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1. (WO2018181018) SIGNAL PROCESSING DEVICE AND SIGNAL PROCESSING METHOD
Document

明 細 書

発明の名称 信号処理装置および信号処理方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

非特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1A   1B   2   3A   3B   3C   3D   4   5   6A   6B   7   8   9A   9B   10   11   12   13   14   15A   15B   16   17   18   19A   19B   20   21   22   23   24A   24B   25   26   27   28   29   30   31   32  

明 細 書

発明の名称 : 信号処理装置および信号処理方法

技術分野

[0001]
 本発明は、信号処理装置および信号処理方法に関する。

背景技術

[0002]
 上記技術分野において、非特許文献1には、対象物体までの距離を測定するために、電波を送信し、対象物体から反射した電波を受信し、受信した電波の波形と送信した電波の波形との相互相関関数で距離を測定する技術が開示されている。また、特許文献1には、音波信号の送信波形としてSFM波形の周波数変調の正弦波を変調した波形(いわゆる、ASFM(Accelerated Sinusoidal Frequency Modulation)波形)を使用することによって、対象物体までの距離および移動速度の少なくともいずれかを検知する技術が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 国際公開第2013/128878号

非特許文献

[0004]
非特許文献1 : 佐藤友治、平田慎之介、黒澤実、片桐崇「M系列符号を用いた超音波距離計測におけるパルス圧縮の多チャンネル化」 音響学会講演論文集 2008年9月、p.1527-1528
非特許文献2 : 横田康成 講義資料 “信号処理 第3部 非定常信号解析,ケプストラム解析”、[online]、2003年5月22日、[2017年1月26日検索]、インターネット〈URL:https://www1.gifu-u.ac.jp/~yktlab/sp3.pdf〉

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、上記文献に記載の技術では、静止物体を含めて、一定速度以下の全ての物体が検知される。静止物体を検知したくない場合に対応することができなかった。
[0006]
 本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記目的を達成するため、本発明に係る信号処理装置は、
 周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算手段と、
 前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を、所定速度範囲の対象物体を検知し難くなるように合成して、後処理部に出力する合成手段と、 を備える。
[0008]
 上記目的を達成するため、本発明に係る信号処理方法は、
 周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算ステップと、
 前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を、所定速度範囲の対象物体を検知し難くなるように合成して、後処理部に出力する合成ステップと、
 前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を、所定速度範囲の対象物体を検知し難くなるように合成する合成ステップと、
 を含む。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、所定速度範囲の物体を検知しない物体検出を実現することができる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1A] 本発明の第1実施形態に係る信号処理装置の構成を示すブロック図である。
[図1B] 本発明の実施形態に係る物体検知結果の表示例である。
[図2] 本発明の第2実施形態に係る信号処理装置の処理概要を説明する図である。
[図3A] 本発明の第2実施形態に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。
[図3B] 前提技術に係る信号処理装置の構成を示すブロック図である。
[図3C] 前提技術における送信波形のスペクトログラムを示す図である。
[図3D] 前提技術における自己曖昧度関数を示す図である。
[図4] 本発明の第2実施形態に係る相関処理部の機能構成を示すブロック図である。
[図5] 本発明の第2実施形態に係る相関波形生成部の機能構成を示すブロック図である。
[図6A] 本発明の第2実施形態に係る曖昧度関数の中央部を断面として見た合成部の合成処理を示す図である。
[図6B] 本発明の第2実施形態に係る曖昧度関数の中央部の検知範囲を断面として見た合成部の合成処理を示す図である。
[図7] 本発明の第2実施形態に係る送信波形のスペクトログラムを示す図である。
[図8] 本発明の第2実施形態に係る自己曖昧度関数を示す図である。
[図9A] 本発明の第2実施形態に係る合成部で合成した相互曖昧度関数を示す図である。
[図9B] 本発明の第2実施形態に係る合成部で合成した相互曖昧度関数の合成状態と出力される相互相関関数との関係を示す図である。
[図10] 本発明の第2実施形態に係る他の送信波形のスペクトログラムを示す図である。
[図11] 本発明の第2実施形態に係る他の送信波形における自己曖昧度関数を示す図である。
[図12] 本発明の第2実施形態に係る他の送信波形における相互曖昧度関数および合成した相関関数の曖昧度関数を、時間を広域にして立体表示した図である。
[図13] 本発明の第2実施形態に係る信号処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
[図14] 本発明の第2実施形態に係る相関波形生成テーブルの構成を示す図である。
[図15A] 本発明の第2実施形態に係る信号処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
[図15B] 本発明の第2実施形態に係る相関波形生成処理の手順を示すフローチャートである。
[図16] 本発明の第3実施形態に係る信号処理装置の処理概要を説明する図である。
[図17] 本発明の第3実施形態に係る相関波形生成テーブルの構成を示す図である。
[図18] 本発明の第3実施形態に係る周波数シフトの量を変えた合成による相互曖昧度関数を示す図である。
[図19A] 本発明の第4実施形態に係る信号処理装置の処理概要を説明する図である。
[図19B] 本発明の第4実施形態に係る信号処理装置の他の処理概要を説明する図である。
[図20] 本発明の第4実施形態に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。
[図21] 本発明の第4実施形態に係る相関処理部の機能構成を示すブロック図である。
[図22] 本発明の第4実施形態に係る相関波形生成部の機能構成を示すブロック図である。
[図23] 本発明の第4実施形態に係る相関波形生成テーブルの構成を示す図である。
[図24A] 本発明の第4実施形態に係る信号処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
[図24B] 本発明の第4実施形態に係る相関波形生成処理の手順を示すフローチャートである。
[図25] 本発明の第5実施形態に係る信号処理装置の処理概要を説明する図である。
[図26] 本発明の第5実施形態に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。
[図27] 本発明の第5実施形態に係る曖昧度関数の中央部を断面として見た合成処理を示す図である。
[図28] 本発明の第6実施形態に係る信号処理装置の処理概要を説明する図である。
[図29] 本発明の第6実施形態に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。
[図30] 本発明の第6実施形態に係る曖昧度関数の中央部を断面として見た合成処理を示す図である。
[図31] 本発明の第7実施形態に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。
[図32] 本発明の第7実施形態に係る曖昧度関数の中央部を断面として見た合成処理を示す図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素は単なる例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[0012]
 [第1実施形態]
 本発明の第1実施形態としての信号処理装置100について、図1A、図1Bを用いて説明する。
信号処理装置100は、物体から反射した信号により物体を検出するための信号を出力する装置である。
[0013]
 図1Aに示すように、信号処理装置100は、少なくとも2つの相互相関計算部101と、合成部102と、を含む。少なくとも2つの相互相関計算部101は、周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する。合成部102は、少なくとも2つの相互相関計算部からの少なくとも2つの相互相関関数を、所定速度範囲の対象物体を検知し難くなるように合成して、後処理部に出力する。
[0014]
 図1Bは、本実施形態に係る信号処理装置100から出力された相互相関関数による物体検知結果の表示例である。なお、物体検知結果の表示例は図1Bに限定されない。
[0015]
 図1Bの表示画面130(左図)は、全速度範囲に従って物体を検出した結果の表示例である。○のみは静止物体、○に+は接近物体、○に-は離反物体である。なお、静止物体○は、速度ゼロを中心の所定速度範囲を含んでもよい。また、静止物体○は、検出側の信号処理装置100が移動中の場合は、同じ速度で同じ方向に移動する物体となる。
[0016]
 図1Bの表示画面140(右上図)は、本実施形態における静止物体○の検知をしない出力信号に基づいて物体を検出した結果の表示例である。表示画面140においては、表示画面130と比較すると検知しない静止物体○の表示が消えている。図1Bの表示画面150(右下図)は、本実施形態における所定接近速度範囲外の物体の検知をしない出力信号に基づいて物体を検出した結果の表示例である。表示画面150においては、表示画面130と比較すると検知しない静止物体○の表示が消え、さらに、表示画面140と比較すると、所定接近速度範囲の物体以外、すなわち離反物体および所定接近速度範囲外の接近物体が消えている。例えば、表示画面140の所定接近速度範囲外の接近物体141は、表示画面150では消えている(図1Bでは、破線の接近物体151で図示している)。
[0017]
 なお、図1Bにおいては、+を接近物体、-を離反物体としたが、表示画面を監視するユーザにより容易に判別が可能な表示として、他の異なるマークや色の違いなどで表示してもよい。
[0018]
 本実施形態によれば、少なくとも2つの相互相関関数を所定速度範囲の対象物体を検知し難くなるように合成して、後処理部に出力するので、所定速度範囲の物体を検知しない物体検出を実現することができる。
[0019]
 [第2実施形態]
 次に、本発明の第2実施形態に係る信号処理装置について説明する。本実施形態に係る信号処理装置は、少なくとも2つの相互相関関数のそれぞれの絶対値を減算することにより合成する。ここで、所定速度範囲は速度ゼロを含む範囲である。出力された相互相関関数を用いた後処理においては、所定速度範囲の対象物体を除く、対象物体の位置検出および速度検出の少なくともいずれかを含む処理が行なわれる。相互相関計算において用いられる異なる相関波形として、送信信号の波形と周波数補正した波形との相互曖昧度関数がドップラー方向に対称であり、かつ、合成した相互曖昧度関数に間隙が発生するような波形を用いる。さらに、異なる相関波形として、送信信号の波形に対して異なる周波数補正をした波形を加算した波形、または、送信信号の波形に対して時間軸で異なる伸縮をさせた波形を加算した波形を用いる。
[0020]
 一方、本実施形態において用いられる送信信号は、自己曖昧度関数の値が遅延時間ゼロおよび周波数偏移ゼロの周辺で大きくなる波形であって、SFM(Sinusoidal Frequency Modulation)波形の周波数変調の正弦波を変調した波形を含み、特に、周波数が曲線状に増減し、周波数帯域幅が時間的に曲線状に増減する波形を含む。この送信信号は、周波数帯域幅を変調した波形である。さらに、本実施形態における送信信号として、周波数が曲線状に増減し、周波数帯域幅が時間的に曲線状に増減する第1波形と、周波数の増減が時間方向または周波数方向に対して対称である第2波形とを重畳した波形も用いられる。具体的には、SFM波形の周波数変調の帯域幅を変調した波形である、BM-SFMを使用する。また、ASFMにおける周波数変調の方向を逆にした波形を2つ加算したものである、TASFM(Twin ASFM)と呼ぶ波形を使用する。
[0021]
 このように、送信波形として自己曖昧度関数がドップラー方向に対称になる波形を使い、受信処理において、ドップラー効果に等価な周波数補正を行った波形による複数の相関結果の演算を行い、特定のドップラーに対する感度を低減する。
[0022]
 《前提技術の説明》
 本実施形態の信号処理装置を説明する前に、信号処理装置の前提技術について説明する。非特許文献1では、送信波形としてM系列と呼ばれる波形を用いている。図3Bは、前提技術に係る信号処理装置350の構成を示すブロック図である。
[0023]
 図3Bに示すように、信号処理装置350は、送信波形生成部351と、相関計算部354とを含む。送信波形生成部351は、送信波形を生成し、無線送信部352へと送るとともに、相関計算部354へ、送信波形を送る。無線送信部352は送信波形に周波数変換などを行い、無線信号へと変換して、送信アンテナ356から送信する。無線受信部353は、送信信号331が対象物体330で反射することによって得られた反射信号332を、受信アンテナ357を経由して受信し、受信した無線信号の周波数変換などを行い、所望の周波数帯域の受信波形として相関計算部354へと送る。相関計算部354は、送信波形と受信波形との相互相関関数を計算し、絶対値355へと送る。絶対値355が出力する相互相関関数から、対象物体330の存在、および、対象物体330までの距離を検出する。
[0024]
 (曖昧度関数について)
 距離の検出能力について、曖昧度関数(ambiguity function)とよばれる表示で確認する。曖昧度関数は、非特許文献2に記載されるように、数式1で定義される。
[数1]



ここでA(τ,ν)は曖昧度関数、τは時間差、νは周波数偏移量(ドップラー効果)、U(t)は波形を時刻tについて表現したものである。*は複素共役、eは自然対数の底、iは虚数単位、πは円周率をそれぞれ表す。
[0025]
 数式1による曖昧度関数は、自己曖昧度関数とも呼ばれる。これを一般化して2つの関数の関係としたものが、数式2の相互曖昧度関数(Cross ambiguity function)である。
[数2]



ここでU1(t)とU2(t)は相互相関をとる波形である。U1(t)とU2(t)が同一である場合が自己曖昧度関数である。曖昧度関数は、時間の軸(time)と周波数偏移量(doppler)の軸を有する。
[0026]
 (速度・距離の検出について)
 以下、送信波形と相関波形に用いる波形によって、検出能力が変わることを、曖昧度関数を使って説明する。曖昧度関数は複素数であるが、図を見やすくするためにその絶対値を濃度で示す。
[0027]
 送信波形と相関波形に特許文献1に開示された波形を用いた場合、そのスペクトログラムは図3Cのようになり、その自己曖昧度関数(相関波形として送信波形自信を用いた場合の相互曖昧度関数)を図3Dに示す。
[0028]
 このASFMでは、中心周波数1GHz、変調帯域幅10MHz(±5MHz)、波形時間長1ミリ秒で発生している。図3Cからわかるように、この変調帯域幅の範囲内で、直線状に周波数が変化している。相関波形として送信波形を用いた場合には、その相互曖昧度関数は自己曖昧度関数と同じであり、図3Dのようになる。ここで、縦軸のdopplerは、反射物体の移動速度に変換している。例えば、反射物体が移動しないことが明らかなのであれば、図3Dのdoppler=ゼロ(m/s)の軸を見ればよい。Time=0の狭い付近にのみ相互曖昧度関数が大きくなっており、時間、すなわち反射物体までの距離が正確にわかることになる。しかし、反射物体の速度が速くなるにしたがって感度が落ちてくる。例えばdopplerが0.1×104(m/s)、すなわち対象物が時速360kmの飛行機であるときには、timeすなわち距離も正確に検知できることがわかる、一方、速すぎる時、例えばdopplerが0.5×104(m/s)、すなわち対象物が時速1800km、マッハ1.5のロケットやミサイルであるときには、相互曖昧度関数の値が小さくなり、速度や距離だけでなく存在自体も検知しないことになる。
[0029]
 しかし、上記前提技術では、静止物体を含んで、一定速度以下の物体を含む全ての物体が検知される。実際には、静止物体は検知したくない応用も多い。防衛監視用のレーダーでは、高速で動く飛行機のみ検知できればよい。飛行機からのレーダーでは、自機から見て一定速度になる静止物体は問題ではなく、それ以外の速度である他飛行機のみを検知できればよい。
[0030]
 《本実施形態の説明》
 本実施形態においては、静止物体、あるいは、静止を含む所定速度範囲の物体の反射信号を信号処理装置において検知しないように制御することにより、物体位置、距離または速度を検出する後処理における静止物体、あるいは、静止を含む所定速度範囲の物体の処理を省略することができる。本実施形態においては、本発明を具体的なレーダー装置とした場合の構成を示す。相関をとる相関波形として、送信波形に周波数補正を施した波形を2種類用い、それぞれの相互相関関数を合成する。本実施形態の特徴は、相関処理部を複数有していることおよび、それぞれの相関関数処理部で用いる相関波形の関係にある。
[0031]
 《信号処理装置の処理概要》
 図2は、本実施形態に係る信号処理装置の処理概要200を説明する図である。図2においては、送信波形と2つの相関波形との関係について、曖昧度関数を模式的に表して説明する。
[0032]
 送信波形として、図2の左図(a)に示すように、自己曖昧度関数210の値が大きい領域がdoppler=0、time=0に集中して島を形成する波形を用いる。例えば、図7に示す特許文献1の波形が該当する。
[0033]
 自己曖昧度関数は、相関波形として送信波形を用いた場合の相互曖昧度関数であるが、相関波形として、送信波形にドップラー効果を施した周波数補正を行った波形を用いる場合には、島は施したドップラー効果の分だけシフトした場所に形成される。本実施形態においては、複数の相関処理部で使用する相関波形の生成においては、それぞれの島がドップラー方向で逆にシフトした場所に形成され、かつ、絶対値を取って減算した場合にドップラーゼロを含む範囲に曖昧度関数の値が閾値以下のギャップが形成されるような相関波形を生成する。
[0034]
 図2の(b)および(c)は、相関処理部で用いる相関波形と、送信波形との相互曖昧度関数22Aおよび22Bを示す。周波数補正の量を適切に設計すれば、図2の(b)および図2の(c)のようにお互いに対称な形の島を形成することができる。
[0035]
 続いての図2の右図(d)を用いて、本実施形態の合成の処理と効果を説明する。本実施形態の合成処理では、受信波形と2つの相関波形とから計算された2つの相互相関関数のそれぞれの絶対値をとり、減算する。相互相関関数は複素数なので、そのまま減算すると干渉するが、絶対値を減算することで、干渉の問題を低減できる。その結果、図2の右図(d)に示すように、図2の中央図(b)と(c)とを単純に減算したような曖昧度関数230が得られる。この図2の右図(d)の曖昧度関数230は、ドップラーゼロを含む範囲に曖昧度関数の値が閾値以下のギャップが形成される。すなわち、この図2の(d)の曖昧度関数には、doppler=0付近のところで横にほぼまっすぐ0(ゼロ)であり、横軸すなわち速度が0(ゼロ)の反射物体を検知しないことがわかる。また、速度が0(ゼロ)付近以外の反射物体は正しいtimeすなわち距離を検知できる。
[0036]
 このギャップの形成は、ドップラーゼロを含む範囲、すなわち、静止を含む低速度の物体の検知信号を含まない出力信号が生成されるため、後処理においては既に静止を含む低速度の物体が除かれた受信信号を処理すればよく、処理の単純化および高速化を実現する。また、図2の(a)のように自己曖昧度関数が島を形成し、かつ、それらの波形間の相互相関関数、相互曖昧度関数が小さくなるような波形は複数存在する。これらの波形を用いれば、同一周波数帯域で運用することが可能であるという効果も得られる。
[0037]
 《信号処理装置の機能構成》
 図3Aは、本実施形態に係る信号処理装置310の機能構成を示すブロック図である。
図3Aにおいては、本実施形態に係る信号処理装置310を受信機として示している。なお、本実施形態に係る信号処理装置310が送信機320を含む構成であってもよい。
[0038]
 送信機320は、送信波形生成部321と、無線送信部322と、送信アンテナ323と、を備える。送信波形生成部321は、送信波形を生成し、無線送信部322へと送信波形を送る。無線送信部352は、送信波形に周波数変換などを行い、無線信号へと変換して、送信アンテナ323から送信信号331として、対象物体330に向けて送信する。
[0039]
 図3Aにおいて、信号処理装置310は、無線受信部311と、相関処理部312と、相関処理部313と、合成部314と、受信アンテナ315と、を備える。無線受信部311は、対象物体330からの反射信号332を、受信アンテナ315を経由して受信し、受信した無線信号の周波数変換などを行い、所望の周波数帯域の受信波形として相関処理部312および313へと送る。相関処理部312と313とでは、送信波形または送信波形の情報を基に、それぞれ異なる相関波形を生成し、受信波形とそれぞれの相関波形との相互相関関数を算出し、合成部314へと送る。それぞれの相関波形は送信波形から生成されており、サンプリングなどは同期している。合成部314は、絶対値生成部341および342と、減算部343と、絶対値生成部344とを有し、相関処理部312と313とからの相互相関関数を受けてそれぞれの絶対値を取って、合成された相互相関関数を出力部316から出力する。なお、破線で示した絶対値生成部344は、出力部316からの出力信号を用いて、物体の位置検出、距離検出、速度検出などを含む後処理をする後処理部が有する場合には、合成部314は有しなくてよい。以下の実施形態においても同様である。
[0040]
 (相関処理部)
 図4は、本実施形態に係る相関処理部312、313の機能構成を示すブロック図である。
[0041]
 相関処理部312は、相関波形生成部401と相関計算部402とを含む。相関波形生成部401は、送信波形または送信波形の情報を受けて、送信波形に一定の伸縮を行った波形を相関波形として生成する。相関計算部402は、受信波形と相関波形の相互相関を計算する。相関処理部313も構成としては相関処理部312と同様であるが、相関波形生成部401が生成する相関波形が異なる。相関処理部312と313との差異は、相関波形に施した周波数補正の量の差である。相関処理部312と相関処理部313とでは、感度を低くしたい速度を中心に対称になるように、周波数補正の量を設定する。
[0042]
 (相関波形生成部)
 図5は、本実施形態に係る相関波形生成部401の機能構成を示すブロック図である。
相関波形生成部401は、送信波形にドップラー効果を施したことと等価な周波数補正した波形を生成する。ドップラー効果を施したことと等価な周波数補正された波形の生成としては、送信波形を周波数シフトさせた波形の生成、あるいは、送信波形を時間方向に伸縮させた波形の生成、を行えばよい。施す周波数補正の量は、相関処理部によって適切に設定する。
[0043]
 図5において、相関波形生成部401+は、相関処理部312が有する相関波形生成部401を示し、相関波形生成部401-は、相関処理部313が有する相関波形生成部401を示す。そして、相関波形生成部401+は、プラスに周波数補正する補正波形生成部501+を有し、相関波形生成部401-は、マイナスに周波数補正する補正波形生成部501-を有する。
[0044]
 (合成部)
 図6Aおよび図6Bは、本実施形態に係る曖昧度関数の中央部を断面として見た合成部314の合成処理を示す図である。
[0045]
 図6Aの(a)のように左右対称な自己曖昧度関数601を持つ波形を用いて、相関処理部において対称な周波数補正を行うと、図6Aの(b)や(c)のような相互曖昧度関数602、603が得られる。絶対値が取られていることにより、単純な減算が可能であり、合成された結果、図6Aの(d)のような相互曖昧度関数604が得られる。中央のドップラーが0(ゼロ)、すなわち速度が0(ゼロ)ところで感度が低くなっている。すなわち、静止した物体、あるいは、小さな移動速度の物体に対する感度が低いことが分かる。図6Aの(d)の相互曖昧度関数604では正負の違いがあるが、これは表示の際にさらに絶対値を取るなどすれば(605)、表示には問題ない。なお、合成後の絶対値605を用いて後処理をする場合は、絶対値605が閾値Thを超える条件を設けてもよい。
[0046]
 図6Bは、本実施形態に係る曖昧度関数の中央部の検知範囲を断面として見た合成部314の合成処理を示す図である。なお、図6Bには、図6Aの絶対値605を繰り返し図示している。
[0047]
 図6Aの(b)や(c)のような相互曖昧度関数602、603を互いに速度が0(ゼロ)の方向に接近させた場合の絶対値606においては、速度が0(ゼロ)を中心に、より狭い速度範囲の物体の検知を省くことができる。また、互いに速度が0(ゼロ)と逆の方向に離反させた場合の絶対値607においては、速度が0(ゼロ)を中心に、より広い速度範囲の物体の検知を省くことができる。さらに、閾値Thを変化させることによっても、検知を省く速度範囲を変化させることができる。例えば、閾値Thを高くすることで、速度が0(ゼロ)を中心に、より広い速度範囲の物体の検知を省くことができる(608参照)。
[0048]
 《スペクトログラムおよび曖昧度関数》
 以下、本実施形態の各部における特徴の観測表示例を、図7乃至図9Aに示す。なお、曖昧度関数は複素数であるが、図面を見やすくするためにその絶対値を濃度で示している。
[0049]
 (送信波形のスペクトログラム)
 図7は、本実施形態に係る送信波形のスペクトログラム710および720を示す図である。本実施形態における送信波形は、特に優れた波形として、新規に考案したBM-SFM(Bandwidth Modulator-Sinusoidal Frequency Modulation)波形である。BM-SFMは、周波数帯域幅(Bandwidth)を変調した波形であり、周波数が曲線状に増減し、周波数帯域幅が時間的に曲線状に増減する波形である。
[0050]
 図7には、2種のBM-SFM波形例のスペクトログラム710および720を示す。
この波形は、図7からわかるように、周波数が正弦波状に振動するFM変調波(SFM)であり、さらにSFMのFM変調の帯域幅が増減するような変調が施されている。波形例の違いは、SFMの正弦波状の振動回数(周期)の違いである。スペクトログラム710の波形では1ミリ秒の間に10.5回振動しているのに対し、スペクトログラム720の波形では15.5回振動している。
[0051]
 (自己曖昧度関数)
 図8は、本実施形態に係る自己曖昧度関数810および820を示す図である。なお、図8におけるドップラー偏移の最大値は、人工衛星やロケットの速度に相当する。
[0052]
 自己曖昧度関数810は、スペクトログラム710のBM-SFM波形例の自己曖昧度関数であり、自己曖昧度関数820は、スペクトログラム720のBM-SFM波形例の自己曖昧度関数である。図8からわかるように、これらの波形の自己曖昧度関数は、複雑な変調により、中央付近に集中する島が形成される。自己曖昧度関数810では、離れたところに島があるが、ここまでの速度の物体は人工衛星やロケットくらいしかないので、実用的には困らない。さらに振動回数を増やすと、自己曖昧度関数820のように、離れた島をさらに遠ざけて実質見えなくすることができる。
[0053]
 (合成した相互曖昧度関数)
 図9Aは、本実施形態に係る合成部314で合成した相互曖昧度関数を示す図である。
[0054]
 本実施形態においては、スペクトログラム720のBM-SFM波形例に対して、相関処理部におけるドップラー効果の量を+0.0005パーセント(1.000005)と-0.0005パーセント(約0.999995)とにした場合に、合成部314が出力した相関関数の相互曖昧度関数が図9Aである。図9Aの下図は、図9Aの上図を上下方向、すなわちドップラー方向に拡大したものである。doppler=0の付近では横にほぼまっすぐ0(ゼロ)であり、横軸すなわち速度が0の反射物体を検知せず、また速度が0以外の反射物体は正しいtimeすなわち距離を検知できるという本実施形態の効果が分かる。
[0055]
 同様の効果は、スペクトログラム720のBM-SFM波形例をスペクトログラム710のBM-SFM波形例に置き換えた場合にも得られる。スペクトログラム720のBM-SFM波形例とスペクトログラム710のBM-SFM波形例との相互曖昧度関数は小さく、分離可能であり、同じ周波数帯域で複数運用することが可能となる効果を得ることができる。スペクトログラム720のBM-SFM波形例とスペクトログラム710のBM-SFM波形例との差異は、正弦波的な周波数変調の回数の違いであるが、この繰り返しの回数を変えることで、分離可能で複数運用可能な波形を多数作ることができる。
[0056]
 この他にも自己曖昧度関数がほぼ対称で、分離可能な波形を作ることができる。このような波形のうち、レーダーによって異なる波形を用いればよい。また、本実施形態で用いた波形の継続時間は長いので、同じ信号対雑音比を得るための電力最大値はパルスドップラーレーダーの波形よりも小さいという効果もある。
[0057]
 (後処理部:物体の検出)
 図9Bは、本実施形態に係る合成部314で合成した相互曖昧度関数の合成状態と出力される相互相関関数との関係を示す図である。なお、後処理は本例に限定されない。本実施形態の所定速度範囲の物体の検知をしにくくする処理により生成された信号が適用されるあらゆる後処理を含む。
[0058]
 図9Bの上図を参照すれば、合成状態930としては、2つの相互曖昧度関数の絶対値の減算結果に対し、さらに絶対値を取ることで、ドップラーゼロを中心に閾値Thを下回る範囲が生成される。なお、かかる合成状態は一例に過ぎず、信号処理装置310の他の条件により適切に調整されてよい。
[0059]
 図9Bの下図は、一例として、2つの異なる移動速度の物体が存在する場合の、相互相関関数940を示している。相互曖昧度関数において、相互相関関数の値が所定の値以上の結果が、ドップラー偏移方向にゼロの周辺で切断されており、移動物体の移動速度がゼロまたはゼロに近い場合は物体が検出されず(図9Bの942参照)、かつ、ゼロを含む所定範囲外であれば物体を正確に検出することができる(図9Bの941参照)。
[0060]
 《本実施形態の変形例》
 図10~図12を参照して、本実施形態において他の送信波形を使用した例を説明する。
[0061]
 (送信波形のスペクトログラム)
 図10は、本実施形態に係る他の送信波形のスペクトログラム1000を示す図である。
[0062]
 この送信波形は、ASFMにおける周波数変調の方向を逆にした波形を2つ加算したものである。以下、TASFM(Twin ASFM)と呼ぶ。中心周波数は1GHz、FM変調の帯域幅は2MHz(±1MHz)、波形長30マイクロ秒とした。スペクトログラムでは解像度が足りず、FM変調の帯域幅をはみ出しているように見えるが、黒い実線が意図した周波数変調の曲線である。
[0063]
 (自己曖昧度関数)
 図11は、本実施形態に係る他の送信波形における自己曖昧度関数1100を示す図である。
[0064]
 ASFMの相互曖昧度関数は、図3Dに示すように、ドップラー方向に対して対称ではないが、FM変調の方向を対称にした波形を加算することで、図11のように対称な自己曖昧度関数を得ることができる。
[0065]
 (合成した相互曖昧度関数)
 図12は、本実施形態に係る他の送信波形における相互曖昧度関数1210および合成した相関関数の曖昧度関数1220を、時間を広域にして立体表示した図である。
[0066]
 図9A、図9BのTASFM波形に対して、相関処理部におけるドップラー効果の量を+0.00025パーセント(1.0000025)と-0.00025パーセント(約0.9999975)とにした場合に、合成部314が出力した相関関数の相互曖昧度関数を図12に示す。図12の上図は、ドップラー方向に拡大して表示したもの、下図は、ドップラーの広い範囲を立体的に表示したものである。doppler=0の付近に横にほぼまっすぐ0(ゼロ)であり、横軸すなわち速度が0の反射物体を検知せず、また速度が0以外の反射物体は正しいtimeすなわち距離を検知できる。
[0067]
 《信号処理装置のハードウェア構成》
 図13は、本実施形態に係る信号処理装置310のハードウェア構成を示すブロック図である。
[0068]
 図13で、CPU(Central Processing Unit)1310は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図3A、図4および図5の機能構成部を実現する。なお、CPU1310は、それぞれの機能に対応して複数あってもよい。ROM(Read Only Memory)1320は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびプログラムを記憶する。ネットワークインタフェース1330は、ネットワークを介して、他の装置との通信を制御する。
[0069]
 RAM(Random Access Memory)1340は、CPU1310が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM1340には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。送信波形1341は、使用する、あるいは使用された送信信号の送信波形を記憶する。反射信号1342は、対象物体から反射されて受信された反射信号を記憶する。相関波形A1343は、本実施形態において、送信波形1341を元に生成された一方の相関波形を記憶する。相関波形B1344は、本実施形態において、送信波形1341を元に生成された他方の相関波形を記憶する。相関波形A1343と相関波形B1344とは、2つの相互曖昧度関数の絶対値が減算されると、相互曖昧度関数においてドップラーゼロを中心にギャップができるように生成される。
[0070]
 速度プラス方向に移動させた相互相関関数A1345は、相関波形Aと反射信号1342の受信波形との相互相関計算結果である。速度マイナス方向に移動させた相互相関関数B1346は、相関波形Bと反射信号1342の受信波形との相互相関計算結果である。
合成した相互相関関数1347は、速度プラス方向に移動させた相互相関関数A1345と速度マイナス方向に移動させた相互相関関数B1346とを合成して得た、ゼロ付近にギャップのある相互相関計算結果である。対象物体の検出結果1348は、信号処理装置310が後処理部を含む場合、合成した相互相関関数1347に基づいて、取得した対象物体までの距離あるいは対象物体の移動速度などを含む情報である。入出力データ1349は、入出力インタフェース1360を介して、無線受信部311を含む入出力機器と入出力するデータである。
[0071]
 ストレージ1350は、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。送信波形データベース1351は、使用される送信波形を格納するデータベースである。相関波形生成テーブル1352は、使用した送信波形1341を補正して、相関波形A1343および相関波形B1344を生成するためのテーブルである。対象物体認識アルゴリズム1353は、信号処理装置310が後処理部を含む場合、本実施形態において対象物体を検出するアルゴリズムである。
[0072]
 ストレージ1350には、以下のプログラムが格納される。信号処理プログラム1354は、本実施形態の信号処理装置310の全体の処理を制御するプログラムである。信号送受信モジュール1355は、送信信号の送信および反射信号の受信を制御するモジュールである。なお、本信号処理装置310が反射信号の受信による対象物体の検出機能のみを有する装置の場合は、信号受信モジュールとしてのみ動作する。相関波形生成モジュール1356は、相関波形生成テーブル1352を用いて、送信波形1341に基づき相関波形A1343および相関波形B1344を生成するモジュールである。相互相関計算モジュール1357は、反射信号の受信波形とそれぞれの相関波形との相互相関を計算するモジュールである。相互相関合成モジュール1358は、相互相関計算モジュール1357で計算されたそれぞれの相互相関関数を合成するモジュールである。対象物体検出モジュール1359は、信号処理装置310が後処理部を含む場合、相互相関合成モジュール1358で合成された相互相関関数に基づき対象物体を検出するモジュールである。
[0073]
 入出力インタフェース1360は、入出力デバイスとのデータ入出力を制御するためのインタフェースを行なう。本実施形態においては、入出力インタフェース1360には、受信アンテナ315からの信号を受信する無線受信部311と、送信アンテナ323に信号を送信する無線送信部322と、が接続される。なお、本信号処理装置310が反射信号の受信による対象物体の検出機能のみを有する装置の場合は、送信アンテナ323および無線送信部322は要らない。入出力インタフェース1360には、さらに、表示部1361と、操作部1362と、音声入出力部1363と、が接続されてもよい。
[0074]
 なお、図13のRAM1340やストレージ1350には、信号処理装置310が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関連するプログラムやデータは図示されていない。
[0075]
 (相関波形生成テーブル)
 図14は、本実施形態に係る相関波形生成テーブル1352の構成を示す図である。相関波形生成テーブル1352は、送信波形に基づいて波形を微妙に補正することにより補正波形を生成して、相関波形とするために使用される。
[0076]
 相関波形生成テーブル1352は、送信波形1401に対応付けて、本実施形態の相関波形Aを生成するためのデータ1402と、相関波形Bを生成するためのデータ1403と、を記憶する。なお、相関波形Aのデータ1402と相関波形Bのデータ1403とは、相互曖昧度関数において絶対値を減算するとゼロ付近にギャップができるように補正されている。
[0077]
 また、複数の送信波形1401が選択して使用される場合は、各送信波形1401に対応する適切な補正波形を相関波形として記憶する。複数の送信波形1401としては、例えば、図6A、図6Bに示した周波数変化の周期が異なるBM-SFM波形や、図10に示したTASFM波形が含まれるが、これらに限定されない。
[0078]
 《信号処理装置の処理手順》
 図15Aは、本実施形態に係る信号処理装置310の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、図13のCPU1310がRAM1340を使用して実行し、図3A、図4および図5の機能構成部を実現する。
[0079]
 信号処理装置310は、ステップS1501において、送信波形を取得する。なお、送信波形の取得は、本信号処理装置310が送信機能を有しない場合、送信機320から取得する、あるいは、あらかじめ送信波形が記憶された記憶部(図示せず)から取得する。
本信号処理装置310が送信機能を有する場合、送信波形生成部321から取得する。信号処理装置310は、ステップS1503において、送信波形に基づいて受信波形との相互相関関数を計算するための2つの相関波形を生成する相関波形生成処理を実行する。
[0080]
 信号処理装置310は、ステップS1505において、対象物体からの反射信号を受信して、受信波形を生成する。信号処理装置310は、ステップS1507において、受信波形と、ステップS1503で生成された2つの相関波形とから2つの相互相関関数を計算する。信号処理装置310は、ステップS1509において、2つの相互相関関数の絶対値を合成する(減算する)。そして、信号処理装置310は、後処理部を含む場合、ステップS1511において、合成された相互相関関数から対象物体を検出する。
[0081]
 (相関波形生成処理)
 図15Bは、本実施形態に係る相関波形生成処理(S1503)の手順を示すフローチャートである。
[0082]
 信号処理装置310は、ステップS1521において、送信波形に基づいて、相関波形生成テーブルから、それぞれの相互曖昧度関数がドップラー効果方向(=移動速度方向)に離間し、合成すると相互相関関数においてゼロ付近にギャップができるような周波数補正の組を取得する。かかる周波数補正の組の生成方法については、図9Aに関連して説明した。
[0083]
 信号処理装置310は、ステップS1523において、送信波形をステップS1521で取得した周波数補正の組で補正して、補正波形の組を生成する。そして、信号処理装置310は、ステップS1525において、生成された補正波形の組を、相関波形の組とする。
[0084]
 本実施形態によれば、送信波形を周波数シフトした波形を2つ作成し、受信波形との相互相関を絶対値で減算することで、特定の速度の物体からの反射に反応しにくくすることができる。
[0085]
 さらに、送信波形が短パルスでないので消費電力の最大値が少ない。また、長い複雑な送信波形なので、同じ周波数でも相関を小さくすることができる。すなわち、比較的低電力で、同じ周波数帯域で同時運用可能である。また、速度に関する感度(=ドップラーに関する感度)を制御した特性を演算量少なく提供できる。
[0086]
 [第3実施形態]
 次に、本発明の第3実施形態に係る信号処理装置について説明する。本実施形態に係る信号処理装置は、上記第2実施形態と比べると、相互相関関数の絶対値を減算してドップラーゼロ(静止)付近にギャップを生成するのでなく、ドップラーゼロから離れた所定速度範囲にギャップを生成する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
[0087]
 本実施形態においては、静止物体だけでなく、特定の速度の反射物体のみに感度を低くする。例えば、飛行機から別の飛行機を見つけたい、かつ、地上の物体は見つけたくない場合などに使える。感度の低い速度をレーダー設置プラットフォームの速度と同じにすれば、移動するプラットフォームからでも静止物体への感度が低くなる。相対速度は方向によって異なるので、レーダーアンテナの指向性も考慮しなければならない。例えば、正面に鋭い指向性を持たせれば、余計な速度の物体からの反射を検知しにくくすることができる。
[0088]
 《信号処理装置の処理概要》
 図16は、本実施形態に係る信号処理装置の処理概要1600を説明する図である。なお、図16において、図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
[0089]
 図16の(a)に示す送信波形の自己曖昧度関数は図2の(a)と同じであるが、周波数補正の量が異なるので、図16の(b)と(c)とは、対応する図2の(b)と(c)とに対して、doppler軸でマイナスの方向に平行移動している。その結果、合成した結果である図16の(d)は、図2の(d)と比較して離反方向に感度の低い速度(doppler)が現れる。
[0090]
 (相関波形生成テーブル)
 図17は、本実施形態に係る相関波形生成テーブル1752の構成を示す図である。本実施形態の構成は、第2実施形態の図3Aと同様であるが、相関処理部312と313とにおける周波数補正の量が異なる。
[0091]
 相関波形生成テーブル1752には、送信波形1401のスペクトログラム1000のTSFM波形例に対して、相関処理部におけるドップラー効果の量を、相関波形C1702では+0.00015パーセント(1.0000015)とし、相関波形D1703では-0.00035パーセント(約0.9999965)にしている。なお、相関波形生成テーブル1752の数値は、図17に限定されない。
[0092]
 (合成された相互曖昧度関数)
 図18は、本実施形態に係る周波数シフトの量を変えた合成による相互曖昧度関数1800を示す図である。
[0093]
 図18は、TASFM波形に対して、相関処理部における周波数補正量を+0.00015パーセント(1.0000015)と-0.00035パーセント(約0.9999965)とにした場合に、合成部314が出力した相関関数の相互曖昧度関数である。ドップラーが速度=-150m/sに相当する付近において感度が低く、この速度の物体を検知しにくいことが分かる。
[0094]
 本実施形態によれば、感度の低い速度を0(ゼロ)付近でなく、特定の速度に自由に設計することができる。
[0095]
 [第4実施形態]
 次に、本発明の第4実施形態に係る信号処理装置について説明する。上記第2実施形態および第3実施形態では、静止物体の検知を除けるが速度が速すぎる物体は検知できないが、本実施形態に係る信号処理装置は、物体が高速な広い速度範囲においても物体を検知する点が異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
《信号処理装置の処理概要》
 図19Aは、本実施形態に係る信号処理装置の処理概要1910を説明する図である。
なお、図19Aにおいて、図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
[0096]
 図19Aの(a)は、第2実施形態における合成部314の合成結果の絶対値を取った曖昧度関数230を示す。ここでは、速度ゼロ付近、特に速度ゼロで感度が低くなっている。本実施形態においては、さらに、相関処理部を追加して、高速で移動する反射物体を検知するような相関波形、すなわち大きな周波数補正を施して、その絶対値を取った図19Aの(b)と(c)との相互曖昧度関数192Y、192Zを生成する。
[0097]
 そして、曖昧度関数230、相互曖昧度関数192Yおよび192Zを合成(加算)することによって、出力部316において得られる相互相関関数の相互曖昧度関数1930は、図19Aの(d)のように、速度ゼロ付近で感度が低くなるという効果に加えて、それ以外の現実的な速度全てで感度を高くすることができる。
[0098]
 図19Aでは、きわめて高速な反射物体まで検知するために相関処理を2つ追加したが、1つでも十分な場合はある。また、相関処理部をさらに沢山追加すれば、さらに高速な速度まで、あるいは、さらに精密な速度が検知できる。
[0099]
 図19Bは、本実施形態に係る信号処理装置の他の処理概要1920を説明する図である。図19Aにおいて、図2または図19Aと同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
[0100]
 図19Bの(a)は、第2実施形態における合成部314の合成結果の絶対値を取った曖昧度関数230を示す。ここでは、速度ゼロ付近、特に速度ゼロで感度が低くなっている。本例においては、さらに、相関処理部を追加して、所定速度で離反する物体に対して感度を低くするためにドップラーマイナス側にシフトした、図16に示したような図19Bの(e)の相互曖昧度関数1630を生成する。さらに、高速で移動する反射物体を検知するような相関波形、すなわち大きな周波数補正を施して、その絶対値を取った図19Bの(b)と(c)との相互曖昧度関数194Y、194Zを生成する。
[0101]
 そして、曖昧度関数230、相互曖昧度関数1630、相互曖昧度関数194Yおよび194Zを合成(加算)することによって、出力部316において得られる相互相関関数の相互曖昧度関数1950は、図19Bの(d)のように、速度ゼロ付近で感度が低くなり、それ以外の現実的な速度全てで感度を高くすることができるという効果に加えて、所定離反速度付近で感度が低くすることができる。
[0102]
 図19Bにおいて、所定離反速度を、信号処理装置の移動速度に設定ように制御すると、静止物体および同じ速度で同じ方向に移動する物体の感度を低くすることができる。なお、以下の図20~図24Bにおいては、図19Bの処理に対応する説明は省略するが、図20~図24Bの説明から容易に理解可能である。
[0103]
 《信号処理装置の機能構成》
 図20は、本実施形態に係る信号処理装置2010の機能構成を示すブロック図である。なお、図20において、図3Aと同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
[0104]
 第2実施形態の図3Aとの差異は、信号処理装置2010には、相関処理部2015と2016とが追加され、合成部314が合成部2014に置換されていることである。相関処理部2015および2016の構成は、相関処理部312および313と類似であるが、相関波形を生成する補正波形の数と、各補正波形における周波数補正の量が異なる。
この異なる複数の周波数補正は、高速な物体までを検知するためであり、相関処理部312や313における周波数補正量よりも大きくする。相関処理部2015および2016で得られた相互相関関数は、干渉しにくいように、それぞれ絶対値生成部2042と2043とで絶対値を取られる。そして、絶対値生成部2042と2043とからの絶対値は、加算部2044において絶対値生成部2041からの絶対値と加算され、合成された相互相関関数として出力部316から出力される。
[0105]
 (相関処理部)
 図21は、本実施形態に係る相関処理部2015、2016の機能構成を示すブロック図である。なお、図21において、図4と同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
[0106]
 相関処理部2015、2016は、相関波形生成部2101と相関計算部402とを含む。相関波形生成部2101は、送信波形または送信波形の情報を受けて、送信波形を一定の伸縮を行った波形を2つ以上加算した波形を相関波形として生成する。相関計算部402は、受信波形と相関波形との相互相関を計算する。相関処理部2015と2016とは構成として同様であるが、相関波形生成部2101が生成する相関波形がそれぞれ異なる。
[0107]
 (相関波形生成部)
 図22は、本実施形態に係る相関波形生成部2101の機能構成を示すブロック図である。
[0108]
 相関波形生成部2101は、補正波形生成部2201n(n=1,2,…N)と、加算部2202と、を有する。送信波形または送信波形情報は、補正波形生成部2201n(n=1,2,…N)へと分配される。補正波形生成部2201nは、送信波形にドップラー効果を施したことと等価な周波数補正した波形を生成し、加算部2202へと送る。加算部2202は、補正波形生成部2201n(n=1,2,…N)から受けた波形を加算した波形を、相関波形として出力する。補正波形生成部2201におけるドップラー効果を施したことと等価な周波数補正された波形の生成としては、送信波形を周波数シフトさせた波形の生成、あるいは、送信波形を時間方向に伸縮させた波形の生成、を行えばよい。
[0109]
 (相関波形生成テーブル)
 図23は、本実施形態に係る相関波形生成テーブル2352の構成を示す図である。なお、図23において、図14と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
[0110]
 相関波形生成テーブル2352は、送信波形1401に対応付けて、ドップラーゼロ付近にギャップを生成する相関波形Aのデータ1402および相関波形Bのデータ1403に加えて、本実施形態の相関波形Xを生成するためのデータ2304と、相関波形Yを生成するためのデータ2305と、を記憶する。データ2304としては、相関波形Xを生成する複数の補正波形と、複数の補正波形を加算した加算波形Xとが記憶される。データ2305としては、相関波形Yを生成する複数の補正波形と、複数の補正波形を加算した加算波形Xとが記憶される。なお、相関波形Xのデータ2304を、第1補正波形、第3補正波形、…で示し、相関波形Yのデータ2305を、第2補正波形、第4補正波形、…で示したが、相互曖昧度関数において互いに間を埋めるように補正されていることを示している。
[0111]
 《信号処理装置の処理手順》
 図24Aは、本実施形態に係る信号処理装置2010の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、図13のCPU1310がRAM1340を使用して実行し、図20乃至図22の機能構成部を実現する。なお、図24Aにおいて、図15Aと同様のステップには同じステップ番号を付して、重複する説明を省略する。
[0112]
 信号処理装置2010は、ステップS2401において、送信波形に基づいて受信波形との相互相関関数を計算するための、検知速度を接続した少なくとも2つの相関波形(本例では2つの相関波形)を生成する相関波形生成処理を実行する。
[0113]
 信号処理装置2010は、ステップS2403において、受信波形と、ステップS2401で生成された2つの相関波形とから2つの相互相関関数を計算する。信号処理装置2010は、ステップS2405において、図15Aにおける減算結果の絶対値と、2つの相互相関関数の絶対値とを合成(加算)する。
[0114]
 (相関波形生成処理)
 図24Bは、本実施形態に係る相関波形生成処理(S2401)の手順を示すフローチャートである。
[0115]
 信号処理装置2010は、ステップS2421において、送信波形に基づいて、相関波形生成テーブルから、ドップラーゼロ付近が無く、かつ、それぞれの相互曖昧度関数がドップラー効果方向(=移動速度方向)に離間し、合成すると相互相関関数が高い島部分が連続するような周波数補正の組を取得する。
[0116]
 かかる周波数補正の組の生成方法については、例えば、2つの相互曖昧度関数の相互相関関数の値が、最大値の半分ほどで重なった状態とする。なお、かかる合成状態は一例に過ぎず、信号処理装置2010の他の条件により適切に調整されてよい。
[0117]
 信号処理装置2010は、ステップS2423において、送信波形をステップS2421で取得した周波数補正の組で補正して、複数の補正波形の組を生成する。そして、信号処理装置2010は、ステップS2425において、生成された複数の補正波形をそれぞれの組で加算して、相関波形を生成する。
[0118]
 本実施形態によれば、速度ゼロ付近で感度が低くなるという効果に加えて、それ以外の現実的な速度全てで感度を高くすることができる。さらに、複数の速度付近で感度を低くすることができる。
[0119]
 [第5実施形態]
 次に、本発明の第5実施形態に係る信号処理装置について説明する。本実施形態に係る信号処理装置は、上記第2実施形態乃至第4実施形態と比べると、近づくもの(接近物体)と遠ざかるもの(離反物体)とを区別して検知する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態から第4実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
[0120]
 《信号処理装置の処理概要》
 図25は、本実施形態に係る信号処理装置の処理概要2500を説明する図である。図25では、曖昧度関数の大きさに正負の符号をつけている。
[0121]
 図25の(a)乃至(d)は、上記各実施形態において生成した複数の補正波形を加算した相関波形と、受信波形との相互相関関数を計算し、その相互曖昧度関数252E乃至252Hをそれぞれ示すものである。
[0122]
 図25の(a)と(b)のような相互曖昧度関数252Eと252Fとの絶対値を減算すると、図25の(e)のような正負の相互曖昧度関数252Mが得られる。一方、図25の(c)と(d)のような相互曖昧度関数252Gと252Hとの絶対値を減算すると、図25の(f)のような正負の相互曖昧度関数252Nが得られる。これらの図25の(e)と(f)とを加算すると、図25の(g)のような正負の相互曖昧度関数2530が得られる。
[0123]
 この相互曖昧度関数は、速度ゼロ付近では感度が小さいという効果に加えて、それ以外の速度では感度があり、さらにドップラー(速度)の正負、すなわち近づくか遠ざかるかによって正負の符号が異なる。この正負の符号によって、表示を変えれば、近づく物体と遠ざかる物体をユーザに明示できる。さらに、加算結果の絶対値を取れば、符号は常に正になり、近づく物体と遠ざかる物体を区別しないこともできる。
[0124]
 《信号処理装置の機能構成》
 図26は、本実施形態に係る信号処理装置2610の機能構成を示すブロック図である。なお、図26において、図3Aまたは図20と同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
[0125]
 図20に示す第4実施形態との差異は、まず、相関処理部2615乃至2618において用いられる相関波形が異なることである。次に、合成部2014が合成部2614に置換されている。合成部2614では、合成部2014における絶対値生成部2041が削除され、絶対値生成部2042および2043から加算部2044の経路に、減算部2646が挿入されていることである。
[0126]
 (合成部)
 図27は、本実施形態に係る曖昧度関数の中央部を断面として見た合成部2614の合成処理を示す図である。図27は、図25の(e)、(f)および(g)を、ドップラー軸に沿って切断した断面を模式的に表した図である。
[0127]
 図27の(e)には、減算部343から出力される相互曖昧度関数2701が示される。
図27の(f)には、減算部2646から出力される相互曖昧度関数2702が示される。
図27の(g)には、加算部2044から出力される相互曖昧度関数2703が示される。
[0128]
 本実施形態によれば、相互曖昧度関数2703に対応する相互相関関数によって、速度ゼロ付近の感度を低くするという効果と、それ以外の速度では感度は一定にし、かつ、近づく物体と遠ざかる物体を区別するという効果が得られる。
[0129]
 [第6実施形態]
 次に、本発明の第6実施形態に係る信号処理装置について説明する。本実施形態に係る信号処理装置は、上記第5実施形態と比べると、近づくもの(接近物体)と遠ざかるもの(離反物体)とを区別して検知するが、合成部における減算部と加算部との配置が異なる。その他の構成および動作は、第5実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
[0130]
 《信号処理装置の処理概要》
 図28は、本実施形態に係る信号処理装置の処理概要2800を説明する図である。図28では、曖昧度関数の大きさに正負の符号をつけている。なお、図28において、図25と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
[0131]
 図28の(a)乃至(d)は、図25の(a)乃至(d)とペアが異なっているのみである。
[0132]
 図28の(a)と(c)のような相互曖昧度関数252Eと252Gとの絶対値を加算すると、図28の(h)のような正の相互曖昧度関数252Pが得られる。一方、図28の(b)と(d)のような相互曖昧度関数252Fと252Hとの絶対値を加算すると、図28の(i)のような負の相互曖昧度関数252Qが得られる。これらの図28の(h)と(i)とを減算すると、図28の(g)のような、図25の(g)と同じ正負の相互曖昧度関数2530が得られる。
[0133]
 この相互曖昧度関数は、速度ゼロ付近では感度が小さいという効果に加えて、それ以外の速度では感度があり、さらにドップラー(速度)の正負、すなわち近づくか遠ざかるかによって正負の符号が異なる。この正負の符号によって、表示を変えれば、近づく物体と遠ざかる物体をユーザに明示できる。さらに、加算結果の絶対値を取れば、符号は常に正になり、近づく物体と遠ざかる物体を区別しないこともできる。
[0134]
 《信号処理装置の機能構成》
 図29は、本実施形態に係る信号処理装置2910の機能構成を示すブロック図である。なお、図29において、図26と同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
[0135]
 図26に示す第5実施形態との差異は、まず、相関処理部2615乃至2618の配置が異なる、すなわち、合成部2914との接続が異なる。次に、合成部2614が合成部2914に置換されている。合成部2914では、合成部2614における減算部343および2646が加算部2943および2946に置き換えられ、加算部2044が減算部2947に置き換えられていることである。
[0136]
 (合成部)
 図30は、本実施形態に係る曖昧度関数の中央部を断面として見た合成部2914の合成処理を示す図である。図30は、図28の(h)、(i)および(g)を、ドップラー軸に沿って切断した断面を模式的に表した図である。
[0137]
 図30の(h)には、加算部2943から出力される相互曖昧度関数3001が示される。図30の(i)には、加算部2946から出力される相互曖昧度関数3002が示される。図30の(g)には、減算部2947から出力される相互曖昧度関数3003が示される。
[0138]
 本実施形態によれば、相互曖昧度関数3003に対応する相互相関関数によって、速度ゼロ付近の感度を低くするという効果と、それ以外の速度では感度は一定にし、かつ、近づく物体と遠ざかる物体を区別するという効果が得られる。
[0139]
 [第7実施形態]
 次に、本発明の第7実施形態に係る信号処理装置について説明する。本実施形態に係る信号処理装置は、上記第4実施形態乃至第6実施形態と比べると、出力部から最大値を出力する点で異なる。その他の構成および動作は、第4実施形態から第6実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
[0140]
 《信号処理装置の機能構成》
 図31は、本実施形態に係る信号処理装置3110の機能構成を示すブロック図である。なお、図31において、図20と同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
[0141]
 図31の信号処理装置3110は、第4実施形態の図20に加えて、合成部3114が最大値出力部3145を有する。
[0142]
 (合成部)
 図32は、本実施形態に係る曖昧度関数の中央部を断面として見た合成部3114の合成処理を示す図である。
[0143]
 図32の(a)に示すように、速度ゼロ付近の感度を調整した場合、相互曖昧度関数3201の大きさは実線3212や一点鎖線3211のように変化する。この図32の(a)を、図32の(b)と(c)の相互曖昧度関数3202および3203の絶対値を加算した相互曖昧度関数と、単純に加算すると、図32の(d)の一点鎖線3243と点線3244のように、速度ゼロ付近以外の速度の一部における感度が大きく変化してしまう。これに対し、最大値をとれば、一点鎖線3243と実線3245のように、速度ゼロ付近以外の感度の変化を小さくすることができる。
[0144]
 本実施形態によれば、単純な加算ではなく最大値を取ることにより、速度ゼロ付近での感度を低く、かつ、それ以外での速度の物体を検知するとともに、速度ゼロ付近での感度変化を小さくすることができる。
[0145]
 [他の実施形態]
 以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
[0146]
 また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
[0147]
 [実施形態の他の表現]
 上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
 周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算手段と、
 前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を、所定速度範囲の対象物体を検知し難くなるように合成して、後処理部に出力する合成手段と、 を備える信号処理装置。
(付記2)
 前記合成手段は、前記少なくとも2つの相互相関関数のそれぞれの絶対値を減算する手段を含む付記1に記載の信号処理装置。
(付記3)
 前記所定速度範囲は、速度ゼロを含む範囲である付記1または2に記載の信号処理装置。
(付記4)
 前記後処理は、前記所定速度範囲の対象物体を除く、前記対象物体の位置検出および速度検出の少なくともいずれかを含む付記1乃至3のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記5)
 前記少なくとも2つの相互相関計算手段は、前記異なる相関波形として、前記送信信号の波形と周波数補正した波形との相互曖昧度関数がドップラー方向に対称であり、かつ、前記合成手段で合成した相互曖昧度関数に間隙が発生するような波形を用いる、付記1乃至4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記6)
 前記少なくとも2つの相互相関計算手段は、前記異なる相関波形として、前記送信信号の波形に対して異なる周波数補正をした波形を加算した波形、または、前記送信信号の波形に対して時間軸で異なる伸縮をさせた波形を加算した波形をさらに用いる、付記1乃至5のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記7)
 前記送信信号は、自己曖昧度関数の値が遅延時間ゼロおよび周波数偏移ゼロの周辺で大きくなる波形であって、SFM(Sinusoidal Frequency Modulation)波形の周波数変調の正弦波を変調した波形を含む、付記1乃至6に記載の信号処理装置。
(付記8)
 前記送信信号は、周波数が曲線状に増減し、周波数帯域幅が時間的に曲線状に増減するように周波数帯域幅を変調した波形を含む付記1乃至6のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記9)
 前記送信信号は、周波数が曲線状に増減し、周波数帯域幅が時間的に曲線状に増減する第1波形と、周波数の増減が時間方向または周波数方向に対して対称である第2波形とを重畳した波形であることを特徴とする付記1乃至6に記載の信号処理装置
(付記10)
 周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算ステップと、
 前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を、所定速度範囲の対象物体を検知し難くなるように合成して、後処理部に出力する合成ステップと、
 前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を、所定速度範囲の対象物体を検知し難くなるように合成する合成ステップと、
 を含む信号処理方法。
(付記11)
 周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算ステップと、
 前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を、所定速度範囲の対象物体を検知し難くなるように合成して、後処理部に出力する合成ステップと、
 をコンピュータに実行させる信号処理プログラム。
[0148]
 この出願は、2017年3月30日に出願された日本出願特願2017-068243を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

請求の範囲

[請求項1]
 周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算手段と、
 前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を、所定速度範囲の対象物体を検知し難くなるように合成して、後処理部に出力する合成手段と、 を備える信号処理装置。
[請求項2]
 前記合成手段は、前記少なくとも2つの相互相関関数のそれぞれの絶対値を減算する手段を含む請求項1に記載の信号処理装置。
[請求項3]
 前記所定速度範囲は、速度ゼロを含む範囲である請求項1または2に記載の信号処理装置。
[請求項4]
 前記後処理は、前記所定速度範囲の対象物体を除く、前記対象物体の位置検出および速度検出の少なくともいずれかを含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の信号処理装置。
[請求項5]
 前記少なくとも2つの相互相関計算手段は、前記異なる相関波形として、前記送信信号の波形と周波数補正した波形との相互曖昧度関数がドップラー方向に対称であり、かつ、前記合成手段で合成した相互曖昧度関数に間隙が発生するような波形を用いる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
[請求項6]
 前記少なくとも2つの相互相関計算手段は、前記異なる相関波形として、前記送信信号の波形に対して異なる周波数補正をした波形を加算した波形、または、前記送信信号の波形に対して時間軸で異なる伸縮をさせた波形を加算した波形をさらに用いる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の信号処理装置。
[請求項7]
 前記送信信号は、自己曖昧度関数の値が遅延時間ゼロおよび周波数偏移ゼロの周辺で大きくなる波形であって、SFM(Sinusoidal Frequency Modulation)波形の周波数変調の正弦波を変調した波形を含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の信号処理装置。
[請求項8]
 前記送信信号は、周波数が曲線状に増減し、周波数帯域幅が時間的に曲線状に増減するように周波数帯域幅を変調した波形を含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載の信号処理装置。
[請求項9]
 前記送信信号は、周波数が曲線状に増減し、周波数帯域幅が時間的に曲線状に増減する第1波形と、周波数の増減が時間方向または周波数方向に対して対称である第2波形とを重畳した波形であることを特徴とする請求項1乃至6に記載の信号処理装置。
[請求項10]
 周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数を少なくとも2つそれぞれ計算し、
 計算された少なくとも2つの相互相関関数を、所定速度範囲の対象物体を検知し難くなるように合成して、後処理部に出力し、
 前記少なくとも2つの相互相関関数を、所定速度範囲の対象物体を検知し難くなるように合成する、
 信号処理方法。
[請求項11]
 周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算ステップと、
 前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を、所定速度範囲の対象物体を検知し難くなるように合成して、後処理部に出力する合成ステップと、
 をコンピュータに実行させる信号処理プログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 2]

[ 図 3A]

[ 図 3B]

[ 図 3C]

[ 図 3D]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9A]

[ 図 9B]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15A]

[ 図 15B]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19A]

[ 図 19B]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24A]

[ 図 24B]

[ 図 25]

[ 図 26]

[ 図 27]

[ 図 28]

[ 図 29]

[ 図 30]

[ 図 31]

[ 図 32]