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1. (WO2018230568) POWDER MIXTURE FOR POWDER METALLURGY AND METHOD OF MANUFACTURING SAME
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明 細 書

発明の名称 粉末冶金用粉末混合物およびその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

発明の効果

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041  

実施例

0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 粉末冶金用粉末混合物およびその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、粉末冶金用粉末混合物に関し、特に、成形時に少ない力で金型から抜出すことができ、型かじりが抑制された粉末冶金用粉末混合物に関する。また本発明は、前記粉末冶金用粉末混合物の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 粉末冶金においては、鉄基粉末を主成分とする原料粉末を、金型を用いて成形して成形品(圧粉体)とし、前記成形品を焼結することによって焼結部品が製造される。そして、前記成形の際の成形性を良好にすることを目的として、前記原料粉末に潤滑剤を添加することや、前記成形に用いる金型の表面に潤滑剤を付着させておくことが、一般的に行われている。潤滑剤を使用しないと、原料粉末に含まれる鉄基粉末と金型とが直接接触するため、摩擦力が大きくなる。そしてその結果、成形時に目的とする圧粉密度にまで圧縮することができなかったり、成形後に成形品を金型から抜き出すときに大きな力を要したりするといった問題が生じる。
[0003]
このような理由から、圧粉成形に際して、様々な潤滑剤が用いられている。前記潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸、あるいはエチレンビスステアロアミドなどのアミド系潤滑剤が使用されている。
[0004]
 また、特許文献1では、潤滑性向上のために黒鉛粉を用いることが提案されている。鉄基粉末の表面に黒鉛を被覆することにより、該鉄基粉末表面の潤滑性が向上する。また、黒鉛が介在することによって鉄基粉末と金型との直接接触が回避されるため、型かじりが防止される。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2005-330547号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 特許文献1で提案されているように、黒鉛粉が被覆された鉄基粉末を用いることによって、成形時の摩擦を低減し、金型からの抜出し力を低減することができる。しかし、特許文献1の粉末混合物には以下のような問題があることが分かった。
[0007]
 特許文献1では、黒鉛およびバインダを水または有機溶媒に分散した分散液を使用して、鉄基粉末の表面に黒鉛粉を被覆しているため、液体状の原料を取り扱うことができる製造設備が必要となる。特に、使用済みの溶媒を回収し、処理するための装置を設ける必要がある。
[0008]
 また、特許文献1では鉄基粉末に黒鉛粉を付着させるためにバインダが使用されているが、上記方法で得られる粉末混合物を調査した結果、鉄基粉末に付着した黒鉛粉の表面にもバインダが存在していることが分かった。粉末の表面にバインダが存在する結果、粉末混合物の流動性を十分に向上させることができない。
[0009]
 本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、流動性に極めて優れ、少ない力で圧粉成形金型から抜出すことができ、成形時の型かじりが抑制された粉末冶金用粉末混合物を提供することを目的とする。また本発明は、溶媒を使用することなく、前記粉末冶金用粉末混合物を製造する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、以下の知見を得た。
[0011]
(1)原料粉末、黒鉛粉、およびバインダを同時に混合すると、黒鉛粉の表面にもバインダが被覆されてしまい、原料粉末の最表面に均一に黒鉛を被覆することができない。
[0012]
(2)原料粉末の表面にバインダを被覆した後に、微細な黒鉛粉を被覆することにより、黒鉛粉の表面がバインダで被覆されてしまうことを防止できる。そしてその結果、流動性に極めて優れ、成形時に少ない力で金型から抜出すことができ、型かじりが抑制された粉末冶金用粉末混合物を得ることができる。
[0013]
 本発明は、上記知見に立脚するものであり、その要旨構成は次のとおりである。
[0014]
1.原料粉末と、バインダと、黒鉛粉とを含む粉末冶金用粉末混合物であって、
 前記原料粉末が、該原料粉末の90質量%以上の鉄基粉末を含有し、
 前記黒鉛粉の平均粒径が5μm未満であり、
 前記原料粉末の質量(m )と前記黒鉛粉の質量(m )の合計に対する前記バインダの質量(m )の比率[m /(m +m )×100]が、0.10~0.80質量%であり、
 前記原料粉末の質量(m )と前記黒鉛粉の質量(m )の合計に対する前記黒鉛粉の質量(m )の比率[m /(m +m )×100]が、0.6~1.0質量%であり、
 前記原料粉末の表面が、前記バインダの少なくとも一部で被覆されており、
 前記原料粉末の表面に被覆された前記バインダの表面が、前記黒鉛粉の少なくとも一部で被覆されている、粉末冶金用粉末混合物。
[0015]
2.前記バインダが、脂肪酸アミド、共重合ポリアミド、ポリウレタン、およびポリエチレンからなる群より選択される1または2以上である、上記1の粉末冶金用粉末混合物。
[0016]
3.前記原料粉末が、合金用粉末および切削性改善材粉からなる群より選択される1または2以上の副原料を含有する、上記1または2に記載の粉末冶金用粉末混合物。
[0017]
4.原料粉末とバインダとを、前記バインダの融点以上の温度で混合してバインダ被覆粉末とする第1混合工程と、
 前記バインダ被覆粉末と平均粒径が5μm未満の黒鉛粉とを、前記バインダの融点以上の温度で混合して粉末冶金用粉末混合物とする第2混合工程とを有し、
 前記原料粉末が、該原料粉末の90質量%以上の鉄基粉末を含有し、
 前記原料粉末の質量(m )と前記黒鉛粉の質量(m )の合計に対する前記バインダの質量(m )の比率[m /(m +m )×100]が、0.10~0.80質量%であり、
 前記原料粉末の質量(m )と前記黒鉛粉の質量(m )の合計に対する前記黒鉛粉の質量(m )の比率[m /(m +m )×100]が、0.6~1.0質量%である、
粉末冶金用粉末混合物の製造方法。
[0018]
5.前記バインダが、脂肪酸アミド、共重合ポリアミド、ポリウレタン、およびポリエチレンからなる群より選択される1または2以上である、上記4の粉末冶金用粉末混合物の製造方法。
[0019]
6.前記原料粉末が、合金用粉末および切削性改善材粉からなる群より選択される1または2以上の副原料を含有する、上記4または5に記載の粉末冶金用粉末混合物の製造方法。

発明の効果

[0020]
 本発明の粉末冶金用粉末混合物は、極めて優れた流動性を有している。そのため、成形時に少ない力で金型から抜出すことができるとともに、型かじりを生ずることなく連続成形を行うことができる。したがって、成形品の歩留まりが向上し、高い生産性を実現することができる。また、本発明の製造方法によれば、溶媒を用いることなく前記粉末冶金用粉末混合物を製造することができる。

発明を実施するための形態

[0021]
 以下、本発明を具体的に説明する。
[0022]
 本発明の粉末冶金用粉末混合物は、原料粉末と、バインダと、黒鉛粉とを必須成分として含む。以下、前記各成分について説明する。
[0023]
[原料粉末]
 上記原料粉末としては、鉄基粉末を含有する粉末を使用する。原料粉末中における鉄基粉末の比率は、90質量%以上であればよいが、95質量%以上とすることがより好ましい。一方、原料粉末中における鉄基粉末の比率の上限は特に限定されず、100質量%とすることもできる。すなわち、前記原料粉末は、鉄基粉末のみからなるものであってもよい。しかし、最終的に得られる焼結体に様々な特性を付与するという観点からは、鉄基粉末と後述する副原料とからなる混合粉末を前記原料粉末として用いることが好ましい。
[0024]
[鉄基粉末]
 上記鉄基粉末としては、特に限定されることなく、任意のものを用いることができる。前記鉄基粉末の例としては、鉄粉(いわゆる純鉄粉)や合金鋼粉が挙げられる。前記合金鋼粉としては、合金元素を溶製時に予め合金化した予合金鋼粉(完全合金化鋼粉)、鉄粉に合金元素を部分拡散させて合金化した部分拡散合金化鋼粉、および予合金化鋼粉にさらに合金元素を部分拡散させたハイブリッド鋼粉からなる群より選択される1または2以上を用いることが好ましい。なお、ここで「鉄基粉末」とは、Fe含有量が50質量%以上である金属粉末を指し、「鉄粉」とは、Feおよび不可避不純物からなる粉末を指すものとする。
[0025]
 前記鉄基粉末の製造方法についても限定されず、任意の方法で製造された鉄基粉末を用いることができる。好適に使用できる鉄基粉末の例としては、アトマイズ法によって製造されるアトマイズ鉄基粉末(atomized iron-based powder)や、還元法によって製造される還元鉄基粉末(reduced iron-based powder)などが挙げられる。
[0026]
 前記鉄基粉末の平均粒径は、特に限定されないが、70~100μmとすることが好ましい。なお、鉄基粉末の粒径は、特に断りがない限り、JISZ 2510:2004に準拠した乾式ふるい分けによる測定値とする。
[0027]
[副原料]
 上記副原料としては、特に限定されることなく、粉末冶金において副原料として一般的に用いられるものなど任意のものを用いることができる。前記副原料としては、合金用粉末および切削性改善材粉からなる群より選択される1または2以上を用いることが好ましい。前記合金用粉末としては、一般的には金属粉末を用いることができる。前記金属粉末としては、例えば、Cu粉、Ni粉、およびMo粉からなる群より選択される1または2以上を用いることが好ましい。また、前記切削性改善材粉としては、例えば、MnSなどが挙げられる。原料粉末における前記副原料の比率は、10質量%以下とする。
[0028]
[バインダ]
 前記原料粉末の表面は、バインダの少なくとも一部で被覆される。前記バインダとしては、原料粉末の表面に黒鉛粉を付着させることができるものであれば、任意のものを用いることができる。例えば、脂肪酸モノアミドや脂肪酸ビスアミドなどの脂肪酸アミド、有機樹脂からなる群より選択される1または2以上を用いることができる。中でも、有機樹脂を用いることが好ましく、共重合ポリアミド、ポリウレタン、およびポリエチレンからなる群より選択される1または2以上の樹脂を用いることがより好ましい。
[0029]
バインダの添加量:0.10~0.80質量%
 前記バインダの添加量が0.10質量%未満であると、原料粉末の表面をバインダで十分に被覆することができない。そのため、バインダの添加量を0.10質量%以上とする。一方、バインダの添加量が0.80質量%を超えると バインダが黒鉛粉の表面も被覆してしまい、流動性が低下する。そのため、バインダの添加量を0.80質量%以下とする。なお、ここでバインダの添加量は、原料粉末の質量(m )と黒鉛粉の質量(m )の合計に対する前記バインダの質量(m )の比率[m /(m +m )×100]と定義する。言い換えると、原料粉末と黒鉛粉の合計質量を100質量部としたときの前記バインダの質量を0.10~0.80質量部とする。
[0030]
 前記バインダは、粉末状であることが好ましい。前記バインダの平均粒径が5μm未満であると、当該粒径まで粉砕するためのコストが増大し、原料費が高くなってしまう。そのため、コストを削減するという観点からは、バインダの平均粒径を5μm以上とすることが好ましい。一方、バインダの平均粒径が100μmを超える場合、原料粉末と均一に混合するために要する時間が増大し、生産性が低下する。そのため、生産性をさらに向上させるという観点からは、バインダの平均粒径を100μm以下とすることが好ましい。
[0031]
 前記バインダの融点が60℃以上であれば、気温が高くなる夏場などにおいても粉末混合物の流動性が低下することを防止できる。そのため、バインダの融点は60℃以上であることが好ましい。一方、バインダの融点が160℃を越える場合、バインダの融点以上に加熱するために必要な時間やエネルギーが増大し、生産性が低下する。そのため、生産性をさらに向上させるという観点からは、バインダの融点を160℃以下であることが好ましい。
[0032]
[黒鉛粉]
 前記原料粉末の表面に被覆された前記バインダの表面は、黒鉛粉の少なくとも一部で被覆される。言い換えると、原料粉末の表面には、バインダを介して黒鉛粉が被覆される。バインダを介して鉄基粉末の表面を黒鉛粉で被覆することによって、鉄基粉末表面の潤滑性が向上する。また、黒鉛粉が介在することによって、鉄基粉末と金型との直接接触が回避されるため、金型表面に鉄基粉末が付着、堆積することがなく、その結果、型かじりが起き難くなる。
[0033]
黒鉛粉の平均粒径:5μm未満
 一般的に粉末冶金で用いられる黒鉛粉の粒径は5~20μm程度である。一方、鉄基粉末は、一般的に、平均粒径が70~80μm程度、最大で250μm程度である。黒鉛粉と鉄基粉末の粒径がこのような関係にある場合、黒鉛粉を鉄基粉末の表面に均一に被覆することが難しい。本発明では、鉄基粉末を含む原料粉末の表面に黒鉛粉を均一に被覆するために、黒鉛粉の平均粒径を5μm未満とする。一方、黒鉛粉の平均粒径の下限は特に限定されないが、過度に粒径を小さくすると、粉砕に必要なエネルギーが増大し、経済的に不利になる。そのため、黒鉛粉の平均粒径は100nm以上とすることが好ましい。
[0034]
黒鉛粉の添加量:0.6~1.0質量%
 黒鉛の添加量が0.6質量%未満であると、鉄基粉末の最表面を黒鉛粉で十分に被覆することができず、鉄基粉末の表面が露出する。そのため、黒鉛粉による被覆の効果を十分に得るためには、黒鉛粉の添加量を0.6質量%以上とする必要がある。一方、黒鉛粉は最終的に焼結時の浸炭に消費され、焼結体の強度などの特性を高めるが、黒鉛粉の添加量が1.0質量%を超えると、かえって焼結体の特性が低下する。そのため、黒鉛粉の添加量は1.0質量%以下とする。なお、ここで黒鉛粉の添加量は、原料粉末の質量(m )と黒鉛粉の質量(m )の合計に対する前記黒鉛粉の質量(m )の比率[m /(m +m )×100]と定義する。
[0035]
[製造方法]
 次に、上記粉末冶金用粉末混合物の製造方法について説明する。本発明の一実施形態における製造方法は、原料粉末とバインダとを、前記バインダの融点以上の温度で混合してバインダ被覆粉末とする第1混合工程と、前記バインダ被覆粉末と平均粒径が5μm未満の黒鉛粉とを、前記バインダの融点以上の温度で混合して粉末冶金用粉末混合物とする第2混合工程とを有する。
[0036]
 バインダと黒鉛粉とを予め混合してしまうと、バインダの粘度が増加し、その結果、原料粉末の表面に均一にバインダを被覆することが困難となる。そのため、黒鉛粉を被覆する工程に先立って、鉄基粉末の表面にバインダを被覆する工程を実施する。これにより、原料粉末の表面にバインダのみを均一に被覆することができる。上記観点からは、第1混合工程では原料粉末に対してバインダのみを添加混合することが好ましい。また、第2混合工程では、バインダが被覆された原料粉末(バインダ被覆粉末)に対して、さらにバインダを添加することなく、黒鉛粉のみを添加混合することが好ましい。
[0037]
 また、バインダと黒鉛粉を原料粉末の表面に同時に被覆すると、黒鉛粉の表面にもバインダが被覆されてしまうため、黒鉛粉による被覆の効果を十分に得ることができない。そこで、バインダを被覆した後に黒鉛粉を被覆することにより、黒鉛粉の表面がバインダで被覆されてしまうことを防止できる。言い換えると、本発明の方法で得られる粉末冶金用粉末混合物においては、原料粉末表面が、バインダを介して付着した黒鉛粉によって均一に被覆されている。また、原料粉末粒子表面にはバインダがほとんど露出しておらず、黒鉛粉が外側にあるため、流動性や金型成形時の抜出性に優れる。
[0038]
 第1混合工程および第2混合工程で用いる混合手段としては、特に制限はなく、各種公知の混合機など任意のものを使用できる。加熱が容易であるという観点からは、高速底部撹拌式混合機、傾斜回転パン型混合機、回転クワ型混合機、または円錐遊星スクリュー形混合機を用いることが好ましい。
[0039]
 前記第1混合工程および第2混合工程を実施する際の混合温度は、使用するバインダの融点(T )以上とする。なお、融点の異なる複数のバインダを併用する場合には、使用する複数のバインダの融点のうち最も高いものをT として用いる。前記混合温度は、T +20℃以上とすることが好ましく、T +50℃以上とすることがより好ましい。一方、前記混合温度の上限は特に限定されないが、混合温度を過度に高くすると生産効率が低下する、鉄基粉末が酸化するなどの弊害が生じるため、T +100℃以下とすることが好ましい。
[0040]
 上記のようにして得られた粉末混合物は、粉末冶金による焼結体の製造に用いることができる。前記焼結体の製造方法は特に限定されず、任意の方法で製造することができるが、通常は、前記粉末冶金用粉末混合物を金型に充填し圧縮成形し、必要に応じてサイジングを行った後、焼結すればよい。前記圧縮成形は、一般的に室温から180℃の温度領域で行われるが、特に圧粉体の密度を高くする必要がある場合には、粉体および金型を共に予熱しておいて成形する温間成形を採用することもできる。得られた焼結体は、さらに任意に浸炭焼入れ、光輝焼入れ、高周波焼入れなどの熱処理を施して、製品(機械部品等)とすることができる。
[0041]
 なお、本発明の粉末冶金用粉末混合物には、上記第2混合工程の後に、さらに任意に追加の副原料および潤滑剤の一方または両方を添加することもできる。前記追加の副原料としては、上述した原料粉末に含有させる副原料と同様のものを用いることができる。また、前記潤滑剤としては、有機樹脂ではない潤滑剤を用いることが好ましく、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸ビスアミド、および金属石鹸からなる群より選択される1または2以上の潤滑剤を用いることがより好ましい。
実施例
[0042]
 以下、実施例に基づいて本発明の構成および作用効果をより具体的に説明する。なお、本発明は下記の例に限定されるものではない。
[0043]
 以下の手順で粉末冶金用粉末混合物を製造した。まず、原料粉末とバインダとを、高速底部撹拌式混合機で混合しながら所定の混合温度に加熱した(第1混合工程)。前記原料粉末としては、鉄基粉末としての鉄粉(JFEスチール社製アトマイズ鉄粉JIP301A)および副原料としてのCu粉からなる原料粉末を用いた。使用したバインダの種類と、各成分の添加量、および混合温度を表1に示す。
[0044]
 次いで、前記高速底部撹拌式混合機中へ、さらに黒鉛粉を添加し、前記混合温度に加熱した状態で混合した(第2混合工程)。混合終了後、得られた粉末冶金用粉末混合物を混合機から排出した。前記黒鉛粉としては、表1に示した平均粒径を有する、市販の黒鉛粉を使用した。
[0045]
 なお、比較のために、一部の比較例においては、前記第2混合工程において黒鉛粉を添加することに代えて、前記第1混合工程において黒鉛粉を添加した。また、一部の比較例(No.17)では、上記第1混合工程および第2混合工程において加熱を行わず、室温で混合を行った。No.17では、加熱せずに混合を行ったため、原料粉末の表面は、バインダおよび黒鉛粉で被覆された状態とならなかった。
[0046]
 次に、得られた粉末冶金用混合粉末のそれぞれについて、以下に述べる手順で流動度の測定および成型体の加圧成形を実施した。
[0047]
(流動度)
 得られた粉末冶金用粉末混合物50gを、オリフィス径:2.5mmの容器に充填し、充填してから排出するまでの時間を測定して、流動度(単位:s/50g)を求めた。なお、その他の測定条件は、JIS Z 2502:2012に準拠した。流動度は、金型充填時の混合粉の流動性を示す指標であり、流動度の値が小さいほど混合粉の流動性が優れていることを意味する。なお、一部の比較例では粉末冶金用粉末混合物が流れず、オリフィスから排出されなかった。
[0048]
(加圧成形)
 加圧成形では、上記粉末冶金用粉末混合物を、金型を用いて加圧成形し、径:11.3mm、高さ:11mmの成形体を得た。前記加圧成形における成形圧力は686MPaとした。前記成形体を金型から抜き出すときに必要な力(抜出力)と、得られた成形体の圧粉密度(成形体の平均)とを測定した。なお、一部の比較例では型かじりが発生して成形を行うことができなかった。
[0049]
 測定結果は、表1に示したとおりであった。この結果から分かるように、本発明の条件を満たす粉末冶金用粉末混合物は、流動性に極めて優れ、少ない力で圧粉成形金型から抜出すことができ、かつ成形時の型かじりも抑制されていた。
[0050]
[表1]


請求の範囲

[請求項1]
 原料粉末と、バインダと、黒鉛粉とを含む粉末冶金用粉末混合物であって、
 前記原料粉末が、該原料粉末の90質量%以上の鉄基粉末を含有し、
 前記黒鉛粉の平均粒径が5μm未満であり、
 前記原料粉末の質量(m )と前記黒鉛粉の質量(m )の合計に対する前記バインダの質量(m )の比率[m /(m +m )×100]が、0.10~0.80質量%であり、
 前記原料粉末の質量(m )と前記黒鉛粉の質量(m )の合計に対する前記黒鉛粉の質量(m )の比率[m /(m +m )×100]が、0.6~1.0質量%であり、
 前記原料粉末の表面が、前記バインダの少なくとも一部で被覆されており、
 前記原料粉末の表面に被覆された前記バインダの表面が、前記黒鉛粉の少なくとも一部で被覆されている、粉末冶金用粉末混合物。
[請求項2]
 前記バインダが、脂肪酸アミド、共重合ポリアミド、ポリウレタン、およびポリエチレンからなる群より選択される1または2以上である、請求項1の粉末冶金用粉末混合物。
[請求項3]
 前記原料粉末が、合金用粉末および切削性改善材粉からなる群より選択される1または2以上の副原料を含有する、請求項1または2に記載の粉末冶金用粉末混合物。
[請求項4]
 原料粉末とバインダとを、前記バインダの融点以上の温度で混合してバインダ被覆粉末とする第1混合工程と、
 前記バインダ被覆粉末と平均粒径が5μm未満の黒鉛粉とを、前記バインダの融点以上の温度で混合して粉末冶金用粉末混合物とする第2混合工程とを有し、
 前記原料粉末が、該原料粉末の90質量%以上の鉄基粉末を含有し、
 前記原料粉末の質量(m )と前記黒鉛粉の質量(m )の合計に対する前記バインダの質量(m )の比率[m /(m +m )×100]が、0.10~0.80質量%であり、
 前記原料粉末の質量(m )と前記黒鉛粉の質量(m )の合計に対する前記黒鉛粉の質量(m )の比率[m /(m +m )×100]が、0.6~1.0質量%である、
粉末冶金用粉末混合物の製造方法。
[請求項5]
 前記バインダが、脂肪酸アミド、共重合ポリアミド、ポリウレタン、およびポリエチレンからなる群より選択される1または2以上である、請求項4の粉末冶金用粉末混合物の製造方法。
[請求項6]
 前記原料粉末が、合金用粉末および切削性改善材粉からなる群より選択される1または2以上の副原料を含有する、請求項4または5に記載の粉末冶金用粉末混合物の製造方法。