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1. (WO2019030965) VACUUM PUMP
Document

明 細 書

発明の名称 真空ポンプ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081  

符号の説明

0082  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : 真空ポンプ

技術分野

[0001]
 本発明は、真空ポンプに関する。

背景技術

[0002]
 容積移送型のドライ真空ポンプとして、例えば、2軸型のスクリューポンプが知られている。この種のスクリューポンプは、一対のスクリューロータと、一対のスクリューロータを収容するハウジングと、一対のスクリューロータを回転させる駆動機構とを備える。これら一対のスクリューロータが回転することで、ハウジングの吸気口から排気口へ気体が移送されて、真空容器内のガスが排気される(例えば、特許文献1参照)。
[0003]
 ハウジングは、一対のスクリューロータが長時間に渡り作動すると高温に加熱される場合がある。このため、ハウジングは、一般的には空冷式または水冷式により冷却される。そして、真空ポンプのコンパクト化が望まれる状況のなか、その一部であるハウジングにおいては、簡便且つ高効率の冷却構造になるかが重要になる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2009-185778号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 上記の冷却構造については、簡便な冷却構造を要することから循環型の冷却構造が要求される。また、冷媒体として、一般的にはオイルやクーラント液に比べて冷却効率が高く、取り扱いが容易な水が用いられる。また、冷媒体が水であれば、水に対して耐性の高いステンレス製の冷却管と適合する。但し、ステンレス製の冷却管を用いた場合には、ステンレス製の冷却管をいかにしてハウジングと均一に密接させ、且つ、ステンレス製の冷却管の内周面まで鋭敏化させないことが重要になる。
[0006]
 以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、簡便で、冷却効率が良く、製作性が良い冷却構造を有するハウジングを具備した真空ポンプを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る真空ポンプは、ポンプハウジングと、冷却管とを具備する。上記ポンプハウジングは、鋳鉄で構成される。上記冷却管は、外周面と内周面とを有し、ステンレス鋼で構成される。上記冷却管は、上記ポンプハウジングを貫通し、上記ポンプハウジングに密接する上記外周面が鋭敏化層で構成される。
 この真空ポンプは、鋳鉄で構成されたポンプハウジングがステンレス鋼で構成された冷却管の周りに鋳造されて形成されたものである。これにより、ポンプハウジングを貫通する冷却管を備えた真空ポンプが簡便に形成される。さらに、冷却管の外周面には鋭敏化層が設けられ、鋭敏化層がポンプハウジングに密接し、ポンプハウジングが効率よく冷却される。
[0008]
 上記の真空ポンプにおいては、上記ポンプハウジング内に収容され、螺旋状の第1歯部を有する第1スクリューロータと、上記第1歯部と噛み合う螺旋状の第2歯を有する第2スクリューロータとをさらに具備してもよい。
 このような真空ポンプであれば、一対のスクリューロータを長時間に渡り作動させても、ポンプハウジングは、ポンプハウジングに設けられた冷却管によって効率よく冷却される。
[0009]
 上記の真空ポンプにおいては、上記冷却管は、第1冷却管部と、上記第1冷却管部に並列する第2冷却管部とを有する。上記第1スクリューロータ及び上記第2スクリューロータは、上記第1冷却管部と上記第2冷却管部とによって挟まれている。
 このような真空ポンプであれば、ポンプハウジングに、一対のスクリューロータを挟むように第1冷却管部と第2冷却管部とが設けられる。これにより、ポンプハウジングが均等に冷却される。
[0010]
 上記の真空ポンプにおいては、上記冷却管は、上記第1冷却管部と上記第2冷却管部とを連結し上記ポンプハウジング外に設けられた接続管部をさらに有する。上記第1冷却管部、上記接続管部及び上記第2冷却管部は、この順に直列状に連結され、一体となって構成されている。
 このような真空ポンプであれば、冷却管が第1冷却管部、接続管部及び第2冷却管部によって直列状に連結され、一体となって構成されているために、冷却管が簡便な構成になる。
[0011]
 上記の真空ポンプにおいては、上記冷却管の厚みは、1mm以上5mm以下であってもよい。
 このような真空ポンプであれば、冷却管の厚みが1mm以上5mm以下に設定されているので、ステンレス鋼で構成された冷却管が鋳造の際に内周面まで溶融せずに、かつ外周面が適度に溶融し、冷却管の外周面がポンプハウジングに密接する。
[0012]
 上記の真空ポンプにおいては、上記鋭敏化層の厚みは、0.3mmであってもよい。
 このような真空ポンプであれば、ポンプハウジングが鋳造される際に、冷却管と、溶解した鋳鉄とが接触することにより、冷却管の表面が加熱されても、冷却管の外周面は鋭敏化され、内周面は鋭敏化されない。これにより、冷却管の外周面に鋭敏化層が形成される。
[0013]
 上記の真空ポンプにおいては、上記ポンプハウジングの容積を上記冷却管の厚みに上記冷却管が上記ポンプハウジングに接する面積を乗算した値で除算した値は、30以上300以下であってもよい。
 このような真空ポンプであれば、上記除算値が30以上300以下に設定されているので、ステンレス鋼で構成された冷却管が鋳造の際に内周面まで溶融せず、冷却管の外周面がポンプハウジングに密接する。

発明の効果

[0014]
 以上述べたように、本発明によれば、簡便で、冷却効率が良く、製作性が良い冷却構造を有するハウジングを具備した真空ポンプが提供される。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 本実施形態に係る真空ポンプの要部を示す模式的斜視図である。
[図2] 本実施形態に係る真空ポンプの内部要部を示す模式的断面図である。
[図3] 冷却管の外周面近傍における電子線マイクロアナライザ結果である。
[図4] 本実施形態の冷却管の変形例を示す模式図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図面には、XYZ軸座標が導入される場合がある。
[0017]
 図1は、本実施形態に係る真空ポンプの要部を示す模式的斜視図である。
[0018]
 図1には、真空ポンプ1のシリンダ部であるポンプハウジング10が示されている。また、ポンプハウジング10には、冷却管20Aの一部が埋め込まれている。ポンプハウジング10は、一例として2軸型のスクリューポンプに適用される。本実施形態に係る真空ポンプは、2軸型のスクリューポンプに限らず、ルーツ型ドライポンプ、ロータリーポンプ等であってもよい。
[0019]
 ポンプハウジング10には、その内部にポンプ室10pが設けられている。ポンプ室10pは、X軸方向に延在する。ポンプ室10pには、一対のスクリューロータ31、32を配置することができる。図1では、ポンプハウジング10の構成を説明するため、一対のスクリューロータ31、32が2点破線で示されている。一対のスクリューロータ31、32は、ポンプ室10p内でY軸方向に並ぶ。
[0020]
 ポンプハウジング10は、第1ハウジング部11と、第2ハウジング部12と、第3ハウジング部13とを有する。第1ハウジング部11は、第2ハウジング部12と第3ハウジング部との間に設けられる。第1ハウジング部11と、第2ハウジング部12と、第3ハウジング部は、鋳込みによって一体に構成される。
[0021]
 第1ハウジング部11及び第2ハウジング部12は、例えば、一対のスクリューロータ31、32の歯部を収容する容器として機能する。さらに、第2ハウジング部12は、例えば、一対のスクリューロータ31、32を貫通させ、一対のスクリューロータ31、32を駆動させる駆動機構側に接続されるフランジとして機能する。また、第3ハウジング部13は、第2ハウジング部12の反対側からポンプ室10pを塞ぐ。
[0022]
 ポンプハウジング10の材料は、例えば、FC250等の鋳鉄である。このようなポンプハウジング10が鋳鉄で構成された真空ポンプ1は、融点が高く、真空ポンプ1が高温になっても、金属組織が変化しにくい。また、鋳鉄の線膨張係数は、低く、真空ポンプ1を高温で運転しても、熱膨張による寸法変化の影響が少ない。また、鋳鉄の硬度は高く、異物を吸入した際にも粉砕しやすい。また、鋳鉄は、アンモニアなどの腐食性ガスに対する耐性が高い。
[0023]
 冷却管20Aの一部は、第2ハウジング部12を貫通する。すなわち、冷却管20Aの一部は、第2ハウジング部12に内設されている。冷却管20Aは、第1冷却管部21と、第2冷却管部22と、接続管部23とを有する。第1冷却管部21及び第2冷却管部22のそれぞれは、Y軸方向に直線状に伸び、Z軸方向に並列する。接続管部23は、第1冷却管部21と第2冷却管部22とを連結している。
[0024]
 第1冷却管部21、接続管部23及び第2冷却管部22は、この順に直列状に連結されている。第1冷却管部21の端部21t及び第2冷却管部22の端部22tのそれぞれは、第2ハウジング部12から突出する。接続管部23は、第2ハウジング部12外に設けられ、接続管部23の一方の端部が第1冷却管部21の他方の端部に接続され、接続管部23の他方の端部が第2冷却管部22の他方の端部に接続されている。
[0025]
 冷却管20AをX軸方向から見た場合、その外形は、U字型となっている。ここで、第1スクリューロータ31及び第2スクリューロータ32は、Z軸方向において第1冷却管部21と第2冷却管部22とによって挟まれている。接続管部23は、Y軸方向において、第1スクリューロータ31及び第2スクリューロータ32に並んでいる。
[0026]
 第1冷却管部21、接続管部23及び第2冷却管部22は、同じ材料で構成された一体物である。例えば、冷却管20Aは、一本の長い金属製パイプをパイプ曲げ機またはパイプベンダー等の手動器具によって曲げられて形成される。冷却管20Aは、SUS304、SUS316等のステンレス鋼で構成される。
[0027]
 例えば、冷却管20Aの一部は、ポンプハウジング10を形成する型に予め仕込まれ、この型に溶融した鋳鉄が流し込まれる。これにより、冷却管20Aの外周面に溶融した鋳鉄が接触して、冷却管20Aが第2ハウジング部12に内設されたポンプハウジング10が形成される。
[0028]
 冷却管20Aは、外周面201と内周面202とを有する(図1(b))。冷却管20Aの外周面201は、第2ハウジング部12に接し、内周面202は、冷却管20A内を流れる媒体に接する。媒体は、例えば、水、オイル、クーラント液等である。ポンプハウジング10を形成する型に溶融した鋳鉄が流し込まれるとき、冷却管20Aの外周面201が溶融した鋳鉄に接触し、冷却管20Aの外周面201が溶融した鋳鉄から熱を受ける。
[0029]
 これにより、冷却管20Aの外周面201が加熱され(500℃以上850℃以下)、冷却管20Aの外周面201が鋭敏化される。ここで、鋭敏化とは、例えば、ステンレス鋼に含まれるクロムと炭素とが結合し、クロム炭化物がステンレス鋼の結晶粒界に沿って析出する現象である。この結果、ポンプハウジング10の鋳込みが終了した後には、冷却管20Aの外周面201は、鋭敏化層20sで構成され、冷却管20Aの外周面201がポンプハウジング10に密接する。
[0030]
 換言すれば、ポンプハウジング10が溶融した鋳鉄によって鋳込まれるとき、溶融した鋳鉄と冷却管20Aの外周面201とが密接し、冷却管20Aの外周面201が溶融した鋳鉄により加熱されるからこそ、冷却管20Aの外周面201が鋭敏化される。また、冷却管20Aの外周面201が溶融した鋳鉄によって鋭敏化される程度に加熱されるということは、冷却管20Aと第2ハウジング部12との間で、ある程度の固溶が起こる。こにより、冷却管20Aの外周面201がポンプハウジング10に密に接する。
[0031]
 図2は、本実施形態に係る真空ポンプの内部要部を示す模式的断面図である。
 図2には、図1のA1-A2線に沿った位置でのX-Y平面における断面が示されている。また、図2には、図1で図示されなかった駆動機構40、中間ハウジング50等が示されている。
[0032]
 スクリューロータ31、32のそれぞれは、X軸方向に平行な軸心を有する。スクリューロータ31、32のそれぞれは、Y軸方向に相互に隣接して第1ハウジング部11内に配置される。第1スクリューロータ31は、螺旋状の第1歯31sを有し、第2スクリューロータ32は、第1歯31sと噛み合う螺旋状の第2歯32sを有する。第1歯31s及び第2歯32sのそれぞれのターン数は、図示される数に限らない。
[0033]
 第1歯31s及び第2歯32sのそれぞれは、捩れ方向が互いに逆方向であるほかは、略同一の形状を有する。第1歯31sは、第1スクリューロータ31の軸部310の周囲に同一の径で巻回される。第2歯32sは、第2スクリューロータ32の軸部320の周囲に同一の径で巻回される。
[0034]
 第1歯31s及び第2歯32sは、相互に噛み合っている。例えば、第1歯31sは、第2歯32sの歯と歯との間の溝に位置する。この溝と第1歯31sとの間には、隙間が設けられている。同様に、第2歯32sは、第1歯31sの歯と歯との間の溝に位置する。この溝と第2歯32sとの間には、隙間が設けられている。
[0035]
 第1歯31sの外周面は、ポンプハウジング10の内壁面と、第2スクリューロータ32の軸部320の外周面とに僅かな隙間をあけて対向する。第2歯32sの外周面は、ポンプハウジング10の内壁面と、第1スクリューロータ31の軸部310の外周面とに僅かな隙間をあけて対向する。
[0036]
 ポンプハウジング10においては、第1ハウジング部11は、円筒状の容器であり、第2ハウジング部12及び第3ハウジング部13のそれぞれは、第1ハウジング部11の両側に接続されたフランジである。但し、第2ハウジング部12には、ポンプ室10pが貫通している。
[0037]
 第3ハウジング部13には、第1スクリューロータ31の軸端部311及び第2スクリューロータ32の軸端部321のそれぞれが挿通する。また、軸端部311と第3ハウジング部13との間には、ベアリング14aが設けられ、軸端部321と第3ハウジング部13との間には、ベアリング14bが設けられている。ベアリング14aを介して、軸端部311が第3ハウジング部13に回転可能に支持され、ベアリング14bを介して、軸端部321が第3ハウジング部13に回転可能に支持されている。
[0038]
 第3ハウジング部13には、ベアリング14a、14bを覆うカバー15がO-リングなどのシール部材などを介してボルト締めによって気密に固定されている。これにより、ポンプ室10pの気密性が確保される。
[0039]
 第2ハウジング部12には、冷却管20Aが内設されている。さらに、第2ハウジング部12には、第1スクリューロータ31及び第2スクリューロータ32が挿通する。
[0040]
 中間ハウジング50は、ポンプハウジング10と駆動機構40との間に設けられる。中間ハウジング50は、第2ハウジング部12に、例えば、ボルト締めによりO-リングなどのシール部材などを介してボルト締めによって気密に固定される。これにより、ポンプ室10pの気密性が確保される。
[0041]
 中間ハウジング50には、第1スクリューロータ31の軸端部312及び第2スクリューロータ32の軸端部322が挿通する。軸端部312と中間ハウジング50との間には、ベアリング15aが設けられ、軸端部322と中間ハウジング50との間には、ベアリング15bが設けられている。ベアリング15aを介して、軸端部312が中間ハウジング50に回転可能に支持され、ベアリング15bを介して、軸端部322が中間ハウジング50に回転可能に支持されている。
[0042]
 駆動機構40は、モータケース41と、モータ42と、第1タイミングギア43aと、第2タイミングギア43bとを有する。モータ42、第1タイミングギア43a、及び第2タイミングギア43bは、モータケース41内に収容されている。モータケース41は、は、中間ハウジング50に例えば、O-リングなどのシール部材などを介してボルト締めによって気密に固定されている。
[0043]
 モータ42は、例えば、DCモータ等で構成される。モータ42の駆動軸420は、第1スクリューロータ31の軸端部312に連結されている。モータ42は、第1スクリューロータ31をその軸まわりに所定の回転数で回転させる。
[0044]
 第1タイミングギア43aは、第1スクリューロータ31の軸端部312に取り付けられている。第2タイミングギア43bは、第2スクリューロータ32の軸端部322に取り付けられている。タイミングギア43a、43bは、相互に噛み合うようにY軸方向に並列されている。これにより、第1スクリューロータ31が回転すると、第1スクリューロータ31の回転駆動力が第2スクリューロータ32へ伝達する。
[0045]
 ここで、第3ハウジング部13、第1ハウジング部11、第1歯31s、及び第2歯32sで画定される空間を吸気室111とし、第2ハウジング部12、中間ハウジング50、第1歯31s、及び第2歯32sで画定される空間を排気室121とすると、吸気室111は、吸気口110に連なり、排気室121は、排気口120に連なっている。吸気口110には、図示しない真空チャンバの内部空間に接続される。排気口120には大気または図示しない補助ポンプや吐出気体を処理する装置に接続される。
[0046]
 スクリューロータ31、32のそれぞれは、モータ42の駆動により、相互に逆方向に回転する。駆動機構40は、第1スクリューロータ31と第2スクリューロータ32と第1ハウジング部11との間に形成された作動空間S1を、吸気口110側から排気口120側に向けて移送する。これにより、吸気口110から吸引されたガスが移送する作動空間S1によって運ばれて、排気口120から排気される。
[0047]
 この場合、吸気口110から吸気室111に流入したガスは、スクリューロータ31、32によって排気口120側に移送され、排気室121で圧縮される。ここで、多数に仕切られている作動空間S1では、その最終段部が最大圧力差を有する。最終段部の前段部の作動空間は圧力が低く、圧縮比が同等であっても、大気圧に近い最終段部のほうが圧縮熱によってより昇温しやすい。これにより、排気室121に隣接する第2ハウジング部12は、圧縮熱により特異的に熱くなる場合がある。従って、真空ポンプ1においては、第2ハウジング部12をいかに効率よく且つ簡便が構造で冷却するかが重要になる。
[0048]
 以下に、第2ハウジング部12を冷却するいくつかの手法を比較例として説明する。
[0049]
 例えば、第2ハウジング部12を冷却する比較例として、第2ハウジング部12にドリル加工で孔を設け、この孔に冷却管を通す手法がある。この手法では、冷却管と第2ハウジング部12との間に熱媒体としてのグリースが配置される。
[0050]
 しかし、この手法では、第2ハウジング部12に孔を形成するドリル加工を要する。また、ドリル加工で形成された孔は、一般的に直線状に形成され、U字の冷却管を通すことができない。冷却管をU字状に構成するには、複数の冷却管をU字状に繋ぎ合わせる必要があり、冷却管の構成が複雑になってしまう。また、冷却管と第2ハウジング部12との間にグリースが配置されると、冷却管と第2ハウジング部12との間の熱伝導性が劣る場合がある。また、グリースを定期的に塗りなおすメンテナンスも必要になる。
[0051]
 また、第2ハウジング部12を冷却する別の比較例として、例えば、アルミニウム製の厚板に管路を取り付け、ステンレスパイプを鋳込み、そこに水を循環させた冷却板を第2ハウジング部12にグリースを介して接触させる手法がある。
[0052]
 しかし、この手法では、真空ポンプのコンパクト化に反し、真空ポンプのコストアップを招来する。また、この手法では、第2ハウジング部12を冷却管20Aによって冷却する方法に比べて、冷却効率が劣る。また、グリースについては、同様の問題が残る。
[0053]
 また、第2ハウジング部12を冷却するさらに別の比較例として、熱媒体を循環させ、熱媒体を介した間接冷却によって第2ハウジング部12を冷却する手法がある。
[0054]
 しかし、この手法では、熱媒体を冷却するファン機構の増設や熱媒体を循環させる配管が必要になり、コストアップを招来する。さらに、この手法では、第2ハウジング部12を熱媒体により間接的に冷却されるので、第2ハウジング部12を冷却管20Aによって冷却する方法に比べて、冷却効率が劣る。
[0055]
 本実施形態では、第2ハウジング部12にドリル加工で孔を設けることなく、第2ハウジング部12が冷却管20Aの一部に接触しつつ鋳造されて、冷却管20Aの一部が第2ハウジング部12に内設された真空ポンプ1が形成される。これにより、冷却管20Aが第2ハウジング部12に内設された真空ポンプ1がより簡便に形成される。
[0056]
 ここで、冷却管20Aの外周面201が第2ハウジング部12に密に接している根拠として、冷却管20Aの外周面201が薄い鋭敏化層20sで構成されていることがあげられる。冷却管20Aの外周面201が鋭敏化層20sで構成されたとしても、鋭敏化層20sは、水等ではなく、鋳鉄に接しているので、冷却管20Aが外周面201から腐食することはない。
[0057]
 例えば、図3は、冷却管の外周面近傍における電子線マイクロアナライザ結果である。横軸は、冷却管20Aの内部から第2ハウジング部12に向かう方向における距離(深さ)(mm)である。縦軸は、X線強度である。電子線のビーム径は、例えば、2μmである。
[0058]
 図3に示すように、距離0.6mmまでは、Fe強度とCr強度とは、略一定であるものの、距離0.6mmを超えると、Fe強度とCr強度とが著しくばらついている。さらに、距離0.9mmあたりを過ぎると、Fe強度とCr強度とが極端に変わっている。鋳鉄の主成分が鉄で、鉄にクロムが混在したものがステンレス鋼であることを考慮すると、距離0.9mmの位置が冷却管20Aと第2ハウジング部12との境界位置であるといえる。
[0059]
 また、距離0.6mmから0.9mm(冷却管20Aと第2ハウジング部12との境界)までの領域においては、Fe強度とCr強度とが著しくばらついている。距離0mmから0.6mmまでの領域においてFe強度とCr強度とが略一定であり、ステンレス鋼において、クロムと炭素とが結合し、クロム炭化物がステンレス鋼の結晶粒界に沿って析出する鋭敏化現象を考慮すると、距離0.6mmから0.9mmまでの領域に鋭敏化層20sが形成されているといえる。
[0060]
 さらに、冷却管20A中のCrとNiとは、距離0.9mmの位置を超えても微量に検出されることから、冷却管20Aと第2ハウジング部12との間で、ある程度の固溶が進んでいるといえる。
[0061]
 鋭敏化層20sの厚みが1mm以下であることから、冷却管20Aの厚みは、1mm以上5mm以下であることが好ましい。
[0062]
 冷却管20Aの厚みが1mmより小さくなると、冷却管20Aの容積の大部分が鋭敏化層20sで構成されて冷却管20Aが内周面202側から腐食したり、冷却管20Aの一部がポンプハウジング10を鋳込む際に溶融して外周面201と内周面202とが貫通したりするおそれがある。例えば、肉厚が1mmの冷却管を用いてポンプハウジング10を鋳込んだ場合には、冷却管の一部が溶融し外周面と内周面とが貫通する場合がある。
[0063]
 一方、冷却管20Aの厚みが5mmより大きくなると、冷却管20Aの容積が大きくなることから、ポンプハウジング10を鋳込む際に冷却管20Aの外周面201が充分に加熱されず、冷却管20Aと第2ハウジング部12との間で固溶が進みにくくなる。これにより、冷却管20Aの外周面201が第2ハウジング部12に密着しない領域ができ、その分、徐熱能力がわるくなる。また、冷却管20Aの厚みが5mmより大きくなると、冷却管20A自体の強度が増して、接続管部23の曲げ加工が難しくなる。なお、本実施形態での「密着」とは、冷却管20Aの外周面が第2ハウジング部12に溶着している意味である。
[0064]
 鋭敏化層20sの厚みが0.3mmより小さいことは、冷却管20Aの外周面201が溶融した鋳鉄により充分に加熱されないことを意味し、冷却管20Aと第2ハウジング部12との間で固溶が進みにくくなる。
[0065]
 一方、鋭敏化層20sの厚みが0.3mmより大きくなると、冷却管20Aの容積の大部分が鋭敏化層20sで構成され、冷却管20Aが内周面202側から腐食するおそれがある。
[0066]
 また、本実施形態においては、ポンプハウジング10の容積を冷却管20Aの厚みに冷却管20Aがポンプハウジング10に接する面積を乗算した値で除算した値Aは、30以上300以下であることが好ましい。
[0067]
 値Aが30より小さいと、ポンプハウジング10を鋳込む際に冷却管20Aが充分に加熱されず、冷却管20Aと第2ハウジング部12との間で固溶が進まず、冷却管20Aの外周面201が第2ハウジング部12に密接しなくなる可能性がある。
[0068]
 一方、値Aが300より大きいと、冷却管20Aの容積の大部分が鋭敏化層20sで構成されて冷却管20Aが内周面202側から腐食したり、冷却管20Aの一部がポンプハウジング10を鋳込む際に溶融して外周面201と内周面202とが貫通したりするおそれがある。
[0069]
 なお、冷却管20Aの内周面202には鋭敏化層が形成されず、あるいは、鋭敏化層が外周面201ほどに形成されにくくなっている。これは、内周面202は、ポンプハウジング10を鋳込む際に、溶融した鋳鉄に直接接しないためである。また、内周面202の鋭敏化を極力抑えるには、ポンプハウジング10を鋳込む際に、冷却管20A内に水を流したり、冷却管20A内に水を収納させたりしてもよい。冷却管20Aの通水試験では、内周面202が腐食せず、または、実用上問題がない程度の腐食に抑えられている。
[0070]
 なお、防錆の観点から、冷却管20Aとして、鉄材の配管を用いて、内周面に無電解ニッケルメッキ膜を形成することにより、ステンレス鋼で発生する鋭敏化の現象自体を回避することもできる。しかし、めっき膜は、密着性が確保できず、ピンホールが発生した場合、ピンホール部からめっき膜の剥離が発生する場合がある。また、長時間に渡る熱履歴によって冷却管20Aの膨張収縮が繰り返されると、めっき膜はさらに剥離しやすくなる。また、冷却管20Aの内周面202に、均一にめっき膜を形成するのは、技術的、コスト面にも難しくなる。
[0071]
 従って、本実施形態のように、1mm以上5m以下の厚みを有する冷却管20Aを鋳鉄とともに鋳込めば、実用上、腐食に問題のない冷却管20A付のポンプハウジング10が簡便に形成される。
[0072]
 また、本実施形態によれば、冷却管20Aが直接的に第2ハウジング部12に接するので、冷却管20Aの外周面201と第2ハウジング部12との間にグリースを設ける必要がない。これにより、ポンプハウジング10が冷却管20A内を流れる媒体によって効率よく冷却される。
[0073]
 また、本実施形態によれば、U字の冷却管20Aにおいて、第1冷却管部21、接続管部23及び第2冷却管部21が一体となって構成されているために、複数の冷却管をU字状に繋ぎ合わせる必要がなく、冷却管の構成が簡便になる。
[0074]
 また、本実施形態によれば、冷却管20Aの一部が第2ハウジング部12に内設されることから、真空ポンプ1はコンパクトになり、コストアップを抑えられる。
[0075]
 また、本実施形態によれば、第2ハウジング部12に、一対のスクリューロータ31、32を挟むように第1冷却管部21と第2冷却管部22とが設けられる。これにより、第2ハウジング部12が第1冷却管部21及び第2冷却管部22によって均等に冷却される。
[0076]
 また、本実施形態によれば、冷却管20Aの厚みは、1mm以上5mm以下に構成されているので、端部21t及び端部22tのそれぞれの内周面202にネジ山を形成することができ、ねじ込み式継手によって、容易に配管に連結できる。
[0077]
 図4(a)~図4(c)は、本実施形態の冷却管の変形例を示す模式図である。
[0078]
 図4(a)に示す冷却管20Bには、第1冷却管部21及び第2冷却管部22のそれぞれの外周面201に切り欠き210が設けられている。切り欠き210の数は、図示された数に限らない。このような冷却管20Bであれば、冷却管20Bの外周面201と第2ハウジング部12との接触面積が増加し、第2ハウジング部12の冷却効率がさらに増加する。
[0079]
 図4(b)に示す冷却管20Cは、第1冷却管部21及び第2冷却管部22のそれぞれが波型構造220(例えば、サイン波形構造)を有する。波の数、周期は、図示された数に限らない。このような冷却管20Cであれば、冷却管20Cの外周面201と第2ハウジング部12との接触面積が増加し、第2ハウジング部12の冷却効率がさらに増加する。
[0080]
 図4(c)に示す冷却管20Dは、第1冷却管部21及び第2冷却管部22のそれぞれが曲部230を有する。これにより、第1冷却管部21の端部21tの位置、または第2冷却管部22の端部22tの位置を冷却管20Aとは異なる位置に配置することができる。すなわち、本実施形態に係る冷却管構造によれば、端部21t、22tの配置の自由度が増す。
[0081]
 以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ポンプハウジング10は第3のハウジング部13を一体に形成しているが、分割した構造でもよい。冷却管20Aは、徐熱を均等にするためにY-Z軸平面に対してU字に構成されているが、任意に徐熱部を制御するために、I字状でもよく、X-Y軸平面にU字やI字などを任意に構成してもよく、2つ以上の接続管部と冷却管を設けてもよく、それらを2セット以上配置してもよい。また、ルーツポンプやロータリーポンプを用いた場合は、ポンプハウジングの形状は適宜変更され、冷却管は最適な場所に配置される。

符号の説明

[0082]
 1…真空ポンプ
 10…ポンプハウジング
 10p…ポンプ室
 11…第1ハウジング部
 12…第2ハウジング部
 13…第3ハウジング部
 14a、14b、15a、15b…ベアリング
 15…カバー
 20A、20B、20C、20D…冷却管
 201…外周面
 202…内周面
 20s…鋭敏化層
 21…第1冷却管部
 21t、22t…端部
 22…第2冷却管部
 23…接続管部
 210…切り欠き
 220…波型構造
 230…曲部
 31…第1スクリューロータ
 31s…第1歯
 310、320…軸部
 311、312、321、322…軸端部
 32…第2スクリューロータ
 32s…第2歯
 40…駆動機構
 41…モータケース
 42…モータ
 420…駆動軸
 43a…第1タイミングギア
 43b…第2タイミングギア
 50…中間ハウジング
 110…吸気口
 111…吸気室
 120…排気口
 121…排気室
 S1…作動空間

請求の範囲

[請求項1]
 鋳鉄で構成されたポンプハウジングと、
 外周面と内周面とを有し、ステンレス鋼で構成され、前記ポンプハウジングを貫通し、前記ポンプハウジングに密接する前記外周面が鋭敏化層で構成された冷却管と
 を具備する真空ポンプ。
[請求項2]
 請求項1に記載の真空ポンプであって、
 前記ポンプハウジング内に収容され、螺旋状の第1歯部を有する第1スクリューロータと、前記第1歯部と噛み合う螺旋状の第2歯を有する第2スクリューロータとをさらに具備する
 真空ポンプ。
[請求項3]
 請求項1または2に記載の真空ポンプであって、
 前記冷却管は、第1冷却管部と、前記第1冷却管部に並列する第2冷却管部とを有し、
 前記第1スクリューロータ及び前記第2スクリューロータは、前記第1冷却管部と前記第2冷却管部とによって挟まれている
 真空ポンプ。
[請求項4]
 請求項3に記載の真空ポンプであって、
 前記冷却管は、前記第1冷却管部と前記第2冷却管部とを連結し前記ポンプハウジング外に設けられた接続管部をさらに有し、
 前記第1冷却管部、前記接続管部及び前記第2冷却管部は、この順に直列状に連結され、一体となって構成されている
 真空ポンプ。
[請求項5]
 請求項1~4のいずれか1つに記載の真空ポンプであって、
 前記冷却管の厚みは、1mm以上5m以下である
 真空ポンプ。
[請求項6]
 請求項1~5のいずれか1つに記載の真空ポンプであって、
 前記鋭敏化層の厚みは、0.3mmである
 真空ポンプ。
[請求項7]
 請求項1~6のいずれか1つに記載の真空ポンプであって、
 前記ポンプハウジングの容積を前記冷却管の厚みに前記冷却管が前記ポンプハウジングに接する面積を乗算した値で除算した値は、30以上300以下である
 真空ポンプ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]