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1. (WO2019031471) THERAPEUTIC AGENT FOR FATTY LIVER DISEASES AND THERAPEUTIC AGENT FOR ADIPOSITY
Document

明 細 書

発明の名称 脂肪性肝疾患の治療剤及び肥満症の治療剤

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

非特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023  

発明の効果

0024  

図面の簡単な説明

0025  

発明を実施するための形態

0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117  

実施例 1

0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137  

実施例 2

0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154  

実施例 3

0155   0156   0157   0158  

産業上の利用可能性

0159  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : 脂肪性肝疾患の治療剤及び肥満症の治療剤

技術分野

[0001]
 本発明は、Pin1の機能を阻害する特定の化合物を有効成分として含有する脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤、及び肥満症の治療剤又は予防剤に関する。

背景技術

[0002]
 脂肪性肝疾患は、「脂肪肝」とも言われ、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した病態である。脂肪性肝疾患は、アルコールの過剰摂取によるアルコール性脂肪肝が典型であるが、肝障害を引き起こすほどのアルコール摂取歴がないにもかかわらず、アルコール性脂肪肝に類似する脂肪沈着が認められる非アルコール性脂肪性肝疾患(Non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)が近年増加している。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)のうち軽度の病態である単純性脂肪肝は、肝臓組織の炎症や線維化を伴う重度の病態である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)へと進展する。NASHは、治療をせずに放置すれば、最終的に肝硬変や肝臓癌に至る疾患であることが明らかとなり、臨床的にも重要視されるようになっている。
 しかしながら、NASHの確立した治療法はなく、食事・運動療法が第一とされている。NASHの薬物療法としては、肝臓細胞の核内にある胆汁酸受容体であるファネルソイドX受容体(FXR)のリガンドであるオベチコール酸(6-エチル-ケノデオキシコール酸)に効果が認められ(特許文献1)、現時点で臨床試験が進められている。先進国におけるNASH患者数の増加は顕著であり、NASHは最終的に肝硬変や肝臓癌に至る疾患であることから、NASHやその前段階である単純性脂肪肝を含むNAFLDに対する新規の治療薬開発が強く望まれている。
[0003]
 本発明者らは以前に、Pin1のノックアウトマウスが、NASH発症や高脂肪食による肥満に抵抗性を示すことを見出した(非特許文献1)。
 Pin1は、タンパク質におけるプロリンのシス/トランス立体構造変化を触媒するペプチジルプロリル シス-トランス異性化酵素(peptidyl-prolyl cis-trans isomerase: PPIase)の一種であり、リン酸化したセリン又はスレオニンの次に位置するプロリンに特異的に作用して立体構造を変化させる活性を有する。したがって、Pin1は、タンパク質のリン酸化を、タンパク質の構造変化に結びつける分子であり、細胞内のシグナル伝達に重要な役割を果たすと考えられる。Pin1については、Pin1阻害剤が癌細胞の増殖を抑制すること(非特許文献2及び3)が報告されている。
[0004]
 Pin1を阻害する化合物としては、フェニルアラニノールリン酸エステル誘導体、インドール又はベンズイミダゾールアラニン誘導体、フレデリカマイシンA化合物、フェニルイミダゾール誘導体、ナフチル置換アミノ酸誘導体、グルタミン酸又はアスパラギン酸誘導体等が報告されている(特許文献2~5並びに非特許文献2~5)。
[0005]
 Jugloneは、下記の構造を有する化合物であり、様々な酵素を阻害する天然の植物生育阻害剤であり、Pin1を阻害する活性も有するが、肝臓の線維化や炎症を抑制することが報告されている(非特許文献6~8)。しかしながら、Jugloneは様々な酵素を阻害するため(非特許文献6等)、肝臓の線維化や炎症を抑制するメカニズムについては、複数の説があり十分に解明されていなかった。
[0006]
[化1]


先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 国際公開第2005/089316号公報
特許文献2 : 国際公開第2006/040646号公報
特許文献3 : 国際公開第2004/087720号公報
特許文献4 : 国際公開第2005/007123号公報
特許文献5 : 国際公開第2002/060436号公報

非特許文献

[0008]
非特許文献1 : Yusuke Nakatsu外20名著、The Journal of Biological Chemistry誌(J Biol Chem.)、2012年12月28日発行(2012年10月29日オンライン版発行)、Vol.287、No.53、pp.44526~44535
非特許文献2 : Andrew Potter外16名著、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters誌(Bioorg. Med. Chem. Lett.)、2010年11月15日発行(2010年9月17日オンライン版発行)、Vol.20、No.22、pp.6483~6488
非特許文献3 : Andrew Potter外14名著、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters誌(Bioorg. Med. Chem. Lett.)、2010年1月15日発行(2009年11月22日オンライン版発行)、Vol.20、No.2、pp.586~590
非特許文献4 : Liming Dong外11名著、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters誌(Bioorg. Med. Chem. Lett.)、2010年4月1日発行(2010年2月14日オンライン版発行)、Vol.20、No.7、pp.2210~2214
非特許文献5 : Hidehiko Nakagawa外6名著、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters誌(Bioorg. Med. Chem. Lett.)、2015年12月1日発行(2015年10月22日オンライン版発行)、Vol.25、pp.5619~5624
非特許文献6 : De-Jiang Zhou外7名著、Molecular Medicine Reports誌(Mol Med Rep.)、2015年9月12日発行(2015年6月24日オンライン版発行)、Vol.12、No.3、pp.4095~4102
非特許文献7 : Jin Won Yang外7名著、Journal of Hepatology誌(J Hepatol.)、2014年6月発行、Vol.60、No.6、pp.1235~1241
非特許文献8 : Xiaohui Peng外4名、Biochemical and Biophysical Research Communications誌(Biochem Biophys Res Commun.)、2015年7月3日発行(2015年5月9日オンライン版発行)、Vol.462、No.3、pp.245~250

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 本発明は、前記従来の状況に鑑み、NASHやNAFLD等の脂肪性肝疾患や肥満症に対する新規の治療薬を開発することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、Jugloneは肝臓組織の炎症を抑制する効果が認められるものの重度の副作用をもたらすことが明らかとなった。そして、Jugloneのような様々な酵素を阻害する化合物ではなく、Pin1の機能を特異的に阻害する特定の構造を有する化合物を用いることにより、副作用を低減して肝臓組織における炎症と線維化を抑制できることを見出し、さらには脂肪の蓄積を抑制できることを見出し、本発明を完成するに到った。
[0011]
 すなわち、本発明は、脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤に関する下記の第1の発明と、肥満症の治療剤又は予防剤に関する下記の第2の発明を提供する。
[0012]
 第1の発明は、次の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤を提供する。
[0013]
[化2]


(式中、mは0~2の整数を示し、nは0~1の整数を示し、0≦m+n≦2であり、
 環Aは、置換基を有していてもよい単環式の芳香環又は複素環であり、
 Xは、単結合、-NH-基、-NH-CO-基、-O-CO-基、-CH -S-CH -基、-CH -S-(CH -S-基、又は-NH-R -基(R は、炭素数1~5のアルキレン基、又は炭素数2~5のアルケニレン基を示す。)であり、
 Yは、単結合、-NH-基、-CO-基、-SO -基、-O-CO-基、-CO-NR -基(R は、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~5のアルキル基を示す。)、-O-R -基(R は、置換基を有していてもよい炭素数1~5のアルキレン基、又は置換基を有していてもよい炭素数2~5アルケニレン基を示す。)、-NR -R -基、-S-R -基、-CO-R -基、-SO -R -基、-NR -CO-R -基、-R -NR -CO-基、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基、又は置換基を有していてもよい炭素数2~6のアルケニレン基であり、
 Zは、水素原子、置換基を有していてもよいアミノ基、又は置換基を有していてもよいアミンであり、
 前記Zが置換基を有していてもよいアミンである場合には、前記Xと前記Zは環を形成し、
 R は、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよいアミノ基であり、
 R は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもい複素環基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は次の式(II)
[0014]
[化3]


(式中、環B及び環Cは、それぞれ、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を示し、R は、単結合、-O-基、-CO-基、-NH-基、-SO -基、-CO-NH-基、置換基を有していてもよい炭素数1~3のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2~3のアルケニレン基、-S-R -基(R は、置換基を有していてもよい炭素数1~2のアルキレン基を示す。)、-CO-R -基、-O-R -基、-SO -R -基を示し、環B、環C又はR のいずれかの部位でYと連結する。)
で表される基であり、
 R は、同一又はそれぞれ異なる0~4個の置換基である。)
[0015]
 第1の発明の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤においては、前記脂肪性肝疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎であることが好ましい。
 前記いずれかの脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤においては、前記mが1であり、前記nが0であることが好ましい。
 前記いずれかの脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤においては、前記Xが、-NH-CO-基、又は-O-CO-基であることが好ましい。
 前記いずれかの脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤においては、前記環Aが、ベンゼン環であることが好ましい。
 前記いずれかの脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤においては、前記R が、置換基を有していてもよい多環式のアリール基、又は置換基を有していてもよい多環式の複素環基であることが好ましい。
 前記いずれかの脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤においては、前記Zが、水素原子であることが好ましい。
 前記いずれかの脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤においては、前記Yが、単結合、-CH -基、又は-CH -O-基であることが好ましい。
 前記いずれかの脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤においては、前記R が、水素原子であることが好ましい。
[0016]
 前記いずれかの脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤は、他の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤の有効成分をさらに含むことができる。
 また、前記いずれかの脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤は、他の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用することができる。
[0017]
 第1の発明は、脂肪性肝疾患の治療薬又は予防薬としての使用のための、上記いずれかの化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するものでもある。
 第1の発明は、脂肪性肝疾患を治療又は予防するための医薬の製造のための、上記いずれかの化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供するものでもある。
 また、第1の発明は、上記いずれかの化合物又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することにより、脂肪性肝疾患を治療又は予防する方法を提供するものでもある。
[0018]
 第2の発明は、次の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、肥満症の治療剤又は予防剤を提供する。
[0019]
[化4]


(式中、mは0~2の整数を示し、nは0~1の整数を示し、0≦m+n≦2であり、
 環Aは、置換基を有していてもよい単環式の芳香環又は複素環であり、
 Xは、単結合、-NH-基、-NH-CO-基、-O-CO-基、-CH -S-CH -基、-CH -S-(CH -S-基、又は-NH-R -基(R は、炭素数1~5のアルキレン基、又は炭素数2~5のアルケニレン基を示す。)であり、
 Yは、単結合、-NH-基、-CO-基、-SO -基、-O-CO-基、-CO-NR -基(R は、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~5のアルキル基を示す。)、-O-R -基(R は、置換基を有していてもよい炭素数1~5のアルキレン基、又は置換基を有していてもよい炭素数2~5のアルケニレン基を示す。)、-NR -R -基、-S-R -基、-CO-R -基、-SO -R -基、-NR -CO-R -基、-R -NR -CO-基、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基、又は置換基を有していてもよい炭素数2~6のアルケニレン基であり、
 Zは、水素原子、置換基を有していてもよいアミノ基、又は置換基を有していてもよいアミンであり、
 前記Zが置換基を有していてもよいアミンである場合には、前記Xと前記Zは環を形成し、
 R は、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよいアミノ基であり、
 R は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもい複素環基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は次の式(II)
[0020]
[化5]


(式中、環B及び環Cは、それぞれ、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を示し、R は、単結合、-O-基、-CO-基、-NH-基、-SO -基、-CO-NH-基、置換基を有していてもよい炭素数1~3のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2~3のアルケニレン基、-S-R -基(R は、置換基を有していてもよい炭素数1~2のアルキレン基を示す。)、-CO-R -基、-O-R -基、-SO -R -基を示し、環B、環C又はR のいずれかの部位でYと連結する。)
で表される基であり、
 R は、同一又はそれぞれ異なる0~4個の置換基である。)
[0021]
 第2の発明の肥満症の治療剤又は予防剤においては、前記mが1であり、前記nが0であることが好ましい。
 前記いずれかの肥満症の治療剤又は予防剤においては、前記Xが、-NH-CO-基、又は-O-CO-基であることが好ましい。
 前記いずれかの肥満症の治療剤又は予防剤においては、前記環Aが、ベンゼン環であることが好ましい。
 前記いずれかの肥満症の治療剤又は予防剤においては、前記R が、置換基を有していてもよい多環式のアリール基、又は置換基を有していてもよい多環式の複素環基であることが好ましい。
 前記いずれかの肥満症の治療剤又は予防剤においては、前記Zが、水素原子であることが好ましい。
 前記いずれかの肥満症の治療剤又は予防剤においては、前記Yが、単結合、-CH -基、又は-CH -O-基であることが好ましい。
 前記いずれかの肥満症の治療剤又は予防剤においては、前記R が、水素原子であることが好ましい。
[0022]
 前記いずれかの肥満症の治療剤又は予防剤は、他の肥満症の治療剤又は予防剤に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤の有効成分をさらに含むことができる。
 また、前記いずれかの肥満症の治療剤又は予防剤は、他の肥満症の治療剤又は予防剤に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用することができる。
[0023]
 第2の発明は、肥満症の治療薬又は予防薬としての使用のための、上記いずれかの化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するものでもある。
 第2の発明は、肥満症を治療又は予防するための医薬の製造のための、上記いずれかの化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供するものでもある。
 また、第2の発明は、上記いずれかの化合物又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することにより、肥満症を治療又は予防する方法を提供するものでもある。

発明の効果

[0024]
 第1の発明の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤は、肝臓における炎症や線維化を抑制するとともに、肝臓における脂肪の蓄積を抑制するため、脂肪性肝疾患を治療し、又は脂肪性肝疾患となることを予防する効果を奏する。
 第2の発明の肥満症の治療剤又は予防剤は、脂肪の蓄積を抑制することにより、肥満症を治療し、又は肥満症となることを予防する効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0025]
[図1] NASH治療実験におけるマウスの肝重量と、血中ALT(GPT)の濃度と、空腹時血糖の濃度を測定した結果を示すグラフである。図1(A)は、マウスの肝重量を測定した結果を示すグラフであり、図1(B)は、マウスの血中ALT(GPT)の濃度を測定した結果を示すグラフであり、図1(C)は、マウスの空腹時血糖の濃度を測定した結果を示すグラフである。図1(A)~(C)において、棒グラフは、それぞれ左から、コントロールマウス、NASHマウス、H-163を腹腔内投与したNASHマウス、H-163を経口投与したNASHマウス、H-144を腹腔内投与したNASHマウス、H-144を経口投与したNASHマウス、Jugloneを腹腔内投与したNASHマウス、Jugloneを経口投与したNASHマウスの測定結果を示す。
[図2] NASH治療実験において、マウスの肝臓組織の切片を顕微鏡観察した結果を示す図面に代わる写真である。図2(A)は、通常食を与えたコントロールマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真であり、図2(B)は、HFDTを与えたNASHマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真であり、図2(C)は、HFDTとH-163を与えたNASHマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真である。
[図3] NASH治療実験において、マウスの肝臓組織の切片をAza染色して顕微鏡観察した結果を示す図面に代わる写真である。図3(A)は、通常食を与えたコントロールマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真であり、図3(B)は、MCDDを与えたNASHマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真であり、図3(C)は、MCDDとH-163を与えたNASHマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真であり、図3(D)は、MCDDとH-31を与えたNASHマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真である。
[図4] NASH治療実験において、Collagen 1a1 mRNAの発現量と、Collagen 1a2 mRNAの発現量と、SMA mRNAの発現量を測定した結果を示すグラフである。図4(A)は、Collagen 1a1 mRNAの発現量を測定した結果示すグラフであり、図4(B)は、Collagen 1a2 mRNAの発現量を測定した結果示すグラフであり、図4(C)は、SMA mRNAの発現量を測定した結果示すグラフである。それぞれのグラフにおいて、各棒グラフは、左から、通常食を与えたコントロールマウス、MCDDを与えたNASHマウス、MCDDとH-31を与えたNASHマウス、MCDDとH-163を与えたNASHマウスについての各mRNAの発現量を測定した結果を示す。

発明を実施するための形態

[0026]
1. 脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤
1-1. 有効成分の化学構造
 本発明の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤において有効成分となる化合物は、次の式(I)で表される化学構造を有し、Pin1の機能を阻害する活性を有する化合物である。
[0027]
[化6]


[0028]
 式(I)中、mは0~2の整数を示し、nは0~1の整数を示すが、mとnは0≦m+n≦2の関係を満たす整数である。すなわち、(m,n)の組み合わせは、(0,0)、(0,1)、(1,0)、(1,1)、(2,0)の5種類である。
 本発明において有効成分となる化合物は、(m,n)の5種類の組み合わせに基づき、次の式(III)~(VII)に表される5種類の化学構造を有することができる。
[0029]
[化7]


[0030]
 式(III)は、式(I)において、m=0かつn=0である場合の式を表す。
 式(IV)は、式(I)において、m=0かつn=1である場合の式を表す。
 式(V)は、式(I)において、m=1かつn=0である場合の式を表す。
 式(VI)は、式(I)において、m=1かつn=1である場合の式を表す。
 式(VII)は、式(I)において、m=2かつn=0である場合の式を表す。
 本発明において有効成分となる化合物は、m=1かつn=0である、式(V)で表される化合物とすることが好ましい。
[0031]
 前記式(I)において、環Aは、置換基を有していてもよい単環式の芳香環又は置換基を有していてもよい単環式の複素環とする。
 本発明において「単環式の芳香環」とは、炭素と水素からなる不飽和有機化合物が1つの環となったものであり、これらに限定されるわけではないが、例えば、ベンゼン環、シクロペンタジエン環等とすることができる。
 また、本発明において「単環式の複素環」とは、炭素と水素とそれ以外の原子とからなる不飽和有機化合物が1つの環となったものであり、これらに限定されるわけではないが、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、イソチアゾール環、イソキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラン環、ピロリン環等とすることができる。
[0032]
 前記環Aは、隣接するベンゼン環と縮合環を形成して、2環式の縮合環を含む基を形成する。このような2環式の縮合環を含む基としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、それぞれ置換基を有していてもよい、ナフチル基、インデニル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、イソインドリル基、3H-インドリル基、1H-インダゾリル基、イソベンゾフラニル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シノリニル基、クロメニル基等とすることができる。
 2環式の縮合環を含む基としては、前記の基のうち、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいインドリル基、又は置換基を有していてもよいベンズイミダゾリル基とすることが好ましい。より好ましくは、置換基を有するナフチル基とするのがよく、この場合には、環Aはベンゼン環である。
[0033]
 本発明において有効成分となる化合物の構造は、大きく2つに分けると、ベンゼン環と環Aを含む2環式の縮合環を含む基からなる環状部分と、それと連結する鎖状部分とからなる。
 2環式の縮合環を含む基(環状部分)を、置換基を有していてもよいナフチル基とする場合には、ナフチル基の1位又は2位の箇所で鎖状部分と連結させることができる。好ましくは、ナフチル基の2位の箇所で鎖状部分と連結させるのがよい。
 2環式の縮合環を含む基(環状部分)を、置換基を有していてもよいインドリル基とする場合には、インドリル基の1位、2位又は3位の箇所で鎖状部分と連結させることができる。好ましくは、インドリル基の2位又は3位の箇所で鎖状部分と連結させるのがよい。
 2環式の縮合環を含む基(環状部分)を、置換基を有していてもよいベンズイミダゾリル基とする場合には、ベンズイミダゾリル基の1位、又は2位の箇所で鎖状部分と連結させることができる。好ましくは、ベンズインドリル基の2位の箇所で鎖状部分と連結させるのがよい。
[0034]
 2環式の縮合環を含む基(環状部分)の具体的な化学構造を例示すると、これらに限定されるわけではないが、次のような基とすることができる。
[0035]
[化8]


[0036]
 前記式(I)において、Xは、単結合、-NH-基、-NH-CO-基、-O-CO-基、-CH -S-CH -基、-CH -S-(CH -S-基、又は-NH-R -基(R は、炭素数1~5のアルキレン基、又は炭素数2~5のアルケニレン基を示す。)である。
 これらはいずれも2価の基であるが、いずれの側がYと連結していてもよい。例えば、Xが-NH-CO-である場合には、CO-の側でYと連結していてもよく、また、-NHの側でYと連結していてもよい。
[0037]
 ここで、本発明における「炭素数1~5のアルキレン基」とは、これらに限定されるわけではないが、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、ペンタメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
 また、本発明における「炭素数2~5のアルケニレン基」としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、ビニレン基、1-プロペニレン基、1-メチル-1-プロペニレン基、2-メチル-1-プロペニレン基、2-ブテニレン基、2-ペンテニレン基、1、3-ブタジエニレン基、3-ジメチル-1-プロペニレン基等の二重結合を1~3個有する炭素数2~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基が挙げられる。
[0038]
 前記式(I)において、Yは、単結合、-NH-基、-CO-基、-SO -基、-O-CO-基、-CO-NR -基(R は、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~5のアルキル基を示す。)、-O-R -基(R は、置換基を有していてもよい炭素数1~5のアルキレン基、又は置換基を有していてもよい炭素数2~5アルケニレン基を示す。)、-NR -R -基、-S-R -基、-CO-R -基、-SO -R -基、-NR -CO-R -基、-R -NR -CO-基、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基、又は置換基を有していてもよい炭素数2~6のアルケニレン基である。
 これらはいずれも2価の基であるが、いずれの側がR と連結していてもよい。例えば、Yが-O-CO-基である場合には、CO-の側でR と連結していてもよく、また、-Oの側でR と連結していてもよい。
[0039]
 本発明における「炭素数1~6のアルキレン基」とは、これらに限定されるわけではないが、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、3-メチルペンタメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
 また、本発明における「炭素数2~6のアルケニレン基」としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、ビニレン基、1-プロペニレン基、1-メチル-1-プロペニレン基、2-メチル-1-プロペニレン基、2-ブテニレン基、2-ペンテニレン基、1、3-ブタジエニレン基、3-ジメチル-1-プロペニレン基、1、4-ヘキサジエニレン基、4-メチル-3-ペンテニレン基等の二重結合を1~3個有する炭素数2~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基が挙げられる。
[0040]
 前記式(I)において、R は、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよいアミノ基である。
 本発明において有効成分となる化合物は、R が水素原子でありカルボキシル基となる場合に、Pin1の機能を阻害する活性を有する。したがって、R は、水素原子であることが好ましい。
 しかしながら、R が、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよいアミノ基である場合には、式(I)で示される化合物はR の部分でエステル結合を形成することになることから、加水分解してカルボキシル基に変化することができる。したがって、R が、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよいアミノ基であっても、本発明において有効成分となる化合物をプロドラッグとして使用することができる。
[0041]
 本発明において、式(I)のR 等で使用される「炭化水素基」とは、炭素原子と水素原子でできた化合物の基を意味し、これらに限定されるわけではないが、例えば、脂肪族炭化水素基、単環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基とすることができ、炭素数1ないし16個のものが好ましい。具体例としては、これらに限定されるわけではないが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
 ここで、「アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。「アルケニル基」としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等が挙げられる。「アルキニル基」としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基、1-プロピニル基等が挙げられる。「シクロアルキル基」としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。「アリール基」としては、例えば、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アンスリル基、ビフェニレニル基、フェナントレニル基、as-インダセニル基、s-インダセニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、フルオランセニル基、ピレニル基、ナフタセニル基、ヘキサセニル基等が挙げられる。「アラルキル基」としては、例えば、ベンジル基、スチリル基、フェネチル基等が挙げられる。
[0042]
 本発明において、式(I)のR 等で使用される「複素環基」とは、炭素原子と炭素以外の原子からなる環式化合物の基をいう。「複素環基」としては、芳香族の複素環基を用いることが好ましい。
 本発明における「複素環基」としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれた1種又は2種を1ないし4個ヘテロ原子として含む、5ないし14員環で、単環式ないし5環式の複素環基とすることができる。具体例としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、2-又は3-チエニル基、2-又は3-フリル基、1-、2-又は3-ピロリル基、1-、2-又は3-ピロリジニル基、2-、4-又は5-オキサゾリル基、3-、4-又は5-イソオキサゾリル基、2-、4-又は5-チアゾリル基、3-、4-又は5-イソチアゾリル基、3-、4-又は5-ピラゾリル基、2-、3-又は4-ピラゾリジニル基、2-、4-又は5-イミダゾリル基、1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、1H-又は2H-テトラゾリル基等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む5員環基とすることができる。また、例えば、2-、3-又は4-ピリジル基、N-オキシド-2-、3-又は4-ピリジル基、2-、4-又は5-ピリミジニル基、N-オキシド-2-、4-又は5-ピリミジニル基、チオモルホリニル基、モルホリニル基、ピペリジノ基、2-、3-又は4-ピペリジル基、チオピラニル基、1,4-オキサジニル基、1,4-チアジニル基、1,3-チアジニル基、ピペラジニル基、トリアジニル基、3-又は4-ピリダジニル基、ピラジニル基、N-オキシド-3-又は4-ピリダジニル基等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む6員環基とすることができる。また、例えば、インドリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基、キサンセニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、インドリジニル基、キノリジニル基、1,8-ナフチリジニル基、ジベンゾフラニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、ペリミジニル基、フェナジニル基、クロマニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、7H-ピラジノ[2,3―c]カルバゾリル基、等の炭素原子以外に酸素原子 、硫黄原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む2環式ないし4環式縮合環基とすることができる。
[0043]
 前記式(I)において、R は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は式(II)で表される基である。
 ここで、本発明における「アリール基」としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アンスリル基、ビフェニレニル基、フェナントレニル基、as-インダセニル基、s-インダセニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、フルオランセニル基、ピレニル基、ナフタセニル基、ヘキサセニル基等とすることができる。
 また、本発明における「シクロアルキル基」としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等とすることができる。
[0044]
 前記式(I)におけるR は、式(II)で表される基とすることができるが、式(II)の構造は次のとおりである。
[0045]
[化9]


[0046]
 式(II)中、環B及び環Cは、それぞれ、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を示し、R 7は、単結合、-O-基、-CO-基、-NH-基、-SO -基、-CO-NH-基、置換基を有していてもよい炭素数1~3のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2~3のアルケニレン基、-S-R 8-基(R 8は、置換基を有していてもよい炭素数1~2のアルキレン基を示す。)、-CO-R 8-基、-O-R 8-基、-SO -R 8-基を示す。
 ここで、「炭素数1~2のアルキレン基」とは、メチレン基又はエチレン基であり、「炭素数1~3のアルキレン基」とは、前記のアルキレン基に加えて、例えば、トリメチレン基等を挙げることができる。
 また、「炭素数2~3のアルケニレン基」とは、例えば、ビニレン基、1-プロペニレン基等である。
[0047]
 前記式(I)においてR が式(II)で表される基である場合には、環B、環C又はR 7のいずれかの部位でYと連結する。
 Yが環Bと連結する場合の構造を次の式(VIII)に示し、Yが環Cと連結する場合の構造を次の式(IX)に示し、YがR 7と連結する場合の構造を次の式(X)に示す。
[0048]
[化10]


[0049]
 前記式(I)におけるR は、活性の高い化合物とするためには、置換基を有していてもよい多環式のアリール基、又は置換基を有していてもよい多環式の複素環基とすることが好ましい。
[0050]
 前記式(I)において、R は、同一又はそれぞれ異なる置換基である。
 本発明における「置換基」とは、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのC 1-6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC 3-6シクロアルキル基)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1-プロピニル基、プロパルギル基等のC 2-6アルキニル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基などのC 2-6アルケニル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル基、フェネチル基等のC 7-11アラルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基などのC 6-10アリール基等、好ましくはフェニル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ等のC 1-6アルコキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ等のC 6-10アリールオキシ基)、アルカノイル基(例えば、ホルミル基や、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基等のC 1-6アルキル-カルボニル基)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基等のC 6-10アリール-カルボニル基)、アルカノイルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基や、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基等のC 1-6アルキル-カルボニルオキシ基)、アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基等のC 6-10アリール-カルボニルオキシ基)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル等のC 1-6アルコキシ-カルボニル基)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基等のC 7-11アラルキルオキシカルボニル基)、カルバモイル基、ハロゲノアルキル基(例えば、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基等のモノ-、ジ-またはトリ-ハロゲノ-C 1-4アルキル基)、オキソ基、アミジノ基、イミノ基、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基等のモノ-C 1-4アルキルアミノ基)、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基等のジ-C 1-4アルキルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、イソプロキシカルボニルアミノ基、tert-ブトキシカルボニルアミノ基等のC 1-6アルコキシカルボニルアミノ基)、環状アミノ基(炭素原子と1個の窒素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を1ないし3個含んでいてもよい3ないし6員の環状アミノ基であり、例えば、アジリジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリジニル基、ピペリジル基、モルホリニル基、ジヒドロピリジル基、ピリジル基、N-メチルピペラジニル基、N-エチルピペラジニル基等)、アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基等のC 1-3アルキレンジオキシ基)、ヒドロキシ基、シアノ基、メルカプト基、スルホ基、スルフィノ基、ホスホノ基、スルファモイル基、モノアルキルスルファモイル基(例えば、N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N-プロピルスルファモイル、N-イソプロピルスルファモイル、N-ブチルスルファモイル等のモノ-C 1-6アルキルスルファモイル基)、ジアルキルスルファモイル基(例えば、N,N-ジメチルスルファモイル基、N,N-ジエチルスルファモイル基、N,N-ジプロピルスルファモイル基、N,N-ジブチルスルファモイル基等のジ-C 1-6アルキルスルファモイル基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基等のC 1-6アルキルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のC 6-10アリールチオ基)、アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基等のC 1-6アルキルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基等のC 1-6アルキルスルホニル基)、又はアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等のC 6-10アリールスルホニル基)である。
[0051]
 置換基としては、前記の置換基のうち、原子の数が1~10の低分子の置換基とすることが好ましく、そのような置換基としては、例えば、これらに限定されるわけではないが、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、ビニル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、クロロメチル基、アミノ基、メチルアミノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メチルチオ基等を用いることができる。
 本発明において、「置換基を有していてもよい」とは、前記のような置換基を有するか、又は有さないことを意味する。置換基を有する場合には、2以上の置換基を有することができ、それらは同一又は異なる置換基であってよい。本発明の化合物において、「置換基を有していてもよい」場合には、置換基の数を0~3個とするのが好ましい。
[0052]
 前記式(I)において、Zは、水素原子、置換基を有していてもよいアミノ基、又は置換基を有していてもよいアミンである。
 ここで、本発明における「置換基を有していてもよいアミノ基」とは、第1級アミノ基、第2級アミノ基、又は第3級アミノ基である。第1級アミノ基とは、-NH 基である。第2級アミノ基とは、置換基を1つ有するアミノ基であり、これらに限定されるわけではないが、例えば、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基等とすることができる。また、第3級アミノ基とは、同一又は異なる置換基を2つ有するアミノ基であり、これらに限定されるわけではないが、例えば、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基等とすることができる。
[0053]
 Zが置換基を有していてもよいアミンである場合には、XとZは環を形成する。環を形成するとは、Zが、-NH-、-N=、又は-NR-(Rは置換基を示す。)であり、X内のいずれかの原子と連結して環を形成することをいう。
 XとZが形成する環は、例えば、これらに限定されるわけではないが、Xが-CH -S-CH -基又は-CH -S-(CH -S-基であり、Zが-N=であって、ZがX内の炭素原子と二重結合により連結して形成する、ジヒドロチアゾール環とすることができる。また、Xがテトラメチレン基であり、Zが-NH-であってX内の炭素原子と連結して形成するピペリジン環とすることができる。
[0054]
 前記式(I)において、Xが-CH -S-CH -基であり、Zが-N=であり、XとZがジヒドロチアゾール環を形成する場合には、次の式(XI)で表すことができる。
[0055]
[化11]


(式中、m、n、A、Y、R 、R 、及びR は、前記したものと同一である。)
[0056]
 前記式(XI)で表される化合物は、特許文献2(国際公開第2006/040646号公報)において多数合成されており、それらの化合物はPin1を阻害する活性を有することが確認されている。それらの化合物の一部について具体的な化学構造を例示すると、次のとおりである。
[0057]
[化12]


[0058]
 これらの化合物は、式(XI)におけるYが、いずれも-O-CH -基(-O-R -基)である化合物である。
[0059]
 前記式(I)において、Xが-CH -S-(CH -S-基であり、Zが-N=基であり、XとZがジヒドロチアゾール環を形成する場合には、次の式(XII)で表すことができる。
[0060]
[化13]


(式中、m、n、A、Y、R 、R 、及びR は、前記したものと同一である。)
[0061]
 前記式(XII)で表される化合物は、特許文献2(国際公開第2006/040646号公報)において多数合成されており、それらの化合物はPin1を阻害する活性を有することが確認されている。それらの化合物の一部について具体的な化学構造を例示すると、次のとおりである。
[0062]
[化14]


[0063]
 これらの化合物は、式(XII)におけるYが、それぞれ、単結合、-CH -CH -基(アルキレン基)、-CH -CO-NH-基(-NR -CO-R -基)である。
[0064]
 前記式(I)で表される化合物において、Xは、-NH-CO-基とすることができる。この場合には、m=1かつn=0とし、さらにZを水素原子とすれば、合成の原料となるアミノ酸の誘導体等が豊富に存在するための好ましい。
 この場合に、前記式(I)は、次の式(XIII)で表すことができる。
[0065]
[化15]


(式中、A、Y、R 、R 、及びR は、前記したものと同一である。また、*は不斉炭素原子の位置を示す。)
[0066]
 前記式(XIII)で表される化合物は、特許文献2(国際公開第2006/040646号公報)において多数合成されており、それらの化合物は、Pin1を阻害する活性を有することが確認されている。それらの化合物の一部について具体的な化学構造を例示すると、次のとおりである。
[0067]
[化16]


[0068]
[化17]


[0069]
[化18]


[0070]
 これらの化合物は、式(XIII)におけるYが、上段の化合物についてはそれぞれ左から、-CH=CH-基(アルケニレン基)、-CH -CH -CO-基(-CO-R -基)、-CH(CH )-基(置換基を有するアルキレン基)である。
 また、中段の化合物について、Yは、左からそれぞれ、-CH -基(アルキレン基)、-CH -SO -基(-SO -R -基)、-CH -S-基(-S-R -基)である。
 そして、下段の化合物について、Yは、それぞれ、-CH(CH CH(CH )-NH-CO-基(-R -NR -CO-基)、-CH(CH )-O-基(-O-R -基)、-CH -CH -CO-N(CH )-基(-NR -CO-R -基)である。
[0071]
 前記式(XIII)で表される化合物は、非特許文献3(Bioorg. Med. Chem. Lett.、2010、Vol.20、No.2、pp.586~590)においても多数合成されており、それらの化合物は、Pin1を阻害する活性を有することが確認されている。それらの化合物の一部について具体的な化学構造を例示すると、次のとおりである。
[0072]
[化19]


[0073]
 これらの化合物は、式(XIII)におけるYが、いずれも単結合である化合物である。これらの3つの化合物のうち中央の化合物は、(R)-2-(5-(4-methoxyphenyl)-2-methylfuran-3-carboxamido)-3-(naphthalene-6-yl)propanoic acidと命名される化合物であるが、以下「C1」という。
[0074]
 前記式(XIII)で表される化合物としては、後記実施例1で本発明者らが新たに合成した化合物を用いることができる。これらの化合物においては、R が水素原子でありカルボキシル基を有する化合物が、Pin1の機能を阻害する活性を有する。しかしながら、R がメチル基又はベンジル基である化合物であっても、加水分解により容易にカルボン酸に変化して、Pin1の機能を阻害する活性を有する化合物となることができる。
 後記実施例1で合成した化合物は、式(XIII)におけるYが、単結合、-CH -基(アルキレン基)、又は-NH-基である。
[0075]
 前記式(XIII)で表される化合物は、これらに限定されるわけではないが、例えば、アミノ酸の誘導体を原料として、次の反応式で示されるスキームにより合成することができる。
[0076]
[化20]


(式中、R 、R 、R 、及びYは、前記したものと同一のものを示し、Zは、水酸基又は塩素原子を示す。)
[0077]
 上記スキームにおいて、(1)の反応は、R を有するアルコールを、アミノ酸誘導体のカルボキシル基と反応させて脱水縮合することにより、アミノ酸誘導体にエステル結合を介してR を連結する反応である。そして、(2)の反応は、R 及びYを有するカルボン酸又は酸塩化物と、(1)の反応により生じた化合物のアミノ基とを反応させて脱水縮合することにより、アミド結合を介してY及びR を連結する反応である。
 上記スキームにおいて、R がHである化合物を合成する場合には、(1)及び(2)の反応を行った後に加水分解等によりR を脱離することで、R がHである化合物を得ることができ、また、R が水素原子であるアミノ酸誘導体に、直接R 及びYを有するカルボン酸を反応させて、脱水縮合することにより、(1)の反応を行わずに、R がHである化合物を得ることもできる。
[0078]
 前記式(I)で表される化合物において、Xは、-O-CO-基とすることができる。この場合には、m=1かつn=0とし、さらにZを水素原子とすれば、合成の原料となるアミノ酸の誘導体等が豊富に存在するための好ましい。
 この場合に、前記式(I)は、次の式(XIV)で表すことができる。
[0079]
[化21]


(式中、A、Y、R 、R 、及びR は、前記したものと同一である。また、*は不斉炭素原子の位置を示す。)
[0080]
 前記式(XIV)で表される化合物は、エステル結合を有するため分解されやすく、副作用の少ない治療剤又は予防剤とすることが可能である。例えば、消化管から吸収されて門脈を通じて肝臓に到達した後に分解されやすく、主に肝臓で作用する脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤となるように、化学構造を設計することも可能となる。
[0081]
 前記式(XIV)で表される化合物としては、後記実施例2で本発明者らが新たに合成した化合物を用いることができる。これらの化合物においては、R が水素原子でありカルボキシル基を有する化合物が、Pin1の機能を阻害する活性を有する。しかしながら、R がベンジル基である化合物であっても、加水分解により容易にカルボン酸に変化して、Pin1の機能を阻害する活性を有する化合物となることができる。
 後記実施例1で合成した化合物は、式(XIV)におけるYが、単結合、-CH -基(アルキレン基)、-CH -O-基(-O-R -基)、又は-CH(NHBoc)-CH -基(置換基を有するアルキレン基)である。
[0082]
 前記式(XIV)で表される化合物は、これらに限定されるわけではないが、例えば、アミノ酸の誘導体を原料として、次の反応式で示されるスキームにより合成することができる。
[0083]
[化22]


(式中、A、Y、R 、R 、及びR は、前記したものと同一のものを示す。)
[0084]
 上記スキームにおいて、(1)の反応は、アミノ酸誘導体を原料として用い、そのアミノ基を、置換反応にて、水酸基とする反応である。また、(2)の反応は、R を有するアルコールを、ヒドロキシカルボン酸誘導体のカルボン酸と反応させて脱水縮合することにより、ヒドロキシカルボン酸誘導体にエステル結合を介してR を連結する反応である。そして、(3)の反応は、R 及びYを有するカルボン酸と、(1)の反応により生じた水酸基と反応させて脱水縮合することにより、エステル結合を介してY及びR を連結する反応である。
 上記スキームにおいて、R がHである化合物を合成する場合には、(1)~(3)の反応を行った後に加水分解等によりR を脱離することで、R がHである化合物を得ることができるし、また、ヒドロキシカルボン酸誘導体を直接R 及びYを有するカルボン酸と脱水縮合することにより、(2)の反応を行わずに、R がHである化合物を得ることもできる。
[0085]
 前記式(I)で表される化合物において、Xは、-NH-基とすることができる。前記式(I)においてXが-NH-基である化合物は、特許文献2(国際公開第2006/040646号公報)において多数合成されており、それらの化合物はPin1を阻害する活性を有することが確認されている。それらの化合物の一部について具体的な化学構造を例示すると、次のとおりである。
[0086]
[化23]


[0087]
 これらの化合物は、式(I)におけるYが、それぞれ左から、単結合、-CH -基(アルキレン基)、-CH -CH -基(アルキレン基)である化合物である。
[0088]
 前記式(I)で表される化合物において、Xは、-NH-R -基(R は、炭素数1~5のアルキレン基、又は炭素数2~5のアルケニレン基を示す。)とすることができる。
 前記式(I)においてXが-NH-R -基である化合物は、特許文献2(国際公開第2006/040646号公報)において多数合成されており、それらの化合物はPin1を阻害する活性を有することが確認されている。それらの化合物の一部について具体的な化学構造を例示すると、次のとおりである。
[0089]
[化24]


[0090]
[化25]


[0091]
 これらの化合物は、式(I)におけるX及びYが、上段左の化合物は、Xが-NH-CH -基(-NH-R -基)であり、Yが-CO-N(CH )-C(CH -CH -基(-R -NR -CO-基)である化合物である。上段中央の化合物は、Xが-NH-(CH -基(-NH-R -基)であり、Yが-O-CH -基(-O-R -基)である化合物である。上段右の化合物は、Xが-NH-(CH -基であり、Yが-O-CO-基である化合物である。
 下段左の化合物は、Xが-NH-CH -基(-NH-R -基)であり、Yが-CO-NH-CH -基(-R -NR -CO-基)である化合物である。下段中央の化合物は、Xが-NH-(CH -基(-NH-R -基)であり、Yが-CO-NH-基(-CO-NR -基)である化合物である。下段右の化合物は、Xが-NH-CH -基(-NH-R -基)であり、Yが-CO-NH-(CH -基(-R -NR -CO-基)である化合物である。
[0092]
 前記式(I)で表される化合物において、XとYは、両方とも単結合とすることができる。
 前記式(I)においてXとYがどちらも単結合である化合物は、特許文献2(国際公開第2006/040646号公報)において多数合成されており、それらの化合物はPin1を阻害する活性を有することが確認されている。それらの化合物の一部について具体的な化学構造を例示すると、次のとおりである。
[0093]
[化26]


[0094]
 前記式(I)におけるR は、式(II)で表される基とすることができるが、式(II)の構造は次のとおりである。
[0095]
[化27]


[0096]
 式(II)中、環B及び環Cは、それぞれ、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を示し、R 7は、単結合、-O-基、-CO-基、-NH-基、-SO -基、-CO-NH-基、置換基を有していてもよい炭素数1~3のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2~3のアルケニレン基、-S-R 8-基(R 8は、置換基を有していてもよい炭素数1~2のアルキレン基を示す。)、-CO-R 8-基、-O-R 8-基、-SO -R 8-基を示す。
[0097]
 前記式(I)においてR が式(II)で表される基である化合物は、特許文献2(国際公開第2006/040646号公報)において多数合成されており、それらの化合物はPin1を阻害する活性を有することが確認されている。それらの化合物の一部について具体的な化学構造を例示すると、次のとおりである。
[0098]
[化28]


[0099]
[化29]


[0100]
[化30]


[0101]
 これらの化合物においては、式(II)の2つの環を連結するR が、上段の化合物については、それぞれ左から、単結合、-CO-基、-CO-NH-基である。
 また、中段の化合物については、R は、左からそれぞれ、-CH -基(アルキレン基)、-C=C-基(アルケニレン基)、-CH -S-基(-S-R -基)である。
 そして、下段の化合物については、R は、左からそれぞれ、-O-CH -基(-O-R -基)、-CH -SO -基(-SO -R -基)である。
[0102]
 前記式(I)においてR が式(II)で表される基である化合物は、後記実施例1で本発明者らが新たに合成した化合物を用いることもできる。
 後記実施例1で合成した化合物は、R が、-O-基、-CO-基、又は-NH-基である。
 前記式(I)においてR が式(II)で表される基である化合物は、後記実施例2で本発明者らが新たに合成した化合物を用いることもできる。
 後記実施例2で合成した化合物は、R が、単結合、-O-基、-CH -基(アルキレン基)、又は-CH(OH)-基(置換基を有するアルキレン基)である。
[0103]
1-2. Pin1の機能を阻害する活性
 本発明において有効成分となる化合物は、式(I)で表される化学構造を有し、Pin1の機能を阻害する活性を有する化合物である。
 ここで、Pin1の機能を阻害する活性とは、Pin1の異性化酵素活性(イソメラーゼ活性)を阻害すること、及び/又は、Pin1がIRS-1等の他のタンパク質と結合若しくは相互作用する活性を阻害することを意味する。
 式(I)で表される化学構造を有する化合物が、Jugloneのように様々な酵素を阻害する化合物ではなく、Pin1に対する特異性を有することについては、式(I)の基本骨格を有する化合物とPin1との結合についてのX線結晶解析の結果等からも明らかである(非特許文献3等)。
[0104]
 有効成分となる化合物が、Pin1の機能を阻害する活性を有するかどうかを試験するためには、これらに限定されるわけではないが、例えば、AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)のリン酸化を指標とすることで(Yusuke Nakatsu et al., Journal of Biological Chemistry, 2015, Vol.290, No.40, pp.24255-24266を参照)、本発明のPin1阻害剤によるPin1の機能を阻害する活性を測定することができる。また、ペプチドを基質としたPin1によるイソメラーゼ活性を、吸光度の変化により検出することで(Hailong Zhao et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2016, Vol.24, pp.5911-5920参照)、本発明のPin1阻害剤によるPin1の機能を阻害する活性を測定することもできる。あるいは、基質となるペプチドと競合するPin1への結合を検出することで(Shuo Wei et al., Nature Medicine, Vol.21, No.5, pp.457-466, online methods参照)、本発明のPin1阻害剤によるPin1の機能を阻害する活性を測定することもできる。
[0105]
1-3. 薬学的に許容できる塩
 本発明の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する。
 ここで、「薬学的に許容される塩」とは、例えば、これらに限定されるわけではないが、化合物内に酸性の官能基を有する場合には、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等とすることができる。また、化合物内に塩基性の官能基を有する場合には、塩酸、リン酸、酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸等との塩とすることができる。
[0106]
1-4. 適用疾患
 本発明の治療剤又は予防剤の適用疾患である「脂肪性肝疾患」とは、「脂肪肝」とも言われ、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した病態である。脂肪性肝疾患には、アルコール性脂肪肝と、非アルコール性脂肪性肝疾患(Non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)が含まれる。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは、肝障害を引き起こすほどのアルコール摂取歴がないにもかかわらず、アルコール性脂肪肝に類似する脂肪沈着が認められるメタボリックシンドロームに属する病態である。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)には、軽度の病態である単純性脂肪肝と、肝臓組織の炎症や線維化を伴う重度の病態である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が含まれる。
[0107]
 本発明において有効成分となる化合物は、Pin1の機能を阻害することを作用機序とし、脂肪の蓄積を抑制することができるため、脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤として用いることができる。
 本発明の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤は、脂肪性肝疾患であると診断された患者のみならず、脂肪性肝疾患である可能性がある患者や、脂肪性肝疾患を発症する恐れのある患者に対しても、治療剤又は予防剤として投与することができる。
 また、本発明の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤は、肝臓の炎症や線維化を抑制するため、特に、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療又は予防に好適に用いることができる。
[0108]
1-5. 剤型
 本発明の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤は、有効成分となる化合物又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを混合することにより医薬組成物とすることができ、例えば、これらに限定されるわけではないが、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、液剤、注射剤、坐剤、貼付剤、点眼剤、吸入剤とすることができる。
 好適な剤型としては、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、液剤等として経口投与することができる。また、副作用を軽減すべく肝臓に直接作用させる観点から、注射剤としてチューブ等により肝臓へ直接投与することもできる。
[0109]
 本発明の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤で使用できる、薬学的に許容される担体としては、各種無機又は有機担体物質を用いることができる。医薬組成物を、錠剤、顆粒剤等の固形剤とする場合には、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等を用いることができ、液剤、注射剤等の液状製剤とする場合には、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、緩衝剤等を用いることができる。
 また、必要に応じて、抗酸化剤、防腐剤、着色剤等の添加物を用いることもできる。
[0110]
 これらに限定されるわけではないが、賦形剤としては、例えば、乳糖、D-マンニトール、デンプン等を用いることができ、滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク等を用いることができ、結合剤としては、例えば、結晶セルロース、ゼラチン等を用いることができ、崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースなどを用いることができる。
 また、溶剤としては、例えば、蒸留水、アルコール、プロピレングリコール等を用いることができ、溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、エタノール等を用いることができ、懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができ、緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。
[0111]
 本発明の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤は、1日に患者の体重1kgあたり、その有効成分に換算して、好ましくは0.01~100mg投与し、より好ましくは、0.1~10mg投与するのがよい。
[0112]
 本発明の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩の他に、脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤の有効成分を含有していてもよい。
 このような有効成分としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、ビタミンEや、本件出願時点において臨床試験段階にあるオベチコール酸(6-エチル-ケノデオキシコール酸)、elafibranor、selonsertib、saroglitazar、lanifibranor、semaglutide、pemafibrate等を用いることができる。
 また、本発明の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤は、他の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤と併用することができる。
[0113]
2. 肥満症の治療剤又は予防剤
 本発明の肥満症の治療剤又は予防剤は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する。
 式(I)で表される化合物の構造は、前記1-1.に記載したとおりであり、また、その薬学的に許容される塩については、前記1-3.に記載したとおりである。
 本発明の肥満症の治療剤又は予防剤は、脂肪の蓄積を抑制することにより、肥満症を治療し、又は肥満症となることを予防する効果を奏する。かかる薬効は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩が、Pin1の機能を阻害する作用機序に基づく。
[0114]
 本発明において、「肥満症」とは、内臓あるいは皮下に脂肪が過剰に蓄積した状態となった疾患であり、腹部CTスキャンにおける脂肪の面積等から診断することが可能である。本発明の肥満症の治療剤又は予防剤は、肥満症であると診断された患者のみならず、肥満症である可能性がある患者や、肥満症を発症する恐れのある患者に対しても、治療剤又は予防剤として投与することができる。
[0115]
 本発明の肥満症の治療剤又は予防剤は、前記1-5.に記載したとおり、薬学的に許容される担体と混合して、各種剤型に製剤化することができる。
 本発明の肥満症の治療剤又は予防剤は、1日に患者の体重1kgあたり、その有効成分に換算して、好ましくは0.01~100mg投与し、より好ましくは、0.1~10mg投与するのがよい。
[0116]
 本発明の肥満症の治療剤又は予防剤は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩の他に、肥満症の治療剤又は予防剤に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤の有効成分を含有していてもよい。
 このような有効成分としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、セチリスタット、オルリスタット、ロルカセリン等を用いることができる。
 また、本発明の肥満症の治療剤又は予防剤は、他の肥満症の治療剤又は予防剤と併用することができる。
[0117]
 以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例 1
[0118]
(アミド系化合物の合成)
(実施例1-1) 中間体の合成
 本発明において有効成分となる化合物を合成するために用いる中間体(H-34、H-47、及びH-48)を製造した。
 D-ナフチルアラニン(5.0 g, 23.2 mmol)のメタノール(100 mL)溶液に、塩化チオニル(4.9 g, 3.0 mL, 41 mmol)を室温で加え、混合物を同温で16時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮し、残渣にトルエンを加えて数回減圧下濃縮して塩化チオニルを除去して、次の構造式に示されるH-34を白色粉末として得た(6.2 g, 23.2 mmol, 100%)。
[0119]
[化31]


   H-34
[0120]
 H-34塩酸塩(400 mg,1.4 mmol)のジクロロメタン(3 mL)溶液に、0 °Cで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3 mL)を加え、同温でトリホスゲン(178 mg, 0.6 mmol)のジクロロメタン(1 mL)溶液を加え、混合物を同温で15分間撹拌した。混合物をクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過して減圧下濃縮し、次の構造式に示されるH-48を得た。このものを精製せず,次の工程に用いた.
[0121]
[化32]


   H-48
[0122]
 D-ナフチルアラニン(3.0 g, 13.9 mmol)、ベンジルアルコール(22.5 g, 21 mL, 209 mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物(4.0 g, 20.9 mmol)のベンゼン(180 mL)溶液を還流し、共沸脱水を行いながら3日間撹拌した。室温に冷却後混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で3回洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過して減圧下濃縮した。残渣に1M塩酸を加え、得られた粉末をエーテルで懸濁し、減圧下ろ過した。固体を数回エーテルで洗浄し、次の構造式に示されるH-47を白色粉末として得た(4.59 g, 13.5 mmol, 97%)。
[0123]
[化33]


   H-47
[0124]
(実施例1-2) H-144の合成
 H-34塩酸塩(200 mg, 0.753 mmol)のジクロロメタン(4 mL)溶液に、トリエチルアミン(183 mg, 0.25 mL, 1.81 mmol)を室温で加え、同温で9H-カルバゾール-9-カルボニルクロリド(207 mg, 0.904 mmol)を加え、混合物を同温で2日間撹拌した。混合物に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過して減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン:酢酸エチル,4:1)、H-144を白色結晶として得た(210 mg, 0.381 mmol, 66%)。
 H-144についてのNMR測定スペクトルとHR-ESI-MSによる質量分析の結果は以下のとおりである。
H NMR (400 MHz, CDCl ) δ 3.45 (1H, dd, J = 14.2, 6.5 Hz), 3.61 (1H, dd, J = 14.2, 5.4 Hz), 3.86 (3H, s), 5.19 (1H, ddd, J = 7.4, 6.5, 5.4 Hz), 6.24 (1H, d, J = 7.4 Hz), 7.20-7.31 (4H, m), 7.34 (1H, dd, J = 8.7, 1.8 Hz), 7.45-7.51 (2H, m), 7.69 (1H, s), 7.71-7.79 (3H, m), 7.80-7.86 (2H, m), 7.95-7.99 (2H, m); HRESIMS calcd for C 27H 22N O Na [M+Na] 445.1528, found 445.1530.
 確認されたH-144の化学構造は次のとおりである。
[0125]
[化34]


   H-144
[0126]
(実施例1-3) H-163の合成
 H-144(177 mg, 0.42 mmol)のTHF(5 mL)溶液に、水酸化リチウム水溶液(1 M, 1.7 mL, 1.7 mmol)を室温で加え、同温で2時間撹拌した。混合物に1 M塩酸を加えて中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過して減圧下濃縮し、H-163を黄色結晶として得た(158 mg, 0.386 mmol, 92%)。
 H-163についてのNMR測定スペクトルとHR-ESI-MSによる質量分析の結果は以下のとおりである。
H NMR (400 MHz, DMSOd ) δ 3.28 (1H, dd, J = 13.7, 11.4 Hz), 3.51 (1H, dd, J = 13.7, 4.5 Hz), 4.80 (1H, ddd, J = 11.4, 8.2, 4.5 Hz), 7.17 (2H, t, J = 7.4 Hz), 7.24 (2H, t, J = 7.4 Hz), 7.46-7.55 (4H, m), 7.61 (1H, d, J = 8.7 Hz), 7.86-7.96 (4H, m), 8.09 (2H, d, J = 7.7 Hz), 8.72 (1H, d, J = 8.2 Hz); HRESIMS calcd for C 26H 20N 2O 3Na [M+Na] + 431.1372, found 431.1369.
 確認されたH-163の化学構造は次のとおりである。
[0127]
[化35]


   H-163
[0128]
(実施例1-4) Pin1を阻害する活性の評価
 合成した化合物がPin1の機能を阻害する活性を評価するため、本発明者らが以前に開発した方法(Yusuke Nakatsu et al., Journal of Biological Chemistry, 2015, Vol.290, No.40, pp.24255-24266)に従い、Pin1によりリン酸化が抑制されることが明らかとなっているAMPK(AMP活性プロテインキナーゼ)のリン酸化の程度を指標として、細胞を用いたアッセイを行った。
 簡潔に説明すると、コラーゲンコートされた24 wellプレートに293T細胞を播種した。48時間後に実施例で合成した各化合物(100μM)を添加し、30分インキュベーター内で静置した。その後、10mM 2-DGを添加し、1時間後にメルカプトエタノールとSDSを含むバッファーでサンプルを回収した。
 常法に従い、SDS-PAGE、ブロッティングを行った後、3% BSAで1時間ブロッキングを行った。その後、1次抗体としてpAMPK antibody (Cell signaling 1:2000, Can get signal solution1: Toyoboで希釈)、2次抗体としてHRP-linked anti rabbit IgG(GE healthcare 1:4000、Can get signal solution2: Toyoboで希釈)とそれぞれ、常温で1時間反応させ、検出した。
 Pin1の機能を阻害する活性は、公知のPin1阻害剤であるC1による阻害の程度と比較することで、以下のように評価した。
(+++): C1より強くAMPKのリン酸化を促進する。
(++) : C1と同程度AMPKのリン酸化を促進する。
(+) : AMPKのリン酸化は促進するが、C1よりは弱い。
(-) : AMPKリン酸化の促進が(ほぼ)認められない。
 実施例1-3で合成したH-163をこの方法により評価したところ、(++):C1と同程度のAMPKのリン酸化を促進するという結果であった。
 H-144の活性については未測定であるが、H-144はH-163のカルボン酸にメチル基が結合したエステル体であり、加水分解により容易にカルボン酸に変化して、活性を有する化合物となることができる。
[0129]
(実施例1-5) その他のアミド系化合物の合成
 実施例1-1で合成した中間体を用い、実施例1-2及び1-3と同様の合成方法により、アミド系化合物を複数合成した。そして、合成した化合物について、実施例1-4と同じ評価方法によりPin1を阻害する活性の評価を行った。合成した化合物の化学構造と、活性の評価結果を次の表に示す。
[0130]
[表1]


[0131]
[表2]


[0132]
[表3]



[0133]
[表4]


[0134]
[表5]


[0135]
[表6]


[0136]
[表7]


[0137]
 H-53、H-91、H-129、H-138、H-143、H-144、H-156、H-287、及びH-291の活性については未測定であるが、これらはそれぞれ、H-62、H-103、H-161、H-158、H-162、H-163、H-164、H-334、及びH-341のカルボン酸にメチル基又はベンジル基が結合したエステル体であり、加水分解により容易にカルボン酸に変化して、活性を有する化合物となることができる。
 また、H-85の活性については未測定であるが、これはH-109のカルボン酸にメチル基が結合したエステル体であり、加水分解により容易にカルボン酸に変化して、活性を有する化合物となることができる。
 H-105については、細胞実験ではPin1阻害活性がないとの結果であったが、H-109のカルボン酸にベンジル基が結合したエステル体であり、加水分解により容易にカルボン酸に変化して、活性を有する化合物となることができる。
実施例 2
[0138]
(エステル系化合物の合成)
(実施例2-1) 中間体の合成
 本発明において有効成分となる化合物を合成するために用いる中間体(H-26)を製造した。
 D-ナフチルアラニン(10.3 g, 47.9 mmol)の水(40 mL)懸濁液に室温で1M 硫酸(60 mL)とアセトン(160 mL)を加え、-5°Cに冷却後,亜硝酸ナトリウム(9.9 g, 144 mmol)の水(40 mL)溶液をゆっくり加えた。-5°Cで30分間撹拌後、室温でさらに16時間撹拌した。減圧下アセトンを留去後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過して減圧下濃縮し、次の構造式に示される化合物(H-18)を得た。この化合物は精製せず、次の工程に用いた。
[0139]
[化36]


   H-18
[0140]
 H-18の粗生成物、ベンジルアルコール(5.18 g, 4.9 mL, 47.9 mmol)とp-トルエンスルホン酸一水和物(912 mg, 4.8 mmol)のベンゼン(150 mL)溶液を還流し、共沸脱水を行いながら8時間撹拌した。室温に冷却後、混合物に飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過して減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン:酢酸エチル,4:1)、次の構造式で示される化合物(H-26)を白色結晶として得た(11.7 g, 38.3 mmol, 80%)。結晶をエーテルに溶解して静置し、結晶析出後ろ過してヘキサン:エーテル(4:1)混合溶媒で結晶を洗浄した。
 H-26についてのNMR測定スペクトルとHR-ESI-MSによる質量分析の結果は以下のとおりである。
  H NMR (400 MHz, CDCl ) δ 3.16 (1H, dd, J = 13.7, 6.4 Hz), 3.30 (1H, dd, J = 13.7, 4.6 Hz), 4.59 (1H, dd, J = 6.4, 4.6 Hz), 5.16 (1H, d, J = 12.3 Hz), 5.21 (1H, d, J = 12.3 Hz), 7.26-7.39 (6H, m), 7.42-7.49 (2H, m), 7.62 (1H, s), 7.71-7.76 (2H, m), 7.78-7.83 (1H, m); 13C NMR (100 MHz, CDCl ) δ 40.6, 67.4, 71.3, 125.5, 126.0, 126.9, 127.6, 127.7, 128.0, 128.2, 128.5, 128.6, 132.4, 133.4, 133.7, 134.9, 173.9; HRESIMS calcd for C 20H 18O Na [M+Na] 329.1154, found 329.1151.
 確認されたH-26の化学構造は以下のとおりである。
[0141]
[化37]


   H-26
[0142]
(実施例2-2) H-31の合成
 H-26(150 mg, 0.49 mmol)、フルオレン-9-カルボン酸(124 mg, 0.588 mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(6.0 mg, 0.049 mmol)のジクロロメタン(5 mL)溶液に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(122 mg, 0.64 mmol)を室温で加え、混合物を同温で8時間撹拌した。混合物に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過して減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン:酢酸エチル,6:1)、H-22を淡黄色結晶として得た(191 mg, 0.384 mmol, 78%)。
 H-22についてのNMR測定スペクトルとHR-ESI-MSによる質量分析の結果は以下のとおりである。
  H NMR (400 MHz, CDCl 3) δ 3.26 (1H, dd, J = 14.2, 8.7 Hz), 3.45 (1H, dd, J = 14.2, 4.1 Hz), 4.85 (1H, s), 5.12 (1H, d, J = 12.3 Hz), 5.19 (1H, d, J = 12.3 Hz), 5.44 (1H, dd, J = 8.7, 4.1 Hz), 7.02 (1H, td, J = 7.3, 0.9 Hz), 7.12-7.21 (5H, m), 7.26-7.40 (5H, m), 7.43-7.53 (3H, m), 7.55 (1H, s), 7.66-7.73 (4H, m), 7.80-7.85 (1H, m); 13C NMR (100 MHz, CDCl 3) δ 37.3, 53.0, 67.2, 73.6, 119.86, 119.88, 125.5, 125.6, 125.7, 126.0, 127.2, 127.3, 127.6, 127.7, 128.0, 128.12, 128.16, 128.19, 128.3, 128.4, 128.5, 133.1, 133.3, 135.0, 140.0, 140.1, 141.3, 141.4, 169.1, 170.5; HRESIMS calcd for C 34H 26O Na [M+Na] 521.1729, found 521.1732.
 確認されたH-22の化学構造は以下のとおりである。
[0143]
[化38]


   H-22
[0144]
 H-22(188 mg, 0.377 mmol)のTHF(6 mL)溶液に5% Pd/C(100 mg)を加え、水素雰囲気下室温で16時間撹拌した。反応混合物をセライトを用いてろ過し、酢酸エチルで残渣を洗浄後溶液を減圧下濃縮し、H-31を白色ゲルとして得た(140 mg, 0.343 mmol, 91%)(>99% ee, AD-H column, ヘキサン:イソプロパノール、5:1)。
 H-31についての比旋光度、IRスペクトル、NMR測定スペクトル及びHR-ESI-MSによる質量分析の結果は以下のとおりである。
[α] 25 = -63.6 (c 0.38, CHCl 3); IR (KBr) 3449, 1760, 1719 cm -1; H NMR (400 MHz, CDCl ) δ 3.26 (1H, dd, J = 14.1, 9.6 Hz), 3.42 (1H, dd, J = 14.1, 3.6 Hz), 4.86 (1H, s), 5.41 (1H, dd, J = 9.6, 3.7 Hz), 6.92 (1H, t, J = 6.9 Hz), 7.16 (1H, d, J = 7.3 Hz), 7.18-7.24 (2H, m), 7.32 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.38 (1H, t, J = 7.7 Hz), 7.46-7.52 (3H, m), 7.59 (1H, s), 7.68-7.76 (4H, m), 7.80-7.86 (1H, m); 13C NMR (100 MHz, CDCl ) δ 37.1, 53.0, 73.2, 119.9, 125.5, 125.6, 125.8, 126.1, 127.1, 127.3, 127.6, 127.7, 128.1, 128.2, 128.3, 132.5, 133.0, 133.3, 139.9, 140.0, 141.3, 141.4, 170.6, 174.8; HRESIMS calcd for C 27H 20O Na [M+Na] 431.1259, found 431.1264.
 確認されたH-31の化学構造は以下のとおりである。
[0145]
[化39]


   H-31
[0146]
(実施例2-3) その他のエステル系化合物の合成
 実施例2-1で合成した中間体やその誘導体を用い、実施例2-2と同様の合成方法により、エステル系化合物を複数合成した。そして、合成した化合物について、実施例1-4と同じ評価方法によりPin1を阻害する活性の評価を行った。合成した化合物の化学構造と、活性の評価結果を次の表に示す。
[0147]
[表8]


[0148]
[表9]


[0149]
[表10]


[0150]
[表11]


[0151]
[表12]


[0152]
[表13]


[0153]
[表14]


[0154]
[表15]


実施例 3
[0155]
(NASH治療実験)
(実施例3-1)
 実施例で合成した化合物による非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療効果を試験するため、NASHのモデルマウスによる動物実験を行った。
 NASHのモデルマウス(以下、「NASHマウス」という。)は、動物実験用マウス(C57BL/6J)のオスの個体に、トランス脂肪酸含有高脂肪食(HFDT)を8週間与えることにより作製した。8週間のHFDTの摂取期間中に、実施例1-2で合成した化合物(H-144)又は実施例1-3で合成した化合物(H-163)を2.5mg/Kg/dayで週3回腹腔内投与した群と、H-144又はH-163を5.0mg/Kg/dayで週3回経口投与した群と、公知のPin1阻害剤であるJugloneを2.5mg/Kg/dayで週3回腹腔内投与した群と、Jugloneを5.0mg/Kg/dayで週3回経口投与した群と、何も投与しない群とに分けて動物実験を行った。また、コントロールマウスとするため、動物実験用マウス(C57BL/6J)のオスの個体に、通常食を8週間与えた。
 これらのマウスの肝重量の変化と、血中ALT(GPT)の濃度と、空腹時血糖を測定した結果を、それぞれ、図1(A)~(C)に示す。
 図1(A)は、マウスの肝重量を測定した結果を示すグラフであり、各棒グラフは、左から、コントロールマウス、NASHマウス、H-163を腹腔内投与したNASHマウス、H-163を経口投与したNASHマウス、H-144を腹腔内投与したNASHマウス、H-144を経口投与したNASHマウス、Jugloneを腹腔内投与したNASHマウス、Jugloneを経口投与したNASHマウスの肝重量の測定結果を示す。
 図1(A)に示されるように、NASHマウスでは、肝臓に脂肪が蓄積して肝重量が増加したが、H-163及びH-144を投与した場合には、肝重量の増加が顕著に抑制された。また、Jugloneを経口投与したNASHマウスは、肝重量の増加が顕著に抑制されたが、Jugloneを腹腔内投与したNASHマウスは、8週間以内に全て死亡した。Jugloneは特異性の低いPin1阻害剤であることから、重度の副作用が生じたものと考えられた。
 図1(B)は、血中ALT(GPT)の濃度(IU/ml)を測定した結果示すグラフであり、各棒グラフは、左から、コントロールマウス、NASHマウス、H-163を腹腔内投与したNASHマウス、H-163を経口投与したNASHマウス、H-144を腹腔内投与したNASHマウス、H-144を経口投与したNASHマウス、Jugloneを腹腔内投与したNASHマウス、Jugloneを経口投与したNASHマウスの血中ALTの測定結果を示す。
 図1(B)に示されるように、Pin1阻害剤を与えないNASHマウスでは、肝臓の炎症を示すALTの数値が上昇したが、H-163及びH-144を投与した場合には、ALTの数値が減少し、肝臓の炎症の抑制が見られた。
 図1(C)は、空腹時血糖の濃度(mg/dl)を測定した結果示すグラフであり、各棒グラフは、左から、コントロールマウス、NASHマウス、H-163を腹腔内投与したNASHマウス、H-163を経口投与したNASHマウス、H-144を腹腔内投与したNASHマウス、H-144を経口投与したNASHマウス、Jugloneを腹腔内投与したNASHマウス、Jugloneを経口投与したNASHマウスの空腹時血糖の測定結果を示す。
 図1(C)に示されるように、Jugloneを腹腔内投与したNASHマウスは、8週間以内に全て死亡し、Jugloneを経口投与したNASHマウスは、死亡はしなかったものの血糖値の異常な上昇が見られた。一方、H-163及びH-144を投与したNASHマウスでは、空腹時血糖の大きな異常は見られなかった。Jugloneは特異性の低いPin1阻害剤であることから、重度の副作用が生ずるものであり、それに対し、本発明の化合物は副作用が顕著に小さいことが確認された。
[0156]
(実施例3-2)
 次に、通常食を与えたコントロールマウス、HFDTを与えたNASHマウス、HFDTとH-163を与えたNASHマウスについて、肝臓組織の切片を顕微鏡観察した結果を図2に示す。
 図2(A)は、通常食を与えたコントロールマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真であり、図2(B)は、HFDTを与えたNASHマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真であり、図2(C)は、HFDTとH-163を与えたNASHマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真である。
 図2(A)に示されるように、コントロールマウスでは肝臓組織に脂肪の蓄積が見られなかったが、図2(B)に示されるように、HFDTを与えたNASHマウスでは、肝臓組織に脂肪の蓄積が見られた。しかしながら、図2(C)に示すように、NASHマウスでも、H-163を投与することにより脂肪の蓄積が顕著に抑制された。
[0157]
(実施例3-3)
 次にNASHマウスとして、メチオニン・コリン欠乏食(MCDD)を与えることにより肝臓に脂肪を蓄積させたNASHマウスを作製し、動物実験を行った。
 NASHマウスは、動物実験用マウス(C57BL/6J)のオスの個体に、メチオニン・コリン欠乏食(MCDD)を8週間与えることにより作製した。8週間のMCDDの摂取期間中に、実施例1-3で合成した化合物(H-163)又は実施例2-2で合成した化合物(H-31)を2.5mg/kg/dayで週3回腹腔内投与した群と、何も投与しない群とに分けて動物実験を行った。また、コントロールマウスとするため、動物実験用マウス(C57BL/6J)のオスの個体に、通常の食事を8週間与えた。
 これらのマウスの肝臓組織の切片をAza染色して顕微鏡観察した結果を図3に示す。
 図3(A)は、コントロールマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真であり、図3(B)は、MCDDを与えたNASHマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真であり、図3(C)は、MCDDとH-163を与えたNASHマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真であり、図3(D)は、MCDDとH-31を与えたNASHマウスの肝臓組織の観察結果を示す写真である。
 図3(A)に示されるように、コントロールマウスでは肝臓組織に脂肪の蓄積は見られなかったが、図3(B)に示されるように、MCDDを与えたNASHマウスでは、肝臓組織に脂肪の蓄積が見られた。また、図3(C)に示されるように、NASHマウスでも、H-163を投与することにより脂肪の蓄積が抑制された。そして、図3(B)に示されるように、H-163を投与しない場合には、肝臓組織の線維化がAza染色により観察された(矢印の先に示される着色された部分)。一方、図3(C)及び図3(D)に示されるように、H-163やH-31を投与した場合には、肝臓組織の線維化が顕著に抑制されていた。
[0158]
(実施例3-4)
 次に、通常食を与えたコントロールマウス、MCDDを与えたNASHマウス、MCDDとH-31を与えたNASHマウス、MCDDとH-163を与えたNASHマウスについて、Collagen 1a1 mRNAの発現量と、Collagen 1a2 mRNAの発現量と、SMA mRNAの発現量を測定した。その結果を図4に示す。
 図4(A)は、Collagen 1a1 mRNAの発現量を測定した結果示すグラフであり、図4(B)は、Collagen 1a2 mRNAの発現量を測定した結果示すグラフであり、図4(C)は、SMA mRNAの発現量を測定した結果示すグラフである。
 それぞれのグラフにおいて、各棒グラフは、左から、通常食を与えたコントロールマウス、MCDDを与えたNASHマウス、MCDDとH-31を与えたNASHマウス、MCDDとH-163を与えたNASHマウスについて、各mRNAの発現量を測定した結果を示す。
 図4(A)~(C)に示されるように、MCDDを投与することにより、組織の線維化の指標となるCollagen 1a1、Collagen 1a2、及びSMAの発現量が増大した。しかしながら、H-31やH-163を投与することにより、これらの遺伝子の発現量が低下しており、線維化が抑制されることが明らかとなった。

産業上の利用可能性

[0159]
 本発明の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤、及び肥満症の治療剤又は予防剤は、いずれも医薬産業において有用である。

請求の範囲

[請求項1]
 式(I)
[化1]


(式中、mは0~2の整数を示し、nは0~1の整数を示し、0≦m+n≦2であり、
 環Aは、置換基を有していてもよい単環式の芳香環又は複素環であり、
 Xは、単結合、-NH-基、-NH-CO-基、-O-CO-基、-CH -S-CH -基、-CH -S-(CH -S-基、又は-NH-R -基(R は、炭素数1~5のアルキレン基、又は炭素数2~5のアルケニレン基を示す。)であり、
 Yは、単結合、-NH-基、-CO-基、-SO -基、-O-CO-基、-CO-NR -基(R は、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~5のアルキル基を示す。)、-O-R -基(R は、置換基を有していてもよい炭素数1~5のアルキレン基、又は置換基を有していてもよい炭素数2~5アルケニレン基を示す。)、-NR -R -基、-S-R -基、-CO-R -基、-SO -R -基、-NR -CO-R -基、-R -NR -CO-基、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基、又は置換基を有していてもよい炭素数2~6のアルケニレン基であり、
 Zは、水素原子、置換基を有していてもよいアミノ基、又は置換基を有していてもよいアミンであり、
 前記Zが置換基を有していてもよいアミンである場合には、前記Xと前記Zは環を形成し、
 R は、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよいアミノ基であり、
 R は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもい複素環基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は次の式(II)
[化2]


(式中、環B及び環Cは、それぞれ、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を示し、R は、単結合、-O-基、-CO-基、-NH-基、-SO -基、-CO-NH-基、置換基を有していてもよい炭素数1~3のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2~3のアルケニレン基、-S-R -基(R は、置換基を有していてもよい炭素数1~2のアルキレン基を示す。)、-CO-R -基、-O-R -基、-SO -R -基を示し、環B、環C又はR のいずれかの部位でYと連結する。)
で表される基であり、
 R は、同一又はそれぞれ異なる0~4個の置換基である。)
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤。
[請求項2]
 前記脂肪性肝疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎である、請求項1に記載の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤。
[請求項3]
 前記mが1であり、前記nが0である、請求項1又は2に記載の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤。
[請求項4]
 前記Xが、-NH-CO-基、又は-O-CO-基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤。
[請求項5]
 前記環Aが、ベンゼン環である、請求項1~4のいずれか1項に記載の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤。
[請求項6]
 前記R が、置換基を有していてもよい多環式のアリール基、又は置換基を有していてもよい多環式の複素環基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤。
[請求項7]
 前記Zが、水素原子である、請求項1~6にいずれか1項に記載の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤。
[請求項8]
 前記Yが、単結合、-CH -基、又は-CH -O-基である、請求項1~7のいずれか1項に記載の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤。
[請求項9]
 前記R が、水素原子である、請求項1~8のいずれか1項に記載の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤。
[請求項10]
 脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤に分類される他の薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤の有効成分をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤。
[請求項11]
 脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用して脂肪性肝疾患を治療又は予防するための、請求項1~9のいずれか1項に記載の脂肪性肝疾患の治療剤又は予防剤。
[請求項12]
 式(I)
[化3]


(式中、mは0~2の整数を示し、nは0~1の整数を示し、0≦m+n≦2であり、
 環Aは、置換基を有していてもよい単環式の芳香環又は複素環であり、
 Xは、単結合、-NH-基、-NH-CO-基、-O-CO-基、-CH -S-CH -基、-CH -S-(CH -S-基、又は-NH-R -基(R は、炭素数1~5のアルキレン基、又は炭素数2~5のアルケニレン基を示す。)であり、
 Yは、単結合、-NH-基、-CO-基、-SO -基、-O-CO-基、-CO-NR -基(R は、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~5のアルキル基を示す。)、-O-R -基(R は、置換基を有していてもよい炭素数1~5のアルキレン基、又は置換基を有していてもよい炭素数2~5のアルケニレン基を示す。)、-NR -R -基、-S-R -基、-CO-R -基、-SO -R -基、-NR -CO-R -基、-R -NR -CO-基、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基、又は置換基を有していてもよい炭素数2~6のアルケニレン基であり、
 Zは、水素原子、置換基を有していてもよいアミノ基、又は置換基を有していてもよいアミンであり、
 前記Zが置換基を有していてもよいアミンである場合には、前記Xと前記Zは、環を形成し、
 R は、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよいアミノ基であり、
 R は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもい複素環基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は次の式(II)
[化4]


(式中、環B及び環Cは、それぞれ、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を示し、R は、単結合、-O-基、-CO-基、-NH-基、-SO -基、-CO-NH-基、置換基を有していてもよい炭素数1~3のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2~3のアルケニレン基、-S-R -基(R は、置換基を有していてもよい炭素数1~2のアルキレン基を示す。)、-CO-R -基、-O-R -基、-SO -R -基を示し、環B、環C又はR のいずれかの部位でYと連結する。)
で表される基であり、
 R は、同一又はそれぞれ異なる0~4個の置換基である。)
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、肥満症の治療剤又は予防剤。
[請求項13]
 前記mが1であり、前記nが0である、請求項12に記載の肥満症の治療剤又は予防剤。
[請求項14]
 前記Xが、-NH-CO-基、又は-O-CO-基である、請求項12又は13に記載の肥満症の治療剤又は予防剤。
[請求項15]
 前記環Aが、ベンゼン環である、請求項12~14のいずれか1項に記載の肥満症の治療剤又は予防剤。
[請求項16]
 前記R が、置換基を有していてもよい多環式のアリール基、又は置換基を有していてもよい多環式の複素環基である、請求項12~15のいずれか1項に記載の肥満症の治療剤又は予防剤。
[請求項17]
 前記Zが水素原子である、請求項12~16のいずれか1項に記載の肥満症の治療剤又は予防剤。
[請求項18]
 前記Yが、単結合、-CH -基、又は-CH -O-基である、請求項12~17のいずれか1項に記載の肥満症の治療剤又は予防剤。
[請求項19]
 前記R が水素原子である。請求項12~18のいずれか1項に記載の肥満症の治療剤又は予防剤。
[請求項20]
 肥満症の治療剤又は予防剤に分類される他の薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤の有効成分をさらに含む、請求項12~19のいずれか1項に記載の肥満症の治療剤又は予防剤。
[請求項21]
 肥満症の治療剤又は予防剤に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用して肥満症を治療又は予防するための、請求項12~19のいずれか1項に記載の肥満症の治療剤又は予防剤。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]