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1. (WO2019026974) ALUMINUM FOIL AND POWER STORAGE DEVICE
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明 細 書

発明の名称 アルミニウム箔、及び蓄電デバイス

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009  

先行技術文献

特許文献

0010  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0011   0012   0013   0014  

課題を解決するための手段

0015   0016   0017   0018  

発明の効果

0019  

図面の簡単な説明

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048  

実施例

0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060  

産業上の利用可能性

0061  

符号の説明

0062  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : アルミニウム箔、及び蓄電デバイス

技術分野

[0001]
 本発明は、アルミニウム箔及び蓄電デバイスに関する。

背景技術

[0002]
 近年、ウエアラブル機器、ハイブリッド自動車、電気自動車、電動バス等の開発に伴い、これらの電源としての蓄電デバイスの需要が増大している。蓄電デバイスとは、例えば、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン二次電池及び電解コンデンサ等である。
[0003]
 上記の蓄電デバイスの電極(正極又は負極)を構成する集電体としては、アルミニウム箔が用いられる。
[0004]
 蓄電デバイスのエネルギー密度を向上させるために、プレドープ(pre‐dоpe)技術を用いて負極電位を下げることが知られている。プレドープとは、予めイオンを負極又は正極に吸蔵させる工程である。例えば、カチオン(電荷キャリア)を負極へプレドープすることにより、固体電解質界面(SEI)が負極の表面に形成される。その結果、プレドープ後に行われる蓄電デバイスの初回の充放電では、カチオンがSEIの形成に消費されない。したがって、初回の充放電に伴う電荷キャリアの減少が抑制され、高い容量及びエネルギー密度が維持され易い。プレドープを効率良く行うためには、貫通孔を有する集電体を用いることが有効である。
[0005]
 貫通孔をアルミニウム箔に形成する方法として、例えばパンチング加工、メッシュ加工、エキスパンド加工、網加工等の機械的手法が知られている。しかし機械的手法では、バリの発生は避けられず、アルミニウム箔に形成される貫通孔の直径(内径)も大きい。例えば、機械的手法によって形成される貫通孔の直径は、300μm以上である。
[0006]
 レジスト膜を用いたマスキング法によって貫通孔をアルミニウム箔に形成する場合、アルミニウム箔の三次元的な溶解を防ぐための処理等における複雑な制御が必要である。その結果、工数が増加して製造コストが増加する。またマスキング法の場合、貫通孔の直径が大きくなり、ミクロンオーダーの直径を有する貫通孔を形成することが困難である。
[0007]
 異種金属元素が添加されたアルミニウムの標準電極電位を利用した化学的溶解手法では、アルミニウム箔の溶解量の制御が困難である。また、アルミニウム箔へ添加される微量の異種金属元素の分布状態を制御する必要であるため、アルミニウム箔の作製コストが増加する。
[0008]
 アルミ電解コンデンサ用の集電体の量産では、アルミニウム箔のエッチングによって細孔がアルミニウム箔に形成される。エッチングによって形成される細孔の形状としては、下記特許文献1に記載のトンネル形、又は下記特許文献2に記載の虫食い(vermiculate)形が知られている。
[0009]
 特許文献3に記載のエッチングでは、虫食い形のエッチングピットがアルミニウム箔の両面に形成される。アルミニウム箔の両面其々に形成されたエッチングピット同士は、厚さ方向におけるアルミニウム箔の中央部付近で連通する。その結果、アルミニウム箔の表から裏面へ貫通するエッチングピットがアルミニウム箔に形成される。

先行技術文献

特許文献

[0010]
特許文献1 : 国際公開第2011/004777号
特許文献2 : 特許第5604468号公報
特許文献3 : 特開2015-149463号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0011]
 特許文献1に記載のトンネル形のエッチングピットは、アルミニウム箔の特定の結晶方位<100>に沿って形成される。つまり、トンネル形のエッチングピットは、アルミニウム箔の100面に対して垂直な方向に延びる。したがって、トンネル形のエッチングピットを形成するためには、アルミニウム箔の焼鈍処理(annealing)によって、アルミニウム箔の結晶方位をエッチング前に揃える必要がある。しかし、アルミニウム箔の焼鈍処理によってアルミニウム箔が軟化してしまい、アルミニウム箔のハンドリングが困難になる。
[0012]
 特許文献2に記載の虫食い形のエッチングピットの長さは、数ミクロン程度である。したがって、特許文献2に記載の方法によって貫通孔をアルミニウム箔に形成することは困難である。
[0013]
 特許文献3に記載のエッチングによれば、貫通孔をアルミニウム箔に形成することができる。しかし、特許文献3に記載のエッチングでは、アルミニウム箔を貫通しない多数のピットも形成されてしまう。つまり、アルミニウム箔の両面其々に形成されたエッチングピットの一部は十分に延びないので、アルミニウム箔の中央部付近においてエッチングピット同士が連通しない。したがって、エッチングピットの一部はアルミニウム箔を貫通しない。その結果、イオンをプレドープによってアルミニウム箔の内部(深部)へ十分に吸蔵させることが困難である。例えばリチウムイオンキャパシタの場合、リチウムイオンの移動が、エッチングピットの奥で止まってしまい、リチウムイオンを負極の内部へ十分に吸蔵させることができない。
[0014]
 本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、細孔の貫通性、及びハンドリング性(機械的強度)に優れたアルミニウム箔、及び当該アルミニウム箔を備える蓄電デバイスを提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

[0015]
 本発明者らは、従来技術の問題点に鑑みて研究を重ねた結果、上記目的を達成し、本発明に係るアルミニウム箔を完成するに至った。
[0016]
 本発明の一側面に係るアルミニウム箔は、厚さが0μmより大きく50μm以下であるアルミニウム箔であり、複数の貫通孔がアルミニウム箔の表面から裏面へ延びており、直径が1μm以上100μm以下である貫通孔の数が、アルミニウム箔の単位面積当たり、10個/mm 以上であり、アルミニウム箔の引張強度が50N/mm 以上であり、貫通孔が形成される前のアルミニウム箔の質量がM0と表され、貫通孔が形成された後のアルミニウム箔の質量がM1と表され、減耗率RMが、{(M0-M1)/M0}×100と定義され、アルミニウム箔の表面の面積がA0と表され、アルミニウム箔の表面に形成された貫通孔の開口面積の合計がA1と表され、開口率RAが、(A1/A0)×100と定義され、(RA/RM)×100が、80%以上100%以下である。
[0017]
 アルミニウム箔のガーレー透気度は、0sec/100mlより大きく10sec/100ml以下であってよい。
[0018]
 本発明の一側面に係る蓄電デバイスは、上記のアルミニウム箔を備える。

発明の効果

[0019]
 本発明によれば、細孔の貫通性、及びハンドリング性(機械的強度)に優れたアルミニウム箔、及び当該アルミニウム箔を備える蓄電デバイスを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0020]
[図1] 図1は、本発明の一実施形態に係るアルミニウム箔に形成された貫通孔の断面(アルミニウム箔の表面に垂直な断面)の形状を示す画像であり、図1は、走査型電子顕微鏡によって撮影された画像である。
[図2] 図2は、本発明の他の実施形態に係るアルミニウム箔に形成された貫通孔の断面(アルミニウム箔の表面に垂直な断面)の形状を示す画像であり、図2は、走査型電子顕微鏡によって撮影された画像である。
[図3] 図3は、本発明の一実施形態に係るアルミニウム箔を備える蓄電デバイスの模式的な断面図であり、図3は、アルミニウム箔の表面に垂直な方向における蓄電デバイスの断面図である。
[図4] 図4は、図3に示されるアルミニウム箔の表面の模式図である。

発明を実施するための形態

[0021]
 以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。図面において、同等の構成要素には同等の符号を付す。本発明は下記実施形態に限定されるものではない。各図に示されるX,Y及びZは、互いに直交する3つの座標軸を意味する。各図中のXYZ座標軸其々が示す方向は、各図に共通する。
[0022]
 本実施形態に係るアルミニウム箔は、主成分としてアルミニウムを含む金属箔である。アルミニウム箔は、アルミニウム又はアルミニウム合金のみからなっていてよい。アルミニウム箔は、アルミニウム又はアルミニウム合金に加えて、他の成分を含んでもよい。
[0023]
 本実施形態に係るアルミニウム箔は、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン二次電池及び電解コンデンサからなる群より選ばれる少なくとも一種の蓄電デバイスに用いられてよい。例えば、図3に示されるように、蓄電デバイス10は、第一電極6と、第一電極6と向かい合う第二電極5と、第一電極6及び第二電極5の間に配置されるセパレータ7と、第一電極6及び第二電極5の間に充填される電解液8と、を備える。第一電極6は、本実施形態に係るアルミニウム箔2(第一集電体)と、アルミニウム箔2を覆う第一活物質層4とを有している。第二電極5は、第二集電体1と、第二集電体1を覆う第二活物質層3とを有している。第二集電体1は、銅又はアルミニウム等の金属から構成されていてよい。第一活物質層4及び第二活物質層3それぞれは、セパレータ7に面している。セパレータ7は多孔質の絶縁体である。電解液8は、電解質が溶解した溶媒(例えば有機溶媒)であり、セパレータ7を透過する。蓄電デバイス10がリチウムイオンキャパシタ又はリチウムイオン二次電池である場合、電解液8は、電解質を構成するカチオンとして、リチウムイオンを含む。
[0024]
 第一電極6は、正極及び負極のいずれかであってよい。第一電極6が正極である場合、第一活物質層4は正極用の活物質を含み、第二電極5が負極であり、第二活物質層3は負極用の活物質を含む。第一電極6が負極である場合、第一活物質層4は負極用の活物質を含み、第二電極5が正極であり、第二活物質層3は正極用の活物質を含む。
[0025]
 蓄電デバイス10がリチウムイオンキャパシタである場合、正極用の活物質は、活性炭等の炭素材料であってよく、負極用の活物質は、リチウムイオンがプレドープされた炭素材料であってよい。
[0026]
 蓄電デバイス10が電気二重層キャパシタである場合、正極用の活物質は、活性炭等の炭素材料であってよく、負極用の活物質も、活性炭等の炭素材料であってよい。
[0027]
 蓄電デバイス10がリチウムイオン二次電池である場合、正極用の活物質は、リチウムの酸化物(例えば、リチウムを含む複合酸化物)であってよく、負極用の活物質は、炭素材料であってよい。
[0028]
 蓄電デバイス10がアルミニウム電解コンデンサである場合、第一活物質層4及び第二活物質層3は存在しない。蓄電デバイス10がアルミニウム電解コンデンサである場合、アルミニウム箔2(第一集電体)が陽極であってよく、第二集電体1が陰極(別のアルミニウム箔)であってよい。アルミニウム箔2が陽極である場合、アルミニウム箔2の表面を酸化することにより、酸化アルミニウムを含む誘電体膜がアルミニウム箔2の表面に形成される。アルミニウム箔2を覆う誘電体膜はセパレータ7に面する。アルミニウム箔2が陰極であってもよく、第二集電体1が陽極(誘電体膜で覆われた別のアルミニウム箔)であってもよい。
[0029]
 図3及び図4に示されるように、複数の貫通孔Pがアルミニウム箔2の表面から裏面へ延びている。第一活物質層4の一部が貫通孔Pの内部に入り込んでいてよい。アルミニウム箔2の表面に形成された細孔の全てが貫通孔Pであってよい。ただし、アルミニウム箔2の表面に形成された細孔の一部は、アルミニウム箔2を貫通していない孔(非貫通孔)であってもよい。アルミニウム箔2に形成された貫通孔Pの断面(アルミニウム箔の表面に垂直な断面)の実例は、図1及び図2に示される。図1は、厚さが30μmであるアルミニウム箔に形成された貫通孔の断面である。図1に示される貫通孔(図1中のa)の直径は、約30μmである。図2は、厚さが20μmであるアルミニウム箔に形成された貫通孔の断面である。図2に示される貫通孔(図2中のa)の直径は、約10μmである。図2中のbは、別の貫通孔の全体像である。
[0030]
 図1及び図2は、以下のレプリカ法によって作製された樹脂の硬化物の断面の画像である。
[0031]
 未硬化のエポキシ樹脂を含む溶液が、アルミニウム箔2の表面全体に塗布される。その結果、樹脂の溶液が、アルミニウム箔2の表面に形成された各貫通孔P内へ充填される。溶液を乾燥して樹脂を加熱により硬化した後、アルミニウム箔2の表面に対して垂直な方向にアルミニウム箔2が切断される。加熱無しで硬化する樹脂が用いられてもよい。切断されたアルミニウム箔2のうちアルミニウムの部分のみが、過塩素酸を含むエタノール溶液によって溶解され、除去される。つまり樹脂の硬化物は残存する。アルミニウムの溶解には、水酸化ナトリウムが用いられてもよい。アルミニウムが除去された樹脂の硬化物の切断面が、走査型電子顕微鏡によって撮影される。走査型電子顕微鏡によって撮影された切断面の画像は、貫通孔P内に充填された樹脂の硬化物である。つまり、図1及び図2に示される樹脂の硬化物(a及びb)の形状及び寸法は、アルミニウム箔2の表面に形成されていた貫通孔Pの形状及び寸法に相当する。
[0032]
 アルミニウム箔2の厚さTは、0μmより大きく50μm以下である。アルミニウム箔2の厚さTは、好ましくは12μm以上30μm以下であってよい。アルミニウム箔2が薄過ぎる場合、アルミニウム箔2の機械的強度(例えば引張強度)が低下する。その結果、アルミニウム箔2のハンドリングに伴ってアルミニウム箔2が破損し易く、アルミニウム箔2及び蓄電デバイス10の生産性が低下する。一方、アルミニウム箔2が厚過ぎる場合、アルミニウム箔2を備える蓄電デバイスの容量及びエネルギー密度が減少する。
[0033]
 アルミニウム箔2に形成された貫通孔Pの直径D は、電解質を構成するイオン(電荷キャリア)が貫通孔P内を移動及び通過することが可能である程度の大きさであればよい。イオンが貫通孔P内を移動及び通過し易いという理由から、貫通孔Pの直径D は、例えば、数Å以上100μm以下であってよい。貫通孔Pの直径D の平均値は、例えば、1μm以上100μm以下であってよい。第一活物質層4をアルミニウム箔2の表面に形成する工程では、活物質、バインダ及び溶媒等を含むスラリーが、アルミニウム箔2の表面に塗布される。しかし、貫通孔Pの直径D が100μmを超える場合、スラリーが貫通孔Pを通じてアルミニウム箔2の表面から裏面へ抜け易い。貫通孔Pの直径D は、貫通孔Pの内径と言い換えられてよい。
[0034]
 直径D が1μm以上100μm以下である貫通孔Pの数は、アルミニウム箔2の単位面積当たり、10個/mm 以上である。直径D が1μm以上100μm以下である貫通孔Pの数は、アルミニウム箔2の単位面積当たり、10個/mm 以上1000000個/mm 以下、10個/mm 以上100000個/mm 以下、10個/mm 以上10000個/mm 以下、10個/mm 以上1000個/mm 以下、又は10個/mm 以上100個/mm 以下であってよい。アルミニウム箔2の単位面積は、1mm である。直径D が1μm以上100μm以下である貫通孔Pの数が上記の範囲である場合、直径D が数μm以上数十μm以下である多数の貫通孔Pがアルミニウム箔2の表面に形成されている。その結果、アルミニウム箔2におけるイオンの移動距離が短く、イオンをアルミニウム箔2に対して均一に且つ短時間でプレドープすることができる。
[0035]
 アルミニウム箔2のガーレー透気度は、0sec/100mlより大きく10sec/100ml以下であってよい。ガーレー透気度が大きいほど、貫通孔Pが少なく、気体が貫通孔Pを通じてアルミニウム箔2を透過するために要する時間が長い。気体の場合と同様に、ガーレー透気度が大きいほど、イオン又はイオンの溶液が貫通孔P内を移動及び通過するために要する時間が長い。その結果、プレドープに時間がかかる。ガーレー透気度が上記の範囲内であることにより、アルミニウム箔2におけるイオンの貫通性が向上し、プレドープの時間が短く、イオンをアルミニウム箔2へプレドープし易い。同様の理由から、アルミニウム箔2のガーレー透気度は、好ましくは0.3sec/100ml以上1.2sec/100ml以下であってもよい。ガーレー透気度は、JIS P 8117(紙及び板紙‐透気度及び透気抵抗度試験方法(中間領域)‐ガーレー法)に準じたガーレー試験機法によって測定されてよい。
[0036]
 アルミニウム箔2の引張強度は、50N/mm 以上である。引張強度が上記の範囲内であることにより、アルミニウム箔2のハンドリングに伴うアルミニウム箔2の破損が抑制され、アルミニウム箔2を用いた電極及び蓄電デバイスの生産性が向上する。同様の理由から、アルミニウム箔2の引張強度は、好ましくは50N/mm 以上91N/mm 以下、又は65N/mm 以上91N/mm 以下であってもよい。引張強度が低いほど、電極及び蓄電デバイスの製造過程において、アルミニウム箔2が破断し易く、アルミニウム箔2のハンドリングが困難であり、生産性が低下する。アルミニウム箔2の引張強度は、JIS B 7721(引張試験機・圧縮試験機-力計測系の校正方法及び検証方法)に準じた引張試験機によって測定されてよい。またはアルミニウム箔2の引張強度は、JIS Z 2241(金属材料引張試験方法)に準じた引張試験機によって測定されてもよい。
[0037]
 貫通孔Pが形成される前のアルミニウム箔2の質量は、M0と表される。貫通孔Pが形成された後のアルミニウム箔2の質量は、M1と表される。減耗率RM(単位:質量%)は、{(M0-M1)/M0}×100と定義される。M0-M1は、アルミニウム箔2における貫通孔Pの形成に伴って、アルミニウム箔2から除去されたアルミニウムの質量に相当する。ただし、貫通孔Pの形成に伴って、アルミニウム箔2を貫通しない細孔(非貫通孔)も同時に形成され得る。したがって、M0-M1は、元々貫通孔Pに充填されていたアルミニウムの質量Maと常に等しいわけでない。M0-M1は、元々非貫通孔に充填されていたアルミニウムの質量Mbも含み得る。つまり、M0-M1は、Ma+Mbにほぼ等しい。アルミニウム箔2から除去されたアルミニウムの全てが、元々貫通孔Pに充填されていた場合、アルミニウム箔2に形成された細孔の全てが貫通孔Pであり、M0-M1はMaに等しく、Mbはゼロである。
[0038]
 アルミニウム箔2の表面の面積は、A0と表される。アルミニウム箔2の表面のうち面積がA0である領域内に形成された貫通孔Pの開口面積の合計は、A1と表される。A0は、アルミニウム箔2の表面に形成された貫通孔Pの開口面積の合計を包含する。開口率RA(単位:面積%)は、(A1/A0)×100と定義される。A0は、アルミニウム箔2の表面全体の面積A でなくてよい。
[0039]
 (RA/RM)×100は、80%以上100%以下である。(RA/RM)×100は、アルミニウム箔2に形成された全ての細孔に対する貫通孔Pの相対的な割合を示す指標である。アルミニウム箔2に形成された細孔の全てが貫通孔Pである場合、細孔の形成に伴ってアルミニウム箔2から除去されたアルミニウムの質量の割合は、アルミニウム箔2の表面における貫通孔Pの開口面積の割合と一致する。つまり、アルミニウム箔2に形成された細孔の全てが貫通孔Pである場合、M0-M1はMaに等しく、RMは(Ma/M0)×100であり、RMはRAと等しく、(RA/RM)×100は100%である。
[0040]
 (RA/RM)×100が低いほど、全細孔に占める非貫通孔の割合が高く、アルミニウム箔2のガーレー透気度及び引張強度が低い傾向がある。また非貫通孔はプレドープを妨げる。したがって、(RA/RM)×100は高いほど好ましい。つまり、非貫通孔は少ないことが好ましく、非貫通孔は無いことがより好ましい。
[0041]
 貫通孔Pが形成される前のアルミニウム箔2の体積は、V0と表される。貫通孔Pが形成された後のアルミニウム箔2の体積は、V1と表される。体積減耗率RV(単位:体積%)は、{(V0-V1)/V0}×100と定義される。V0-V1は、アルミニウム箔2における貫通孔Pの形成に伴って、アルミニウム箔2から除去されたアルミニウムの体積に相当する。ただし、貫通孔Pの形成に伴って、アルミニウム箔2を貫通しない細孔(非貫通孔)も同時に形成され得る。したがって、V0-V1は、元々貫通孔Pに充填されていたアルミニウムの体積Vaと常に等しいわけでない。V0-V1は、元々非貫通孔に充填されていたアルミニウムの体積Vbも含み得る。つまり、V0-V1は、Va+Vbにほぼ等しい。アルミニウム箔2から除去されたアルミニウムの全てが、元々貫通孔Pに充填されていた場合、アルミニウム箔2に形成された細孔の全てが貫通孔Pであり、V0-V1はVaに等しく、Vbはゼロである。アルミニウムの真密度Dは一定であるので、質量がMであるアルミニウムの体積Vは、アルミニウムの質量Mを真密度Dで除した値(M/D)に等しい。つまり、アルミニウムの体積Vは、アルミニウムの質量Mに比例する。したがって、体積減耗率RVは実質的に減耗率RMに等しく、(RA/RV)×100は実質的に(RA/RM)×100に等しい。つまり、(RA/RM)×100と同様に、(RA/RV)×100は80%以上100%以下であってよい。
[0042]
 貫通孔Pの形成に伴うアルミニウム箔2の体積の変化量(V0-V1)に基づいて、(RA/RM)×100及び(RA/RV)×100を間接的に特定することができる。この場合、アルミニウム箔2の厚さTとアルミニウム箔2全体の面積A との積(T×A )がV0とみなされてよく、M1/DがV1とみなされてよい。貫通孔Pがアルミニウム箔2に形成された後の時点において、T×A ×Dは、貫通孔Pが形成される前のアルミニウム箔2の質量M0にほぼ等しい。したがって、貫通孔Pがアルミニウム箔2に形成された後の時点においても、RM及び(RA/RM)×100をT×A ×D及びM1から算出することが可能である。
[0043]
 貫通孔Pの開口面積の合計A1は、アルミニウム箔2の表面の画像を画像解析ソフトを用いて解析することにより測定されてよい。アルミニウム箔2の表面の画像は、アルミニウム箔2がバックライト上に置かれた状態において撮影されてよい。アルミニウム箔2の表面においてバックライトが透過している部分が貫通孔Pに相当するからである。アルミニウム箔2の表面の画像は、デジタルマイクロスコープによって撮影されてよい。デジタルマイクロスコープとしては、株式会社ハイロックス製のデジタルマイクロスコープ(型式:KH-3000)が用いられてよい。デジタルマイクロスコープの倍率は、100倍以上3000倍以下であることが好ましい。100倍よりも低い倍率では、光の拡散に起因して、撮影される貫通孔Pの画像が、実際の貫通孔Pよりも大きく見える。その結果、開口面積の誤差が生じ易い。3000倍よりも高い倍率では、1枚の画像内に収まるアルミニウム箔2の面積が小さく、開口面積の誤差が生じ易い。画像解析ソフトとしては、旭化成エンジニアリング株式会社製の「A像くん Ver.2.52」が用いられてよい。「A像くん」は登録商標である。貫通孔Pの直径D も、上記の画像を画像解析ソフトで解析することにより測定されてよい。アルミニウム箔2の表面に形成された貫通孔Pの数も、上記の画像を画像解析ソフトで解析することにより測定されてよい。
[0044]
 本実施形態に係るアルミニウム箔2の製造においては、アルミニウム箔の焼鈍処理(annealing)によって、アルミニウム箔の結晶方位をエッチング前に揃える必要がない。つまり、本実施形態にアルミニウム箔2は、焼鈍処理を経ていないアルミニウム箔から製造することができる。したがって本実施形態にアルミニウム箔2は高い引張強度を有しており、ハンドリング性に優れる。本実施形態に係るアルミニウム箔2の材料としては、工業的に量産されている一般的なアルミニウム箔を用いられてよい。例えば、3003材又は1085材からアルミニウム箔2が製造されてよい。3003材及び1085材のいずれも国際アルミニウム合金名である。
[0045]
 貫通孔Pをアルミニウム箔2に形成する方法は、電解エッチング又は化学エッチングであってよい。電解エッチング及び化学エッチングの組み合わせによって、貫通孔Pをアルミニウム箔2に形成してもよい。
[0046]
 電解エッチングに用いる電解液は、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、及びリン酸等からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸を含む酸性溶液(例えば水溶液)であってよい。複数種の電解液が組み合せられてよい。電解液中の酸の濃度は、2質量%以上20質量%以下であってよい。電解液の温度は30℃以上80℃以下であってよい。電解液中のアルミニウム箔の電気量は1C/dm 以上1000C/dm 以下であってよい。
[0047]
 化学エッチングに用いるエッチング液は、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、クロム酸、及びフッ酸等からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む酸性溶液(例えば水溶液)であってよい。複数種の酸性溶液が組み合せられてよい。エッチング液中の酸の濃度は5質量%以上35質量%以下であってよい。エッチング液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウム等からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むアルカリ性溶液(例えば水溶液)であってもよい。複数種のアルカリ性溶液が組み合せられてよい。エッチング液中のアルカリ化合物の濃度は5質量%以上35質量%以下であってよい。エッチング液の温度は、30℃以上80℃以下であってよい。化学エッチングの継続時間は、100秒以上10000秒以下であってよい。
[0048]
 上記のエッチングの諸条件の調整によって、アルミニウムの溶出量、アルミニウム箔2の表面に形成される細孔の深さ、貫通孔Pの数、貫通孔Pの直径D 、開口率RA、減耗率RM及びガーレー透気度が制御されてよい。
実施例
[0049]
 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により限定されるものではない。
[0050]
(実施例1)
[アルミニウム箔の作製]
 電解エッチングによって、アルミニウム箔の表面に複数の貫通孔を形成した。貫通孔が形成された後のアルミニウム箔の厚さTは、50μm以下であった。アルミニウム箔としては、3003材を用いた。アルミニウム箔の焼鈍処理は実施されなかった。電解エッチング用の電解液としては、塩酸溶液を用いた。電解液中の塩酸の濃度、電解液の温度、電解液中におけるアルミニウム箔の電気量、及び電解エッチングの継続時間の調整により、アルミニウム箔からのアルミニウムの溶出量、アルミニウム箔の表面に形成される貫通孔の数、及び貫通孔の直径D (平均値)等が制御された。
[0051]
[アルミニウム箔の評価]
 以下の各測定に基づき、貫通孔Pが形成されたアルミニウム箔を評価した。
[0052]
 電解エッチングの前後においてアルミニウム箔の質量を測定することにより、減耗率RMを算出した。減耗率RMは下記表1に示される。
[0053]
 アルミニウム箔がバックライト上に置かれた状態において、アルミニウム箔の表面の画像をデジタルマイクロスコープによって撮影した。撮影された画像を画像解析ソフトで解析することによって、アルミニウム箔の表面に形成された貫通孔の直径D の平均値、及び開口率RAを測定した。画像の撮影には、株式会社ハイロックス製のデジタルマイクロスコープ(型式:KH-3000)を用いた。デジタルマイクロスコープの倍率は、400倍に設定された。画像解析ソフトとしては、旭化成エンジニアリング株式会社製の「A像くん Ver.2.52」を用いた。貫通孔の直径D の平均値及び開口率RAは、下記表1に示される。(RA/RM)×100も、下記表1に示される。上述の画像解析により、直径D が1μm以上100μm以下である貫通孔の数Nを測定した。貫通孔の数Nとは、アルミニウム箔の単位面積(1mm )当たりの貫通孔の数である。貫通孔の数Nは、10個/mm 以上であった。
[0054]
 JIS P 8117に準じた方法により、アルミニウム箔のガーレー透気度を測定した。測定装置としては、テスター産業株式会社製のガーレー式デンソメータ(型式:PA-301)を用いた。ガーレー透気度は、下記表1に示される。
[0055]
 JIS Z 2241(金属材料引張試験方法)に準じた方法により、アルミニウム箔の引張強度を測定した。測定には、株式会社エー・アンド・デー製の引張・圧縮試験機(型式:MCT‐1150)を用いた。引張強度は、下記表1に示される。
[0056]
(実施例2)
 実施例2のアルミニウム箔(加工前の材料)としては、3003材の代わりに1085材を用いた。材料の違いを除いて実施例1と同様の方法で、アルミニウム箔の表面に複数の貫通孔を形成した。貫通孔が形成された後の実施例2のアルミニウム箔の厚さTは、50μm以下であった。貫通孔が形成された実施例2のアルミニウム箔を、実施例1と同様の方法で評価した。実施例2の評価結果は、下記表1に示される。上述の画像解析により測定された実施例2の貫通孔の数Nは、10個/mm 以上であった。
[0057]
(比較例1)
 比較例1のアルミニウム箔(加工前の材料)としては、3003材の代わりに1085材を用いた。比較例1の場合、電解エッチングの前に、アルミニウム箔の焼鈍処理を行った。これらの事項を除いて実施例1と同様の方法で、アルミニウム箔の表面に複数の貫通孔を形成した。貫通孔が形成された比較例1のアルミニウム箔を、実施例1と同様の方法で評価した。比較例1の評価結果は、下記表1に示される。
[0058]
(比較例2)
 比較例2のアルミニウム箔(加工前の材料)としては、3003材の代わりに1085材を用いた。比較例2の場合、電解エッチングの前に、アルミニウム箔の焼鈍処理を行った。これらの事項を除いて実施例1と同様の方法で、アルミニウム箔の表面に複数の貫通孔を形成した。貫通孔が形成された比較例2のアルミニウム箔を、実施例1と同様の方法で評価した。比較例2の評価結果は、下記表1に示される。
[0059]
[表1]


[0060]
 実施例1及び2其々の(RA/RM)×100及びガーレー透気度は、比較例1及び2に比べて高かった。つまり、実施例1及び2は細孔の貫通性に優れていることが確認された。実施例1及び2其々の引張強度は比較例1及び2に比べて高かった。実施例1及び2其々のアルミニウム箔はハンドリング性に優れていることが確認された。

産業上の利用可能性

[0061]
 本発明に係るアルミニウム箔は、例えば、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン二次電池及び電解コンデンサ等の蓄電デバイスの電極に用いられる。

符号の説明

[0062]
 1…第二集電体、2…アルミニウム箔(第一集電体)、3…第二活物質層、4…第一活物質層、5…第二電極、6…第一電極、7…セパレータ、8…電解液、10…蓄電デバイス。

請求の範囲

[請求項1]
 アルミニウム箔であって、
 前記アルミニウム箔の厚さが0μmより大きく50μm以下であり、
 複数の貫通孔が前記アルミニウム箔の表面から裏面へ延びており、
 直径が1μm以上100μm以下である前記貫通孔の数が、前記アルミニウム箔の単位面積当たり、10個/mm 以上であり、
 前記アルミニウム箔の引張強度が50N/mm 以上であり、
 前記貫通孔が形成される前の前記アルミニウム箔の質量がM0と表され、
 前記貫通孔が形成された後の前記アルミニウム箔の質量がM1と表され、
 減耗率RMが、{(M0-M1)/M0}×100と定義され、
 前記アルミニウム箔の表面の面積がA0と表され、
 前記アルミニウム箔の表面に形成された前記貫通孔の開口面積の合計がA1と表され、
 開口率RAが、(A1/A0)×100と定義され、
 (RA/RM)×100が、80%以上100%以下である、
アルミニウム箔。
[請求項2]
 ガーレー透気度が0sec/100mlより大きく10sec/100ml以下である、
請求項1に記載のアルミニウム箔。
[請求項3]
 請求項1又は2に記載のアルミニウム箔を備える、
蓄電デバイス。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]