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1. (WO2019026671) METHOD FOR PRODUCING POLYCARBONATE RESIN COMPOSITION
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明 細 書

発明の名称 ポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007  

発明の効果

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067  

実施例

0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083  

産業上の利用可能性

0084  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

明 細 書

発明の名称 : ポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、ポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 ポリカーボネート系樹脂(以下、PC系樹脂と略記することがある)からなる成形体は、高い透明性、優れた耐熱性や耐衝撃性等の機械強度を有するため、工業用の透明材料として、電気、機械、自動車分野等において広く用いられている。また、光学材料用のプラスチックとして、レンズや光学ディスク等にも使用される。
[0003]
 ポリカーボネート系樹脂は、脂肪族ポリカーボネート系樹脂と、芳香族ポリカーボネート系樹脂とに大別することができる。脂肪族ポリカーボネート系樹脂は優れた耐光性、高い表面硬度及び優れた耐薬品性等の性質を有する(例えば、特許文献1)。一方、芳香族ポリカーボネート系樹脂は、優れた耐衝撃性、優れた耐熱性等の性質を有する(例えば、特許文献2)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2016-121275号公報
特許文献2 : 特開2012-251013号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 脂肪族ポリカーボネート系樹脂と、芳香族ポリカーボネート系樹脂とは、上記した通りそれぞれ優れた性質を有するが、これらを混合すると樹脂組成物の透明性が低下するという問題を有する。透明性熱可塑性樹脂として、優れた耐薬品性を有する芳香族ポリエステル系樹脂や、耐熱性及び耐候性に優れるポリアリレート樹脂を脂肪族ポリカーボネート系樹脂と混合する場合にも同様に樹脂組成物の透明性が低下するという問題を有する。
 そのため、脂肪族ポリカーボネート系樹脂と、芳香族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂及び/又はポリアリレート樹脂とを混合する際に、それぞれの優れた性質を併せ持ちながら、ポリカーボネート系樹脂特有の高い透明性を維持するポリカーボネート系樹脂組成物を得ることが求められている。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、脂肪族ポリカーボネート系樹脂と、芳香族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂及び/又はポリアリレート樹脂とを特定条件下で溶融混練することにより、前記目的を達成することを見出した。
 すなわち、本発明は、下記[1]~[15]を提供する。
[0007]
 [1]下記一般式(I)で表される繰り返し単位(A-1)を含む脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)と、
 下記一般式(II)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロックを含む芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)、下記一般式(III)で表される構造単位を有する芳香族ポリエステル系樹脂(C)及び下記一般式(IV)で表される構造単位を有するポリアリレート樹脂(D)からなる群から選択される少なくとも1種の芳香族熱可塑性樹脂(S)とを、
 エステル交換触媒の存在下において、樹脂成分が溶融する温度以上の温度で混合する、ポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[化1]



(式中、X 1は炭素数2~20の2価の脂肪族炭化水素基、又は炭素数4~22の2価の脂環式炭化水素基を示す。前記2価の脂肪族炭化水素基及び2価の脂環式炭化水素基は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子、及び/またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれる少なくとも1つのハロゲン原子を含んでもよい)
[化2]



(式中、R 1及びR 2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を示す。複数のR 1及びR 2はそれぞれ、互いに同一でも異なっていてもよい。X 2は、単結合、炭素数1~8のアルキレン基、炭素数2~8のアルキリデン基、炭素数5~15のシクロアルキレン基、炭素数5~15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7~15のアリールアルキレン基、炭素数7~15のアリールアルキリデン基、-S-、-SO-、-SO 2-、-O-又は-CO-を示す。Arはフェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を示し、B 1はC n2n(nは2~4)を示す。R 3は、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~12のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、炭素数1~12のアルコキシ基及び置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリールオキシ基からなる群から選択される。複数のR 3は互いに同一でも異なっていてもよい。a、b及びcはそれぞれ独立に0~4の整数を示す。)
 [2]前記芳香族熱可塑性樹脂(S)が、前記一般式(II)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロックを含む芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)である、上記[1]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
 [3]前記脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)が、繰り返し単位(A-1)として、下記一般式(I-1)、(I-2)及び(I-3)で表される繰り返し単位からなる群より選ばれる一つ以上を含む、上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[化3]



 [4]前記脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)が、繰り返し単位(A-1)として上記一般式(I-3)で示される繰り返し単位を含む、上記[3]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
 [5]前記繰り返し単位(A-1)における、前記一般式(I-3)で示される繰り返し単位の割合が40モル%以上である、上記[3]又は[4]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
 [6]前記脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)が、脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)及び芳香族熱可塑性樹脂(S)の合計100質量%に対して、60質量%以上95質量%以下混合される、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
 [7]前記エステル交換触媒が、金属酸化物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物及びリン含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]~[6]のいずれか一つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
 [8]波長589.3nmの光に対するポリカーボネート系樹脂組成物の屈折率が、1.50以上1.55以下となる、上記[1]~[7]のいずれか一つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
 [9]ガラスフィラー(E)を、ポリカーボネート系樹脂組成物全量100質量%中、5質量%以上50質量%以下の割合となるよう加える、上記[1]~[8]のいずれか一つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
 [10]前記ガラスフィラー(E)が、ガラス繊維、ガラスパウダー、ガラスフレーク、ミルドファイバー、ガラスクロス及びガラスビーズからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[9]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
 [11]波長589.3nmの光に対する前記ガラスフィラー(E)の屈折率が、1.50以上1.55以下である、上記[9]又は[10]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
 [12]波長589.3nmの光に対して、前記脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)及び前記芳香族熱可塑性樹脂(S)の混合物の屈折率と、前記ガラスフィラー(E)の屈折率との差が0.020以下である、上記[9]~[11]のいずれか一つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
 [13]上記[1]~[12]のいずれか一つに記載の製造方法により得られたポリカーボネート系樹脂組成物を成形する、ポリカーボネート系樹脂組成物の成形品の製造方法。
 [14]厚み2mmにおけるヘーズが10以下となる、上記[13]に記載の成形品の製造方法。
 [15]厚み2mmにおける全光線透過率が80%以上となる、上記[13]又は[14]に記載の成形品の製造方法。

発明の効果

[0008]
 本発明によれば、脂肪族ポリカーボネート系樹脂と、芳香族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂及びポリアリレート樹脂から選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂それぞれの優れた性質を併せ持ちながら、ポリカーボネート系樹脂特有の高い透明性を維持するポリカーボネート系樹脂組成物を製造することができる。

発明を実施するための形態

[0009]
 本発明のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法を、以下詳述する。
 本明細書において、「XX~YY」の記載は、「XX以上YY以下」を意味する。本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましい。
[0010]
 本発明のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法は、特定の繰り返し単位を含む脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)と、特定の繰り返し単位からなるポリカーボネートブロックを含む芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)、特定の構造単位を有する芳香族ポリエステル系樹脂(C)及び特定の構造単位を有するポリアリレート樹脂(D)からなる群から選択される少なくとも1種の芳香族熱可塑性樹脂(S)とを、エステル交換触媒の存在下において、樹脂成分が溶融する温度以上の温度で混合することを特徴とする。
[0011]
<脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)>
 本発明の製造方法において用いられる脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(A-1)を含むことを要する。
[化4]



(式中、X 1は炭素数2~20の2価の脂肪族炭化水素基、又は炭素数4~22の2価の脂環式炭化水素基を示す。前記2価の脂肪族炭化水素基及び2価の脂環式炭化水素基は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子、及び/またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれる少なくとも1つのハロゲン原子を含んでもよい)
[0012]
 X 1における、ヘテロ原子を含む2価の前記脂環式炭化水素基としては、例えば、酸素若しくは窒素を含有する炭素数4~20の2価の飽和複素環式基等が挙げられる。
 X 1で示される2価の基の具体例としては、後述する脂肪族ジヒドロキシ化合物から2つの水酸基を除いた2価の基が挙げられ、中でも後述する一般式(11)で示される脂肪族ジヒドロキシ化合物から2つの水酸基を除いた2価の残基が好ましい。
[0013]
 脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)は、より具体的には、耐熱性(ガラス転移温度の高さ)の観点から、繰り返し単位(A-1)として、下記一般式(I-1)、(I-2)及び(I-3)で表される繰り返し単位からなる群より選ばれる一つ以上を有することが好ましい。
[化5]


[0014]
 脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)は、耐熱性(ガラス転移温度の高さ)の観点から、繰り返し単位(A-1)として少なくとも上記一般式(I-3)で表される繰り返し単位を含むことがより好ましい。例えば、繰り返し単位(A-1)として、一般式(I-3)で表される繰り返し単位のみを含んでいてもよい。あるいは、一般式(I-3)で表される繰り返し単位と、一般式(I-1)又は(I-2)で表されるいずれかの繰り返し単位との組み合わせ、一般式(I-3)で表される繰り返し単位と、一般式(I-1)及び(I-2)で表される繰り返し単位の組み合わせを含んでいてもよい。
[0015]
 前記繰り返し単位(A-1)における、一般式(I-1)、(I-2)及び/または(I-3)で表される繰り返し単位の合計含有量は、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。中でも、耐熱性(ガラス転移温度の高さ)の観点から、繰り返し単位(A-1)における上記一般式(I-3)で表される繰り返し単位の割合が40モル%以上であることが好ましく、45モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることがさらに好ましい。一般式(I-3)で表される繰り返し単位の割合が40モル%以上であれば、耐光性や耐熱性により優れるポリカーボネート系樹脂組成物を得ることができる。
[0016]
 一般式(I)で表される繰り返し単位(A-1)を含む脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)は、脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導される。脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、下記一般式(11)で表される化合物が挙げられる。前記脂肪族ジヒドロキシ化合物は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
[化6]


[0017]
 上記一般式(11)において、R 11は炭素数2~18、好ましくは2~10、より好ましくは3~6のアルキレン基、炭素数4~20、好ましくは5~20のシクロアルキレン基又は炭素数4~20、好ましくは5~20の2価の酸素若しくは窒素含有飽和複素環式基であり、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子及びフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれる少なくとも1つのハロゲン原子を含んでもよい。tは0または1の整数を示す。
[0018]
 炭素数2~18のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、2-エチルヘキシレン基、n-ノニレン基、n-デシレン基、n-ウンデシレン基、n-ドデシレン基、n-トリデシレン基、n-テトラデシレン基、n-ペンタデシレン基、n-ヘキサデシレン基、n-ヘプタデシレン基、n-オクタデシレン基等が挙げられる。炭素数4~20のシクロアルキレン基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロデシレン基、シクロテトラデシレン基、アダマンチレン基、ビシクロヘプチレン基、ビシクロデシレン基、トリシクロデシレン基等が挙げられる。
[0019]
 脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、N-メチルジエタノールアミン、p-キシリレングリコール等の鎖式脂肪族炭化水素基を有するジヒドロキシ化合物;1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,6-デカリンジオール、1,5-デカリンジオール、2,3-デカリンジオール、2,6-デカリンジメタノール、1,5-デカリンジメタノール、2,3-デカリンジメタノール、2,3-ノルボルナンジオール、2,5-ノルボルナンジオール、2,3-ノルボルナンジメタノール、2,5-ノルボルナンジメタノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン、1,3-アダマンタンジオール、1,3-アダマンタンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環式炭化水素基を有するジヒドロキシ化合物;イソソルビド等の縮合多環式エーテルジオール;3,9-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジエチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジプロピルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,4-アンヒドロエリスリトール等の環状エーテルジオール等のヘテロ環スピロ化合物;2-(5-エチル-5-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキサン-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オール等の環状アセタールジオール;3,4-ピロリジンジオール、3,4-ジメチルピペリジンジオール、N-エチル-3,4-ピペリジンジオール、N-エチル-3,5-ピペリジンジオール等のN-ヘテロ環状ジオール;デオキシチオフルクトース等のS-ヘテロ環状ジオールなどが挙げられる。
[0020]
 これらの脂肪族ジヒドロキシ化合物のうち、製造の容易さ、性質、用途の幅広さの観点から、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、1,3-アダマンタンジメタノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2-(5-エチル-5-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキサン-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オール、イソソルビド、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールが好ましい。中でも耐熱性、屈折率の観点から1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、イソソルビドがより好ましい。
[0021]
 上記脂肪族ジヒドロキシ化合物の精製方法については特に限定されない。好ましくは、単蒸留、精留または再結晶のいずれか、もしくはこれらの手法の組み合わせにより精製してもよい。ただし、該脂肪族ジヒドロキシ化合物の市販品には安定剤や、保管中に生成した劣化物が含まれていることがあり、これらがポリマー品質に悪影響を与える可能性がある。該脂肪族ジヒドロキシ化合物を用いてポリマーを得る際には、再度精製を行い直ちに重合反応に使用するのが好ましい。やむを得ず精製後、しばらく保管してから使用する際は、乾燥、40℃以下の低温、遮光および不活性ガス雰囲気下で保管しておいて使用することが好ましい。
[0022]
 脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)の粘度平均分子量は、好ましくは10,000~50,000である。この範囲内であると、機械物性と流動性のバランスがより優れている。より好ましくは12,000~35,000、さらに好ましくは15,000~22,000である。粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液(濃度:g/L)の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、下記Schnellの式にて算出する。
[数1]


[0023]
 脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)の波長589.3nmの光に対する屈折率は、好ましくは1.480以上1.520以下であり、より好ましくは1.500以上1.519以下、さらに好ましくは1.501以上1.516以下である。
[0024]
 脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)のガラス転移温度としては、75~200℃であることが好ましく、80~180℃がより好ましく、100~150℃が更に好ましい。脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)のガラス転移温度が75℃以上であれば、幅広い用途への展開がより容易である。脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)のガラス転移温度が200℃以下であれば、成形する際の溶融流動性に優れ、ポリマー熱劣化による強度低下や着色が少ない温度範囲での成形がより容易となる。
[0025]
 脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)の製造方法に特に制限はない。例えば界面重縮合法や、溶融法(エステル交換法)を挙げることができる。本発明においては、エステル交換法により製造された脂肪族ポリカーボネート系樹脂を用いることが好ましい。例えば、ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルと、必要に応じ末端停止剤あるいは分岐剤等を用いてエステル交換反応を行い、ポリカーボネート系樹脂を得ることができる。具体的には、公知のエステル交換法に準じて反応を進行させればよい。一例として、特許6131264号公報に記載される条件を用いて製造することができる。
[0026]
[芳香族熱可塑性樹脂(S)]
 上記脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)と混合する、芳香族熱可塑性樹脂(S)について以下詳述する。
[0027]
<芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)>
 芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)は、主鎖が下記一般式(II)で表される繰り返し単位を有する。上記ポリカーボネート系樹脂としては、特に制限はなく種々の公知のポリカーボネート系樹脂を使用できる。例えば、芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)はホモポリカーボネート樹脂であってもよい。
[0028]
[化7]



[式中、R 1及びR 2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を示す。複数のR 1及びR 2はそれぞれ、互いに同一でも異なっていてもよい。X 2は単結合、炭素数1~8のアルキレン基、炭素数2~8のアルキリデン基、炭素数5~15のシクロアルキレン基、炭素数5~15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7~15のアリールアルキレン基、炭素数7~15のアリールアルキリデン基、-S-、-SO-、-SO 2-、-O-又は-CO-を示す。a及びbはそれぞれ独立に、0~4の整数を示す。]
[0029]
 上記一般式(I)中、R 1及びR 2がそれぞれ独立して示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
 R 1及びR 2がそれぞれ独立して示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」とは、直鎖状及びあらゆる分岐鎖状のものを含むことを示す。以下、明細書中同様である。)、各種ペンチル基、及び各種ヘキシル基が挙げられる。R 1及びR 2がそれぞれ独立して示すアルコキシ基としては、アルキル基部位として前記アルキル基を有するものが挙げられる。
[0030]
 X 2が表すアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、炭素数1~5のアルキレン基が好ましい。X 2が表すアルキリデン基としては、エチリデン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。X 2が表すシクロアルキレン基としては、シクロペンタンジイル基やシクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基等が挙げられ、炭素数5~10のシクロアルキレン基が好ましい。X 2が表すシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシリデン基、2-アダマンチリデン基等が挙げられ、炭素数5~10のシクロアルキリデン基が好ましく、炭素数5~8のシクロアルキリデン基がより好ましい。X 2が表すアリールアルキレン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6~14のアリール基が挙げられ、アルキレン基としては上述したアルキレンが挙げられる。X 2が表すアリールアルキリデン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6~14のアリール基が挙げられ、アルキリデン基としては上述したアルキリデン基を挙げることができる。
[0031]
 a及びbは、それぞれ独立に0~4の整数を示し、好ましくは0~2、より好ましくは0または1である。
 中でも、a及びbが0であり、X 2が単結合または炭素数1~8のアルキレン基であるもの、またはa及びbが0であり、X 2が炭素数3のアルキレン基、特にイソプロピリデン基であるものが好適である。
[0032]
 上記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)としては、具体的には、反応に不活性な有機溶媒とアルカリ水溶液との存在下で、二価フェノール系化合物及びホスゲンと反応させた後、第三級アミンもしくは第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加して重合させる界面重合法や、二価フェノール系化合物をピリジンまたはピリジンと不活性溶媒の混合溶液に溶解し、ホスゲンを導入し直接製造するピリジン法等、従来のポリカーボネートの製造法により得られるものを使用できる。
 上記の反応に際し、必要に応じて、分子量調節剤(末端停止剤)、分岐化剤等が使用される。
[0033]
 上記二価フェノール系化合物としては、下記一般式(II’)で表されるものが挙げられる。
[化8]



[式中、R 1、R 2、X 2、a及びbは上記定義の通りであり、好ましいものも同じである。]
[0034]
 上記二価フェノール系化合物の具体例としては、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、4,4'-ジヒドロキシジフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド及びビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの二価フェノールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
 これらの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系二価フェノールが好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。二価フェノールとしてビスフェノールAを用いた場合、上記一般式(i)において、X 2がイソプロピリデン基であり、且つa=b=0の芳香族PC樹脂となる。
[0035]
 ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、ジヒドロキシアリールエーテル類、ジヒドロキシジアリールスルフィド類、ジヒドロキシジアリールスルホキシド類、ジヒドロキシジアリールスルホン類、ジヒドロキシジフェニル類、ジヒドロキシジアリールフルオレン類及びジヒドロキシジアリールアダマンタン類等が挙げられる。これらの二価フェノールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
[0036]
 ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類としては、例えばビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン及び2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン等が挙げられる。
[0037]
 ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類としては、例えば1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノルボルナン及び1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等が挙げられる。ジヒドロキシアリールエーテル類としては、例えば4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル及び4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルフェニルエーテル等が挙げられる。
[0038]
 ジヒドロキシジアリールスルフィド類としては、例えば4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド及び4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールスルホキシド類としては、例えば4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド及び4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールスルホン類としては、例えば4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン及び4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホン等が挙げられる。
[0039]
 ジヒドロキシジフェニル類としては、例えば4,4’-ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールフルオレン類としては、例えば9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールアダマンタン類としては、例えば1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン及び1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン等が挙げられる。
[0040]
 上記以外の二価フェノールとしては、例えば4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-9-アントロン及び1,5-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-2,3-ジオキサペンタン等が挙げられる。
[0041]
 芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の分子量を調整するために、末端停止剤(分子量調節剤)を使用することができる。末端停止剤としては、例えば、フェノール、p-クレゾール、p-tert-ブチルフェノール、p-tert-オクチルフェノール、p-クミルフェノール、p-ノニルフェノール、m-ペンタデシルフェノール及びp-tert-アミルフェノール等の一価フェノールを挙げることができる。これら一価フェノールは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0042]
<芳香族ポリエステル系樹脂(C)>
 芳香族ポリエステル系樹脂(C)は、下記一般式(III)で表される繰り返し単位を含む。
[化9]



[式中、Arはフェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を示し、B 1はC n2n(nは2~4)を示す。]
[0043]
 上記芳香族ポリエステル系樹脂(C)としては、芳香族ポリカルボン酸と、脂肪族ポリオールとから得られるものを挙げることができる。
[0044]
 芳香族ポリカルボン酸としては、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸、及びこれらの無水物又はエステル誘導体を、単独で又は2種以上併用して使用することができる。
[0045]
 脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン及びトリトリメチロールプロパン等を挙げることができる。
[0046]
 上記芳香族ポリエステル系樹脂(C)の一例として、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸又は2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルのような芳香族ジカルボン酸のエステル誘導体と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジプロピレングリコール又はトリエチレングリコールのような脂肪族ジオールとの縮重合体の形のものがより好ましく用いられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリエチレンナフタレート(PEN)の少なくとも1種を芳香族ポリエステル系樹脂(C)として用いることが好ましい。
[0047]
<ポリアリレート樹脂(D)>
 ポリアリレート樹脂(D)は、下記一般式(IV)の繰り返し単位を有する。
[化10]



[式中、R 3は、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~12のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、炭素数1~12のアルコキシ基及び置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリールオキシ基からなる群から選択される。複数のR 3は互いに同一でも異なっていてもよい。cは0~4の整数を示す]
[0048]
 R 3が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
 R 3が示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、及び各種ヘキシル基等が挙げられる。R 3が示すアルコキシ基としては、アルキル基部位として前記アルキル基を有するものが挙げられる。R 3が示すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6~14のアリール基が挙げられる。
[0049]
 cは好ましくは0~3、より好ましくは0~2の整数を示す。cが1を超える場合、すなわちR 3が複数存在する場合には、互いに同一でも異なっていてもよい。
[0050]
<樹脂混合比>
 本発明の製造方法においては、上記脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)が、脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)及び芳香族熱可塑性樹脂(S)の合計100質量%に対して、60質量%以上95質量%以下混合されることが好ましい。脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)の割合が上記範囲にあると、芳香族熱可塑性樹脂(S)と混合した場合でも透明性に優れるポリカーボネート系樹脂をより容易に得ることができる。脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)及び芳香族熱可塑性樹脂(S)の合計100質量%に対する脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)の割合は、より好ましくは65質量%以上90質量%以下、さらに好ましくは70質量%以上85質量%以下である。また、本発明の一態様においては、芳香族熱可塑性樹脂(S)として、耐熱性(ガラス転移温度:Tg)の観点から、上記一般式(II)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロックを含む芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)であることが好ましい。
[0051]
<エステル交換触媒>
 本発明の製造方法において用いられるエステル交換触媒としては、金属酸化物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物及びリン含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種を好ましく用いることができる。
[0052]
 金属酸化物としては、原料入手性および安全性の観点から、例えば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、および酸化鉛等が例として挙げられる。このうちでは酸化亜鉛が好ましい。
 アルカリ金属化合物としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物、無機塩、有機塩、ハロゲン化物、および水素化物等が挙げられる。アルカリ土類金属化合物としては、例えば、アルカリ土類金属の水酸化物、無機塩、有機塩、ハロゲン化物、および水素化物等が挙げられる。含窒素化合物としては、例えば、アミン類等が挙げられる。リン含有化合物としては、例えば、各種のホスホニウム塩等が挙げられる。より具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、3級アミン(例えば、トリエチルアミン、およびトリフェニルアミン等)、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、並びにテトラフェニルホスホニウムクロライド等が挙げられる。
[0053]
 エステル交換触媒の添加量には特に制限はない。触媒残渣がポリカーボネート系樹脂組成物に残留する恐れがなく、製品性能をより向上させることができる観点から、脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)と芳香族熱可塑性樹脂(S)との混合物に対して、好ましくは300質量ppm以下、より好ましくは100質量ppm以下、さらに好ましくは50質量ppm以下である。
[0054]
<溶融混練条件>
 本発明のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法は、脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)と、上記芳香族熱可塑性樹脂(S)とを、エステル交換触媒の存在下において、樹脂成分が溶融する温度以上の温度で混合(溶融混練)する。
 溶融混練は、通常用いられている方法、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等を用いる方法により行うことができる。溶融混練時の加熱温度は、通常150℃~300℃、好ましくは220~300℃程度の範囲で適宜選定される。
 溶融混練時間は特に限定されないが、例えば1分以上30分以下、好ましくは2分以上15分以下である。
[0055]
 本発明の製造方法により、波長589.3nmの光に対する屈折率が、1.50以上1.55以下となるポリカーボネート系樹脂組成物を好ましくは製造することができる。より好ましくは、波長589.3nmの光に対する屈折率が1.505以上1.54以下、さらに好ましくは1.510以上1.535以下となるポリカーボネート系樹脂組成物を製造することができる。屈折率が上記範囲内であれば、後述するガラス繊維との組み合わせでより優れた透明性を得ることができる。
[0056]
<その他添加剤>
 本発明の製造方法においては、用途や必要に応じて公知の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、各種フィラー、酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等が挙げられる。
[0057]
 本発明のポリカーボネート系樹脂組成物の製造においては、得られる樹脂組成物の機械物性をより強化する観点から、ガラスフィラー(E)を配合することが好ましい。
 ガラスフィラー(E)としては、含アルカリガラス、低アルカリガラス、及び無アルカリガラスなどを原料としたいずれをも好適に用いることができる。ガラスフィラー(E)の形態は特に制限されず、例えば、ガラス繊維、ガラスパウダー、ガラスフレーク、ミルドファイバー、ガラスクロス及びガラスビーズからなる群より選ばれる少なくとも1種から選択されるものを使用することができる。
[0058]
 ガラスフィラー(E)の波長589.3nmの光に対する屈折率は、1.50以上1.55以下であることが好ましい。ガラスフィラー(E)の波長589.3nmの光に対する屈折率が上記範囲にあると、このようなフィラーを配合した場合であっても、より透明性に優れるポリカーボネート系樹脂組成物を製造することができる。波長589.3nmの光に対するガラスフィラー(E)の屈折率は、より好ましくは1.505以上1.540以下であり、さらに好ましくは1.510以上1.535以下である。
 ガラスフィラー(E)の他の波長における屈折率は特に限定されないが、例えば以下の範囲を挙げることができる。波長486.1nmの光に対する屈折率は、好ましくは1.500以上1.560以下、より好ましくは1.510以上1.55以下、さらに好ましくは1.515以上1.550以下である。波長656.3nmの光に対する屈折率は、好ましくは1.500以上1.551以下、より好ましくは1.505以上1.540以下である。
[0059]
 ガラスフィラー(E)の配合量は特に限定されないが、例えば、上記した脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)、芳香族熱可塑性樹脂(S)及びエステル交換触媒を含むポリカーボネート系樹脂組成物全量100質量%中、5質量%以上50質量%以下の割合となるように加えることが好ましい。ガラスフィラー(E)の配合量が上記範囲にあれば、より高い機械特性を有すると共に、透明性に優れるポリカーボネート系樹脂組成物を製造することができる。ガラスフィラー(E)は、ポリカーボネート系樹脂組成物全量100質量%中、より好ましくは8質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上35質量%以下の割合となるよう配合される。
[0060]
 本発明に好ましく用いられるガラスフィラーは、S-2グラスファイバー(サカイ産業株式会社製)、Tガラスヤーン(株式会社 双洋製)として市販されている。なお、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法においては、Eガラス原料とするガラスフィラー、例えばMA409C(旭ファイバーグラス社製)などは、屈折率の点で適さない。
[0061]
 本発明のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法において、樹脂成分である脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)及び芳香族熱可塑性樹脂(S)の混合物の屈折率と、ガラスフィラー(E)との波長589.3nmの光に対する屈折率の差が、0.020以下であることが好ましい。屈折率差がこの範囲となることで、得られる樹脂組成物の高い透明性を維持することができる。当該屈折率差は、より好ましくは0.010以下、さらに好ましくは0.005以下、特に好ましくは0.003以下である。
[0062]
[成形品の製造方法]
 本発明においては、上記ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融混練物、又は溶融混練を経て得られたペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法等により、樹脂組成物の成形品を製造することができる。特に、溶融混練を経て得られたペレットを用いて、射出成形法又は射出圧縮成形法により成形品を製造することが好ましい。
[0063]
 成形品の厚さは用途に応じて任意に設定することができ、特に成形品の透明性が要求される場合には、0.2~4.0mmが好ましく、0.3~3.0mmが好ましく、0.3~2.0mmがさらに好ましい。成形品の厚みが0.2mm以上であれば、反りが生じることがなく、良好な機械強度が得られる。また成形品の厚みが4.0mm以下であれば、高い透明性が得られる。
[0064]
 成形品の製造方法においては、必要に応じてハードコート膜、防曇膜、帯電防止膜、反射防止膜の被膜を形成しても良く、2種類以上の複合被膜としてもよい。
 中でも、耐候性が良好で、経時的な成形品表面の摩耗を防ぐことができることから、ハードコート膜の被膜が形成されていることが特に好ましい。ハードコート膜の材質は特に限定されず、アクリレート系ハードコート剤、シリコーン系ハードコート剤、無機系ハードコート剤等の公知の材料を用いることができる。
[0065]
 ガラスフィラーを含む成形品の場合には、成形品の最表面に、ガラスフィラーの少なくとも一部分が存在することで、成形品の表面粗さが大きくなり、成形品表面での乱反射が多くなり、結果として成形品の透明性を悪化する場合がある。このため、成形品の表面粗さを小さくする方法として、成形品の最表面に樹脂の存在比率が高い層(スキン層)を形成させることにより、成形品の表面粗さを小さくする方法等がある。このスキン層を形成させる方法として、射出成形の場合には金型の温度を一般的な条件よりも高い温度にすることで、金型に接する樹脂が流動し易くなり、成形品の最表面の表面粗さを小さくすることができる。圧縮成形の場合には、成形時の圧力を一般的な条件よりも高い圧力にすることにより、成形品の最表面の表面粗さを小さくすることができる。これらの方法を用いて、成形品の表面粗さを小さくすることにより、成形品表面での乱反射が少なくなり、ヘーズが小さくなり、結果として成形品の透明性を改善することができる。
[0066]
 本発明においては、厚み2mmの平板に成形した際、可視光に対する全光線透過率が80%以上である、及び/又はヘーズが10以下である成形品を製造することができる。本発明においては、配合成分の種類や配合比を変更することにより、好ましくは83%以上の全光線透過率を有する成形品を製造することができる。同様に配合成分の種類や配合比を変更することにより、好ましくは8以下、より好ましくは7以下のヘーズを有する成形品を製造することができる。ヘーズが上記範囲内であれば、成形体として十分な透明性を確保することが出来る。
 前記光学物性を備えた成形品は透明性に優れたものであるので、高い透明性を要求される用途において使用することができる。
 ポリカーボネート樹脂成形体の光学物性である全光線透過率は、日本電色株式会社製NDHセンサーを用い、ASTM D1003に準じて厚さ2mmのサンプルを測定した値である。ヘーズ値は日本電色株式会社製NDHセンサーを用い、ASTM D1003に準じて厚さ2mmのサンプルを測定した値である。
[0067]
 本発明により製造される成形品は、透明性及び剛性、さらには耐傷付性及び耐候性が必要とされる部材、例えば、1)サンルーフ、ドアバイザー、リアウィンド、サイドウィンド等の自動車用部品、2)建築用ガラス、防音壁、カーポート、サンルーム及びグレーチング類等の建築用部品、3)鉄道車両、船舶用の窓、4)テレビ、ラジオカセット、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、オーディオプレーヤ、DVDプレーヤー、電話器、ディスプレイ、コンピュータ、レジスター、複写機、プリンター、ファクシミリ等の各種部品、外板およびハウジングの各部品等の電気機器用部品、5)携帯電話、PDA、カメラ、スライドプロジェクター、時計、電卓、計測器、表示器機等の精密機械等のケース及びカバー類等の精密機器用部品、6)ビニールハウス、温室等の農業用部品、7)照明カバーやブラインド、インテリア器具類等の家具用部品等に好適に用いることができる。
実施例
[0068]
 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
 各例における特性値は、以下に示す要領に従って求めた。
[0069]
<ポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量>
 ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液(濃度:g/L)の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式(Schnell式)にて粘度平均分子量(Mv)を算出した。
[数2]


[0070]
<樹脂及び樹脂組成物の屈折率>
 アッベ屈折計(METRICON社製 MODEL 2010/M PRISM COUPLER)で、波長656.3nm(C線)、589.3nm(D線)、486.1nm(F線)の干渉フィルターを用いて、各波長の屈折率、nC、nD、nFを測定した。
<ヘーズ値>
 日本電色株式会社製NDHセンサーを用い、ASTM D1003に準じて厚さ2mmのサンプルを測定した値である。
<全光線透過率:Tt(%)>
 全光線透過率は、厚み2mmの試験片について、ASTM D1003に準拠して測定した。測定装置としては、日本電色工業株式社製のNDH2000を用いた。
[0071]
製造例1:脂肪族PC系樹脂(PC1)の製造
 攪拌装置、蒸留器及び減圧装置を備えた反応槽に、モノマー原料としてイソソルビド(ISB)を111.7g(0.765mol)及び1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を60.6g(0.42mol)、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを269.64g(1.26mol)、15wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を1.44mL、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を24μL仕込んだ。系内を窒素置換した後、140℃で内容物を溶融させた。30分攪拌後、内温を180℃に昇温しつつ徐々に減圧し、13.3kPaで30分間反応させ、生成するフェノールを留去した。
 続いて同圧に維持しながら昇温し続け、190℃で30分間、200℃で30分間、210℃で30分間、220℃で60分間反応を行い、フェノールを留去した。ゆっくりと減圧して220℃で133Pa以下としてこの状態を30分間保持した後、さらに真空度を上げていき、1mmHg以下に到達後、4時間攪拌下で反応させた。その後、失活剤として、p-トルエンスルホン酸ブチルを10vol%含むトルエン溶液16μLを添加した後、240℃、13.3kPaで20分間攪拌し、目的の脂肪族PC系樹脂(PC1)を得た。PC1の波長589.3nmにおける屈折率(nD)は1.504、波長486.1nmにおける屈折率(nF)は1.510、波長656.3nmにおける屈折率(nC)は1.501であった。
[0072]
製造例2:脂肪族PC系樹脂(PC2)の製造
 モノマー原料として、イソソルビド(ISB)を87.70g(0.6mol)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を86.5g(0.6mol)用いたこと以外は、製造例1と同じ条件で重合を行った。PC2の波長589.3nmにおける屈折率(nD)は1.499、波長486.1nmにおける屈折率(nF)は1.505、波長656.3nmにおける屈折率(nC)は1.497であった。
[0073]
製造例3:脂肪族PC系樹脂(PC3)の製造
 モノマー原料として、イソソルビド(ISB)を105.2g(0.72mol)、CHDMに代えてトリシクロデカンジメタノール(TCDDM)を94.2g(0.48mol)用いたこと以外は、製造例1と同じ条件で重合を行った。PC3の波長589.3nmにおける屈折率(nD)は1.518、波長486.1nmにおける屈折率(nF)は1.525、波長656.3nmにおける屈折率(nC)は1.516であった。
[0074]
製造例4:脂肪族PC系樹脂(PC4)の製造
 モノマー原料として、イソソルビド(ISB)を122.8g(0.84mol)、CHDMに代えてプロパン-1,2-ジオール(PG)を27.4g(0.36mol)用いたこと以外は、製造例1と同じ条件で重合を行った。PC4の波長589.3nmにおける屈折率(nD)は1.500、波長486.1nmにおける屈折率(nF)は1.506、波長656.3nmにおける屈折率(nC)は1.496であった。
[0075]
<芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)>
 芳香族ホモポリカーボネート樹脂(B1)[出光興産(株)製,タフロンFN2200(商品名),粘度平均分子量=21,300,波長589.3nmにおける屈折率(nD)=1.588,波長486.1nmにおける屈折率(nF)=1.604,波長656.3nmにおける屈折率(nC)=1.578]
<芳香族ポリエステル系樹脂(C)>
 芳香族ポリエステル系樹脂(C1)[東洋紡(株)製,バイロペットEMC-307,波長589.3nmにおける屈折率(nD)=1.576,波長486.1nmにおける屈折率(nF)=1.594,波長656.3nmにおける屈折率(nC)=1.570]
<ポリアリレート樹脂(D)>
 ポリアリレート樹脂(D1)[ユニチカ(株)製,U-100,波長589.3nmにおける屈折率(nD)=1.610,波長486.1nmにおける屈折率(nF)=1.627,波長656.3nmにおける屈折率(nC)=1.603]
[0076]
<ガラスフィラー(E)>
 ガラスフィラー(E1):S-2グラスファイバー[サカイ産業株式会社製,nD=1.510,nF(波長486.1nmにおける屈折率)=1.517,nC(波長656.3nmにおける屈折率)=1.508]
 ガラスフィラー(E2):Tガラスヤーン[株式会社 双洋製,nD=1.524,nF=1.531,nC=1.522]
 ガラスフィラー(E3):Eガラス[旭ファイバーグラス(株)製,nD=1.556,nF=1.562,nC=1.552]
[0077]
実施例1
 脂肪族PC樹脂であるPC1と、芳香族PC樹脂であるPC(B1)と、フッ化セシウムとを表に記載の量比で十分に混合する。その後、小型混練機MC15(レオ・ラボ(株)製)中で240℃,5分間の条件で上記混合物を溶融混練して、ポリカーボネート系樹脂組成物のペレットを製造した。得られたペレットを100℃で8時間乾燥させた後、真空加熱プレス機(株式会社井元製作所製11FD)を用い、240℃のプレス成形にて2mm厚みの板に成形しヘーズを測定した。結果を表1に示す。
[0078]
実施例2~7,比較例1~3
 表に示す脂肪族PC樹脂と、芳香族熱可塑性樹脂と、エステル交換触媒とを、表に記載の種類と量比に変えた以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート系樹脂組成物のペレット及び試験片を製造した。結果を同じく表1に示す。
[0079]
[表1]


[0080]
実施例8
 実施例1で得られた樹脂混合物と、ガラスフィラー(E1)とを表に記載の量比で十分に混合する。その後、小型混練機MC15(レオ・ラボ(株)製)中で240℃,5分間の条件で上記混合物を溶融混練して、ポリカーボネート系樹脂組成物のペレットを製造した。
 得られたペレットを100℃で8時間乾燥させた後、真空加熱プレス機(株式会社井元製作所製11FD)を用い、240℃でプレス成形して、成形品として2mm厚の板を製造した。得られた成形品のヘーズ値及び全光線透過率を測定した。結果を表2に示す。
[0081]
実施例9~14,参考例1~2
 上記各実施例で得られた樹脂混合物と、ガラスフィラーとを、表に記載の種類と量比に変えた以外は、実施例8と同様にして、ポリカーボネート系樹脂組成物を製造した。結果を同様に表2に示す。
[0082]
[表2]


[0083]
 上記全ての実施例及び比較例中で、フッ化セシウムとしては東京化成工業株式会社製の試薬を、酸化亜鉛としては和光純薬工業株式会社製の試薬を用いた。
 表1の結果より、実施例1~7で製造されるポリカーボネート系樹脂組成物は、比較例1~5のものに比べて、透明性に優れたものであることがわかる。表2の結果から、実施例8~14の製造方法では、ヘーズ値の低い成形品が得られることが分かる。

産業上の利用可能性

[0084]
 本発明によれば、脂肪族ポリカーボネート系樹脂と、芳香族ポリカーボネートイ系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂及びポリアリレート樹脂から選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂それぞれの優れた性質を併せ持ちながら、ポリカーボネート系樹脂特有の高い透明性を維持するポリカーボネート系樹脂組成物を製造することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 下記一般式(I)で表される繰り返し単位(A-1)を含む脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)と、
 下記一般式(II)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロックを含む芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)、下記一般式(III)で表される構造単位を有する芳香族ポリエステル系樹脂(C)及び下記一般式(IV)で表される構造単位を有するポリアリレート樹脂(D)からなる群から選択される少なくとも1種の芳香族熱可塑性樹脂(S)とを、
 エステル交換触媒の存在下において、樹脂成分が溶融する温度以上の温度で混合する、ポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[化1]



(式中、X 1は炭素数2~20の2価の脂肪族炭化水素基、又は炭素数4~22の2価の脂環式炭化水素基を示す。前記2価の脂肪族炭化水素基及び2価の脂環式炭化水素基は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子、及び/またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれる少なくとも1つのハロゲン原子を含んでもよい)
[化2]



(式中、R 1及びR 2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を示す。複数のR 1及びR 2はそれぞれ、互いに同一でも異なっていてもよい。X 2は、単結合、炭素数1~8のアルキレン基、炭素数2~8のアルキリデン基、炭素数5~15のシクロアルキレン基、炭素数5~15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7~15のアリールアルキレン基、炭素数7~15のアリールアルキリデン基、-S-、-SO-、-SO 2-、-O-又は-CO-を示す。Arはフェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を示し、B 1はC n2n(nは2~4)を示す。R 3は、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~12のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、炭素数1~12のアルコキシ基及び置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリールオキシ基からなる群から選択される。複数のR 3は互いに同一でも異なっていてもよい。a、b及びcはそれぞれ独立に0~4の整数を示す)
[請求項2]
 前記芳香族熱可塑性樹脂(S)が、前記一般式(II)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロックを含む芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)である、請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[請求項3]
 前記脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)が、繰り返し単位(A-1)として、下記一般式(I-1)、(I-2)及び(I-3)で表される繰り返し単位からなる群より選ばれる一つ以上を含む、請求項1又は2に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[化3]


[請求項4]
 前記脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)が、繰り返し単位(A-1)として上記一般式(I-3)で示される繰り返し単位を含む、請求項3に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[請求項5]
 前記繰り返し単位(A-1)における、上記一般式(I-3)で表される繰り返し単位の割合が40モル%以上である、請求項3又は4に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[請求項6]
 前記脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)が、脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)及び芳香族熱可塑性樹脂(S)の合計100質量%に対して、60質量%以上95質量%以下混合される、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[請求項7]
 前記エステル交換触媒が、金属酸化物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物及びリン含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[請求項8]
 波長589.3nmの光に対するポリカーボネート系樹脂組成物の屈折率が、1.50以上1.55以下となる、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[請求項9]
 ガラスフィラー(E)を、ポリカーボネート系樹脂組成物全量100質量%中、5質量%以上50質量%以下の割合となるよう加える、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[請求項10]
 前記ガラスフィラー(E)が、ガラス繊維、ガラスパウダー、ガラスフレーク、ミルドファイバー、ガラスクロス及びガラスビーズからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項9に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[請求項11]
 波長589.3nmの光に対する前記ガラスフィラー(E)の屈折率が、1.50以上1.55以下である、請求項9又は10に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[請求項12]
 波長589.3nmの光に対して、前記脂肪族ポリカーボネート系樹脂(A)及び前記芳香族熱可塑性樹脂(S)の混合物の屈折率と、前記ガラスフィラー(E)の屈折率との差が0.020以下である、請求項9~11のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法。
[請求項13]
 請求項1~12のいずれか一項に記載の製造方法により得られたポリカーボネート系樹脂組成物を成形する、ポリカーボネート系樹脂組成物の成形品の製造方法。
[請求項14]
 厚み2mmにおけるヘーズが10以下となる、請求項13に記載の成形品の製造方法。
[請求項15]
 厚み2mmにおける全光線透過率が80%以上となる、請求項13又は14に記載の成形品の製造方法。