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1. (WO2019009316) MULTILAYER FILM STACK
Document

明 細 書

発明の名称 多層積層フィルム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010  

発明の効果

0011   0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための最良の形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086  

実施例

0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108  

産業上の利用可能性

0109   0110   0111  

符号の説明

0112  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 多層積層フィルム

技術分野

[0001]
 本開示は多層積層フィルムに関する。

背景技術

[0002]
 屈折率の低い層(低屈折率層)と高い層(高屈折率層)とを交互に多数積層させた多層積層フィルムは、層間の構造的な光干渉によって特定波長の光を選択的に反射または透過する光学干渉フィルムとすることができる。
[0003]
 このような多層積層フィルムは、各層の膜厚を厚み方向に沿って徐々に変化させたり、異なる反射ピークを有するフィルムを貼り合わせたりすることで、幅広い波長範囲に渡って光を反射または透過することができ、金属を使用したフィルムと同等の高い反射率を得ることもでき、金属光沢フィルムや反射ミラーとして使用することもできる。さらには、このような多層積層フィルムを1方向に延伸することで、特定の偏光成分のみを反射する反射偏光フィルムとしても使用でき、液晶ディスプレイなどの輝度向上部材等に使用できることが知られている(特許文献1~4など)。
[0004]
 例えば、特許文献2などに記載されているポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(以下、2,6-PENと称することがある。)を高屈折率層に用い、熱可塑性エラストマーやテレフタル酸を30mol%共重合したPENを低屈折率層に用いた多層積層フィルムの場合、1軸延伸方向の層間の屈折率差を大きくして、P偏光(1軸延伸方向を含む入射面に平行な偏光のこと)の反射率を高め、一方でフィルム面内方向において前記1軸延伸方向と直交する方向の層間の屈折率差を小さくして、S偏光(1軸延伸方向を含む入射面に垂直な偏光のこと)の透過率を高めることで、一定レベルの偏光性能が発現している。
[0005]
 また、このような多層積層フィルムにおいては、フィルムの厚みをハンドリング性の良い厚みとする等のために、厚膜層を有する場合がある(特許文献5)。
特許文献1 : 特開平4-268505号公報
特許文献2 : 特表平9-506837号公報
特許文献3 : 特表平9-506984号公報
特許文献4 : 国際公開第01/47711号パンフレット
特許文献5 : 特開2003-251675号公報

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、従来検討されているような多層積層フィルムでは、層間の密着性が十分でないことがあり、例えば後加工などを行う際に応力が掛かること等が原因となって層間で剥離してしまう問題があった。
[0007]
 かかる剥離に関し、本発明者らの検討によると、特に、厚膜層を有する場合に、多層構造部分と厚膜層とが剥離し易いことを見出し、これに着目した。
[0008]
 そこで本発明の一実施形態は、層間密着性が改善された多層積層フィルムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、多層構造部分における単調増加領域の、膜厚が厚い側と薄い側とで層間密着性が異なることを見出し、応力緩和機能に着目し、層間密着性が劣る側においても応力緩和をし易くすることで層間密着性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
[0010]
 本発明は、以下の態様を包含する。
1.第1の樹脂を含む第1層と第2の樹脂を含む第2層とが交互に積層した多層積層構造と、それに接した厚膜層とを有しており、
 前記多層積層構造は、1つの第1層と1つの第2層とを有する繰返し単位の物理厚みでの層厚みプロファイルを有し、当該層厚みプロファイルは厚み単調増加領域と薄層領域とを有し、
 前記薄層領域は、少なくとも3つの繰り返し単位を有し、薄層領域における繰り返し単位の最大厚みをL2として、厚み単調増加領域における繰り返し単位の最大厚みL1との比L2/L1が0.85以下であり、且つ、薄層領域の平均厚みをA2として、厚み単調増加領域における繰り返し単位の最大厚みL1との比A2/L1が0.70以下である領域であり、
 前記薄層領域が厚み単調増加領域の厚みが厚い側にあり、そして厚膜層と接するように存在する、多層積層フィルム。
2.上記薄層領域の最大厚みL2と上記厚み単調増加領域の最小厚みS1との比L2/S1が1.0を超える、上記1に記載の多層積層フィルム。
3.上記第1層は複屈折性であり、上記第2層は等方性であり、これら層の光学干渉により波長380~780nmにある光を反射可能である、上記1または2に記載の多層積層フィルム。
4.上記1~3のいずれか1に記載の多層積層フィルムを用いた輝度向上部材。
5.上記1~3のいずれか1に記載の多層積層フィルムを用いた液晶ディスプレイ用偏光板。

発明の効果

[0011]
 本発明の一実施形態によれば、層間密着性が改善された多層積層フィルムを提供することができる。
[0012]
 また、本発明の一実施形態によれば、例えば偏光性能が求められる輝度向上部材、反射型偏光板などとして用いた場合に、他の部材との貼り合せ、液晶ディスプレイへの組み立て、使用時等に加わる外力によって層間剥離が生じ難いことから、より信頼性の高い輝度向上部材、液晶ディスプレイ用偏光板などを提供できる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 本発明の多層積層フィルムの積層構造の一例を示す模式図である。
[図2] 本発明における多層積層構造の層厚みプロファイルの一例を示す模式図である。

発明を実施するための最良の形態

[0014]
 本発明の各構成について以下に詳述する。
[0015]
 [多層積層フィルム]
 本発明の一実施形態の多層積層フィルムは、第1の樹脂から主になる第1層と第2の樹脂から主になる第2層とが交互に積層した多層積層構造を有する。本開示において、「主になる」とは、各層において樹脂を含むことを意味する。具体的には、樹脂が各層の全質量に対し70質量%以上を占めることをいい、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
[0016]
 本発明の一実施形態においては、第1層と第2層とによる光の干渉効果が発現するような態様とし、任意の波長領域において反射可能である態様としてもよい。この場合、第1層を複屈折性とし、第2層を等方性とすることが好ましい。また、干渉効果発現には、積層数は合計で30層以上とすることが好ましい。
[0017]
 このような反射特性とするために、多層積層構造は、第1の樹脂から主になり膜厚が10~1000nmの複屈折性の第1層と、第2の樹脂から主になり膜厚が10~1000nmの等方性の第2層とが合計30層以上で厚み方向に交互に積層した構造を有することが好ましい。また、この場合、各層を構成する樹脂については、詳細は後述するが、複屈折性の層および等方性の層を形成し得るものであれば特に制限されない。いずれも、フィルムを製造し易い観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。なお、本開示においては、縦方向、横方向、厚み方向の屈折率につき、最大と最小の差が0.1以上のものを複屈折性、0.1未満のものを等方性とする。
[0018]
 さらに本発明の一実施形態の多層積層フィルムは、前記多層積層構造に接した厚膜層を有する。多層積層構造では、各層の厚みが光学特性に影響するため、求める光学特性がある場合、むやみに各層の厚みを変更することができない。そのため、厚膜層を有することで、多層積層フィルムの全体としての厚みを厚くし、例えばハンドリング性を向上する等ができる。
[0019]
 図1に本発明の多層積層フィルムの積層構造の一例の模式図を示す。図1においては、多層積層構造3が、厚膜層1,2と接している。
[0020]
 本発明の一実施形態の多層積層フィルムは、様々な光学厚みの第1層および第2層を有することで、幅広い波長範囲の光を反射することが可能となる。これは、反射波長が多層積層フィルムを構成する各層の光学厚みに起因するためである。一般的に多層積層フィルムの反射波長は、下記(式1)で示される。
[0021]
   λ=2(n1×d1+n2×d2)   (式1)
 上式中、λは反射波長(nm)、n1、n2はそれぞれ第1層、第2層の屈折率、d1、d2はそれぞれ第1層、第2層の物理厚み(nm)を表わす。
[0022]
 上記のことを鑑みれば、波長380~780nmにある光を幅広く反射可能である層厚みプロファイルとすることができる。例えば、単調増加領域における厚み範囲を広くして、幅広い波長範囲の光を反射するように設計することもできるし、かかる単調増加領域では特定の波長範囲の光を反射するようにし、他の領域でかかる特定の波長範囲以外の光を反射するようにし、全体として幅広い波長範囲の光を反射するように設計することもできる。
[0023]
 単調増加領域における厚み範囲を広くするとは、例えば、単調増加領域における繰り返し単位の物理厚みでの最小厚みを約130nm以下、好ましくは約128nm以下、好ましくは約80~約130nm、好ましくは約86~約128nmとし、最大厚みを約240nm以上、好ましくは約245nm以上、好ましくは約240~約320nm、好ましくは約245~約314nmとすることができる。
[0024]
 本開示において、反射可能とは、少なくともフィルム面内の任意の一方向において、かかる方向と平行な偏光の法線入射での平均反射率が50%以上であることをいう。かかる反射は、各波長範囲での平均反射率として50%以上であればよく、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
[0025]
 本開示において、平均反射率とは、偏光フィルム測定装置(日本分光株式会社製「VAP7070S」)を用いて求めた、波長380~780nmでの平均透過率を100から引いた値である。
[0026]
 [層厚みプロファイル]
 本発明の一実施形態においては、多層積層構造の層厚みプロファイルを特定の態様とすることにより、層間密着性を改善することができる。
[0027]
 具体的には、本発明の一実施形態における多層積層構造は、1つの第1層と1つの第2層とを有する繰り返し単位の物理厚みでの層厚みプロファイルを有し、当該層厚みプロファイルは厚み単調増加領域と薄層領域とを有している。当該薄層領域は、少なくとも3つの繰り返し単位を有し、薄層領域における繰り返し単位の最大膜厚をL2として、厚み単調増加領域における繰り返し単位の最大厚みL1との比L2/L1が0.85以下であり、且つ、薄層領域の平均厚みをA2として、厚み単調増加領域における繰り返し単位の最大厚みL1との比A2/L1が0.70以下である領域である。そして、前記薄層領域が厚み単調増加領域の厚みが厚い側にあり、厚膜層と接するように構成される。
[0028]
 図2に、本発明における多層積層構造の層厚みプロファイルの一例の模式図を示す。ここでは、繰り返し単位番号1~133が厚み単調増加領域であり、繰り返し単位番号134~138が薄層領域である。なお、1つの繰り返し単位(これは1つの第1層と1つの第2層とを有するものである)に1つの番号を付している。また、かかる図では、番号の大きい方が厚み単調増加領域の厚みが厚い側である。そして、繰り返し単位番号138の繰り返し単位のさらに番号が大きい側に、これに接して厚膜層を有することとなる。単調増加領域と薄層領域との間には他の領域を有していてもよい。
[0029]
 本発明の一実施形態においては、後述のようにダブリング等により層数を増加することも可能であるが、このような場合においては、1つのパケットについての層厚みプロファイルを見ればよく、かかる1つのパケットは多層積層フィルムになり得る。パケットは、多層積層フィルムの全体の層厚みプロファイルを見たときに、例えば、同じような層厚みプロファイルの部分が複数あれば、それぞれがパケットであるとみなせるし、中間層等に区切られたそれぞれの多層構造部分は異なるパケットであるとみなせる。
[0030]
 [繰り返し単位の物理厚み]
 本開示において繰り返し単位の物理厚みは、下記(式2)で表される。
[0031]
   dp=d1+d2   (式2)
 上式中、dpは繰り返し単位の物理厚み、d1、d2はそれぞれ当該繰り返し単位を構成する第1層、第2層の物理厚み(nm)を表す。
[0032]
 ここでの物理厚みは透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真から求めたものが採用され得る。
[0033]
 [厚み単調増加領域]
 本発明の一実施形態において「厚み単調増加領域」は、厚み単調増加領域の全てにおいてより厚い側の繰り返し単位がより薄い側の繰り返し単位よりも厚くなっていることが好ましいが、それに限定されず、全体を見て厚みがより薄い側からより厚い側に厚みが増加している傾向が見られればよい。より具体的には、繰り返し単位の物理厚みがより薄い側からより厚い側に向かって繰り返し単位に番号を付し、それを横軸として、各繰り返し単位の物理厚みでの膜厚を縦軸にプロットしたときに、膜厚が増加傾向を示す範囲内での繰り返し単位数を5等分し、膜厚が厚くなる方向に、等分された各エリアでの膜厚の平均値が単調に増加している場合は単調増加であるとし、そうでない場合は単調増加でないとした。
[0034]
 なお、上記厚み単調増加領域は、多層積層構造において、繰り返し単位数で80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の部分を占める態様であってもよい。
[0035]
 第1層と第2層とは交互に多層積層され多層積構造を形成するところ、単調増加領域の範囲は、多層積層構造として光学干渉により波長380~780nmの光を反射可能である範囲を有してもよい。また、単調増加領域の範囲は、多層積層構造を形成した際に波長380~780nmの光を反射可能な範囲を超える広さを有してもよい。
[0036]
 [薄層領域]
 本発明の一実施形態において「薄層領域」は、厚み単調増加領域に属さない厚みプロファイルの部分であって、厚み単調増加領域の厚みが厚い側に存在する、少なくとも3つの繰り返し単位から構成される領域である。
[0037]
 本発明者らは、多層積層フィルムの層間剥離は、厚膜層と多層積層構造の境界界面で起こり易いこと、そして、厚みが厚い第1層と第2層とが交互に積層した領域よりも、それよりも厚みが薄い第1層と第2層とが交互に積層した領域の方が、厚膜層との密着性が高いことを見出し、これに着目した。そこで、厚み単調増加領域の厚い方、これはすなわち相対的に厚みが厚い第1層と第2層とが交互に積層した領域となるが、かかる領域と厚膜層との間にそれよりも相対的に厚みが薄い領域である薄層領域を設けることで、かかる薄層領域は、相対的に厚みが薄い第1層と第2層とが交互に積層した領域であるから、厚膜層との境界界面で生じる応力を小さくし、層間密着性の改善をすることが可能となると考えられる。
[0038]
 その薄層領域の最大厚みは、厚み単調増加領域の最大厚みよりも薄いことが必要である。具体的には、薄層領域における繰り返し単位の最大厚みL2と、厚み単調増加領域における繰り返し単位の最大厚みL1との比L2/L1が0.85以下である。また、薄層領域の平均厚みA2と、厚み単調増加領域における繰り返し単位の最大厚みL1との比A2/L1が0.70以下である。このように薄い薄層領域を有することで、層間密着性向上の効果が奏される。かかる観点から、L2/L1は、0.80以下であることが好ましく、より好ましくは0.75以下であり、さらに好ましくは0.70以下である。また、A2/L1は、0.65以下であることが好ましく、より好ましくは0.60以下であり、さらに好ましくは0.55以下である。
[0039]
 薄層領域の最大厚みL2が厚み単調増加領域の最小厚みS1と同じかそれよりも薄い場合、通常、単調増加領域に対して、薄層領域が全体的にかなり薄いこととなり、そのような薄膜を精度よく製造することが困難な傾向にあり、薄膜が形成されなかったりすると層間密着性の向上効果が小さくなる傾向にある。そのため、薄層領域の最大厚みL2と単調増加領域の最小厚みS1との厚み比L2/S1は、1.0を超える範囲が好ましく、1.05以上がより好ましく、さらに好ましくは1.10以上であり、特に好ましくは1.15以上である。また、薄層領域の平均厚みA2と単調増加領域の最小厚みS1との厚み比A2/S1は、1.0を超える範囲が好ましく、1.05以上がより好ましく、さらに好ましくは1.10以上であり、特に好ましくは1.15以上である。
[0040]
 薄層領域における第1層と第2層との繰り返し単位の数は、3以上であり、4以上や5以上であってもよい。繰り返し単位数が適度に多い方が、層間密着性がさらに向上する。他方、多すぎると単調増加領域における繰り返し単位数が低減する方向となり、幅広い波長範囲に渡っての反射がし難くなる傾向となるため、15以下や10以下が好ましい。なお、薄層領域には、第1層と第2層との繰り返し単位以外に、単独で第1層または第2層を有していても良い。
[0041]
 具体的には、以下のような薄層領域であることができる。
・繰り返し単位の数が3であり、かかる範囲において、上記L2/L1、A2/L1、好ましくはL2/S1、A2/S1を満たす態様。
・繰り返し単位の数が4であり、かかる範囲において、上記L2/L1、A2/L1、好ましくはL2/S1、A2/S1を満たす態様。
・繰り返し単位の数が5であり、かかる範囲において、上記L2/L1、A2/L1、好ましくはL2/S1、A2/S1を満たす態様。
・繰り返し単位の数が6であり、かかる範囲において、上記L2/L1、A2/L1、好ましくはL2/S1、A2/S1を満たす態様。
[0042]
 同様にして、繰り返し単位の数が7,8,9,10,11,12,13,14,15の場合に、それぞれの範囲において、上記L2/L1、A2/L1、好ましくはL2/S1、A2/S1を満たす態様であることができる。なお、繰り返し単位の数が4以上の場合、厚膜層から3つの繰り返し単位の範囲においてもA2/L1を満たしていることが好ましいが、満たしていなくても良い。厚膜層から4つ目以降の繰り返し単位も含めて薄層領域全体として密着性向上の効果を奏することができるからである。
[0043]
 本発明の一実施形態は、このように、適切な厚み範囲にある薄層領域を、厚膜層と接するように有することで、多層積層構造と厚膜層との密着性を向上するというものである。
[0044]
 [多層積層フィルムの構成]
 本発明の一実施形態による層間密着性改善の効果は、多層積層構造とそれに接した厚膜層とを有する多層積層フィルムであれば、用途によらず奏されるものである。
[0045]
 多層積層フィルムの好ましい用途として、第1層と第2層との光学干渉を利用する用途を挙げることができる。以下、このような光学干渉を利用する用途に適した多層積層フィルムの好ましい構成について説明する。
[0046]
 [第1層]
 本発明の一実施形態の多層積層フィルムを構成する第1層は、複屈折性の層であることができ、この場合これを構成する樹脂(本開示において、第1の樹脂ともいう)は、複屈折性の層を形成し得るものである。従い、第1層を構成する樹脂としては配向結晶性の樹脂が好ましく、かかる配向結晶性の樹脂として特にポリエステルが好ましい。該ポリエステルは、それを構成する繰り返し単位を基準として好ましくはエチレンテレフタレート単位および/またはエチレンナフタレート単位を、より好ましくはエチレンナフタレート単位を、80モル%以上、100モル%以下の範囲で含有することが、より高い屈折率の層とし易く、それにより第2層との屈折率差を大きくしやすいことから好ましい。ここで樹脂の併用の場合は、合計の含有量である。
[0047]
 (第1層のポリエステル)
 第1層の好ましいポリエステルとして、ジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸成分を含有し、その含有量は該ポリエステルを構成するジカルボン酸成分を基準として80モル%以上、100モル%以下であることが好ましい。かかるナフタレンジカルボン酸成分としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸成分、2,7-ナフタレンジカルボン酸成分、またはこれらの組み合わせから誘導される成分、もしくはそれらの誘導体成分が挙げられ、特に2,6-ナフタレンジカルボン酸成分もしくはその誘導体成分が好ましく例示される。ナフタレンジカルボン酸成分の含有量は、好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上であり、また、好ましくは100モル%未満、より好ましくは98モル%以下、さらに好ましくは95モル%以下である。
[0048]
 第1層のポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、ナフタレンジカルボン酸成分以外にさらに本発明の目的を損なわない範囲でテレフタル酸成分、イソフタル酸成分などを含有してもよく、中でもテレフタル酸成分を含有することが好ましい。含有量は0モル%を超え、20モル%以下の範囲であることが好ましい。かかる第2のジカルボン酸成分の含有量は、より好ましくは2モル%以上、さらに好ましくは5モル%以上であり、また、より好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
[0049]
 液晶ディスプレイ等に用いられる輝度向上部材や反射型偏光板として使用する場合、第1層が第2層よりも相対的に高屈折率特性を有する層であり、第2層が第1層よりも相対的に低屈折率特性を有する層であり、また1軸方向に延伸することが好ましい。なお、この場合、本開示においては、1軸延伸方向をTD方向、フィルム面内においてTD方向と直交する方向をMD方向(非延伸方向ともいう。)、フィルム面に対して垂直な方向をZ方向(厚み方向ともいう。)と称する場合がある。
[0050]
 第1層に、上記のようにナフタレンジカルボン酸成分を主成分として含有するポリエステルを用いることで、TD方向に高屈折率を示すと同時に1軸配向性の高い複屈折率特性を実現でき、TD方向について第2層との屈折率差を大きくすることができ、高偏光度に寄与する。一方、ナフタレンジカルボン酸成分の含有量が下限値に満たないと、非晶性の特性が大きくなり、TD方向の屈折率nTDと、MD方向の屈折率nMDとの差異が小さくなる傾向にあるため、多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(TD方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分と定義される本発明におけるP偏光成分について十分な反射性能が得難くなる傾向にある。なお、本発明におけるS偏光成分とは、多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(TD方向)を含む入射面に対して垂直な偏光成分と定義される。
[0051]
 第1層の好ましいポリエステルを構成するジオール成分としては、エチレングリコール成分が用いられ、その含有量は該ポリエステルを構成するシオール成分を基準として80モル%以上、100モル%以下であることが好ましく、より好ましくは85モル%以上、100モル%以下、さらに好ましくは90モル%以上、100モル%以下、特に好ましくは90モル%以上、98モル%以下である。該ジオール成分の割合が下限値に満たない場合は、前述の1軸配向性が損なわれることがある。
[0052]
 第1層のポリエステルを構成するジオール成分として、エチレングリコール成分以外に、さらに本発明の目的を損なわない範囲でトリメチレングリコール成分、テトラメチレングリコール成分、シクロヘキサンジメタノール成分、ジエチレングリコール成分などを含有してもよい。
[0053]
 (第1層のポリエステルの特性)
 第1層に用いられるポリエステルの融点は、好ましくは220~290℃の範囲、より好ましくは230~280℃の範囲、さらに好ましくは240~270℃の範囲である。融点は示差走査熱量計(DSC)で測定して求めることができる。該ポリエステルの融点が上限値を越えると、溶融押出して成形する際に流動性が劣り、吐出などが不均一化しやすくなることがある。一方、融点が下限値に満たないと、製膜性は優れるものの、ポリエステルの持つ機械的特性などが損なわれやすくなり、また液晶ディスプレイの輝度向上部材や反射型偏光板として使用される際の屈折率特性が発現し難い傾向にある。
[0054]
 第1層に用いられるポリエステルのガラス転移温度(以下、Tgと称することがある。)は、好ましくは80~120℃、より好ましくは82~118℃、さらに好ましくは85~118℃、特に好ましくは100~115℃の範囲にある。Tgがこの範囲にあると、耐熱性および寸法安定性に優れ、また液晶ディスプレイの輝度向上部材や反射型偏光板として使用される際の屈折率特性を発現し易い。かかる融点やガラス転移温度は、共重合成分の種類と共重合量、そして副生物であるジエチレングリコールの制御などによって調整できる。
[0055]
 第1層に用いられるポリエステルは、o-クロロフェノール溶液を用いて35℃で測定した固有粘度が0.50~0.75dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.55~0.72dl/g、さらに好ましくは0.56~0.71dl/gである。これにより適度な配向結晶性を有し易くなる傾向にあり、第2層との屈折率差を発現し易くなる傾向にある。
[0056]
 [第2層]
 本発明の一実施形態の多層積層フィルムを構成する第2層は、等方性の層であることができ、この場合これを構成する樹脂(本開示において、第2の樹脂ともいう)は、等方性の層を形成し得るものである。従い、第2層を構成する樹脂としては非晶性の樹脂が好ましい。中でも非晶性であるポリエステルが好ましい。なおここで「非晶性」とは、僅かな結晶性を有することを排除するものではなく、本発明の一実施形態の多層積層フィルムが目的とする機能を奏する程度に第2層を等方性にできればよい。
[0057]
 (第2層の共重合ポリエステル)
 第2層を構成する樹脂としては、共重合ポリエステルが好ましく、特に、ナフタレンジカルボン酸成分、エチレングリコール成分およびトリメチレングリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステルを用いることが好ましい。なお、かかるナフタレンジカルボン酸成分としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸成分、2,7-ナフタレンジカルボン酸成分、またはこれらの組み合わせから誘導される成分、もしくはそれらの誘導体成分が挙げられ、特に2,6-ナフタレンジカルボン酸成分もしくはその誘導体成分が好ましく例示される。なお、本開示における共重合成分とは、ポリエステルを構成するいずれかの成分であることを意味しており、従たる成分(共重合量として全酸成分または全ジオール成分に対して50モル%未満である成分)としての共重合成分に限定されず、主たる成分(共重合量として全酸成分または全ジオール成分に対して50モル%以上である成分)も含めて用いられる。
[0058]
 本発明の一実施形態においては、上述したように、第2層の樹脂としてエチレンナフタレート単位を主成分とするポリエステルを用いることが好ましく、そのとき、第2層の樹脂としてナフタレンジカルボン酸成分を含む共重合ポリエステルを用いることで、第1層との相溶性が高くなり、第1層との層間密着性が向上する傾向にあり、層間剥離が生じ難くなるため好ましい。
[0059]
 第2層の共重合ポリエステルは、ジオール成分がエチレングリコール成分とトリメチレングリコール成分との少なくとも2成分を含むことが好ましい。このうち、エチレングリコール成分は、フィルム製膜性などの観点より主たるジオール成分として用いられることが好ましい。
[0060]
 本発明の一実施形態における第2層の共重合ポリエステルは、ジオール成分としてトリメチレングリコール成分を含有することが好ましい。トリメチレングリコール成分を含有することで、層構造の弾性を補い、層間剥離を抑制する効果が高まる。
[0061]
 ナフタレンジカルボン酸成分、好ましくは2,6-ナフタレンジカルボン酸成分は、第2層の共重合ポリエステルを構成する全カルボン酸成分の30モル%以上、100モル%以下であることが好ましく、より好ましくは30モル%以上、80モル%以下、さらに好ましくは40モル%以上、70モル%以下である。これにより第1層との密着性をより高くできる。ナフタレンジカルボン酸成分の含有量が下限に満たないと相溶性の観点から密着性が低下することがある。また、ナフタレンジカルボン酸成分の含有量の上限は特に制限されないが、多すぎると第1層との屈折率差を発現し難くなる傾向にある。なお、第1層との屈折率の関係を調整するために他のジカルボン酸成分を共重合させてもよい。
[0062]
 エチレングリコール成分は、第2層の共重合ポリエステルを構成する全ジオール成分の50モル%以上、95モル%以下であることが好ましく、より好ましくは50モル%以上、90モル%以下、さらに好ましくは50モル%以上、85モル%以下、特に好ましくは50モル%以上、80モル%以下である。これにより第1層との屈折率差を発現し易くなる傾向にある。
[0063]
 トリメチレングリコール成分は、第2層の共重合ポリエステルを構成する全ジオール成分の3モル%以上、50モル%以下であることが好ましく、さらに5モル%以上、40モル%以下であることが好ましく、より好ましくは10モル%以上、40モル%以下、特に好ましくは10モル%以上、30モル%以下である。これにより第1層との層間密着性をより高くできる。また、第1層との屈折率差を発現し易くなる傾向にある。トリメチレングリコール成分の含有量が下限に満たないと層間密着性の確保が難しくなる傾向にあり、上限を超えると所望の屈折率とガラス転移温度の樹脂とすることがし難くなる。
[0064]
 本発明の一実施形態における第2層は、本発明の目的を損ねない範囲であれば、第2層の質量を基準として10質量%以下の範囲内で該共重合ポリエステル以外の熱可塑性樹脂を第2のポリマー成分として含有してもよい。
[0065]
 (第2層のポリエステルの特性)
 本発明の一実施形態において、上述する第2層の共重合ポリエステルは、85℃以上のガラス転移温度を有することが好ましく、より好ましくは90℃以上、150℃以下、さらに好ましくは90℃以上、120℃以下、特に好ましくは93℃以上、110℃以下である。これにより耐熱性により優れる。また、第1層との屈折率差を発現し易くなる傾向にある。第2層の共重合ポリエステルのガラス転移温度が下限に満たない場合、耐熱性が十分に得られないことがあり、例えば90℃近辺での熱処理などの工程を含むときに第2層の結晶化や脆化によってヘーズが上昇し、輝度向上部材や反射型偏光板として使用される際の偏光度の低下を伴うことがある。また、第2層の共重合ポリエステルのガラス転移温度が高すぎる場合には、延伸時に第2層のポリエステルも延伸による複屈折性が生じることがあり、それに伴い延伸方向において第1層との屈折率差が小さくなり、反射性能が低下することがある。
[0066]
 上述した共重合ポリエステルの中でも、90℃×1000時間の熱処理で結晶化によるヘーズ上昇を極めて優れて抑制できる点から、非晶性の共重合ポリエステルであることが好ましい。ここでいう非晶性とは、DSCにおいて昇温速度20℃/分で昇温させたときの結晶融解熱量が0.1mJ/mg未満であることを指す。
[0067]
 第2層の共重合ポリエステルの具体例として、(1)ジカルボン酸成分として2,6-ナフタレンジカルボン酸成分を含み、ジオール成分としてエチレングリコール成分およびトリメチレングリコール成分を含む共重合ポリエステル、(2)ジカルボン酸成分として2,6-ナフタレンジカルボン酸成分およびテレフタル酸成分を含み、ジオール成分としてエチレングリコール成分およびトリメチレングリコール成分を含む共重合ポリエステル、が挙げられる。
[0068]
 第2層の共重合ポリエステルは、o-クロロフェノール溶液を用いて35℃で測定した固有粘度が0.50~0.70dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.55~0.65dl/gである。第2層に用いられる共重合ポリエステルが共重合成分としてトリメチレングリコール成分を有する場合、製膜性が低下することがあり、該共重合ポリエステルの固有粘度を上述の範囲とすることで製膜性をより高めることができる。第2層として上述する共重合ポリエステルを用いる場合の固有粘度は、製膜性の観点からはより高い方が好ましいものの、上限を超える範囲では第2層のポリエステルとの溶融粘度差が大きくなり、各層の厚みが不均一になることがある。
[0069]
 [厚膜層]
 本発明の一実施形態における厚膜層としては、下記に記載する最外層や中間層が挙げられる。
[0070]
 本発明の一実施形態の多層積層フィルムは、片方または両方の表面に厚膜の最外層を有していても良い。ここで厚膜とは、光学的に厚膜であることをいう。かかる最外層は、樹脂から主になる。なお、ここで「主になる」とは、層において樹脂が層の全質量に対し70質量%以上を占めることをいい、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。また、最外層は、等方性の層であることが好ましく、製造上の容易性の観点からは第2層と同一樹脂であってもよく、上述した第2層の共重合ポリエステルから構成することができ、そのような態様が好ましい。
[0071]
 本発明の一実施形態の多層積層フィルムは、中間層を有していてもよい。該中間層は、本発明の一実施形態において内部厚膜層などと称することがあるが、多層構造の内部に存在する厚膜の層を指す。本発明の一実施形態においては、多層積層フィルムの製造の初期段階で交互積層構成の両側に膜厚の厚い層(厚み調整層、バッファ層と称することがある。)を形成し、その後ダブリングにより積層数を増やす方法が好ましく用いられるが、その場合は、かかる膜厚の厚い層同士が2層積層されて中間層が形成されることとなり、内部に形成された厚膜の層が中間層となり、外側に形成された厚膜の層が最外層となる。
[0072]
 厚みについてより具体的には、最外層は、たとえば層厚みが好ましくは1μmを超える範囲であり、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上、また、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下の厚さであることが好ましい。中間層は、たとえば層厚みが好ましくは5μm以上、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下の厚さであることが好ましい。このような最外層および/または中間層を多層構造の一部に有する場合、偏光機能等の光学機能に影響をおよぼすことなく、第1層および第2層を構成する各層厚みを均一に調整しやすくなる。最外層や中間層は、第1層、第2層のいずれかと同じ組成、またはこれらの組成を部分的に含む組成であってもよく、層厚みが厚いため、反射特性には寄与しない。一方、透過特性には影響することがあるため、層中に粒子を含める場合は光線透過率を考慮して粒子径や粒子濃度を選択すればよい。また、最外層や中間層により、フィルムの全体厚みを厚くすることができ、例えばハンドリング性を向上できる。
[0073]
 最外層および/または中間層の厚さが下限に満たない場合は、多層構造の層構成に乱れが生じることがあり、反射性能が低下することがある。一方、最外層および/または中間層の厚さが上限を超える場合は、多層積層フィルム全体の厚みが厚くなりすぎ、薄型の液晶ディスプレイの反射型偏光板や輝度向上部材として用いた場合に省スペース化しにくいことがある。また、多層積層フィルムの両表層に最外層を有する場合や、多層積層フィルム内に複数の中間層を含む場合には、それぞれの最外層および/または中間層の厚みは、上記それぞれの厚み範囲の下限以上であることが好ましく、また最外層の厚みの合計および/または中間層の厚みの合計は、上記それぞれの厚み範囲の上限以下であることが好ましい。
[0074]
 最外層や中間層に用いられるポリマーは、本発明の一実施形態の多層積層フィルムの製造方法を用いて多層構造中に存在させることができれば、第1層あるいは第2層と異なる樹脂を用いてもよいが、層間密着性をより高くする観点より、第1層または第2層のいずれかと同じ組成か、これらの組成を部分的に含む組成であることが好ましい。
[0075]
 最外層および中間層の形成方法は特に限定されないが、例えばダブリングを行う前の交互積層構成の両側に膜厚の厚い層を設け、それをレイヤーダブリングブロックと呼ばれる分岐ブロックを用いて交互積層方向に垂直な方向に2分割し、それらを交互積層方向に再積層することで、最外層を2層と、中間層を1層設けることができる。中間層は、分割の数を増やしたり、分割する回数を増やしたりすることによりさらに複数設けることもできる。
[0076]
 [その他の層]
 (塗布層)
 本発明の一実施形態の多層積層フィルムは、少なくとも一方の表面に塗布層を有することができる。かかる塗布層としては、滑り性を付与するための易滑層や、プリズム層や拡散層等との接着性を付与するためのプライマー層などが挙げられる。塗布層は、バインダー成分を含み、滑り性を付与するためにはたとえば粒子を含有させるとよい。接着性を付与するためには、用いるバインダー成分を、接着したい層の成分と化学的に近いものとすることが挙げられる。また、塗布層を形成するための塗布液は、環境の観点から水を溶媒とする水系塗布液であることが好ましいが、特にそのような場合等において、多層積層フィルムに対する塗布液の濡れ性を向上させる目的で、界面活性剤を含有することができる。その他、塗布層の強度を高めるために架橋剤を添加したりなど、機能剤を添加してもよい。
[0077]
 [多層積層フィルムの製造方法]
 本発明の一実施形態の多層積層フィルムの製造方法について詳述する。なお、ここで以下に示す製造方法は一例であり、本発明はこれに限定されない。また、異なる態様についても、以下を参照して得ることができる。
[0078]
 本発明の一実施形態の多層積層フィルムは、第1層を構成するポリマーと第2層を構成するポリマーとを、多層フィードブロック装置を用いて溶融状態で交互に重ね合わせて、例えば、合計で30層以上の交互積層構成を作成し、その両面にバッファ層を設け、その後レイヤーダブリングと呼ばれる装置を用いて該バッファ層を有する交互積層構成を例えば2~4分割し、該バッファ層を有する交互積層構成を1ブロックとしてブロックの積層数(ダブリング数)が2~4倍になるように再度積層する方法で積層数を増やすことで得ることができる。かかる方法によると、多層構造の内部にバッファ層同士が2層積層された中間層と、バッファ層1層からなる最外層を両面に有する多層積層フィルムを得ることができる。
[0079]
 かかる交互積層構成は、第1層と第2層の各層の厚みが所望の傾斜構造を有するように積層される。これは、たとえば、多層フィードブロック装置においてスリットの間隔や長さを変化させることで得られる。例えば、単調増加領域を形成する部分と薄層領域を形成する部分とを有するようにスリットの間隔や長さを調整すればよい。
[0080]
 上述した方法で所望の積層数に積層したのち、ダイより押出し、キャスティングドラム上で冷却し、多層未延伸フィルムを得る。多層未延伸フィルムは、製膜機械軸方向(縦方向、長手方向またはMD方向という場合がある。)、またはそれにフィルム面内で直交する方向(横方向、幅方向またはTD方向という場合がある)の少なくとも1軸方向(かかる1軸方向はフィルム面に沿った方向である。)に延伸されることが好ましい。延伸温度は、第1層のポリマーのガラス転移点温度(Tg)~(Tg+20)℃の範囲で行うことが好ましい。従来よりも低めの温度で延伸を行うことにより、フィルムの配向特性をより高度に制御することができる。
[0081]
 延伸倍率は2.0~7.0倍で行うことが好ましく、さらに好ましくは4.5~6.5倍である。かかる範囲内で延伸倍率が大きいほど、第1層および第2層における個々の層の面方向の屈折率のバラツキが延伸による薄層化により小さくなり、多層積層フィルムの光干渉が面方向に均一化され、また第1層と第2層の延伸方向の屈折率差が大きくなるので好ましい。このときの延伸方法は、棒状ヒータによる加熱延伸、ロール加熱延伸、テンター延伸など公知の延伸方法を用いることができるが、ロールとの接触によるキズの低減や延伸速度などの観点から、テンター延伸が好ましい。
[0082]
 また、かかる延伸方向とフィルム面内で直交する方向(MD方向)にも延伸処理を施し、2軸延伸を行う場合は、用途にもよるが、反射偏光特性を具備させたいときは、1.01~1.20倍程度の延伸倍率にとどめることが好ましい。MD方向の延伸倍率をこれ以上高くすると、偏光性能が低下することがある。
[0083]
 また、延伸後にさらに(Tg)~(Tg+30)℃の温度で熱固定を行いながら、5~15%の範囲で延伸方向にトーアウト(再延伸)させることにより、得られた多層積層フィルムの配向特性を高度に制御することができる。
[0084]
 本発明の一実施形態において上述の塗布層を設ける場合、多層積層フィルムへの塗布は任意の段階で実施することができるが、フィルムの製造過程で実施することが好ましく、延伸前のフィルムに対して塗布することが好ましい。
[0085]
 かくして本発明の一実施形態の多層積層フィルムが得られる。
[0086]
 なお、金属光沢フィルムや反射ミラーの用途に用いる多層積層フィルムである場合は、2軸延伸フィルムとすることが好ましく、この場合は、逐次2軸延伸法、同時2軸延伸法のいずれであってもよい。また、延伸倍率は、第1層および第2層の各層の屈折率および膜厚が、所望の反射特性を奏するように調整されるようにすればよいが、例えばこれら層を構成する樹脂の通常の屈折率を考慮すると、縦方向および横方向ともに2.5~6.5倍程度とすればよい。

実施例

[0087]
 以下に、本発明の実施形態を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下に示した実施例に制限されるものではない。なお、実施例中の物性や特性は、下記の方法にて測定または評価した。
[0088]
 (1)各層の厚み
 多層積層フィルムをフィルム長手方向2mm、幅方向2cmに切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂(リファインテック(株)製エポマウント)にて包埋した。包埋されたサンプルをミクロトーム(LEICA製ULTRACUT UCT)で幅方向に垂直に切断し、50nm厚の薄膜切片にした。透過型電子顕微鏡(日立S-4300)を用いて加速電圧100kVにて観察撮影し、写真から各層の厚み(物理厚み)を測定した。
[0089]
 1μmを超える厚さの層について、多層構造の内部に存在しているものを中間層、最表層に存在しているものを最外層とし、それぞれの厚みを測定した。
[0090]
 なお、第1層か第2層かは、屈折率の態様により判断できるが、それが困難な場合は、NMRでの解析や、TEMでの解析による電子状態により判断することも可能である。また、各層の屈折率は、各層と同じ単層フィルムから求めることもできる。
[0091]
 (2)単調増加の判断
 上記の方法で各層の厚みを算出し、下記の式(2)に従い、繰り返し単位の物理厚みを求めた。各繰り返し単位の物理厚みを縦軸に入力し、横軸に繰り返し単位の番号を入力した際の層厚みプロファイルの任意の領域において、膜厚が増加傾向を示す範囲内での層数を5等分し、膜厚が厚くなる方向に、等分された各エリアでの膜厚の平均値が単調に増加している場合は単調増加であるとし、そうでない場合は単調増加でないとした。
[0092]
   dp=d1+d2   (式2)
 上式中、dpは繰り返し単位の物理厚み、d1、d2はそれぞれかかる繰り返し単位を構成する第1層、第2層の物理厚み(nm)を表す。
[0093]
 (3)層間密着性
 多層積層フィルムの端面部に針等で衝撃を与える等して、部分的に層間剥離したサンプルを作成した。その後、測定のばらつきを小さくするために、該サンプルを温度23℃、相対湿度50~60%RHの条件下で1日放置し、その後、幅25mm、長さ100mmの短冊状に切り取った。表面がきれいな厚み3mmのアクリル板に、両面テープでサンプルを貼り付け、直接ゴムローラーで押さえつけて密着させた。このとき、層間剥離したときに厚みの厚い側をアクリル板に貼り付けた。これを、引張試験機(東洋精機(株)製ストログラフ)にセットし、層間剥離したときに厚みの薄い側をチャックに固定し、引張速度300mm/分で90°剥離をして強度を測定した。この方法で多層積層フィルムのMD方向、TD方向における、それぞれの強度を測定し、その平均値を層間密着力とした。
[0094]
 層間密着力としては、好ましくはMD方向とTD方向との平均値で100g/25mm以上であり、より好ましくは130g/25mm以上、さらに好ましくは150g/25mm以上、特に好ましくは170g/25mm以上であり、高いことが好ましい。また、MD方向とTD方向のいずれもが、100g/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは120g/25mm以上、さらに好ましくは140g/25mm以上である。
[0095]
 [製造例1]ポリエステルA
 第1層用ポリエステルとして、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、そしてエチレングリコールを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、酸成分の95モル%が2,6-ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の5モル%がテレフタル酸成分、グリコール成分がエチレングリコール成分である共重合ポリエステル(固有粘度0.64dl/g)(o―クロロフェノール、35℃、以下同様)を準備した。
[0096]
 [製造例2]ポリエステルB
 第2層用ポリエステルとして、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、そしてエチレングリコールとトリメチレングリコールを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、酸成分の50モル%が2,6-ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の50モル%がテレフタル酸成分、グリコール成分の85モル%がエチレングリコール成分、グリコール成分の15モル%がトリメチレングリコール成分である共重合ポリエステル(固有粘度0.63dl/g)を準備した。
[0097]
 [実施例1]
 第1層用にポリエステルAを170℃で5時間乾燥した後、第2層用にポリエステルBを85℃で8時間乾燥した後、それぞれ第1、第2の押し出し機に供給し、300℃まで加熱して溶融状態とし、第1層用ポリエステルを139層、第2層用ポリエステルを138層に分岐させた後、第1層と第2層が交互に積層され、かつ表1に示すような層厚みプロファイルとなるような櫛歯を備える多層フィードブロック装置を使用して、総数277層の積層状態の溶融体とし、その積層状態を保持したまま、その両側に第3の押し出し機から第2層用ポリエステルと同じポリエステルを3層フィードブロックへと導き、層数277層の積層状態(両表層は第1層である)の溶融体の積層方向の両側にバッファ層をさらに積層した。両側のバッファ層の合計が全体の47%となるよう第3の押し出し機の供給量を調整した。その積層状態をさらにレイヤーダブリングブロックにて、2分岐して1:1の比率で積層し、内部に中間層、最表層に2つの最外層を含む全層数557層の未延伸多層積層フィルムを作製した。
[0098]
 この未延伸多層積層フィルムを130℃の温度で幅方向に5.9倍に延伸した。得られた1軸延伸多層積層フィルムの厚みは75μmであった。また、屈折率測定の結果、第1層は複屈折性であり、第2層は等方性であった。
[0099]
 [実施例2~8、比較例1~4]
 表1、2に示す層厚みプロファイルとなるように用いる多層フィードブロック装置を変更した以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムを得た。
[0100]
 実施例1~8の多層積層フィルムについて、偏光フィルム測定装置(日本分光株式会社製「VAP7070S」)を用いて平均反射率を求めた。波長380~780nmの範囲において5nm間隔での透過率の平均値をとり、平均透過率を100から引いた値を法線入射における反射軸の平均反射率とし、平均反射率が50%以上であることから、かかる波長範囲の光を反射可能と判断した。なお測定は、スポット径調整用マスクΦ1.4、および偏角ステージを使用し、測定光の入射角は0度設定とし、クロスニコルサーチ(650nm)で定まる多層積層フィルムの透過軸と直交する軸を反射軸とした。
[0101]
 実施例1~3,5,8は、厚膜層から3つおよび4つの繰り返し単位の範囲においても、A2/L1を満たすものであった。
[0102]
 実施例4,6は、厚膜層から3つ、4つおよび5つの繰り返し単位の範囲においても、A2/L1を満たすものであった。
[0103]
 実施例4,6において番号132の繰り返し単位は、最大厚みL1に対して0.85倍を超える厚みを有していたため、番号133以降の繰り返し単位を薄層領域と判断した。
[0104]
 実施例5において番号133の繰り返し単位は、最大厚みL1に対して0.85倍を超える厚みを有していたため、番号134以降の繰り返し単位を薄層領域と判断した。
[0105]
 比較例1,2は、番号137の繰り返し単位において最大厚みL2を示し、これが最大厚みL1に対して0.85倍を超える厚みであったため、薄層領域を有しないこととなる。そこで、厚膜層と接する側から5つの繰り返し単位について観測し、評価をした。
[0106]
 比較例3,4において番号135の繰り返し単位は、最大厚みL1に対して0.85倍を超える厚みを有していたため、番号136以降の繰り返し単位が薄層領域である可能性がある。ここで、番号136~138の3つの繰り返し単位の平均厚みA2は、最大厚みL1に対して0.70倍を超える厚みであったため、薄層領域を有しないこととなる。そこで、厚膜層と接する側から3つの繰り返し単位について観測し、評価をした。
[0107]
[表1]


[0108]
[表2]


産業上の利用可能性

[0109]
 本発明の一実施形態によれば、本発明の多層積層フィルムは、交互に積層した第1層と第2層との繰り返し単位の物理厚みでの層厚みプロファイルを適切に設計することで、多層積層構造と厚膜層との層間剥離がしにくい多層積層フィルムを実現することが可能となる。そのため、例えば輝度向上部材、反射型偏光板などの光学部材として用いた場合に、他の部材との貼り合せ、液晶ディスプレイへの組み立て、使用時等に加わる外力によって層間剥離が生じないことから、より信頼性の高い輝度向上部材、液晶ディスプレイ用偏光板などを提供できる。
[0110]
 2017年7月7日に出願された日本国特許出願第2017-133703号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
[0111]
 本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

符号の説明

[0112]
1 厚膜層(最外層)
2 厚膜層(中間層)
3 多層積層構造

請求の範囲

[請求項1]
 第1の樹脂を含む第1層と第2の樹脂を含む第2層とが交互に積層した多層積層構造と、それに接した厚膜層とを有しており、
 前記多層積層構造は、1つの第1層と1つの第2層とを有する繰返し単位の物理厚みでの層厚みプロファイルを有し、当該層厚みプロファイルは厚み単調増加領域と薄層領域とを有し、
 前記薄層領域は、少なくとも3つの繰り返し単位を有し、薄層領域における繰り返し単位の最大厚みをL2として、厚み単調増加領域における繰り返し単位の最大厚みL1との比L2/L1が0.85以下であり、且つ、薄層領域の平均厚みをA2として、厚み単調増加領域における繰り返し単位の最大厚みL1との比A2/L1が0.70以下である領域であり、
 前記薄層領域が厚み単調増加領域の厚みが厚い側にあり、そして厚膜層と接するように存在する、多層積層フィルム。
[請求項2]
 上記薄層領域の最大厚みL2と上記厚み単調増加領域の最小厚みS1との比L2/S1が1.0を超える、請求項1に記載の多層積層フィルム。
[請求項3]
 上記第1層は複屈折性であり、上記第2層は等方性であり、これら層の光学干渉により波長380~780nmにある光を反射可能である、請求項1または2に記載の多層積層フィルム。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれか1項に記載の多層積層フィルムを用いた輝度向上部材。
[請求項5]
 請求項1~3のいずれか1項に記載の多層積層フィルムを用いた液晶ディスプレイ用偏光板。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]