Some content of this application is unavailable at the moment.
If this situation persists, please contact us atFeedback&Contact
1. (WO2019030846) TREATMENT TOOL
Document

明 細 書

発明の名称 処置具

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012  

発明の効果

0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043  

符号の説明

0044  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5A   5B   6A   6B   6C   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 処置具

技術分野

[0001]
 本発明は、処置具に関するものである。

背景技術

[0002]
 従来、ボールジョイント構造を有する湾曲操作部を備えた処置具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。ボールジョイント構造は、湾曲部の駆動用のワイヤが接続されたボールと、ボールを回転させる操作部とを有し、操作部の傾倒によってボールが回転してワイヤが牽引されるように構成されている。このようなボールジョイント構造によれば、操作部の傾倒方向に対応する方向に湾曲部が湾曲するので湾曲部の湾曲操作を直感的に行うことができるとともに、少ない部品点数で湾曲操作部を実現することができるという利点がある。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特許第4402313号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 特許文献1のボールジョイント構造において、ワイヤは、ボールと該ボールを受けるソケットとの間に配線されている。したがって、相互に摺動するソケットとボールとの間で、回転するボールにワイヤが引き摺られてしまう可能性がある。ワイヤがボールに引き摺られてしまうと、意図していないワイヤが牽引されて湾曲部が意図しない方向に湾曲してしまい、湾曲部の操作性が低下するという問題がある。
[0005]
 本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ボールジョイント構造の操作部を有する処置具において、ワイヤの意図しない牽引を防止して直感的な操作性を確保することができる処置具を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
 本発明の一態様は、先端側に湾曲機構を有する長尺のシャフトと、該シャフトの基端に接続され、所定の中心点を中心とし一定半径を有する第1の球面を内面に有する中空のソケットと、前記中心点を中心とし一定半径を有するとともに前記第1の球面と摺動可能な第2の球面を外面に有し、前記ソケット内に前記中心点回りに回転可能に係合されたボールと、前記湾曲機構と前記ボールとを前記シャフト内を通って接続し、前記中心点回りの前記ボールの回転に従って前記シャフトの長手軸に沿う方向に進退することで前記湾曲機構を湾曲させるワイヤとを備え、前記ボールは、前記ワイヤが固定される固定部と、前記長手軸に沿う方向において前記固定部よりも先端側に位置し、前記中心点からの距離が前記第2の球面の半径よりも小さい面からなり、前記ボールの回転によって前記ワイヤと摺動するワイヤ摺動面とを有する処置具である。
[0007]
 本態様によれば、ソケット内でボールが所定の中心点回りに回転したときに、ボールの回転方向に延びるワイヤが牽引されて後退し、または押圧されて前進して、湾曲機構が湾曲する。したがって、ボールの回転方向に対応する方向に湾曲機構を湾曲させることができる。
 この場合に、ボールの外面は、ソケットの内面の第1の球面と摺動する第2の球面と、第2の球面よりも径方向内側にオフセットしたワイヤ摺動面とを有する段付き形状を有し、ワイヤはワイヤ摺動面上に配置されている。これにより、相互に摺動する第1の球面と第2の球面と間にワイヤが巻き込まれることが防止されるので、ワイヤの意図しない牽引を防止して直感的な操作性を確保することができる。
[0008]
 上記態様においては、前記ソケット内での前記ボールの回転角度を所定の角度範囲内に制限するリミッタを備え、前記長手軸回りの周方向における前記ワイヤ摺動面の端は、前記所定の角度範囲内の最大角度まで前記ボールが回転した状態において、前記ワイヤに対して離間した位置に配置されていてもよい。
 ボールの回転方向に交差する方向に延びるワイヤに対して、ボールのワイヤ摺動面は、ワイヤの長手方向に交差する方向に摺動する。このときに、リミッタで制限される最大角度までボールが回転した状態においてもワイヤはワイヤ摺動面内に位置するので、ワイヤがワイヤ摺動面以外の面と干渉することが防止される。これにより、ワイヤの意図しない牽引をさらに確実に防止することができる。
[0009]
 上記態様においては、前記ボールの外面および前記ソケットの内面のうちの一方に設けられた突起と、前記ボールの外面および前記ソケットの内面のうちの前記一方に対する他方に設けられ、前記長手軸回りの周方向に相互に離間する一対の側壁を有する溝とを備え、前記突起は、前記一対の側壁の間に挿入されるとともに、前記一対の側壁によって前記周方向の移動が係止されてもよい。
 このようにすることで、突起が側壁に突き当たることでシャフトの長手軸回りのボールの回転が阻止され、湾曲機構に対する長手軸回りのボールの姿勢が一定に保たれる。これにより、ボールの回転方向と湾曲機構の湾曲方向との対応関係が使用中に変化することが防止され、ボールの回転による湾曲機構の直感的な操作性を維持することができる。
[0010]
 上記態様においては、前記一対の側壁が、前記長手軸回りの周方向に直交する方向に延び、前記突起は、前記一対の側壁の間において前記突起と前記中心点とを通る軸回りに回転可能であるとともに、前記一対の側壁の間を前記直交する方向に移動可能であってもよい。
 このようにすることで、シャフトの長手軸回りのボールの回転を阻止しつつ、長手軸回りの回転以外のボールの回転を許容することができる。
[0011]
 上記態様においては、前記ボールの外面および前記ソケットの内面のうちの前記一方に、前記中心点を挟み径方向に相互に対向する位置に一対の前記突起が設けられ、前記ボールの外面および前記ソケットの内面のうちの前記他方に、前記長手軸を挟み該長手軸に交差する方向に相互に対向する位置に一対の前記溝が設けられていてもよい。
 ボールが回転したときに一対の突起は溝内を相互に逆方向に移動する。したがって、一対の溝を突起の可動範囲のうち少なくとも先端側の半分または基端側の半分に設けることで、一方の突起が溝から飛び出した場合でも、もう一方の突起を溝内に位置させることができる。すなわち、溝の長さを短くした場合でも、一対の突起のうちのどちらか一方が溝内に位置することができるため、シャフトの長手軸回りのボールの回転を阻止することができる。
[0012]
 上記態様においては、前記ワイヤ摺動面が、前記中心点を中心とし一定半径を有する球面であってもよい。
 ボールの回転によって牽引されるワイヤはワイヤ摺動面に沿って湾曲するので、ワイヤの牽引量は、ボールの回転角度に加えてワイヤ摺動面の形状にも依存する。ワイヤ摺動面をボールと同心の球面状にすることで、ボールの回転角度に対してワイヤの牽引量が線形に変化するので、湾曲機構の湾曲角度をボールの回転角度によって制御することができる。

発明の効果

[0013]
 本発明によれば、ボールジョイント構造の操作部を有する処置具において、ワイヤの意図しない牽引を防止して直感的な操作性を確保することができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 本発明の一実施形態に係る処置具を備える手術システムの全体構成図である。
[図2] 本発明の一実施形態に係る処置具の全体構成図である。
[図3] 図2の処置具の湾曲操作部におけるボールの構成図である。
[図4] 図3のボールを長手軸に沿って切断した縦断面図である。
[図5A] 操作ハンドルが中立位置に配置されているときのボールのワイヤ摺動面とワイヤとの位置関係を説明する図である。
[図5B] 操作ハンドルが右方向に傾倒しているときのボールのワイヤ摺動面とワイヤとの位置関係を説明する図である。
[図6A] ボールが左方向に回転したときの溝内での突起の動作を説明する図である。
[図6B] ボールが右方向に回転したときの溝内での突起の動作を説明する図である。
[図6C] ボールが上方向に回転したときの溝内での突起の動作を説明する図である。
[図7] 溝および突起の配置の変形例を示すボールの縦断面図である。
[図8] 図2の処置具の操作部の変形例を示す図である。

発明を実施するための形態

[0015]
 以下に、本発明の一実施形態に係る処置具1について図面を参照して説明する。
 本実施形態に係る処置具1は、図1および図2に示されるように、先端側に湾曲部(湾曲機構)7を有し体内に挿入される長尺のシャフト2と、シャフト2の基端に接続され術者Xによって手動操作される操作部3と、湾曲部7と操作部3とをシャフト2内を通って接続し操作部3になされた操作に従って湾曲部7を湾曲させるワイヤ4(図3および図4参照。)とを備えている。
[0016]
 図1は、本実施形態に係る処置具1を備える手術システムの全体構成図である。手術システムは、図1に示されるように、スコピストSによって操作される内視鏡20と、術者Xによって操作される処置具1と、患者Yが横たわるベッド40に固定され処置具1を支持する処置具ホルダ60と、内視鏡20によって観察される内視鏡画像を表示するディスプレイ80とを備えている。処置具ホルダ60は、シャフト2が貫通する筒状の部材である。シャフト2は内視鏡20に設けられた処置具用のチャネルを介して、または内視鏡20に外付けされたチャネルを介して、患者Yの体内に挿入される。図1には、内視鏡20が2つの処置具用のチャネルを有し、術者Xが両手で2つの処置具1を操作する例が示されている。術者Xは、シャフト2の先端に設けられたエンドエフェクタを内視鏡20によって観察しながら、体外に配置された操作部3の操作によってエンドエフェクタの位置および姿勢を操作することができるようになっている。
[0017]
 図2に示されるように、シャフト2は、軟性で長尺の軟性部5と、軟性部5の先端側に配置された先端部6と、軟性部5と先端部6とを接続し軟性部5の長手軸Aに交差する方向に湾曲可能な湾曲部7とを備えている。
 先端部6には、生体組織を処置するためのエンドエフェクタ(例えば、鉗子またはナイフ)が設けられている。
[0018]
 ワイヤ4は軟性部5内に長手軸Aに沿う方向に配置され、ワイヤ4の先端部は湾曲部7に固定され、ワイヤ4の基端部は操作部3に固定されている。湾曲部7の上、下、左および右にそれぞれ対応する4本のワイヤ4が、軟性部5の長手軸A回りの周方向に略等間隔をあけて配置されている。湾曲部7の上下方向および左右方向は、軟性部5の長手軸Aにそれぞれ直交し、かつ、互いに直交する方向である。各ワイヤ4は、軟性部5の長手軸Aに沿う方向に進退可能であり、基端側に後退するワイヤ4と対応する方向に湾曲部7が湾曲するようになっている。
[0019]
 操作部3は、軟性部5の基端に接続され軟性部5と同軸に延びる硬質の回転シャフト8と、回転シャフト8の基端側に配置され術者Xに把持される操作ハンドル9と、回転シャフト8と操作ハンドル9との間に設けられた湾曲操作部10および回転操作部11とを備えている。湾曲操作部10は、湾曲部7を湾曲操作するためのものである。回転操作部11は、操作ハンドル9および湾曲操作部10に対してシャフト2を長手軸A回りに回転させるためのものである。
[0020]
 湾曲操作部10は、回転操作部11を介して回転シャフト8と接続された略球状の中空のソケット12と、ソケット12内に回転可能に係合する略球状のボール13とを備えるボールジョイント構造を有している。
[0021]
 ソケット12は、ねじのような連結部材によって相互に連結された略半球状の中空の2つの部材12A,12Bからなる。図4に示されるように、ソケット12の内面(第1の球面)12aは、所定の中心点Osを中心とし一定半径を有する球面である。図4において、一部の構造の図示が省略されている。ソケット12は、全体として、球体の基端側の部分をシャフト2,8の長手軸Aに直交する平面で切り欠いた形状を有しており、基端面に開口12bが設けられている。このように、ソケット12は半球よりも大きい球状であるので、ボール13は、開口12bから抜けることなくソケット12内に保持される。
[0022]
 ボール13は、ボール13の所定の中心点Obがソケット12の中心点Osと一致するように、ソケット12の内面12aに支持され、ソケット12に対して中心点Os,Ob回りの任意の方向に回転可能である。
 操作ハンドル9は、略直棒状であり、開口12bからソケット12の外側に露出するボール13の外面に接続され、回転シャフト8およびソケット12とは反対側へ延びている。図2に示さるように、操作ハンドル9は、中立位置においてシャフト2,8と一直線に並び、ソケット12内でのボール13の回転によって中心点Os,Obを中心にして任意の方向に傾倒するようになっている。
[0023]
 軟性部5の基端から引き出された4本のワイヤ4は、回転シャフト8および回転操作部11の内部を通ってソケット12内まで延び、ソケット12の内面12aとボール13の外面との間に配線されている。4本のワイヤ4の基端部は、操作ハンドル9が中立位置に配置されている状態において、長手軸A回りの周方向に等間隔をあけた位置(固定部13c)でボール13の外面に固定されている。
[0024]
 術者Xは、中立位置から長手軸Aに交差する方向へ操作ハンドル9を傾倒させることで、ソケット12内でボール13を中心点Os,Ob回りに回転させ、それにより、操作ハンドル9の傾倒方向に対応するワイヤ4を牽引して湾曲部7を湾曲させることができる。例えば、操作ハンドル9を右方向に傾倒させたときに、ボール13の右方向の回転によって左のワイヤ4が牽引されるとともに右のワイヤ4が押し出されることで、湾曲部7が左へ湾曲するようなっている。このときに、術者Xは、操作ハンドル9がソケット12の開口12bの縁に突き当たる所定の最大傾倒角度まで、操作ハンドル9を傾倒させることができる。つまり、開口12bの縁が、ソケット12内でのボール13の回転角度を所定の角度範囲内に制限するリミッタとして機能する。
[0025]
 次に、ボール13の構造についてより詳細に説明する。
 ボール13は、中心点Obを通り、操作ハンドル9が中立位置に配置されている状態でシャフト2,8の長手軸Aと一直線に並ぶ所定の中心軸Bを有する。ボール13は、図3および図4に示されるように、全体として、球体の先端側の部分を中心軸Bに直交する平面で切り欠いた形状を有している。ボール13の外面は、ソケット12の内面12aと接触しソケット12の内面12aに沿って摺動するソケット摺動面(第2の球面)13aと、ソケット摺動面13aよりも径方向内側にオフセットしワイヤ4が配線されるワイヤ摺動面13bとを有する段付き形状を有している。
[0026]
 ソケット摺動面13aは、ボール13の外面のうち最大直径を有する領域であり、ボール13の所定の中心点Obを中心としソケット12の内面12aと略等しい一定半径を有する球面の一部からなる。
 ワイヤ摺動面13bは、中心点Obを中心としソケット摺動面13aの半径よりも小さい一定半径を有する球面の一部からなり、1つの頂点が基端側に位置し先端側に向かって漸次広がる略三角形状(略球面三角形状)である。
[0027]
 1本のワイヤ4に1つのワイヤ摺動面13bが対応するように、4つのワイヤ摺動面13bが、中心軸B回りの周方向に均等に設けられている。ソケット摺動面13aは、周方向に隣接する2つのワイヤ摺動面13bによって挟まれた三角形状の領域に形成されている。ボール13は、4つのソケット摺動面13aにおいてソケット12の内面12aに支持されることで、ボール13の中心点Obがソケット12の中心点Osと一致するようにソケット12内に係合している。
[0028]
 各ワイヤ摺動面13bの基端側の頂点の位置には、ワイヤ4の基端部が固定される固定部13cが設けられている。固定部13cは、例えば、ワイヤ4の基端部が挿入される穴である。ソケット摺動面13aの半径とワイヤ摺動面13bの半径との差は、ワイヤ4の直径よりも大きくなっている。したがって、ボール13がソケット12内に係合した状態において、固定部13cよりも先端側のワイヤ摺動面13bとソケット12の内面12aとの間にワイヤ4の直径よりも厚い隙間が形成され、該隙間内でワイヤ4が滑らかに移動可能になっている。
[0029]
 図5Aおよび図5Bは、ボール13の回転によるワイヤ4の動作を示している。ボール13が回転したときに、ボール13の回転方向に延びるワイヤ4はボール13によって牽引または押圧される。一方、ボール13の回転方向に直交する方向に延びるワイヤ4は、図5Aおよび図5Bに示されるように、ワイヤ摺動面13bがワイヤ4の長手方向に直交する方向に摺動するのみで、牽引および押圧されることなく位置を維持するようになっている。図5Aおよび図5Bにおいて、上、下、左、および右のワイヤ4のうち、上のワイヤ4のみが図示されている。
[0030]
 ここで、リミッタによって制限される所定の角度範囲の最大角度までボール13が回転したときに、周方向におけるワイヤ摺動面13bの端がワイヤ4に到達することなくワイヤ4から離間した位置に配置されるように、ワイヤ摺動面13bの周方向における寸法が設計されている。具体的には、リミッタによって制限される操作ハンドル9の所定の最大傾倒角度に応じて、ワイヤ摺動面13bの頂点の角度が設計される。
[0031]
 ボール13には、図4に示されるように、中心軸Bに沿って貫通しエンドエフェクタの駆動用のワイヤ16が挿入された貫通孔13dが形成されている。貫通孔13dは、先端側に向かって径が漸次大きくなる円錐台状である。貫通孔13dの中心角は、ソケット摺動面13aの頂点の角度と同様に、リミッタによって制限される操作ハンドル9の所定の最大傾倒角度に応じて決定される。これにより、ボール13が回転したときに、ワイヤ16が貫通孔13dの内面に接触して意図せずに牽引されてしまうことが防止され、操作ハンドル9の傾倒操作がエンドエフェクタの動作に影響を与えることが防止されるようになっている。
[0032]
 次に、このように構成された処置具1の作用について説明する。
 本実施形態に係る処置具1によれば、術者Xが操作ハンドル9を、例えば図5Bに示されるように、右方向に傾倒させると、ソケット12内でボール13が右方向に回転することで、左のワイヤ4が基端側に牽引され、右のワイヤ4が先端側に押し出され、湾曲部7が左へ湾曲する。このときに、上および下のワイヤ4は、ボール13によって牽引および押圧されないので、湾曲部7の上下方向の角度は変化しない。このように、操作ハンドル9の傾倒方向に対応するワイヤ4のみが選択的に進退するので、湾曲部7の湾曲方向を操作ハンドル9の傾倒方向によって制御することができる。
[0033]
 この場合に、本実施形態によれば、ボール13の外面において、ソケット摺動面13aに対して径方向内側にオフセットしたワイヤ摺動面13b上にワイヤ4が配線されている。これにより、相互に摺動するソケット12の内面12aとソケット摺動面13aとの間にワイヤ4が巻き込まれて回転するボール13にワイヤ4が引き摺られることが防止される。その結果、意図しないワイヤ4が牽引されてしまうことを防止し、操作ハンドル9の傾倒方向に正確に対応する方向に湾曲部7の湾曲方向を制御することができる。また、ボール13を最大角度まで回転させた状態においてもワイヤ4がワイヤ摺動面13b上に位置するように、ワイヤ摺動面13bの寸法が設計されている。これにより、ワイヤ4がソケット12の内面12aとソケット摺動面13aとの間に巻き込まれることをより確実に防止することができる。
[0034]
 また、回転するボール13によって牽引されるワイヤ4は、ワイヤ摺動面13bに沿って湾曲するので、ワイヤ4の牽引量は、ボール13の回転角度に加えてワイヤ摺動面13bの形状にも依存する。本実施形態によれば、ワイヤ摺動面13bがボール13と同心の球面状であるので、ボール13の回転角度に対してワイヤ4の牽引量が線形に変化する。したがって、ボール13の回転角度によって湾曲部7の湾曲角度を容易に制御することができる。ただし、ワイヤ摺動面13bは、球面以外の形状、例えば、中心点Obを中心とする多角面であってもよい。
[0035]
 また、ソケット12の内面12aに沿ってソケット摺動面13aが滑らかに摺動するためには、ソケット摺動面13aの加工に高い精度が要求される。本実施形態によれば、2つのワイヤ摺動面13bの間に挟まれた狭い領域にソケット摺動面13aを設けてソケット摺動面13aの面積を小さくすることで、ボール13の加工が容易になるという利点がある。
[0036]
 本実施形態においては、ソケット12に対するボール13の長手軸A回りの回転が阻止されるように、図4に示されるように、一対の突起14がボール13の外面に設けられ、一対の溝15がソケット12の内面12aに設けられていることが好ましい。
 ソケット12内でボール13が長手軸A回りに回転可能である場合、長手軸A回りのボール13の回転角度に応じて操作ハンドル9の傾倒方向と湾曲部7の湾曲方向との対応関係が変化し、湾曲部7の直感的な操作が困難になる。このような長手軸A回りのボール13の回転を突起14および溝15によって阻止することで、湾曲部7の直感的な操作性を維持することができる。
[0037]
 一対の突起14は、ボール13の外面から径方向外方に突出する円柱状である。一対の突起14は、ボール13の中心点Obを挟み中心軸Bに交差する(好ましくは、中心軸Bに直交する)径方向に相互に対向する位置に設けられており、一対の突起14の中心軸Cは、ボール13の中心点Obを通る同一の直線上に配置されている。
[0038]
 各溝15は、長手軸A回りの周方向に突起14の直径と略等しい間隔をあけて相互に対向し、長手軸A回りの周方向に直交する方向に延びる一対の側壁15aを有している。図4において、一対の側壁15aのうち一方のみが図示されている。一対の溝15は、ボール13の回転に伴う一対の突起14の可動範囲に対応するように、長手軸Aに交差する径方向に相互に対向する位置に設けられている。
[0039]
 突起14は、一対の側壁15aの間に挿入され、一対の側壁15aの間において中心軸C回りに回転可能であるとともに、一対の側壁15aの間において長手軸A回りの周方向に直交する方向に移動可能である。したがって、突起14が側壁15aに突き当たって長手軸A回りの周方向の突起14の移動が側壁15aによって係止されることでボール13の長手軸A回りの回転は阻止されるが、それ以外の中心点Os,Ob回りのボール13の回転は、溝15内での突起14の移動、回転または移動と回転の組み合わせによって許容されるようになっている。具体的には、図6Aおよび図6Bに示されるように、突起14の中心軸C回りの回転によって、ボール13が左(L)方向および右(R)方向に回転し、図6Cに示されるように、突起14の溝15内での移動によってボール13が上(U)方向および下(D)方向に回転するようになっている。
[0040]
 ボール13がどのような回転角度にあっても少なくとも一方の突起14が必ず溝15内に位置するように、溝15は、少なくも先端側の部材12Aの内面に形成され、好ましくは、各突起14が必ず溝15内に位置するように基端側の部材12Bの内面にも形成される。
[0041]
 図7に示されるように、溝15がボール13の外面に形成され、突起14がソケット12の内面12aに設けられていてもよい。このように溝15と突起14の配置が逆であっても、所定の中心点Os,Ob回りのボール13の回転のうち、長手軸A回りのボール13の回転を阻止しつつ、その他の方向の回転を許容することができる。
[0042]
 溝15内での突起14の中心軸C回りの回転角度に関わらず側壁15aと突起14との間のクリアランスが一定となるように、突起14の形状は、中心軸Cに直交する横断面が真円である円柱状または球状であることが好ましい。ただし、突起14の形状は、角柱状等の他の形状であってもよい。
 また、突起14および溝15の数は、それぞれ1つのみであってもよい。この場合、操作ハンドル9を最大傾倒角度まで傾倒させた状態においても突起14が溝15から外れることがないように、溝15の長さや操作ハンドル9の最大傾倒角度が設計されることが好ましい。
[0043]
 本実施形態においては、操作ハンドル9の傾倒操作によってボール13を回転させることとしたが、これに代えて、他の操作によってボール13を回転させてもよい。
 例えば、図8に示されるように、術者Xの親指でボール13を直接操作するトラックボール型の湾曲操作部10を採用してもよい。操作部3の構造に応じてエンドエフェクタの駆動用のワイヤ16の配線経路は異なる。ボール13内をワイヤ16が通らない場合には、貫通孔13dは不要であるので設けられていなくてもよい。

符号の説明

[0044]
1 処置具
2 シャフト
3 操作部
4 ワイヤ
5 軟性部
6 先端部
7 湾曲部(湾曲機構)
8 回転シャフト
9 操作ハンドル
10 湾曲操作部
11 回転操作部
12 ソケット
12a 内面(第1の球面)
12b 開口(リミッタ)
13 ボール
13a ソケット摺動面(第2の球面)
13b ワイヤ摺動面
13c 固定部
13d 貫通孔
14 突起
15 溝
16 ワイヤ
20 内視鏡
40 ベッド
60 処置具ホルダ
80 ディスプレイ

請求の範囲

[請求項1]
 先端側に湾曲機構を有する長尺のシャフトと、
 該シャフトの基端に接続され、所定の中心点を中心とし一定半径を有する第1の球面を内面に有する中空のソケットと、
 前記中心点を中心とし一定半径を有するとともに前記第1の球面と摺動可能な第2の球面を外面に有し、前記ソケット内に前記中心点回りに回転可能に係合されたボールと、
 前記湾曲機構と前記ボールとを前記シャフト内を通って接続し、前記中心点回りの前記ボールの回転に従って前記シャフトの長手軸に沿う方向に進退することで前記湾曲機構を湾曲させるワイヤとを備え、
 前記ボールは、
 前記ワイヤが固定される固定部と、
 前記長手軸に沿う方向において前記固定部よりも先端側に位置し、前記中心点からの距離が前記第2の球面の半径よりも小さい面からなり、前記ボールの回転によって前記ワイヤと摺動するワイヤ摺動面とを有する処置具。
[請求項2]
 前記ソケット内での前記ボールの回転角度を所定の角度範囲内に制限するリミッタを備え、
 前記長手軸回りの周方向における前記ワイヤ摺動面の端は、前記所定の角度範囲内の最大角度まで前記ボールが回転した状態において、前記ワイヤに対して離間した位置に配置される請求項1に記載の処置具。
[請求項3]
 前記ボールの外面および前記ソケットの内面のうちの一方に設けられた突起と、
 前記ボールの外面および前記ソケットの内面のうちの前記一方に対する他方に設けられ、前記長手軸回りの周方向に相互に離間する一対の側壁を有する溝とを備え、
 前記突起は、前記一対の側壁の間に挿入されるとともに、前記一対の側壁によって前記周方向の移動が係止される請求項1または請求項2に記載の処置具。
[請求項4]
 前記一対の側壁が、前記長手軸回りの周方向に直交する方向に延び、
 前記突起は、前記一対の側壁の間において前記突起と前記中心点とを通る軸回りに回転可能であるとともに、前記一対の側壁の間を前記直交する方向に移動可能である請求項3に記載の処置具。
[請求項5]
 前記ボールの外面および前記ソケットの内面のうちの前記一方に、前記中心点を挟み径方向に相互に対向する位置に一対の前記突起が設けられ、
 前記ボールの外面および前記ソケットの内面のうちの前記他方に、前記長手軸を挟み該長手軸に交差する方向に相互に対向する位置に一対の前記溝が設けられている請求項3または請求項4に記載の処置具。
[請求項6]
 前記ワイヤ摺動面が、前記中心点を中心とし一定半径を有する球面である請求項1から請求項5のいずれかに記載の処置具。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 6C]

[ 図 7]

[ 図 8]