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1. (WO2019003924) GEAR-TYPE FLEXIBLE SHAFT COUPLING FOR RAILWAY VEHICLE, AND RAILWAY VEHICLE BOGIE EQUIPPED WITH SAME
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明 細 書

発明の名称 鉄道車両用歯車形撓み軸継手及びそれを備えた鉄道車両用台車

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047  

符号の説明

0048  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 鉄道車両用歯車形撓み軸継手及びそれを備えた鉄道車両用台車

技術分野

[0001]
 本発明は、鉄道車両の台車に適用される歯車形撓み軸継手、および歯車形撓み軸継手を備えた鉄道車両用台車に関する。

背景技術

[0002]
 鉄道車両用台車には、動力源で発生されたトルクを輪軸に伝達する動力伝達装置が搭載される。例えば、特許文献1に示すように、動力伝達装置には、歯車形撓み軸継手を備えたものがある。歯車形撓み軸継手は、スリーブの内歯とハブの外歯の噛合い部分の傾き変位(スリーブの軸線に対するハブの軸線の傾斜角の変化)によって原動軸と被動軸との間の相対変位を許容しながら、原動軸から被動軸にトルクを伝達する。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 実開昭58-72526号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 歯車形撓み軸継手を用いた平行カルダン式駆動台車において、乗客の乗降等により台車の軸ばねのたわみによって台車枠の高さが変化するため、主電動機の回転軸と歯車装置の小歯車軸の高さにはズレ(相対変位)が生じる。かかるズレは、歯車形撓み軸継手の軸間の傾き変位によって吸収されるが、この傾き変位の許容角度(以下、「許容相対変位量」ともいう)は6°程度が限界とされている。そのため、乗り心地を改善すべく軸ばねの上下ばね定数を柔らかくしようとすると、軸ばねの上下たわみが増加し、歯車形撓み軸継手の許容角度の限界を超えるという問題がある。
[0005]
 また、操舵台車においては、操舵時に車軸がヨーイング方向に変位するため、主電動機の回転軸と歯車装置の小歯車軸には相対変位が生じる。そのため、平行カルダン式の操舵台車においては、軸ばねの上下たわみだけでなく操舵による相対変位が加わるため、許容相対変位量を大きく超えてしまうことになる。このように、平行カルダン式駆動台車においては操舵機能を付加させることは難しいという問題がある。
[0006]
 本発明は、許容相対変位量が大きい、鉄道車両用の歯車形撓み軸継手を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明の一形態に係る鉄道車両用歯車形撓み軸継手は、2つの外歯車と、前記2つの外歯車それぞれと噛み合う2つの内歯車と、を備え、歯厚方向に見て、前記外歯車の歯先は、歯幅方向中央で軸心からの距離が最大となり、歯幅方向両端で軸心からの距離が最小となるよう、歯先クラウニング半径の円弧を成し、歯厚方向に見て、前記外歯車の歯元は、歯幅方向中央で軸心からの距離が最大となり、歯幅方向両端で軸心からの距離が最小となるよう、歯元クラウニング半径の円弧を成し、前記歯元クラウニング半径が前記歯先クラウニング半径よりも小さく、前記外歯車は、歯幅方向中央位置の歯丈である基準歯丈が、歯幅方向端位置の歯丈である端歯丈よりも小さくなるように形成され、前記端歯丈の前記基準歯丈に対する比率が、1.21以上に設定される。
[0008]
 本発明の別の形態に係る鉄道車両用歯車形撓み軸継手は、2つの外歯車と、前記2つの外歯車それぞれと噛み合う2つの内歯車と、を備え、歯厚方向に見て、前記外歯車の歯先は、歯幅方向中央で軸心からの距離が最大となり、歯幅方向両端で軸心からの距離が最小となるよう、歯先クラウニング半径の円弧を成し、歯厚方向に見て、前記外歯車の歯元は、歯幅方向中央で軸心からの距離が最大となり、歯幅方向両端で軸心からの距離が最小となるよう、歯元クラウニング半径の円弧を成し、前記歯元クラウニング半径は前記歯先クラウニング半径よりも小さく、前記外歯の歯丈は、歯幅方向中央から歯幅方向両端に向かうにつれて大きくなっており、前記歯先クラウニング半径に対する前記歯元クラウニング半径の比率Rb/Rcが、0.37以下に設定される。
[0009]
 前記構成によれば、歯厚方向に見て外歯車の歯先を円弧状に形成することで、外歯車の軸線を内歯車の軸線に対して傾斜させることが可能になる。基準歯丈を端歯丈よりも小さくなるように形成するにあたり、端歯丈の基準歯丈に対する比率を1.21以上に設定することで、かつ/または、歯先クラウニング半径に対する歯元クラウニング半径の比率を0.37以下に設定することで、内歯車の軸線に対する外歯車の軸線の傾斜角の許容値(以下、「許容傾斜角」という)を6度を超えるように設定することが可能になる。許容傾斜角が大きくなるので、2軸間で許容される相対変位量を大きくすることができる。
[0010]
 本発明の一形態に係る鉄道車両用台車は、車体を支持する台車枠と、車軸、および当該車軸の両端に設けられた車輪を有する輪軸と、前記台車枠に設けられ、その出力軸が前記車軸と平行に延びる主電動機と、前記車軸に回転を伝達する歯車装置と、前記主電動機と前記歯車装置との間に配置された上述の鉄道車両用歯車形撓み軸継手とを備える。

発明の効果

[0011]
 本発明によれば、許容相対変位量が大きい、鉄道車両用の歯車形撓み軸継手を提供できる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 実施形態に係る歯車形撓み軸継手が適用された鉄道車両の台車の平面図である。
[図2] 実施形態に係る歯車形撓み軸継手の軸方向断面図である。
[図3] 実施形態に係る外歯車および内歯車の径方向断面図である。
[図4] 外歯の径方向直交断面図である。
[図5] 図5A-Cは、歯車形撓み軸継手が原動軸の被動軸に対する相対変位を許容している状態を示す。図5Aは、歯車形撓み軸継手の軸方向断面図、図5Bは、歯車形撓み軸継手の部分側面図、図5Cは、外歯の内歯に対する位置および姿勢を表した模式図である。
[図6] 外歯および内歯の径方向直交断面図であり、歯面クラウニング半径Raおよび許容傾斜角δMの説明図である。
[図7] 外歯車の斜視図である。
[図8] 外歯車の軸方向断面図であり、歯先クラウニング半径Rb、歯元クラウニング半径Rc、基準歯丈h0および端歯丈heの説明図である。
[図9] 歯元クラウニング半径Rcに対する、歯面クラウニング半径Raあるいは許容傾斜角δMの関係を示すグラフである。
[図10] 許容傾斜角δMに対する、半径比率Rc/Rbの関係を示すグラフである。
[図11] 許容傾斜角δMに対する、歯丈比率he/h0の関係を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0013]
 以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。全図を通じて同一又は対応する要素には同一の符号を付して重複する詳細な説明を省略する。
[0014]
 (台車)
 図1は、実施形態に係る歯車形撓み軸継手10が適用された鉄道車両の平行カルダン式駆動台車1(以下、単に「台車」という)の平面図である。台車1は、不図示の車体を下から支持する台車枠2を備えている。例示の台車1では、2つの輪軸3が、車両長手方向に離れて配置され、不図示の軸箱支持装置を介して台車枠2に弾性的に支持されている。各輪軸3は、車両幅方向に延びる車軸4、および車軸4の両端に設けられた一対の車輪5を有する。台車枠2(例えば、その横梁2a)には、2つの輪軸3をそれぞれ回転駆動する2つの主電動機6が設けられている。各主電動機6の出力軸6aは、車軸4と平行に向けられ、歯車形撓み軸継手10を介して歯車装置7の入力軸7aと連結されている。歯車装置7は平行軸式歯車対で構成され、入力軸7aは車軸4と平行に向けられている。歯車形撓み軸継手10は、主電動機6と歯車装置7との間に配置される。歯車装置7は、回転を車軸4に伝達する。歯車装置7は、入力軸7aに固定された小歯車7b、および小歯車7bと噛合されて車軸4に固定された大歯車7cを有する。主電動機6で発生されたトルクは、歯車形撓み軸継手10および歯車装置7を介し、対応する輪軸3に伝達される。
[0015]
 軸箱支持装置は、台車1の一次サスペンションとして機能する。主電動機6はバネ上の台車枠2に固定され、歯車装置7はバネ下の輪軸3に固定されている。軸箱支持装置の撓みに応じて、出力軸6aは、入力軸7aに対して相対変位し得る。歯車形撓み軸継手10は、この相対変位を許容しながら、出力軸6aから入力軸7aへとトルクを伝達する。「相対変位」には、軸方向変位、平行変位(径方向変位)、角度変位が含まれる。
[0016]
 (歯車形撓み軸継手)
 図2は、歯車形撓み軸継手10を示す軸方向断面図である。歯車形撓み軸継手10は、原動ハブ11、被動ハブ21、およびスリーブ30を備える。原動軸91(図1の例では、主電動機6の出力軸6a)が原動ハブ11に固定される一方で、被動軸92(図1の例では、歯車装置7の入力軸7a)が被動ハブ21に固定される。
[0017]
 原動ハブ11は、円筒状に形成された円筒部12、および円筒部12の外周面に設けられた外歯車13を含む。外歯車13は、円筒部12から径方向外側に突出する突出部13a、および突出部13aから軸方向外側に突出して円筒部12を外囲するリング状に形成された根元部13b、根元部13bから径方向外側に突出する複数の外歯14を有する。複数の外歯14は、根元部13bの周方向に等間隔をおいて並べられている。原動ハブ11と同様にして、被動ハブ21は円筒部22および外歯車23を含み、外歯車13と同様にして、外歯車23は突出部23a、根元部23bおよび複数の外歯24を有する。
[0018]
 スリーブ30は、円筒状に形成され、軸方向両端に開口を有している。2つの内歯車31,32が、スリーブ30の内周面に軸方向に離れて設けられている。内歯車31は、スリーブ30の内周面から突出する複数の内歯33を有する。複数の内歯33は、スリーブ30の周方向に等間隔をおいて並べられている。内歯車31と同様にして、内歯車32は複数の内歯34を有する。外歯14および内歯33の数は同じであり、外歯24および内歯34の数は同じである。
[0019]
 原動ハブ11はスリーブ30の軸方向一方側に収納され、外歯車13が内歯車31に噛合されている。被動ハブ21はスリーブ30の軸方向他方側に収納され、外歯車23が内歯車32に噛合されている。このように、歯車形撓み軸継手10は、2つの外歯車13,23と、2つの外歯車13,23それぞれと噛み合う2つの内歯車31,32とを備えている。
[0020]
 組立性を考慮して、スリーブ30は、軸方向の一方側半部を構成する第1分割体30A、および軸方向の他方側半部を構成する第2分割体30Bを備えている。スリーブ30は、軸方向に突き合わされた2つの分割体30A,30Bを複数のリーマボルト39で連結することによって構成される。第1分割体30Aは、内歯車31を備え、原動ハブ11を収納する。第2分割体30Bは、内歯車32を備え、被動ハブ21を収納する。
[0021]
 円筒部12は、その中心部に、軸方向外端面に開放されて軸方向に延びる軸挿入孔12aを有する。原動軸91の先端が、軸挿入孔12aに挿入される。原動軸91は、その先端を軸挿入孔12aに挿入した状態で、ネジ、スプラインおよび/またはキーといった締結手段を用いて原動ハブ11(およびその外歯車13)に結合されている。円筒部12と同様にして、円筒部22も軸挿入孔22aを有し、原動軸91と同様にして、被動軸92も軸挿入孔22aに挿入されて被動ハブ21(およびその外歯車23)に結合される。
[0022]
 原動軸91が回転すると、原動ハブ11が原動軸91と一体回転する。原動ハブ11の回転は、外歯車13と内歯車31との接触部位を介してスリーブ30に伝達される。スリーブ30の回転は、内歯車32と外歯車23との接触部位を介して被動ハブ21に伝達され、それにより被動軸92が被動ハブ21と一体回転する。
[0023]
 図3は、外歯車13および内歯車31の径方向断面図である。外歯14も内歯33も、歯厚方向中心線Cに対し、線対称の断面形状を有している。外歯車13および内歯車31の基準断面歯形は、外歯14および内歯33の歯数(以下、「実歯数N0」という)よりも多い歯数(以下、「歯形歯数N」という)のインボリュート歯形を採用する。歯形歯数Nは、実歯数N0のインボリュート形状の製造時に要求される公差を超える形状を得るために、実歯数N0に対して十分に大きい値に設定される。一例として、歯形歯数Nは、実歯数N0よりも25%以上大きい値に設定される。歯形歯数Nは無限大に設定されていてもよい。その場合、基準断面歯形は、等脚台形になる。なお、詳細図示を省略するが、外歯車23の外歯24および内歯車32の内歯34の基準断面歯形も、上記同様に形成されている。
[0024]
 図4は、外歯車13(特に、そのうち1つの外歯14)の径方向直交断面図である。図4に示すように、外歯14は、2つの歯面14aを有する。本実施形態では、2つの歯面14a両方に、円弧状の膨らみ(いわゆる「歯面クラウニング」)が付けられており、どちらの歯面14aも、径方向直交断面視において円弧を成している。以下、この円弧の半径を「歯面クラウニング半径Ra」という。円弧の中心は、外歯14の径方向直交断面視において、歯幅方向中心線上に位置する。両面に歯面クラウニングを付けることで、外歯14の歯厚は、歯幅方向中央位置で最大となり、歯幅方向端位置で最小となる。径方向直交断面視において、各歯面14aは、歯幅方向中心線を基準にして線対称に形成され、2つの歯面14aは、歯厚方向中心線を基準にして線対称に形成されている。
[0025]
 また、外歯車13の歯先の直径は内歯車31の歯元の直径と略同じ(僅かに小さい)に設定されている。それにより、原動ハブ11のスリーブ30に対する芯ずれが生じず、振動およびこれに伴う騒音を低減できる。
[0026]
 図5A-Cは、歯車形撓み軸継手10が原動軸91の被動軸92に対する相対変位を許容している状態を示す。図5Aに示すように、原動軸91の被動軸92に対する相対変位は、原動ハブ11および/または被動ハブ21が、スリーブ30に対して傾斜することによって許容される。傾斜の程度は、スリーブ30の中心線に対する原動ハブ11または被動ハブ21の中心線に対する傾斜角δで表される。
[0027]
 図5Bおよび5Cでは、原動ハブ11のスリーブ30に対する傾斜を図示している。図5Bおよび5Cに示すように、原動ハブ11がスリーブ30に対して傾斜している状態では、180度離れた2位置(図示例では、θ=90°,270°の2位置)で外歯14が内歯33と接触し、それによりハブ-スリーブ間の動力伝達を可能にしている。接触状態にある外歯14と内歯33においては、外歯14の歯幅方向が内歯33の歯幅方向に対して傾斜角δだけ傾斜する。それにより、内歯33は、外歯14の歯面のうち歯幅方向において中央と端との中間の部位と接触する。
[0028]
 傾斜角δが大きいほど、軸間の相対変位量は大きい。逆にいえば、歯車形撓み軸継手10において許容される相対変位量を大きくするには、傾斜角δの許容値(以下、「許容傾斜角δM」(図6を参照))を大きくすることを求められる。
[0029]
 図6は、外歯車13の外歯14および内歯車31の内歯33の径方向直交断面図である。この図では、原動ハブ11がスリーブ30に対して許容傾斜角δMだけ傾斜している。以下、この場合に外歯14の歯面14aのうち内歯33と接触している部位を「限界接触部位PM」という。限界接触部位PMは、歯幅端に設定することは現実的でなく、それよりも僅かに歯幅方向中央寄り(一例として、1mm程度)の位置に設定される。
[0030]
 歯面14aの円弧の中心と限界接触部位PMとを通過する直線と、歯面14aの円弧の中心を通過して外歯14の歯厚方向に延びる直線との成す角が、許容傾斜角δMである。原動ハブ11がスリーブ30に対して許容傾斜角δMを超えて傾斜すると、内歯33と接触可能な外歯14が無くなり、動力伝達不能となる。歯面14aの円弧の中心から限界接触部位PMまでの距離は、歯面クラウニング半径Raである。径方向直交断面において、歯厚方向は歯幅方向と直交する。
[0031]
 以上より、歯面クラウニング半径Ra、歯幅方向中央から限界接触部位PMまでの距離BM、および許容傾斜角δMは、次式:Ra=BM/sinδM を充たす。許容傾斜角δMを大きくするためには、歯面クラウニング半径Raを小さくし、かつ/または、距離BMを大きくすることが必要になる。距離BMを増大するには、外歯14の歯幅の増大を必要とするが、歯車形撓み軸継手10が適用される台車1の設計制約から歯幅の増大には限界がある。本実施形態では、台車1への適用を考慮して、歯幅は24mm以下に抑えられている。
[0032]
 図7は、外歯車13の斜視図である。ここで、「歯幅B」は、外歯14の歯幅方向一端から歯幅方向他端までの歯幅方向距離である。外歯14の歯筋は一例として直歯であり、歯幅方向は軸方向と一致する。「歯丈hi」は、歯幅方向における任意位置において、歯厚方向中心線C上における歯先14bから歯元14cまでの距離である。
[0033]
 歯厚方向に見て、外歯14の歯先14bも歯元14cも、歯幅方向中央で軸心からの距離が最大となり、歯幅方向両端で軸心からの距離が最小となるように、円弧を成している。以下、歯先14bが成す円弧の半径を「歯先クラウニング半径Rb」とし、歯元14cが成す円弧の半径を「歯元クラウニング半径Rc」とする。
[0034]
 歯幅方向に見て、外歯14の歯先14bは、歯厚方向中央で軸心からの距離が最大となり、歯厚方向両端で軸心からの距離が最小となるように、歯先クラウニング半径Rbの円弧を成している。すなわち、外歯14の歯先14bは球面を形成している。
[0035]
 歯厚方向に見て、歯先14bが成す円弧も歯元14cが成す円弧も、歯幅方向中央と軸心とを通過する歯幅方向中心線を基準として、線対称になる。そのため、歯幅方向における任意位置での歯丈は、当該任意位置と歯幅方向中心線Cからの距離が同じとなる線対称位置での歯丈と同値となる。以下、歯幅方向中央位置での歯丈を「基準歯丈h0」といい、歯幅方向端位置での歯丈を「端歯丈he」という。
[0036]
 図8は、外歯車13の軸方向断面図である。歯元クラウニング半径Rcは、歯先クラウニング半径Rbよりも小さい。なお、歯先14bの円弧と歯元14cの円弧が同心であっても、両半径Rb,Rcの寸法関係はこのようになる。本実施形態では、歯先14bの円弧(球面)の中心が軸心上にある。一方で、歯元14cの円弧の中心は、歯厚方向に見たときに歯幅方向中心線上にあるものの、軸心よりも外歯14に近位に位置付けられている。
[0037]
 歯先14bの円弧および歯元14cの円弧がこのように設定されているので、歯丈hiは、歯幅方向の位置によって変化する。基準歯丈h0は、端歯丈heよりも小さくなるように形成される。更に言えば、歯丈hiは、歯幅方向中央位置で最小となり、歯幅方向において歯幅方向中央位置から離れるほど大きくなり、歯幅方向端位置で最大となる。基準歯丈h0は、歯幅方向の位置によって変化する歯丈hiの最小値であり、端歯丈heは、歯丈hiの最大値である。
[0038]
 図9は、歯面クラウニング半径Raと歯元クラウニング半径Rcとの関係を示すグラフである。前述したとおり、歯面クラウニング半径Raは、許容傾斜角δMの正弦(sinδM)と反比例することから、当該グラフは、許容傾斜角δMと歯元クラウニング半径Rcとの関係を間接的に示している。この関係性は、加工上の制約から生じる。加工工具を外歯車13の外から進入させていくことによって、歯面14aに歯面クラウニングが付与される。歯面クラウニング半径Raを小さくする(歯面クラウニングの曲率を大きくする)ためには、歯幅方向端位置においてより深く加工工具を進入させる必要があり、歯幅方向端位置における歯丈(端歯丈he)を大きく確保していなければ、工具が歯と干渉する。歯元クラウニング半径Rcの小径化は、上述のとおり、端歯丈heの増大化と関連する。以上より、加工上の制約から、歯面クラウニング半径Raの小径化には、歯元クラウニング半径Rcの小径化が必要となる。また、歯元クラウニング半径Rcを小径化し、端歯丈heを増大化すれば、歯面クラウニング半径Raを小径化でき、歯幅の増大を伴わずとも許容傾斜角δMを大きくすることができる。
[0039]
 図10は、半径比率Rc/Rbと許容傾斜角δMとの関係を示すグラフであり、図11は、歯丈比率he/h0との関係を示すグラフである。半径比率Rc/Rbは、歯先クラウニング半径Rbに対する歯元クラウニング半径Rcの比率である。歯丈比率he/h0は、基準歯丈h0に対する端歯丈heの比率である。図10に示すように、半径比率Rc/Rbが小さくなるほど、(歯面クラウニング半径Raの小径化を実現でき、)許容傾斜角δMが増大する。図11に示すように、歯丈比率he/h0が大きくなるほど、(歯元クラウニング半径Rcの小径化に伴う歯面クラウニング半径Raの小径化を実現でき、)許容傾斜角δMが増大する。
[0040]
 従前の鉄道車両用の歯車形撓み軸継手では、歯幅24mm以下において、許容傾斜角δMはおおむね6°が限界である。
[0041]
 本実施形態に係る歯車形撓み軸継手は、歯幅Bを24mm以下に抑えたうえで、半径比率Rc/Rbが0.37以下に設定される。これにより、許容傾斜角δMが6°を超える歯車形撓み軸継手10を提供できる。半径比率Rc/Rbは好ましくは、0.30~0.36に設定される。これにより、許容傾斜角δMが7°から12°の歯車形撓み軸継手10を提供できる。
[0042]
 また、本実施形態に係る歯車形撓み軸継手10は、歯幅Bを24mm以下に抑えたうえで、歯丈比率he/h0が1.21以上に設定される。これにより、許容傾斜角δMが6°を超える歯車形撓み軸継手10を提供できる。歯丈比率he/h0は好ましくは、1.22~1.29に設定される。これにより、許容傾斜角δMが7°から12°の歯車形撓み軸継手10を提供できる。このように許容傾斜角δMが6°を超える歯車形撓み軸継手10を鉄道車両用台車に適用することにより、従来実現できなかった平行カルダン式駆動台車に操舵機能を付加させることができる。
[0043]
 なお、歯幅Bを24mm、歯幅方向中心から限界接触部位までの歯幅方向距離BMを11mm、歯面クラウニング半径Raを90mmに設定する条件下において、許容傾斜角δMを7°に設定することができる。このとき、歯元クラウニング半径Rcは29mmに設定することで、半径比率Rc/Rbおよび歯丈比率he/h0が上記数値範囲を充たすことができる。また、成形加工法による歯面クラウニングの付与を実現できる。
[0044]
 なお、歯幅Bを24mmに設定する条件下で、歯元クラウニング半径Rcが29mmの小さな値に設定されるが、成形加工法を用いて外歯14が形成されている。成形加工法の採用により、ホブ盤を用いた創成加工法とは異なり、歯元にアンダーカット(えぐれ)を生じさせずに、小半径のクラウニングを歯面14aに付与できる。そのため、歯元の曲げ強度の低下を防ぐこと(ひいては伝達動力の増加)と、許容傾斜角δMを大きくすることとを両立できる。また、成形加工法の採用により、歯車材に対する工具の切り込みが歯幅中央に対して対称となるので、創成加工法と比べ、歯面14aを歯幅中央に対して線対称に成形しやすくなる。そのため、外歯車が内歯車に対して傾斜しているときに、180度離れた2位置間において外歯と内歯との均等な接触を実現でき、振動騒音を低減できる。
[0045]
 また、外歯車13の歯先の直径は内歯車31の歯元の直径と略同じに設定されている。そのため、ハブ11,21がスリーブ30に対して芯ずれを生じにくく、この点からも振動騒音を低減できる。
[0046]
 そして、本実施形態では、基準断面歯形が、外歯車および内歯車よりも多い歯数のインボリュート歯車の歯形としている。そのため、基準断面歯形が通常のインボリュート歯形である場合と比べ、歯幅端断面における歯形圧力角の変化が小さい。そのため、異常摩耗や焼付きが生じにくく、伝達動力が増加する。
[0047]
 これまで実施形態について説明したが、上記構成は本発明の趣旨の範囲内で適宜変更、削除および/または追加可能である。

符号の説明

[0048]
1 鉄道車両用台車
2 台車枠
3 輪軸
4 車軸
5 車輪
6 主電動機
6a 出力軸
7 歯車装置
10 歯車形撓み軸継手
13,23 外歯車
31,32 内歯車
Rb 歯先クラウニング半径
Rc 歯元クラウニング半径
Rc/Rb 半径比率
h0 基準歯丈
he 端歯丈
he/h0 歯丈比率

請求の範囲

[請求項1]
 2つの外歯車と、
 前記2つの外歯車それぞれと噛み合う2つの内歯車と、を備え、
 歯厚方向に見て、前記外歯車の歯先は、歯幅方向中央で軸心からの距離が最大となり、歯幅方向両端で軸心からの距離が最小となるよう、歯先クラウニング半径の円弧を成し、
 歯厚方向に見て、前記外歯車の歯元は、歯幅方向中央で軸心からの距離が最大となり、歯幅方向両端で軸心からの距離が最小となるよう、歯元クラウニング半径の円弧を成し、
 前記歯元クラウニング半径が前記歯先クラウニング半径よりも小さく、前記外歯車は、歯幅方向中央位置の歯丈である基準歯丈が、歯幅方向端位置の歯丈である端歯丈よりも小さくなるように形成され、
 前記端歯丈の前記基準歯丈に対する比率が、1.21以上に設定される、鉄道車両用歯車形撓み軸継手。
[請求項2]
 2つの外歯車と、
 前記2つの外歯車それぞれと噛み合う2つの内歯車と、を備え、
 歯厚方向に見て、前記外歯車の歯先は、歯幅方向中央で軸心からの距離が最大となり、歯幅方向両端で軸心からの距離が最小となるよう、歯先クラウニング半径の円弧を成し、
 歯厚方向に見て、前記外歯車の歯元は、歯幅方向中央で軸心からの距離が最大となり、歯幅方向両端で軸心からの距離が最小となるよう、歯元クラウニング半径の円弧を成し、
 前記歯元クラウニング半径は前記歯先クラウニング半径よりも小さく、前記外歯の歯丈は、歯幅方向中央から歯幅方向両端に向かうにつれて大きくなっており、
 前記歯先クラウニング半径に対する前記歯元クラウニング半径の比率Rc/Rbが、0.37以下に設定される、鉄道車両用歯車形撓み軸継手。
[請求項3]
 前記外歯車の歯幅が24mm以下である、請求項1または2に記載の鉄道車両用歯車形撓み軸継手。
[請求項4]
 前記外歯車および前記内歯車の基準断面歯形が、前記外歯車および前記内歯車のモジュールと同じモジュールで前記外歯車および前記内歯車の歯数よりも多い歯数のインボリュート歯車の歯形である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の鉄道車両用歯車形撓み軸継手。
[請求項5]
 前記外歯車の歯先の直径は、前記内歯車の歯元の直径と略同じである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の鉄道車両用歯車形撓み軸継手。
[請求項6]
 車体を支持する台車枠と、
 車軸、および当該車軸の両端に設けられた車輪を有する輪軸と、
 前記台車枠に設けられ、その出力軸が前記車軸と平行に延びる主電動機と、
 前記車軸に回転を伝達する歯車装置と、
 前記主電動機と前記歯車装置との間に配置される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の鉄道車両用歯車形撓み軸継手とを備える、鉄道車両用台車。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]