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1. (WO2019026555) ELECTROMAGNETIC WAVE SUPPRESSION SHEET
Document

明 細 書

発明の名称 電磁波抑制シート

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007  

発明の効果

0008   0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030  

実施例

0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : 電磁波抑制シート

技術分野

[0001]
 本発明は、電磁波抑制シートに関する。

背景技術

[0002]
 従来、携帯機器やデジタルカメラ等に使用される電磁波抑制シートとして、透磁性を有する金属磁性粉を有機系の結合材と混練し、例えばロールで圧延してシート状としたものがある。有機系の結合材としては、アクリルゴム、ウレタンゴム、塩素化ポリエチレン、EPDM等のエラストマー・ゴムや、ポリエチレン、アクリル、ナイロン等の樹脂を使用することができるが、難燃性や成形性、および高充填性の面から、塩素化ポリエチレンが多く使用されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2005-183864号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかし、結合材として塩素化ポリエチレンを使用した電磁波抑制シートにおいては、高温環境下で連続使用すると塩素化ポリエチレンと金属磁性粉とが反応し、ガスを発生することがある。このようにガスが発生するとシートが膨らみ、シートが配されている電子機器の筐体や筐体内部の基板等を圧迫して機器を故障させてしまう虞がある。
[0005]
 本発明は、高温環境下で使用した場合でも膨らみが生じ難く、かつ、電磁波抑制効果にも優れる電磁波抑制シートを得ることを目的とするものである。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明は、(A)塩素化ポリエチレン100重量部と、(B)表面に酸化被膜が形成された金属磁性粉400~600重量部と、(C)キレート剤1~15重量部と、を含有している電磁波抑制シートである。
[0007]
 上記(B)金属磁性粉の酸素含有量は0.4~1.1重量%であることが好ましく、さらに、老化防止剤を1~10重量部含んでいることが好ましい。

発明の効果

[0008]
 本発明によれば、高温環境下で使用した場合でも膨らみが生じ難く、かつ、電磁波抑制効果にも優れる電磁波抑制シートが得られる。
[0009]
 本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。

図面の簡単な説明

[0010]
 添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
[図1] 引張強度の変化を表すグラフ

発明を実施するための形態

[0011]
 以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、塩素化ポリエチレンに金属磁性粉を混練してシート状にする電磁波抑制シートにおいて、使用する金属磁性粉に酸化被膜を設けるとともにキレート剤を添加したものが、長時間高温環境下に晒した場合でも膨らみを生じ難く、なおかつ、透磁性にも優れることを見出したことに基づく。
[0012]
 その原理を推察すると、従来の電磁波抑制シートを高温環境下で使用した場合に膨らみが生じる原因は、塩素化ポリエチレンと金属磁性粉とが反応し、ガスが発生するためだと考えられる。
[0013]
 そこで、金属磁性粉が塩素化ポリエチレンと反応するのを阻害するために、金属磁性粉を酸化被膜で覆うこととする。酸化被膜により金属のイオン化が抑制され、もって、高温環境下において金属磁性粉と塩素化ポリエチレンとが反応してガスが発生することが抑制されると推測される。
[0014]
 ところで、酸化被膜の厚さが薄い場合、金属磁性粉と塩素化ポリエチレンとの反応の阻害を十分に行うことができず、一方、厚さが厚くなり過ぎると、シートの透磁率が下がるという問題がある。すなわち、酸化被膜の厚さを調整するだけでは、シートの膨らみと透磁率の双方に対して十分な効果を得ることが困難であった。
[0015]
 そこで本願発明では、さらにキレート剤を添加する構成とした。酸化被膜の厚さが十分でなく、金属イオンが発生した場合でも、キレート剤が金属錯体を形成するから、これにより塩素化ポリエチレンの反応が抑制され、その結果、ガスの発生を抑制することができると推測される。
[0016]
 ところで、キレート剤だけで金属磁性粉と塩素化ポリエチレンとの反応の抑制効果を得るためには、キレート剤を金属磁性粉と相当量添加しなければならない。しかしそのようにした場合には、シート全体中の金属磁性粉の配合割合が低下するため、透磁率が低下するという問題が生じる。
[0017]
 このような問題に対し、本発明によれば、金属磁性粉の表面に酸化被膜を設けるとともに、キレート剤を併用することにより、高温環境下においてガスの発生を抑制しつつ、高い透磁率を維持することができる電磁波抑制シートが得られる。
[0018]
 金属磁性粉の添加量は、塩素化ポリエチレン100重量部に対して400~600重量部の範囲内とすることが好ましい。この配合割合で金属磁性粉を添加することにより、耐熱性に優れ、かつ、膨らみが生じ難い電磁波抑制シートを得ることができる。
[0019]
 具体的には、金属磁性粉が400重量部以上で、所期の透磁率を得ることかできる。なお、本発明において所期の透磁率とは、75以上を指す。一方、金属磁性粉が600重量部以下で、完成品をシート形状とし得る。
[0020]
 また、キレート剤の添加量は、塩素化ポリエチレン100重量部に対して1~15重量部の範囲内とすることが好ましい。この配合割合でキレート剤を添加することにより、耐熱性に優れ、かつ、膨らみが生じ難い電磁波抑制シートを得ることができる。
[0021]
 具体的には、キレート剤が1重量部以上で膨らみが生じず、従って金属磁性粉と塩素化ポリエチレンとの反応が抑制される。一方、キレート剤が15重量部以下で、完成品をシート形状とし得る。
[0022]
 更にキレート剤を上述の1~15重量部の範囲とすることで、塩素化ポリエチレンの劣化を防止し、これにより本発明に係る電磁波抑制シートの柔軟性を長期間に亘って保持し得る効果も奏する。
[0023]
 酸化被膜の厚さは、金属磁性粉中の酸素含有量により評価する。金属磁性粉の酸素含有量は、0.4~1.1重量%であることが好ましい。
[0024]
 具体的には、酸素含有量が0.4重量%以上で、金属磁性粉と塩素化ポリエチレンとの反応が抑制される。一方、酸素含有量が1.1重量%以下で、所期の透磁率を得ることができる。なお、数字が大きいほど、酸化被膜の膜厚が厚いことを示す。
[0025]
 また金属磁性粉としては、Fe-Si-Al合金(センダスト)、Fe-Cr-Al合金、Fe-Si合金、Fe-Ni合金(パーマロイ)等、透磁率の高いものを選択することができる。
[0026]
 また、酸化被膜は、金属磁性粉を酸素存在雰囲気下でその焼結温度に至らない温度で加熱することにより形成することができる。その膜厚は、加熱温度と時間を管理することにより調整可能である。この加熱は、従来公知の方法を用いることで達成され、加熱温度、加熱時間は、当該方法によって、得るべき膜厚によって、適宜設定される。
[0027]
 この設定による酸化皮膜は、金属磁性粉表面から形成され、順次表面側から厚くなる(酸化される)ため、「膜厚=(金属磁性粉の)重量%」と一意的に示すことが可能となっている。また、両者の関係は正の比例関係となることから、酸化皮膜の膜厚を(金属磁性粉の)重量%で示すこととした。
[0028]
 さらに、キレート剤としてはリン系のものを使用することが好ましい。
[0029]
 またさらに、老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、リン系、フェノール系、アミン系、イオウ系、イミダゾール系等が挙げられるが、この中でもリン系老化防止剤を使用することが好ましい。リン系老化防止剤としては、亜リン酸系としてトリス(ノリルフェニル)ホスファイトが挙げられる。なお老化防止剤は、複数種を混合して使用することもできる。老化防止剤は、塩素化ポリエチレン100重量部に対して1~10重量部の範囲内で添加することが好ましい。
[0030]
 またさらに、その他添加剤として、難燃剤や安定剤等を加えてもよい。
実施例
[0031]
 不活性ガスによりアトマイジングするとともに扁平化処理したD50(50%累積頻度):33~55μmのセンダスト(Fe-Si-Al合金)を、酸素存在雰囲気中において約600度の温度で1時間、2時間、4時間、5時間加熱処理(脱脂処理を含む)し、表面に厚みが異なる酸化被膜が形成された4種の金属磁性粉を得た。これらの金属磁性粉をそれぞれ下記の配合割合で結合材その他と混練し、その混合物を厚さ0.5mmのシート状に成形した電磁波抑制シートを作製した(比較例1~4)。
[0032]
 塩素化ポリエチレン 100重量部
 金属磁性粉 500重量部
 リン系老化防止剤 1~10重量部
[0033]
 得られた4種のシートから外径18×内径6(mm)のリング状に測定用のサンプルを切り出し、各サンプルの1MHzにおける透磁率をAgilent Technologies社製のインピーダンスアナライザーE4991A磁性材料フィクスチャ(型番:16454A)を用いて測定した。その後、105度の高温雰囲気中で耐熱試験を行い、試験前後の各サンプルの厚みの変化率を調べた。
[0034]
 測定結果を表1に示す。
[表1]


[0035]
 上記表1に示す酸素含有量(重量%)は、加熱処理した各金属磁性粉(酸化被膜が形成された金属磁性粉)についての測定値であり、透磁率は、作製した耐熱試験前の電磁波抑制シートについての測定値である。
[0036]
 なお酸素含有量は、不活性ガス溶解-非分散型赤外線吸収法(EMGA-920:堀場製作所株式会社製)にて測定した。
[0037]
 表1からわかるように、酸素含有量が夫々0.4重量%、0.7重量%の金属磁性粉を含む比較例1、比較例2については、何れも透磁率は75と高かったものの、耐熱試験前後の厚みの変化率が、比較例1では160時間で+9.2%、比較例2では64時間で+26.4%と、非常に大きかった。
 なお、本願発明においては、酸素含有量(酸化皮膜の厚さ)が大きくなれば、耐熱性を示す試験前後の厚みの変化率は小さくなるが(後述の表3参照)、キレート剤が1重量部未満であって、酸素含有量が0.7重量%程度を下回る場合、酸素含有量(酸化皮膜の厚さ)が大きくなる程、耐熱性を示す試験前後の厚みの変化率とは小さくなる傾向があることが確認された。
[0038]
 一方、酸素含有量が1.2重量%、1.5重量%の金属磁性粉を夫々含む比較例3、比較例4については、透磁率は夫々65、60と低かったものの、1000時間の耐熱試験でもシートの厚みの変化率が夫々+1.0%、+0.6%と非常に低く、耐熱性に優れていることが確認できた。
[0039]
 この実験から、酸化被膜が比較的厚い場合には、透磁率は低くなるものの、金属磁性粉と塩素化ポリエチレンとの反応が抑制され、ガスの発生を抑制することができたため、長時間高温環境下に晒された場合でも厚みの変化率を低く抑えることができる、すなわち耐熱性に優れていると推察することができる。
[0040]
 次に、同じく不活性ガスによりアトマイジングしたD50(50%累積頻度):32~52μmのセンダスト(Fe-Si-Al合金)を酸素存在雰囲気中において約600度の温度で3.5時間加熱処理(脱脂処理を含む)した金属磁性粉を、上記比較例1ないし4と同様に、塩素化ポリエチレンおよびリン系老化防止剤とともに混練するとともに、さらに、リン系キレート剤を下記の配合割合で添加、混練し、その混合物をシート状に成形した電磁波抑制シートを作製した(実施例1)。
[0041]
 塩素化ポリエチレン 100重量部
 金属磁性粉 500重量部
 リン系老化防止剤 1~10重量部
 リン系キレート剤 12重量部
[0042]
 作製したシートの透磁率を測定し、その後、105度の高温雰囲気中で1000時間耐熱試験を行った。また、酸化処理を行っていない従来の金属磁性粉(不活性ガスによりアトマイジングしたD50(50%累積頻度):33~55μmのセンダスト(Fe-Si-Al合金))を含み、かつ、キレート剤を含んでいない従来品のサンプル(比較例5)を作製し、透磁率を測定するとともに、同様の耐熱試験を行った。さらに、実施例1および比較例5のサンプルについて、引張強度の測定を行った。
[0043]
 測定結果を表2および図1に示す。
[表2]


[0044]
 表2に示すように、金属磁性粉に酸化被膜を設けるとともに、キレート剤を配合した実施例1のものは、比較例5(従来品)と同等の透磁率が確保できている。一方、耐熱試験1000時間後のシートの厚みの変化率は、比較例5(従来品)の+32%に対し、+4.2%と大幅に低減させることができた。
[0045]
 さらに引張強度については、図1に示すように、実施例1のものは、耐熱試験開始後1000時間では比較例5(従来品)とあまり差がなかったが、その途中の特に400時間から1000時間の間においては、比較例5が急激に高くなるのに対し、緩やかに上昇しており、長時間にわたって柔軟性を確保できることが確認できた。
[0046]
 この表2に示す比較例5に係る引張強度は、ピークに達するまではサンプルの劣化によって柔軟性が損なわれて硬度が増すために増加し、その後は劣化によって脆くなるために減少している。すなわち、100時間経過後において、実施例1の引張強度と比較例5の引張強度とは、数値的に同じであっても、その性状は全く異なり、比較例5に係るサンプルは形状を保持し得ない状態となっている。
[0047]
 次に、同じく不活性ガスによりアトマイジングしたD50(50%累積頻度):33~55μmのセンダスト(Fe-Si-Al合金)を酸素存在雰囲気中において約600度の温度で、2時間加熱処理(脱脂処理を含む)した所定量の金属磁性粉を、上記各比較例1ないし4と同様に、塩素化ポリエチレンおよびリン系老化防止剤とともに混練するとともに、さらに、所定量のリン系キレート剤を表3の配合割合で添加、混練し、その混合物をシート状に成形した電磁波抑制シートを作製した(実施例2~7、比較例6~19)。
[0048]
 塩素化ポリエチレン 100重量部
 金属磁性粉 350~650重量部
 リン系老化防止剤 1~10重量部
 リン系キレート剤 0.8~15.5重量部
[0049]
 作製したシートの透磁率を測定し、その後、105度の高温雰囲気中で1000時間耐熱試験を行った結果を表3に併記する。
[0050]
[表3]


[0051]
 表3に示すように、塩素化ポリエチレン100重量部に対し、酸化被膜を設けた金属磁性粉を400または600重量部の割合で配合するとともに、キレート剤を1~15重量部の割合で配合した実施例2ないし7は、75MHzと高い透磁率が確保できている。また、これらの実施例2ないし7の耐熱試験1000時間後のシートの厚みの変化率は、比較例5(従来品)の+32%に対し、+0.6~+4.8%と大幅に低減させることができた。
[0052]
 なお、金属磁性粉の配合割合が350重量部と少なめな比較例6、10、12、14は、透磁率60MHzと、実施例2ないし7より明らかに低かった。また、キレート剤の配合割合が0.8重量部と少なかった比較例6ないし8では、耐熱試験前後の厚みの変化率が+9.5~+30.5%と大きくなってしまった。さらに、金属磁性粉の配合割合が650重量部と多い比較例9、11、13、15、19や、キレート剤が15.5重量部と多い比較例16ないし19では、そもそもシート状への成形が不可能であった。
[0053]
 以上の実験結果より、塩素化ポリエチレン100重量部に対し、酸化被膜付き金属磁性粉は400~600重量部、キレート剤は1~15重量部の割合で含まれていることが好ましいことがわかる。
[0054]
 本発明の電磁波抑制シートによれば、耐熱性および透磁性の双方に優れる電磁波抑制シートを得ることができた。このような本発明の電磁波抑制シートは、携帯電話やデジタルカメラなどの電子機器に使用することができる。
[0055]
 本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。

請求の範囲

[請求項1]
  (A)塩素化ポリエチレン100重量部と、
  (B)表面に酸化被膜が形成された金属磁性粉400~600重量部と、
  (C)キレート剤1~15重量部と、
 を含有している電磁波抑制シート。
[請求項2]
前記金属磁性粉の酸素含有量が0.4~1.1重量%である請求項1に記載の電磁波抑制シート。
[請求項3]
さらに老化防止剤を1~10重量部含んでいる請求項2に記載の電磁波抑制シート。

図面

[ 図 1]