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1. (WO2018143422) LIQUID SUPPLY SYSTEM
Document

明 細 書

発明の名称 液体供給システム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017  

発明の効果

0018  

図面の簡単な説明

0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047  

符号の説明

0048  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 液体供給システム

技術分野

[0001]
 本発明は、液体を供給する液体供給システムに関する。

背景技術

[0002]
 循環流路に対して液体を循環させる液体供給システムとして、ベローズにより形成されたポンプ室を有するベローズポンプを用いたものが知られている(特許文献1参照)。このシステムは、鉛直上下方向に並べられた2つのポンプ室を有し、各ポンプ室を構成するベローズは、アクチュエータによって上下方向に駆動される軸に固定され、軸の運動に連動して上下方向に伸縮する。
[0003]
 ポンプ装置の全体は断熱のために真空容器に収容され、真空容器の上方にアクチュエータが設置される。ポンプ装置に外部から液体を供給する吸入管と、ポンプ装置からの液体を外部へ排出する送出管は、断熱のために外気からできるだけ離した位置でポンプ装置に接続することが望ましい。そのため、吸入管及び送出管は、真空容器の上方から真空容器内に入り、ポンプ装置より低い位置まで延び、U字形状でポンプ装置の底部の開口に接続される。ポンプ装置と接続される配管をこのような形状にすることで、外部からの熱に対する高い断熱性能が実現される。このような構成のベローズポンプは、液体窒素や液体ヘリウム等の超低温液体を超伝導機器等の被冷却装置に供給する用途で好適に用いられる。
[0004]
 ところで、常温環境下で組み立てられたりメンテナンスされたりしたベローズポンプを低温液体の供給に用いるべく稼働させる場合、まずポンプ装置の構成部材を常温から低温液体の温度まで冷却する工程が必要になる。構成部材の温度が高いとベローズ室内で低温液体が蒸発し、気液混合状態となり、ポンプが適切に作動しないからである。ポンプ装置を冷却する方法としては、ポンプ装置に低温液体を流し込んで構成部材と低温液体との間で熱交換を行わせ、徐々に構成部材の温度を下げていく方法がある。この方法では、ポンプ装置の底部から流入した低温液体は、まず下部のベローズポンプ室、次いで上部のベローズポンプ室、といったように徐々にポンプ装置内を満たしていき、低温液体の水位が上昇していく。しかしながら、この冷却方法でベローズポンプを稼働可能な温度まで冷却するためには長大な時間を要するという課題がある。
[0005]
 その理由は、ポンプ装置内の低温液体の水位が低い状態では、ポンプ構成部材と低温液体との接液面積が小さいため、冷却工程の初期では冷却効率が低い。また、ポンプ構成部材の温度が高い状態では、低温液体が蒸発してポンプ室内にガスが滞留し、低温液体の流入を阻害する。また、2つのベローズポンプ室が上下に並べられた構成のため、上のポンプ室を第1ポンプ室、下のポンプ室を第2ポンプ室とすると、ポンプ装置に流し込まれた液体が第2ポンプ室の排出口から流出してしまい、第2ポンプ室の排出口の高さより上に水位が上昇しにくい。そのため、第2ポンプ室の排出口より上に第1ポンプ室がある場合、第1ポンプ室の冷却に時間がかかる。また、ポンプ構成部材は高吐出圧を得るために高剛性の金属材料が用いられるが、熱伝導率の高い金属の表面に低温液体が接すると、低温液体が気化して生じたガスにより金属の表面が覆われる。この現象は膜沸騰と呼ばれる。この金属表面に形成されるガス層が断熱層として作用し、低温液体とポンプ構成部材との熱伝達を阻害する。特許文献2には、ポンプ室の摺動箇所に摩擦抵抗の低減(摺動性の向上)を目的としてPTFE(polytetrafluoroethylene)をコーティングした構成が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 国際公開第2016/006648号
特許文献2 : 特開2012-193664号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 本発明の目的は、効率良く冷却することが可能な液体供給システムを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
 すなわち、本発明の液体供給システムは、
 内部にポンプ室が備えられ、かつ流体の吸入口及び送出口が設けられている容器と、前記吸入口から流入する液体を前記ポンプ室に供給する供給通路と、前記ポンプ室から排出される液体を前記送出口へ導く排出通路と、を有する液体供給システムであって、
 前記液体供給システムにおいて前記液体と接する壁面に、前記壁面を構成する部材より熱伝導率が低い材料による熱抵抗層を形成したことを特徴とする。
[0009]
 本発明によれば、液体供給システムを構成する部材と流体との温度差が大きい状況(例えば、常温の液体供給システムに低温液体を流し込むことで冷却するような場合)において、熱抵抗層が形成された部位では、低温液体とシステム構成部材とが直接接触する場合と比較して、低温液体とシステム構成部材との間の熱伝導率が低い。そのため、接液している熱抵抗層表面からシステム構成部材の内部への温度勾配が大きくなる。すなわち、熱抵抗層表面の接液面と、熱抵抗層と構成部材との界面と、の間で大きな温度差が生じる。これにより、構成部材の内部の温度が比較的高い(例えば常温近傍)場合でも、接液している熱抵抗層表面の温度は比較的低い(例えば低温液体の温度近傍)状態となる。従って、熱抵抗層表面において低温液体の沸騰が穏やかに進行する。沸騰が穏やかに進行するため、熱抵抗層表面に生じる沸騰した液体のガスによる気泡が細かくなる。これにより、熱抵抗層表面に大きな気泡によるガス層が形成されることが抑制される。熱抵抗層表面に断熱効果を示すガス層が形成されにくくなるため、ガス層によって液体と構成部材との熱伝導が阻害されにくくなる。従って、低温液体と構成部材との間の熱交換が効率良く行われる。従って、低温液体を流し込むことにより液体供給システムを効率良く冷却することができる。本発明によれば、常温環境下にある液体供給システムを冷却する工程に要する時間を短縮できるので、システムの設置作業やメンテナンス作業の工数増加を抑制できる。また、冷却工程における低温液体の消費量を抑制できる。
[0010]
 前記熱抵抗層は、被覆膜により形成されてもよい。
 これにより、簡易な構成で熱抵抗層を形成することができる。
[0011]
 前記被覆膜は、膜部材を複数並べて形成されてもよい。
 これにより、単一の膜ではなく複数の膜部材により被覆膜が形成されるため、被覆膜に生じる熱収縮等に起因する応力が大きくなることを抑制できる。従って、被覆膜が壁面から剥離することを抑制できる。
[0012]
 前記熱抵抗層は、前記ポンプ室内で前記液体と接する内壁面に設けられてもよい。
 これにより、熱抵抗層が設けられたポンプ室の内壁面では、低温液体の沸騰が穏やかに進行する。よって、ポンプ室の内壁面には、沸騰した低温気体のガスによる大きな気泡が形成されにくくなり、内壁面にガス層が形成されることを抑制できる。従って、低温液体とポンプ室の構成部材との熱交換がより効率良く行われる。従って、低温液体を流し込むことによりポンプ室を効率良く冷却することができる。本発明によれば、ポンプ室を効率的に冷却することができるため、ポンプ室に低温液体のガスが滞留する状況を早期に解消でき、液体供給システムの稼働のための冷却工程に要する時間を短縮することができる。
[0013]
 前記熱抵抗層は、前記供給通路及び前記排出通路の内壁面に設けられてもよい。
 これにより、液体供給システムを構成する部材をより効率良く冷却することができる。
[0014]
 前記熱抵抗層が形成される壁面は金属材料で構成され、
 前記熱抵抗層は、膜厚0.2mmのPTFEにより形成されるとよい。
 実験により、金属材料で構成される壁面に膜厚0.2mmのPTFEにより熱抵抗層を形成すると、熱抵抗層を形成しない場合よりも約2倍の冷却速度が得られた。
[0015]
 本発明は、ベローズポンプを備える液体供給システムに適用できる。すなわち、
 前記容器内において、鉛直方向に往復移動する軸部材と、
 鉛直方向に並べて配置され、かつ前記軸部材の往復移動に伴って伸縮する第1ベローズ及び第2ベローズと、
を有し、前記ポンプ室は、
 前記第1ベローズの外周面を囲む空間により形成される第1ポンプ室と、
 前記第2ベローズの外周面を囲む空間により形成される第2ポンプ室と、
からなり、
 前記熱抵抗層は、
 前記第1ポンプ室内において前記第1ベローズの外周面を囲む空間の内壁面と、
 前記第2ポンプ室内において前記第2ベローズの外周面を囲む空間の内壁面と、
に形成される構成としてもよい。
[0016]
 このような構成の液体供給システムによれば、第1ポンプ室内及び第2ポンプ室内の壁面において低温液体が穏やかに沸騰するため、断熱効果を有するガス層が壁面に形成されるのを抑制でき、低温液体による第1ポンプ室及び第2ポンプ室の冷却を効率良く行うことができる。従って、液体供給システムを稼働させるための冷却工程に要する時間を短縮することができる。
[0017]
 なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。

発明の効果

[0018]
 以上説明したように、本発明の液体供給システムは、効率良く冷却することができる。

図面の簡単な説明

[0019]
[図1] 図1は本発明の実施例に係る液体供給システムの概略構成図である。
[図2] 図2は本発明の実施例に係る熱抵抗層の作用を説明する模式図である。
[図3] 図3は本発明の実施例に係る熱抵抗層の構成例を示す模式図である。

発明を実施するための形態

[0020]
 以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[0021]
 (実施例)
 図1及び図2を参照して、本発明の実施例に係る液体供給システムについて説明する。本実施例に係る液体供給システムは、例えば、超電導機器を超低温状態に維持させるために好適に用いることができる。すなわち、超電導機器においては、超電導コイルなどを常時冷却させる必要がある。そこで、超電導コイルなどが備えられた被冷却装置に超低温の液体(液体窒素や液体ヘリウム)を常時供給することで、被冷却装置は常時冷却される。より具体的には、被冷却装置を通る循環流路を設け、かつ、この循環流路中に本実施例に係る液体供給システムを取り付けることにより、超低温の液体を循環させて、被冷却装置を常時冷却させることが可能となる。
[0022]
 <液体供給システムの全体構成>
 図1は本発明の実施例に係る液体供給システム全体の概略構成図であり、液体供給システム全体の概略構成を断面的に示した図である。本実施例に係る液体供給システム10は、液体供給システム本体(以下、システム本体100と称する)と、システム本体100が内部に設置される真空容器200と、配管(吸入管310及び送出管320)とを備えている。吸入管310及び送出管320は、いずれも真空容器200の外部から真空容器200の内部に入り込み、システム本体100に接続されている。真空容器200の内部は密閉されており、真空容器200の内部のうち、システム本体100,吸入管310及び送出管320の外側の空間は真空状態が維持されている。これにより、この空間は断熱機能を備えている。液体供給システム10は、通常、水平面上に設置される。液体供給システム10が設置された状態において、図1における上方が鉛直方向上方となり、図1における下方が鉛直方向下方となる。
[0023]
 システム本体100は、駆動源となるリニアアクチュエータ110と、リニアアクチュエータ110により鉛直方向に往復移動する軸部材120と、容器130とを備えている。なお、リニアアクチュエータ110は任意の箇所に固定され、固定される箇所は容器130でもよいし、他の図示しない箇所でもよい。容器130は、ケース部131を備えている。軸部材120は、容器130の外部から、ケース部131の天井部に設けられた開口部131aを介して容器内部に入り込むように設置されている。また、ケース部131の底部には、流体の吸入口131b及び送出口131cが設けられている。上記の吸入管310は吸入口131bが設けられた位置に接続され、送出管320は、送出口131cが設けられた位置に接続されている。
[0024]
 ケース部131の内部においては、複数の部材が備えられており、これら複数の部材により区画された複数の空間によって、複数のポンプ室と、液体の流路と、断熱用の真空室が形成されている。以下、このケース部131の内部の構成について、より詳細に説明する。
[0025]
 軸部材120は、内部に中空部を有する軸本体部121と、軸本体部121の外周面側を囲むように設けられる円筒部122と、軸本体部121と円筒部122を連結する連結部123とを有している。また、円筒部122の上端には上端側外向きフランジ部122aが設けられ、円筒部122の下端には下端側外向きフランジ部122bが設けられている。
[0026]
 ケース部131は、略円筒状の胴体部131Xと、底板部131Yとを備えている。また、胴体部131Xには、高さ方向の中央付近に設けられる第1内向きフランジ部131Xaと、上方に設けられる第2内向きフランジ部131Xbとが設けられている。
[0027]
 胴体部131Xの内部には、第1内向きフランジ部131Xaよりも下方に備えられ、軸方向に延びる第1流路131Xcが、周方向に間隔を空けて複数形成されている。また、胴体部131Xの内部には、第1流路131Xcが設けられている領域よりも更に径方向外側において、軸方向に伸びる円筒状の空間で構成された第2流路131Xdも設けられている。また、ケース部131の底部には、径方向外側に向かって伸び、第1流路131Xcに繋がる流路131dが円周状に一様に形成されている。更に、ケース部131における底板部131Yには、径方向外側に向かって伸びる流路131eが円周状に一様に形成されている。つまり、これらの流路131d及び流路131eは、中心軸線側から径方向外側に向かって、放射状に360°全ての方向に液体が流れ得るように構成されている。
[0028]
 また、容器130の内部には、軸部材120の往復移動に伴って伸縮する第1ベローズ141及び第2ベローズ142が設けられている。これらの第1ベローズ141及び第2ベローズ142は、鉛直方向に並べて配置されている。第1ベローズ141の上端側は軸部材120における円筒部122の上端側外向きフランジ部122aに固定されており、第1ベローズ141の下端側はケース部131の第1内向きフランジ部131Xaに固定されている。また、第2ベローズ142の上端側はケース部131の第1内向きフランジ部131Xaに固定されており、第2ベローズ142の下端側は軸部材120における円筒部122の下端側外向きフランジ部122bに固定されている。そして、第1ベローズ141の外周面を囲む空間により第1ポンプ室P1が形成されており、第2ベローズ142の外周面を囲む空間により第2ポンプ室P2が形成されている。
[0029]
 また、容器130の内部には、軸部材120の往復移動に伴って伸縮する第3ベローズ151及び第4ベローズ152も設けられている。第3ベローズ151の上端側はケース部131の天井部に固定されており、第3ベローズ151の下端側は軸部材120に固定されている。これにより、ケース部131に設けられた開口部131aが塞がれている。第4ベローズ152の上端側はケース部131に設けられた第2内向きフランジ部131Xbに固定されており、第4ベローズ152の下端側は軸部材120における連結部123に固定されている。そして、軸部材120の軸本体部121の内部の中空部により形成される第1空間K1と、第3ベローズ151の外周面側及び第4ベローズ152の内周面側などにより形成される第2空間K2と、第1ベローズ141及び第2ベローズ142の内周面側と円筒部122の外周面側により形成される第3空間K3は繋がっている。これら第1空間K1と第2空間K2と第3空間K3により形成される空間は密閉されている。本実施例では、これらにより形成される密閉空間は真空状態が維持されており、断熱機能を備えている。
[0030]
 更に、容器130の内部には、4つの逆止弁160(取り付けられた位置に応じて、適宜、第1逆止弁160A,第2逆止弁160B,第3逆止弁160C及び第4逆止弁160Dと称する)が設けられている。また、第1逆止弁160Aと第2逆止弁160Bは、第1ポンプ室P1及び第2ポンプ室P2を介してリニアアクチュエータ110とは反対側(鉛直方向下方側)に配置されている。そして、第3逆止弁160Cと第4逆止弁160Dは、第1逆止弁160Aと第2逆止弁160Bよりも鉛直方向上方側に配置されている。
[0031]
 また、第1逆止弁160Aと第3逆止弁160Cは、第1ポンプ室P1を通る流路上に設けられている。これら第1逆止弁160A及び第3逆止弁160Cは、第1ポンプ室P1によるポンプ作用によって流れる流体の逆流を止める役割を担っている。より具体的には、第1ポンプ室P1に対して、上流側に第1逆止弁160Aが設けられ、下流側に第3逆止弁160Cが設けられている。更に具体的には、第1逆止弁160Aは、ケース部131の底部に形成された流路131d上に設けられている。また、第3逆止弁160Cは、ケース部131に設けられた第2内向きフランジ部131Xbの付近に形成される流路上に設けられている。
[0032]
 そして、第2逆止弁160Bと第4逆止弁160Dは、第2ポンプ室P2を通る流路上に設けられている。これら第2逆止弁160B及び第4逆止弁160Dは、第2ポンプ室P2によるポンプ作用によって流れる流体の逆流を止める役割を担っている。より具体的には、第2ポンプ室P2に対して、上流側に第2逆止弁160Bが設けられ、下流側に第4逆止弁160Dが設けられている。更に具体的には、第2逆止弁160Bは、ケース部131の底板部131Yに形成された流路131e上に設けられている。また、第4逆止弁160Dは、ケース部131の第1内向きフランジ部131Xaの付近に形成された流路上に設けられている。
[0033]
 <液体供給システム全体の動作説明>
 液体供給システム全体の動作について説明する。リニアアクチュエータ110によって、軸部材120が下降する際においては、第1ベローズ141は縮み、第2ベローズ142は伸びる。このとき、第1ポンプ室P1の流体圧力は低くなるため、第1逆止弁160Aは弁が開き、第3逆止弁160Cは弁が閉じた状態となる。これにより、液体供給システム10の外部から吸入管310により送られる流体(矢印S10参照)は、吸入口131bから容器130内に吸入されて、第1逆止弁160Aを通り抜けていく(矢印S11参照)。そして、第1逆止弁160Aを通り抜けた流体は、ケース部131における胴体部131Xの内部の第1流路131Xcを通り、第1ポンプ室P1へと送られる。また、第2ポンプ室P2の流体圧力は高くなるため、第2逆止弁160Bは弁が閉じ、第4逆止弁160Dは弁が開いた状態となる。これにより、第2ポンプ室P2内の流体は、第4逆止弁160Dを通り抜けて、胴体部131Xの内部の第2流路131Xdへと送られる(矢印T12参照)。その後、流体は、送出口131cを通り、送出管320により液体供給システム10の外部へと送出される。
[0034]
 そして、リニアアクチュエータ110によって、軸部材120が上昇する際においては、第1ベローズ141は伸び、第2ベローズ142は縮む。このとき、第1ポンプ室P1の流体圧力は高くなるため、第1逆止弁160Aは弁が閉じ、第3逆止弁160Cは弁が開いた状態となる。これにより、第1ポンプ室P1内の流体は、第3逆止弁160Cを通り抜けて(矢印T11参照)、胴体部131Xの内部の第2流路131Xdへと送られる。その後、流体は、送出口131cを通り、送出管320により液体供給システム10の外部へと送出される。また、第2ポンプ室P2の流体圧力は低くなるため、第2逆止弁160Bは弁が開き、第4逆止弁160Dは弁が閉じた状態となる。これにより、液体供給システム10の外部から吸入管310により送られる流体(矢印S10参照)は、吸入口131bから容器130内に吸入されて、第2逆止弁160Bを通り抜けていく(矢印S12参照)。そして、第2逆止弁160Bを通り抜けた流体は、第2ポンプ室P2へと送られる。
[0035]
 以上のように、本実施例に係る液体供給システム10においては、軸部材120が下降する際及び上昇する際のいずれにおいても、吸入管310側から送出管320側に流体を流すことができる。従って、いわゆる脈動を抑制することができる。
[0036]
<液体供給システムの冷却>
 本実施例に係る液体供給システム10を、液体窒素や液体ヘリウム等の超低温液体の循環に使用する場合、常温環境下にある液体供給システム10を、稼働前に作動流体である低温液体と同程度の温度まで冷却する必要がある。本実施例では、システム稼働時に流通させる低温液体と同じ液体をシステム冷却用に用いる。なお、システム冷却用の液体と、システム稼働時に流通させる液体とは異なるものであってもよい。
[0037]
 システム冷却は、吸入管310から低温流体を流し込み、液体供給システム10の構成部材であるケース部131等と低温液体との間で熱交換を行わせ、徐々に構成部材の温度を下げていくことで行う。本実施例では、容器100の底部に吸入口131b及び送出口131cが設けられているため、冷却工程において流し込まれた低温液体は、まず第2ポンプ室P2、次いで第1ポンプ室P1の順に徐々にシステム内を満たしていき、低温液体の水位が上昇していく。水位の上昇に伴い、冷却用の低温液体と熱交換する構成部材が増加していき、システムの下部から上部へと冷却が進んでいく。
[0038]
<熱抵抗層>
 図1~図3を参照して、本実施例に係る熱抵抗層について説明する。図2(A)は、図1のA部の拡大図である。図2(B)は、図2(A)において熱抵抗層が存在しない場合を示す比較例である。図2(A)は、簡単のため第1ベローズ141及び第1ポンプ室P1の内壁131Xeの部分のみを示す。図3は熱抵抗層の被覆方法の例を示す図である。
[0039]
 第1ポンプ室P1は、第1ベローズ141の外周面と、第1ベローズ141に対向する内壁131Xeの壁面180と、により囲まれる空間である。内壁131Xeは、第1ポンプ室P1を流れる液体と接し、かつ、ケース部131の一部であり、システム本体100を構成する部材と熱交換する。内壁131Xeの壁面180には、図2(A)に示すように、熱抵抗層500が設けられている。本実施例では、内壁131Xeは金属材料で形成され、熱抵抗層500は、金属材料より熱伝導率の低いPTFEの膜を壁面180に被覆することにより形成される。PTFEの膜厚は0.2mmである。なお、熱抵抗層500は接着剤により本体100を構成する部材に接着されていてもよいし、他の弾性部材の弾性力により本体100を構成する部材に固定されていてもよい。
[0040]
 第2ポンプ室P2においても、同様の熱抵抗層が設けられる。すなわち、第2ポンプ室P2において、第2ベローズ142に対向する内壁131Xfの壁面181には、PTFEの被覆膜が熱抵抗層として設けられる。
[0041]
 本実施例では、PTFEによる被覆膜で構成される熱抵抗層500を、図3(B)に示すように、複数のPTFEによる比較的小さいサイズの矩形の膜部材600をタイル状に内壁面に並べて形成する。これにより、熱収縮等に起因する応力が大きくなることを抑制でき、被覆膜が内壁面から剥離することを抑制できる。なお、図3(A)に示すように、単一の膜部材601によりPTFEによる被覆膜を形成し熱抵抗層500を構成しても良い。また、複数の膜部材を並べて被覆膜を形成する場合、各膜部材の形状は図3(B)に示すような矩形に限らない。
[0042]
 <本実施例に係る液体供給システムの優れた点>
 図2(B)は、金属材料で形成される内壁面にPTFEの被覆膜による熱抵抗層が形成されていない場合を示す。金属は熱伝導率が高いため、システム冷却時に常温の金属と超低温の液体とが接触すると、内壁面において低温液体が急激に沸騰し、発生したガスにより大きな気泡502が生じ、内壁面にガス層が形成されてしまう。また、気泡が移動し、ガス層がない箇所で再度接液しても、熱伝導率が高いため、内壁の内部の熱が直ぐに金属表面に伝わり、再度大きな気泡502が生じてしまい、常に内壁面にガス層が形成されてしまう。このガス層が断熱効果を有し、低温液体と内壁との熱伝導を阻害するため、金属材料で形成される内壁等のシステム構成部材の冷却に時間がかかってしまう。
[0043]
 本実施例では、図2(A)に示すように、金属で構成される内壁131Xeの壁面180に熱抵抗層500としてPTFEの被覆膜を形成した。PTFEは熱伝導率が金属より低い。そのため、接液している熱抵抗層500の表面180aから金属の構成部材である内壁131Xeの内部への温度勾配が大きくなる。すなわち、金属と比較してPTFEの方が内壁131Xeの持つ熱を緩やかに、少しずつ接液面に伝える。これにより、内壁131Xeの温度が比較的高い(例えば常温近傍)場合でも、接液している熱抵抗層500の表面180aの温度は比較的低い(例えば低温液体の温度近傍)状態となる。従って、内壁131Xeと低温液体とで少しずつ熱交換が行われ、熱抵抗層500の表面180aにおいて低温液体の沸騰が穏やかに進行する。沸騰が穏やかに進行するため、熱抵抗層500の表面180aに生じる沸騰した液体のガスによる気泡501は細かくなる。
[0044]
 これにより、図2(B)に示すような金属表面に直接接液する場合のように、大きな気泡502によるガス層が形成されることが抑制される。熱抵抗層500の表面180aに断熱効果を示すガス層が形成されにくくなるため、ガス層によって液体と構成部材との熱伝導が阻害されにくくなる。従って、低温液体と構成部材との間の熱交換が効率良く行われる。従って、低温液体を流し込むことによるシステム冷却を効率良く行うことができる。よって、常温環境下にある液体供給システムを稼働のために冷却するための工程に要する時間を短縮でき、システムの設置作業やメンテナンス作業の工数増加を抑制できる。また、冷却工程における低温液体の消費量を抑制できる。第2ポンプ室P2においても、同様の熱抵抗層が設けられることにより、内壁面にガス層が生じることを抑制でき、低温液体と構成部材との間の効率の良い熱交換が可能となる。
[0045]
 (その他)
 本実施例では、熱抵抗層が、第1ポンプ室P1及び第2ポンプ室P2をそれぞれ構成する内壁131Xe及び内壁131Xfそれぞれの壁面180及び壁面181に設けられる例を説明したが、熱抵抗層は、システム本体100の構成部材と熱交換し、かつ低温液体と接する部位であれば、その他のどの部分に設けられていても良い。例えば、ポンプ室に液体を導く流路の内壁面にも熱抵抗層が設けられてもよい。具体的には、第1ポンプ室P1の入口401に接続される供給通路の内壁面、第1ポンプ室P1の出口402に接続される排出通路の内壁面、第2ポンプ室P2の入口403に接続される供給通路の内壁面、第2ポンプ室P2の出口404に接続される排出通路の内壁面にも、熱抵抗層としてPTFEの被覆膜が設けられてもよい。また、本実施例では熱抵抗層としてPTFEを設ける例を説明したが、熱抵抗層を形成する材料は、冷却対象であるポンプ室等の内壁面を構成する材料(例えば金属)より熱伝導率が低い材料であれば、PTFEに限定されない。
[0046]
 本実施例では、ベローズの外周面を囲むポンプ室が2つ鉛直方向上下(ベローズ伸縮方向)に直列に配置されたベローズポンプを有する液体供給システムに本発明を適用した例を説明したが、本発明が適用可能な液体供給システムはこれに限定されない。本発明は流体を吸入して送出するポンプ一般に適用でき、ポンプ室において液体と接する内壁面のうち、ポンプ室(又は液体供給システム本体)の構成部材と熱交換する部位に接液面積を増加させる表面積増加構造を設けることにより、上述した実施例と同等の効果が得られる。
[0047]
 本実施例においては、真空容器200の内部のうち、システム本体100,吸入管310及び送出管320の外側を真空状態にして断熱機能を備えさせる構成を採用している。また、本実施例においては、第1空間K1と第2空間K2と第3空間K3により形成される密閉空間を真空状態にして断熱機能を備えさせる構成を採用している。しかしながら、これらの空間にも超低温液体を流すことで、循環流路を流れる流体の温度を低温に維持させることも可能である。

符号の説明

[0048]
 10 液体供給システム
 100 システム本体
 110 リニアアクチュエータ
 120 軸部材
 121 軸本体部
 122 円筒部
 122a 上端側外向きフランジ部
 122b 下端側外向きフランジ部
 123 連結部
 130 容器
 131 ケース部
 131a 開口部
 131b 吸入口
 131c 送出口
 131d 流路
 131e 流路
 131X 胴体部
 131Xa 第1内向きフランジ部
 131Xb 第2内向きフランジ部
 131Xc 第1流路
 131Xd 第2流路
 131Xe 内壁
 131Xf 内壁
 131Y 底板部
 141 第1ベローズ
 142 第2ベローズ
 151 第3ベローズ
 152 第4ベローズ
 160 逆止弁
 160A 第1逆止弁
 160B 第2逆止弁
 160C 第3逆止弁
 160D 第4逆止弁
 180 壁面
 180a 熱抵抗層の表面
 181 壁面
 190 内壁面
 200 真空容器
 310 吸入管
 320 送出管
 401 第1ポンプ室入口
 402 第1ポンプ室出口
 403 第2ポンプ室入口
 404 第2ポンプ室出口
 500 熱抵抗層
 501 気泡
 502 気泡
 600 膜部材
 601 膜部材
 P1 第1ポンプ室
 P2 第2ポンプ室

請求の範囲

[請求項1]
 内部にポンプ室が備えられ、かつ流体の吸入口及び送出口が設けられている容器と、前記吸入口から流入する液体を前記ポンプ室に供給する供給通路と、前記ポンプ室から排出される液体を前記送出口へ導く排出通路と、を有する液体供給システムであって、
 前記液体供給システムにおいて前記液体と接する壁面に、前記壁面を構成する部材より熱伝導率の低い材料による熱抵抗層を形成したことを特徴とする液体供給システム。
[請求項2]
 前記熱抵抗層は、被覆膜により形成される請求項1に記載の液体供給システム。
[請求項3]
 前記被覆膜は、膜部材を複数並べて形成される請求項2に記載の液体供給システム。
[請求項4]
 前記熱抵抗層は、前記ポンプ室内で前記液体と接する内壁面に設けられる請求項1~3のいずれか1項に記載の液体供給システム。
[請求項5]
 前記熱抵抗層は、前記供給通路及び前記排出通路の内壁面に設けられる請求項1~4のいずれか1項に記載の液体供給システム。
[請求項6]
 前記熱抵抗層が形成される前記壁面は金属材料で構成され、
 前記熱抵抗層は、膜厚0.2mmのPTFEにより形成される請求項1~4のいずれか1項に記載の液体供給システム。
[請求項7]
 前記容器内において、鉛直方向に往復移動する軸部材と、
 鉛直方向に並べて配置され、かつ前記軸部材の往復移動に伴って伸縮する第1ベローズ及び第2ベローズと、
を有し、前記ポンプ室は、
 前記第1ベローズの外周面を囲む空間により形成される第1ポンプ室と、
 前記第2ベローズの外周面を囲む空間により形成される第2ポンプ室と、
からなり、
 前記熱抵抗層は、
 前記第1ポンプ室内において前記第1ベローズの外周面を囲む空間の内壁面と、
 前記第2ポンプ室内において前記第2ベローズの外周面を囲む空間の内壁面と、
に形成されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の液体供給システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]