Processing

Please wait...

Settings

Settings

Goto Application

1. WO2018143002 - RESIN COMPOSITION AND MOLDED BODY FORMED THEREFROM

Document

明 細 書

発明の名称 樹脂組成物、該組成物から形成される成形体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079  

実施例

0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115  

産業上の利用可能性

0116  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 樹脂組成物、該組成物から形成される成形体

技術分野

[0001]
 本発明は、特定の組成を有する樹脂組成物、該組成物から形成される成形体およびパイプ継手に関する。

背景技術

[0002]
 塩化ビニル系樹脂は、優れた機械物性、加工性、耐薬品性を有し、且つ他の樹脂よりも安価であるため、パイプ、継ぎ手、平板、雨樋、サッシ、サイディングなど住宅分野を中心に幅広い用途で利用されているが、現在主流のポリ塩化ビニル(PVC)は、耐熱性が低く、熱変形を起こしやすいため、高温での利用が制限されていた。そこで塩化ビニル系樹脂の耐熱性を向上させるべく、塩化ビニル系樹脂を後塩素化する方法が一般的に用いられ、その結果として後塩素化された塩化ビニル系樹脂(以降、塩素化塩化ビニル系樹脂と記述)は、消火用スプリンクラー用パイプ、給湯用パイプでの利用が可能となった(特許文献1,2,4参照)。
[0003]
 塩素化塩化ビニル系樹脂は、塩素含量の増加に伴い、樹脂の脆性的な側面が増して衝撃強度が低下する。そこで塩素化塩化ビニル系樹脂組成物としては、衝撃強度をより高めて機械物性のバランスを図るため、従来のPVCに比較して衝撃吸収材を多量に添加する必要がある。衝撃吸収材としては、低いガラス転移温度を有するゴム系衝撃吸収材が用いられる。しかし、樹脂組成物におけるゴム系衝撃吸収材の割合に比例して塩素化塩化ビニル系樹脂の衝撃強度は向上するが、一方で、ゴム系衝撃吸収材の割合が過剰に多いと、塩素化塩化ビニル系樹脂の特徴である耐熱性が著しく悪化し、また、加工性も低下する。そのため、耐熱性、機械物性、および加工性がいずれも十分であるような種々の樹脂組成物が検討されている(特許文献1~4参照)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開平5-132603号公報
特許文献2 : 特開2000-204215号公報
特許文献3 : 特開2002-284952号公報
特許文献4 : 特開平6-228398号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1~4に記載の樹脂組成物は、耐熱性、機械物性、および加工性がいずれも十分であるとされている。
[0006]
 そこで、本発明者らは、樹脂組成物の各用途に望まれる他の特性を種々検討したところ、優れた機械物性(特には耐衝撃性)を有する塩素化塩化ビニル樹脂の透明性をさらに高めることができれば、たとえば各種パイプの継手にした場合に接着剤の塗布状態やパイプの接合状態の目視確認が容易になるという利点が得られると考えた。そこで本発明の課題は、透明性に優れる新たな塩化ビニル系樹脂組成物、ならびにこの樹脂組成物から形成される成形体、特にはパイプ継手を提供することである。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の組成を有する樹脂組成物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0008]
 すなわち本発明は、以下の[1]~[9]に関する。
 [1] 塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、ゴム系衝撃吸収材(B)3~15質量部、滑剤(C)0.1~10質量部を含み、下記要件(I)~(III)を満たす樹脂組成物。
 (I)塩化ビニル系樹脂(A)の塩素含有率が55~75質量%である
 (II)ゴム系衝撃吸収材(B)の示差走査熱量測定(DSC)におけるガラス転移温度(Tg)が0℃以下である
 (III)滑剤(C)が下記要件(i)~(iv)を満たす
 (i)200℃における溶融粘度が5~5,000mP・sである
 (ii)軟化点が60~180℃の範囲にある
 (iii)示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が0~100℃の範囲にある
 (iv)分子中に、スチレン、α-メチルスチレン、インデン、ビニルトルエン、およびイソプロペニルトルエンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を50~100質量%含有する
 [2] 前記要件(I)において、塩化ビニル系樹脂(A)の塩素含有率が60~75質量%である、[1]に記載の樹脂組成物。
 [3] 前記ゴム系衝撃吸収材(B)がブタジエンゴム,アクリルゴム,シリコンゴムから選ばれるゴム成分を含有する[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
 [4] 前記滑剤(C)の含有量が、前記塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して0.1~3質量部である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
 [5] 前記滑剤(C)の要件(i)において、200℃における溶融粘度が5~2,000mP・sである、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
 [6] 前記塩化ビニル系樹脂(A)の密度と前記滑剤(C)の密度の比((A)/(C))が1.70以下であり、且つ前記ゴム系衝撃吸収材(B)の密度と前記滑剤(C)の密度の比((B)/(C))が1.05以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
 [7] [1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物から形成される成形体。
 [8] 射出成形体である、[7]に記載の成形体。
 [9] パイプ継手である、[7]または[8]に記載の成形体。
 [10] 最小厚みが1mm以上である、[7]~[9]のいずれかに記載の成形体。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、透明性に優れる塩化ビニル系樹脂組成物、ならびにこの樹脂組成物から形成される成形体、特にはパイプ継手を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、本発明の樹脂組成物およびそれから形成される成形体について詳説する。本発明の成形体には、パイプ継手が含まれる。
[0011]
 A.樹脂組成物
 本発明の樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂(A)と、ゴム系衝撃吸収材(B)と、滑剤(C)とを含有する。
[0012]
 上記塩化ビニル系樹脂(A)の量を100質量部としたときの、上記ゴム系衝撃吸収材(B)の量は3~15質量部であり、好ましくは4~14質量部であり、より好ましくは5~13質量部であり、特に好ましくは6~12質量部である。一方、上記塩化ビニル系樹脂(A)の量を100質量部としたときの、上記滑剤(C)の量は0.1~10質量部であり、好ましくは0.1~5質量部であり、より好ましくは0.1~3質量部であり、特に好ましくは0.1~2質量部であり、とりわけ好ましくは0.5~2質量部である。
[0013]
 塩化ビニル系樹脂(A)とゴム系衝撃吸収材(B)を上記割合で含有すると、樹脂組成物の耐衝撃性と耐熱性のバランスに優れる。具体的には、塩化ビニル系樹脂(A)は塩素含有量に比例して脆性的な側面が増し、外力によって破壊され易くなるが、ゴム系衝撃吸収材(B)の含有量に比例して靱性的な側面が増し、外力によって破壊され難くなる。しかし、ゴム系衝撃吸収材(B)は一般的にゴム成分に分子内不飽和結合を有するものが多いため、含有量に比例して熱劣化による着色が生じやすくなる。これに対し、塩化ビニル系樹脂(A)とゴム系衝撃吸収材(B)を上記割合で含有することは、樹脂組成物の耐衝撃性と耐熱性のバランスに優れる点で好ましい。
[0014]
 また、塩化ビニル系樹脂(A)の密度と滑剤(C)の密度の比((A)/(C))は、好ましくは1.70以下であり、より好ましくは1.65以下であり、特に好ましくは1.55以下である。またゴム系衝撃吸収材(B)の密度と滑剤(C)の密度の比((B)/(C))は、好ましくは1.05以下であり、より好ましくは1.00以下であり、特に好ましくは0.95以下である。密度の比が上記範囲内であると、樹脂組成物の透明性に優れる。
[0015]
 以下、各成分および各要件につき説明する。
[0016]
 1.塩化ビニル系樹脂(A)
 塩化ビニル系樹脂(A)の塩素含有率は、55~75質量%であり、好ましくは57~75質量%、より好ましくは60~75質量%、特に好ましくは63~75質量%である。塩化ビニル系樹脂(A)の塩素含有率が55質量%以上であれば、十分な耐熱性を有する樹脂組成物が得られる。一方、塩素含有率が75質量%以下であれば、溶融粘度が高くなり過ぎず、加工性の良い樹脂組成物が得られる。塩素含有率はISO 1158に準拠して測定することができる。
[0017]
 塩化ビニル系樹脂(A)の平均重合度は、600~1500であることが好ましく、より好ましくは600~1300、さらに好ましくは600~1200である。塩化ビニル系樹脂(A)の平均重合度が600以上であれば、より十分な機械強度を有する樹脂組成物が得られる。一方、平均重合度が1500以下であれば、溶融粘度が高くなり過ぎず、加工性の良い樹脂組成物が得られる。平均重合度はJIS K6720-2に準拠して測定することができる。
[0018]
 塩化ビニル系樹脂(A)の密度は、1300~1900kg/m であることが好ましく、より好ましくは1400~1800kg/m 、さらに好ましくは1500~1700kg/m である。塩化ビニル系樹脂(A)の密度が上記範囲内にあると、より十分な耐熱性と機械強度を有する樹脂組成物が得られる。密度はJIS K7112に準拠して測定することができる。
[0019]
 塩化ビニル系樹脂(A)としては、例えば、ホモポリマーのポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの他に、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-プロピレン共重合体、塩化ビニル-スチレン共重合体、塩化ビニル-イソブチレン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-スチレン-無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル-スチレン-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-ブタジエン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル-マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル-メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体などのコポリマーを使用することができる。さらにはこれらを後塩素化したいわゆる後塩素化塩化ビニル系樹脂を使用することができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、塩化ビニル系樹脂(A)がコポリマーであるとき、塩素含有率が上記範囲となる限りにおいて、それぞれのモノマー由来の構造単位の含有比率は特に限定されない。
[0020]
 2.ゴム系衝撃吸収材(B)
 ゴム系衝撃吸収材(B)の示差走査熱量測定(DSC)におけるガラス転移温度(Tg)は、0℃以下であり、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-40℃以下、特に好ましくは-60℃以下である。ゴム系衝撃吸収材(B)のTgが0℃以下であれば、十分な耐衝撃性を有する樹脂組成物が得られる。
[0021]
 ゴム系衝撃吸収材(B)は、JIS K7210-1に準拠して温度200℃,荷重5kgfで測定されたメルトフローレート(MFR)が0.1~70g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.3~60g/10分、さらに好ましくは0.5~50g/10分である。ゴム系衝撃吸収材(B)のMFRが上記範囲内にあると、より十分な耐衝撃性を有する樹脂組成物が得られる点で好ましい。
[0022]
 ゴム系衝撃吸収材(B)の密度勾配管法で測定した密度は、900~1200kg/m であることが好ましく、より好ましくは920~1100kg/m 、さらに好ましくは930~1050kg/m である。ゴム系衝撃吸収材(B)の密度が上記範囲内にあると、より十分な耐衝撃性を有する樹脂組成物が得られる点で好ましい。
[0023]
 ゴム系衝撃吸収材(B)のTgは、0℃以下であれば特に限定されないが、ゴム成分としてブタジエンゴム,アクリルゴムまたはシリコンゴムを含むことが好ましい。また、ゴム成分に官能基含有オレフィンモノマー由来の構造単位が含まれることが好ましい。ゴム成分は、粒子表面近傍における官能基含有オレフィンモノマー由来の構造単位の濃度が、それ以外の部分における官能基含有オレフィンモノマー由来の構造単位の濃度よりも高いことが特に好ましい。ゴム系衝撃吸収材(B)に官能基含有オレフィンモノマー由来の構造単位が含まれると、塩化ビニル系樹脂(A)とゴム系衝撃吸収材(B)に含まれるゴム成分との親和性が高まり、十分な耐衝撃性を有する樹脂組成物が得られる。
[0024]
 官能基含有オレフィンモノマーの官能基としては、芳香環を含む基、15~17族元素を含む基が挙げられる。例えば、炭素数6~20の芳香族炭化水素基、ニトリル基、エステル基、カルボキシル基、ケトン基、アルデヒド基、エーテル基、アミド基、イミド基、ハロゲン原子が挙げられ、炭素数6~20の芳香族炭化水素基、ニトリル基、エステル基、カルボキシル基が好ましい。
[0025]
 官能基含有オレフィンモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、ビニルナフタレン、イソプロペニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸(無水物);(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のα,β-不飽和カルボン酸エステルを使用することができる。
[0026]
 ゴム系衝撃吸収材(B)としては、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS,Tg:-80℃)、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS,Tg:-80℃)、メタクリル酸アルキル-スチレン共重合体(MS,Tg:-42℃)、メタクリル酸アルキル-ポリジメチルシロキサン-スチレン共重合体(Tg:-125℃)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR,Tg:-85℃)、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR,Tg:-80℃)、水添スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SEBS,Tg:-80℃)などを使用することができる。
[0027]
 3.滑剤(C)
 本発明の樹脂組成物は、滑剤(C)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。滑剤とは、高分子量化合物に配合することによって溶融時の流動性を付与することのできる物質であり、一般的に分子量が数百~数万であり、かつ軟化点約60~160℃程度のオリゴマーである。
[0028]
 滑剤(C)の具体例としては、天然ロジン、変性ロジン、ポリテルペン系樹脂、合成石油樹脂、クマロン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、スチレン系樹脂、およびイソプレン系樹脂が挙げられる。
[0029]
 滑剤(C)のさらに具体的な例としては、石油、ナフサ等の分解によって得られるC 留分、C 留分、これらの混合物、あるいはこれらに含まれる任意の成分(たとえばC 留分中のイソプレンおよび1,3-ペンタジエンなど)を主原料とする脂肪族系炭化水素樹脂;
 石油、ナフサ等の分解によって得られるC 留分に含まれるスチレン誘導体やインデン類を主原料とする芳香族系炭化水素樹脂;
 C 留分およびC 留分に含まれる任意の成分とC 留分に含まれる任意の成分とを共重合した脂肪族・芳香族共重合炭化水素樹脂;
 芳香族系炭化水素樹脂を水素添加した脂環族系炭化水素樹脂;
 脂肪族、脂環族および芳香族炭化水素樹脂を含む合成テルペン系炭化水素樹脂;
 テレピン油中のα,β-ピネンを原料とするテルペン系炭化水素樹脂;
 コールタール系ナフサ中のインデンおよびスチレン類を原料とするクマロンインデン系炭化水素樹脂;
 低分子量スチレン系樹脂;
 ロジン系炭化水素樹脂;等が挙げられる。
[0030]
 あるいは特開2005-194488号公報に開示されているような、テルペン系モノマー、クロマン系モノマー、スチレン系モノマー、あるいはフェノール系モノマーから選ばれる複数種のモノマーを共重合して得られたものであってもよい。
[0031]
 滑剤(C)は下記要件(i)~(iv)を満たす。
 要件(i):200℃における溶融粘度が5~5,000mP・sである
 滑剤(C)の200℃における溶融粘度は、好ましくは5~2,000mP・sであり、より好ましくは10~500mP・sであり、特に好ましくは30~200mP・sである。
[0032]
 滑剤(C)の200℃における溶融粘度が上記範囲内にあると、滑剤(C)が塩化ビニル系樹脂(A)に相溶しやすくなる。そのため、滑剤(C)が樹脂組成物中により均一に分散しやすくなり、より十分な透明性および耐熱性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物の成形加工性、具体的には混練性や射出成形等する際の成形加工性も良好になる。
[0033]
 要件(ii):JIS K2207に準拠して測定される軟化点が60~180℃である
 滑剤(C)の軟化点は、好ましくは100~160℃であり、より好ましくは110℃~150℃である。滑剤(C)の軟化点が上記範囲にあると、滑剤(C)が塩化ビニル系樹脂(A)に相溶しやすく、より均一に分散しやすくなる。そのため、より十分な耐衝撃性を有し、加工性に優れる樹脂組成物が得られる点で好ましい。
[0034]
 要件(iii):示差走査熱量計(DSC)で測定されるガラス転移温度(Tg)が0~100℃の範囲にある
 滑剤(C)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは20~95℃であり、より好ましくは40~90℃であり、更に好ましくは50~85℃である。滑剤(C)のガラス転移温度(Tg)が上記下限値以上であると樹脂組成物の耐熱性向上の点で好ましく、上記上限値以下であると樹脂組成物をコンパウンドする際の加工性の点で好ましい。
[0035]
 要件(iv):分子中にスチレン、α-メチルスチレン、インデン、ビニルトルエンおよびイソプロペニルトルエンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を50~100質量%含有する
[0036]
 上記群から選ばれる構造単位の含有量は、好ましくは60~100質量%であり、より好ましくは80~100質量%である。なお、滑剤(C)が上記群から選ばれる複数の構造単位を含む場合、上記含有量は、これらの合計量である。
[0037]
 滑剤(C)が分子中に上記の構造単位を有すると、塩化ビニル系樹脂(A)の流動性が良くなりゴム系衝撃改質材(B)が微分散しやすくなる。また滑剤(C)は殆ど結晶化しないため、非晶性樹脂である塩化ビニル系樹脂(A)の界面における光散乱が殆ど起きず透明性を保持する。更に分子中にスチレン、α-メチルスチレン、インデン、ビニルトルエンおよびイソプロペニルトルエンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を50~100質量%含有すると塩化ビニル系樹脂(A)との屈折率が近くなるため界面における光散乱が起きにくいため透明性を保持する。
[0038]
 各構造単位の含有率は、重合時の総モノマー供給量に対する各モノマーの供給量の割合から算出することができる。また、滑剤(C)のそれぞれの構造単位の含有率は、 13C-NMRスペクトルの解析にてエチレン由来のピークとスチレン由来のピークの量比より算出することができる。
[0039]
 なお、滑剤(C)は、以下の物性を満たすことも好ましい。
 滑剤(C)の密度勾配管法で測定した密度は、好ましくは900~1200kg/m であり、より好ましくは950~1150kg/m であり、さらに好ましくは1000~1130kg/m であり、特に好ましくは1010~1100kg/m である。密度が上記範囲にあると、滑剤(C)が塩化ビニル系樹脂(A)に相溶しやすく、より均一に分散しやすくなる。その結果、透明性に優れる樹脂組成物が得られる。
[0040]
 滑剤(C)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500~2500であり、より好ましくは600~2300である。さらに好ましくは700~2000である。また、重量平均分子量(Mw)は好ましくは800~4000であり、より好ましくは900~3800である。さらに好ましくは、1000~3500である。さらに、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は、好ましくは1.1~2.5であり、より好ましくは1.2~2.0である。さらに好ましくは1.3から1.9である。滑剤(C)の数平均分子量や重量平均分子量が上記範囲であると、樹脂組成物の流動性が向上し、成形加工性が高まる。
[0041]
 滑剤(C)のプロトン核磁気共鳴( H-NMR)により測定された不飽和度(全水素量における不飽和結合上の水素量)は、好ましくは0.10~0.80であり、より好ましくは0.15~0.60であり、さらに好ましくは0.18~0.40である。滑剤(C)の不飽和度が上記範囲であると、塩化ビニル系樹脂(A)とゴム系衝撃吸収材(B)と滑剤(C)との相容性が向上し、透明性が高まる。
[0042]
 (滑剤(C)の製造方法)
 滑剤(C)は公知の方法にて製造することができる。例えば、原料であるスチレン、α-メチルスチレン、インデン、ビニルトルエンおよびイソプロペニルトルエンからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを単独重合もしくは2種以上を共重合させる方法や、これらのモノマーとその他のモノマー(上記以外のビニル芳香族化合物や不飽和脂肪族化合物等)とを共重合させる方法等が挙げられる。
[0043]
 上記方法に用いられる、その他のモノマーであるビニル芳香族化合物としては、例えば、芳香環上に置換基を有する置換スチレン;芳香環上に置換基を有する置換α-メチルスチレン等のスチレン系モノマーが挙げられる。置換基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
[0044]
 置換スチレンの具体例として、メチルスチレン(α-メチルスチレンを除く)、エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロロスチレン、3,4-ジクロロスチレンを挙げることができる。
[0045]
 一方、その他のモノマーである不飽和脂肪族化合物としては、炭素数4~5の不飽和脂肪族炭化水素等を具体例として挙げることができる。炭素数4~5の不飽和脂肪族炭化水素としては、石油精製、分解時に副生する炭素数4~5の不飽和脂肪族炭化水素を主成分として含む、C 留分およびC 留分から選ばれる任意の化合物を使用できる。これらの化合物をスチレン等と併用することで、滑剤(C)の軟化点等の各物性を用途等に応じて調整することが可能である。
[0046]
 C 留分およびC 留分は、常圧下における沸点範囲が通常-15~+45℃の留分であって、1-ブテン、イソブテン、2-ブテン、1,3-ブタジエン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-ペンテン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、シクロペンタジエン等の重合性モノマーを含んでいる。上記不飽和脂肪族化合物として、C 留分およびC 留分から選ばれる任意の重合性モノマー用いることができるが、不飽和脂肪族化合物は、共役二重結合を有さない、もしくはその含有率が低いことが好ましい。具体的には、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、シクロペンタジエン等を含まない、もしくはその含有率が低いことが好ましい。
[0047]
 上記のような石油留分は、例えば、製油所等における原油等の常圧蒸留(トッピング)に際して副生するガス留分を含む軽質油留分;石油のクラッキング、リフォーミング処理工程において副生する同様な軽質油留分;または石油化学工場における石油ナフサ分解等において得られるガスを含む軽質油留分;等の石油留分からそのまま、または場合によっては蒸留、抽出、その他の処理を加えて所望の留分として得ることができる。
[0048]
 ここで、上記群から選ばれるモノマーの単独重合反応または共重合反応、および当該モノマーとその他のモノマーとの共重合反応等は、主としてカチオン重合、より具体的にはフリーデル-クラフツ触媒の存在下に行われる。フリーデル-クラフツ触媒としては、公知のフリーデル-クラフツ触媒が使用でき、具体的には塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ジクロロモノエチルアルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズ、三弗化ホウ素、三弗化ホウ素のエーテル錯体やフェノール錯体などの各種錯体等を挙げることができる。なかでも、三弗化ホウ素のフェノール錯体を用いることが好ましい。フリーデル-クラフツ触媒の使用量は、原料モノマーの合計100質量部に対して通常0.05~5質量部であり、好ましくは0.1~2質量部である。
[0049]
 重合反応は、重合反応時に生じる反応熱の除去、反応液粘度の抑制、分子量の調整等のため、原料である重合性モノマーの濃度が10~60質量%程度になるように溶媒を用いて行うことが好ましい。適当な溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素を挙げることができる。これらは一種単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
[0050]
 重合工程では、反応器内において原料である重合性モノマーを、上記触媒の存在下、上記溶媒中で重合反応させる。重合工程は1段で行うこともできるが、複数段に分けて行うことが好ましい。重合温度は原料組成や目的とする分子量領域等によって異なるが、通常-50~+50℃の範囲が好ましい。また反応時間は、通常10分~10時間の範囲が好ましい。重合終了後は、例えば塩基性水溶液またはメタノ-ル等のアルコールの様な塩基性化合物を用いて触媒を分解した後、水洗し、未反応の原料および溶媒等をストリッピングすることによって除き、目的の滑剤(C)を得る。
[0051]
 また、滑剤(C)は、粉体、タブレット、ブロック等の固形物であってもよく、溶媒中に分散したものや、溶解したものであってもよい。
[0052]
 4.その他の樹脂
 本発明の樹脂組成物は、上記(A)~(C)以外の樹脂を、本発明の効果を顕著に損ねない範囲でさらに含んでいても良い。上記他の樹脂の含有量には特に制限されないが、(A)100質量部に対して、0.1~30質量部程度であることが好ましい。
[0053]
 5.その他の添加剤
 本発明の樹脂組成物には、その他の添加剤としては、塩化ビニル系樹脂の分野において公知の添加剤が挙げられ、例えば、核剤、アンチブロッキング剤、繊維、充填剤、フィラー、顔料、染料、滑剤(上記(C)に該当しないもの)、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ防止剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、衝撃改良剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、加工助剤などが挙げられる。
[0054]
 これら添加剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて、特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、配合される添加剤それぞれについて、好ましくは0.05~70質量部程度である。上限は、より好ましくは30質量部である。
[0055]
 繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維、天然繊維(木粉、木質繊維、竹、綿花、セルロース、ナノセルロース系繊維等)、又は、農産物繊維(麦わら、麻、亜麻、ケナフ、カポック、ジュート、ラミー、サイザル麻、ヘネッケン、トウモロコシ繊維若しくはコイア、若しくは木の実の殻若しくはもみ殻等)が挙げられる。充填剤としては、リグニン、スターチ、及びその含有製品等が挙げられる。
[0056]
 ガラス繊維の種類は特に制限がないが、ロービングガラス、チョップドストランドガラス、ミルドガラスなどを用いることができる。また、これらは1種類でも、2種類以上を混合して用いてもよい。
[0057]
 フィラーとしては、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウムのような無定形フィラー、タルク、マイカ、あるいはガラスフレークなどの板状フィラー、ワラステナイト、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、あるいはホウ酸アルミニウムなどの針状フィラー、金属粉、金属フレークなどのフィラーなどが用いられる。その他ガラスビース、ガラス粉などが用いられる。これらフィラーは単体もしくは複数の組み合せで使用してもよいし、その表面に炭素被覆またはシランカップリング処理等を施したものを単体もしくは複数の組み合せとして使用してもよい。
[0058]
 顔料としては、無機含量(酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム等)、有機顔料(アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としてはアゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系等が挙げられる。これら顔料および染料の添加量は、特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、合計で、通常5質量部以下、好ましくは0.1~3質量部である。
[0059]
 滑剤としては、例えば、前記滑剤(C)以外のワックス(未変性のポリエチレンワックス、未変性のポリプロピレンワックス、ワセリン、トール油、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油、蜜ロウ、パラフィンワックス、流動パラフィン、カルナバロウワックス、モンタン酸ワックス、マイクロクリスタリンワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、およびその金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、そのエステル(ステアリン酸ブチル等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)、プロセスオイル、各種潤滑剤が挙げられる。潤滑剤としては、例えば、三井ハイワックス(三井化学製)が用いられる。上記滑材は、塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.05~5質量部の割合で用いられる。
[0060]
 可塑剤としては、例えば、芳香族カルボン酸エステル(フタル酸ジブチル等)、脂肪族カルボン酸エステル(メチルアセチルリシノレート等)、脂肪族ジアルボン酸エステル(アジピン酸-プロピレングリコール系ポリエステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸トリエチル等)、リン酸トリエステル(リン酸トリフェニル等)、エポキシ脂肪酸エステル(ステアリン酸エポキシブチル等)、石油樹脂が挙げられる。
[0061]
 酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が使用可能である。具体的には、フェノール系(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール等)、リン系(テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニレンジホスフォネート等)、イオウ系(チオジプロピオン酸ジラウリル等)、アミン系(N,N-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン等)、ラクトン系の酸化防止剤等が挙げられる。
[0062]
 難燃剤としては、例えば、有機系難燃剤(含窒素系、含硫黄系、含珪素系、含リン系等)、無機系難燃剤(三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、赤リン等)が挙げられる。
[0063]
 紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
[0064]
 抗菌剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素が挙げられる。
[0065]
 界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両面界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキル時ヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
[0066]
 帯電防止剤としては、例えば、上記の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリエーテルエステルアミドが挙げられる。
[0067]
 架橋剤としては、例えば、有機ペルオキシドが用いられる。有機ペルオキシドとしては、例えば、ジクミル有機ペルオキシド、ジ-tert-ブチル有機ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイル有機ペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイル有機ペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチル有機ペルオキシド、ラウロイル有機ペルオキシド、tert-ブチルクミル有機ペルオキシドが挙げられる。
[0068]
 これらの中では、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3,1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレートがより好適に用いられ、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンがさらに好適に用いられる。
[0069]
 有機ペルオキシドは、塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.05~10質量部の割合で用いられる。
[0070]
 有機ペルオキシドによる架橋処理に際し、架橋助剤として、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p’-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4-ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N’-m-フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
[0071]
 上記化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが好適に用いられる。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、重合体との相容性が良好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を有し、有機ペルオキシドの分散剤として働く。このため、均質な架橋効果が得られ、流動性と物性とのバランスのとれた動的熱処理物が得られる。上記架橋助剤は、塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.05~10質量部の割合で用いられる。
[0072]
 軟化剤としては、例えば、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤、ジイソドデシルカーボネート等の炭酸エステル系可塑剤などが挙げられる。
[0073]
 軟化剤の量は、特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、1~200質量部の量であることが好ましい。軟化剤は、樹脂組成物を調製する際に加工を容易にするとともにカーボンブラック等の分散を助ける。
[0074]
 6.物性等
 本発明の樹脂組成物のJIS K7210-1に準拠して温度200℃ 試験荷重5kgfで測定されたメルトフローレート(MFR)は、0.01~100g/10minであることが好ましく、より好ましくは0.1~95g/10minであり、さらに好ましくは1~90g/10min、特に好ましくは10~85g/10min、さらに好ましくは20~80g/10minである。樹脂組成物のMFRが上記範囲にあると、耐衝撃性、加工性と耐熱性のバランスに優れる。
[0075]
 本発明の樹脂組成物のヘーズメーターによる透明性(ヘイズ)は、25%/3mm以下であることが好ましく、より好ましくは23%/3mm以下であり、さらに好ましくは20%/3mm以下である。樹脂組成物の透明性が上記範囲にあると、パイプ継手にした場合に接着剤の塗布状態やパイプの接合状態の目視確認が容易になる。
[0076]
 本発明の樹脂組成物のASTM D256(A法)に準拠したIZOD衝撃強度は、20J/m以上であることが好ましく、より好ましくは25J/m以上であり、さらに好ましくは30J/m以上である。樹脂組成物の耐衝撃性が上記範囲にあると、耐衝撃性と加工性のバランスに優れる。
[0077]
 7.樹脂組成物の製法
 本発明の樹脂組成物は、任意の種々の方法を利用して、ドライブレンド、あるいは溶融ブレンドして製造することができる。具体的な方法としては、例えば、塩化ビニル系樹脂(A)、ゴム系衝撃吸収材(B)、滑剤(C)および他の任意成分を、同時にまたは任意の順序で、タンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、単軸或いは二軸の押出機などでブレンドする方法が適宜用いられる。あるいは、塩化ビニル系樹脂(A)、ゴム系衝撃吸収材(B)、滑剤(C)および他の任意成分を、一度、任意の溶媒に分散、あるいは溶解させた後に、自然乾燥や加熱強制乾燥等、適宜の方法で乾燥することにより、ブレンドしても良い。
[0078]
 B.成形体、パイプ
 本発明に係る成形体は、上記樹脂組成物から形成される。本発明に係る成形体は、上記樹脂組成物を従来公知の方法、例えば押出成形、圧縮成形、射出成形等により所望の形状に成形して得られる。本発明の成形体としては、パイプ、継ぎ手、平板、雨樋、サッシ、サイディング、シート、カード、ケーブル接続部品、フランジ用の成形体が挙げられるが、上記樹脂組成物は透明性に優れるため、特に、パイプ継手の製造に用いられることが好ましい。パイプ継手は一般的には射出成形により形成される。具体的なパイプ用途としては、消火用スプリンクラー用パイプ、給湯用パイプが挙げられる。
[0079]
 成形体の形状は特に限定されるものではないが、最小厚みが1mm以上である成形体に上記樹脂組成物を適用すると、成形体の透明性がより高くなり好ましい。
実施例
[0080]
 本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[0081]
 1.塩化ビニル系樹脂(A)
 塩化ビニル系樹脂(A)として、株式会社カネカ製H727(塩素含有率67質量%,ビカット軟化温度120℃,荷重たわみ温度107℃,密度1570kg/m )を用いた。なお、これらの物性はそれぞれ下記条件で測定した。
 <塩素含有率>
 ISO 1158に準拠し測定した。
 <ビカット軟化温度>
 ASTM D1525に準拠し測定した。
 <荷重たわみ温度>
 ASTM D648に準拠し測定した。
 <密度>
 JIS K7112(密度勾配管法)に準拠し測定した。
[0082]
 2.ゴム系衝撃吸収材(B)
 株式会社カネカ製カネエース(商品名)B513(MBS系ポリマー、ガラス転移温度-80℃、MFR20g/10分、密度1000kg/m )を用いた。なお、これらの物性はそれぞれ下記条件で測定した。
[0083]
 <ガラス転移温度>
 示差走査熱量計(DSC)で測定した。
 測定方法は以下のとおりである。インジウム標準にて較正したSII社製示差走査型熱量計(X-DSC7000)を用いる。約10mgになるようにアルミニウム製DSCパン上に測定サンプルを秤量する。蓋をパンにクリンプして密閉雰囲気下とし、サンプルパンを得る。 サンプルパンをDSCセルに配置し、リファレンスとして空のアルミニウムパンを配置する。DSCセルを窒素雰囲気下にて30℃(室温)から、150℃まで10℃/分で昇温する(第一昇温過程)。次いで、150℃で5分間保持した後、10℃/分で降温し、DSCセルを-100℃まで冷却する(降温過程)。降温過程で得られるエンタルピー曲線の変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)での接線と温度を保持していたときの吸熱量との交点をガラス転移点(Tg)とする。
[0084]
 <MFR>
 ISO 1133(温度200℃,荷重5kg)に準拠し測定した。
 <密度>
 JIS K7112(密度勾配管法)に準拠し測定した。
[0085]
 3.滑剤(C)
 滑剤(C)として、表1に示すC1~C3およびW1を使用した。それぞれの製造方法を製造例の項に後述する。また、下記方法により分析した結果を表1に示す。
[0086]
[表1]


[0087]
 表1中、「-」はデータなしを意味する。IPTはイソプロペニルトルエン、INDはインデン、C2はエチレン、C3はプロピレン、あるいは各々に由来する構造単位を意味する。
[0088]
 <重合体の組成>
 滑剤C1~C3を構成する各構造単位の含有割合(質量比)については、重合時の総モノマー供給量に対する各成分の供給量から求めた。一方、重合体W1を構成する各構造単位の量(エチレンおよびプロピレンの組成比)については、以下の条件で測定した、 13C-NMRスペクトルの解析により求めた。
[0089]
 < 13C-NMRの測定条件>
 装置:ブルカーバイオスピン社製AVANCEIII cryo-500型核磁気共鳴装置
 測定核: 13C(125MHz)
 測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
 パルス幅:45°(5.00μ秒)
 ポイント数:64k
 測定範囲:250ppm(-55~195ppm)
 繰り返し時間:5.5秒
 積算回数:128回
 測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/ベンゼン-d 6(4/1(体積比))
 試料濃度:60mg/0.6mL
 測定温度:120℃
 ウインドウ関数:exponential(BF:1.0Hz)
 ケミカルシフト基準:δδシグナル29.73ppm 
[0090]
 <数平均分子量(Mn)>
 C1~C3については、数平均分子量(Mn)を、GPC測定から求めた。測定は以下の条件で行った。そして、市販の単分散標準ポリスチレンを用いた検量線から、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を求め、Mw/Mnを算出した。
  装置:GPC HLC-8320(東ソー株式会社製)
  溶剤:テトラヒドロフラン
  カラム:TSKgel G7000×1、TSKgel G4000×2、TSKgel G2000×1(何れも東ソー社製)
  流速:1.0ml/分
  試料:20mg/mL テトラヒドロフラン溶液
  温度:室温
[0091]
 一方、W1についても、数平均分子量Mnを、GPC測定から求めた。測定は以下の条件で行った。そして、市販の単分散標準ポリスチレンを用いた検量線から、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を求め、Mw/Mnを算出した。
  装置:ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC2000型(Waters社製)
  溶剤:o-ジクロロベンゼン
  カラム:TSKgel GMH6-HT×2、TSKgel GMH6-HTLカラム×2(何れも東ソー社製)
  流速:1.0ml/分
  試料:0.15mg/mL o-ジクロロベンゼン溶液
  温度:140℃
[0092]
 <密度>
 JIS K7112(密度勾配管法)に準拠し測定した。
[0093]
 <酸価>
 JIS K5902に準拠し測定した。なお、酸価11mgKOH/gが、極性基の含有率1質量%に換算される。
[0094]
 <軟化点>
 JIS K2207に準拠し測定した。
[0095]
 <ガラス転移温度(Tg)>
 200℃まで昇温させた試料を10℃/分の速度で-20℃まで冷却結晶化させ、10℃/分の速度で再び昇温させた際のDSC曲線をJIS K7121に準拠して解析し、ガラス転位温度を求めた。
[0096]
 <溶融粘度>
 ブルックフィールド社製のB型デジタル粘度計を使用し、サンプル量約8g、C1~C3については測定温度200℃、W1については測定温度140℃で測定した。
[0097]
 <不飽和度>
  H-NMR測定により次のようにして算出した。サンプル約0.10gを重水素化クロロホルム3.0mlに溶解させた。この溶液をグラスフィルターで濾過した後、内径10mmのNMRチューブに装入した。そして日本電子製ECX400P型核磁気共鳴装置を用い、50℃で H-NMR(積算回数は128回、ケミカルシフト基準はクロロホルム7.24ppm)を測定した。スペクトルから不飽和結合上の水素量は6.0~8.0ppm、飽和結合上の水素量は0.0~4.0ppmの積分強度比により不飽和度を算出した。
[0098]
 [製造例1](C1(イソプロペニルトルエン・C 留分共重合体)の製造)
 攪拌翼を備えた実容量1270mlのオートクレーブの1段目に、イソプロペニルトルエン、石油ナフサの熱分解によって得られるC 留分、および脱水精製したトルエンの混合物(モノマーの合計/トルエン=1/1(容量比))と、脱水精製したトルエンで10倍に希釈したボロントリフロライドフェノラート錯体(フェノール1.7倍当量)と、を連続的に供給し、5℃で重合反応させた。イソプロペニルトルエンとC 留分との質量比(イソプロペニルトルエン/C 留分)は90/10とし、モノマーおよびトルエンの混合物の供給量は1.0リットル/時間、希釈した触媒の供給量は80ミリリットル/時間とした。
 当該反応混合物を2段目のオートクレーブに移送し、5℃で重合反応を続けさせた。そして、1段目と2段目のオートクレーブ中での合計滞留時間が1.8時間になった時点で、連続的に反応混合物をオートクレーブから排出し、滞留時間の3倍の時間(5.4時間)が経過した時点で1リットルの反応混合物を採取して重合反応を終了させた。重合終了後、採取した反応混合物に1規定のNaOH水溶液を添加し、触媒残さを脱灰させた。さらに、得られた反応混合物を多量の水で5回洗浄した後、エバポレーターで溶媒および未反応モノマーを減圧留去して、イソプロペニルトルエン・C 留分共重合体(C1)を得た。
[0099]
 [製造例2](C2(イソプロペニルトルエン重合体)の製造)
 攪拌翼を備えた実容量1270mlのオートクレーブの1段目に、イソプロペニルトルエン、および脱水精製したトルエンの混合物(モノマーの合計/トルエン=1/1(容量比))と、脱水精製したトルエンで10倍に希釈したボロントリフロライドフェノラート錯体(フェノール1.7倍当量)と、を連続的に供給し、5℃で重合反応させた。モノマーおよびトルエンの混合物の供給量は1.0リットル/時間、希釈した触媒の供給量は80ミリリットル/時間とした。
 当該反応混合物を2段目のオートクレーブに移送し、5℃で重合反応を続けさせた。そして、1段目と2段目のオートクレーブ中での合計滞留時間が2時間になった時点で、連続的に反応混合物をオートクレーブから排出し、滞留時間の3倍の時間(6時間)が経過した時点で1リットルの反応混合物を採取して重合反応を終了させた。重合終了後、採取した反応混合物に1規定のNaOH水溶液を添加し、触媒残さを脱灰させた。さらに、得られた反応混合物を多量の水で5回洗浄した後、エバポレーターで溶媒および未反応モノマーを減圧留去して、イソプロペニルトルエン重合体(C2)を得た。
[0100]
 [製造例3](C3(イソプロペニルトルエン・インデン共重合体)の製造)
 攪拌翼を備えた実容量1270mlのオートクレーブの1段目に、イソプロペニルトルエン(IPT)と、インデン(IND)および脱水精製したトルエンの混合物(容量比:モノマーの合計/トルエン=1/1)と、脱水精製したトルエンで10倍希釈したボロントリフロライドフェノラート錯体(フェノール1.6倍当量)とを連続的に供給し、5℃で重合反応させた。イソプロペニルトルエン(IPT)とインデン(IND)との質量比(IPT/IND)は55/45とし、モノマーおよびトルエンの混合物の供給量は1.0リットル/時間、希釈した触媒の供給量は75ミリリットル/時間とした。
[0101]
 当該反応混合物を2段目のオートクレーブに移送し、5℃で重合反応を続けさせた。その後、1段目と2段目のオートクレーブ中での合計滞留時間が2時間になった時点で、連続的に反応混合物をオートクレーブから排出し、滞留時間の3倍となった時点で1リットルの反応混合物を採取して、重合反応を終了させた。重合終了後、採取した反応混合物に1規定のNaOH水溶液を添加し、触媒残さを脱灰した。さらに、得られた反応混合物を多量の水で5回洗浄した後、エバポレーターで溶媒および未反応モノマーを減圧留去して、イソプロペニルトルエン・インデン共重合体(C3)を得た。
[0102]
 [製造例4](変性オレフィンワックスW1の製造)
 1.触媒の調製
 内容積1.5リットルのガラス製オートクレーブにおいて、市販の無水塩化マグネシウム25gをヘキサン500mlで懸濁させた。これを30℃に保ち撹拌しながらエタノール 92mlを1時間で滴下し、さらに1時間反応させた。反応終了後、ジエチルアルミニウムモノクロリド93mlを1時間で滴下し、さらに1時間反応させた。反応終了後、四塩化チタン90mlを滴下し、反応容器を80℃に昇温して1時間反応させた。反応終了後、固体部をデカンテーションにより遊離のチタンが検出されなくなるまでヘキサンで洗浄した。このものをヘキサン懸濁液としてチタン濃度を滴定により定量し、以下の実験に供した。
[0103]
 2.エチレン・プロピレン共重合体(未変性オレフィンワックスc1)の製造
 充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン930mlおよびプロピレン70mlを装入し、水素を20.0kg/cm 2(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を170℃に昇温した後、トリエチルアルミニウム0.1ミリモル、エチルアルミニウムセスキクロリド0.4ミリモル、上記得られた固体のヘキサン懸濁液を、チタン成分の量が原子換算で0.008ミリモルとなるようにエチレンで圧入することにより重合を開始した。
[0104]
 その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を40kg/cm 2(ゲージ圧)に保ち、170℃で40分間重合を行った。
[0105]
 少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびプロピレンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥しエチレン・プロピレン共重合体を得た。
[0106]
 3.酸変性
 未変性オレフィンワックス(c1)500gをガラス製反応器に仕込み、窒素雰囲気下160℃にて溶融した。次いで、無水マレイン酸30g及びジ-t-ブチルペルオキシド(以下DTBPOと略す)3gとを上記反応系(温度160℃)に5時間かけて連続供給した。その後、さらに1時間加熱反応させた後、溶融状態のまま10mmHg真空中で0.5時間脱気処理して揮発分を除去し、その後冷却し、変性オレフィンワックスW1を得た。
[0107]
 [実施例1~5、比較例1、2]
 (樹脂組成物の作製)
 塩化ビニル系樹脂(A)(塩素化塩化ビニル)100質量部に対して、ゴム系衝撃吸収材(B)(MBS)、各種滑材、および安定剤として、日東化成株式会社製AT-1000(メルカプト錫系安定剤)を表2に示す質量比率でポリ袋内に一括投入しドライブレンドした。ただし比較例1は、滑剤を配合しなかった。
[0108]
 180℃に加熱した二本ロール(DY6-15型使用,ロールクリアランス0.7mm)を用いて、前記樹脂組成物200gを5分間かけて混練した。その後、シート状で回収した前記樹脂組成物を、加熱プレス(70トンプレス使用,設定温度195℃,予熱時間5分,加圧時間40秒,圧力15MPa)および冷却プレス(30トンプレス使用,冷却時間2分,圧力15MPa)を用いて200mm×200mm×T3mmの板状に圧縮成形した。IZOD衝撃試験片(ノッチつき)は切削加工により作成した。
[0109]
 (樹脂組成物の評価)
 得られた樹脂組成物は、以下の方法で評価した。結果を表2に記載する。
[0110]
 <透明性(ヘイズ)>
 樹脂組成物を圧縮成型したT3mmの試験片をヘーズメーター(日本電色工業株式会社製,NDH2000型)を用いて透明性(ヘイズ)を測定した。
[0111]
 <耐熱性>
 二本ロールで樹脂組成物を5分間混練した後の着色程度を目視にて確認し、以下のように評価した。
 1:混練開始直後と比べて、殆ど黄変なし
 2:混練開始直後と比べて、やや黄変あり
 3:混練開始直後と比べて、酷く黄変あり
[0112]
 <耐衝撃性>
 ASTM D256(A法)に準拠しIZOD衝撃強度を測定した。
[0113]
[表2]


[0114]
 実施例1~5は比較例1、2に比べてヘイズが小さく透明性に優れることがわかる。滑剤(C)として200℃における溶融粘度がより好ましい範囲にあるC1あるいはC2を用いた実施例1~4は実施例5に比べて耐熱性にも優れている。溶融粘度がより好ましい範囲にあることにより、塩化ビニル系樹脂(A)の熱分解を抑制する効果がより高かったものと推測される。
[0115]
 本出願は、2017年2月3日出願の日本国出願番号2017-018924号に基づく優先権を主張する出願であり、当該出願の特許請求の範囲および明細書に記載された内容は本出願に援用される。

産業上の利用可能性

[0116]
 本発明の樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂が有する優れた耐衝撃性に加え、透明性に優れており、特にパイプ継手などの用途に好適に用いることができる。

請求の範囲

[請求項1]
 塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、ゴム系衝撃吸収材(B)3~15質量部、滑剤(C)0.1~10質量部を含み、下記要件(I)~(III)を満たす樹脂組成物。
 (I)塩化ビニル系樹脂(A)の塩素含有率が55~75質量%である
 (II)ゴム系衝撃吸収材(B)の示差走査熱量測定(DSC)におけるガラス転移温度(Tg)が0℃以下である
 (III)滑剤(C)が下記要件(i)~(iv)を満たす
 (i)200℃における溶融粘度が5~5,000mP・sである
 (ii)軟化点が60~180℃の範囲にある
 (iii)示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が0~100℃の範囲にある
 (iv)分子中に、スチレン、α-メチルスチレン、インデン、ビニルトルエン、およびイソプロペニルトルエンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を50~100質量%含有する
[請求項2]
 前記要件(I)において、塩化ビニル系樹脂(A)の塩素含有率が60~75質量%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
[請求項3]
 前記ゴム系衝撃吸収材(B)がブタジエンゴム,アクリルゴム,シリコンゴムから選ばれるゴム成分を含有する請求項1または2に記載の樹脂組成物。
[請求項4]
 前記滑剤(C)の含有量が、前記塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して0.1~3質量部である、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[請求項5]
 前記滑剤(C)の要件(i)において、200℃における溶融粘度が5~2,000mP・sである、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[請求項6]
 前記塩化ビニル系樹脂(A)の密度と前記滑剤(C)の密度の比((A)/(C))が1.70以下であり、且つ前記ゴム系衝撃吸収材(B)の密度と前記滑剤(C)の密度の比((B)/(C))が1.05以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[請求項7]
 請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物から形成される成形体。
[請求項8]
 射出成形体である、請求項7に記載の成形体。
[請求項9]
 パイプ継手である、請求項7または8に記載の成形体。
[請求項10]
 最小厚みが1mm以上である、請求項7~9のいずれか一項に記載の成形体。