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1. (WO2018225656) ROTATING ELECTRIC MACHINE
Document

明 細 書

発明の名称 回転電機

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022  

図面の簡単な説明

0023  

発明を実施するための形態

0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084  

符号の説明

0085  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : 回転電機

技術分野

[0001]
 本開示は、ステータと、ロータと、を備える回転電機に関する。

背景技術

[0002]
 従来、ステータと、ロータと、を備える回転電機が知られている。例えば、特許文献1には、界磁巻線と、その界磁巻線の起磁力により周方向(回転方向)に交互に異なる極性の磁極が形成される複数の爪状磁極部と、を有するランデル型ロータを備えた車両用交流発電機が開示されている。このランデル型ロータは、各々が周方向に隣接する二つの爪状磁極部の間に配置され、界磁巻線の起磁力により該二つの爪状磁極部に現れる極性と一致するように磁極が形成される複数の永久磁石を備えている。これらの永久磁石によって、より大きな出力密度を得ることができる。このような車両用交流発電機では、永久磁石の大きさや、ランデル型ロータのロータコアのボス部、ディスク部、爪状磁極部の形状などについて、最適設計がなされており、発電能力の向上と逆起電力の低減との両立が図られている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開平4-255451号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 近年では、走行抵抗を減らすための車両のスラントノーズ化や、エンジンルームの小型化などに伴って、車両における車両用交流発電機やスタータの搭載スペースが極小化されつつある。このような状況で、車両用交流発電機にとって重要視される機能として、スタータ機能や車両を高効率動作でアシストするための力行,回生制動機能が加わっている。そのため、界磁電流が短期間で大電流となる場合の車両用交流発電機の発電、トルク発生、回生制動能力が注目されている。この界磁電流が短期間で大電流になると、ロータ自身が生み出す界磁磁界と、電機子巻線が巻かれたステータから発生する励磁磁界との双方が永久磁石に強力な反磁界(demagnetizing fields)として加わる。
[0005]
 一般的に、特許文献1に開示されたランデル型ロータの如く、永久磁石による磁気回路と界磁コアによる磁気回路との少なくとも二つを持つ並列磁気回路が形成される電磁石/永久磁石併用型のロータでは、界磁電流が短期間で大電流になると、永久磁石が、界磁巻線からの強力な反磁界と、ステータの電機子巻線からの強力な反磁界と、を同時に受ける。永久磁石に強力な反磁界が加わると、その永久磁石が大きく減磁されるおそれがある。
[0006]
 本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、永久磁石の耐減磁性能を向上させることが可能な回転電機を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本開示に係る回転電機は、環状のステータコア、及び、ステータコアに巻装された電機子巻線を有するステータと、ステータの径方向内側においてステータと径方向に対向して配置されたロータと、を備える。ロータは、筒状のボス部、及び、ボス部の径方向外側に配置され、周方向(回転方向)に交互に異なる極性の磁極が形成される複数の爪状磁極部を有する界磁コアと、ボス部の外周に巻装され、通電により起磁力を発生する界磁巻線と、各々が周方向に隣接する二つの爪状磁極部の間にその磁化容易軸が周方向に向くように配置され、界磁巻線の起磁力により該二つの爪状磁極部に現れる極性と一致するように磁極が形成されている複数の永久磁石と、を有する。そして、周方向に対向する各対の爪状磁極部と永久磁石との間の磁気抵抗は、ステータから遠い径方向内側位置よりステータに近い径方向外側位置において大きい。
[0008]
 上記の構成によれば、爪状磁極部と永久磁石との間で周方向に流れる磁束が、径方向外側で流れ難く、径方向内側で流れ易くなる。そのため、ステータから爪状磁極部へ流れた、ステータの電機子巻線で発生した励磁磁界による磁束がその爪状磁極部のより径方向内側の部位にまで導かれ、爪状磁極部から永久磁石へ流れ出る磁束がその対向部位の径方向全長にわたって分散される。これにより、永久磁石が受ける反磁界(上記の励磁磁界)の影響をその永久磁石の径方向全長にわたって均一化させることができる。従って、永久磁石の局所的な減磁を防ぐことができ、その耐減磁性能を向上させることができる。
[0009]
 上記の回転電機において、周方向に対向する各対の爪状磁極部と永久磁石との対向面間の距離は、径方向内側位置より径方向外側位置において長くしてよい。
[0010]
 上記の構成によれば、周方向に対向する各対の爪状磁極部と永久磁石との間の磁気抵抗を、ステータから遠い径方向内側位置よりステータに近い径方向外側位置において大きくすることができる。従って、永久磁石が受ける反磁界の影響をその永久磁石の径方向全長にわたって均一化させることができるので、永久磁石の局所的な減磁を防ぐことができ、その耐減磁性能を向上させることができる。
[0011]
 また、周方向に対向する各対の爪状磁極部と永久磁石において、爪状磁極部及び永久磁石の少なくとも一方は、その対向面の径方向外側位置に周方向に窪んだ窪み部を有してもよい。
[0012]
 上記の構成によれば、窪み部が存在する径方向外側位置における対向面間の距離を、窪み部が存在しない径方向内側位置における対向面間の距離に比べて長くすることができる。このため、周方向に対向する各対の爪状磁極部と永久磁石との間の磁気抵抗を、ステータから遠い径方向内側位置よりステータに近い径方向外側位置において大きくすることができる。従って、永久磁石が受ける反磁界の影響をその永久磁石の径方向全長にわたって均一化させることができるので、永久磁石の局所的な減磁を防ぐことができ、その耐減磁性能を向上させることができる。
[0013]
 更に、窪み部は爪状磁極部に設け、ロータは、窪み部内に一部が収容された、永久磁石を保持する磁石ホルダを有してよい。この構成によれば、爪状磁極部の窪み部内に、永久磁石を保持する磁石ホルダの一部を収容することができ、永久磁石を爪状磁極部に対して位置決め(固定)することができる。
[0014]
 更に、爪状磁極部は、窪み部と、窪み部の径方向外側において周方向に突出する突出部と、を有し、磁石ホルダは、窪み部を形成する爪状磁極部の壁面と突出部とに係止されていてよい。
[0015]
 上記の構成によれば、磁石ホルダひいてはその磁石ホルダが保持する永久磁石を爪状磁極部に対して移動規制することができる。このため、反磁界による永久磁石の振動や剥がれが生じることや、永久磁石の着磁時におけるショック磁界による割れや欠けなどが生じることを低減することができる。
[0016]
 或は、ロータは、爪状磁極部の径方向外側に爪状磁極部の外周面を覆うように配置された筒状の鉄心部材を有し、磁石ホルダは、鉄心部材の内周面と窪み部を形成する爪状磁極部の壁面との間に形成される空間内に嵌め込み固定されていてもよい。
[0017]
 上記の構成によれば、磁石ホルダひいてはその磁石ホルダが保持する永久磁石を爪状磁極部及び鉄心部材に対して移動規制することができる。このため、反磁界による永久磁石の振動や剥がれが生じることや、永久磁石の着磁時におけるショック磁界による割れや欠けなどが生じることを低減することができる。また、磁石ホルダの一部を収容するために必要な爪状磁極部の窪み部と、永久磁石の局所的な減磁を防ぐために必要な爪状磁極部の窪み部と、を一つで兼用することができる。このため、爪状磁極部の形状の簡素化や成形の容易化を図ることができる。更に、鉄心部材が爪状磁極部の外周面を覆うように配置されるので、周方向に並んだ全ての爪状磁極部をその鉄心部材を介して互いに連結することができる。このため、永久磁石による重量増に伴ってロータに作用する遠心力が増大しても、爪状磁極部の変形を確実に抑えることができ、強度低下を抑えることができる。
[0018]
 また、磁石ホルダは、磁性材により形成されていてよい。この構成によれば、磁石ホルダにより保持される永久磁石と爪状磁極部との間に磁性体である磁石ホルダが径方向略全域に亘って配置されるので、永久磁石全体の磁気抵抗を下げることができ、そのパーミアンスを増加させることができる。その結果、永久磁石の反磁界をより低下させることができる。
[0019]
 上記の回転電機において、周方向に対向する各対の爪状磁極部と永久磁石との対向部位の少なくとも一方の透磁率は、径方向内側位置より径方向外側位置において小さくしてよい。
[0020]
 上記の構成によれば、周方向に対向する各対の爪状磁極部と永久磁石との間の磁気抵抗を、ステータから遠い径方向内側位置よりステータに近い径方向外側位置において大きくすることができる。従って、永久磁石が受ける反磁界の影響をその永久磁石の径方向全長にわたって均一化させることができるので、永久磁石の局所的な減磁を防ぐことができ、その耐減磁性能を向上させることができる。
[0021]
 上記の回転電機において、永久磁石は、周方向に隣接する爪状磁極部の間に組み付けられた状態で着磁されていてよい。
[0022]
 上記の構成によれば、爪状磁極部と永久磁石との間で周方向に流れる着磁磁界による磁束が、径方向外側で流れ難く、径方向内側で流れ易くなる。そのため、爪状磁極部へ流れた着磁磁界による磁束がその爪状磁極部のより径方向内側の部位にまで導かれ、爪状磁極部から永久磁石へ流れ出る着磁磁界による磁束がその対向部位の径方向全長にわたって分散される。これにより、永久磁石に作用する着磁磁界をその永久磁石の径方向全長にわたってで均一化させることができる。その結果、永久磁石の着磁が径方向において不均一に行われることを防止できる。

図面の簡単な説明

[0023]
[図1] 一実施形態に係る回転電機の全体構成を示す断面図である。
[図2] 該実施形態に係る回転電機のロータを径方向外側から見た平面図である。
[図3] 該実施形態に係る回転電機のロータの斜視図である。
[図4] 爪状磁極部の外周を覆う筒状の鉄心部材を取り除いた状態での該実施形態に係る回転電機のロータの斜視図である。
[図5] 該実施形態に係る回転電機のロータの一部を軸方向から見た平面図である。
[図6] 比較例に係るロータにおいて永久磁石に不可逆減磁が生じる場合の減磁カーブを示すグラフである。
[図7] 該実施形態に係るロータの磁気抵抗を設定する手法によって永久磁石に不可逆減磁が生じない場合の減磁カーブを示すグラフである。
[図8] 該実施形態に係るロータの組み立て手順を示すフローチャートである。
[図9] 該実施形態に係るロータの磁石ホルダ及びその周辺を軸方向から見た平面図である。
[図10] 該実施形態に係るロータの磁石ホルダの斜視図である。
[図11] 一変形例に係るロータの磁石ホルダ及びその周辺を軸方向から見た平面図である。
[図12] 他の変形例に係るロータの一部を軸方向から見た平面図である。
[図13] 更に他の変形例に係るロータの一部を軸方向から見た平面図である。

発明を実施するための形態

[0024]
 以下、一実施形態及びその変形例について、図1~図13を参照しつつ説明する。
[0025]
 まず、一実施形態に係る回転電機1の全体構成について、図1を参照しつつ説明する。回転電機1は、例えば車両に搭載されており、バッテリなどの電源から電力が供給されることで車両を駆動するための駆動力を発生する。また、車両のエンジンから駆動力が供給されることでバッテリを充電するための電力を発生する。つまり、回転電機1は、三相交流モータジェネレータとして構成されている。回転電機1は、図1に示す如く、ハウジング10と、ステータ20と、ロータ30と、ブラシ装置40と、整流装置50と、電圧調整器60と、プーリ70と、を備えている。
[0026]
 ハウジング10は、ステータ20及びロータ30を収容する。また、ハウジング10は、ロータ30に嵌合された回転軸80をベアリングを介して回転可能に支持していると共に、ステータ20を固定している。
[0027]
 ステータ20は、三相交流電流が流れることで、ロータ30を回転させる磁界を発生する。また、ステータ20は、ロータ30の回転により発生する回転磁界が付与されることで、起電力を発生する。具体的に、ステータ20は、ステータコア21と、電機子巻線(固定子巻線)22と、を備えている。ステータコア21は、環状(中空の円筒状)に形成されている。ステータコア21は、軟磁性材により形成されており、磁路の一部を構成する。例えば、本実施形態において、ステータコア21は、鉄やケイ素鋼からなる電磁鋼板を軸方向に積層することによって形成されている。ステータコア21は、円環状に形成されたバックコア部と、バックコア部から径方向内側に向けて延びると共に、周方向(回転方向)に所定間隔で配置された複数のティースと、各々が周方向に隣接する二つのティース間に形成された複数のスロットと、を有している。
[0028]
 電機子巻線22は、ステータコア21に巻装されている。電機子巻線22は、ステータコア21のスロットに収容されるスロット収容部と、ステータコア21の軸方向両端からそれぞれ軸方向外側に突出する一対のコイルエンド部と、を有している。電機子巻線22は、多相巻線(具体的に、本実施形態においては三相巻線)である。電機子巻線22の各相巻線は、インバータ装置(図示省略)に接続されている。各相巻線に印加される電圧は、インバータ装置内のスイッチング素子を開閉操作することにより制御される。
[0029]
 ロータ30は、ステータ20(具体的には、ティースの先端)の径方向内側において、ステータ20と所定のエアギャップを介して径方向に対向して配置されている。ロータ30は、回転することによって、電機子巻線22に回転磁界を付与することができる。本実施形態において、ロータ30は、ランデル型ロータとして構成されている。ロータ30は、界磁コア31と、界磁巻線32と、鉄心部材33と、永久磁石34と、を備えている。
[0030]
 界磁コア31は、軟磁性材により形成されており、磁路の一部を構成する。界磁コア31は、一つのボス部35と、一対のディスク部36と、複数(例えば、16個)の爪状磁極部37と、を有している。具体的に、本実施形態において、界磁コア31は、軸方向に二分割された一対のポールコアによって構成されている。各ポールコアは、ボス部35の半分と、一対のディスク部36のうちの一つのディスク部36と、複数の爪状磁極部37のうちの半分の爪状磁極部37とを有する。なお、界磁コア31は、例えば鍛造成形されている。
[0031]
 ボス部35は、中空の円筒状であって、回転軸80の外周に嵌合固定されている。一対のディスク部36は、ボス部35の軸方向両端部からそれぞれ径方向外側に延びており、全体として円盤状である。具体的に、各ディスク部36は、ボス部35に連接された一つの円環状の基部と、該基部から径方向外側に延びると共に回転軸80の周方向(回転方向)に所定間隔で離間された複数の突出部と、を有する。各爪状磁極部37は、対応するディスク部36の一つの突出部に連接すると共に、該突出部から回転軸80の軸方向に延在する。また、各爪状磁極部37は、ボス部35に対して径方向外側に隙間を空けて配置されている。なお、各爪状磁極部37は、全体として爪状に形成されており、その外周面は略円弧状になっている。
[0032]
 爪状磁極部37は、互いに異なる極性(具体的には、N極及びS極)の磁極が形成される複数の第1爪状磁極部37-1及び複数の第2爪状磁極部37-2を含む。つまり、一対のポールコアのうちの一方のポールコアは第1爪状磁極部37-1を有し、他方のポールコアは第2爪状磁極部37-2を有する。第1爪状磁極部37-1の数と、第2爪状磁極部37-2の数とは、同じ数(例えば、8個)に設定されている。また、図4に示す如く、第1爪状磁極部37-1と、第2爪状磁極部37-2とは、周方向に交互に配置されている。なお、周方向に隣接する各対の第1爪状磁極部37-1と第2爪状磁極部37-2との間には、隙間38が形成されている。
[0033]
 第1爪状磁極部37-1と第2爪状磁極部37-2とは、対応するディスク部36に連接する軸方向根元側(または軸方向先端側)が互いに軸方向反対側に配置されている。第1爪状磁極部37-1と第2爪状磁極部37-2とは、互いに異なる極性に磁化される。第1爪状磁極部37-1は、ボス部35の軸方向一端部から径方向外側に広がるディスク部36に連接しており、ボス部35の軸方向他端部から径方向外側に広がるディスク部36に向けて軸方向に延在している。これに対し、第2爪状磁極部37-2は、ボス部35の軸方向他端部から径方向外側に広がるディスク部36に連接しており、ボス部35の軸方向一端部から径方向外側に広がるディスク部36に向けて軸方向に延在している。第1爪状磁極部37-1と第2爪状磁極部37-2とは、配置位置と軸方向延在方向を除いて、互いに共通した形状に形成されている。
[0034]
 各爪状磁極部37は、周方向において所定の幅(すなわち、周方向幅)を有すると共に、径方向において所定の厚さ(すなわち、径方向厚さ)を有するように形成されている。各爪状磁極部37は、対応するディスク部36に連接する基端部(根元部)から先端部にかけて、周方向幅が徐々に小さくなりかつ径方向厚さが徐々に小さくなるように形成されている。すなわち、各爪状磁極部37は、その基端部から先端部にかけて、周方向及び径方向の双方において細くなるように形成されている。尚、各爪状磁極部37は、その周方向中心に対して対称的に形成されていることが好ましい。
[0035]
 隙間38は、周方向に隣接する第1爪状磁極部37-1と第2爪状磁極部37-2との間ごとに設けられている。隙間38は、軸方向に対して斜めに延在している(すなわち、ロータ30の回転軸80に対して所定角度で傾斜している)。各隙間38は、その周方向の寸法(すなわち、周方向の大きさ)が軸方向位置に応じて変化することがほとんど無いように、すなわち、その周方向寸法が一定若しくはその一定値を含む極僅かな範囲内に維持されるように設定されている。各隙間38には、一つの永久磁石34が配置される。
[0036]
 界磁巻線32は、ボス部35と爪状磁極部37との間の径方向隙間に配置されている。界磁巻線32は、ボス部35の外周に巻装されている。界磁巻線32は、直流の界磁電流の通電により磁束を発生する。界磁巻線32により発生した磁束は、界磁コア31のボス部35及びディスク部36を介して爪状磁極部37に導かれる。すなわち、ボス部35及びディスク部36は、界磁巻線32にて発生した磁束を爪状磁極部37に導く磁路を形成する。界磁巻線32は、発生磁束により第1爪状磁極部37-1をN極に磁化させかつ第2爪状磁極部37-2をS極に磁化させる。
[0037]
 鉄心部材33は、図2及び図3に示す如く、略円筒状であって、爪状磁極部37(すなわち、第1爪状磁極部37-1及び第2爪状磁極部37-2)の径方向外側にその爪状磁極部37の外周面を覆うように配置されている。鉄心部材33は、各爪状磁極部37の対応するディスク部36との連接部からその爪状磁極部37の軸方向先端までの距離程度の軸方向長さを有している。鉄心部材33は、径方向において所定厚さを有する薄皮部材である。この径方向厚さは、例えば、ロータ30での機械強度と磁気性能とを両立させることができる例えば0.6mm~1.0mmの範囲に設定されている。鉄心部材33は、爪状磁極部37の円弧状外周面に対向して配置されており、その爪状磁極部37に接している。鉄心部材33は、周方向に隣接する第1爪状磁極部37-1と第2爪状磁極部37-2との間の隙間38をその径方向外側で閉じるように配置されており、それらの爪状磁極部37-1,37-2同士を磁気的に接続する。
[0038]
 鉄心部材33は、軟磁性特性を有する金属材により形成されている。鉄心部材33は、円筒状のパイプ、または打ち抜き加工した複数の薄板が軸方向に積層された積層体によって構成されてよい。或は、鉄心部材33は、線材を巻き付け若しくは丸めて嵌め込んで形成してもよい。鉄心部材33は、焼き嵌めや圧入,溶接或いはそれらの組み合わせなどによって爪状磁極部37に対して固定される。なお、鉄心部材33を構成する薄板状や線状,帯状の部材は、強度や磁気性能の観点から矩形状断面を有することが好ましいが、円形或は角部が湾曲した断面を有してもよい。
[0039]
 鉄心部材33は、ロータ30の外周を滑らかにして、ロータ30の外周に形成される凹凸に起因する風切り音を低減する機能を有する。また、鉄心部材33は、周方向に並んだ複数の爪状磁極部37を互いに機械的に連結することで、遠心力が作用した時に各爪状磁極部37の変形(特に径方向外側への変形)を抑える機能を有する。
[0040]
 永久磁石34は、鉄心部材33の径方向内側に収容されている。各永久磁石34は、周方向に隣接する二つの爪状磁極部37の間、すなわち一対の第1爪状磁極部37-1と第2爪状磁極部37-2との間に形成された隙間38を埋めるように配置されている。つまり、永久磁石34は、磁極間磁石である。なお、永久磁石34は、隙間38ごとに配置されており、隙間38の数と同数だけ設けられている。
[0041]
 各永久磁石34は、概ね直方体形状に形成されている。各永久磁石34は、周方向に傾斜するように軸方向に対して斜めに延在している(すなわち、ロータ30の回転軸80に対して所定角度で傾斜している)。各永久磁石34は、周方向に隣接する二つの爪状磁極部37間における磁束の漏れを低減して該二つの爪状磁極部37とステータ20のステータコア21との間に流れる磁束を強化する機能を有している。
[0042]
 各永久磁石34は、周方向に隣接する二つの爪状磁極部37の間の漏れ磁束を減少させる向きの磁極が形成されるように、すなわち、磁化容易軸が周方向に向くように配置されている。具体的には、各永久磁石34は、N極に磁化される対応する第1爪状磁極部37-1に対向する周方向側面の磁極がN極となり、かつ、S極に磁化される対応する第2爪状磁極部37-2に対向する周方向側面の磁極がS極となるように設けられている。本実施形態において、各永久磁石34は、ロータ30に組み込まれ、周方向に隣接する二つの爪状磁極部37-1,37-2の間に組み付けられた状態で着磁される。
[0043]
 各永久磁石34は、一つの磁石ホルダ39により保持されており、該磁石ホルダ39に一体化されている。各永久磁石34は、磁石ホルダ39を用いてロータ30に保持固定される。各永久磁石34は、完全にまたは部分的に磁石ホルダ39により覆われた状態でロータ30に保持固定される。磁石ホルダ39は、鉄などの磁石に吸引されるいわゆる軟磁性材により形成されている。このため、回転電機1の無負荷時、磁石ホルダ39が永久磁石34の発する磁束を短絡させることができるので、逆起電圧の発生を抑制することができ、負荷回路の機器の損傷を抑えることができる。
[0044]
 ブラシ装置40は、一対のスリップリング41と、一対のブラシ42と、を有している。スリップリング41は、回転軸80の軸方向一端部(図1における右端部)に固定されている。スリップリング41は、ロータ30の界磁巻線32に直流の界磁電流を供給する機能を有している。ブラシ42は、ハウジング10に取り付け固定されたブラシホルダに保持されている。各ブラシ42は、その径方向内側端部が対応するスリップリング41の表面に摺動するようにバネによって回転軸80側に押圧された状態に配置されている。ブラシ42は、スリップリング41を介して界磁巻線32に界磁電流を流す。
[0045]
 整流装置50は、ステータ20の電機子巻線22に電気的に接続されている。整流装置50は、電機子巻線22で生じた交流を直流に整流して出力する装置である。電圧調整器60は、界磁巻線32に流す界磁電流を制御することにより回転電機1の出力電圧を調整する。電圧調整器60は、電気負荷や発電量に応じて変化する出力電圧を略一定に維持させる機能を有している。プーリ70は、車両のエンジンの発生する回転力(トルク)を回転電機1のロータ30に伝達するように、回転軸80の軸方向他端部(図1における左端部)締め付け固定されている。
[0046]
 上記の構成を有する回転電機1においては、電源からブラシ装置40を介してロータ30の界磁巻線32に界磁電流が供給されると、ボス部35、ディスク部36、及び爪状磁極部37を流れる磁束が発生する。具体的に、この磁束は、例えば、ボス部35→一方のポールコアのディスク部36→第1爪状磁極部37-1→ステータコア21→第2爪状磁極部37-2→他方のポールコアのディスク部36→ボス部35の順に流れる磁気回路を形成する。
[0047]
 上記の磁束が第1爪状磁極部37-1及び第2爪状磁極部37-2に導かれると、第1爪状磁極部37-1がN極に磁化されると共に、第2爪状磁極部37-2がS極に磁化される。かかる爪状磁極部37の磁化が行われた状態で、電源から供給される直流が例えば三相交流に変換されて電機子巻線22に供給されると、ロータ30がステータ20に対して回転する。その結果、回転電機1は、電動機として機能する。
[0048]
 一方、回転電機1のロータ30は、車両のエンジンの発生する回転トルクがプーリ70を介して回転軸80に伝達されることにより回転する。かかるロータ30の回転は、ステータ20の電機子巻線22に回転磁界を付与し、それによって電機子巻線22に交流の起電力を発生させる。電機子巻線22で発生した交流起電力は、整流装置50を通って直流に整流された後、バッテリに供給される。その結果、回転電機1は、発電機として機能する。
[0049]
 回転電機1のロータ30において、永久磁石34は、周方向に隣接する第1爪状磁極部37-1と第2爪状磁極部37-2との間の隙間38にそれぞれ配置されている。爪状磁極部37の周方向側面と永久磁石34の対応する周方向側面とは、互いに周方向に対向している。以下、爪状磁極部37の周方向側面を対向面37aと、永久磁石34の周方向側面を対向面34aと、それぞれ称す。
[0050]
 ロータ30において、周方向に対向する各対の爪状磁極部37と永久磁石34との間の磁気抵抗は、ステータ20から遠い径方向内側位置よりステータ20に近い径方向外側位置において大きい。このロータ30における磁気抵抗の径方向位置による変化は、周方向に対向する各対の爪状磁極部37の対向面37aと永久磁石34の対向面34aとの間の距離(具体的には、周方向距離或いは対向距離)を径方向位置に応じて変えることにより実現される。具体的には、その距離は、図5に示す如く、ステータ20から遠い径方向内側位置よりステータ20に近い径方向外側位置において長い。
[0051]
 永久磁石34の対向面34aは、略平面状に形成されている。一方、爪状磁極部37の対向面37aは、その表面に径方向内側から径方向外側にかけて永久磁石34の対向面34aとの距離を不均一にさせる凹凸があるように形成されている。すなわち、爪状磁極部37は、対向面37aのうち径方向外側位置に周方向に窪んだ窪み部37bを有している。窪み部37bは、永久磁石34の対向面34aに対して略平行な爪状磁極部37の対向面37aの一部分が周方向に向けて切り欠かれたような形状に形成されている。なお、爪状磁極部37の対向面のうち径方向内側に位置する部位は、略平面状に形成されていてよい。対向面37aのうち径方向外側に位置する部位と永久磁石34の対向面34aとの距離L1は、対向面37aのうち径方向内側に位置する部位と永久磁石34の対向面34aとの距離L2に比して大きい。
[0052]
 なお、爪状磁極部37の対向面37aと永久磁石34の対向面34aとの間の距離は、径方向内側から径方向外側にかけて徐々に長くなることが望ましいが、径方向内側から径方向外側にかけて全体として長くなっていればよく、ワニスの流れ止めや永久磁石34或いは磁石ホルダ39の固定のための凹凸箇所など、径方向内側から径方向外側にかけて短くなる箇所が局所的に含まれていてもよい。また、窪み部37bにおける対向面37a,34a同士の距離は、径方向内側から径方向外側にかけて徐々に長くなることが望ましいが、上記したワニスの流れ止めや磁石固定のための凹凸箇所など、径方向内側から径方向外側にかけて短くなる箇所が局所的に含まれていてもよい。
[0053]
 上記の如くロータ30における爪状磁極部37の対向面37aのうち径方向外側に位置する部位(窪み部37b)と永久磁石34の対向面34aとの距離L1が、その対向面37aのうち径方向内側に位置する部位と永久磁石34の対向面34aとの距離L2に比して大きいと、爪状磁極部37と永久磁石34との周方向における隙間が、径方向内側より径方向外側において大きくなる。この場合、爪状磁極部37と永久磁石34との間において周方向に流れる磁束に対する磁気抵抗は、径方向内側位置より径方向外側位置において隙間の大きい分だけ大きくなるので、爪状磁極部37と永久磁石34との間で周方向に流れる磁束は、径方向外側で流れ難くなり、径方向内側で流れ易くなる。
[0054]
 爪状磁極部37と永久磁石34との間において周方向に流れる磁束に対する磁気抵抗が径方向位置に関係なく一様である比較例では、ステータ20の電機子巻線22で発生した励磁磁界による磁束がステータ20(具体的には、そのティース)の径方向内端からエアギャップを介して爪状磁極部37(具体的には、N極に磁化される第1爪状磁極部37-1)へ流れた場合に、以下の不都合が生じる。具体的には、その爪状磁極部37に流れた磁束が、その後、永久磁石34に対向する対向面37aのうち、永久磁石34に到達するまでの距離が最短となるステータ20に近い径方向外側の部位に集中し易く、その対向面37aの径方向外側部位から隙間38を介して永久磁石34の対向面34aに流れ込み易くなる。そして、その磁束が永久磁石34の径方向外側部位を通って隣接の爪状磁極部37(具体的には、S極に磁化される第2爪状磁極部37-2)へ流れ、その後ステータ20へ戻る。このため、この比較例では、永久磁石34の径方向外側部位が他の部位(具体的には、径方向内側部位)に比べて反磁界(具体的には、上記の励磁磁界)の影響を受け易いので、永久磁石34の径方向外側部位における減磁曲線上の動作点がクニック点(knickpoint)よりも下がり易くなり、図6に示す如く、その動作点がクニック点よりも下がったときに、永久磁石34の特に径方向外側部位が大きく減磁されてしまう。
[0055]
 これに対して、本実施形態に係るロータ30においては、ステータ20の電機子巻線22で発生した励磁磁界による磁束がステータ20(具体的には、そのティース)の径方向内端からエアギャップを介して爪状磁極部37へ流れると、その磁束が、永久磁石34に対向する対向面37aのうち窪み部37bが存在する径方向外側で流れ難く、その窪み部37bが存在しない径方向内側で流れ易くなる。この場合には、爪状磁極部37へ流れた磁界がその爪状磁極部37のより径方向内側の部位にまで導かれ、対向面37aから永久磁石34側へ流れ出る反磁界(具体的には、上記の励磁磁界)による磁束がその対向面37aの径方向全長にわたって分散される。
[0056]
 このため、永久磁石34に局所的(具体的には、ステータ20に近い径方向外側)に大きな反磁界が作用するのを抑えることができ、永久磁石34が受ける反磁界の影響をその永久磁石34の径方向全長にわたって均一化させることができる。この場合は、図7に示す如く、永久磁石34の径方向外側部位における減磁曲線上の動作点がクニック点よりも下がることは抑制される。従って、本実施形態に係るロータ30においては、永久磁石34の局所的な減磁を防ぐことができ、その永久磁石34の耐減磁性能を向上させることができる。
[0057]
 本実施形態において、ロータ30の着磁は、以下の手順で行われる。まず、回転軸80に、ボス部35とディスク部36と爪状磁極部37とからなる界磁コア31を組み付ける(図8に示すステップS100)。その後、その界磁コア31に、着磁前の永久磁石34を組み付ける(ステップS110)。この着磁されていない永久磁石34の組み付けは、界磁コア31の二つの爪状磁極部37-1,37-2間の隙間38ごとに行われる。また、この永久磁石34の組み付けは、永久磁石34が磁石ホルダ39に保持された状態で界磁コア31の軸方向一端から軸方向へ挿入されることにより行われる。そして、そのロータ30を、例えばステータ20に対して径方向でエアギャップを介して対向させた状態で或いは着磁装置にセットした状態で、ステータ20の電機子巻線22或は着磁装置の励磁巻線に着磁電流を流すことにより発生する磁界により、その永久磁石34を着磁する(ステップS120)。
[0058]
 このように永久磁石34がロータ30に組み込まれた状態で着磁される構成では、その着磁磁界による磁束が、上記した反磁界による磁束と同様に、永久磁石34に対向する爪状磁極部37の対向面37aのうち窪み部37bが存在する径方向外側で流れ難く、その窪み部37bが存在しない径方向内側で流れ易くなる。この場合には、爪状磁極部37へ流れた着磁磁界による磁束がその爪状磁極部37のより径方向内側の部位にまで導かれ、対向面37aから永久磁石34側へ流れ出る着磁磁界による磁束がその対向面37aの径方向全長にわたって分散される。従って、本実施形態によれば、永久磁石34に作用する着磁磁界をその永久磁石34の径方向全長にわたって均一化させることができる。その結果、永久磁石34の着磁が径方向において不均一に行われることを防止できる。
[0059]
 また、回転電機1のロータ30において、爪状磁極部37は、上記した窪み部37bと、突出部37cと、を有している。各突出部37cは、対応する窪み部37bの径方向外側において周方向の外方へ突出している。各突出部37cの先端側は、対応する永久磁石34の径方向外側に位置しており、その対応する永久磁石34に対して径方向で対向している。各突出部37cは、対応する永久磁石34が径方向外側へ抜けるのを防止する機能を有している。
[0060]
 上記の如く、各永久磁石34は、磁石ホルダ39により保持されている。磁石ホルダ39は、図9及び図10に示す如く、永久磁石34を覆うことが可能な断面U字状に形成されている。磁石ホルダ39は、軸方向(正確には、軸方向に対して斜めの方向)に延在している。磁石ホルダ39は、永久磁石34を爪状磁極部37に対して径方向に移動するのを規制する機能を有すると共に、永久磁石34を爪状磁極部37に対して周方向に移動するのを規制する機能を有している。なお、磁石ホルダ39は、永久磁石34を爪状磁極部37に対して軸方向に移動するのを規制する機能を有するように構成されてもよい。磁石ホルダ39は、一つの底部39aと、一対の側壁部39bと、一対の係止部39cと、を有している。
[0061]
 底部39aは、軸方向及び周方向に延在する。また、底部39aは、永久磁石34の径方向内端面に当接してその永久磁石34を保持する。永久磁石34は、磁石ホルダ39の底部39aと爪状磁極部37の突出部37cとに挟まれることにより、磁石ホルダ39及び爪状磁極部37に径方向で干渉される。これにより、永久磁石34の径方向への移動が規制される。
[0062]
 側壁部39bは、底部39aの周方向の両端それぞれから径方向外方へ立設されている。また、側壁部39bは、永久磁石34の周方向両端面それぞれに当接してその永久磁石34を保持する。永久磁石34は、磁石ホルダ39の一対の側壁部39bに挟まれることにより、磁石ホルダ39に周方向で干渉される。底部39aの周方向両端にそれぞれ形成された一対の側壁部39bは、周方向に隣接する二つの爪状磁極部37の離間距離(すなわち、隙間38の周方向大きさ)と同じ程度だけ離れている。このため、磁石ホルダ39は爪状磁極部37に周方向で干渉される。これにより、永久磁石34の爪状磁極部37に対する周方向への移動が規制される。
[0063]
 係止部39cは、対応する側壁部39bそれぞれの径方向外端から周方向外方へ向けて延びている。また、係止部39cは、フランジ状であって、周方向に隣接する二つの爪状磁極部37の窪み部37b内にそれぞれ収容され、窪み部37bを形成する爪状磁極部37の壁面及び突出部37cに係止される。側壁部39bそれぞれに対応する係止部39cが爪状磁極部37の窪み部37b内にそれぞれ収容されて係止されると、磁石ホルダ39が、窪み部37bを形成する爪状磁極部37の壁面及び突出部37cとの摩擦力等により爪状磁極部37に対して位置決め(固定)される。これにより、その磁石ホルダ39が保持する永久磁石34が爪状磁極部37に対して移動することが確実に規制される。
[0064]
 このように、磁石ホルダ39ひいてはその磁石ホルダ39が保持する永久磁石34を爪状磁極部37に対して移動規制することができる。このため、反磁界による永久磁石34の振動や剥がれが生じることや、永久磁石34の着磁時におけるショック磁界による割れや欠けなどが生じることを大幅に低減することができる。また、爪状磁極部37に対する磁石ホルダ39及び永久磁石34の移動規制を、爪状磁極部37に形成された窪み部37bを用いて行うことができる。このため、磁石ホルダ39の一部を収容してその移動規制を実現するために必要な爪状磁極部37の窪み部を、永久磁石34の局所的な減磁を防ぐために爪状磁極部37に形成される窪み部37bとは別に設けるのを不要とすることができ、それら両窪み部の機能を一つの窪み部37bで兼用することができる。これにより、爪状磁極部37の形状の簡素化や成形の容易化を図ることができる。
[0065]
 本実施形態において、磁石ホルダ39は、軟磁性材により形成されている。そのため、磁石ホルダ39により保持される永久磁石34と爪状磁極部37との間に、磁性体である磁石ホルダ39が径方向略全域に亘って配置されることとなる。その結果、磁石ホルダ39が存在しない場合や磁石ホルダ39が非磁性材により形成される場合に比べて、永久磁石34全体の磁気抵抗を下げることができ、そのパーミアンスを増加させることができるので、永久磁石34の反磁界をより低下させることができる。
[0066]
 上記の如く、本実施形態において、ロータ30は、各々が周方向に隣接する二つの爪状磁極部37の間に配置される複数の永久磁石34を有している。そのため、永久磁石34の分だけロータ30の重量が増加する。ロータ30の重量が増加すると、ロータ30の回転時に発生する遠心力が増大するので、ロータ30の強度が低下し得る。しかし、本実施形態において、ロータ30は、爪状磁極部37の径方向外側にその外周面を覆うように配置される円筒状の鉄心部材33を更に有している。この鉄心部材33によって、周方向に並んだ複数の爪状磁極部37が互いに機械的に連結されるので、永久磁石34による重量増に伴ってロータ30に作用する遠心力が増大しても、爪状磁極部37の変形を抑えることができ、強度低下を抑えることができる。
[0067]
 以上説明したように、本実施形態において、回転電機1は、環状のステータコア21、及び、ステータコア21に巻装された電機子巻線22を有するステータ20と、ステータ20の径方向内側においてステータ20と径方向に対向して配置されたロータ30と、を備える。ロータ30は、界磁コア31と、界磁巻線32と、複数の永久磁石34と、を有する。界磁コア31は、筒状のボス部35、及び、ボス部35の径方向外側に配置され、周方向に交互に異なる極性の磁極が形成される複数の爪状磁極部37を有する。界磁巻線32は、ボス部35の外周に巻装され、通電により起磁力を発生する。各永久磁石34は、周方向に隣接する一対の爪状磁極部37-1,37-2の間にその磁化容易軸が周方向に向くように配置され、界磁巻線32の起磁力により該一対の爪状磁極部37-1,37-2に現れる極性と一致するように磁極が形成されている。また、周方向に対向する各対の爪状磁極部37と永久磁石34との間の磁気抵抗は、ステータ20から遠い径方向内側位置よりステータ20に近い径方向外側位置において大きい。具体的には、周方向に対向する各対の爪状磁極部37と永久磁石34との対向面間の距離は、ステータ20から遠い径方向内側位置よりステータ20に近い径方向外側位置において長い。
[0068]
 上記の構成によれば、爪状磁極部37と永久磁石34との間で周方向に流れる磁束が、径方向外側で流れ難く、径方向内側で流れ易くなる。そのため、ステータ20から爪状磁極部37へ流れた、ステータ20の電機子巻線22で発生した励磁磁界による磁束がその爪状磁極部37のより径方向内側の部位にまで導かれ、爪状磁極部37から永久磁石34へ流れ出る磁束がその対向部位の径方向全長にわたって分散される。これにより、永久磁石34が受ける反磁界(上記の励磁磁界)の影響をその永久磁石34の径方向全長にわたって均一化させることができる。従って、永久磁石34の局所的な減磁を防ぐことができ、その耐減磁性能を向上させることができる。
[0069]
 本実施形態において、爪状磁極部37は、対向面37aの径方向外側位置に周方向に窪んだ窪み部37bを有する。この構成によれば、周方向に対向する各対の爪状磁極部37と永久磁石34との対向面間の距離を、径方向内側位置より径方向外側位置において長くすることができる。
[0070]
 本実施形態において、ロータ30は、爪状磁極部37の窪み部37b内に一部が収容された、永久磁石34を保持する磁石ホルダ39を有する。この構成によれば、爪状磁極部37の窪み部37b内に、永久磁石34を保持する磁石ホルダ39の一部を収容することができ、永久磁石34を爪状磁極部37に対して位置決め(固定)することができる。
[0071]
 本実施形態において、爪状磁極部37は、窪み部37bと、対応する窪み部37bの径方向外側において周方向に突出する突出部37cと、を有する。磁石ホルダ39は、対応する窪み部37bを形成する爪状磁極部37の壁面と対応する突出部37cとに係止されている。この構成によれば、磁石ホルダ39ひいてはその磁石ホルダ39が保持する永久磁石34を爪状磁極部37に対して移動規制することができる。このため、反磁界による永久磁石34の振動や剥がれが生じることや、永久磁石34の着磁時におけるショック磁界による割れや欠けなどが生じることを低減することができる。
[0072]
 本実施形態において、磁石ホルダ39は、磁性材により形成されている。この構成によれば、永久磁石34と爪状磁極部37との間に磁性体である磁石ホルダ39が径方向略全域に亘って配置されるので、永久磁石34全体の磁気抵抗を下げることができ、そのパーミアンスを増加させることができる。このため、永久磁石34の反磁界をより低下させることができる。
[0073]
 本実施形態において、永久磁石34は、周方向に隣接する爪状磁極部37の間に組み付けられた状態で着磁されている。この構成によれば、爪状磁極部37と永久磁石34との間で周方向に流れる着磁磁界による磁束が、径方向外側で流れ難く、径方向内側で流れ易くなる。そのため、爪状磁極部37へ流れた着磁磁界による磁束がその爪状磁極部37のより径方向内側の部位にまで導かれ、爪状磁極部37から永久磁石34へ流れ出る着磁磁界による磁束がその対向部位の径方向全長にわたって分散される。これにより、永久磁石34に作用する着磁磁界をその永久磁石34の径方向全長にわたって均一化させることができる。その結果、永久磁石34の着磁が径方向において不均一に行われることを防止できる。
[0074]
 (変形例)
 上記の実施形態においては、周方向に対向する爪状磁極部37の対向面37aと永久磁石34の対向面34aとの距離をステータ20から遠い径方向内側位置よりステータ20に近い径方向外側位置において長くするために、爪状磁極部37の対向面37aにおける径方向外側位置に切欠き状の窪み部37bを設けている。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。爪状磁極部37を、径方向内側から径方向外側にかけて徐々に永久磁石34との距離が長くなるようにテーパ状に形成することとしてもよい。
[0075]
 上記の実施形態においては、ロータ30の爪状磁極部37が、窪み部37bと、対応する窪み部37bの径方向外側において周方向に突出する突出部37cと、を有している。そして、永久磁石34を保持する磁石ホルダ39の係止部39cが、対応する窪み部37bを形成する爪状磁極部37の壁面及び対応する突出部37cに係止されて、対応する窪み部37bに嵌め込まれている。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。例えば図11に示す如く、爪状磁極部37の窪み部37bが、その爪状磁極部37の外周面と周方向側面とが交わる角部にテーパ状に形成され、その爪状磁極部37が上記の突出部37cを有せず、かつ、磁石ホルダ39が、筒状の鉄心部材33の内周面とその窪み部37bを形成する爪状磁極部37の壁面とにより形成される空間内にそれらの面に当接して嵌め込み固定されることとしてもよい。この変形例においても、磁石ホルダ39が、対応する窪み部37bを形成する爪状磁極部37の壁面及び鉄心部材33の内周面との摩擦力等により、爪状磁極部37に対して位置決め(固定)されるので、その磁石ホルダ39を用いて永久磁石34を爪状磁極部37及び鉄心部材33に対して移動規制することが可能である。このため、反磁界による永久磁石34の振動や剥がれが生じることや、永久磁石34の着磁時におけるショック磁界による割れや欠けなどが生じることを低減することができる。
[0076]
 上記の実施形態においては、磁石ホルダ39の係止部39cが、爪状磁極部37の窪み部37b内に収容されて、その窪み部37bを形成する爪状磁極部37の壁面及び突出部37cに係止されている。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。磁石ホルダ39の底部39aと爪状磁極部37の突出部37cまたは鉄心部材33との間で永久磁石34を挟み込みつつ、磁石ホルダ39の係止部39cを窪み部37bを形成する爪状磁極部37の壁面のうち径方向外方を向いた部分のみに掛止させることとしてもよい。この構造を実現するためには、磁石ホルダ39の底部39aと係止部39cとの距離すなわち側壁部39bの高さと、永久磁石34の径方向高さと、を所定関係を満たすように設定すればよい。
[0077]
 上記の実施形態においては、爪状磁極部37の対向面37aにおける径方向外側位置に窪み部37bを設け、周方向に対向する爪状磁極部37の対向面37aと永久磁石34の対向面34aとの距離をステータ20から遠い径方向内側位置よりステータ20に近い径方向外側位置において長くすることで、周方向に対向する爪状磁極部37と永久磁石34との間の磁気抵抗をステータ20から遠い径方向内側位置よりステータ20に近い径方向外側位置において大きくしている。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。永久磁石34の対向面34aにおける径方向外側位置に切欠き状の窪み部を設け、上記の距離の関係及び磁気抵抗の関係を実現することとしてもよい。また、図12に示す如く、永久磁石34を、径方向内側から径方向外側にかけて徐々に爪状磁極部37との距離が長くなるようにテーパ状に形成することとしてもよい。
[0078]
 上記の実施形態においては、周方向に対向する爪状磁極部37と永久磁石34との間の磁気抵抗を径方向内側位置より径方向外側位置において大きくするために、周方向に対向する爪状磁極部37の対向面37aと永久磁石34の対向面34aとの距離を径方向内側位置より径方向外側位置において長くしている。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。上記の磁気抵抗の関係を実現するために、周方向に対向する爪状磁極部37と永久磁石34との対向部位の透磁率を径方向内側位置より径方向外側位置において小さくすることとしてもよい。この変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
[0079]
 例えば、爪状磁極部37の対向面37a及び永久磁石34の対向面34aを共に略平面状に形成して、周方向に対向する両対向面37a,34aの距離を径方向位置によらず径方向内側から径方向外側にかけて一定としたうえで、爪状磁極部37及び永久磁石34の少なくとも一方の対向部位の透磁率をステータ20から遠い径方向内側位置よりステータ20に近い径方向外側位置において小さくすることとしてもよい。
[0080]
 また例えば、図13に示す如く、爪状磁極部37の窪み部37bを、その爪状磁極部37の外周面と周方向側面とが交わる角部にテーパ状に形成し、周方向に対向する爪状磁極部37の対向面37aと永久磁石34の対向面34aとの距離を径方向内側位置より径方向外側位置において長くしたうえで、その窪み部37b内に、爪状磁極部37に比べて透磁率の小さい磁性材からなる磁性体90を圧入またはその磁性材を流し込んで充填成形することとしてもよい。この爪状磁極部37に比べて透磁率の小さい磁性材は、例えばソフトフェライト(soft ferrite)であってよい。また、この圧入や充填成形は、窪み部37b内に磁石ホルダ39の係止部39cが収容されて装着された後、その窪み部37bの隙間に棒状の磁性体90を圧入或いはその磁性材を流し込んで充填成形してもよい。
[0081]
 更に例えば、爪状磁極部37の対向面37a及び永久磁石34の対向面34aを共に略平面状に形成して、周方向に対向する両対向面37a,34aの距離を径方向位置によらず径方向内側から径方向外側にかけて一定としたうえで、その対向面37a,34a間に配置される磁石ホルダ39の透磁率をステータ20から遠い径方向内側位置よりステータ20に近い径方向外側位置において小さくすることとしてもよい。
[0082]
 上記の実施形態においては、永久磁石34をロータ30に組み込んだ後、永久磁石34に、界磁巻線32の起磁力により爪状磁極部37に現れる極性と一致するように磁極を形成する着磁を行う。この構成によれば、周方向に並ぶすべての全ての永久磁石34を同時に着磁することができるので、永久磁石34の着磁を容易に行うことができる。
[0083]
 しかし、本開示はこれに限定されるものではない。各永久磁石34をロータ30に組み込む前に個別に着磁し、各永久磁石34をその着磁後にロータ30に組み込むこととしてもよい。
[0084]
 なお、本開示は、上述した実施形態と変形例に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。例えば、上記の実施形態と各変形例を組み合わせてロータ30ひいては回転電機1を構成することとしてもよい。

符号の説明

[0085]
 1:回転電機、20:ステータ、21:ステータコア、22:電機子巻線、30:ロータ、31:界磁コア、32:界磁巻線、33:筒状の鉄心部材、34:永久磁石、34a:永久磁石の対向面、35:ボス部、36:ディスク部、37:爪状磁極部、37a:爪状磁極部の対向面、37b:窪み部、37c:突出部、38:隙間、39:磁石ホルダ。

請求の範囲

[請求項1]
 環状のステータコア(21)、及び、前記ステータコアに巻装された電機子巻線(22)を有するステータ(20)と、前記ステータの径方向内側において前記ステータと径方向に対向して配置されたロータ(30)と、を備える回転電機(1)であって、
 前記ロータは、
 筒状のボス部(35)、及び、前記ボス部の径方向外側に配置され、周方向に交互に異なる極性の磁極が形成される複数の爪状磁極部(37)を有する界磁コア(31)と、
 前記ボス部の外周に巻装され、通電により起磁力を発生する界磁巻線(32)と、
 各々が周方向に隣接する二つの前記爪状磁極部の間にその磁化容易軸が周方向に向くように配置され、前記界磁巻線の起磁力により該二つの前記爪状磁極部に現れる極性と一致するように磁極が形成されている複数の永久磁石(34)と、
 を有し、
 周方向に対向する各対の前記爪状磁極部と前記永久磁石との間の磁気抵抗は、前記ステータから遠い径方向内側位置より前記ステータに近い径方向外側位置において大きい、回転電機。
[請求項2]
 周方向に対向する各対の前記爪状磁極部と前記永久磁石との対向面間の距離は、前記径方向内側位置より前記径方向外側位置において長い、請求項1に記載の回転電機。
[請求項3]
 周方向に対向する各対の前記爪状磁極部と前記永久磁石において、前記爪状磁極部及び前記永久磁石の少なくとも一方は、その前記対向面の前記径方向外側位置に周方向に窪んだ窪み部(37b)を有する、請求項2に記載の回転電機。
[請求項4]
 前記窪み部は、前記爪状磁極部に設けられており、
 前記ロータは、前記窪み部内に一部が収容された、前記永久磁石を保持する磁石ホルダ(39)を有する、請求項3に記載の回転電機。
[請求項5]
 前記爪状磁極部は、前記窪み部と、前記窪み部の径方向外側において周方向に突出する突出部(37c)と、を有し、
 前記磁石ホルダは、前記窪み部を形成する前記爪状磁極部の壁面と前記突出部とに係止されている、請求項4に記載の回転電機。
[請求項6]
 前記ロータは、前記爪状磁極部の径方向外側に前記爪状磁極部の外周面を覆うように配置された筒状の鉄心部材(33)を有し、
 前記磁石ホルダは、前記鉄心部材の内周面と前記窪み部を形成する前記爪状磁極部の壁面とにより形成される空間内に嵌め込み固定されている、請求項4に記載の回転電機。
[請求項7]
 前記磁石ホルダは、磁性材により形成されている、請求項4乃至6の何れか一項に記載の回転電機。
[請求項8]
 周方向に対向する各対の前記爪状磁極部と前記永久磁石との対向部位の少なくとも一方の透磁率は、前記径方向内側位置より前記径方向外側位置において小さい、請求項1乃至7の何れか一項に記載の回転電機。
[請求項9]
 前記永久磁石は、周方向に隣接する前記爪状磁極部の間に組み付けられた状態で着磁された、請求項1乃至8の何れか一項に記載の回転電機。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]