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明 細 書

発明の名称 電力変換装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078  

符号の説明

0079  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 電力変換装置

技術分野

[0001]
 この発明は、直流電源と交流負荷との間で電力変換を行なう電力変換装置に関し、より特定的には、リアクトルを含むコンバータを備え、直流電源と交流負荷との間で電力変換を行なう電力変換装置に関する。

背景技術

[0002]
 直流電源と交流負荷との間での電力変換をスイッチング制御により行なうように構成された電力変換装置が公知である。高周波(たとえば20kHz以上の周波数)でのスイッチング制御では、電力変換装置内のインバータのスイッチング素子のスイッチングに起因して、高周波のノイズ(スイッチングノイズ)が発生し得る。このスイッチングノイズの発生メカニズムは、以下のように説明される。すなわち、インバータのスイッチングにより交流負荷(たとえば交流モータ)の中性点電位が変動し、それによりコモンモードノイズが発生する。
[0003]
 電力変換装置の回路構成が正極側とで負極側で不平衡である場合、コモンモードノイズとノーマルモードノイズとの間でのモード変換が起こり得る。すなわち、コモンモードノイズがノーマルモードノイズに変換されたり、ノーマルモードノイズがコモンモードノイズに変換されたりする可能性がある。そのため、モード変換を防止することによってスイッチングノイズを低減する技術が提案されている。
[0004]
 たとえば特開2009-296756号公報(特許文献1)に開示された電力変換装置は、第1および第2のループ回路を備える。第1のループ回路は、2次側コイルの中点タップ、コンデンサ、高電位側のYコンデンサ、高電位側配線および高電位側スイッチング素子を含む。一方、第2のループ回路は、中点タップ、コンデンサ、低電位側のYコンデンサ、低電位側配線および低電位側スイッチング素子を含む。特許文献1に開示の電力変換装置では、高電位側のYコンデンサと低電位側のYコンデンサとの接続点に中点タップが接続されている。これにより、第1のループ回路のインピーダンスと第2のループ回路のインピーダンスとが等しくなる。その結果、電力変換装置の不平衡が解消されるので、モード変換を防止することができる(たとえば特許文献1の段落[0038]参照)。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2009-296756号公報
特許文献2 : 特開2012-29404号公報
特許文献3 : 国際公開第2013/99540号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 特許文献1に開示された電力変換装置は、高圧バッテリの電圧(たとえば数百ボルト)を降圧して低圧バッテリ(たとえば12Vのバッテリ)に出力するものであり、トランスを含む絶縁型コンバータを備えた構成を有する(たとえば特許文献1の段落[0028]~[0032]および図1参照)。
[0007]
 一方、電力変換装置においては、リアクトルを含むコンバータを備えた構成のものが広く実用化されている。このようなコンバータを備えた構成については特許文献1では特に言及されておらず、当該構成におけるスイッチングノイズの低減については何ら検討されていない。リアクトルを含むコンバータを備えた構成の電力変換装置においてもスイッチングノイズを好適に低減することが望ましい。
[0008]
 この発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、リアクトルを含むコンバータを備え、直流電源と交流負荷との間で電力変換を行なう電力変換装置において、スイッチングノイズを好適に低減することである。

課題を解決するための手段

[0009]
 (1)この発明のある局面に従う電力変換装置は、正極端子および負極端子と、第1および第2の電力線と、平滑コンデンサと、コンバータと、インバータとを備える。正極端子および負極端子は、直流電源から供給される電力を受ける。第1の電力線は、正極端子および負極端子のうちの一方と電気的に接続可能に構成される。第2の電力線は、正極端子および負極端子のうちの他方と電気的に接続可能に構成される。平滑コンデンサは、寄生インダクタンス成分を有し、第1の電力線と第2の電力線との間に電気的に接続される。コンバータは、第1の電力線に設けられたリアクトルを含み、平滑コンデンサにより平滑化された直流電圧の電圧変換を行なうように構成される。インバータは、コンバータと交流負荷との間での直流交流変換をスイッチング制御により行なうように構成される。第1の電力線のうち正極端子および負極端子の上記一方と平滑コンデンサとを結ぶ第1の経路のインダクタンスは、第2の電力線のうち正極端子および負極端子の上記他方と平滑コンデンサとを結ぶ第2の経路のインダクタンスよりも小さい。第2の経路のインダクタンスと第1の経路のインダクタンスとの差は、平滑コンデンサの寄生インダクタンス成分の2倍未満である。
[0010]
 (2)好ましくは、電力変換装置は、第2の経路に設けられたインダクタをさらに備える。インダクタのインダクタンスは、平滑コンデンサの寄生インダクタンス成分の2倍未満である。
[0011]
 (3)好ましくは、第2の経路のインダクタンスは、第2の経路の寄生インダクタンス成分である。第2の経路の寄生インダクタンス成分は、平滑コンデンサの寄生インダクタンス成分の2倍未満である。
[0012]
 (4)好ましくは、電力変換装置は、第1の経路に設けられた第1のインダクタと、第2の経路に設けられた第2のインダクタとをさらに備える。第2のインダクタのインダクタンスと第1のインダクタのインダクタンスとの差は、平滑コンデンサの寄生インダクタンス成分の2倍未満である。
[0013]
 (5)この発明のある局面に従う電力変換装置は、電力変換装置は、正極端子および負極端子と、第1および第2の電力線と、平滑コンデンサと、コンバータと、インバータとを備える。正極端子および負極端子は、直流電源から供給される電力を受ける。第1の電力線は、正極端子および負極端子のうちの一方と電気的に接続可能に構成される。第2の電力線は、正極端子および負極端子のうちの他方と電気的に接続可能に構成される。平滑コンデンサは、寄生抵抗成分を有し、第1の電力線と第2の電力線との間に電気的に接続される。コンバータは、第1の電力線に設けられたリアクトルを含み、平滑コンデンサにより平滑化された直流電圧の電圧変換を行なうように構成される。インバータは、コンバータと交流負荷との間での直流交流変換をスイッチング制御により行なうように構成される。第1の電力線のうち正極端子および負極端子の上記一方と平滑コンデンサとを結ぶ第1の経路の抵抗は、第2の電力線のうち正極端子および負極端子の上記他方と平滑コンデンサとを結ぶ第2の経路の抵抗よりも小さい。第2の経路の抵抗と第1の経路の抵抗との差は、平滑コンデンサの寄生抵抗成分の2倍未満である。

発明の効果

[0014]
 この発明によれば、リアクトルを含むコンバータを備え、直流電源と交流負荷との間で電力変換を行なう電力変換装置において、スイッチングノイズを好適に低減することができる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 比較例に係る電力変換装置の構成を概略的に示す回路ブロック図である。
[図2] 比較例に係る電力変換装置におけるノイズの発生メカニズムおよび変換メカニズムを説明するための図である。
[図3] 実施の形態1に係る電力変換装置の構成を概略的に示す回路ブロック図である。
[図4] 実施の形態1に係る電力変換装置におけるノイズ伝搬経路を説明するための図である。
[図5] インダクタLのインダクタンスと変換率との相関関係の一例を示す図である。
[図6] 実施の形態1に係る電力変換装置によるノイズ低減効果を説明するための解析結果の一例を示す図である。
[図7] 実施の形態1の変形例に係る電力変換装置の構成を概略的に示す回路ブロック図である。
[図8] 実施の形態2に係る電力変換装置の構成を概略的に示す回路ブロック図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、この発明を実施するための実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[0017]
 実施の形態1.
 以下では、実施の形態1に係る電力変換装置の特徴の理解を容易にするために、まず、比較例に係る電力変換装置の構成について説明する。
[0018]
 <比較例>
 図1は、比較例に係る電力変換装置の構成を概略的に示す回路ブロック図である。図1を参照して、電力変換装置9は、正極端子Tpおよび負極端子Tnと、正極線PL1と、負極線NLと、コンデンサC1と、コンバータ10と、正極線PL2と、コンデンサC2と、インバータ20と、U相端子Tuと、V相端子Tvと、W相端子Twとを備える。電力変換装置9は、直流電力と交流電力との電力変換(直流交流変換)を行なうように構成されている。
[0019]
 直流電源Bは、たとえば蓄電装置であり、ニッケル水素電池もしくはリチウムイオン二次電池等の二次電池または電気二重層キャパシタ等のキャパシタである。なお、直流電源Bは、二次電池に限られず、一次電池であってもよい。また、直流電源Bは、直流定電圧を発生させる電源(たとえば安定化電源)であってもよいし、直流電力を発電するように構成された発電装置(たとえば太陽電池)であってもよい。
[0020]
 交流モータMは、直流電源Bから電力変換装置9を介して供給された交流電力を消費して所望の動力を発生させる交流負荷である。より具体的には、交流モータMは、Y結線の三相交流モータである。交流モータMは、誘導モータであってもよいし、他の方式のモータ(たとえば同期モータ)であってもよい。
[0021]
 正極端子Tpおよび負極端子Tnは、直流電源Bから供給される電力を受ける。正極端子Tpには、正極線PL1(第1の電力線)が電気的に接続されている。負極端子Tnには、負極線NL(第2の電力線)が電気的に接続されている。
[0022]
 コンデンサ(平滑コンデンサ)C1は、正極線PL1と負極線NLとの間に電気的に接続されている。コンデンサC1は、直流電源Bからの直流電圧を平滑化し、平滑化された直流電圧をコンバータ10に供給する。コンデンサC1は、寄生インダクタンス成分Lpを有する。寄生インダクタンス成分Lpは、回路ブロック図上では、コンデンサC1(容量成分)に直列に接続されたインダクタとして表される。
[0023]
 コンバータ10は、制御装置100からの信号PWCに基づいて、正極線PL1と負極線NLとの間の電圧を昇圧し、昇圧された電圧を正極線PL2と負極線NLとの間に出力する。コンバータ10は、リアクトルLcと、スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。
[0024]
 スイッチング素子Q1,Q2の各々は、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)または電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。スイッチング素子Q1,Q2は、正極線PL2と負極線NLとの間に直列に接続されている。具体的には、スイッチング素子Q1のコレクタは、正極線PL2に接続されている。スイッチング素子Q1のエミッタは、スイッチング素子Q2のコレクタに接続されている。スイッチング素子Q2のエミッタは、負極線NLに接続されている。
[0025]
 リアクトルLcは、正極線PL1に設けられている。具体的には、リアクトルLcの一方端は、正極線PL1に電気的に接続されている。リアクトルLcの他方端は、スイッチング素子Q1のエミッタとスイッチング素子Q2のコレクタとの接続点に電気的に接続されている。
[0026]
 ダイオードD1,D2は、スイッチング素子Q1,Q2にそれぞれ逆並列に接続されている。言い換えると、ダイオードD1,D2は、エミッタ側からコレクタ側へと向かう方向が順方向となるように、スイッチング素子Q1,Q2にそれぞれ並列に接続されている。
[0027]
 なお、コンバータ10の構成は、リアクトルを含み、かつ不平衡な構成(正極側と負極側とが電気的に非対称な構成)であれば、図1に示した構成に限定されない。コンバータ10は、たとえば他の方式のチョッパ回路(たとえば非絶縁型のDC/DCコンバータ)であってもよい。
[0028]
 コンデンサC2は、正極線PL2と負極線NLとの間に電気的に接続されている。コンデンサC2は、コンバータ10から供給された直流電圧を平滑化し、平滑化された直流電圧をインバータ20に供給する。
[0029]
 インバータ20は、制御装置100からの信号PWIに基づいて、コンバータ10から供給された直流電力を三相交流に変換して交流モータMに出力し、交流モータMを駆動する。インバータ20は、正極線PL2と負極線NLとの間に並列に接続されたU相アームと、V相アームと、W相アーム(いずれも図3参照)とを含む。U相アーム~W相アームの中間点は、U相端子Tu、V相端子TvおよびW相端子Twにそれぞれ電気的に接続されている。
[0030]
 U相端子Tuは、交流モータMのU相ラインに接続可能に構成されている。V相端子Tvは、交流モータMのV相ラインに接続可能に構成されている。W相端子Twは、交流モータMのW相ラインに接続可能に構成されている。
[0031]
 制御装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵した電子制御ユニットにより構成される。制御装置100の少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。制御装置100は、メモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、コンバータ10およびインバータ20を制御するための各種処理を実行するように構成されている。より具体的には、制御装置100は、パルス幅変調法を用いて、コンバータ10を駆動するためのPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、その生成したPWM信号を信号PWCとしてコンバータ10に出力する。また、制御装置100は、交流モータMを駆動するためのPWM信号を生成し、その生成したPWM信号を信号PWIとしてインバータ20に出力する。
[0032]
 <ノイズの発生メカニズムおよび変換メカニズム>
 以上のように構成された電力変換装置9では、インバータ20のスイッチング制御により交流モータMの中性点電位が変動することによって、コモンモードノイズが発生する。以下、コモンモードノイズの伝搬経路、および、コモンモードノイズがノーマルモードノイズに変換されるメカニズムについて説明する。
[0033]
 図2は、比較例に係る電力変換装置9におけるノイズの発生メカニズムおよび変換メカニズムを説明するための図である。図2を参照して、コモンモードノイズは、概略的に説明すると、交流モータMの対地浮遊静電容量-インバータ20-コンバータ10-直流電源Bを通り、グラウンドを介して交流モータMへと帰還するようにループ状に流れる(太線で示す)。
[0034]
 より詳細に説明すると、スイッチング制御により発生するコモンモードノイズの大きさは、電力変換装置9の正極側の経路(正極線PL1,PL2を流れる経路)と負極側の経路(負極線NLを流れる経路)との間で等しいが、一般に、昇圧コンバータ内のリアクトルのインピーダンスは、配線(正極線または負極線)のインピーダンスよりも大きい。そのため、電力変換装置9のようにリアクトルLcが正極側の経路(正極線PL1)に設けられた構成では、コモンモードノイズは、リアクトルLcが設けられていない負極側の経路(負極線NL)を流れる。
[0035]
 負極線NLにおいてコンバータ10を通ったコモンモードノイズは、コンデンサC1と負極線NLとの接続点において、コンデンサC1を経由して正極端子Tpに至る経路PATH1(点線で示す)と、コンデンサC1を経由せずに負極端子Tnに至る経路PATH2(1点鎖線で示す)とに分岐する。経路PATH1のインピーダンスは、経路PATH1がコンデンサC1およびその寄生インダクタンス成分Lpを含む分だけ、経路PATH2のインピーダンスよりも大きい。したがって、経路PATH1と経路PATH2との間でインピーダンスの不平衡が生じ、それによりコモンモードノイズの一部がノーマルモードノイズに変換される。なお、経路PATH1は、この発明に係る「第1の経路」に相当し、経路PATH2は、この発明に係る「第2の経路」に相当する。
[0036]
 ここで、正極線PL1を流れる電流Ipと、負極線NLを流れる電流Inとは、下記式(1)および式(2)のようにそれぞれ表される。式(1)および式(2)(ならびに後述する各式)では、直流電源Bの対地インピーダンスをZで表す。また、グラウンドを流れるコモンモードノイズをI commonで表わす。コモンモードノイズI commonの角周波数はωである。
[0037]
[数1]


[0038]
 ノーマルモードノイズI normalは、電流Inと電流Ipとの差分(In-Ip)により算出され、上記式(3)に示すように表される。式(3)より、コモンモードノイズI commonからノーマルモードノイズI normalへの変換率T(T=I normal/I common)がコンデンサC1の寄生インダクタンス成分Lpに依存することが分かる。なお、以下では、コモンモードノイズI commonからノーマルモードノイズI normalへの変換率Tを「変換率T」と略す場合がある。
[0039]
 このように、比較例では、コンデンサC1の寄生インダクタンス成分Lpの存在により、経路PATH1と経路PATH2との間でインピーダンスの不平衡が生じる。その結果、コモンモードノイズI commonからノーマルモードノイズI normalへの変換が起こりやすくなり、スイッチングノイズが発生してしまう可能性がある。そこで、実施の形態1においては、経路PATH2に平衡化のためのインダクタをさらに設ける構成を採用する。以下、この構成について詳細に説明する。
[0040]
 <本実施の形態>
 図3は、実施の形態1に係る電力変換装置の構成を概略的に示す回路ブロック図である。図3を参照して、実施の形態1に係る電力変換装置1は、インダクタLをさらに備える点において、比較例に係る電力変換装置9(図1参照)と異なる。
[0041]
 インダクタLは、コンデンサC1と負極端子Tnとの間の負極線NL(第2の経路)に設けられている。このように、インダクタLは、コンバータ10のリアクトルLcが接続された配線(正極線PL1)とは異なる配線(負極線NL)に電気的に接続されている。
[0042]
 インダクタLのインダクタンスはLである。インダクタLは、たとえばディスクリート部品(コイルなど)により構成されるが、負極線NLの寄生インダクタンス成分によりLに相当するインダクタンスを形成してもよい。また、ディスクリート部品のインダクタンスと負極線NLの寄生インダクタンス成分との合成により、インダクタンスLを確保してもよい。
[0043]
 電力変換装置1の具体的な構成についてさらに説明する。インバータ20のU相アームは、直列に接続されたスイッチング素子Q3,Q4を含む。V相アームは、直列に接続されたスイッチング素子Q5,Q6を含む。W相アームは、直列に接続されたスイッチング素子Q7,Q8を含む。また、スイッチング素子Q3~Q8には、ダイオードD3~D8がそれぞれ逆並列に接続されている。そして、各相アームの中間点は、交流モータMの各相コイルにそれぞれ接続されている。
[0044]
 電力変換装置1は、電圧センサ31,32と、電流センサ33とをさらに備える。電圧センサ31は、コンデンサC1の両端の電圧V1をコンバータ10の入力電圧として検出し、その検出結果を制御装置100に出力する。電圧センサ32は、コンデンサC2の両端の電圧V2をコンバータ10の出力電圧(インバータ20の入力電圧)として検出し、その検出結果を制御装置100に出力する。電流センサ33は、リアクトルLcを流れる電流Iを検出し、その検出結果を制御装置100に出力する。制御装置100は、各センサからの信号に基づいて、PWM信号を生成して信号PWCとしてコンバータ10に出力するとともに、他のPWM信号を生成して信号PWIとしてインバータ20に出力する。
[0045]
 電力変換装置1の他の構成は、比較例に係る電力変換装置9の対応する構成と同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。なお、コンバータ10およびインバータ20の具体的な構成は、図3に示した例に限定されるものではない。また、電圧センサ31,32および電流センサ33は、本発明において必須の構成要素ではない。
[0046]
 図4は、実施の形態1に係る電力変換装置1におけるノイズ伝搬経路を説明するための図である。図4を参照して、電力変換装置1におけるノイズ伝播経路は、比較例におけるノイズ伝播経路(図2参照)と定性的には同様である。
[0047]
 しかしながら、電力変換装置1においては、インダクタLを設けたことで、経路PATH1のインピーダンスと経路PATH2のインピーダンスとの比が変化する。その結果、電力変換装置1における変換率Tが、コンデンサC1の寄生インダクタンス成分Lpに代えて、コンデンサC1の寄生インダクタンス成分LpとインダクタLのインダクタンスLとの差(Lp-L)に依存するようになる(下記式(4)~(6)参照)。
[0048]
[数2]


[0049]
 図5は、インダクタLのインダクタンスLと変換率Tとの相関関係の一例を示す図である。図5において、横軸は、コンデンサC1の寄生インダクタンス成分Lpに対するインダクタLのインダクタンスLの比(=L/Lp)を示す。縦軸は、コモンモードノイズI commonからノーマルモードノイズI normalへの変換率Tを示す。
[0050]
 上記式(3)と式(6)とを比較すると、式(6)の右辺のコモンモードノイズI commonの係数(絶対値)の方が式(3)の右辺のコモンモードノイズI commonの係数(絶対値)よりも小さい場合、すなわち、式変形をして整理すると、0<L<2Lp+(ω Lp /Z )との関係が成立する場合には、インダクタLを設けることで、インダクタLが設けられていないときと比べて、変換率Tが低くなる。
[0051]
 たとえば、インダクタLのインダクタンスLとコンデンサC1の寄生インダクタンス成分Lpとが等しい場合(L/Lp=1の場合)には、図5に示すように、変換率Tが0となる。つまり、インダクタLのインダクタンスLがコンデンサC1の寄生インダクタンス成分Lpと等しい場合にノーマルモードノイズI normalは最小になる。
[0052]
 多くの場合、(ω Lp /Z )は2Lpと比べて無視できるほど小さいので、(ω Lp /Z )≪2Lpと表すことができる。このような場合には、変換率Tが低減される上述の条件を0<L<2Lpと近似することができる。
[0053]
 図6は、実施の形態1に係る電力変換装置1によるノイズ低減効果(ノーマルモードノイズの低減効果)を説明するための解析結果の一例を示す図である。図6において、横軸は周波数を対数目盛りで示す。縦軸は、直流電源Bの対地インピーダンスZに印加される電圧を意味する「ノーマルモードノイズ電圧」を示す。
[0054]
 図6に示す解析例では、コンデンサC1の寄生インダクタンス成分Lpと、インダクタLのインダクタンスLとを、いずれも30nHに設定した。また、直流電源Bの対地インピーダンスZを50Ωに設定した。リアクトルLcのインダクタンスを60μHに設定した。なお、この解析では、ノイズ源から見た直流電源Bのインピーダンスを一定にするために、電源インピーダンス安定回路網(LISN:Line Impedance Stabilization Network)を用いた。
[0055]
 図6に示すように、適切なインダクタンス(ここでは、コンデンサC1の寄生インダクタンス成分Lpと等しいインダクタンス)を有するインダクタLを設けることで、幅広い周波数域にわたってノーマルモードノイズを低減可能であることが分かる。
[0056]
 以上のように、実施の形態1によれば、コンデンサC1と負極端子Tnとの間の負極線NLにインダクタLを設け、このインダクタLのインダクタンスLを0<L<2Lpとの関係が成立するように設定することで、インダクタLが設けられていない場合と比べて、経路PATH1のインピーダンスと経路PATH2のインピーダンスとの差が小さくなる。特に、インダクタLのインダクタンスLをコンデンサC1の寄生インダクタンス成分Lpと等しく設定することで、経路PATH1のインピーダンスと経路PATH2のインピーダンスとが等しくなる。これにより、経路PATH1と経路PATH2との間でインピーダンスの不平衡が低減(解消)されるので、コモンモードノイズI commonからノーマルモードノイズI normalへの変換が抑制される。その結果、スイッチングノイズを低減することができる。
[0057]
 なお、コンバータ10の構成が図3および図4に示した構成と異なり、リアクトルLcが負極線NL側に設けられている場合(図示せず)には、コンデンサC1と正極端子Tpとの間において、正極線PL1にインダクタLを設ければよい。
[0058]
 実施の形態1の変形例.
 実施の形態1では、インダクタLが経路PATH2にのみ設けられた構成について説明したが、以下に説明するように、経路PATH1および経路PATH2の両方にインダクタが設けられた構成も採用可能である。
[0059]
 図7は、実施の形態1の変形例に係る電力変換装置の構成を概略的に示す回路ブロック図である。図7を参照して、電力変換装置1Aは、インダクタLに代えて、インダクタLaおよびインダクタLbを備える点において、実施の形態1に係る電力変換装置1(図3参照)と異なる。
[0060]
 インダクタLa(インダクタンス:La)は、コンデンサC1と正極端子Tpとの間において、正極線PL1に設けられている。一方、インダクタLb(インダクタンス:Lb)は、コンデンサC1と負極端子Tnとの間において、負極線NLに設けられている。
[0061]
 インダクタLa,Lbの各々は、たとえばディスクリート部品(コイルなど)により構成されている。なお、インダクタLa,Lbの少なくとも一方は、配線(正極線PL1または負極線NL)の寄生インダクタンス成分を調整することで形成してもよい。あるいは、インダクタLa,Lbは、正極側と負極側とが非対称な形状を有するノーマルモードチョークコイルにより構成されてもよい。なお、電力変換装置1Aにおけるノイズ伝搬経路は、図4に示したノイズ伝播経路と同等であるため、図示しての詳細な説明は繰り返さない。
[0062]
 正極線PL1を流れる電流Ip、負極線NLを流れる電流InおよびノーマルモードノイズI normalは、下記式(7)~(9)のようにそれぞれ表される。式(9)より、変換率Tが(Lp+La-Lb)に依存することが分かる。
[0063]
[数3]


[0064]
 上記式(3)と式(9)とを比較すると、式(9)の右辺のコモンモードノイズI commonの係数(絶対値)の方が式(3)の右辺のコモンモードノイズI commonの係数(絶対値)よりも小さい場合、すなわち、式変形をして整理すると、0<Lb-La<2Lp+(ω Lp /Z )との関係が成立する場合には、インダクタLa,Lbを設けることで、インダクタLa,Lbが設けられていないときと比べて、変換率Tが低くなる。
[0065]
 また、(ω Lp /Z )が2Lpと比べて無視できるほど小さく、(ω Lp /Z )≪2Lpと表すことができる場合には、変換率Tが低減される上述の条件を0<Lb-La<2Lpと近似することができる。
[0066]
 なお、実施の形態1と同様に、Lb-La=Lpとの関係が成立する場合には変換率Tが0となるため、ノーマルモードノイズI normalが最小となる。
[0067]
 以上のように、実施の形態1の変形例によれば、コンデンサC1と正極端子Tpとの間の正極線PL1にインダクタLaが設けられ、かつ、コンデンサC1と負極端子Tnとの間の負極線NLにインダクタLbが設けられた構成においても、インダクタLa,Lbのインダクタンスを0<Lb-La<2Lpとの関係が成立するように設定する。このように、経路PATH2のインダクタンス(Lb)および経路PATH1のインダクタンス(La)は、その差(Lb-La)がコンデンサC1の寄生インダクタンス成分Lpの2倍未満となるように設定される。そうすることで、インダクタLa,Lbが設けられていない場合と比べて、経路PATH1のインピーダンスと経路PATH2のインピーダンスとの差が小さくなる。これにより、コモンモードノイズI commonからノーマルモードノイズI normalへの変換を抑制し、スイッチングノイズを低減することができる。
[0068]
 なお、経路PATH1と経路PATH2との間のインピーダンスの不平衡を低減する観点からは、図3に示した実施の形態1の構成において、インダクタLに代えて、別のインダクタを設けてもよい。すなわち、図示しないが、正極線PL1に設けられたリアクトルLcと同程度のインダクタンスを有するインダクタをコンデンサC1とスイッチング素子Q2との間の負極線NLに設けることも可能である。しかしながら、このような構成を採用する場合、実施の形態1の構成と同等の不平衡の低減効果を得るためには、実施の形態1におけるインダクタLよりも大型のインダクタが必要となる。また、変形例におけるインダクタLa,Lb(図5参照)と比べても、より大型のインダクタが必要となる。つまり、実施の形態1および変形例によれば、小型のインダクタの設置によりスイッチングノイズを低減することができる。
[0069]
 実施の形態2.
 実施の形態1およびその変形例では、経路PATH1および経路PATH2の一方または両方にインダクタが設けられた構成について説明した。しかし、経路PATH1と経路PATH2とのインピーダンス差が小さくなり、不平衡が解消(低減)されるのであれば、経路(経路PATH1および経路PATH2の少なくとも一方)に設けられる回路部品は、インダクタに限定されない。実施の形態2においては、経路PATH2に抵抗が設けられた構成について説明する。
[0070]
 図8は、実施の形態2に係る電力変換装置の構成を概略的に示す回路ブロック図である。図8を参照して、コンデンサC1は、寄生抵抗成分Rpを有する。寄生抵抗成分Rpは、回路ブロック図上では、コンデンサC1(容量成分)に直列に接続された抵抗として表される。
[0071]
 電力変換装置2は、インダクタLに代えて抵抗Rを備える点において、実施の形態1に係る電力変換装置1(図3参照)と異なる。抵抗Rは、コンデンサC1と負極端子Tnとの間において、負極線NLに電気的に接続されている。抵抗Rは、たとえばディスクリート部品(チップ抵抗など)により構成されるが、負極線NLの配線抵抗(寄生抵抗)により形成されてもよい。また、たとえばチップ抵抗と負極線NLの配線抵抗との合成により、抵抗Rを確保してもよい。
[0072]
 なお、電力変換装置2の他の構成は、実施の形態1に係る電力変換装置1(図3参照)の対応する構成と同等である。また、電力変換装置2におけるノイズ伝搬経路も、図4に示したノイズ伝播経路と同等である。よって、詳細な説明は繰り返さない。
[0073]
 実施の形態2では、正極線PL1を流れる電流Ip、負極線NLを流れる電流InおよびノーマルモードノイズI normalは、下記式(10)~(12)のようにそれぞれ表される。式(12)より、変換率Tが(Rp-R)に依存することが分かる。
[0074]
[数4]


[0075]
 実施の形態1と同様に、上記式(3)と式(12)とを比較して式変形により整理すると、0<Rp-R<2Rp+(Rp /Z )との関係が成立する場合に、抵抗Rを設けることで、抵抗Rが設けられていないときと比べて、変換率Tが低くなる。(Rp /Z )が2Lpと比べて無視できるほど小さい場合((Rp /Z )≪2Lpと表される場合)には、変換率Tが低減される条件を0<Rp-R<2Rpと近似することができる。また、R=Rpの場合には変換率Tが0となるため、ノーマルモードノイズI normalが最小となる。
[0076]
 以上のように、実施の形態2によれば、コンデンサC1と負極端子Tnとの間の負極線NLに抵抗Rが電気的に接続される。経路PATH2の抵抗と経路PATH1の抵抗との差がコンデンサC1の寄生抵抗成分Rpの2倍未満となるように、すなわち、0<Rp-R<2Rpとの関係が成立するように抵抗Rを設定することで、抵抗Rが設けられていない場合と比べて、経路PATH1のインピーダンスと経路PATH2のインピーダンスとの差が小さくなる。これにより、コモンモードノイズI commonからノーマルモードノイズI normalへの変換を抑制し、スイッチングノイズを低減することができる。
[0077]
 なお、詳細な説明は繰り返さないが、実施の形態2においても実施の形態1の変形例と同様に、経路PATH1および経路PATH2の両方に抵抗が設けられた構成を採用することができる。
[0078]
 今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

符号の説明

[0079]
 1,1A,2,9 電力変換装置、10 コンバータ、20 インバータ、31,32 電圧センサ、33 電流センサ、100 制御装置、B 直流電源、C1,C2 コンデンサ、D1~D8 ダイオード、I,In,Ip 電流、L,La,Lb インダクタ、Lc リアクトル、Lp 寄生インダクタンス成分、M 交流モータ、PL1,PL2 正極線、NL 負極線、Q1~Q8 スイッチング素子、R 抵抗、Rp 寄生抵抗成分、Tn 負極端子、Tp 正極端子、Tu U相端子、Tv V相端子、Tw W相端子。

請求の範囲

[請求項1]
 直流電源から供給される電力を受ける正極端子および負極端子と、
 前記正極端子および前記負極端子のうちの一方と電気的に接続可能に構成された第1の電力線と、
 前記正極端子および前記負極端子のうちの他方と電気的に接続可能に構成された第2の電力線と、
 寄生インダクタンス成分を有し、前記第1の電力線と前記第2の電力線との間に電気的に接続された平滑コンデンサと、
 前記第1の電力線に設けられたリアクトルを含み、前記平滑コンデンサにより平滑化された直流電圧の電圧変換を行なうように構成されたコンバータと、
 前記コンバータと交流負荷との間での直流交流変換をスイッチング制御により行なうように構成されたインバータとを備え、
 前記第1の電力線のうち前記正極端子および前記負極端子の前記一方と前記平滑コンデンサとを結ぶ第1の経路のインダクタンスは、前記第2の電力線のうち前記正極端子および前記負極端子の前記他方と前記平滑コンデンサとを結ぶ第2の経路のインダクタンスよりも小さく、
 前記第2の経路のインダクタンスと前記第1の経路のインダクタンスとの差は、前記平滑コンデンサの寄生インダクタンス成分の2倍未満である、電力変換装置。
[請求項2]
 前記第2の経路に設けられたインダクタをさらに備え、
 前記インダクタのインダクタンスは、前記平滑コンデンサの寄生インダクタンス成分の2倍未満である、請求項1に記載の電力変換装置。
[請求項3]
 前記第2の経路のインダクタンスは、前記第2の経路の寄生インダクタンス成分であり、
 前記第2の経路の寄生インダクタンス成分は、前記平滑コンデンサの寄生インダクタンス成分の2倍未満である、請求項1に記載の電力変換装置。
[請求項4]
 前記第1の経路に設けられた第1のインダクタと、
 前記第2の経路に設けられた第2のインダクタとをさらに備え、
 前記第2のインダクタのインダクタンスと前記第1のインダクタのインダクタンスとの差は、前記平滑コンデンサの寄生インダクタンス成分の2倍未満である、請求項1に記載の電力変換装置。
[請求項5]
 直流電源から供給される電力を受ける正極端子および負極端子と、
 前記正極端子および前記負極端子のうちの一方と電気的に接続可能に構成された第1の電力線と、
 前記正極端子および前記負極端子のうちの他方と電気的に接続可能に構成された第2の電力線と、
 寄生抵抗成分を有し、前記第1の電力線と前記第2の電力線との間に電気的に接続された平滑コンデンサと、
 前記第1の電力線に電気的に接続されたリアクトルを含み、電圧変換を行なうように構成されたコンバータと、
 前記コンバータと交流負荷との間での直流交流変換をスイッチング制御により行なうように構成されたインバータとを備え、
 前記第1の電力線のうち前記正極端子および前記負極端子の前記一方と前記平滑コンデンサとを結ぶ第1の経路の抵抗は、前記第2の電力線のうち前記正極端子および前記負極端子の前記他方と前記平滑コンデンサとを結ぶ第2の経路の抵抗よりも小さく、
 前記第2の経路の抵抗と前記第1の経路の抵抗との差は、前記平滑コンデンサの寄生抵抗成分の2倍未満である、電力変換装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]