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1. (WO2019026321) RAIL TRANSPORTATION SYSTEM AND RAIL TRANSPORTATION SYSTEM OPERATING METHOD
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明 細 書

発明の名称 軌道輸送システム、軌道輸送システムの運行方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051  

実施例 1

0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081  

符号の説明

0082  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 軌道輸送システム、軌道輸送システムの運行方法

技術分野

[0001]
 本発明は、軌道上を走行する軌道輸送システムに関する。

背景技術

[0002]
 軌道上を輸送用車両が走行する軌道輸送システムでは、軌道上に障害物があった場合、操舵による回避が出来ない。そのため、障害物を検知することは輸送システムの安全性や運用性を向上させるために重要である。運転士が運転する有人運転システムでは、軌道上および経路上の大部分は運転士の目視によって障害物を検知している。一方、自動運転を採用する無人運転システムでは、専用軌道で他の交通を遮断し障害物の侵入を防ぐことにより安全性や運用性を確保している。
[0003]
 また特許文献1には、線路上の障害物を排除する技術として、軌道上を走行する輸送用車両の前方を所定の車間距離を保って排障車を走行させ、走行路上の障害物を排除する軌道輸送システムが開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開平5-338538号公報
特許文献2 : 特開2016-46998号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 専用軌道を採用するには費用や場所等の制約が大きい。有人運転システムでも、より安全性や運用性の向上が望まれる場合がある。また、特許文献1の排障車は障害物との衝突が前提のシステムであり、障害物が排除できなかった場合には運行の大幅遅延が起きうる。
[0006]
 特許文献2は、軌道沿いに敷設したセンサーで軌道上の障害物の有無を監視し、軌道を走行する車両に障害物の情報を伝え、車両が障害物の有る地点の手前で減速することによって、車両と障害物との衝突を未然に防ぐ方法を開示している。
[0007]
 この方法は、見通しの悪い区間の障害物の発見が遅れる問題を解消するが、センサーの検知能力が低下するような環境条件(大雨など)や、障害物の特徴(位置、大きさ、材質など)に起因して障害物を検知できずに見逃したとき、軌道を走行する車両と障害物との衝突を免れない。
[0008]
 本発明は上記課題に対応すべく、安全性や運用性を向上させた軌道輸送システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記課題を解決するために、本発明の軌道輸送システムは、乗客を輸送する輸送用車両と、前記輸送用車両に先行して走る安全確認用車両と、前記輸送用車両と前記安全確認用車両との間で進行許可信号を通信可能につなぐ通信手段を備え、前記輸送用車両は制動手段を備え、前記制動手段は、前記輸送用車両がタイムアウト時間を超えても前記進行許可信号を受信しない場合に作動する。

発明の効果

[0010]
 本発明によれば、安全性や運用性を向上させた軌道輸送システムを提供できる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 本発明の比較例における軌道輸送システムの構成を示す図である。
[図2] 本発明の比較例における障害物検知車両の動作を示すフローチャートである。
[図3] 本発明の比較例における輸送用車両の動作を示すフローチャートである。
[図4] 本発明の比較例における接触や衝突に対応するセンサーの説明図である。
[図5] 本発明の一実施例における軌道輸送システムの構成を示す図である。
[図6] 本発明の一実施例における障害物検知車両の動作を示すフローチャートである。
[図7] 本発明の一実施例における輸送用車両の動作を示すフローチャートである。

発明を実施するための形態

[0012]
 利用者数の減少等により運営コスト低減が求められており、軌道輸送システムの無人運転化のニーズは高い。しかし、既存の無人運転システムは、専用軌道を利用したものに限られる。専用軌道は高架化や地下化といったインフラにより他の交通の進入を遮断した専用軌道を利用したものであり、導入コストが非常に高い。既存の開放軌道を専用軌道に変更する場合には、用地や工事等、さらなる制約を考慮する必要がある。
[0013]
 これに対し発明者らは、開放軌道での無人運転システムを実現するための新しいアイデアを創出した。すなわち、乗客を輸送する輸送用車両とは別に、障害物検知機能を持ったセンサーを有するユニット(障害物検知車両)を走らせるアイデアである。後述する比較例や実施例では、障害物検知のためのユニットを乗客用車両よりも先に走らせる運行により、無人運転を実現する例を説明する。この例によれば、万が一軌道上に障害物が存在したとしても、早期に検知し車両を停止させることができるため、安全性や運用性を向上させた軌道輸送システムを提供できる。障害物検知車両が無人運転機能を有すれば、運転士を増やすことなく本システムを導入できる。さらに輸送用車両が無人運転機能を有すれば、運転士がいなくとも列車を運行できる。そうすると、一列車の編成を減らす代わりに列車の本数を増やす等、運用の自由度が高まることとなる。
[0014]
 なお特許文献1には、線路上の障害物を排除する技術(段落0002)として、軌道上を走行する輸送用車両の前方を所定の車間距離を保って排障車を走行させ、走行路上の障害物を排除する軌道輸送システム(段落0001)が開示されている。この特許文献1の排障車は、例えば段落0012に「小さい障害物であれば排障車によって排除され、また、排障車が排除不可能な障害物に衝突して走行不可能となった場合でも、輸送用車両を安全に停止することができる」とあるように、衝突により障害物を排除することが前提のシステムである。万が一障害物が排除できなかった場合には、運行の大幅遅延が起きうる。この排障車は、後続の輸送用車両の先頭用車両の先頭形状を空気力学的に抵抗の小さい理想的な形状にするとともに車両重量を低減してペイロードを増加するために自動運転装置が搭載されている。障害物を検知する機能については開示されていない。
[0015]
 これに対し比較例や実施例の軌道輸送システムは、障害物検知機能を持つユニットが早期に障害物を検知することにより、ユニット、輸送用車両ともに衝突が起きる前に停止させることを前提としたシステムである。これにより、ユニット、輸送用車両、障害物のどの安全性も高いものとすることができる。また、障害物検知機能を先行走行するユニットに持たせることで、輸送用車両自体に高い検知機能、制動機能を持たせなくとも、全体として十分な検知・制動機能を発揮させられる、安全性、運用性の高いシステムを実現できる。さらに、障害物との衝突を回避した上で障害物を排除できるため、運行の遅れを抑制した運用性の高い運行も可能になる。
[0016]
 ところで、障害物検知技術は自動車の自動運転向けに研究が進められており、一般的にミリ波レーダー、レーザーレーダー、カメラなどが用いられている。検知距離が長いセンサーであるミリ波レーダーやカメラでも検知距離は200m程度である。自動車の制動距離は120km/hで200m未満であり、ミリ波レーダーやカメラで障害物を検知してからブレーキをかけても障害物手前で停止できる。自動車の制動距離が短いのは、乗員が着席しており、シートベルトを着用していることを前提に高い減速性能が設定されているからである。
[0017]
 一方で列車に代表される軌道輸送システムでは、乗客は立った状態で乗車することが想定され、一般に自動車よりも低い減速性能が設定されている。その結果、同一速度から停止するまでに必要な制動距離は自動車よりも軌道輸送システムのほうが長くなる。例えば120km/hからの制動距離は500m程度となる。そのため自動車向けのセンサーを軌道輸送システムにそのまま適用した場合、センサーの検知距離が、必要な制動距離よりも短くなってしまう可能性がある。その結果、障害物をセンサーで検知しても軌道輸送システムが障害物手前で停止できないという安全上の課題が発生する。またセンサーで検知してから停止可能な速度に最高速度を下げる場合、速達性や輸送能力の低下といった運用上の課題が発生する。この課題に対し、上記別ユニットの最大減速度を乗客用車両よりも大きくすれば、別ユニット未利用時に比べ、センサーで検知してから停止するまでの距離を短くすることができる。そうすれば、自動車の自動運転向けに開発されたセンサーを利用しながら、安全性、運用性の高い軌道輸送システムを実現できる。これは、ミリ波で止まりきれない分を、先行ユニットの距離でカバーしているともいえる。
[0018]
 以下、本発明の比較例として、開放軌道の鉄道の例について図面を参照して説明する。
[0019]
 (比較例1)
 図1は、軌道輸送システムの構成を示す図である。軌道輸送システムは乗客や貨物を乗せる輸送用車両101と前方の障害物を検知する障害物検知車両102と輸送用車両101と障害物検知車両102間の通信手段103で構成される。通信手段は輸送用車両101と障害物検知車両102を車車間通信でつなげても良いし、地上の設備を介して通信しても良い。本例では、輸送用車両101と障害物検知車両102間で、以降に説明する制御のために伝送遅延が十分小さくデータ通信が実施できればよく、その方法は問わない。
[0020]
 障害物検知車両102は障害物を検知するためのセンサーである障害物検知センサー104を備える。障害物検知センサー104は障害物を事前に検知することを主目的としている。ただし万が一のため、障害物検知車両102が障害物に接触または衝突したことも検知できるようにしても良い。
[0021]
 図4に接触や衝突に対応するセンサーの説明図を示す。輸送用車両401に先行して走行する障害物検知車両402は、衝突センサー414と接触センサー424を備えている。本例では障害物の例として、踏切部などの線路上の人、自動車、落下物等との衝突や、建築限界を侵害している植物や突起物との接触を想定している。建築限界とは、線路に対して建築物を設置してはならないクリアランスのことである。衝突センサー414は自動車のエアバック用の検知センサーを利用することができる。接触センサー424としては、建築限界の全てまたは一部を囲うような中空構造体や、同領域をカバーする中実構造体等が採用できる。
[0022]
 障害物検知車両102の減速性能は、輸送用車両101の減速性能よりも高く設定されている。現行列車の減速性能として最高速度から600mで止まれるものがあるのに対し、本例の障害物検知車両102は、300mで止まるものを想定している。障害物検知車両102に設定される減速性能は、例えば自動車の減速性能と同等にすることが望ましい。例えば最大時速120kmから200mで止まれるようにすれば、自動車で用いられている障害物検知センサーの多くが容易に利用可能となる。さらには軌道輸送システムで物理的に発揮できる最大レベルの減速性能を設定するのがより望ましい。
[0023]
 障害物検知車両102の加速性能は、輸送用車両101の加速性能よりも高く設定されている。障害物検知車両102の加速性能は式(1)であらわされる。
[0024]
[数1]


[0025]
 ここで、α 1は障害物検知車両102の要求加速度、α 2は輸送用車両101の最大加速度、βは輸送用車両101の最大減速度である。
[0026]
 障害物検知車両102は仮に障害物に接触または衝突し走行不可能となった場合に、軌道上から容易に退避させることが可能なように軽量であることが望ましい。また、軽量であれば万が一障害物に接触または衝突しても、障害物の損傷を最小限にすることが可能となる。自動車並みの2トン以下のものであれば、重機なしでも動かすことができる点でも望ましい。
[0027]
 障害物検知車両102の先頭の材質は、衝撃吸収できるものであると望ましい。万が一障害物と衝突した際に、衝突の衝撃を和らげることができるからである。また障害物検知車両102の先頭形状は、障害物の排除を促す排障構造であると望ましい。仮に障害物に衝突した場合でも、障害物検知車両102が障害物を巻き込む事態を抑制することができ、早期運転再開に有利だからである。
[0028]
 輸送用車両101は図示しない制御装置により、後述の通り障害物検知車両102との間隔が輸送用車両101の現在の車両速度から最大減速性能で減速したときに停止するまでに必要な距離以上となるように制御される。
[0029]
 次に障害物検知車両の動作を説明する。図2は、障害物検知車両102により実行される処理手順を示すフローチャートである。
[0030]
 ステップ201~206で輸送用車両101に対する停止指示と障害物検知車両102の現在位置を作成する。本処理は障害物検知車両102の制御周期(例えば20ミリ秒)ごとに実行される。図2のフローチャート基づく動作は以下のとおりである。
[0031]
 ステップ201:
 障害物検知センサー104から軌道上の障害物に関するセンサー情報を取得する。前記センサー情報から軌道上に障害物が存在するか否かを判断する。ステップ202へ進む。
[0032]
 ステップ202:
 衝突センサー414および接触センサー424から軌道上の障害物に関するセンサー情報を取得する。前記センサー情報から軌道上の障害物と接触または衝突があったか否かを判断する。ステップ203へ進む。
[0033]
 ステップ203:
 ステップ201で障害物が存在するか、またはステップ202で障害物と接触または衝突があったかを判定する。障害物が存在する、または障害物と接触または衝突したと判定された場合はステップ204に進む。障害物が存在しない、かつ障害物と接触または衝突していないと判定された場合はステップ205に進む。
[0034]
 ステップ204:
 ステップ203において障害物が存在する、または障害物と接触または衝突したと判定された場合は、即座に輸送用車両101を停止させる必要があるため、停止指示を生成する。ステップ205に進む。
[0035]
 ステップ205:
 輸送用車両101と障害物検知車両102との間隔算出に必要な障害物検知車両102の現在位置を算出する。現在位置の算出は車両速度の積分に基づいて行われるのが一般的であるが、他の方法を用いても良い。例えば、全地球測位システム(GPS)等を用いても良い。ステップ206に進む。
[0036]
 ステップ206:
 障害物検知車両102の現在位置と輸送用車両101に対する停止指示の有無を輸送用車両101に対して通信手段103を介して送信する。
[0037]
 次に輸送用車両101の動作を説明する。図3は、輸送用車両101により実行される処理手順を示すフローチャートである。
[0038]
 ステップ301~306で軌道上に障害物が存在する、または障害物検知車両102が障害物と接触または衝突した場合に輸送用車両101を停止させる。または、軌道上に障害物が存在しない、かつ障害物検知車両102が障害物と接触または衝突していない場合は、障害物検知車両102と必要な間隔を持って走行する。本処理は輸送用車両101の制御周期(例えば20ミリ秒)ごとに実行される。図3のフローチャート基づく動作は以下のとおりである。
[0039]
 ステップ301:
 障害物検知車両102から障害物検知車両102の現在位置と輸送用車両101に対する停止指示を受信する。ステップ302へ進む。
[0040]
 ステップ302:
 ステップ302では、輸送用車両101と障害物検知車両102との間隔算出に必要な輸送用車両101の現在位置を算出する。現在位置の算出は車両速度の積分に基づいて行われるのが一般的であるが、他の方法を用いても良い。例えば、全地球測位システム(GPS)等を用いても良い。ステップ303に進む。
[0041]
 ステップ303:
 ステップ303では障害物検知車両102の現在位置と輸送用車両101の現在位置から障害物検知車両102と輸送用車両101との間隔を算出する。ステップ304に進む。
[0042]
 ステップ304:
 ステップ304では障害物検知車両102と輸送用車両101の間隔を輸送用車両101が現在の車両速度から最大減速性能で減速したときに停止するまでに走行する距離以上となるように輸送用車両を制御する。一般にある速度から一定減速度で減速し停止するまでに必要な距離は式(2)であらわされる。
[0043]
[数2]


[0044]
 ここで、Lは停止するまでに必要な距離、Vは減速を開始したときの車両速度、βは輸送用車両の減速度である。ステップ304ではLが障害物検知車両102と輸送用車両101の間隔よりも小さくなるように制御する。具体的には障害物検知車両102と輸送用車両の間隔を式(2)のLとして代入し、βに輸送用車両101の最大減速度を代入して得られるV以下となるように輸送用車両101の車両速度を制御すればよい。障害物検知車両と輸送用車両101の間隔を輸送用車両101が現在の車両速度から最大減速性能で減速したときに停止するまでに走行する距離以上となるように制御できれば、輸送用車両101が障害物検知車両102と衝突することを抑制できる。ステップ305に進む。
[0045]
 ステップ305:
 ステップ301で障害物検知車両102から停止指示を受信したかを判定する。停止指示を受信した場合はステップ306に進む。
[0046]
 ステップ306:
 障害物検知車両102から停止指示を受信した場合は、輸送用車両101を最大減速度で減速させ停止させる。
[0047]
 なお比較例は、輸送用車両101や障害物検知車両102を最大限速度で減速させて停止させる例を示したが、これに限られず、お互いの車両や障害物と衝突を抑制できれば減速させるだけでも構わない。
[0048]
 以上のように比較例の軌道輸送システムは、乗客を輸送する輸送用車両101と、輸送用車両101に先行し、軌道上の障害物を検知するセンサー104を有する障害物検知車両102と、輸送用車両101と障害物検知車両102との間を通信可能につなぐ通信手段103を備え、輸送用車両101は、センサー104による障害物検知信号を受けて減速するよう構成されている。そうすると、自動車向けに開発された一般的な障害物検知センサーを用いた場合においても速達性や輸送能力を維持したまま、軌道輸送システムの輸送用車両を障害物手前で停止させる、または衝突を回避することが出来、軌道輸送システムの安全性や運用性を向上させることが出来る。また、運転士の目視による障害物検知を本例で置き換えることが可能となり、現在運転士が運転している軌道輸送システムを無人運転化することが可能となり、運営コストを低減することが可能となる。
[0049]
 この効果は、障害物検知車両102の制動距離が輸送用車両101の制動距離よりも短いほど大きなものとなる。
[0050]
 比較例においては障害物検知センサー104の情報から障害物が存在するか、または衝突センサー414および接触センサー424の情報から障害物と接触または衝突があったかを障害物検知車両102で判定し、停止指示を作成している。しかし、障害物検知センサー104等の情報を輸送用車両101に送信し、輸送用車両101で障害物が存在するか、または障害物と接触または衝突があったかを判定し、停止指示を作成するようにしてもよい。要は、障害物が存在するか、または障害物と接触または衝突があった場合に輸送用車両101が停止または十分に減速できればよく、本発明では障害物が存在するかまたは障害物と接触または衝突があったかの判定や、その判定に基づく停止指示をどの装置で作成するかは問わない。
[0051]
 比較例において障害物検知車両102と輸送用車両101の間隔を輸送用車両101が現在の車両速度から最大減速性能で減速したときに停止するまでに走行する距離以上となるように輸送用車両101を制御している。たが、障害物検知車両102と輸送用車両101の間隔を輸送用車両101が現在の車両速度から最大減速性能で減速したときに停止するまでに走行する距離以上となるように障害物検知車両102を制御しても良い。比較例では障害物検知車両102と輸送用車両101の間隔を輸送用車両が現在の車両速度から最大減速性能で減速したときに停止するまでに走行する距離(すなわち制動距離)以上となるように制御できれば良く、間隔をどの装置で制御するかは問わない。
実施例 1
[0052]
 次に、本発明の実施例を説明する。比較例と同様な部分は説明を省略する。
[0053]
 図5は、本実施例の軌道輸送システムの構成を示す図である。軌道輸送システムは乗客や貨物を乗せる輸送用車両501と、前方の障害物を検知する障害物検知車両502と、輸送用車両501と障害物検知車両502との間の通信手段503で構成される。通信手段503は、輸送用車両501と障害物検知車両502との間をアクセスポイントを経由せずに繋ぐ車車間通信でつなげても良いし、地上のアクセスポイントを介した通信でも良い。要は、輸送用車両501と障害物検知車両502間で、以降に説明する制御のために伝送遅延が十分小さくデータ通信が実施できればよく、その方法は問わない。
[0054]
 障害物検知車両502は障害物を検知するためのセンサーである障害物検知センサー504を備える。障害物検知センサー504は、離れた位置にある物体を検知できるように構成しても良い。具体的なセンサーの種類は問わないが、前者は例えば自動車の運転支援で実用されているカメラやミリ波レーダーを用いればよく、その場合100~200m程度まで離れた位置の障害物を検知できる。後者は例えば、車両102の表面に加わった衝撃に反応する感圧センサーを利用できる。
[0055]
 障害物検知センサー504は、障害物を探し、障害物が無いことを確認できたとき、進行許可信号を、通信手段503を介して輸送用車両501に備えられたブレーキ制御部505へ発信する。障害物を発見したときや、障害物を検知する機能を自己診断して異常を発見したときは、進行許可信号を発信しない。
[0056]
 ブレーキ制御部505は、輸送用車両501にブレーキを適用する非活性状態と、ブレーキを開放する活性状態の2つの状態を持ち、通常は非活性状態で、進行許可信号を受信している間のみ活性状態になるように構成されている。これは、ブレーキを適用した状態を安全側とする、いわゆるフェールセーフな構成である。
[0057]
 ここで、「進行許可信号を受信している間」と表現したが、これは予め定めたタイムアウト時間を越えない範囲で進行許可信号を断続的に受信する状況を意図している。タイムアウト時間が短いほど、進行許可信号が途切れたことを早期に検知でき、前述のフェールセーフ機構が早期にはたらくようになる。タイムアウト時間は、通常に発生する制御用通信の遅延時間よりも大きく、例えば2秒に設定するのが適当である。後述するように、このフェールセーフ機構は、輸送用車両505が障害物検知車両502に追突しないようにするためのものであるから、フェールセーフ機構が早期に作動するほど追突を防止し易くなるが、反面、通信の遅延等の原因でフェールセーフ機構が無用に作動する可能性も増える。進行許可信号のタイムアウト時間は、この関係を踏まえ、輸送用車両505と障害物検知車両502の車間距離や、輸送用車両505の制動距離を考慮して設計される。
[0058]
 障害物検知車両502に提供する減速性能は、ブレーキ制御部505が輸送用車両501に提供する減速性能よりも高い。障害物検知車両502の減速性能は、例えば自動車の減速性能と同等がよい。こうすれば、前述の例のような自動車で用いられている障害物検知センサー障害物を発見してから減速を開始して障害物に接触する前に停止でき、障害物や障害物検知車両502に破損等の危害が及ぶのを防止できる。もしくは、障害物検知車両502の減速性能を軌道輸送システムで物理的に発揮できる最大の減速性能に設定してもよく、こうすればセンサーで発見した障害物の手前で停止できることがより確実になる。
[0059]
 輸送用車両501は、後述の通り障害物検知車両502との間隔が制動距離以上となるように制御される。
[0060]
 次に障害物検知車両502の動作を説明する。図6は、障害物検知車両502により実行される処理手順を示すフローチャートである。
[0061]
 ステップ601~606で輸送用車両501に対する信号許可信号と障害物検知車両502の現在位置を作成する。本処理は障害物検知車両502の制御周期(例えば20ミリ秒)ごとに実行される。図6のフローチャート基づく動作は以下のとおりである。
[0062]
 ステップ601:
 障害物検知センサー504から軌道上の障害物に関するセンサー情報を取得する。前記センサー情報から軌道上に障害物が存在するか否かを判断する。ステップ602へ進む。
[0063]
 ステップ602:
 障害物検知センサー504から障害物検知車両102と接触した障害物に関するセンサー情報を取得する。前記センサー情報から軌道上の障害物と接触または衝突があったか否かを判断する。ステップ603へ進む。
[0064]
 ステップ603:
 ステップ601で軌道上に障害物が存在するか、またはステップ602で障害物と接触または衝突があったかを判定する。軌道上に障害物が存在する、または障害物と接触または衝突したと判定された場合はステップ605に進む。障害物が存在しない、かつ障害物と接触または衝突していないと判定された場合はステップ604に進む。
[0065]
 ステップ604:
 ステップ603において軌道上に障害物が存在しない、または障害物と接触または衝突しなかったと判定された場合は、進行許可信号を生成する。ステップ605に進む。
[0066]
 ステップ605:
 輸送用車両501と障害物検知車両502との間隔算出に必要な障害物検知車両502の現在位置を算出する。現在位置の算出は車両速度の積分に基づいて行われるのが一般的であるが、他の方法を用いても良い。例えば、全地球測位システム(GPS)等を用いても良い。ステップ606に進む。
[0067]
 ステップ606:
 障害物検知車両502の現在位置を輸送用車両501に通信手段503を介して送信する。また、前述のステップ604を実行した場合、進行許可信号を生成しており、それを同様に送信する。
[0068]
 次に輸送用車両501の動作を説明する。図7は、輸送用車両501により実行される処理手順を示すフローチャートである。
[0069]
 ステップ701~706で軌道上に障害物が存在する、または障害物検知車両502が障害物と接触または衝突した場合に輸送用車両501を停止させる。または、軌道上に障害物が存在しない、かつ障害物検知車両502が障害物と接触または衝突していない場合は、障害物検知車両502と必要な間隔を持って走行する。本処理は輸送用車両501の制御周期(例えば20ミリ秒)ごとに実行される。図7のフローチャート基づく動作は以下のとおりである。
[0070]
 ステップ701:
 障害物検知車両502から障害物検知車両502の現在位置を受信する。また、進行許可信号があれば、同様に受信する。ステップ702へ進む。
[0071]
 ステップ702:
 ステップ702では、輸送用車両501と障害物検知車両502との間隔算出に必要な輸送用車両501の現在位置を算出する。現在位置の算出は車両速度の積分に基づいて行われるのが一般的であるが、他の方法を用いても良い。例えば、全地球測位システム(GPS)等を用いても良い。ステップ703に進む。
[0072]
 ステップ703:
 ステップ703では障害物検知車両502の現在位置と輸送用車両501の現在位置から障害物検知車両502と輸送用車両501との間隔を算出する。ステップ704に進む。
[0073]
 ステップ704:
 ステップ704では障害物検知車両502と輸送用車両501の間隔を輸送用車両501が現在の車両速度からブレーキ制御部505を使って減速したとき停止するまでに走行する距離以上となるように輸送用車両501を制御する。一般にある速度から一定減速度で減速し停止するまでに必要な距離は式(2)で表される。
[0074]
[数2]


[0075]
 ここで、Lは停止するまでに必要な距離、Vは減速を開始したときの車両速度、βは輸送用車両501の減速度である。ステップ704ではLが障害物検知車両502と輸送用車両501の間隔よりも小さくなるように制御する。具体的には障害物検知車両502と輸送用車両の間隔を式(2)のLとして代入し、βに輸送用車両501の最大減速度を代入して得られるV以下となるように輸送用車両501の車両速度を制御すればよい。障害物検知車両502と輸送用車両501の間隔を輸送用車両501が現在の車両速度から最大減速性能で減速したときに停止するまでに走行する距離以上となるように制御できれば、輸送用車両501が障害物検知車両502と衝突することを抑制できる。ステップ705に進む。
[0076]
 ステップ705:
 ステップ701で障害物検知車両502から進行許可信号を受信したかどうかを判定する。進行許可信号を受信した場合は、ステップ706に進む。
[0077]
 ステップ706:
 ブレーキ制御手段505を活性状態にして、輸送用車両501を減速させる。
[0078]
 以上に示した実施例1の軌道輸送システムは、乗客を輸送する輸送用車両501と、輸送用車両501に先行して走る安全確認用車両である障害物検知車両502と、輸送用車両501と障害物検知車両502との間で進行許可信号を通信可能につなぐ通信手段503を備え、輸送用車両501は制動手段を備え、制動手段は、輸送用車両501がタイムアウト時間を超えても進行許可信号を受信しない場合に作動する。すなわち、障害物検知車両に検知機能を失効するような異常や、電源を失って自走もできなくなるような異常が起こったとき、輸送用車両が停止するフェールセーフ機構がはたらくので、やはり輸送用車両に危害が及ばずに済む。
[0079]
 更に、安全確認用車両を、輸送用車両501が停止するまでに必要な制動距離よりも前方を走行させるよう制御する制御装置を備えることにより、輸送用車両に先行して軌道上を走行する安全確認車両が軌道上に障害物を発見したとき、輸送用車両は減速を開始し、障害物はもとより障害物検知車両に追突する前に停止できる。このとき、障害物検知車両はセンサーを使って遠方に障害物を発見すればその手前で停止し、障害物や障害物検知車両に危害が及ばずに済む。また、障害物検知車両がセンサーで遠方の障害物を万一発見し損ねても、障害物はやがて障害物検知車両に接触して発見されるので、輸送用車両には危害が及ばずに済む。
[0080]
 実施例1では障害物検知センサー104の情報から障害物が存在するか、または障害物と接触または衝突があったかを障害物検知車両502で判定し、進行許可信号を作成したがこの判定機能を輸送用車両に移して、障害物検知センサー504等の情報を輸送用車両501に送信し、輸送用車両501で障害物が存在するか、または障害物と接触または衝突があったかを判定し、進行許可信号を作成するようにしてもよい。要は、障害物が存在するか、または障害物と接触または衝突があった場合に輸送用車両501が停止または十分に減速できればよく、このようにしたときでも障害物検知車両にトラブルがあって障害物検知センサーの情報が途切れるとやはり進行許可信号を生成できないので、フェールセーフ機構がはたらいて輸送用車両が停止する。このように動作する限りにおいて、本発明では障害物が存在するかまたは障害物と接触または衝突があったかの判定や、その判定に基づく停止指示をどの装置で作成するかは問わない。
[0081]
 また、実施例1においては、障害物検知車両502と輸送用車両501の間隔制御を輸送用車両501で行なったが、これを障害物検知車両502で行なっても良いし、両方で行っても良い。輸送用車両501が障害物検知車両502に衝突しないように量車両の間隔を輸送用車両の制動距離以上となるように制御できれば良く、間隔をどの装置で制御するかは問わない。

符号の説明

[0082]
101      輸送用車両
102      障害物検知車両
103      通信手段
104      障害物検知センサー
401      輸送用車両
402      障害物検知車両
414      衝突センサー
424      接触センサー
501      輸送用車両
502      障害物検知車両
503      通信手段
504      障害物検知センサー
505      ブレーキ制御部
601      輸送用車両
602      障害物検知車両

請求の範囲

[請求項1]
 乗客を輸送する輸送用車両と、
 前記輸送用車両に先行して走る安全確認用車両と、
 前記輸送用車両と前記安全確認用車両との間で進行許可信号を通信可能につなぐ通信手段を備え、
 前記輸送用車両は制動手段を備え、前記制動手段は、前記輸送用車両がタイムアウト時間を超えても前記進行許可信号を受信しない場合に作動する軌道輸送システム。
[請求項2]
 前記安全確認用車両を、前記輸送用車両が停止するまでに必要な制動距離よりも前方を走行させるよう制御する制御装置を備えた請求項1に記載の軌道輸送システム。
[請求項3]
 前記安全確認用車両の制動距離が前記輸送用車両の制動距離よりも短い請求項1に記載の軌道輸送システム。
[請求項4]
 前記安全確認用車両は、軌道上の障害物を検知するセンサーを有する障害物検知車両である請求項1に記載の軌道輸送システム。
[請求項5]
 前記センサーによる前記障害物の検知、前記安全確認用車両と前記障害物との衝突または接触のいずれかが起きた際に、前記輸送用車両を停止させる制御装置を備えた請求項4に記載の軌道輸送システム。
[請求項6]
 前記安全確認用車両が無人運転機能を有する請求項1に記載の軌道輸送システム。
[請求項7]
 前記輸送用車両が無人運転機能を有する請求項6に記載の軌道輸送システム。
[請求項8]
 乗客を輸送する輸送用車両に先行させて、安全確認用車両を走らせ、
 前記輸送用車両と前記安全確認用車両の間で進行許可信号を送受信し、
 所定のタイムアウト時間を超えても前記進行許可信号を受信しない場合に前記輸送用車両を減速させることを特徴とする軌道輸送システムの運行方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]