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1. WO2018142899 - AUTONOMOUSLY TRAVELING WORKING VEHICLE

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明 細 書

発明の名称 自律走行作業車両

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

課題を解決するための手段及び効果

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106  

符号の説明

0107  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 自律走行作業車両

技術分野

[0001]
 本発明は、予め定められた作業領域と非作業領域を走行して作業機による作業を行うことが可能な自律走行作業車両に関する。

背景技術

[0002]
 従来から、衛星測位システムを利用して自律走行可能に構成された作業車両が知られている。特許文献1は、この種の作業車両を開示する。
[0003]
 特許文献1に開示される農業用作業車両は、方位センサとGPS受信装置とに基づいて車体を自律走行させ、車体に装備される作業機の下げ動作を記憶する作業機昇降位置センサを設け、作業機の目標耕耘開始位置と下げ動作の終了位置を一致させるように構成されている。特許文献1は、この構成により、残耕等の発生のない良好な耕耘作業を容易に可能とさせるとする。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2002-354905号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかし、上記特許文献1の構成は、作業機の下げ動作については考慮されているが、作業機の上げ動作については十分に考慮されていない。
[0006]
 従って、従来の構成では、ある領域を所定の方向で往復しながら作業機での作業を行う経路が設定されている場合において、作業車両をある方向に走行させる行程と、逆向きに走行させる行程と、の間で、所定の深さで耕耘作業が行われる区間の端部にズレが生じる場合があり、より見栄えの良い仕上がりを実現する観点から改善の余地が残されていた。
[0007]
 本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、自律走行作業車両において、作業機で作業体が実際に作業を行う位置を考慮して、作業体が作業を行う状態と、そうでない状態とを良好に切換制御することにある。

課題を解決するための手段及び効果

[0008]
 本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
[0009]
 本発明の観点によれば、以下の構成の自律走行作業車両が提供される。即ち、この自律走行作業車両は、車体部と、自律走行制御部と、作業機と、測位アンテナと、位置情報取得部と、距離取得部と、領域記憶部と、作業体制御部と、を備える。前記自律走行制御部は、前記車体部の自律走行を制御する。前記作業機は、作業に用いられる作業体を有し、前記車体部に装着される。前記測位アンテナは、前記車体部に取り付けられて測位システムからの測位信号を受信する。前記位置情報取得部は、前記測位信号に基づいて前記測位アンテナの位置情報を取得可能である。前記距離取得部は、前記車体部における前記測位アンテナの取付位置と前記作業機における前記作業体の作業中心位置との水平距離を取得する。前記領域記憶部は、前記作業機による作業が行われる作業領域と前記作業機による作業が行われない非作業領域を記憶する。前記作業体制御部は、前記作業体を作業状態と非作業状態とに切り換える制御が可能である。前記自律走行制御部は、前記車体部が作業領域から非作業領域に移動する場合は、前記作業中心位置が前記作業領域と前記非作業領域との境界を越えたときに前記作業体が非作業状態であるように前記作業体制御部に前記作業体を切換制御させる。前記自律走行制御部は、前記車体部が非作業領域から作業領域に移動する場合は、前記作業中心位置が前記境界を越えたときに前記作業体が作業状態であるように前記作業体制御部に前記作業体を切換制御させる。
[0010]
 これにより、作業機において作業体が実際に作用する部分の中心である作業中心位置を制御の基準として用いることにより、車体部が走行しながら作業体によって実際に作業が行われる領域の端を、作業領域と非作業領域との境界と一致するように容易に制御することができ、見栄えの良い仕上がりを実現することができる。また、車体部に装着する作業機(作業体)を他のものに変更した場合でも、それに対応して作業中心位置を変更することで、作業体の状態を適切なタイミングで切り換えることができる。
[0011]
 前記の自律走行作業車両においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記自律走行制御部は、前記作業体について非作業状態から作業状態へ切換を開始してから当該切換が完了するのに要する切換時間を取得する。前記自律走行制御部は、前記車体部が非作業領域から作業領域に移動する場合に、前記作業中心位置が前記境界に至る到達タイミングと前記切換時間とに基づいて、前記作業体が非作業状態から作業状態への切換を開始するタイミングを求め、当該タイミングで前記切換を開始するように前記作業体制御部に前記作業体を切換制御させる。
[0012]
 これにより、切換に必要な時間を見込んで作業体の状態の切換を開始することができるので、作業体によって実際に作業が行われる領域の位置ズレを防止することができる。
[0013]
 前記の自律走行作業車両においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記作業体制御部は、前記自律走行制御部から出力される制御信号に基づいて前記作業体の状態を切り換えるように構成される。前記作業体制御部は、前記作業体の非作業状態から作業状態への切換を指示する第1制御信号が前記自律走行制御部から入力された場合に、第1時間待機した後に作業体の状態の切換を開始する。前記作業体制御部は、前記作業体の作業状態から非作業状態への切換を指示する第2制御信号が前記自律走行制御部から入力された場合に、第2時間待機した後に作業体の状態の切換を開始する。前記自律走行制御部は、前記車体部が非作業領域から作業領域に移動する場合に前記第1時間に基づくタイミングで前記第1制御信号を出力し、前記車体部が作業領域から非作業領域に移動する場合に前記第2時間に基づくタイミングで前記第2制御信号を出力する。
[0014]
 これにより、各制御信号に基づく制御の実質的な時間遅れを考慮して、自律走行制御部が第1制御信号及び第2制御信号を出力するので、作業体によって実際に作業が開始又は終了する地点を、作業領域と非作業領域との境界と精度良く一致させることができる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 本発明の一実施形態に係るロボットトラクタにおいて、装着された作業機が非作業高さで支持されている状態を示す側面図。
[図2] ロボットトラクタの平面図。
[図3] ユーザにより操作され、ロボットトラクタと無線通信することが可能な無線通信端末を示す図。
[図4] ロボットトラクタ及び無線通信端末の主要な電気的構成を示すブロック図。
[図5] 経路生成システムが生成する経路である自律走行経路の例を示す模式図。
[図6] 図1の状態から作業機が下降し、作業高さで支持されている状態を示す側面図。
[図7] 自律走行制御部及び作業機制御部が作業機を下降させる場合の制御タイミングの関係を説明する図。
[図8] 自律走行制御部及び作業機制御部が作業機を上昇させる場合の制御タイミングの関係を説明する図。

発明を実施するための形態

[0016]
 次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下では、図面の各図において同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略することがある。また、同一の符号に対応する部材等の名称が、簡略的に言い換えられたり、上位概念又は下位概念の名称で言い換えられたりすることがある。
[0017]
 本発明は、予め定められた圃場内で1台又は複数台で走行して、圃場内における農作業の全部又は一部を行うことが可能な作業車両に関する。本実施形態では、作業車両としてトラクタを例に説明するが、作業車両としては、トラクタの他、田植機、コンバイン、土木・建設作業装置、除雪車等、乗用型作業機に加え、歩行型作業機も含まれる。本明細書において自律走行とは、トラクタが備える制御部(ECU)によりトラクタが備える走行に関する構成が制御されて、予め定められた経路に沿ってトラクタが走行することを意味し、自律作業とは、トラクタが備える制御部によりトラクタが備える作業に関する構成が制御されて、予め定められた経路に沿ってトラクタが作業を行うことを意味する。これに対して、手動走行・手動作業とは、トラクタが備える各構成がユーザにより操作され、走行・作業が行われることを意味する。
[0018]
 以下の説明では、自律走行・自律作業が行われるトラクタを「無人(の)トラクタ」又は「ロボットトラクタ」と称することがあり、手動走行・手動作業が行われるトラクタを「有人(の)トラクタ」と称することがある。
[0019]
 圃場内において農作業の一部が無人トラクタにより実行される場合、残りの農作業は有人トラクタにより実行される。単一の圃場における農作業を無人トラクタ及び有人トラクタで行うことを、農作業の協調作業、追従作業、随伴作業等と称することがある。なお、農作業の協調作業としては、「単一の圃場における農作業を無人車両及び有人車両で実行すること」に加え、「隣接する圃場等の異なる圃場における農作業を同時期に無人車両及び有人車両が実行すること」が含まれていてもよい。
[0020]
 本実施形態において無人トラクタと有人トラクタの違いは、ユーザによる操作の有無であり、各構成は基本的に共通である。即ち、無人トラクタであってもユーザが搭乗(乗車)して有人トラクタとして使用することができ、また、有人トラクタであってもユーザが降車して無人トラクタとして使用することができる。
[0021]
 ただし、自律走行・自律作業には、トラクタにユーザが搭乗して行われる場合と、搭乗しないで行われる場合と、が含まれる。一方、手動走行・手動作業を行う場合、トラクタにユーザが搭乗することになる。
[0022]
 次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るロボットトラクタ1の全体的な構成を示す側面図である。図2は、ロボットトラクタ1の平面図である。図3は、ユーザにより操作され、ロボットトラクタ1と無線通信することが可能な無線通信端末46を示す図である。図4は、ロボットトラクタ1及び無線通信端末46の主要な電気的構成を示すブロック図である。
[0023]
 本発明の一実施形態に係るロボットトラクタ1は、経路生成システム99が生成した自律走行経路(経路)に従って自律走行・自律作業を行うように構成されている。なお、生成される自律走行経路の詳細は後述する。本実施形態では、経路生成システム99の主要な構成は、ロボットトラクタ1と無線通信するための無線通信端末46に備えられる。
[0024]
 初めに、ロボットトラクタ(以下、単に「トラクタ」と称する場合がある。)1について、主として図1及び図2を参照して説明する。
[0025]
 トラクタ1は、圃場内を自律走行する車体部としての走行機体2を備える。走行機体2には、例えば、耕耘機(管理機)、プラウ、施肥機、草刈機、播種機等の種々の作業機を選択して装着することができるが、本実施形態においては、作業機3としてロータリ耕耘機が装着されている。
[0026]
 経路生成システム99は、図1及び図3に示すように、ユーザが携帯可能な無線通信端末46を備えている。無線通信端末46は、トラクタ1と無線通信することにより、トラクタ1に各種の指示等を行うことができる。
[0027]
 以下、トラクタ1の構成をより詳細に説明する。トラクタ1の走行機体2は、図1に示すように、その前部が左右1対の前輪7,7で支持され、その後部が左右1対の後輪8,8で支持されている。
[0028]
 走行機体2の前部にはボンネット9が配置されている。本実施形態では、このボンネット9内に、トラクタ1の駆動源であるエンジン10や図略の燃料タンク等が収容されている。このエンジン10は、例えばディーゼルエンジンにより構成することができるが、これに限るものではなく、例えばガソリンエンジンにより構成してもよい。また、駆動源としてエンジン10に加えて、又は代えて電気モータを採用してもよい。更に、前記燃料タンクはボンネット9の外部に配置されてもよい。
[0029]
 ボンネット9の後方には、ユーザが搭乗するためのキャビン11が配置されている。このキャビン11の内部には、ユーザが操向操作するためのステアリングハンドル12と、ユーザが着座可能な座席13と、各種の操作を行うための様々な操作装置と、が主として設けられている。ただし、作業車両は、キャビン11付きのものに限られず、キャビン11を備えない構成であってもよい。
[0030]
 上記の操作装置としては、図2に示すモニタ装置14、スロットルレバー15、主変速レバー27、複数の油圧操作レバー16、PTOスイッチ17、PTO変速レバー18、副変速レバー19、及び作業機昇降スイッチ28等を例として挙げることができる。これらの操作装置は、座席13の近傍、又はステアリングハンドル12の近傍に配置されている。
[0031]
 モニタ装置14は、トラクタ1の様々な情報を表示可能に構成されている。スロットルレバー15は、エンジン10の出力回転数を設定するための操作具である。主変速レバー27は、トラクタ1の走行速度を無段階で変更するための操作具である。油圧操作レバー16は、図略の油圧外部取出バルブを切換操作するための操作具である。PTOスイッチ17は、トランスミッション22の後端から突出した図略のPTO軸(動力伝達軸)への動力の伝達/遮断を切換操作するための操作具である。PTO変速レバー18は、PTO軸の回転速度の変速操作を行うための操作具である。副変速レバー19は、トランスミッション22内の走行副変速ギア機構の変速比を切り換えるための操作具である。作業機昇降スイッチ28は、走行機体2に装着された作業機3の高さを所定範囲内で昇降操作するための操作具である。
[0032]
 図1に示すように、走行機体2の下部には、トラクタ1のシャーシ20が設けられている。当該シャーシ20は、機体フレーム21、トランスミッション22、フロントアクスル23、及びリアアクスル24等から構成されている。
[0033]
 機体フレーム21は、トラクタ1の前部における支持部材であって、直接、又は防振部材等を介してエンジン10を支持している。トランスミッション22は、エンジン10からの動力を変化させてフロントアクスル23及びリアアクスル24に伝達する。フロントアクスル23は、トランスミッション22から入力された動力を前輪7に伝達するように構成されている。リアアクスル24は、トランスミッション22から入力された動力を後輪8に伝達するように構成されている。
[0034]
 図4に示すように、トラクタ1は、走行機体2の動作(前進、後進、停止及び旋回等)、及び作業機3の動作(昇降、駆動及び停止等)を制御するための制御部4を備える。制御部4は、図示しないCPU、ROM、RAM、I/O等を備えて構成されており、CPUは、各種プログラム等をROMから読み出して実行することができる。ROMには、オペレーションプログラムやアプリケーションプログラムや各種データが記憶されている。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、制御部4を、記憶部55、自律走行制御部32、及び作業機制御部(作業体制御部)34等として動作させることができる。これと併せて測位アンテナ6等の各種の構成をトラクタに設けることにより、このトラクタをロボットトラクタ1として利用することが可能となる。
[0035]
 制御部4には、トラクタ1が備える各構成(例えば、エンジン10等)を制御するためのコントローラ、及び、他の無線通信機器と無線通信可能な無線通信部40等がそれぞれ電気的に接続されている。
[0036]
 上記のコントローラとして、トラクタ1は少なくとも、図略のエンジンコントローラ、車速コントローラ、操向コントローラ、昇降コントローラ及びPTOコントローラを備える。それぞれのコントローラは、制御部4からの電気信号に応じて、トラクタ1の各構成を制御することができる。
[0037]
 エンジンコントローラは、エンジン10の回転数等を制御するものである。具体的には、エンジン10には、当該エンジン10の回転数を変更させる図略のアクチュエータを備えたガバナ装置41が設けられている。エンジンコントローラは、ガバナ装置41を制御することで、エンジン10の回転数を制御することができる。また、エンジン10には、エンジン10の燃焼室内に噴射(供給)するための燃料の噴射時期・噴射量を調整する燃料噴射装置が付設されている。エンジンコントローラは、燃料噴射装置を制御することで、例えばエンジン10への燃料の供給を停止させ、エンジン10の駆動を停止させることができる。
[0038]
 車速コントローラは、トラクタ1の車速を制御するものである。具体的には、トランスミッション22には、例えば可動斜板式の油圧式無段変速装置である変速装置42が設けられている。車速コントローラは、変速装置42の斜板の角度を図略のアクチュエータによって変更することで、トランスミッション22の変速比を変更し、所望の車速を実現することができる。
[0039]
 操向コントローラは、ステアリングハンドル12の回動角度を制御するものである。具体的には、ステアリングハンドル12の回転軸(ステアリングシャフト)の中途部には、操向アクチュエータ43が設けられている。この構成で、予め定められた経路をトラクタ1が(無人トラクタとして)走行する場合、制御部4は、当該経路に沿ってトラクタ1が走行するようにステアリングハンドル12の適切な回動角度を計算し、得られた回動角度となるように操向コントローラに制御信号を送信する。操向コントローラは、制御部4から入力された制御信号に基づいて操向アクチュエータ43を駆動し、ステアリングハンドル12の回動角度を制御する。なお、操向コントローラはステアリングハンドル12の回動角度を調整するものではなくトラクタ1の前輪7の操舵角を調整するものであってもよい。その場合、旋回走行を行ったとしてもステアリングハンドル12は回動しない。
[0040]
 昇降コントローラは、作業機3の昇降を制御するものである。具体的には、トラクタ1は、作業機3を走行機体2に連結している3点リンク機構の近傍に、公知の油圧式のリフトシリンダからなる昇降アクチュエータ44を備えている。この構成で、昇降コントローラは、制御部4から入力された制御信号に基づいて図略の電磁弁を開閉することによりリフトシリンダを駆動し、作業機3を適宜に昇降駆動させる。リフトシリンダは単動式とされており、シリンダに作動油を供給することで作業機3を上昇させ、シリンダから作動油を排出することで作業機3が自重で下降するように構成されている。図示しないが、シリンダからの作動油の排出経路には公知の下降速度調整弁が配置されており、作業機3が下降する場合の速度をユーザが調整できるように構成されている。
[0041]
 上記の構成の昇降コントローラにより、作業機3を、作業を行わない非作業高さ、及び、作業を行う作業高さ等の所望の高さで支持することができる。なお、本実施形態において走行機体2に装着されている作業機3はロータリ耕耘機として構成されているので、作業機3による作業は耕耘作業を意味する。
[0042]
 PTOコントローラは、前記PTO軸の回転を制御するものである。具体的には、トラクタ1は、PTO軸(動力伝達軸)への動力の伝達/遮断を切り換えるためのPTOクラッチ45を備えている。この構成で、PTOコントローラは、制御部4から入力された制御信号に基づいてPTOクラッチ45を切り換えて、PTO軸を介して作業機3を回転駆動したり停止させたりすることができる。
[0043]
 なお、上述した図略の複数のコントローラは、制御部4から入力される信号に基づいてエンジン10等の各部を制御していることから、制御部4が実質的に各部を制御していると把握することができる。
[0044]
 上述のような制御部4を備えるトラクタ1は、ユーザがキャビン11内に搭乗して各種操作をすることにより、当該制御部4によりトラクタ1の各部(走行機体2、作業機3等)を制御して、圃場内を走行しながら農作業を行うことができるように構成されている。加えて、本実施形態のトラクタ1は、ユーザがトラクタ1に搭乗しなくても、無線通信端末46により出力される種々の制御信号により自律走行及び自律作業させることが可能となっている。
[0045]
 具体的には、図4等に示すように、トラクタ1は、自律走行・自律作業を可能とするための各種の構成を備えている。例えば、トラクタ1は、測位システムに基づいて自ら(走行機体2)の位置情報を取得するために必要な測位アンテナ6等を備えている。このような構成により、トラクタ1は、測位システムに基づいて自らの位置情報を取得して圃場上(特定領域内)を自律的に走行することが可能となっている。
[0046]
 次に、自律走行を可能とするためにトラクタ1が備える構成について、図4等を参照して詳細に説明する。具体的には、本実施形態のトラクタ1は、前述の制御部4のほか、測位アンテナ6、無線通信用アンテナ48、及び各種センサを備える。
[0047]
 測位アンテナ6は、例えば衛星測位システム(GNSS)等の測位システムを構成する測位衛星からの信号を受信するものである。図1に示すように、測位アンテナ6は、トラクタ1のキャビン11が備えるルーフ5の上面に取り付けられている。測位アンテナ6で受信された測位信号は、図4に示す位置情報算出部(位置情報取得部)49に入力される。位置情報算出部49は、トラクタ1の走行機体2(厳密には測位アンテナ6)の位置情報を、例えば緯度・経度情報として算出する。当該位置情報算出部49で取得された位置情報は、制御部4による自律走行に利用される。
[0048]
 なお、本実施形態ではGNSS-RTK法を利用した高精度の衛星測位システムが用いられているが、これに限られるものではなく、他の測位システムを用いてもよい。例えば、相対測位方式(DGPS)、又は静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)を使用することが考えられる。
[0049]
 無線通信用アンテナ48は、ユーザが操作する無線通信端末46からの信号を受信したり、無線通信端末46への信号を送信したりするものである。図1に示すように、無線通信用アンテナ48は、トラクタ1のキャビン11が備えるルーフ5の上面に取り付けられている。無線通信用アンテナ48で受信した無線通信端末46からの信号は、図4に示す無線通信部40で信号処理され、制御部4に入力される。制御部4から無線通信端末46に送信する信号は、無線通信部40で信号処理された後、無線通信用アンテナ48から送信されて無線通信端末46で受信される。
[0050]
 次に、制御部4について説明する。上述したとおり、制御部4は、記憶部55と、自律走行制御部32と、作業機制御部34と、を備える。
[0051]
 記憶部55は、トラクタ1を自律走行・自律作業させるために必要な様々な情報を記憶する。なお、この記憶部55が記憶する内容の詳細については後述する。
[0052]
 自律走行制御部32は、自律作業時における走行機体2の走行制御を行う。具体的には、自律走行制御部32は、ガバナ装置41、変速装置42及び操向アクチュエータ43等に適宜の制御信号を送ることにより、予め定められた経路に沿って走行機体2(トラクタ1)を適宜の速度で走行させるように制御する。
[0053]
 作業機制御部34は、自律作業時における作業機3の制御を行う。具体的には、作業機制御部34は、PTOクラッチ45に信号を送ってPTO軸への動力の伝達/遮断を切換制御し、また、昇降アクチュエータ44に信号を送って作業機3を昇降制御する。
[0054]
 次に、無線通信端末46について説明する。無線通信端末46は、図3に示すように、タブレット型のコンピュータとして構成されている。ユーザは、例えばトラクタ1の外で、無線通信端末46のディスプレイ37に表示された情報(例えば、トラクタ1に取り付けられた各種センサからの情報)を参照して確認することができる。また、ユーザは、ディスプレイ37の近傍に配置されたハードウェアキー38、及びディスプレイ37を覆うように配置されたタッチパネル39等を操作して、トラクタ1の制御部4に、トラクタ1を制御するための制御信号を送信することができる。ここで、無線通信端末46が制御部4に出力する制御信号としては、自律走行・自律作業の経路に関する信号や自律走行・自律作業の開始信号、停止信号、終了信号等が考えられるが、これに限定されない。
[0055]
 なお、無線通信端末46はタブレット型のコンピュータに限るものではなく、これに代えて、例えばノート型のコンピュータで構成することも可能である。あるいは、ロボットトラクタ1と有人トラクタとで協調作業を行う場合、有人側のトラクタに搭載されるモニタ装置を無線通信端末とすることもできる。
[0056]
 このように構成されたトラクタ1は、無線通信端末46を用いるユーザの指示に基づいて、圃場上の経路に沿って自律的に走行しつつ、作業機3による農作業を行うことができる。
[0057]
 具体的には、ユーザは、無線通信端末46を用いて各種設定を行うことにより、直線又は折れ線状の自律作業路(自律作業が行われる線状の経路)P1と、当該自律作業路P1の端同士を繋ぐ円弧状の接続路(旋回・切返し操作が行われる旋回路)P2と、を交互に繋いだ一連の経路としての自律走行経路Pを生成することが可能である。
[0058]
 この自律走行経路Pの例が図5に示されており、自律走行経路Pは、予め指定された作業開始位置Sと、作業終了位置Eと、を結ぶように生成される。図5は、経路生成システム99が生成する自律走行経路Pの例を示す模式図である。図5に示すように、自律走行経路Pを生成するにあたっては、対象となる圃場に、作業機3による作業が行われない非作業領域62として枕地及び非耕作地(サイドマージン)が設定され、この非作業領域62を除いた領域が作業領域61となる。上記の自律作業路(経路)P1,P1,・・・は、この作業領域61に並んで複数配置され、接続路P2,P2,・・・は非作業領域62(枕地)に配置されるように生成される。なお、本実施形態では、非作業領域62と作業領域61とを合わせた領域を特定領域60と称している。
[0059]
 図5の例では、自律作業路P1,P1,・・・は直線状に生成され、接続路P2,P2,・・・は円弧状に生成される。また、それぞれの自律作業路P1,P1,・・・は作業領域61を通過するように配置され、接続路P2は、非作業領域62である枕地において、互いに隣接するP1,P1の端部同士を接続するように配置される。このように作成された自律走行経路Pにおいては、それぞれの接続路P2において180°の方向転換が行われるので、トラクタ1の走行方向は、ある自律作業路P1と、それに隣接する自律作業路P1との間で、互いに逆を向くことになる。
[0060]
 上記の自律走行経路Pの情報を無線通信端末46から制御部4に入力(送信)して所定の操作をすることにより、当該制御部4によりトラクタ1を制御して、当該トラクタ1を自律走行経路Pに沿って自律的に走行させながら、自律作業路P1に沿って作業機3により農作業を行わせることが可能である。
[0061]
 次に、作業機3の昇降に関して図1及び図6等を参照して説明する。図6は、図1の状態から作業機3を作業高さに下降させた様子を示す側面図である。
[0062]
 図1に示すように、トラクタ1の走行機体2の後部には作業機3が装着されている。前述したとおり、作業機3にはエンジン10の駆動力の一部が前記PTO軸を介して伝達され、作業機3を駆動して耕耘作業を行うことができる。作業機3の下部には、水平に配置された軸を中心に回転駆動される耕耘爪25が複数設けられている。
[0063]
 耕耘爪25の回転軸線26が図1及び図2等に示されている。この作業機3を図6に示す作業高さまで下降させることで、回転する耕耘爪25が土壌に接触し、当該作業高さに対応する所定深さでの圃場の耕耘作業を行うことができる。また、耕耘爪25の回転を停止したり、作業機3を図1に示す非作業高さまで上昇させたりすることで、耕耘作業を停止させることができる。作業機3の昇降は、ユーザが前記作業機昇降スイッチ28を操作することにより行うことができ、また、作業機制御部34が自動制御することもできる。
[0064]
 ここで、本実施形態では、耕耘爪25の「作業状態」とは、作業機3が作業高さにまで下降し、かつ、耕耘爪25が回転している状態を意味する。また、「非作業状態」とは、上記の作業状態以外の状態を意味し、例えば、作業機3が非作業高さにまで上昇し、かつ、耕耘爪25が回転を停止している状態である。
[0065]
 次に、自律走行・自律作業時における耕耘爪25の作業状態/非作業状態の切換タイミングについて説明する。
[0066]
 トラクタ1を自律走行させて作業機3による作業を行う場合、例えば図5の自律走行経路Pに沿って走行するトラクタ1が非作業領域62から作業領域61に入るタイミングで、耕耘爪25を回転させるとともに作業機3を作業高さに下降させ、トラクタ1が作業領域61から非作業領域62へ出るタイミングで、耕耘爪25の回転を停止させるとともに作業機3を作業高さから上昇させる。これにより、作業領域61において作業機3の耕耘爪25を土壌に接触させ、耕耘作業を行うことができる。
[0067]
 上述したように、トラクタ1が自律走行する場合は、自機の位置情報を、衛星測位システムを用いて(図4の位置情報算出部49から)取得する。しかしながら、例えば図1に示すように、トラクタ1において作業機3の耕耘爪25の位置(回転軸線26の位置)は、測位アンテナ6が取り付けられる位置より後方に配置されている。従って、測位アンテナ6が作業領域61に出入りするタイミングと、実際に土壌に作用して作業を行う耕耘爪25が作業領域61に出入りするタイミングとの間に、ズレが生じる。しかも、上述したように、互いに隣接する2つの自律作業路P1,P1の間でトラクタ1が走行する向きが逆になっている。従って、仮に、単純に測位アンテナ6の位置が作業領域61に入ったタイミングで耕耘爪25が耕耘作業を開始し、測位アンテナ6の位置が作業領域61から出たタイミングで耕耘作業を停止させる制御を行うと、耕耘爪25により実際に耕耘作業が行われた領域の端部が、隣接する自律作業路P1,P1の間で揃わなくなる。このため、見栄えが悪く、後の仕上げ工程に手間が掛かってしまっていた。
[0068]
 また、測位アンテナ6ではなく、作業機3の後端が作業領域61に出入りするタイミングを基準にして、耕耘作業の開始/停止のタイミングを制御することも考えられる。しかしながら、この場合も、前後長の大きい作業機(例えば、プラウ)を用いる場合は、実際に作業が行われる領域が、隣接する自律作業路P1,P1の間で大きくズレてしまう場合があった。
[0069]
 そこで、本実施形態のトラクタ1に備えられる制御部4は、以下のようにして、耕耘作業が行われる耕耘爪25の回転軸線26の位置(以下、爪軸位置と呼ぶことがある。)を基準にして耕耘作業の開始/停止のタイミングを制御している。この爪軸位置は、耕耘爪25が土壌に実際に作用して耕耘作業を行う機体前後方向の領域を2等分するものであることから、作業機3における作業中心位置であるということができる。
[0070]
 まず、記憶部55が記憶する情報について詳細に説明する。図4に示すように、記憶部55は、距離記憶部(距離取得部)30と、領域記憶部31と、経路記憶部35と、を備える。
[0071]
 距離記憶部30は、図1及び図2等に示す水平距離L(即ち、耕耘爪25の回転軸線26の位置から測位アンテナ6の位置までの水平距離)を記憶する。なお、以下の説明では、耕耘爪25の回転軸線26の位置を爪軸位置と呼び、測位アンテナ6の位置をアンテナ位置と呼ぶことがある。水平距離Lは、トラクタ1の自律走行開始前にユーザによって入力される。具体的には、ユーザが無線通信端末46を用いて、耕耘爪25の回転軸線26と測位アンテナ6との水平距離Lを入力すると、入力値が無線通信端末46から制御部4に送信されて、距離記憶部30が当該水平距離Lの値を記憶する。
[0072]
 ただし、走行機体2に装着可能な作業機と、当該作業機における作業中心位置と、を対応付けて、例えば無線通信端末46の適宜の記憶部に記憶しておき、無線通信端末46においてユーザが作業機の機種名等を選択するだけで水平距離Lを自動的に設定するように構成すると、利便性を高めることができる。また、水平距離Lの値は、トラクタ1に備えられた図略の操作キー等を用いて制御部4に直接入力する構成とすることもできる。
[0073]
 図4に示す領域記憶部31は、ユーザによって予め設定された作業領域61の情報(具体的には、作業領域61の位置及び形状等に関する情報)と、残りの領域である非作業領域62の情報と、を記憶する。作業領域61の情報は、自律走行・自律作業の開始前にユーザが無線通信端末46を適宜操作することで設定することができる。また、作業領域61の情報は、水平距離Lの値と同様に、トラクタ1に備えられた図略の操作キー等を用いて制御部4に直接入力する構成とすることもできる。
[0074]
 この構成で、自律走行制御部32は、作業機制御部34に作業機3を適切なタイミングで昇降制御させるために、位置情報算出部49で算出された測位アンテナ6の位置と、距離記憶部30で記憶されている水平距離Lと、に基づいて爪軸位置を計算する。そして、自律走行制御部32は、得られた爪軸位置が非作業領域62から作業領域61に入るタイミングで作業機3が作業高さにまで下降し、かつ、耕耘爪25が回転している状態となる(前述の作業状態となる)ように、また、当該爪軸位置が作業領域61から非作業領域62へ出るタイミングで当該状態が解除される(前述の非作業状態となる)ように、作業機制御部34を介して昇降アクチュエータ44を制御する。
[0075]
 次に、走行機体2及び作業機3が非作業領域から作業領域へ移動する場合の、自律走行制御部32及び作業機制御部34が行う制御を説明する。図7は、自律走行制御部32及び作業機制御部34が作業機3を下降させる場合の制御タイミングの関係を説明する図である。
[0076]
 上述したように、トラクタ1が自律走行・自律作業を行っており、走行機体2及び作業機3が非作業領域62(接続路P2)を走行するとき、図1に示すように、作業機3は非作業高さ(具体的には、最上げ高さ)まで上昇し、かつ、PTOクラッチ45が切断されているために耕耘爪25が回転しない状態となっている(非作業状態)。また、このとき、作業機制御部34は、上記の非作業高さを維持するモード(リフトアップモード)となっている。従って、耕耘爪25は地面に接触しない状態で静止しており、耕耘作業は行われない。
[0077]
 走行機体2が接続路P2に沿った走行をほぼ終え、作業機3が非作業領域62と作業領域61との境界に近づいたタイミングで、図7(a)に示すように、作業機3の下降を指示する制御信号(第1制御信号。以下、下降指示信号と呼ぶ。)が自律走行制御部32から作業機制御部34に出力される。なお、自律走行制御部32が下降指示信号を送信するタイミングの詳細については後述する。
[0078]
 作業機制御部34は、下降指示信号が入力されると、図7(b)に示すように、PTOの停止を解除する旨を指示する信号をPTOクラッチ45に送信する。ただし、このとき作業機制御部34は、制御の準備時間を確保する等の理由で、下降指示信号が入力されてから一定時間だけ待機した後にPTO停止解除の指示を送信するように構成されている。この待機時間TW1は、例えば、50~500ミリ秒の間の所定時間とすることが考えられる。PTOクラッチ45は、PTO停止解除の指示を受信すると接続状態となり、これに伴って耕耘爪25が回転を開始する。
[0079]
 作業機制御部34は、PTO停止解除の指示と同時に、作業機3を下降させるように制御する。具体的には、図示しない電磁弁を開くことにより昇降アクチュエータ44(リフトシリンダ)の圧油を排出させることで、図7(d)に示すように作業機3が自重によって下降し始める。既に耕耘爪25は回転を開始しているので、作業機3が下降して作業高さに到達した時点で、耕耘爪25が作業状態になる。非作業高さにあった作業機3が下降して作業高さに到達するには、相応の時間が必要である。作業機3の下降速度は、前述の下降速度調整弁の開度、及び作業機3の重量等によって変化するので、作業機3が下降して作業高さに到達するまでの時間(下降必要時間TR1)は状況に応じて様々である。
[0080]
 制御部4には、ユーザが下降速度調整弁を操作した位置を検出するための図略のセンサ(例えば、ポテンショメータ)が電気的に接続されている。自律走行制御部32は、このセンサの検出値を用いること等により、下降必要時間TR1を計算により取得(推定)することができる。ただし、作業機3の重量は土の付着等により変動するものであり、本実施形態のトラクタ1は作業機3の重量を直接検出するセンサを備えていないため、下降必要時間TR1の推定精度は必ずしも高くない。一方、図示しないが、トラクタ1は、作業機3の支持高さを検出するセンサを備えているので、過去に作業機3の下降を開始してから実際に作業高さに到達するまでの時間を計測することが可能である。そこで、自律走行制御部32は、過去(例えば、直近の過去)に作業機3を下降させたときの下降必要時間TR1を実際に測定して記憶しておき、次回に作業機3を下降させたときの下降必要時間TR1の推定に反映させることで、精度の向上を図っている。
[0081]
 ところで、トラクタ1が接続路P2を走行しているときに、非作業領域62と作業領域61との境界に作業機3の爪軸位置が到達するタイミングは、走行機体2の位置情報、走行速度、走行機体2に対する爪軸位置の位置関係等を用いて推定することができる。従って、自律走行制御部32は、非作業領域62と作業領域61との境界を作業機3の爪軸位置が越えたタイミングで、耕耘爪25が作業状態となっているように、前記待機時間TW1及び下降必要時間TR1を考慮して、下降指示信号を出力するタイミングを計算により求める。こうして得られたタイミングで自律走行制御部32が下降指示信号を出力することにより、非作業領域62と作業領域61の境界ぴったりで作業機3(耕耘爪25)による作業を開始することができ、作業の見栄えが良好になる。しかも、作業機3の爪軸位置を基準に制御しているので、意図する深さで耕耘爪25が作用する領域の端と、非作業領域62と作業領域61の境界と、を精度良く一致させることができる。
[0082]
 作業機3が作業高さにまで到達すると、図7(c)に示すように作業機制御部34はリフトアップモードからオートロータリモードに切り換わって、当該作業高さを維持するための制御を行う。トラクタ1は、作業機3の耕耘爪25により作業を行わせながら、自律作業路P1に沿って作業領域61を走行する。
[0083]
 次に、上記とは逆に、走行機体2及び作業機3が作業領域61から非作業領域62へ移動する場合の制御を説明する。図8は、自律走行制御部32及び作業機制御部34が作業機3を上昇させる場合の制御タイミングの関係を説明する図である。
[0084]
 トラクタ1が自律走行・自律作業を行っており、走行機体2及び作業機3が作業領域61(自律作業路P1)を走行するとき、作業機3は作業高さで作業を行っており、かつ、PTOクラッチが接続されているために耕耘爪25が回転する状態となっている(作業状態)。また、このとき、作業機制御部34は、上記の作業高さを維持する制御を行うモード(オートロータリモード)となっている。これにより、回転する耕耘爪25により、作業高さに対応する深さでの耕耘作業が行われる。
[0085]
 走行機体2が自律作業路P1に沿った走行をほぼ終え、作業機3が作業領域61と非作業領域62との境界に近づいた適宜のタイミングで、図8(a)に示すように、作業機3の上昇を指示する制御信号(第2制御信号。以下、上昇指示信号と呼ぶ。)が自律走行制御部32から作業機制御部34に出力される。なお、上昇指示信号が送信されるタイミングの詳細については後述する。
[0086]
 作業機制御部34は、上昇指示信号が入力されると、図8(b)に示すように、PTOを停止させる旨を指示する信号をPTOクラッチ45に送信する。ただし、下降指示信号が入力された場合と同様に、作業機制御部34は、上昇指示信号が入力されてから所定時間だけ待機した後にPTO停止の指示を送信するように構成されている。この待機時間TW2は、例えば、50~500ミリ秒の間の一定時間とすることが考えられる。また、上昇指示信号の場合の待機時間TW2は、前記の下降指示信号の場合の待機時間TW1と同一であっても良いし、異なっても良いが、待機時間TW1が待機時間TW2よりも長い時間であることが望ましい。PTOクラッチ45は、PTO停止の指示を受信すると切断状態となり、これに伴って耕耘爪25の回転が停止する。従って、この時点で耕耘爪25が非作業状態になる。
[0087]
 作業機制御部34は、PTO停止の指示をPTOクラッチ45に送信するのと同時に、図8(c)に示すようにオートロータリモードからリフトアップモードに切り換わる。また、作業機制御部34は、PTO停止の指示から後述の遅延時間TDだけ待機した後、油圧シリンダに作動油を供給して作業機3を上昇させるように制御する。
[0088]
 この遅延時間TDは、作業機3の上昇に伴う土の盛り上がりを防止するためのものである。即ち、仮に耕耘爪25の回転を停止させるのと同時に作業機3を上昇させ始めると、停止した耕耘爪25が土を持ち上げることにより、土壌の土が局所的に盛り上がってしまう。そこで、本実施形態では、耕耘爪25の回転を停止させた後も作業機3を直ちに上昇させないでおくことで、そのような土の盛り上がりが形成されないようにして、見栄えの向上を図っている。
[0089]
 この遅延時間TDが経過した後、作業機3が上昇を開始する。作業機3が作業高さから上昇して非作業高さに到達するには相応の時間が必要であるが、油圧シリンダへの作動油の供給速度は一定であるため、作業機3の上昇速度は、下降する場合と異なり一定である。従って、作業機3が上昇して非作業高さに到達するまでの時間(上昇必要時間TR2)は、一定の値となる。
[0090]
 ところで、上述したとおり、作業領域61と非作業領域62との境界に作業機3の爪軸位置が到達するタイミングは、適宜の計算により推定することができる。従って、自律走行制御部32は、作業領域61と非作業領域62との境界を作業機3の爪軸位置が越えたタイミングで、耕耘爪25が作業状態から非作業状態になっているように、前記待機時間TW2を考慮して、上昇指示信号を出力するタイミングを計算により求める。こうして得られたタイミングで自律走行制御部32が上昇指示信号を出力することにより、作業領域61と非作業領域62の境界ぴったりで作業機3(耕耘爪25)による作業を終了することができ、作業の見栄えが良好になる。
[0091]
 作業機制御部34はリフトアップモードになっているので、作業機3が非作業高さにまで到達すると、作業機制御部34は、当該非作業高さを維持するための制御を行う。トラクタ1は、作業機3により作業を行わせない状態で、接続路P2に沿って非作業領域62を走行する。
[0092]
 このように、本実施形態では、作業機制御部34が作業機3を昇降させるタイミングを爪軸位置に基づいて自律走行制御部32が制御することによって、それぞれの自律作業路P1において作業機3によって(所定の耕耘深さで)実際に耕耘される区間の端を、複数の自律作業路P1の間で揃えることができる。その結果、見栄えの良い仕上がりを実現することができる。
[0093]
 なお、図7及び図8に示すような制御は、本実施形態で用いられたロータリ耕耘機のように、PTO軸を介した耕耘爪25の回転駆動が必要であるとともに、作業機3の昇降制御が必要な場合に適用されるものである。作業機の中には、作業体の駆動が不要であったり、昇降制御が不要な構成もあるので、本実施形態のトラクタ1においては、自律走行・自律作業を開始する前に作業機の種類をユーザに(例えば無線通信端末46に)入力させ、必要な場合にのみ、図7及び図8に示すようなPTO制御及び昇降制御を行うように構成されている。
[0094]
 即ち、所定の作業機において、当該作業機が備える作業体により作業が行われない非作業状態から、作業体により作業が行われる作業状態に切り換えるタイミング(作業状態の変更を指示する制御信号(上述した下降指示信号に相当する制御信号)を出力するタイミング)は、作業体の作業中心位置が作業領域に至るまでの時間が、当該制御信号を受信してから現に作業状態への切換が開始されるまでの切換準備時間(上述した待機時間TW1に相当する時間)、及び、作業状態への切換が開始されてから切換が完了する(即ち作業状態となる)までの切換所要時間(上述した下降必要時間TR1)の合計時間と略等しくなるタイミングに制御される。一方、作業体により作業が行われる作業状態から作業体により作業が行われない非作業状態に切り換えるタイミング(作業状態の変更を指示する制御信号(上述した上昇指示信号に相当する制御信号)を出力するタイミング)は、作業体の作業中心位置が非作業領域に至るまでの時間が、当該制御信号を受信してから現に非作業状態への切換が開始されるまでの切換準備時間(上述した待機時間TW2に相当する時間)と略等しくなるタイミングに制御される。
[0095]
 以上に説明したように、本実施形態のトラクタ1は、走行機体2と、自律走行制御部32と、作業機3と、測位アンテナ6と、位置情報算出部49と、距離記憶部30と、領域記憶部31と、作業機制御部34と、を備える。自律走行制御部32は、走行機体2の自律走行を制御する。作業機3は、作業に用いられる耕耘爪25を有し、走行機体2に装着される。測位アンテナ6は、走行機体2に取り付けられて測位システムからの測位信号を受信する。位置情報算出部49は、測位信号に基づいて測位アンテナ6の位置情報を取得可能である。距離記憶部30は、走行機体2における測位アンテナ6の取付位置と作業機3における爪軸位置(耕耘爪25の作業中心位置)との水平距離を取得する。領域記憶部31は、作業機3による作業が行われる作業領域61と作業機3による作業が行われない非作業領域62を記憶する。作業機制御部34は、作業機3を昇降することにより、耕耘爪25を、指定された深さで土壌に接触して耕耘作業を行う作業状態と、そうではない非作業状態とに切り換える制御が可能である。自律走行制御部32は、走行機体2が作業領域61から非作業領域62に移動する場合は、爪軸位置が作業領域61と非作業領域62との境界を越えたときに耕耘爪25が非作業状態であるように、作業機制御部34に耕耘爪25を切換制御させる。自律走行制御部32は、走行機体2が非作業領域62から作業領域61に移動する場合は、爪軸位置が前記境界を越えたときに耕耘爪25が作業状態であるように作業機制御部34に耕耘爪25を切換制御させる。
[0096]
 これにより、作業機3において耕耘爪25が土壌に実際に作用する領域の中心である爪軸位置を制御の基準として用いることにより、走行機体2が走行しながら耕耘爪25によって実際に耕耘される領域の端を、作業領域61と非作業領域62との境界と一致するように容易に制御することができ、見栄えの良い仕上がりを実現することができる。また、走行機体2に装着する作業機(作業体)を他のものに変更した場合でも、それに応じて作業中心位置を変更することで、作業体の状態を適切なタイミングで切り換えることができる。
[0097]
 また、本実施形態のトラクタ1において、自律走行制御部32は、耕耘爪25について非作業状態から作業状態へ切換を開始してから当該切換が完了するのに要する切換時間(待機時間TW1及び下降必要時間TR1)を取得する。自律走行制御部32は、走行機体2が非作業領域62から作業領域61に移動する場合に、爪軸位置が前記境界に至る到達タイミングと前記切換時間とに基づいて、耕耘爪25が非作業状態から作業状態への切換を開始するタイミングを求め、当該タイミングで前記切換を開始するように作業機制御部34に耕耘爪25を切換制御させる。
[0098]
 これにより、切換に必要な時間を見込んで耕耘爪25の状態の切換を開始することができるので、耕耘爪25によって実際に作業が行われる領域の位置ズレを防止することができる。
[0099]
 また、本実施形態のトラクタ1において、自律走行制御部32は、自律走行制御部32から出力される制御信号に基づいて耕耘爪25の状態を切り換えるように構成されている。作業機制御部34は、耕耘爪25の非作業状態から作業状態への切換を指示する下降指示信号が自律走行制御部32から入力された場合に、第1時間(即ち、待機時間TW1)だけ待機した後に、耕耘爪25の状態の切換(具体的には、耕耘爪25の回転開始及び作業機3の下降)を開始する。また、作業機制御部34は、耕耘爪25の作業状態から非作業状態への切換を指示する上昇指示信号が自律走行制御部32から入力された場合に、第2時間(即ち、待機時間TW2)だけ待機した後に、耕耘爪25の状態の切換(具体的には、耕耘爪25の回転停止及び作業機3の上昇)を開始する。自律走行制御部32は、走行機体2が非作業領域から作業領域に移動する場合に、前記第1時間に基づくタイミングで下降指示信号を出力し、走行機体2が作業領域から非作業領域に移動する場合に、前記第2時間に基づくタイミングで上昇指示信号を出力する。
[0100]
 これにより、下降指示信号及び上昇指示信号に基づく制御の実質的な時間遅れを考慮して、自律走行制御部32が下降指示信号又は上昇指示信号を出力するので、耕耘爪25によって実際に作業が開始又は終了する地点を、作業領域61と非作業領域62との境界と精度良く一致させることができる。
[0101]
 以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
[0102]
 作業機としては、上記のロータリ耕耘機に代えて、例えばプラウを走行機体2に装着することができる。この場合、最も先頭に位置する刃板の先端と、最も末尾に位置する刃板の先端と、の間の中心を作業中心位置とすれば良い。また、プラウのように作業体(刃板)が回転駆動されない場合は、単純に作業機(作業体)の高さによって作業状態と非作業状態とが区別されることになる。
[0103]
 測位アンテナ6と作業中心位置との水平距離Lを直接設定する代わりに、例えば、3点リンク機構の後端(ロアリンクの後端)から作業中心位置までの水平距離を設定し、当該水平距離と、走行機体2における測位アンテナ6の位置と、に基づいて、測位アンテナ6と作業中心位置との水平距離Lを計算により求めるように構成しても良い。
[0104]
 自律走行制御部32と作業機制御部34は、共通のハードウェアにより実現されても良いし、互いに異なるハードウェアによって個別に実現されても良い。
[0105]
 トラクタ1が走行する自律走行経路Pは、図5のように生成することに限らず、作業内容等に応じて任意に変更することができる。
[0106]
 上記の構成では、距離記憶部30、領域記憶部31、及び経路記憶部35等がトラクタ1に備えられているが、これらの構成がトラクタ1側及び無線通信端末46側の何れに備えられるかについては、これに限るものではない。また、これ以外の構成部分についても、トラクタ1側及び無線通信端末46側の何れに備えられていてもよい。

符号の説明

[0107]
 1 トラクタ(自律走行作業車両)
 2 走行機体(車体部)
 3 作業機
 6 測位アンテナ
 25 耕耘爪(作業体)
 30 距離記憶部(距離取得部)
 31 領域記憶部
 32 自律走行制御部
 34 作業機制御部(作業体制御部)
 49 位置情報算出部(位置情報取得部)
 61 作業領域
 62 非作業領域

請求の範囲

[請求項1]
 車体部と、
 前記車体部の自律走行を制御する自律走行制御部と、
 作業に用いられる作業体を有し、前記車体部に装着される作業機と、
 前記車体部に取り付けられて測位システムからの測位信号を受信する測位アンテナと、
 前記測位信号に基づいて前記測位アンテナの位置情報を取得可能な位置情報取得部と、
 前記車体部における前記測位アンテナの取付位置と前記作業機における前記作業体の作業中心位置との水平距離を取得する距離取得部と、
 前記作業機による作業が行われる作業領域と前記作業機による作業が行われない非作業領域を記憶する領域記憶部と、
 前記作業体を作業状態と非作業状態とに切り換える制御が可能な作業体制御部と、
を備え、
 前記自律走行制御部は、
 前記車体部が作業領域から非作業領域に移動する場合は、前記作業中心位置が前記作業領域と前記非作業領域との境界を越えたときに前記作業体が非作業状態であるように前記作業体制御部に前記作業体を切換制御させ、
 前記車体部が非作業領域から作業領域に移動する場合は、前記作業中心位置が前記境界を越えたときに前記作業体が作業状態であるように前記作業体制御部に前記作業体を切換制御させることを特徴とする自律走行作業車両。
[請求項2]
 請求項1に記載の自律走行作業車両であって、
 前記自律走行制御部は、前記作業体について非作業状態から作業状態へ切換を開始してから当該切換が完了するのに要する切換時間を取得し、
 前記自律走行制御部は、前記車体部が非作業領域から作業領域に移動する場合に、前記作業中心位置が前記境界に至る到達タイミングと前記切換時間とに基づいて、前記作業体が非作業状態から作業状態への切換を開始するタイミングを求め、当該タイミングで前記切換を開始するように前記作業体制御部に前記作業体を切換制御させることを特徴とする自律走行作業車両。
[請求項3]
 請求項1又は2に記載の自律走行作業車両であって、
 前記作業体制御部は、前記自律走行制御部から出力される制御信号に基づいて前記作業体の状態を切り換えるように構成され、
 前記作業体制御部は、
 前記作業体の非作業状態から作業状態への切換を指示する第1制御信号が前記自律走行制御部から入力された場合に、第1時間待機した後に作業体の状態の切換を開始し、
 前記作業体の作業状態から非作業状態への切換を指示する第2制御信号が前記自律走行制御部から入力された場合に、第2時間待機した後に作業体の状態の切換を開始し、
 前記自律走行制御部は、前記車体部が非作業領域から作業領域に移動する場合に前記第1時間に基づくタイミングで前記第1制御信号を出力し、前記車体部が作業領域から非作業領域に移動する場合に前記第2時間に基づくタイミングで前記第2制御信号を出力することを特徴とする自律走行作業車両。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]