が排出通路11を介してタンク8へ排出される。よって、ロッド側室5内およびピストン側室6内の圧力は、可変リリーフ弁19に与える電流量で決まる可変リリーフ弁19の開弁圧にコントロールされる。そして、アクチュエータAは、ピストン3におけるピストン側室6側とロッド側室5側の受圧面積差に可変リリーフ弁19によってコントロールされるロッド側室5内およびピストン側室6内の圧力を乗じた値の伸長方向の推力を発揮する。
[0059]
 これに対して、アクチュエータAに所望の収縮方向の推力を発揮させる場合、モータ27を回転させてポンプ25からロッド側室5内へ作動油を供給しつつ、第一開閉弁16を遮断ポジションとし第二開閉弁18を連通ポジションとする。すると、ピストン側室6とタンク8が連通状態におかれるとともにロッド側室5にポンプ25から作動油が供給されるので、ピストン3が図6中右方へ押されアクチュエータAは収縮の推力を発揮する。そして、前述と同様に、可変リリーフ弁19へ与える電流量の調節により、アクチュエータAは、ピストン3におけるロッド側室5側の受圧面積と可変リリーフ弁19によってコントロールされるロッド側室5内の圧力を乗じた収縮方向の推力を発揮する。
[0060]
 また、第一開閉弁16を開き第二開閉弁18を閉じた状態で、外力でロッド4が図6中左方へ移動する場合、ポンプ25の駆動の有無に拘わらず、アクチュエータAはロッド4の移動を妨げる方向、つまり、収縮方向の力を発揮しない。この場合、ポンプ25が駆動中では、ロッド4がシリンダ2から退出する際に減少するシリンダ2内における体積変化にポンプ25の吐出流量が追い付かなくなるが、吸込通路14を通じてタンク8からシリンダ2内へ作動油が供給される。また、この場合において、ポンプ25が駆動していない場合には、ロッド4がシリンダ2から退出する体積分の作動油が吸込通路14を通じてタンク8からシリンダ2内へ作動油が供給される。いずれにせよ、この場合には、シリンダ2内の圧力はタンク圧となるから、アクチュエータAはロッド4の移動を妨げる方向、つまり、収縮方向の減衰力を発揮しない。
[0061]
 なお、第一開閉弁16を開き第二開閉弁18を閉じた状態で、外力でロッド4が図6中右方へ移動する場合、ポンプ25の駆動の有無に拘わらず、シリンダ2内へのロッド4の侵入によってシリンダ2内から押し出された作動油は、排出通路11を通じてタンク8へ戻される。この場合には、シリンダ2内の圧力が可変リリーフ弁19によって所望の圧力に制御されるので、アクチュエータAはロッド4の移動を妨げる方向、つまり、伸長方向の力を発揮できる。
[0062]
 他方、第一開閉弁16を閉じ第二開閉弁18を開いた状態で、外力でロッド4が図6中右方へ移動する場合、ポンプ25の駆動の有無に拘わらず、アクチュエータAはロッド4の移動を妨げる方向、つまり、伸長方向の力を発揮しない。この場合、ポンプ25が駆動中では、ロッド4がシリンダ2へ進入する際に増加するロッド側室5内における体積変化にポンプ25の吐出流量が追い付かなくなるが、整流通路13を通じてピストン側室6からロッド側室5内へ作動油が供給される。また、ロッド4がシリンダ2内へ進入するために、シリンダ2内でロッド4のシリンダ2侵入分の体積の作動油が過剰となるが、圧縮側のピストン側室6が第二通路17を通じており、この過剰分の作動油がタンク8へ排出される。また、この場合において、ポンプ25が駆動していない場合にも、駆動中と同様に、ロッド4がシリンダ2へ進入する際に増加するロッド側室5内の体積分の作動油が整流通路13を通じてピストン側室6から供給される。そして、過剰となるロッド4のシリンダ2侵入分の体積の作動油は、圧縮されるピストン側室6から第二通路17を介してタンク8へ排出される。いずれにせよ、この場合には、シリンダ2内の圧力はタンク圧となるから、アクチュエータAはロッド4の移動を妨げる方向、つまり、伸長方向の減衰力を発揮しない。
[0063]
 なお、第一開閉弁16を閉じて第二開閉弁18を開いた状態で、外力でロッド4が図6中左方へ移動する場合、ポンプ25の駆動の有無に拘わらず、ロッド側室5から押し出された作動油は、排出通路11を通じてタンク8へ戻される。この場合には、ロッド側室5内の圧力が可変リリーフ弁19によって所望の圧力に制御されるので、アクチュエータAはロッド4の移動を妨げる方向、つまり、収縮方向の力を発揮できる。
[0064]
 つまり、第一開閉弁16を開いて第二開閉弁18を閉じる場合或いは第一開閉弁16を閉じて第二開閉弁18を開く場合、ポンプ25の駆動状況に拘わらず、アクチュエータAは、外力からの振動入力に対して伸長或いは収縮のいずれか一方にのみ減衰力を発揮する状態となる。
[0065]
 よって、本例のアクチュエータAは、たとえば、力を発揮する方向が鉄道車両の台車Tの振動により車体Bを加振する方向である場合、そのような方向には力を出さないようにアクチュエータAを片効きのダンパとして機能させ得る。よって、このアクチュエータAは、カルノップのスカイフック理論に基づくセミアクティブ制御を容易に実現できるため、セミアクティブダンパとしても機能できる。
[0066]
 そして、このアクチュエータAにあっても、セミアクティブダンパADの説明で理解できるように、第一開閉弁16と第二開閉弁18の開閉のみでダンパとして機能もできる。つまり、モータ27でポンプ25を駆動している状況にあっても、アクチュエータAが外力で強制的に伸縮させられる際には、スカイフックセミアクティブダンパとしてもパッシブダンパとして機能でき、可変リリーフ弁19の開弁圧の調節で減衰力も調節できる。このように、アクチュエータAは、アクチュエータとして機能するのみならず、モータ27の駆動状況に拘わらず、第一開閉弁16と第二開閉弁18の開閉のみでダンパとしても機能できる。そして、アクチュエータAが推力或いは減衰力を発揮すべき方向は、第一開閉弁16と第二開閉弁18の開閉のみで制御され、推力と減衰力を発揮すべき方向が同じである場合には第一開閉弁16と第二開閉弁18の開閉状態は一致する。よって、アクチュエータAでは、アクチュエータとスカイフックセミアクティブダンパの状態の切換えを、ポンプ25の停止と駆動の切換えや、面倒かつ急峻な第一開閉弁16と第二開閉弁18の切換動作を伴わずに行える。したがって、アクチュエータAは、応答性および信頼性が高いシステムとなる。
[0067]
 このように構成されたアクチュエータAは、減衰力切換部20を備えているので、セミアクティブダンパASと同様に、アクチュエータAが外力で伸縮させられた際に伸縮速度が所定速度以上となると減衰弁21によって高い減衰力を発揮する。よって、鉄道車両用ダンパPDと本例のアクチュエータAとで鉄道車両用制振装置Sを構成しても、車体Bが著大な振動を呈しても高減衰力を発揮して車体Bの振動を低減でき、鉄道車両が走行中に地震が発生しても車体Bの振動が速やかに低減されて脱輪を効果的に抑制できる。
[0068]
 また、鉄道車両用ダンパPDは、伸縮速度が第二速度v2未満の平常時には、低い減衰力しか発生しないので、アクチュエータAによる車体Bの振動抑制に対して悪影響を与えずに済む。
[0069]
 なお、鉄道車両用制振装置Sは、一つ以上の鉄道車両用ダンパPDと、アクチュエータAとセミアクティブダンパADのうち一方とを有して構成されればよい。よって、鉄道車両用制振装置Sは、一つ以上の鉄道車両用ダンパPDと一つ以上のアクチュエータAとで構成されてもよいし、一つ以上の鉄道車両用ダンパPDと一つ以上のセミアクティブダンパADとで構成されてもよい。さらには、鉄道車両用制振装置Sは、一つ以上の鉄道車両用ダンパPDと一つ以上のアクチュエータAと一つ以上のセミアクティブダンパADとで構成されてもよい。そして、必要減衰力を鉄道車両用ダンパPD、アクチュエータAおよびセミアクティブダンパADの一つの台車Tあたりの総設置数で割った値に鉄道車両用ダンパPD、アクチュエータAおよびセミアクティブダンパADが第一速度v1以上の速度で伸縮する際に発揮する減衰力を設定すれば、鉄道車両用ダンパPD、アクチュエータAおよびセミアクティブダンパADを小型化でき鉄道車両への搭載性が向上する。
[0070]
 以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
[0071]
 本願は、2017年8月31日に日本国特許庁に出願された特願2017-167006に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。

請求の範囲

[請求項1]
 鉄道車両用ダンパにおいて、
 シリンダと、前記シリンダ内に挿入されるロッドと、前記シリンダ内に摺動自在に挿入されるとともに前記ロッドに連結されて、前記シリンダ内をロッド側室とピストン側室とに区画するピストンとを有して、鉄道車両の車体と台車との間に介装される伸縮体と、
 前記伸縮体が伸縮する際に減衰力を発揮させる減衰部とを備え、
 伸縮速度が第一速度以上となると鉄道車両の脱輪の防止に要求される減衰力以上の減衰力を発揮し、前記伸縮速度が前記第一速度よりも低い第二速度未満では10kN以下の減衰力を発揮する
 鉄道車両用ダンパ。
[請求項2]
 請求項1に記載の鉄道車両用ダンパにおいて、
 タンクと、
 前記ピストン側室から前記ロッド側室へ向かう流れのみを許容する整流通路と、
 前記タンクから前記ピストン側室へ向かう流れのみを許容する吸込通路とを備え、
 前記減衰部は、前記ロッド側室と前記タンクとを連通する排出通路と、前記排出通路に設けた絞りを有する
 鉄道車両用ダンパ。
[請求項3]
 鉄道車両用制振装置において、
 前記車体と前記台車との間に介装される一つ以上の請求項1に記載の鉄道車両用ダンパと、
 前記車体と前記台車との間に介装されるアクチュエータ或いはセミアクティブダンパの少なくとも一方を有し、
 前記伸縮速度が前記第一速度以上となる際に発揮される減衰力の総和を地震時に一つの前記台車あたり要求される必要減衰力以上とした
 鉄道車両用制振装置。
[請求項4]
 請求項3に記載の鉄道車両用制振装置において、
 前記伸縮速度が前記第一速度以上となる際に発揮する減衰力を、前記必要減衰力を一つの前記台車に設置される前記鉄道車両用ダンパ、前記アクチュエータおよび前記セミアクティブダンパの設置総数で割った値に等しくした
 鉄道車両用制振装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]