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1. (WO2018163683) IMAGING SYSTEM
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明 細 書

発明の名称 撮像システム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

0006   0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 撮像システム

技術分野

[0001]
 本発明は、撮像光軸上に透光性部材を介在した状態で撮像対象物を撮像する撮像システムに関する。

背景技術

[0002]
 例えば医療や生物学的な研究の用途では、細胞(若しくは細胞凝集塊)の撮像が必要となる場合がある。例えば、細胞が多数の収容凹部を有するディッシュ上に撒かれ、所望の細胞を選別してマイクロプレートに移載する作業が行われる。この選別のために、細胞を担持したディッシュが撮像装置によって撮像され、例えば画像処理技術によって使用可能な細胞と、使用不可の細胞及び夾雑物とが区分される。
[0003]
 マイクロプレートへの細胞の移載には、細胞の吸引及び吐出を行う先端開口部を備えたチップが用いられる。このチップは、上下方向及び水平方向に移動可能であって負圧機構に接続されたヘッドの先端に取り付けられる。前記吸引及び吐出を的確に行うため、前記先端開口部の位置を正確に把握する必要がある。特許文献1には、撮像装置によってノズル(前記チップに相当)を撮像すると共に、オートフォーカス機構によってノズル先端の位置を求める技術が開示されている。
[0004]
 上述の細胞の撮像又はチップの撮像において、撮像装置の撮像光軸上に透光性部材が介在せざるを得ない場合がある。例えば、透明なディッシュを保持する透明容器の底面側から前記ディッシュに担持された細胞を撮像する場合、前記透明容器及びディッシュを通して前記細胞の画像が取得されることになる。前記透明容器が透明な基台上に載置されている場合には、さらに前記基台を通して前記細胞の画像が取得される。前記チップの先端開口部の撮像においても、前記基台を通しての撮像が必要となる場合がある。これらの場合、前記容器や前記基台などの透光性部材の介在によって光路の屈折が生じ、前記細胞の位置やサイズ、或いは前記チップの先端開口部の位置が正確に求められなくなるという問題があった。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特許第4578814号公報

発明の概要

[0006]
 本発明の目的は、撮像光軸上に透光性部材を介在した状態で撮像対象物を撮像する場合であっても、前記撮像対象物の位置及び/又はサイズを的確に求めることができる撮像システムを提供することにある。
[0007]
 本発明の一局面に係る撮像システムは、撮像光軸上の撮像対象物を撮像する撮像装置と、前記撮像により前記撮像装置が取得した画像情報に基づいて、前記撮像対象物の位置及び/又はサイズに関するデータを求める演算部と、を備え、前記演算部は、前記撮像において前記撮像光軸上に透光性部材が介在する場合に、前記透光性部材の介在による前記撮像の条件変化及び/又は前記撮像対象物の画像上の変化に関する変化情報を取得し、前記データを前記変化情報に基づいて補正することを特徴とする。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 図1は、細胞移動装置の構成例を概略的に示す図である。
[図2] 図2(A)は、前記細胞移動装置に使用される選別容器が備えるディッシュの上面図、図2(B)は、図2(A)のIIB-IIB線断面図である。
[図3] 図3は、本発明の実施形態に係る撮像システムのブロック図である。
[図4] 図4は、レンズ部の同焦点距離を説明するための図である。
[図5] 図5は、焦点延長量を説明するための図である。
[図6] 図6は、透光性部材が撮像光軸上に介在する場合の焦点延長量の測定方法を説明するための図である。
[図7] 図7は、前記撮像システムの第1適用例を示す図である。
[図8] 図8は、前記撮像システムの第2適用例を示す図である。
[図9] 図9は、前記撮像システムの第3適用例を示す図である。
[図10] 図10は、前記撮像システムの第4適用例であって、曲面を有する透光性部材を通して撮像対象物を撮像した場合の、画像上における対象物の変形を示す図である。
[図11] 図11は、曲面を有する透光性部材を通して撮像対象物を撮像した場合の、画像上における対象物の変形を、保持位置毎に示す図である。
[図12] 図12は、撮像対象物のサイズの変化率を説明するための図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係る撮像システムの撮像対象物は特に制限はないが、特に生体由来の細胞又は細胞凝集塊(スフェロイド;spheroid)を好ましい撮像対象物として例示することができる。生体由来の細胞凝集塊は、細胞が数個~数十万個凝集して形成されている。そのため、細胞凝集塊の大きさは様々である。生きた細胞が形成する細胞凝集塊は略球形であるが、細胞凝集塊を構成する細胞の一部が変質したり、死細胞となっていたりすると、細胞凝集塊の形状は歪になる、あるいは密度が不均一となる場合がある。バイオ関連技術や医薬の分野における試験において、選別ステージ上のディッシュに担持された種々の形状を呈する複数の細胞凝集塊の中から、使用可能な細胞凝集塊をチップでピッキッングし、これをマイクロプレートまで移動する細胞移動装置が用いられる。マイクロプレートでは、細胞凝集塊に対して、観察、薬効確認、検査、培養等の各種の処理が実行される。以下の説明では、上記のような細胞凝集塊を含む意味で、簡略的に細胞Cと表現する。
[0010]
 上記のような細胞移動装置において、前記チップや前記ディッシュ、及び細胞Cの高さ位置、或いは細胞Cの形状等を画像情報に基づいて把握するため、撮像システムが適用される。以下、細胞移動装置の各所に本発明に係る撮像システムが適用される例について説明する。
[0011]
 [細胞移動装置の全体構成]
 先ず、図1に基づいて、細胞移動装置S0の全体構成を概略的に説明する。細胞移動装置S0は、水平な載置面(上面)を有する基台1(透光性部材)と、基台1の上面に組み付けられる細胞移動ライン10と、基台1の下方に配置されるカメラユニット5(撮像装置)と、基台1の上方に配置され細胞Cの吸引及び吐出を行うチップ6が装着されるヘッドユニット61と、を含む。なお、図1には複数のカメラユニット5及びヘッドユニット61が描かれているが、これらは各ユニット5、61が移動する位置P11~P15、P21~P23を示すもので、実際は各々1つのカメラユニット5及びヘッドユニット61が細胞移動装置S0に備えられている。勿論、各々複数台のユニット5、61を具備する細胞移動装置S0としても良い。
[0012]
 基台1は、所定の剛性を有し、その一部又は全部が透光性の材料で形成される長方形の平板である。好ましい基台1は、ガラスプレートである。基台1をガラスプレートのような透光性材料によって形成することで、基台1の下方に配置されたカメラユニット5にて、基台1の上面に配置された細胞移動ライン10の各作業部を、当該基台1を通して撮像させることが可能となる。
[0013]
 細胞移動ライン10は、一の容器から細胞Cをチップ6で吸引し、これを他の容器まで運搬すると共に当該チップ6から細胞Cを吐出させる一連の細胞移動工程の実施に必要な複数の作業部を備える。これらの作業部は、基台1に対して左右方向に並べられて組み付けられている。細胞移動ライン10は、前記複数の作業部として、チップストック部11、チップ較正部12、選別部13、移載部14及びチップ廃棄部15を備える。
[0014]
 カメラユニット5は、レンズ部51及びカメラ本体52を備える。レンズ部51は、光学顕微鏡に用いられている対物レンズであり、所定倍率の光像を結像させるレンズ群と、このレンズ群を収容するレンズ鏡筒とを含む。カメラ本体52は、CCDイメージセンサのような撮像素子を備える。レンズ部51は、前記撮像素子の受光面に撮像対象物の光像を結像させる。カメラユニット5は、基台1と平行に左右方向に延びるガイドレール53に沿って、基台1の下方において左右方向に移動可能である。また、レンズ部51は、合焦動作のために上下方向に移動可能である。
[0015]
 ヘッドユニット61は、ヘッド本体62と、ヘッド本体62に保持され該ヘッド本体62に対して上下方向に進退可能な複数本のヘッド63とを備える。図1では一列に並んだ3本のヘッド63を例示しているが、ヘッド63の本数や配列には特に制限はない。ヘッドユニット61は、基台1と平行に左右方向に延びるガイドレール64に沿って、基台1の上方において左右方向(X方向)に移動可能である。なお、図1では図示していないが、ヘッドユニット61は、図1の紙面と直交する方向(Y方向)にも移動可能である。
[0016]
 ヘッド63は、下端が開口した中空のロッドからなる。チップ6は、ヘッド63の下端に装着されている。チップ6は、細胞C(物体)を吸引及び吐出する先端開口部6tを備えた先細りのチューブ状の部材である。ヘッド63の中空部内にはピストン機構が搭載されており、該ピストン機構の動作によって下端開口に吸引力及び吐出力が発生可能である。ヘッド本体62には、前記ピストン機構の動力部と、ヘッド63を上下方向に移動させる昇降機構及びその動力部とが内蔵されている。ヘッド63が吸引力及び吐出力を発生すると、ヘッド63に装着されたチップ6の先端開口部6tにも吸引力及び吐出力が発生する。これにより、チップ6は先端開口部6tを通して細胞Cの吸引及び吐出を行う。
[0017]
 [細胞移動ラインの詳細]
 続いて、細胞移動ライン10の各作業部について説明する。チップストック部11は、未使用のチップ6を多数本保管する部位である。チップストック部11には、立設状態でマトリクス状に整列されたチップ6を保持するストック容器16が配置されている。チップ6は、その上端開口が上方に配向する状態で、ストック容器16に保持されている。つまり、上下方向に移動するヘッド63の下端に対して装着が容易に行い得る状態で、チップ6はストック容器16に保持されている。
[0018]
 チップ較正部12は、ヘッド63に装着されたチップ6の先端開口部6tの位置(XYZ座標)を求める部位である。チップ較正部12には、ヘッド63に装着されたチップ6をカメラユニット5で撮像するための撮像ピット17が設けられている。チップ6の画像及び撮像時における焦点位置情報に基づき、チップ6の先端開口部6tのXYZ座標位置が求められる。
[0019]
 このXYZ座標位置は、各チップ6の先端開口部6tの位置を正確に認識し、ヘッドユニット61のXY方向の移動量、並びに細胞Cの吸引及び吐出時等におけるヘッド63のZ方向の移動量を正確に把握するために求められる。例えば、チップ6のヘッド63への取り付け誤差、チップ6自体の寸法誤差、並びにヘッド63の駆動系の誤差により、先端開口部6tの高さ位置は変動する。チップ較正部12におけるチップ6の撮像により、前記誤差に由来する先端開口部6tの基準位置からのズレが認識され、このズレに応じた補正値が導出される。
[0020]
 選別部13は、移動対象とする細胞Cを選別するための部位である。選別部13には、選別容器18(透光性の容器)が配置されている。選別容器18は、細胞Cの移動元となる容器であり、培地Lを貯留し、細胞選別用のディッシュ2(保持部)を、培地Lに浸漬される状態で保持している。ディッシュ2は、細胞Cを保持するプレートであり、細胞Cを個別に保持することが可能な保持凹部3を上面に複数有している。培地Lは、細胞Cの性状を劣化させないものであれば特に限定されず、細胞Cの種類に応じて適宜選定することができる。
[0021]
 選別容器18は、円柱形又は角柱型の形状を備え、その上面側に矩形の上面開口18Hを備えている。上面開口18Hは、細胞Cの投入、並びに、選別された細胞Cをヘッド63に装着されたチップ6でピックアップするための開口である。ディッシュ2は、上面開口18Hの下方に配置されている。選別容器18及びディッシュ2は、透光性の樹脂材料やガラスで作製されたものが用いられる。これは、選別容器18の下方に配置されたカメラユニット5により、ディッシュ2に担持された細胞Cを観察可能とするためである。
[0022]
 選別容器18には、図略の分注チップから、細胞培養液に分散された状態の複数の細胞Cが注入される。前記分注チップは、多量の細胞Cを含む細胞培養液を貯留するチューブから、細胞Cと共に細胞培養液を吸引し、当該分注チップ内に保持する。その後、前記分注チップは、選別容器18の上空位置へ移動され、上面開口18Hを通してディッシュ2の上面にアクセスする。そして、前記分注チップの先端開口が選別容器18の培地Lに浸漬された状態で、チップ内に保持された細胞Cが細胞培養液と共に吐出される。細胞移動装置S0は、上記チューブが配置される細胞ストック部及び前記分注チップを複数本保管する分注チップストック部を備えるが、これらの記載は図1では省いている。
[0023]
 図2(A)は、ディッシュ2の上面図、図2(B)図2(A)のIIB-IIB線断面図である。ディッシュ2は、ディッシュ本体20と、該ディッシュ本体20に形成された上述の保持凹部3とを備えている。ディッシュ本体20は、所定の厚みを有する平板状の部材からなり、上面21と下面22とを有する。保持凹部3は、上面21の側に細胞Cの受け入れ開口(開口部31)を有する。ディッシュ2は、選別容器18内の培地L中に浸漬される。詳しくは、ディッシュ本体20の上面21が選別容器18内の培地L中に浸漬される一方、下面22が選別容器18の底板に対して間隔を置いた状態で、選別容器18内で保持される(図1参照)。
[0024]
 保持凹部3の各々は、開口部31、底部32、筒状の壁面33、孔部34及び境界部35を含む。本実施形態では、上面視で正方形の保持凹部3がマトリクス状に配列されている例を示している。開口部31は、上面21に設けられた正方形の開口であり、選別用のチップ6の先端開口部6tの進入を許容するサイズを有する。底部32は、ディッシュ本体20の内部であって、下面22の近くに位置している。底部32は、中心(前記正方形の中心)に向けて緩く下り傾斜する傾斜面である。筒状の壁面33は、開口部31から底部32に向けて鉛直下方に延びる壁面である。孔部34は、底部32の前記中心と下面22との間を鉛直に貫通する貫通孔である。境界部35は、上面21に位置し、各保持凹部3の開口縁となる部分であって、保持凹部3同士を区画する稜線である。
[0025]
 各保持凹部3の底部32及び筒状の壁面33は、細胞Cを収容する収容空間3Hを区画している。収容空間3Hには、一般的には1個の細胞Cが収容されることが企図されている。孔部34は、所望のサイズ以外の小さな細胞や夾雑物を収容空間3Hから逃がすために設けられている。従って、孔部34のサイズは、所望のサイズの細胞Cは通過できず、所望のサイズ以外の小さな細胞や夾雑物を通過させるサイズに選ばれている。これにより、選別対象となる細胞Cは保持凹部3にトラップされる一方で、夾雑物等は孔部34から選別容器18の底板に落下する。
[0026]
 保持凹部3に保持された細胞Cは、チップ6によって吸引される。この吸引の際、ヘッド63の下降によってチップ6の先端開口部6tが保持凹部3内に進入すると共に、細胞Cに可及的に接近される。その後、先端開口部6tに吸引力が発生され、細胞Cがチップ6内に吸引される。このようなチップ6の動作が行われるため、ディッシュ2(保持凹部3)の高さ位置を正確に認識する必要がある。前記高さ位置の認識が不十分であると、先端開口部6tが保持凹部3の底部32に衝突したり、細胞Cへの接近が不十分で吸引に失敗したりする不具合が生じるからである。ディッシュ2は、設計値に従った高さ位置において選別容器18にて保持されるが、製造誤差等によって前記高さ位置にズレが生じる場合がある。本実施形態では、選別部13において選別容器18がカメラユニット5により撮像され、取得された画像情報によりディッシュ2の高さ位置の基準位置からのズレが認識され、このズレに応じた補正値が導出される。
[0027]
 移載部14は、選別部13において選別された細胞Cを移載するための部位である。移載部14には、マイクロプレート4が配置されている。マイクロプレート4は、細胞Cの移動先となる容器であり、細胞Cを受け入れる複数のウェル41を有する。このウェル41に、細胞Cを吸引したチップ6の先端開口部6tが進入し、細胞Cが吐出される。マイクロプレート4もまた、透光性の樹脂材料やガラスで作製されたものが用いられる。これは、マイクロプレート4の下方に配置されたカメラユニット5により、マイクロプレート4に担持された細胞Cを観察可能とするためである。
[0028]
 ウェル41にもチップ6の先端開口部6tが進入するため、ウェル41の底面の高さ位置を正確に認識しておくことが望ましい。また、マイクロプレート4に代えてシャーレのような容器が移載部14に配置される場合もあるが、この場合にも前記容器の底面の高さ位置を正確に認識しておくことが望ましい。これら高さ位置の認識のため、カメラユニット5にてマイクロプレート4又は前記シャーレを撮像し、取得された画像情報により前記底面の高さ位置の基準位置からのズレを認識し、このズレに応じた補正値を導出しておくことが望ましい。
[0029]
 チップ廃棄部15は、上述の吸引及び吐出動作を終えた使用後のチップ6がヘッド63から回収される部位である。チップ廃棄部15は、使用後のチップ6を収容するチップ回収容器19を含む。前記廃棄の際、使用済のチップ6を装備したヘッドユニット61がチップ回収容器19の開口部上に移動され、ヘッド63からチップ6の取り外し動作が実行される。この取り外し動作により、チップ6は、チップ回収容器19内に落下する。
[0030]
 [細胞移動動作の説明]
 次に、細胞移動装置S0による細胞移動動作について説明する。細胞移動動作の基本的な手順は、ヘッド63へのチップ6の装着(手順1)、チップ6の先端開口部6tの位置較正(手順2)、選別容器18(ディッシュ2)からの細胞Cのピッキング(手順3)、マイクロプレート4への細胞Cの移載(手順4)、チップ6の廃棄(手順5)である。これら手順を順次実行するため、ヘッドユニット61はガイドレール64に沿って、細胞移動ライン10の各作業部の上空を左から右へ移動される。
[0031]
 カメラユニット5は、上記手順2の際に、先端開口部6tの位置を求めるためにヘッド63に装着されたチップ6を撮像し、上記手順3の前に、使用可能な細胞Cの選定のためにディッシュ2を撮像し、上記手順4の後に、移載された細胞Cの確認のためにマイクロプレート4を撮像する。この他、カメラユニット5は、手順1~5の実行前に、ディッシュ2の高さ位置の認識のため、及び上述のマイクロプレート4又は前記シャーレの底面の高さ位置の認識のため、これらを撮像する。
[0032]
 以下、各手順1~5を説明する。上記手順1では、ヘッドユニット61はチップストック部11上のチップ装着位置P11に移動される。そして、図1に点線で示すように、ストック容器16に保持されているチップ6の一つに位置合わせして一つのヘッド63が下降され、当該ヘッド63の下端にチップ6の上端部分が嵌合される。しかる後、ヘッド63が上昇される。他のヘッド63についても、同様にしてチップ6が装着される。
[0033]
 続く手順2の実行のため、ヘッドユニット61はチップ較正部12上のチップ較正位置P12に移動される。この際、チップ6が新たに装着された一つのヘッド63が撮像ピット17の鉛直軸上で位置合わせされた位置で、ヘッドユニット61は停止される。一方、カメラユニット5も、チップ較正部12の撮像ピット17直下のチップ撮像位置P21へ移動される。そして、カメラユニット5により撮像ピット17上に位置するチップ6が撮像される。
[0034]
 先端開口部6tの位置は、例えばコントラスト検出方式により求められる。具体的には、先端開口部6tの下方の所定位置を撮像始点として、レンズ部51を数十ミクロン単位で上方にシフトさせつつ、カメラユニット5にチップ6の画像を順次撮像させる。撮像終点は、先端開口部6tの上方であると確定できる所定位置である。得られた画像の中で、先端開口部6tと推定されるラインが最も高いコントラストで写っている画像が撮像された焦点位置を合焦位置と扱い、そのときのレンズ部51の高さ位置に基づいて先端開口部6tの高さ位置が求められる。当該高さ位置と、チップ6がヘッド63に正規に装着された場合の基準位置とが比較され、その差分から補正値が導出される。この補正値は、ヘッドユニット61(ヘッド63)の移動制御の際の補正値として利用される。他のヘッド63についても、同様な撮像及び補正値の導出が行われる。
[0035]
 上記手順3では、ヘッドユニット61は選別部13上の細胞吸引位置P13に移動される。なお、手順3の実行の前に、選別容器18のディッシュ2上に細胞Cを含む細胞懸濁液が撒かれ、ディッシュ2に細胞Cが保持される。カメラユニット5は、選別部13下のディッシュ撮像位置P22に移動され、細胞Cが保持されたディッシュ2を撮像する。得られた画像に基づき、使用可能な細胞Cを判定し、その細胞Cが担持された保持凹部3の座標が特定される。そして、どの細胞Cを、どのヘッド63(チップ6)で、どのような順番で吸引させるかの吸引シーケンスが設定される。さらに、どのヘッド63(チップ6)から、マイクロプレート4のどのウェル41に吐出させるかの吐出シーケンスも設定される。
[0036]
 吸引シーケンスが設定されたら、手順2で得られた補正値を参照して、最初に吸引を行うチップ6と吸引ターゲットとするディッシュ2の保持凹部3との位置合わせが行われ、ヘッド63が下降される。チップ6の先端開口部6tが選別容器18内の培地Lに突入し、且つターゲットの保持凹部3に対峙したら、ヘッド63に吸引力が発生される。これにより、ターゲットの保持凹部3に担持されている細胞Cが、チップ6内に吸引される。しかる後、ヘッド63が上昇される。以下、吸引シーケンスに従って、後続のチップ6と対応する保持凹部3とについて、順次上記と同様な動作が行われ、各チップ6に細胞Cが吸引される。
[0037]
 上記手順4では、ヘッドユニット61は移載部14上の細胞吐出位置P14、すなわちマイクロプレート4上へ移動される。ヘッドユニット61は、細胞Cを保持したチップ6と、吐出ターゲットのマイクロプレート4のウェル41とが鉛直方向に位置合わせされるように停止される。次いで、ヘッド63が、チップ6の先端開口部6tがウェル41の開口に入り込むまで、下降される。そして、ヘッド63に吐出力が発生され、先端開口部6tからチップ6内に保持されている細胞Cがウェル41へ吐出される。手順4では、カメラユニット5も、移載部14下のマイクロプレート撮像位置P23へ移動される。上述のウェル41への細胞Cの吐出が完了した後、カメラユニット5により細胞Cを担持したマイクロプレート4の画像が撮像される。これにより、マイクロプレート4における細胞Cの担持状況を把握することができる。
[0038]
 上記手順5では、ヘッドユニット61はチップ廃棄部15上のチップ廃棄位置P15に移動される。チップ廃棄部15には上面が開口したチップ回収容器19が配置されている。チップ回収容器19に対してヘッド63が下降され、さらにヘッド63内に内蔵されているチップ取り外し用ロッド(図略)が下降される。前記ロッドの下降によりチップ6が押圧され、ヘッド63からチップ6が取り外される。取り外されたチップ6は、チップ回収容器19内に落下する。
[0039]
 [撮像システム]
 続いて、図3に基づいて、上述のカメラユニット5が用いられた、本発明の実施形態に係る撮像システムSについて説明する。撮像システムSは、撮像光軸AX上の撮像対象物を撮像するカメラユニット5と、レンズ部51の動作を制御すると共にカメラ本体52により取得された画像情報に基づき所定の処理を行う制御部7と、レンズ部51を上下動させるサーボモータ54と、を備えている。図3では、撮像対象物として、透光性容器81(透光性部材)の上に載置された球形の撮像対象物8を示している。この撮像対象物8は、例えばディッシュ2若しくはマイクロプレート4に保持された細胞Cに相当する。なお本実施形態では、チップ6の先端開口部6t、ディッシュ2、容器の底面なども撮像対象物となる。
[0040]
 サーボモータ54は、正回転又は逆回転することで、図略の動力伝達機構を介して、レンズ部51を所定の分解能で上下方向に移動させる。この移動によって、撮像対象物8の位置にレンズ部51の焦点位置が合わせられる。なお、図3において点線で示しているように、レンズ部51ではなく、サーボモータ54によって透光性容器81自体、若しくは透光性容器81が載置されるステージを上下動させるようにしても良い。
[0041]
 制御部7は、例えばパーソナルコンピューター等からなり、所定のプログラムが実行されることで、機能的に撮像制御部71、画像処理部72、記憶部73、入力部74及び演算部75を備えるように動作する。
[0042]
 撮像制御部71は、カメラユニット5の動作を制御する。具体的には、撮像制御部71は、カメラ本体52の撮像動作(露光量やシャッタータイミング等)を制御する。また、撮像制御部71は、サーボモータ54にレンズ部51を上下方向に所定のピッチ(例えば数十μmピッチ)で移動させるための制御パルスを与える。撮像制御部71には、撮像対象物8の規定高さ位置、つまり撮像対象物8が存在すべき高さ位置として予め設定された位置に関するデータが演算部75から与えられる。撮像制御部71は、前記規定高さ位置を目標位置とし、レンズ部51が前記目標位置に移動するようサーボモータ54に移動指示を与える。撮像制御部71が指示した位置に関するデータは、演算部75に入力される。さらに撮像制御部71は、カメラ本体52に、レンズ部51の移動ピッチ毎に撮像対象物8の画像を撮像させる。
[0043]
 画像処理部72は、カメラ本体52により取得された撮像対象物8の画像データに所定の画像処理を施す。画像処理部72は、前記画像データに対してエッジ検出処理、特徴量抽出を伴うパターン認識処理などの画像処理を施して、前記画像データから撮像対象物8の形状を抽出する処理を行う。また、画像処理部72は、レンズ部51の移動ピッチ毎に取得される画像データの各々について画素間のコントラストを求め、最もコントラストの高い画像を合焦画像として特定する。この合焦画像が取得されたときのレンズ部51の高さ位置データは、演算部75に与えられる。
[0044]
 記憶部73は、各種のデータを記憶する。前記データの一つとして、レンズ部51の基準高さのデータが記憶される。前記基準高さは、撮像対象物8の前記規定高さ位置とレンズ部51の同焦点距離とに基づいて定まる、レンズ部51の胴付き面55の高さ位置である。後記で詳述するが、本実施形態では、撮像光軸AX上に透光性容器81のような透光性部材が介在する場合において、前記基準高さが焦点延長量に応じて修正される。撮像対象物8のサイズが前記透光性部材の介在によって変化する場合には、前記データの一つとして記憶部や73は、前記サイズの変化率のデータを記憶する。
[0045]
 入力部74は、同焦点距離から定まる前記基準高さ、及び前記焦点延長量の理論値又は実測によって得られる前記修正された基準高さデータの入力、並びに前記サイズの変化率のデータの入力を、ユーザーから受け付ける。
[0046]
 さらに記憶部73は、前記基準高さ(又は前記修正された基準高さ)と、撮像対象物8を現にカメラユニット5で撮像することにより求められた実測高さとの差分を、補正値として記憶する。また、チップ6の先端開口部6t、ディッシュ2或いは容器の底面が撮像対象物とされる場合には、これらについての補正値も記憶部73に記憶される。これらの補正値は、ヘッド63(チップ6)の移動制御に適用される。
[0047]
 演算部75は、カメラユニット5の撮像により取得される画像情報に基づいて、撮像対象物8の位置及び/又はサイズに関するデータを求める。具体的には、撮像対象物8の位置に関するデータを求める場合、演算部75は、記憶部73から前記基準高さデータ値を読み出す。また、演算部75は、画像処理部72から合焦画像が取得されたときのレンズ部51の実測高さデータを取得する。そして、前記基準高さデータと実測高さデータとの比較によって、撮像対象物8の高さ位置についての補正値が求められる。つまり、撮像対象物8の理論高さ位置と実際の高さ位置とのズレ量が求められる。
[0048]
 図3に示すように、演算部75は、前記撮像において撮像光軸AX上に透光性容器81が介在する場合、当該透光性容器81の介在による前記撮像の条件変化に関する変化情報を取得する。撮像対象物8の位置を求める場合、前記変化情報は例えば焦点延長量であり、この場合演算部75は、記憶部73から前記焦点延長量に基づき修正された基準高さデータ値を読み出す。そして、演算部75は、前記修正された基準高さデータと実測高さデータとを比較し、撮像対象物8の高さ位置についての補正値を求める。結果的に、撮像対象物8の高さ位置データが、前記変化情報(焦点延長量)に基づいて補正されたことになる。
[0049]
 撮像対象物8のサイズに関するデータを求める場合、演算部75は、画像処理部72により選定された合焦画像に基づき、撮像対象物8のXYZの寸法等を示す形状データを算出する。また、演算部75は、前記撮像において撮像光軸AX上に透光性容器81が介在する場合、当該透光性容器81の介在による撮像対象物8の画像上の変化に関する変化情報を取得する。具体的には、なお、記憶部73に予め格納されている撮像対象物8のサイズの変化率が読み出される。この変化率は、撮像対象物8の実際のサイズと、透光性容器81(透光性部材)が介在した状態においてカメラユニット5で取得される当該撮像対象物8の画像上のサイズとの間の変化率である。演算部75は、前記変化率を参照して、形状データを補正する。
[0050]
 [焦点延長量について]
 ここで、焦点延長量について図4~図6に基づいて説明しておく。図4は、レンズ部51の同焦点距離を説明するための図である。細胞Cの如く微小な対象物を撮像する対物レンズであるレンズ部51の焦点位置は、胴付き面55からの同焦点距離Aにて定められている。従って、撮像対象物8に合焦した状態が作られれば、撮像対象物8と胴付き面55との間の距離が同焦点距離Aとなる。従って、胴付き面55の高さ位置を基準高さとして、撮像対象物8の高さ位置を測定することが可能となる。
[0051]
 図5は、焦点延長量αを説明するための図である。レンズ部51の撮像光軸AX上に透光性部材82が介在した場合、当該レンズ部51の焦点位置は遠方へ延びる。すなわち、透光性部材82が介在しない場合、レンズ部51が備えるレンズ56を通過した光線g1は、レンズ形状で定まる焦点位置f1に結像する。一方、透光性部材82が介在する場合、透光性部材82の具備する屈折率に応じて光路が屈折する。このため、透光性部材82を通過する光線g2は、焦点位置f1よりも遠方の焦点位置f2に結像する。この焦点位置f1、f2間の撮像光軸AX上の距離が焦点延長量α(変化情報)である。
[0052]
 撮像光軸AX上に透光性部材82が介在した場合、撮像対象物8と胴付き面55との間の距離は、同焦点距離Aに焦点延長量αを加算した距離になる。従って、予め焦点延長量αを把握し、胴付き面55の高さ位置を焦点延長量αで修正した高さ位置を基準高さとすれば、透光性部材82が介在する場合にあっても、撮像対象物8の高さ位置を的確に測定することができることになる。
[0053]
 図6は、透光性部材82が撮像光軸AX上に介在する場合の焦点延長量αの測定方法を説明するための図である。撮像光軸AX上に介在される透光性部材82が1種類の部材からなり、屈折率が既知であれば、スネルの法則に基づいて焦点延長量αを算出することができる。この場合は、撮像対象物8に合焦するときの胴付き面55の高さ位置である基準高さを、前記算出により求められた焦点延長量αを加算して修正した基準高さを、入力部74を通して記憶部73に記憶させておけば良い。
[0054]
 しかし、透光性部材82が複数種類の部材からなる場合、計算で焦点延長量αを求めることは困難である。図6では、透光性部材82が、互いに異なる部材a、部材b、部材cの複合体からなる例を示している。本実施形態では、例えばディッシュ2に保持された細胞Cを撮像する場合、撮像光軸AX上に基台1、選別容器18及び培地Lが介在することになる。このような場合、個々の部材の屈折率が既知であったとしても、これらが組み合わさった場合の焦点延長量αを算出することは難しい。従って、撮像システムSを用いて焦点位置f2を実測することで、焦点延長量αを求めることが望ましい。
[0055]
 この場合、図6に模式的に示すように、撮像対象物8を同じ高さ位置に置いて、撮像光軸AX上に透光性部材82を介在させた場合と、介在させない場合との双方において、レンズ部51に合焦動作を行わせれば良い。具体的には撮像制御部71は、先ずレンズ部51を、透光性部材82を介在させない場合の合焦位置へ移動させる。つまり、撮像制御部71は、撮像対象物8に対する胴付き面55の高さ位置が同焦点距離Aとなるよう、レンズ部51を移動させる。移動後の胴付き面55の高さ位置が、基準高さとされる。なお、レンズ部51の同焦点距離Aは、一般に当該レンズ部51のスペックにより既知であるので、そのスペックに基づいた移動量が設定される。もちろん、撮像光軸AX上に透光性部材82を除いた状態での撮像を行わせ、画像処理部72にコントラスト検出方式にて合焦位置を選定させることで、胴付き面55を基準高さに設定しても良い。
[0056]
 続いて、撮像制御部71は、撮像光軸AX上に透光性部材82を介在させた状態において撮像対象物8との相対距離を変化させながら、カメラユニット5に撮像対象物8を複数回撮像させる。図6の例では、撮像制御部71は、レンズ部51を撮像対象物8から徐々に遠ざかる方向に所定のピッチで移動させつつ、カメラ本体52に前記ピッチ毎に撮像対象物8の画像を撮像させる。そして、画像処理部72に、コントラスト検出方式にて合焦位置を選定させる。そして、演算部75は、前記複数回の撮像で得られた画像情報に基づいて、撮像対象物8に対する焦点延長量αを導出する。具体的には演算部75は、透光性部材82が介在しない場合の胴付き面55の高さ位置と、透光性部材82を介在させた状態で合焦画像が得られたときの胴付き面55の高さ位置との差分から、焦点延長量αを算出するものである。
[0057]
 以下、上記撮像システムSの、細胞移動装置S0の各所に対する適用例を示す。
 [第1適用例]
 図7は、撮像システムSの第1適用例を示す図である。第1適用例では、撮像対象物がヘッド63に装着されたチップ6であって、その先端開口部6tの高さ位置を測定する例を示す。先ず、ステップS11に示すように、供試用のチップ6の先端開口部6tに対して、レンズ部51が合焦するときの胴付き面55の高さ位置を基準高さHとする。撮像制御部71は、サーボモータ54を制御して、この基準高さHにレンズ部51の胴付き面55を位置させる。基準高さHの値は、記憶部73に格納される。
[0058]
 次に、ステップS12に示すように、撮像システムSを用いた焦点延長量αの測定が行われる。既述の通り本実施形態の細胞移動装置S0では、カメラユニット5は、撮像ピット17直下のチップ撮像位置P21において、透明な基台1を介してチップ6の先端開口部6tを撮像する。従って、撮像制御部71は、撮像光軸AX上に基台1を介在させた状態において供試用のチップ6との上下方向の相対距離を変化させながら、カメラユニット5にチップ6の少なくとも先端開口部6tを含む領域を複数回撮像させる。なお、規定高さに配置されたダミーチップ等を撮像するようにしても良い。
[0059]
 基台1の介在により、レンズ部51の合焦位置は遠ざかる。従って、撮像制御部71は、レンズ部51をチップ6から徐々に遠ざかる方向に所定のピッチで移動させつつ、カメラ本体52に前記ピッチ毎にチップ6の画像を撮像させる。画像処理部72は、前記ピッチ毎に得られたチップ6の画像より、コントラスト検出方式にて合焦位置を選定する。演算部75は、前記基準高さHと、基台1を介在させた状態にて合焦画像が得られたときの胴付き面55の高さ位置との差分から、焦点延長量αを算出する。この場合、(H-α)が、修正された基準高さ位置、つまり理論合焦高さとなる。なお、(H-α)におけるマイナスの符号は、焦点位置が遠ざかる分だけレンズ部51を下降させる意味におけるマイナスである。正規サイズのチップが正規にヘッド63に装着されており、ヘッド63が正規の動作量で下降すれば、修正された基準高さ位置(H-α)において先端開口部6tに合焦することになる。
[0060]
 続いて、ステップS13に示すように、得られた(H-α)の値は、ユーザーにより入力部74から記憶部73へ格納される。演算部75は、記憶部73から(H-α)の値を読み出し、撮像制御部71にレンズ部51の移動目標位置としてデータを与える。そして、測定対象となるチップ6を装着したヘッド63が所定の高さ位置まで下降される。この測定対象チップ6にレンズ部51の撮像光軸AXが位置合わせされた状態で、撮像制御部71は、サーボモータ54に対して前記移動目標位置に基づきサーボ制御を行い、胴付き面55を理論合焦高さである(H-α)の位置へ移動させる。
[0061]
 そして、ステップS14に示すように、先端開口部6tの実際の高さ位置がコントラスト検出方式にて実測される。すなわち、撮像制御部71は、前記(H-α)の位置を基準としてレンズ部51を上下方向に所定のピッチで移動させつつ、カメラ本体52に前記ピッチ毎にチップ6の画像を撮像させる。そして、画像処理部72が、コントラスト検出方式により合焦位置を選定する。この合焦位置における胴付き面55の高さ位置が、先端開口部6tの実際の高さ位置に相当する実測高さhと扱われる。演算部75は、この実測高さhと、理論合焦高さ(H-α)とから、測定対象チップ6(ヘッド63)の昇降制御における補正値を導出する。
[0062]
 具体的には演算部75は、
  補正値=h-(H-α)
の式に基づき、測定対象チップ6の補正値を求める。以下、他のヘッド63に装着されたチップ6についても、ステップS13、S14の動作が繰り返され、各々のチップ6についての補正値が同様にして求められる。得られた補正値は記憶部73に格納され、ヘッド63の昇降制御の際に参照される。
[0063]
 [第2適用例]
 図8は、撮像システムSの第2適用例を示す図である。第2適用例では、撮像対象物が選別容器18に保持されたディッシュ2であって、そのディッシュ2の高さ位置を測定する例を示す。先ず、ステップS21に示すように、選別容器18が載置される基台1の上面に対して、レンズ部51が合焦する位置を基準高さTとする。撮像制御部71は、サーボモータ54を制御して、この基準高さTにレンズ部51の胴付き面55を位置させる。基準高さTの値は、記憶部73に格納される。この基準高さTは、基台1による焦点延長量を既に含んだ値となる。
[0064]
 次に、ステップS22に示すように、撮像システムSを用いた焦点延長量αの測定が行われる。選別容器18は、上面18U(第1面)と裏面18B(第2面)とを有し、上面18U側にディッシュ2(保持部)を有している。本実施形態の細胞移動装置S0では、カメラユニット5は、選別部13下のディッシュ撮像位置P22において、透明な基台1を介して、選別容器18の裏面18B側からディッシュ2を撮像する。
[0065]
 ステップS21で得た基準高さTは、基台1の上面の高さ、つまり選別容器18の裏面18Bの高さである。ディッシュ2は、選別容器18において裏面18B(底壁)から離間した高い位置に配置されている。このため、ディッシュ2の配置高さの設計値mを予め取得し、ステップS21の基準高さTを、(T+m)に修正する。
[0066]
 焦点延長量αの測定に際しては、基台1に載置された選別容器18に、ディッシュ2が浸されるように培地Lが注液される。つまり、本適用例では、透光性部材は選別容器18の底壁及び培地Lである。そして、撮像制御部71は、撮像光軸AX上に基台1、選別容器18及び培地Lを介在させた状態において、選別容器18との上下方向の相対距離を変化させながら、カメラユニット5に選別容器18の少なくともディッシュ2を含む領域を複数回撮像させる。すなわち、撮像制御部71は、レンズ部51を選別容器18に対して徐々に遠ざかる方向又は近づく方向に所定のピッチで移動させつつ、カメラ本体52に前記ピッチ毎に選別容器18の画像を撮像させる。
[0067]
 画像処理部72は、前記ピッチ毎に得られた選別容器18の画像より、コントラスト検出方式にてディッシュ2の合焦位置を選定する。ディッシュ2は、上下方向に厚みを持つため、適宜な箇所が焦点位置として選択される。例えば、ディッシュ2の境界部35は、保持凹部3同士を区画する稜線であって、画像上でエッジとして検出し易いので、境界部35を焦点位置として選択することが望ましい。
[0068]
 演算部75は、前記基準高さ(T+m)と、選別容器18を介在させた状態にて合焦画像が得られたときの胴付き面55の高さ位置との差分から、焦点延長量αを算出する。この場合、(T+m-α)が、修正された基準高さ位置、つまりディッシュ2に対する理論合焦高さとなる。
[0069]
 続いて、ステップS23に示すように、得られた(T+m-α)の値は、ユーザーにより入力部74から記憶部73へ格納される。演算部75は、記憶部73から(T+m-α)の値を読み出し、撮像制御部71にレンズ部51の移動目標位置としてデータを与える。そして、測定対象となるディッシュ2を保持した選別容器18が、基台1上に載置される。この測定対象のディッシュ2にレンズ部51の撮像光軸AXが位置合わせされた状態で、撮像制御部71は、サーボモータ54に対して前記移動目標位置に基づきサーボ制御を行い、胴付き面55を理論合焦高さである(T+m-α)の位置へ移動させる。
[0070]
 そして、ステップS24に示すように、ディッシュ2の実際の高さ位置がコントラスト検出方式にて実測される。すなわち、撮像制御部71は、前記(T+m-α)の位置を基準としてレンズ部51を上下方向に所定のピッチで移動させつつ、カメラ本体52に前記ピッチ毎に、選別容器18の培地L中に浸漬されたディッシュ2の画像を撮像させる。そして、画像処理部72が、コントラスト検出方式により合焦位置を選定する。この合焦位置における胴付き面55の高さ位置が、ディッシュ2の実際の高さ位置に相当する実測高さhと扱われる。
[0071]
 演算部75は、この実測高さhと、理論合焦高さ(T+m-α)とから、ディッシュ2に対するヘッド63の昇降制御の際に用いる補正値を導出する。演算部75は、
  補正値=h-(T+m-α)
の式に基づき、ディッシュ2の高さ位置についての補正値を求める。得られた補正値は記憶部73に格納される。
[0072]
 図2に示すように、ディッシュ2は所定の縦×横のサイズを有する薄いプレート状の部材である。このため、ディッシュ2には傾きや反り等が生じたり、肉厚のバラツキがプレート面方向において存在していたりする場合がある。従って、一つの保持凹部3の位置についてステップS24の実測を行っただけでは、全ての保持凹部3について適正な補正値が得られない場合がある。この場合、一つの保持凹部3を囲んでいる境界部35だけを焦点位置とするのではなく、複数の保持凹部3の境界部35を焦点位置とすることが望ましい。例えば、ディッシュ2の四隅の保持凹部3及び中央の保持凹部3の境界部35についてステップS24の実測を行い、各々補正値を求める。残りの保持凹部3については、実測して得た5つの補正値からディッシュ2の傾き等の傾向を取得し、補完計算にて補正値を求めることができる。
[0073]
 [第3適用例]
 図9は、撮像システムSの第3適用例を示す図である。第3適用例では、撮像対象物がシャーレのような透光性容器81に保持された細胞Cであって、その細胞Cの高さ位置を測定する例を示す。先ず、ステップS31に示すように、透光性容器81が載置される透光性部材82(細胞移動装置S0の基台1であっても良い)の上面に対して、レンズ部51が合焦する位置を基準高さTとする。撮像制御部71は、サーボモータ54を制御して、この基準高さTにレンズ部51の胴付き面55を位置させる。基準高さTの値は、記憶部73に格納される。この基準高さTは、透光性部材82による焦点延長量を既に含んだ値となる。
[0074]
 次に、ステップS32に示すように、撮像システムSを用いた焦点延長量αの測定が行われる。透光性容器81は上面が開口し、底壁81Bを備えている。カメラユニット5は、選別部13下のディッシュ撮像位置P22において、透光性部材82を介して、透光性容器81の底壁81Bを通して細胞Cを撮像する。
[0075]
 ステップS31で得た基準高さTは、透光性部材82の上面の高さ、つまり透光性容器81の底壁下面812の高さである。一方、細胞Cが接面するのは底壁81B(保持部)の底壁上面811、つまり容器底面である。このため、底壁81Bの厚さ、つまり底壁上面811の高さbを設計値又は実測により取得し、ステップS31の基準高さTを、(T+b)に修正する。
[0076]
 焦点延長量αの測定に際しては、撮像制御部71は、撮像光軸AX上に透光性容器81及び透光性部材82を介在させた状態において、透光性容器81との上下方向の相対距離を変化させながら、カメラユニット5に透光性容器81の底壁81Bを含む領域を複数回撮像させる。すなわち、撮像制御部71は、レンズ部51を透光性容器81に対して徐々に遠ざかる方向又は近づく方向に所定のピッチで移動させつつ、カメラ本体52に前記ピッチ毎に透光性容器81の画像を撮像させる。画像処理部72は、前記ピッチ毎に得られた透光性容器81の画像より、コントラスト検出方式にて底壁上面811の合焦位置を選定する。
[0077]
 演算部75は、前記基準高さ(T+b)と、底壁上面811の合焦画像が得られたときの胴付き面55の高さ位置との差分から、焦点延長量αを算出する。この場合、(T+b-α)が、修正された基準高さ位置、つまり細胞Cが接面する底壁上面811の理論合焦高さとなる。
[0078]
 続いて、ステップS33に示すように、得られた(T+b-α)の値は、ユーザーにより入力部74から記憶部73へ格納される。演算部75は、記憶部73から(T+b-α)の値を読み出し、撮像制御部71にレンズ部51の移動目標位置としてデータを与える。そして、測定対象となる細胞Cを収容した透光性容器81が、透光性部材82の上に載置される。この測定対象の透光性容器81にレンズ部51の撮像光軸AXが位置合わせされた状態で、撮像制御部71は、サーボモータ54に対して前記移動目標位置に基づきサーボ制御を行い、胴付き面55を理論合焦高さである(T+b-α)の位置へ移動させる。
[0079]
 そして、ステップS34に示すように、透光性容器81中に収容された各細胞Cの高さ位置が、コントラスト検出方式にて測定される。すなわち、撮像制御部71は、前記(T+b-α)の位置を基準としてレンズ部51を上方向に所定のピッチで移動させつつ、カメラ本体52に前記ピッチ毎に、撮像対象の細胞Cの画像を撮像させる。そして、画像処理部72が、コントラスト検出方式により合焦位置を選定する。この合焦位置における胴付き面55の高さ位置が、撮像対象の細胞Cの高さhと扱われる。
[0080]
 演算部75は、この実測高さhと、理論合焦高さ(T+b-α)とから、細胞Cの高さ位置の補正値を導出する。つまり、細胞Cが底壁上面811よりもどれだけ上方に位置しているかを示す補正値を算出する。演算部75は、
  補正値=h-(T+b-α)
の式に基づき、細胞Cの高さ位置についての補正値を求める。得られた補正値は記憶部73に格納される。透光性容器81中に収容されている他の細胞Cについても、同様にして高さ位置が求められる。これら補正値は、透光性容器81からの細胞Cのピッキングの際などに用いられる。
[0081]
 [第4適用例]
 図10~図12は、撮像システムSの第4適用例を説明するための図である。第4適用例では、光像を変形させる光学効果を備えた透光性部材を介して撮像対象物を撮像した場合においても、当該撮像対象物のサイズを正しく把握できるようにする例を示す。すなわち、第4適用例では、カメラユニット5が取得した画像情報に基づいて、撮像対象物のサイズに関するデータを演算部75が求める例を示す。
[0082]
 図10は、前記光学効果を備えた透光性部材を通して撮像対象物8A、8Bを撮像した場合の、画像上における当該対象物の変形を示す図である。ここでは、前記透光性部材が、半球状の透明湾曲部材83からなる例を示している。透明湾曲部材83は、例えばウェル41が備える半球状の底壁であり、その上面(第1面)が撮像対象物8A、8Bの保持部、下面(第2面)がカメラユニット5から撮像される面である。透明湾曲部材83の上面側に、撮像対象物8A、8Bが各々接面しているものであって、撮像対象物8Aは透明湾曲部材83の最深部に、撮像対象物8Bは透明湾曲部材83の側面に、各々接面しているものとする。なお、透明湾曲部材83は、円錐や角錐等の形状であっても良い。
[0083]
 透明湾曲部材83は、下側に凸の半球形状を備えるので、光像を拡大するレンズの効果を発揮する。このため、透明湾曲部材83の下面側から撮像対象物8A、8Bを撮像すると、これら撮像対象物8A、8Bは、サイズが拡大された撮像対象物80A、80Bとして撮像されることになる。また、撮像対象物8A、8Bの透明湾曲部材83への接面位置において、前記サイズの拡大の態様が異なることがある。例えば、透明湾曲部材83の最深部に位置している撮像対象物8Aは、レンズ効果を有する面のセンターに位置していることなるので、等方性のサイズ変化をするが、レンズ効果を有する面の端縁付近にしていることになる撮像対象物8Bについては、異方性のサイズ変化をする。
[0084]
 このように、レンズ効果を有する透明湾曲部材83を介在した状態で撮像対象物8A、8Bを撮像すると、実際の撮像対象物8A、8Bのサイズが画像上で変化した撮像対象物80A、80Bとして撮像されてしまう。しかし、そのサイズ変化の態様、つまりサイズの変化率(変化情報)を予め測定して取得しておけば、撮像により得られた撮像対象物80A、80Bの画像データを前記変化情報に基づいて補正することによって、撮像対象物8A、8Bとしての正しいサイズのデータを取得することができる。
[0085]
 図11は、透明湾曲部材83を通して撮像対象物8を撮像した場合の、画像上におけるサイズ変化を、保持位置k1、k2、k3毎に示す図である。前記サイズ変化率の測定に際しては、図10に基づき説明した通り、撮像対象物8の透明湾曲部材83上における保持位置によってサイズ変化の態様が異なる場合があるので、撮像対象物8の保持位置を異ならせてサイズ変化率を測定することが望ましい。つまり、撮像対象物8を、透明湾曲部材83の上面側の異なる保持位置k1、k2、k3にそれぞれ配置し、これらを透明湾曲部材83の下面側から撮像して各位置の撮像対象物8k1、8k2、8k3を取得し、それぞれ如何なるサイズ変化が生じたかを把握することが望ましい。
[0086]
 図12は、撮像対象物8のサイズの変化率の取得方法を説明するための図である。前記サイズ変化率の測定に際しては、撮像制御部71は、前記撮像光軸上において、サイズが既知の供試対象物8Cを透明湾曲部材83に保持させ、この透明湾曲部材83と所定距離を置いて、カメラユニット5に少なくとも当該透明湾曲部材83の供試対象物8Cが保持された領域を撮像させる。供試対象物8Cのxy方向のサイズRx、Ryは既知である。一方、透明湾曲部材83を介在させて撮像された供試対象物8CAのxy方向のサイズrx、ryは、透明湾曲部材83の屈折率及び面形状に応じて、Rx、Ryに対して変形する。
[0087]
 演算部75は、前記撮像で得られた画像に基づく供試対象物8CAのサイズと、既知である実際の供試対象物8Cのサイズとを比較することで、サイズ変化率を導出する。すなわち、演算部75は、次式;
  X方向の変化率=rx/Rx、 Y方向の変化率=ry/Ry
に基づいて、XY方向のサイズ変化率を求める。図12では、図11に示した保持位置k2におけるサイズ変化率が求められている例を示しているが、同様にして、保持位置k2、k3についても、さらに必要に応じてk1~k3以外の他の保持位置についても、演算部75はサイズ変化率を求める。得られたサイズ変化率は記憶部73に格納される。これらサイズ変化率は、透明湾曲部材83に保持された撮像対象物8を撮像したそのサイズを求める際に、撮像対象物8の保持位置に応じて、サイズの補正に適用される。
[0088]
 この第4適用例によれば、前記撮像で得られた画像に基づく供試対象物8CAのサイズと既知の供試対象物8Cのサイズとの比較によって、現に光路がレンズ効果を備えた容器(透明湾曲部材83)を通過したことによって前記サイズがどの様に変化したかを把握することができる。従って、迅速且つ正確にサイズ変化率を導出することができ、しかも撮像システムSを用いることからサイズ変化率の取得のために余分なコストを掛けずに済む。また、供試対象物8Cの保持位置毎にサイズ変化率が導出されるので、各々の保持位置に応じたサイズデータの補正を行わせることができる。
[0089]
 以上説明した本発明に係る撮像システムSによれば、透光性部材を介在して細胞Cのような撮像対象物を撮像する場合に、演算部75は、焦点延長量αや前記サイズ変化率のような変化情報を取得して前記撮像対象物の位置及び/又はサイズに関するデータを補正する。従って、前記透光性部材の介在によって光路が屈折し、焦点延長(撮像の条件変化)や前記撮像対象物の画像上の変化(サイズ変化)が生じても、その変化分を補正により打ち消して、前記位置及び/又はサイズを的確に求めることができる。
[0090]
 なお、上記第1~第3適用例では、前記変化情報として焦点延長量αを求める例を、第4適用例では前記サイズ変化率を求める例を各々示した。これらは、複合的に求められても良い。例えば、上記第1~第3適用例において、さらに、上記第4適用例で示したサイズ変化率を求めるようにしても良い。
[0091]
 なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
[0092]
 本発明の一局面に係る撮像システムは、撮像光軸上の撮像対象物を撮像する撮像装置と、前記撮像により前記撮像装置が取得した画像情報に基づいて、前記撮像対象物の位置及び/又はサイズに関するデータを求める演算部と、を備え、前記演算部は、前記撮像において前記撮像光軸上に透光性部材が介在する場合に、前記透光性部材の介在による前記撮像の条件変化及び/又は前記撮像対象物の画像上の変化に関する変化情報を取得し、前記データを前記変化情報に基づいて補正することを特徴とする。
[0093]
 この撮像システムによれば、前記透光性部材が介在する撮像となる場合に、前記演算部は前記変化情報を取得して前記撮像対象物の位置及び/又はサイズに関するデータを補正する。従って、前記透光性部材の介在によって光路が屈折し、前記撮像の条件変化や前記撮像対象物の画像上の変化が生じても、その変化分を打ち消して、前記データを的確に求めることができる。
[0094]
 上記の撮像システムにおいて、前記変化情報は、前記透光性部材が介在しない場合における前記撮像対象物に対する前記撮像装置の焦点位置と、前記透光性部材が介在している場合における前記撮像対象物に対する前記撮像装置の焦点位置とで定まる焦点延長量であることが望ましい。
[0095]
 撮像光軸上に透光性部材が介在すると、当該透光性部材を通過する際の屈折によって焦点距離が延びる。上記の撮像システムによれば、前記焦点延長量を前記変化情報と扱うことで、前記データを的確に補正することができる。なお、前記焦点延長量は、当該撮像システムや他の撮像装置を用いて実測したものでも、当該透光性部材の屈折率等の物理特性に基づいて算出したものであっても良い。
[0096]
 上記の撮像システムにおいて、前記変化情報は、前記撮像対象物の実際のサイズと、前記透光性部材が介在した状態において前記撮像装置で取得される前記撮像対象物の画像上のサイズとの間の変化率であることが望ましい。
[0097]
 例えば、前記透光性部材が曲面を具備している場合には、当該透光性部材を通した前記撮像対象物の光像は実際の形状に対して変形して観察されることになる。上記の撮像システムによれば、前記サイズの変化率を前記変化情報と扱うことで、前記データを的確に補正することができる。なお、前記変化率は、当該撮像システムや他の撮像装置を用いて実測したものでも、当該透光性部材の曲面形状等に基づいて算出したものであっても良い。
[0098]
 上記の撮像システムにおいて、前記撮像装置の動作を制御する撮像制御部をさらに備え、前記撮像制御部は、前記撮像光軸上に前記透光性部材を介在させた状態において前記撮像対象物との相対距離を変化させながら、前記撮像装置に前記撮像対象物を複数回撮像させ、前記演算部は、前記複数回の撮像で得られた画像情報に基づいて、前記撮像対象物に対する前記焦点延長量を導出することが望ましい。
[0099]
 この撮像システムによれば、当該撮像システムが備える前記撮像装置を用いた実測によって前記焦点延長量を取得することができる。従って、迅速且つ正確に前記焦点延長量を求めることができ、しかも前記焦点延長量の取得のために余分なコストを掛けずに済む。
[0100]
 上記の撮像システムにおいて、前記撮像装置の動作を制御する撮像制御部をさらに備え、前記撮像対象物は、物体を吸引及び吐出するチップの先端開口部であり、前記撮像装置は、前記透光性部材を介して前記先端開口部を撮像するものであって、前記撮像制御部は、前記撮像光軸上に前記透光性部材を介在させた状態において前記チップとの相対距離を変化させながら、前記撮像装置に前記チップの少なくとも前記先端開口部を含む領域を複数回撮像させ、前記演算部は、前記複数回の撮像で得られた画像情報に基づいて、前記先端開口部に対する前記焦点延長量を導出することが望ましい。
[0101]
 この撮像システムによれば、前記複数回の撮像で得られた画像情報の中から、前記透光性部材が介在する場合における前記チップの先端開口部の合焦画像を特定し、その合焦画像が得られた焦点距離と前記透光性部材が介在しない場合の焦点距離との比較により、前記焦点延長量を容易に導出することができる。
[0102]
 上記の撮像システムにおいて、前記撮像装置の動作を制御する撮像制御部をさらに備え、前記透光性部材は第1面及びその反対側の第2面を有し、前記撮像対象物を保持する保持部を前記第1面側に有する透光性の容器であり、前記撮像装置は、前記容器の前記第2面側から前記撮像対象物を撮像するものであって、前記撮像制御部は、前記撮像光軸上において前記容器との相対距離を変化させながら、前記撮像装置に前記容器の少なくとも前記保持部を含む領域を複数回撮像させ、前記演算部は、前記複数回の撮像で得られた画像情報に基づいて、前記保持部に対する前記焦点延長量を導出することが望ましい。
[0103]
 この撮像システムによれば、前記複数回の撮像で得られた画像情報の中から、前記透光性部材としての前記容器を通した前記保持部の合焦画像を特定し、その合焦画像が得られた焦点距離と前記容器が介在しない場合の焦点距離との比較により、前記焦点延長量を容易に導出することができる。
[0104]
 上記の撮像システムにおいて、前記透光性部材は、前記容器に加え、前記容器が載置される透光性の基台を含み、前記撮像装置は、前記基台を通して前記容器を撮像することが望ましい。
[0105]
 この撮像システムによれば、前記撮像光軸上に前記容器及び前記基台が介在することによる複合的な前記焦点延長量を、前記撮像装置を用いた実測によって容易に導出することができる。
[0106]
 上記の撮像システムにおいて、前記保持部は、前記容器の底壁から離間した位置で支持され、前記透光性部材として、前記保持部が浸されるように前記容器に注液された透光性の液体をさらに含んでいても良い。
[0107]
 この撮像システムによれば、前記撮像光軸上に前記容器及び前記透光性の液体の二者、若しくは、前記容器、前記基台及び前記透光性の液体の三者が介在することによる複合的な前記焦点延長量を、前記撮像装置を用いた実測によって容易に導出することができる。
[0108]
 上記の撮像システムにおいて、前記撮像装置の動作を制御する撮像制御部をさらに備え、前記透光性部材は第1面及びその反対側の第2面を有し、前記撮像対象物を保持する保持部を前記第1面側に有し、前記保持部が光像を変形させる光学効果を備えた透光性の容器であり、前記撮像装置は、前記容器の前記第2面側から前記撮像対象物を撮像するものであって、前記撮像制御部は、前記撮像光軸上において、サイズが既知の供試対象物を前記保持部に保持させた前記容器と所定距離を置いて、前記撮像装置に前記容器の少なくとも前記保持部を含む領域を撮像させ、前記演算部は、前記撮像で得られた画像に基づく前記供試対象物のサイズと、前記既知のサイズとを比較することで、前記変化率を導出することが望ましい。
[0109]
 この撮像システムによれば、前記撮像で得られた画像に基づく前記供試対象物のサイズと前記既知のサイズとの比較によって、現に光路が前記光学効果を備えた前記容器を通過したことによって前記サイズがどの様に変化したかを把握することができる。従って、迅速且つ正確に前記変化率を導出することができ、しかも前記変化率の取得のために余分なコストを掛けずに済む。
[0110]
 この場合、前記撮像制御部は、前記供試対象物の前記保持部における保持位置を異ならせて前記撮像装置に前記撮像を行わせ、前記演算部は、前記保持位置毎に前記変化率を導出することが望ましい。
[0111]
 前記容器や前記保持部の形状によっては、前記保持位置によって変化率が相違する場合がある。上記の撮像システムによれば、前記保持位置毎に前記変化率が導出されるので、
各々の保持位置に応じた前記補正を行わせることが可能となる。
[0112]
 上記の撮像システムにおいて、前記撮像対象物又は前記物体を細胞又は細胞凝集塊とすることは、本発明の望ましい適用用途である。
[0113]
 以上説明した本発明によれば、撮像光軸上に透光性部材を介在した状態で撮像対象物を撮像する場合であっても、前記撮像対象物の位置及び/又はサイズを的確に求めることができる撮像システムを提供することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 撮像光軸上の撮像対象物を撮像する撮像装置と、
 前記撮像により前記撮像装置が取得した画像情報に基づいて、前記撮像対象物の位置及び/又はサイズに関するデータを求める演算部と、を備え、
 前記演算部は、前記撮像において前記撮像光軸上に透光性部材が介在する場合に、前記透光性部材の介在による前記撮像の条件変化及び/又は前記撮像対象物の画像上の変化に関する変化情報を取得し、前記データを前記変化情報に基づいて補正する、
ことを特徴とする撮像システム。
[請求項2]
 請求項1に記載の撮像システムにおいて、
 前記変化情報は、前記透光性部材が介在しない場合における前記撮像対象物に対する前記撮像装置の焦点位置と、前記透光性部材が介在している場合における前記撮像対象物に対する前記撮像装置の焦点位置とで定まる焦点延長量である、撮像システム。
[請求項3]
 請求項1に記載の撮像システムにおいて、
 前記変化情報は、前記撮像対象物の実際のサイズと、前記透光性部材が介在した状態において前記撮像装置で取得される前記撮像対象物の画像上のサイズとの間の変化率である、撮像システム。
[請求項4]
 請求項2に記載の撮像システムにおいて、
 前記撮像装置の動作を制御する撮像制御部をさらに備え、
 前記撮像制御部は、前記撮像光軸上に前記透光性部材を介在させた状態において前記撮像対象物との相対距離を変化させながら、前記撮像装置に前記撮像対象物を複数回撮像させ、
 前記演算部は、前記複数回の撮像で得られた画像情報に基づいて、前記撮像対象物に対する前記焦点延長量を導出する、撮像システム。
[請求項5]
 請求項2に記載の撮像システムにおいて、
 前記撮像装置の動作を制御する撮像制御部をさらに備え、
 前記撮像対象物は、物体を吸引及び吐出するチップの先端開口部であり、前記撮像装置は、前記透光性部材を介して前記先端開口部を撮像するものであって、
 前記撮像制御部は、前記撮像光軸上に前記透光性部材を介在させた状態において前記チップとの相対距離を変化させながら、前記撮像装置に前記チップの少なくとも前記先端開口部を含む領域を複数回撮像させ、
 前記演算部は、前記複数回の撮像で得られた画像情報に基づいて、前記先端開口部に対する前記焦点延長量を導出する、撮像システム。
[請求項6]
 請求項2に記載の撮像システムにおいて、
 前記撮像装置の動作を制御する撮像制御部をさらに備え、
 前記透光性部材は第1面及びその反対側の第2面を有し、前記撮像対象物を保持する保持部を前記第1面側に有する透光性の容器であり、前記撮像装置は、前記容器の前記第2面側から前記撮像対象物を撮像するものであって、
 前記撮像制御部は、前記撮像光軸上において前記容器との相対距離を変化させながら、前記撮像装置に前記容器の少なくとも前記保持部を含む領域を複数回撮像させ、
 前記演算部は、前記複数回の撮像で得られた画像情報に基づいて、前記保持部に対する前記焦点延長量を導出する、撮像システム。
[請求項7]
 請求項6に記載の撮像システムにおいて、
 前記透光性部材は、前記容器に加え、前記容器が載置される透光性の基台を含み、
 前記撮像装置は、前記基台を通して前記容器を撮像する、撮像システム。
[請求項8]
 請求項6又は7に記載の撮像システムにおいて、
 前記保持部は、前記容器の底壁から離間した位置で支持され、
 前記透光性部材として、前記保持部が浸されるように前記容器に注液された透光性の液体をさらに含む、撮像システム。
[請求項9]
 請求項3に記載の撮像システムにおいて、
 前記撮像装置の動作を制御する撮像制御部をさらに備え、
 前記透光性部材は第1面及びその反対側の第2面を有し、前記撮像対象物を保持する保持部を前記第1面側に有し、前記保持部が光像を変形させる光学効果を備えた透光性の容器であり、前記撮像装置は、前記容器の前記第2面側から前記撮像対象物を撮像するものであって、
 前記撮像制御部は、前記撮像光軸上において、サイズが既知の供試対象物を前記保持部に保持させた前記容器と所定距離を置いて、前記撮像装置に前記容器の少なくとも前記保持部を含む領域を撮像させ、
 前記演算部は、前記撮像で得られた画像に基づく前記供試対象物のサイズと、前記既知のサイズとを比較することで、前記変化率を導出する、撮像システム。
[請求項10]
 請求項9に記載の撮像システムにおいて、
 前記撮像制御部は、前記供試対象物の前記保持部における保持位置を異ならせて前記撮像装置に前記撮像を行わせ、
 前記演算部は、前記保持位置毎に前記変化率を導出する、撮像システム。
[請求項11]
 請求項1~4、6~10のいずれか1項に記載の撮像システムにおいて、
 前記撮像対象物が細胞又は細胞凝集塊である、撮像システム。
[請求項12]
 請求項5に記載の撮像システムにおいて、
 前記物体が細胞又は細胞凝集塊である、撮像システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]