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1. (WO2019044288) LIGHT-EMITTING DEVICE
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明 細 書

発明の名称 発光装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067  

実施例

0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098  

産業上の利用可能性

0099  

符号の説明

0100  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 発光装置

技術分野

[0001]
 本発明は、固体発光素子、特にレーザーダイオードと、蛍光体を組み合わせてなる発光装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、固体発光素子と、蛍光体を含む波長変換体とを組み合わせてなる発光装置が知られている。このような発光装置としては、例えば、白色LED光源、あるいは、レーザー照明装置やレーザープロジェクターが知られている。
[0003]
 レーザー光を利用する発光装置では、蛍光体を励起する光のパワー密度の増加に伴う光出力飽和を緩和するために、超短残光性の蛍光を放つCe 3+付活蛍光体の利用が好まれる。そして、緑色系(青緑又は緑色)の蛍光を放つCe 3+付活蛍光体と、暖色系(橙又は赤色)の蛍光を放つCe 3+付活蛍光体を少なくとも組み合わせて利用することによって、高演色性の照明光を実現できるようになる(例えば、特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開第2016/092743号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、一般に、暖色系Ce 3+付活蛍光体は、青~青緑の光成分をよく吸収する特性を持つ。したがって、暖色系蛍光体と緑色系蛍光体が近接する装置構造とした場合には、緑色系蛍光体が放つ緑色系光の短波長側(青~青緑色)の光成分が、暖色系蛍光体に吸収されて強度低下し、出力光の演色性が下がる課題があった。
[0006]
 本開示は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして本開示の目的は、色調が異なる複数種のCe 3+付活蛍光体と励起源とを備える発光装置において、暖色系蛍光体と緑色系蛍光体とが近接する装置構造とした場合でも、青緑色の光成分強度が比較的大きく出力光の演色性が高い発光装置を提供することである。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記課題を解決するために、本開示の態様に係る発光装置は、440nm以上470nm未満の波長領域内に強度最大値を持つ励起光を放つ固体発光素子と、粒子状の蛍光体であり、かつ、Ce 3+で付活された無機蛍光体である第一の蛍光体を含む第一の波長変換体及びCe 3+で付活された無機蛍光体である第二の蛍光体を含む第二の波長変換体を組み合わせてなる波長変換部材とを備える。第一の蛍光体は470nm以上530nm未満の波長領域内に強度最大値を持つ第一の蛍光を放ち、第二の蛍光体は580nm以上660nm未満の波長領域内に強度最大値を持つ第二の蛍光を放つ。第一の波長変換体は、第一の蛍光体の粒子同士が接触していない分散状態を有する。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 本開示の実施の形態に係る発光装置の一例の概略図である。
[図2] 本開示の実施の形態に係る発光装置の一例の概略図である。
[図3] 本開示の実施の形態に係る発光装置の一例の概略図である。
[図4] 第一の波長変換体の上面図である。
[図5] 実施例に係る蛍光体の電子顕微鏡写真である。
[図6] 実施例に係る第一の波長変換体の蛍光スペクトル(a)、及び、第一の蛍光体(圧粉体)の蛍光スペクトル(b)を示す図である。
[図7] 実施例に係る第二の蛍光体における光吸収率の波長依存性を表す励起スペクトル(a)、並びに、第一の蛍光体の蛍光スペクトル(b)及び第二の蛍光体の蛍光スペクトル(c)を示す図である。
[図8] 第一の蛍光体の分散状態を変えた7種類の実施例に係る波長変換部材の蛍光スペクトル(a)、並びに、第一の蛍光体の蛍光スペクトル(b)及び第二の蛍光体の蛍光スペクトル(c)を示す図である。
[図9] 第一及び第二の蛍光体の粒子を異なる比で混合した圧粉体として作製した5種類の比較例に係る波長変換部材の蛍光スペクトル(a)、並びに、第一の蛍光体の蛍光スペクトル(b)及び第二の蛍光体の蛍光スペクトル(c)を示す図である。
[図10] 図8と同じ実施例の各波長変換部材が放つ蛍光と、波長455nmの青色レーザー光との加法混色によって得られた、黒体軌跡上に位置する白色光の分光分布である。
[図11] 図9と同じ比較例の各波長変換部材が放つ蛍光と、波長455nmの青色レーザー光との加法混色によって得られた、黒体軌跡上に位置する白色光の分光分布である。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本実施形態の好ましい具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、あくまで一例であって、本実施形態を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本実施形態の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
[0010]
 なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。なお、本明細書において、「Ce 3+付活蛍光体」を単に「蛍光体」と呼ぶこともある。
[0011]
 まず、本実施形態に係る発光装置の構成について、図1~3を用いて説明する。図1は、透過型と呼ばれる構造を持つ発光装置の概略図、図2及び図3は、反射型と呼ばれる構造を持つ発光装置の概略図である。透過型の発光装置は、図1に示すように、第一の波長変換体1及び第二の波長変換体2が積層された波長変換部材100を備えており、蛍光体を励起する励起光3が、波長変換部材100を透過するような方向に出力されるという特徴を持つ。そして、励起光3は、第二の波長変換体2を直接照射するように波長変換部材100に入射し、波長変換部材100を透過した光成分は、出力光4として出力される。
[0012]
 このような透過型の発光装置にすると、波長変換部材100の厚みを厚くすることによる励起光3の光成分の強度を抑えることが容易になる。したがって、励起光3が特定の波長成分に集中する分光分布を持つ光、例えばレーザー光であっても、出力光4を低色温度の白色光とすることが容易な発光装置になる。また、第一の波長変換体1が放つ蛍光の青緑色の光成分が、第二の波長変換体2に吸収される確率が小さくなるので、第一の波長変換体1が放つ蛍光が本来の蛍光スペクトル形状を保つようになり、出力光4を高演色性の白色光とすることが容易な発光装置になる。
[0013]
 一方、反射型の発光装置は、図2及び図3に示すように、第一の波長変換体1及び第二の波長変換体2が積層された波長変換部材100を備えており、波長変換部材100によって反射されるような方向に励起光3が出力されるという特徴を持つ。そして、励起光3は、第一の波長変換体1を直接照射するように波長変換部材100に入射し、波長変換部材100に反射された光成分は、出力光4として出力される。
[0014]
 このような反射型の発光装置にすると、第二の波長変換体2の放熱設計が容易な装置構造を取り得るので、温度消光が比較的大きな蛍光体を第二の蛍光体として選択できる発光装置になる。また、出力光4を放つ光出力面が第一の波長変換体1となる装置構造を取り得るので、光出力面の見た目が、第一の波長変換体1の体色に近い色を呈し、比較的目立ち難いものになる。さらに、第一の波長変換体1が放つ蛍光の青緑色の光成分が第二の波長変換体2に吸収される確率が小さくなるので、第一の波長変換体1が放つ蛍光が本来の蛍光スペクトル形状を保つようになり易く、出力光4を高演色性の白色光とすることが容易になる。
[0015]
 図1~3において、第一の波長変換体1は、少なくとも、第一の蛍光31を放つ第一の蛍光体1AとしてのCe 3+付活蛍光体を含む波長変換体である。第一の波長変換体1は、例えば、波長470nm以上530nm未満、好ましくは波長480nm以上515nm未満に蛍光ピークを持つ第一の蛍光を放つCe 3+付活蛍光体(第一の蛍光体1A)を含んでなる。
[0016]
 第一の波長変換体1は、図1及び図3に示すように、第一の蛍光体1Aを封止材5で封止することによって作製できる。封止材は、有機材料及び無機材料の少なくとも一方、特に、透明(透光性)有機材料及び透明(透光性)無機材料の少なくとも一方であり得る。有機材料の封止材としては、例えば、シリコーン樹脂などの透明有機材料が挙げられる。無機材料の封止材としては、例えば、低融点ガラスなどの透明無機材料が挙げられる。
[0017]
 第一の波長変換体1は、図2に示すように、第一の蛍光体1Aの粒子を第二の波長変換体2に固着させ、又は図3に示すように、第二の波長変換体2上に設けられる透光性部材6に固着させることによっても作製できる。固着のためには、有機結着剤及び無機結着剤の少なくとも一方を利用することができる。結着剤の例としては、一般的に利用される樹脂系の接着剤、及びセラミックス微粒子や低融点ガラスなどが挙げられる。
[0018]
 本実施形態において、第一の蛍光体1Aは粒子状である。本実施形態において、粒子状の蛍光体の平均粒子径は、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。蛍光体粒子の平均粒子径は、50μm未満であることが好ましく、30μm未満であることがより好ましい。これらの蛍光体粒子は、肉眼的には粉末状であり得る。ここで、平均粒子径とは、蛍光体の粒子群を顕微鏡で観察した際の、粒子の最長軸長さの平均値をいう。
[0019]
 本実施形態の発光装置は、図1~3に示すように、第一の波長変換体1が、第一の蛍光体1Aの粒子同士が接触していない分散状態を持つことを特徴としている。この分散状態では、第一の波長変換体の上面図(図4)における、第一の波長変換体の面積に対する、第一の蛍光体1Aの粒子の面積が占める割合が、90%未満、好ましくは80%未満、より好ましくは50%未満である。この分散状態では、第一の波長変換体1における第一の蛍光体1Aの全粒子のうち、他の粒子と接触しているものの割合が50%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは10%未満、特に好ましくは1%未満又は0%である。そして、このような分散状態にすると、Ce 3+付活蛍光体の平均的な粒子間距離は長くなる。
[0020]
 ここで、第一の蛍光体1Aは、後述する自己吸収効果を持つCe 3+付活蛍光体であるので、このように粒子間距離を離すと、Ce 3+付活蛍光体の自己吸収効果が緩和されることになる。この結果、蛍光スペクトルは全体的に短波長シフトし、蛍光体の組成は同じままで青緑色の光成分強度が増すように作用する。青緑色の光成分は、白色出力光の演色性改善効果を持つので、これによって高演色性の出力光4を得ることが容易な発光装置になる。
[0021]
 以下、Ce 3+付活蛍光体の自己吸収効果を説明する。まず、自己吸収効果を理解する上で必要となる、Ce 3+付活蛍光体の特性を説明する。
[0022]
 Ce 3+付活蛍光体の光吸収と蛍光は、それぞれ、Ce 3+イオンの4f →5d と5d →4f の電子エネルギー遷移、詳しくは、n=1の時の4f ⇔4f n-15d 遷移に基づいている。すなわち、Ce 3+イオンの中の4f殻の中の一つの電子が4f殻から5d殻へと励起される光吸収過程と、その逆の、5d殻に励起された一つの電子が5d殻から4f殻へと緩和される蛍光過程がある。これらの電子エネルギー遷移は、量子力学でいうところのパリティー許容・スピン許容遷移であり、自然界で許された電子エネルギー遷移のため、光吸収と蛍光は難なく生じるものとなる。
[0023]
 また、上記4f ⇔4f n-15d 遷移による光吸収と蛍光を示す付活剤(Ce 3+、Eu 2+、Yb 2+)に共通する特徴として、ストークスシフトが小さく、励起スペクトルの長波長端と蛍光スペクトルの短波長端が重なっていることが挙げられる。ストークスシフトは、光吸収と蛍光のエネルギー差を指し、光吸収ピークと蛍光ピークの波長差のエネルギー換算値に相当する。
[0024]
 なお、このようなCe 3+のエネルギー遷移とその特徴については、希土類蛍光体に関わるハンドブックや教科書に詳しく、当業者がよく知るところでもある。
[0025]
 このような特性を持つため、Ce 3+付活蛍光体の結晶粒子同士が近接すると、Ce 3+付活蛍光体(以後、Ce 3+付活蛍光体A)の蛍光の短波長成分が、これとは別の、近接するCe 3+付活蛍光体(以後、Ce 3+付活蛍光体B)に吸収されることになる。この結果、Ce 3+付活蛍光体Aは、蛍光スペクトルの短波長側の光成分強度が低下した蛍光を放つものになる。
[0026]
 一方、Ce 3+付活蛍光体Aの蛍光スペクトルにおける短波長側の光成分を吸収したCe 3+付活蛍光体Bは、その光エネルギーを、それよりもエネルギーが低い長波長の蛍光成分に変換することになる。この結果、Ce 3+付活蛍光体Bは、蛍光スペクトルの長波長側の光成分強度が相対的に増大した蛍光を放つものになる。
[0027]
 そして、複数のCe 3+付活蛍光体の結晶粒子同士を近接させた場合には、このような効果が平均化されるので、Ce 3+付活蛍光体の一個の結晶粒子が孤立している場合と比較して、蛍光スペクトルは長波長側にシフトしたものになる。
[0028]
 つまり、組成や粒子サイズ等が同一の蛍光体であっても、蛍光体の結晶粒子間の距離や近接する粒子の数に依存して、蛍光スペクトルや蛍光ピーク波長は変わり、蛍光体粒子がまばらに分散していればいるほど、短波長シフトしたものになるのである。
[0029]
 このことは、蛍光体粒子の集合体に励起光を照射して評価する一般的なフォトルミネッセンス評価法において、少なくともCe 3+付活蛍光体に関しては、単粒子の蛍光スペクトルと比べ相対的に長波長シフトしたスペクトルが得られていることを意味する。
[0030]
 本実施形態は、Ce 3+付活蛍光体の蛍光スペクトル評価で認められるこのような現象を積極的に利用するものである。具体的には、青緑色の光成分を少なくとも持つ蛍光を放つCe 3+付活蛍光体の粒子をまばらに配置して利用することによって、高演色性の白色光を得る上で寄与度の大きい青緑色の光成分強度を高めて、高演色性照明を実現するものである。
[0031]
 なお、本実施形態は、青色レーザー光と蛍光体を利用するレーザー照明技術において特に有利な効果を奏するものである。これは、青色レーザー光では利用できる蛍光スペクトルが極めて限定されるために、青緑色光成分がとりわけ重要視されることによる。
[0032]
 図1~3において、第二の波長変換体2は、少なくとも、第一の蛍光31とは異なる第二の蛍光32を放つ第二の蛍光体2A(図示せず)を含む波長変換体である。第二の波長変換体2は、例えば、波長580nm以上660nm未満、好ましくは590nm以上640nm未満、より好ましくは595nm以上620nm未満に蛍光ピークを持つ第二の蛍光を放つCe 3+付活蛍光体を含んでなる波長変換体である。このような第二の蛍光体2Aを利用すると高演色性の照明光を得ることが容易になる。
[0033]
 そして、このような波長変換体は、第二の蛍光体2Aを有機材料あるいは無機材料の封止材で封止する、あるいは、焼結体もしくはセラミックスとすることによって作製できる。
[0034]
 なお、本実施形態の発光装置においては、第二の蛍光体2Aは、一般に、第一の蛍光31の光成分の少なくとも一部を吸収する光吸収特性を持つ。そして、第二の蛍光体2Aは、第一の蛍光31の短波長側となる青緑色の光成分を多く吸収する光吸収特性を持つ傾向にあるので、青緑色の光成分強度を増す工夫が重要となる。
[0035]
 このため、波長変換部材100を第一の波長変換体1と第二の波長変換体2の二層構造とした上で、第二の波長変換体2の側に励起光3を照射して、少なくとも励起光3と第二の蛍光32とが波長変換部材100を透過する装置構造が好ましい形態となる(図1)。これを透過型の装置構造という。または、同様の二層構造とした上で、第一の波長変換体1の側に励起光3を照射して、少なくとも励起光3と第一の蛍光31とが波長変換部材100によって反射される装置構造が好ましい形態となる(図2及び図3)。これを反射型の装置構造という。
[0036]
 このような構造では、第一の蛍光体1Aが放つ第一の蛍光31が、第二の蛍光体2Aに吸収されることなく、出力光4の光成分として利用される割合が多くなる。したがって、第一の蛍光31は、第一の蛍光体1Aが本来持つ蛍光スペクトル形状に近いものになり、青緑色の光成分割合が多い出力光4を放つ発光装置になる。
[0037]
 図1~3において、励起光3は励起源(図示せず)が放つ光であり、第一の波長変換体1が含む第一の蛍光体1A又は第二の波長変換体2が含む第二の蛍光体2Aの少なくとも一方を励起する光である。
[0038]
 なお、励起光3は、440nm以上470nm未満、好ましくは445nm以上465nm未満、より好ましくは450nm以上460nm未満の波長領域内に強度最大値を持つ青色光とすることが好ましい。このようにすると、ハイパワーで比較的安価な半導体発光素子、特にレーザーダイオードを励起源として利用できるものになる。
[0039]
 なお、本実施形態において、好ましい励起光3はレーザー光である。これによって、光密度が大きく、指向性や収束性に優れるレーザー光を、第一の蛍光体1Aや第二の蛍光体2Aの励起光として、あるいは、発光装置の出力光4の光成分として利用できるものになる。
[0040]
 図1~3において、出力光4は、発光装置が放つ出力光であり、例えば照明用途の白色光である。出力光4は、励起光3と、励起光3が第一の蛍光体1Aによって波長変換された第一の蛍光31と、励起光3が第二の蛍光体2Aによって波長変換された第二の蛍光32の各光成分が加法混合された混色光とすることもできる。
[0041]
 図1~3から判るように、本実施形態に係る発光装置は、励起源とする固体発光素子(図示せず)と、波長変換部材100とを備える。そして、波長変換部材100は、粒子状の蛍光体であり、かつ、Ce 3+で付活された無機蛍光体である第一の蛍光体1Aを含む第一の波長変換体1と、Ce 3+で付活された無機蛍光体である第二の蛍光体2Aを含む第二の波長変換体2とを組み合わせてなる。そして、固体発光素子は、440nm以上470nm未満の波長領域内に強度最大値を持つ励起光3を放つ。さらに、第一の蛍光体1Aは、470nm以上530nm未満の波長領域内に強度最大値を持つ第一の蛍光31を放ち、第二の蛍光体2Aは、580nm以上660nm未満の波長領域内に強度最大値を持つ第二の蛍光32を放つ。
[0042]
 本実施形態の発光装置は、このような構成の発光装置において、第一の波長変換体1が、第一の蛍光体1Aの粒子同士が接触していない分散状態を有している。つまり、発光装置は、第一の蛍光体1Aの粒子がまばらになるように配置したことを特徴とするものである。
[0043]
 このような構造にすることによって、第一の蛍光体1AとなるCe 3+付活蛍光体の粒子間距離が相対的に長くなるので、Ce 3+付活蛍光体の、先に説明した自己吸収効果が緩和され、蛍光スペクトルが全体的に短波長シフトする。その結果、演色性改善効果を持つ青緑色の光成分強度が増し、出力光4を高演色性の白色光とすることが容易な発光装置になる。
[0044]
 つまり、本実施形態の発光装置において、第一の蛍光体1Aは、粒子同士が接触していない分散状態を保つことによって、蛍光ピークが短波長シフトしているものとなっている。本実施形態では、このように、第一の蛍光体の組成を変えることなく、蛍光ピークを短波長シフトさせることができるので、既存の蛍光体を利用して、出力光のスペクトルを制御できる。
[0045]
 本実施形態の発光装置の好ましい一例では、第二の蛍光体2Aは粒子状の蛍光体であり、第二の波長変換体2は、第二の蛍光体2Aの粒子同士が接触している接触構造を有するものとすることもできる。この接触構造では、第二の波長変換体2における第二の蛍光体2Aの全粒子のうち、他の粒子と接触しているものの割合が90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上又は100%である。このようにすると、Ce 3+付活蛍光体の粒子間距離が短くなるので、Ce 3+付活蛍光体の自己吸収効果が高まり、長波長の蛍光成分割合が増す。そのため、白色出力光の演色性改善効果、特に、特殊演色評価数R9の改善効果を持つ赤色の光成分強度を増加させることが可能となる。
[0046]
 本実施形態の発光装置の好ましい別の一例では、第二の蛍光体2Aは、蛍光体の焼結体又はセラミックスである。蛍光体の焼結体とは、蛍光体が焼結してなり、内部に複数の空隙を有するものを表す。蛍光体のセラミックスとは、蛍光体が焼結してなり、内部に複数の空隙を有さないものを表す。Ce 3+付活蛍光体の焼結体やセラミックスは、本来、Ce 3+付活蛍光体の自己吸収効果が大きい構造であるため、長波長の蛍光成分割合が増加し、白色出力光の演色性改善効果を持つ赤色の光成分強度が増すことになる。また、焼結体やセラミックスは、熱伝導性に優れるので、これを採用すると、放熱設計によって波長変換体の低温化を図ることが容易な発光装置になる。
[0047]
 そして、波長変換部材100を第一の波長変換体1と第二の波長変換体2の積層構造とする形態では、第一の蛍光31が第一の蛍光体本来の蛍光スペクトル形状を保ちやすく、80、好ましくは85を超える高Raの出力光4を放つことが容易な発光装置になる。
[0048]
 本実施形態において、第一の蛍光31は、波長470nm以上530nm未満、好ましくは480nm以上515nm未満、より好ましくは490nm以上510nm未満の範囲内に蛍光ピークを持つ蛍光とすることができる。また、第二の蛍光32は、波長580nm以上660nm未満、好ましくは590nm以上640nm未満、より好ましくは595nm以上620nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つものとすることができる。このようにすると、高演色性照明に必要となる、緑色系(青緑又は緑色)の蛍光成分と、暖色系(橙又は赤色)の蛍光成分を少なくとも放つことができる発光装置になる。
[0049]
 本実施形態の好ましい一例では、第一の蛍光体1Aは、アルミン酸塩及び珪酸塩の少なくとも一方である。また、第二の蛍光体2Aは、珪酸塩及びアルミノ珪酸塩の少なくとも一方である。このような蛍光体は、化学的に安定なだけでなく、入手や製造が容易であるので、これによって、製造が容易な発光装置になる。
[0050]
 本実施形態の好ましい一例では、第一の蛍光体1Aと第二の蛍光体2Aの少なくとも一方を、ガーネット型の結晶構造を持つガーネット蛍光体とすることもでき、いずれもガーネット蛍光体とすることもできる。
[0051]
 そして、本実施形態の特に好ましい一例では、第一の蛍光体1Aは、ガーネット型の結晶構造を持つアルミン酸塩である。また、第二の蛍光体2Aは、ガーネット型の結晶構造を持つ珪酸塩である。このようなガーネット蛍光体は、化学的に安定なだけでなく、製造が容易で固体照明用として高い実績を持つので、これによって、製造が容易で長期信頼性に優れる発光装置になる。
[0052]
 好ましい第一の蛍光体1Aの具体例は、アルミン酸塩化合物のLu (Al 1-xGa (AlO をベースにしてなり、xが0≦x≦1、好ましくは0.3≦x≦1、特に好ましくはx=1を満足する数値であるガーネット蛍光体である。Lu (Al 1-xGa (AlO をベースにしてなるCe 3+付活蛍光体は、照明光の演色性の向上に大きく寄与する青緑色の光成分を多く含む蛍光を放つ。したがって、これを用いると、青緑色の光成分が相対的に多く、演色性の面で有利な照明光を放つ発光装置になる。
[0053]
 「Lu (Al 1-xGa (AlO をベースにしてなる」とは、Lu (Al 1-xGa (AlO の固溶割合が70mol%以上、特に90mol%以上の固溶体、又は化合物としてのLu (Al 1-xGa (AlO を指す。
[0054]
 なお、上記のアルミン酸塩蛍光体以外の第一の蛍光体1Aとしては、カルシウムフェライト型構造を持つアルカリ土類金属複合酸化物、アルカリ土類金属ハロアルミン酸塩、希土類アルミン酸塩、アルカリ土類金属珪酸塩、希土類酸窒化珪酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つを主成分とする化合物を母体としてなるCe 3+付活蛍光体が使用可能である。
[0055]
 具体的には、第一の蛍光体1Aとしては、MRE 、M AlO F、M REX (AlO 、M RE (SiO 、RE (SiO N、RE Si 、RESiO N、RE Si 、RE Si 12N、RE Si 11から選択されるいずれかの化合物を主体にしてなる化合物、又は、これらいずれかの化合物を端成分とする固溶体を母体としてなるCe 3+付活蛍光体が使用可能である。但し、Mはアルカリ土類金属、REは希土類、XはZr及びHfから選ばれる少なくとも一つの元素、zは、0≦z<1を満足する数値である。
[0056]
 より具体的には、第一の蛍光体1Aとしては、SrLu 、SrSc 、Sr AlO F、Ca YZr (AlO 、Ca Sc (SiO 、Y (SiO N、Y Si 、Y Si 、La Si 12N、La Si 11から選択されるいずれかの化合物を主体にしてなる化合物、又は、これらいずれかの化合物を端成分とする固溶体を母体としてなるCe 3+付活蛍光体などが使用可能である。
[0057]
 このような蛍光体は、波長470nm以上530nm未満、好ましい形態では470~510nmの波長領域内に蛍光ピークを持つ蛍光を放ち、青緑色の光成分を多く含む蛍光を放つ。したがって、Lu (Al 1-xGa (AlO をベースにしてなるCe 3+付活蛍光体と同様の作用効果を持つものになる。
[0058]
 本実施形態において、好ましい第二の蛍光体2Aの具体例は、珪酸塩化合物のLu CaMg (SiO をベースにしてなるガーネット蛍光体である。Lu CaMg (SiO をベースにしてなるCe 3+付活蛍光体は、赤色光成分を多く含む橙色光を放ち、かつ、温度消光が比較的小さなガーネット蛍光体である。これによって、照明用途で必須となる赤色光成分が多い出力光4を放つ、高効率かつ高信頼性の発光装置になる。
[0059]
 また、Lu CaMg (SiO をベースにしてなるガーネット蛍光体は、青緑色に対して補色に近い関係にある橙色の光成分を多く含む蛍光体でもある。したがって、青緑色光を放つ第一の蛍光体1A、特に、Lu (Al 1-xGa (AlO をベースにしてなるCe 3+付活蛍光体と組み合わせることによって、高効率かつ高信頼性となる白色系の出力光4を得ることも容易な発光装置になる。
[0060]
 「Lu CaMg (SiO をベースにしてなる」とは、化合物としてのLu CaMg (SiO の固溶割合が70mol%以上、特に90mol%以上の固溶体、又は化合物としてのLu CaMg (SiO を指す。なお、Lu CaMg (SiO の固溶割合が70mol%以上の固溶体の具体例としては、Lu CaMg (SiO とLu Al (AlO の固溶体が挙げられる。
[0061]
 本実施形態において第一の波長変換体1と、第二の波長変換体2とは、図1及び図2に示すように、両者が接触するように配置することもできるし、図3に示すように、両者が空間的に離れるように配置することもできる。両者が接触するように配置すると、コンパクトな発光装置にできるようになるし、両者が空間的に離れるように配置すると、色調の制御が比較的容易な発光装置にできるようになる。なお、図3は、両者の間に透光性を持つ透光性部材6を配置した構造の一例である。
[0062]
 本実施形態において、発光装置は、励起光3の光成分と、第一の蛍光31の光成分と、第二の蛍光32の光成分とを含む出力光4を放つことが好ましい。これによって、励起光3の光成分と、第一の蛍光31の光成分と、第二の蛍光32の光成分との加法混色による出力光4、特に白色系の出力光4を得ることが容易な発光装置になる。
[0063]
 なお、本実施形態において好ましい出力光は、相関色温度が2500K以上8000K未満、特に2800K以上6700K以下の白色光であり、これによって照明用として需要が多い白色光を放つ発光装置になる。
[0064]
 なお、出力光の平均演色評価数Raは80を超えることが好ましく、85以上がより好ましく、90以上が特に好ましい。これによって、照明用として需要が多い高演色性の白色光を放つ発光装置になる。
[0065]
 本実施形態において好ましい発光装置は、照明用又は表示用のいずれかとして構成された発光装置であり、これによって、需要の多い発光装置になる。
[0066]
 本実施形態の発光装置の具体例として好ましいものは、蛍光体を利用して構成した半導体発光装置、照明光源、照明装置、表示装置などであり、特に、レーザー照明である。そして、本実施形態の発光装置は、短波長可視光を放つ固体発光素子をさらに備えることが好ましい。励起源として固体発光素子を用いることにより、衝撃に強い全固体の発光装置、例えば固体照明を実現することが可能となる。
[0067]
 特に好ましい発光装置は、屋外照明、店舗照明、調光システム、施設照明、海洋照明、及び内視鏡のいずれかの用途向けの発光装置である。
実施例
[0068]
 以下、本実施形態の実施例を説明する。実施例は、発光装置の作製のし易さと発光特性の評価のし易さを考慮して、図3に示した反射型の発光装置とした。なお、図1に示した透過型の発光装置や図2に示した発光装置については、実施例とした反射型の発光装置と同様の作用効果が得られることが原理的に明らかであり、当業者であれば当然に理解できるため、説明を省略した。
[0069]
 第一の蛍光31を放つ第一の蛍光体1Aは、Lu Ga (AlO :Ce 3+蛍光体(粉末蛍光体の蛍光ピーク波長:510nm、平均粒子径:21μm)とした。また、第一の蛍光31とは色調が異なる第二の蛍光32を放つ第二の蛍光体2Aは、Lu CaMg (SiO :Ce 3+蛍光体(粉末蛍光体の蛍光ピーク波長:600nm、平均粒子径:12μm)とした。
[0070]
 Lu Ga (AlO :Ce 3+蛍光体は蛍光体メーカーから入手した。Lu CaMg (SiO :Ce 3+蛍光体は、酸化物セラミックス原料と、反応促進剤として機能する化合物との混合粉末を1300~1400℃の温度で加熱反応させて調製した。
[0071]
 参考のため、図5(a)と図5(b)に、それぞれ、本実施例にかかるLu Ga (AlO :Ce 3+蛍光体とLu CaMg (SiO :Ce 3+蛍光体の電子顕微鏡写真を示す。また、表1にはこれらの蛍光体の特性をまとめた。
[0072]
[表1]


[0073]
 なお、表1に示す平均粒子径は、図5に示す電子顕微鏡観察像(倍率:×1000)において一次粒子と認識できる粒子を無作為に50個ピックアップし、それらの粒子の最長軸長さの平均値を求めたものである。
[0074]
 また、表1に示す蛍光ピーク波長は、粉末蛍光体の蛍光ピーク波長である。なお、粉末蛍光体の蛍光ピーク波長は、粉末蛍光体の圧粉体に波長455nmの青色単色光(スペクトル半値幅:4nm)を照射するフォトルミネッセンス法によって評価した。
[0075]
 本実施例の波長変換部材100を構成する蛍光体として、上記のような蛍光体を準備した。以下、波長変換部材100の作製手順を説明する。
[0076]
 まず、Φ10mm、深さ2mmの試料ホルダーに、粉末状のLu CaMg (SiO :Ce 3+蛍光体(第二の蛍光体2A)を充填し、石英ガラス板で押し固めることによって、圧粉体の性状を持つ第二の波長変換体2を作製した。
[0077]
 上記石英ガラス板は、透光性部材6を兼ねるものとした。その上に、粉末状のLu Ga (AlO :Ce 3+蛍光体(第一の蛍光体1A)を、透光性を持つ樹脂接着剤を利用して、蛍光体粒子がまばらになるように配置して固定した。このようにして、粒子同士が接触していない分散状態を持つ第一の波長変換体1を作製した。
[0078]
 このようにして、第一の蛍光体1Aの蛍光体粒子が散点する構造を持つ第一の波長変換体1と、第二の蛍光体2Aの蛍光体粒子を含んでなる第二の波長変換体2とが積層構造を持つ、波長変換部材100を得た。なお、本実施例に係る波長変換部材100は、第一の波長変換体1と第二の波長変換体2とが空間的に離れるように配置され、両者の間に透光性部材6を備える構造を持つ。
[0079]
 参考までに、図6に、上記した455nmの青色光を照射した時に、第一の波長変換体1が放つ蛍光の蛍光スペクトルを示す(図6中(a))。比較のため、図6には、同青色光を照射した時に、第一の蛍光体1Aの集合体である圧粉体が放つ蛍光の蛍光スペクトルも示した(図6中(b))。このような蛍光体粒子の集合体の蛍光スペクトルは、通常のフォトルミネッセンスの評価法において、その蛍光体の蛍光スペクトルとして評価されているものである。
[0080]
 蛍光体粒子が散点している本実施形態に係る第一の波長変換体1の蛍光スペクトル(図6(a))は、蛍光体粒子の集合体の蛍光スペクトル(図6(b))と比較して、約20nm短波長側にシフトしたスペクトル形状になっている。そして、例えば蛍光ピーク波長は、蛍光体粒子の集合体の蛍光では510nmであるのに対して、実施例に係る第一の波長変換体1の蛍光では490nmである。
[0081]
 このように、本実施形態によれば、青緑~緑色の蛍光を放つ第一の蛍光体1Aの蛍光体粒子がまばらになるように配置するだけで、Ce 3+付活蛍光体の自己吸収効果を緩和することができる。すなわち、第一の蛍光体1Aの組成を変えずとも、放たれる蛍光の青緑色の光成分割合を増すことができる。
[0082]
 図7(a)は、Lu CaMg (SiO :Ce 3+蛍光体の光吸収率の波長依存性を表す励起スペクトルである。参考のために、図7(b)と図7(c)には、それぞれ、Lu Ga (AlO :Ce 3+蛍光体とLu CaMg (SiO :Ce 3+蛍光体の蛍光スペクトルを示した。
[0083]
 図7(a)と(b)を比較して判るように、Lu CaMg (SiO :Ce 3+蛍光体の励起スペクトルは、Lu Ga (AlO :Ce 3+蛍光体の蛍光スペクトルと重なりを持っている。そして、Lu CaMg (SiO :Ce 3+蛍光体は、Lu Ga (AlO :Ce 3+蛍光体の短波長側の蛍光成分、特に青緑色の光成分をよく吸収して波長600nmに蛍光ピークを持つ橙色光へと波長変換する性質を持っている。このため、Lu Ga (AlO :Ce 3+蛍光体とLu CaMg (SiO :Ce 3+蛍光体とを近接させると、少なからず、前者が放つ蛍光の短波長側の光成分(青緑色の光成分)が後者に吸収されて強度低下する問題が生じる。
[0084]
 本実施例では、このような問題を抑制するために、波長変換部材100を第一の波長変換体1と第二の波長変換体2の二層構造としている。そして、Lu Ga (AlO :Ce 3+蛍光体を含む第一の波長変換体1が光出力面を形成する構造としている。これによって、第一の波長変換体1が放つ蛍光の青緑色の光成分が、第二の蛍光体によって吸収される確率が下がるので、第一の波長変換体1が放つ蛍光は、第一の蛍光体本来の蛍光スペクトルに近い形状になり、青緑色の光成分の強度低下を抑制できる。
[0085]
 図8の(a)は、粉末状のLu Ga (AlO :Ce 3+蛍光体(第一の蛍光体1A)の分散状態を変化させて作製した7種類の本実施例に係る波長変換部材100に、波長455nmの青色単色光を照射した時に得られる蛍光のスペクトルである。参考のため、図8の(b)と(c)には、それぞれ、Lu Ga (AlO :Ce 3+蛍光体(第一の蛍光体1A)とLu CaMg (SiO :Ce 3+蛍光体(第二の蛍光体2A)の蛍光体粒子の集合体の蛍光スペクトルを示した。
[0086]
 また、比較例として、第一の蛍光体1Aと第二の蛍光体2Aを異なる重量比で混合して、混合蛍光体粒子の集合体(圧粉体)からなる5種類の波長変換部材を作製した。混合重量比は95:5、90:10、80:20、70:30、60:40とした。この比較例の波長変換部材に、波長455nmの青色単色光を照射した時に得られる蛍光のスペクトルを、図9の(a)に示した。参考のため、図9の(b)と(c)には、それぞれ、図8と同じく、Lu Ga (AlO :Ce 3+蛍光体(第一の蛍光体1A)とLu CaMg (SiO :Ce 3+蛍光体(第二の蛍光体2A)の蛍光体粒子の集合体の蛍光スペクトルを示した。
[0087]
 図8(a)と図9(a)を比較して判るように、本実施例に係る波長変換部材の蛍光スペクトルは、第一の蛍光体と第二の蛍光体とを単純混合して得られる波長変換部材のものと比べ、460~500nmの青緑色の光成分強度が相対的に大きいものとなった。
[0088]
 以下、このようにして作製した波長変換部材100を備える発光装置の実施例を説明する。
[0089]
 本実施例の発光装置は、本実施例に係る上記の波長変換部材100と励起源を少なくとも組み合わせてなる。本実施例では、励起源として、波長455nmの青色光を放つレーザーダイオード(LD)を利用し、青色光が波長変換部材100に照射されるようにレーザーダイオードを配置する基本構造とすることによって、発光装置を構成した。そして、青色レーザー光を照射した波長変換部材100の照射面を目視観察したところ、白色系の出力光が認められた。
[0090]
 ここで、本実施例に係る発光装置の出力光の、照明光としての特性は、レーザー光の分光分布と、図8に示した本実施例に係る波長変換部材100が放つ蛍光スペクトル(実測データ)とを加法混色するシミュレーションで精度よく評価できる。そこで、装置の試作と出力光のスペクトル測定の手間を省き、本実施形態の効果を効率よく説明するため、照明光をシミュレーションして評価した。
[0091]
 具体的には、青色レーザー光と、実施例に係る波長変換部材100が放つ蛍光スペクトルとの加法混色によって、黒体輻射の軌跡上に位置する白色光の分光分布をシミュレーションし、その分光分布から平均演色評価数Raを算出した。なお、このようなシミュレーションによって得られる分光分布は、上記した基本構造を持つ発光装置に、当業者が持つ光学設計の技術及び知識を適用することによって実現できる。
[0092]
 図10は上記シミュレーションの結果であり、図8(a)に示した本実施例に係る7種類の波長変換部材が放つ蛍光と波長455nmの青色レーザー光との加法混色によって得られる、黒体軌跡上に位置する(つまりduv=0となる)白色光の分光分布を示す。そして、図10に示す7種類の分光分布から算出される相関色温度と平均演色評価数Raの組み合わせは、相関色温度9745K-Ra86.4、相関色温度5000K-Ra85.7、相関色温度4420K-Ra84.6、相関色温度4093K-Ra83.7、相関色温度3760K-Ra82.7、相関色温度3190K-Ra80.6、相関色温度3093K-Ra79.4となった。
[0093]
 この結果は、本実施形態の発光装置が、出力光4として、相関色温度が3000K以上10000K未満の白色光を放つことができることを示している。そして、出力光の相関色温度が3100K以上10000K未満の白色光の場合に、Ra80以上の高演色性の照明光となることを示している。さらに、相関色温度が4500K以上10000K未満の白色光の場合に、Ra85以上のいっそう高演色性の照明光となることも示している。このように、本実施形態の発光装置は、青色レーザー光を利用して高演色性のレーザー照明を得る上で有用なものになることが判った。
[0094]
 参考のため、同様のシミュレーションによって得られた、比較例の分光分布を図11に示す。図11は、図9(a)に示した、第一の蛍光体と第二の蛍光体とを単純混合して得られる波長変換部材からの蛍光と、波長455nmの青色レーザー光との加法混色によって得られる、黒体軌跡上に位置する白色光の分光分布である。なお、図9(a)に示す5種類の分光分布のうち、緑色の光成分が比較的多い2種類のものを利用したシミュレーションでは、赤色の光成分割合が少なく、白色光を得ることはできなかった。
[0095]
 そして、図11に示す3種類の分光分布から算出される相関色温度と平均演色評価数Raの組み合わせは、相関色温度53638K-Ra78.8、相関色温度10214K-Ra80.6、相関色温度6118K-Ra79.9であった。
[0096]
 この結果は、比較例の発光装置は、出力光4として、相関色温度が6000K以上54000K未満の白色光を放つことができることを示している。そして、出力光の相関色温度が10000K前後の白色光の場合に、Ra80前後の照明光となることを示している。しかし、その一方で、相関色温度が5000K未満の低色温度の照明光や、Ra82以上の高演色性の照明光を得ることが困難なことも示している。このように、比較例の発光装置は、青色レーザー光を利用して高演色性のレーザー照明を得ることが明らかに困難なものになることがわかった。
[0097]
 特願2017-163575号(出願日:2017年8月28日)の全内容は、ここに援用される。
[0098]
 以上、実施例に沿って本実施形態の内容を説明したが、本実施形態はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。

産業上の利用可能性

[0099]
 本開示によれば、色調が異なる複数種のCe 3+付活蛍光体と励起源とを備える発光装置において、暖色系蛍光体と緑色系蛍光体とが近接する装置構造とした場合でも、青緑色の光成分強度が比較的大きく出力光の演色性が高い発光装置を提供することができる。

符号の説明

[0100]
 1 第一の波長変換体
 1A 第一の蛍光体
 2 第二の波長変換体
 3 励起光
 4 出力光
 5 封止材
 6 透光性部材
 31 第一の蛍光
 32 第二の蛍光
 100 波長変換部材

請求の範囲

[請求項1]
 440nm以上470nm未満の波長領域内に強度最大値を持つ励起光を放つ固体発光素子と、
 粒子状の蛍光体であり、かつ、Ce 3+で付活された無機蛍光体である第一の蛍光体を含む第一の波長変換体と、Ce 3+で付活された無機蛍光体である第二の蛍光体を含む第二の波長変換体とを組み合わせてなる波長変換部材と、
 を備え、
 前記第一の蛍光体は470nm以上530nm未満の波長領域内に強度最大値を持つ第一の蛍光を放ち、前記第二の蛍光体は580nm以上660nm未満の波長領域内に強度最大値を持つ第二の蛍光を放ち、
 前記第一の波長変換体は、前記第一の蛍光体の粒子同士が接触していない分散状態を有する、発光装置。
[請求項2]
 前記第二の蛍光体は粒子状の蛍光体であり、
 前記第二の波長変換体は、前記第二の蛍光体の粒子同士が接触している接触構造を有する、請求項1に記載の発光装置。
[請求項3]
 前記第二の波長変換体は、前記第二の蛍光体が焼結し、内部に複数の空隙を有する焼結体、又は前記第二の蛍光体が焼結し、内部に複数の空隙を有しないセラミックスである、請求項1又は2に記載の発光装置。
[請求項4]
 前記励起光は、前記第二の波長変換体を直接照射するように前記波長変換部材に入射し、前記波長変換部材を透過した光成分は出力光として出力される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
[請求項5]
 前記励起光は、前記第一の波長変換体を直接照射するように前記波長変換部材に入射し、前記波長変換部材に反射された光成分は出力光として出力される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
[請求項6]
 前記第一の蛍光体は、アルミン酸塩及び珪酸塩の少なくとも一方である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
[請求項7]
 前記第二の蛍光体は、珪酸塩及びアルミノ珪酸塩の少なくとも一方である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光装置。
[請求項8]
 前記第一の蛍光体は、ガーネット型の結晶構造を持つアルミン酸塩である、請求項6に記載の発光装置。
[請求項9]
 前記第二の蛍光体は、ガーネット型の結晶構造を持つ珪酸塩である、請求項7に記載の発光装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]