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1. (WO2019026640) CATALYST PRECURSOR, METHOD FOR PRODUCING CATALYST, METHOD FOR PRODUCING METHACRYLIC ACID AND ACRYLIC ACID, AND METHOD FOR PRODUCING METHACRYLIC ACID ESTER AND ACRYLIC ACID ESTER
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明 細 書

発明の名称 触媒前駆体、触媒の製造方法、メタクリル酸及びアクリル酸の製造方法、並びにメタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルの製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005   0006   0007   0008  

発明の効果

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047  

実施例

0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 触媒前駆体、触媒の製造方法、メタクリル酸及びアクリル酸の製造方法、並びにメタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルの製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、触媒前駆体、及びこの前駆体を用いた触媒の製造方法、メタクリル酸及びアクリル酸の製造方法、並びにメタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルの製造方法に関する。
 また本発明は、分子状酸素を用いてメタクロレイン又はアクロレインを気相接触酸化してメタクリル酸又はアクリル酸を製造する際に用いる触媒の前駆体、及び、この前駆体を用いて製造するメタクリル酸又はアクリル酸製造用触媒の製造方法、メタクリル酸又はアクリル酸の製造方法、並びにメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルの製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 化学反応に用いられる触媒の構造については、数多くの検討がなされている。例えばメタクリル酸製造用触媒としては、リンモリブデン酸、リンモリブデン酸塩等のヘテロポリ酸又はその塩を主成分とする触媒が知られている。
 特許文献1では、ヘテロポリ酸塩を含む気相酸化触媒について、焼成後のX線回折パターンを規定している。
 また特許文献2では、触媒製造用原料のX線回折ピークについて記載されており、モリブデン及びA元素(Aは、リン及びヒ素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)を含む混合液から得られる沈殿を、250~350℃で熱処理した後のXRD回折ピークを規定している。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開昭57-177348
特許文献2 : 特開2009-22945

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかし、これらの方法で得られた触媒を使用してメタクリル酸やアクリル酸を製造する場合、収率が十分ではない問題があった。
 そこで、本発明の目的は、従来の触媒よりもメタクリル酸およびアクリル酸の収率の高い触媒を製造するための触媒前駆体、前記前駆体から触媒を製造する方法、前記触媒を用いてメタクリル酸およびアクリル酸、並びにそれらのエステルを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0005]
 本発明者らは上記目的を達成するために、メタクリル酸およびアクリル酸の収率の高い触媒を製造する技術について鋭意検討を進めた。
 この結果、特定の構造を有する触媒前駆体を製造し、これを熱処理して触媒を製造することで、メタクリル酸およびアクリル酸の収率の高い触媒を製造することが可能なことを見出し、本発明に至った。
[0006]
 本発明は、以下の[1]~[8]及び[1’]~[5’]に示すとおりである。
[0007]
 [1]ヘテロポリ酸塩を含む触媒前駆体であって、対陰極Cu-Kα線を用いたX線回折パターンにおいて、2θが26.16°±0.06°であるピークP1と、2θがピークP1よりも高角側にあり26.44°以下にあるピークP2とを有する触媒前駆体。
 [2]前記ピークP2の高さI2に対する前記ピークP1の高さI1の比(I1/I2)が、0.05~0.92である、[1]に記載の触媒前駆体。
 [3]触媒の前駆体であって、前記触媒が、分子状酸素を用いてメタクロレイン及びアクロレインからなる群より選択される少なくとも1種を気相接触酸化して、メタクリル酸及びアクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種を製造する際に用いれる、[1]又は[2]に記載の触媒前駆体。
 [4]下記式(I)で表される組成を有する[1]~[3]のいずれか1つに記載の触媒前駆体。
  P Mo Cu    (I)
 (式(I)中、P、Mo、V、Cu及びOは、それぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅及び酸素を示す元素記号である。Aはアンチモン、ビスマス、砒素、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステン及びホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Eは鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、タンタル、コバルト、ニッケル、マンガン、バリウム、チタン、スズ、鉛、ニオブ、インジウム、硫黄、パラジウム、ガリウム、セリウム及びランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Gはカリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。a、b、c、d、e、f、g及びhは各元素の原子比率を示し、b=12の時a=0.5~3、c=0.01~3、d=0.01~2、e=0~3、f=0~3、g=0.01~3であり、hは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。)
 [5][1]~[4]のいずれか1つに記載の触媒前駆体を熱処理する工程を含む、触媒の製造方法。
 [6]前記熱処理工程における熱処理温度が300~450℃である、[5]に記載の触媒の製造方法。
 [7]メタクリル酸及びアクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種を製造する方法であって、
(1)[5]又は[6]に記載の方法により触媒を製造する工程、及び
(2)前記触媒の存在下で分子状酸素を用いて、メタクロレイン及びアクロレインからなる群より選択される少なくとも1種を気相接触酸化して、メタクリル酸及びアクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種を製造する工程、
を含む、方法。
 [8]メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を製造する方法であって、
(1)[5]又は[6]に記載の方法により触媒を製造する工程、
(2)前記触媒の存在下で分子状酸素を用いて、メタクロレイン及びアクロレインからなる群より選択される少なくとも1種を気相接触酸化して、メタクリル酸及びアクリル酸からなる郡より選択される少なくとも1種を製造する工程、及び
(3)前記メタクリル酸及び前記アクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種をエステル化する工程、
を、含む方法。
[0008]
 [1’]メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸製造用触媒を製造する際に用いられる、ヘテロポリ酸塩を含む触媒の前駆体であって、対陰極Cu-Kα線を用いたX線回折パターンにおいて、2θが26.16°±0.06°であるピークP1と、2θがピークP1よりも高角側にあり26.44°以下にあるピークP2とを有するメタクリル酸製造用触媒前駆体。
 [2’][1’]に記載のメタクリル酸製造用触媒の前駆体であって、下記式(I)で表される組成を有するメタクリル酸製造用触媒前駆体。
  P Mo Cu    (I)
 (式(I)中、P、Mo、V、Cu及びOは、それぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅及び酸素を示す元素記号である。Aはアンチモン、ビスマス、砒素、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステン及びホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Eは鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、タンタル、コバルト、ニッケル、マンガン、バリウム、チタン、スズ、鉛、ニオブ、インジウム、硫黄、パラジウム、ガリウム、セリウム及びランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Gはカリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。a、b、c、d、e、f、g及びhは各元素の原子比率を示し、b=12の時a=0.5~3、c=0.01~3、d=0.01~2、e=0~3、f=0~3、g=0.01~3であり、hは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。)
 [3’][1’]又は[2’]に記載のメタクリル酸製造用触媒の前駆体を熱処理する工程を含むメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
 [4’]前記熱処理工程における熱処理温度が300~450℃である[3’]に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
 [5’][3’]又は[4’]に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法によりメタクリル酸製造用触媒を製造し、その存在下でメタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するメタクリル酸の製造方法。
 [6’][5’]に記載のメタクリル酸の製造方法により製造されたメタクリル酸をエステル化するメタクリル酸エステルの製造方法。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、分子状酸素を用いて、メタクロレイン及びアクロレインを気相接触酸化してメタクリル酸及びアクリル酸を製造する際に、メタクリル酸及びアクリル酸の収率が高い触媒を製造することが可能な触媒前駆体を製造することができる。

発明を実施するための形態

[0010]
 [触媒前駆体]
 本発明において、触媒前駆体とは触媒構成元素の原料から構成されるものであり、熱処理されることによって触媒となる、触媒前駆体を示す。
[0011]
 本発明の触媒前駆体から製造される触媒は、様々な酸化反応に用いることができるが、例えば、メタクロレインからメタクリル酸を、又は、アクロレインからアクリル酸を製造する反応に用いられ、特に好ましくは、メタクロレインからメタクリル酸を製造する反応に用いることができる。
[0012]
 以下、メタクロレインからメタクリル酸を製造する場合を例として記載するが、これらは、アクロレインからアクリル酸を製造する際にも適用できるものである。
[0013]
 本発明の触媒前駆体はヘテロポリ酸塩を含み、対陰極Cu-Kα線を用いたX線回折パターン(X線回折線)において、2θが26.16°±0.06°であるピークP1と、2θがピークP1よりも高角側にあり26.44°以下にあるピークP2とを有する。
[0014]
 X線回折パターンにおいて、2θが26°付近に出現するピークは、ヘテロポリ酸塩の立方晶構造の(222)面に由来するものである。この領域に2つ以上のピークが存在する触媒前駆体は、異なる構造を有するヘテロポリ酸塩、又はヘテロポリ酸複合塩(以下、まとめて「ヘテロポリ酸(複合)塩」とも示す。)を少なくとも2種類含有することを意味する。ここでヘテロポリ酸複合塩とは、異なる構造を有するヘテロポリ酸塩が特定の割合で複合した塩を示す。本発明の触媒前駆体を熱処理して製造した触媒を用いてメタクロレインの酸化を行うことで、高い収率でメタクリル酸を製造することができる。なお、ピークP1、ピークP2は、下記に示すα-アルミナを由来とする25.5°付近の回折パターンに対し、5/100以上の高さを有するものとする。
 前記ピークP2の高さI2に対するピークP1の高さI1の比(I1/I2)は、0.05~0.92であることがメタクリル酸の収率の観点から好ましい。I1/I2の下限は0.1以上、上限は0.9以下がより好ましい。
[0015]
 この理由は明らかではないが、異なる構造を有するヘテロポリ酸(複合)塩は特性も異なっており、X線回折パターンにおける前記ピークP1及びP2に由来する、特性の異なるヘテロポリ酸(複合)塩を含有することにより、メタクロレインの気相接触酸化反応において有利な活性点構造が形成されるためと考えられる。
[0016]
 X線回折パターンは、まず触媒前駆体を粉状とし、触媒前駆体の質量:α-アルミナの質量=1:4となるようにα-アルミナを混合して得られる混合粉について測定する。測定はPANaltical社製の「商品名:X‘Pert Pro MPD」を用い、線源:CuKα線(λ=0.15406nm)、管電圧:45kV、管電流:40mA、散乱スリット:1°、拡散防止スリット:2°、スキャンステップ:0.008°で行う。得られたデータはPANalytical社製のX線回折装置用データ収集ソフトウエア「商品名:X‘Pert」を用いてKα2線の除去操作を実施する。この時、25.5°付近にα―アルミナの(012)面に起因する回折パターンが現れる。この回折パターンの角度を25.583°として、26°付近から26.5°付近に現れる回折パターンを、触媒前駆体中のヘテロポリ酸(複合)塩の(222)面に由来する回折パターンの角度として算出する。なおヘテロポリ酸(複合)塩は、他に2θ=10.6~10.7°、13.0~13.2°、15.1~15.3°、18.4~18.6°、21.3~21.5°、23.8~24.2°、30.2~30.7°付近にも回折パターンを有する。
[0017]
 本発明の触媒前駆体は、メタクリル酸収率の観点から下記式(I)で表される組成を有することが好ましい。なお、元素組成のモル比は、触媒前駆体をアンモニア水に溶解した成分をICP発光分析法で分析することによって算出した値とする。
  P Mo Cu    (I)
 式(I)中、P、Mo、V、Cu及びOは、それぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅及び酸素を示す元素記号である。Aはアンチモン、ビスマス、砒素、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステン及びホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Eは鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、タンタル、コバルト、ニッケル、マンガン、バリウム、チタン、スズ、鉛、ニオブ、インジウム、硫黄、パラジウム、ガリウム、セリウム及びランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Gはカリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。a、b、c、d、e、f、g及びhは各元素の原子比率を示し、b=12の時a=0.5~3、c=0.01~3、d=0.01~2、e=0~3、f=0~3、g=0.01~3であり、hは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。
[0018]
 [触媒前駆体の製造方法]
 本発明に係る触媒前駆体の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば前記ピークP1を有する乾燥粉K1を調製する工程(以下、「乾燥粉K1調製工程」とも示す。)と、前記ピークP2を有する乾燥粉K2を調製する工程(以下、「乾燥粉K2調製工程」とも示す。)と、前記乾燥粉K1と前記乾燥粉K2を混合し、触媒前駆体を製造する工程(以下、「乾燥粉混合工程」とも示す。)と、を含む方法が挙げられる。
[0019]
 (乾燥粉K1調製工程)
 本工程では、前記ピークP1を有する乾燥粉K1を調製する。
 乾燥粉K1を調製する方法としては、例えば、まず触媒原料を混合し、加熱撹拌することでヘテロポリ酸含有液を調製する。前記触媒原料は、少なくともリン及びモリブデンを含むことが好ましく、バナジウム、銅、前記A元素、及び前記E元素を含むことがより好ましい。
[0020]
 各元素の原料化合物は、特に限定されず、各元素の硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、酸化物、ハロゲン化物、オキソ酸、オキソ酸塩等を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。例えばモリブデン原料としては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、塩化モリブデン等が使用できる。リン原料としては、例えば正リン酸、五酸化リン、又は、リン酸アンモニウム、リン酸セシウム等のリン酸塩が使用できる。バナジウム原料としては、例えばバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化バナジウム、塩化バナジウム等が使用できる。銅原料としては、例えば硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅等が使用できる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0021]
 また、モリブデン、リン、バナジウムの原料としては、モリブデン、リン、バナジウムのうちの少なくとも一つの元素を含むヘテロポリ酸を原料として用いてもよい。ヘテロポリ酸としては、例えばリンモリブデン酸、リンバナドモリブデン酸、ケイモリブデン酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0022]
 前記原料化合物を溶解又は懸濁する溶媒としては、水、エチルアルコール、アセトン等を用いることができる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶媒としては水が好ましい。
[0023]
 加熱撹拌時の温度は、50~120℃であることが望ましい。
[0024]
 続いて、調製されたヘテロポリ酸含有液に前記G元素の原料及びアンモニウム原料を添加し、ヘテロポリ酸(複合)塩含有液を調製する。G元素の原料及びアンモニウム原料添加時におけるヘテロポリ酸含有液の温度は、70~120℃であることが好ましい。
[0025]
 G元素は、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、セシウムを用いることがメタクリル酸収率の観点から好ましい。
[0026]
 ここで、本発明におけるアンモニウムとは、アンモニウムイオン(NH )になり得るアンモニア(NH )、及びアンモニウム塩などのアンモニウム含有化合物に含まれるアンモニウムの総称である。アンモニウム原料としては、例えばアンモニア、硝酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、バナジン酸アンモニウム等が挙げられるが、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムを用いることが好ましく、炭酸アンモニウムを用いることがより好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0027]
 調製されたヘテロポリ酸(複合)塩含有液において、リンのモル数と、モリブデンのモル数の1/12のうち小さい方の値をMp1と定義したときに、添加するG元素のモル数Mg1、及び添加するアンモニウム原料に含まれるアンモニウムのモル数Mn1が下記式(II)及び(III)を満たすことで、ピークP1を有する乾燥粉K1を得ることができる。
  1.85≦Mg1/Mp1≦2.75   (II)
  2.7≦(Mg1+Mn1)/Mp1≦6.0   (III)
[0028]
 なお、(Mg1+Mn1)/Mp1の値の下限は、2.8以上であることが好ましく、2.9以上であることがより好ましい。また上限は4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましい。
[0029]
 ヘテロポリ酸(複合)塩含有液のpHは、メタクリル酸収率の観点から0.1~4が好ましく、0.1~2がより好ましい。
[0030]
 得られたヘテロポリ酸(複合)塩含有液を乾燥することで、乾燥粉K1を調製する。この際の乾燥方法は特に限定されず、例えば蒸発乾固法、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、気流乾燥法等を用いることができるが、噴霧乾燥法が最も好適である。得られる乾燥粉K1の水分量が2wt%以下になるまで乾燥を行うことが好ましい。
[0031]
 (乾燥粉K2調製工程)
 本工程では、前記ピークP2を有する乾燥粉K2を調製する。
 乾燥粉K2を調製する方法としては、例えば、まず乾燥粉K1調製工程と同様の方法により、ヘテロポリ酸含有液を調製する。
[0032]
 続いて、調製されたヘテロポリ酸含有液に前記G元素の原料及びアンモニウム原料を添加し、ヘテロポリ酸(複合)塩含有液を調製する。G元素の原料及びアンモニウム原料添加時におけるヘテロポリ酸含有液の温度は、70~120℃であることが好ましい。
[0033]
 G元素は、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、セシウムを用いることがメタクリル酸収率の観点からが好ましい。
[0034]
 調製されたヘテロポリ酸(複合)塩含有液において、リンのモル数と、モリブデンのモル数の1/12のうち小さい方の値をMp2と定義したときに、添加するG元素のモル数Mg2、及び添加するアンモニウム原料に含まれるアンモニウムのモル数Mn2が下記式(IV)及び(V)を満たすことで、ピークP2を有する乾燥粉K2を得ることができる。
  0.15≦Mg2/Mp2<Mg1/Mp1   (IV)
  2.7≦(Mg2+Mn2)/Mp2≦6.0   (V)
 なお、(Mg2+Mn2)/Mp2の値の下限は、2.8以上であることが好ましく、2.9以上であることがより好ましい。また上限は4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましい。
[0035]
 ヘテロポリ酸(複合)塩含有液のpHは、メタクリル酸収率の観点から0.1~4が好ましく、0.1~2がより好ましい。
[0036]
 得られたヘテロポリ酸(複合)塩含有液を乾燥することで、乾燥粉K2を調製する。この際の乾燥方法は特に限定されず、例えば蒸発乾固法、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、気流乾燥法等を用いることができるが、噴霧乾燥法が最も好適である。得られる乾燥粉K2の水分量が2wt%以下になるまで乾燥を行うことが好ましい。
[0037]
 (乾燥粉混合工程)
 本工程では、前記乾燥粉K1と前記乾燥粉K2を混合し、触媒前駆体を調製する。混合方法は特に限定されないが、噴霧乾燥法を用いて乾燥粉K1及び乾燥粉K2を乾燥している場合は、単に乾燥粉K1及び乾燥粉K2を乾式混合するだけでよい。蒸発乾固法やドラム乾燥法を用いて乾燥粉K1及び乾燥粉K2を乾燥している場合には、擂潰器を用いて擂潰による混合を行うことが好ましい。
 乾燥粉K1とK2の混合比率により、前記I1/I2の値を調整することができる。下記式により算出されるK1混合比が、5~95%となるように混合することが好ましい。K1混合比の下限は10%以上、上限は94%以下がより好ましい。
  K1混合比=乾燥粉K1の質量/(乾燥粉K1の質量+乾燥粉K2の質量)×100
 なお、上述のように2種類の乾燥粉を調製し混合する方法以外にも、ヘテロポリ酸含有液へG元素の原料及びアンモニウム原料を添加する際の撹拌速度、ヘテロポリ酸含有液の温度、G元素の原料及びアンモニウム原料の添加速度を調節することにより、1工程でピークP1及びピークP2の両方を有する触媒前駆体を調製しても良い。
[0038]
 (成形工程)
 後述する熱処理工程の前に、前記乾燥粉混合工程により得られた触媒前駆体を成形してもよい。成形方法は特に制限されず、公知の乾式又は湿式の成形方法が適用できる。例えば、打錠成形、プレス成形、押出成形、造粒成形等が挙げられる。成形品の形状は特に限定されず、例えば、円柱状、リング状、球状等が挙げられる。また、成形時には触媒前駆体に担体やバインダー等を添加せず、触媒前駆体のみを成形することが好ましいが、必要に応じて例えばグラファイト、タルク等の公知の添加剤や有機物、無機物由来の公知のバインダーを添加してもよい。
[0039]
 [触媒又はメタクリル酸製造用触媒の製造方法]
 触媒を製造するには、前記乾燥粉混合工程により得られた触媒前駆体、又は前記成形工程により得られる触媒前駆体の成形物(以下、まとめて「触媒前駆体」とも示す。)を熱処理する工程(以下、「熱処理工程」とも示す。)を含むことが好ましい。
[0040]
 (熱処理工程)
 本工程では、前記触媒前駆体を熱処理して触媒を製造する。熱処理工程により、工業的使用条件下で局所発熱が少なく、かつ、反応器あたりの活性の高い触媒を得ることができる。熱処理方法や条件は特に制限されず、公知の方法及び条件を適用することができる。熱処理温度は、300~450℃であることが好ましい。熱処理温度を300℃以上にすることで、触媒中のアンモニウムが除去されて触媒活性を良好とすることができ、450℃以下とすることで、ヘテロポリ酸の熱分解を抑制し、急激な触媒活性の低下を抑制することができる。また、熱処理時間の下限は0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。また、熱処理時間の上限は、40時間以下が好ましい。
[0041]
 熱処理は、例えば空気及び不活性ガスの少なくとも一方の流通下で行うことができる。ここで、不活性ガスとは触媒活性を低下させない気体のことを示し、例えば窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を混合して使用してもよい。熱処理は、空気等の酸素含有ガス流通下で行われることが好ましい。
[0042]
 [メタクリル酸の製造方法]
 本発明に係るメタクリル酸の製造方法は、本発明に係る触媒前駆体から得られる触媒の存在下で、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する。該方法によれば、高い収率でメタクリル酸を製造することができる。
 なお、触媒を得てから一定期間経過後にメタクリル酸を製造してもよい。また触媒の製造場所とメタクリル酸の製造場所は異なっていてもよい。
[0043]
 具体的には、メタクロレイン及び分子状酸素を含む原料ガスと、本発明に係る触媒とを接触させることでメタクリル酸を製造することができる。この反応は固定床で行うことが好ましい。
[0044]
 触媒はそのまま無希釈で使用しても、不活性担体で希釈して使用しても良く、無希釈層と希釈層とを積層し複数層を形成して使用しても良い。
[0045]
 原料ガス中のメタクロレインの濃度は特に限定されないが、1~20容量%が好ましく、下限は3容量%以上、上限は10容量%以下がより好ましい。メタクロレインは、低級飽和アルデヒド等の本反応に実質的な影響を与えない不純物を少量含んでいてもよい。原料ガス中のメタクロレインと分子状酸素とのモル比は、メタクロレイン1.0モルに対して0.5~4.0モルが好ましく、下限は1.0モル以上、上限は3.0モル以下がより好ましい。分子状酸素源としては空気を用いるのが経済的であるが、必要であれば、純酸素で富化した空気も用いることができる。
[0046]
 原料ガスは、メタクロレイン及び分子状酸素を、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスにより希釈してもよい。また、前記原料ガスは水蒸気を含んでもよい。水蒸気の存在下で反応を行うことにより、メタクリル酸をより高い選択率で得ることができる。原料ガス中の水蒸気の濃度は、0.1~50.0容量%が好ましく、1.0~40.0容量%がより好ましい。原料ガスと触媒との接触時間は、1.5~15.0秒が好ましく、下限は2.0秒以上、上限は5.0秒以下がより好ましい。反応圧力は大気圧~数百kPa(G)までの範囲内で設定されることができる。ただし、(G)はゲージ圧であることを意味する。反応温度は200℃~450℃が好ましく、下限は250℃以上、上限は400℃以下がより好ましい。
[0047]
 [メタクリル酸エステルの製造方法]
 本発明に係るメタクリル酸エステルの製造方法は、本発明に係る方法により得られるメタクリル酸のエステル化により行うことができる。該方法によれば、メタクロレインの気相接触酸化により得られるメタクリル酸を用いて、メタクリル酸エステルを得ることができる。メタクリル酸と反応させるアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。得られるメタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。反応は、スルホン酸型カチオン交換樹脂等の酸性触媒の存在下で行うことができる。反応温度は50~200℃が好ましい。
実施例
[0048]
 以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例において、「部」は質量部を意味する。X線回折は、X線構造解析装置(商品名:X‘Pert PRO MPD、PANalytical社製)にて測定した。原料ガス及び生成物の分析は、ガスクロマトグラフィーを用いて行った。ガスクロマトグラフィーの結果から、メタクロレインの転化率、生成するメタクリル酸の選択率及びメタクリル酸の収率は下記式にて求めた。
  メタクロレイン転化率(%)=(B/A)×100
  メタクリル酸選択率(%)=(C/B)×100
  メタクリル酸収率(%)=(C/A)×100
 式中、Aは供給したメタクロレインのモル数、Bは反応したメタクロレインのモル数、Cは生成したメタクリル酸のモル数を示す。
[0049]
 [実施例1]
 純水600部に、三酸化モリブデン100部、85質量%リン酸6.67部、メタバナジン酸アンモニウム3.36部、硝酸第二銅2.10部を溶解した。これを撹拌しながら昇温し、100℃の還流下で5時間攪拌した。降温し液温を80℃に保ちつつ、純水200部に溶解した重炭酸セシウム24.14部を添加して15分間撹拌し、続いて純水200部に溶解した重炭酸アンモニウム3.84部を添加した。得られたヘテロポリ酸(複合)塩含有液を、出口温度250℃で噴霧乾燥を行い、さらに130℃で16時間乾燥して乾燥粉K1aを得た。一方、純水600部に、三酸化モリブデン100部、85質量%リン酸6.67部、メタバナジン酸アンモニウム3.36部、硝酸第二銅2.10部を溶解した。これを撹拌しながら昇温し、100℃の還流下で5時間攪拌した。降温し液温を80℃に保ちつつ、純水200部に溶解した重炭酸セシウム4.04部を添加して15分間撹拌し、続いて純水200部に溶解した重炭酸アンモニウム11.93部を添加した。得られたヘテロポリ酸(複合)塩含有液を、出口温度250℃で噴霧乾燥を行い、さらに130℃で16時間乾燥して乾燥粉K2aを得た。次に、乾燥粉K1aを90部に対し、乾燥粉K2aを10部の割合で混合し、触媒前駆体を得た。該触媒前駆体について、対陰極Cu-Kα線を用いたX線回折パターン測定を行った結果、表1に示すピークが確認された。
[0050]
 該触媒前駆体を、打錠成形機により成形し、内径3cmの円筒状石英ガラス製焼成容器に入れた。空気流通下、10℃/hで昇温し、380℃にて2時間熱処理して触媒を調製した。該触媒の水素、窒素、酸素を除く組成は、P Mo 120.5Cu 0.15Cs 1.97であった。なお、該元素組成のモル比は、触媒前駆体をアンモニア水に溶解した成分をICP発光分析法で分析することによって算出した。
[0051]
 該触媒を反応管に充填し、メタクロレイン5容量%、酸素10容量%、水蒸気30容量%及び窒素55容量%からなる原料ガスを通じて、反応温度290℃、反応圧力256kPa、接触時間:3.6秒で反応を行った。結果を表1に示す。
[0052]
 [実施例2]
 純水600部に、三酸化モリブデン100部、85質量%リン酸6.67部、メタバナジン酸アンモニウム3.36部、硝酸第二銅2.10部を溶解した。これを撹拌しながら昇温し、100℃の還流下で5時間攪拌した。降温し液温を80℃に保ちつつ、純水200部に溶解した重炭酸セシウム30.10部を添加して15分間撹拌し、続いて純水200部に溶解した重炭酸アンモニウム1.45部を添加した。得られたヘテロポリ酸(複合)塩含有液を、出口温度250℃で噴霧乾燥を行い、さらに130℃で16時間乾燥して乾燥粉K1bを得た。一方、純水600部に、三酸化モリブデン100部、85質量%リン酸6.67部、メタバナジン酸アンモニウム3.36部、硝酸第二銅2.10部を溶解した。これを撹拌しながら昇温し、100℃の還流下で5時間攪拌した。降温し液温を80℃に80℃に保ちつつ、純水200部に溶解した重炭酸セシウム3.14部を添加して15分間撹拌し、続いて純水200部に溶解した重炭酸アンモニウム12.29部を添加した。得られたヘテロポリ酸(複合)塩含有液を、出口温度250℃で噴霧乾燥を行い、さらに130℃で16時間乾燥して乾燥粉K2bを得た。
[0053]
 次に、乾燥粉K1bを70部に対し、乾燥粉K2bを30部の割合で混合し、触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体の水素、窒素、酸素を除く組成は、P Mo 120.5Cu 0.15Cs 1.96であった。該触媒前駆体について、対陰極Cu-Kα線を用いたX線回折パターン測定を行った結果、表1に示すピークが確認された。
[0054]
 該触媒前駆体を実施例1と同様の方法により成形し熱処理して、触媒を調製した。
 該触媒を用いて、実施例1と同様の方法によりメタクリル酸の製造を行った。結果を表1に示す。
[0055]
 [実施例3]
 純水600部に、三酸化モリブデン100部、85質量%リン酸6.67部、メタバナジン酸アンモニウム3.36部、硝酸第二銅2.10部を溶解した。これを撹拌しながら昇温し、100℃の還流下で5時間攪拌した。降温し液温を80℃に保ちつつ、純水200部に溶解した重炭酸セシウム21.56部を添加して15分間撹拌し、続いて純水200部に溶解した重炭酸アンモニウム4.88部を添加した。得られたヘテロポリ酸(複合)塩含有液を、出口温度250℃で噴霧乾燥を行い、さらに130℃で16時間乾燥して乾燥粉K1cを得た。一方、純水600部に、三酸化モリブデン100部、85質量%リン酸6.67部、メタバナジン酸アンモニウム3.36部、硝酸第二銅2.10部を溶解した。これを撹拌しながら昇温し、100℃の還流下で5時間攪拌した。降温し液温を80℃に80℃に保ちつつ、純水200部に溶解した重炭酸セシウム5.62部を添加して15分間撹拌し、続いて純水200部に溶解した重炭酸アンモニウム11.30部を添加した。得られたヘテロポリ酸(複合)塩含有液を、出口温度250℃で噴霧乾燥を行い、さらに130℃で16時間乾燥して乾燥粉K2cを得た。
[0056]
 次に、乾燥粉K1cを80部に対し、乾燥粉K2cを20部の割合で混合し、触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体の水素、窒素、酸素を除く組成は、P Mo 120.5Cu 0.15Cs 1.64であった。該触媒前駆体について、対陰極Cu-Kα線を用いたX線回折パターン測定を行った結果、表1に示すピークが確認された。
[0057]
 該触媒前駆体を実施例1と同様の方法により成形し熱処理して、触媒を調製した。
 該触媒を用いて、実施例1と同様の方法によりメタクリル酸の製造を行った。結果を表1に示す。
[0058]
 [実施例4]
 実施例1と同様の方法により乾燥粉K1a及び乾燥粉K2aを得た。次に、乾燥粉K1aを94部に対し、乾燥粉K2aを6部の割合で混合し、触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体の水素、窒素、酸素を除く組成は、P Mo 120.5Cu 0.15Cs 2.04であった。該触媒前駆体について、対陰極Cu-Kα線を用いたX線回折パターン測定を行った結果、表1に示すピークが確認された。
[0059]
 該触媒前駆体を実施例1と同様の方法により成形し熱処理して、触媒を調製した。
 該触媒を用いて、実施例1と同様の方法によりメタクリル酸の製造を行った。結果を表1に示す。
[0060]
 [実施例5]
 実施例1と同様の方法により乾燥粉K1a及び乾燥粉K2aを得た。次に、乾燥粉K1aを97部に対し、乾燥粉K2aを3部の割合で混合し、触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体の水素、窒素、酸素を除く組成は、P Mo 120.5Cu 0.15Cs 2.10であった。該触媒前駆体について、対陰極Cu-Kα線を用いたX線回折パターン測定を行った結果、表1に示すピークが確認された。
[0061]
 該触媒前駆体を実施例1と同様の方法により成形し熱処理して、触媒を調製した。
 該触媒を用いて、実施例1と同様の方法によりメタクリル酸の製造を行った。結果を表1に示す。
[0062]
 [実施例6]
 実施例1と同様の方法により乾燥粉K1a及び乾燥粉K2aを得た。次に、乾燥粉K1aを10部に対し、乾燥粉K2aを90部の割合で混合し、触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体の水素、窒素、酸素を除く組成は、P Mo 120.5Cu 0.15Cs 0.54であった。該触媒前駆体について、対陰極Cu-Kα線を用いたX線回折パターン測定を行った結果、表1に示すピークが確認された。
[0063]
 該触媒前駆体を実施例1と同様の方法により成形し熱処理して、触媒を調製した。
 該触媒を用いて、実施例1と同様の方法によりメタクリル酸の製造を行った。結果を表1に示す。
[0064]
 [比較例1]
 実施例1と同様の方法により乾燥粉K1aを得て、触媒前駆体とした。該触媒前駆体の水素、窒素、酸素を除く組成は、P Mo 120.5Cu 0.15Cs 2.15であった。該触媒前駆体について、対陰極Cu-Kα線を用いたX線回折パターン測定を行った結果、表1に示すピークが確認された。
[0065]
 該触媒前駆体を実施例1と同様の方法により成形し熱処理して、触媒を調製した。
 該触媒を用いて、実施例1と同様の方法によりメタクリル酸の製造を行った。結果を表1に示す。
[0066]
 [比較例2]
 実施例1と同様の方法により乾燥粉K2aを得て、触媒前駆体とした。該触媒前駆体の水素、窒素、酸素を除く組成は、P Mo 120.5Cu 0.15Cs 0.36であった。該触媒前駆体について、対陰極Cu-Kα線を用いたX線回折パターン測定を行った結果、表1に示すピークが確認された。
[0067]
 該触媒前駆体を実施例1と同様の方法により成形し熱処理して、触媒を調製した。
 該触媒を用いて、実施例1と同様の方法によりメタクリル酸の製造を行った。結果を表1に示す。
[0068]
 [比較例3]
 実施例1と同様の方法により乾燥粉K1aを得た。一方、純水600部に、三酸化モリブデン100部、85質量%リン酸6.67部、メタバナジン酸アンモニウム3.36部、硝酸第二銅2.10部を溶解した。これを撹拌しながら昇温し、100℃の還流下で5時間攪拌した。降温し液温を80℃に80℃に保ちつつ、純水200部に溶解した重炭酸セシウム1.46部を添加して15分間撹拌し、続いて純水200部に溶解した重炭酸アンモニウム12.97部を添加した。得られたヘテロポリ酸塩含有液を、出口温度250℃で噴霧乾燥を行い、さらに130℃で16時間乾燥して乾燥粉K2eを得た。
[0069]
 次に、乾燥粉K1aを90部に対し、乾燥粉K2eを10部の割合で混合し、触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体の水素、窒素、酸素を除く組成は、P Mo 120.5Cu 0.15Cs 1.95であった。該触媒前駆体について、対陰極Cu-Kα線を用いたX線回折パターン測定を行った結果、表1に示すピークが確認された。
[0070]
 該触媒前駆体を実施例1と同様の方法により成形し熱処理して、触媒を調製した。
 該触媒を用いて、実施例1と同様の方法によりメタクリル酸の製造を行った。結果を表1に示す。
[0071]
[表1]


[0072]
 表1に示すように、ピークP1及びP2が本発明の規定範囲である実施例1~6により得られた触媒前駆体を熱処理したものを触媒として使用した結果、メタクリル酸収率が高いものとなった。その中でも、I1/I2の値が0.05~0.92の範囲内である実施例1~4及び6において特に高いメタクリル酸収率を示しており、I1/I2の値に最適な範囲があることが分かった。
 一方、比較例1により得られる触媒前駆体のX線回折パターンにはピークP2が、比較例2により得られる触媒前駆体のX線回折パターンにはピークP1が現れず、また比較例3により得られる触媒前駆体はピークP2の2θが規定範囲外である。このような触媒前駆体を熱処理したものを触媒として使用した結果、いずれも実施例と比較してメタクリル酸収率が低いものとなった。

請求の範囲

[請求項1]
 ヘテロポリ酸塩を含む触媒前駆体であって、対陰極Cu-Kα線を用いたX線回折パターンにおいて、2θが26.16°±0.06°であるピークP1と、2θがピークP1よりも高角側にあり26.44°以下にあるピークP2とを有する触媒前駆体。
[請求項2]
 前記ピークP2の高さI2に対する前記ピークP1の高さI1の比(I1/I2)が、0.05~0.92である、請求項1に記載の触媒前駆体。
[請求項3]
 触媒の前駆体であって、前記触媒が、分子状酸素を用いてメタクロレイン及びアクロレインからなる群より選択される少なくとも1種を気相接触酸化して、メタクリル酸及びアクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種を製造する際に用いられる、請求項1又は2に記載の触媒前駆体。
[請求項4]
 下記式(I)で表される組成を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の触媒前駆体。
  P Mo Cu    (I)
 (式(I)中、P、Mo、V、Cu及びOは、それぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅及び酸素を示す元素記号である。Aはアンチモン、ビスマス、砒素、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステン及びホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Eは鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、タンタル、コバルト、ニッケル、マンガン、バリウム、チタン、スズ、鉛、ニオブ、インジウム、硫黄、パラジウム、ガリウム、セリウム及びランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Gはカリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。a、b、c、d、e、f、g及びhは各元素の原子比率を示し、b=12の時a=0.5~3、c=0.01~3、d=0.01~2、e=0~3、f=0~3、g=0.01~3であり、hは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。)
[請求項5]
 請求項1~4のいずれか1項に記載の触媒前駆体を熱処理する工程を含む、触媒の製造方法。
[請求項6]
 前記熱処理工程における熱処理温度が300~450℃である、請求項5に記載の触媒の製造方法。
[請求項7]
 メタクリル酸及びアクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種を製造する方法であって、
(1)請求項5又は6に記載の方法により触媒を製造する工程、及び
(2)前記触媒の存在下で分子状酸素を用いて、メタクロレイン及びアクロレインからなる群より選択される少なくとも1種を気相接触酸化して、メタクリル酸及びアクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種を製造する工程、
を含む、方法。
[請求項8]
 メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を製造する方法であって、
(1)請求項5又は6に記載の方法により触媒を製造する工程、
(2)前記触媒の存在下で分子状酸素を用いて、メタクロレイン及びアクロレインからなる群より選択される少なくとも1種を気相接触酸化して、メタクリル酸及びアクリル酸からなる郡より選択される少なくとも1種を製造する工程、及び
(3)前記メタクリル酸及び前記アクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種をエステル化する工程、
を、含む方法。